説明

ハイブリッド干渉皮膜、ランプ、及び方法

【課題】物理蒸着プロセスによって得られる領域、及び化学蒸着プロセスによって得られる領域を有する、光学干渉多層被膜を開示する。また、こうした被膜を作製する方法、並びに光透過性エンベロープを有するランプも開示する。
【解決手段】光透過性エンベロープの表面の少なくとも一部に、上記の光学干渉多層被膜を設ける。このような被膜をランプに使用すると、ランプのエネルギー効率が有利に改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光学多層被膜に関する。具体的には、本明細書の幾つかの実施例は、物理蒸着プロセスによって得られる領域、及び化学蒸着プロセスによって得られる領域を有する、光学多層被膜に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜光学被膜又はフィルタとよばれることもある光学干渉被膜は、屈折率の異なる2つ以上の材料から成る交互の層を有する。幾つかのこのような被膜又は膜を使用して、紫外線、可視光線、及び赤外線放射等、電磁放射スペクトルの様々な部分からの光放射を選択的に反射又は透過させる。例えば、光学干渉皮膜が、反射体及びランプエンベロープを被覆するために、ランプ産業において一般的に使用されている。光学干渉皮膜が役立つ用途の1つは、光源から発せられた電磁スペクトルの可視光を透過させながら、フィラメント又はアークによって発せられた赤外線エネルギーをフィラメント又はアークに向けて反射させることによって、ランプの照明効率又は有効性を改善することである。このことは、光源がその使用温度を維持するために必要な電気エネルギーの量を減少させる。
【0003】
光学干渉皮膜は、一般的に2つの異なるタイプの交互の層を有し、そのうちの1つは低い屈折率を有し、他方は高い屈折率を有する。異なる屈折率を有するこれら2つの材料を用いて、ランプエンベロープの表面に設ける光学干渉皮膜を設計できる。場合により、被膜又はフィルタは、光源から発射された可視スペクトル領域の光(一般的に約380から約780nmの波長)を透過させ、その一方で赤外光(一般的に約780から約2500nm)を反射させる。戻ってきた赤外光は、ランプの使用中に光源を加熱するので、被膜ランプのルーメン出力は、被覆されていないランプのルーメン出力よりも大幅に高くなる。
【0004】
白熱及びハロゲンランプの潜在エネルギー規制ができたことに伴って、エネルギー効率の良い製品を開発及び導入することが、ますます重要になっている。この観点から、利得又はエネルギー効率を高めた、改良された光学干渉多層被膜及びその作製方法が開発されている。従来の幾つかの作業では、ランプの光学干渉皮膜を用意するにあたり、低圧化学蒸着(CVD)プロセスを採用している(例えば、共有特許である米国特許第5,412,274号参照)。従来のその他の幾つかの作業では、例えばマグネトロンスパッタリングプロセス等、物理蒸着(PVD)プロセスを有利に採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6441541号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エネルギー効率の良い製品を開発及び導入するための、新規で改良された方法が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、光学干渉多層被膜を有する物品に関する。この被膜は、物理蒸着プロセスによって形成された第1領域、及び化学蒸着プロセスによって形成された第2領域を有する。第1領域は、第1の複数の交互の第1及び第2層を有し、第1層は比較的低い屈折率を有し、第2層は第1層よりも比較的高い屈折率を有する。第2領域は、第2の複数の交互の第3及び第4層を有し、第3層は比較的低い屈折率を有し、第4層は第3層よりも比較的高い屈折率を有する。
【0008】
本発明の更なる実施例は、表面及び光源を有する光透過性エンベロープを有するランプに関する。このエンベロープは、少なくとも部分的に光源を包囲する。光透過性エンベロープの表面の少なくとも一部には、光学干渉多層被膜が設けられており、この被膜は、物理蒸着プロセスによって形成された第1領域、及び化学蒸着プロセスによって形成された第2領域を有する。第1領域は、第1の複数の交互の第1及び第2層を有し、第1層は比較的低い屈折率を有し、第2層は第1層よりも比較的高い屈折率を有する。第2領域は、第2の複数の交互の第3及び第4層を有し、第3層は比較的低い屈折率を有し、第4層は第3層よりも比較的高い屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例による、底部PVD領域及び上部CVD領域を有する物品の概略図である。
【図2】本発明の実施例による、底部CVD領域及び上部PVD領域を有する物品の概略図である。
【図3】本発明の実施例による、図1の物品の底部多層の概略図である。
【図4】本発明の実施例による、図1の物品の上部多層の概略図である。
【図5】本発明の実施例による、例示的なランプの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の詳細な説明から、本発明のその他の特徴及び利点の理解が深まるであろう。
【0011】
これより、添付図面を参照しながら、本発明の実施例を更に詳説する。
【0012】
実施例に従って、比較的厚い(例えば10ミクロン超の)光学干渉被膜を形成するための、効果が向上した、新種の被膜及びその作製方法を本明細書に開示する。これらの方法は通常、CVDプロセス及びPVDプロセスの両方を利用する。本開示の実施例によると、各被覆プロセスの好ましい態様を採用することで、各プロセスの問題のある態様を最小化できる。
【0013】
上述のように、本発明の実施例は光学干渉多層被膜を有する物品に関する。この被膜は、物理蒸着プロセスによって形成された第1領域、及び化学蒸着プロセスによって形成された第2領域を有する。第1領域は、第1の複数の交互の第1及び第2層を有し、第1層は比較的低い屈折率を有し、第2層は第1層よりも比較的高い屈折率を有する。第2領域は第2の複数の交互の第3及び第4層を有し、第3層は比較的低い屈折率を有し、第4層は第3層よりも比較的高い屈折率を有する。通常、第1の複数の層における交互の第1及び第2層は、スペクトル的に少なくとも互いに隣接しており、物理的にも互いに隣接している。更に、第2の複数の層における交互の第3及び第4層は、通常、スペクトル的に少なくとも互いに隣接しており、物理的にも互いに隣接している。
【0014】
一般的に、第1層及び第3層は「低屈折率」層ともよばれ、550nmにおいて約1.35から約1.7の屈折率を有する。通常、これらの低屈折率層は、セラミック材料、耐火材料、ケイ素、金属又は半金属の酸化物、及び金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属のフッ化物、等とは別個に選択される材料を含み得る。金属のフッ化物は、MgF2等の化合物も含み得る。多くの場合、これらの低屈折率層は、ガラス又は石英又はその他の非晶質又は結晶シリカの形態等の、酸化ケイ素を含む。低屈折率材料としては、その低屈折率、低コスト、及び好ましい熱的特性から、1つ以上の形態のSiO2が最も一般的に採用される。第1層材料が第3層材料と同じであっても、第1層材料が第3層材料とは異なってもよい。
【0015】
一般的に、第2層及び第4層は、「高屈折率」材料ともよばれ、550nmにおいて約1.7から約2.8の屈折率を有する。通常、このような高屈折率材料は、第1及び第3層よりも比較的高い屈折率を有する、いずれの材料をも含み得る。耐火材料の多くは、高屈折率材料に適している。多くの場合、このような高屈折率材料は、Ti、Zr、Hf、Nb、W、Mo、In、及びTa等から成る群より選択される1つ以上の金属の1つ以上の酸化物(又は混合酸化物)とは別個に選択される。第2層材料が第4層材料と同じであっても、第2層材料が第4層材料とは異なっていてもよい。第2及び第4層の組成には、(例えば)(1)2つ以上のこのような金属酸化物の物理的混合物、又は(2)混合金属酸化物と別の金属酸化物との物理的混合物、又は(3)(例えば)その他の可能性の中でもとりわけ、上記の群の中の少なくとも2つの金属の混合金属酸化物を含み得る。具体的に考えられる例として、XがHf、Al、及びZrから成る群より選択されるNbTaX酸化物、又はYがTa、Hf、Al、及びZrから成る群より選択されるNbTiY酸化物、又はZがTa、Hf、及びZrから成る群より選択されるTiAlZ酸化物を含む。そして、一般的に、第2及び第4層は、光学干渉多層被膜において高屈折率材料として従来一般的に採用されてきたいずれかの材料、並びにその他の高屈折率材料を含み得る。
【0016】
本発明の実施例によると、第1領域は物理蒸着プロセス(PVD)によって形成され、第2領域は化学蒸着プロセス(CVD)によって形成される。これらの方法又はその他の方法のいずれかを通じて形成されるその他の領域も、被膜内に存在し得る。一般的に、採用されるPVDプロセスは、熱蒸着、RF蒸着、電子ビーム蒸着、反応蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、マイクロ波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、マイクロ波増強DCマグネトロンスパッタリング、アークプラズマ蒸着、反応スパッタリング、レーザアブレーション、及びこれらの組み合わせ、等から成る群より選択される。通常、採用されるCVDプロセスは、常圧CVD、低圧CVD、高真空CVD、超高真空CVD、エアロゾルCVD、直接液体注入CVD、マイクロ波プラズマCVD、プラズマ増強CVD、遠隔プラズマ増強CVD、原子層CVD、熱線CVD、有機金属CVD、ハイブリッド物理化学蒸着、高速熱CVD、気相エピタキシ、及びこれらの組み合わせ、等から成る群より選択される。
【0017】
周知のように、通常の化学蒸着プロセスでは、1つ以上の揮発性又はガス状の、基板表面上で反応及び/又は分解して所望の堆積物を生成する前駆体(通常は分子前駆体)に、基板が曝露される。CVDプロセスには様々な異なるタイプがあり、これらは使用圧力の特徴、蒸気の特性、エネルギー入力のタイプ、又はその他の特徴によって、分類される。下記の全ては、本明細書において使用される用語としての、「CVD」の範囲に含まれることになる。例えば、幾つかのCVDプロセスは、常圧CVD、低圧CVD(LPCVD)(化学蒸着が通常は大気圧未満で発生する)、及び、通常は約10-6Pa未満で行われる、高真空又は超高真空CVDを含む。別の形態のCVDにおいて、前駆体は厳密に気体状態にはない。エアロゾルCVDは、液化ガスエアロゾルとして前駆体を採用し、その一方で直接液体注入CVD(DLICVD)は、基板に注入及び輸送される液状前駆体を使用する。
【0018】
幾つかのCVD法は、マイクロ波プラズマCVD(MPCVD)、プラズマ増強(又はプラズマ支援)CVD(PECVD)、及び遠隔プラズマ増強CVD(RPECVD)等の、エネルギー手段により補助される。その他のタイプのCVDとしては、原子層CVD(ALCVD)、熱線CVD(HWCVD)、有機金属CVD(MOCVD)、ハイブリッド物理化学蒸着(HPCVD)、高速熱CVD(RTCVD)、気相エピタキシ(VPE)、等を含む。これらのそれぞれのタイプのCVDは、必ずしも互いに排他的ではないこととする。したがって、上記CVDプロセスのうち2つ以上を採用する組み合わせも考えられる。例えば、当該技術分野の当業者に明らかなように、プラズマCVDが遠隔プラズマ増強CVDを含み得る。同様に、有機金属前駆体を採用する熱線CVDプロセスも、当業者には容易に想到されるように、MOCVDプロセスとみなすことができる。
【0019】
多層被膜を蒸着するにあたりLPCVDを使用する場合、通常、米国特許第5,143,445号に記載のようなプロセスを採用する。加えて、共有特許である米国特許第5,412,274号に示す条件及び前駆体のいずれも、本開示における使用に適しているだろう。更に例示的な化学蒸着及び低圧化学蒸着プロセスが、例えば、米国特許第4,949,005号、第5,143,445号、第5,569,970号、第6,441,541号、及び第6,710,520号に記載されている。これら記載した特許は全て、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
当業者に周知のように、通常の物理蒸着(PVD)プロセスでは、材料が物理的プロセスによって気化され、その後基板において凝縮され、堆積物が生成される。場合によって、気化された材料が、酸化(酸素との反応による)等の反応を受けることがある。多くの場合、堆積物は、物理的手段によって蒸着されるべき材料を蒸気に変換するステップと、蒸気を蒸気源から基板に搬送するステップと、蒸気を基板上で凝縮させるステップと、によって基板上に形成される。一般的に、CVDプロセスにおいて、気化された材料(通常は金属原子等の原子形態である)を蒸着するにあたり、それ自体を分解する必要はない。このことは、堆積物を形成する前に前駆体(通常は分子)を分解又は反応させる必要があるCVDとは異なる、典型的な要因である。PVDプロセスはしばしば、蒸気を形成するために必要なエネルギー入力のタイプによって特徴付けられる。本明細書において使用する際、PVDプロセスは、熱蒸着、RF蒸着、電子ビーム蒸着、反応蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、マイクロ波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、マイクロ波増強DCマグネトロンスパッタリング、アークプラズマ蒸着、反応スパッタリング、レーザアブレーション、等を含む。
【0021】
これらそれぞれのタイプのPVDは、必ずしも互いに排他的ではない。したがって、上記CVDプロセスのうち2つ以上を採用する組み合わせも考えられる。例えば、「マグネトロンスパッタリング」は、DC及びRFマグネトロンスパッタリングの両方を含み得ると考えられる。同様に、「DCマグネトロンスパッタリング」は、「マイクロ波増強DCマグネトロンスパッタリング」を含み得ると考えられる。しかし、重複する範囲を有する代替方法を列挙するか否かにかかわらず、当該技術分野の当業者であれば、本方法の本質を明確に理解できよう。
【0022】
多層被膜を蒸着するにあたりRFマグネトロンスパッタリングを使用する場合、関連部分において参照により本願に組み込まれる、米国特許第6,494,997号に示すプロセスを、適宜採用できる。マグネトロンスパッタリングでは、高エネルギー不活性ガスプラズマを使用して、ターゲットを衝突させる。スパッタリングされた原子は、低温のガラス又は石英筺体上で凝縮する。DC(直流電流)、パルスDC(40〜400KHz)、又はRF(無線周波数、13.65MHz)プロセスを使用できる。
【0023】
実施例によると、上述のように第1及び第2領域を有する物品は、交互の比較的低い屈折率の層及び比較的高い屈折率の層を有する、少なくとも1つの補助多層領域を更に備える。このような補助領域(もしあれば)が第1領域と物理的に隣接している場合、このような補助領域をCVDによって蒸着できる。このような補助領域(もしあれば)が第2領域と物理的に隣接している場合は、このような補助領域をPVDによって蒸着できる。
【0024】
実施例によると、物品は、少なくとも1つの基板を更に含む。幾つかの実施例では、第1領域は、第2領域よりも少なくとも1つの基板に近い。その他の幾つかの実施例においては、第2領域が第1領域よりも少なくとも1つの基板に近い。
【0025】
実施例の概略図を、図1から図4に示す。図1には、基板11、PVDによって蒸着された第1領域12、及びCVDによって蒸着された第2領域13を有する物品10を示す。これらの領域は、本図面では物理的に隣接するように描かれているが、本発明はこれらの図面に示すものに限定されることはない。図2には、基板21、底層としての第2(即ちCVD)領域22、及び最上層としての第1(即ちPVD)領域23を有する、代替配置物品20を示す。図3及び図4は、物品10の領域の更なる詳細を示している。図3において、第1領域は、それぞれ高低の屈折率を有する交互の層121、122、123、124で構成されている。図4では、物品10の第2領域は、それぞれ高低の屈折率を有する交互の層131、132、133、134を有している。領域毎に4つの層のみを示しているが、本発明がこれらの実施例に限定されることはない。
【0026】
本発明の幾つかの実施例では、物品が、第1の複数の交互の第1及び第2層において第1平均界面粗さを有する第1領域、及び第2の複数の交互の第3及び第4層において第2平均界面粗さを有する第2領域を含み、第1平均界面粗さは第2平均界面粗さよりも大きい。一般的に、一領域内のいずれか2つの隣接する層(例えば、第1及び第2層)は、それらの間で完全に原子的に平滑な界面を有していない。通常は層の間に、検出可能な、或る種の界面粗さがある。界面粗さは、TEM、HRTEM、STM、SEM等の方法を含む、当該技術分野のいずれの当業者にも周知の方法によって測定可能である。「界面的粗さ」ともよばれる「界面粗さ」は一般的に、nm又はオングストローム等の長さ単位で測定される。本明細書において使用する際、「界面粗さ」という用語は一般的に、所与の界面の二乗平均平方根(rms)粗さである。
【0027】
上述のように、第1領域は場合によっては、「第1平均界面粗さ」によって特徴付けられる。「第1平均界面粗さ」は通常、第1部分の全ての(又は実質的に全ての)層にわたるrms界面粗さの平均値である。一般的に、第1領域内の実質的に全ての層の間の界面粗さは、定量化及び平均化される。同様に、「第2平均界面粗さ」は通常、第2部分の全ての(実質的に全ての)層にわたるrms界面粗さの平均値である。PVD法によって蒸着された第1部分を有し、CVD法によって蒸着された第2部分を有するハイブリッド被膜の場合、各部分が異なる平均界面粗さを有してもよい。通常の実施例では、第1平均界面粗さは、第2平均界面粗さよりも少なくとも約10%大きい。別の実施例では、第1平均界面粗さが第2平均界面粗さよりも少なくとも約20%(例えば、少なくとも約50%)大きい。特定の実施例では、第1平均界面粗さが約10nmよりも大きく、より具体的には約20nmよりも大きい。特定の実施例では、第2平均界面粗さが約10nm未満、より具体的には約5nm未満である。
【0028】
本発明の幾つかの実施例において、第1領域の第1及び/又は第2層は、実質的に円柱状又は針状の構造を有する金属酸化物粒子を含むことを特徴とする。更に別の実施例では、第1領域の第1及び/又は第2層が更に、これら粒子のうちの少なくとも幾つかの間に空隙がある金属酸化物粒子を含むことを特徴とする。これらの一方又は両方の特徴は、PVD法によって蒸着された金属酸化物であることもある。しかし、特定の条件下で、特に約500℃を超える温度で蒸着する場合は、第1領域がむしろ、実質的に非晶質であってもよいこともある。
【0029】
幾つかの実施例により、約0.2から約30ミクロン、又は場合によっては更に大きい合計幾何学的厚みを有する、光学干渉多層被膜を有する物品を提供する。被膜の「合計幾何学的厚み」には、第1及び第2領域が含まれるが、基板は含まれない。別の実施例では、被膜の合計幾何学的厚みが、約10ミクロンよりも大きい。合計幾何学的厚みのその他の範囲には、約2から約22ミクロン、又は約8から約15ミクロンを含む。これらの範囲の端点は、別個に組み合わせ可能であり、約2から約15ミクロン等の新しい範囲を構成してもよい。被膜全体が比較的厚いと、光学干渉多層被膜が、赤外線放射を反射して可視光放射を透過させるバンドパスフィルタとして機能するように構成される用途において、効率がより高くなる。
【0030】
通常、第1領域は、被膜の合計幾何学的厚みの約2%から約98%の幾何学的厚みを有する。幾つかの実施例では、第1領域が被膜の合計幾何学的厚みの約50%から約90%の幾何学的厚みを有し、第2領域が被膜の合計幾何学的厚みの約10%から約50%の幾何学的厚みを有する。幾つかの構成では、第1領域が、約0.1から約20ミクロン(例えば約4ミクロン超)、又はより厳密には約1から約15ミクロンの幾何学的厚みを有する。幾つかの構成では、第2領域が、約0.1から約10ミクロン、又はより厳密には約1から約7ミクロンの幾何学的厚みを含む。
【0031】
本発明の実施例によると、被膜は各領域において4から250の合計層数を有する。その中間の整数値も全て、具体的に可能である。一領域内の合計層数は、特に重要ではない。より厳密に言うと、一領域内の合計層数は、30から150層の範囲のいずれの整数であってもよい。場合によっては、CVDによって蒸着された領域が46層を有し、PVDによって蒸着された領域は60層を有してもよい。本開示の幾つかの実施例では、前記の第1、第2、第3、及び第4層の各々は、個別に約20nmから約500nm、又は場合によって約10nmから約200nmの、平均厚みを有する。
【0032】
特定の実施例によると、光学干渉多層被膜は、「ホットミラー」、即ち光源から発射される可視スペクトル領域(一般的には約380から約780nmの波長)の光を実質的に透過させ、赤外光(一般的には約780から約2500nm)を実質的に反射する被膜として機能するように、構成される。このような実施例において、光学干渉多層被膜は、約60%超(より好ましくは、約80%超)の可視光の平均透過率を有し、電磁スペクトルの赤外領域において少なくとも約30%(より一般的には、約70%超)の平均反射率を有する。
【0033】
本開示の実施例によると、上述のような光学干渉多層被膜を有する物品を作製する方法を提供する。このような方法は、基板を準備するステップと、第1領域及び第2領域を蒸着させる(いずれの順序でもよい)ステップとを含む。第1領域は、複数の交互の第1及び第2層を形成するにあたり、物理蒸着によって蒸着され、第1層は比較的低い屈折率を有し、第2層は第1層よりも比較的高い屈折率を有する。第2領域は、複数の交互の第3及び第4層を形成するにあたり、化学蒸着プロセスによって蒸着され、第3層は比較的低い屈折率を有し、第4層は第3層よりも比較的高い屈折率を有する。第1及び第2領域のいずれか1つは基板に隣接している。本方法では更に、第1及び第2領域の中間に1つ以上の補助領域、又は基板と第1又は第2領域との間に1つ以上の補助領域も、設けてよい。第1及び第2領域の蒸着後、一般的に、約12時間から約60時間(例えば48時間)等の長時間にわたって、約300℃から約500℃(例えば約400℃)等の温度で実行される、焼き鈍しステップを採用する。幾つかの実施例では、基板にランプエンベロープを含む。このようなランプエンベロープは、石英又はガラス等、いずれかの透明又は半透明材料で作製される。基板の形状は、特に限定されないが、例えば円筒形又は楕円形等の形状を含む。
【0034】
本発明の実施例による被膜は、通常は物品の基板上に設けられるが、光学干渉被膜が望ましい、又は通常使用される、幅広い用途のいずれにも利用可能である。これらは例えば、照明用途(例えば、ランプ)、光導波路、反射体、装飾材料、セキュリティ印刷、等を含む。幾つかの実施例では、この被膜は、電磁スペクトルの一部分を選択的に反射させる一方で、電磁スペクトルの別の部分を透過させるために使用される。例えば、被膜は「コールドミラー」又は「ホットミラー」として使用可能である。「コールドミラー」は、可視光を反射させると同時により波長の長い赤外線エネルギーを通す、光学フィルタである。「ホットミラー」は、赤外線放射を反射させると同時により波長の短い可視光を通す、光学フィルタである。本明細書におけるホットミラーの非限定的用途の1つが、ランプ効率が向上するように、ランプのフィラメントに赤外線熱を戻すことである。
【0035】
本発明の実施例により、本開示の光学干渉多層被膜を含む、1つ又は複数のランプも提供する。このようなランプは一般的に、表面を有する光透過性エンベロープ、及び光源を備える。このエンベロープは、少なくとも部分的に光源を包囲している。光透過性エンベロープの表面の少なくとも一部には、光学干渉多層被膜が施されている。周知のように、このような光透過性エンベロープは、かなりの光透過性を有し、比較的高温(例えば、約800℃以上)に耐え得るいずれの材料(例えば、石英、セラミック、ガラス等)でも構成可能である。光源は、白熱光源(例えば、フィラメントの抵抗加熱を通じて光を発するもの)、及び/又は、高輝度放電(HID)源等、電気アーク放電源、及び/又は別のタイプの光源であってもよい。
【0036】
通常、フィラメントを採用する場合、フィラメントは、周知のように、タングステン等の一般的にコイル状の耐火金属で構成される。ランプに通電するためには、通常、エンベロープ内に配置され、エンベロープを貫通する電流供給導体(又は電気リード線)に接続された、少なくとも1つの電気素子を設ける。通常、エンベロープには、充填ガスが封入される。好適な充填ガスとしては、ランプの寿命、品質、及び/又は性能を向上させるように選択された、いずれのガス又はガス状混合物も含まれる。幾つかの充填ガスは、少なくとも1つの希ガス(クリプトン又はキセノン等)等のイオン化充填ガス、及び/又はハロゲン化アルキル化合物(例えば、臭化メチル)等の揮発性ハロゲン化物質を含み得る。ハロゲン含有ガスが、しばしば採用される。金属ハロゲン化物、水銀、及びこれらの組み合わせを含むもの等、その他の多くの充填組成物も考えられる。
【0037】
本開示によるランプは、ランプエンベロープの内面又は外面のいずれかに、光学干渉多層被膜を有する。或いは、ランプは、ランプエンベロープの内面及び外面の両方に光学干渉多層被膜を有してもよい。
【0038】
ここで図5を参照すると、本発明による例示的なランプの概略図が示されている。本図面は、限定を意図されるものでも、縮尺通りの図面でもない。この説明用の実施例では、ランプ30は、密封された、ガラス質の、光透過性石英エンベロープ31を有し、その外面は、多層光学干渉皮膜34で被覆されている。エンベロープ31には、内部電気リード線32、33によって通電可能な、コイル状タングステンフィラメント32が封入されている。内部電気リード線32、33は箔35、36に溶接され、外部電気リード線37、38はこれらの箔の反対側の端部に溶接されている。エンベロープ31の内部39には、ハロゲン又はハロゲン化合物を含むイオン化充填物が配されている。
【0039】
上述の光学干渉被膜をランプの被膜として使用すると、例えばハロゲンランプ等のランプの効率が有利に改善される。このような改善は、LPW(ワットあたりルーメン)の上昇値において明白であろう。百分率で表す場合、LPWの上昇を「利得」という。本発明の実施例によると、光学干渉膜で被覆した場合のハロゲンランプは、被覆されていないランプと比較して、約20%から約150%、より好ましくは約33%超、更に好ましくは約100%から約150%の利得を呈する。このような比較は通常、例えば通常使用温度において等、通電されて同じ高温フィラメント温度に達した、同じランプに対して行われる。更に、上述の光学干渉被膜は、最大800℃以上の温度に曝露された後でさえ、高い構造的及び光学的完全性も呈する。しかも、本発明の実施例による光学干渉被膜で被覆されたランプでは、一致性及び性能安定性が高まり、外観(平滑で透明な被膜表面)が改善する。
【0040】
本開示の「ハイブリッド」被膜により、CVDのみ又はPVDのみによって蒸着された被膜の使用における、幾つかの欠点を克服できる。通常、CVDプロセスは、蒸着可能な被膜の厚みに関して制限を受ける可能性がある。多くの場合、厚いCVD被膜において、応力が生じる可能性がある。これらの応力発生問題が大きな原因となり、被膜の最大厚は通常、約5から6ミクロン未満に限定される。PVDプロセスでは、一般的に、応力関連の問題を伴わずに、より厚い被膜(例えば、約15から16ミクロンのランプ上の光学干渉多層被膜等)を生成できる。しかし、被膜がこのような厚みに近づくと、界面粗さ及び表面粗さを制御することが難しくなることもある。更に、見通しプロセスとして、PVDプロセスは、ランプ等、基板への適用において、比較的複雑な機械的操作を必要とすることもある。したがって、CVDプロセスと比較して、そのバッチ生産性は比較的低く、コストは比較的高い。
【0041】
対照的に、本「ハイブリッド」被膜により、CVD又はPVDのみによって蒸着された被膜では達成が容易ではない、所望の被膜特性を得られる。例えば、特定の例において、ハロゲンランプの「利得」を高く(例えば>100%)するためには、少なくとも約10マイクロメートルの幾何学的厚みを有する光学干渉多層被膜を採用することが望ましい。しかし、本出願人らは、CVDプロセスのみでは、応力関連の問題が原因で、このような厚い被膜を生成できないことを見出した。PVDでは、厚い被膜を蒸着できるものの、被膜が厚くなるにつれて、粗さの制御が難しくなることが多い。被膜を(例えば)この2つの領域に分割することにより、CVDによって蒸着された領域の界面を平滑にし易くなり、残りの領域を、全体的にPVDによって作製された被膜を有する場合と比較して、界面粗さをより良く制御しながら、PVDプロセスによって蒸着可能である。ハイブリッド被膜により、PVDのみによって作製されたものと比較して、コスト効率も高めることができる。更に、PVD被膜における圧縮応力により、CVD部分における引張応力が相殺され、被膜がより割れにくく、剥離しにくくなる。このことは、CVD蒸着領域が基板に隣接しており、ともするとPVD表層の不存在下では剥離したり割れたりするような厚みで蒸着される場合に、特に有利であろう。
【0042】
本発明の更なる理解を助けるために、以下に例を示す。これらの例は、説明用であり、本発明の特許請求の範囲に対する何らかの限定と解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0043】
2つのDEQランプの外側エンベロープ表面を、LPCVDプロセスを通じて、光学干渉多層被膜によって被覆し、それぞれをランプA及びBで表した。ランプAを、交互のシリカ及びタンタル酸化物の46層スタックで被覆し、ランプBを、交互のシリカ及びニオブ−タンタル酸化物の46層スタックで被覆した。LPCVDで蒸着された全てのスタックは、約4ミクロンの幾何学的厚みを有していた。ランプA及びBの各々を、スパッタリングにより、第2光学干渉多層スタックで更に被覆した。いずれの場合も、第2光学干渉多層スタックを、ホットミラー設計の、36層の交互のシリカ及びNb−Ti−Al酸化物層で構成した。シリカ層のスパッタリング蒸着にあたり、カソード電力を3kWに設定した。アルゴン流量は80sccm(標準立方センチメートル毎分)、O2圧力は2.5×10-5torr(0.0033Pa)であった。Nb−Ti−Al酸化物層のスパッタリング蒸着にあたり、カソード電力を4kWに設定した。アルゴン流量は80sccm(標準立方センチメートル毎分)、O2圧力は3.2×10-4torr(0.043Pa)であった。スパッタリングによって蒸着されたスタックは全て、約4ミクロンの幾何学的厚みを有している。各ランプ上の組み合わせハイブリッド被膜は、その後400℃で48時間焼き鈍しされた。
【実施例2】
【0044】
例1の手順を採用して、交互にシリカ/NbTa酸化物でLPCVDを行うことにより、4.5ミクロンの厚みで蒸着された46L(層)の、石英エンベロープの外側に、底部被膜を有するDEQハロゲンランプを準備した。上部被膜として、60Lの交互のシリカ/NbTiAl酸化物が、PVD(スパッタリング)によって、4.5ミクロンの厚みで蒸着された。驚くことに、合計被膜が10ミクロン近いにもかかわらず、透過率スペクトルは殆ど曇りを示さなかった。更に、PVD層が底部被膜に対して保護効果を呈し、このことによって、CVDによる被膜において、その厚みにもかかわらずランプの使用中に剥がれが観察されないことが、思いがけず見いだされた。最終的に、計算されたLPW利得は、PVD層のない同じCVD被膜に対して、約10%であった。
【0045】
本明細書では、近似表現を用いて、関連する基本的機能を変化させることなく可変である、あらゆる数量表現の修飾が可能である。したがって、「約」「実質的に」等の用語で修飾された値が、記載の厳密な値に限定されない場合もある。数量と関連して用いられる「約」という修飾語は、提示された値を包含するとともに、文脈から明らかな意味も含む(例えば、或る特定の数量の計測誤差の程度を含む)。「任意の」「任意で」とは、これに続いて記述される事象又は状況が生じるか否かにかかわらず、これに続いて特定される材料が存在するか否かにかかわらず、その記述が、当該事象又は状況が生じる場合又は当該材料が存在する場合も、当該事象又は状況が生じない場合又は当該材料が存在しない場合も含むことを意味している。単数名詞は、文脈上特に明記しない限り、複数の指示対象も含む。本明細書に開示する範囲は全て、列挙した端点を包含し、これらは別個に組み合わせ可能である。
【0046】
本明細書で使用する場合、「〜ように適合される」「〜ように構成される」等の表現は、特定の構造を形成するように、又は特定の結果を得られるように寸法決め、配置、又は作製された要素であることを示している。限られた数の実施例のみに関連して、本発明を詳説したが、本発明がこうした開示の実施例に限定されないことは、明らかである。むしろ、本発明を修正して、上記しなかった変形、改変、置換、又は等価の措置を幾つでも組み込むことができるが、これらも特許請求の範囲内に相当する。また、本発明の様々な実施例を記述したが、本発明の態様が、記述した実施例の一部を含むのみであってもよいことを理解されたい。したがって、本発明が上記の記述によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるとみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学干渉多層被膜を有する物品であって、前記被膜が、
第1の複数の交互の第1及び第2層を有する第1領域であって、前記第1層が比較的低い屈折率を有し、前記第2層が前記第1層よりも比較的高い屈折率を有する、第1領域と、
第2の複数の交互の第3及び第4層を有する第2領域であって、前記第3層が比較的低い屈折率を有し、前記第4層が前記第3層よりも比較的高い屈折率を有する、第2領域と、を有し、
前記第1領域が物理蒸着プロセスによって形成され、前記第2領域が化学蒸着プロセスによって形成される、物品。
【請求項2】
前記PVDプロセスが、熱蒸着、RF蒸着、電子ビーム蒸着、反応蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、マイクロ波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、マイクロ波増強DCマグネトロンスパッタリング、アークプラズマ蒸着、反応スパッタリング、レーザアブレーション、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記CVDプロセスは、常圧CVD、低圧CVD、高真空CVD、超高真空CVD、エアロゾルCVD、直接液体注入CVD、マイクロ波プラズマCVD、プラズマ増強CVD、遠隔プラズマ増強CVD、原子層CVD、熱線CVD、有機金属CVD、ハイブリッド物理化学蒸着、高速熱CVD、気相エピタキシ、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記第1領域が、前記第1の複数の交互の第1及び第2層において第1平均界面粗さを有し、前記第2領域が、前記第2の複数の交互の第3及び第4層において第2平均界面粗さを有し、
前記第1平均界面粗さが前記第2平均界面粗さよりも大きい、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記第1平均界面粗さが、前記第2平均界面粗さよりも少なくとも約10%大きい、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記第1層及び前記第3層が、セラミック材料、耐火材料、金属又は半金属の酸化物、金属又は半金属のフッ化物、及び金属又は半金属の窒化物とは別個に選択される材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第2及び前記第4層が、Ti、Zr、Hf、Nb、W、Mo、In、及びTaから選択される1つ以上の金属の1つ以上の酸化物又は混合酸化物とは別個に選択される材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記第1領域が、前記被膜の合計幾何学的厚みの約50%から約90%の幾何学的厚みを有し、前記第2領域が、前記被膜の前記合計幾何学的厚みの約10%から約50%の幾何学的厚みを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記被膜が、60%超の可視光の平均透過率を有し、電磁スペクトルの赤外領域において少なくとも約30%の平均反射率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
ランプであって、
表面及び光源を有する光透過性エンベロープであって、少なくとも部分的に前記光源を包囲する、エンベロープを備え、
前記光透過性エンベロープの表面の少なくとも一部には、
(a)第1の複数の交互の第1及び第2層を有する第1領域であって、前記第1層が比較的低い屈折率を有し、前記第2層が前記第1層よりも比較的高い屈折率を有する、第1領域と、
(b)第2の複数の交互の第3及び第4層を有する第2領域であって、前記第3層が比較的低い屈折率を有し、前記第4層が前記第3層よりも比較的高い屈折率を有する、第2領域と、を有する光学干渉多層被膜が設けられ、
前記第1領域が化学蒸着プロセスによって形成され、前記第2領域が物理的蒸着プロセスによって形成される、ランプ。
【請求項11】
前記光学干渉多層被膜が、前記エンベロープの内面及び外面の一方、又は両方に設けられる、請求項10に記載のランプ。
【請求項12】
前記光源が、フィラメントを含み、
前記ランプが、通電されて高温フィラメント温度まで達すると、被膜のない、通電されて同じ高温フィラメント温度まで達したランプと比較して、約20%から約150%のLPW利得を呈する、請求項10に記載のランプ。
【請求項13】
前記エンベロープ内に配置され、且つ、前記エンベロープを貫通する電流供給導体に接続された、少なくとも1つの電気素子を更に有する、請求項10に記載のランプ。
【請求項14】
前記光源が、フィラメント又は電気アークのうちの1つ以上を有する、請求項10に記載のランプ。
【請求項15】
前記エンベロープには、ランプの寿命、品質、及び/又は性能を向上させるように選択された充填ガスが封入されている、請求項10に記載のランプ。
【請求項16】
前記第1領域が、前記第1の複数の交互の第1及び第2層において第1平均界面粗さを有し、前記第2領域が、前記第2の複数の交互の第3及び第4層において第2平均界面粗さを有し、
前記第1平均界面粗さが前記第2平均界面粗さよりも大きい、請求項10に記載のランプ。
【請求項17】
前記被膜が、60%超の可視光の平均透過率を有し、前記電磁スペクトルの赤外領域において少なくとも約30%の平均反射率を有する、請求項10に記載のランプ。
【請求項18】
光学干渉多層被膜を有する物品を作製する方法であって、
基板を準備するステップと、
物理蒸着プロセスによって、第1の複数の交互の第1及び第2層を有する第1領域を蒸着させるステップであって、前記第1層が比較的低い屈折率を有し、前記第2層が前記第1層よりも比較的高い屈折率を有する、ステップと、
化学蒸着プロセスによって、第2の複数の交互の第3及び第4層を有する第2領域を蒸着させるステップであって、前記第3層が比較的低い屈折率を有し、前記第4層が前記第3層よりも比較的高い屈折率を有する、ステップと、を含み、
前記第1及び第2領域のうちの1つが前記基板に隣接している、方法。
【請求項19】
前記PVDプロセスが、熱蒸着、RF蒸着、電子ビーム蒸着、反応蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、マイクロ波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、マイクロ波増強DCマグネトロンスパッタリング、アークプラズマ蒸着、反応スパッタリング、レーザアブレーション、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記CVDプロセスが、常圧CVD、低圧CVD、高真空CVD、超高真空CVD、エアロゾルCVD、直接液体注入CVD、マイクロ波プラズマCVD、プラズマ増強CVD、遠隔プラズマ増強CVD、原子層CVD、熱線CVD、有機金属CVD、ハイブリッド物理化学蒸着、高速熱CVD、気相エピタキシ、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項18に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−533088(P2012−533088A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519563(P2012−519563)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039397
【国際公開番号】WO2011/005489
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】