説明

ナビゲーション装置

【課題】敷地内の経路として、安全でスムーズに走行できる経路を案内する「ナビゲーション装置」を提供する。
【解決手段】現在位置501が敷地401内にあり、目的地502が敷地401外に位置する場合(a1)、敷地401内のリンクのリンクコストを、建物403までの最短距離が小さいほど大きくなるように設定した上で、現在位置501から目的地502までの経路を最小コスト法により探索する。この結果、現在位置501から敷地401外に到る経路としては建物403から遠い道路を優先的に使用する経路が探索されることになるので、誘導経路503としては、建物403に近い道路をできるだけ通らずに敷地401外に到る経路が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置において経路案内を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるナビゲーション装置において経路案内を行う技術としては、所要走行距離や所要走行時間をコストとする最小コスト法により目的地までの経路を探索し、探索した経路に沿った走行を案内する技術が知られている。
また、このような最小コスト法による経路探索を行うナビゲーション装置において、道路網を形成する各道路区間を表すリンク毎にコストを与えると共に、特定のエリアに進入するリンクのリンクコストを、リンクコストが大きくなるように操作することにより、最小コスト法による経路探索によって、当該特定のエリアを迂回する経路が探索されるようにする技術も知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3792533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、ナビゲーション装置において経路案内を行う場合、ショッピングモールや病院やゴルフコースなどの、内部に道路網を有する、敷地内の走行を案内するときに、単純に、所要走行距離や所要走行時間をコストとして最小コスト法により探索した経路を案内すると、敷地内の建物近くの、頻繁に人の出入りがある道路区間を多く通る経路を案内してしまうことがある。そして、このような場合、ユーザは、安全でスムーズな走行を行うことが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、ナビゲーション装置において、敷地内に道路網を有する敷地内の経路として、安全でスムーズに走行できる経路を案内することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置に、前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、敷地内の道路を含む各道路によって構成される道路網と、敷地と当該敷地内の建物との配置とを表した地図データに基づいて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定する誘導経路設定部と、前記誘導経路の経路案内を行う経路誘導部とを設け、前記誘導経路設定部において、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うようにしたものである。
【0007】
ここで、このようなナビゲーション装置は、より具体的には、前記地図データを、道路網をリンクの集合によって表したものとし、前記誘導経路設定部において、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクのリンクコストの総和が最小となるように探索し、誘導経路として設定するように構成してもよい。また、この場合には、前記誘導経路設定部において、前記敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該敷地内に複数の建物が存在する場合には、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと当該敷地内にある当該リンクに最も近接する建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いるようにしてもよい。
【0008】
また、以上のようなナビゲーション装置は、前記地図データを、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表すものとし、前記誘導経路設定部において、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物の出入り口から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うようにしてもよい。すなわち、たとえば、前述したように、リンクコストを用いて経路を探索する場合には、前記誘導経路設定部において、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物の出入り口との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いるようにしてもよい。
【0009】
また、以上のナビゲーション装置は、前記誘導経路設定部において、敷地内にある道路やリンクについては、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定するように構成してもよい。
【0010】
これらのようなナビゲーション装置によれば、敷地内の経路としては建物やその出入り口から遠い道路を優先的に使用する経路が探索されることになる。そして、この結果、誘導経路として建物やその出入り口に近い道路を多く通る経路が誘導経路として設定されることを抑制することができ、ユーザに対して、敷地内を、安全、スムーズに走行できる経路を案内することができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、ナビゲーション装置において、敷地内に道路網を有する敷地内の経路として、安全でスムーズに走行できる経路を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置が備える地図データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る誘導経路設定処理とリンクコスト設定処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る誘導経路設定例において対象とする敷地を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る誘導経路設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシシステムの構成を示す。
ナビゲーションシステムは、自動車等の車両に搭載されるシステムであり、図示するように、ナビゲーション装置1と、スピーカ2と、操作部3と、表示装置4と、車両状態センサ5と、GPS受信機6とを備えて構成される。
ここで、車両状態センサ5は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの各種車両状態を検出する各種センサである。
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したHDDなどの記憶装置11、現在位置算出部12、ルート探索部13、メモリ14、音声を生成しスピーカ2から出力する音声生成部15、制御部16、案内画像生成部17、操作部3や表示装置4を用いたユーザとの間の入出力を制御するGUI制御部18を備えている。
【0014】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0015】
次に、図2に、記憶装置11に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、地図データのバージョン等を記述した管理データ、各道路路線の情報を表す路線データ、地図を表す基本地図データを含んで構成される。
そして、基本地図データは、道路ネットワークを表す道路ユニットと、表示地図を構成する図形オブジェクト(地形図形や道路図形や敷地図形や建物図形等)を表すポリゴンユニットと、表示地図を構成するテキストオブジェクト(地名や道路名称や施設名等)を表すテキストユニットとを有する。
【0016】
ここで、道路ユニットでは、交差点などの道路の連結点を表すノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路網を定義しており、道路ユニットは、ノード毎に設けられたノードデータを含むノードテーブルと、リンク毎に設けられたリンクデータを含むリンクテーブルとを有する。
【0017】
また、各ノードデータには、対応するノードの識別子となるノード番号、対応するノードの各種属性を表すノード属性、対応するノードの位置を表すノード座標、対応するノードに接続するリンクを表す接続リンク情報と、対応するノードに一本のリンクを介して接続する他のノードを表す接続ノード情報とを含む。
【0018】
また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子となるリンク番号、対応するリンクの各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの属する路線を表す所属路線情報、対応するリンクの始点となるノードのノード番号を表す始点ノードと、対応するリンクの終点となるノードのノード番号を表す終点ノードとが登録される。また、リンク属性には、対応するリンクの種別の情報が格納されており、このリンクの種別としては、高速道路を構成するリンクであるところの高速道路リンク、一般道を構成するリンクであるところの一般道リンク、ショッピングモールや病院やゴルフコースなどの敷地内の道路網を構成するリンクであるところのプライベートリンクがある。
【0019】
次に、ポリゴンユニットには、表示地図を構成する図形オブジェクト(地形図形や道路図形や敷地図形や建物図形等)毎に設けられたポリゴンデータを有し、各ポリゴンデータは、対応する図形オブジェクトの識別子であるポリゴン識別子、対応する図形オブジェクトの地形図形、道路図形、敷地図形、建物図形といった図形種別を表すポリゴン種別、対応するポリゴンの形状と地図上の配置を表す形状配置データとが登録される。
【0020】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在位置算出部12は、車両状態センサ5やGPS受信機6の出力から推定される現在位置に対して、記憶装置11から読み出した地図データが示す前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ14に設定する。
【0021】
また、制御部16は、ユーザから操作部3、GUI制御部18を介して一つの目的地の設定を受付け、これをメモリ14にセットする。
ルート探索部13は、誘導経路の探索を制御部16から指示されたならば、図3aに示す誘導経路設定処理を行う。
すなわち、図示するように、まず、敷地外の道路を構成するリンクを探索対象リンクに設定する(ステップ302)。ここで、敷地外の道路を構成するリンクとは、リンク属性が示す種別がプライベートリンクではないリンクデータに対応するリンクである。
そして、次に、現在位置が敷地内に位置するかどうかを判定する(ステップ304)。ここでは、ポリゴン種別が敷地図形であるポリゴンデータのうちの、いずれかのポリゴンデータの形状配置データが示すポリゴンの領域内に現在位置が含まれる場合に、現在位置が敷地内に位置すると判定する。
【0022】
そして、現在位置が敷地内に位置しない場合には、そのままステップ306に進み、現在位置が敷地内に位置する場合には、現在位置が含まれる敷地内のリンクを探索対象リンクに追加した上で(ステップ312)、ステップ306に進む。ここで、現在位置が含まれる敷地内のリンクとは、リンク属性が示す種別がプライベートリンクであるリンクデータに対応するリンクであり、そのリンクの始点ノードと終点ノードのうちの少なくとも一方が、現在位置が含まれる敷地のポリゴンの領域内に位置するリンクである。
【0023】
次に、ステップ306では、目的地が敷地内に位置するかどうかを判定する。ここでは、ポリゴン種別が敷地図形であるポリゴンデータのうちの、いずれかのポリゴンデータの形状配置データが示すポリゴンの領域内に目的地が含まれる場合に、目的地が敷地内に位置すると判定する。
【0024】
そして、目的地が敷地内に位置しない場合には、そのままステップ308に進み、目的地が敷地内に位置する場合には、目的地が含まれる敷地内のリンクを探索対象リンクに追加した上で(ステップ314)、ステップ308に進む。ここで、目的地が含まれる敷地内のリンクとは、リンク属性が示す種別がプライベートリンクであるリンクデータに対応するリンクであり、そのリンクの始点ノードと終点ノードのうちの少なくとも一方が、目的地が含まれる敷地のポリゴンの領域内に位置するリンクである。
【0025】
そして、ステップ308では、ステップ312またはステップ314で探索対象リンクに敷地内のリンクを追加しているかどうかを調べ、追加していない場合には、探索対象リンクのみを探索の対象として、最小コスト法によって、経路を構成するリンクのリンクコストの総和が最小となるように現在位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路をメモリ14に誘導経路として設定する(ステップ310)。ここで、敷地内のリンク以外のリンクについては、当該リンクのリンクコストとしては、たとえば、リンクのリンク長やリンクの推定所要走行距離を用いる。
【0026】
一方、そして、ステップ308では、ステップ312またはステップ314で探索対象リンクに敷地内のリンクを追加していると判定された場合には、探索対象リンクに含まれる敷地内のリンク(種別がプライベートリンクであるリンク)の各々について、後述するリンクコスト算出処理を行ってリンクコストを設定する(ステップ316)。
【0027】
そして、探索対象リンクに含まれる敷地内のリンクの全てについてリンクコスト算出処理でリンクコストを設定したならば、ステップ310に進み、探索対象リンクのみを探索の対象として、最小コスト法によって、経路を構成するリンクのリンクコストの総和が最小となるように現在位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路をメモリ14に誘導経路として設定する。ただし、この探索において、リンクコスト算出処理でリンクコストが設定されたリンクについては、当該ステップ316で設定したリンクコストを当該リンクのリンクコストとして用いて、経路の探索を行う。また、それ以外のリンクについては、リンクコストとしては、たとえば、リンクのリンク長やリンクの推定所要走行距離を用いる。
【0028】
以上、誘導経路設定処理について説明した。
次に、ステップ316において、探索対象リンクに含まれる敷地内のリンク(種別がプライベートリンクであるリンク)の各々について行うリンクコスト算出処理について説明する。
図3bに、このリンクコスト算出処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、リンクコスト算出処理の対象となった(種別がプライベートリンクである)リンクが含まれる敷地のポリゴンを探索する(ステップ352)。ここで、リンクコスト算出処理の対象となったリンクが含まれる敷地のポリゴンとは、領域内にリンクの始点ノードと終点ノードのうちの少なくとも一方を、形状配置データが示すポリゴンの領域内に含む、ポリゴン種別が敷地図形であるポリゴンデータに対応するポリゴンである。
【0029】
そして、次に、ステップ352で探索した敷地のポリゴンの領域内に含まれる建物のポリゴンを探索する(ステップ354)。ここで、探索した敷地のポリゴンの領域内に含まれる建物のポリゴンとは、形状配置データが示すポリゴンの領域が、ステップ352で探索した敷地のポリゴンの領域内に含まれるポリゴンデータであって、ポリゴン種別が建物図形であるポリゴンデータに対応するポリゴンである。
【0030】
次に、リンクコスト算出処理の対象となったリンクと、ステップ354で探索した建物のポリゴンとの最短距離を算定する(ステップ356)。ここで、ステップ354で建物のポリゴンが複数探索されている場合には、リンクに最も近いポリゴンとリンクとの最短距離を算定する。なお、ここでは、リンクコスト算出処理の対象となったリンクと、ステップ354で探索した建物のポリゴンとの最短距離を算定したが、ポリゴンデータに建物の出入り口の位置を示すデータが含めるようにし、ステップ356では、リンクとリンク最寄りの出入り口の距離を、リンクとポリゴンの最短距離として求めるようにしてもよい。または、近似的に、リンクの中点とポリゴンの重心位置の距離などを、最短距離としてリンクとポリゴンの最短距離として求めるようにするなどしてもよい。
【0031】
そして、リンクコスト算出処理の対象となったリンクのリンクコストを、リンク長が大きいほど大きく、かつ、ステップ356で算定した最短距離が小さいほど大きくなるように設定する(ステップ358)。すなわち、ここでは、リンクのリンク長に着目したコストCを、ステップ356で算定した最短距離が小さいほど大きくなる増加度合で増加させた値をリンクコストとすることにより設定する。
【0032】
より具体的には、たとえば、リンクのリンク長をC、ステップ356で算定した最短距離をL、Kを予め定めた定数として、リンクのリンクコストPLLCを、PLLC=K×C/Lによって設定する。または、リンクのリンクコストPLLCを、PALC=C+(K/L)によって設定する。
【0033】
そして、このリンクについてのリンクコスト算出処理を終了する。
以上、リンクコスト算出処理について説明した。
以下、このような誘導経路設定処理とリンクコスト算出処理による誘導経路の設定例を示す。
いま、図4aに示すように、敷地401と、敷地401外の一般道402と、敷地内の建物403と、敷地401内の道路網404とが存在する場合を想定する。
この場合には、敷地401内の道路網404を構成するリンクのリンクコストがリンクコスト算定処理によって、当該リンクと建物403との最短距離に応じて、最短距離が小さいほど大きくなるように設定される。
すなわち、たとえば、道路網404を構成するリンクのうち、図4bのLK1とLK2は、ほぼリンク長が等しいリンクであるが、リンクLK1の建物403までの最短距離L1は、リンクLK2の建物403までの最短距離L2よりも小さいため、LK1のリンクコストは、LK2のリンクコストより大きく設定されることになる。
【0034】
したがって、図5a1に示すように、現在位置501が敷地401内にあり、目的地502が敷地401外に位置する場合、誘導経路設定処理とリンクコスト設定処理によれば、敷地401内の各リンクのリンクコストが、傾向として、建物403までの最短距離が小さいほど大きくなるように設定された上で、現在位置501から目的地502までの経路が探索されるので、現在位置501から敷地401外に到る経路としては建物403から遠い道路を優先的に使用する経路が探索されることになる。そして、この結果、図示するように誘導経路503としては、建物403に近い道路をできるだけ通らずに敷地401外に到る経路が設定されることになる。
【0035】
したがって、図5a2に示すように、建物403に近い道路を多く通る経路が誘導経路503として設定されることを抑制することができ、結果、ユーザに対して、敷地401内を、安全、スムーズに走行できる経路を案内することができるようになる。
また、図5b1に示すように、現在位置501が敷地401外にあり、目的地502が敷地401内に位置する場合も同様であり、誘導経路設定処理とリンクコスト設定処理によれば、敷地401内の各リンクのリンクコストが、傾向として、建物403までの最短距離が小さいほど大きくなるように設定された上で、現在位置501から目的地502までの経路が探索されるので、目的地502に到る敷地401内の経路としては建物403から遠い道路を優先的に使用する経路が探索されることになる。そして、この結果、図示するように誘導経路503としては、建物403に近い道路をできるだけ通らずに目的地502に到る経路が設定されることになる。
【0036】
したがって、図5b2に示すように、建物403に近い道路を多く通る経路が誘導経路503として設定されることを抑制することができ、結果、ユーザに対して、敷地401内を、安全、スムーズに走行できる経路を案内することができるようになる。
さて、図1に戻り、このようにしてメモリ14に誘導経路が設定されたならば、制御部16は、現在位置が誘導経路の右左折ポイントに接近したならば、音声生成部15に右左折を案内する音声をスピーカ2に出力させる処理を行う。
また、案内画像生成部17は、メモリ14にセットされている現在位置を参照し、地図データが示す現在位置周辺に設定した地図表示範囲内の地図を、所定の縮尺で表す地図画像を生成する。また、案内画像生成部17は、描画した地図画像上に、メモリ14にセットされている現在位置を表す現在位置マークを描画し、案内画像としてGUI制御部18を介して表示装置4に表示する処理を繰り返し行う。ここで、メモリ14に目的地や誘導経路がセットされている場合には、案内画像生成部17は、誘導経路の地図表示範囲内の部分を表す誘導経路図形も案内画像に含めて表示する。また、地図表示範囲内に目的地が含まれる場合には、さらに、目的地を表す目的地マークも案内画像に含めて表示する。
【0037】
図4cに、このようにして表示される案内画像の例を示す。
図示するように、案内画像40は、現在位置周辺の地図を表す地図画像41上に、現在位置を表す現在位置マーク42が表されたものとなる。また、誘導経路や目的地がセットされている場合には、案内画像は、誘導経路を表す誘導経路図形43を含む。また、地図表示範囲内に目的地が含まれる場合には、さらに、目的地マークも案内画像に含まれることになる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0039】
1…ナビゲーション装置、2…スピーカ、3…操作部、4…表示装置、5…車両状態センサ、6…GPS受信機、11…記憶装置、12…現在位置算出部、13…ルート探索部、14…メモリ、15…音声生成部、16…制御部、17…案内画像生成部、18…GUI制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
敷地内の道路を含む各道路によって構成される道路網と、敷地と当該敷地内の建物との配置とを表した地図データに基づいて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定する誘導経路設定部と、
前記誘導経路の経路案内を行う経路誘導部とを有し、
前記誘導経路設定部は、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地図データは、道路網をリンクの集合によって表したものであり、
前記誘導経路設定部は、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクのリンクコストの総和が最小となるように探索し、誘導経路として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーション装置であって、
前記誘導経路設定部は、前記敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該敷地内に複数の建物が存在する場合には、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと当該敷地内にある当該リンクに最も近接する建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定部は、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物の出入り口から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2記載のナビゲーション装置であって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定部は、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物の出入り口との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記誘導経路設定部は、敷地内にある道路については、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項2記載のナビゲーション装置であって、
前記誘導経路設定部は、敷地内にあるリンクについては、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
車両に搭載されるナビゲーション装置において、敷地内の道路を含む各道路によって構成される道路網と、敷地と当該敷地内の建物との配置とを表した地図データに基づいて、経路案内を行う経路誘導を設定する誘導経路設定方法であって、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出ステップと、
前記地図データに基づいて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定する誘導経路設定ステップとを有し、
前記誘導経路設定ステップにおいて、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項9】
請求項8記載の誘導経路設定方法であって、
前記地図データは、道路網をリンクの集合によって表したものであり、
前記誘導経路設定ステップにおいて、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクのリンクコストの総和が最小となるように探索し、誘導経路として設定することを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項10】
請求項9記載の誘導経路設定方法であって、
前記誘導経路設定ステップにおいて、前記敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該敷地内に複数の建物が存在する場合には、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと当該敷地内にある当該リンクに最も近接する建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項11】
請求項8記載の誘導経路設定方法であって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定ステップにおいて、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物の出入り口から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項12】
請求項9記載の誘導経路設定方法であって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定ステップにおいて、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物の出入り口との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項13】
請求項8記載の誘導経路設定方法であって、
前記誘導経路設定ステップにおいて、敷地内にある道路については、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定することを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項14】
請求項9記載の誘導経路設定方法であって、
前記誘導経路設定ステップにおいて、敷地内にあるリンクについては、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定することを特徴とする誘導経路設定方法。
【請求項15】
車両に搭載されるコンピュータによって読みとられ実行されるコンピュータプログラム装置であって、
前記コンピュータを
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
敷地内の道路を含む各道路によって構成される道路網と、敷地と当該敷地内の建物との配置とを表した地図データに基づいて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定する誘導経路設定部と、
前記誘導経路の経路案内を行う経路誘導部として機能させ、
前記誘導経路設定部は、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記地図データは、道路網をリンクの集合によって表したものであり、
前記誘導経路設定部は、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いて、前記現在位置から設定された目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクのリンクコストの総和が最小となるように探索し、誘導経路として設定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16記載のコンピュータプログラムであって、
前記誘導経路設定部は、前記敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該敷地内に複数の建物が存在する場合には、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと当該敷地内にある当該リンクに最も近接する建物との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定部は、前記誘導経路に含まれる敷地内を通る区間については、当該敷地内にある建物の出入り口から遠い道路が、優先して誘導経路に用いられるように前記経路の探索を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項16記載のコンピュータプログラムであって、
前記地図データは、敷地内の建物の出入り口の配置を、さらに表し、
前記誘導経路設定部は、敷地内にあるリンクのリンクコストとして、当該リンクのリンク長が大きいほど大きく、当該リンクと前記敷地内にある建物の出入り口との距離が小さいほど大きくなるように定めたリンクコストを用いることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記誘導経路設定部は、敷地内にある道路については、現在位置が含まれる敷地または目的地の敷地に含まれるもののみを探索の対象として、前記現在位置から設定された目的地までの経路を探索し、誘導経路として設定することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−159976(P2010−159976A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553(P2009−553)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】