ナビゲーション装置及び方法
ナビゲーション装置は全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星からGNSS信号ブロードキャストを受信するためのGNSS受信器と、ユーザ入力の位置情報、時間情報、又はワイヤレスネットワークのサービスエリア情報を受信するための受信器と、処理装置とを備える。処理装置は、ユーザ入力の位置情報、時間情報、又はワイヤレスネットワークのサービスエリア情報からシード位置を判定し、該判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を取得するためにGNSS受信器を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置及びナビゲーション装置のための方法に関する。本発明の有用な実施形態はポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)、特に全地球航法衛星システム(GNSS)の信号受信及び処理機能を含むPNDに関するものである。他の実施形態は、さらに一般的には、経路計画機能を、好ましくはナビゲーション機能をも提供するためのナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されたいずれかの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球航法衛星システム(GNSS)信号の受信及び処理機能を含むポータブルナビゲーション装置(PND)はよく知られており、車両又は他の移動手段搭載型のナビゲーションシステムとして広く採用されている。
【0003】
一般的に言うと、近年のPNDはプロセッサ、メモリ(少なくとも揮発性、不揮発性のいずれか一方、一般的には両方)と上記メモリに格納された地図データを備える。プロセッサとメモリは協働してソフトウェアのオペレーティングシステムが構築されうる実行環境を提供する。さらに、PNDの機能性を制御可能にするために、かつ、その他の種々の機能を提供するために1以上の追加のソフトウェアプログラムが提供されることが一般的である。
【0004】
通常、これらの装置は、ユーザが装置と対話を行い、かつ、装置の制御を可能にする1以上の入力インタフェースと、情報をユーザへ中継できるようにする1以上の出力インタフェースとをさらに備えている。出力インタフェースの実例には、視覚表示装置と、可聴出力用スピーカとが含まれている。入力インタフェースの実例には、装置のオン/オフの操作又は他の機能を制御するための1以上の物理ボタン(これらのボタンは、必ずしも装置自体にある必要はなく、装置が移動装置内に組み込まれている場合にはステアリングホイールにあってもよい)と、ユーザの音声を検出するためのマイクとが含まれている。特に好ましい構成としては、出力インターフェースディスプレイは、ユーザがタッチすることにより装置の操作を可能にする入力インタフェースを追加して提供するように、(タッチパネル式オーバーレイによる、あるいは別様の)タッチパネル式ディスプレイとして構成されてもよい。
【0005】
この種の装置は、電力及びオプションとしてデータ信号を装置に送信し、装置から受信できる手段による1以上の物理コネクタインターフェースと、オプションとして、例えば、Wi−Fi、Wi−Max GSM、CDMA等のセルラ通信、及び他の信号及びデータネットワークを介して通信を可能にする1以上のワイヤレス送受信器が含まれる場合も多い。
【0006】
この種のPNDは、GNSSアンテナも含み、このアンテナによって位置データを含む衛星放送信号が受信され、その後この信号が処理されて装置の現在位置の決定が可能となる。
【0007】
PND装置はまた、GPS信号から得られた位置情報、装置ひいては装置が搭載されている車両の速度及び相対変位とともに、現在の角加速度及び直線加速度を決定するために、処理可能な信号を生成する電子式のジャイロスコープ及び加速度計をさらに含んでもよい。通常、上記のような特徴は、車載ナビゲーションシステムに装備されるのが最も一般的であるが、場合によってはPND装置に装備されてもよい。
【0008】
このようなPNDの実用性は、まず、第1の地点(通常、スタート又は現在位置)と第2の地点(通常、目的地)の間での経路決定機能から明らかとなる。これらの地点は、例えば、郵便番号、街路名及び番地、事前に格納されているよく知られている目的地(名所、市営の場所(運動場又は水泳プール等)又は他の関心のある地点等)及びお気に入りの目的地又は最近訪問した目的地等であり、幅広い様々な異なる方法のうち何れの方法によっても装置のユーザにより入力可能である。
【0009】
通常、地図データから得られる出発地及び目的地の住所地点間の「最良」又は「最適」経路を計算するためのソフトウェアによってPNDは実現される。「最良」又は「最適」経路が所定の基準に基づいて決定されるが、この経路は必ずしも最速又は最短の経路である必要はない。ドライバーを案内する際に沿って進む経路の選択は非常に精密なものとすることができ、この選択された経路は、既存の交通道路情報、予測される交通道路情報、動的受信と無線による受信の少なくともいずれかで受信される交通道路情報、制限速度に関する履歴情報、並びに道路選択の決定要因に対応するドライバーの好み(例えば運転者は、経路が高速自動車道路又は有料道路を含むべきではないと指定してもよい)を考慮に入れてもよい。
【0010】
さらに装置は、道路及び交通の状態を継続的に監視し、変化した状態によって残りの行程の実行経路を変更するように提案又は選択してもよい。種々の技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPSによる艦隊の追跡)に基づくリアルタイムの交通監視システムが、交通の遅延を識別しかつ通知システムに情報を供給するために利用されている。
【0011】
この種のPNDは通常、車両のダッシュボード又はフロントガラスに搭載できるが、車両のラジオに搭載されたコンピュータの一部あるいは実際には車両自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置はPDA(Portable Digital Assistant)、メディアプレーヤー又は移動電話等のハンドヘルドシステムの一部であってもよく、その場合、ハンドヘルドシステムの標準的な機能は、経路計算と、計算された経路に沿ったナビゲーションとの双方を実行するためのソフトウェアを装置にインストールすることにより拡張される。
【0012】
経路計画及びナビゲーション機能は、適切なソフトウェアを実行しているデスクトップ型又は携帯用コンピューティング資源によっても提供できる。例えば、王立自動車クラブ(RAC)は、http://www.rac.co.ukにおいてオンライン経路計画とナビゲーション機能を提供しており、その機能により、ユーザは出発点と目的地を入力するとすぐにユーザのPCが接続されているサーバは(ユーザにより指定されるような)経路を計算し、地図を生成し、選択された出発点から選択された目的地までユーザを案内するための包括的なナビゲーション指示の集合を生成する。この機能は、計算された経路の疑似3次元レンダリング、及び経路に沿ってユーザの移動をシミュレーションし、計算された経路のプレビューをユーザに提供する経路プレビュー機能をも提供する。
【0013】
PNDの場合、経路が計算されるとすぐに、ユーザはナビゲーション装置と対話を行い、オプションとして提案される経路のリストのなかから所望の計算された経路を選択する。オプションとして、ユーザは、例えば、ある特定の行程に対して特定の経路、道路、場所又は基準を避けるべきであることを指定するか、あるいは、それらが必須のものであることを指定することにより、経路の選択のプロセスに介入したり、経路の選択のプロセスをガイドしたりしてもよい。PNDの経路計算の側面は1つの主要機能を形成するものであるが、このような経路に沿って進むナビゲーションはまた別の主要機能となる。
【0014】
計算された経路に沿ったナビゲーションの間、このようなPNDが選択された経路に沿ってその経路の終点、すなわち所望の目的地までユーザをガイドするためするための視覚指示と可聴指示の少なくともいずれかの指示を提供することは一般的である。PNDがナビゲーションの間、画面上に地図情報を表示することもまた一般的であり、装置が車載ナビゲーション用として使用されている場合、このような情報は画面上で定期的に更新されて、表示される地図情報が装置の、従ってユーザ又はユーザ車両の現在地を示すようになっている。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは通常、GNSS受信器を使ってPNDにより決定された装置の現在位置を示し、装置の現在位置の周辺にある現在の道路及び周辺道路の地図情報、並びに同様に表示されている他の地図特徴とともに中央に配置される。さらにナビゲーション情報は、オプションとして、表示されている地図情報の上下又は左右いずれかのステータスバーに表示されてもよく、ナビゲーション情報の例には、ユーザが走行すべき現在の道路から現在の道路で次の進路変更を行う地点までの距離が含まれ、上記進路変更の性質は、例えば左折又は右折のような特定の種類の進路変更を示すさらなるアイコンにより表すことも可能である。上記ナビゲーション機能は、ユーザを経路に沿ってガイドできる可聴指示の内容、継続時間及びタイミングの決定をもする。理解されるように、「100m以内に左折」等の単純な指示が多大の処理及び解析を必要とすることになる。上述のように、ユーザによる装置との対話はタッチスクリーンにより行われてもよいし、あるいは、上記に加えて又はその代わりに、この対話は操向コラムに搭載された遠隔制御装置により、音声起動により、あるいは、他の何れの適切な方法によって行われてもよい。
【0016】
装置により提供されるさらなる重要な機能として、ナビゲーション中に、ユーザが先に計算した経路から(アクシデントで又は自発的に)外れた場合や、別の経路の方が適切であるとリアルタイムの交通状態が示し、かつ、装置がそのような状態を適切に自動認識することが可能である場合、あるいは、ユーザが何らかの理由で積極的に経路の再計算を装置に実行させる場合に行われる経路の自動再計算がある。
【0017】
ユーザが定めた基準で経路計算が可能であることも知られている。例えば、ユーザは、装置が景色のよい経路の方を計算することを望んでもよいし、あるいは、交通渋滞の可能性が高いか、交通渋滞が予想されるか若しくは交通渋滞が現在発生しているいずれの道路も回避することを所望してもよい。その場合、装置のソフトウェアは種々の経路を計算し、例えば、景勝地の例としてタグ付けられたポイント・オブ・インタレスト(POIとして知られている)が経路沿いに最も多く含まれている経路の方をより有利になるように重み付けたり、あるいは、特定の道路で交通状況の傾向が示された保存情報を用いたりすることによって、発生しやすい渋滞や、遅延のレベルに関して計算された経路の順序付けを行う。他のPOI及び交通情報を利用する経路計算及びナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算及びナビゲーション機能は、PNDの有用性全体の基本になるものではあるが、装置を単に情報表示用として、又は「フリードライビング」用として使用することも可能で、その場合、装置の現在地に関連する地図情報のみが表示され、経路は計算されず、装置によるナビゲーションは行われない。このような動作モードは、ユーザが移動の際に沿って進むべき望ましい経路を既に知っていて、ナビゲーションによる補助を必要としないときに適用可能である場合が多い。
【0019】
上述の種類の装置、例えば、TomTom International B.V.により製造及び供給される920Tモデルは、ユーザが1つの位置から別の位置へナビゲートできるようにする信頼性の高い手段を提供する。
【0020】
上記PNDの機能はPNDがGNSS受信器を用いて位置調整の決定をすることが必要である。したがって、PNDを起動する時、GNSSソフトウェアは装置の位置調整を確立する。位置調整の取得が遅れると、PNDが、ナビゲート可能な経路を決定するといったような特定の機能を実行すること又は実行を可能とされることが遅れる結果となるであろう。ある環境では第1の位置調整を確立する(第1の調整時間(TTFF))ために数分から1時間といったように時間がかかることもありうる。この問題はPNDのスイッチが切られ、スイッチが復帰されるまでに非常に長距離の移動をした場合(遠隔起動)、例えば、ユーザが長距離のフライトにPNDを持っていく場合又はPNDを顧客に配送するときに、とりわけ明確である。
【0021】
図16を参照すると、GNSS受信器のための信号処理はチャネル化された構造に基づく。特定の衛星(PRNコード)にチャネルを割り当てる前に、受信器は現在何れの衛星が観測可能であるかを知らなくてはならない。GNSS受信器が観測可能な衛星を見つけるための一般的な動作モードが2つある。1つはコールドスタートと呼ばれ、もう1つはウォームスタートと呼ばれるものである。
【0022】
GNSS受信器は一般に、衛星の状態や軌道情報といったような、GNSS衛星上の情報を含むアルマナックを備える。ウォームスタートでは、GNSS受信器は保存されたアルマナック中の情報とGNSS受信器によって計算された最新の位置を合わせて、PNDのスイッチが切られた時からの全ての衛星の軌道の位置(すなわちドップラーシフト)を計算し、PNDのスイッチが入れられた時に観測可能であろう衛星を決定する。しかしながら、PNDの電源が切られた時にあった場所からかなりの長距離を移動したならば、位置情報は信頼できない。例えば、PNDのスイッチが切られている間、PNDがロンドンから台北に移動する場合、PNDのスイッチが復帰される時、台北にあるGNSS受信器から観測可能な衛星群の位置は、保存されたアルマナックの中の情報から予測された衛星群の位置と異なる。
【0023】
コールドスタートでは、受信器は保存されたアルマナックの中の情報に頼らないが、目印から観測可能な衛星を探索する。このような探索にはかなりの時間がかかることがある。
【0024】
TTFFを減らすための試みがなされてきた。
【0025】
いくつかのGPSプロバイダ、例えばブロードコム社BCM4750によって実施されている一つの解決策は、動作モード(すなわちウォームスタート又はコールドスタート)にかかわらず同時に全ての衛星を探す24チャネルのGPS受信器の利点を利用している。しかしながら、このように多数のチャネルを持つ受信器はハードウェアの複雑さ及び消費電力を増大させてきた(経験則では衛星を捕捉している間に1つのチャネルは1〜2mA消費する)。ハードウェアのさらなる複雑化はGPS受信器のコスト増大となるであろう。さらに、12から16チャネル備えた既知のGNSS受信器においてこのような解決策を実施するのには(新しいチップの設計とテープアウトを含む)ハードウェアの改造が求められ、ソフトウェア又はファームウェアの更新ではなし得ない。従来のGPSでは、24チャネルの受信器で十分であるが、(ガリレオ、GLOSNASS、近代化されたGPSのような)将来のGNSSシステムでは、同時に全ての衛星を探索するためには受信器は24よりさらに多くのチャネルを求められる可能性がある。
【0026】
クアルコム社で開発されたシステム(国際出願WO2006/102508参照)は、遠隔起動の場合のTTFFを減らすためにモバイル・カントリー・コード(MCC)を用いる。MCCはセルラネットワークによって送信され、GNSS装置がいる国又は領域ひいてはGNSS装置に位置を、遠隔起動であっても特定するためにGNSS装置に使用されうる。多くの国については、MCCの利用は、遠隔起動の際のTTFFが減少する結果になりうるが、いくつかの広大な領土を持つ国(例えば、ロシア連邦、アメリカ合衆国、カナダ、中華人民共和国、チリ共和国)では、MCCの利用は効率が低下し、TTFFが増加することにさえなりうる。
【0027】
さらなる解決策は、A−GPSで、これは、衛星の軌道と、観測可能なセルラネットワークの衛星を探索するための補助として使用されうるその他の情報とを、セルラネットワークのプロバイダ(制御プレーン、CP)又はサービスコンテンツのプロバイダ(ユーザプレーン、UP)の何れかよりダウンロードするものある。このような技術の欠点は遠隔起動のシナリオにあり、移動電話又はGNSS受信器に用いられるその他のセルラ装置はローミングモード(セルラ装置が初期に登録されていないセルラネットワーク(在圏網)における動作)になることがあり、情報のダウンロードはかなりの費用が発生しうる。さらに、セルラネットワークのプロバイダから情報が提供される場合、GNSS受信器がこの情報を得るためには、ホームネットワークと在圏網は双方の相性が良くなくてはならず、現在のセルラネットワークでは、このようなネットワーク間の互換性は、一般的でない。
【0028】
その他のGPS受信器は、計算された衛星群を基にした探索時間があらかじめ定めたしきい値を超える場合、ブラインド・サーチ・モードを自動的に初期化する。
【発明の概要】
【0029】
本発明の第1の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得し、
ii)ナビゲーション装置の位置におけるタイムゾーン情報をブロードキャスト信号から、国に基づいて選択的に取得し、タイムゾーン情報からシード位置を判定し、判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0030】
第1の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置する国のエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するためにタイムゾーン情報を用ることができるため有用である。さらに、タイムゾーン情報は選択的に用いられ、例えば、ナビゲーション装置が位置する国が複数のタイムゾーンに渡って広がるか否かにもよる。この方法では、不要な処理を避けるために、観測可能な衛星を決定できるシード位置を決めるために、その国における、あるいはその国を越える更なる情報が必要とされる場合のみ、タイムゾーン情報が用いられる。
【0031】
一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ナビゲーション装置が位置する国及びタイムゾーン情報からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0032】
本発明の第2の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)現在位置について、セルラ装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
ii)ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0033】
第2の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置するエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するために、セルラネットワークの制御信号(例えば、BCCH)のようなブロードキャスト信号をワイヤレス装置が受信できる、ワイヤレスネットワーク(例えばセルラネットワーク)の識別情報を用いることができるため有用である。一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ワイヤレス受信器がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0034】
本発明の第3の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ユーザ入力装置と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)ユーザ入力装置からGNSS装置の位置情報を取得し、
ii)位置情報からシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0035】
第3の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置するエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するために、ユーザ入力装置からの位置情報を用いることができるため有用である。一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ユーザ入力装置からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0036】
各々のシード位置は、個々のエリア及びそのエリアにあるナビゲーション装置が観測可能な衛星と関連付けられると理解されよう。例えば、シード位置は国又は領域、タイムゾーン及び国又は領域の境界で定められたエリア、セルラネットワークのサービスエリア及び国又は領域の境界で定められたエリアのうち少なくとも何れかにある場所でよい。例えば、前記シード位置は国又は領域あるいはエリアの中心であってもよい。
【0037】
さらに、ナビゲーション装置は選択国のリストを記憶したメモリを更に備え、処理装置は、ブロードキャスト信号から国コード(例えば、ブロードキャスト信号はセルラネットワークからブロードキャストされた制御信号であるとき、モバイル・カントリー・コード(MCC))を特定し、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が選択国のリスト中の国の1つと対応するか否かに基づいて、ワイヤレスネットワークの識別情報及びタイムゾーン情報のうち少なくとも何れかよりシード位置を判定するように構成されてもよい。
【0038】
国リストは、特定された国コードと関連付けられた国又は領域がリスト上の国又は領域と一致すれば、少なくとも経度を基準とした位置又はワイヤレスネットワークの識別情報の何れかよりシード位置が決定されることを特徴とするポジティブリストであってもよい。あるいは、国リストは、特定された国コードと関連付けられた国又は領域がリスト上の国又は領域と一致しなければ、少なくとも経度を基準とした位置又はワイヤレスネットワークの識別情報の何れかよりシード位置が決定されることを特徴とするネガティブリストであってもよい。
【0039】
選択国のリストは、第1のリスト及び第2のリストを備えてもよく、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が第1のリスト上の国又は領域と対応すれば、タイムゾーン情報よりシード位置が判定され、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が第2のリスト上の国又は領域と対応すれば、ワイヤレスネットワークの識別情報より前記シード位置が判定される。
【0040】
選択国のリストは、ロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国のうち1以上を含むことができる。
【0041】
第1のリストは、複数のタイムゾーンに渡って広がる国、例えばロシア連邦、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、カザフスタン共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国、のリストを含んでもよい。
【0042】
第2のリストは、国土の長さゆえ複数のシード位置が必要な国、例えば中華人民共和国、インド共和国、アルゼンチン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、のリストを含むことができる。
【0043】
現在の世界の国々において、第1と第2のリストは互いに重複しないことが分かる。すなわち、ある国又は領域が多くのタイムゾーンに渡るならば、その国又は領域はワイヤレスネットワークのサービスエリアに基づいて構築されたシード位置を必要とするような広がりはない。しかしながら、これは少なくとも国コード、あるいは国又は領域の広がりが変われば変更されうることは考えられるところである。
【0044】
1つの実施形態では、メモリは、シード位置に、国コード、タイムゾーン情報、ワイヤレスネットワークの識別情報のうち少なくとも1つを示すデータマップを備える、例えば、シード位置は少なくとも国コード、タイムゾーン情報、ワイヤレスネットワークの識別情報によって独自に定めたエリアの中心のような位置となる。
【0045】
本発明は、遠隔起動のシナリオにおいて、ナビゲーション装置はその位置から観測可能であろうGNSS衛星を素早く特定できる等、タイムゾーン情報あるいはワイヤレスネットワークの識別(ネットワークのサービスエリア情報)は、ナビゲーション装置のおおよその位置を特定するために用いられる点で有用である。この方法では、大きな消費電力の増大をせずに、TTFFを大きく減少できる。さらに、ソフトウェアあるいはファームウェアの更新で、現状のナビゲーション装置において本発明を実施できるであろう。その上、もう一つの利点は、必要な情報はワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号(例えば、BCCH.PCCPCH、同期化チャネル(SynchCh))から得られることで、これにより、この情報を得るのには通信料(具体的には、ローミング通信料)がかからない。本ナビゲーション装置は加入者識別モジュール(SIM)を必要とせずに実施可能である。その上さらなる利点は、ブロードキャスト信号は復号が非常に速くできることで、結果、ブロードキャスト信号で提供される情報に基づく衛星探索の開始の遅れが少なくなる。
【0046】
1つの実施形態では、処理装置は、
i)ブロードキャスト信号から国コードを特定し、国コードを用いて国又は領域を特定し、
ii)特定された国又は領域が国の排他的リストにある場合は、ナビゲーション装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得してワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、排他的なリストになく、特定された国又は領域が複数のタイムゾーンに渡って広がる場合に、ブロードキャスト信号からタイムゾーン情報を取得して国コード及びタイムゾーン情報からシード位置を判定し、何れの場合にも該当しなければ、国コードのみからシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するためにGNSS受信器を制御するように構成される。
【0047】
1つの実施形態では、ナビゲーション装置のメモリには以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が記憶されており、処理装置は、ナビゲーション装置によって受信された現在のブロードキャスト信号あるいはユーザ入力により、現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報、ユーザ入力位置情報を特定するように構成され、現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が、以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報と一致しなければ、処理装置は現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報よりシード位置を判定する。現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が、以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報と一致すれば、処理装置は、GNSS受信器にメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を探索させる。
【0048】
1つの実施形態では、GNSS受信器はGNSS衛星についての情報を含むメモリに記憶されたアルマナックを含む情報を用いてGNSS衛星を探索するように構成される。
【0049】
ワイヤレス受信器はセルラ装置、又は、接続であって、セルラネットワークの基地局から発せられた制御信号を受信するためのセルラ装置、携帯用テレビ信号受信器、ラジオ受信器、又は時間情報、ワイヤレスネットワークのサービスエリア情報あるいはその他の適切な位置情報を含むブロードキャスト信号を受信するその他の受信器に接続されるように構成された接続とすることができる。例えば、処理装置は、受信できるテレビあるいはラジオチャネル、又はテレビあるいはラジオのチャネルに含まれる時間情報からシード位置を判定するように構成することができる。
【0050】
本発明の第5の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得する工程と、
iii)ブロードキャスト信号から上記位置におけるタイムゾーン情報を、国に基づいて選択的に取得し、タイムゾーン情報からシード位置を判定し、判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0051】
本発明の第6の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)現在位置について、ブロードキャスト信号が受信されたワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
iii)ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定する工程と、
iv)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0052】
本発明の第7の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ユーザ入力装置から位置情報を取得する工程と、
ii)位置情報からシード位置を判定する工程と、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0053】
本発明の第8の側面により、処理装置によって実行された場合、本発明の第5乃至7の側面のいずれか1つの方法を処理装置に実行させるプログラムを記憶した記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の教示の様々な側面と、それらの教示を実施する変形例を添付した図面を参照したわかりやすい例によって以下に述べよう。
【図1】全地球航法衛星システム(GNSS)と通信するナビゲーション装置の概要図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にあたるナビゲーション装置を与えるように構成された電子構成要素の概要図である。
【図3】本発明の第2の実施形態にあたるナビゲーション装置を与えるように構成された電子構成要素の概要図である。
【図4】ナビゲーション装置がワイヤレス通信チャネルのサーバからの情報を受信する方法の概要図である。
【図5a】ナビゲーション装置の実例の外観図である。
【図5b】ナビゲーション装置の実例の外観図である。
【図6】本発明の1つの実施形態のデータ変換のダイヤグラムである。
【図7】本発明の1つの実施形態による方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態にあたるシード位置の決定方法を示すフローチャートである。
【図9】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図10】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図11】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図12】標準タイムゾーンを示した世界地図である。
【図13】セルラネットワークの制御信号のデータフォーマットの概略を示すダイヤグラムである。
【図14】本発明の実施形態及び先行技術のクアルコム社のQST1105のナビゲーション装置におけるTTFFと電力と位置の不確定性を示したグラフである。
【図15】本発明の実施形態及びA−GPSのナビゲーション装置におけるTTFFと電力と位置の不確定性を示したグラフである。
【図16】先行技術に係る衛星の探索方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の好ましい実施形態をPNDについて具体的に参照しながら記載する。しかし、尚、本発明の教示はPNDに限らず、全地球航法衛星システム(GNSS)を用いる位置情報を与えるように構成された処理装置全般に適用可能である。したがって、本願の記載において、ナビゲーション装置は、その装置がPND、車両に設置されたナビゲーション装置、又は経路計算及びナビゲーションソフトウェアを実行する(デスクトップ型又は携帯用パソコン(PC)、移動電話又は携帯情報端末といったような)コンピューティング資源の何れかとして実施されるかにかかわらず、これらのナビゲーション装置を含む(ただし、限定はしない)こととする。
【0056】
上記の条件を考慮して、図1は、ナビゲーション装置140により使用可能な全地球航法衛星システム(GNSS)100の一例を示す図である。一般に、GNSSは、連続的な位置、速度、時間及び場合によっては方向情報を決定できる衛星ラジオナビゲーションシステムである。GNSSは地球124周辺の軌道における衛星120を複数備える。互いの衛星120の軌道は必ずしも他の衛星120の軌道と同期している必要はなく、実際に同期していないことは多い。GNSS衛星はそれらの位置を信号160によって受信ユニット140に中継する。GNSS受信器140は拡散スペクトルGNSS衛星信号160を受信し、衛星から中継された位置情報からその位置を決定する。
【0057】
本発明の前記ナビゲーション装置は、以前はNAVSTAR、Galileo、GLOSSNASS、又はその他の適切なGNSSとして知られていたGPSに使用できる。GNSSは極めて正確な軌道で地球を周回する複数の衛星120を使用する。
【0058】
各衛星120から連続的に送信される拡散スペクトル信号160は、極めて正確な原子時計によって得られる非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GNSS受信器140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GNSS受信器140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することは当業者の知るところである。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120からの信号160となり、これによってGNSS受信器140は、その3次元位置を知られた方法で計算できる。
【0059】
(GNSSデータを受信するために特別に構成された)装置がGNSS衛星信号について無線周波数のスキャンを開始する場合、GNSSシステムが実行される。GNSS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を決定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号のスキャンを継続する(尚、不可能ではないが、通常は、位置は、他の三角測量技術を使用した2つの信号のみでは決定されない)。幾何学的三角測量を実施する場合、受信器は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を決定する。これは、既知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、既知の方法の同様の幾何学計算によってその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0060】
図2は、本発明の好適な実施形態に基づくナビゲーション装置200の電子構成要素を、ブロック構成要素の形式で具体的に示したものである。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例の中から代表するものにすぎない。
【0061】
ナビゲーション装置200の電子構成要素は、図5a及び5bに示すような筐体内に位置する。ナビゲーション装置は、入力装置220と接続された処理装置210、及び処理装置210と接続されたバックライトドライバ241を備える表示画面(本実施形態ではLCD240)を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、あるいは情報を入力するために利用される他の知られた何らかの入力装置を含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の何らかの種類の表示画面を含むことができる。本構成おいて、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に統合され、それにより、ユーザは、表示画面240の一部分に接触するだけで、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つをアクティブにできる。
【0062】
ナビゲーション装置は出力装置260〜262、例えば、スピーカー261、オーディオアンプ262及びオーディオコーデック260を含んでもよい。オーディオ装置260〜262は、オーディオが決められた経路に従ってユーザを案内するような命令を作成できる。
【0063】
ナビゲーション装置200において、処理装置210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置220から入力情報を受信するように設定される。また、処理装置210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置260のうちの少なくとも一方に出力接続245及び246を介して動作可能に接続される。更に、処理装置210は、接続235を介してメモリ資源230に動作可能に結合される。メモリ資源230は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリのようなデジタルメモリを備える。
【0064】
ナビゲーション装置200は更に、セルラネットワークの基地局からBCCHのようなブロードキャスト信号を受信するために移動電話のようなセルラモデム280に取り外し可能に接続する接続270を備える。接続270は、例えば、ナビゲーション装置200とインターネット又はその他のネットワークとの接続を確立するため、あるいは、インターネット又はその他のネットワークを介してサーバとの接続を確立するために用いてもよい。その他の実施形態において、装置280はTMS/RDS情報を受信できる携帯用テレビ受信器又はラジオ受信器でもよい。
【0065】
図2は更に、処理装置210とGNSSアンテナ250と受信器251の接続255を介した動作可能な接続を示す。アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよい。
【0066】
更に、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源290、この場合、電力管理集積回路290、により電力を供給されることは当業者の理解できるところであろう。
【0067】
処理装置210がコンピュータ等に接続するために、ワイヤ接続276、本実施形態ではUSB接続、も提供される。このような接続はソフトウェア又はハードウェアの更新及び地図の更新に用いることができる。
【0068】
当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成は本願の範囲内にあると考えられる。例えば、図2に示す構成要素は、ワイヤ接続とワイヤレス接続等を介して互いに通信してもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200を含む。
【0069】
更に、図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自転車、バイク、自動車又は船舶等の移動手段に、図5a及び5bに示した搭載装置292及び294を用いて、知られている方法で接続又は「ドッキング」される。その場合、そのようなナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションとして使用するために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0070】
図3はナビゲーション装置の電子構成要素の他の実施形態を示す。本実施形態において図2に示された実施形態の構成要素と同一または類似の構成要素には同じ参照番号を付した。本実施形態はセルラモデム280がナビゲーション装置と一体である点で図2に示した実施形態と異なる。ナビゲーション装置上の移動電話の技術は上で述べた内部構成要素を含むことができ、あるいは、例えば、移動電話の技術あるいはアンテナに必要なものを全て備えた挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュール又はSIMカード)を含むことができる。尚、しかしながら、本発明はセルラネットワークへの加入を要求しないため、SIMカードは必ずしも必要としない。
【0071】
ここで図4を参照すると、ナビゲーション装置200は、(例えば、既知のBluetooth技術を介するデジタル接続のような)デジタル接続を確立しているセルラモデム280を介して、サーバ302との「モバイル」又は遠隔通信ネットワーク接続を確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、セルラ装置は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、ナビゲーション装置200(単体時、あるいは車載時において移動可能で、多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立され、「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」の情報についてのゲートウェイを提供する。
【0072】
例えば(World Wide Webのような)インターネットを使用して、移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、既知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置は、DVB−H、DVB−T、CDMA、GSM、Wi−Max、TMC/RDS等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0073】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200上の移動電話技術を介して、データ接続によってもたらされるインターネット接続を利用してもよい。この接続のために、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置と、GPRS(汎用パケット無線サービス)接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行うことができる。
【0074】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、最終的には、例えば既存のBluetooth技術を介して既知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等のうち1つ以上の規格を利用できる。
【0075】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応のナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新可能である。
【0076】
図4では、ナビゲーション装置200は、数々の異なる構成の何れにおいても実施できる汎用通信チャネル318を介して、サーバ302と通信するものとして示される。通信チャネル318を介する接続が本発明のサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、サーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットによるパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0077】
サーバ302は、図示する必要のない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され、更に、ワイヤ又はワイヤレス接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に接続される処理装置304を含む。更に、処理装置304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信器308及び受信器310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号あるいは他の伝搬信号を含んでもよい。送信器308及び受信器310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信器308及び受信器310の機能は、信号送受信器に組み合わされてもよい。
【0078】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0079】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2及び3に関して上述したように、処理装置、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号あるいはデータを送信する送信器320及び受信する受信器322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用できる。更に、送信器320及び受信器322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信器320及び受信器322の機能は、単一の送受信器に組み合わされてもよい。
【0080】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、処理装置304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送信を含む。
【0081】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200は何れも、通信チャネルを介してデータを送信する送信器及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信器を含む。
【0082】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信、あるいは電磁通信のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信器及び受信器等の中間装置を含むことができる。
【0083】
1つの具体的な構成において、通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等のワイヤレス通信に適応できてもよい。更に、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0084】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるあるいは推奨されるような信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の何れもが通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって推奨される変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0085】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、自動的に又はユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に定期的に更新されてもよく、あるいは、例えばワイヤレス移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより恒常的に又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的な計算のために、サーバ302内の処理装置304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200の処理装置210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続とは独立して、多くの処理及び計算を処理できる。
【0086】
図5a及び図5bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図5aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2及び3の他の構成要素(内蔵GPS受信器250、処理装置210、電源、メモリシステム230などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0087】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0088】
図5bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置200をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図5bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置とドッキングステーションの着脱のためのその他の同様に適した構成は当業者によく知られている。
【0089】
ユーザがPNDのスイッチをオンにした時、装置はGNSSの調整がなされ、PNDの現在位置を(知られている方法で)計算する。このPNDの現在位置を使用することで、従来のアルゴリズムによりナビゲーション可能な経路を決定し、ユーザに案内を提供できる。
【0090】
図6〜8を参照すると、PNDのスイッチがオンの場合、第1の位置調整を決定するために、ステップ1001においてPNDはウォーム・スタート・モードにあるか否かを決定するために照合を行う。PNDはウォーム・スタート・モードにあるならば、以下に開示したPNDの遠隔起動アルゴリズムが実行される、一方、PNDはウォーム・スタート・モードになければ、PNDはスイッチがオンにされる時にコールドスタートを実行する、すなわち目印から観測可能な衛星を探索する。
【0091】
ステップ1001においてPNDはウォーム・スタート・モードにあることが判れば、処理装置210は1002でモデム280に基地局410から送信されたBCCHのようなブロードキャスト信号を受信するようにする。ステップ1003において、モデム280がBCCH信号を受信できなければ、アルゴリズムはステップ1005、いわゆるOOSモードに進み、そうでなければステップ1004、いわゆる非OOSモードに進む。OSSモードでは、処理装置210は表示画面240に、要求を表示し現在位置情報のユーザ入力を受信するように制御する。ステップ1006では、処理装置210はシード位置を判定し、その場所から観測可能なGNSS衛星を予測する。これは、シード位置を、メモリ230に記憶されたシード位置に関連づけられた衛星情報とを照合することで実行されうる。観測可能な衛星を予測することにより、GNSS衛星はGNSS受信器251によりその位置が特定される。軌道位置情報が利用できれば、観測可能な衛星を予測するためのアルゴリズムは、シード位置及び例えばメモリ230に記憶されたアルマナック228中の情報の両方を用いて、観測可能な衛星の疑似乱数(PRN)を生成する。ユーザ入力が受信されなければ、アルゴリズムは目印から観測可能な衛星が探索されるステップ1007(コールド・スタート・モード)に進む。
【0092】
モデム280がBCCHを受信できれば、アルゴリズムはステップ1004に進む。図13を参照すると、BCCHは、現在セル内にあるセルラ装置のセルの仕様情報の全てを伝達するために用いられる。セルの仕様は通常、モバイル・カントリー・コード(MCC)、モバイル・ネットワーク・コード(MNC)430、ロケーション・エリア・コード(LAC)440及びセル識別(CI)450を備え、各々の国又は領域又は地理上のエリアは固有のMCCを持っている。
【0093】
ステップ1008では、処理装置210はBCCHより現在のMCCを取得し、現在のMCCを、例えば最後にスイッチがオンであったときのような最後にPNDによって受信され、メモリ230に記憶された前のMCCと対照する。
【0094】
現在のMCCが前のMCCと同じならば、アルゴリズムはステップ1009に進み、処理装置210は、メモリ230に記憶されている選択国のリストに対してMCCを照合する。ここで、上記の国は、経度又は緯度方向に広い国であるため、観測可能な衛星を予測できる固有のシード位置を持たない国である。一つの実施形態では、選択国のリストはロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国を含む。
【0095】
MCCが上記リスト中の国又は領域と一致するなら、アルゴリズムはステップ1010に進み、一方、MCCが上記リスト中の国又は領域と一致しなければ、アルゴリズムはステップ1011に進む。ステップ1010では、処理装置210はモデム280が現在のBCCHのネットワーク識別及びタイムゾーン情報(NITZ)を復号化するように命令する。NITZ情報が使用できなければ処理装置210はGNSS受信器250/251に目印から観測可能な衛星が探索されるコールド・スタート・モード1008を実行させる。
【0096】
メモリ230に記憶されるのは、最後にPDFのスイッチがオンであった時に決定された、前のNITZ情報であり、ステップ1012では、処理装置210は現在のNITZ情報を前のNITZ情報と対照し、NITZ情報が同じならば、アルゴリズムはステップ1011に進み、そうでなければ、アルゴリズムはステップ1013に進む。
【0097】
ステップ1011では、処理装置は最後の位置情報1014とメモリ230に記憶されたアルマナック228からの情報を読み出し、位置情報1014及びアルマナック情報228中を用いて、PRNリストの生成を含む、観測可能な衛星の予測が実行される。
【0098】
ステップ1013では、観測可能な衛星の予測はMCC及びNITZ情報からシード位置、すなわちPNDのおおよその位置の決定することによってなされ、観測可能な衛星のPRNリストはシード位置及び記憶されたアルマナック228から生成される。シード位置はNITZ情報を、NITZ情報をシード位置と関連付けたデータベース1015と対照することで得られる。NITZ情報に基づいてシード位置を判定する方法の実施形態は図8を参照しながら以下に述べる。
【0099】
ステップ1004に戻ると、現在のMCCが前のMCCと同じでなければ、アルゴリズムはステップ1016に進む。ステップ1016では、処理装置210はメモリ230に記憶された選択国のリストに対してMCCを照合する。
【0100】
現在のMCCがリスト中の国又は領域と一致するなら、アルゴリズムはステップ1017に進み、一方、現在のMCCがリスト中の国又は領域と一致しなければ、アルゴリズムはステップ1018に進む。ステップ1017では、処理装置210はモデム280が現在のBCCHのネットワーク識別及びタイムゾーン情報(NITZ)を復号化するように命令する。NITZ情報が使用できなければステップ1019において、処理装置210はPND200にユーザによる位置情報入力を要求させ、ユーザ入力を受信しなければ、GNSS受信器250/251に目印から観測可能な衛星が探索されるコールド・スタート・モード1020を実行させる。
【0101】
位置情報の手動入力が受信されれば、ステップ1021において、例えばメモリ230に記憶されたシード位置のデータベース1022と一致する地図を用いて位置情報をシード位置と対応させている地図によって、処理装置がシード位置を判定する。データベース1022は場所をシード位置と関連付ける。決定されたシード位置と記憶されたアルマナックから、衛星を観測可能なようにするため、観測可能な衛星の予測及びPRNリストが生成される。
【0102】
ステップ1017において、NITZ情報が利用できなければ、アルゴリズムは上で述べたステップ1013を実行する。
【0103】
図8を参照すると、ステップ1013において、シード位置が決定される方法が更に詳細にわたって示されている。ステップ1013aにおいて、MCCは排他的(第2の)リスト又は固有のシード位置を持たない国又は領域のような広大な国と対照される。例えば、排他的リストは、中華人民共和国、インド共和国、アルゼンチン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国とすることができる。
【0104】
MCCが排他的リストにない国又は領域と一致するならば、タイムゾーン(TZ)情報からシード位置が決定される。MCCが排他的リストある国又は領域と一致するならば、1つ以上のネットワーク識別(NI)から決定したネットワークのサービスエリア情報よりシード位置が決定される。ステップ1013bにおいて、処理装置210はネットワーク識別がシード位置を判定するために用いることができるか否かを決定する。再び、これはネットワーク識別を、シード位置を定めるネットワーク識別を識別するデータベースと対照することでなしうる。ネットワーク識別からシード位置を判定することができなければ、PNDは、ステップ1013cにおいて、ユーザからの位置情報の手動入力を要求する。ネットワーク識別からシード位置を判定することができれば、アルゴリズムは1013dに進み、シード位置がネットワーク識別から決定される。これをなしうる方法の1例は図10〜12を参照して述べられよう。
【0105】
チリ共和国はその長さ(地球の曲率のため、国土の南側で観測可能なGNSS衛星と北側で観測可能なそれらとは異なる)ゆえに固有のシード位置を持たない国の1つである。したがって、PNDの位置に基づいてこの国はさらに分割される。チリは1つのタイムゾーンに収まっているため、タイムゾーン情報からPNDのおおよその位置を決定することはできない。したがって、PNDのおおよその位置ひいてはシード位置を判定するためには、PNDが制御信号を受信できるセルラネットワークの情報が用いられる。
【0106】
図9〜11は、チリ全域の異なるセルラネットワーク、すなわちENTEL PCS、ENTEL TELEFONIA MOVIL及びTelefonica Movil De Chileのサービスエリアを示す。図に示すように、チリ中部では3つの全てのネットワークが利用できる。一方、北側では、ENTEL PCSがチリ北部の大半をカバーしているのに対し、ENTEL TELEFONIA MOVIL及びTelefonica Movil De Chileのサービスエリアは大都市に限られる。南側では、Telefonica Movil De Chile及びENTEL PCSのみが利用できる。したがって、処理装置210は、用いられるBCCH信号のネットワーク識別を識別し、国又は領域におけるPNDのおおよその位置をネットワーク識別から決定するように構成される。例えば、ENTEL TELEFONIA MOVILのBCCH信号が受信されなければ、PNDがチリ南部にある可能性が高い。一方、3つ全てのネットワークからのBCCH信号が受信されれば、チリ中部にいる可能性が最も高い。ENTEL PCSのBCCH信号のみが受信されれば、PNDがチリ北部にある可能性が高い。
【0107】
メモリ230は異なるネットワークのサービスエリアの組み合わせのシード位置(例えばチリでは3つのシード位置)のデータベースを記憶しており、処理装置はデータベースから識別されたネットワークのサービスエリアよりシード位置を識別する。例えば、シード位置はチリ北部、南部及び中部の中心であってよい。
【0108】
上で述べたように、シード位置はアルマナック229とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0109】
図8に戻ると、MCCが排他的リストにない国又は領域と一致するならば、シード位置がタイムゾーン(TZ)情報から決定される。ステップ1013eでは、処理装置210は国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っているか否かを決定する。これは、メモリ230に記憶された複数のタイムゾーンに渡る国又は領域のデータベース(第1のリスト)を用いて実行される。例えば、国リストは、ロシア連邦、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、カザフスタン共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国であってもよい。図9は複数のタイムゾーンに渡って広がる国を示している世界地図である。
【0110】
国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っていなければ、処理装置はステップ1013fに進み、国又は領域からシード位置(例えば、シード位置は国又は領域の中心となりうる)を決定する。上で述べたように、シード位置はアルマナック228とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0111】
国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っていれば、処理装置はステップ1013gに進み、モデム280によって受信されたBCCHからタイムゾーン(TZ)情報が得られる。
【0112】
そのとき、シード位置は国又は領域、及びタイムゾーン情報から決定され、例えば、シード位置はタイムゾーン及び国又は領域の境界によって区分けされたエリアの中心であってよい。上で述べたように、シード位置はアルマナック228とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0113】
一旦、観測可能な衛星の予測とPRNリストが生成されると、第1の位置調整が確立できる。上記方法を用いた観測可能な衛星の予測とPRNリストの生成により、第1の調整時間(TTFF)を大幅に減少できると考えられる。
【0114】
図6はシステム200におけるデータの流れを示す。ユーザ入力装置220(例えばタッチスクリーン)を通してシステム200、及びセルラネットワークの基地局410からの制御信号(例えばBCCH)を受信するセルラモデム280より位置情報が得られる。BCCHにより、MCC及びNITZ情報が得られ、この情報は、もしあれば手動入力とともに、シード位置を識別するために用いられ、これは、図中にシード位置フィルタ460として示される。アルゴリズム470は決定したシード位置とアルマナック228に記憶された衛星の情報を用いて観測可能な衛星を予測し、予測結果は、その場所に基づく定位置を生成するため、N個のチャネルを有するGPS受信器250/251に使用される。
【0115】
ここで図14及び図15を参照する。図は、クアルコム社のQST1105、A−GPS及び本発明の実施形態で用いられている方法の(GNSS受信器の)TTFFと電力と位置の不確定性を示した3−D棒グラフを示す。下の表はグラフに用いた数値を示す。表から分かるように、本発明のTTFFは、特にGNSS受信器の位置の不確定性(すなわち、PNDのスイッチが切られている間に移動した距離)が増加すると、従来の方法に比べて非常に短くなる。
【0116】
グラフに示すとおり、TTFFは従来の方法に比べて9倍の減少量である。
【表1】
【表2】
【0117】
上に述べたアルゴリズムはソフトウェア又はハードウェアあるいはその両方の組み合わせにおいて実施できると理解できよう。
【0118】
尚、本発明は上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に含まれる形態を含む。例えば、PNDは、GNSS衛星の予測ができるシード位置を判定するために、他のブロードキャスト信号を用いてもよい。例えば、セルラモデム280は、テレビ受信器、ラジオ受信器又は時間情報、ワイヤレスネットワークのサービスエリア情報あるいはその他の適切な位置情報を含むブロードキャスト信号を受信するためのその他の受信器に置き換えてもよい。例えば、処理装置210は、受信器がテレビ又はラジオ信号に含まれる信号又は時間情報を受信できるようなテレビ又はラジオネットワークに基づいてシード位置を判定するように構成されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置及びナビゲーション装置のための方法に関する。本発明の有用な実施形態はポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)、特に全地球航法衛星システム(GNSS)の信号受信及び処理機能を含むPNDに関するものである。他の実施形態は、さらに一般的には、経路計画機能を、好ましくはナビゲーション機能をも提供するためのナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されたいずれかの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球航法衛星システム(GNSS)信号の受信及び処理機能を含むポータブルナビゲーション装置(PND)はよく知られており、車両又は他の移動手段搭載型のナビゲーションシステムとして広く採用されている。
【0003】
一般的に言うと、近年のPNDはプロセッサ、メモリ(少なくとも揮発性、不揮発性のいずれか一方、一般的には両方)と上記メモリに格納された地図データを備える。プロセッサとメモリは協働してソフトウェアのオペレーティングシステムが構築されうる実行環境を提供する。さらに、PNDの機能性を制御可能にするために、かつ、その他の種々の機能を提供するために1以上の追加のソフトウェアプログラムが提供されることが一般的である。
【0004】
通常、これらの装置は、ユーザが装置と対話を行い、かつ、装置の制御を可能にする1以上の入力インタフェースと、情報をユーザへ中継できるようにする1以上の出力インタフェースとをさらに備えている。出力インタフェースの実例には、視覚表示装置と、可聴出力用スピーカとが含まれている。入力インタフェースの実例には、装置のオン/オフの操作又は他の機能を制御するための1以上の物理ボタン(これらのボタンは、必ずしも装置自体にある必要はなく、装置が移動装置内に組み込まれている場合にはステアリングホイールにあってもよい)と、ユーザの音声を検出するためのマイクとが含まれている。特に好ましい構成としては、出力インターフェースディスプレイは、ユーザがタッチすることにより装置の操作を可能にする入力インタフェースを追加して提供するように、(タッチパネル式オーバーレイによる、あるいは別様の)タッチパネル式ディスプレイとして構成されてもよい。
【0005】
この種の装置は、電力及びオプションとしてデータ信号を装置に送信し、装置から受信できる手段による1以上の物理コネクタインターフェースと、オプションとして、例えば、Wi−Fi、Wi−Max GSM、CDMA等のセルラ通信、及び他の信号及びデータネットワークを介して通信を可能にする1以上のワイヤレス送受信器が含まれる場合も多い。
【0006】
この種のPNDは、GNSSアンテナも含み、このアンテナによって位置データを含む衛星放送信号が受信され、その後この信号が処理されて装置の現在位置の決定が可能となる。
【0007】
PND装置はまた、GPS信号から得られた位置情報、装置ひいては装置が搭載されている車両の速度及び相対変位とともに、現在の角加速度及び直線加速度を決定するために、処理可能な信号を生成する電子式のジャイロスコープ及び加速度計をさらに含んでもよい。通常、上記のような特徴は、車載ナビゲーションシステムに装備されるのが最も一般的であるが、場合によってはPND装置に装備されてもよい。
【0008】
このようなPNDの実用性は、まず、第1の地点(通常、スタート又は現在位置)と第2の地点(通常、目的地)の間での経路決定機能から明らかとなる。これらの地点は、例えば、郵便番号、街路名及び番地、事前に格納されているよく知られている目的地(名所、市営の場所(運動場又は水泳プール等)又は他の関心のある地点等)及びお気に入りの目的地又は最近訪問した目的地等であり、幅広い様々な異なる方法のうち何れの方法によっても装置のユーザにより入力可能である。
【0009】
通常、地図データから得られる出発地及び目的地の住所地点間の「最良」又は「最適」経路を計算するためのソフトウェアによってPNDは実現される。「最良」又は「最適」経路が所定の基準に基づいて決定されるが、この経路は必ずしも最速又は最短の経路である必要はない。ドライバーを案内する際に沿って進む経路の選択は非常に精密なものとすることができ、この選択された経路は、既存の交通道路情報、予測される交通道路情報、動的受信と無線による受信の少なくともいずれかで受信される交通道路情報、制限速度に関する履歴情報、並びに道路選択の決定要因に対応するドライバーの好み(例えば運転者は、経路が高速自動車道路又は有料道路を含むべきではないと指定してもよい)を考慮に入れてもよい。
【0010】
さらに装置は、道路及び交通の状態を継続的に監視し、変化した状態によって残りの行程の実行経路を変更するように提案又は選択してもよい。種々の技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPSによる艦隊の追跡)に基づくリアルタイムの交通監視システムが、交通の遅延を識別しかつ通知システムに情報を供給するために利用されている。
【0011】
この種のPNDは通常、車両のダッシュボード又はフロントガラスに搭載できるが、車両のラジオに搭載されたコンピュータの一部あるいは実際には車両自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置はPDA(Portable Digital Assistant)、メディアプレーヤー又は移動電話等のハンドヘルドシステムの一部であってもよく、その場合、ハンドヘルドシステムの標準的な機能は、経路計算と、計算された経路に沿ったナビゲーションとの双方を実行するためのソフトウェアを装置にインストールすることにより拡張される。
【0012】
経路計画及びナビゲーション機能は、適切なソフトウェアを実行しているデスクトップ型又は携帯用コンピューティング資源によっても提供できる。例えば、王立自動車クラブ(RAC)は、http://www.rac.co.ukにおいてオンライン経路計画とナビゲーション機能を提供しており、その機能により、ユーザは出発点と目的地を入力するとすぐにユーザのPCが接続されているサーバは(ユーザにより指定されるような)経路を計算し、地図を生成し、選択された出発点から選択された目的地までユーザを案内するための包括的なナビゲーション指示の集合を生成する。この機能は、計算された経路の疑似3次元レンダリング、及び経路に沿ってユーザの移動をシミュレーションし、計算された経路のプレビューをユーザに提供する経路プレビュー機能をも提供する。
【0013】
PNDの場合、経路が計算されるとすぐに、ユーザはナビゲーション装置と対話を行い、オプションとして提案される経路のリストのなかから所望の計算された経路を選択する。オプションとして、ユーザは、例えば、ある特定の行程に対して特定の経路、道路、場所又は基準を避けるべきであることを指定するか、あるいは、それらが必須のものであることを指定することにより、経路の選択のプロセスに介入したり、経路の選択のプロセスをガイドしたりしてもよい。PNDの経路計算の側面は1つの主要機能を形成するものであるが、このような経路に沿って進むナビゲーションはまた別の主要機能となる。
【0014】
計算された経路に沿ったナビゲーションの間、このようなPNDが選択された経路に沿ってその経路の終点、すなわち所望の目的地までユーザをガイドするためするための視覚指示と可聴指示の少なくともいずれかの指示を提供することは一般的である。PNDがナビゲーションの間、画面上に地図情報を表示することもまた一般的であり、装置が車載ナビゲーション用として使用されている場合、このような情報は画面上で定期的に更新されて、表示される地図情報が装置の、従ってユーザ又はユーザ車両の現在地を示すようになっている。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは通常、GNSS受信器を使ってPNDにより決定された装置の現在位置を示し、装置の現在位置の周辺にある現在の道路及び周辺道路の地図情報、並びに同様に表示されている他の地図特徴とともに中央に配置される。さらにナビゲーション情報は、オプションとして、表示されている地図情報の上下又は左右いずれかのステータスバーに表示されてもよく、ナビゲーション情報の例には、ユーザが走行すべき現在の道路から現在の道路で次の進路変更を行う地点までの距離が含まれ、上記進路変更の性質は、例えば左折又は右折のような特定の種類の進路変更を示すさらなるアイコンにより表すことも可能である。上記ナビゲーション機能は、ユーザを経路に沿ってガイドできる可聴指示の内容、継続時間及びタイミングの決定をもする。理解されるように、「100m以内に左折」等の単純な指示が多大の処理及び解析を必要とすることになる。上述のように、ユーザによる装置との対話はタッチスクリーンにより行われてもよいし、あるいは、上記に加えて又はその代わりに、この対話は操向コラムに搭載された遠隔制御装置により、音声起動により、あるいは、他の何れの適切な方法によって行われてもよい。
【0016】
装置により提供されるさらなる重要な機能として、ナビゲーション中に、ユーザが先に計算した経路から(アクシデントで又は自発的に)外れた場合や、別の経路の方が適切であるとリアルタイムの交通状態が示し、かつ、装置がそのような状態を適切に自動認識することが可能である場合、あるいは、ユーザが何らかの理由で積極的に経路の再計算を装置に実行させる場合に行われる経路の自動再計算がある。
【0017】
ユーザが定めた基準で経路計算が可能であることも知られている。例えば、ユーザは、装置が景色のよい経路の方を計算することを望んでもよいし、あるいは、交通渋滞の可能性が高いか、交通渋滞が予想されるか若しくは交通渋滞が現在発生しているいずれの道路も回避することを所望してもよい。その場合、装置のソフトウェアは種々の経路を計算し、例えば、景勝地の例としてタグ付けられたポイント・オブ・インタレスト(POIとして知られている)が経路沿いに最も多く含まれている経路の方をより有利になるように重み付けたり、あるいは、特定の道路で交通状況の傾向が示された保存情報を用いたりすることによって、発生しやすい渋滞や、遅延のレベルに関して計算された経路の順序付けを行う。他のPOI及び交通情報を利用する経路計算及びナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算及びナビゲーション機能は、PNDの有用性全体の基本になるものではあるが、装置を単に情報表示用として、又は「フリードライビング」用として使用することも可能で、その場合、装置の現在地に関連する地図情報のみが表示され、経路は計算されず、装置によるナビゲーションは行われない。このような動作モードは、ユーザが移動の際に沿って進むべき望ましい経路を既に知っていて、ナビゲーションによる補助を必要としないときに適用可能である場合が多い。
【0019】
上述の種類の装置、例えば、TomTom International B.V.により製造及び供給される920Tモデルは、ユーザが1つの位置から別の位置へナビゲートできるようにする信頼性の高い手段を提供する。
【0020】
上記PNDの機能はPNDがGNSS受信器を用いて位置調整の決定をすることが必要である。したがって、PNDを起動する時、GNSSソフトウェアは装置の位置調整を確立する。位置調整の取得が遅れると、PNDが、ナビゲート可能な経路を決定するといったような特定の機能を実行すること又は実行を可能とされることが遅れる結果となるであろう。ある環境では第1の位置調整を確立する(第1の調整時間(TTFF))ために数分から1時間といったように時間がかかることもありうる。この問題はPNDのスイッチが切られ、スイッチが復帰されるまでに非常に長距離の移動をした場合(遠隔起動)、例えば、ユーザが長距離のフライトにPNDを持っていく場合又はPNDを顧客に配送するときに、とりわけ明確である。
【0021】
図16を参照すると、GNSS受信器のための信号処理はチャネル化された構造に基づく。特定の衛星(PRNコード)にチャネルを割り当てる前に、受信器は現在何れの衛星が観測可能であるかを知らなくてはならない。GNSS受信器が観測可能な衛星を見つけるための一般的な動作モードが2つある。1つはコールドスタートと呼ばれ、もう1つはウォームスタートと呼ばれるものである。
【0022】
GNSS受信器は一般に、衛星の状態や軌道情報といったような、GNSS衛星上の情報を含むアルマナックを備える。ウォームスタートでは、GNSS受信器は保存されたアルマナック中の情報とGNSS受信器によって計算された最新の位置を合わせて、PNDのスイッチが切られた時からの全ての衛星の軌道の位置(すなわちドップラーシフト)を計算し、PNDのスイッチが入れられた時に観測可能であろう衛星を決定する。しかしながら、PNDの電源が切られた時にあった場所からかなりの長距離を移動したならば、位置情報は信頼できない。例えば、PNDのスイッチが切られている間、PNDがロンドンから台北に移動する場合、PNDのスイッチが復帰される時、台北にあるGNSS受信器から観測可能な衛星群の位置は、保存されたアルマナックの中の情報から予測された衛星群の位置と異なる。
【0023】
コールドスタートでは、受信器は保存されたアルマナックの中の情報に頼らないが、目印から観測可能な衛星を探索する。このような探索にはかなりの時間がかかることがある。
【0024】
TTFFを減らすための試みがなされてきた。
【0025】
いくつかのGPSプロバイダ、例えばブロードコム社BCM4750によって実施されている一つの解決策は、動作モード(すなわちウォームスタート又はコールドスタート)にかかわらず同時に全ての衛星を探す24チャネルのGPS受信器の利点を利用している。しかしながら、このように多数のチャネルを持つ受信器はハードウェアの複雑さ及び消費電力を増大させてきた(経験則では衛星を捕捉している間に1つのチャネルは1〜2mA消費する)。ハードウェアのさらなる複雑化はGPS受信器のコスト増大となるであろう。さらに、12から16チャネル備えた既知のGNSS受信器においてこのような解決策を実施するのには(新しいチップの設計とテープアウトを含む)ハードウェアの改造が求められ、ソフトウェア又はファームウェアの更新ではなし得ない。従来のGPSでは、24チャネルの受信器で十分であるが、(ガリレオ、GLOSNASS、近代化されたGPSのような)将来のGNSSシステムでは、同時に全ての衛星を探索するためには受信器は24よりさらに多くのチャネルを求められる可能性がある。
【0026】
クアルコム社で開発されたシステム(国際出願WO2006/102508参照)は、遠隔起動の場合のTTFFを減らすためにモバイル・カントリー・コード(MCC)を用いる。MCCはセルラネットワークによって送信され、GNSS装置がいる国又は領域ひいてはGNSS装置に位置を、遠隔起動であっても特定するためにGNSS装置に使用されうる。多くの国については、MCCの利用は、遠隔起動の際のTTFFが減少する結果になりうるが、いくつかの広大な領土を持つ国(例えば、ロシア連邦、アメリカ合衆国、カナダ、中華人民共和国、チリ共和国)では、MCCの利用は効率が低下し、TTFFが増加することにさえなりうる。
【0027】
さらなる解決策は、A−GPSで、これは、衛星の軌道と、観測可能なセルラネットワークの衛星を探索するための補助として使用されうるその他の情報とを、セルラネットワークのプロバイダ(制御プレーン、CP)又はサービスコンテンツのプロバイダ(ユーザプレーン、UP)の何れかよりダウンロードするものある。このような技術の欠点は遠隔起動のシナリオにあり、移動電話又はGNSS受信器に用いられるその他のセルラ装置はローミングモード(セルラ装置が初期に登録されていないセルラネットワーク(在圏網)における動作)になることがあり、情報のダウンロードはかなりの費用が発生しうる。さらに、セルラネットワークのプロバイダから情報が提供される場合、GNSS受信器がこの情報を得るためには、ホームネットワークと在圏網は双方の相性が良くなくてはならず、現在のセルラネットワークでは、このようなネットワーク間の互換性は、一般的でない。
【0028】
その他のGPS受信器は、計算された衛星群を基にした探索時間があらかじめ定めたしきい値を超える場合、ブラインド・サーチ・モードを自動的に初期化する。
【発明の概要】
【0029】
本発明の第1の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得し、
ii)ナビゲーション装置の位置におけるタイムゾーン情報をブロードキャスト信号から、国に基づいて選択的に取得し、タイムゾーン情報からシード位置を判定し、判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0030】
第1の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置する国のエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するためにタイムゾーン情報を用ることができるため有用である。さらに、タイムゾーン情報は選択的に用いられ、例えば、ナビゲーション装置が位置する国が複数のタイムゾーンに渡って広がるか否かにもよる。この方法では、不要な処理を避けるために、観測可能な衛星を決定できるシード位置を決めるために、その国における、あるいはその国を越える更なる情報が必要とされる場合のみ、タイムゾーン情報が用いられる。
【0031】
一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ナビゲーション装置が位置する国及びタイムゾーン情報からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0032】
本発明の第2の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)現在位置について、セルラ装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
ii)ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0033】
第2の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置するエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するために、セルラネットワークの制御信号(例えば、BCCH)のようなブロードキャスト信号をワイヤレス装置が受信できる、ワイヤレスネットワーク(例えばセルラネットワーク)の識別情報を用いることができるため有用である。一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ワイヤレス受信器がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0034】
本発明の第3の側面により、ナビゲーション装置であって、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、ユーザ入力装置と、処理装置と、を備え、処理装置は、
i)ユーザ入力装置からGNSS装置の位置情報を取得し、
ii)位置情報からシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0035】
第3の側面に係る本発明は、ナビゲーション装置が位置するエリア、そのエリアにあるシード位置、を特定するために、ユーザ入力装置からの位置情報を用いることができるため有用である。一旦、ナビゲーション装置のおおよその場所が特定されると、目印から始める必要はなくGNSS衛星の探索ができる。具体的には、ナビゲーション装置は各々のシード位置で観測可能なGNSS衛星についての地図情報が記憶されたメモリを有してもよく、処理装置は、(例えば、適切なプログラムにより)ユーザ入力装置からシード位置を判定するために上記地図情報を使用するように構成されてもよい。処理装置はさらに、シード位置から観測可能な衛星を決定するように構成されてもよい。観測可能な衛星のリストに基づく衛星の探索の実行によりTTFFを減少できる。
【0036】
各々のシード位置は、個々のエリア及びそのエリアにあるナビゲーション装置が観測可能な衛星と関連付けられると理解されよう。例えば、シード位置は国又は領域、タイムゾーン及び国又は領域の境界で定められたエリア、セルラネットワークのサービスエリア及び国又は領域の境界で定められたエリアのうち少なくとも何れかにある場所でよい。例えば、前記シード位置は国又は領域あるいはエリアの中心であってもよい。
【0037】
さらに、ナビゲーション装置は選択国のリストを記憶したメモリを更に備え、処理装置は、ブロードキャスト信号から国コード(例えば、ブロードキャスト信号はセルラネットワークからブロードキャストされた制御信号であるとき、モバイル・カントリー・コード(MCC))を特定し、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が選択国のリスト中の国の1つと対応するか否かに基づいて、ワイヤレスネットワークの識別情報及びタイムゾーン情報のうち少なくとも何れかよりシード位置を判定するように構成されてもよい。
【0038】
国リストは、特定された国コードと関連付けられた国又は領域がリスト上の国又は領域と一致すれば、少なくとも経度を基準とした位置又はワイヤレスネットワークの識別情報の何れかよりシード位置が決定されることを特徴とするポジティブリストであってもよい。あるいは、国リストは、特定された国コードと関連付けられた国又は領域がリスト上の国又は領域と一致しなければ、少なくとも経度を基準とした位置又はワイヤレスネットワークの識別情報の何れかよりシード位置が決定されることを特徴とするネガティブリストであってもよい。
【0039】
選択国のリストは、第1のリスト及び第2のリストを備えてもよく、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が第1のリスト上の国又は領域と対応すれば、タイムゾーン情報よりシード位置が判定され、特定された国コードと関連付けられた国又は領域が第2のリスト上の国又は領域と対応すれば、ワイヤレスネットワークの識別情報より前記シード位置が判定される。
【0040】
選択国のリストは、ロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国のうち1以上を含むことができる。
【0041】
第1のリストは、複数のタイムゾーンに渡って広がる国、例えばロシア連邦、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、カザフスタン共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国、のリストを含んでもよい。
【0042】
第2のリストは、国土の長さゆえ複数のシード位置が必要な国、例えば中華人民共和国、インド共和国、アルゼンチン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、のリストを含むことができる。
【0043】
現在の世界の国々において、第1と第2のリストは互いに重複しないことが分かる。すなわち、ある国又は領域が多くのタイムゾーンに渡るならば、その国又は領域はワイヤレスネットワークのサービスエリアに基づいて構築されたシード位置を必要とするような広がりはない。しかしながら、これは少なくとも国コード、あるいは国又は領域の広がりが変われば変更されうることは考えられるところである。
【0044】
1つの実施形態では、メモリは、シード位置に、国コード、タイムゾーン情報、ワイヤレスネットワークの識別情報のうち少なくとも1つを示すデータマップを備える、例えば、シード位置は少なくとも国コード、タイムゾーン情報、ワイヤレスネットワークの識別情報によって独自に定めたエリアの中心のような位置となる。
【0045】
本発明は、遠隔起動のシナリオにおいて、ナビゲーション装置はその位置から観測可能であろうGNSS衛星を素早く特定できる等、タイムゾーン情報あるいはワイヤレスネットワークの識別(ネットワークのサービスエリア情報)は、ナビゲーション装置のおおよその位置を特定するために用いられる点で有用である。この方法では、大きな消費電力の増大をせずに、TTFFを大きく減少できる。さらに、ソフトウェアあるいはファームウェアの更新で、現状のナビゲーション装置において本発明を実施できるであろう。その上、もう一つの利点は、必要な情報はワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号(例えば、BCCH.PCCPCH、同期化チャネル(SynchCh))から得られることで、これにより、この情報を得るのには通信料(具体的には、ローミング通信料)がかからない。本ナビゲーション装置は加入者識別モジュール(SIM)を必要とせずに実施可能である。その上さらなる利点は、ブロードキャスト信号は復号が非常に速くできることで、結果、ブロードキャスト信号で提供される情報に基づく衛星探索の開始の遅れが少なくなる。
【0046】
1つの実施形態では、処理装置は、
i)ブロードキャスト信号から国コードを特定し、国コードを用いて国又は領域を特定し、
ii)特定された国又は領域が国の排他的リストにある場合は、ナビゲーション装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得してワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、排他的なリストになく、特定された国又は領域が複数のタイムゾーンに渡って広がる場合に、ブロードキャスト信号からタイムゾーン情報を取得して国コード及びタイムゾーン情報からシード位置を判定し、何れの場合にも該当しなければ、国コードのみからシード位置を判定し、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するためにGNSS受信器を制御するように構成される。
【0047】
1つの実施形態では、ナビゲーション装置のメモリには以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が記憶されており、処理装置は、ナビゲーション装置によって受信された現在のブロードキャスト信号あるいはユーザ入力により、現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報、ユーザ入力位置情報を特定するように構成され、現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が、以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報と一致しなければ、処理装置は現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報よりシード位置を判定する。現在のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報が、以前のタイムゾーン情報、ワイヤレスネットワーク情報あるいは、ユーザ入力位置情報と一致すれば、処理装置は、GNSS受信器にメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を探索させる。
【0048】
1つの実施形態では、GNSS受信器はGNSS衛星についての情報を含むメモリに記憶されたアルマナックを含む情報を用いてGNSS衛星を探索するように構成される。
【0049】
ワイヤレス受信器はセルラ装置、又は、接続であって、セルラネットワークの基地局から発せられた制御信号を受信するためのセルラ装置、携帯用テレビ信号受信器、ラジオ受信器、又は時間情報、ワイヤレスネットワークのサービスエリア情報あるいはその他の適切な位置情報を含むブロードキャスト信号を受信するその他の受信器に接続されるように構成された接続とすることができる。例えば、処理装置は、受信できるテレビあるいはラジオチャネル、又はテレビあるいはラジオのチャネルに含まれる時間情報からシード位置を判定するように構成することができる。
【0050】
本発明の第5の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得する工程と、
iii)ブロードキャスト信号から上記位置におけるタイムゾーン情報を、国に基づいて選択的に取得し、タイムゾーン情報からシード位置を判定し、判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0051】
本発明の第6の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)現在位置について、ブロードキャスト信号が受信されたワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
iii)ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定する工程と、
iv)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0052】
本発明の第7の側面により、ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ユーザ入力装置から位置情報を取得する工程と、
ii)位置情報からシード位置を判定する工程と、
iii)判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するようGNSS受信器を制御する工程と、を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0053】
本発明の第8の側面により、処理装置によって実行された場合、本発明の第5乃至7の側面のいずれか1つの方法を処理装置に実行させるプログラムを記憶した記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の教示の様々な側面と、それらの教示を実施する変形例を添付した図面を参照したわかりやすい例によって以下に述べよう。
【図1】全地球航法衛星システム(GNSS)と通信するナビゲーション装置の概要図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にあたるナビゲーション装置を与えるように構成された電子構成要素の概要図である。
【図3】本発明の第2の実施形態にあたるナビゲーション装置を与えるように構成された電子構成要素の概要図である。
【図4】ナビゲーション装置がワイヤレス通信チャネルのサーバからの情報を受信する方法の概要図である。
【図5a】ナビゲーション装置の実例の外観図である。
【図5b】ナビゲーション装置の実例の外観図である。
【図6】本発明の1つの実施形態のデータ変換のダイヤグラムである。
【図7】本発明の1つの実施形態による方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態にあたるシード位置の決定方法を示すフローチャートである。
【図9】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図10】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図11】異なるセルラネットワークのサービスエリアを示したチリの地図である。
【図12】標準タイムゾーンを示した世界地図である。
【図13】セルラネットワークの制御信号のデータフォーマットの概略を示すダイヤグラムである。
【図14】本発明の実施形態及び先行技術のクアルコム社のQST1105のナビゲーション装置におけるTTFFと電力と位置の不確定性を示したグラフである。
【図15】本発明の実施形態及びA−GPSのナビゲーション装置におけるTTFFと電力と位置の不確定性を示したグラフである。
【図16】先行技術に係る衛星の探索方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の好ましい実施形態をPNDについて具体的に参照しながら記載する。しかし、尚、本発明の教示はPNDに限らず、全地球航法衛星システム(GNSS)を用いる位置情報を与えるように構成された処理装置全般に適用可能である。したがって、本願の記載において、ナビゲーション装置は、その装置がPND、車両に設置されたナビゲーション装置、又は経路計算及びナビゲーションソフトウェアを実行する(デスクトップ型又は携帯用パソコン(PC)、移動電話又は携帯情報端末といったような)コンピューティング資源の何れかとして実施されるかにかかわらず、これらのナビゲーション装置を含む(ただし、限定はしない)こととする。
【0056】
上記の条件を考慮して、図1は、ナビゲーション装置140により使用可能な全地球航法衛星システム(GNSS)100の一例を示す図である。一般に、GNSSは、連続的な位置、速度、時間及び場合によっては方向情報を決定できる衛星ラジオナビゲーションシステムである。GNSSは地球124周辺の軌道における衛星120を複数備える。互いの衛星120の軌道は必ずしも他の衛星120の軌道と同期している必要はなく、実際に同期していないことは多い。GNSS衛星はそれらの位置を信号160によって受信ユニット140に中継する。GNSS受信器140は拡散スペクトルGNSS衛星信号160を受信し、衛星から中継された位置情報からその位置を決定する。
【0057】
本発明の前記ナビゲーション装置は、以前はNAVSTAR、Galileo、GLOSSNASS、又はその他の適切なGNSSとして知られていたGPSに使用できる。GNSSは極めて正確な軌道で地球を周回する複数の衛星120を使用する。
【0058】
各衛星120から連続的に送信される拡散スペクトル信号160は、極めて正確な原子時計によって得られる非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GNSS受信器140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GNSS受信器140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することは当業者の知るところである。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120からの信号160となり、これによってGNSS受信器140は、その3次元位置を知られた方法で計算できる。
【0059】
(GNSSデータを受信するために特別に構成された)装置がGNSS衛星信号について無線周波数のスキャンを開始する場合、GNSSシステムが実行される。GNSS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を決定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号のスキャンを継続する(尚、不可能ではないが、通常は、位置は、他の三角測量技術を使用した2つの信号のみでは決定されない)。幾何学的三角測量を実施する場合、受信器は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を決定する。これは、既知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、既知の方法の同様の幾何学計算によってその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0060】
図2は、本発明の好適な実施形態に基づくナビゲーション装置200の電子構成要素を、ブロック構成要素の形式で具体的に示したものである。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例の中から代表するものにすぎない。
【0061】
ナビゲーション装置200の電子構成要素は、図5a及び5bに示すような筐体内に位置する。ナビゲーション装置は、入力装置220と接続された処理装置210、及び処理装置210と接続されたバックライトドライバ241を備える表示画面(本実施形態ではLCD240)を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、あるいは情報を入力するために利用される他の知られた何らかの入力装置を含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の何らかの種類の表示画面を含むことができる。本構成おいて、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に統合され、それにより、ユーザは、表示画面240の一部分に接触するだけで、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つをアクティブにできる。
【0062】
ナビゲーション装置は出力装置260〜262、例えば、スピーカー261、オーディオアンプ262及びオーディオコーデック260を含んでもよい。オーディオ装置260〜262は、オーディオが決められた経路に従ってユーザを案内するような命令を作成できる。
【0063】
ナビゲーション装置200において、処理装置210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置220から入力情報を受信するように設定される。また、処理装置210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置260のうちの少なくとも一方に出力接続245及び246を介して動作可能に接続される。更に、処理装置210は、接続235を介してメモリ資源230に動作可能に結合される。メモリ資源230は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリのようなデジタルメモリを備える。
【0064】
ナビゲーション装置200は更に、セルラネットワークの基地局からBCCHのようなブロードキャスト信号を受信するために移動電話のようなセルラモデム280に取り外し可能に接続する接続270を備える。接続270は、例えば、ナビゲーション装置200とインターネット又はその他のネットワークとの接続を確立するため、あるいは、インターネット又はその他のネットワークを介してサーバとの接続を確立するために用いてもよい。その他の実施形態において、装置280はTMS/RDS情報を受信できる携帯用テレビ受信器又はラジオ受信器でもよい。
【0065】
図2は更に、処理装置210とGNSSアンテナ250と受信器251の接続255を介した動作可能な接続を示す。アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよい。
【0066】
更に、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源290、この場合、電力管理集積回路290、により電力を供給されることは当業者の理解できるところであろう。
【0067】
処理装置210がコンピュータ等に接続するために、ワイヤ接続276、本実施形態ではUSB接続、も提供される。このような接続はソフトウェア又はハードウェアの更新及び地図の更新に用いることができる。
【0068】
当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成は本願の範囲内にあると考えられる。例えば、図2に示す構成要素は、ワイヤ接続とワイヤレス接続等を介して互いに通信してもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200を含む。
【0069】
更に、図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自転車、バイク、自動車又は船舶等の移動手段に、図5a及び5bに示した搭載装置292及び294を用いて、知られている方法で接続又は「ドッキング」される。その場合、そのようなナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションとして使用するために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0070】
図3はナビゲーション装置の電子構成要素の他の実施形態を示す。本実施形態において図2に示された実施形態の構成要素と同一または類似の構成要素には同じ参照番号を付した。本実施形態はセルラモデム280がナビゲーション装置と一体である点で図2に示した実施形態と異なる。ナビゲーション装置上の移動電話の技術は上で述べた内部構成要素を含むことができ、あるいは、例えば、移動電話の技術あるいはアンテナに必要なものを全て備えた挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュール又はSIMカード)を含むことができる。尚、しかしながら、本発明はセルラネットワークへの加入を要求しないため、SIMカードは必ずしも必要としない。
【0071】
ここで図4を参照すると、ナビゲーション装置200は、(例えば、既知のBluetooth技術を介するデジタル接続のような)デジタル接続を確立しているセルラモデム280を介して、サーバ302との「モバイル」又は遠隔通信ネットワーク接続を確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、セルラ装置は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、ナビゲーション装置200(単体時、あるいは車載時において移動可能で、多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立され、「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」の情報についてのゲートウェイを提供する。
【0072】
例えば(World Wide Webのような)インターネットを使用して、移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、既知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置は、DVB−H、DVB−T、CDMA、GSM、Wi−Max、TMC/RDS等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0073】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200上の移動電話技術を介して、データ接続によってもたらされるインターネット接続を利用してもよい。この接続のために、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置と、GPRS(汎用パケット無線サービス)接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行うことができる。
【0074】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、最終的には、例えば既存のBluetooth技術を介して既知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等のうち1つ以上の規格を利用できる。
【0075】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応のナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新可能である。
【0076】
図4では、ナビゲーション装置200は、数々の異なる構成の何れにおいても実施できる汎用通信チャネル318を介して、サーバ302と通信するものとして示される。通信チャネル318を介する接続が本発明のサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、サーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットによるパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0077】
サーバ302は、図示する必要のない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され、更に、ワイヤ又はワイヤレス接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に接続される処理装置304を含む。更に、処理装置304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信器308及び受信器310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号あるいは他の伝搬信号を含んでもよい。送信器308及び受信器310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信器308及び受信器310の機能は、信号送受信器に組み合わされてもよい。
【0078】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0079】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2及び3に関して上述したように、処理装置、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号あるいはデータを送信する送信器320及び受信する受信器322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用できる。更に、送信器320及び受信器322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信器320及び受信器322の機能は、単一の送受信器に組み合わされてもよい。
【0080】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、処理装置304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送信を含む。
【0081】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200は何れも、通信チャネルを介してデータを送信する送信器及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信器を含む。
【0082】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信、あるいは電磁通信のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信器及び受信器等の中間装置を含むことができる。
【0083】
1つの具体的な構成において、通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等のワイヤレス通信に適応できてもよい。更に、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0084】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるあるいは推奨されるような信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の何れもが通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって推奨される変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0085】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、自動的に又はユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に定期的に更新されてもよく、あるいは、例えばワイヤレス移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより恒常的に又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的な計算のために、サーバ302内の処理装置304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200の処理装置210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続とは独立して、多くの処理及び計算を処理できる。
【0086】
図5a及び図5bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図5aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2及び3の他の構成要素(内蔵GPS受信器250、処理装置210、電源、メモリシステム230などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0087】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0088】
図5bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置200をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図5bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置とドッキングステーションの着脱のためのその他の同様に適した構成は当業者によく知られている。
【0089】
ユーザがPNDのスイッチをオンにした時、装置はGNSSの調整がなされ、PNDの現在位置を(知られている方法で)計算する。このPNDの現在位置を使用することで、従来のアルゴリズムによりナビゲーション可能な経路を決定し、ユーザに案内を提供できる。
【0090】
図6〜8を参照すると、PNDのスイッチがオンの場合、第1の位置調整を決定するために、ステップ1001においてPNDはウォーム・スタート・モードにあるか否かを決定するために照合を行う。PNDはウォーム・スタート・モードにあるならば、以下に開示したPNDの遠隔起動アルゴリズムが実行される、一方、PNDはウォーム・スタート・モードになければ、PNDはスイッチがオンにされる時にコールドスタートを実行する、すなわち目印から観測可能な衛星を探索する。
【0091】
ステップ1001においてPNDはウォーム・スタート・モードにあることが判れば、処理装置210は1002でモデム280に基地局410から送信されたBCCHのようなブロードキャスト信号を受信するようにする。ステップ1003において、モデム280がBCCH信号を受信できなければ、アルゴリズムはステップ1005、いわゆるOOSモードに進み、そうでなければステップ1004、いわゆる非OOSモードに進む。OSSモードでは、処理装置210は表示画面240に、要求を表示し現在位置情報のユーザ入力を受信するように制御する。ステップ1006では、処理装置210はシード位置を判定し、その場所から観測可能なGNSS衛星を予測する。これは、シード位置を、メモリ230に記憶されたシード位置に関連づけられた衛星情報とを照合することで実行されうる。観測可能な衛星を予測することにより、GNSS衛星はGNSS受信器251によりその位置が特定される。軌道位置情報が利用できれば、観測可能な衛星を予測するためのアルゴリズムは、シード位置及び例えばメモリ230に記憶されたアルマナック228中の情報の両方を用いて、観測可能な衛星の疑似乱数(PRN)を生成する。ユーザ入力が受信されなければ、アルゴリズムは目印から観測可能な衛星が探索されるステップ1007(コールド・スタート・モード)に進む。
【0092】
モデム280がBCCHを受信できれば、アルゴリズムはステップ1004に進む。図13を参照すると、BCCHは、現在セル内にあるセルラ装置のセルの仕様情報の全てを伝達するために用いられる。セルの仕様は通常、モバイル・カントリー・コード(MCC)、モバイル・ネットワーク・コード(MNC)430、ロケーション・エリア・コード(LAC)440及びセル識別(CI)450を備え、各々の国又は領域又は地理上のエリアは固有のMCCを持っている。
【0093】
ステップ1008では、処理装置210はBCCHより現在のMCCを取得し、現在のMCCを、例えば最後にスイッチがオンであったときのような最後にPNDによって受信され、メモリ230に記憶された前のMCCと対照する。
【0094】
現在のMCCが前のMCCと同じならば、アルゴリズムはステップ1009に進み、処理装置210は、メモリ230に記憶されている選択国のリストに対してMCCを照合する。ここで、上記の国は、経度又は緯度方向に広い国であるため、観測可能な衛星を予測できる固有のシード位置を持たない国である。一つの実施形態では、選択国のリストはロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国を含む。
【0095】
MCCが上記リスト中の国又は領域と一致するなら、アルゴリズムはステップ1010に進み、一方、MCCが上記リスト中の国又は領域と一致しなければ、アルゴリズムはステップ1011に進む。ステップ1010では、処理装置210はモデム280が現在のBCCHのネットワーク識別及びタイムゾーン情報(NITZ)を復号化するように命令する。NITZ情報が使用できなければ処理装置210はGNSS受信器250/251に目印から観測可能な衛星が探索されるコールド・スタート・モード1008を実行させる。
【0096】
メモリ230に記憶されるのは、最後にPDFのスイッチがオンであった時に決定された、前のNITZ情報であり、ステップ1012では、処理装置210は現在のNITZ情報を前のNITZ情報と対照し、NITZ情報が同じならば、アルゴリズムはステップ1011に進み、そうでなければ、アルゴリズムはステップ1013に進む。
【0097】
ステップ1011では、処理装置は最後の位置情報1014とメモリ230に記憶されたアルマナック228からの情報を読み出し、位置情報1014及びアルマナック情報228中を用いて、PRNリストの生成を含む、観測可能な衛星の予測が実行される。
【0098】
ステップ1013では、観測可能な衛星の予測はMCC及びNITZ情報からシード位置、すなわちPNDのおおよその位置の決定することによってなされ、観測可能な衛星のPRNリストはシード位置及び記憶されたアルマナック228から生成される。シード位置はNITZ情報を、NITZ情報をシード位置と関連付けたデータベース1015と対照することで得られる。NITZ情報に基づいてシード位置を判定する方法の実施形態は図8を参照しながら以下に述べる。
【0099】
ステップ1004に戻ると、現在のMCCが前のMCCと同じでなければ、アルゴリズムはステップ1016に進む。ステップ1016では、処理装置210はメモリ230に記憶された選択国のリストに対してMCCを照合する。
【0100】
現在のMCCがリスト中の国又は領域と一致するなら、アルゴリズムはステップ1017に進み、一方、現在のMCCがリスト中の国又は領域と一致しなければ、アルゴリズムはステップ1018に進む。ステップ1017では、処理装置210はモデム280が現在のBCCHのネットワーク識別及びタイムゾーン情報(NITZ)を復号化するように命令する。NITZ情報が使用できなければステップ1019において、処理装置210はPND200にユーザによる位置情報入力を要求させ、ユーザ入力を受信しなければ、GNSS受信器250/251に目印から観測可能な衛星が探索されるコールド・スタート・モード1020を実行させる。
【0101】
位置情報の手動入力が受信されれば、ステップ1021において、例えばメモリ230に記憶されたシード位置のデータベース1022と一致する地図を用いて位置情報をシード位置と対応させている地図によって、処理装置がシード位置を判定する。データベース1022は場所をシード位置と関連付ける。決定されたシード位置と記憶されたアルマナックから、衛星を観測可能なようにするため、観測可能な衛星の予測及びPRNリストが生成される。
【0102】
ステップ1017において、NITZ情報が利用できなければ、アルゴリズムは上で述べたステップ1013を実行する。
【0103】
図8を参照すると、ステップ1013において、シード位置が決定される方法が更に詳細にわたって示されている。ステップ1013aにおいて、MCCは排他的(第2の)リスト又は固有のシード位置を持たない国又は領域のような広大な国と対照される。例えば、排他的リストは、中華人民共和国、インド共和国、アルゼンチン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国とすることができる。
【0104】
MCCが排他的リストにない国又は領域と一致するならば、タイムゾーン(TZ)情報からシード位置が決定される。MCCが排他的リストある国又は領域と一致するならば、1つ以上のネットワーク識別(NI)から決定したネットワークのサービスエリア情報よりシード位置が決定される。ステップ1013bにおいて、処理装置210はネットワーク識別がシード位置を判定するために用いることができるか否かを決定する。再び、これはネットワーク識別を、シード位置を定めるネットワーク識別を識別するデータベースと対照することでなしうる。ネットワーク識別からシード位置を判定することができなければ、PNDは、ステップ1013cにおいて、ユーザからの位置情報の手動入力を要求する。ネットワーク識別からシード位置を判定することができれば、アルゴリズムは1013dに進み、シード位置がネットワーク識別から決定される。これをなしうる方法の1例は図10〜12を参照して述べられよう。
【0105】
チリ共和国はその長さ(地球の曲率のため、国土の南側で観測可能なGNSS衛星と北側で観測可能なそれらとは異なる)ゆえに固有のシード位置を持たない国の1つである。したがって、PNDの位置に基づいてこの国はさらに分割される。チリは1つのタイムゾーンに収まっているため、タイムゾーン情報からPNDのおおよその位置を決定することはできない。したがって、PNDのおおよその位置ひいてはシード位置を判定するためには、PNDが制御信号を受信できるセルラネットワークの情報が用いられる。
【0106】
図9〜11は、チリ全域の異なるセルラネットワーク、すなわちENTEL PCS、ENTEL TELEFONIA MOVIL及びTelefonica Movil De Chileのサービスエリアを示す。図に示すように、チリ中部では3つの全てのネットワークが利用できる。一方、北側では、ENTEL PCSがチリ北部の大半をカバーしているのに対し、ENTEL TELEFONIA MOVIL及びTelefonica Movil De Chileのサービスエリアは大都市に限られる。南側では、Telefonica Movil De Chile及びENTEL PCSのみが利用できる。したがって、処理装置210は、用いられるBCCH信号のネットワーク識別を識別し、国又は領域におけるPNDのおおよその位置をネットワーク識別から決定するように構成される。例えば、ENTEL TELEFONIA MOVILのBCCH信号が受信されなければ、PNDがチリ南部にある可能性が高い。一方、3つ全てのネットワークからのBCCH信号が受信されれば、チリ中部にいる可能性が最も高い。ENTEL PCSのBCCH信号のみが受信されれば、PNDがチリ北部にある可能性が高い。
【0107】
メモリ230は異なるネットワークのサービスエリアの組み合わせのシード位置(例えばチリでは3つのシード位置)のデータベースを記憶しており、処理装置はデータベースから識別されたネットワークのサービスエリアよりシード位置を識別する。例えば、シード位置はチリ北部、南部及び中部の中心であってよい。
【0108】
上で述べたように、シード位置はアルマナック229とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0109】
図8に戻ると、MCCが排他的リストにない国又は領域と一致するならば、シード位置がタイムゾーン(TZ)情報から決定される。ステップ1013eでは、処理装置210は国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っているか否かを決定する。これは、メモリ230に記憶された複数のタイムゾーンに渡る国又は領域のデータベース(第1のリスト)を用いて実行される。例えば、国リストは、ロシア連邦、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、カザフスタン共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国であってもよい。図9は複数のタイムゾーンに渡って広がる国を示している世界地図である。
【0110】
国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っていなければ、処理装置はステップ1013fに進み、国又は領域からシード位置(例えば、シード位置は国又は領域の中心となりうる)を決定する。上で述べたように、シード位置はアルマナック228とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0111】
国又は領域が複数のタイムゾーンに渡っていれば、処理装置はステップ1013gに進み、モデム280によって受信されたBCCHからタイムゾーン(TZ)情報が得られる。
【0112】
そのとき、シード位置は国又は領域、及びタイムゾーン情報から決定され、例えば、シード位置はタイムゾーン及び国又は領域の境界によって区分けされたエリアの中心であってよい。上で述べたように、シード位置はアルマナック228とともに、観測可能な衛星の予測とPRNリストを決定するために用いられる。
【0113】
一旦、観測可能な衛星の予測とPRNリストが生成されると、第1の位置調整が確立できる。上記方法を用いた観測可能な衛星の予測とPRNリストの生成により、第1の調整時間(TTFF)を大幅に減少できると考えられる。
【0114】
図6はシステム200におけるデータの流れを示す。ユーザ入力装置220(例えばタッチスクリーン)を通してシステム200、及びセルラネットワークの基地局410からの制御信号(例えばBCCH)を受信するセルラモデム280より位置情報が得られる。BCCHにより、MCC及びNITZ情報が得られ、この情報は、もしあれば手動入力とともに、シード位置を識別するために用いられ、これは、図中にシード位置フィルタ460として示される。アルゴリズム470は決定したシード位置とアルマナック228に記憶された衛星の情報を用いて観測可能な衛星を予測し、予測結果は、その場所に基づく定位置を生成するため、N個のチャネルを有するGPS受信器250/251に使用される。
【0115】
ここで図14及び図15を参照する。図は、クアルコム社のQST1105、A−GPS及び本発明の実施形態で用いられている方法の(GNSS受信器の)TTFFと電力と位置の不確定性を示した3−D棒グラフを示す。下の表はグラフに用いた数値を示す。表から分かるように、本発明のTTFFは、特にGNSS受信器の位置の不確定性(すなわち、PNDのスイッチが切られている間に移動した距離)が増加すると、従来の方法に比べて非常に短くなる。
【0116】
グラフに示すとおり、TTFFは従来の方法に比べて9倍の減少量である。
【表1】
【表2】
【0117】
上に述べたアルゴリズムはソフトウェア又はハードウェアあるいはその両方の組み合わせにおいて実施できると理解できよう。
【0118】
尚、本発明は上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に含まれる形態を含む。例えば、PNDは、GNSS衛星の予測ができるシード位置を判定するために、他のブロードキャスト信号を用いてもよい。例えば、セルラモデム280は、テレビ受信器、ラジオ受信器又は時間情報、ワイヤレスネットワークのサービスエリア情報あるいはその他の適切な位置情報を含むブロードキャスト信号を受信するためのその他の受信器に置き換えてもよい。例えば、処理装置210は、受信器がテレビ又はラジオ信号に含まれる信号又は時間情報を受信できるようなテレビ又はラジオネットワークに基づいてシード位置を判定するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)前記ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得し、
ii)前記ナビゲーション装置の位置におけるタイムゾーン情報をブロードキャスト信号から、前記国に基づいて選択的に取得し、前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記シード位置は、タイムゾーンと、国又は領域の境界とによって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記処理装置が、
a)現在位置について、前記ワイヤレス受信器がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
b)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定し、
c)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記工程(b)で判定された前記シード位置がワイヤレスネットワークのサービスエリアと、国又は領域の境界とによって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記処理装置は、
工程(ii)又は工程(a)及び(b)のどちらか一方を選択的に実行してGNSS衛星の位置を特定することを特徴とする請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
選択国のリストを記憶したメモリを更に備え、
前記処理装置は、
前記ブロードキャスト信号から国コードを特定し、
前記特定された国コードと関連付けられた国又は領域が前記選択国のリスト中の国の1つと対応するか否かに基づいて、ワイヤレスネットワークの識別情報及びタイムゾーン情報のうち少なくとも何れかより前記シード位置を判定することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記選択国のリストは、第1のリスト及び第2のリストを備え、
前記特定された国コードと関連付けられた前記国又は領域が前記第1のリスト上の国又は領域と対応すれば、タイムゾーン情報より前記シード位置が判定され、
前記特定された国コードと関連付けられた前記国又は領域が前記第2のリスト上の国又は領域と対応すれば、ワイヤレスネットワークの識別情報より前記シード位置が判定される
ことを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記選択国のリストは、ロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国のうち1以上を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記第1のリストは、複数のタイムゾーンに渡って広がる国のリストを含むことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記第2のリストは、国土の長さゆえ複数のシード位置が必要な国のリストを含むことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記メモリは、シード位置に、前記国コード、タイムゾーン情報、前記ワイヤレスネットワークの識別情報のうち少なくとも1つを示すデータマップを備えることを特徴とする請求項6乃至10何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記処理装置は、
i)前記ブロードキャスト信号から国コードを特定し、前記国コードを用いて国又は領域を特定し、
ii)前記特定された国又は領域が国の排他的リストにある場合は、前記ワイヤレス装置がブロードキャスト信号を受信できる前記ワイヤレスネットワークの識別情報を取得して前記ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、前記排他的なリストになく、前記特定された国又は領域が複数のタイムゾーンに渡って広がる場合に、前記ブロードキャスト信号からタイムゾーン情報を取得して前記国コード及び前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、何れの場合にも該当しなければ、前記国コードのみから前記シード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づいて前記GNSS衛星を捕捉するために前記GNSS受信器を制御することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
i)前記国コードのみが利用できる情報の場合、前記シード位置は前記国又は領域の中心であり、
ii)前記国が前記排他的リストにはなく、国コード及びタイムゾーン情報の何れも利用できる場合、前記シード位置は国境、タイムゾーンによって決められたエリアの中心であり、
iii)前記国が前記排他的リストにあり、国コード及びネットワークのサービスエリア情報の両方が利用できる場合、前記シード位置は前記ネットワークのサービスエリアの中心であり、
iv)前記国が前記排他的リストにあり、ネットワークのサービスエリア情報が利用できない場合、前記シード位置は前記国の中心である
ことを特徴とする請求項12に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
ユーザ入力装置を備え、
前記処理装置は前記ユーザ入力装置からGNSS装置の位置に関する情報を取得し、前記位置情報からシード位置を判定するように構成されることを特徴とする請求項13に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前のタイムゾーン情報が記憶されており、
前記処理装置は現在のタイムゾーン情報を、前記ワイヤレス受信器によって受信された現在のブロードキャスト信号より特定するように構成され、前記現在のタイムゾーン情報が前記以前のタイムゾーン情報と一致しなければ、前記処理装置は前記現在のタイムゾーン情報よりシード位置を判定し、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至14何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)現在位置について、前記セルラ装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
ii)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づくGNSS衛星を捕捉するため前記GNSS受信器を制御するように
構成された処理装置と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項17】
前記シード位置がワイヤレスネットワークのサービスエリア、あるいは国又は領域の境界によって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項16に記載のナビゲーション装置。
【請求項18】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前のワイヤレスネットワーク情報が記憶されており、
前記処理装置は現在のワイヤレスネットワーク情報を、前記ワイヤレス受信器によって受信された現在のブロードキャスト信号より特定し、前記現在のワイヤレスネットワーク情報が前記以前のワイヤレスネットワーク情報と一致しなければ、前記処理装置は前記現在のワイヤレスネットワーク情報よりシード位置を判定するように構成され、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項16又は17に記載のナビゲーション装置。
【請求項19】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ユーザ入力装置と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)前記ユーザ入力装置から前記GNSS装置の位置情報を取得し、
ii)前記位置情報からシード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項20】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前の位置情報が記憶されており、
前記処理装置は前記ユーザによって入力された位置情報を特定するように構成され、前記ユーザによって入力された位置情報が前記以前の位置情報と一致しなければ、前記処理装置は前記ユーザによって入力された位置情報よりシード位置を判定し、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項19に記載のナビゲーション装置。
【請求項21】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)前記ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得する工程と、
iii)前記ブロードキャスト信号から前記位置におけるタイムゾーン情報を、前記国に基づいて選択的に取得し、前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)現在位置について、ブロードキャスト信号が受信された前記ワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
iii)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定する工程と、
iv)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)前記ユーザ入力装置から位置情報を取得する工程と、
ii)前記位置情報からシード位置を判定する工程と、
iii)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
処理装置によって実行された場合、請求項21乃至23のいずれか1項の方法を前記処理装置に実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)前記ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得し、
ii)前記ナビゲーション装置の位置におけるタイムゾーン情報をブロードキャスト信号から、前記国に基づいて選択的に取得し、前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記シード位置は、タイムゾーンと、国又は領域の境界とによって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記処理装置が、
a)現在位置について、前記ワイヤレス受信器がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
b)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定し、
c)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記工程(b)で判定された前記シード位置がワイヤレスネットワークのサービスエリアと、国又は領域の境界とによって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記処理装置は、
工程(ii)又は工程(a)及び(b)のどちらか一方を選択的に実行してGNSS衛星の位置を特定することを特徴とする請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
選択国のリストを記憶したメモリを更に備え、
前記処理装置は、
前記ブロードキャスト信号から国コードを特定し、
前記特定された国コードと関連付けられた国又は領域が前記選択国のリスト中の国の1つと対応するか否かに基づいて、ワイヤレスネットワークの識別情報及びタイムゾーン情報のうち少なくとも何れかより前記シード位置を判定することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記選択国のリストは、第1のリスト及び第2のリストを備え、
前記特定された国コードと関連付けられた前記国又は領域が前記第1のリスト上の国又は領域と対応すれば、タイムゾーン情報より前記シード位置が判定され、
前記特定された国コードと関連付けられた前記国又は領域が前記第2のリスト上の国又は領域と対応すれば、ワイヤレスネットワークの識別情報より前記シード位置が判定される
ことを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記選択国のリストは、ロシア連邦、カナダ、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦政府、インド共和国、アルゼンチン共和国、カザフスタン共和国、スーダン共和国、チリ共和国、アルジェリア民主人民共和国、インドネシア共和国、グリーンランド及びコンゴ民主共和国のうち1以上を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記第1のリストは、複数のタイムゾーンに渡って広がる国のリストを含むことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記第2のリストは、国土の長さゆえ複数のシード位置が必要な国のリストを含むことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記メモリは、シード位置に、前記国コード、タイムゾーン情報、前記ワイヤレスネットワークの識別情報のうち少なくとも1つを示すデータマップを備えることを特徴とする請求項6乃至10何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記処理装置は、
i)前記ブロードキャスト信号から国コードを特定し、前記国コードを用いて国又は領域を特定し、
ii)前記特定された国又は領域が国の排他的リストにある場合は、前記ワイヤレス装置がブロードキャスト信号を受信できる前記ワイヤレスネットワークの識別情報を取得して前記ワイヤレスネットワークの識別情報からシード位置を判定し、前記排他的なリストになく、前記特定された国又は領域が複数のタイムゾーンに渡って広がる場合に、前記ブロードキャスト信号からタイムゾーン情報を取得して前記国コード及び前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、何れの場合にも該当しなければ、前記国コードのみから前記シード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づいて前記GNSS衛星を捕捉するために前記GNSS受信器を制御することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
i)前記国コードのみが利用できる情報の場合、前記シード位置は前記国又は領域の中心であり、
ii)前記国が前記排他的リストにはなく、国コード及びタイムゾーン情報の何れも利用できる場合、前記シード位置は国境、タイムゾーンによって決められたエリアの中心であり、
iii)前記国が前記排他的リストにあり、国コード及びネットワークのサービスエリア情報の両方が利用できる場合、前記シード位置は前記ネットワークのサービスエリアの中心であり、
iv)前記国が前記排他的リストにあり、ネットワークのサービスエリア情報が利用できない場合、前記シード位置は前記国の中心である
ことを特徴とする請求項12に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
ユーザ入力装置を備え、
前記処理装置は前記ユーザ入力装置からGNSS装置の位置に関する情報を取得し、前記位置情報からシード位置を判定するように構成されることを特徴とする請求項13に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前のタイムゾーン情報が記憶されており、
前記処理装置は現在のタイムゾーン情報を、前記ワイヤレス受信器によって受信された現在のブロードキャスト信号より特定するように構成され、前記現在のタイムゾーン情報が前記以前のタイムゾーン情報と一致しなければ、前記処理装置は前記現在のタイムゾーン情報よりシード位置を判定し、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至14何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ワイヤレスネットワークの基地局から送信されたブロードキャスト信号を受信するための、ワイヤレス受信器、又は、ワイヤレス受信器に接続されるように構成された接続と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)現在位置について、前記セルラ装置がブロードキャスト信号を受信できるワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
ii)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づくGNSS衛星を捕捉するため前記GNSS受信器を制御するように
構成された処理装置と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項17】
前記シード位置がワイヤレスネットワークのサービスエリア、あるいは国又は領域の境界によって決められたエリアの中心であることを特徴とする請求項16に記載のナビゲーション装置。
【請求項18】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前のワイヤレスネットワーク情報が記憶されており、
前記処理装置は現在のワイヤレスネットワーク情報を、前記ワイヤレス受信器によって受信された現在のブロードキャスト信号より特定し、前記現在のワイヤレスネットワーク情報が前記以前のワイヤレスネットワーク情報と一致しなければ、前記処理装置は前記現在のワイヤレスネットワーク情報よりシード位置を判定するように構成され、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項16又は17に記載のナビゲーション装置。
【請求項19】
ナビゲーション装置であって、
全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星によってブロードキャストされるGNSS信号を受信するためのGNSS受信器と、
ユーザ入力装置と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
i)前記ユーザ入力装置から前記GNSS装置の位置情報を取得し、
ii)前記位置情報からシード位置を判定し、
iii)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項20】
前記ナビゲーション装置の前記メモリには以前の位置情報が記憶されており、
前記処理装置は前記ユーザによって入力された位置情報を特定するように構成され、前記ユーザによって入力された位置情報が前記以前の位置情報と一致しなければ、前記処理装置は前記ユーザによって入力された位置情報よりシード位置を判定し、一致すれば前記処理装置はメモリに記憶された現在の位置情報に基づいてGNSS衛星を捕捉するように前記GNSS受信器を制御する
ことを特徴とする請求項19に記載のナビゲーション装置。
【請求項21】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)前記ナビゲーション装置が位置する国の情報を取得する工程と、
iii)前記ブロードキャスト信号から前記位置におけるタイムゾーン情報を、前記国に基づいて選択的に取得し、前記タイムゾーン情報からシード位置を判定し、前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)ワイヤレスネットワークの基地局から発せられたブロードキャスト信号を受信する工程と、
ii)現在位置について、ブロードキャスト信号が受信された前記ワイヤレスネットワークの識別情報を取得し、
iii)前記ワイヤレスネットワークの前記識別情報からシード位置を判定する工程と、
iv)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
ある位置から観測できる全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星の探索方法であって、
i)前記ユーザ入力装置から位置情報を取得する工程と、
ii)前記位置情報からシード位置を判定する工程と、
iii)前記判定したシード位置に基づいてGNSS衛星を捕捉するよう前記GNSS受信器を制御する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
処理装置によって実行された場合、請求項21乃至23のいずれか1項の方法を前記処理装置に実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−514188(P2012−514188A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542684(P2011−542684)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068324
【国際公開番号】WO2010/075879
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068324
【国際公開番号】WO2010/075879
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】
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