説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラム

【課題】 迂回交差点を考慮した経路探索を行うことが可能であり、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1は、交差点案内モードであるか否かを判定する交差点案内モード判定部7と、交差点を通過する際のユーザの運転に関連するワークロードを測定するワークロード測定部8と、その交差点が迂回交差点であるか否かを判定する迂回交差点判定部12を備える。このナビゲーション装置1の経路探索制御部14は、ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように経路探索の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関し、特に、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路案内をして、ユーザの運転をサポートする装置である。ナビゲーション装置では、出発地および目的地をユーザが設定すると、出発地から目的地までの案内経路の経路探索が行われる。このようなナビゲーション装置には、経路探索の際に、ユーザが通りたくない経路(苦手経路)を設定する機能を備えたものがある。しかし、そのようなナビゲーション装置では、経路探索の際に、ユーザが自ら苦手経路の設定を行う必要があり、設定操作に手間がかかる。また、苦手経路を設定できる場所は、ユーザが行ったことのある場所に限られる。
【0003】
ユーザが苦手な運転場所の一つとして、交差点が挙げられる。そこで、従来、ユーザの苦手運転場所(交差点)の判断機能を備えたナビゲーションシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。この従来のシステムでは、車速の二階微分値(ジャーク)に基づいて判別された苦手場所(交差点)を記録しておく。そして、経路探索の際に、その苦手場所(交差点)のリスクコストが算出されて画面上に表示され、ユーザの苦手経路の設定操作が補助される。
【特許文献1】特開2005−326287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用のナビゲーション装置には、車両が交差点を通過する際に、特別に詳しい走行案内(交差点用の走行案内)を行う交差点案内モードの機能を備えたものがある。ユーザは、この交差点用の走行案内に従って運転を行うことにより、案内経路どおりに車両を走行させることができる。ところが、交差点には、種々の形状(三叉路の交差点、五叉路の交差点)があり、その進入退出角度も様々である。そのため、様々な交差点の中には、交差点用の走行案内を行っても、ユーザが運転を間違えてしまう交差点がある。そのような交差点は、ユーザにとってその交差点用の走行案内が理解しにくい交差点であり、経路探索ではその交差点を通らないように(迂回するように)することが望ましい交差点(迂回交差点)であるともいえる。
【0005】
しかしながら、従来のナビゲーションシステムでは、上記のような交差点用の走行案内を作成しにくい迂回交差点について考慮されておらず、その結果、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供されないことがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、迂回交差点を考慮した経路探索を行うことが可能であり、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のナビゲーション装置は、車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定する交差点案内モード判定手段と、前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定するワークロード測定手段と、前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定する迂回交差点判定手段と、前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行う経路探索制御手段と、を備えている。
【0008】
これにより、交差点案内モードのときのユーザのワークロードが測定され、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点であるか否かが判定される。そして、ユーザへの案内経路の経路探索の際に、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。このようにして、迂回交差点を考慮した経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【0009】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記特徴は、前記交差点の形状または進入退出角度であってもよい。
【0010】
これにより、交差点の形状(三叉路の交差点、五叉路の交差点など)や進入退出角度が迂回交差点と同一または類似である場合には、その交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。
【0011】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれており、前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの視覚的ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定してもよい。
【0012】
これにより、交差点を通過する際のユーザの視覚的ワークロードが高い場合(例えば、ユーザが視線を頻繁に動かして、交差点の通過に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの視覚的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれており、前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの聴覚的ワークロードが所定の迂回判定基準値より低い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定してもよい。
【0014】
これにより、交差点を通過する際のユーザの聴覚的ワークロードが低い場合(例えば、ユーザがオーディオの音量を下げて、交差点の走行案内に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの聴覚的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0015】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれており、前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの機器操作ワークロードが所定の迂回判定基準値より低い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定してもよい。
【0016】
これにより、交差点を通過する際のユーザの機器操作ワークロードが低い場合(例えば、ユーザがナビやエアコンの操作をやめて、交差点の走行に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの機器操作ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0017】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれており、前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定してもよい。
【0018】
これにより、交差点を通過する際のユーザの運転ワークロードが高い場合(例えば、交差点を走行するときに、ユーザが急な車線変更を行った場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの運転ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0019】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれており、前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの内因的ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定してもよい。
【0020】
これにより、交差点を通過する際のユーザの内因的ワークロードが高い場合(例えば、交差点を走行するときに、ユーザの心拍数や脈拍が過度に高くなった場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの内因的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0021】
また、本発明のナビゲーション装置では、前記制御手段は、前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点のコスト値を上げるコスト値制御を行ってもよい。
【0022】
これにより、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点のコスト値が上げられ、経路探索を行ったときにその交差点が避けられる。このようなコスト値制御により、迂回交差点を避けた経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【0023】
本発明のナビゲーション方法は、車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定し、前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定し、前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定し、前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行うものである。
【0024】
この方法によれば、交差点案内モードのときのユーザのワークロードが測定され、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点であるか否かが判定される。そして、ユーザへの案内経路の経路探索の際に、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。このようにして、迂回交差点を考慮した経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【0025】
本発明のナビゲーションプログラムは、コンピュータに、車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定する処理と、前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定する処理と、前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定する処理と、前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行う処理と、を実行させるものである。
【0026】
このプログラムによっても、交差点案内モードのときのユーザのワークロードが測定され、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点であるか否かが判定される。そして、ユーザへの案内経路の経路探索の際に、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。このようにして、迂回交差点を考慮した経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、交差点案内モードのときのユーザのワークロードを測定し、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点の判定を行い、その迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行うことにより、迂回交差点を考慮した経路探索を行うことが可能であり、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態のナビゲーション装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、自動車に搭載される車両用のナビゲーション装置等の場合を例示する。このナビゲーション装置は、迂回交差点を考慮した経路探索を行う機能を備えており、この機能は、この装置のHDDやメモリ等に格納されたプログラムによって実現される。
【0029】
まず、本実施の形態のナビゲーション装置の構成を、図面を用いて説明する。図1は、ナビゲーション装置のブロック図である。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、地図データが記憶されている地図DB2(データベース)と、地図データを用いてユーザへの案内経路の経路探索を行う経路探索部3と、車両に搭載されたモニタ4やスピーカ5を用いてユーザに走行案内を行う走行案内部6を備えている。この走行案内部6は、車両が交差点を通過する際に、特別に詳しい走行案内(交差点用の走行案内)を行う交差点案内モードの機能を備えている。そして、このナビゲーション装置1は、走行案内部6が交差点案内モードであるか否かを判定する交差点案内モード判定部7を備えている。
【0030】
また、ナビゲーション装置1は、ユーザの運転に関連するワークロードを測定するワークロード測定部8を備えている。このワークロード測定部8は、車両に搭載された視線カメラ9や車両センサ10や生体センサ11から、車両運転中のユーザの寄与行動に関するデータを取得して、交差点を通過する際のユーザのワークロードを測定する機能を備えている。
【0031】
車両運転中のユーザのワークロードは、そのワークロードに寄与するユーザの寄与行動の種類に応じて、複数の異なるワークロードに分類される。ここで、車両運転中のユーザのワークロードの種類と、そのワークロードの寄与データについて説明する。
【0032】
車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれる。ワークロード測定部8は、視覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの視点移動速度データや視点座標データなど)を視線カメラ9から取得して、視覚的ワークロードの測定を行う。
【0033】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれている。ワークロード測定部8は、聴覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報データや音楽情報データなど)を車両センサ10から取得して、聴覚的ワークロードの測定を行う。
【0034】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれる。ワークロード測定部8は、機器操作ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のナビ操作データ、オーディオ操作データ、エアコン操作データ、窓開閉操作データなど)を車両センサ10から取得して、機器操作ワークロードの測定を行う。
【0035】
車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれる。ワークロード測定部8は、運転ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の舵角データ、車速データ、車間距離データ、アクセル開度率データ、ブレーキ信号データなど)を車両センサ10から取得して、運転ワークロードの測定を行う。
【0036】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれる。ワークロード測定部8は、内因的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの心拍数データ、血圧データ、呼吸回数データなど)を生体センサ11から取得して、内因的ワークロードの測定を行う。
【0037】
ワークロード測定部8は、車両の運転に関連する複数のワークロードごとにワークロード値を算出するための定量化モデルを用いることにより、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出することができる。定量化モデルとしては、例えば、ユーザの寄与行動のデータとワークロード値との関係を統計的手法で導くことにより構築された定式化モデルや、ベイジアンネットワークやニューラルネットワーク等が用いて構築された確率推論モデルなどが使用される。
【0038】
図1に戻って、ナビゲーション装置1の構成を説明する。ナビゲーション装置1は、ワークロードの測定結果に基づいて、その交差点が迂回交差点(ユーザにとって交差点用の走行案内が理解しにくい交差点)であるか否かを判定する迂回交差点判定部12を備えている。
【0039】
ここで、図2〜図4を参照して、迂回交差点について具体的に説明する。図2は、迂回交差点の一例を示す図である。図2では、車両が三叉路の交差点を通過する例が示されている。この例では、車両の走行している広い道路が交差点で少し右に曲がっており、その交差点から細い道が左に分岐している。
【0040】
走行案内部6では、交差点の進入退出角度(進入方向と退出方向のなす角度)や道幅などに基づいて、交差点の右折・左折・直進が判断される。したがって、図2のような交差点で少し右折するような場合には、交差点の進入退出角度が小さい(約30度)であり道幅も同じであるため「次の交差点を直進してください。」という走行案内が行われることがある。その場合、ユーザは、左右どちらへ進めば良いのか分からず、本来は右へ進むべきところを、誤って左へ進んでしまうことがある。つまり、このような走行案内はユーザにとって理解が困難であり、このような交差点が迂回交差点に該当するといえる。
【0041】
図3は、迂回交差点の他の例を示す図である。図3では、車両が五叉路の交差点を通過する例が示されている。この例では、車両の走行している道路が交差点で5つに分岐している。このような交差点で左奥の道路へ進む場合、「次の交差点を左折してください。」という走行案内が行われることがある。この場合、ユーザは、左手前と左奥の道路のどちらへ進めば良いのか分からず、本来は左奥の道路へ進むべきところを、誤って左手前の道路へ進んでしまうことがある。つまり、このような走行案内はユーザにとって理解が困難であり、このような交差点が迂回交差点に該当するといえる。
【0042】
図4は、迂回交差点の更に他の例を示す図である。図4では、車両が連続する交差点を通過する例が示されている。この例では、車両の走行している道路の先に2つの交差点が連続して設けられている。このような連続する交差点で2つ目の交差点で左折する場合に、「次の交差点を左折してください。」という走行案内が行われることがある。この場合、ユーザは、手前の交差点と奥の交差点のどちらで左折すれば良いのか分からず、本来は奥の交差点で左折すべきところを、誤って手前の交差点で左折してしまうことがある。つまり、このような走行案内はユーザにとって理解が困難であり、このような交差点が迂回交差点に該当するといえる。
【0043】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、迂回交差点DB13を備えており、上記のように迂回交差点判定部12で迂回交差点であると判定された交差点の特徴データは、この迂回交差点DB13に記憶される。迂回交差点の特徴データには、交差点の形状(三叉路や五叉路など)のデータや、交差点の進入退出角度(30度など)のデータが含まれる。
【0044】
また、ナビゲーション装置1は、経路探索部3の制御を行う探索制御部14を備えている。この探索制御部14は、経路探索部3がユーザへの案内経路の探索を行う際に、迂回交差点DB13に記憶されている迂回交差点の特徴と同一または類似する特徴を有する交差点を避けるように、経路探索部3の制御を行う。
【0045】
以上のように構成されたナビゲーション装置1について、図5および図6を用いてその動作を説明する。ここでは、本発明の特徴である迂回交差点を考慮した経路探索の制御の動作について説明する。
【0046】
図5は、本実施の形態のナビゲーション装置1の動作の流れを示すフロー図である。図5に示すように、ナビゲーション装置1では、まず、交差点案内モード判定部7によって、走行案内部6が交差点案内モードであるか否かの判定が行われる(S1)。交差点案内モードであると判定された場合(ユーザが運転する車両が交差点を通過している場合)には、その交差点の形状や進入退出角度のデータの取得が行われる(S2)。
【0047】
そして、ワークロード測定部8が、視線カメラ9や車両センサ10や生体センサ11から寄与行動データを取得して、複数のワークロードごとにワークロードの測定が行われる(S3)。ワークロードを測定した後、迂回交差点判定部12において、そのワークロード(例えば視覚的ワークロード)が所定の迂回判定基準値以上であるか否かが判定される(S4)。その結果、測定した視覚的ワークロードが迂回判定基準値を超えている場合には、その交差点が迂回交差点であると判定され(S5)、その交差点の特徴データが迂回交差点DB13に記憶される(S6)。
【0048】
その後、経路探索部3で経路探索を行う場合(S7)、探索制御部14が、迂回交差点DB13から迂回交差点の特徴データを読み出して、その迂回交差点と同一または類似の交差点を避けて経路探索を行うように、経路探索部3を制御する(S8)。
【0049】
なお、図5では、視覚的ワークロードを測定して迂回交差点の判定を行う場合を例示したが、本発明の範囲は、これに限定されるものではなく、他のワークロード(聴覚的ワークロード、機器操作ワークロード、運転ワークロード、内因的ワークロード)を用いても、同様に迂回交差点の判定が可能である。
【0050】
図6は、このような迂回交差点を考慮した経路探索制御の一例を示す図である。図6(a)は、経路探索部3で通常どおりの経路探索(従来からの経路探索)を行った結果の案内経路であり、この案内経路には、図2で例示した迂回交差点と同様の交差点が含まれている。このような場合に、上述のような迂回交差点を考慮した経路探索の制御が行われる。図6(b)は、迂回交差点を考慮した経路探索の制御を行った結果の案内経路であり、このように、迂回交差点と同様の交差点を通らないような案内経路が提供される。
【0051】
このような本実施の形態のナビゲーション装置1によれば、交差点案内モードのときのユーザのワークロードを測定し、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点の判定を行い、その迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行うことにより、迂回交差点を考慮した経路探索を行うことが可能であり、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供することができる。
【0052】
すなわち、本実施の形態では、交差点案内モードのときのユーザのワークロードが測定され、ワークロードの測定結果に基づいて迂回交差点であるか否かが判定される。そして、ユーザへの案内経路の経路探索の際に、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。このようにして、迂回交差点を考慮した経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【0053】
具体的に、本実施の形態では、交差点の形状(三叉路の交差点、五叉路の交差点など)や進入退出角度が迂回交差点と同一または類似である場合には、その交差点を避けるように経路探索の制御が行われる。
【0054】
また、本実施の形態では、交差点を通過する際のユーザの視覚的ワークロードが高い場合(例えば、ユーザが視線を頻繁に動かして、交差点の通過に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの視覚的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0055】
また、本実施の形態では、交差点を通過する際のユーザの聴覚的ワークロードが低い場合(例えば、ユーザがオーディオの音量を下げて、交差点の走行案内に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの聴覚的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0056】
また、本実施の形態では、交差点を通過する際のユーザの機器操作ワークロードが低い場合(例えば、ユーザがナビやエアコンの操作をやめて、交差点の走行に過度に注意を払っている場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの機器操作ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0057】
また、本実施の形態では、交差点を通過する際のユーザの運転ワークロードが高い場合(例えば、交差点を走行するときに、ユーザが急な車線変更を行った場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの運転ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0058】
また、本実施の形態では、交差点を通過する際のユーザの内因的ワークロードが高い場合(例えば、交差点を走行するときに、ユーザの心拍数や脈拍が過度に高くなった場合)には、その交差点は迂回交差点であると判定される。このようにして、車両を運転するユーザの内因的ワークロードに基づいて、迂回交差点の判定を行うことが可能になる。
【0059】
また、本実施の形態では、迂回交差点と同一または類似の特徴をもつ交差点のコスト値が上げられ、経路探索を行ったときにその交差点が避けられる。このようなコスト値制御により、迂回交差点を避けた経路探索が行われ、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路が提供される。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、迂回交差点を考慮した経路探索を行うことが可能であり、車両を運転するユーザに分かりやすい案内経路を提供することができるという効果を有し、自動車に搭載される車両用のナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施の形態のナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】迂回交差点の一例を示す図である。
【図3】迂回交差点の他の例を示す図である。
【図4】迂回交差点の更に他の例を示す図である。
【図5】本実施の形態のナビゲーション装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図6】本実施の形態の経路探索制御の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ナビゲーション装置
2 地図DB
3 経路探索部
4 モニタ
5 スピーカ
6 走行案内部
7 交差点案内モード判定部
8 ワークロード測定部
9 視線カメラ
10 車両センサ
11 生体センサ
12 迂回交差点判定部
13 迂回交差点DB
14 探索制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定する交差点案内モード判定手段と、
前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定するワークロード測定手段と、
前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定する迂回交差点判定手段と、
前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行う経路探索制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特徴は、前記交差点の形状または進入退出角度であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれており、
前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの視覚的ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれており、
前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの聴覚的ワークロードが所定の迂回判定基準値より低い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれており、
前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの機器操作ワークロードが所定の迂回判定基準値より低い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれており、
前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車両の運転に関連するワークロードには、前記車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれており、
前記迂回交差点判定手段は、前記交差点を通過する際の前記ユーザの内因的ワークロードが所定の迂回判定基準値より高い場合に、その交差点が前記迂回交差点であると判定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点のコスト値を上げるコスト値制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定し、
前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定し、
前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定し、
前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行うことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両を運転するユーザに対して交差点を通過する際の走行案内を行う交差点案内モードであるか否かを判定する処理と、
前記交差点案内モードであると判定されたときに、前記交差点を通過する際の前記ユーザの運転に関連するワークロードを測定する処理と、
前記ワークロードの測定結果に基づいて、前記交差点が前記ユーザにとって前記走行案内を理解しにくい迂回交差点であるか否かを判定する処理と、
前記ユーザへの案内経路の経路探索を行う際に、前記迂回交差点の特徴と同一または類似の特徴を有する交差点を避けるように前記経路探索の制御を行う処理と、
を実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−264860(P2009−264860A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113371(P2008−113371)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】