説明

ナビゲーションシステム及びPOI情報提供方法

【課題】POI情報を情報種類別に分類することによって多くのPOI情報の中から運転者が必要としている情報を取得することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーションシステム1は、表示画面を通じて運転者に情報提供するナビゲーション端末2と、共有知情報サーバ4と通信してナビゲーション端末2にPOI情報を提供するゲートウェイサーバ3とを備え、ナビゲーション端末2は車両の現在位置と表示画面の表示スケールとを含んだリクエスト情報をゲートウェイサーバ3に送信し、ゲートウェイサーバ3はリクエスト情報に基づいて共有知情報サーバ4からPOI情報を取得して予めPOI情報に設定されている識別示に基づいてPOI情報を情報種類別に分類し、ナビゲーション端末2は分類された情報種類別にPOI情報を表示画面に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたナビゲーション端末にPOI情報を提供するナビゲーションシステム及びPOI情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されているナビゲーション端末では、出発地から目的地までの最適な経路を提供するだけではなく、表示画面にPOI(Point of Interest)に関する情報を表示して運転者に提供することが行われてきた。ただし、POIに関する情報は信頼度が不明で十分に活用することが困難であったため、特許文献1に開示された信頼度情報表示システムでは、POIデータに関する信頼度情報をPOIデータと関連付けて表示することによって、POI情報の信頼度を高めて十分に活用できるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−286653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の信頼度情報表示システムでは、信頼度情報に基づいて有効そうなPOI情報に優先順位をつけて提供していたが、信頼度情報自体も予め用意されてデータベースに格納されていた情報であり、既成の情報であるため、信頼度情報は万人受けするデータになってしまう場合が多かった。したがって、個々のユーザが実際に行ってみたいと考える順序と信頼度の優劣が一致する可能性は低く、運転者が必要としている情報を得られないという問題点があった。また、既成の情報に基づいて情報提供するので、リアルタイム性が必要な情報や現在の状態を伝えることが重要な情報を提供することが困難であるという問題点もあった。
【0005】
さらに、ユーザからの情報は非常に多く、人気の施設であればあるほど同じ地点に多くのユーザから情報が提供されるので、情報が雑多になって重要な情報が分かりにくくなってしまうという問題点もあった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、多くのPOI情報を情報種類別に分類することによって、運転者が必要としている情報を常に取得することのできるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーションシステムは、表示画面を通じて運転者に情報提供するナビゲーション端末と、共有知情報サーバと通信してナビゲーション端末にPOI情報を提供するサーバとを備え、ナビゲーション端末は車両の現在位置と表示画面の表示スケールとを含んだリクエスト情報をサーバへ送信し、サーバはリクエスト情報に基づいて共有知情報サーバからPOI情報を取得して予めPOI情報に設定されている識別示に基づいてPOI情報を情報種類別に分類し、ナビゲーション端末は分類された情報種類別にPOI情報を表示画面に表示する。これにより、本発明に係るナビゲーションシステムは上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るナビゲーションシステムによれば、予めPOI情報に設定されている識別示に基づいてPOI情報を情報種類別に分類するので、多くのPOI情報の中からリアルタイム性の有る情報や車両にとって重要性の有る情報を分類して提供することができ、これによって運転者が必要としている情報を常に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムによるPOI情報提供処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける情報種類別の設定を説明するための図である。
【図4】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける表示画面の表示スケールと地域情報化する距離との関係を示す図である。
【図5】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける地域情報化前と後の表示イメージを示した図である。
【図6】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける表示画面の一例を示す図である。
【図7】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【図8】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【図9】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【図10】本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムにおける詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[ナビゲーションシステムの構成]
図1は本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーションシステム1は、車両に搭載されて表示画面を通じて運転者に情報提供するナビゲーション端末2と、POI情報をリアルタイム性や重要性に基づいて分類してナビゲーション端末2に提供するゲートウェイサーバ3と、多くのアカウントから提供されたPOI情報を管理する共有知情報サーバ4とを備えている。
【0013】
ここで、ナビゲーション端末2は、既成のPOI情報を保有しても良いが、ゲートウェイサーバ3から常に最新の情報を取得し、一時記憶領域にデータを保持して表示画面や音声合成などを通じて運転者に情報提供を行っている。
【0014】
図1に示すようにナビゲーション端末2は、通信部21と、提供情報処理部22と、情報提供部23と、入力部24と、現在位置取得部25とを備えている。
【0015】
通信部21は、ゲートウェイサーバ3と通信するための通信手段であり、運転者が保有している携帯通信端末(携帯電話など)や車両に搭載された通信端末などである。ゲートウェイサーバ3との間の通信は、車両が移動したタイミングや定期的なタイミング、入力部24からの操作に応じて行い、常に最新の情報を取得できるようにしている。また、通信部21は、車両の現在位置と表示画面の表示スケールとを含んだリクエスト情報をゲートウェイサーバ3に送信している。
【0016】
提供情報処理部22は、ゲートウェイサーバ3で分類された情報種類別にPOI情報を表示画面に表示するための処理を行っており、ゲートウェイサーバ3から提供されたPOI情報を表示画面に合成する処理を実施したり、音声案内を生成したりしている。
【0017】
情報提供部23は、運転者に情報を提示する表示画面や音声案内を行うスピーカーなどであり、ゲートウェイサーバ3で分類された情報種類別にPOI情報を表示画面に表示して運転者に情報提供している。
【0018】
入力部24は、運転者からの入力を受け付けるための手段であり、タッチパネルやボタンなどを備えている。
【0019】
現在位置取得部25は、ナビゲーション端末2に搭載されているGPSなどであり、起動時や車両が移動した際には車両の現在位置を常に取得している。
【0020】
次に、ゲートウェイサーバ3は、共有知情報サーバ4から取得したPOI情報を、必須情報や重要情報、ユーザ情報などの情報種類別に分けて、ナビゲーション端末2に情報提供するものである。POI情報は共有知情報サーバ4から取得してくるので、ゲートウェイサーバ3が共有知情報サーバ4と同じデータを保持する必要はないが、リクエストからデータ送信までのレスポンスを速くするためにキャッシュを備えておく必要はあり、最新のデータなど保持していないデータを差分として取得するようにしている。
【0021】
図1に示すようにゲートウェイサーバ3は、POI情報分類部31と、API通信部32と、地域情報化部33と、アカウント管理部34と、アカウント情報データベース35とを備えている。
【0022】
POI情報分類部31は、ナビゲーション端末2から送信されたリクエスト情報に基づいて共有知情報サーバ4からPOI情報を取得し、予めPOI情報に設定されている識別示に基づいてPOI情報を情報種類別に分類している。例えば、車両に関連したリアルタイムな必須情報や、車両に関連したリアルタイムな重要情報、運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報、その他のユーザからのユーザ情報などに分類している。特に、必須情報には電気自動車の充電ステーションの状態を提供する情報が含まれ、重要情報には駐車場の状態を提供する情報やライブカメラの映像を提供する情報が含まれている。
【0023】
API通信部32は、マイクロブログサービス(例えば、TwitterやGoogleBuzzなど)が提供しているAPI(Application Program Interface)を利用して共有知情報サーバ4にアクセスして通信を行っている。
【0024】
地域情報化部33は、ナビゲーション端末2の表示画面の表示スケールに応じて設定された範囲内に多くのユーザ情報が存在している場合に、それらのユーザ情報を1つにまとめる地域情報化の処理を実施している。
【0025】
アカウント管理部34は、アカウント情報データベース35に格納されているアカウント情報に基づいて、POI情報を提供するアカウントの管理を行っている。例えば、「このアカウントは車両に関連するリアルタイムな情報を提供するアカウントである」、「必須情報を提供するアカウントである」、「重要情報を提供するアカウントである」と予め設定しておくことにより、POI情報をアカウントによって分類できるようにしている。また、不適切なアカウントを登録しておいて、不適切なアカウントからのPOI情報を排除できるようにしてもよい。
【0026】
アカウント情報データベース35は、上述したようにPOI情報を提供するアカウントに関する情報を格納している。
【0027】
次に共有知情報サーバ4は、多くのアカウントから提供される共有知情報を管理するサーバであり、共有知情報データベース41を備えている。
【0028】
共有知情報データベース41には、位置情報の関連付けられた施設情報であるPOI情報が格納されており、この情報は多くのアカウントから提供された情報を位置情報とともに共有できるようにしたマイクロブログサービス(例えばTwitterやGoogleBuzzなど)によって提供されている情報そのものである。POI情報のアカウントとしては個人ユーザや企業ユーザ、施設ユーザなどを想定することができ、それらのアカウントがそれぞれ位置情報付きで施設や場所についての評価や施設の状態を情報提供している。例えば、施設の評価としては「○○店の××はおいしかった」、「□□公園はバーベキューができて楽しい」などが考えられ、施設の状態としては例えば「○×駐車場 10台中3台空車」、「□□充電エリア、2台空き、1台充電中(20分経過中)」などが考えられる。このようなPOI情報を、ナビゲーション端末2を介して運転者に提供することにより、多くの人の感想や評価を共有知としてリアルタイムで取得することができる。そして、このようなPOI情報には識別示(例えばTwitterのハッシュタグ)が付けられており、この識別示が付いていることにより、ゲートウェイサーバ3はPOI情報を情報種類別に分類することができる。
【0029】
[POI情報提供処理の手順]
次に、本実施形態に係るナビゲーションシステム1によるPOI情報提供処理を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
図2に示すように、ステップS201においてナビゲーション端末2が起動されると、ステップ202においてナビゲーション端末2は車両の現在位置と表示画面の表示スケール、表示範囲などの情報を含んだリクエスト情報をゲートウェイサーバ3に送信する。このリクエスト情報の提供については、ナビゲーション端末2の起動時に自動で提供することを想定しているが、ナビゲーション端末2の一機能として運転者の操作が行われてから動作するようにしてもよい。
【0031】
ゲートウェイサーバ3はステップS203でリクエスト情報を受信すると、詳細情報取得操作があったか否かを判定する。この詳細情報取得操作とは、地図上に表示されたアイコンを運転者が選択するなどしてアイコンに関連付けられたPOI情報の詳細を取得する操作のことを言う。ここではまず詳細情報取得操作がなかった場合について説明する。
【0032】
ステップS204において詳細情報取得操作がないと判定された場合には、次にステップS205に移行してゲートウェイサーバ3はリクエスト情報に基づいて共有知情報サーバ4からPOI情報を取得する。このとき、運転者が使用しているアカウントをゲートウェイサーバ3に予め登録しておいて、そのアカウントに関連づけられている他のアカウント(例えばTwitterの場合であれば、フォローしているアカウント)からの情報も取得するようにしてもよい。
【0033】
ここで、POI情報の取得方法について説明すると、図3に示すように必須情報と重要情報に限っては、リアルタイムな情報であるため、アカウント毎に最新の情報を1件だけ取得する。またユーザ情報についてはいずれも表示画面の範囲内にあるPOI情報を最新のものから順に取得していく。
【0034】
次に、こうして共有知情報サーバ4から取得したPOI情報を情報種類別に分類する。まずステップS206において、取得したPOI情報の中から識別示に基づいて車両に関連したリアルタイムな必須情報と、車両に関連したリアルタイムな重要情報とを分類して生成し、その後にステップS207において運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報と、その他のユーザからのユーザ情報とを分類して生成する。尚、本実施形態では4種類の情報種類に分類する場合について説明しているが、4種類よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0035】
ここで、これらの情報の分類方法について詳しく説明すると、POI情報にはTwitterのハッシュタグのような識別示が付いているので、予め必須情報用の識別示や重要情報用の識別示、ユーザ情報用の識別示を予め用意してPOI情報に付けておくことによって、ゲートウェイサーバ3はPOI情報を情報種類別に分類することができる。また、別の分類方法としては、アカウントを登録制にしておいて、ゲートウェイサーバ3に接続されているwebページ等から各アカウントの情報種類を予め登録しておくようにしてもよい。これによりゲートウェイサーバ3はアカウントに基づいて情報種類を分類できることになる。例えば、「このアカウントからのPOI情報は重要情報である」、「このアカウントからのPOI情報は必須情報である」と予め登録しておくことによって、ゲートウェイサーバ3はアカウントに基づいてPOI情報を分類する。このときアカウントの登録は、自分のアカウント以外のアカウントについても推薦というかたちで登録できるようにしておくことによって、重要情報や必須情報を拡充していくことができる。また、不適切な情報があった場合には、多くのユーザがwebページ等を通じて不適切と登録していくことによって、不適切なアカウントからの情報が提供されないようにするなど、利用しているユーザによってPOI情報の管理を行えるようにすることが可能である。
【0036】
このようにしてゲートウェイサーバ3は、共有知情報サーバ4から取得したPOI情報を、必須情報、重要情報、ユーザ情報に分類することができる。
【0037】
次に、ステップS208において、予め設定されているナビゲーション端末2の表示可能件数よりもユーザ情報が多いか否かを判定する。
【0038】
ナビゲーション端末2では、各POI情報を予め設定された割合で表示するようにしている。例えば、図3に示すように、ナビゲーション端末2では表示可能件数のうち必須情報を最大2割まで表示し、重要情報を最大2割まで表示し、運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報を最大3割まで表示するように設定されている。そして、残りの表示可能件数にその他のアカウントからのユーザ情報を表示するようにしている。ただし、その他のユーザからのユーザ情報が少ない場合にはこの限りではなく、必須情報や重要情報の表示割合を増やして表示するようにしてもよい。
【0039】
したがって、このように設定されている表示可能件数に対して、ゲートウェイサーバ3はユーザ情報が多いか否かを判定し、多くない場合には情報種類別に分類されたPOI情報をナビゲーション端末2に送信し、多い場合にはステップS209へ移行する。
【0040】
ステップS209以下の処理では、ユーザ情報がナビゲーション端末2で提供できる情報数を超えているので、近くに位置する多くのPOI情報を地域情報として1つにまとめて表示するための地域情報化の処理を行う。この処理は、図3に示すように運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報と、その他のユーザからのユーザ情報に対して行われるが、その他のユーザからのユーザ情報に対してのみ行うようにしてもよい。この地域情報化の処理を行うことにより、同じ場所の情報が重複して提供されているような状態や、人気の場所が近くにあるために人気の場所の情報が非常に多く表示されて、周辺の情報がほとんど表示されていないような事態を避けることができる。
【0041】
まず地域情報処理ではステップS209において、POI情報を時系列順に並べて最新のPOI情報を地域情報の代表として設定し、ステップS210において次に新しいPOI情報がステップS209で生成された地域情報の範囲内にあるか否かを判定する。
【0042】
地域情報としてまとめる範囲は、現在表示されているナビゲーション端末2の表示画面の表示スケールに応じて設定されるものであり、例えば図4に示すように表示スケールが50m以内であれば半径5m以内にある情報を1つにまとめ、表示スケールが200mであれば半径20m以内にある情報を1つにまとめて表示する。
【0043】
したがって、ステップS210で次に新しいPOI情報が地域情報の範囲内にあれば、ステップS211に移行して地域情報として1つにまとめ、地域情報の範囲内になければステップS212に移行して別の地域情報の代表として設定する。そして、ステップS213では時系列順に並べたPOI情報がまだ残っているか否かを判定し、残っている場合にはステップS210へ戻って上述した処理を繰り返し行い、残っていない場合にはステップS214へ移行する。
【0044】
ステップS214では、1つにまとめる情報がなかった地域情報を個別情報として生成し、ステップS215では上述した処理によって生成した地域情報と個別情報の中から表示可能件数の範囲内で最新のものから順にナビゲーション端末2に送信する。
【0045】
ここで、図5を参照して上述した地域情報化処理の具体例を説明する。図5(a)に示すように、地域情報化処理を行う前の地図上のエリア51、52、53、54にはそれぞれ5個、6個、8個、4個のPOI情報が地域情報の範囲内に存在している。そこで、これらのPOI情報について地域情報化処理を行うことによって1つにまとめ、図5(b)に示すようにアイコン55、56、57、58で表示する。このとき、まとめたPOI情報の数を示す数字とともに表示することにより、その地域がどれぐらい人気のある場所であるかを運転者が認識することができる。また、地域情報をまとめる距離が重複する場合には、それぞれの地域情報を代表するPOI情報の中間地点を境目として、情報をまとめていくようにすればよい。
【0046】
次に、上述した処理によってゲートウェイサーバ3からPOI情報を受信したナビゲーション端末2における処理を説明する。ナビゲーション端末2は、ステップS216において取得した情報が詳細情報の取得操作によるものか否かを判定する。そして、詳細情報の取得操作によるものでないときには、ステップS217へ移行して、取得したPOI情報を情報種類別に表示画面に表示する。
【0047】
ここで、POI情報の表示方法について説明すると、図3に示すようにユーザ情報については更新が新しい順に情報を表示するように設定されているが、必須情報と重要情報については最新の状態を提供するために新しい情報を優先する場合と、自車両からの距離を優先する場合の2種類の設定がある。まず、現在の表示画面に自車両が表示されていない場合や、表示スケールが広域な場合には最新の情報を優先して更新が新しい順に情報を表示する。一方で、表示スケールが詳細表示で表示画面に自車両が表示されている場合には自車両からの距離が近い順に情報を優先して表示する。
【0048】
次に、図6を参照してナビゲーション端末2の表示画面の一例を説明する。図6に示すように、取得したPOI情報を情報種類別に地図上に表示し、各種類の違いが分かるように情報提供を行う。また、リアルタイムの情報である必須情報と重要情報は、図6に示すようにアイコン自体に情報を表示させ、運転者が見ただけで満車や空車などの情報を認識できるようにする。図6では満車や空車を文字で表しているが、色などで表してもよい。ライブカメラの映像を提供する場合には、カメラアイコンを表示して選択されたときに映像を見られるように情報提供を行う。
【0049】
また、ユーザ情報については、地域情報化された地域情報であるのか、まとめられていない単独の情報であるのかを分けて表示し、地域情報はアイコン上に数字を示してどれぐらいの数の情報が提供されているのかを分かるように表示する。これにより、運転者は各地点がどれぐらい人気があるのかすぐに認識することができる。
【0050】
こうしてPOI情報がナビゲーション端末2の表示画面に表示されると、ステップS218に移行して表示スケール毎に規定した距離だけ車両が移動したか否かを判定し、車両が移動した場合には情報を更新するためにステップS202へ戻る。一方、車両が移動していない場合にはステップS219へ移行して表示スケールが変更されたか否かを判定し、変更された場合には情報を更新するためにステップS202へ戻る。尚、情報の更新についてはステップS218、S219の処理の他に、運転者が表示画面をスクロールした場合や一定時間毎に更新するなど他の方法を用いて行うようにしてもよい。
【0051】
次に、ステップS219で表示スケールが変更されていない場合にはステップS220へ移行して詳細情報を取得する操作が行われたか否かを判定する。ここで、詳細情報を取得する操作が行われていない場合にはステップS218へ戻ってステップS218〜S220の処理を繰り返し行い、詳細情報を取得する操作が行われている場合にはステップS202へ戻る。
【0052】
このようにしてステップS202へ戻ると、ナビゲーション端末2はリクエスト情報を送信し、ステップS203でリクエスト情報を受信したゲートウェイサーバ3はステップS204において詳細情報を取得する操作があったか否かを判定する。そして、詳細情報を取得する操作があった場合にはステップS221へ移行して必須情報や重要情報などのリアルタイム情報であるか否かを判定する。
【0053】
ここで、リアルタイム情報である場合には、ステップS222においてリアルタイム情報の時系列データを取得してナビゲーション端末2へ送信し、リアルタイム情報でない場合には、ステップS223において地域情報を構成する複数のユーザ情報を取得してナビゲーション端末2へ送信する。
【0054】
こうしてゲートウェイサーバ3からのPOI情報を受信したナビゲーション端末2は、ステップS216において、受信したPOI情報が詳細情報の取得操作によるものか否かを判定する。そして、詳細情報の取得操作によるものであるときには、ステップS224へ移行して詳細情報を表示画面に表示する。
【0055】
例えば、必須情報や重要情報などのリアルタイム情報の詳細を表示する場合には、図7に示すように詳細な地図と詳細な内容を表示するとともに、時間経過を表示するためのボタンを設定しておき、そのボタンが選択された場合には図8に示すように現在までの時間経過を確認できるようにする。これにより、例えば駐車場の出入りが激しいかどうかなどの情報を運転者が読み取ることができ、今は満車でもすぐに駐車できるのではないかという予測を立てることができる。
【0056】
また、複数のユーザ情報がまとめられた地域情報の詳細を表示する場合には、図9に示すようにまとめられたユーザ情報を一覧にしてリスト表示することによって、どのようなコメントや感想があったのかを運転者が認識できるようにする。さらに、詳細情報を表示する前は全てのユーザ情報が1つのアイコンで表示されているので、図9に示す詳細情報の画面ではそれらのユーザ情報を別々に表示できるぐらいの拡大地図を表示する。そして、図9の表示画面上で「1」のユーザ情報が選択された場合には、図10に示すように「1」のユーザ情報の詳細を表示する。
【0057】
また、上述した図7、図10に示した詳細情報の画面では、目的地に設定するボタンを用意しておき、運転者が選択することによって、表示されているPOI情報の地点を目的地もしくは経由地とすることができ、経路計算や経路誘導を行うことができるようにする。
【0058】
以上説明したように、上述した処理を繰り返し行うことによって、本実施形態に係るナビゲーションシステム1によるPOI情報提供処理を実施することができる。
【0059】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係るナビゲーションシステムによれば、予めPOI情報に設定されている識別示に基づいてPOI情報を情報種類別に分類するので、多くのPOI情報の中からリアルタイム性の有る情報や車両にとって重要性の有る情報を分類して提供することができ、これによって運転者は必要としている情報を常に取得することができる。
【0060】
また、本ナビゲーションシステムによれば、企業アカウントを含めた複数のユーザから提供された多くの共有知情報を、車両に関連したリアルタイムな必須情報と、車両に関連したリアルタイムな重要情報と、運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報と、その他のユーザからのユーザ情報とに分類して情報提供するので、欲しい情報を運転者が認識しやすく、尚且つ必要な情報や重要な情報を直ちに取得することができる。
【0061】
さらに、本ナビゲーションシステムによれば、必須情報に電気自動車の充電ステーションの状態を提供する情報が含まれているので、運転者は充電ステーションの空き状況を把握することができ、これによってどの充電ステーションへ向かうべきかを判断することができる。
【0062】
また、本ナビゲーションシステムによれば、重要情報に駐車場の状態を提供する情報が含まれているので、運転者は駐車場の満空情報を事前に知ることができ、これによって目的地の周辺で駐車場を探して走り回ることを防止できる。
【0063】
さらに、本ナビゲーションシステムによれば、重要情報にライブカメラの映像を提供する情報が含まれているので、通過予定の場所や気になる場所の状況を事前に確認することができ、これによって運転者は実際の状況を踏まえて適切な経路選択を行うことができる。
【0064】
また、本ナビゲーションシステムによれば、アカウント情報を管理するアカウント管理部を備え、アカウント情報に基づいてPOI情報を情報種類別に分類するので、webページ等でアカウントに関する情報を収集することによってユーザによってPOI情報を管理することができる。
【0065】
さらに、本ナビゲーションシステムによれば、必須情報及び重要情報についてはアカウント毎に最新の情報のみを表示画面に表示するので、リアルタイム性の必要な情報について最新の状態を取得することができ、運転者は必要としている情報を即座に取得することができる。
【0066】
また、本ナビゲーションシステムによれば、所定の範囲内にある複数のユーザ情報を1つの地域情報にまとめて表示するので、1つの地点に多くの情報が表示されて表示画面が見にくくなることを防止することができる。
【0067】
さらに、本ナビゲーションシステムによれば、POI情報の情報種類別に表示画面に表示する割合を予め設定しておくので、全ての種類の情報を同時に提供することができ、情報密度や更新頻度の差による影響で情報種類によっては提供されない状況を回避することができる。
【0068】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション端末
3 ゲートウェイサーバ
4 共有知情報サーバ
21 通信部
22 提供情報処理部
23 情報提供部
24 入力部
25 現在位置取得部
31 POI情報分類部
32 API通信部
33 地域情報化部
34 アカウント管理部
35 アカウント情報データベース
41 共有知情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて表示画面を通じて運転者に情報提供するナビゲーション端末と、位置情報の関連付けられた施設情報であるPOI情報を前記ナビゲーション端末に提供するサーバとを備えたナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション端末は、
前記車両の現在位置と前記表示画面の表示スケールとを含んだリクエスト情報を前記サーバに送信する通信手段と、
前記サーバで分類された情報種類別に前記POI情報を前記表示画面に表示するための処理を行う提供情報処理手段とを備え、
前記サーバは、
前記リクエスト情報に基づいて前記POI情報を提供する共有知情報サーバと通信して前記POI情報を取得し、予め前記POI情報に設定されている識別示に基づいて、前記POI情報を情報種類別に分類するPOI情報分類手段を備えていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記POI情報分類手段で分類される情報種類には、車両に関連したリアルタイムな必須情報と、車両に関連したリアルタイムな重要情報と、前記運転者に関連のあるユーザからのユーザ情報と、その他のユーザからのユーザ情報とが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記必須情報には、電気自動車の充電ステーションの状態を提供する情報が含まれていることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記重要情報には、駐車場の状態を提供する情報が含まれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記重要情報には、ライブカメラの映像を提供する情報が含まれていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記サーバは、前記POI情報を提供するアカウントのアカウント情報を管理するアカウント管理手段をさらに備え、前記POI情報分類手段は前記アカウント情報に基づいて前記POI情報を情報種類別に分類することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記提供情報処理手段は、前記必須情報及び前記重要情報については前記POI情報を提供するアカウント毎に最新の情報のみを前記表示画面に表示することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記サーバは、前記表示画面の表示スケールに応じて設定された範囲内にある複数の前記ユーザ情報を、1つの地域情報にまとめる地域情報化手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記提供情報処理手段は、前記POI情報の情報種類別に前記表示画面に表示する割合を予め設定しておくことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
車両に搭載されて表示画面を通じて運転者に情報提供するナビゲーション端末と、位置情報の関連付けられた施設情報であるPOI情報を前記ナビゲーション端末に提供するサーバとを備えたナビゲーションシステムにおけるPOI情報提供方法であって、
前記車両の現在位置と前記表示画面の表示スケールとを含んだリクエスト情報を前記ナビゲーション端末から前記サーバに送信するステップと、
前記リクエスト情報に基づいて、前記サーバが前記POI情報を提供する共有知情報サーバと通信して前記POI情報を取得し、予め前記POI情報に設定されている識別示に基づいて、前記POI情報を情報種類別に分類するステップと、
前記サーバで分類された情報種類別に前記POI情報を前記ナビゲーション端末の表示画面に表示するための処理を行うステップと
を含むことを特徴とするPOI情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−21788(P2012−21788A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157546(P2010−157546)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】