説明

ナビゲーション装置および周辺施設案内方法

【課題】施設の利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設まで、どのように運転すべきかをユーザに把握させることが可能な「ナビゲーション装置および周辺施設案内方法」を提供する。
【解決手段】施設ジャンルと利用時間帯とを設定しておき、その設定した時間帯に現在時刻が入っている間、当該利用時間帯が設定された施設ジャンルに属する施設のうち、現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索して案内を行うことにより、現在時刻を含む利用時間帯が設定された施設ジャンルが存在すれば、当該施設ジャンルに属する最寄り施設までの誘導経路案内が当該利用時間帯の間行われるようにし、ユーザの利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設まで、どのように運転すべきかをユーザに把握させることができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置および周辺施設案内方法に関し、特に、自車位置の周辺にある施設を検索して案内する機能を備えたナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の一機能として、自車位置より所定距離の範囲内にある施設を検索する機能(以下、周辺施設検索機能という)がある。この周辺施設検索機能は、あらかじめ定めた複数種類の施設ジャンル(例えば、コンビニエンスストアや駐車場、ガソリンスタンド、銀行、公共施設等)のうち、ユーザによって指定された施設ジャンルに属する施設を検索する機能である。すなわち、ユーザが複数ある施設ジャンルの中から所望の施設ジャンルを選択すると、ナビゲーション装置は、この選択された施設ジャンルに属する施設を検索して、その結果を画面上に表示するようになっている。例えば自車位置周辺にあるレストランを検索した場合には、その検索結果は、自車位置から近い順に、レストラン名、自車位置からの距離および自車位置からの方位などが一覧リストとして表示される。しかしながら、施設情報を一覧リストとして表示する方法では、施設の場所がユーザにとって視覚的に分かりにくいという欠点があった。
【0003】
周辺施設検索機能に関する技術としては、ランドマーク表示の設定をしている施設ジャンルに属する全施設の中で自車位置に最も近い施設の施設情報(施設名称や自車位置からの距離)を地図画面に表示するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の技術によれば、所望の施設ジャンルを選択し、当該施設ジャンルにおいて最も距離が近い施設情報を表示することができるため、一覧リストの中から所望の施設を探して選択する操作の手間が軽減される。しかし、特許文献1に記載の技術は、施設情報を一覧リストとして表示する方法ではないものの、施設の場所は依然として視覚的に分かりにくいという欠点があった。
【特許文献1】特開2005−83802号公報
【0004】
また、ユーザが過去に利用した施設の施設ジャンルに属する施設を示すアイコンを、ユーザが過去に利用した時間帯のときに地図上に表示する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2には、ユーザが設定した施設ジャンルに属する施設のアイコンを、ユーザが設定した時間帯のときに地図上に表示する技術も開示されている。この特許文献2に記載の技術によれば、施設アイコンが地図上に表示されるので、施設の場所が視覚的に分かる。ただし特許文献2は、周辺施設検索の結果として得られた施設のアイコンを表示するものではなく、単にランドマークとして表示するアイコンの数を特定の施設ジャンルのものに限定することにより、道路地図を見やすくするようにしたものである。
【特許文献2】特開2006−251720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、周辺施設をリスト表示する従来技術や、特許文献1に記載の技術では、周辺施設の施設情報としては、自車位置からの距離および方位が表示されるのみである。そのため、自車位置と周辺施設との位置関係が視覚的に分かりづらく、実際に当該周辺施設までどのように運転していくべきか分からないという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2に記載の技術では、施設を示すアイコンが地図上に表示されるので、自車位置と当該施設との大まかな位置関係は把握できる。しかも、表示されるアイコンは、ユーザの嗜好の変化や利用時間帯の変化に応じて選択された施設ジャンルのアイコンである。しかしながら、ユーザの嗜好に合った施設ジャンルのアイコンが表示されたとしても、それは単なるランドマークとしての表示なので、その中の何れかの施設に実際に向かうとは限らない。仮に向かうとしても、実際にその施設まで行ったことがなかったり、当該施設があまり普段行かない方面にあったりする場合は、やはり実際に当該施設までどのように運転していくべきか把握することは困難である。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、施設の利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設まで、どのように運転すべきかをユーザに把握させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、施設ジャンルと利用時間帯とを設定しておき、その設定した時間帯に現在時刻が入っている間、当該利用時間帯が設定された施設ジャンルに属する施設のうち、現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索して案内を行うようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、現在時刻を含む利用時間帯が設定された施設ジャンルが存在すれば、当該施設ジャンルに属する最寄り施設までの誘導経路案内が当該利用時間帯の間行われるため、施設の利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設まで、どのように運転すべきかをユーザに把握させることができる。
【0010】
また、本発明によれば、車両の走行に現在位置からの伴い最寄り施設が変わった場合、誘導経路案内の対象施設が新たな最寄り施設に自動的に切り替えられる。そのため、例えば、案内されている最寄り施設までの誘導経路をユーザが意図的に無視した場合に、現時点における最寄り施設をリアルタイムに検索して、当該検索した最寄り施設までの誘導経路案内を柔軟に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100の構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。DVD−ROM11に記録された地図データは、広い地域を一望するための上位レベルの地図(縮尺の小さい地図)から、狭い地域を詳細に記述した下位レベルの地図(縮尺の大きい地図)まで、レベルと呼ばれる単位に階層化して管理されている。各レベルの地図データには、地図表示に必要な描画ユニットのデータ(地図上に存在する道路や建物、施設に関する各種のデータ)の他に、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要な道路ユニットのデータが含まれている。
【0012】
さらに、DVD−ROM11は、地図上に存在する複数の施設の位置および施設ジャンルを含む施設情報を記憶している。施設情報は、DVD−ROM11に記憶された地図データ中の施設名称に対応させて、施設の種別を表す施設ジャンル、施設の位置(緯度、経度で表される位置)等を情報として含んでいる。なお、ここでは地図データや施設情報を記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0013】
12は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0014】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0015】
13は地図情報記憶部であり、DVD−ROM制御部14の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。15は施設情報記憶部であり、DVD−ROM制御部14の制御によってDVD−ROM11から読み出された施設情報を一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部14は、DVD−ROM11からの地図データおよび施設情報の読み出しを制御する。
【0016】
DVD−ROM制御部14は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図情報記憶部13に格納する。また、DVD−ROM制御部14は、ナビゲーション装置100の起動時にDVD−ROM11から地図データを初めて読み出すときに、施設情報の読み出し指示を出力することにより、施設の検索に必要な施設情報をDVD−ROM11から読み出して施設情報記憶部15に格納する。
【0017】
16はリモートコントローラ(リモコン)等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、所望の施設ジャンルや当該施設ジャンルに属する施設の利用時間帯)を設定したり、各種の操作(例えば、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール操作など)を行ったりするための各種操作子(ボタンやジョイスティック等)を備えている。なお、ここではリモコン16を用いる例について説明しているが、タッチパネルを用いても良い。
【0018】
17は利用時間帯設定部であり、施設情報記憶部15に記憶されている複数の施設ジャンルのうち、何れか1以上の施設ジャンルに属する施設の利用時間帯を1以上、当該1以上の施設ジャンルに関連付けてメモリ18に設定する。第1の実施形態では、利用時間帯設定部17は、ユーザによる操作部16の操作を介して指定された施設ジャンルについて、ユーザによる操作部16の操作を介して指定された利用時間帯をメモリ18に設定する。ユーザは、1つの施設ジャンルについて1つの利用時間帯を設定しても良いし、2つ以上の施設ジャンルについてそれぞれ1つずつ利用時間帯を設定しても良い。1つの施設ジャンルに対して複数の利用時間帯を設定しても良い。
【0019】
メモリ18は、ユーザによる操作部16の操作を介して指定された施設ジャンルの各々に対応させて、ユーザによる操作部16の操作を介して指定された1以上の利用時間帯を利用時間帯情報として記憶している。本実施形態では一例として、施設ジャンル(コンビニ)に属する施設の利用時間帯として「7:00〜8:00」、「12:00〜13:00」および「19:00〜20:00」の各1時間がメモリ18に記憶されているものとする。また、別の施設ジャンル(レストラン)に属する施設の利用時間帯として「19:00〜21:00」がメモリ18に記憶されているものとする。
【0020】
19は現在時刻取得部であり、現在時刻を取得する。20は施設ジャンル特定部であり、メモリ18に記憶されている利用時間帯情報を参照し、利用時間帯設定部17により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻取得部19により取得された現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルを特定する。例えば、現在時刻が12:30であれば、施設ジャンル特定部20は、利用時間帯として「12:00〜13:00」が設定されている施設ジャンル(コンビニ)を特定する。また、現在時刻が19:30であれば、施設ジャンル特定部20は、利用時間帯として「19:00〜20:00」が設定されている施設ジャンル(コンビニ)と、利用時間帯として「19:00〜21:00」が設定されている施設ジャンル(レストラン)とを特定する。
【0021】
21は施設検索部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、施設情報記憶部15に記憶されている施設情報とに基づいて、施設ジャンル特定部20により特定された1以上の施設ジャンルに属する全ての施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設を最寄り施設として所定間隔(一定の時間間隔あるいは距離間隔)毎に検索する。
【0022】
例えば、上述の例のように施設ジャンル特定部20により1つの施設ジャンル(コンビニ)が特定された場合、施設検索部21は、当該特定されたコンビニという施設ジャンルに属する全ての施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設を最寄り施設として所定間隔毎に検索する。また、施設ジャンル特定部20により2つの施設ジャンル(コンビニ、レストラン)が特定された場合、施設検索部21は、当該特定されたコンビニとレストランに属する全ての施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設を最寄り施設として所定間隔毎に検索する。
【0023】
22は誘導経路探索部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図情報記憶部13に記憶されている地図データとに基づいて、施設検索部21により最寄り施設として検索された施設までの誘導経路を探索する。23は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部22により探索された誘導経路のデータ(現在位置から最寄り施設に至るまでのノードの集合)を一時的に格納する。
【0024】
本実施形態おいて誘導経路探索部22は、施設検索部21により前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致しない場合に限り、現在位置から今回検索された最寄り施設までの誘導経路を探索する。これにより、施設検索部21により所定間隔毎に検索される最寄り施設が変化しない間は、誘導経路メモリ23に格納される誘導経路データは書き換わらない。また、施設検索部21により今回検索された最寄り施設が前回検索された最寄り施設から変化したときに、今回検索された最寄り施設までの誘導経路が誘導経路探索部22により再探索される。その結果、誘導経路メモリ23に格納される誘導経路データが書き換わる。
【0025】
24は誘導経路案内部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図情報記憶部13に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ23に格納された誘導経路データとに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部24は、地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地である施設(施設検索部21により検索された最寄り施設)までの走行案内を行う。
【0026】
26は地図表示制御部であり、誘導経路探索部22により探索された誘導経路の全体を含む地図画像を表示するように表示縮尺を制御する。具体的には、地図表示制御部26は、現在設定されている表示縮尺により表示中の地図画像の中に、施設検索部21により検索された最寄り施設の位置が含まれているか否かについて判定する。もし、表示中の地図画像の中に最寄り施設の位置が含まれている場合、地図表示制御部26は、現在設定されている表示縮尺により表示中の地図画像の中に誘導経路の全体が表示されていると判定する。この場合に地図表示制御部26は、表示縮尺の変更は行わない。
【0027】
一方、表示中の地図画像の中に最寄り施設の位置が含まれていない場合、地図表示制御部26は、現在設定されている表示縮尺により表示中の地図画像の中に誘導経路の全体が表示されていないと判定する。この場合、地図表示制御部26は、誘導経路の全体が表示される表示縮尺に地図画像の表示を変更させるために、当該表示縮尺を示す縮尺変更情報を誘導経路案内部24に出力する。誘導経路案内部24は、地図表示制御部26から縮尺変更情報が出力された場合には、現在設定されている表示縮尺によらず、当該縮尺変更情報により示される表示縮尺で地図画像を表示する。
【0028】
なお、本実施形態では最寄り施設までの誘導経路が誘導経路案内部24により表示されるので、その最寄り施設(誘導経路の全体)が必ずしも常に地図画像に表示されている必要はない。つまり、地図表示制御部26は必須の構成ではない。ただし、最寄り施設までの誘導経路であるから、全長はそれほど長くないことが多い。そのため、誘導経路の全体を表示しても、地図画像の表示縮尺が大きくなり過ぎることは少ない。したがって、検索された最寄り施設のおおよその場所とそこに行くまでの誘導経路の全体とが適度な縮尺の地図画像上で把握できるという点で、地図表示制御部26を設けるメリットがある。
【0029】
このように構成した第1の実施形態のナビゲーション装置100による誘導経路案内動作の例について、図2を参照しながら説明する。図2において、車両位置マーク200で特定される自車両は、道路260上を走行しているものとする。道路260の地点220から地点240までの区間は、例えば「19:00〜20:00」の時間帯に走行すると予想される区間であるとする。また、自車両の周辺には、施設ジャンル(レストラン)に属する施設300a〜300cと、施設ジャンル(コンビニ)に属する施設300d、300eとが存在しているものとする。
【0030】
図2(a)は、現在時刻が19:00のときにナビゲーション装置100によって行われる誘導経路案内の動作を説明する図である。まず、施設ジャンル特定部20は、メモリ18に記憶されている利用時間帯情報を参照し、利用時間帯設定部17により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻取得部19により取得された現在時刻(19:00)の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルとして、2つの施設ジャンル(レストラン、コンビニ)を特定する。上述のように、コンビニに属する施設の利用時間帯として「19:00〜20:00」がメモリ18に記憶され、レストランに属する施設の利用時間帯として「19:00〜21:00」がメモリ18に記憶されているからである。施設ジャンル特定部20は、特定した施設ジャンルを示す施設ジャンル情報を施設検索部21に出力する。
【0031】
次に、施設検索部21は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、施設情報記憶部15からの施設情報とに基づいて、施設ジャンル特定部20から出力された施設ジャンル情報により示される施設ジャンル(レストラン、コンビニ)に属する施設300a〜300eのうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設300a(レストラン)を最寄り施設として検索する。
【0032】
誘導経路探索部22は、施設検索部21により前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設(施設300a)とが一致するか否かについて判定する。図2(a)の例では、施設検索部21により前回検索された最寄り施設が存在しないため、誘導経路探索部22は一致しないと判定する。この場合、誘導経路探索部22は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データとに基づいて、現在位置から今回検索された最寄り施設(施設300a)までの誘導経路320を探索する。そして、誘導経路探索部22は、探索した誘導経路320のデータを誘導経路メモリ23に格納する。誘導経路案内部24は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データと、誘導経路メモリ23に格納された誘導経路320のデータとに基づいて誘導経路案内を行う。
【0033】
図2(b)は、現在時刻が12:10であるときにナビゲーション装置100によって行われる誘導経路案内の動作を説明する図である。すなわち、図2(b)は、ユーザが、誘導経路320に基づく誘導経路案内をあえて無視して道路260上を地点240に向かって10分間走行した後の様子を図示している。
【0034】
図2(b)において、施設ジャンル特定部20は、メモリ18に記憶されている利用時間帯情報を参照し、利用時間帯設定部17により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻取得部19により取得された現在時刻(19:10)の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルとして、2つの施設ジャンル(レストラン、コンビニ)を特定する。そして、特定した施設ジャンルを示す施設ジャンル情報を施設検索部21に出力する。
【0035】
施設検索部21は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、施設情報記憶部15からの施設情報とに基づいて、施設ジャンル特定部20から出力された施設ジャンル情報により示される施設ジャンル(レストラン、コンビニ)に属する施設300a〜300eのうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設300e(コンビニ)を最寄り施設として検索する。なお、図2(a)の状態から図2(b)の状態になるまでの10分間、施設検索部21は、現在位置からの直線距離が最短となる最寄り施設として、図2(a)で検出した施設300a(レストラン)を所定間隔毎に検索し続けてきたものとする。
【0036】
図2(b)の状態で、誘導経路探索部22は、施設検索部21により前回検索された最寄り施設(施設300a)と今回検索された最寄り施設(施設300e)とが一致するか否かについて判定する。図2(b)の例では、施設検索部21により前回検索された最寄り施設(施設300a)と今回検索された最寄り施設(施設300e)とが異なるため、誘導経路探索部22は一致しないと判定する。この場合、誘導経路探索部22は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データとに基づいて、現在位置から今回検索された最寄り施設(施設300e)までの誘導経路340を再探索する。そして、誘導経路探索部22は、探索した新しい誘導経路340のデータを誘導経路メモリ23に格納する。誘導経路案内部24は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データと、誘導経路メモリ23に格納された誘導経路340のデータに基づいて誘導経路案内を行う。
【0037】
図2(a)、(b)で説明したように、自車両の位置の変化に応じて最寄り施設に変更が生じた場合、誘導経路案内の対象施設が当該変更後の最寄り施設に自動的に切り替えられる。そのため、ユーザが案内されている最寄り施設(施設300a)までの誘導経路320を意図的に無視した場合にまで、誘導経路320に戻るように何度も繰り返されるリルート案内が行われない。よって、現時点における最寄り施設(すなわち、ユーザが指定した利用時間帯において行きたいと意図していると推定される施設ジャンルに属する施設)をリアルタイムに検索して、当該検索した最寄り施設までの誘導経路案内を柔軟に行うことができる。
【0038】
次に、第1の実施形態におけるナビゲーション装置100の動作の詳細について説明する。図3は、第1の実施形態におけるナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図3におけるステップS100の処理は、例えば、ナビゲーション装置100が起動することによって開始する。なお、ユーザが所望する施設ジャンルおよび利用時間帯の情報は、既に操作部16の操作を通じて利用時間帯設定部17により設定され、不揮発性のメモリ18に記憶されているものとする。
【0039】
まず、誘導経路案内部24は、地図情報記憶部13に格納された地図データに基づいて、ディスプレイ25への地図表示に必要な地図画像データを生成する(ステップS100)。次に、誘導経路案内部24は、ステップS100にて生成した地図画像データをディスプレイ25に出力することにより、地図画像を表示する(ステップS120)。
【0040】
次に、施設ジャンル特定部20は、メモリ18に記憶されている利用時間帯情報を参照し、利用時間帯設定部17により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻取得部19により取得された現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルがあるか否かについて判定する(ステップS140)。もし、現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルがないと施設ジャンル特定部20にて判定した場合(ステップS140にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0041】
一方、現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルがあると施設ジャンル特定部20にて判定した場合(ステップS140にてYES)、施設ジャンル特定部20は、当該施設ジャンルを示す施設ジャンル情報を施設検索部21に出力する(ステップS160)。次に、施設検索部21は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、施設情報記憶部15からの施設情報とに基づいて、施設ジャンル特定部20から出力された施設ジャンル情報により示される施設ジャンルに属する施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設を最寄り施設として検索する(ステップS180)。
【0042】
次に、誘導経路探索部22は、施設検索部21により前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致するか否かについて判定する(ステップS200)。もし、前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致すると誘導経路探索部22にて判定した場合(ステップS200にてYES)、処理はステップS240に遷移する。
【0043】
一方、前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致しないと誘導経路探索部22にて判定した場合(ステップS200にてNO)、誘導経路探索部22は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データとに基づいて、現在位置から今回検索された最寄り施設までの誘導経路を探索する(ステップS220)。そして、誘導経路探索部22は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ23に格納する。
【0044】
次に、地図表示制御部26は、現在設定されている表示縮尺により表示中の地図画像の中に、誘導経路探索部22により探索された誘導経路の全体が表示されているか否かについて判定する(ステップS240)。もし、誘導経路の全体が表示されていると地図表示制御部26にて判定した場合(ステップS240にてYES)、処理はステップS320に遷移する。
【0045】
一方、誘導経路の全体が表示されていないと地図表示制御部26にて判定した場合(ステップS240にてNO)、地図表示制御部26は、当該誘導経路の全体が表示される表示縮尺に地図画像の表示を変更させるために、当該表示縮尺を示す縮尺変更情報を誘導経路案内部24に出力する(ステップS260)。
【0046】
次に、誘導経路案内部24は、地図情報記憶部13に格納された地図データに基づいて、現在設定されている表示縮尺によらず、ステップS260にて地図表示制御部26から出力された縮尺変更情報により示される表示縮尺で地図画像データを生成する(ステップS280)。次に、誘導経路案内部24は、ステップS280にて生成した地図画像データをディスプレイ25に出力する(ステップS300)。
【0047】
次に、誘導経路案内部24は、車両位置検出部12からの自車位置情報と、地図情報記憶部13からの地図データと、誘導経路メモリ23に格納された誘導経路データとに基づいて誘導経路案内を行う(ステップS320)。最後に、ナビゲーション装置100は、主電源がOFFになっているか否かについて判定する(ステップS340)。もし、主電源がOFFになっていないとナビゲーション装置100にて判定した場合(ステップS340にてNO)、処理はステップS100に遷移する。一方、主電源がOFFになっているとナビゲーション装置100にて判定した場合(ステップS340にてYES)、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0048】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、ユーザが所望の施設ジャンルと利用時間帯とをあらかじめ設定しておき、その設定した利用時間帯に現在時刻が入っている間、当該利用時間帯が設定された施設ジャンルに属する施設のうち、現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索して案内を行うようにしている。
【0049】
このように構成した第1の実施形態によれば、現在時刻を含む利用時間帯が設定された施設ジャンルが存在すれば、当該施設ジャンルに属する最寄り施設までの誘導経路案内が当該利用時間帯の間行われるため、ユーザの希望する利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設まで、どのように運転すべきかをユーザに把握させることができる。
【0050】
また、第1の実施形態では、現在位置からの直線距離が最短となる最寄り施設を所定間隔毎に検索し、前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致しない場合に限り、現在位置から今回検索された最寄り施設までの誘導経路を探索するようにしている。
【0051】
このように構成した第1の実施形態によれば、車両の走行に伴い最寄り施設が変わった場合、誘導経路案内の対象施設が今回検索された最寄り施設に自動的に切り替えられる。そのため、例えば、案内されている最寄り施設までの誘導経路をユーザが意図的に無視した場合にまで、その誘導経路に戻るように何度も繰り返されるリルート案内が行われないようにすることができる。よって、現時点における最寄り施設をリアルタイムに検索して、当該検索した最寄り施設までの誘導経路案内を柔軟に行うことができる。
【0052】
また、第1の実施形態では、誘導経路探索部22により探索された誘導経路の全体を含む地図画像を表示するように表示縮尺を制御している。このように構成した第1の実施形態によれば、誘導経路の一部分を含む地図画像を表示するよりも、ユーザが指定した利用時間帯に応じて選択された施設ジャンルに属する最寄り施設までどのように運転すべきかをユーザに一目で把握させることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、ナビゲーション装置100′は、その機能構成として、利用履歴情報記憶部27を更に備えている。また、ナビゲーション装置100′は、その機能構成として、図1の利用時間設定部17および施設ジャンル特定部20の代わりに、利用時間設定部17′および施設ジャンル特定部20′をそれぞれ備えている。また、ナビゲーション装置100′は、その機能構成として、図1の操作部16を備えていない。なお、この図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0054】
利用履歴情報記憶部27は、ユーザが利用した施設について、当該施設が属する施設ジャンルおよび当該施設の利用時間を利用履歴情報として記憶する。利用履歴情報記憶部27に記憶される利用履歴情報は、ユーザが利用した施設の施設名称に対応させて、施設の種別を表す施設ジャンル、施設の利用時間(例えば、利用開始時間)等を情報として含んでいる。
【0055】
ここで、ユーザが施設を利用したか否かについては次のように判定される。例えば、車両が施設内で停車してサイドブレーキが引かれたことを検出した後に、エンジンの再始動を検出したときに、現在停車している施設を利用したと判定される。また、操作部16に対するユーザ操作を介して、ある施設が経路誘導の目的地や経由地に設定された場合、当該施設を利用したと判定される。
【0056】
利用時間帯設定部17′は、施設情報記憶部15に記憶されている複数の施設ジャンルのうち、何れか1以上の施設ジャンルに属する施設の利用時間帯を1以上、メモリ18に設定する。第2の実施形態では、利用時間帯設定部17′は、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルについて、利用履歴情報により示される利用時間を含む所定期間(例えば、1時間)の利用時間帯をメモリ18に設定する。例えば、利用履歴情報により示される利用時間を中心として前後に30分ずつの1時間を利用時間帯としてメモリ18に設定する。
【0057】
施設ジャンル特定部20′は、メモリ18に記憶されている利用時間帯情報を参照し、利用時間帯設定部17′により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻取得部19により取得された現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルを特定する。
【0058】
なお、メモリ18に設定された利用時間帯の中で現在時刻の含まれる利用時間帯が複数存在する場合、上述した第1の実施形態では、複数の利用時間帯に対応する複数の施設ジャンルを特定していた。すなわち、現在時刻が19:30のとき、施設ジャンル特定部20は、利用時間帯として「19:00〜20:00」が設定されている施設ジャンル(コンビニ)と、利用時間帯として「19:00〜21:00」が設定されている施設ジャンル(レストラン)とを特定していた。これは、その利用時間帯と施設ジャンルとがユーザの意思で明示的に操作部18により設定されたものだからである。
【0059】
これに対して、第2の実施形態において施設ジャンル特定部20′は、現在時刻が含まれる複数の利用時間帯に対応する複数の施設ジャンル(上述の例では、利用時間帯として「19:00〜20:00」が設定されているコンビニと、利用時間帯として「19:00〜21:00」が設定されているレストラン)のうち、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルの中で最も記憶数が多い施設ジャンルを特定する。仮に、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルの記憶数が、レストランよりもコンビニの方が多ければ、施設ジャンル特定部20′は施設ジャンルとしてコンビニを特定する。
【0060】
なお、第1の実施形態と同様、第2の実施形態でも複数の利用時間帯に対応する複数の施設ジャンルを特定するようにしても良い。ただし、利用履歴情報記憶部27に利用履歴情報として記憶される利用施設の数が多くなると、それに伴い、施設ジャンル特定部20′により特定される施設ジャンルの数が多くなり過ぎる。よって、特定する施設ジャンルの数は、ある程度制限するのが好ましい。ただし、上述の例のように、最も記憶数が多い1つの施設ジャンルに限定する必要は必ずしもない。例えば、記憶数が多い方から順に数個の施設ジャンルを特定するようにしても良い。また、数個の施設ジャンルを特定する際に使用する判断基準は、施設ジャンルの記憶数に限定されない。例えば、利用時間が直近の方から順番に数個の施設ジャンルを特定するようにしても良い。
【0061】
次に、第2の実施形態におけるナビゲーション装置100′の動作について説明する。図5は、第2の実施形態におけるナビゲーション装置100′の動作例を示すフローチャートである。図5におけるステップS500の処理は、例えば、ナビゲーション装置100′が起動することによって開始する。なお、利用履歴情報に基づく施設ジャンルおよび利用時間帯の情報は、利用時間帯設定部17′により設定され、不揮発性のメモリ18に記憶されているものとする。
【0062】
図5に示すフローチャートは、図3に示したステップS160の処理をステップS500,S520,S540の処理に置き換えたものである。その他のステップは図3のステップと同じ処理を示すので、ここではステップS500,S520,S540の処理についてのみ説明する。
【0063】
現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルがあると施設ジャンル特定部20′にて判定した場合(ステップS140にてYES)、施設ジャンル特定部20′は、当該利用時間帯が設定された施設ジャンルが複数あるか否かについて判定する(ステップS500)。もし、複数ないと施設ジャンル特定部20′にて判定した場合(ステップS500にてNO)、当該施設ジャンルを示す施設ジャンル情報を施設検索部21に出力する(ステップS520)。
【0064】
一方、複数あると施設ジャンル特定部20′にて判定した場合(ステップS500にてYES)、施設ジャンル特定部20′は、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルの中で最も記憶数が多い施設ジャンルを示す施設ジャンル情報を施設検索部21に出力する(ステップS540)。
【0065】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、ユーザが過去に実際に利用した施設について、当該施設が属する施設ジャンルおよび当該施設の利用時間を利用履歴情報として利用履歴情報記憶部27に記憶する。そして、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルについて、利用履歴情報により示される利用時間を含む所定期間の利用時間帯をメモリ18に設定するようにしている。
【0066】
このように構成した第2の実施形態によれば、ユーザが実際に施設を利用したことのある時間帯とその施設の種別とが自動的に利用時間帯および施設ジャンルとしてメモリ18に設定される。この場合、ユーザによる施設の利用実績に基づいて、施設ジャンル特定部20′により特定される施設ジャンルが変化する。このため、ユーザの嗜好を学習した上で、その時点におけるユーザの嗜好に合った施設ジャンルに属する最寄りの施設までの誘導経路案内を行うことができ、ユーザ利便性の向上を図ることができる。
【0067】
また、第2の実施形態によれば、施設ジャンル特定部20′は、メモリ18に設定された利用時間帯の中で現在時刻の含まれる利用時間帯が複数存在する場合、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報により示される施設ジャンルの中で最も記憶数が多い施設ジャンルを特定するようにしている。このため、現在時刻が含まれる時間帯においてユーザの嗜好に最も合った施設ジャンルに属する最寄りの施設までの誘導経路案内を行うことができ、ユーザ利便性の向上を図ることができる。
【0068】
なお、上記第1および第2の実施形態では、施設ジャンル特定部20(20′)により特定された施設ジャンルに属する施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる施設を最寄り施設として検索する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、現在位置から施設ジャンル特定部20(20′)により特定された施設ジャンルに属する各施設までの誘導経路をそれぞれ探索し、誘導経路の走行予定距離が最短となる施設を最寄り施設として検索するようにしてもよい。ただし、現在位置からの直線距離が最短となる施設を最寄り施設として検索する方が、特定された施設ジャンルに属する各施設までの誘導経路をそれぞれ探索するよりも、最寄り施設を検索するための計算量を減らすことができる点で好ましい。
【0069】
各施設までの誘導経路を探索して走行予定距離を出す場合、少しでも最寄り施設を検索するための計算量を減らすために、次のように2段階で検索を行うのが好ましい。つまり、第1段階として、施設ジャンル特定部20(20′)により特定された施設ジャンルに属する施設のうち、自車位置からの直線距離が所定距離の範囲内にある施設を検索する。そして、第2段階として、第1段階で所定距離の範囲内に絞って検索した各施設までの誘導経路をそれぞれ探索し、誘導経路の走行予定距離が最短となる施設を最寄り施設として検索する。
【0070】
また、上記第1および第2の実施形態では、施設ジャンル特定部20(20′)により特定された施設ジャンルに属する全ての施設を対象に最寄り施設を検索する例について説明したが、これに限定されない。例えば、施設ジャンル特定部20(20′)により特定された施設ジャンルに属する施設のうち、自車位置より所定距離の範囲内にある施設を対象に最寄り施設を検索するようにしてもよい。このようにすれば、自車位置より所定距離の範囲外にある比較的遠くの施設は検索対象外に設定される。このため、特定された施設ジャンルに属する全ての施設を対象に最寄り施設を検索するよりも、最寄り施設を探索するための計算量を減らすことができる。また、立ち寄る可能性の低い遠くの施設が最寄り施設として検索されて、ユーザが希望する可能性の低い誘導経路が無駄に設定されないようにすることができる。
【0071】
また、自車位置より所定距離の範囲内にある施設を対象に最寄り施設を検索する場合、当該最寄り施設の検索に規制情報として用いる所定距離を次のように設定してもよい。例えば、第2の実施形態において、利用履歴情報記憶部27に記憶されている利用履歴情報の記憶数が所定値以上の場合、最寄り施設の検索に用いる所定距離を「1km」に設定し、利用履歴情報の記憶数が所定値未満の場合、最寄り施設の検索に用いる所定距離を「500m」に設定する。
【0072】
また、その他の設定方法として、利用履歴情報記憶部27に利用履歴情報として記憶されている施設ジャンルの記憶数に応じて所定距離を設定しても良い。例えば、利用履歴情報の記憶数が1位の施設ジャンルが「ラーメン屋」、2位の施設ジャンルが「定食屋」、3位の施設ジャンルが「コンビニ」である場合、ラーメン屋、定食屋およびコンビニに属する最寄り施設の検索に用いる所定距離をそれぞれ「1km」、「500m」および「300m」に設定する。
【0073】
上述した何れの所定距離の設定方法を採用するにしても、利用頻度が高い(記憶数が多い)施設ジャンルに属する施設は、ユーザがある程度遠くても行く可能性が高いと推定し、当該施設ジャンルに属する施設の検索に用いる所定距離を長く設定するようにしている。
【0074】
なお、図2では、ユーザが誘導経路320に基づく誘導経路案内をあえて無視して走行する例について説明した。ただし、引かれた誘導経路320にそって最寄り施設300aに行く場合もある。この場合、設定された誘導経路320に沿って最寄り施設300aまで行ったときは、それ以降は、たとえ現在時刻が利用時間帯に入っていても、誘導経路は探索しないようにしてもよい。このとき、ナビゲーション装置100(100′)は、誘導経路探索部22により探索された誘導経路の目的地である施設に到着したか否かを判定する到着判定部が更に必要となる。
【0075】
例えば、誘導経路320の目的地である最寄り施設(施設300a)に到着したことが到着判定部により検出された場合には、施設検索部21,誘導経路探索部22,誘導経路案内部24,地図表示制御部26はそれ以降の動作を停止する。つまり、誘導経路320に従い目的地である施設300aに到着したら、現在位置からの最寄り施設である施設300eまでの誘導経路340は引かない。ただし、メモリ18に複数の利用時間帯が設定されている場合は、他の利用時間帯は再び誘導経路探索動作の対象とする。以上の動作は、第1の実施形態および第2の実施形態に対して同様に適用することができる。
【0076】
また、複数の施設ジャンルが特定されている場合は、到着した施設の施設ジャンルだけをその後の誘導経路探索の対象外とし、その他の施設ジャンルについては引き続き経路探索の対象とするようにしても良い。つまり、誘導経路探索部22は、ある施設ジャンルの最寄り施設に到着したことが到着判定部により検出された場合、施設ジャンル特定部20(20′)により特定された複数の施設ジャンルのうち、到着判定部により到着したと判定された施設が属する施設ジャンルを除いた残りの施設ジャンルを対象として、現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索する。
【0077】
その例について図6を参照しながら説明する。図6(a)に示すように、最初は、誘導経路案内部24は誘導経路320に基づいて誘導経路案内を行う。もし目的地である施設300aに到着したら、同じ施設ジャンル(レストラン)に属する施設300bは経路探索の対象外とする。つまり、図6(b)に示すように、到着判定部により到着したと判定された施設300aが属する施設ジャンル(レストラン)を除いた残りの施設ジャンル(コンビニ)を対象として、現在位置からの距離が最短となる施設300eまでの誘導経路360を探索する。施設300aが存在する現在位置から見て、施設300bの方が施設300eよりも近いが、施設300bが属する施設ジャンルはレストランなので経路探索の対象外となり、施設ジャンル(コンビニ)に属する施設300eへの誘導経路360が引かれることとなる。
【0078】
また、上記第1の実施形態では、施設ジャンル特定部20により特定された施設ジャンルに属する全ての施設のうち、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設を最寄り施設として検索する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、施設ジャンル特定部20により特定された施設ジャンルが複数ある場合、当該複数の施設ジャンルの各々について、現在位置からの直線距離が最短となる1つの施設をそれぞれ最寄り施設として検索し、当該検索された複数の最寄り施設の各々までの誘導経路に基づいて誘導経路案内を行うようにしてもよい。
【0079】
例えば、図7(a)に示すように、施設ジャンル特定部20により特定された施設ジャンルが2つある場合、当該2つの施設ジャンルの各々について、現在位置からの直線距離が最短となる2つの施設300a、300eをそれぞれ最寄り施設として検索し、当該検索された2つの最寄り施設の各々までの誘導経路320、360に基づいて誘導経路案内を行う。この場合、施設検索部21は、施設ジャンル毎に最寄り施設の検索を所定間隔毎に行う。そして、何れかの施設ジャンルについて最寄り施設が変わった時点で、誘導経路探索部22は、その最寄り施設までの誘導経路を再探索する。
【0080】
また、図7(b)に示すように、自車両が一方の施設ジャンルに属する最寄り施設(施設300a)までの誘導経路320上の走行を開始したときは、ユーザが施設300aに行く意思があるとみなし、他方の施設ジャンルに属する最寄り施設(施設300e)までの誘導経路360に基づく誘導経路案内を停止するようにしてもよい。ただし、施設300aに到着した後は、他方の施設ジャンルに属する最寄り施設(施設300e)までの誘導経路360に基づく誘導経路案内を再開するようにしてもよい。
【0081】
なお、第2の実施形態において、複数の利用時間帯に対応する複数の施設ジャンルを特定するようにした場合は、図7で説明した誘導経路案内の動作を同様に適用することができる。
【0082】
その他、上記第1および第2実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による誘導経路案内動作の例を示す図である。
【図3】第1の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】第1および第2の実施形態による誘導経路案内動作の変形例を示す図である。
【図7】第1の実施形態による誘導経路案内動作の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
12 車両位置検出部
15 施設情報記憶部
16 操作部
17,17′ 利用時間帯設定部
18 メモリ
20,20′ 施設ジャンル特定部
21 施設検索部
22 誘導経路探索部
24 誘導経路案内部
26 地図表示制御部
27 利用履歴情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部と、
地図上に存在する複数の施設の位置および施設ジャンルを含む施設情報を記憶する施設情報記憶部と、
前記施設情報記憶部に記憶されている複数の施設ジャンルのうち、何れか1以上の施設ジャンルに属する施設の利用時間帯を1以上、メモリに設定する利用時間帯設定部と、
前記利用時間帯設定部により設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルを特定する施設ジャンル特定部と、
前記施設ジャンル特定部により特定された施設ジャンルに属する施設のうち、前記現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索する誘導経路探索部と、
前記誘導経路探索部により探索された誘導経路に基づいて誘導経路案内を行う誘導経路案内部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記施設ジャンル特定部により特定された施設ジャンルに属する施設のうち、前記現在位置からの直線距離が最短となる施設を最寄り施設として所定間隔毎に検索する施設検索部を更に備え、
前記誘導経路探索部は、前記施設検索部により前回検索された最寄り施設と今回検索された最寄り施設とが一致しない場合に限り、前記現在位置から前記今回検索された最寄り施設までの誘導経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部により探索された誘導経路の全体を含む地図情報を表示するように表示縮尺を制御する地図表示制御部を更に備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記利用時間帯設定部は、ユーザによる操作部の操作を介して指定された施設ジャンルについて、ユーザによる前記操作部の操作を介して指定された利用時間帯を前記メモリに設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
ユーザが利用した施設について、当該施設が属する施設ジャンルおよび当該施設の利用時間を利用履歴情報として記憶する利用履歴情報記憶部を更に備え、
前記利用時間帯設定部は、前記利用履歴情報記憶部に記憶されている前記利用履歴情報により示される施設ジャンルについて、前記利用履歴情報により示される利用時間を含む所定期間の利用時間帯を前記メモリに設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記施設ジャンル特定部は、前記メモリに設定された利用時間帯の中で前記現在時刻の含まれる利用時間帯が複数存在する場合、前記現在時刻が含まれる複数の利用時間帯に対応する複数の施設ジャンルのうち、前記利用履歴情報記憶部に記憶されている前記利用履歴情報により示される施設ジャンルの中で最も記憶数が多い施設ジャンルを特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部は、前記施設ジャンル特定部により特定された施設ジャンルが複数存在する場合、当該複数の施設ジャンルに属する全ての施設のうち前記現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部は、前記施設ジャンル特定部により特定された施設ジャンルが複数存在する場合、当該複数の施設ジャンルのそれぞれ毎に、当該特定された施設ジャンルに属する施設のうち前記現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路をそれぞれ探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1、7または8の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部により探索された誘導経路の目的地である施設に到着したか否かを判定する到着判定部を更に備え、
前記誘導経路探索部は、前記到着判定部により前記目的地である施設に到着したと判定された場合、前記施設ジャンル特定部により特定された施設ジャンルのうち、前記到着判定部により到着したと判定された施設が属する施設ジャンルを除いた残りの施設ジャンルを対象として、前記現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部と、地図上に存在する複数の施設の位置および施設ジャンルを含む施設情報を記憶する施設情報記憶部とを備えたナビゲーション装置における周辺施設案内方法であって、
前記施設情報記憶部に記憶されている複数の施設ジャンルのうち、何れか1以上の施設ジャンルに属する施設の利用時間帯を1以上、メモリに設定する第1のステップと、
前記第1のステップにより設定された1以上の利用時間帯のうち、現在時刻の含まれる利用時間帯が設定された施設ジャンルを特定する第2のステップと、
前記第2のステップにより特定された施設ジャンルに属する施設のうち、前記現在位置からの距離が最短となる施設までの誘導経路を探索する第3のステップと、
前記第3のステップにより探索された誘導経路に基づいて誘導経路案内を行う第4のステップとを備えたことを特徴とする周辺施設案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−151586(P2010−151586A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329353(P2008−329353)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】