説明

ハイドロリックシステム

【課題】軸方向可動の円錐形ディスクの、モーメントおよび変速比に関連した軸方向圧着が最適化され、この場合、圧着チャンバ内の圧着圧が、特に回転数に依存しないようにする。
【解決手段】圧着チャンバ31,32が、第1のハイドロリック式の抵抗エレメント28を介してトルクフィーラチャンバ14に接続されていて、第2のハイドロリック式の抵抗エレメント29を介して付加的な圧力チャンバ26に接続されており、該圧力チャンバ26内に、圧着チャンバ31,32内の圧力および/またはトルクフィーラチャンバ14内の圧力よりも低い圧力が形成されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段調整可能な円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を制御するためのハイドロリックシステムであって、巻掛け手段によって巻き掛けられた2つの円錐形ディスク対が設けられており、両円錐形ディスク対が、それぞれ2つの円錐形ディスクを有しており、両円錐形ディスクのうち、一方の円錐形ディスクが、所属の圧着チャンバ内の圧力に関連して軸方向に移動可能であり、さらに、トルクフィーラが設けられており、該トルクフィーラが、トルクフィーラチャンバを有しており、該トルクフィーラチャンバが、ハイドロリック式のエネルギ源に接続されていて、圧着チャンバに接続されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4234294号明細書に基づき、トルクフィーラを備えた円錐形ディスク式巻掛け伝動装置が公知である。トルクフィーラは、変速比・モーメント制御される弁として形成されていて、直接トルクを入力側のディスク対から出力側のディスク対に伝達する。国際公開第2007/110026号パンフレットに基づき、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置に用いられるトルク感知装置が公知である。このトルク感知装置は、所定の勾配を備えた傾斜面を有している。勾配は、その最深の箇所からの距離が増加するにつれて、圧着圧とトルクとからの商が、主として、互いに相対的に傾斜面の位置とガイド面の位置とに依存しないように減少する。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4234294号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/110026号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のハイドロリックシステムを改良して、軸方向可動の円錐形ディスクの、モーメントおよび変速比に関連した軸方向圧着が最適化されるようにすることである。この場合、圧着チャンバ内の圧着圧が、特に回転数に依存しないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために本発明の構成では、無段調整可能な円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を制御するためのハイドロリックシステムであって、巻掛け手段によって巻き掛けられた2つの円錐形ディスク対が設けられており、両円錐形ディスク対が、それぞれ2つの円錐形ディスクを有しており、両円錐形ディスクのうち、一方の円錐形ディスクが、所属の圧着チャンバ内の圧力に関連して軸方向に移動可能であり、さらに、トルクフィーラが設けられており、該トルクフィーラが、トルクフィーラチャンバを有しており、該トルクフィーラチャンバが、ハイドロリック式のエネルギ源に接続されていて、圧着チャンバに接続されている形式のものにおいて、圧着チャンバが、第1のハイドロリック式の抵抗エレメントを介してトルクフィーラチャンバに接続されていて、第2のハイドロリック式の抵抗エレメントを介して付加的な圧力チャンバに接続されており、該圧力チャンバ内に、圧着チャンバ内の圧力および/またはトルクフィーラチャンバ内の圧力よりも低い圧力が形成されているようにした。
【0005】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、調節可能に形成されていて、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比によって制御されるようになっている。
【0006】
本発明の有利な構成によれば、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと、両圧着チャンバを互いに接続する接続部との間に接続されている。
【0007】
本発明の有利な構成によれば、接続部とハイドロリック式の両抵抗エレメントとの間に圧力制限弁が接続されている。
【0008】
本発明の有利な構成によれば、圧力制限弁が、受圧面変換部を有していて、別のハイドロリック式のエネルギ源に接続されている。
【0009】
本発明の有利な構成によれば、接続部が、両抵抗エレメントの間に開口している。
【0010】
本発明の有利な構成によれば、接続部の開口と付加的な圧力チャンバとの間に、固定式のハイドロリック式の抵抗エレメントが接続されている。
【0011】
本発明の有利な構成によれば、接続部の開口と付加的な圧力チャンバとの間に、調節可能な別のハイドロリック式の抵抗エレメントが接続されている。
【0012】
本発明の有利な構成によれば、減圧弁が、付加的な圧力チャンバと放圧室との間に接続されている。
【0013】
本発明の有利な構成によれば、トルクフィーラチャンバ内の圧力が、圧着チャンバ内の圧力の最大の設定量に相当している。
【0014】
本発明の有利な構成によれば、付加的な圧力チャンバ内の圧力が、圧着チャンバ内の圧力の最小の設定量に相当している。
【0015】
本発明の有利な構成によれば、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントもしくは調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントが、方向制御弁の少なくとも1つの制御縁部を有している。
【0016】
本発明の有利な構成によれば、方向制御弁が、制御圧管路を介して比例弁によって制御されている。
【0017】
本発明の有利な構成によれば、比例弁が、変速比に関連して制御されている。
【0018】
本発明の有利な構成によれば、方向制御弁が、機械的な変換部によって変速比に関連して制御されている。
【0019】
本発明の有利な構成によれば、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと付加的な圧力チャンバとの間に接続されている。
【0020】
本発明の有利な構成によれば、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと、別のトルクフィーラチャンバもしくは圧着チャンバとの間に接続されている。
【0021】
本発明の有利な構成によれば、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、固定式のオリフィス絞りを有しており、該オリフィス絞りが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに組み込まれている。
【0022】
本発明の有利な構成によれば、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、可変式のオリフィス絞りを有しており、該オリフィス絞りが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに組み込まれている。
【0023】
本発明の有利な構成によれば、可変式のオリフィス絞りが、切欠きを有しており、該切欠きが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに設けられており、縦断面図で見て、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスクの軸方向の移動に関連して変化するような勾配を切欠きが有している。
【0024】
本発明の有利な構成によれば、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、半径方向に往復運動可能なピストンを備えた可変式のオリフィス絞りを有している。
【0025】
本発明の有利な構成によれば、ピストンの一方の端部が、斜め面取り部を有しており、該斜め面取り部が、所属の軸方向可動の円錐形ディスクに設けられた斜め面取り部と協働するようになっている。
【0026】
本発明の有利な構成によれば、ピストンが、制御切欠きを有しており、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスクの軸方向の移動に関連して変化するような勾配を制御切欠きが有している。
【0027】
本発明の有利な構成によれば、ハイドロリック式の抵抗エレメントが、チョーク絞り、オリフィス絞りまたは制御縁部として形成されている。
【0028】
本発明の有利な構成によれば、付加的な圧力チャンバが、放圧室に接続されている。
【0029】
本発明の有利な構成によれば、トルクフィーラが、カム機構を有していて、圧力制限弁の原理により、トルクフィーラチャンバ内に、トルクに比例した圧力を形成するようになっている。
【0030】
本発明の有利な構成によれば、カム機構が、トルクに比例した圧力を形成するために、変速比に依存しないコンスタントな勾配を備えた傾斜路を有している。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、抵抗エレメントによって発生させられた圧力減少によって、トルクフィーラチャンバと付加的な圧力チャンバとの間に体積流が生ぜしめられる。この体積流は、本発明の主要な態様によれば、変速比に関連した圧着圧を圧着チャンバ内に形成するために使用される。ハイドロリック式のエネルギ源は、有利にはポンプである。
【0032】
ハイドロリックシステムの有利な実施態様は、少なくとも1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、調節可能に形成されていて、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比によって制御されるようになっていることによって特徴付けられている。本発明の主要な態様によれば、調整された変速比に関する圧着チャンバ内の圧着圧が、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメント、特に調節可能なオリフィス絞りによって調節される。トルクフィーラチャンバと付加的な圧力チャンバとの間の全圧力減少は、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントによって、予め規定された比に分割され、これによって、相応の圧着圧が圧着チャンバ内に形成される。
【0033】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと、両圧着チャンバを互いに接続する接続部との間に接続されていることによって特徴付けられている。調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントを介して、ハイドロリック媒体体積流がトルクフィーラチャンバから圧着チャンバ内に到達する。ハイドロリック媒体体積流は、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントによって円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比に関連して制御される。
【0034】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、接続部とハイドロリック式の両抵抗エレメントとの間に圧力制限弁が接続されていることによって特徴付けられている。この圧力制限弁は、トルクフィーラチャンバ内の圧力を制限するかもしくは減少させるために働く。
【0035】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、圧力制限弁が、受圧面変換部を有していて、別のハイドロリック式のエネルギ源に接続されていることによって特徴付けられている。この別のハイドロリック式のエネルギ源、有利には別のポンプと、圧力制限弁の受圧面変換部とを介して、必要となる圧着圧を圧着チャンバ内に形成するための圧力変換が行われる。
【0036】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、接続部が、両抵抗エレメントの間に開口していることによって特徴付けられている。トルクフィーラチャンバからのハイドロリック媒体体積流は、両抵抗エレメントの間で分岐され、圧着チャンバに供給される。
【0037】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、接続部の開口と付加的な圧力チャンバとの間に、固定式のハイドロリック式の抵抗エレメントが接続されていることによって特徴付けられている。この固定式のハイドロリック式の抵抗エレメントは、たとえば、不変のオリフィス絞り横断面を備えたオリフィス絞りとして形成されている。
【0038】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、接続部の開口と付加的な圧力チャンバとの間に、調節可能な別のハイドロリック式の抵抗エレメントが接続されていることによって特徴付けられている。有利には、この調節可能な別のハイドロリック式の抵抗エレメントも円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比によって制御される。
【0039】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、減圧弁が、付加的な圧力チャンバと放圧室との間に接続されていることによって特徴付けられている。減圧弁は、有利には圧力変換部を備えており、これによって、付加的な圧力チャンバ内に、トルクフィーラチャンバ内の圧力に比例した圧力が形成される。
【0040】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、トルクフィーラチャンバ内の圧力が、圧着チャンバ内の圧力の最大の設定量に相当しており、付加的な圧力チャンバ内の圧力が、圧着チャンバ内の圧力の最小の設定量に相当していることによって特徴付けられている。これによって、圧着圧が抵抗エレメントの誤差に対して少なく感応性となることが達成される。
【0041】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントもしくは調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメントが、方向制御弁の少なくとも1つの制御縁部を有していることによって特徴付けられている。方向制御弁は、たとえば5ポート2位置弁として形成されていて、第2のハイドロリック式の抵抗エレメントと放圧室との間に接続されていてよい。方向制御弁の制御は、有利には、両抵抗エレメントの前後の圧力によって行われる。
【0042】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、方向制御弁が、制御圧管路を介して比例弁によって制御されており、該比例弁が、さらに有利には、変速比に関連して制御されていることによって特徴付けられている。比例弁の制御は、有利には、制御電流線路を介して、変速比に関連した電気的な制御信号によって行われる。
【0043】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、方向制御弁が、機械的な変換部によって変速比に関連して制御されていることによって特徴付けられている。この制御は、たとえばてこ装置を介して、一方の軸方向可動の円錐形ディスクの軸方向移動によって直接的に行われる。
【0044】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと付加的な圧力チャンバとの間に接続されていることによって特徴付けられている。この付加的な圧力チャンバは、たとえばハイドロリック媒体を備えたタンクである。
【0045】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、トルクフィーラチャンバと、別のトルクフィーラチャンバもしくは圧着チャンバとの間に接続されていることによって特徴付けられている。両トルクフィーラチャンバはハイドロリック式の抵抗エレメントを介して互いに接続されている。有利には、別のトルクフィーラチャンバが、圧着チャンバに直接接続されている。これに対して、前者のトルクフィーラチャンバは、1つの抵抗エレメントを介して圧着チャンバと別のトルクフィーラチャンバとに接続されている。
【0046】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、固定式のオリフィス絞りを有しており、該オリフィス絞りが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに組み込まれていることによって特徴付けられている。固定式のオリフィス絞りは、有利には、軸方向固定の円錐形ディスクに設けられた孔として形成されている。
【0047】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、可変式のオリフィス絞りを有しており、該オリフィス絞りが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに組み込まれていることによって特徴付けられている。可変式のオリフィス絞りは、有利には、軸方向固定の円錐形ディスクに設けられた孔を有している。
【0048】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、可変式のオリフィス絞りが、切欠きを有しており、該切欠きが、一方の軸方向固定の円錐形ディスクに設けられており、縦断面図で見て、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスクの軸方向の移動に関連して変化するような勾配を切欠きが有していることによって特徴付けられている。この切欠きへの特殊な形状付与によって、所望のオリフィス絞り横断面を可動ディスクに関連して調整することができる。
【0049】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、半径方向に往復運動可能なピストンを備えた可変式のオリフィス絞りを有していることによって特徴付けられている。ピストンは、有利にはスリーブによって、軸方向固定の円錐形ディスクに設けられた特に半径方向の孔内に往復運動可能に収容されている。
【0050】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、ピストンの一方の端部が、斜め面取り部を有しており、該斜め面取り部が、所属の軸方向可動の円錐形ディスクに設けられた斜め面取り部と協働するようになっていることによって特徴付けられている。所属の軸方向可動の円錐形ディスクの可動ディスク運動は、両斜め面取り部の協働によってピストンの半径方向の運動に変換される。
【0051】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、ピストンが、制御切欠きを有しており、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスクの軸方向の移動に関連して変化するような勾配を制御切欠きが有していることによって特徴付けられている。この切欠きへの特殊な形状付与によって、所望のオリフィス絞り横断面を可動ディスクに関連して調整することができる。
【0052】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、ハイドロリック式の抵抗エレメントが、チョーク絞り、オリフィス絞りまたは制御縁部として形成されていることによって特徴付けられている。この場合、ハイドロリック式の両抵抗エレメントは、チョーク絞り、オリフィス絞りまたは制御縁部として形成されていてよい。しかし、一方の抵抗エレメントがチョーク絞りとして形成されており、他方の抵抗エレメントがオリフィス絞りまたは制御縁部として形成されていることも可能である。
【0053】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、付加的な圧力チャンバが、放圧室に接続されていることによって特徴付けられている。この放圧室は、たとえばハイドロリック媒体タンクまたは自動車のオイルサンプであってよい。
【0054】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、トルクフィーラが、カム機構を有していて、圧力制限弁の原理により、トルクフィーラチャンバ内に、トルクに比例した圧力を形成するようになっていることによって特徴付けられている。有利には、トルクフィーラが、全周にわたって分配された転動体、たとえばボールを有している。この転動体は転動面もしくは支持面または傾斜路と協働し、これによって、トルクおよび/または変速比に関連した緊締力もしくは圧着力が形成される。
【0055】
ハイドロリックシステムの別の有利な実施態様は、カム機構が、トルクに比例した圧力を形成するために、変速比に依存しないコンスタントな勾配を備えた傾斜路を有していることによって特徴付けられている。このような形式のカム機構は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第4234294号明細書、特に図1および所属の図面の説明に開示されている。
【0056】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、図面に相俟って種々異なる実施例を詳しく説明した以下の説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0058】
図1〜図6には、本発明の種々異なる実施例による、それぞれ1つの無段調整可能な円錐形ディスク式巻掛け伝動装置が示してある。このような形式の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置はCVT伝動装置(CVT=Continuously Variable Transmission)とも呼ばれ、2つの円錐形ディスク対1,2を有している。両円錐形ディスク対1,2は、軸方向固定のそれぞれ1つの円錐形ディスク3,5と、軸方向可動のそれぞれ1つの円錐形ディスク4,6とを有している。両円錐形ディスク対1,2は巻掛け手段8、特にチェーンによって互いに連結されている。円錐形ディスク式巻掛け伝動装置には、トルクフィーラ10が組み込まれている。このような形式の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第4234294号明細書に基づき公知である。
【0059】
本発明は、軸方向可動の円錐形ディスク4,6をモーメントおよび変速比に関連して軸方向圧着するためのハイドロリックシステムに関する。円錐形ディスク対1は、伝動装置の入力軸11に相対回動不能に結合されている。円錐形ディスク対2は、伝動装置の出力軸12に相対回動不能に結合されている。トルクフィーラ10はトルクフィーラチャンバ14を有している。このトルクフィーラチャンバ14は制御縁部を介してハイドロリック媒体のためのタンク15に放圧可能である。
【0060】
トルクフィーラチャンバ14には、ポンプ18を介してハイドロリック媒体が供給される。このハイドロリック媒体はハイドロリック管路20を介してタンク15から吸い込まれ、ポンプ18において圧力で負荷される。このポンプ18の出口は、ハイドロリック管路21,22を介してトルクフィーラチャンバ14に接続されている。さらに、ポンプ18の出口は、ハイドロリック管路21と、別のハイドロリック管路23,24,25とを介してタンク15に接続されている。両ハイドロリック管路24,25の間の接続部には、1つの点によって付加的な圧力チャンバ26が示してある。この圧力チャンバ26内には、実際、タンク15内の圧力と同じ圧力、有利には周辺圧が形成されている。
【0061】
ハイドロリック管路24には、2つのハイドロリック式の抵抗エレメント28,29の間に分岐部27が配置されている。この分岐部27から、2つの圧着チャンバ31,32に対する接続管路34が延びている。圧着チャンバ31,32は、軸方向可動のそれぞれ1つの円錐形ディスク4,6に対応配置されている。
【0062】
本発明の基本思想は、変速比に依存しないコンスタントな勾配を備えたトルクフィーラ10を使用し、これによって、トルクに比例した圧力を形成することにある。さらに、トルクフィーラチャンバ14と、意図的に低い圧力、特にタンク圧を備えた付加的な圧力チャンバ26との間の体積流が、圧着チャンバ31,32によって抵抗エレメント28,29を用いて調整される。
【0063】
二重矢印35によって、軸方向可動の円錐形ディスク6の運動量が示してある。本発明の主要な態様によれば、制御線路36によって示したように、抵抗エレメント28が運動量もしくは変速比35によって制御され、これによって、トルクフィーラチャンバ14と付加的な圧力チャンバ26との間の全圧力減少が所望の比に分割され、これによって、相応の圧力が圧着チャンバ31,32内に形成される。
【0064】
本発明の枠内では、モーメントフィーラ圧と付加的な圧力チャンバ26内の圧力とが、圧着圧の最大の設定量と最小の設定量とに相当していると特に有利であると分かった。これによって、圧着圧が抵抗エレメント28,29の誤差に対して少なく感応性であることが達成される。
【0065】
図2に示した実施例には、図1に示した固定式の抵抗エレメント29の代わりに、可変式の抵抗エレメント39が使用されてもよいことが示してある。この抵抗エレメント39は制御線路36を介して同じく変速比35によって制御される。ハイドロリック式の抵抗エレメント28,29,39は、チョーク絞り、オリフィス絞りまたは方向制御弁の制御縁部として形成されていてよい。少なくとも1つの抵抗エレメントが変速比によって制御されることが重要となる。
【0066】
図3では、付加的な圧力チャンバ26内の意図的に低い圧力が、付加的な減圧弁41を用いて、モーメントフィーラ圧に比例した相応の圧力変換によって形成される。減圧弁41は、タンク15と付加的な圧力チャンバ26との間のハイドロリック管路25に配置されている。ハイドロリック管路42,43を介して、減圧弁41は2つの接続箇所でハイドロリック管路22,23を介してモーメントフィーラ圧で負荷されている。別のハイドロリック管路44,45を介して、減圧弁41はハイドロリック管路25に接続されていて、したがって、付加的な圧力チャンバ26の圧力で負荷される。減圧弁41の圧力変換によって、付加的な圧力チャンバ26内に、トルクフィーラチャンバ14内のモーメントフィーラ圧に比例した圧力が形成される。ハイドロリック管路46を介して、減圧弁41はタンク15に接続されている。
【0067】
図4には、可変式の抵抗エレメント(図2および図3に示した符号28,39参照)が方向制御弁50の制御縁部によって実現されてもよいことが示してある。この方向制御弁50には、ハイドロリック管路24が接続されている。このハイドロリック管路24を介して、方向制御弁50が、トルクフィーラチャンバ14内に形成されたモーメントフィーラ圧で負荷される。さらに、方向制御弁50には、ハイドロリック管路45が接続されている。このハイドロリック管路45を介して、方向制御弁50が、減圧弁41を介在してタンク15に接続されている。
【0068】
方向制御弁50は弁ピストンを有している。この弁ピストンの一方の端部はばね力で負荷されている。弁ピストンの他方の端部はハイドロリック管路49を介して圧力供給源53の圧力で負荷可能となる。ハイドロリック管路49内には、2つのハイドロリック式の抵抗エレメント51,52、有利にはオリフィス絞りが配置されている。両抵抗エレメント51,52の間には、制御管路とも呼ばれる別のハイドロリック管路55によって、比例弁56が接続されている。この比例弁56は制御線路59を介して変速比35に関連して電気的に制御される。
【0069】
図5には、方向制御弁50がてこ装置60を介して、軸方向可動の円錐形ディスク6の軸方向の運動によって機械的に制御されてもよいことが示してある。てこ装置60によって、ディスクストロークと方向制御弁50の弁ストロークとの間の変速を簡単に実現することができる。このことは、てこ装置60のてこと、弾性差とによって置き換えることができる。
【0070】
図6には、別の実施例につき、圧着チャンバ31,32と両抵抗エレメント28,29との間に圧力制限弁65が接続されることによって、モーメントフィーラ圧をどのように減少させることができるのかが示してある。圧力制限弁65は管路を介してタンク15に接続されている。別の管路66を介して、圧力制限弁65は2つの接続箇所で別のポンプ68の出口に接続されている。このポンプ68はハイドロリック媒体をタンク15から吸い込む。別の接続管路69を介して、圧力制限弁65は別の接続箇所で圧着チャンバ31,32に接続されている。
【0071】
圧力制限弁65は弁ピストンを有している。この弁ピストンは一方の端部で管路70を介して、ハイドロリック式の両抵抗エレメント28,29の間に形成された圧力で負荷されている。弁ピストンにおける適切な面変換と、付加的なポンプ68とによって、圧力制限弁65が所望の圧着圧を圧着チャンバ31,32内に提供する。図6に示した実施例は、特に制御および漏れに対するシステム圧を減少させることができるという利点を提供する。
【0072】
図7および図8には、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置のハイドロリックシステムが示してある。このハイドロリックシステムによって、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比関係に相俟って可変の圧着システムが可能となる。この圧着システムは、コストに関して、既知の2段式のハイドロリックシステムに近似している。2段式のモーメントフィーラから出発して、コンスタントなオリフィス絞りと、可変式のオリフィス絞りとの適切な挿入によって、可変のモーメントフィーラに対する圧着の適合が行われる。
【0073】
図7および図8に簡単に示した円錐形ディスク式巻掛け伝動装置は、入力側の円錐形ディスク対と、出力軸に相対回動不能に配置された出力側の円錐形ディスク対とを有している。軸方向可動の円錐形ディスクの圧着チャンバは、図7および図8に簡単にトルクフィーラピストン88によって示してある。圧着チャンバ81はハイドロリック管路82と別のハイドロリック管路83とを介してポンプ84の出口に接続されている。このポンプ84はハイドロリック媒体をタンク96から吸い込む。
【0074】
圧着チャンバ81はハイドロリック管路82を介してトルクフィーラ85に接続されている。矢印86によって、伝達したいモーメントによって生ぜしめられた軸方向力が示してある。この軸方向力はトルクフィーラ85のモーメントフィーラピストン88に作用する。このモーメントフィーラピストン88は、モーメントフィーラチャンバ91内で、別のモーメントフィーラチャンバ92内の圧力と異なる圧力で負荷されている。このモーメントフィーラチャンバ92はハイドロリック管路82を介して圧着チャンバ81に接続されていて、ハイドロリック管路83を介してポンプ84の出口に接続されている。概略的にしか示していない制御縁部94を介して、ハイドロリック媒体はモーメントフィーラチャンバ92からハイドロリック管路95を通してタンク96内に逃出することができる。
【0075】
モーメントフィーラチャンバ91は接続管路98を介して接続管路99に接続されている。この接続管路99はハイドロリック管路82からタンク96に延びている。接続管路99内には、2つのハイドロリック式の抵抗エレメント101,102が設けられている。両抵抗エレメント101,102の間では、接続管路98が接続管路99に開口している。ハイドロリック式の抵抗エレメント101は、固定式のオリフィス絞りである。このオリフィス絞りは、接続管路99への接続管路98の開口と、ハイドロリック管路82への接続管路99の開口との間に配置されている。ハイドロリック式の抵抗エレメント102は、可変式のオリフィス絞りである。このオリフィス絞りは、接続管路99への接続管路98の開口箇所と、タンク96との間に配置されている。
【0076】
図7および図8に示したハイドロリックシステムの基本思想はダブルピストン原理に基づいている。この場合、ポンプ84が、モーメントフィーラチャンバ92の制御縁部94を介して流出する体積流を供給する。この場合、モーメントフィーラピストンとも呼ばれるトルクフィーラピストン88が軸方向の位置をとる。この位置では、制御縁部94を介した圧力減少が大きくなり、これによって、トルクにより形成されたかもしくはトルクに比例した機械的な力と、ハイドロリック的な力との間にバランスが生ぜしめられる。トルクフィーラチャンバ92内の圧力は、ハイドロリック管路82を介して圧着チャンバ81にもしくは圧着面に伝達され、したがって、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の巻掛け手段、特にチェーンに対する圧着力を規定する。
【0077】
しかし、トルクフィーラチャンバ92内への圧力の形成によって、第2のモーメントフィーラチャンバとも呼ばれるトルクフィーラチャンバ91への固定オリフィス絞り101を介した体積流が同時に生ぜしめられる。可変式のオリフィス絞り102のサイズの適切な調節によって、トルクフィーラチャンバ91内に圧力を形成することができる。トルクフィーラチャンバ91内のこの圧力は、機械・ハイドロリック的な力バランスに基づき、第1のトルクフィーラチャンバとも呼ばれるトルクフィーラチャンバ92内の圧力の減少を生ぜしめる。このトルクフィーラチャンバ92の圧力の減少は、さらに、圧着チャンバ81内の圧力の減少ひいてはディスクセットに対する圧着の減少を生ぜしめる。
【0078】
最低の比例定数は、図7に示した実施例の場合、トルクフィーラチャンバ92内の圧力を介して生ぜしめられる。この場合、可変式のオリフィス絞り102は完全に開放されている。トルクフィーラチャンバ92内の圧力、すなわち、圧着圧は、モーメントフィーラピストン88に対する軸方向力86と、モーメントフィーラピストン88の、トルクフィーラチャンバ92を仕切る面との商から規定される。この場合、固定式のオリフィス絞り101を通って、体積流がタンク96の方向に流れる。可変式のオリフィス絞り102における圧力減少はゼロであり、第2のトルクフィーラチャンバ91を介したトルクフィーラチャンバ92内のモーメントフィーラピストン力に対する反力も同じくゼロである。
【0079】
変速比に関連して比例定数の変化を発生させるためには、変速比の調節時に、可変式のオリフィス絞り102がそのサイズにおいて変化させられる。可動ディスク位置をほぼ負荷に依存せずに所定の変速比に換算することができるので、可動ディスク位置が、可変式のオリフィス絞り102の変更のために簡単に使用される。そこでは、この可変式のオリフィス絞り102のより小さな直径が圧力減少を生ぜしめ、この場合、トルクフィーラチャンバ91内の圧力が、このトルクフィーラチャンバ91の面に相俟って、ピストン力に対する付加的な反力として作用する。この場合、圧着チャンバ81内で作用する、トルクフィーラチャンバ92内に形成されたディスクセット圧が、相応に減少させられ得る。全体的に、可変式のオリフィス絞り102の、調整されたサイズに応じて、相応の比例定数が生ぜしめられる。トルクフィーラチャンバ91の面は、可変式のオリフィス絞り102の閉鎖時に、調整したい最大の比例定数が生ぜしめられるように設計されている。
【0080】
トルクフィーラチャンバ92内の圧力によるトルクの商から得られる比例定数は、可変式のオリフィス絞り102の通流横断面によってしか変化させられない。この横断面のサイズは、本発明の別の態様によれば、可動ディスク位置、すなわち、軸方向可動の円錐形ディスクの位置に関連して形成され、これによって、変速比に関連した比例定数が得られる。
【0081】
図8には、オリフィス絞りの配置事例が入れ換えられてもよいことが示してある。図8に示した実施例では、固定式のオリフィス絞り105がタンク96と接続管路98との間に接続されている。可変式のオリフィス絞り106は接続管路98とハイドロリック管路82との間に接続されている。この実施例では、可変式のオリフィス絞り106が最小の比例定数に対して閉鎖され、最大の定数に対して完全に開放される。
【0082】
図9には、軸方向固定の円錐形ディスク121が縦断面図で示してある。この円錐形ディスク121は、軸方向可動の円錐形ディスク122と協働し、円錐形ディスク対を形成している。軸方向固定の円錐形ディスク121は軸と一体に結合されている。この軸には、軸方向可動の円錐形ディスク122がガイドされている。この軸方向可動の円錐形ディスク122の、軸方向固定の円錐形ディスク121と反対の側には、トルクフィーラピストン128を備えたトルクフィーラ125が配置されている。トルクフィーラピストン128は、モーメントフィーラチャンバ131と、別のモーメントフィーラチャンバ132とを仕切っている。このモーメントフィーラチャンバ132は、軸方向固定の円錐形ディスク121の軸に設けられた制御縁部134と、横方向孔と、この横方向孔に接続された長手方向孔135とを介して放圧室(図示せず)に放圧可能である。制御縁部134はトルクフィーラピストン128と協働する。
【0083】
トルクフィーラチャンバ132は、固定式のオリフィス絞り141を介して長手方向孔140に接続されている。この長手方向孔140は、さらに、横方向孔143を介してトルクフィーラチャンバ131に接続されている。長手方向孔140ひいてはトルクフィーラチャンバ131は、可変式のオリフィス絞り142を介して放圧室、たとえばオイルサンプに接続されている。可変式のオリフィス絞り142は、縦断面図で見て、切欠き144を有している。この切欠き144は、軸方向可動の円錐形ディスク122と協働し、これによって、この軸方向可動の円錐形ディスク122の軸方向の位置に関連して、それぞれ異なるオリフィス絞り横断面が開放される。軸方向固定の円錐形ディスク121もしくは軸方向固定の円錐形ディスク121に一体に結合された軸に設けられた切欠き144への特殊な形状付与によって、可動ディスクに関連して所望のオリフィス絞り横断面を調整することが可能となる。
【0084】
図10には、図9に類似の実施例が縦断面図で示してある。同じ部材を示すために、同じ符号が使用してある。繰返しを避けるために、図9の前述した説明を参照する。以下には、主として、両実施例の間の違いを説明する。
【0085】
図10に示した実施例は、トルクフィーラチャンバ131とトルクフィーラチャンバ132との間に、貫通孔の形の固定式のオリフィス絞り151が設けられている。このオリフィス絞り151は、フランジ状の構成部材150を貫いて延びている。このフランジ状の構成部材150は、軸方向固定の円錐形ディスク121もしくは軸方向固定の円錐形ディスク121に一体に結合された軸に取り付けられている。長手方向孔140は、可変式のオリフィス絞り152を介して放圧室に接続されている。この放圧室は別の長手方向孔158によって示してある。この長手方向孔158は長手方向孔140に対して平行に延びている。
【0086】
可変式のオリフィス絞り152はピストン153を有している。このピストン152は一方の端部に斜面149を有している。この斜面149は別の斜面154と協働する。この斜面154は、軸方向可動の円錐形ディスク122に半径方向内側で設けられている。互いに接触する斜面149,154によって、可動ディスクとも呼ばれる軸方向可動の円錐形ディスク122の可動ディスク運動が、ピストン153の半径方向の運動に変換される。ピストン153はスリーブ155内に往復運動可能にガイドされている。このスリーブ155は長手方向孔140,158の領域に貫通孔を有している。さらに、ピストン152には、切断平面に対して垂直に配置された制御切欠き156が設けられている。この制御切欠き156は、スリーブ155に設けられた貫通孔に相俟って、必要となるオリフィス絞り横断面を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】固定式の抵抗エレメントと可変式の抵抗エレメントとを備えた円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の概略図である。
【図2】調節可能なもしくは可変式の2つの抵抗エレメントを備えた、図1に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図3】付加的な減圧弁を備えた、図2に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図4】方向制御弁と比例弁とを備えた、図3に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図5】てこ装置を介して変速比に関連して制御されている方向制御弁を備えた、図4に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図6】圧力制限弁と付加的なポンプとを備えた、図1および図4に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図7】固定オリフィス絞りと可変式のオリフィス絞りとを備えた可変のモーメントフィーラを有する円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を著しく簡単に示す図である。
【図8】固定オリフィス絞りと可変式のオリフィス絞りとの入れ換えられた配置事例を備えた、図7に類似の円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を示す図である。
【図9】切欠きとして固定ディスクに形成された可変式のオリフィス絞りを備えた円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の一部の縦断面図である。
【図10】可動ディスク運動を変換するための斜面を備えた、図9に類似の部分を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 円錐形ディスク対、 2 円錐形ディスク対、 3 円錐形ディスク、 4 円錐形ディスク、 5 円錐形ディスク、 6 円錐形ディスク、 8 巻掛け手段、 10 トルクフィーラ、 11 入力軸、 12 出力軸、 14 トルクフィーラチャンバ、 15 タンク、 18 ポンプ、 20 ハイドロリック管路、 21 ハイドロリック管路、 22 ハイドロリック管路、 23 ハイドロリック管路、 24 ハイドロリック管路、 25 ハイドロリック管路、 26 圧力チャンバ、 27 分岐部、 28 抵抗エレメント、 29 抵抗エレメント、 31 圧着チャンバ、 32 圧着チャンバ、 34 接続管路、 35 二重矢印、 36 制御線路、 39 抵抗エレメント、 41 減圧弁、 42 ハイドロリック管路、 43 ハイドロリック管路、 44 ハイドロリック管路、 45 ハイドロリック管路、 46 ハイドロリック管路、 49 ハイドロリック管路、 50 方向制御弁、 51 オリフィス絞り、 52 オリフィス絞り、 53 圧力供給源、 55 ハイドロリック管路、 56 比例弁、 59 制御線路、 60 てこ装置、 65 圧力制限弁、 66 管路、 68 ポンプ、 69 接続管路、 70 管路、 81 圧着チャンバ、 82 ハイドロリック管路、 83 ハイドロリック管路、 84 ポンプ、 85 トルクフィーラ、 86 軸方向力、 88 トルクフィーラピストン、 91 モーメントフィーラチャンバ、 92 モーメントフィーラチャンバ、 94 制御縁部、 95 ハイドロリック管路、 96 タンク、 98 接続管路、 99 接続管路、 101 オリフィス絞り、 102 オリフィス絞り、 105 オリフィス絞り、 106 オリフィス絞り、 121 円錐形ディスク、 122 円錐形ディスク、 125 トルクフィーラ、 128 トルクフィーラピストン、 131 モーメントフィーラチャンバ、 132 モーメントフィーラチャンバ、 134 制御縁部、 135 長手方向孔、 140 長手方向孔、 141 オリフィス絞り、 142 オリフィス絞り、 143 横方向孔、 144 切欠き、 149 斜面、 150 構成部材、 151 オリフィス絞り、 152 オリフィス絞り、 153 ピストン、 154 斜面、 155 スリーブ、 156 制御切欠き、 158 長手方向孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無段調整可能な円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を制御するためのハイドロリックシステムであって、巻掛け手段によって巻き掛けられた2つの円錐形ディスク対(1,2)が設けられており、両円錐形ディスク対(1,2)が、それぞれ2つの円錐形ディスク(3,4;5,6)を有しており、両円錐形ディスク(3,4;5,6)のうち、一方の円錐形ディスク(4,6)が、所属の圧着チャンバ(31,32;81)内の圧力に関連して軸方向に移動可能であり、さらに、トルクフィーラ(10;85)が設けられており、該トルクフィーラ(10;85)が、トルクフィーラチャンバ(14;91)を有しており、該トルクフィーラチャンバ(14;91)が、ハイドロリック式のエネルギ源に接続されていて、圧着チャンバ(31,32;81)に接続されている形式のものにおいて、圧着チャンバ(31,32;81)が、第1のハイドロリック式の抵抗エレメント(28;101)を介してトルクフィーラチャンバ(14;91)に接続されていて、第2のハイドロリック式の抵抗エレメント(29;39;102)を介して付加的な圧力チャンバ(26;96)に接続されており、該圧力チャンバ(26;96)内に、圧着チャンバ(31,32;81)内の圧力および/またはトルクフィーラチャンバ(14;91)内の圧力よりも低い圧力が形成されていることを特徴とする、無段調整可能な円錐形ディスク式巻掛け伝動装置を制御するためのハイドロリックシステム。
【請求項2】
少なくとも1つのハイドロリック式の抵抗エレメント(28,39,102)が、調節可能に形成されていて、円錐形ディスク式巻掛け伝動装置の変速比によって制御されるようになっている、請求項1記載のハイドロリックシステム。
【請求項3】
調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメント(28;39)が、トルクフィーラチャンバ(14)と、両圧着チャンバ(31,32)を互いに接続する接続部(34)との間に接続されている、請求項2記載のハイドロリックシステム。
【請求項4】
接続部(34)とハイドロリック式の両抵抗エレメント(28,29;39)との間に圧力制限弁(65)が接続されている、請求項3記載のハイドロリックシステム。
【請求項5】
圧力制限弁(65)が、受圧面変換部を有していて、別のハイドロリック式のエネルギ源(68)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項6】
接続部(34)が、両抵抗エレメント(28,29;39)の間に開口している、請求項3記載のハイドロリックシステム。
【請求項7】
接続部(34)の開口と付加的な圧力チャンバ(26)との間に、固定式のハイドロリック式の抵抗エレメント(29)が接続されている、請求項6記載のハイドロリックシステム。
【請求項8】
接続部(34)の開口と付加的な圧力チャンバ(26)との間に、調節可能な別のハイドロリック式の抵抗エレメント(39)が接続されている、請求項6記載のハイドロリックシステム。
【請求項9】
減圧弁(41)が、付加的な圧力チャンバ(26)と放圧室(15)との間に接続されている、請求項3から8までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項10】
トルクフィーラチャンバ(14)内の圧力が、圧着チャンバ(31,32)内の圧力の最大の設定量に相当している、請求項3から9までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項11】
付加的な圧力チャンバ(26)内の圧力が、圧着チャンバ(31,32)内の圧力の最小の設定量に相当している、請求項3から10までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項12】
調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメント(29)もしくは調節可能なハイドロリック式の抵抗エレメント(29,39)が、方向制御弁(50)の少なくとも1つの制御縁部を有している、請求項3から11までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項13】
方向制御弁(50)が、制御圧管路(55)を介して比例弁(56)によって制御されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項14】
比例弁(56)が、変速比に関連して制御されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項15】
方向制御弁(50)が、機械的な変換部によって変速比に関連して制御されている、請求項12記載のハイドロリックシステム。
【請求項16】
1つのハイドロリック式の抵抗エレメント(102;105)が、トルクフィーラチャンバ(91)と付加的な圧力チャンバ(96)との間に接続されている、請求項1または2記載のハイドロリックシステム。
【請求項17】
1つのハイドロリック式の抵抗エレメント(101;106)が、トルクフィーラチャンバ(91)と、別のトルクフィーラチャンバ(92)もしくは圧着チャンバとの間に接続されている、請求項16記載のハイドロリックシステム。
【請求項18】
1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、固定式のオリフィス絞り(141)を有しており、該オリフィス絞り(141)が、一方の軸方向固定の円錐形ディスク(121)に組み込まれている、請求項16または17記載のハイドロリックシステム。
【請求項19】
1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、可変式のオリフィス絞り(142)を有しており、該オリフィス絞り(142)が、一方の軸方向固定の円錐形ディスク(121)に組み込まれている、請求項16から18までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項20】
可変式のオリフィス絞り(142)が、切欠き(144)を有しており、該切欠き(144)が、一方の軸方向固定の円錐形ディスク(121)に設けられており、縦断面図で見て、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスク(122)の軸方向の移動に関連して変化するような勾配を切欠き(144)が有している、請求項19記載のハイドロリックシステム。
【請求項21】
1つのハイドロリック式の抵抗エレメントが、半径方向に往復運動可能なピストン(153)を備えた可変式のオリフィス絞り(152)を有している、請求項16または17記載のハイドロリックシステム。
【請求項22】
ピストン(153)の一方の端部が、斜め面取り部(149)を有しており、該斜め面取り部(149)が、所属の軸方向可動の円錐形ディスク(122)に設けられた斜め面取り部(154)と協働するようになっている、請求項21記載のハイドロリックシステム。
【請求項23】
ピストン(153)が、制御切欠き(156)を有しており、オリフィス絞り横断面が、所属の円錐形ディスク(122)の軸方向の移動に関連して変化するような勾配を制御切欠き(156)が有している、請求項21または22記載のハイドロリックシステム。
【請求項24】
ハイドロリック式の抵抗エレメント(28,29;39;101,102;105,106)が、チョーク絞り、オリフィス絞りまたは制御縁部として形成されている、請求項1から23までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項25】
付加的な圧力チャンバ(26;96)が、放圧室に接続されている、請求項1から24までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項26】
トルクフィーラ(10;85)が、カム機構を有していて、圧力制限弁の原理により、トルクフィーラチャンバ(14;91,92)内に、トルクに比例した圧力を形成するようになっている、請求項1から25までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。
【請求項27】
カム機構が、トルクに比例した圧力を形成するために、変速比に依存しないコンスタントな勾配を備えた傾斜路を有している、請求項1から26までのいずれか1項記載のハイドロリックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−150544(P2009−150544A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320431(P2008−320431)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【Fターム(参考)】