説明

ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】 誘導経路に沿ったレーン変更が困難な場合に、ドライバが無理にレーン変更を試みてしまう可能性を低減する
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置が、初期誘導経路中の案内ポイントの手前の初期案内開始地点に到達すると(ステップ210)、当該案内ポイントについての初期誘導経路に沿ったレーン案内を行う(ステップ220)。そして、そのレーン案内の後、当該案内ポイントの手前の第2案内地点に到達すると(ステップ230)、自車両が案内レーン近くにいるか否かを判定し(ステップ240)、近くにいる場合は初期誘導経路に基づくレーン案内を再度行う(ステップ250)。また、近くにいない場合は代替誘導経路を算出し(ステップ260)、その算出した代替誘導経路に沿ったレーン案内を行う(ステップ270)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーン案内を行うためのナビゲーション装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの誘導経路中の右左折交差点等の案内ポイントにおける、音声や拡大地図による案内の際、その案内ポイントに進入する道路が複数車線を有している場合、「○○メートル先、右方向です。右レーンに移動して下さい。」等の、走行レーンを指示するレーン案内を行うナビゲーション装置が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2000−266556号公報
【特許文献2】特開2000−18956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えばレーン案内後、車両がレーン案内の対象となるポイントに進入するとき、依然としてレーン案内の指定する案内レーンから大きく離れている場合、その案内レーンが混雑している場合等の、これから誘導経路に沿ってレーン移動することが困難となってしまう場合が発生する可能性ある。このような場合における無理なレーン移動は、車両の安全を考慮すれば避けることが望ましい。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、誘導経路に沿ったレーン移動が困難な場合に、ドライバが無理にレーン移動を試みてしまう可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明の特徴は、ナビゲーション装置が、初期誘導経路中の案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての当該初期誘導経路に沿ったレーン案内を行い、そのレーン案内の後、当該案内ポイントの手前で、自車両は案内した案内レーン上にいないことを判定した場合、当該案内ポイントの手前で、当該案内ポイント近傍において当該初期誘導経路から分岐すると共にその分岐後に当該初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うようになっていることである。ここで、案内ポイント近傍とは、案内ポイントおよび当該案内ポイントから基準距離内の前方から成る。
【0006】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、初期誘導経路に沿ったレーン案内の後、自車両が案内レーンにいないことに基づいて、後にその初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うので、初期誘導経路に沿ったレーン移動が困難な場合に、ドライバが無理に初期誘導経路に沿ったレーン移動を試みてしまう可能性を低減することができる。
【0007】
また、ナビゲーション装置は、初期誘導経路中の案内ポイントが、その案内ポイント近傍においてその初期誘導経路中から分岐し、かつ分岐後は不可避的にその初期誘導経路に合流する一時分岐道路を伴う一時分岐レーン案内ポイントであることを検出し、そのように検出した一時分岐レーン案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての初期誘導経路に沿ったレーン案内を行い、その後、当該一時分岐レーン案内ポイントの手前で、自車両は案内レーン上にいないと判定した場合、当該一時分岐レーン案内ポイントの手前で当該一時分岐道路に進入する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うようになっていてもよい。
【0008】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、初期誘導経路に沿ったレーン案内の後、自車両が案内レーンにいないことに基づいて、後にその初期誘導経路に不可避的に合流する一時分岐道路に進入する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うので、車両を初期誘導経路に復帰させることがより容易である。
【0009】
また、ナビゲーション装置は、初期誘導経路中の一時分岐レーン案内ポイントの手前の、地図データに記録された初期案内開始地点で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行うようになっていてもよい。このようになっていることで、地図データの設計者は、一時分岐レーン案内ポイント毎の道路事情に柔軟に対応して、初期案内開始地点をあらかじめ調整しておくことができる。
【0010】
また、ナビゲーション装置は、初期誘導経路に沿ったレーン案内を行った後、自車両は、その案内した案内レーンよりも、代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うならそのレーン案内の対象となる案内レーンに近いレーン上にいることを判定した場合、当該案内ポイントの手前で、代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うようになっていてもよい。
【0011】
このようになっていることで、ナビゲーション装置は、自車両が初期誘導経路にいないことにとどまらず、自車両が代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うならそのレーン案内の対象となる案内レーンに近いことも判定した上で、その判定に基づいて代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うので、初期誘導経路に沿ったレーン移動が困難な場合をより精度良く検出することができる。
【0012】
また、レーン案内に用いる初期誘導経路は、代替誘導経路より合流数が少ない経路となっていてもよい。このようになっていることで、まず合流数の少ない経路を誘導経路とすることができるので、より安全な誘導経路の走行が可能となる。
【0013】
また、本発明の特徴は、初期誘導経路中の案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行う機能、前記初期経路レーン案内手段がレーン案内を行った後、前記案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないことを判定する機能、および前記レーン判定手段が自車両は前記案内レーン上にいないと判定した場合、前記案内ポイントの手前で、前記案内ポイントにおいてまたは前記案内ポイントから基準距離内の前方において前記初期誘導経路から分岐し、その分岐後に前記初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行う機能をコンピュータに実現させるプログラムとしても捉えることができる。
【0014】
また、初期誘導経路中の、地図データに記録された初期案内開始地点で、その初期案内開始地点の先の案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行い、その後、当該案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないと判定した場合、当該案内ポイントの手前で、当該案内ポイントにおいてまたは当該案内ポイントから基準距離内の前方において初期誘導経路から分岐すると共にその分岐後に前記初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うナビゲーション装置に用いる地図データとして、初期案内開始地点として、同じノード、またはリンクに沿って基準距離内にある2つのノード、からそれぞれ分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流する一時分岐リンク対の手前の地点を記憶するようなものは、本発明に用いるナビゲーション装置に用いて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、およびCPU19を有している。
【0016】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、操舵角センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報をCPU19に出力する。
【0017】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号をCPU19に出力する。
【0018】
画像表示装置13は、CPU19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0019】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、CPU19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0020】
地図データは、リンクおよびノードの位置、種別、レーン情報、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。レーン情報とは、そのリンクのレーン数、各レーン幅、各レーン位置、各レーンがどのリンクに接続可能か等のデータから成る。なお、各レーンがどのリンクに接続可能なのかは、右折専用、左折専用、直進専用等の、路上ペイント等に現れるような法制的車線規制状況、および分離帯等の存在による物理的車線規制状況に基づいてあらかじめ作成される。
【0021】
また、地図データは、一時分岐リンク対における最初の分岐点、および一時分岐リンク対の手前の地点の位置(緯度、経度)を、初期案内開始地点の位置として記憶している。一時分岐リンク対とは、同じノードから分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流するという特徴、および、リンクに沿って近隣する2つのノードからそれぞれ分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流するという特徴の、いずれか1つを有するリンク対である。ここで、近隣する2つのノードとは、例えば、500メートル以内等の基準距離内にある2つのノード、地図データ作成者が各道路の事情を勘案して近隣するとみなした2つのノード等をいう。
【0022】
図2に、このような一時分岐リンク対を有する道路構造の地図表示を示す。この道路構造においては、図面下から上へ向かう4車線道路の最左端の車線31および最右端の車線32が、それぞれ分岐点33および34において他の車線から分岐し、その後互いに不可避的に合流して図中右下方向にある成田に向かう道路35に接続するようになっている。また、上記4車線道路の中央の2車線36、37は、図中上方向にある羽田に向かうようになっている。ここでは、分岐点33から道路35に接続する地点までのリンクと、分岐点34から道路35に接続する地点までのリンクが、上述の一時分岐リンク対に相当する。
【0023】
一時分岐リンク対における最初の分岐点とは、それらリンク対に進入するためのリンクを走行するときに、最初に現れるその走行リンク上の当該リンク対へ進入する分岐点をいう。図2の例においては、一時分岐リンク対における最初の分岐点は、分岐点33および分岐点34のいずれであってもよい。
【0024】
また、一時分岐リンク対の手前の地点とは、それらリンク対に進入するための上述の走行リンク上の、当該リンク対へ進入する分岐点のどちらよりも手前にある地点である。この地点は、地図データ作成者が各道路の事情を勘案して決定するようになっているが、典型的には、例えば一時分岐リンク対における最初の分岐点から走行リンクを逆に辿って1キロメートル程度の位置にある。
【0025】
CPU(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0026】
CPU19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路探索処理、経路案内処理等がある。
【0027】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0028】
誘導経路探索処理は、操作スイッチ群12からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0029】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的施設、経由施設および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に出力し、案内交差点に対して処理距離の手前に自車両が到達した時等の必要時に、右折、左折、レーン移動等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。具体的には、後述する非レーン案内ポイントの所定距離手前における右左折案内、通常レーン案内ポイントの所定距離手前における右左折案内およびレーン案内等を行う。
【0030】
また、本実施形態におけるCPU19は、誘導経路探索処理によって誘導経路が算出されると、図3に示す案内準備用プログラム100を、その誘導経路(以下初期誘導経路と記す)中の交差点(分岐点、合流点を含む)毎に実行する。またCPU19は、経路案内処理の一部として、図4に示す一時分岐レーン案内用プログラム200を繰り返し実行する。
【0031】
まず、CPU19は、案内準備用プログラム100のある交差点についての実行回において、まずステップ110で、当該交差点が案内ポイントであるか否かを、初期誘導経路がその交差点を道なり走行しないか道なり走行するかで判定する。道なり走行しない場合としては、当該交差点を右左折する場合、当該交差点に主要道から入って非主要道から抜ける場合がある。案内ポイントであれば続いてステップ120を実行し、案内ポイントでなければ今回の案内準備用プログラム100の実行を終了する。
【0032】
ステップ120では、地図データに基づいて、当該交差点がレーン案内ポイントであるか否かを判定する。レーン案内ポイントであるか否かは、具体的には、初期誘導経路に沿って当該交差点に進入するための道路、すなわち進入道路が、その進入方向向きの車線を複数有しているか否かで判定する。交差点がレーン案内ポイントでない場合、続いてステップ130を実行し、レーン案内ポイントである場合、続いてステップ140を実行する。
【0033】
ステップ140では、地図データに基づいて、当該交差点が一時分岐レーン案内ポイントであるか否かを判定する。一時分岐レーン案内ポイントとは、そのポイントにおいてまたはそのポイントから基準距離内の前方においてその初期誘導経路中から分岐し、かつ分岐後は不可避的にその初期誘導経路に合流する一時分岐道路を伴うレーン案内ポイントである。一時分岐レーン案内ポイントであるか否かは、具体的には、地図データ中に記録されている「一時分岐リンク対における最初の分岐点の位置」と、当該交差点とが合致するか否かで判定してもよいし、実施に地図データの道路接続状態を解析し、「同じノードから分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流するという特徴、および、リンクに沿って近隣する2つのノードからそれぞれ分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流するという特徴のいずれか1つを有するリンク対の、最初の分岐点の位置」に、当該交差点が該当するか否かで判定してもよい。一時分岐レーン案内ポイントでない場合、続いてステップ150を実行し、一時分岐レーン案内ポイントである場合、続いてステップ160を実行する。
【0034】
ステップ130では、当該交差点を、レーン案内ポイントでない案内ポイント、すなわち非レーン案内ポイントであるとし、非レーン案内用の準備を行う。非レーン案内用の準備とは、具体的には、RAM16中に、当該交差点が非レーン案内ポイントである旨のデータを記録することである。ステップ130の後、案内準備用プログラム100の今回の実行を終了する。
【0035】
ステップ150では、当該交差点を、レーン案内ポイントであり一時分岐レーン案内ポイントでない案内ポイント、すなわち通常レーン案内ポイントであるとし、通常レーン案内用の準備を行う。通常レーン案内用の準備とは、具体的には、RAM16中に、当該交差点が通常レーン案内ポイントである旨のデータを記録することである。ステップ150の後、案内準備用プログラム100の今回の実行を終了する。
【0036】
ステップ160では、当該交差点を、一時分岐レーン案内ポイントであるとし、一時分岐レーン案内用の準備を行う。一時分岐レーン案内用の準備とは、具体的には、RAM16中に、当該交差点が一時分岐レーン案内ポイントである旨のデータを記録することである。ステップ160の後、案内準備用プログラム100の今回の実行を終了する。
【0037】
以上のような案内準備用プログラム100をCPU19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、初期誘導経路中の各交差点のそれぞれについて、それが非レーン案内ポイントであるか、通常レーン案内ポイントであるか、一時分岐レーン案内ポイントであるかを判定し(ステップ110、120、140参照)、非レーン案内ポイントについては非レーン案内ポイント用の準備を行い(ステップ130参照)、通常レーン案内ポイントについては通常レーン案内ポイント用の準備を行い(ステップ150参照)、一時分岐レーン案内ポイントについては一時分岐レーン案内ポイント用の準備を行う(ステップ160参照)。
【0038】
また、CPU19は、自車両が一時分岐レーン案内用プログラム200の実行において、まずステップ210で、現在位置特定処理によって特定した現在位置が、地図データ中に記載された初期案内地点であるか否かを判定する。初期案内地点でない場合、再度このステップ210を実行し、初期案内地点である場合、続いてステップ220を実行する。ステップ220では、初期レーン案内、すなわち初期誘導経路に沿った一時分岐レーン案内ポイントのレーン案内を行う。ここで、案内を行う対象の一時分岐レーン案内ポイントは、案内準備用プログラム100のステップ160によってRAM16に記憶されたポイントのうち、当該初期案内位置の先にありかつ最も近いポイントである。レーン案内の具体例としては、地図データ中のレーン情報に基づいて、案内レーンを特定し、この案内レーンを画像表示装置13およびスピーカ14に表示させる。案内レーンとは、当該一時分岐レーン案内ポイントを退出可能な進入道路中のレーンである。例えば、初期誘導経路が右折の場合は右折後のリンクに接続可能な、進入道路中のレーン(例えば最も右側のレーン、最も右側の2レーン等)が案内レーンである。この例の場合、レーン案内は、「この先右折です。最も右側のレーンに移動して下さい」、「この先左折です。最も左側の2レーンに移動して下さい」という音声をスピーカ14に出力させ、当該レーンを強調する地図拡大表示を画像表示装置13に行わせることに相当する。
【0039】
続いてステップ230では、現在位置が第2案内地点であるか否かの判定を、この判定が肯定になるまで続ける。すなわち、自車両が第2案内地点に到達するまで待つ。この第2案内地点は、上述の初期案内開始地点よりも上記一時分岐レーン案内ポイントに近く、かつその一時分岐レーン案内ポイントよりも手前にある地点である。また、この第2案内地点の一時分岐レーン案内ポイントからの距離は、非レーン案内ポイントや通常案内ポイントから経路案内処理において当該非レーン案内ポイントや通常案内ポイントについての案内を行う位置までの距離と同程度であってもよい。例えば、第2案内地点は、一時分岐レーン案内ポイントから初期誘導経路を遡って所定の距離(例えば500メートル)にある地点であってもよい。
【0040】
第2案内地点に到達すると、続いてステップ240で、現在自車両の走行しているレーン(以下現走行レーンと記す)が、案内レーン近くにあるか否かを判定する。案内レーンとは、ステップ220で画像表示装置13、スピーカ14を用いてドライバに対し走行を指示したレーンである。また、現走行レーンが案内レーン近くにあるとは、より詳細には、現走行レーンが代替走行レーンよりも案内レーンに近いことをいう。代替走行レーンとは、後述するステップ260で代替誘導経路を算出したとすると、その代替誘導経路に沿った当該一時分岐レーン案内ポイントについてのレーン案内の対象となる案内レーンである。より具体的には、代替走行レーンとは、地図データ中の、当該一時分岐レーン案内ポイントが伴う一時分岐リンク対のうち、初期誘導経路によって通るようになっていない方のリンクに進入可能なレーンである。したがって、代替走行レーンは、地図データに基づいて特定することができる。
【0041】
なお、自車両の走行しているレーンの特定は、例えば、位置検出器11の有するGPS受信機として、数センチメートルの誤差で現在位置を特定できるRTK(リアルタイムキネマティック)−GPSからの現在位置情報と、地図データ中のレーン情報とを対比することで実現可能である。また、過去の自車両の走行経路中において道路中の存在位置がレーン幅程度の精度で特定できている場合(例えば、地図データにレーン幅程度の精度を有する位置が記載されているETCゲートを通過した場合)、その位置を起点とする位置検出器11の車速センサ、操舵角センサ、地磁気センサ、ジャイロスコープ等を用いた自立航法によって、現在位置をレーン幅程度の精度で特定し、その現在位置を地図データのレーン情報と対比することで、自車両の走行しているレーンの特定を行ってもよい。
【0042】
ステップ240で、現在自車両の走行しているレーンが案内レーン近くにあると判定する場合、続いてステップ250を実行する。また、案内レーン近くにない、すなわち、現在自車両の走行しているレーンが案内レーンよりも代替レーンに近い、と判定する場合、続いてステップ260を実行する。
【0043】
ステップ250では、第2のレーン案内を行う。具体的には、ステップ220の初期レーン案内と同じレーン案内を行う。ステップ250の後、一時分岐レーン案内用プログラム200の今回の実行を終了する。
【0044】
ステップ260では、代替誘導経路を算出する。代替誘導経路とは、具体的には、現在位置と開始地点とし、初期誘導経路の目的地を目的地とし、当該一時分岐レーン案内ポイントが伴う一時分岐リンク対のうち、初期誘導経路が通らない方のリンクを通る最適経路である。この代替誘導経路は、一時分岐リンク対の合流する地点で、初期誘導経路と不可避的に合流する。なお、この代替誘導経路は図3の案内準備用プログラム100の当該一時分岐レーン案内ポイントについての実行回のステップ160であらかじめ算出してRAM16に記憶しておき、このステップ270ではそのデータを読み出すようになっていてもよい。
【0045】
続いてステップ270で、この代替経路に沿ったレーン案内を行う。すなわち、代替レーンに移動するよう指示する映像および音声の案内を、画像表示装置13およびスピーカ14に行わせる。ステップ270の後、今回の一時分岐レーン案内用プログラム200の実行を終了する。
【0046】
以上のような一時分岐レーン案内用プログラム200をCPU19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、一時分岐レーン案内ポイントの手前の初期案内開始地点に到達すると(ステップ210参照)、当該一時分岐レーン案内ポイントについての初期誘導経路に沿ったレーン案内を行う(ステップ220参照)。そして、そのレーン案内の後、当該案内ポイントの手前の第2案内地点に到達すると(ステップ230参照)、自車両が案内レーン近くにいるか否かを判定し(ステップ240参照)、近くにいる場合は初期誘導経路に基づくレーン案内を再度行う(ステップ250参照)。また、近くにいない場合は一時分岐道路を通る代替誘導経路を算出し(ステップ260参照)、その算出した代替誘導経路に沿ったレーン案内を行う(ステップ270参照)。
【0047】
ここで、このような作動の車両用ナビゲーション装置1を搭載する車両が、図2に示した道路構造の領域を、点線38に示す経路を初期誘導経路として走行する場合について説明する。この場合、車両用ナビゲーション装置1は、分岐点33および分岐点34の手前の初期案内開始地点に到達すると、一時分岐レーン案内用プログラム200のステップ220により、まず「右折します。最も右のレーンに移動して下さい」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。そして、第2案内地点に車両が到達すると、現在の自車両のレーンを特定し、その特定したレーンが案内レーン32、または代替レーン31よりも案内レーン32に近い車線37ならば、ステップ250で、「右折します。最も右のレーンに移動して下さい」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。また、特定したレーンが代替レーン31、または案内レーン32よりも代替レーン31に近い車線36ならば、ステップ260で代替誘導経路39を算出し、ステップ270で、「右折します。最も左のレーンに移動して下さい」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。
【0048】
また、図5に、一時分岐リンク対を有する別の道路構造の地図表示を示す。この道路構造においては、図面中左から右へ向かう2車線の高速道路本線41に、合流道路42が合流し、その合流点の手前の分岐点49において本線41からの退出道路43が分岐し、またその合流点の先の分岐点50において本線41からの退出道路44が分岐している。また、退出道路44と退出道路43は、不可避的に合流して道路45に接続するようになっている。ここでは、分岐点49から道路45に接続する地点までのリンクと、分岐点50から道路45に接続する地点までのリンクが、上述の一時分岐リンク対に相当する。また、この図の例においては、一時分岐リンク対における最初の分岐点は、分岐点49である。
【0049】
ここで、この図5に示した道路構造の領域を、点線47に示す経路を初期誘導経路として、車両用ナビゲーション装置1を搭載した車両が走行する場合について説明する。なお、この初期誘導経路47は、点線46で示す案内経路よりも、合流道路42の分だけ、合流が少ない。このように、ここでは、車両用ナビゲーション装置1のCPU19は、誘導経路検索処理において、初期誘導経路として、合流道路の少ない方をよりコストの低い(すなわち案内経路としてより優先的に選択するべき)道路であるとする。このようになっていることで、まず合流数の少ない経路を誘導経路とすることができるので、より安全な誘導経路の走行が可能となる。
【0050】
またこの場合、車両用ナビゲーション装置1は、分岐点49の手前の初期案内開始地点に到達すると、一時分岐レーン案内用プログラム200のステップ220により、まず「右折します。右のレーンに移動して下さい」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。そして、第2案内地点に車両が到達すると、現在の自車両のレーンを特定し、その特定したレーンが本線41の右側レーンならば、ステップ250で、「右折します。現在のレーンを保ってください。」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。また、特定したレーンが本線41の左側レーンならば、ステップ260で代替誘導経路46を算出し、ステップ270で、「本線を**メートル直進した後に右折します。現在のレーンを保ち、その後右レーンに移ってください」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。
【0051】
このようになっているので、ナビゲーション装置は、初期誘導経路に沿ったレーン案内の後、自車両が案内レーンにいないことに基づいて、後にその初期誘導経路に不可避的に合流する一時分岐道路に進入する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うので、初期誘導経路に沿ったレーン移動が困難な場合に、ドライバが無理に初期誘導経路に沿ったレーン移動を試みてしまう可能性を低減することができ、車両を初期誘導経路に復帰させることが容易である。
【0052】
なお、上記の実施形態において、CPU19が、一時分岐レーン案内用プログラム200のステップ220を実行することで初期経路レーン案内手段として機能し、ステップ240を実行することでレーン判定手段として機能し、ステップ270を実行することで代替経路レーン案内手段として機能する。またCPU19が、案内準備用プログラム100のステップ140を実行することで一時分岐検出手段として機能する。
【0053】
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態においては、CPU19が一時分岐レーン案内用プログラム200を実行する対象の案内ポイントは、その案内ポイントにおいてまたはその案内ポイントから基準距離内の前方においてその初期誘導経路中から分岐し、かつ分岐後は不可避的にその初期誘導経路に合流する一時分岐道路を伴うポイント、すなわち一時分岐レーン案内ポイントであったが、かならずしもこのようになっている必要はない。例えば、一時分岐レーン案内用プログラム200を実行する対象の案内ポイントは、図6に示すような碁盤の目のような構造の道路群における、片側2車線両側4車線道路51から進入するレーン案内ポイント52であってもよい。この進入道路51における上方向の2車線のうち、左側車線は直進および左折専用レーンであり、右側車線は右折専用レーンであるとする。また、初期誘導経路が点線53のようになっているとする。
【0054】
このとき、車両用ナビゲーション装置1のCPU19は、以下のような作動を行ってもよい。すなわち、案内ポイント52の手前の基準距離に到達すると、一時分岐レーン案内用プログラム200のステップ210で、初期案内開始地点に到達したと判定し、ステップ220により、まず「左折します。左のレーンに移動して下さい」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。そして、ステップ230で、案内ポイント52に対する第2案内地点に車両が到達したと判定すると、続いてステップ240で現在の自車両のレーンを特定し、その特定したレーンが左側レーンならば、ステップ250で、「左折します。現在のレーンを保ってください。」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。また、特定したレーンが右側ならば、ステップ260で、案内ポイント52において右折することで初期誘導経路53から分岐し、交差点54、交差点55を経由して初期誘導経路53に合流する代替誘導経路56を算出し、ステップ270で、この代替誘導経路56に沿ったレーン案内として「右折します。現在のレーンを保ってください。」という旨の音声案内およびレーン拡大表示案内の処理を行う。
【0055】
また、上記の実施形態においては、初期案内開始地点が地図データに記憶されていることで、地図データの設計者は、一時分岐レーン案内ポイント毎の道路事情に柔軟に対応して、初期案内開始地点をあらかじめ調整しておくことができる。しかし、必ずしもこのよういなっておらずともよく、初期案内開始地点のデータが地図データにない場合であっても、CPU19はステップ210で、一時分岐レーン案内ポイントから初期誘導経路に沿って基準距離手前の位置に自車両が到達したとき、初期案内開始地点に到達したと判定するようになっていればよい。この基準距離は、非レーン案内ポイントや通常案内ポイントから経路案内処理において当該非レーン案内ポイントや通常案内ポイントについての案内が行われる位置までの距離よりも、大きいほうが望ましい。
【0056】
また、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1が、本発明のナビゲーション装置の一例として挙げられているが、本発明のナビゲーションシステムは、車両用ナビゲーション装置に限らず、例えば、人が携帯できるような携帯型ナビゲーション装置としても実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】本実施形態が適用される案内ポイントとしての、高速道路のランプの地図表示である。
【図3】CPU19が実行する案内準備用プログラム100のフローチャートである。
【図4】CPU19が実行する一時分岐レーン案内用プログラム200のフローチャートである。
【図5】本実施形態が適用される案内ポイントとしての、高速道路の合流・分岐路の地図表示である。
【図6】1 交差点が縦横に並ぶ道路群の地図表示である。
【符号の説明】
【0058】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…スピーカ、16…RAM、17…ROM、
18…外部記憶媒体、19…CPU、31…代替レーン、32…案内レーン、
33、34…分岐点、35、45…道路、36、37…車線、
38、47、53…初期誘導経路、39、46、56…代替誘導経路、41…本線、
42…合流道路、43、44…退出道路、51…進入道路、52…案内ポイント、
54、55…交差点、56…代替誘導経路、100…案内準備用プログラム、
200…一時分岐レーン案内用プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期誘導経路中の案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行う初期経路レーン案内手段と、
前記初期経路レーン案内手段がレーン案内を行った後、前記案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないことを判定するレーン判定手段と、
前記レーン判定手段が自車両は前記案内レーン上にいないと判定した場合、前記案内ポイントの手前で、前記案内ポイントにおいてまたは前記案内ポイントから基準距離内の前方において前記初期誘導経路から分岐すると共にその分岐後に前記初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行う代替経路レーン案内手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
初期誘導経路中の案内ポイントが、その案内ポイントにおいてまたはその案内ポイントから基準距離内の前方においてその初期誘導経路中から分岐し、かつ分岐後は不可避的にその初期誘導経路に合流する一時分岐道路を伴う一時分岐レーン案内ポイントであることを検出する一時分岐検出手段を備え、
前記初期経路レーン案内手段は、初期誘導経路中の、前記一時分岐検出手段が検出した一時分岐レーン案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行い、
前記レーン判定手段は、前記初期経路レーン案内手段がレーン案内を行った後、前記一時分岐レーン案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないと判定し、
前記代替経路レーン案内手段は、前記レーン判定手段が自車両は前記案内レーン上にいないと判定した場合、前記一時分岐レーン案内ポイントの手前で、前記一時分岐道路に進入する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記初期レーン案内手段は、初期誘導経路中の、前記一時分岐検出手段が検出した一時分岐レーン案内ポイントの手前の、地図データに記録された初期案内開始地点で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記レーン判定手段は、前記初期経路レーン案内手段がレーン案内を行った後、前記案内ポイントの手前で、自車両は、前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーンよりも、前記代替レーン案内手段が前記代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うならそのレーン案内の対象となる案内レーンに近いレーン上にいることを判定し、
前記代替経路レーン案内手段は、前記レーン判定手段が、自車両は、前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーンよりも、前記代替レーン案内手段が前記代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うならそのレーン案内の対象となる案内レーンに近いレーン上にいると判定した場合、前記案内ポイントの手前で、前記代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記初期経路レーン案内手段が前記レーン案内に用いる初期誘導経路は、前記代替誘導経路より合流数が少ない経路であることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
初期誘導経路中の案内ポイントの手前で、その案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行う初期経路レーン案内手段、
前記初期経路レーン案内手段がレーン案内を行った後、前記案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないことを判定するレーン判定手段、および
前記レーン判定手段が自車両は前記案内レーン上にいないと判定した場合、前記案内ポイントの手前で、前記案内ポイントにおいてまたは前記案内ポイントから基準距離内の前方において前記初期誘導経路から分岐し、その分岐後に前記初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行う代替経路レーン案内手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項7】
初期誘導経路中の、地図データに記録された初期案内開始地点で、その初期案内開始地点の先の案内ポイントについての前記初期誘導経路に沿ったレーン案内を行い、その後、当該案内ポイントの手前で、自車両は前記初期経路レーン案内手段の案内した案内レーン上にいないと判定した場合、当該案内ポイントの手前で、当該案内ポイントにおいてまたは当該案内ポイントから基準距離内の前方において初期誘導経路から分岐すると共にその分岐後に前記初期誘導経路に合流する代替誘導経路に沿ったレーン案内を行うナビゲーション装置に用いる地図データであって、
前記初期案内開始地点として、同じノード、またはリンクに沿って基準距離内にある2つのノード、からそれぞれ分岐すると共に分岐後は不可避的に互いに合流する一時分岐リンク対の手前の地点を記憶する地図データ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−226818(P2006−226818A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40664(P2005−40664)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】