説明

ナビゲーション装置およびすれ違い可能位置表示制御プログラム

【課題】 ナビゲーション装置が、自車両と対向車両とがすれ違うことができる位置に関する情報を、ユーザに提供することができるようにする。
【解決手段】
ナビゲーション装置は、自車両と対向車両が出会う範囲を予測し(ステップ255、260)、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、この予測した出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができるか否かを判定し(ステップ265)、すれ違うことができない場合、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置を推定し(ステップ280)、その推定したすれ違い可能位置を表示装置に表示させる(ステップ285)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両と対向車両のすれ違い可能位置を表示するナビゲーション装置およびすれ違い可能位置表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両と対向車両とが出会ってすれ違うと予想される位置を表示するナビゲーション装置の技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−83508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、自車両及び対向車両が細い路地を走行している場合等には、自車両と対向車両とが出会うことが予測される位置において、道路幅が狭すぎるために両者が安全にすれ違うことができないことがある。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、ナビゲーション装置が、自車両と対向車両とがすれ違うことができる位置に関する情報を、ユーザに提供することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、表示装置と、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定する推定手段と、前記推定手段が推定したすれ違い可能位置を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置である。
【0006】
このように、ナビゲーション装置は、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定し、その推定したすれ違い可能位置を表示装置に表示させるので、自車両と対向車両とがすれ違うことができる位置に関する情報を、ユーザに提供することができる。
【0007】
なお、ここでいう「位置」は、「特定の一点(すなわちピンポイント位置)」「拡がりを有する領域」を包含する概念である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、自車両と対向車両が出会う位置を予測する予測手段と、自車両、前記対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、前記予測手段が予測した出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記推定手段は、前記判定手段が、前記出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができないと判定したことに基づいて、自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする。
【0009】
このようになっているので、出会い位置において自車両と対向車両とがすれ違い可能でないことに基づいて、自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置の推定を実施することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記推定手段は、自車両の前方における自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置の推定を試み、自車両の前方における自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置の推定に失敗した場合に、自車両の後方における自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする。
【0011】
このように、すれ違い可能位置の推定対象として、自車両前方と自車両後方との間に優劣をつけることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置において、前記推定手段の推定における、ある位置において自車両と前記対向車両とがすれ違うことができるとする判断基準の高低は、ユーザによって設定可能であることを特徴とする。
【0013】
このように、ある位置において自車両と対向車両とがすれ違うことができるとする判断基準の高低をユーザが設定できることで、例えば運転に不慣れなユーザは、すれ違うことができるとする判断基準をより厳しく設定し、運転に慣れたユーザは判断基準をより甘く設定するといった、個々のユーザの使用事情に応じた設定が可能となる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置において、前記推定手段は、車両の周囲を撮影するカメラが撮影した画像に基づいて特定された前記対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定する推定手段、および前記推定手段が推定したすれ違い可能位置を表示装置に表示させる表示制御手段として、コンピュータを機能させるすれ違い可能位置表示制御プログラムである。
【0016】
このように、可能位置表示制御プログラムとしても、本発明は実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用される場面の一例として、道路50の俯瞰図を示す。この道路を走行する自車両51および対向車両52は、それぞれ矢印53、54に示す向きに走行している。したがって、後にこの2台の車両51および52は出会ってすれ違うことになる。本実施形態においては、この例に示すような、ある道路を互いに逆方向に走行する自車両および対向車両の、後の時刻における出会い位置を予測し、さらに、その出会い位置で自車両51と対向車両52とが安全にすれ違えない場合、安全にすれ違える当該道路中の他の位置を推定し、その位置の表示を行うようになっている。
【0018】
このような機能を実現するために、本実施形態の自車両51および対向車両52は、それぞれ図2に示すようなハードウェア構成の車両用ナビゲーション装置1を搭載し、この車両用ナビゲーション装置1を用いて互いに通信を行う。
【0019】
この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、無線回路15、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、およびCPU19を有している。また、この車両用ナビゲーション装置1は、自車両の先端部に取り付けられ、自車両の前方を撮影した画像データをくり返し(例えば0.1秒おきに)出力する前方カメラ21、および、自車両の後端部に取り付けられ、自車両の後方を撮影した画像データをくり返し(例えば0.1秒おきに)出力する後方カメラ22と接続されている。
【0020】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報をCPU19に出力する。
【0021】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号をCPU19に出力する。
【0022】
画像表示装置13は、CPU19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0023】
無線回路15は、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果をCPU19に出力する。また無線回路15は、CPU19から入力があったデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、上記の所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の信号を上記アンテナに出力する。このような無線回路15の作動により、CPU19は、無線回路15に送信データを出力することで、無線回路15を介した当該送信データの無線送信を実現することができ、また、無線回路15からデータを受けることにより、他の装置から無線によって送信されたデータを、無線回路15を介して受信することができる。なお、無線回路15の受信、送信範囲は、自車両の走行道路以外の道路には届かない程度の範囲である。
【0024】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、CPU19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ、自車両データ等を記憶している。 地図データは、道路片(リンク)および交差点(ノード)の位置、種別、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。施設データは、施設毎のエントリを複数有しており、各エントリは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0025】
自車両データは、自車両の全長、全幅、ドアミラーやオーバーフェンダー等の出っ張り部分の大きさ等、自車両の大きさに関するデータである。
【0026】
CPU(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行う。また、CPU19は、無線回路15を用いて対向車両と無線信号の授受を行う。また、CPU19は、無線回路15の無線送信強度や無線受信感度を制御することができるようになっている。
【0027】
CPU19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、案内経路探索処理、経路案内処理、車両情報送信処理、車両情報受信処理、等がある。
【0028】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。本実施形態のCPU19が処理に用いる現在位置情報や向きの情報は、この現在位置特定処理の結果の情報となっている。
【0029】
案内経路探索処理は、操作スイッチ群12からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。
【0030】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された案内経路、目的施設、経由施設および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。
【0031】
車両情報送信処理は、無線回路15を用いて受信した対向車両の車両用ナビゲーション装置1からの送信要求の内容に基づいて、自車両の情報である車両情報を、無線回路15を用いて送信する処理である。
【0032】
送信要求は、自車ID、車両情報を得たい対象の対向車の所在範囲(すなわちスキャンエリア)を指定するエリア指定、自車位置情報、自車進行方向情報、経路案内処理実行中に「1」信号となり経路案内処理非実行中に「0」信号となる経路誘導路情報、および、例えば道路ナンバと車両の進行方向とを含むような経路誘導路進行方向情報を含む。ここで、エリア指定は、例えば多数に区画されたエリアのうち特定のエリアを指定したり、あるいは交差点などの一点を中心とする所定半径の範囲内を指定したり、またあるいは経路誘導先の特定箇所を指定する情報である。
【0033】
車両情報送信処理においては、無線回路15は、この受信した送信要求のエリア指定に自車両の位置が該当し、かつその送信要求の進行方向が自車両の進行方向と逆である場合、自車両の車両情報を無線回路15を用いて送信する。
【0034】
車両情報は、自車ID、現在時刻情報、この車両情報の送信の起因となった送信要求に含まれる自車IDすなわち返信先ID、自車両の現在位置情報、自車両の車速情報、自車両の車速を平均化した値に基づいてオンオフ判定する渋滞情報、自車両の進行方向情報を含む。
【0035】
車両情報受信処理は、無線回路15を用いて受信した自車両宛の(すなわち返信先IDが自車IDと同じである)車両情報を、RAM16または外部記憶媒体18に記憶させる処理である。
【0036】
また、本実施形態のCPU19は、図3および図4にそれぞれフローチャートとして示す対向車検知実行判定プログラム100および対向車検知プログラム200を繰り返し実行する。
【0037】
CPU19は、対向車検知実行判定プログラム100の実行においては、まずステップ105で、現在位置情報と外部記憶媒体18の地図データとに基づいて、自車両の走行位置が高架道路か否かを判定し、高架道路なければ続いてステップ110を実行し、高架道路であれば続いてステップ135を実行する。
【0038】
ステップ110では、現在位置情報と地図データとに基づいて、自車両の走行位置が中央分離帯を有する道路か否かを判定し、中央分離帯を有しなければ続いてステップ115を実行し、有するなら続いてステップ135を実行する。
【0039】
ステップ115では、現在位置情報と地図データとに基づいて、自車両の走行位置が片側2車線等の複線道路か否かを判定し、複線道路でなければ続いてステップ120を実行し、複線道路であれば続いてステップ140を実行する。
【0040】
ステップ120では、現在位置情報と地図データとに基づいて、自車両の走行位置が市街地か否かを判定し、市街地でなければ続いてステップ125を実行し、市街地であれば続いてステップ140を実行する。
【0041】
ステップ125では、操作スイッチ群12のユーザの操作によって決まるマニュアルスイッチのオン・オフの現在の状態を判定し、オンであれば続いてステップ130を実行し、オフであれば続いてステップ135を実行する。なお、後述するように、このマニュアルスイッチがオンであることは、対向車検知プログラム200がスキップされないことに相当する。
【0042】
ステップ130では、RAM16の所定の領域に割り当てられたフラグFの値を1とする。なお、後述する通り、このフラグFは、その値が1または2であることが、対向車検知プログラム200がスキップされないことに相当する。また、ステップ135では、フラグFの値をゼロとする。
【0043】
ステップ140では、上述の車両情報受信処理による、対向車両からの車両情報の(例えば過去1分間の)受信回数の大小に基づいて車両密度が大か否かを判定し、密度が大でない場合には続いてステップ145を実行し、大である場合には続いてステップ150を実行する。
【0044】
ステップ145では、上述のマニュアルスイッチのオン・オフの現在の状態を判定し、オフであれば続いてステップ150を実行してフラグFをゼロとし、オンであれば続いてステップ155を実行してフラグFを2とする。
【0045】
ステップ130、135、150、155の後、対向車検知実行判定プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0046】
CPU19は、このような対向車検知実行判定プログラム100を実行する度、フラグFを以下のように設定することになる。
・マニュアルスイッチがオフの場合、F=0
・自車両が高架道路を走行している場合、F=0
・自車両が中央分離帯のある道路を走行している場合、F=0
・走行道路の車両密度が大の場合、F=0
・マニュアルスイッチがオンであり、自車両が走行している道路が高架道路でも中央分離帯でも複線道路でも市街地でもない場合、F=1
・マニュアルスイッチがオンであり、自車両が複線道路または市街地の道路を走行しており、その道路の車両密度が大でない場合、F=2
また、CPU19は、対向車検知プログラム200の実行において、ステップ210のフラグFが1であるか否かの判定、およびステップ220のフラグFが2であるか否かの判定の組み合わせにより、現在のフラグFの値がゼロであれば対向車検知プログラム200の実行をスキップして終了し、1であれば続いてステップ240を実行し、2であれば続いてステップ230を実行する。
【0047】
ステップ230では、上述したスキャンエリアを拡大すると共に、サンプリング頻度(すなわち上述の送信要求を対向車両に送信する頻度)を、複数ある規定値のうち低い方に設定し、画像表示装置13における地図表示画面における他車両の個々の表示をやめ、地図表示画面中の道路のエリア毎の濃淡で他車両の存在を表すようにする。ステップ230に続いては、ステップ240を実行する。
【0048】
ステップ240では、上述した送信要求を無線回路15を用いて送信する。なお、サンプリング頻度が低いものに設定されている場合は、このステップ240の処理は、対向車検知プログラム200の実行の度に必ず実行するわけではなく、対向車検知プログラム200の数回の実行のうちの1回においてのみ実行するようになっていてもよい。
【0049】
続いてステップ250では、前回の対向車検知プログラム200のこのステップ250の実行後現在までに、車両情報受信処理によって、対向車からの車両信号を受信したか否かを判定し、受信していなければ対向車検知プログラム200の1回分の実行を終了し、受信していれば続いてステップ255を実行する。
【0050】
ステップ255では、ステップ250で受信したと判定した対象の車両情報の内容に基づいて、自車両の位置、速度、対向車両の位置、速度から、対向車両と出会うピンポイント位置、すなわち対向車両にごく近い距離(例えば車両の大きさ程度の距離)に近づくピンポイント位置、およびそのピンポイント位置に自車両が到達する時刻を予測する。
【0051】
続いてステップ260では、ステップ255で算出したピンポイント出会い位置を中心とする出会い範囲を予測算出する。この出会い範囲は、自車両および対向車両の走行速度、無線回路15による通信の状態、走行している道路種別等に基づいて算出し、それぞれの車両の走行速度が大きくなる程この範囲は広くなり、また、通信状態が悪くなる程この範囲は広くなる。また、自車両が走行する道路が市街地、山岳地帯、屈曲路(すなわちカーブ)であれば、そうでない場合に比べてこの範囲は広くなる。
【0052】
続いてステップ265では、自車両の車幅情報、対向車両の車幅情報、および走行道路の幅情報に基づいて、ステップ260で予測した出会い範囲において自車両と対向車両がすれ違うことができるか否かを判定する。自車両の車幅情報は、外部記憶媒体18に記憶されているものを用いる。また、対向車両の車幅情報は、前方カメラ21によって撮影された、当該対向車両が含まれる画像を解析することで算出するようになっていてもよいし、対向車両が車両情報として自車両の車幅を送信するようにすれば、その送信された車幅の情報を用いて特定してもよい。また、走行道路の幅情報は、前方カメラ21によって撮影された、当該出会い範囲の道路が含まれる画像を解析することで算出するようになっていてもよいし、地図データ中に、あらかじめ各道路の各位置における幅情報が含まれているようにすれば、その幅情報を用いて特定してもよい。なお、道路の脇に電柱、看板等の障害物があることが、前方カメラ21からの画像の解析または地図データの内容によって特定できれば、その位置の道路幅を、その障害物の分だけ縮めて算出してもよい。
【0053】
そして、(自車両の車幅+対向車両の車幅+遊びα)が、出会い範囲における道路幅より狭い場合、すれ違い可能であると判定し、続いてステップ270を実行し、そうでない場合、すれ違い不可能であると判定し、続いてステップ280を実行する。
【0054】
なお、この遊びαは、外部記憶媒体18にあらかじめ記憶されており、また、ユーザが操作スイッチ群12を用いて設定することが可能となっている。このようになっていることで、運転に不慣れなユーザは遊びαを大きめに、運転に慣れたユーザは遊びαを小さめに設定できる。このように、ある位置において自車両と対向車両とがすれ違うことができるとする判断基準の高低は、ユーザによって設定可能となる。
【0055】
ステップ270では、自車両の車速、無線回路15の送受信状態、現在位置の地理状態等に基づいて、出会い範囲の表示形態を決定する。
【0056】
続いてステップ275では、ステップ270で決定した表示形態によって、画像表示装置13に対向車両および出会い範囲を表示させる。ステップ275の後、対向車検知プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0057】
ステップ280では、自車両の車幅情報、対向車両の車幅情報、および走行道路の、上記出会い範囲以外の領域の幅情報に基づいて、その道路中で自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置(ピンポイント位置または領域)を推定する。なお、これらの情報の取得は、ステップ265の判定時における取得方法と同じである。
【0058】
そして、走行道路の出会い範囲以外の部分の各位置について、(自車両の車幅+対向車両の車幅+遊びβ)が、における道路幅より狭い場合、その位置においてすれ違い可能であると判定する。なお、この遊びβは、上述の遊びαと同様に、ユーザが操作スイッチ群12を用いて設定可能となっていてもよい。
【0059】
なお、この出会い範囲以外の部分のすれ違い可否判定の順番としては、自車両の前方の、自車両から出会い範囲に至るまでの領域についてまず判定し、その領域においてすれ違い可能であると判定できる位置がなかった場合、すなわち車両前方においてすれ違い可能位置の推定の試みに失敗した場合、徐車両の後方の領域の各位置についてすれ違い可否を判定する。このように、すれ違い可能位置の推定対象として、自車両前方と自車両後方との間に優劣をつけることができる。
【0060】
続いてステップ285では、ステップ280ですれ違い可能であると判定したピンポイント位置、あるいはそのピンポイント位置を含む領域を画像表示装置13に表示させる。さらに、このピンポイント位置までの距離等を、スピーカ14に音声で表示させてもよい。なお、この領域の広さは、ステップ260にて出会い範囲について示したような情報に基づいて、この出会い範囲と同様に変化するようになっていてもよい。また、すれ違い可能であると判定した位置が複数ある場合、それらのうちの全部を表示してもよいし、それらのうち最も自車位置に近いもののみを表示させてもよいし、それらのうち最も出会い範囲に近いもののみを表示させてもよいし、それらを出会い範囲に近いものから順にランキング表示させてもよい。また、すれ違い可能であると判定した位置がない場合は、その旨を画像表示装置13およびスピーカ14に表示させてもよい。
【0061】
ステップ285の後、対向車検知プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0062】
以上のような対向車検知プログラム200をCPU19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、自車両と対向車両が出会う範囲を予測し(ステップ255、260参照)、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、この予測した出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができるか否かを判定し(ステップ265参照)、すれ違うことができない場合、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置、範囲を推定し(ステップ280参照)、その推定したすれ違い可能位置または範囲を画像表示装置13、スピーカ14に表示させる(ステップ285参照)。
【0063】
このように、ナビゲーション装置は、自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定し、その推定したすれ違い可能位置を表示装置に表示させるので、自車両と対向車両とがすれ違うことができる位置に関する情報を、ユーザに提供することができる。
【0064】
なお、上記の実施形態において、画像表示装置13およびスピーカ14が表示装置に相当する。また、対向車検知プログラム200が、可能位置表示制御プログラムに相当する。
【0065】
また、CPU19が、対向車検知プログラム200のステップ255および260を実行することで予測手段として機能し、またステップ265を実行することで判定手段として機能し、またステップ280を実行することで推定手段として機能し、またステップ285を実行することで表示制御手段として機能する。
【0066】
また、上記した実施形態においては、車両用ナビゲーション装置が、本発明のナビゲーション装置の一例として挙げられているが、本発明のナビゲーションシステムは、車両用ナビゲーション装置に限られず、例えば、人が携帯できるような携帯型ナビゲーション装置としても実現可能である。
【0067】
また、車両用ナビゲーション装置1は、推定したすれ違い可能位置、出会い可能位置を、対向車両の車両用ナビゲーション装置1に無線送信するようになっていてもよい。
【0068】
また、対向車両には必ずしも車両用ナビゲーション装置1は搭載されていなくともよい。その場合、対向車両の位置、速度等を、カメラ、レーザーレーダセンサ等で特定することで、2台の出会い位置を予測してもよい。
【0069】
また、2台の出会い位置の予測、および、その出会い位置で2台が安全にすれ違えるか否かの判定は、必須ではない。すなわち、自車両と対向車両とが安全にすれ違える位置を推定して表示装置に表示させるようになっていれば、本発明の目的は達成される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態が適用される場面の俯瞰図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】CPU19が実行する対向車検知実行判定プログラム100のフローチャートである。
【図4】CPU19が実行する対向車検知プログラム200のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】

1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…スピーカ、15…無線回路、16…RAM、
17…ROM、18…外部記憶媒体、19…CPU、21…前方カメラ、
22…後方カメラ、50…道路、51…自車両、52…対向車両、
53、54…車両走行方向、100…対向車検知実行判定プログラム、
200…対向車検知プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定したすれ違い可能位置を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
自車両と対向車両が出会う位置を予測する予測手段と、
自車両、前記対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、前記予測手段が予測した出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができるか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記推定手段は、前記判定手段が、前記出会い位置において自車両と前記対向車両がすれ違うことができないと判定したことに基づいて、自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記推定手段は、自車両の前方における自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置の推定を試み、自車両の前方における自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置の推定に失敗した場合に、自車両の後方における自車両と対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推定手段の推定における、ある位置において自車両と前記対向車両とがすれ違うことができるとする判断基準の高低は、ユーザによって設定可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記推定手段は、車両の周囲を撮影するカメラが撮影した画像に基づいて特定された前記対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
自車両、対向車両、および道路の大きさに関する情報に基づいて、その道路中で自車両と前記対向車両がすれ違うことのできる位置を推定する推定手段、および
前記推定手段が推定したすれ違い可能位置を表示装置に表示させる表示制御手段として、コンピュータを機能させるすれ違い可能位置表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−106945(P2006−106945A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290132(P2004−290132)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】