説明

ニトリル化合物の製造方法

【課題】 R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応に基づくニトリル化合物の新規な製造方法を提供すること。
【解決手段】 ニッケル触媒を用いることを特徴とする。具体的には、炭素-炭素多重結合を有する化合物と、一般式R-CNで表される化合物を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、-R基を、炭素-炭素多重結合に付加させる方法や、分子内に炭素-炭素多重結合とシアノ基を有する化合物(但し炭素-炭素多重結合とシアノ基は少なくとも4炭素鎖分は隔離されている)を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させて分子内環化させる方法が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル触媒を用いたニトリル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒的に炭素-炭素結合を活性化し、有機化学的変換に利用する方法論は、近年、注目が高まっており、特に、炭素-炭素結合を切断して両末端を炭素-炭素多重結合(不飽和炭素結合)へ直接付加させる反応は、卓越した斬新さと実用性を兼ね備えたものとされている。なかでも、一般式R-CNで表される化合物(Rは様々な置換基が選択されうる)のシアノ基と-R基を炭素-炭素多重結合へ付加させる反応は、多種多様なニトリル化合物の合成方法として意義深いだけでなく、導入したシアノ基を、カルボニル基やアミノ基などの官能基に変換できることから、有機合成化学の方法論としてもとても価値のあるものに位置付けられる。しかしながら、R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応に関するこれまでの報告はそれほど多くはなく、例えば、非特許文献1において、下式に示したような、シアン化ベンゾイルを、パラジウム触媒存在下、シアノ基とベンゾイル基に切断して、これらを1-アリールアルキンに付加させる方法が報告されているに過ぎない。
【0003】
【化1】

【0004】
【非特許文献1】Nozaki, K.; Sato, N.; Takaya, H. J. Org. Chem. 1994, 59, 2679-2681
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応に基づくニトリル化合物の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の技術背景に基づいて鋭意研究を重ねた結果、R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応を効率的に行う方法として、ニッケル触媒を用いて行う方法を見出した。
【0007】
上記の知見に基づいてなされた本発明のニトリル化合物の製造方法は、請求項1記載の通り、ニッケル触媒の存在下で、C-CN結合を活性化して切断し、その両末端を炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、炭素-炭素多重結合を有する化合物と、一般式R-CNで表される化合物[Rは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、-COR1基(R1は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す)を示す]を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、-R基を、炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする。
また、請求項4記載の製造方法は、請求項3記載の製造方法において、同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物(但し炭素-炭素多重結合とシアノ基は少なくとも4炭素鎖分は隔離されている)を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させて分子内環化させることを特徴とする。
また、請求項5記載の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法において、ニッケル触媒がNi(cod)2の単座ホスフィン系配位子錯体であることを特徴とする。
また、請求項6記載の製造方法は、請求項5記載の製造方法において、単座ホスフィン系配位子が一般式P(R2)3で表されるトリアルキルホスフィン(R2は低級アルキル基を示す)であることを特徴とする。
また、請求項7記載の製造方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法において、溶媒として非極性有機溶媒を用いることを特徴とする。
また、請求項8記載の製造方法は、請求項7記載の製造方法において、非極性有機溶媒が芳香族炭化水素であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応に基づくニトリル化合物の新規な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のニトリル化合物の製造方法は、ニッケル触媒の存在下で、C-CN結合を活性化して切断し、その両末端を炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする。その具体例としては、炭素-炭素多重結合を有する化合物と、一般式R-CNで表される化合物[Rは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、-COR1基(R1は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す)を示す]を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、-R基を、炭素-炭素多重結合に付加させてニトリル化合物を製造する方法が挙げられる(下式参照)。
【0010】
【化2】

【0011】
ここで、炭素-炭素多重結合を有する化合物としては、アルケン化合物、アルキン化合物、アレン化合物などが例示される。これらの化合物は、鎖状のものであってもよいし、環状のものであってもよい。また、これらの化合物は、置換基を有していてもよい。
また、一般式R-CNで表される化合物のRにおいて、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、環原子数が8〜10のオルト融合した二環式の基で、少なくとも一つの環が芳香環であるもの(例えばインデニル基)などを例示することができる。
ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、ピリジル基、ピラニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4-トリアジニル基、1,2,3-トリアジニル基、1,3,5-トリアジニル基、1,2,5-オキサチアジニル基、1,2,6-オキサチアジニル基、ベンゾキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、チアナフテニル基、イソチアナフテニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、ベンゾキサジニル基などを例示することができる。
アリールアルキル基としては、そのアリール部は上記と同様であり、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜3の直鎖状または分枝鎖状である、ベンジル基、フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2-(1-ナフチル)エチル基、2-(2-ナフチル)エチル基、3-(1-ナフチル)プロピル基、3-(2-ナフチル)プロピル基などを例示することができる。
ヘテロアリールアルキル基としては、そのヘテロアリール部は上記と同様であり、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜3の直鎖状または分枝鎖状である、2-ピロリルメチル基、2-ピリジルメチル基、3-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、2-チエニルメチル基、2-(2-ピリジル)エチル基、2-(3-ピリジル)エチル基、2-(4-ピリジル)エチル基、3-(2-ピロリル)プロピル基などを例示することができる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基などの炭素数1〜10の直鎖状または分枝鎖状または環状のものを例示することができる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基などの炭素数2〜10の直鎖状または分枝鎖状のものを例示することができる。
アルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基などの炭素数2〜10の直鎖状または分枝鎖状のものを例示することができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10の直鎖状または分枝鎖状のものを例示することができる。
炭素-炭素多重結合を有する化合物が有していてもよい置換基、および、一般式R-CNで表される化合物のRにおける、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、塩素などのハロゲン、水酸基、ニトロ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルキルカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシ基、ホルミル基、シアノ基、カルボニル基、カルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基、低級アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、低級アルコキシスルホニル基、スルファモイル基、低級アルキルスルファモイル基、ジ低級アルキルホスホリル基、ジアリールホスホリル基、ジ低級アルコキシホスホリル基、ジアミノホスホリル基、これらの置換基を有していもよい低級アルキル基(少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されていてもよい)、これらの置換基を有していもよいアリール基やヘテロアリール基などを例示することができる。置換基は、場合によっては自体公知の保護基で保護された形態であってもよい。ここで、低級とは、炭素数1〜6を意味する(以下同じ)。なお、置換基の数は、通常1〜3である。置換基の数が2以上の場合、2以上の置換基は、同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0012】
また、炭素-炭素多重結合を有する化合物と一般式R-CNで表される化合物を原料とする代わりに、同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物を原料としてもよい。このような化合物を原料とすれば、分子間反応によりニトリル化合物を製造することができる。また、同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物(但し炭素-炭素多重結合とシアノ基は少なくとも4炭素鎖分は隔離されている)を原料とすれば、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させて分子内環化させることができる(下式参照)。
【0013】
【化3】

【0014】
本発明において用いることができるニッケル触媒としては、有機合成において汎用される、Ni(CO)4、Ni(cod)2(cod:1,5-シクロオクタジエン)、NiL4(L:配位子)などの0価のニッケル錯体や、NiX2L2(X:ハロゲン)、[Ni(π-allyl)X]2などの2価のニッケル錯体を例示することができるが、なかでも、取り扱いが容易で市販もされているNi(cod)2が好適である。好ましくはNi(cod)2と単座ホスフィン系配位子を反応溶液中で調製して使用するか、予め合成・単離した両者の錯体を使用することによって、優れた触媒性能を発揮させることができる。単座ホスフィン系配位子としては、一般式P(R2)3で表されるトリアルキルホスフィン(R2は低級アルキル基を示す)、具体的には、トリメチルホスフィンやトリブチルホスフィンを特に例示することができるが、PMe2Ph、PMePh2、PPh3、PCy3、PPh2(4-Me2NC6H4)、P(4-MeOC6H4)3、P(4-CF3C6H4)3、2-(2'-Me2NC6H4)C6H4PCy2などであってもよい。単座ホスフィン系配位子の代わりに、Me2P(CH2)2PMe2や2,2'-bipyridylなどの2座配位子を用いてもよいが、単座ホスフィン系配位子を用いる方が触媒性能に優れ、好ましい。Ni(cod)2の単座ホスフィン系配位子錯体中におけるNi(cod)2と単座ホスフィン系配位子のモル比は1:1から1:4の範囲で使用できるが、好ましくは1:2である。ニッケル触媒は、R-CN化合物に対し、1mol%〜20mol%の割合で用いればよい。
【0015】
本発明では、炭素-炭素多重結合1つにR-CN分子を付加させることができるので、炭素-炭素多重結合を1つ有する化合物とC-CN結合を1つ有するR-CN化合物を原料とする場合、両者は0.1〜10:1のモル比で反応させることが好ましい。炭素-炭素多重結合を1つ有する化合物とC-CN結合を2つ有するR-CN化合物を原料とする場合、両者を0.2〜20:1のモル比の範囲で反応させることにより、炭素-炭素多重結合を有する化合物とR-CN化合物とが、1:1のモル比で反応して生成するニトリル化合物と、2:1のモル比で反応して生成するニトリル化合物を作り分けることができる。
【0016】
なお、反応条件の一例としては、有機溶媒の中でも非極性有機溶媒、具体的には、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素、好ましくはトルエンを用い、室温〜200℃の温度条件下で1時間〜10日間行う条件が挙げられる。
【0017】
本発明によれば、医薬品や有機エレクトロニクス材料の合成中間体などとなるニトリル化合物の高収率かつ高純度での製造が可能となる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明のニトリル化合物の製造方法を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に何ら限定されるものではない。
【0019】
実験1:アルキン化合物のアリールシアノ化(arylcyanation)によるβ-アリール置換アルケンニトリル化合物の製造
(1) Ni(cod)2(2.8mg, 0.10mmol)とトリメチルホスフィン(15.2mg, 0.20mmol)からなるニッケル触媒の存在下、トルエン(2.5mL)中、100℃で、24時間、4-トリフルオロメチルベンゾニトリル(171mg, 1.0mmol)と4-オクチン(110mg, 1.0mmol)を反応させ、(Z)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロピル-2-ヘキセンニトリルを収率80%で得た(下式参照)。
【0020】
【化4】

【0021】
以下の表1は、上記のニッケル触媒と有機溶媒の組み合わせで行った実験の結果(エントリー1)とともに、種々のニッケル触媒と有機溶媒の組み合わせで同様の実験を行った結果(エントリー2〜10)を示したものである。表1から、Ni(cod)2のトリメチルホスフィン錯体は優れた触媒性能を発揮すること、有機溶媒は極性有機溶媒よりも非極性有機溶媒が好ましいこと、2価のニッケル触媒と還元剤を用いて予め0価のニッケル触媒を調製したのち用いても同様の結果が得られることがわかる。なお、表1に例示していないが、Cp(η3-allyl)Pd、Pt(cod)2、[RhCl(cod)]2、[IrCl(cod)]2などのニッケル触媒以外の他の金属触媒をトリメチルホスフィンとともに用いて同様の実験を行っても、目的とする化合物は得られない。
【0022】
【表1】

【0023】
(2) 同様にして種々のR-CN化合物と4-オクチンから種々のβ-アリール置換アルケンニトリル化合物の製造した。結果を表2に示す。エントリー3のように、4位に電子求引基を有するベンゾニトリルを原料として用いた場合、好収率で目的化合物が得られた。また、各種の官能基を有する化合物を原料に用いた場合でも、目的物が得られた。1,4-ジシアノベンゼンとアルキンをモル比1:1で反応させた場合、一方のC-CN結合で優先的に反応が起こった(エントリー5)。これに対し、両者を1:2のモル比で反応させた場合、両方のC-CN結合で反応が起こった(エントリー18)。
【0024】
【表2】

【0025】
β-アリール置換アルケンニトリル化合物(3a)〜(3w)、(4u)、(4w)のスペクトルデータは以下のとおりである。
【0026】
(Z)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3a)
無色オイル、Rf 0.12 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.65 (dd, J = 8.1, 0.7 Hz, 2H), 7.42 (dd, J = 8.1, 0.7 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.38 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.69 (tq, J = 7.8, 7.6 Hz, 2H), 1.31 (tq, J = 7.8, 7.6 Hz, 2H), 1.03 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 157.2, 143.7, 130.5 (q, J = 32.6 Hz), 128.2, 125.5 (q, J = 3.8 Hz), 123.9 (q, J = 272.1 Hz), 119.0, 113.1, 35.5, 32.4, 21.7, 20.9, 13.7, 13.5; IR (neat): 2964, 2934, 2874, 2212, 1614, 1464, 1435, 1406, 1381, 1325, 1167, 1128, 1069, 1018, 847 cm-1; Anal. Calcd for C16H18F3N: C, 68.31; H, 6.45. Found: C, 68.57; H, 6.52.
【0027】
(Z)-3-(4-フルオロフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3b)
無色オイル、Rf 0.43 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.34-7.24 (m, 2H), 7.14-7.02 (m, 2H), 2.48 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.67 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.29 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 162.5 (d, J = 246.6 Hz), 157.5, 135.9 (d, J = 3.3 Hz), 129.5 (d, J = 8.9 Hz), 119.3, 115.4 (d, J = 22.3 Hz), 112.1, 35.7, 32.5, 21.8, 21.1, 13.8, 13.6; IR (neat): 2964, 2934, 2874, 2210, 1603, 1508, 1464, 1232, 1159, 1094, 840 cm-1; Anal. Calcd for C15H18FN: C, 77.89; H, 7.84. Found: C, 77.95; H, 7.84.
【0028】
(Z)-3-(4-アセチルフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3c)
無色オイル、Rf 0.51 (ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.99 (dt, J = 8.6, 2.0 Hz, 2H), 7.41 (dt, J = 8.6, 2.0 Hz, 2H), 2.62 (s, 3H), 2.54 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.39 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.69 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.31 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.03 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 197.1, 157.5, 144.7, 136.8, 128.4, 128.0, 119.0, 112.7, 35.5, 32.5, 26.7, 21.8, 21.1, 13.9, 13.6; IR (neat): 2963, 2934, 2874, 2210, 1684, 1605, 1558, 1456, 1402, 1360, 1265, 959, 845 cm-1; Anal. Calcd for C17H21NO: C, 79.96; H, 8.29. Found: C, 80.23; H, 8.35.
【0029】
(Z)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3d)
無色オイル、Rf 0.62 (ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 2.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.37 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.68 (tq, J = 7.5, 7.3 Hz, 2H), 1.30 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 166.4, 157.5, 144.6, 130.1, 129.7, 127.8, 119.0, 112.7, 52.2, 35.6, 32.5, 21.8, 21.1, 13.9, 13.6; IR (neat): 2963, 2934, 2874, 2210, 1726, 1607, 1435, 1404, 1279, 1180, 1115, 1020, 966, 862, 770, 712 cm-1; Anal. Calcd for C17H21NO2: C, 75.25; H, 7.80. Found: C, 75.22; H, 7.88.
【0030】
(Z)-3-(4-ホルミルフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3e)
無色オイル、Rf 0.18 (ヘキサン:酢酸エチル=9:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 10.0 (s, 1H), 7.92 (dt, J = 8.1, 1.7 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.1, 1.6 Hz, 2H), 2.54 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.39 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.69 (tq, J = 7.7, 7.3 Hz, 2H), 1.31 (tq, J = 7.7, 7.3 Hz, 2H), 1.03 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.89 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 191.5, 157.3, 146.2, 136.1, 129.8, 128.5, 118.9, 113.0, 35.4, 32.3, 21.6, 20.9, 13.7, 13.4; IR (neat): 2964, 2934, 2874, 2212, 1705, 1605, 1464, 1385, 1306, 1209, 1171, 1103, 914, 841, 735 cm-1; HRMS (EI) Calcd for C16H19NO: M+, 241.1467. Found: m/z 241.1470.
【0031】
(Z)-3-(4-シアノフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3f)
無色オイル、Rf 0.15 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.69 (dt, J = 8.2, 1.6 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 8.2, 1.7 Hz, 2H), 2.51 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.37 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.67 (tq, J = 7.6, 7.4 Hz, 2H), 1.29 (tq, J = 7.7, 7.4 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 156.5, 144.6, 132.2, 128.5, 118.6, 118.3, 113.5, 112.3, 35.4, 32.4, 21.7, 21.0, 13.8, 13.6; IR (neat): 2963, 2934, 2874, 2230, 2212, 1605, 1502, 1464, 1381, 1273, 1103, 1020, 847, 789, 741, 557 cm-1; Anal. Calcd for C16H18N2: C, 80.63; H, 7.61. Found: C, 80.76; H, 7.64.
【0032】
(Z)-3-フェニル-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3g)
無色オイル、Rf 0.43 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.45-7.26 (m, 5H), 2.51 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.64 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.32 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 158.6, 140.0, 128.4, 128.3, 127.6, 119.5, 111.6, 35.8, 32.5, 21.8, 21.1, 13.9, 13.6; IR (neat): 2963, 2932, 2872, 2210, 1443, 758, 700 cm-1; Anal. Calcd for C15H19N: C, 84.46; H, 8.98. Found: C, 84.32; H, 8.98.
【0033】
(Z)-3-(4-メチルフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3h)
無色オイル、Rf 0.18 (ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.20 (s, 4H), 2.50 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.37 (s, 3H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.67 (tq, J = 7.6, 7.4 Hz, 2H), 1.31 (tq, J = 7.6, 7.4 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 158.6, 138.3, 137.0, 129.0, 127.5, 119.7, 111.1, 35.7, 32.5, 21.8, 21.3, 21.2, 13.9, 13.6; IR (neat): 2963, 2932, 2872, 2208, 1508, 1456, 822, 548 cm-1; Anal. Calcd for C16H21N: C, 84.53; H, 9.31. Found: C, 84.59; H, 9.27.
【0034】
(Z)-3-(p-ビフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3i)
無色オイル、Rf 0.22 (ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.68-7.58 (m, 5H), 7.52-7.32 (m, 4H), 2.56 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.40 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.71 (tq, J = 7.6, 7.5 Hz, 2H), 1.37 (tq, J = 7.6, 7.4 Hz, 2H), 1.05 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.91 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 158.4, 141.4, 140.4, 138.9, 128.8, 128.2, 127.5, 127.08, 127.07, 119.7, 111.6, 35.6, 32.5, 21.8, 21.1, 13.8, 13.5; IR (neat): 3030, 2963, 2932, 2872, 2210, 1609, 1580, 1487, 1464, 1431, 1402, 1381, 1105, 1078, 1007, 843, 766, 739, 696 cm-1; Anal. Calcd for C21H23N: C, 87.15; H, 8.01. Found: C, 87.32; H, 8.01.
【0035】
(Z)-3-(4-メトキシフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3j)
無色オイル、Rf 0.20 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.27 (dt, J = 9.0, 2.2 Hz, 2H), 6.91 (dt, J = 9.0, 2.2 Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 2.49 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.34 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.66 (qt, J = 7.4, 7.3 Hz, 2H), 1.31 (qt, J = 7.4, 7.3 Hz, 2H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 159.6, 158.2, 132.2, 129.0, 120.0, 113.7, 110.8, 55.2, 35.6, 32.6, 21.9, 21.3, 13.9, 13.6; IR (neat): 2961, 2932, 2872, 2873, 2208, 1697, 1607, 1574, 1510, 1462, 1439, 1379, 1288, 1250, 1178, 1119, 1103, 1034, 835, 787, 727, 696, 544 cm-1; Anal. Calcd for C16H21NO: C, 78.97; H, 8.70. Found: C, 79.13; H, 8.94.
【0036】
(Z)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3k)
無色固体、mp 101.7-102.7℃、Rf 0.44 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.83 (dt, J = 8.2, 1.6 Hz, 2H), 7.30 (dt, J = 8.2, 1.6 Hz, 2H), 2.51 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 1.67 (tq, J = 7.9, 7.3 Hz, 2H), 1.34 (tq, J = 7.9, 7.3 Hz, 2H), 1.29 (s, 12H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (50.3 MHz, CDCl3) δ 158.7, 142.9, 134.8, 127.0, 119.4, 111.8, 83.8, 35.5, 32.4, 24.8, 21.7, 21.0, 13.8, 13.5; IR (neat): 2964, 2934, 2874, 2208, 1609, 1506, 1456, 1398, 1362, 1325, 1271, 1144, 1088, 1020, 962, 858, 658 cm-1; Anal. Calcd for C21H30BNO2: C, 74.34; H, 8.91. Found: C, 74.07; H, 8.83.
【0037】
(Z)-3-(3-メトキシフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3l)
無色オイル、Rf 0.30 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.93-6.80 (m, 3H), 3.81 (s, 3H), 2.49 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.67 (qt, J = 7.6, 7.5 Hz, 2H), 1.32 (qt, J = 7.6, 7.4 Hz, 2H), 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 159.2, 158.3, 141.3, 129.3, 120.0, 119.3, 113.7, 113.4, 111.5, 55.2, 35.7, 32.5, 21.8, 21.1, 13.9, 13.5; IR (neat): 2963, 2934, 2872, 2208, 1578, 1487, 1464, 1429, 1317, 1286, 1246, 1217, 1163, 1045, 874, 781, 705 cm-1; Anal. Calcd for C16H21NO: C, 78.97; H, 8.70. Found: C, 79.11; H, 8.70.
【0038】
(Z)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3m)
無色オイル、Rf 0.15 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 6.43 (s, 3H), 3.80 (s, 6H), 2.45 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.34 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.66 (qt, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.33 (qt, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 160.4, 158.4, 141.9, 119.3, 111.5, 105.9, 100.2, 55.4, 35.7, 32.5, 21.8, 21.1, 13.9, 13.6; IR (neat): 2963, 2934, 2872, 2839, 2208, 1591, 1456, 1421, 1350, 1265, 1205, 1155, 1063, 927, 847 cm-1; Anal. Calcd for C17H23NO2: C, 74.69; H, 8.48. Found: C, 74.99; H, 8.82.
【0039】
(Z)-3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3n)
無色オイル、Rf 0.23 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 6.50 (s, 2H), 3.84 (s, 9H), 2.46 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.65 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.32 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.00 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 158.3, 152.8, 138.1, 135.2, 119.4, 111.2, 105.1, 60.8, 56.2, 35.6, 32.6, 21.8, 21.2, 13.9, 13.6; IR (neat): 2936, 2872, 2839, 2251, 2206, 1582, 1504, 1454, 1433, 1410, 1381, 1348, 1269, 1238, 1184, 1128, 1009, 957, 914, 883, 843, 733, 648, 532 cm-1; Anal. Calcd for C18H25NO3: C, 71.26; H, 8.31. Found: C, 71.07; H, 8.04.
【0040】
(Z)-3-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3o)
無色オイル、Rf 0.20 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.72 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.62-7.43 (m, 2H), 7.17 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 2.74-2.56 (m, 1H), 2.52-2.16 (m, 3H), 1.68 (tq, J = 7.6, 7.2 Hz, 2H), 1.51-1.16 (m, 2H), 1.03 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 156.3, 138.8, 131.7, 130.0, 128.3, 127.4 (q, J = 31.3 Hz), 126.8 (q, J = 5.2 Hz), 123.9 (q, J = 272.2 Hz), 118.2, 114.8 (q, J = 2.2 Hz), 36.0 (q, J = 2.2 Hz), 31.8, 21.5, 20.9, 14.2, 13.5; IR (neat): 2966, 2936, 2876, 2216, 1603, 1576, 1448, 1381, 1315, 1263, 1171, 1126, 1065, 1034, 770, 650 cm-1; Anal. Calcd for C16H18F3N: C, 68.31; H, 6.45. Found: C, 68.51; H, 6.37.
【0041】
(Z)-3-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3p)
無色オイル、Rf 0.27 (ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.18 (dd, J = 8.4, 5.8 Hz, 1H), 6.92 (ddd, J = 8.7, 8.4, 2.7 Hz, 1H), 6.75 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 2.58-2.26 (m, 4H), 2.22 (s, 3H), 1.69 (tq, J = 7.4, 7.3 Hz, 2H), 1.52-1.22 (m, 2H), 1.03 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 160.5 (d, J = 244.4 Hz), 157.3, 141.3 (d, J = 7.8 Hz), 131.8 (d, J = 7.8 Hz), 130.2 (d, J = 3.3 Hz), 118.4, 114.8 (d, J = 21.2 Hz), 114.6 (d, J = 22.3 Hz), 113.7, 35.8, 31.7, 21.7, 20.7, 18.6, 14.2, 13.5; IR (neat): 2964, 2934, 2874, 2212, 1609, 1585, 1493, 1464, 1470, 1381, 1263, 1238, 1211, 1161, 870, 814, 754 cm-1; Anal. Calcd for C16H20FN: C, 78.33; H, 8.22. Found: C, 78.19; H, 8.28.
【0042】
(Z)-3-(1-ナフチル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3q)
無色オイル、Rf 0.23 (ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.92-7.81 (m, 2H), 7.73-7.63 (m, 1H), 7.56-7.42 (m, 3H), 7.24 (s, 1H), 2.78-2.36 (m, 4H), 1.76 (tq, J = 7.4, 7.3 Hz, 2H), 1.48-1.22 (m, 2H), 1.09 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 157.9, 137.9, 133.6, 130.3, 128.6, 126.3, 125.9, 125.7, 125.1, 124.5, 118.7, 114.5, 36.5, 32.0, 21.9, 21.4, 14.1, 13.7; IR (neat): 2963, 2932, 2872, 2212, 1506, 1456, 804, 779 cm-1; Anal. Calcd for C19H21N: C, 86.65; H, 8.04. Found: C, 86.88; H, 8.12.
【0043】
(Z)-3-(5-ピリジル)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル(3r)
無色オイル、Rf 0.16 (ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.64 (br d, J = 3.7 Hz, 2H), 7.20 (br d, J = 5.7 Hz, 2H), 2.49 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.66 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.29 (tq, J = 7.7, 7.3 Hz, 2H), 1.00 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 155.6, 149.9, 147.7, 122.4, 118.4, 113.4, 35.1, 32.4, 21.7, 21.0, 13.8, 13.5; IR (neat): 2963, 2934, 2874, 2212, 1593, 1543, 1456, 1410, 991, 831 cm-1; Anal. Calcd for C14H18N2: C, 78.46; H, 8.47. Found: C,78.44; H, 8.56.
【0044】
3,3'-(p-フェニレン)ビス[(Z)-2-プロピル-2-ヘキセンニトリル](3s)
無色オイル、Rf 0.25 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.34 (s, 4H), 2.52 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.37 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.68 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 4H), 1.33 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 4H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 7.3 Hz, 6H); 13C NMR (50.3 MHz, CDCl3) δ 158.0, 140.2, 127.8, 119.4, 111.8, 35.5, 32.5, 21.7, 21.1, 13.8, 13.4; IR (neat): 3017, 2932, 2872, 2208, 1611, 1506, 1464, 1433, 1402, 1379, 1217, 1101, 847, 756, 667 cm-1; HRMS (EI) Calcd for C24H32N2: M+, 348.2566. Found: m/z 348.2571.
【0045】
(Z)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2-プロピル-2-ブテンニトリル(3t)
無色固体、mp 91.8-92.4℃、Rf 0.31 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.05 (dt, J = 8.2, 1.6 Hz, 2H), 7.43 (dt, J = 8.2, 1.8 Hz, 2H), 3.91 (s, 3H), 2.17 (d, J = 1.1 Hz, 3H), 2.07 (d, J = 0.9 Hz, 3H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 166.3, 153.0, 145.2, 130.1, 129.7, 127.3, 119.7, 106.5, 52.2, 20.5, 17.7; IR (KBr): 3003, 2955, 2208, 1724, 1609, 1429, 1308, 1294, 1279, 1194, 1117, 860, 773, 708 cm-1; Anal. Calcd for C13H13NO2: C, 72.54; H, 6.09. Found: C, 72.49; H, 6.18.
【0046】
(Z)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2-イソプロピル-2-ブテンニトリル(3u)
無色オイル、Rf 0.45 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.05 (dt, J = 8.7, 1.8 Hz, 2H), 7.41 (dt, J = 8.7, 1.8 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 2.97-2.89 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.22 (d, J = 6.8 Hz, 6H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.5, 150.9, 145.8, 130.1, 129.7, 127.5, 119.5, 117.3, 52.2, 29.1, 21.1, 20.2; IR (neat): 2970, 2934, 2874, 2212, 1724, 1609, 1464, 1435, 1404, 1387, 1367, 1312, 1285, 1182, 1113, 1078, 1047, 1018, 1007, 964, 860, 833, 773, 710 cm-1; Anal. Calcd for C15H17NO2: C, 74.05; H, 7.04. Found (4vとの混合物として): C, 74.28; H, 7.12.
【0047】
(Z)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2,4-ジメチル-2-ペンテンニトリル(4u)
無色オイル(3vとの混合物として)、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.05 (br d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.19 (dt, J = 8.2, 1.7 Hz, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.13-3.05 (m, 1H), 2.06 (s, 3H), 0.98 (d, J = 7.1 Hz, 6H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.6, 163.3, 142.7, 129.8, 129.5, 127.5, 119.3, 106.9, 52.1, 30.5, 20.4, 15.9.
【0048】
(Z)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2-tert-ブチル-2-ブテンニトリル(3v)
無色固体、mp 127.5-128.3℃、Rf 0.64 (ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.03 (dt, J = 8.7, 1.9 Hz, 2H), 7.32 (dt, J = 8.7, 1.8 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.37 (s, 9H); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 166.2, 154.2, 148.0, 129.6, 127.1, 122.0, 118.3, 52.0, 34.1, 30.4, 22.7; IR (KBr): 2974, 2955, 2206, 1717, 1601, 1431, 1400, 1373, 1306, 1277, 1242, 1209, 1192, 1177, 1111, 1031, 1016, 961, 856, 827, 772, 708, cm-1; HRMS (EI) Calcd for C16H19NO2: M+, 257.1416. Found: m/z 257.1417.
【0049】
(E)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-4-メトキシ-2-プロピル-2-ブテンニトリル(3w)
無色オイル、Rf 0.14 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.07 (dt, J = 8.7, 1.8 Hz, 2H), 7.47 (dt, J = 8.7, 1.8 Hz, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.30 (s, 3H), 2.44 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.70 (tq, J = 7.6, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.5, 152.2, 142.9, 130.4, 129.7, 128.0, 118.4, 116.6, 70.7, 58.7, 52.2, 32.6, 21.7, 13.4; IR (neat): 2961, 2932, 2874, 2822, 2214, 1724, 1609, 1566, 1435, 1406, 1379, 1281, 1190, 1113, 1018, 962, 914, 862, 775, 729, 710 cm-1; HRMS (FAB) Calcd for C16H20NO3: [M + H]+, 274.1443. Found: m/z 274.1447.
【0050】
(E)-3-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]-2-メトキシメチル-2-ヘキセンニトリル(4w)
無色オイル、Rf 0.14 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.08 (dt, J = 8.5, 1.8 Hz, 2H), 7.40 (dt, J = 8.5, 1.8 Hz, 2H), 4.20 (s, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.45 (s, 3H), 2.59 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 1.31 (tq, J = 7.7, 7.4 Hz, 2H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.4, 162.1, 143.6, 130.6, 129.8, 127.6, 118.3, 110.0, 68.8, 58.5, 52.2, 35.7, 21.1, 13.7; IR (neat): 2963, 2934, 2874, 2826, 2214, 1724, 1607, 1437, 1404, 1379, 1279, 1190, 1105, 1018, 959, 916, 862, 770, 714 cm-1; HRMS (FAB) Calcd for C16H19NO3: M+, 273.1365. Found: m/z 273.1352.
【0051】
実験2:ノルボルネンのアリールシアノ化(その1)
結果は以下の通りである。
【0052】
【化5】

【0053】
実験3:ノルボルネンのアリールシアノ化(その2)
結果は以下の通りである。
【0054】
【化6】

【0055】
実験4:置換ノルボルネンのアリールシアノ化
結果は以下の通りである。
【0056】
【化7】

【0057】
実験5:アルキン化合物のアリルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0058】
【化8】

【0059】
実験6:ノルボルネンのアリルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0060】
【化9】

【0061】
実験7:アルキン化合物のベンジルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0062】
【化10】

【0063】
実験8:ノルボルネンのベンジルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0064】
【化11】

【0065】
実験9:アルキン化合物のベンゾイルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0066】
【化12】

【0067】
実験10:アレン化合物のベンゾイルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0068】
【化13】

【0069】
実験11:アレン化合物のエトキシカルボニルシアノ化
結果は以下の通りである。
【0070】
【化14】

【0071】
実験12:分子内環化
結果は以下の通りである。
【0072】
【化15】

【0073】
実験1〜実験12により、本発明のニトリル化合物の製造方法は、多種多様の原料に対して適用可能な汎用性に優れたものであることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、R-CNの炭素-炭素多重結合への付加反応に基づくニトリル化合物の新規な製造方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル触媒の存在下で、C-CN結合を活性化して切断し、その両末端を炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とするニトリル化合物の製造方法。
【請求項2】
炭素-炭素多重結合を有する化合物と、一般式R-CNで表される化合物[Rは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、-COR1基(R1は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す)を示す]を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、-R基を、炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
同一分子に炭素-炭素多重結合とシアノ基との結合を含む化合物(但し炭素-炭素多重結合とシアノ基は少なくとも4炭素鎖分は隔離されている)を、ニッケル触媒の存在下で反応させ、シアノ基と、シアノ基のα位の炭素を、炭素-炭素多重結合に付加させて分子内環化させることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
ニッケル触媒がNi(cod)2の単座ホスフィン系配位子錯体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
単座ホスフィン系配位子が一般式P(R2)3で表されるトリアルキルホスフィン(R2は低級アルキル基を示す)であることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
溶媒として非極性有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
非極性有機溶媒が芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項7記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−206548(P2006−206548A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24195(P2005−24195)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年8月3日 日本化学会主催の「IUPAC ICOS−15(Fifteenth International Conference on Organic Synthesis)」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年10月22日 社団法人近畿化学協会主催の「第51回 有機金属化学討論会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年1月6日から7日 京都大学主催の「第4回 京都大学COE 『元素科学』 国際シンポジウム(The 4th International Symposium of the Kyoto COE Project “Elemets Science”)」において文書をもって発表
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】