説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地の設定変更入力の煩わしさをなくし、再設定が容易なこと。
【解決手段】ディスプレイ3に設定された目的地が施設情報DB84が記憶する施設間の接続関係を持たない施設である場合、地図31上のスクロール方向の指示を検出するスクロール方向検出手段92はスクロール指示された方向をスクロール方向として検出し、表示制御手段94は該スクロール方向に前記地図31のスクロールを行う。また、設定された目的地が施設間の接続関係を持つ施設である場合、地図31上のスクロール方向の指示を検出するスクロール方向検出手段92は目的地の接続関係及びスクロール指示された方向に基づいてスクロール方向を検出し、表示制御手段94は該スクロール方向において目的地に接続された施設の位置まで地図のスクロールを行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地を入力した後、その目的地を簡単に変更可能なナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星を利用し、自己の位置をリアルタイムに求めている。この種のナビゲーション装置は、自動車等の車両用または歩行者等の携帯用として普及している。
このナビゲーション装置は、電子化された地図データに基づいてモニタ上に地図を表示し、その地図上で自己の位置を示している。また、利用者が出発地、目的地等を指定することによって、その設定されたルートに基づいて進路を案内する機能を有している。
【0003】
この種のナビゲーション装置として、特許文献1、特許文献2の技術が公知である。
特許文献1は、ユーザがスクロールの方向を指示したときに、車両が存在する道路に沿って所定の位置(例えば、主要道路との交差点、高速道路の入口/出口/ジャンクション等)まで地図をスクロールさせて停止させるものである。
また、特許文献2は、所定の探索条件に従って誘導経路が探索されているときに、この探索された誘導経路に沿って車両位置を移動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−212255
【特許文献2】特開2001−165674
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1の技術は、自車位置を基準として周囲の交差点等を簡単な操作のみで順次確認していくことが可能となる。また、ユーザが確認を希望する交差点等においてスクロールが自動的に止まるので、方向指示を出してからずっと画面を凝視している必要がなくなるものである。
また、特許文献2の技術は、誘導経路に沿って車両位置を移動させることにより、誘導経路の周辺の地図を表示させることができるため、表示された地図を手作業でスクロールさせる操作を不要とし、誘導経路及びその周辺の地図情報を確認する際の煩雑な操作を低減することが可能になるものである。
【0006】
ところが、特許文献1及び特許文献2は、車両の進行に沿った道路情報を煩雑な手続きを行うことなく提供する技術を開示しているものの、現在走行中の道路以外の情報を対象とすることができない。
例えば、車両が進行していない場合、又は誘導径路が設定されていない場合は、地図上で目的地の設定を行った後、目的地を関連する施設に変更しようとしても簡単にはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、目的地変更の煩わしさをなくし、目的地の再設定が容易なナビゲーション装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかるナビゲーション装置は、施設情報及び該施設間の接続関係を記憶する施設情報記憶手段と、前記施設情報記憶手段に記憶された施設から目的地を設定する目的地設定手段と、設定された目的地周辺の地図を表示する表示手段と、前記地図のスクロール操作を行う操作手段と、前記操作手段の操作方向に基づいて前記地図のスクロール方向を検出するスクロール方向検出手段と、前記検出されたスクロール方向に前記地図をスクロールする表示制御手段とを備え、前記目的地が接続関係を持たない施設である場合、前記スクロール方向検出手段は前記操作手段により操作された方向をスクロール方向として検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向に前記地図のスクロールを行い、また、前記目的地が接続関係を持つ施設である場合、前記スクロール方向検出手段は前記目的地の接続関係及び前記操作手段により操作された方向に基づいてスクロール方向を検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向において前記目的地に接続された施設の位置まで地図のスクロールを行うものである。
ここで、上記施設情報及び該施設間の接続関係を記憶する施設情報記憶手段は、その施設情報として、鉄道の駅、高速道路のインターチェンジ、定期乗合バス等のバス停等とすることができる。例えば、施設が鉄道の駅であれば電車線路、施設が高速道路のインターチェンジであれば高速道路、施設が定期乗合バス等のバス停であればバス路線となる。
また、上記施設情報記憶手段に記憶された施設から目的地を設定する目的地設定手段は、前記施設を特定できる入力手段であればよく、施設リストから検索する方法であってもよいし、或いは、直接キーボードまたは音声認識で入力してもよい。
そして、上記表示手段は、前記設定された目的地周辺の地図を表示するもので、ディスプレイまたはディスプレイ機能がついたタッチスイッチ等とすることができる。
上記地図のスクロール操作を行う操作手段は、タッチパネルのドラッグ操作(なぞる操作)やフリック操作(はじく操作)による指の動作のスクロール入力、及びキーボード、マウス、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、スタイラスペン等によるスクロール入力とすることができる。
更に、上記スクロール方向検出手段は、前記地図の指示されたスクロール方向を検出するもので、例えば、タッチパネルのドラッグ操作やフリック操作による指の動作の方向性の検出を行うものである。
更にまた、上記表示制御手段は、前記検出されたスクロール方向に前記地図をスクロールするものであり、スクロール方向、速度、距離等の要件によってスクロールした地図上の位置を特定するものである。
加えて、前記目的地が接続関係を持たない施設である場合に、前記スクロール方向検出手段が前記スクロール指示された方向をスクロール方向として検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向に前記地図のスクロールを行う。そして、前記目的地が接続関係を持つ施設である場合に、前記スクロール方向検出手段は前記目的地の接続関係及び前記スクロール指示された方向に基づいてスクロール方向を検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向において前記目的地に接続された施設の位置まで地図のスクロールを行うものである。
【0009】
請求項2の発明にかかるナビゲーション装置の前記表示手段は前記操作手段として機能するものであり、前記スクロール方向検出手段は、前記目的地として設定された施設が接続関係を持つ施設であり、かつ、前記操作手段によるスクロール指示開始点が前記表示手段に表示された前記施設である場合に、前記施設情報の特定の接続関係及び前記操作手段の操作方向に基づいてスクロール指示を検出するものである。
【0010】
請求項3の発明にかかるナビゲーション装置の前記表示制御手段は、前記目的地に接続された施設を目的地変更候補として識別可能に表示するものである。
ここで、識別表示としては、色彩の濃淡、マーク等によって目的地の施設との関連を表示できる。
【0011】
請求項4の発明にかかるナビゲーション装置の前記接続関係を持つ施設は、電車線路によって接続された駅、高速道路で接続されたインターチェンジのいずれかまたは両方としたものである。
ここで、上記接続関係を持つ施設は、電車線路により接続された駅及び/または高速道路で接続されたインターチェンジとしたものである。接続関係が物理的な接続であるため、操作者のイメージが合致し、操作者の理解が容易である。
【0012】
請求項5の発明にかかるナビゲーション装置の前記表示制御手段は、前記操作手段によるスクロール指示の速度が所定速度以上である場合は、その速度に応じて特急、急行等の列車停車駅までのスクロールを行うものである。
ここで、上記操作手段によるスクロール指示の速度が所定速度未満では、普通停車駅までのスクロールを行い、所定速度以上では特急等の列車停車駅までのスクロールを行う。或いは、その速度を更に複数段に区分して特急、急行等の列車停車駅の選択とすることができる。現実的には、隣接する電車線路によって接続された駅を検索するものであるから、2段階のスクロール表示とする方が使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明のナビゲーション装置は、目的地までのルートを探索または目的地の情報を案内するナビゲーション装置において、前記目的地が他の施設との接続関係を持たない施設である場合、前記地図上のスクロール方向の指示を検出するスクロール方向検出手段は、操作手段により操作された方向をスクロール方向として検出し、表示制御手段は該スクロール方向に前記地図のスクロールを行う。また、前記目的地が他の施設との接続関係を持つ施設である場合、前記地図上のスクロール方向の指示を検出するスクロール方向検出手段は、前記目的地の接続関係及び操作手段によって操作された方向に基づいてスクロール方向を検出し、前記表示制御手段は、該スクロール方向において前記目的地に接続された施設の位置まで地図のスクロールを行うものである。
したがって、目的地を設定した後に、当該目的地以外の場所を選択する必要が生じた場合には、当初設定した目的地からスクロール指示のみで、当初設定した目的地の属性を持つ関連性のある場所を検索するから、目的地の設定変更の入力の煩わしさをなくし、再設定が容易な装置となる。また、1度変更した後に、再度の変更を行っても煩わしさがなく、操作者が指またはペンで操作するタイミングが僅かであり、目的地修正のための時間的ロスが少なくてすむ。
【0014】
請求項2の発明のナビゲーション装置の前記表示手段はタッチパネルとしたものである。目的地として設定した施設が接続関係を持つ施設であり、かつ、前記タッチパネルのスクロール指示開始点が前記タッチパネルに表示された特定の前記施設上である場合に、前記施設の接続関係及び前記指示されたスクロール方向に基づいてスクロール指示を検出するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、地図上の位置の施設が目で確認でき、それを基にタッチパネル上のフリック操作やタッチ操作による指の動作でスクロールが指示できるから、誰にでも扱いやすい装置となる。
【0015】
請求項3の発明のナビゲーション装置の前記表示制御手段は、前記目的地の施設に接続関係のある施設を目的地変更候補として識別可能に表示するものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、これからスクロールしたい方向が確認でき、スクロール方向の間違いをなくすことかできる。
【0016】
請求項4の発明のナビゲーション装置の前記接続関係を持つ施設は、電車線路により接続された駅または高速道路のインターチェンジまたはその両者とするものであるから、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の効果に加えて、地図の感覚で選択することができ、その操作の方法が人間工学的に人の感覚と合致し、間違いがなく、操作の覚えもよくなる。
【0017】
請求項5の発明のナビゲーション装置の前記表示制御手段は、前記操作手段によるスクロール指示の速度が所定速度以上である場合は、特急停車駅までスクロールを行うものであるから、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の効果に加えて、スクロール速度にも情報を持たせることができ、停車駅の選択を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置の一部機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態のナビゲーション装置のメインメニュー画面の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の目的地・経由地設定画面の説明図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の単一の電車線路の駅の事例におけるフリックスクロール動作を検出する説明図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の複数の電車線路が入る駅の事例におけるフリックスクロール動作を検出する説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の複数の電車線路が入る駅の事例におけるタッチスクロール動作を検出する説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の「目的地設定ルーチン」のフローチャートである。
【図8】図8は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の「目的地変更ルーチン」の処理のフローチャートである。
【図9】図9は本発明の実施の形態のナビゲーション装置の車両に搭載して走行し、鉄道路線の岡崎駅に隣接する駅を選択する事例の画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0020】
図1のブロック図のナビゲーション装置は、入力された情報に基づいて各種の演算処理を行うマイクロプロセッサからなる演算部1と、利用者からのキー入力や音声入力等の入力操作を受け付ける操作部2と、利用者に対して操作メニューや地図等の情報を表示する液晶等からなるディスプレイ3と、ルート情報や交通情報等の案内に関する音声ガイダンスを行うスピーカ4と、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)やRDS−TMC(Radio Data System-Traffic Message Channel)等の交通情報センタ62との間でネットワーク61を介して通信を行う通信部6と、現在の自車位置や方位等を検出する各種センサからなる現在地検出部7と、各種のデータが記録されており書込みや読み出しが可能なハードディスク等の記憶媒体からなるナビ情報処理部8と、ルート探索等のナビゲーション機能を行うために目的地の設定を行う目的地設定部9等から構成されている。なお、本実施の形態のディスプレイ3は、操作部2としてのタッチスイッチを兼ねるものである。
【0021】
マイクロプロセッサからなる演算部1は、ナビゲーション装置の演算及び制御を行うCPU11、CPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用するRAM12、制御用プログラム等が記憶されたROM13、タイマ14等を備えている。RAM12、ROM13としては半導体メモリ、磁気コア等が使用され、演算及び制御を行うCPU11は、MPU等の演算機能を有するものの使用が可能である。
ROM13には各種のプログラムが記憶され、RAM12には各種のデータが記憶されるようになっており、ROM13がEEPROMの場合には、外部記憶装置からプログラムやデータ等を読み出してROM13に書き込むことも可能である。更に、メモリーカード等を交換することによってプログラム、データ等を更新することもできる。
そして、自車の現在位置を検出する現在地検出部7は、GPSセンサ71、方位検出部としてのジャイロセンサ72、自車の走行速度及び走行距離を検出する車速センサ73、自車傾斜を検出する加速度センサ74等からなる。
【0022】
また、本実施の形態のナビゲーション装置は、ネットワーク61を介して交通情報センタ62から道路の渋滞等に関する情報や、交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。
なお、ネットワーク61としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、電話回線網等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0023】
更に、各構成要素について図1に基づいて、更に具体的に説明する。
演算部1には、操作部2、ディスプレイ3、スピーカ4、通信部6の各周辺装置が電気的に接続されている。操作部2は、案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種キー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、演算部1は、操作部2の各スイッチの操作により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。イグニッションスイッチ21はエンジンの始動及び停止を行うものである。
操作部2としては、キーボード、マウス、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、スタイラスペン等を使用することができるほか、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって操作部2を構成することもできる。
【0024】
ディスプレイ3には、操作メニュー、目的地までの探索ルート、探索ルートに沿った案内情報、後述の目的地変更案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
なお、ディスプレイ3の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL等を使用し、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することもできる。
【0025】
スピーカ4は、演算部1からの指示に基づいて、探索ルートに沿った走行を案内する音声ガイダンスや、目的地変更を案内する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「目的地を変更します。」、「目的地を変更する候補地を表示します、選択しますか。」や「目的地として○○駅が選択されました。」等がある。
なお、スピーカ4より出力される音声としては、合成された音声の他に、各種効果音、予めICメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0026】
通信部6は、ビーコンレシーバ、ネットワーク機器、FM受信機等からなる。
ビーコンレシーバは、交通情報センタ62等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等から受信する。
ネットワーク機器は、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とする。
FM受信機は、交通情報センタ62からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信する。
【0027】
現在地検出部7は、現在の自車の位置や方位等を検出するための各種センサからなる。GPSセンサ71は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出する。
ジャイロセンサ72は自車の旋回角を検出するものである。ここで、ジャイロセンサ72としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ72によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。車速センサ73は、例えば、自車の車輪の回転速度を測定し車速を検出する。また、測定した回転速度に基づいて距離を検出することができる。加速度センサ74は車両の傾斜を検出し、高低差の大きな道路における自車位置の検出精度を向上する。
【0028】
ナビ情報処理部8は、各種のデータが記録され、書込みや読み出しが可能な記憶媒体からなるものである。本実施の形態においては、ナビ情報処理部8の記憶媒体としてハードディスクが使用されているが、ハードディスク等の磁気ディスクの他に、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード等を外部記憶装置の一部として使用することもできる。
【0029】
ナビ情報処理部8の交通情報データベース(以下、データベースを単に「DB」と記す)81には、交通情報センタ62から受信した渋滞情報、道路工事等による交通規制情報等に関する交通規制情報等が格納されている。なお、交通情報センタ62から受信した各道路交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報が含まれる。地図情報DB82には、本実施の形態のナビゲーション装置の走行案内やルート探索に使用されるナビ地図情報が格納されている。ここで、ナビ地図情報83は、ルート案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、目的地として設定された施設までのルートを探索するための道路データ、探索されたルートや地図をディスプレイ3に表示するための地図表示データ等から構成されている。
【0030】
施設情報DB84には、駅や店舗等のPOI(Point of Interest)に関する施設情報が格納されている。なお、本実施の形態では、施設情報として高速道路のインターチェンジやバス停等も有している。また、施設情報には施設名称や施設の位置が記憶されている他、駅やインターチェンジのように隣接する施設と路線で接続されている施設は各施設の接続情報、例えば、駅の場合は線路で接続された隣接駅の位置情報や線路の方角情報等が記憶されている。そして、地図情報DB82や施設情報DB84の内容は、地図情報配信センタから通信部6を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0031】
目的地設定部9は、利用者が行先としたり、情報を取得したりしようとする目的地を設定するほか、その目的地を変更することも可能な信号処理部である。例えば、目的地として鉄道の駅名が設定された後に目的地の駅を変更する場合には、目的地の駅が存在する鉄道線路の接続関係に基づいて新たな目的地とする候補駅を提示する。同様に、目的地として高速道路のインターチェンジが入力された後に目的地インターチェンジを変更する場合には、目的地インターチェンジが存在する高速道路路線の接続関係に基づいて新たな目的地とする候補インターチェンジを提示する。ここで接続関係とは、施設情報DB84に格納された鉄道線路、高速道路等の物理的な接続関係である。
【0032】
次に、目的地設定部9について、詳細に説明する。
本実施の形態では、目的地設定手段91を有している。目的地設定手段91は、現在地から目的地までのルートを探索し、前記探索されたルートに従ってルート案内するナビゲーション装置の目的地設定機能である。また、目的地は行先としてルートを探索する地点に限られるものではなく、施設の情報を取得する場合の取得対象地点のことを指す場合もある。目的地を設定する手段は、施設名称、住所、メモリ地点、電話番号等から検索して抽出された施設を設定もよいし、目的地を地図上で探して設定してもよい。
スクロール方向検出手段92は、利用者がスクロール操作を行った際にスクロールすべき方向を検出する。具体的には、操作部2がキーであれば方向キーを押した方向にスクロールし、操作部2がジョイスティックであればジョイスティックを倒した方向にスクロールし、操作部2がタッチパネルであればタッチした位置(押下位置)にスクロールする。例えば、利用者がタッチパネルの上部中央をタッチしたら上方向にスクロールし、右上部をタッチしたら右上方向にスクロールする。さらに、タッチパネルがタッチ位置の移動を検出できる場合は、タッチパネルのドラッグ操作(なぞる操作)やフリック操作(はじく操作)によるスクロールも可能である。タッチパネルのドラッグ操作では、タッチしている利用者の指の移動に追従して地図のスクロールが行われ、フリック操作では、利用者の指が離れた際の移動方向に地図のスクロールが行われる。
【0033】
関連性検索手段93は、利用者が目的地として設定した施設の情報及び利用者が操作したスクロール方向によって、利用者が変更しようとする目的地の候補を推定するものである。
例えば、目的地が鉄道の駅である場合、当該目的地の駅に接続する線路の方向にスクロール操作を行うと、スクロール方向に存在する同一線路の駅を目的地変更候補として選択する。同様に、目的地がインターチェンジである場合、当該インターチェンジの存在する高速道路の方向にスクロール操作したとき、スクロール方向によって同一高速道路の隣接するインターチェンジを目的地変更候補地として選択する。
即ち、関連性検索手段93は、目的地として設定した施設から特定される接続関係、及びスクロール操作の方向によって、利用者が変更しようとする目的地の候補を推定するものである。
【0034】
表示制御手段94は、推定した目的地変更候補地まで地図31(図9参照)のスクロールを行い、地図31上の目的地変更候補地を特定のアイコン33(図9参照)として表示し、利用者に目的地変更候補地を訴えるものである。目的地設定手段91は、利用者がアイコンを選択することにより、その候補地を新たな目的地として設定する。
なお、本実施の形態においては、設定された目的地周辺の地図31を表示する表示手段はディスプレイ3とし、また、地図31のスクロール操作を行う操作手段は、タッチパネルのドラッグ操作やフリック操作による指の動作のスクロール入力としたものである。
【0035】
次に、演算部1が処理する本実施の形態にかかるナビゲーション装置の制御について、ディスプレイ3の画面表示と共に説明する。
図2は、図示しないメインプログラムの実行によってディスプレイ3にメインメニュー画面が表示されている図である。このメインメニュー画面から目的地設定22を選択することにより、図3に示す目的地・経由地設定画面が表示される。ここで、各種の検索方法で目的地が選択されると、「目的地設定ルーチン」のプログラムが実行される。なお、以下の説明は、目的地の変更について説明するが、経由地の変更も同様に処理できるものである。
【0036】
ここで、図4乃至図6を用いてディスプレイ3の画面上のスクロール操作の検出について説明する。
図4は、鉄道の駅が目的地として設定された場合の事例である。
ここで、利用者がディスプレイ3の前面に設けたタッチパネル上の特定の1点を指定してから、そのまま任意の方向にはじくフリック操作により、その方向性の情報を得てスクロール方向を判断する。利用者がディスプレイ3をタッチし、線路に沿って白抜矢印a1方向にフリックすると、地図31が東側(右側)にスクロールされ目的地駅の東に隣接する駅が候補として表示され、変更目的地として選択可能になる。同様に、線路に沿って白抜矢印b1方向にフリックすると、地図が南西側(左下側)にスクロールされ目的地の駅の南西の隣接する駅が候補として表示され、変更目的地として選択可能になる。
【0037】
このとき、線路に沿ってフリックしたか否かの判断は、目的地となる施設としての駅(目的地駅)を中心とし、線路A1(目的地駅から東に向かう線路)及び線路B1(目的地駅から南西に向かう線路)のそれぞれに沿った所定範囲内の角度にフリックが行われたか否かにより判断する。例えば、目的地駅を中心として線路A1(0度)と線路B1(210度)で成す角を等分する直線α1(105度),直線β1(285度)を設定し、フリックした角度、つまりフリック開始点から終了点の成す角度が、線路A1側の0度を含めた285度〜105度の間なら線路A1に沿ってフリックしたと判断し、線路B1側の105度〜285度の間なら線路B1に沿ってフリックしたと判断する。
【0038】
このように、駅やインターチェンジ等の、路線または高速道路によって接続されている施設が目的地として設定された場合、利用者のスクロール操作によって、操作方向に存在する隣接施設まで地図がスクロールされる。なお、上述の実施形態では駅が目的地として設定されたことを条件に隣接駅までのスクロールを行ったが、駅が目的地として設定され、かつ、フリックの開始点が目的地の駅上であることを条件に隣接駅までのスクロールを行うようにしてもよい。その場合は、隣接駅までのスクロールが必要なら目的地駅を開始点としてフリックし、通常の地図スクロールが必要なら他の地点を開始点としてフリックするというような使い分けが可能になる。
【0039】
ここで、目的地駅を中心として線路A1(0度)と線路B1(210度)の境界の直線α1(105度),直線β1(285度)は、線路A1と線路B1との間の角を等分し、利用者に線路A1と線路B1の領域を暗示するものである。したがって、厳格性を問わないが、通常、線路A1と線路B1の領域は目的地駅を中心として線路A1と線路B1の角度の等分として求められる。また、線路A1または線路B1が湾曲している場合には、その地図31上の両側の接線の角度の中央値または目的地駅を中心とする地図31上の特定距離の円との交点を目的地駅を中心とする直線α1,直線β1とすることもできる。線路が2路線以上の場合も同様である。
【0040】
また、図5は、目的地として設定された駅が線路A2と線路B2の鉄道の通過駅で、さらに他方の線路C2の鉄道の始発駅である場合の事例である。
表示画面をタッチし、線路に沿って白抜矢印a2方向にフリックすると目的地駅の隣接する北側(上側)の方向の隣接する駅が候補として表示される。同様に、白抜矢印b2方向にフリックすると南側(下側)の方向の隣接する駅を候補として選択し、白抜矢印c2方向にフリックすると東側(右側)の方向の隣接する駅が候補として表示される。このとき、線路に沿ってフリックしたか否かの判断は、目的地駅を中心とし、線路A2(目的地駅から北に向かう線路)、線路B2(目的地駅から南に向かう線路)及び線路C2(目的地駅から東に向かう線路)のそれぞれに沿った所定範囲内の角度にフリックが行われたか否かにより判断する。
【0041】
例えば、目的地駅を中心として線路A2(90度)と線路B2(270度)で成す角を等分する直線α2(180度)、線路B2(270度)と線路C2(0度)で成す角を等分する直線β2(315度)及び線路C2(0度)と線路A2(90度)で成す角を等分する直線γ2(45度)を設定し、フリックした角度、つまりフリック開始点から終了点の成す角度が、45度〜180度の間なら線路A2に沿ってフリックしたと判断し、180度〜315度の間なら線路B2に沿ってフリックしたと判断し、0度を含めた315度〜45度の間なら線路C2に沿ってフリックしたと判断する。
【0042】
図6は、図5の例において、タッチパネルのフリック操作に替えてタッチパネルを押下するタッチ操作によりスクロールの指示を検出する事例である。
タッチパネルの地図31の画面上に指を置き、目的地駅を中心とする放射状の直線γ3とα3間の領域a3内をタッチすると目的地駅の隣接する北側(上側)の方向の隣接する駅が候補として表示される。同様に、目的地駅を中心とする放射状の直線α3とβ3間の領域b3内をタッチすると南側(下側)の方向の隣接する駅が、また、目的地駅を中心とする放射状の直線β3とγ3間の領域c3内をタッチすると東側(右側)の方向の隣接する駅が候補として表示される。このとき、線路に沿ってタッチしたか否かの判断は、目的地駅を中心とし、線路A3(目的地駅から北に向かう線路)、線路B3(目的地駅から南に向かう線路)及び線路C3(目的地駅から東に向かう線路)のそれぞれに沿った所定範囲内の領域にタッチが行われたか否かにより判断する。
【0043】
例えば、本実施の形態に於いては、目的地駅を中心として線路A3(90度)と線路B3(270度)で成す角を等分する直線α3(180度)、線路B3(270度)と線路C3(0度)で成す角を等分する直線β3(315度)及び線路C3(0度)と線路A3(90度)で成す角を等分する直線γ3(45度)を設定し、タッチした領域が、45度〜180度の間の領域a3なら線路A3に沿ってタッチしたと判断し、180度〜315度の間の領域b3なら線路B3に沿ってタッチしたと判断し、0度を含めた315度〜45度の間の領域c3なら線路C3に沿ってタッチしたと判断する。
【0044】
図5の事例において、利用者によるスクロール操作の速さに応じて、候補として表示する駅を変更することも可能である。利用者のスクロール操作によって通常は目的地駅に隣接する駅までスクロールが行われ、隣接する駅が目的地変更候補として表示されるが、利用者のスクロール操作が速ければ、目的地駅の次の快速列車停車駅、急行列車停車駅にスクロールが行われる。なお、スクロール操作速度の判断は、フリックによるスクロールではフリックの速さが所定値以上である場合、タッチによるスクロールではタッチした位置へかかる圧力が所定値以上である場合等によって検出される。
【0045】
図7はナビゲーション装置の動作フローチャートである。このフローチャートでは、具体例としてフリックによりスクロール操作を行い、目的地として鉄道の駅を設定及び変更する場合について述べているが、タッチ操作やジョイスティック操作等の他のスクロール方法やインターチェンジ等の他の目的地を設定した場合も同様である。
【0046】
ディスプレイ3に地図31が表示されている状態において、ステップS1で目的地が設定され、ステップS2で設定された目的地に対して経路探索操作が行われると、ステップS3で経路の探索が行われ、探索された経路に従ってステップS4で案内が開始される。このルーチンはナビゲーションの基本となる機能である。
【0047】
ステップS2で経路探索操作が行われる前、ステップS5でフリック操作が行われると、ディスプレイ3に表示されている地図31がフリック方向にスクロールする。このスクロールでは、所定の候補地として定められたアイコン33を設定した設定目的地が駅やインターチェンジ等の接続関係のある施設か否かで異なる動作を行う。具体的には、ステップS6で設定目的地が駅か否かを判断し、設定目的地が駅であればステップS7の「目的地変更ルーチン」で利用者の操作により目的地の変更が行われ、ステップS2に戻る。設定目的地が駅でなければステップS8でフリック操作に従った通常の地図スクロール処理を行い、ステップS2に戻る。
【0048】
なお、ステップS6に加えて、フリックの基点が設定目的地の場合に「目的地変更ルーチン」を実行するようにしてもよい。この場合は、設定目的地が駅であり、かつ、フリックの開始点が設定目的地駅上である場合にステップS7の「目的地変更ルーチン」で利用者の操作により目的地の変更が行われ、ステップS2に戻る。フリックの開始点が設定目的地駅でなければステップS8で通常の地図スクロール処理を行いステップS2に戻る。
【0049】
次に、ステップS7の「目的地変更ルーチン」について図8を用いて詳細に説明する。図7のステップS7で「目的地変更ルーチン」が実行されると、図8のステップS11で設定目的地駅に接続する線路データを取得し、ステップS12で設定目的地駅及び線路データを基準としてスクロール方向を特定する角度や領域を決定する。具体的には、図4乃至図6の方法でスクロール方向を特定する角度、フリック操作の領域、フリック操作の速度のうちの1以上を決定する。
【0050】
次に、ステップS13で物理的接続がないか否かを判断し、物理的接続関係がない場合には、このルーチンの処理に該当しないのでこのルーチンをスルーとする。特定の線路(または高速道路、路線等)で結ばれているようなときには物理的接続があるから、ステップS14においてフリック操作が所定速度以上で行われたかを判断し、フリック操作が所定速度以上で行われたことが判断されると、ステップS15でフリック方向の特急停車駅が目的地変更候補として選択され、目的地候補駅まで地図31のスクロールが行われる。また、ステップS14においてフリック操作が所定の速度よりも遅いとき、ステップS16でフリック方向の隣接駅が目的地変更候補として選択され、目的地候補駅まで地図のスクロールが行われる。
【0051】
ステップS15またはステップS16で目的地候補駅まで地図のスクロールが行われた後、利用者は必要に応じて表示されている目的地候補駅をタッチ操作等で新たな目的地駅としてステップS17及びステップS18で設定する。即ち、ステップS17で利用者が目的地駅を変更すると、ステップS18で以前設定した目的地駅に代わってステップS15またはステップS16で選択された駅が目的地駅として設定される。
そして、ステップS17の目的地変更の有無にかかわらず、「目的地変更ルーチン」は終了し、図7のステップS2に戻りナビゲーションの処理を継続する。
【0052】
更に、本実施の形態のナビゲーション装置の具体的事例について説明する。
図9は本実施の形態のナビゲーション装置を車両に搭載し、鉄道路線の岡崎駅を目的地として設定した後に、西岡崎駅または幸田駅を選択する事例の説明図である。
【0053】
まず、図9に示すように、現在の車両等の自己の現在地はマーク32の位置にあるとする。ここで、特定のアイコン33で目的地を岡崎駅に設定したとする。
線路に沿ったフリックを白抜矢印a方向に行うと、設定されている目的地が駅であるため、ステップS5からステップS6を経てステップS7で「目的地変更ルーチン」へ進む。次に、ステップS11及びステップS12でスクロール方向が画面上方向であることが判定され、ステップS13で施設情報DB84の情報により物理的接続関係が確認され、ステップS14でフリックが所定速度以上であるか判断される。そして、フリックが遅く所定速度未満であればステップS16でフリック方向の隣接駅である西岡崎駅が目的地変更候補として選択され、フリックが速く所定速度以上であればステップS15でフリック方向の特急停車駅である図示しない安城駅が目的地変更候補として選択される。
【0054】
同様に、線路に沿ったフリックを白抜矢印b方向に行うと、ステップS11及びステップS12でスクロール方向が画面下方向であることが決定し、ステップS13で物理的接続関係が確認され、ステップS14でフリックが所定速度以上であるか判断される。そして、フリック操作が遅く所定速度未満であればステップS16でフリック方向の隣接駅である図示しない幸田駅が目的地変更候補として選択され、フリックが速く所定速度以上であれば、ステップS15でフリック方向の特急停車駅である図示しない蒲郡駅が目的地変更候補として選択される。なお、フリック操作の所定速度を複数段階に設定し、遅いほうから順番に隣接駅、急行停車駅、特急停車駅というように駅に停車する列車種別数(例えば、各駅停車のみの停車駅は列車種別1、急行も停車する場合は列車種別2、特急も停車する場合は列車種別3)に応じて変化させても良い。
【0055】
同様に、フリックを白抜矢印c方向に行うと、ステップS5を経てステップS6で設定され目的地が駅でないことが判断され、ステップS8で操作手段によって操作された方向をスクロール方向とし、該スクロール方向に地図31をスクロールする。即ち、目的地との接続関係がない場合には、操作手段によって操作された方向に地図31をスクロールする。
【0056】
このように、上記実施の形態の目的地までのルートを探索または目的地の情報を案内するナビゲーション装置は、目的地の対象となる施設情報及び該施設間の接続関係を記憶する記憶手段としての施設情報DB84及び関連性検索手段93と、前記施設情報DB84に記憶された施設から前記目的地を設定するステップS1からなる目的地設定手段と、案内する前記目的地までの地図を表示するディスプレイ3からなる表示手段と、操作手段による前記地図上のスクロール方向の指示をディスプレイ3のドラッグ操作やフリック操作による指の動作を検出するスクロール方向検出手段92と、前記検出されたスクロール方向に前記地図31をスクロールする表示制御手段94とを備え、前記目的地が接続関係を持たない施設である場合、即ち、施設情報DB84に記憶された情報でない場合、前記スクロール方向検出手段92は、前記スクロール指示された方向をスクロール方向として検出し、前記表示制御手段94は、ステップS8で示すように該スクロール方向に前記地図31のスクロールを行い、前記目的地が接続関係を持つ施設である場合、前記スクロール方向検出手段92は、前記目的地の接続関係及び前記スクロール指示された方向に基づいてスクロール方向を検出し、前記表示制御手段94は、ステップS7で該スクロール方向において前記目的地に接続された施設の位置まで地図のスクロールを行うものである。
【0057】
ここで、上記実施の形態の施設情報記憶手段は、目的地の対象となる施設情報及び該施設間の接続関係を記憶する記憶手段としての施設情報DB84及び関連性検索手段93が該当する。また、目的地設定手段91は、施設情報記憶手段としての施設情報DB84に記憶された施設に対して目的地を設定するステップS1からなる手段である。そして、表示手段は、案内する目的地までの地図31を表示するディスプレイ3からなるものである。更に、スクロール方向検出手段92は、地図31上のスクロール方向の指示を検出するものであり、また、表示制御手段94は、スクロール方向検出手段92で検出されたスクロール方向に地図31をスクロールするものである。加えて、地図31のスクロール操作を行う操作手段は、タッチパネルのドラッグ操作やフリック操作による指の動作のスクロール入力としたものである。
更に、表示制御手段94は、目的地が接続関係を持たない施設である場合、スクロール方向検出手段92はスクロール指示された方向をスクロール方向として検出し、表示制御手段94は該スクロール方向に地図31のスクロールを行い、目的地が接続関係を持つ施設である場合、スクロール方向検出手段92は目的地の接続関係及びスクロール指示された方向に基づいてスクロール方向を検出し、表示制御手段94は該スクロール方向において目的地に接続された施設の位置まで地図31のスクロールを行う。
【0058】
したがって、目的地を設定した後に、当該目的地以外の場所を選択する必要が生じた場合には、当初設定した目的地からスクロール指示のみで、当初設定した目的地の属性を持つ関連性のある場所を検索するから、再入力することなく、候補地が表示され、道路工事等による通行止め、交通渋滞等を回避した目的地に変更が容易になる。故に、再入力によってナビゲーション装置を動作させなくとも、当初目的地として設定した目的地の属性によって候補地を選択するので、目的地の設定変更の入力の煩わしさをなくし、再設定が容易な装置となる。また、1度変更した後に、再度の変更を行っても操作の煩わしさがなく、操作者が指等で操作するタイミングが僅かであり、目的地修正のための時間的ロスが少なくてすむ。
【0059】
上記実施の形態のスクロール方向検出手段92は、前記ディスプレイ3からなる表示手段としてのタッチパネルにより、前記施設情報が特定の接続関係を持つ施設であり、かつ、前記スクロールのスクロール指示開始点が前記タッチパネルに表示された特定の前記施設である場合に、前記施設情報DB84に記憶された施設情報の特定の接続関係及び前記指示されたスクロール方向に基づいてスクロール指示を検出するものである。したがって、地図31上の位置の施設が目視で確認でき、それを基にタッチパネル上のドラッグ操作やフリック操作による指の動作でスクロールが指示できるから、誰にでも扱いやすい装置となる。
【0060】
上記実施の形態の表示制御手段94は、前記目的地の施設に接続関係にある施設を目的地変更候補として識別可能に表示するものである。
したがって、前記目的地の施設に接続関係にある施設を目的地変更候補として識別可能に表示するものであるから、これからスクロールしたい方向が確認でき、スクロール方向の間違いをなくすことかできる。
【0061】
上記実施の形態の接続関係を持つ施設は、電車線路により接続された駅または高速道路のインターチェンジまたはその両者とするものである。
したがって、地図の感覚で選択することができ、その操作の方法が人間工学的に人の感覚と合致し、間違いがなく、操作の覚えもよくなる。
【0062】
上記実施の形態の表示制御手段94は、スクロール方向検出手段92によるスクロール指示の速度が所定速度以上である場合、そのスクロール速度に応じて普通列車停車駅と、特急、急行、快速等のいずれかの列車停車駅までのスクロールを行うものである。
したがって、スクロール速度にも情報を持たせることができ、所望の停車駅の選択を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 演算部
2 操作部
3 ディスプレイ
7 現在地検出部
8 ナビ情報処理部
84 施設情報DB
9 目的地設定部
91 目的地設定手段
92 スクロール方向検出手段
93 関連性検索手段
94 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までのルートを探索または前記目的地の施設情報を案内するナビゲーション装置において、
前記目的地の対象となり得る施設情報及び該施設間の接続関係を記憶する施設情報記憶手段と、
前記施設情報記憶手段に記憶された施設に対して前記目的地を設定する目的地設定手段と、
前記設定された目的地周辺の地図を表示する表示手段と、
前記地図のスクロール操作を行う操作手段と、
前記操作手段の操作方向に基づいて前記地図のスクロール方向を検出するスクロール方向検出手段と、
前記スクロール方向検出手段で検出されたスクロール方向に前記地図をスクロールする表示制御手段とを備え、
前記目的地が接続関係を持たない施設である場合、前記スクロール方向検出手段は前記操作手段により操作された方向をスクロール方向として検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向に前記地図のスクロールを行い、
前記目的地が接続関係を持つ施設である場合、前記スクロール方向検出手段は前記目的地の接続関係及び前記操作手段により操作された方向に基づいてスクロール方向を検出し、前記表示制御手段は該スクロール方向において前記目的地に接続された施設の位置まで前記地図のスクロールを行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段は前記操作手段として機能するものであり、
前記スクロール方向検出手段は、前記目的地として設定された施設が接続関係を持つ施設であり、かつ、前記操作手段によるスクロール指示開始点が前記表示手段に表示された前記施設上である場合に、前記施設の接続関係及び前記操作手段により操作された方向に基づいてスクロール方向を検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記目的地の施設と接続関係にある施設を目的地変更候補として識別可能に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記接続関係を持つ施設は、電車線路により接続された駅または高速道路のインターチェンジまたはその両者であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記操作手段によるスクロール操作の速度が所定速度以上である場合、前記スクロール方向に存在する次の特急停車駅までのスクロールを行うものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−256331(P2010−256331A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11090(P2010−11090)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】