説明

ナビゲーション装置及び方法

本発明の実施形態は、装置(200)の低電力状態において動作可能であるモジュール(490)を含む装置に関する。モジュール(490)は、経路の交通状況が経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、その判定に応答して、装置が低電力状態であっても装置のユーザに交通状況を警告する通知をナビゲーション装置(200)に出力させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び道路交通情報を提供する方法に関する。本発明の例示的な実施形態は、ポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)、特にグローバル・ポジショニング・システム(GPS)信号受信/処理機能性を含むPNDに関する。他の実施形態は、更に一般的には、経路計画機能性を提供し、好ましくは、ナビゲーション機能性を更に提供するためにナビゲーションソフトウェアを実行するように構成される何らかの種類の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)信号受信/処理機能性を含むポータブルナビゲーション装置(PND)は周知であり、車両搭載型のナビゲーションシステム又は他の車両ナビゲーションシステムとして広く採用される。
【0003】
一般に、最近のPNDは、プロセッサ、メモリ(揮発性及び不揮発性のうちの少なくとも一方であり、通常は双方)及び前記メモリ内に格納された地図データを備える。プロセッサ及びメモリは協働して、ソフトウェアオペレーティングシステムが確立される実行環境を提供する。更に、PNDの機能性を制御可能にするため及び種々の他の機能を提供するために1つ以上の追加のソフトウェアプログラムが提供されることは一般的である。
【0004】
通常、これらの装置は、ユーザが装置と対話し且つ装置を制御できるようにする1つ以上の入力インタフェースと、情報がユーザに中継されるようにする1つ以上の出力インタフェースとを更に備える。出力インタフェースの例は、表示装置及び可聴出力用スピーカを含む。入力インタフェースの例は、装置のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するための1つ以上の物理ボタン(これらのボタンは、必ずしも装置自体に存在する必要はなく、装置が車両に組み込まれる場合はステアリングホイール上に存在する場合がある)及びユーザの音声を検出するためのマイクロホンを含む。特に好適な構成において、出力インタフェースディスプレイは、ユーザが触れることで装置を動作できるようにする入力インタフェースを更に提供するためにタッチセンシティブディスプレイとして(例えば、タッチセンシティブオーバーレイにより)構成される。
【0005】
この種の装置は、装置との間で電力及びオプションとしてデータ信号を送受信可能にする1つ以上の物理コネクタインタフェースと、オプションとして、セルラ通信や、例えばWi−Fi、Wi−Max GSM等の他の信号ネットワーク、データネットワークを介する通信を可能にする、1つ以上の無線送信機/受信機とを更に含むことが多い。
【0006】
この種のPND装置はGPSアンテナを更に含み、これにより位置データを含む衛星放送信号が受信され、その後装置の現在地を判定するために処理される。
【0007】
PND装置は、現在の角加速度及び直線加速度を判定し、GPS信号から取得された位置情報と関連して装置及び装置が搭載されている車両の速度及び相対変位を判定するために処理可能な信号を生成する電子ジャイロスコープ及び加速度計を更に含むことができる。通常、そのような特徴を車載型のナビゲーションシステムに提供するのが最も一般的であるが、PND装置に提供するのが好都合な場合はPND装置に提供する。
【0008】
そのようなPNDの有用性は、第1の位置(通常は出発地又は現在地)と第2の位置(通常は目的地)との間の経路を判定する能力において主に示される。これらの場所は、例えば郵便番号、道路名及び番地、事前に格納された「既知の」目的地(有名な場所、市営の場所(運動場又は水泳プール等)又は他の地点情報等)及びお気に入りの目的地又は最近行ったことのある目的地である種々の異なる方法のうちのいずれかによって、装置のユーザにより入力可能である。
【0009】
通常、PNDは、地図データから出発地の住所の場所と目的地の住所の場所との間の「最善」又は「最適」な経路を計算することがソフトウェアにより可能になる。「最善」又は「最適」な経路は所定の基準に基づいて判定され、必ずしも最速又は最短の経路である必要はない。運転者を案内する経路の選択は非常に高度であり、選択された経路は、既存の交通道路情報、予測された交通道路情報、動的に及び/又は無線で受信された交通道路情報、道路速度に関する履歴情報、並びに道路選択を判定する要因に対する運転者自身の好み(例えば運転者は、経路が高速自動車道路又は有料道路を含むべきではないと指定する)を考慮する。
【0010】
更に装置は、道路及び交通の状態を継続的に監視し、状況変化によりとられる残りの行程に対して経路を変更するように提案又は選択する。種々の技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPSフリートトラッキング)に基づくリアルタイム交通監視システムは、交通遅滞を識別し且つ通知システムに情報を供給するために使用されている。
【0011】
この種のPNDは、通常は車両のダッシュボード又はフロントガラスに搭載されるが、車両のラジオの内臓コンピュータの一部又は実際は車両自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA(携帯情報端末)、メディアプレーヤ又は移動電話等のハンドヘルドシステムの一部であってもよく、その場合、ハンドヘルドシステムの標準的な機能性は、経路の計算及び計算された経路に沿うナビゲーションの双方を実行するために装置にソフトウェアをインストールすることにより拡張される。
【0012】
経路計画/ナビゲーション機能性は、適切なソフトウェアを実行するデスクトップ又は移動計算リソースにより提供される場合もある。例えば、Royal Automobile Club(RAC)は、http://www.rac.co.ukにおいてオンライン経路計画/ナビゲーション機能を提供する。この機能により、ユーザは出発点及び目的地を入力でき、その結果、ユーザのPCが接続されるサーバは経路(この経路全般に関してはユーザが指定する場合がある)を計算し、地図を生成し、選択された出発点から選択された目的地にユーザを案内するための全ナビゲーション命令の集合を生成する。この機能は、計算された経路の疑似3次元レンダリングと、ユーザが経路に沿って移動することをシミュレートすることにより計算された経路のプレビューをユーザに提供する経路プレビュー機能性とを更に提供する。
【0013】
PNDの場合、経路が計算されると、ユーザはナビゲーション装置と対話し、オプションとして提案された経路のリストから所望の計算された経路を選択する。オプションとして、ユーザは、例えばある特定の行程に対して特定の経路、道路、場所又は基準が回避されるべきであるか又は必須であると指定することにより、経路選択処理に介入するか又は経路選択処理を案内する。PNDの経路計算の側面は1つの主要な機能を形成し、そのような経路に沿うナビゲーションは別の主要な機能である。
【0014】
計算された経路に沿うナビゲーション中、そのようなPNDが、選択された経路に沿ってその経路の終点、すなわち所望の目的地にユーザを案内するための視覚命令及び/又は可聴命令を提供することは一般的である。また、PNDがナビゲーション中に地図情報を画面上に表示することも一般的であり、そのような情報は、表示される地図情報が装置の現在地を示し、従って装置が車両ナビゲーションに使用されている場合はユーザ又はユーザの車両の現在地を示すように、画面上で定期的に更新される。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは、通常は装置の現在地を示し、装置の現在地の近傍の現在の道路及び周辺の道路の地図情報、並びに同様に表示されている他の地図の特徴と共に中央に配置される。更にナビゲーション情報は、オプションとして、表示された地図情報の上方、下方又は片側のステータスバーに表示される。ナビゲーション情報の例は、ユーザが走行する必要のある現在の道路から次の進路変更までの距離を含み、その進路変更の特性は、例えば左折又は右折である特定の種類の進路変更を示す更なるアイコンにより示される。ナビゲーション機能は、経路に沿ってユーザを案内する可聴命令の内容、継続時間及びタイミングを更に判定する。理解されるように、「100m先で左折」等の単純な命令は膨大な処理及び解析を必要とする。上述のように、装置とのユーザ対話はタッチスクリーンにより行われてもよく、それに加えて又はその代わりに、ステアリングコラムリモコン、音声起動又は他の何らかの適切な方法により行われてもよい。
【0016】
装置により提供される更なる重要な機能は、ユーザがナビゲーション中に事前に計算された経路から外れる(誤って又は故意に)場合、別の経路がより適切であるとリアルタイムの交通状態が示し且つ装置がそのような状態を適切に自動認識できる場合、又はユーザが何らかの理由で能動的に装置に経路の再計算を実行させる場合における自動経路再計算である。
【0017】
また、ユーザが定義した基準で経路を計算できること知られている。例えばユーザは、景色のよい経路が装置により計算されることを好み、あるいは交通渋滞が発生する可能性が高いか、予測されるか又は現在発生している道路を回避することを要求する場合がある。その場合、装置のソフトウェアは種々の経路を計算し、例えば景色が美しい所としてタグ付けされた地点情報(POIとして知られる)を経路に沿って最も多く含む経路をより有利に重み付けするか、あるいは特定の道路で発生しやすい交通状態を示す格納された情報を使用することにより、起こる可能性のある渋滞又はそれによる遅滞のレベルに関して計算された経路を順序付けする。他のPOI及び道路交通情報を使用する経路計算及びナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算機能及びナビゲーション機能はPNDの全体的な有用性の基本になるものであるが、装置を単に情報表示、すなわち「フリードライビング」のために使用することが可能である。この場合、装置の現在地に関連する地図情報のみが表示され、経路は計算されておらず、ナビゲーションは現時点で装置により実行されていない。そのような動作モードは、ユーザが移動時に使用するのが望ましい経路を既に認識しており且つナビゲーション支援を必要としない場合に適用可能であることが多い。
【0019】
例えばTomTom International B.V.により製造及び供給される720Tモデルである上述の種類の装置は、ユーザが1つの位置から別の位置へナビゲートできるようにする信頼性の高い手段を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
問題は、ユーザは不慣れな経路を移動する場合のみ経路案内を提供するようナビゲーション装置を利用することが多いことである。上述の「フリードライビング」モードでナビゲーション装置を使用するユーザもいるが、これは目的地が遠方にあり、かつ、ユーザが経路に慣れている場合のみであることが多い。特に、職場への経路など、比較的短く、慣れた経路を移動する場合には、ユーザはナビゲーション装置を使用しない場合が多い。しかし、交通量によっては既知の経路であってもユーザは遅延する可能性もあるという問題が生じる。
【0021】
本発明の目的は、従来技術の問題の1つ以上を解決するか又は少なくとも改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の実施形態は、装置の低電力状態において動作可能であるモジュールを含む装置に関する。モジュールは、経路の交通状況が経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、その判定に応答して、装置が低電力状態であっても装置のユーザに交通状況を警告する通知をナビゲーション装置に出力させるように構成される。
【0023】
この目的のために、本発明の現時点で好適な一実施形態は、ナビゲーション装置の低電力状態において動作可能であり、経路の交通状況が経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、その判定に応答して、ナビゲーション装置に通知を出力させるモジュールを備えるナビゲーション装置を提供する。
【0024】
本発明の更なる好適な一実施形態は、ナビゲーション装置が低電力状態である間にユーザが既知の経路を移動しているか否かを判定し、経路の交通状況が経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、その判定に応答して、ユーザに対して通知を出力することにより、ナビゲーション装置のユーザに経路の交通状況を警告する方法を提供する。
【0025】
本発明の更に別の実施形態は、実行環境において実行される場合に、ナビゲーション装置が低電力状態である間にユーザが既知の経路を移動しているか否かを判定し、経路の交通状況が経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、その判定に応答してユーザに対して通知を出力することにより、プロセッサにナビゲーション装置のユーザに対して経路の交通状況を警告させるように動作可能な1つ以上のソフトウェアモジュールを含むコンピュータソフトウェアに関する。
【0026】
上記の実施形態の利点は以下に記載され、上記の各実施形態の更なる詳細及び特徴は添付の従属請求項及び以下の詳細な説明中で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】グローバル・ポジショニング・システム(GPS)の概略図。
【図2】ナビゲーション装置を提供する電子構成要素を示す概略図。
【図3】ナビゲーション装置が無線通信チャネルで情報を受信するための概略図である。
【図4A】、
【図4B】ナビゲーション装置の外観図。
【図5】ナビゲーション装置により実行されるソフトウェアの構成図。
【図6】本発明の実施形態における方法を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の動作状態を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好適な実施形態を、特にPNDを参照して説明する。ただし、本明細書の教示はPNDに限定されず、経路計画及びナビゲーション機能性を提供するためにポータブル装置及び/又は移動装置としてナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されるあらゆる種類の処理装置にも例外なく適用可能である。従って、本明細書で示す実施形態において、ナビゲーション装置は、PND、自動車等の乗り物、あるいは実際には例えば経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行するポータブルパーソナルコンピュータ(PC)、移動電話又はパーソナルデジタルアシスタント(PDA)であるポータブル計算リソースとして実装されるか否かにかかわらず、あらゆる種類の経路計画及びナビゲーション装置も含むことを意図する(それに限定されない)。
【0029】
図1は、ナビゲーション装置で利用可能なグローバル・ポジショニング・システム(GPS)の例を示している。このような測位システムは種々の目的で使用される。一般にGPSは、連続した位置、速度、時間及びいくつかの例においては多数のユーザに対する方向情報を判定できる衛星無線を使用したナビゲーションシステムである。NAVSTARとして知られているGPSは、極めて正確な軌道で地球を周回する複数の衛星を含む。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は自身の場所をいかなる数の受信ユニットにも中継できる。
【0030】
GPSデータを受信する能力を特別に備えるデバイスがGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、デバイスは、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、デバイスは、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0031】
図1に示すように、GPSシステムは、一般に参照番号100で示される。複数の衛星120は地球124に対する周回軌道にある。各衛星120の軌道は、他の衛星の軌道に同期する必要はなく、実際、非同期のようになっている。GPS受信機140は、複数の衛星102からスペクトル拡散GPS衛星データ信号160を受信する。
【0032】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が、GPS受信機140に対する少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得し、三角測量によりその2次元位置を計算することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。
【0033】
図2は、本発明の実施形態のナビゲーション装置200の電子構成要素の一例をブロック構成要素の形式で示すブロック図である。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0034】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、及び/又は情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置を含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。本発明の少なくとも1つの実施形態において、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化され、その場合、ユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために、表示画面240の一部分に接触するだけでよい。
【0035】
ナビゲーション装置は、例えば可聴出力装置(例えば、スピーカ)である出力装置260を含んでもよい。出力装置260がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイクロホン及びソフトウェアを更に含むことができることが同様に理解されるべきである。
【0036】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置240に動作可能に接続され且つ入力装置240から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置250のうちの少なくとも一方に出力接続245を介して動作可能に接続される。更に、プロセッサ210は、接続235を介してメモリ230に動作可能に接続され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置280に接続可能である。例えばメモリリソース230は、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリ及び例えばフラッシュメモリ等のデジタルメモリである不揮発性メモリを含む。外部I/O装置280は、例えばイヤホン等の外部聴音装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー動作及び/又は音声起動動作のため、イヤホン又はヘッドフォンへの接続のため、並びに/あるいは例えば移動電話への接続のためのカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線接続又は無線接続となる。この場合、移動電話接続は、ナビゲーション装置200とインターネット又は例えば他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するため及び/又はインターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するために使用されてもよい。
【0037】
図2は、接続255を介してプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続を更に示す。アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよい。図中、符号250により示されるアンテナ及び受信機は、図示するために概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は別個に配置された構成要素であってもよく、アンテナは例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるべきである。
【0038】
当然、図2に示した電子構成要素は、従来の方法で1つ以上の電源(不図示)により電力を供給されることが当業者には理解されるだろう。当業者には理解されるように、図2に示した構成要素の種々の構成が考えられる。例えば図2に示した構成要素は、有線及び/又は無線接続等を介して互いに通信していてもよい。従って、本明細書で説明するナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200であってもよい。
【0039】
更に図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自転車、オートバイ、自動車又は船等の乗り物に既知の方法で接続又は「ドッキング」される。そのようなナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションに使用するためにドッキングされた場所から取り外し可能である。
【0040】
次に図3を参照すると、ナビゲーション装置200は、デジタル接続(例えば、既知のBluetooth(登録商標)技術を介するデジタル接続等)を確立する移動装置(不図示)(移動電話、PDA及び/又は移動電話技術を有するあらゆる装置等)を介してサーバ302との「モバイル」又は電気通信ネットワーク接続を確立してもよい。その後、移動装置は、そのネットワークサービスプロバイダを介してサーバ302とのネットワーク接続(例えば、インターネットを介する)を確立できる。従って、「モバイル」ネットワーク接続は、ナビゲーション装置200(単独で且つ/又は車両に搭載されて移動するため移動装置であってもよく且つ多くの場合は移動装置である)とサーバ302との間に確立され、情報に対する「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイを提供する。
【0041】
移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間のネットワーク接続は、例えばインターネット(ワールドワイドウェブ等)を使用して既知の方法で確立される。これは、例えばTCP/IPレイヤプロトコルを使用することを含むことができる。移動装置は、CDMA、GSM、WAN等のいかなる数の通信規格も利用できる。
【0042】
従って、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介したデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続に対して、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば移動電話又は他の移動装置及びGPRS(汎用パケット無線サービス)接続(GPRS接続はテレコムオペレータにより提供された移動装置に対する高速データ接続であり、GPRSはインターネットに接続する方法である)を介して行われる。
【0043】
更にナビゲーション装置200は、公知の方法で、例えば既存のBluetooth(登録商標)技術を介する移動装置とのデータ接続及び最終的にはインターネット及びサーバ302とのデータ接続を完成できる。ここで、データプロトコルは、例えばGSRM、GSM規格に対するデータプロトコル規格等のいかなる数の規格も利用できる。
【0044】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自体に自身の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含むか又はオプションとしてナビゲーション装置200の内蔵アンテナを使用する)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上記で指定したように内蔵構成要素を含むことができ且つ/又は挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュール、すなわちSIMカード)を含むことができ、例えば必要な移動電話技術及び/又はアンテナにより完成される。従って、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、あらゆる移動装置と同様の方法で例えばインターネットを介してナビゲーション装置200とサーバ302との間のネットワーク接続を同様に確立できる。
【0045】
GRPS電話設定に対して、Bluetooth(登録商標)対応ナビゲーション装置は、移動電話の機種、製造業者等の変化する範囲で正確に動作するために使用されてもよく、機種/製造業者別の設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報に対して格納されたデータは更新可能である。
【0046】
図3において、ナビゲーション装置200は、多くの種々の構成のうちのいずれかにより実現される汎用通信チャネル318を介してサーバ302と通信しているものとして示される。サーバ302及びナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介する接続がサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立された時に通信できる(尚、そのような接続は移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介した直接接続であってもよい)。
【0047】
サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。プロセッサ304は、更に、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されうる。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。
【0048】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報の記憶データを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0049】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号及び/又はデータを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用される。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0050】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々アルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0051】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。
【0052】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態によると、通信チャネル318は、電気通信、光通信及び/又は電磁通信等のためのパスを提供するように構成される。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、少なくとも1つの種々の実施形態によると、通信チャネル318は、例えば、ルータ、中継器、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0053】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、例えば、通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、少なくとも1つの実施形態において、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できるる。更に、少なくとも1つの実施形態によると、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0054】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、Global System for Mobile Communications(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号及び/又は圧縮信号であってもよい。
【0055】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。また、サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置付けられるネットワークサーバを含んでもよい。
【0056】
サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0057】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を受信してもよい。情報は、ユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に周期的に更新されてもよく且つ/又は例えば無線移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより継続して又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0058】
図2に示すように、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、表示画面240を有する。入力装置220及び表示画面240は、一体化した入力及び表示デバイスに統合する。例えばタッチパネルスクリーンに適応すると、情報(直接入力、メニュー選択など)の入力及び情報の表示の両方を可能にする。タッチ入力LCDのような画面は当業者には周知のものである。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる入力装置220及び/又は更なる出力装置241を有してもよい。
【0059】
図4A及び図4Bは、ナビゲーション装置200の実施形態の実装した場合の斜視図を示している。図4Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体となった入力及び表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム220などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであってもよい。
【0060】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられてもよい。このアーム292は、大きな吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されてもよい。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0061】
図4Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をきちんと接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図4Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置200をドッキングステーションに結合し且つドッキングステーションから分離する他の同様の適切な構成は、当業者には周知である。
【0062】
次に、図5を参照すると、メモリリソース230は、機能ハードウェア構成要素460により実行するオペレーティングシステム470をメモリリソース230からロードするためにプロセッサ210により実行されるブートローダプログラム(不図示)を格納する。オペレーティングシステム470は、アプリケーションソフトウェア480が実行可能な環境を提供する。オペレーティングシステム470は機能ハードウェア構成要素460を制御し、アプリケーションソフトウェア480と機能ハードウェア構成要素460との間に常駐する。アプリケーションソフトウェア480は、例えば地図の閲覧、経路計画、ナビゲーション機能及びそれに関連する他の何らかの機能であるナビゲーション装置200の主要機能をサポートするGUIを含む操作環境を提供する。本発明の好適な実施形態によれば、この機能性の一部に、トラフィック・アラート・モジュール(TAM)490が含まれる。以下の図面と関連して、その機能を以下に詳細に説明する。
【0063】
TAM490は、表示装置240が動作停止中である場合等のナビゲーション装置200が低電力状態である場合でも動作可能である。例えばナビゲーション装置200が「オフ」状態にされている場合、TAM490は以下に説明するような1つ以上の機能を実行するように依然として動作可能である。低電力状態は、ナビゲーション装置200の機能の大部分がディスエーブルにされるユーザにより起動される「オフ」状態及び/あるいは表示画面240等の消費電力の大きいサブシステム又は装置がディスエーブルにされるナビゲーション装置の節電状態である。TAM490がナビゲーション装置200の動作可能又は「オン」状態においても動作することは理解されるだろう。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態に係る方法600を示す。方法はTAM490により実行される。方法600は、PNDがキャリングバッグ又は車両のグローブボックス等の他の筐体内に配置された場合等、TAM490が低電力状態である場合に実行される。そのような場合、ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200の場所を正確に判定することによりユーザが走行している経路を正確に判定するためにGPS信号を受信できない。しかし、他の形態の場所判定技術はGPS信号に基づく技術より精度が低いが、ナビゲーション装置の場所を把握し且つユーザが移動している経路を判定するために、そのような技術がTAM490により使用される。図8を参照して、経路を判定する方法を以下に説明する。
【0065】
図6を参照すると、方法が開始し、ステップ610において、TAM490は推定移動時間が計算される既知の経路をユーザが移動しているか否かを判定する。ステップ610における経路の判定は、受信したGPS信号を参照して実行される。可能であれば、それに加えて又はその代わりに、例えばWiFi及び/あるいはGSM又はUMTS等の電気通信ネットワークである無線ネットワーク等の他の無線受信した目印を参照して、経路の判定が実行される。TAM490は、ナビゲーション装置200が過去に移動した1つ以上の経路を識別する情報を含む記憶データを更に利用する。この記憶データは、ナビゲーション装置200内のメモリ230等に保持され且つ/又はサーバ302の通信チャネル318等を介してナビゲーション装置200によりアクセス可能である。
【0066】
ステップ610において、ナビゲーション装置200が既知の経路に沿って移動しているとTAM490が判定する場合、ステップ620へ進む。しかし、経路が既知ではないとTAM490が判定する場合、方法は終了する。
【0067】
ステップ610のいくつかの実施形態において、経路に対する第1の推定移動時間はステップ610で判定されるが、他の実施形態において、これはステップ630で実行される。第1の推定移動時間は、経路を形成する各道路区分に対する予想移動速度に従って計算される理論上の移動時間である。あるいは、移動時間は履歴行程情報に基づく。履歴行程情報は、ナビゲーション装置200の以前の移動速度又は時間、すなわちユーザの個人の行程情報を示してもよく、複数のナビゲーション装置200、すなわち他のナビゲーション装置200のユーザの行程情報を示してもよく、あるいは個人の行程情報及び他のユーザの行程情報の組合せを示してもよい。そのような履歴行程情報は、TomTom International BVによりIQ Routesとして提供される。第1の推定移動時間は、経路に沿う交通状態の指示を含まない。
【0068】
ステップ620において、TAM490は経路に対する第2の推定移動時間を判定する。この場合、第2の推定移動時間は経路に沿う交通状態を考慮する。交通状態は、例えば事故及び交通量等である車両状態による遅延、並びに天候により引き起こされた遅延等の他の状態による遅延を含む。
【0069】
第2の推定移動時間を判定するために、TAM490は1つ以上の供給元からの道路交通情報を利用する。道路交通情報は、ナビゲーション装置200が低電力モードである間にも受信される。しかし、道路交通情報は、ナビゲーション装置200が最後に「オン」又は動作モードであった時に受信されたものであってもよい。道路交通情報は、1つ以上の道路区分における観測交通速度を示す。例えば道路交通情報は、特定の道路区分上を移動している交通が20kmh-1の観測速度を有することを示す。それに対して、道路の種類及び他の何らかの関連情報に基づく予想道路速度は、当該道路区分に対して45kmh-1の予想道路速度を示す。従って、交通状況により当該道路区分に対して25kmh-1の偏差が存在し、これは道路区分の長さに従ってユーザの移動時間を増加させる。受信した道路交通情報から、経路に対する第2の推定移動時間がTAM490により判定される。第2の推定移動時間は、経路に沿う交通状況による影響を受けるため、移動中の経路に対するより現実的な推定移動時間を提供する。
【0070】
ステップ630において、第1の推定移動時間及び第2の推定移動時間がTAM490により比較される。TAM490は、第2の推定移動時間と第1の推定移動時間との間の差分が所定の差分を上回るか否かを判定する。差分は、時間差分、すなわちX分であってもよく、あるいは相対的割合、すなわちX%であってもよい。例えば、第2の推定移動時間が第1の推定移動時間より所定の時間を上回る分長いかがステップ630で判定される。所定の時間は5分であってもよいが、2分、4分、6分又は8分等の他の期間が使用されてもよい。第2の推定移動時間が第1の推定移動時間より所定の差分長いと判定される場合、ステップ640へ進む。しかし、第1の推定移動時間と第2の推定移動時間との間の差分が所定の差分を下回る場合、ステップ620に戻る。その後のステップ620の繰り返しは、ほぼ即座にではなく所定の期間後に実行される。例えば更新される第2の推定移動時間は、例えば2分、4分又は5分後に判定される。
【0071】
ステップ640において、交通に基づく第2の推定移動時間が第1の推定移動時間を上回るという指示がユーザに対して出力される。指示は、ユーザの行程が現在の交通状況により通常より長くかかる可能性があり、すなわち殆どの場合にそのようになるという警告である。警告は、視覚警告、可聴警告又は双方の組合せである。ナビゲーション装置200がバッグ又は車両のグローブボックス等の筐体内に存在する可能性があるため、警告は少なくとも可聴部分を含むのが好ましい。可聴出力は、第2の推定移動時間が第1の推定移動時間より長いという指示を提供する音声警告を含む。音声警告は、例えば「交通による遅延はX分です、ご注意ください」という形態である第1の推定移動時間と第2の推定移動時間との間の差分の音声指示を含む。
【0072】
更に、いくつかの実施形態において、ナビゲーション装置200は、交通状況に基づく第2の推定移動時間を有する現在の経路より速い別の経路が現在の交通状況に従って利用可能であることを例えばステップ630で既に判定している。
【0073】
方法のいくつかの実施形態では、ステップ650において、別の経路が利用可能であるか否かを判定するか又は別の経路がナビゲーション装置200により既に計算されている場合にそれを受け入れることをナビゲーション装置200に求めるユーザの要求を示す入力をユーザがナビゲーション装置200に提供する手段が提供される。手段は、ナビゲーション装置200に別の経路を判定させるか又は事前に判定された経路が利用可能である場合にそれを受け入れさせるためのユーザにより起動可能である表示装置240上に表示されたグラフィックコントロールである。あるいは、手段はナビゲーション装置200をフル稼働等の高電力状態にする物理スイッチである。その場合、ナビゲーション装置200は別の経路が利用可能であるという指示を表示装置240上に表示してもよく、あるいは別の経路が利用可能であるか否かを判定してもよい。別の経路が要求されるという指示をユーザがステップ650で入力する場合、ステップ660において、ナビゲーション装置200は、1つ以上の基準及び道路交通情報により示される現在の交通状況に従って最善の経路を判定する。最善の経路は、道路交通情報を考慮して最短移動時間を有する経路である。しかし、別の経路が要求されるという指示をユーザがステップ650で入力しない場合、方法は終了する。ユーザは、例えばナビゲーション装置200に入力を提供しないことにより別の経路が要求されないことを指示してもよく、あるいは、ユーザが交通状況を考慮しても現在の経路を続行することに満足していることを示すグラフィックコントロールを起動してもよい。別の経路が要求されることを示す入力をユーザがステップ650で提供しない場合、TAM490は、ステップ640で出力された通知の少なくとも一部の出力を中止する。例えばTAM490は、ユーザの注意を逸らさないために、所定の時間後に出力の可聴部分、あるいは出力の可聴部分及び視覚部分の双方の出力を中止する。
【0074】
図6を参照して述べた説明から、移動時間を比較するのではなく予想移動速度が比較され、比較された予想移動速度に基づいて警告を出力するかが判定されることが理解されるであろう。
【0075】
図7は、本発明の一実施形態に従って、時間に対するナビゲーション装置200の動作状態を示す。時間710において、ナビゲーション装置200は電源を投入されて、すなわちフル稼働している。期間710の終端において、ユーザはナビゲーション装置200上のオフスイッチを押し、それにより装置は低電力状態、すなわちTAM490を含む1つ以上の内部モジュールが少なくとも部分的に動作するスリープ状態になる。低電力状態を図中符号720で示す。低電力状態の間、TAM490は上述した図6のステップ610〜630を実行する。すなわち、低電力状態の間、TAM490は、第1の推定移動時間が判定される既知の経路に沿ってナビゲーション装置200がユーザにより移動されているか否かを判定し、受信した道路交通情報に従って第2の推定移動時間を更に判定し、第1の推定移動時間と第2の推定移動時間との間の差分が所定の差分を上回るか否かを判定する。いくつかの実施形態において、第1の推定移動時間と第2の推定移動時間との間の差分が所定の差分を上回るとTAM490が判定する場合、TAM490は、ナビゲーション装置を図7において図中符号730で示すオン状態等の高電力状態にする。高電力状態730になると、TAM490はユーザに交通状況を通知するための警告を出力する。更なる入力がユーザから受信されない場合又は低電力状態に対応する入力、すなわちオフスイッチの起動がユーザから受信される場合、TAM490は所定の期間後にナビゲーション装置200を再び低電力状態720にすることが理解されるだろう。
【0076】
図8は、ユーザが既知の経路を走行しているかをTAM490がGPS信号を受信せずに判定する本発明の一実施形態に係る方法を示す。本実施形態において、TAM490は、他の無線受信信号を参照して、既知の経路を走行しているか否かを判定する。受信信号は狭域通信信号である。例示される実施形態において、狭域信号は無線ネットワーク信号であるが、他の狭域信号が利用されてもよいことが理解されるだろう。
【0077】
図8は、複数の道路区分801〜807を含む地理的領域800を示す。ナビゲーション装置200の現在地を図中符号810で示す。隣接する道路区分に沿って移動中にWi−Fi等の各狭域無線ネットワークが受信される複数の場所を図中符号820、830、840、850で示す。各無線ネットワーク820、830、840、850は、無線ネットワークに関連する識別情報により区別される。ナビゲーション装置200がGPS信号を受信できた1つ以上の以前の行程において、TAM490は、関連する経路を移動している間に隣接する道路区分上を移動中に無線ネットワークのうちの1つ以上を受信したことを示す情報を記録した。TAM490は、上述の方法600のステップ610において経路が一連の受信した無線ネットワークに従って判定されるように、経路、道路区分及び無線ネットワーク識別情報を関連付ける情報をデータベースに格納する。従って、ユーザが走行している経路は、TAM490が無線ネットワーク820〜850のうちの1つ以上から信号を受信し且つ無線ネットワークに関連する識別情報の受信順序を格納済み情報と比較することにより判定される。例えば、ナビゲーション装置は道路区分801に沿って進む。道路区分802との接合又は移行点の近傍において、TAM490は無線ネットワーク820が受信されるかを識別するように構成される。その後、TAM490は無線ネットワーク830から信号を受信する。従って、TAM490はユーザが道路803に沿って進まなかったことを判定できる。ユーザが道路803に沿って進んだ場合、無線ネットワーク840がTAM490により受信されるはずである。その後、TAM490は無線ネットワーク850から信号を受信する。ネットワーク820、830、850から受信した無線ネットワーク信号の組み合わせから、TAM490は、判定された一連の受信済み無線ネットワークとTAM490がアクセスできる例えばメモリ230であるデータベースに格納された情報とを比較することにより、走行している経路が道路区分801、802、804、805、807を含むと判定する。例えばTAM490は、経路がユーザの職場への経路に対応すると判定する。
【0078】
TAM490の他の実施形態は、上記の代わりに又は上記に加えて、受信した移動電話、すなわちGSM又はUMTS信号の三角測量等により、他の受信信号を参照して走行している経路を判定する。
【0079】
ナビゲーション装置がフル稼働しておらず且つ/又はユーザの目的地を通知されてない場合、すなわちユーザの目的地をプログラムされていない場合であっても、交通状況がユーザの移動時間に悪影響を及ぼす可能性があるかをナビゲーション装置が自動的に判定するように構成される構成を本発明の教示が提供することは上記の説明から明らかになるだろう。
【0080】
以上、本発明の種々の態様及び実施形態を説明したが、本発明の範囲は本明細書に記載される特定の構成に限定されるのではなく、添付の請求の範囲の範囲に含まれる全ての構成、並びにそれらに対する変更及び変形を含むことが更に理解されるだろう。
【0081】
例えば、前述の詳細な説明中で説明した実施形態はGPSを参照するが、ナビゲーション装置は、GPSの代わりに(又は実際はGPSに追加して)何らかの種類の位置検出技術を利用してもよい。例えばナビゲーション装置は、欧州のGalileoシステム等の他のグローバルナビゲーション衛星システムを利用する。同様に、ナビゲーション装置は衛星の使用に限定されず、地上ビーコン又は装置が地理的場所を判定できるようにする他の何らかの種類のシステムを使用しても容易に機能できる。
【0082】
好適な実施形態はある特定の機能性をソフトウェアにより実現するが、その機能性はハードウェアにおいて(例えば、1つ以上のASIC(特定用途向け集積回路)により)単独で実現されてもよく、あるいは実際はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてもよいことは、当業者には理解されるであろう。したがって、本発明の範囲は、ソフトウェアで実現されることのみに限定されると解釈されるべきではない。
【0083】
最後に、添付の特許請求の範囲は本明細書で説明した特徴の特定の組み合わせを記載するが、本発明の範囲は、以下に請求される特定の組み合わせに限定されるのではなく、特定の組み合わせが添付の特許請求の範囲に特に記載されているか否かに関わらず、本明細書中で開示された特徴又は実施形態のあらゆる組み合わせをも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置(200)であって、
前記ナビゲーション装置(200)の低電力状態において動作可能であり、経路の交通状況が該経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し、該判定に応答して、前記ナビゲーション装置(200)に通知を出力させるモジュール(490)を有することを特徴とするナビゲーション装置(200)。
【請求項2】
前記所定の影響は、前記経路の1つ以上の道路区分に対する所定の遅延時間又は所定の移動速度減少であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モジュール(490)は、前記経路を形成する道路区分に対する速度情報に基づいて該経路に対する第1の推定移動時間又は移動速度を判定するとともに、前記経路の前記交通状況を考慮して該経路に対する第2の推定移動時間を判定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記モジュール(490)は、前記ナビゲーション装置(200)の前記低電力状態中に道路交通情報を受信することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記モジュール(490)は、受信した通信信号であって好ましくは無線ネットワーク及び/又は電気通信信号を含む通信信号に従って、前記経路を判定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記モジュール(490)は、一連の受信した無線ネットワーク信号と、1つ以上の経路に関連する無線ネットワーク情報を含む記憶データとに従って、前記経路を判定する、又は、受信した電気通信信号に基づく推定位置及び前記記憶データに基づいて前記経路を判定することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記モジュール(490)は、ユーザに前記経路の前記交通状況を警告するために前記通知を可聴出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記モジュール(490)は、前記交通状況による影響の少ない別の経路が利用可能であるか否かを判定し、前記別の経路が利用可能であることの指示を出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置のユーザに経路の交通状況を警告する方法であって、
ナビゲーション装置(200)が低電力状態である間に前記ユーザが既知の経路を移動しているか否かを判定するステップ(610)と、
前記経路の交通状況が該経路に対して所定の影響を上回る影響を有するか否かを判定し(620)、該判定に応答して、前記ユーザに対して通知を出力するステップ(640)と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記経路を形成する道路区分に対する速度情報に基づいて前記経路に対する第1の推定移動時間又は移動速度を判定するステップ(610)と、
前記経路の前記交通状況を考慮して前記経路に対する第2の推定移動時間を判定するステップ(620)と、
前記第1の推定移動時間又は移動速度と前記第2の推定移動時間又は移動速度との間の差分が所定量を上回る場合(630)に、前記ユーザに対して前記通知を出力するステップと、
を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ナビゲーション装置(200)が前記低電力状態である間に道路交通情報を受信するステップ(620)を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記通知を出力する前に前記ナビゲーション装置(200)を高電力状態にするステップを有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
無線通信信号を受信するステップと、
前記通信信号と、該通信信号を1つ以上の経路と関連付ける情報を含む記憶データとに基づいて、前記ユーザが既知の経路を移動しているか否かを判定するステップと、
を有することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記無線通信信号が無線ネットワーク信号である場合に、一連の前記受信した無線通信信号を前記記憶データにおける無線ネットワーク情報と比較し、前記無線通信信号が電気通信信号である場合、該電気通信信号から推定位置を判定し、該推定位置を前記記憶データを比較することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記交通状況により影響の少ない別の経路が利用可能であるか否かを判定し、該別の経路の利用可能性を示す通知を前記ユーザに対して出力するステップ(660)を有することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510300(P2013−510300A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537327(P2012−537327)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058932
【国際公開番号】WO2011/054550
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】