説明

ナノ粉末合成および材料処理用のプラズマ反応炉

ナノ粉末の生成および材料処理のためのプロセスおよび装置が、本明細書で説明されている。プラズマを発生させるためにプラズマトーチを備えるトーチ本体と、プラズマ放電を受け取るためにトーチ本体と流体連結し、さらに急冷部と流体連結している反応炉部と、反応炉部と熱的に連結している少なくとも1つの加熱要素とを備え、その少なくとも1つの加熱要素が反応炉部内の温度を選択的に調節すること可能にするプラズマ反応炉が、本明細書で説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般的に、ナノ粉末の生成および材料処理のためのプロセスおよび装置に関する。より詳細には、本明細書は、トーチ本体と、温度場が容易に制御される反応炉部とを備えるプラズマ反応炉に関するが、これらに限らない。さらに、本明細書は、そのようなプラズマ反応炉をナノ粉末の合成および材料処理に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末の合成および材料処理のためにプラズマ技術を使用することは、過去10年間にわたって大きな注目を集めている。プラズマ技術の主な有利点は、定められた化学的または物理的変換が行われるエネルギーレベル(すなわち、温度)からプロセスの化学を分離できることにある。反応媒体が燃焼生成物を含む燃焼炎反応炉と対照的に、プラズマ技術は、反応プロセスの化学と反応温度を独立に制御することができる高温プロセスを構成する。プラズマ反応炉は、10,000度ケルビン以上に達する温度で不活性、酸化性または還元性雰囲気を使用して動作させることができる。
【0003】
プラズマ技術を使用してナノ粉末を合成する標準的な技術は、固体の形であろうと液体の形であろうとナノ粉末前駆物質を蒸発させ、その後で、生成された蒸気を十分に制御された条件の下で急冷することを含む(図1)。急冷ステップでは、蒸気は、冷たい表面との接触によるか、低温ガス(すなわち、急冷ガス)との直接混合によるかのどちらかで冷やされる。いずれの場合にも、急冷プロセスは、核生成ステップを経て、その後に粒子成長および凝集が続く。ナノ粉末の最終粒子サイズ分布は、プラズマ反応炉の急冷ゾーン中の温度場に直接依存している。
【0004】
蒸気がプラズマ反応炉内のより冷たい表面に接触しないようにすることが困難なために、反応炉内での粒子凝縮は、一般に避けることができず、しばしば反応炉閉塞および生産性の損失になる不都合な問題である。さらに、そのような不都合な粒子凝縮は、ナノ粉末生成物の可能性のある汚染源になることに加えて、生成物損失の可能性を示している。
【0005】
いくつかのプラズマ応用において、急冷ガスはまた、本質的に反応性(すなわち、反応物)であり、したがってナノ粉末生成物の化学的および/または物理的変化を引き起こすことがある。反応性の急冷ガスは、窒化物および炭化物ナノ粉末材料の合成だけでなく金属酸化物ナノ粉末の合成でも広く使用されている。
【0006】
反応性急冷を含もうと不活性急冷を含もうと、ナノ粉末材料を生成する目的のためであろうと単に材料を溶融し圧密するだけの目的のためであろうと、プラズマ関連プロセスに共通の課題は、反応炉内の温度場したがって材料がさらされる熱化学的条件を制御することの困難さにある。
【0007】
本明細書はいくつかの文献を参照し、それらの文献の内容は、その全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、ナノ粉末の生成および材料処理のための新規なプロセスおよび装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
広く特許請求されるように、本明細書は、トーチ本体と、温度場が容易に制御される反応炉部とを備える新規なプラズマ反応炉に関する。ある1つの実施形態では、本明細書は、トーチ本体中にプラズマを発生させるための第1の電力供給と、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給とを具備するプラズマ反応炉に関する。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0010】
付加的な実施形態では、本明細書は、第1の電力供給によって電力を供給される誘導プラズマトーチと、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉とを具備するプラズマ反応炉に関する。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0011】
さらに付加的な実施形態では、本明細書は、第1の電力供給によって電力を供給される直流(dc)プラズマトーチまたは移送アークプラズマトーチと、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉に関する。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0012】
ある1つの実施形態では、本明細書は、ナノ粉末の準備および材料処理のための新規なプロセスに関し、本プロセスは、第1の電力供給によって電力を供給される誘導プラズマトーチと、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉中に前駆物質材料を供給することを含む。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0013】
ある1つの実施形態では、本明細書は、ナノ粉末の準備および材料処理のための新規なプロセスに関し、本プロセスは、第1の電力供給によって電力を供給される直流(dc)プラズマトーチまたは移送アークプラズマトーチと、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉中に前駆物質材料を供給することを含む。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0014】
ある1つの実施形態では、本明細書は、第1の電力供給によって電力を供給されるトーチ本体と、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉を使用して生成されるナノ粉末材料に関する。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0015】
ある1つの実施形態では、本明細書は、第1の電力供給によって電力を供給されるトーチ本体と、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉を使用して生成される処理材料に関する。本明細書のさらに具体的な実施形態では、第2の電力供給は、複数の副電力供給を備えている。
【0016】
ある1つの実施形態では、本明細書は、プラズマを発生させるためにプラズマトーチを備えるトーチ本体と、プラズマ放電を受け取るためにトーチ本体と流体連結し、さらに急冷部と流体連結している反応炉部と、反応炉部と熱的に連結している少なくとも1つの加熱要素とを具備するプラズマ反応炉に関し、その少なくとも1つの加熱要素は、反応炉部内の温度を選択的に調節することを可能にする。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、入口をさらに備えることがあるトーチ本体を具備している。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応チャンバを画定する反応炉部を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、反応炉部は、トーチ本体に取り付けられている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応炉チャンバに取り付けられた少なくとも1つの加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、チャンバを画定する壁表面を備える反応チャンバを具備し、加熱要素はこの壁表面を加熱することを可能にする。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応チャンバを取り囲む少なくとも1つの加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、外表面を備える反応炉チャンバを具備し、加熱要素はこの外表面上に取り付けられている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応チャンバを画定する壁表面の内側に埋め込まれた加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応チャンバの長さに沿って取り付けられた複数の加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、急冷チャンバを画定しかつ反応炉部に取り付けられた急冷部を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、加熱要素は、誘導コイルを備えている。本明細書の付加的な実施形態では、加熱要素は、誘導コイル、抵抗直流加熱要素、および交流加熱要素から成るグループから選ばれている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、反応チャンバの中心線に沿って温度場を設定するように反応チャンバ内の温度を調節する少なくとも1つの加熱要素を備えている。
【0017】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、急冷チャンバを画定する内壁を備える急冷部を具備し、急冷チャンバは、反応チャンバに隣接する上流端および向かい合った下流端を有している。本明細書の付加的な実施形態では、下流チャンバ端は、上流チャンバ端よりも広い。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバは、全体的に切頭円錐状の形状を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの内壁は、ぎざぎざのある形状を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの内壁は、一連の隣接するセグメントを備えている。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの内壁は、一連の同心円錐状セグメントを備えている。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの内壁は、急冷チャンバの内壁全体にわたって急冷ガス流を供給するために内壁の周囲に分散された複数の開口を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの内壁は、急冷チャンバ中にそれぞれのガスジェットを導入するために半径方向の開口を備えている。
【0018】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、選択的調節のためにコントローラにつながれた少なくとも1つの加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、コントローラは、加熱要素に電力を供給する電力供給につながれ、コントローラは電力供給を選択的に調節することを可能にする。
【0019】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、調節のためにある1つのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備えている。
【0020】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、調節するためにある1つのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備え、各加熱要素は、電力を供給するそれぞれの電力供給に接続され、コントローラは、選択的調節のために各電力供給につながれている。
【0021】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、調節するためにある1つのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備え、コントローラは、加熱要素に電力を供給する電力供給につながれ、コントローラは、電力供給を選択的に調節することを可能にする。
【0022】
本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、調節のためにそれぞれのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、プラズマ反応炉は、調節のためにそれぞれのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備え、各コントローラは、電力を供給するためにそれぞれの加熱要素につながれたそれぞれの電力供給に接続され、各コントローラは、それぞれの電力供給を選択的に調節することを可能にする。
【0023】
ある1つの実施形態では、本明細書は、プラズマを発生させるためにプラズマトーチを備えるトーチ本体と、プラズマ放電を受け取るためにトーチ本体と流体連結している反応炉部と、反応炉部と流体連結している急冷部とを具備し、急冷部が、反応炉部に隣接する上流端および向かい合った下流端を有する急冷チャンバを画定する内壁を備え、内壁が一連の環状セグメントを備えるプラズマ反応炉に関し、急冷チャンバの長さは、少なくとも1つの環状セグメントの取り外しまたは追加によって変更可能である。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバの下流端は、上流端よりも広い。本明細書の付加的な実施形態では、急冷チャンバは、全体的に切頭円錐状の形状を備えている。本明細書の付加的な実施形態では、一連の環状セグメントは、内壁にぎざぎざのある形状を与えている。本明細書の付加的な実施形態では、一連の環状セグメントは、同心である。本明細書の付加的な実施形態では、一連の環状セグメントは、円錐状である。本明細書の付加的な実施形態では、内壁は、隣接する一対の環状セグメントの間に開口をさらに備えている。本明細書の付加的な実施形態では、内壁は、各隣接する一対の環状セグメントの間に半径方向の開口をさらに備えている。
【0024】
ある1つの実施形態では、本明細書は、前駆物質材料をプラズマ流に供しそれによって前駆物質を蒸発させるステップと、蒸発した材料の粒子核生成を可能にする温度分布に蒸発した材料を供するステップと、温度分布を選択的に調節するステップと、核生成材料を急冷するステップとを含むナノ粉末の合成または材料処理のためのプロセスに関する。本明細書の付加的な実施形態では、蒸発した材料は、温度分布に供されたとき、反応チャンバの長さに沿って流れる。本明細書の付加的な実施形態では、本プロセスは、さらに、反応チャンバの長さに沿って温度分布を調節するステップを含む。
【0025】
ある1つの実施形態では、本明細書は、本明細書のプロセスによって生成されたナノ粉末に関する。
【0026】
ある1つの実施形態では、本明細書は、本明細書のプロセスによって生成された処理材料に関する。
【0027】
ある1つの実施形態では、本明細書は、本明細書のプラズマ反応炉を使用して生成されたナノ粉末に関する。
【0028】
ある1つの実施形態では、本明細書は、本明細書のプラズマ反応炉を使用して生成された処理材料に関する。
【0029】
本明細書の前述および他の目的、有利点および特徴は、添付の図面に関連してただ例として与えられた例示の実施形態についての以下の非限定の説明を読むと直ぐにいっそう明らかになるだろう。
【0030】
以下は付属の図面である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プラズマ技術を使用してナノ粉末を合成するための標準的なプロセスを示す模式的な説明図である。
【図2】本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉20を示す模式的な断面正面図であり、プラズマ反応炉20は、第1の電力供給(図示せず)によって電力を供給される第1の誘導コイル24を含む誘導プラズマトーチ本体22と、反応炉部26の壁29を加熱するために単一または複数の副電力供給(図示せず)によって電力を供給される複数の補助誘導コイル28を備える反応炉部26とを具備している。
【図3】本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉30を示す模式的な断面正面図であり、プラズマ反応炉30は、無線周波数誘導プラズマトーチ34を含むトーチ本体32と、単一補助誘導コイル38を備えた反応炉部36と、反応炉部36に下端の取り付けられた急冷部40とを具備している。
【図4】本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉の反応炉部の温度等値線を示す説明図であり、反応炉部は一対の補助誘導コイル[(a)C1=10kWおよびC2=0kW]を備え、(b)反応炉部の中心線の沿った温度場、および(c)反応炉部の壁温度を示している。
【図5】本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉の反応炉部の中心線に沿って測定されたような温度等値線に対する補助コイル加熱の効果を示す説明図である。反応炉部の壁は、0から30kWの間の電力を供給される一対の補助誘導コイル(C1およびC2)によって独立に加熱される[(a)壁誘導加熱オフ、(b)C1=0kWおよびC2=10kW、(c)C1=10kWおよびC2=0kW、(d)C1=10kWおよびC2=30kW、および(e)C1=30kWおよびC2=10kW]。
【図6】本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉60を示す模式的な断面正面図であり、プラズマ反応炉60は、単一または2個の独立した直流(dc)電力供給(図示せず)によって電力を供給される一対の直流移送アークプラズマトーチ63を含むトーチ本体62と、反応炉部64の壁68を加熱するための補助誘導コイル66を備えた反応炉部64とを具備している。プラズマトーチ本体62は、さらに、前駆物質材料を含むるつぼ72を加熱するための補助誘導コイル70と、るつぼ72の底に位置付けされた補助陽極74とを備えている。最終的には、急冷部76は、反応炉部64の上端に取り付けられる。急冷部76は、ぎざぎざのある(のこぎり状の)内壁80を含む切頭円錐状急冷チャンバ78を備えている。急冷部は、急冷チャンバ78の内壁80全体にわたってガス流が生成されるように急冷ガスを急冷チャンバ78中に注入するために少なくとも1つの入口82を備えている。
【図7】8.7kWの電力を供給される補助誘導コイルを備えた反応炉部を具備する、本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉を使用して得られたニッケルナノ粉末を示す電界放出走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。
【図8】12kWの電力を供給される補助誘導コイルを備えた反応炉部を備える、本明細書の実施形態に従ったプラズマ反応炉を使用して得られたニッケルナノ粉末を示す電界放出走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。補助誘導コイルの電力の増加(図7対図8)は、ナノ粉末生成物の粒子サイズ分布に直接影響を及ぼすように思われる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で使用される用語を明瞭にかつ首尾一貫して理解するために、以下にいくつかの定義が与えられる。さらに、特に定義されない限り、本明細書で使用されるような全ての技術的および科学的用語は、この発明が関係する当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有している。
【0033】
特許請求の範囲および/または明細書で用語「備えている」と一緒に使用されるときの「ある1つの」という用語の使用は、「1つの」を意味することがあるが、また「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは2以上の」の意味とも矛盾しない。同様に、「他の」という用語は、少なくとも第2のものまたはそれ以上のものを意味することがある。
【0034】
この明細書および特許請求の範囲で使用されるときに、「備えている」(および、「備える」などの「備えている」の任意の形)、「有している」(および、「有する」などの「有している」の任意の形)、「(一部として)含んでいる」(および、「(一部として)含む」などの「(一部として)含んでいる」の任意の形)または「(内に)含んでいる」(および、「(内に)含む」などの「(内に)含んでいる」の任意の形)は、包括的でありまたは制約がなく、追加の列挙されない要素またはプロセスステップを除外しない。
【0035】
「約」という用語は、ある1つの値が、その値を決定するために使用されるデバイスまたは方法の誤差の固有のばらつきを含むことを示すために使用される。
【0036】
おおまかに説明すると、本明細書は、第1の電力供給によって電力を供給されるトーチ本体と、反応炉部の壁を加熱するための第2の電力供給を備える反応炉部とを具備する新規なプラズマ反応炉に関する。驚くことには、反応炉部の複数の壁の温度を独立に制御することによって、反応炉部内の温度場の効果的な制御を実現できることが発見された。
【0037】
誘導結合プラズマ反応炉に適用される説明
【0038】
ある1つの実施形態では、また図2に関連して、本明細書は、(i)第1の電力供給(図示せず)によって電力を供給される誘導コイル24を含む無線周波数(r.f.)誘導プラズマトーチ23を含むトーチ本体22と、(ii)反応炉部26の壁29を加熱するために単一または複数の副電力供給(図示せず)によって電力を供給される複数の補助誘導コイル28を備える反応炉部26とを具備するプラズマ反応炉20に関する。トーチ本体22は、さらに、前駆物質材料を導入するための入口21aを備えている。前駆物質材料を加熱するために使用されるプラズマは、誘導プラズマトーチ23によって生成される電磁場にガス(すなわち、作用ガス)を通すことによって、誘導プラズマトーチ23によって生成される。電磁場は、誘導によってガスをイオン化させ、それによってプラズマ25を生成し維持するのに足りるだけ大きなパワーを有しなければならない。作用ガスは、高電磁場にさらされたときイオン化するどんなガスであってもよい。作用ガスの非限定の例には、ヘリウム、アルゴン、一酸化炭素、酸素またはこれらの混合物がある。トーチ本体22は、さらに、作用ガス(入口21b)および随意にシースガス(入口21c)を導入するための入口21bおよび21cを備えている。
【0039】
複数の補助誘導コイル28は、反応炉部26内の温度場を効果的に独立に制御することができるように反応炉26の壁29を独立に加熱することを可能にする。誘導結合プラズマ25は、トーチ本体22中に位置付けされた第1の誘導コイル24に無線周波数電流を加えることによって発生される。第2の電力供給によって電力を供給される補助誘導コイル28は、反応炉部26の壁が加熱されることを可能にする。複数(3)の補助誘導コイルを備える実施形態が例示されているが、反応炉部26の壁を独立に別々に加熱することを可能にする任意の数の補助コイルが、本明細書の範囲内にある。非限定の例には、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10個の補助誘導コイルがある。補助誘導コイルは、各々、別個の電力供給(複数の副電力供給)に接続されることがあり、または1つの副電力供給に並列および/または直列に相互接続されることがある。
【0040】
副電力供給の各々を個々に制御することによって、驚くことに、プロセス要求条件を満たすように反応炉部内の温度場を効果的に制御しかつ微調整できることが発見された。さらに、反応炉部の壁を誘導加熱することによって、初めて、反応炉のナノ粒子核生成および粒子成長部内の温度場の効果的な独立制御が可能になる。このことが結果として、生成されるナノ粉末の粒子組成および粒子サイズ分布の厳密な制御を可能にする。最後に、反応炉部の壁を独立に加熱するために1つまたは複数の補助誘導コイルを使用することは、早すぎる粒子凝縮が起こるのを防止すること、したがって反応炉壁上への固体堆積物の堆積および蓄積を防ぐことによって、反応炉システムの閉塞を防ぐという追加の有利点を実現する。反応炉壁の温度を前駆物質材料、生成物材料または処理材料の融点より高く保つことによって、反応炉の内壁に堆積されるどんな材料も、液体状態のままであり、反応炉壁に沿って下方へ排出されて、プラズマ反応炉の下流に位置付けされた適切な受入手段中に集まる。適切な受入手段の非限定の例には、セラミックるつぼおよび容器がある。
【0041】
ある1つの実施形態では、また図3に関連して、急冷部40は、ぎざぎざのある(のこぎり状の)内壁42を含む下流切頭円錐状急冷チャンバ44を備えている。急冷部は、急冷チャンバ44の内壁42全体にわたってガス流が生成されるように急冷ガスを急冷チャンバ44中に注入するために少なくとも1つの入口46を備えている。ある1つの実施形態では、内壁42は、一連の同心の円錐状セグメント48で形成されている。内壁42の周囲に分散された複数の開口を通して急冷ガスを注入することが、次のセグメントの内壁の上を流れる連続した急冷ガス流(すなわち、ガスのカーテン)を作り出すことを可能にし、したがって内壁上への粒子堆積を防ぐ。ある1つの実施形態では、個々のガスジェットは、急冷チャンバ44の下流端に向かって半径方向に導入されてプロセスガス流との直接混合効果を生じさせ、超急冷および粒子成長プロセスの完全停止を可能にする。
【0042】
一連の同心円錐状セグメント48を備える切頭円錐設計は、個々のセグメントを追加または除去することができるので、急冷部40の長さを考慮するより大きな自由度を実現する。さらに、この設計はまた、プラズマ反応炉の急冷チャンバ44内の流れパターンの高められた制御を可能にし、急冷チャンバ44の内壁42上に粒子堆積が起こるのを防止する。流れパターンの改善された制御および急冷チャンバ44の内壁42上の粒子堆積の回避は、反応炉性能の改善だけでなく生成物の粒子サイズ分布の改善された制御にも寄与する。主題明細書の精神、範囲および本質から逸脱することなく他の急冷チャンバ構成を決定および選択することは、当業者の範囲内にあると信じられる。
【0043】
本明細書のプラズマ反応炉の反応炉部内のガス流および温度場の数学的モデル化の研究が図4および5に図示されている。これらの結果は、本明細書の反応炉設計を用いて実現される反応炉部内の温度場の改善された制御を図示している。実際、反応炉部内の温度場の改善された制御は、生成されるナノ粉末または処理材料の粒子サイズ分布および粒子モルフォロジに直接影響を与える。反応炉部の中心線に沿って計算されたような、温度分布に対する補助加熱および補助加熱の制御の効果が、図5にはっきりと図示されている。補助加熱が使用されないとき(補助電力源C1およびC2がオフにされている)、温度分布は、反応炉部の中心線に沿って徐々に下がっている(図5a、壁誘導加熱オフ)。補助加熱のモジュールのうちの1つだけが使用されるとき(C1=0およびC2=10kW)、反応炉部の下流端部で、反応炉部の中心線に沿った温度分布の平坦化が観察される(図5b)。しかし、C1をオンにし(C1=10kW)、C2をオフにする(C2=0)ことで、反応炉部の中心部と下流部の両方で、反応炉部の中心線に沿った温度の上昇が可能になる(図5c)。補助加熱のモジュールの両方が使用されるとき(C1=30kWおよびC2=10kW、C1=10kWおよびC2=30kW)、反応炉部の中心線に沿った温度分布の上昇が観察される(図5dおよび5e)。補助電力供給に加えられる電力定格を注意深く選ぶことによって、反応炉部の温度場をこのように微調整することができる。したがって、望ましい温度分布は、反応炉壁に加えられる電力定格を注意深く選ぶことによって実現可能である。温度分布に及ぼす効果を例示するために一対の補助誘導コイルが使用されたが、反応炉部の壁を独立に別々に加熱することを可能にする任意の数の補助コイルが、本明細書の範囲内にあることは理解されるべきである。非限定の例には、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10個の補助誘導コイルがある。
【0044】
ナノ粉末の合成に関する、本明細書のプラズマ反応炉の効率が、前駆物質材料としてニッケル粉末を使用して例示される。ミクロンサイズのニッケル粉末が、中心注入プローブを通して誘導結合無線周波数プラズマトーチの中に軸方向に導入された。ニッケル粉末がプラズマと接触するときに、ニッケル粉末は加熱され、溶融され、蒸発される。生成された蒸気は、その後、プラズマガスの吸込みによってトーチ本体から反応炉部に運ばれる。反応炉部で、蒸気は、補助誘導コイルによって生成された注意深く制御された温度場にさらされる。この温度場は、ニッケル蒸気が核を成し凝縮する注意深く制御された凝縮ゾーンを保証する。ニッケル粒子の核生成および成長速度は、反応炉部中に生成された温度場に直接関連している。補助誘導コイルの電力設定を変えることは、反応炉部内の温度場に直接影響を及ぼす。実際、反応炉部内に特定の温度場を生成することによって、ニッケル粒子の成長速度、したがってニッケルナノ粉末生成物の最終粒子サイズ分布を制御することができる。補助加熱がない場合には、反応炉の内壁上の粒子凝縮および堆積がしばしば観察された。そのような繰返し堆積は、最終的には、反応炉性能に悪影響を及ぼし遂には反応炉閉塞につながる厚い層の蓄積をもたらす。その上、そのような層の存在は、生成されたナノ粉末の粒子サイズ分布に悪影響を及ぼす。
【0045】
生成されたニッケルナノ粉末の電界放出走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真が、図7および8に示されている。動作条件は次の通りである。プラズマガス流量:シースガス90slpm(Ar)+20slpm(H2)、中心ガス30slpm(Ar)、および粉末輸送ガス10から12slpm(Ar)。プラズマトーチ誘導コイルに加えられた無線周波数は、2〜3MHzの範囲であり、加えられた電力は63kWであった。補助コイルに加えられた電力(100kHz)は8〜12kWで変化した。全急冷ガス流量は2500slpmであった。図7および8から観察されるように、補助コイルに加えられる電力の増加は、ナノ粉末生成物の粒子サイズ分布に直接影響を及ぼす。さらに、図7と比べて図8では粉末凝集がより少ないように見える。
【0046】
ある1つの実施形態では、1つまたは複数の加熱要素が、これを調節するコントローラにつながれている。コントローラは、加熱要素を調節するためにコンピュータ、データ処理装置、または任意の他のデバイスを含むことができる。コントローラは、有線または無線接続を介して1つまたは複数の加熱要素につなぐことができる。一実施形態では、コントローラは、電力供給のスイッチまたはつまみを備えている。他の実施形態では、コントローラは、電力供給につながれている。この連結は、有線または無線接続を介して実現することができる。加熱要素は、有線または無線接続を含めて当技術分野で知られている様々なやり方で電力供給につなぐことができる。複数の加熱要素を使用するとき、各加熱要素は、コントローラによって調節されるそれぞれの電力供給に接続することができる。代わりに、加熱要素は、同じ電力供給に接続することができる。もちろん、複数の加熱要素を使用するとき、各加熱要素は、各加熱要素を直接調節することができるか各加熱要素の電力供給を調節することができるそれぞれのコントローラにつなぐことができる。当業者は、本明細書の範囲内で電力供給、コントローラおよび加熱要素を動作可能に接続するまたはつなぐ様々なやり方を容易に考えることができる。
【0047】
直流(d.c.)プラズマ反応炉に適用される説明
【0048】
ある1つの実施形態では、本明細書は、(i)第1の電力供給によって電力を供給される直流(d.c.)移送アークプラズマトーチを含むトーチ本体と、(ii)反応炉の壁を加熱するために単一または複数の副電力供給(図示せず)によって電力を供給される複数の補助誘導コイルを備える反応炉部とを具備するプラズマ反応炉に関する。複数の補助誘導コイルは、反応炉部内の温度場を効果的に独立に制御することができるように反応炉部の壁を独立に加熱することを可能にする。
【0049】
付加的な実施形態では、また図6に関して、本明細書は、(i)単一または2個の独立した直流(d.c.)電力供給(図示せず)によって電力を供給され、移送または非移送アークモードで動作する一対の直流(d.c.)プラズマトーチ63を含むトーチ本体62と、(ii)反応炉部64の壁68を加熱するために第2の電力供給(図示せず)によって電力を供給される補助誘電コイル66を備える反応炉部64とを具備するプラズマ反応炉60に関する。単一補助誘電コイルが例示されているが、反応炉部64の壁68を独立に別々に加熱することを可能にする任意の数の補助コイルが、本明細書の範囲内にあることは理解されるべきである。非限定の例には、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10個の補助誘導コイルがある。本明細書のある1つの実施形態では、るつぼ72の中に含まれる前駆物質材料を蒸発させるのに足りるだけ高い温度にるつぼ72を加熱するために、付加的な補助コイル70が使用される。付加的な補助コイル70は、るつぼに追加のエネルギーを供給して、全体的な前駆物質蒸発速度を高めるのに役立つ。さらに、付加的な補助コイル70はまた、製造工程間に前駆物質材料を溶融形態に保つのにも役立つかもしれない。補助コイル66は、反応炉部64内の温度場を効果的に独立に制御できることを保証する。この温度場は、生成物が核を成し凝縮する注意深く制御された凝縮ゾーンを保証する。デュアルトーチアーク炉は、各陰極とそれの補助陽極の間(2つの独立した直流非移送トーチとして)か、第1のトーチが陰極として作用し第2のトーチが陽極として作用する2つのトーチ間(トーチとトーチの間の移送アーク)か、2つのトーチと前駆物質材料を含むるつぼの底に位置付けされた共通補助陽極74との間(トーチとるつぼの間の移送アーク)かのいずれかでプラズマアークを生じさせることによって、動作する。
【0050】
本明細書のある1つの実施形態では、プラズマ反応炉64の出口は、少なくとも1つの付加的な補助コイル88によって誘導加熱される壁86を有する中心煙突84を備えている。そのような補助コイルを使用することで、煙突84内の温度場の効果的な独立した制御が可能になる。狭い粒子サイズ分布を有する生成物を得るために、反応炉部64および中心煙突84内の軸方向および半径方向温度分布の精密な制御を維持することが重要である。
【0051】
反応炉の中心線に沿って計算されたような温度分布に及ぼす補助加熱および補助加熱の制御の効果は、再び図5にはっきりと図示されている(反応炉部64は、一対の補助誘導コイル66を備えていた)。補助加熱が使用されないとき(補助電力源C1およびC2がオフにされている)、温度分布は、反応炉部の中心線に沿って徐々に下がっている(図5a、壁誘導加熱オフ)。補助加熱のモジュールのうちの1つだけが使用されるとき(C1=0およびC2=10kW)、反応炉部の下流端部で、反応炉部の中心線に沿った温度分布の平坦化が観察される(図5b)。しかし、C1をオンにし(C1=10kW)、C2をオフにする(C2=0)ことで、反応炉部の中心部と下流部の両方で、反応炉部の中心線に沿った温度の上昇が可能になる(図5c)。補助加熱のモジュールの両方が使用されるとき(C1=30kWおよびC2=10kW、C1=10kWおよびC2=30kW)、反応炉部の中心線に沿った温度分布の上昇が観察される(図5dおよび図5e)。補助電力源に加えられる電力定格を注意深く選ぶことによって、反応炉部の温度場は、このように微調整することができる。したがって、望ましい温度分布は、反応炉壁に加えられる電力定格を注意深く選ぶことによって実現可能である。温度分布に及ぼす効果を例示するために一対の補助誘導コイルが使用されたが、反応炉部の壁を独立に別々に加熱することを可能にする任意の数の補助コイルが、本明細書の範囲内にあることは理解されるべきである。非限定の例には、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10個の補助誘導コイルがある。
【0052】
反応炉部64の壁68および中心煙突84の壁86を独立に加熱することは、反応炉部64および煙突84の中で早すぎる粒子凝縮が起こるのを防止することによって反応炉部64および煙突84の閉塞を防ぐという追加の有利点を実現する。実際、そのような補助加熱は、反応炉部および煙突の内壁上への固体堆積物の堆積および蓄積を防ぐ。反応炉壁および煙突壁の温度を前駆物質材料、生成物材料または処理材料の融点よりも高く保つことによって、反応炉および/または煙突の内壁に堆積されるどんな材料も、液体状態のままであり、反応炉壁および煙突壁に沿って下方へ排出されて前駆物質の溶融たまりを含むるつぼの中に戻るだろう。
【0053】
また、煙突を誘導加熱することで、プラズマ流に加えられるべき任意の反応ガスまたはその他を予め加熱するという追加の有利点が実現される。適切な補助ガス入口は、一般に、煙突84の最上部またはその近くに位置付けされる。反応ガスの導入は、ナノ粉末生成物の化学的および/または物理的修正を可能にする。
【0054】
図6に関連して、また図3に関連して前に説明されたように、急冷部76は、ぎざぎざのある(のこぎり状の)内壁80を含む上流の方へ広がる切頭円錐状急冷チャンバ78を備えている。ぎざぎざのある設計は、急冷チャンバ78の壁上に粒子堆積が起こるのを防止する。流れパターンの改善された制御および急冷部76内の粒子堆積の回避は、反応炉性能の改善だけでなく生成物の粒子サイズ分布の改善された制御にも寄与する。主題発明の精神、範囲および本質から逸脱することなく他の急冷チャンバ構成を決定し、選択することは、当業者の範囲内にあると信じられる。
【0055】
本明細書が、その応用が上で説明されたような構造および部品の詳細に限定されないことは理解されるべきである。本明細書は、他の実施形態が可能であり、また様々なやり方で実施可能である。また、理解されることであるが、本明細書で使用された表現または用語は、説明の目的のためであり、限定の目的のためでない。したがって、本明細書は、上で例示の実施形態と共に提供されたが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本明細書の精神、範囲、および本質から逸脱することなしに修正されることがあり得る。
【符号の説明】
【0056】
20、30、60 プラズマ反応炉
21a 前駆物質材料を導入するための入口
21b 作用ガスの入口
21c シースガスの入口
22、32、62 トーチ本体
23、34 無線周波数(r.f.)誘導プラズマトーチ
24 誘導コイル
25 誘導結合プラズマ
26、36、64 反応炉部
28、38、66 反応炉の補助誘導コイル
29、68 反応炉部の壁
40、76 急冷部
42、80 ぎざぎざのある(のこぎり状の)内壁
44、78 急冷チャンバ(切頭円錐状急冷チャンバ)
46 急冷ガスの入口
48 同心円錐状セグメント
63 直流移送アークプラズマトーチ
70 るつぼの補助誘導コイル
72 るつぼ
74 補助陽極
82 入口
84 中心煙突
86 誘導加熱される壁
88 反応炉出口の補助コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを発生させるためにプラズマトーチを備えるトーチ本体と、
プラズマ放電を受け取るために前記トーチ本体と流体連結し、さらに急冷部と流体連結している反応炉部と、
前記反応炉部と熱的に連結している少なくとも1つの加熱要素と
を備えるプラズマ反応炉であって、前記少なくとも1つの加熱要素が、前記反応炉部内の温度を選択的に調節すること可能にするプラズマ反応炉。
【請求項2】
前記トーチ本体が、入口をさらに備えている、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項3】
前記反応炉部が、反応チャンバを画定している、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項4】
前記反応炉部が、前記トーチ本体に取り付けられている、請求項3に記載のプラズマ反応炉。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱要素が、前記反応炉チャンバに取り付けられている、請求項3に記載のプラズマ反応炉。
【請求項6】
前記反応チャンバが、前記チャンバを画定する壁表面を備え、前記加熱要素が前記壁表面を加熱することを可能にする、請求項5に記載のプラズマ反応炉。
【請求項7】
前記少なくとも1つの加熱要素が、前記反応チャンバを取り囲んでいる、請求項5に記載のプラズマ反応炉。
【請求項8】
前記反応炉チャンバが、外表面を備え、前記加熱要素が前記外表面上に取り付けられている、請求項5から7のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項9】
前記加熱要素が、前記チャンバを画定する前記壁表面の内側に埋め込まれている、請求項5から7のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項10】
前記反応チャンバの長さに沿って取り付けられた付加的な加熱要素を備えている、請求項5から9のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項11】
急冷チャンバを画定し、かつ前記反応炉部に取り付けられた急冷部をさらに備えている、請求項5に記載のプラズマ反応炉。
【請求項12】
前記加熱要素が、誘導コイルを備えている、請求項1から11のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項13】
前記加熱要素が、誘導コイル、抵抗直流加熱要素、および交流加熱要素から成るグループから選ばれている、請求項1から11のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項14】
前記少なくとも1つの加熱要素が、前記チャンバの中心線に沿って温度場を設定するように前記チャンバ内の温度を調節する、請求項1から13のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項15】
前記急冷チャンバを画定する内壁を備える急冷部をさらに具備し、前記急冷チャンバが、前記反応チャンバに隣接する上流端および向かい合った下流端を有している、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項16】
前記下流チャンバ端が、前記上流チャンバ端よりも広い、請求項15に記載のプラズマ反応炉。
【請求項17】
前記急冷チャンバが、全体的に切頭円錐状の形状を備えている、請求項15または16のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項18】
前記内壁が、ぎざぎざのある形状を備えている、請求項15から17のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項19】
前記内壁が、一連の隣接するセグメントを備えている、請求項15から18のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項20】
前記内壁が、一連の同心円錐状セグメントを備えている、請求項15から18のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項21】
前記内壁が、前記急冷チャンバの前記内壁全体にわたって急冷ガス流を供給するために、前記内壁の周囲に分散された複数の開口を備えている、請求項15から19のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項22】
前記内壁が、前記急冷チャンバ中にそれぞれのガスジェットを導入するために半径方向の開口を備えている、請求項15から20のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項23】
前記少なくとも1つの加熱要素が、選択的調節のためにコントローラにつながれている、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項24】
前記コントローラが、前記加熱要素に電力を供給する電力供給につながれ、前記コントローラが前記電力供給を選択的に調節することを可能にする、請求項23に記載のプラズマ反応炉。
【請求項25】
調節のためにある1つのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備えている、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項26】
各加熱要素が、電力を供給するそれぞれの電力供給に接続され、前記コントローラが、選択的調節のために各電力供給につながれている、請求項25に記載のプラズマ反応炉。
【請求項27】
前記コントローラが、前記加熱要素に電力を供給する電力供給につながれ、前記コントローラが、前記電力供給を選択的に調節することを可能にする、請求項25に記載のプラズマ反応炉。
【請求項28】
調節のためにそれぞれのコントローラにつながれた複数の加熱要素を備えている、請求項1に記載のプラズマ反応炉。
【請求項29】
各コントローラが、電力を供給するためにそれぞれの加熱要素につながれたそれぞれの電力供給に接続され、各コントローラが、それぞれの電力供給を選択的に調節することを可能にする、請求項28に記載のプラズマ反応炉。
【請求項30】
プラズマを発生させるためにプラズマトーチを備えるトーチ本体と、
プラズマ放電を受け取るために前記トーチ本体と流体連結している反応炉部と、
前記反応炉部と流体連結している急冷部と
を備え、前記急冷部が、前記反応炉部に隣接する上流端および向かい合った下流端を有する急冷チャンバを画定する内壁を備え、前記内壁が、一連の環状セグメントを備えているプラズマ反応炉であって、
前記急冷チャンバの長さが、少なくとも1つの環状セグメントの取り外しまたは追加によって変更可能である、プラズマ反応炉。
【請求項31】
前記急冷チャンバの前記下流端が、前記上流端よりも広い、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項32】
前記急冷チャンバが、全体的に切頭円錐状の形状を備えている、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項33】
前記一連の環状セグメントが、前記内壁にぎざぎざのある形状を与えている、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項34】
前記一連の環状セグメントが、同心である、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項35】
前記一連の環状セグメントが、円錐状である、請求項30から34のいずれか一項に記載のプラズマ反応炉。
【請求項36】
前記内壁が、隣接する一対の前記環状セグメントの間に開口をさらに備えている、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項37】
前記内壁が、各隣接する一対の前記環状セグメントの間に半径方向の開口をさらに備えている、請求項30に記載のプラズマ反応炉。
【請求項38】
前駆物質材料をプラズマ流に供し、それによって前記前駆物質材料を蒸発させるステップと、
前記蒸発した材料の粒子核生成を可能にする温度分布に前記蒸発した材料を供するステップと、
前記温度分布を選択的に調節するステップと、
前記核生成材料を急冷するステップと
を含む、ナノ粉末の合成または材料処理のプロセス。
【請求項39】
前記蒸発した材料が、前記温度分布に供されたとき、反応チャンバの長さに沿って流れる、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記反応チャンバの長さに沿って前記温度分布を調節するステップをさらに含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項41】
請求項38に記載のプロセスによって生成されたナノ粉末。
【請求項42】
請求項38に記載のプロセスによって生成された処理材料。
【請求項43】
請求項1または30に記載のプラズマ反応炉を使用して生成されたナノ粉末。
【請求項44】
請求項1または30に記載のプラズマ反応炉を使用して生成された処理材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−521617(P2012−521617A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501094(P2012−501094)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000443
【国際公開番号】WO2010/108272
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】