説明

ナビゲーションシステム

【課題】簡易地図を電子化して、簡単に地図上に自者位置を表示するナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、緯度経度情報を取得する計測部130を備える。複数の基準ポイントの緯度経度情報を有する複数のエリアで構成された地図を表示する表示部140を備える。表示部140は、地図上であって、基準ポイントのうち計測部130で得られた緯度経度に最も近い基準ポイントに、自者位置マークを表示し、また、地図10上であって、複数のエリアのうち、計測部で得られた緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、特に地図の上に自者位置と自者位置に関する情報とを表示するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自者位置を地図上に表示するナビゲーションシステムが提案されている。
【0003】
特許文献1は、電子化されたデフォルメ地図を自動的に作成するナビゲーションシステムを開示する。
【特許文献1】特開2006−171584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置は、電子化された地図(電子地図)から、電子化されたデフォルメ地図を作製するため、電子地図とは関係せずに出来上がった簡易地図を電子化することが出来ない。
【0005】
したがって本発明の目的は、簡易地図を電子化して、簡単に地図上に自者位置を表示するナビゲーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナビゲーションシステムは、緯度経度情報を取得する計測部と、複数の基準ポイントの緯度経度情報を有する複数のエリアで構成された地図を表示する表示部と、表示部は、地図上であって、基準ポイントのうち計測部で得られた緯度経度に最も近い基準ポイントに、自者位置マークを表示し、また、地図上であって、複数のエリアのうち、計測部で得られた緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報を表示する。
【0007】
好ましくは、計測部で得られた緯度経度に最も近い3つの基準ポイントで構成される三角形の中に、計測部で得られた緯度経度に対応する点が位置し、3つの基準ポイントが複数のエリアのうち1つのエリアに含まれる場合に、1つのエリアの名称を、複数のエリアの中で、計測部で得られた緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報として、表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【0008】
また、好ましくは、基準ポイントと、隣接する基準ポイントとの距離が、計測部の計測誤差よりも大きい。
【0009】
また、好ましくは、記録部を更に備え、地図は、デフォルメ地図または航空写真であり、記録部は、地図に対応したデフォルメ地図又は航空写真に関する画像データと、基準ポイントの緯度経度情報、エリアに関する情報を有する。
【0010】
また、好ましくは、表示部が保持されている方向を特定する方位計測部を更に備え、表示部は、自者位置マークの近傍に、方向を表示する。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムの自者位置表示方法は、緯度経度情報を持たない地図を、表示部で表示可能な地図データに変換する第1ステップと、地図を複数のエリアに分け、エリアのそれぞれに緯度経度情報を設定可能な基準ポイントを複数設定する第2ステップと、計測部によって緯度経度情報を取得する第3ステップと、表示部で表示された地図上であって、基準ポイントのうち、第3ステップで取得した緯度経度に最も近い基準ポイントに、自者位置マークを表示する第4ステップと、表示部で表示された地図上に、複数のエリアのうち、計測部で取得した緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報を表示する第5ステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、簡易地図を電子化して、簡単に地図上に自者位置を表示するナビゲーションシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態におけるナビゲーションシステム100は、操作部(不図示)、計測部130、表示部140、記録部150、及び制御部190を備える(図1、図2参照)。
【0014】
操作部は、リモートコントローラなど使用者の操作によりコマンドを制御部190に送る装置である。本実施形態では、リモートコントローラによる遠隔操作をするものとして説明するが、表示部140がタッチパネルを有して表示部上を触ることによって操作を行っても良いし、表示部140の周辺などにキーを配置させて操作を行っても良い。
【0015】
計測部130は、GPS、PHSなどナビゲーションシステム100を保持する者の実位置(緯度経度情報)を一定時間おきに計測する装置である。但し、一定時間おきに計測する形態に限られない。
【0016】
表示部140は、表示部140で表示可能な地図データに変換された簡易地図10を表示する。簡易地図10は、実際の地形に合わせた地図に対して、特徴的な形状に関する情報(使用者の欲しい情報)を強調し、それ以外の情報を省略したデフォルメ地図である。但し、簡易地図10は、実際の地形を撮影して得られた航空写真であってもよい。簡易地図10は、簡易地図10上の複数のエリア(第1〜第5エリアA〜E)で構成される。各エリア上の複数の基準ポイント(A〜A、B〜B、C〜C、D〜D、E〜E)には、緯度経度情報が設定される(図3参照)。
【0017】
基準ポイントが多く設定されると、正確な自者位置を表示することが可能になる。但し、隣接する基準ポイントとの距離は、計測部130の計測誤差よりも大きく設定される。
【0018】
アミューズメントパークや公園などの一定の領域が、簡易地図10に使用される。
【0019】
基準ポイントは、簡易地図10に対応する実際の地形において、使用者が通る場所で且つ、GPSなどを使って予め緯度経度情報を入手できる場所が設定される。例えば、使用者が通る道路上の曲がり角など、実際の場所と、簡易地図10上の場所とが明確に対応づけできる場所が設定される。基準ポイントは、後述するエリア特定のため、各エリアに3点以上設定されるのが望ましい。
【0020】
表示部140は、計測部130による実位置の緯度経度情報に基づいて、簡易地図10上に自者位置を表示する。自者位置は、実位置の緯度経度に最も近い緯度経度を有する基準ポイントに設定される。従って、厳密に実位置を簡易地図10上で特定することは出来ないが、形状などが正確に表されない簡易地図10上で、おおまかな自者位置を特定することが可能になる。
【0021】
また、携帯情報端末100がジャイロセンサや方位磁石など方向(携帯情報端末100が保持されている方向)を特定できるセンサを備え、自者位置表示に加えて進行方向を表示させてもよい。進行方向は、例えば、携帯情報端末100を保持する使用者の顔が向いている方向とほぼ一致する表示部140の上面部が向いている方向などが挙げられる。図1は、表示部140の上面部(携帯情報端末100を保持する使用者)が、簡易地図10上の斜め下方向を向いているとして、人の形をした自者位置マーク近傍に斜め下方向の矢印を表示させている例を示す。
【0022】
また、表示部140におけるエリアに関する情報の表示は、使用者の選択した言語で行われるのが望ましい。この場合、使用者が言語設定を行うための操作手段(不図示)を更に備える。
【0023】
また、表示部140は、計測部130による実位置の緯度経度情報に基づいて、簡易地図10上に自者(ナビゲーションシステム100の使用者)が居るエリアに関する情報を表示する。自者が居るエリアは、制御部190によって特性される。具体的には、実位置の緯度経度に最も近い3つの基準ポイントで構成される三角形の中に、実位置が位置し、且つ3つの基準ポイントが同じエリアに属する場合に、実位置がそのエリア内に居ると判断され、そうでない場合は、隣接するエリアの境界付近に居るとして、自者が居るエリアは特定されない。
【0024】
例えば、図4のように、実位置の緯度経度に最も近い3つの基準ポイントが、A、A、Aであり(最も近い基準ポイントはA)、これらの基準ポイントで構成される三角形(点線表示)の中に、実位置(白抜き四角表示)が有る場合は、自者が居るエリアが第1エリアAであると特定される。この場合、表示部140は、基準ポイントA近傍に自者位置マークを表示し、且つ自者が居るエリア名称を、自者が居るエリアに関する情報として表示する(図1参照)。自者位置マークは人の形に限られない。
【0025】
また、図5のように、実位置の緯度経度に最も近い3つの基準ポイントが、A、A、Cであり(最も近い基準ポイントはA)、これらの基準ポイントで構成される三角形(点線表示)の中に、実位置(黒塗り四角表示)がある場合は、第1エリアAと第3エリアCの境界付近に居るとして、自者が居るエリアは特定されない。この場合、表示部140は、基準ポイントA近傍に自者位置マークを表示するが、自者が居るエリア名称は表示しない。
【0026】
図3〜図5における基準ポイント(A〜A、B〜B、C〜C、D〜D、E〜E)、上述の点線で示した三角形や、白抜き四角や黒塗り四角で示した実位置は、上述の説明のために示したものであり、表示部140で表示される簡易地図10上には表示されない。
【0027】
記録部150は、簡易地図10に対応する画像を表示部140に表示するための地図データを記録した記録媒体であるが、記録媒体の種類は問わない。記録部150に記録する地図データは、簡易地図10に関する画像データと、基準ポイントの緯度経度情報と、エリアに関する情報(各エリアの名称、及び領域に関する情報)を有する。
【0028】
簡易地図10に関する画像データは、簡易地図10をスキャナ(不図示)により読みとりするなどで電子化されたデータであり、基準ポイントに対応する場所との関連付け(緯度経度情報の設定)がされている。従って、本実施形態における簡易地図10の地図データは、複数の縮尺の地図や道路レイヤなどを有するカーナビゲーションシステムの地図データに比べて簡素化される。
【0029】
制御部190は、各部を制御する。特に、制御部190は、表示部140に表示する自者位置や、自者が居るエリアを特定する演算を行う。
【0030】
本実施形態では、緯度経度情報を有しない地図であっても、表示部140で表示可能なデータに変換(電子化)し、地図上の緯度経度情報が特定できる(実際の地形と対応できる)任意の点(基準ポイント)を複数箇所設定することにより、地図表示及び、自者位置を表示することが可能になる。また自者が居るエリアに関する情報として、自者が居るエリア名称が表示されるので、自者位置に関する情報を文字(エリア名称)と、図形(地図と自者位置マーク)とを使って視覚的に認識することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態におけるナビゲーションシステムの構成図である。
【図2】ナビゲーションシステムのブロック図である。
【図3】簡易地図の構成を示す図である。
【図4】自者が居るエリアを特定できる状態の、簡易地図の構成を示す図である。
【図5】自者が居るエリアを特定できない状態の、簡易地図の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 簡易地図
100 ナビゲーションシステム
130 計測部
140 表示部
150 記録部
190 制御部
〜A 第1エリアの基準ポイント
〜B 第2エリアの基準ポイント
〜C 第3エリアの基準ポイント
〜D 第4エリアの基準ポイント
〜E 第5エリアの基準ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯度経度情報を取得する計測部と、
複数の基準ポイントの緯度経度情報を有する複数のエリアで構成された地図を表示する表示部と、
前記表示部は、前記地図上であって、前記基準ポイントのうち前記計測部で得られた緯度経度に最も近い基準ポイントに、自者位置マークを表示し、また、前記地図上であって、前記複数のエリアのうち、前記計測部で得られた緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報を表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記計測部で得られた緯度経度に最も近い3つの基準ポイントで構成される三角形の中に、前記計測部で得られた緯度経度に対応する点が位置し、前記3つの基準ポイントが前記複数のエリアのうち1つのエリアに含まれる場合に、前記1つのエリアの名称を、前記複数のエリアの中で、前記計測部で得られた緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報として、表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記基準ポイントと、隣接する基準ポイントとの距離が、前記計測部の計測誤差よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
記録部を更に備え、
前記地図は、デフォルメ地図または航空写真であり、
前記記録部は、前記地図に対応した前記デフォルメ地図又は前記航空写真に関する画像データと、前記基準ポイントの緯度経度情報、前記エリアに関する情報を有することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記表示部が保持されている方向を特定する方位計測部を更に備え、
前記表示部は、前記自者位置マークの近傍に、前記方向を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
緯度経度情報を持たない地図を、表示部で表示可能な地図データに変換する第1ステップと、
前記地図を複数のエリアに分け、前記エリアのそれぞれに緯度経度情報を設定可能な基準ポイントを複数設定する第2ステップと、
計測部によって緯度経度情報を取得する第3ステップと、
前記表示部で表示された前記地図上であって、前記基準ポイントのうち、第3ステップで取得した緯度経度に最も近い基準ポイントに、自者位置マークを表示する第4ステップと、
前記表示部で表示された前記地図上に、前記複数のエリアのうち、前記計測部で取得した緯度経度に対応する点を含むエリアに関する情報を表示する第5ステップとを備えることを特徴とするナビゲーションシステムの自者位置表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−102079(P2008−102079A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286169(P2006−286169)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(502181595)株式会社 ゼネテック (19)
【Fターム(参考)】