説明

ネガ型レジスト材料、パターン形成方法及びフォトマスクブランク

【課題】 露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、ラインエッジラフネスが小さい、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクパターン作製における微細パターン形成材料として好適なネガ型レジスト材料、特に化学増幅ネガ型レジスト材料、これを用いたパターン形成方法及びフォトマスクブランクを提供する。
【解決手段】 少なくとも、下記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含む、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むことを特徴とするネガ型レジスト材料。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型レジスト材料、それを用いたパターン形成方法及びフォトマスクブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。微細化が急速に進歩した背景には、投影レンズの高NA化、レジスト材料の性能向上、短波長化が挙げられる。レジスト材料の高解像度化及び高感度化に関しては、光照射によって発生する酸を触媒とした化学増幅ネガ型レジスト材料は優れた性能を有するものであり、遠紫外線リソグラフィーにおいて特に主流なレジスト材料になった。また、i線(365nm)からKrF(248nm)への短波長化は大きな変革をもたらし、KrFエキシマレーザー用レジスト材料は、0.30ミクロンプロセスに始まり0.10ミクロンルールの量産に適用された。
【0003】
ArFエキシマレーザー(193nm)リソグラフィーにおいては、0.13μm以下のデザインルールに用いられ、液浸リソグラフィーによって1.0を超えたNAのレンズと超解像技術と組み合わせて40nmデバイスの量産が始まろうとしている。
【0004】
ArFエキシマレーザー(193nm)より1桁以上の短波長化によって30nm以下の解像度をターゲットとする真空紫外光(EUV、13.5nm)リソグラフィーの検討が進められている。真空紫外光の領域では炭素の吸収が比較的小さいため、EUVリソグラフィー用レジストとしては、KrFリソグラフィーに用いられたヒドロキシスチレン系が主に検討されている。また、電子線(EB)直描用レジストとしてもヒドロキシスチレン系レジストが用いられている。
【0005】
EUVリソグラフィー用の露光装置の光学系はMoとSiの多層膜コーティングされた反射ミラーが用いられる。反射光学系の欠点としては、ミラーの凹凸によってフレアが発生することが挙げられる。特に波長が極端に短いEUV光では、非常に微細な凹凸によってもフレアが発生するため、反射ミラーの平坦性を原子レベルの凹凸にまで制御する必要がある。周辺が遮光されたダークマスクを用いるとフレアの影響を受けにくい特徴があり、ダークマスクにネガ型レジスト材料を組み合わせてラインを形成することが行われている。EBリソグラフィーに於いても、孤立ラインの形成では描画面積が少なくスループットを稼ぐことが出来るネガ型レジスト材料が用いられている。
【0006】
従来のネガ型レジスト材料としては、ポリヒドロキシスチレンベースの樹脂にメラミン系やウレア系の架橋剤と酸発生剤を添加したものが殆どであった。ヒドロキシスチレンとスチレンやビニルナフタレン等を共重合させて酸拡散とアルカリ溶解速度を調整し、エッチング耐性を向上させていた。スチレンやビニルナフタレンよりもシクロオレフィン構造のものの方が酸拡散制御効果が高いため、特許文献1ではヒドロキシスチレンとインデンとの共重合体を用いたネガ型レジスト材料が提案されている。
【0007】
近年、微細化の進行と共に、酸拡散による露光前後のアルカリ溶解速度コントラストの低下が問題になっている。
ポジ型のレジスト材料として、ヒドロキシフェニルメタクリレートを共重合したポリマーが提案されている(特許文献2参照)。また、特許文献3に記載されているポジ型レジストには、共重合可能なモノマーとしてヒドロキシフェニルメタクリレートが記載されている。このものはヒドロキシスチレンと同様の膨潤を低減させる効果があり、ヒドロキシスチレンよりも酸拡散を抑える効果がある。
【0008】
従来、ネガ型レジスト材料については、上述したようにヒドロキシスチレンのような主鎖を形成するエチレン部分と芳香環が直接結合するモノマー単位(主鎖を形成するエチレン性炭素に直接結合する芳香環骨格を有するモノマー単位)が好ましく使用されているが、アルカリ溶解速度コントラストの低下の問題は解決されておらず、アルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、かつ、ラインエッジラフネスが小さいネガ型レジスト材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−201532号公報
【特許文献2】特開2008−273929号公報
【特許文献3】特開2007−114728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、得られるパターンのラインエッジラフネスが小さい、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクパターン作製における微細パターン形成材料として好適なネガ型レジスト材料、特に化学増幅ネガ型レジスト材料、これを用いたパターン形成方法及びフォトマスクブランクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明によれば、少なくとも、下記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含む、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むことを特徴とするネガ型レジスト材料を提供する。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
【0012】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位a、即ち、フェノール基がペンダントされたメタクリレート単位又はアクリレート単位は、特に酸拡散速度及び架橋反応の拡散速度を抑制することができるため、この繰り返し単位aを含み、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むネガ型レジスト材料は、アルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、得られるパターンのラインエッジラフネスが小さいものとなり、実用的なエッチング耐性を有する。従って、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクパターン作製における微細パターン形成材料として優れたネガ型レジスト材料の特性を有するものとなる。
【0013】
また、前記高分子化合物は、前記繰り返し単位aに加えて、更に、下記一般式(2)で示される繰り返し単位b1〜b7のいずれか1つ以上の繰り返し単位を含むことが好ましい。
【化2】

(式中、R、Rは水素原子又はメチル基、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状、環状の非置換のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びシアノ基のいずれかである。Zはメチレン基、酸素原子及び硫黄原子のいずれかである。0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0である。)
【0014】
このように、本発明のネガ型レジスト材料に含まれる高分子化合物は、上記一般式(1)で示される繰り返し単位aに加え、更に上記一般式(2)で示されるスチレン、ビニルナフタレン、インデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体の繰り返し単位b1〜b7のいずれか1つ以上の繰り返し単位を有するものとすることができ、このような高分子化合物を含むネガ型レジスト材料は、更に、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、優れたエッチング耐性を示するものとなる。特に、炭素比率が高いインデン、アセナフチレン、スチレン、ビニルナフタレン単位を有する高分子化合物は、波長13.5nmのEUV光における高い透過率が得られる。
【0015】
また、前記ネガ型レジスト材料は、前記高分子化合物を(A)ベース樹脂として含み、更に、(B)有機溶剤、(C)酸発生剤、(D)架橋剤を含有するものであることが好ましい。
【0016】
このように、本発明のネガ型レジスト材料は、前記高分子化合物を(A)ベース樹脂として含み、更に、(B)有機溶剤、(C)酸発生剤、(D)架橋剤を含有する化学増幅ネガ型レジストとすることができ、このような化学増幅ネガ型レジスト材料から形成されたレジスト膜は、アルカリ溶解速度コントラスト、感度、解像性、プロセス適応性に優れ、実用的なエッチング耐性を示すものとなり、露光後にはラインエッジラフネスが小さく、良好なパターン形状を得ることができる。従って、特に、超LSI用レジスト材料、特にKrFエキシマレーザー、電子ビーム(EB)、真空紫外線(EUV)リソグラフィー用レジスト材料として非常に有効である。
【0017】
また、前記ネガ型レジスト材料は、更に、(E)添加剤としての塩基性化合物及び/又は界面活性剤を含むものであることが好ましい。
【0018】
このように、本発明のネガ型レジスト材料は、(E)添加剤として、塩基性化合物及び/又は界面活性剤を含むものとすることができる。
【0019】
また、本発明は、基板にパターンを形成する方法であって、前記ネガ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0020】
このように、本発明のネガ型レジスト材料を基板上に塗布して形成されるレジスト膜は、アルカリ溶解速度コントラスト、感度、解像性が高く、プロセス適応性に優れ、実用的なエッチング耐性を示すものとなり、露光後には、ラインエッジラフネスが小さい良好なパターン形状を得ることができる。
【0021】
また、本発明は、少なくとも、(A)ベース樹脂としての、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物、
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
(C)酸発生剤、
(D)架橋剤
を含有するレジスト膜が表面に形成されたフォトマスクブランクを提供する。
【0022】
このように、(A)ベース樹脂としての上記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物、(C)酸発生剤、(D)架橋剤を含有するレジスト膜が表面に形成されたフォトマスクブランクであれば、該フォトマスクブランク表面に形成されたレジスト膜は、溶解コントラスト、解像性が高く、プロセス適応性や露光後のパターン形状に優れ、実用的なエッチング耐性を示すものであるため、良好なフォトマスクパターンを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のネガ型レジスト材料中の高分子化合物は、特に酸拡散速度及び架橋反応の拡散を抑制することができるため、該高分子化合物が含まれたネガ型レジスト材料から得られたレジスト膜は、高い溶解速度コントラスト、高感度、優れた解像性、実用的なエッチング耐性を示す。また、該ネガ型レジスト材料から得られるパターンは、ラインエッジラフネスが小さく良好なパターン形状となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、微細化の進行と共に、酸拡散による、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストの低下が問題となっており、このようなアルカリ溶解速度コントラストの低下を抑制して高解像化・高感度化を達成しつつ、かつ、ラインエッジラフネスが小さいパターンを形成することができるネガ型レジスト材料が求められていた。
【0025】
ネガ型レジスト材料は、酸触媒反応によって架橋剤が反応し、架橋剤の架橋反応によって不溶化が進行するため、2段の反応拡散(酸の拡散、架橋反応の拡散)によってネガ化が行われる。従って、これら2段の反応拡散によるコントラストの低下が発生する。
ここで、本発明者らは、溶解速度コントラスト低下の問題に対し、ネガ型レジスト材料の場合は、酸の拡散だけでなく2段目の架橋反応の拡散も小さくする必要があることに着目した。
【0026】
本発明者らは、更に鋭意検討を行った結果、上記一般式(1)で示される繰り返し単位aを有し、重量平均分子量が1,000〜500,000の高分子化合物が、ネガ型レジスト材料、特に化学増幅ネガ型レジスト材料のベース樹脂として有効で、この高分子化合物と酸発生剤と有機溶剤と架橋剤を含む化学増幅ネガ型レジスト材料が、レジスト膜のアルカリ溶解速度コントラスト、感度、解像性が高く、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、実用的なエッチング耐性を示し、特にラインエッジラフネスが小さいパターンを形成することができるものであり、従って、超LSI用レジスト材料、特にKrFエキシマレーザー、電子ビーム(EB)、真空紫外線(EUV)リソグラフィー用レジスト材料として非常に有効であることを見出した。
【0027】
即ち、本発明者らは、本発明のネガ型レジスト材料に用いられるフェノール基がペンダントされたメタクリレート又はアクリレート単位(繰り返し単位a)が、ヒドロキシスチレンに比べて架橋反応が早く、架橋反応の拡散が小さい特性を有していることを知見した。フェノール基がペンダントされたメタクリレートをポジ型レジスト用の密着性基として用いた場合は、前述の通りに酸拡散が小さくなる特性を示したが、ネガ型レジスト材料の架橋性基として用いた場合は、酸拡散制御としての特性に加えて、架橋反応の拡散も抑える特性が見いだされ、優れたネガ型レジスト材料としての特性を得ることが可能となった。
【0028】
以下に、本発明を更に詳述する。
本発明のネガ型レジスト材料に用いられる高分子化合物は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含み、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲であるものである。
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
【0029】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位a、即ち、フェノール基がペンダントされたメタクリレート又はアクリレート単位は、酸拡散制御としての特性に加えて、架橋反応が早く、更には架橋反応における拡散が小さい。従って、上記一般式(1)で示される繰り返し単位aを有し、重量平均分子量が1,000〜500,000の高分子化合物が含まれたネガ型レジスト材料は、該レジスト材料から得られるレジスト膜のアルカリ溶解速度コントラスト、感度、解像性が高く、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、実用的なエッチング耐性を示し、特に得られるパターンのラインエッジラフネスが小さいため、ネガ型レジスト材料として有効なものとなる。
【0030】
ここで、上記一般式(1)で示される繰り返し単位aを得るためのモノマーは具体的には下記一般式(3)で示されるものを挙げることができる。
【化5】

(R、R、R、m、nは上記と同様である。)
【0031】
一般式(3)で示されるモノマーは具体的には下記に挙げられる。
【化6】

【0032】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位aのヒドロキシ基は、例えば、重合前はアセトキシ基であり、重合後にアルカリ水で加水分解し、ヒドロキシ基にしてもよく、又は、エトキシエトキシ基の様なアセタール基であり、重合後に酢酸やシュウ酸などの弱酸で加水分解しても良い。
【0033】
また、本発明のネガ型レジスト材料に含まれる高分子化合物は、上述した繰り返し単位aに加えて、更に、下記一般式(2)で示される繰り返し単位b1〜b7のいずれか1つ以上の繰り返し単位を含むことが好ましい。
【化7】

(式中、R、Rは水素原子又はメチル基、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状、環状の非置換のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びシアノ基のいずれかである。Zはメチレン基、酸素原子及び硫黄原子のいずれかである。0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0である。)
【0034】
本発明のネガ型レジスト材料に含まれる高分子化合物が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含み、更に上記一般式(2)で示される繰り返し単位b1〜b7のいずれか1つ以上の繰り返し単位を有する高分子化合物であれば、更に、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが高く、高感度で高解像性を有し、優れたエッチング耐性を示すネガ型レジスト材料となる。
特に、炭素比率が高いインデン、アセナフチレン、スチレン、ビニルナフタレン単位を有する高分子化合物は、波長13.5nmのEUV光における高い透過率が期待される。
【0035】
一般式(2)中の繰り返し単位b1〜b7を得るためのモノマーは具体的には下記に例示することができる。
【0036】
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
また、b1〜b7以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、環状の−O−C(=O)−S−及び−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基、及び芳香族基のいずれかを有するモノマーcを共重合することもできる。モノマーcとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
【化15】

【0045】
【化16】

【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

【0048】
また、エポキシ、オキセタン、及びメチロールメラミンのいずれかを有する架橋性のモノマーdを共重合することも出来る。モノマーdとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0049】
【化19】

【0050】
上記繰り返し単位a、b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、c、dの比率としては、aは、0<a≦1.0であり、b1〜b7、c、dは、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7<1.0、0≦c<1.0、0≦d<1.0である。
好ましくは、0.1≦a≦0.9、0≦b1≦0.9、0≦b2≦0.9、0≦b3≦0.9、0≦b4≦0.9、0≦b5≦0.9、0≦b6≦0.9、0≦b7≦0.9、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7≦0.9であり、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9である。
より好ましくは、0.1≦a≦0.8、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0≦b3≦0.8、0≦b4≦0.8、0≦b5≦0.8、0≦b6≦0.8、0≦b7≦0.8、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8である。
【0051】
ここで、a+b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7+c+d=1であることが好ましい。これらの繰り返し単位の合計量が1とは、これらの繰り返し単位の合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを意味する。
【0052】
本発明のネガ型レジスト材料中の高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000であり、好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000未満であると、レジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、500,000を超えるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなってしまう。
【0053】
本発明のネガ型レジスト材料中の高分子化合物においては、分散度(Mw/Mn)が狭い場合には、低分子量や高分子量のポリマーの存在が少ないため、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする恐れがない。
特に、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0054】
本発明のネガ型レジスト材料中の高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、フェノール基を有するメタアクリル酸エステル又はアクリル酸エステルと共重合するモノマーを有機溶剤中、ラジカル重合開始剤、あるいはカチオン重合開始剤を加え、加熱重合を行い、高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、カチオン重合開始剤としては、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸等の酸、BF3、AlCl3、TiCl4、SnCl4などのフリーデルクラフツ触媒のほか、I2、(C653CClのようにカチオンを生成し易い物質が例示できる。
【0055】
重合温度としては、好ましくは50〜80℃、反応時間としては好ましくは2〜100時間、更に好ましくは5〜20時間である。
【0056】
また、アセチル基で置換されたフェノール基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え、加熱重合を行い、その後アルカリ加水分解によってアセチル基をヒドロキシ基にしてもよい。アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる
また、反応温度としては好ましくは−20〜100℃、更に好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては好ましくは0.2〜100時間、更に好ましくは0.5〜20時間である。
【0057】
本発明のネガ型レジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ネガ型レジスト材料を機能させるために(C)酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。また、本発明のネガ型レジスト材料は、(B)有機溶剤、(D)架橋剤、必要に応じて(E)添加剤としての塩基性化合物及び/又は界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0058】
(C)酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物が好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落(0122)〜(0142)に記載されている。
【0059】
(B)有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落(0144)〜(0145)記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤等が挙げられる。
【0060】
(E)塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落(0146)〜(0164)記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物を挙げることが出来る。界面活性剤は段落(0165)〜(0166)記載のものを挙げることができる。また、本発明のネガ型レジスト材料に加えることができるアセチレンアルコール類は段落(0179)〜(0182)に記載されている。また、特開2008−239918号記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このポリマー型のクエンチャーは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
また、その他の成分としては、溶解制御剤が挙げられ、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報(0155)〜(0178)段落に記載のものを使用することができる。
【0061】
なお、酸発生剤の配合量は、ネガ型レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部が好ましく、特に0.1〜80質量部とすることが好ましい。有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部が好ましく、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は好ましくは0〜50質量部、特に好ましくは0〜40質量部、塩基性化合物は好ましくは0〜100質量部、特に好ましくは0.001〜50質量部、界面活性剤は好ましくは0〜10質量部、特に好ましくは0.0001〜5質量部である。
【0062】
次に、本発明のネガ型レジスト材料、特には化学増幅ネガ型レジスト材料に配合される架橋剤として具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物、又はその混合物等を挙げることができる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0063】
前記(D)架橋剤の具体例のうち、エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。
メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
【0064】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物が挙げられる。
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物が挙げられる。
ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0065】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0066】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0067】
架橋剤の配合量は、ネガ型レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、特に10〜40質量部が好ましい。5質量部以上であると架橋密度の不足により露光部がアルカリに溶解する恐れなく、50質量部以下であると架橋後の膜にひび割れが入ったり、現像後のパターンが逆テーパーになったりする恐れがないために好ましい。
【0068】
本発明のネガ型レジスト材料、特には化学増幅ネガ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料組成物中のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
【0069】
本発明のネガ型レジスト材料、特には、有機溶剤と、上記一般式aと、任意の繰り返し成分としてのb1〜b7とc、dで示される繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤等を含む化学増幅ネガ型レジスト材料を種々の集積回路製造等に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を用いることができる。
【0070】
例えば、本発明のネガ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜)、マスクパターン製造用の基板(SiO、SiN、Cr、CrO、CrN、CrON、MoSi、MoSiN、MoSiON、MoSiO、Ta、TaO、Ru、RuO等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が好ましくは0.01〜2.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で好ましくは60〜150℃、1〜10分間、更に好ましくは80〜120℃、1〜5分間プリベークする。
【0071】
次いで、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等から選ばれる光源、好ましくは300nm以下の露光波長で目的とするパターンを所定のマスクを通じて露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で好ましくは60〜150℃、1〜5分間、更に好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0072】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、好ましくは0.1〜3分間、更に好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0073】
なお、本発明のネガ型レジスト材料は、高エネルギー線の中でも波長254〜193nmの遠紫外線、波長157nmの真空紫外線、電子線、軟X線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線などの高エネルギー線による微細パターンニングに最適である。特に、EB及びEUVリソグラフィーに最適であり、特に炭素比率が高いインデン、アセナフチレン、スチレン、ビニルナフタレンを有するポリマーは、波長13.5nmのEUV光における高い透過率が期待される。
【0074】
また、本発明では、少なくとも、(A)ベース樹脂としての、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物、
【化20】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
(C)酸発生剤、
(D)架橋剤
を含有するレジスト膜が表面に形成されたフォトマスクブランクを提供する。
【0075】
このように、(A)ベース樹脂としての上記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物、(C)酸発生剤、(D)架橋剤を含有するレジスト膜が表面に形成されたフォトマスクブランクであれば、該レジスト膜が溶解コントラスト、解像性が高く、プロセス適応性や露光後のパターン形状に優れ、実用的なエッチング耐性を示すものであるため、該レジスト膜が形成されたフォトマスクブランクであれば、特にラインエッジラフネスが小さいパターンが形成されたフォトマスクを得ることができる。
【0076】
レジストの薄膜化と共に、被加工基板のエッチング選択比の関係から加工が厳しくなっており、レジスト(単層レジスト)の下層に珪素含有中間膜、その下に炭素密度が高くエッチング耐性が高い下層膜、その下に被加工基板を積層する3層プロセスが検討されている。本発明のネガ型レジスト材料は、このような3層プロセスにも好適に用いることができる。
【0077】
酸素ガスや水素ガス、アンモニアガスなどを用いる珪素含有中間膜と下層膜とのエッチング選択比は高く、珪素含有中間膜は薄膜化が可能である。単層レジストと珪素含有中間層のエッチング選択比も比較的高く、単層レジストの薄膜化が可能である。この場合、下層膜の形成方法としては塗布とベークによる方法とCVDによる方法とが挙げられる。塗布型の場合は、ノボラック樹脂や縮合環などを有するオレフィンを重合した樹脂が用いられ、CVD膜作製にはブタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン等のガスが用いられる。珪素含有中間層の場合も塗布型とCVD型が挙げられ、塗布型としてはシルセスキオキサン、POSS(登録商標)等が挙げられ、CVD用としては各種シランガスが原料として挙げられる。珪素含有中間層は光吸収を持った反射防止機能を有していてもよく、フェニル基などの吸光基や、SiON膜であってもよい。珪素含有中間膜とフォトレジストの間に有機膜を形成してもよく、この場合の有機膜は有機反射防止膜であってもよい。
【実施例】
【0078】
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0079】
(合成例1)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、スチレン4.2g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:スチレン=0.6:0.4(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.87
これを(ポリマー1)とする。
【0080】
【化21】

【0081】
(合成例2)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル11.6g、1−ビニルナフタレン5.4g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:1−ビニルナフタレン=0.65:0.35(モル比35)
重量平均分子量(Mw)=7,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.74
これを(ポリマー2)とする。
【0082】
【化22】

【0083】
(合成例3)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル11.6g、2−ビニルナフタレン5.4g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:2−ビニルナフタレン=0.65:0.35(モル比)
重量平均分子量(Mw)=7,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.84
これを(ポリマー3)とする。
【0084】
【化23】

【0085】
(合成例4)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、4−クロロスチレン1.4g、インデン3.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−クロロスチレン、インデン=0.60:0.10:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
これを(ポリマー4)とする。
【0086】
【化24】

【0087】
(合成例5)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、4−メチルスチレン1.2g、インデン3.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−メチルスチレン、インデン=0.60:0.10:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.73
これを(ポリマー5)とする。
【0088】
【化25】

【0089】
(合成例6)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、4−メトキシスチレン1.3g、インデン3.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−メトキシスチレン、インデン=0.60:0.10:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.76
これを(ポリマー6)とする。
【0090】
【化26】

【0091】
(合成例7)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、4−メトキシカルボニルスチレン1.6g、インデン3.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−メトキシカルボニルスチレン:インデン=0.60:0.10:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=5,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.56
これを(ポリマー7)とする。
【0092】
【化27】

【0093】
(合成例8)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、4−シアノスチレン1.3g、ベンゾチオフェン4.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−シアノスチレン、ベンゾチオフェン=0.60:0.10:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=5,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.83
これを(ポリマー8)とする。
【0094】
【化28】

【0095】
(合成例9)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル8.9g、4−ニトロスチレン3.0g、ベンゾフラン3.9g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−ニトロスチレン:ベンゾフラン=0.50:0.20:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.58
これを(ポリマー9)とする。
【0096】
【化29】

【0097】
(合成例10)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.6g、アセナフチレン6.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:アセナフチレン=0.60:0.40(モル比)
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.65
これを(ポリマー10)とする。
【0098】
【化30】

【0099】
(合成例11)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル9.8g、スチレン4.7g、クマリン2.9g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:スチレン:クマリン=0.55:0.25:0.20(モル比)
重量平均分子量(Mw)=7,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.75
これを(ポリマー11)とする。
【0100】
【化31】

【0101】
(合成例12)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル9.8g、スチレン4.7g、クロモン2.9g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:スチレン:クロモン=0.55:0.25:0.20(モル比)
重量平均分子量(Mw)=5,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
これを(ポリマー12)とする。
【0102】
【化32】

【0103】
(合成例13)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル9.8g、スチレン4.7g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メチル3.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:スチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メチル=0.55:0.25:0.20(モル比)
重量平均分子量(Mw)=5,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
これを(ポリマー13)とする。
【0104】
【化33】

【0105】
(合成例14)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル9.8g、2−アセトキシ−6−ビニルナフタレン4.2g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:2−アセトキシ−6−ビニルナフタレン:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル=0.55:0.20:0.25(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.75
これを(ポリマー14)とする。
【0106】
【化34】

【0107】
(合成例15)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル9.8g、メタクリル酸フェニル7.3g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸フェニル=0.55:0.45(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
これを(ポリマー15)とする。
【0108】
【化35】

【0109】
(合成例16)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル10.7g、メタクリル酸−1−ナフタレン8.5g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸−1−ナフタレン=0.60:0.40(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
これを(ポリマー16)とする。
【0110】
【化36】

【0111】
(合成例17)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル8.9g、メタクリル酸4−アセトキシフェニル11.1g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸4−アセトキシフェニル=0.50:0.50(モル比)
重量平均分子量(Mw)=7,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.78
これを(ポリマー17)とする。
【0112】
【化37】

【0113】
(合成例18)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル12.5g、メタクリル酸−9−アントラセン7.9g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸−9−アントラセン=0.70:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
これを(ポリマー18)とする。
【0114】
【化38】

【0115】
(合成例19)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸−4−ヒドロキシ−1−ナフタレン16.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸−4−ヒドロキシ−1−ナフタレン=0.3:0.7(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.81
これを(ポリマー19)とする。
【0116】
【化39】

【0117】
(合成例20)
100mLのフラスコにメタクリル酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニル13.6g、アセナフチレン4.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニル:アセナフチレン=0.70:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.68
これを(ポリマー20)とする。
【0118】
【化40】

【0119】
(合成例21)
100mLのフラスコにメタクリル酸4−ヒドロキシフェニルメチル12.9g、アセナフチレン6.1g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸4−ヒドロキシフェニルメチル:アセナフチレン=0.60:0.40(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.85
これを(ポリマー21)とする。
【0120】
【化41】

【0121】
(合成例22)
100mLのフラスコにメタクリル酸3,5−ジヒドロキシフェニル2.0g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル8.1g、アセナフチレン8.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
タクリル酸3,5−ジヒドロキシフェニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:アセナフチレン=0.10:0.45:0.45(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.75
これを(ポリマー22)とする。
【0122】
【化42】

【0123】
(合成例23)
100mLのフラスコにメタクリル酸2−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル14.6g、アセナフチレン4.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
メタクリル酸2−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル:アセナフチレン=0.70:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
これを(ポリマー23)とする。
【0124】
【化43】

【0125】
(比較合成例1)
100mLのフラスコに4−ヒドロキシシスチレン11.3g、スチレン3.1g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
このポリマーをメタノール0.5L、テトラヒドロフラン1.0Lに再度溶解し、トリエチルアミン70g、水15gを加え、アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
4−ヒドロキシスチレン:スチレン=0.7:0.3(モル比)
重量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.92
この高分子化合物を(比較ポリマー1)とする。
【0126】
【化44】

【0127】
(比較合成例2)
100mLのフラスコに4−ヒドロキシスチレン11.3g、インデン4.1g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
このポリマーをメタノール0.5L、テトラヒドロフラン1.0Lに再度溶解し、トリエチルアミン70g、水15gを加え、アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
4−ヒドロキシスチレン:インデン=0.7:0.3(モル比)
重量平均分子量(Mw)=6,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この高分子化合物を(比較ポリマー2)とする。
【0128】
【化45】

【0129】
(比較合成例3)
100mLのフラスコに4−ヒドロキシスチレン11.3g、アセナフチレン4.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを30g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを0.8g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をヘキサン500mL溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
このポリマーをメタノール0.5L、テトラヒドロフラン1.0Lに再度溶解し、トリエチルアミン70g、水15gを加え、アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
4−ヒドロキシスチレン:アセナフチレン=0.70:0.30(モル比)
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.87
この高分子化合物を(比較ポリマー3)とする。
【0130】
【化46】

【0131】
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜23、比較ポリマー1〜3)を用いて、以下のように電子ビーム描画評価及びEUV露光評価を行った。尚、以下に示す表1〜3中の各組成は次の通りである。
ポリマー1〜23:合成例1〜23で得られたポリマー
比較ポリマー1〜3:比較合成例1〜3で得られたポリマー
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
EL(乳酸エチル)
酸発生剤:PAG1、PAG2、PAG3(下記構造式参照)
塩基性化合物:Quencher1、Quencher2、Quencher3(下記構造式参照)
架橋剤:Crosslinker1(下記構造式参照)
【0132】
【化47】

【0133】
電子ビーム(EB)描画評価(実施例1−1〜1−26、比較例1−1〜1−3)
描画評価では、上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜23、比較ポリマー1〜3)を用いて、以下の表1に示される組成で、界面活性剤としてFC−4430(住友3M社製)を100ppmの濃度で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してネガ型レジスト材料を調製した。
得られたネガ型レジスト材料を、フォトマスクブランクモデルとして、表面にCrON(4:5:1)を20nmの厚みで積層させた直径6インチφのSi基板上に、クリーントラックMark5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で、110℃で60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で、表中の温度で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ネガ型のパターンを得た。
【0134】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における最小寸法を解像度とし、120nmLSのエッジラフネスをSEMで測定した。レジスト組成とEB露光における感度、解像度の結果を表1、表2に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
EUV露光評価(実施例2−1、2−2、比較例2−1)
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜23、比較ポリマー1〜3)を用いて、表3に示される組成で溶解させた界面活性剤としてFC−4430(住友3M社製)を100ppmの濃度で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してネガ型レジスト材料を調製した。
得られたネガ型レジスト材料をヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理した直径4インチφのSi基板上にスピンコートし、ホットプレート上で105℃で60秒間プリベークして50nmのレジスト膜を作製した。これに、NA0.3、ダイポール照明でEUV露光を行った。
露光後直ちにホットプレート上で表中の温度で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ネガ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
40nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、35nmLSのエッジラフネスをSEMで測定した。レジスト組成とEUV露光における感度、解像度の結果を表3に示す。
【0138】
【表3】

【0139】
上記のEB描画評価、及びEUV露光評価の結果、表1〜3より、本発明のネガ型レジスト材料を用いた実施例1−1〜1−26、実施例2−1、2−2では、高感度で高解像性を有し、かつ、ラインエッジラフネスが小さいパターンを得ることができた。すなわち、本発明のネガ型レジスト材料を用いた場合には、酸の拡散及び架橋反応の拡散の二段の反応拡散を抑制することができ、レジスト膜のアルカリ溶解速度コントラストの低下を抑制することができることが判った。一方、本発明のネガ型レジスト材料を用いていない比較例1−1〜1−3、比較例2−1では、ラインエッジラフネスが大きく、また、高解像性を得ることができなかった。
【0140】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、下記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含む、重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物を含むことを特徴とするネガ型レジスト材料。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
【請求項2】
前記高分子化合物は、前記繰り返し単位aに加えて、更に、下記一般式(2)で示される繰り返し単位b1〜b7のいずれか1つ以上の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のネガ型レジスト材料。
【化2】

(式中、R、Rは水素原子又はメチル基、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状、環状の直鎖状、分岐状、環状の非置換のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びシアノ基のいずれかである。Zはメチレン基、酸素原子及び硫黄原子のいずれかである。0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0である。)
【請求項3】
前記ネガ型レジスト材料は、前記高分子化合物を(A)ベース樹脂として含み、更に、(B)有機溶剤、(C)酸発生剤、(D)架橋剤を含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネガ型レジスト材料。
【請求項4】
前記ネガ型レジスト材料は、更に、(E)添加剤としての塩基性化合物及び/又は界面活性剤を含むものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のネガ型レジスト材料。
【請求項5】
基板にパターンを形成する方法であって、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のネガ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
少なくとも、
(A)ベース樹脂としての、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物、
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基であり、エステル基、又はエーテル基を有していても良い。Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、ハロゲン原子、及び、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状のアルコキシ基のいずれかである。mは3又は4、nは1又は2であり、m+n=5である。0<a≦1.0である。)
(C)酸発生剤、
(D)架橋剤
を含有するレジスト膜が表面に形成されたフォトマスクブランク。

【公開番号】特開2011−237477(P2011−237477A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106382(P2010−106382)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】