説明

ハイブリッド構造を有する軽量部品

本発明は、ハイブリッド部品又は中空軽量部品とも称されるハイブリッド構造を有する軽量部品に関する。前記部品は、熱可塑性樹脂で補強されており、高い機械的応力の伝達に好適なシェル状の基体からなる。熱可塑性樹脂の物理的特性を改善するために熱可塑性樹脂に特殊な流動助剤が添加されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂によって補強され、高い機械的荷重の伝達に好適なシェル状の基体で構成されるハイブリッド部品又は中空チャンバ軽量部品とも称されるハイブリッド構造の軽量部品に関し、物理的特性を改善するために熱可塑性樹脂に特殊な流動助剤が添加されている。
【0002】
これらの適切な設計の軽量部品は、車両部品に、又は、事務機械若しくは家庭用機械若しくは他の機械の耐力要素に、又は装飾目的の構造要素等に使用される。
【0003】
ハイブリッド構造の軽量部品(以下、ハイブリッド部品とも称される)の特徴は、ほとんど金属で構成されるシェル状の基体又は中空体と、この中に挿入される又はこれに付け加えられるプラスチック部分との相互連結(interlock bonding)である。本発明の目的では、これらは中空チャンバ軽量部品とも称される。
【背景技術】
【0004】
(特許文献1)は、好ましくは金属で構成された2つ以上の部品を含む取り外し不可能な連結を開示しており、ここで、連結はプラスチックで構成されており、連結される部品を受け入れる金型内で、例えば、射出成形法により作り出されている。(特許文献2)は、基体に確実に連結された補強リブが内部空間にあるシェル状の基体で構成されたハイブリッド構造の軽量部品を開示しており、そこで補強リブは、インサート成形された(moulded-on)プラスチックで構成されており、基体との連結は別個の連結部位で基体の穿孔を介して行われ、プラスチックは穿孔を貫通し、穿孔領域全体に延び、確実な相互連結が達成される。(特許文献3)は、中空チャンバ軽量部品にプラスチックで構成されたカバープレート又はカバーシェルが更に提供されるという点が、その原理に付け加えられている。しかし、金属などの他の材料で構成されたカバープレートを考えることも可能である。
【0005】
(特許文献4)は、金属とプラスチックで構成された一体構造として知られているものを開示し、2つの部品を互いに確実に連結するための多数の固定手段を記載している。(特許文献5)は、代替の手順、即ち、まず、プラスチックが金属部分の開口部を通り、他方側にばりが残るようにシェル状の金属部分上にプラスチックを成形し、追加の加工工程でこのばりが確実な相互連結を形成するという2つの工程の使用を開示している。(特許文献6)は、ハイブリッド部品を製造するため、金属コアをプラスチックで完全にではなく部分的にオーバーモールドする(overmoulded)だけで確実な相互連結が得られることを開示している。(特許文献7)は、金属部分が上下両方に、オーバーモールドされたプラスチックと確実に相互連結するための開口部を提供する別の変形を開示している。(特許文献8)は、異なる材料、例えば、プラスチックと金属、又は異なる金属若しくはプラスチックの少なくとも2つのシート状加工物で構成された複合材料プラスチック部分を記載しており、そこで加工物は周囲領域で互いに連結され、連結はインサート成形された熱可塑性樹脂で構成されている。(特許文献9)は、ハイブリッド構造のシート状の軽量部品を開示している。(特許文献10)は、熱可塑性樹脂で構成された一体化された栓を有するチャネル又は管の形態のハイブリッド部品を開示している。(特許文献11)は、熱可塑性樹脂との確実な相互連結を達成するために、ハイブリッド部品として使用される金属部品を調製できる方法を開示している。(特許文献12)又は(特許文献13)には、補強される金属部分の中だけでなくその外側もリブ付けされ得ることが記載されている。
【0006】
ハイブリッド構造の中空チャンバ軽量部品は、高い安定性、衝突の際の高いエネルギー吸収、および軽量化が重要などのような場所にも、即ち、例えば、自動車(motor vehicle)の構造に優れた適性を有することがすぐに分かった。(特許文献14)は、フロントエンドの長さの大部分にわたって延び、硬質のクロスバー(transverse bar)の端部領域に注型されたプラスチックで構成された少なくとも1つの支持部品を有する少なくとも1つの硬質のクロスバーを有する自動車のフロントエンドを開示している。(特許文献15)は、鋼シート基体、強化されていない非晶質熱可塑性材料、ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂、および、例えばポリアミドで構成されたリブ構造で構成された自動車のフロントモジュールのための耐力構造を開示している。(特許文献16)は、対向して配置された金属シートと、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で構成された連結リブとで構成されたバンパーシステム又はエネルギー吸収要素を開示している。(特許文献17)は、自動車のブレーキペダル、クラッチペダル、又はアクセルペダルにハイブリッド技術を使用することを開示している。(特許文献18)は、また、ハイブリッド構造を使用した自動車ラジエータ装置のための支持構造を記載している。(特許文献19)は、ハイブリッド構造の車両のフロントモジュールのアッパクロスメンバを開示している。(特許文献20)は、車両のハイブリッド構造のクロスメンバを記載している。(特許文献21)は、自動車のフロントエンドパネルの別の例を記載しているが、ここで、材料は金属部分全部の周囲に射出成形されているのではなく、それを取り囲むウェブの形態を取る。ハイブリッド構造の軽量部品は、フロントエンド又はペダルだけでなく、車両の車体のどこにも使用することができる。例えば、(特許文献22)はドア枠を有する車両ドアの、(特許文献23)は車両の実車体の、(特許文献24)は車両の耐力要素(load-bearing elements)の解決を提供する。
【0007】
高流動性熱可塑性組成物は、射出成形用途などの様々な成形プロセスに有利である。例えば、電気、電子、および自動車産業の薄肉部品では、最小限の充填圧力又はそれに対応する射出成形機の型締め力を使用して金型を充填することを可能にするため、熱可塑性組成物の粘度は低くなければならない。これはまた、多数個取り金型として知られている共用ゲートシステム(shared gating system)で複数の射出成形部品を同時に充填する場合にも当てはまる。更に、熱可塑性組成物の粘度が低いとサイクル時間の短縮を達成できることが多い。高充填熱可塑性組成物、例えば、ガラス繊維含有量および/又は鉱物含有量が約40重量%を超えるものの場合、流動性がよいことも特に非常に重要である。
【0008】
しかし、熱可塑性組成物の流動性が高くても、それから製造される部品自体に、特に、それから製造されるハイブリッド部品には厳しい機械的要件があり、従って、粘度を低下させることによって機械的特性の低下が起こってはならない。
【0009】
高流動性、低粘度の熱可塑性成形用組成物を得る方法は多数ある。
【0010】
1つの可能性は、熱可塑性成形用組成物の主ポリマーとして、低分子量の低粘度ポリマー樹脂を使用することである。しかし、低分子量ポリマー樹脂の使用により、機械的特性、特に靭性が損なわれることが多い。その他に、現存の重合プラントで低粘度ポリマー樹脂を製造するには、設備投資を伴う複雑な変更作業を必要とすることが多い。
【0011】
別の可能性は、ポリマー樹脂に添加され得る添加剤である流動助剤又は内部潤滑剤として知られているものを使用することである。
【0012】
これらの流動助剤は、文献、例えば、(非特許文献1)から既知であり、例えば、ポリオールの脂肪酸エステルであってもよく、又は脂肪酸若しくはアミンから誘導されたアミドであってもよい。しかし、これらの脂肪酸エステル、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート又はエチレングリコールジモンタノエートは、ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレート又はポリカーボネートなどの極性熱可塑性樹脂と限られた混和性を有するに過ぎない。従って、それらの濃度は、成形品の表面で増加し、このためそれらは離型剤としても使用される。しかし、特に、比較的高い濃度を使用するとき、又は熱老化時、又はポリアミドの場合は、水分を吸収した時も、それらはこれらの成形品の表面に移行する可能性があり、成形品の表面でそれらの濃度が増加する。例えば、このため、コーティングされる成形品では塗料の接着又は金属の接着に関する問題が起こる可能性がある。
【0013】
これらの界面活性流動助剤の代替として、ポリマー樹脂と相溶性がある内部流動助剤を使用することができる。この目的に好適な材料の例としては、ポリマー樹脂の極性と類似の極性を有する低分子量化合物、又は分岐、高分岐若しくは樹枝状のポリマーがある。これらの高分岐又は樹枝状の系は文献から既知であり、例えば、(非特許文献2)又は(非特許文献3)に記載されているような、分岐ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル又はポリアミンをベースにすることができる。
【0014】
原則的に、ポリアミドの流動性は、剛直な芳香族単位を有する高分岐ポリマーの添加によって、芳香族をベースにするポリマーの添加によって、又はフェノール、ビスフェノール、および類似の低分子量添加剤の添加によって改善することができる。
【0015】
しかし、特に、ハイブリッド部品に使用されるように、成形用組成物の流動性だけでなく、同時に成形品の弾性率および従って剛性にも影響を与えることが意図されている場合、従来技術の流動改善剤はすぐに限界に達する。使用される熱可塑性樹脂中にエテン、およびアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをベースにする他の共重合体を使用しても、ここでは所望の結果は達成されない。
【特許文献1】独国特許公開公報27 50 982
【特許文献2】EP−A 0 370 342
【特許文献3】EP−A 0 995 668
【特許文献4】国際公開第2002/068257号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/071741号パンフレット
【特許文献6】EP 1 294 552B1
【特許文献7】国際公開第2004/011315号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2001/38063号パンフレット
【特許文献9】EP 1 223 032 A2
【特許文献10】米国特許第6,761,187B1号明細書
【特許文献11】DE 195 43 324 A1
【特許文献12】EP 1 340 668 A2
【特許文献13】EP 1 300 325 A2
【特許文献14】EP 0 679 565 B1
【特許文献15】EP 1 032 526 B1
【特許文献16】DE 100 53 840 A1
【特許文献17】国際公開第2001/40009号パンフレット
【特許文献18】EP 1 211 164 B1
【特許文献19】DE 101 50 061 A1
【特許文献20】米国特許第6,688,680B1号明細書
【特許文献21】EP 1 380 493 A2
【特許文献22】DE 100 18 186 B4
【特許文献23】EP 1 232 935 A1
【特許文献24】DE 102 21 709 A1
【非特許文献1】「プラスチック」、2000年、9号、116〜118頁(Kunststoffe 2000,9,pp.116−118)
【非特許文献2】「プラスチック」、2001年、91号、179〜190頁(Kunststoffe 2001,91,pp.179−190)
【非特許文献3】「ポリマーサイエンスの進歩」、1999年、143号(分岐ポリマーII)、1〜34頁(Advances in Polymer Science 1999,143(Branched Polymers II),pp.1−34)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、第1に、高い耐座屈性、高い捩り安定性、および比較的高い強度などの従来技術の既知の利点を有するが、更に、比較的低重量で製造中の金型温度が比較的低いことを特徴とするハイブリッド構造の中空チャンバ軽量部品を製造することであり、ここで、重縮合体組成物の粘度はポリマー溶融物中に添加剤を使用することによって低下し、文献から既知の低粘度直鎖ポリマー樹脂又は添加剤を使用するときに起こる耐衝撃性および耐加水分解性などの特性の損失を受けずにすむ。剛性と最終的な引張強度に関して、理想的には、添加剤を使用しない重縮合体組成物と顕著な差がないことが意図されており、従って、例えば、ポリアミドをベースにするプラスチック構造物の材料の置換を問題なく行うことが可能となり、従って、ハイブリッド部品に最適に使用される。
【0017】
本発明の目的は、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部および内部空間にある、シェル状の基体で構成される軽量部品であって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子1〜30の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である、少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)の混合物(どの場合もA)と混合される)、
を含むポリマー成形用組成物が使用されることを特徴とする軽量部品を提供することによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1つの好ましい実施形態では、インサート成形された熱可塑性樹脂と基体の連結は別個の連結部位で基体の穿孔を介して行われ、プラスチック(熱可塑性樹脂)はこれらを貫通し、穿孔領域上に延び、このようにして確実な相互連結が達成される。本発明によれば、この手順は、1つ、2つ、3つ又はそれより多くの工程で実施され得る。シェル状の基体は、好ましくはU形を有するが、自動車のドアの場合、別の形状を有してもよい。しかし、シェル状の基体の設計は、本質的には、製造される成形品の形状によって決定される。金属、特に好ましくは鉄、鋼、真鍮、アルミニウム、マグネシウム又はチタンで構成されるシェル状の基体を使用することが好ましい。しかし、シェル状の基体自体を熱可塑性樹脂で構成してもよく、ここで使用される熱可塑性樹脂は本願の成分A)について記載されるものと同じであってもよい。
【0019】
ハイブリッド構造の本発明の軽量部品を得るためのポリマー成形用組成物の加工は、熱可塑性樹脂の成形プロセス、好ましくは射出成形、溶融押出成形、圧縮成形、スタンピング又は吹込成形によって行われる。原則的にどのタイプの熱可塑性樹脂でも有利な効果が得られる。成分A)として使用され得る熱可塑性樹脂は、例えば、プラスチックハンドブック(ゼヒトリング版)1989年出版(Kunststoff−Taschenbuch[Plastics Handbook](Ed.Saechtling),1989 edition)に列挙されており、それには供給元も記載されている。これらの熱可塑性樹脂の製造方法はそれ自体、当業者に既知である。前述の従来技術に開示されているハイブリッド技術の使用の変形でも全て同様に効果が得られ、プラスチック部分が金属部分を完全に封入するか、又はEP 1 380 493 A2の場合のように、その周囲にウェブを形成するだけであるかには無関係であり、また、プラスチック部分が後で接着によって組み込まれるか又は例えばレーザーで金属部分に連結されるか、又は、国際公開第2004/071741号パンフレットにおけるようにプラスチック部分と金属部分が追加の工程で確実な相互連結を得るかには無関係である。
【0020】
ハイブリッド技術の本発明の軽量部品の成分A)として使用され得る好ましい半結晶性熱可塑性ポリマー(熱可塑性樹脂)は、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ASAポリマー、ABSポリマー、SANポリマー、POM、PPE、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)又はそれらのブレンドからなる群から選択されるものであり、ここで、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、およびポリカーボネート、又はポリアミド、ポリエステル若しくはポリカーボネートを必須構成成分として含むブレンドが好ましい。
【0021】
加工され得る成形用組成物に使用される成分A)が、一連のポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、又はポリアミドから選択される少なくとも1種類のポリマー、又はこれらの熱可塑性樹脂と前述の材料とのブレンドを含むことが特に好ましい。
【0022】
本発明において成分A)として特に好ましく使用され得るポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸から、および/又は少なくとも5員環のラクタムから、又は対応するアミノ酸から出発して調製することができる半結晶性ポリアミドである。この目的に使用され得る出発物質は、アジピン酸、2,2,4−および2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの脂肪族および/又は芳香族ジカルボン酸、並びに、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタンの異性体、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、アミノカルボン酸、例えば、アミノカプロン酸などの脂肪族および/又は芳香族ジアミン、および対応するラクタムである。前述の複数のモノマーで構成されるコポリアミドが含まれる。
【0023】
本発明において好ましいポリアミドは、カプロラクタム、特に好ましくはε−カプロラクタム、並びに、PA6、PA66および他の脂肪族および/又は芳香族ポリアミド又はコポリアミドをベースにする化合物の大部分から調製され、ここでポリマー鎖のポリアミド基1個に対して3〜11個のメチレン基がある。
【0024】
本発明において成分A)として使用され得る半結晶性ポリアミドは、他のポリアミドおよび/又は他のポリマーと混合して使用することができる。
【0025】
従来の添加剤、例えば、離型剤、安定剤、および/又は流動助剤をポリアミドと共に溶融して混和してもよく又は表面に塗布してもよい。
【0026】
本発明において使用され得る別の特に好ましい成分A)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物とをベースにするポリエステルである。
【0027】
第1群の好ましいポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート、特にアルコール部分の炭素原子が2〜10のものである。
【0028】
このタイプのポリアルキレンテレフタレートは既知であり、文献に記載されている。それらの主鎖は、芳香族ジカルボン酸から誘導された芳香環を含む。芳香環は、例えば、ハロゲン(塩素又は臭素など)、又はC〜Cアルキル基(メチル、エチル、イソ−若しくはn−プロピル、又はn−、イソ−若しくはtert−ブチル基など)で置換されていてもよい。
【0029】
これらのポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル又は他のエステル形成誘導体を脂肪族ジヒドロキシ化合物と既知の方法で反応させることによって調製されてもよい。
【0030】
好ましいジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸、およびこれらの混合物が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の30モル%までを、好ましくは10モル%以下を、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族又は脂環式ジカルボン酸で置換してもよい。
【0031】
脂肪族ジヒドロキシ化合物の中で、炭素原子2〜6のジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびネオペンチルグリコール、およびこれらの混合物が好ましい。
【0032】
特に非常に好ましく使用される成分A)のポリエステルは、炭素原子2〜6のアルカンジオールから誘導されたポリアルキレンテレフタレートである。これらの中で、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、およびこれらの混合物が特に好ましい。また、他のモノマー単位として1,6−ヘキサンジオールおよび/又は2−メチル−1,5−ペンタンジオールを1重量%まで、好ましくは0.75重量%まで含むPETおよび/又はPBTも好ましい。
【0033】
本発明において成分A)として好ましく使用されるポリエステルの粘度数は、ISO1628に準拠して、一般に50〜220、好ましくは8〜160(25℃、重量比1:1のフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物中0.5重量%の濃度で測定された)の範囲である。
【0034】
末端カルボキシ基の含有量が100meq/kgポリエステルまで、好ましくは50meq/kgポリエステルまで、特に40meq/kgポリエステルまでのポリエステルが特に好ましい。このタイプのポリエステルは、例えば、DE−A 44 01 055のプロセスで調製されてもよい。末端カルボキシ基の含有量は、通常、滴定法(例えば、電位差測定法)によって決定される。
【0035】
成分A)としてポリエステル混合物を使用する場合、成形用組成物は、PBTとは異なるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成される混合物を含む。例えば、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、A)100重量%を基準にして、混合物中に好ましくは50重量%まで、特に10〜35重量%である。
【0036】
適宜、PBTなどのポリアルキレンテレフタレートと混合された、再生PA材料又は再生PET材料(スクラップPETとも称される)などの再生材料を使用することも有利である。
【0037】
再生材料は、一般に:
1)産業(post-industrial)再生材料として既知のもの:これらは、重縮合中又は加工中の製造廃棄物、例えば、射出成形からのスプル、射出成形若しくは押出成形からの出発物質、又は押し出されたシート又は箔から切り落とされた縁部分である。
2)消費者(post-consumer)再生材料:これらは、最終消費者が使用した後で収集および処理されたプラスチック物品である。ミネラルウォーター、ソフトドリンク、およびジュース用の吹込成形されたPETボトルが量的に圧倒的多数を占める。
【0038】
どちらのタイプの再生材料も粉砕された材料として使用しても、又はペレットの形態で使用してもよい。後者の場合、粗再生材料は分離および精製された後、押出機を使用して溶融およびペレット化される。これによって、通常、取り扱いおよび自由流動、並びに後の処理工程のための計量が容易になる。
【0039】
使用される再生材料は、ペレット化されていても、又は粉砕再生材料の形態であってもよい。縁部の長さ(edge length)は10mm以下、好ましくは8mm未満でなければならない。
【0040】
ポリエステルは加工中に(微量の水分により)加水分解を受けるため、再生材料を予備乾燥させることが望ましい。乾燥後の残留水分含有量は、好ましくは<0.2%、特に<0.05%である。
【0041】
成分A)に好ましく使用されるポリエステルの別の群として、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導された完全に芳香族のポリエステルが挙げられる。
【0042】
好適な芳香族ジカルボン酸は、ポリアルキレンテレフタレートについて前述した化合物である。好ましく使用される混合物は、5〜100モル%のイソフタル酸と0〜95モル%のテレフタル酸で、特に、約50〜約80モル%のテレフタル酸と20〜約50モル%のイソフタル酸で構成される。
【0043】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは、次の一般式を有する。
【0044】
【化1】

式中、
Zは、炭素原子8までのアルキレン基又はシクロアルキレン基、炭素原子12までのアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又はイオウ原子、又は化学結合であり、
mは、0〜2である。
【0045】
化合物のフェニレン基は、C〜Cアルキル基又はアルコキシ基、および、フッ素、塩素、又は臭素で置換されていてもよい。
【0046】
これらの化合物の親化合物の例としては、ジヒドロキシビフェニル、ジ(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α、α’−ジ(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシノール、およびヒドロキノン、および、これらの環アルキル化(ring-alkylated)および環ハロゲン化(ring-halogenated)誘導体がある。
【0047】
これらの中で、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α、α’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、および、2,2−ジ(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、および、特に2,2−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ(3’、5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、および2,2−ジ(3’、5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびこれらの混合物が好ましい。
【0048】
もちろん、ポリアルキレンテレフタレートと完全に芳香族のポリエステルの混合物を使用することも可能である。これらは、一般に、20〜98重量%のポリアルキレンテレフタレートと2〜80重量%の完全に芳香族のポリエステルを含む。
【0049】
もちろん、コポリエーテルエステルなどのポリエステルブロック共重合体を使用することも可能である。このタイプの製品は既知であり、例えば、米国特許第3,651,014号明細書などの文献に記載されている。また、対応する製品は市販されている(例えば、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)(デュポン(DuPont)))。
【0050】
本発明においてポリエステル、および従って成分A)としても好ましく使用される材料は、ハロゲン非含有ポリカーボネートも含む。好適なハロゲン非含有ポリカーボネートの例は、次の一般式のジフェノールをベースにするものである。
【0051】
【化2】

式中、
Qは、単結合、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルキリデン基、C〜Cシクロアルキリデン基、C〜C12アリーレン基、又は、−O−、−S−、又は−SO−であり、mは0〜2の整数である。
【0052】
ジフェノールのフェニレン基は、C〜Cアルキル又はC〜Cアルコキシなどの置換基を有してもよい。
【0053】
前記式の好ましいジフェノールの例としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがある。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0054】
ホモポリカーボネート又はコポリカーボネートが成分A)として好適であり、ビスフェノールAのコポリカーボネート、並びにビスフェノールAホモポリマーが好ましい。
【0055】
好適なポリカーボネートは既知のように、特に好ましくは、使用されるジフェノールの合計を基準にして0.05〜2.0モル%の少なくとも三官能性の化合物、例えば、3個以上のフェノール性OH基を有するものを組み込むことによって分岐していてもよい。
【0056】
1.10〜1.50、特に1.25〜1.40の相対粘度ηrelを有するポリカーボネートが、特に好適であることが分かった。これは、10000〜200000g/モル、好ましくは20000〜80000g/モルの平均モル質量M(重量平均)に対応する。
【0057】
一般式のジフェノールは既知であるか、又は既知のプロセスで調製できる。
【0058】
ポリカーボネートは、例えば、ジフェノールをホスゲンと界面プロセスで、又はホスゲンと均質相プロセス(ピリジンプロセスとして知られている)で反応させることによって調製されてもよく、各場合に、既知の方法で既知の連鎖停止剤を適量使用して所望の分子量を達成してもよい。(ポリジオルガノシロキサン含有ポリカーボネートに関しては、例えば、DE−A 33 34 782を参照されたい。)
【0059】
好適な連鎖停止剤の例としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、又は、DE−A 28 42 005におけるような4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノールなどの長鎖アルキルフェノール、又は、DE−A−35 06 472におけるようなアルキル置換基の総炭素原子が8〜20であるモノアルキルフェノール又はジアルキルフェノール(p−ノニルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールなど)がある。
【0060】
本発明の目的では、ハロゲン非含有ポリカーボネートは、ハロゲン非含有ジフェノール、ハロゲン非含有連鎖停止剤、および、ハロゲン非含有分岐剤(使用される場合)で構成されるポリカーボネートであるが、ここで、例えば、界面プロセスでホスゲンを用いたポリカーボネートの調製から生じるppmレベルの少量の加水分解可能な塩素の含有量は、本発明の目的ではハロゲンを含有する、の用語に値すると見なされない。ppmレベルの加水分解可能な塩素の含有量を有するこのタイプのポリカーボネートは、本発明の目的ではハロゲン非含有ポリカーボネートである。
【0061】
他の好適な成分A)としては、調製プロセス中、ホスゲンが、イソフタル酸単位および/又はテレフタル酸単位などの芳香族ジカルボン酸単位で置換された非晶質ポリエステルカーボネートを挙げてもよい。この点に関して、更なる詳細についてはEP−A711 810を参照されたい。
【0062】
EP−A 365 916は、モノマー単位としてシクロアルキル基を有する他の好適なコポリカーボネートを記載している。
【0063】
ビスフェノールAをビスフェノールTMCで置換することも可能である。このタイプのポリカーボネートは、バイエル社(Bayer AG)からアペック(APEC)HT(登録商標)の商標で入手可能である。
【0064】
しかし、成分A)として前述のポリアミド又はポリエステルを使用することが、本発明において好ましい。
【0065】
本発明において使用され得る成形用組成物は、成分B)として、B1)共重合体、好ましくは少なくとも1種類のオレフィン、好ましくはα−オレフィンと、脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成されるランダム共重合体を含むことができ、ここで、共重合体B)のMFIは100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上、特に好ましくは300g/10分以上である。1つの好ましい実施形態では、共重合体B1)は、エポキシド、オキセタン、酸無水物、イミド、アジリジン、フラン、酸、アミン、オキサゾリンを含む群から選択される他の反応性官能基を含有するモノマー単位、4重量%未満、特に好ましくは1.5重量%未満、特に非常に好ましくは0重量%で構成されている。
【0066】
共重合体B1)の構成成分として好適なオレフィン、好ましくはα−オレフィンは、好ましくは炭素原子2〜10であり、置換されていなくてもよく、又は1つ以上の脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基で置換されていてもよい。
【0067】
好ましいオレフィンは、エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ペンテンからなる群から選択されるものである。特に好ましいオレフィンは、エテンおよびプロペンであり、エテンが特に好ましい。
【0068】
前述のオレフィンの混合物も好適である。
【0069】
他の好ましい実施形態では、エポキシド、オキセタン、酸無水物、イミド、アジリジン、フラン、酸、アミン、オキサゾリンからなる群から選択される共重合体B1)の他の反応性官能基は専らオレフィンによって共重合体B1)に導入される。
【0070】
共重合体B1)中のオレフィンの含有量は、50〜90重量%、好ましくは55〜75重量%である。
【0071】
共重合体B1)は、オレフィンの他に、第2の構成成分によって更に定義される。好適な第2の構成成分は、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル又はアリールアルキルエステルであり、そのアルキル基又はアリールアルキル基は1〜30個の炭素原子から成形されている。ここでアルキル又はアリールアルキル基は、直鎖であっても又は分岐鎖であってもよく、また、脂環式基又は芳香族基を含有してもよく、この他に、1つ以上のエーテル又はチオエーテル官能基で置換されていてもよい。これに関して好適な他のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルは、ヒドロキシ基を1個だけ有し、炭素原子が30以下のオリゴエチレングリコール又はオリゴプロピレングリコールをベースにするアルコール成分から合成されるものである。
【0072】
例えば、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルのアルキル基又はアリールアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、1−(2−エチル)ヘキシル、1−ノニル、1−デシル、1−ドデシル、1−ラウリル、又は1−オクタデシルからなる群から選択されたものであってもよい。炭素原子6〜20のアルキル基又はアリールアルキル基が好ましい。また、直鎖アルキル基と炭素原子が同じであるがガラス転移温度Tが低い分岐アルキル基が特に好ましい。
【0073】
オレフィンが2−エチルヘキシルアクリレートと共重合している共重合体B1)が、本発明において特に好ましい。前述のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの混合物も好適である。
【0074】
ここでは、共重合体B1)中のアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの総量を基準にして60重量%超、特に好ましくは90重量%超、特に非常に好ましくは100重量%の2−エチルヘキシルアクリレートを使用することが好ましい。
【0075】
他の好ましい実施形態では、共重合体B1)中のエポキシド、オキセタン、酸無水物、イミド、アジリジン、フラン、酸、アミン、オキサゾリンからなる群から選択される他の反応性官能基は、専らアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルによって共重合体B1)に導入される。
【0076】
共重合体B1)中のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの含有量は、10〜50重量%、好ましくは25〜45重量%である。
【0077】
それらの構成の他に、好適な共重合体B1)の別の特徴は、低分子量である。従って、本発明の成形用組成物に好適な共重合体B1)は、190℃、2.16kgの荷重で測定したMFI値(メルトフローインデックス)が少なくとも100g/10分、好ましくは少なくとも150g/10分、特に好ましくは少なくとも300g/10分のものだけである。
【0078】
例えば、成分B1)として好適な共重合体は、ロトリル(Lotryl)(登録商標)EHの商標でアトフィナ(Atofina)によって供給される材料の群から選択されるものであってもよく、これらは通常、ホットメルト接着剤として使用される。
【0079】
本発明の成形用組成物は、成分B)として、B1)の代わりに0.01〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に0.7〜10重量%のB2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート、好ましくは10〜550mgKOH/gポリカーボネート、特に50〜550mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、第2部に準拠)である少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は、成分B3)として少なくとも1種類の過分岐ポリエステル、又はB1)とB2)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)の混合物を含むことができる。
【0080】
本発明の目的では、過分岐ポリカーボネートB2)は、ヒドロキシ基と炭酸基を有する非架橋高分子であり、これらは構造不均一性と分子不均一性の両方を有する。それらの構造は、第1に、デンドリマーと同様に中心分子から延びるが、分枝の鎖長は不均一である。第2に、それらは、官能性ペンダント基を有する直鎖構造を有してもよく、又は、直鎖と分岐鎖の分子部分の2つの極端の組み合わせを有してもよい。また、デンドリマーおよび過分岐ポリマーの定義については、P.J.フローリー、米国化学会誌、1952年74号、2718頁(P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc.1952,74,2718)、およびH.フレイら、ケミストリー・ヨーロピアン・ジャーナル、2000年6、14号、2499頁(H.Frey et al.,Chem.Eur.J.2000,6,no.14,2499)を参照されたい。
【0081】
本発明の文脈における「過分岐」は、分岐度(DB)、即ち、1分子当たりの平均樹枝状結合数プラス平均末端基数が、10〜99.9%、好ましくは20〜99%、特に好ましくは20〜95%であることを意味する。
【0082】
本発明の文脈における「デンドリマー」は、分岐度が99.9〜100%であることを意味する。「分岐度」の定義については、H.フレイら、アクタ・ポリマー、1997年48号、30頁(H.Frey et al.,Acta Polym.1997,48,30)を参照されたい。
【0083】
成分B2)は、好ましくは100〜15000g/モル、好ましくは200〜12000g/モル、特に500〜10000g/モルの数平均モル質量Mを有する(GPC、PMMA標準)。
【0084】
ガラス転移温度Tgは、特に、−80〜+140℃、好ましくは−60〜+120℃である(DSC、DIN53765に準拠)。
【0085】
特に、23℃での粘度(mPas)(DIN53019による)は、50〜200000、特に100〜150000、特に非常に好ましくは200〜100000である。
【0086】
成分B2)は、好ましくは、少なくとも次の工程を含むプロセスで得ることができる:
a)アルコールROHを除去しながら、一般式RO[(CO)]ORの少なくとも1種類の有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1種類の脂肪族、脂肪族/芳香族、又は芳香族アルコール(B)と反応させて1種類以上の縮合物(K)を得る工程であって、各Rは、互いに独立に、炭素原子1〜20の直鎖又は分岐鎖の脂肪族、芳香族/脂肪族、又は芳香族炭化水素基であり、R基は互いに結合して環を形成していてもよく、nは1〜5の整数である。
ab)塩化水素を除去しながら、ホスゲン、ジホスゲン、又はトリホスゲンをa)で前述のアルコール(B)と反応させる工程、
b)縮合物(K)を分子間反応させて、高官能性高分岐、又は高官能性過分岐ポリカーボネートを得る工程であって、反応混合物中のOH基対カーボネートの量的な割合は、縮合物(K)が平均して1個のカーボネート基と1個より多くのOH基、又は、1個のOH基と1個より多くのカーボネート基を有するように選択される工程。
【0087】
ホスゲン、ジホスゲン、又はトリホスゲンを出発物質として使用してもよいが、有機カーボネートが好ましい。
【0088】
出発物質として使用され、一般式RO(CO)ORを有する有機カーボネート(A)のR基はそれぞれ、互いに独立に、炭素原子1〜20の直鎖又は分岐鎖の脂肪族、芳香族/脂肪族、又は芳香族炭化水素基である。2つのR基は互いに結合して環を形成していてもよい。基は、好ましくは、脂肪族炭化水素基、特に好ましくは、炭素原子1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は、置換若しくは非置換フェニル基である。
【0089】
特に、式RO(CO)ORの単純なカーボネートが使用され、nは好ましくは1〜3、特に1である。
【0090】
例えば、ジアルキル又はジアリールカーボネートは、脂肪族、芳香脂肪族、又は芳香族アルコール、好ましくはモノアルコールと、ホスゲンとの反応から調製されてもよい。それらは、貴金属、酸素、又はNOの存在下、COによるアルコール又はフェノールの酸化的カルボニル化により調製されてもよい。ジアリール又はジアルキルカーボネートの調製方法に関して、「ウルマンの工業化学百科事典」、第6版、2000年、電子配信、ウィリー−VCH出版(“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,6th edition,2000 Electronic Release,Verlag Wiley−VCH)も参照されたい。
【0091】
好適なカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、プロピレン1,2−又は1,3−カーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチレンフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネート、又はジドデシルカーボネートなどの脂肪族、芳香族/脂肪族、又は芳香族カーボネートが含まれる。
【0092】
nが1より大きいカーボネートの例としては、ジ(tert−ブチル)ジカーボネートなどのジアルキルジカーボネート、又はジ(tert−ブチル)トリカーボネートなどのジアルキルトリカーボネートが含まれる。
【0093】
脂肪族カーボネート、特に、基の炭素原子が1〜5個であるもの、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、又はジイソブチルカーボネートを使用することが好ましい。
【0094】
有機カーボネートを、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1種類の脂肪族アルコール(B)と、又は2種類以上の異なるアルコールの混合物と反応させる。
【0095】
少なくとも3個のOH基を有する化合物の例としては、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、フロログルシド、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、又は、糖類、例えば、グルコース、3価以上の多価アルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はブチレンオキサイドをベースにする3価以上の多価ポリエーテルオール、又はポリエステルオールが含まれる。ここでは、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、およびエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをベースにするそれらのポリエーテルオールが特に好ましい。
【0096】
これらの多価アルコールを2価のアルコール(B’)と混合して使用してもよいが、但し、使用される全てのアルコールの平均総OH官能基は2より大きいことを条件とする。2個のOH基を有する好適な化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,3−、および1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−、および1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシフェニル、ビス(4−ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、又はこれらの混合物をベースにする2価のポリエーテルポリオール、ポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトン、又は、ジオールおよびジカルボン酸をベースにするポリエステルオールが含まれる。
【0097】
ジオールはポリカーボネートの特性の微調整に役立つ。2価のアルコールを使用する場合、2価のアルコールB’)対少なくとも3価のアルコール(B)の比は当業者によって設定され、ポリカーボネートの所望の特性に依存する。(1種類以上の)2価のアルコール(B’)の量は、アルコール(B)と(B’)を全部合わせた総量を基準にして、一般に0〜39.9モル%である。量は、好ましくは、0〜35モル%、特に好ましくは0〜25モル%、特に非常に好ましくは0〜10モル%である。
【0098】
ホスゲン、ジホスゲン、又はトリホスゲンと、アルコール又はアルコール混合物の反応は、一般に塩化水素を除去しながら行われ、高官能性高分岐ポリカーボネートを得るためのカーボネートとアルコール又はアルコール混合物の反応は、カーボネート分子から一官能性アルコール又はフェノールを除去しながら行われる。
【0099】
高官能性高分岐ポリカーボネートは、調製後、即ち、更に変性させることなく、ヒドロキシ基および/又はカーボネート基で停止されている。それらは様々な溶媒、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、ブタノールなど)、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート、又はプロピレンカーボネートに十分溶解する。
【0100】
本発明の目的では、高官能性ポリカーボネートは、ポリマー骨格を形成するカーボネート基の他に、少なくとも3個の、好ましくは少なくとも6個の、より好ましくは少なくとも10個の末端基又はペンダント官能基を更に有する生成物である。官能基は、カーボネート基および/又はOH基である。原則的に末端基又はペンダント官能基の数の上限はないが、官能基の数が非常に大きい生成物は、高粘度又は低溶解性などの望ましくない特性を有する可能性がある。本発明の高官能性ポリカーボネートは、ほとんど、500個以下の末端基又はペンダント官能基、好ましくは100個以下の末端基又はペンダント官能基を有する。
【0101】
高官能性ポリカーボネートB2)を調製するとき、得られる最も簡単な縮合物(以下、縮合物(K)と称される)が、平均して1個のカーボネート基又はカルバモイル基と1個より多くのOH基、又は1個のOH基と1個より多くのカーボネート基又はカルバモイル基を含むように、OH基を含む化合物、対、ホスゲン又はカーボネートの比を調整することが必要である。ここで、カーボネート(A)とジ−又はポリアルコール(B)で構成される縮合物(K)の最も簡単な構造から配置XY又はYXが得られ、ここで、Xはカーボネート基であり、Yはヒドロキシ基であり、nは一般に1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3の数である。ここで得られる単一の基である反応基は、以下で一般に「焦点基(focal group)」と称される。
【0102】
例えば、カーボネートと2価のアルコールから最も簡単な縮合物(K)を調製する時、反応比が1:1である場合、平均して、一般式Iで示されるXYタイプの分子が得られる。
【0103】
【化3】

【0104】
カーボネートと3価のアルコールから1:1の反応比で縮合物(K)を調製する時、平均して、一般式IIで示されるXYタイプの分子が得られる。ここでカーボネート基が焦点基である。
【0105】
【化4】

【0106】
カーボネートと4価のアルコールから同様に1:1の反応比で縮合物(K)を調製する時、平均して、一般式IIIで示されるXYタイプの分子が得られる。ここでカーボネート基が焦点基である。
【0107】
【化5】

【0108】
式(I)〜(III)のRは前述の定義を有し、Rは脂肪族基又は芳香族基である。
【0109】
縮合物(K)は、例えば、一般式(IV)で示されるようにカーボネートと3価のアルコールから調製されてもよく、モル反応比は2:1である。ここで、平均して、XYタイプの分子が得られ、OH基が焦点基である。式(IV)では、RおよびR’は式(I)〜(III)に定義される通りである。
【0110】
【化6】

【0111】
二官能性化合物、例えば、ジカーボネート又はジオールも成分に加えられる場合、これによって、例えば、一般式(V)に示されるように鎖が延長される。ここでも、平均して、XYタイプの分子が得られ、カーボネート基が焦点基である。
【0112】
【化7】

【0113】
式(V)では、Rは有機基、好ましくは脂肪族基であり、RおよびRは前記に定義された通りである。
【0114】
2種類以上の縮合物(K)を合成に使用することも可能である。ここで、第1に、2種類以上のアルコール又は2種類以上のカーボネートを使用してもよい。更に、使用されるアルコールとカーボネート又はホスゲンの比を選択することによって、異なる構造の様々な縮合物の混合物を得ることができる。これは、カーボネートと3価のアルコールの反応の例で説明され得る。出発物質が(II)に示すように1:1の反応比で反応する場合、XY分子が得られる。出発物質が(IV)に示すように2:1の反応比で反応する場合、XY分子が得られる。比が1:1〜2:1である場合、XY分子とXY分子の混合物が得られる。
【0115】
本発明によれば、式(I)〜(V)に例として記載された簡単な縮合物(K)は、好ましくは分子間反応し、高官能性重縮合物(以下、重縮合物(P)と称される)を形成する。縮合物(K)を得る、および重縮合物(P)を得る反応は、通常0〜250℃、好ましくは60〜160℃の温度で塊状で又は溶液中で行われる。
【0116】
ここで、一般に、各出発物質に対して不活性な溶媒のいずれかを使用してもよい。有機溶媒、例えば、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、又はソルベントナフサの使用が好ましい。
【0117】
一実施形態では、縮合反応は塊状で実施される。反応を促進するために、反応中に遊離したフェノール又は1価のアルコールROHを、適宜、減圧で蒸留することによって反応平衡から除去することができる。
【0118】
蒸留により除去しようとする場合、一般に、反応中140℃未満の沸点を有するアルコールROHを遊離するカーボネートを使用することが望ましい。
【0119】
また、反応を促進するため、触媒又は触媒混合物を添加してもよい。好適な触媒は、エステル化又はエステル交換反応を触媒する化合物、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩(好ましくはナトリウム、カリウム、又はセシウムの水酸化物/炭酸塩/炭酸水素塩)、三級アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、又は有機ビスマス化合物、又は、例えば、DE−A 10138216又はDE−A 10147712に記載されているような複合金属シアン化物(DMC)触媒として既知のものである。
【0120】
水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール類(イミダゾール、1−メチルイミダゾール、又は1,2−ジメチルイミダゾールなど)、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、二オクタン酸第一スズ(stannous dioctoate)、アセチルアセトナトジルコニウム、又はこれらの混合物を使用することが好ましい。
【0121】
一般に添加される触媒の量は、使用されるアルコール混合物又はアルコールの量を基準にして50〜10000重量ppm、好ましくは100〜5000重量ppmである。
【0122】
好適な触媒を添加することによって、又は好適な温度を選択することによって、分子間重縮合反応を制御することも可能である。更に、ポリマー(P)の平均分子量を出発成分の組成で、および滞留時間で調整してもよい。
【0123】
高温で調製された縮合物(K)および重縮合物(P)は、通常、室温で比較的長時間、安定である。
【0124】
縮合物(K)の性質により、縮合反応から異なる構造を有する重縮合物(P)を得ることが可能であり、これらは分岐を有するが架橋がない。更に、理想的な場合、重縮合物(P)は、焦点基である1個のカーボネート基と2個より多くのOH基を、又は、焦点基である1個のOH基と2個より多くのカーボネート基を有する。ここで、反応基の数は、使用される縮合物(K)の性質と重縮合度の結果である。
【0125】
例えば、一般式(II)による縮合物(K)は、三分子間縮合(triple intermolecular condensation)により反応し、一般式(VI)および(VII)で示される2種類の異なる重縮合物(P)を得ることができる。
【0126】
【化8】

【0127】
式(VI)および(VII)中、RおよびR’は前記に定義した通りである。
【0128】
分子間の重縮合反応を停止させる様々な方法がある。例えば、反応が停止し、生成物(K)又は重縮合物(P)が貯蔵安定である範囲に温度を低下させてもよい。
【0129】
例えば、塩基性触媒の場合、ルイス酸又はプロトン酸の添加により触媒を失活させることも可能である。
【0130】
別の実施形態では、縮合物(K)の分子間反応が、所望の重縮合度を有する重縮合物(P)を生成するとすぐ、(P)の焦点基に対して反応性の基を有する生成物を生成物(P)に添加して反応を停止させてもよい。焦点基がカーボネート基である場合、従って、例えば、モノアミン、ジアミン、又はポリアミンを添加してもよい。焦点基がヒドロキシ基である場合、例えば、モノイソシアネート、ジイソシアネート、又はポリイソシアネート、又はエポキシ基を含む化合物、又はOH基と反応する酸誘導体を生成物(P)に添加してもよい。
【0131】
高官能性ポリカーボネートは、ほとんど、0.1ミリバール〜20バール、好ましくは1ミリバール〜5バールの圧力範囲で、バッチ式、半連続的、又は連続的に運転される反応器又はカスケード反応器で調製される。
【0132】
反応条件を前述のように調整することにより、および、適宜、好適な溶媒を選択することにより、調製後、更に精製することなく本発明の生成物を更に加工することができる。
【0133】
別の好ましい実施形態では、生成物はストリッピングされる、即ち、低分子量、揮発性化合物が取り除かれる。このため、所望の転換度に達すると、任意に触媒を失活させ、適宜、気体を、好ましくは窒素、二酸化炭素、又は空気を導入して、適宜、減圧で蒸留することによって、低分子量揮発性構成成分、例えば、モノアルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素、又は揮発性オリゴマー又は環状化合物を除去することができる。
【0134】
別の好ましい実施形態では、ポリカーボネートは、反応によりこの段階で存在する官能基のほかに、他の官能基を含んでもよい。分子量を増加させるプロセス中、又はその後で、即ち、実際の重縮合の完了後に、官能化を行ってもよい。
【0135】
分子量を増加させるプロセスの前又はそのプロセス中、ヒドロキシ基又はカーボネート基のほかに、他の官能基又は官能性元素(functional elements)を有する成分が添加される場合、カーボネート基又はヒドロキシ基以外のランダムに分布した官能基を有するポリカーボネートポリマーが得られる。
【0136】
このタイプの効果は、例えば、重縮合中、ヒドロキシ基、カーボネート基又はカルバモイル基のほかに、メルカプト基、一級、二級、又は三級アミノ基、エーテル基、カルボン酸の誘導体、スルホン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基、又は長鎖アルキル基などの、他の官能基又は官能性元素を有する化合物を添加することによって達成され得る。カルバメート基による変性に使用され得る化合物の例としては、エタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2’−アミノエトキシ)エタノール、又は、アンモニアのそれより高級なアルコキシル化生成物(higher alkoxylation products)、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、又はイソホロンジアミンがある。
【0137】
メルカプト基による変性に使用され得る化合物の例としては、メルカプトエタノールがある。例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、又はN,N−ジメチルエタノールアミンを組み込むことによって三級アミノ基を生成することができる。例えば、2価以上の多価ポリエーテルオールの共縮合によりエーテル基を生成してもよい。長鎖アルカンジオールとの反応により長鎖アルキル基を導入することができ、アルキル又はアリールジイソシアネートとの反応により、アルキル基、アリール基、およびウレタン基、又は尿素基を有するポリカーボネートが生成する。
【0138】
ジカルボン酸、トリカルボン酸を添加することによってエステル基を生成することができる(例えば、ジメチルテレフタレート、又はトリカルボン酸エステル)。
【0139】
得られる高官能性高分岐、又は高官能性過分岐ポリカーボネートを、ポリカーボネートのOH基および/又はカーボネート基又はカルバモイル基と反応できる好適な官能化試薬と反応させる追加のプロセス工程を使用することによって、その後の官能化を達成することができる。
【0140】
例えば、酸基又はイソシアネート基を含む分子を添加することによって、ヒドロキシ基を含む高官能性高分岐、又は高官能性過分岐ポリカーボネートを変性させることができる。例えば、酸無水物基を含む化合物との反応により、酸基を含むポリカーボネートを得ることができる。
【0141】
更に、アルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はブチレンオキサイドとの反応により、ヒドロキシ基を含む高官能性ポリカーボネートを高官能性ポリカーボネートポリエーテルポリオールに転換してもよい。
【0142】
本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品の製造に使用され得る成形用組成物は、成分B3)として、Aタイプの少なくとも1種類の過分岐ポリエステルを含むことができ、ここで、
xは、少なくとも1.1、好ましくは少なくとも1.3、特に少なくとも2であり、
yは、少なくとも2.1、好ましくは少なくとも2.5、特に少なくとも3である。
【0143】
もちろん、単位Aおよび/又は単位Bとして、混合物を使用してもよい。
【0144】
タイプのポリエステルは、x官能性分子Aとy官能性分子Bで構成される縮合物である。例えば、アジピン酸(分子Aとして(x=2))とグリセロール(分子Bとして(y=3))で構成されるポリエステルが挙げられる。
【0145】
本発明の目的では、過分岐ポリエステルB3)は、ヒドロキシ基とカルボキシ基を有する架橋されていない高分子であり、これらは構造不均一性と分子不均一性を両方とも有する。それらの構造は、第1に、デンドリマーと同様に中心分子から延びるが、分枝の鎖長は不均一である。第2に、それらは、官能性ペンダント基を有する直鎖構造を有してもよく、又は、それらは、直鎖と分岐鎖の分子部分の2つの極端の組み合わせを有してもよい。また、デンドリマーおよび過分岐ポリマーの定義については、P.J.フローリー、米国化学会誌、1952年、74号、2718頁(P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc,1952,74,2718)およびH.フレイら、ケミストリー・ヨーロピアン・ジャーナル、2000年、6、14号、2499頁(Chem.Eur.J.2000,6,no.14,2499)を参照されたい。
【0146】
本発明の文脈における「過分岐」は、分岐度(DB)、即ち、1分子当たりの平均樹枝状結合数プラス平均末端基数が、10〜99.9%、好ましくは20〜99%、特に好ましくは20〜95%であることを意味する。本発明の文脈における「デンドリマー」は、分岐度が99.9〜100%であることを意味する。「分岐度」の定義については、例えば、H.フレイら、アクタ・ポリマー、1997年、48号、30頁(H.Frey et al.,Acta Polym.1997,48,30)を参照されたい。
【0147】
成分B3)は、好ましくは、GPC、PMMA標準、ジメチルアセトアミド溶離液によって決定される300〜30000g/モル、特に400〜25000g/モル、とりわけ500〜20000g/モルの分子量を有する。
【0148】
B3)は、好ましくは、OH数が、DIN53240に準拠して0〜600mgKOH/gポリエステル、好ましくは1〜500mgKOH/gポリエステル、特に20〜500mgKOH/gポリエステルであり、COOH数が0〜600mgKOH/gポリエステル、好ましくは1〜500mgKOH/gポリエステル、特に2〜500mgKOH/gポリエステルである。
【0149】
Tgは、好ましくは−50℃〜140℃、特に−50℃〜100℃である(DSCにより、DIN53765に準拠)。
【0150】
OH又はCOOH数の少なくとも1つが0より大きい、好ましくは0.1より大きい、特に0.5より大きい成分B3)が、特に好ましい。
【0151】
成分B3)は、例えば、
(m)1種類以上のジカルボン酸若しくは1種類以上のその誘導体を1種類以上の少なくとも3価のアルコールと、
又は
(n)1種類以上のトリカルボン酸又はそれより高官能価のポリカルボン酸又はその1種類以上の誘導体と1種類以上のジオールを溶媒の存在下で、および、任意に無機触媒、有機金属触媒、又は低分子量有機触媒、又は酵素の存在下で、
反応させることによって後述のプロセスで得ることができる。溶媒中での反応は好ましい調製方法である。
【0152】
高官能性過分岐ポリエステルB3)は、分子不均一性と構造不均一性を有する。それらは分子不均一性のためデンドリマーとは異なり、従って、それらをかなり低コストで調製することができる。
【0153】
変形(m)に従って反応し得るジカルボン酸には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、cis−およびtrans−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、並びに、cis−およびtrans−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸があり、前述のジカルボン酸は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソへキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、およびn−デシルなどのC〜C10アルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシルなどのC〜C12シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが好ましい)、メチレン又はエチリデンなどのアルキレン基、又は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、および9−フェナントリルなどのC〜C14アリール基(好ましくはフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、特に好ましくはフェニル)から選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0154】
置換されたジカルボン酸の代表例として、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸が挙げられる。
【0155】
また、変形(m)に従って反応し得るジカルボン酸には、マレイン酸およびフマル酸などのエチレン性不飽和酸、および、フタル酸、イソフタル酸、又はテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もある。
【0156】
また、前述の代表的化合物の2つ以上の混合物を使用することも可能である。
【0157】
ジカルボン酸は、ジカルボン酸として使用されても、又は誘導体の形態で使用されてもよい。
【0158】
誘導体は、好ましくは、
−モノマー又はポリマーの形態の関連する酸無水物、
−モノ−又はジアルキルエステル、好ましくはモノ−又はジメチルエステル、又は対応するモノ−又はジエチルエステル、又は、それより高級なアルコール(n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールなど)から誘導されたモノ−およびジアルキルエステル、
−また、モノ−およびジビニルエステル、並びに
−混合エステル、好ましくはメチルエチルエステル
である。
【0159】
しかし、ジカルボン酸および1種類以上のその誘導体で構成される混合物を使用することも可能である。同様に、1種類以上のジカルボン酸の2種類以上の異なる誘導体の混合物を使用することも可能である。
【0160】
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、又はこれらのモノ−又はジメチルエステルを使用することが特に好ましい。アジピン酸を使用することが特に非常に好ましい。
【0161】
反応し得る少なくとも3価のアルコールの例としては、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、又は、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール又はジペンタエリトリトール;メソエリトリトール、トレイトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール、又は前記の少なくとも3価のアルコールの混合物がある。グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンおよびペンタエリトリトールを使用することが好ましい。
【0162】
変形(n)に従って反応し得るトリカルボン酸又はポリカルボン酸の例としては、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、およびメリト酸がある。
【0163】
トリカルボン酸又はポリカルボン酸は、本発明の反応にトリカルボン酸又はポリカルボン酸として使用されても、又は誘導体の形態で使用されてもよい。
【0164】
誘導体は、好ましくは
−モノマ又はポリマーの形態の関連する酸無水物、
−モノ−、ジ−、若しくはトリアルキルエステル、好ましくはモノ−、ジ−、若しくはトリメチルエステル、又は対応するモノ−、ジ−、若しくはトリエチルエステル、又は、それより高級なアルコール(n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールなど)から誘導されたモノ−、ジ−、およびトリエステル、又は、モノ−、ジ−、若しくはトリビニルエステル、
−および、混合メチルエチルエステル、
である。
【0165】
トリ−又はポリカルボン酸、およびその誘導体の1種類以上で構成される混合物を使用することも可能である。同様に、成分B3)を得るために、1種類以上のトリ−又はポリカルボン酸の2種類以上の異なる誘導体の混合物を使用することも可能である。
【0166】
変形(n)に使用されるジオールの例としては、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロへキサンジオール、イノシトールおよび誘導体、(2)−メチルペンタン−2,4−ジオール、2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CHCHO)−H又はポリプロピレングリコールHO(CH[CH]CHO)−H又は前記化合物の2種類以上の代表的化合物の混合物(ここで、nは整数であり、n=4である)がある。前述のジオールの1つ又は両方のヒドロキシ基はSH基で置換されていてもよい。エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、およびジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびトリプロピレングリコールが好ましい。
【0167】
変形(m)および(n)中のAポリエステル中の分子A対分子Bのモル比は、4:1〜1:4、特に2:1〜1:2である。
【0168】
前記プロセスの変形(m)に従って反応した少なくとも3価のアルコールは、全部が同一の反応性を有するヒドロキシ基を有してもよい。ここで、OH基が最初は同一の反応性を有するが、少なくとも1つの酸基との反応によって立体効果又は電子効果のため残りのOH基の反応性の低下を誘導することができる少なくとも3価のアルコールも好ましい。例えば、これは、トリメチロールプロパン又はペンタエリトリトールを使用するときに当てはまる。
【0169】
しかし、変形(m)に従って反応した少なくとも3価のアルコールは、少なくとも2つの異なる化学反応性を有するヒドロキシ基を有してもよい。
【0170】
ここで、官能基の異なる反応性は、化学的原因(例えば、一級/二級/三級OH基)又は立体的原因による。
【0171】
例えば、トリオールは、一級および二級ヒドロキシ基を有するトリオールを含んでもよく、好ましい例はグリセロールである。
【0172】
本発明の反応が変形(m)に従って実施されるとき、ジオールおよび1価のアルコールがない状態で処理することが好ましい。
【0173】
本発明の反応が変形(n)に従って実施されるとき、モノ−又はジカルボン酸がない状態で処理することが好ましい。
【0174】
本プロセスは溶媒の存在下で実施される。例えば、パラフィン又は芳香族化合物などの炭化水素が好適である。特に好適なパラフィンは、n−ヘプタンおよびシクロへキサンである。特に好適な芳香族化合物はトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、異性体の混合物の形態のキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、並びに、o−およびm−ジクロロベンゼンである。酸触媒がない状態で特に非常に好適な他の溶媒は:ジオキサン又はテトラヒドロフランなどのエーテル、並びに、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトンである。
【0175】
添加される溶媒の量は、使用され、反応し得る出発物質の重量を基準にして少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、および特に好ましくは少なくとも10重量%である。使用され、反応し得る出発物質の重量を基準にして過剰の溶媒、例えば、1.01〜10倍の量を使用することも可能である。反応物質の濃度が著しく低いと、反応速度が著しく低下し、反応時間が長くなり不経済であるため、溶媒の量が、使用され、反応し得る出発物質の重量の100倍より多いと有利ではない。
【0176】
本プロセスを実施するため、添加剤として脱水剤を用いて処理してもよく、それは反応の開始時に添加される。好適な例としては、モレキュラーシーブ、特に4Åのモレキュラーシーブ、MgSO、およびNaSOがある。反応中、他の脱水剤を添加すること、又は脱水剤を新しい脱水剤と交換することも可能である。反応中、形成された水又はアルコールを蒸留により除去すること、および、例えば、除水器(water trap)を使用することも可能である。
【0177】
本プロセスは、酸性触媒の存在下で実施されてもよい。酸性の無機触媒、有機金属触媒、若しくは有機触媒、又は、2種類以上の酸性の無機触媒、有機金属触媒、若しくは有機触媒で構成される混合物の存在下で処理することが好ましい。
【0178】
酸性無機触媒の例としては、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、明礬、酸性シリカゲル(pH=6、特に=5)および、酸性酸化アルミニウムがある。酸性無機触媒として使用され得る他の化合物の例としては、一般式Al(OR)のアルミニウム化合物および一般式Ti(OR)のチタン酸エステルがあり、ここで、R基はそれぞれ同一であっても、又は異なってもよく、互いに独立に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、およびn−デシルなどのC〜C10アルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルなどのC〜C12シクロアルキル基から選択され、シクロペンチル、シクロへキシル、およびシクロヘプチルが好ましい。
【0179】
Al(OR)およびTi(OR)中のR基はそれぞれ好ましくは同一であり、イソプロピル又は2−エチルヘキシルから選択される。
【0180】
好ましい酸性有機金属触媒の例は、ジアルキルスズオキサイドRSnOから選択され、ここでRは前記のように定義される。酸性有機金属触媒に特に好ましい代表的化合物は、「オキソスズ(oxo-tin)」として市販されているジ−n−ブチルスズオキサイド又はジ−n−ブチルスズジラウレートである。
【0181】
好ましい酸性有機触媒は、例えば、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基、又はホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸が特に好ましい。例えば、スルホン酸基を含み、約2モル%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂などの酸性イオン交換体を酸性有機触媒として使用してもよい。
【0182】
前述の触媒の2種類以上の組み合わせを使用することも可能である。別個の分子の形態を取る有機触媒又は有機金属触媒、又は無機触媒を固定化された形態で使用することも可能である。
【0183】
酸性の無機触媒、有機金属触媒、又は有機触媒を使用しようとする場合、本発明によれば使用される触媒の量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。
【0184】
成分B3)の調製プロセスは不活性ガス下で、例えば、二酸化炭素、窒素、又は希ガス下で実施され、それらの中で特にアルゴンが挙げられる。本発明のプロセスは、60〜200℃の温度で実施される。130〜180℃、特に150℃以下の温度で処理することが好ましい。145℃までの最高温度が特に好ましく、135℃までの温度が特に非常に好ましい。本発明のプロセスの圧力条件は、重要ではない。著しく低い圧力で、例えば、10〜500ミリバールで処理することが可能である。プロセスは、500ミリバールより高い圧力で実施されてもよい。簡単であるため大気圧での反応が好ましいが、例えば、1200ミリバールまでの僅かに高い圧力で実施することも可能である。著しく高い圧力で、例えば、10バールまでの圧力で処理することも可能である。大気圧での反応が好ましい。反応時間は通常、10分〜25時間、好ましくはで30分〜10時間、特に好ましくは1〜8時間である。
【0185】
反応が終了すると、例えば、ろ過して触媒を除去し、混合物を濃縮することによって高官能性過分岐ポリエステル(B3)を容易に単離することができ、ここで、濃縮プロセスは、通常、減圧で実施される。他の好適な後処理(work-up)方法は、水を添加した後で沈殿させ、続いて洗浄および乾燥させることである。
【0186】
成分B3)は、酵素又は酵素の分解生成物の存在下で調製してもよい(DE−A 10 163 163に準拠)。本発明の目的では、酸性有機触媒の用語は、本発明により反応したジカルボン酸を含まない。
【0187】
リパーゼ又はエステラーゼを使用することが好ましい。好適なリパーゼ又はエステラーゼは、カンジダ・キリンドラケア(Candida cylindracea)、カンジダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・アンタクティカ(Candida antarctica)、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromobacterium viscosum)、ゲオトリクム・ビスコサム(Geotrichum viscosum)、ゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)、ムコール・ミーハイ(Mucor mihei)、ブタ膵臓、シュードモナスspp.(pseudomonas spp.)、蛍光菌(pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、リゾープス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾープス・デレマー(Rhizopus delemar)、リゾープス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・ロックフォルティ(penicillium roquefortii)、ペニシリウム・カマンベールティ(penicillium camembertii)、又は、バチルスssp.(Bacillus spp.)およびバチルス・サーモグルコシダシアス(Bacillus thermoglucosidasius)のエステラーゼである。カンジダ・アンタクティカ(Candida antarctica)リバーゼBが特に好ましい。列挙した酵素は、例えば、デンマーク、ノボザイムズ・バイオテック社(Novozymes Biotech Inc.)から市販されている。
【0188】
酵素は、好ましくは、例えば、シリカゲル又はレバチット(Lewatit)(登録商標)に固定化された形態で使用される。酵素を固定化するプロセスは、例えば、クルト・ファーバー、「有機化学における生体内変化」、第3版、1997年、シュプリンガー出版、3.2章「固定化」345〜356頁(Kurt Faber,“Biotransformations in organic chemistry”,3rd edition 1997,Springer Verlag,Chapter 3.2“Immobilization”pp.345−356)から既知である。固定化された酵素は、例えば、デンマーク、ノボザイムズ・バイオテック社(Novozymes Biotech Inc.)から市販されている。
【0189】
使用され得る固体化された酵素の量は、使用され、反応し得る出発物質の総重量を基準にして0.1〜20重量%、特に10〜15重量%である。
【0190】
酵素を使用するプロセスは60℃より高温で実施される。100℃以下の温度で処理することが好ましい。80℃までの温度が好ましく、62〜75℃の温度が特に非常に好ましく、65〜75℃の温度が更により好ましい。
【0191】
酵素を使用するプロセスは、溶媒の存在下で実施される。好適な化合物の例としては、パラフィン又は芳香族化合物などの炭化水素がある。特に好適なパラフィンは、n−ヘプタンおよびシクロへキサンである。特に好適な芳香族化合物は、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、異性体の混合物の形態のキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、およびo−およびm−ジクロロベンゼンである。他のとりわけ好適な溶媒は、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどのエーテル、並びに、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトンである。
【0192】
添加される溶媒の量は、使用され、反応し得る出発物質の総重量を基準にして少なくとも5重量部、好ましくは少なくとも50重量部、特に好ましくは少なくとも100重量部である。濃度が著しく低いと、反応速度が著しく低下し、反応時間が長くなり不経済であるため、10000重量部より多量の溶媒は望ましくない。
【0193】
酵素を使用するプロセスは、500ミリバールより高い圧力で実施される。大気圧又は僅かに高い圧力、例えば、1200ミリバールまででの反応が好ましい。著しく高い圧力で、例えば、10バールまでの圧力で処理することも可能である。大気圧での反応が好ましい。
【0194】
酵素を使用するプロセスの反応時間は、通常、4時間〜6日、好ましくは5時間〜5日、特に好ましくは8時間〜4日である。
【0195】
反応が終了すると、例えば、ろ過して酵素を除去し、混合物を濃縮することによって高官能性過分岐ポリエステルを単離することができ、この濃縮プロセスは、通常、減圧で実施される。他の好適な後処理方法は、水を添加した後で沈殿させ、続いて洗浄および乾燥させることである。
【0196】
このプロセスによって得ることができる高官能性過分岐ポリエステルB3)は、変色および樹脂化する材料の量が特に低いことを特徴とする。過分岐ポリマーの定義については、P.J.フローリー、米国化学会誌、1952年74号、2718頁(P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc.1952,74,2718)、およびA.サンダーら、ケミストリー・ヨーロピアン・ジャーナル、2000年6、1号、1〜8頁(A.Sunder et al.,Chem.Eur.J.2000,6,no.1,1−8)も参照されたい。しかし、本発明の文脈において、「高官能性過分岐」は、分岐度、即ち、1分子当たりの平均樹枝状結合数プラス平均末端基数が、10〜99.9%、好ましくは20〜99%、特に好ましくは30〜90%であることを意味する(これに関しては、H.フレイら、アクタ・ポリマー、1997年48号、30頁(H.Frey et al.,Acta Polym.1997,48,30)を参照されたい)。
【0197】
ポリエステルB3)のモル質量Mは、500〜50000g/モル、好ましくは1000〜20000g/モル、特に好ましくは1000〜19000g/モルである。多分散性は、1.2〜50、好ましくは1.4〜40、特に好ましくは1.5〜30、とりわけ好ましくは1.5〜10である。それらは、通常、溶解性が非常に高い、即ち、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸n−ブチル、エタノール、および他の多数の溶媒中に50重量%までの、場合によっては80重量%までのポリエステルB3)を使用して、肉眼で検出可能なゲル粒子がない透明な溶液を調製することができる。
【0198】
高官能性過分岐ポリエステルB3)は、カルボキシで停止、カルボキシおよびヒドロキシで停止されているが、好ましくはヒドロキシだけで停止されている。
【0199】
B)成分の混合物を使用する場合、成分B1)対B2)、又はB2)対B3)、又はB1)対B3)の比は、好ましくは1:20〜20:1、特に1:15〜15:1、とりわけ1:5〜5:1である。B1)、B2)およびB3)で構成される混合物を使用する場合、混合比は好ましくは1:1:20〜1:20:1又は〜20:1:1である。
【0200】
使用される過分岐ポリカーボネートB2)/ポリエステルB3)は、サイズが20〜500nmの粒子である。ポリマーブレンド中で、これらのナノ粒子は微粒子の形態を取り、コンパウンド中の粒子のサイズは、20〜500nm、好ましくは50〜300nmである。
【0201】
このタイプのコンパウンドは、例えば、ウルトラデュア(Ultradur)(登録商標)ハイスピード(high speed)の形態で市販されている。
【0202】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部又は内部空間にあるシェル状の基体で構成される軽量部品であって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、好ましくはポリアミド又はポリエステル、特に好ましくはポリアミド、および
B1)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の少なくとも1種類の共重合体であって、少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子1〜30の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体、
を含み、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上であるポリマー成形用組成物が使用されることを特徴とする軽量部品を提供する。
【0203】
本発明の別の好ましい実施形態では、ハイブリッド構造の軽量部品に使用される成形用組成物は、成分A)およびB)に加えて、
C)0.001〜75重量部、好ましくは10〜70重量部、特に好ましくは20〜65重量部、とりわけ好ましくは30〜65重量部のフィラー又は強化材、
も含むことができる。
【0204】
使用されるフィラー又は強化材は、また、例えば、タルク、又はマイカ、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、長石(feldspat)、硫酸バリウム、ガラスビーズをベースにする2種類以上の異なるフィラーおよび/又は強化材、および/又は炭素繊維および/又はガラス繊維をベースにする繊維フィラーおよび/又は強化材で構成される混合物を含むことができる。タルク、マイカ、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、長石(feldspat)、硫酸バリウム、および/又はガラス繊維をベースにする鉱物粒子状フィラーを使用することが好ましい。タルク、ウォラストナイト、カオリン、および/又はガラス繊維をベースにする鉱物粒子状フィラーを使用することが特に好ましく、ガラス繊維がとりわけ好ましい。
【0205】
特に寸法安定性における等方性と高い熱寸法安定性が要求される用途、例えば、自動車の車体外装部品の用途では、鉱物フィラー、特にタルク、ウォラストナイト、又はカオリンを使用することが好ましい。
【0206】
更に、針状鉱物フィラーを使用することが特に好ましい。本発明によれば、針状鉱物フィラーの用語は、顕著な針状の特徴を有する鉱物フィラーを意味する。例としては、針状ウォラストナイトが挙げられる。鉱物の長さ:直径の比は、好ましくは2:1〜35:1、特に好ましくは3:1〜19:1、とりわけ好ましくは4:1〜12:1である。サイラス粒度計(CILAS GRANULOMETER)を使用して決定した本発明の針状物質の平均粒度は、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満、とりわけ好ましくは10μm未満である。
【0207】
フィラーおよび/又は強化材は、適宜、例えば、カップリング剤又はカップリング剤系、例えば、シランをベースにするもので表面改質されていてもよい。しかし、この前処理は必須ではない。しかし、特にガラス繊維を使用するとき、シランに加えて、ポリマー分散体、フィルム形成剤、分岐剤、および/又はガラス繊維加工助剤を使用することも可能である。
【0208】
本発明において特に好ましく使用されるガラス繊維は、連続フィラメント繊維の形態で、又は細断若しくは粉砕されたガラス繊維の形態で添加され、その繊維径は、一般に7〜18μm、好ましくは9〜15μmである。好適なサイズ剤系およびカップリング剤又はカップリング剤系(例えば、シランをベースにするもの)が繊維に提供されていてもよい。
【0209】
シランをベースにし、一般に前処理に使用されるカプリング剤は、シラン化合物、好ましくは一般式(VIII)のシラン化合物である。
(X−(CH−Si−(O−C2r+14−k (VIII)
式中、
Xは、NH−、HO−又は
【0210】
【化9】

であり、
qは、2〜10、好ましくは3〜4の整数であり、
rは、1〜5、好ましくは1〜2の整数であり、
kは、1〜3の整数、好ましくは1である。
【0211】
更に好ましいカップリング剤は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、および、置換基Xとしてグリシジル基を有する対応するシランからなる群から選択されるシラン化合物である。
【0212】
フィラーの改質のための表面コーティングに使用されるシラン化合物の量は、鉱物フィラーを基準にして、一般に0.05〜2重量%、好ましくは0.25〜1.5重量%、特に0.5〜1重量%である。
【0213】
成形用組成物又は成形品を得る加工の結果、粒子状フィラーのd97値又はd50値は、最初に使用されるフィラー中よりも成形用組成物中又は成形品中の方が小さくなり得る。成形用組成物又は成形品を得る加工の結果、成形用組成物中又は成形品中のガラス繊維の長さの分布の方が、最初に使用されるものよりも短くなり得る。
【0214】
代替の好ましい実施形態では、本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品の製造に使用され得るポリマー成形用組成物は、適宜、成分A)およびB)およびC)に加えて、又はC)の代わりに、
D)0.001〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは9〜19重量部の少なくとも1種類の難燃添加剤、
を含むこともできる。
【0215】
使用される難燃添加剤又は難燃剤D)は、市販の有機ハロゲン化合物を相乗剤と共に含んでもよく、又は市販の有機窒素化合物又は有機/無機リン化合物を個々に又は混合して含んでもよい。水酸化マグネシウム、又は炭酸CaMg水和物(例えば、DE−A 4 236 122(=CA 210 9024 A1))などの難燃添加剤を使用することも可能である。脂肪族又は芳香族スルホン酸の塩を使用することも可能である。ハロゲン含有化合物、特に臭素化された化合物および塩素化された化合物の例としては、エチレン−1,2−ビステトラブロモフタルイミド、エポキシ化テトラブロモビスフェノールA樹脂、テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネート、テトラクロロビスフェノールAオリゴカーボネート、ペンタブロモポリアクリレート、臭素化ポリスチレンおよびデカブロモジフェニルエーテルが挙げられる。好適な有機リン化合物の例としては、国際公開第98/17720号パンフレット(=米国特許第6,538,024号明細書)によるリン化合物、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)およびそれから誘導されたオリゴマー、および、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)およびそれから誘導されたオリゴマー、および、更に、有機および無機ホスホン酸誘導体およびその塩、有機および無機ホスフィン酸誘導体およびその塩、特に、アルミニウムトリス[ジアルキルホスフィネート]又は亜鉛ビス[ジアルキルホスフィネート]などの金属ジアルキルホスフィネート、および、更に赤リン、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、酸化ホスフィン、ホスファゼン、ピロリン酸メラミン、およびこれらの混合物がある。使用され得る窒素化合物は、アラントイン誘導体、シアヌル酸誘導体、ジシアンジアミド誘導体、グリコールウリル誘導体、グアニジン誘導体、アンモニウム誘導体およびメラミン誘導体からなる群から選択されるものであり、好ましくはアラントイン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メラミンの縮合物、例えば、メレム(melem)、メラム(melam)、又はメロム(melom)、又は、縮合度のより高いこのタイプの化合物、およびメラミンと酸との付加物、例えばシアヌル酸との付加物(メラミンシアヌレート)、リン酸との付加物(リン酸メラミン)、又は縮合リン酸との付加物(例えば、ポリリン酸メラミン)である。好適な相乗剤の例としては、アンチモン化合物、特に三酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムおよび五酸化アンチモン、亜鉛化合物、例えば、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、および硫化亜鉛、スズ化合物、例えば、スズ酸スズ(tin stannate)およびホウ酸スズ、およびマグネシウム化合物、例えば、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびホウ酸マグネシウムがある。難燃剤に、フェノール−ホルムアルデヒド(formalde)樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニルエーテル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、およびポリエーテルケトンなどの炭化剤(carbonizer)として知られる材料、並びに、テトラフルオロエチレンポリマーなどの防滴剤(antidrip agents)を添加することもできる。
【0216】
別の代替の好ましい実施形態では、本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品の製造に使用され得るポリマー成形用組成物は、適宜、成分A)およびB)およびC)および/又はD)に加えて、又はC)および/又はD)の代わりに、
E)0.001〜80重量部、特に好ましくは2〜19重量部、とりわけ好ましくは9〜15重量部の少なくとも1種類のエラストマー改質剤、
を含むこともできる。
【0217】
成分E)として使用され得るエラストマー改質剤は、
E.1 5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%の少なくとも1種類のビニルモノマー、
E.2 95〜5重量%、好ましくは70〜10重量%の、ガラス転移温度が<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−20℃である1種類以上のグラフトベース
からなる1種類以上のグラフト共重合体を含む。
【0218】
グラフトベースE.2の平均粒度(d50値)は、一般に0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.2〜1μmである。
【0219】
モノマーE.1は、好ましくは、
E1.1 50〜99重量%のビニル芳香族化合物および/又は環置換(ring-substituted)ビニル芳香族化合物(スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレンなど)および/又は(C〜C)−アルキルメタクリレート(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル)、および
E1.2 1〜50重量%のシアン化ビニル(アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル)および/又は(C〜C)−アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル)、および/又は、不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物およびイミドなど)(例えば、無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミド)、
で構成される混合物である。
【0220】
好ましいモノマーE.1.1は、スチレン、α−メチルスチレンおよびメタクリル酸メチルといったモノマーの少なくとも1種類から選択され、好ましいモノマーE.1.2はアクリロニトリル、無水マレイン酸およびメタクリル酸メチルといったモノマーの少なくとも1種類から選択された。
【0221】
特に好ましいモノマーは、E.1.1スチレンおよびE.1.2アクリロニトリルである。
【0222】
エラストマー改質剤E)に使用され得るグラフトポリマーに好適なグラフトベースE.2の例としては、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、即ち、エチレン/プロピレン、および、適宜、ジエンをベースにするゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレン−酢酸ビニルゴムがある。
【0223】
好ましいグラフトベースE.2は、ジエンゴム(例えば、ブタジエン、イソプレンなどをベースにする)若しくはジエンゴムの混合物であり、又は、ジエンゴム若しくはそれらの混合物と別の共重合可能なモノマーとの共重合体(例えば、E.1.1とE.1.2による)であり、但し、成分E.2のガラス転移温度が<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−10℃であることを条件とする。
【0224】
特に好ましいグラフトベースE.2の例としては、例えば、DE−A 2 035 390(=米国特許第3,644,574号明細書)、又はDE−A 2 248 242号明細書(=GB−A 1 409 275)、又は、ウルマン、工業化学百科事典、第19巻(1980年)、280頁以降(Ullmann, Enzyklopadie der Technischen Chemie[Encyclopaedia of Industrial Chemistry],Vol.19(1980),pp.280 et seq.)に記載されているようなABSポリマー(乳化、塊状、および懸濁ABS)である。グラフトベースE.2のゲル含有量は、好ましくは、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%である(トルエン中で測定)。
【0225】
エラストマー改質剤又はグラフトポリマーE)は、フリーラジカル重合によって、例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合又は塊状重合によって、好ましくは乳化重合又は塊状重合によって調製される。
【0226】
他の特に好適なグラフトゴムは、米国特許第4,937,285号明細書による有機ヒドロペルオキシドおよびアスコルビン酸で構成される開始剤系を使用して酸化還元開始によって調製されるABSポリマーである。
【0227】
グラフトモノマーは、グラフト化反応中、必ずしも完全にグラフトベースにグラフト化されないことが知られているため、グラフトベースの存在下でグラフトモノマーの(共)重合によって得られ、後処理中、同時に生成する生成物も本発明によるグラフトポリマーE)である。
【0228】
好適なアクリルゴムは、好ましくはアルキルアクリレートと、適宜、E.2を基準にして40重量%までの他の重合性エチレン性不飽和モノマーで構成されるポリマーであるグラフトベースE.2をベースにしている。好ましい重合性アクリル酸エステルには、メチル、エチル、ブチル、n−オクチル、および2−エチルへキシルエステルなどのC〜C−アルキルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくは、クロロエチルアクリレートなどのハロ−C〜C−アルキルエステル、およびこれらのモノマーの混合物がある。
【0229】
架橋するため、1個より多くの重合性二重結合を有するモノマーを共重合させてもよい。架橋モノマーの好ましい例としては、炭素原子3〜8の不飽和モノカルボン酸のエステル、および炭素原子3〜12の不飽和1価アルコール若しくは2〜4個のOH基を有し炭素原子2〜20の不飽和ポリオールのエステル、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート;ポリ不飽和複素環化合物、例えば、トリビニルおよびトリアリルシアヌレート;ジ−およびトリビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物;並びに、トリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートがある。
【0230】
好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、および少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する複素環化合物である。
【0231】
特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーであるトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、およびトリアリルベンゼンである。架橋モノマーの量は、グラフトベースE.2を基準にして、好ましくは0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%である。
【0232】
少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合、量をグラフトベースE.2の1重量%未満に制限することが有利である。
【0233】
アクリル酸エステルの他に、適宜、グラフトベースE.2の調製に使用され得る好ましい「他の」重合性エチレン性不飽和モノマーの例としては、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC〜C−アルキルエーテル、メタクリル酸メチル、ブタジエンがある。グラフトベースE.2として好ましいアクリルゴムは、ゲル含有量が少なくとも60重量%である乳化重合体である。
【0234】
E.2による他の好適なグラフトベースは、DE−A 3 704 657(=米国特許第4,859,740号明細書)、DE−A 3 704 655(=米国特許第4,861,831号明細書)、DE−A 3 631 540(=米国特許第4,806,593号明細書)、およびDE−A 3 631 539(=米国特許第4,812,515号明細書)に記載されるような、グラフト活性点を有するシリコーンゴムである。
【0235】
グラフトポリマーをベースにするエラストマー改質剤の他に、グラフトポリマーをベースにしていないが、<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−20℃のガラス転移温度を有するエラストマー改質剤を成分E)として使用することも可能である。これらには、例えば、ブロック共重合体構造を有するエラストマーがある。これらには、また、例えば、熱可塑性溶融可能なエラストマーがある。ここで好ましい材料としては、例えば、EPMゴム、EPDMゴムおよび/又はSEBSゴムが挙げられる。
【0236】
別の代替の好ましい実施形態では、本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品の製造に使用され得るポリマー成形用組成物は、適宜、成分A)およびB)およびC)および/又はD)および/又はE)に加えて、又はC)、D)又はE)の代わりに、
F)0.001〜10重量部、好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜0.9重量部の他の従来の添加剤
も含む。
【0237】
本発明の目的では、従来の添加剤の例としては、安定剤(例えば、UV安定剤、熱安定剤、ガンマ線安定剤)、帯電防止剤、流動助剤、離型剤、他の防火添加剤、乳化剤、核剤、可塑剤、潤滑剤、染料、顔料、および導電性を増加させるための添加剤がある。前述の添加剤および他の好適な添加剤は、例えば、ゲヒター、ミュラー、プラスチック添加剤、第3版、ハンザー出版、ミュンヘン、ウィーン、1989年(Gaechter,Mueller,Kunststoff−Additive[Plastics Additives],3rd Edition, Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1989)、およびプラスチック添加剤ハンドブック、第5版、ハンザー出版、ミュンヘン、2001年(Plastics Additives Handbook,5th Edition,Hanser−Verlag,Munich,2001)に記載されている。添加剤は、単独で又は混合して使用されても、又はマスターバッチの形態で使用されてもよい。
【0238】
使用される好ましい安定剤は、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、芳香族二級アミン、例えば、ジフェニルアミン、置換されたレゾルシノール、サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノン、およびまたこれらの群の様々な置換例、およびこれらの混合物である。
【0239】
使用される好ましい顔料および染料は、二酸化チタン、硫化亜鉛、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ニグロシンおよびアントラキノンである。
【0240】
使用される好ましい核剤は、フェニルホスフィン酸ナトリウム又はフェニルホスフィン酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、および特に好ましくはタルクである。
【0241】
使用される好ましい潤滑剤および離型剤は、エステルワックス、テトラステアリン酸ペンタエリトリトール(PETS)、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸又はベヘン酸)および脂肪酸エステル、これらの塩(例えば、ステアリン酸Ca又はステアリン酸Zn)並びにアミド誘導体(例えば、エチレンビスステアリルアミド)又はモンタンワックス(炭素原子28〜32の鎖長を有する直鎖、飽和カルボン酸で構成される混合物)、並びに低分子量ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスである。
【0242】
使用される好ましい可塑剤は、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0243】
導電性を増加させるために添加され得る好ましい添加剤は、カーボンブラック、導電ブラック、カーボンフィブリル、ナノスケールグラファイト繊維および炭素繊維、グラファイト、導電ポリマー、金属繊維、および、導電性を増加させる他の従来の添加剤である。好ましく使用され得るナノスケール繊維は、「単層炭素ナノチューブ」又は「多層炭素ナノチューブ」(例えば、ハイピリオン・キャタリシス(Hyperion Catalysis)製)として知られているものである。
【0244】
別の代替の好ましい実施形態では、ポリアミド成形用組成物は、適宜、成分A)およびB)およびC)および/又はD)および/又はE)および/又はF)に加えて、又はC)、D)E)又はF)の代わりに、
G)0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜10重量部、最も好ましくは3〜7重量部の相溶化剤、
も含むことができる。
【0245】
使用される相溶化剤は、好ましくは極性基を有する熱可塑性ポリマーを含む。
【0246】
本発明において使用されるポリマーは、従って、
G.1 ビニル芳香族モノマー、
G.2 C〜C12−アルキルメタクリレート、C〜C12−アルキルアクリレート、メタクリロニトリル、およびアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1種類のモノマー、および
G.3 α,β−不飽和成分を含有する無水ジカルボン酸、
を含有するものである。
【0247】
使用される成分Gは、好ましくは、前述のモノマーの三元共重合体を含む。従って、スチレン、アクリロニトリル、および無水マレイン酸の三元共重合体を使用することが好ましい。特に、これらの三元共重合体は、引張強度および破断点引張歪などの機械的特性の改善に寄与する。三元共重合体中の無水マレイン酸の量は高範囲にわたってもよい。量は、好ましくは0.2〜5モル%である。0.5〜1.5モル%の量が特に好ましい。この範囲で、引張強度および破断点引張歪に関して特に優れた機械的特性が達成される。
【0248】
三元共重合体は、既知の方法で調製することができる。1つの好適な方法は、三元共重合体のモノマー成分、例えば、スチレン、無水マレイン酸、又はアクリロニトリルを好適な溶媒、例えば、メチルエチルケトン(MEK)に溶解させることである。1種類、又は適宜、それより多くの化学開始剤がこの溶液に添加される。好適な開始剤の例としては、過酸化物がある。次いで、混合物を高温で数時間、重合させる。次いで、溶媒および未反応のモノマーをそれ自体既知の方法で除去する。
【0249】
三元共重合体中の成分G.1(ビニル芳香族モノマー)、対、成分G.2、例えば、アクリロニトリルモノマーの比は、好ましくは80:20〜50:50である。
【0250】
ビニル芳香族モノマーG.1としては、スチレンが特に好ましい。成分G.2には、アクリロニトリルが特に好適である。成分G.3としては無水マレイン酸が特に好適である。
【0251】
EP−A 0 785 234(=米国特許第5,756,576号明細書)およびEP−A 0 202 214号明細書(米国特許第4,713,415号明細書)は、本発明において使用され得る相溶化剤G)の例を記載している。EP−A 0 785 234に記載されているポリマーが、本発明において特に好ましい。
【0252】
相溶化剤は、成分G)中に単独で又は任意に互いに混合して存在してもよい。
【0253】
相溶化剤として特に好ましい別の物質は、無水マレイン酸1モル%を含有する重量比2.1:1のスチレンとアクリロニトリルの三元共重合体である。
【0254】
成分G)は、特に、成形用組成物がE)で記載されるようなグラフトポリマーを含むときに使用される。
【0255】
本発明によれば、次の成分の組み合わせが、ハイブリッドをベースにする軽量部品に使用されるポリマー成形用組成物に好ましい:
A、B;A、B、C;A、B、D;A、B、E;A、B、F;A、B、G;A、B、C、D;A、B、C、E;A、B、C、F;A、B、C、G;A、B、D、E;A、B、D、F;A、B、D、G;A、B、E、F;A、B、E、G;A、B、F、G;A、B、C、D、E;A、B、C、D、G;A、B、C、F、G;A、B、E、F、G;A、B、D、F、G;A、B、C、D、E、F;A、B、C、D、E、G;A、B、D、E、F、G;A、B、C、E、F、G;A、B、C、D、E、G;A、B、C、D、E、F、G。
【0256】
使用されるポリマー成形用組成物から本発明により製造され得るハイブリッドをベースにする軽量部品は、成分A)として比較的低粘度のポリマーを使用することによって調製された匹敵する溶融粘度の成形用組成物で構成される成形品よりも耐衝撃性が高いことを特徴とする。ポリアミドを成分A)として、例えば、成分B1)と組み合わせて使用するとき、室温で弾性率が約19000MPaと非常に高いため、ガラス繊維の含有量を30重量%から60重量%に倍増することができ、そのため、それから製造されるハイブリッドをベースにする軽量部品の剛性が倍増する。驚いたことに、ここでポリマー成形用組成物の密度の増加は、約15〜20%に過ぎない。このため、同じ機械的性能で部品の壁厚を著しく減少することが可能となり、製造コストが著しく減少する。このようにして、ハイブリッド技術を標準的に使用する自動車のフロントエンドをより軽量で剛性が高くなるように構成することができ、これによって重量および製造コストが30〜40%減少する。
【0257】
同時に、強度が高くなることは、ハイブリッド構造のフロントエンドが、衝突時に、より多くのエネルギーを吸収できることを意味する。
【0258】
従って、以下は、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、基体の穿孔を介して別個の連結部位で基体と連結されている補強構造、好ましくはリブの形態の補強構造が外部又は内部空間にあるシェル状の基体から、本発明により流動改善剤B)を用いて製造され得るハイブリッドをベースにする軽量部品の可能な応用分野である:
車両部品(自動車(automotive)部門)、事務機械、家庭用機械、又は他の機械の耐力部分、装飾の目的の構造要素、階段、エスカレータのステップ、又はマンホールの蓋。
【0259】
それらは、好ましくは、自動車に、完全なフロントエンド、歩行者保護ビーム、エンジンフード又は荷物室リッド用の特定の目的のスラムパネル(slam panel)、フロントルーフアーチ、リアルーフアーチ、ルーフフレーム、ルーフモジュール(ルーフ全体)、スライディングルーフ支持部、ダッシュボード支持部(クロスカービーム)、ステアリングコラムリテーナ、防火壁、ペダル、ペダルブロック、ギヤシフトブロック、A、B又はCピラー、B−ピラーモジュール、サイドメンバ(longitudinal members)、サイドメンバとBピラーを連結するためのジョイント要素、およびAピラーとクロスメンバ(transverse members)を連結するためのジョイント要素、Aピラー、クロスメンバ、およびサイドメンバを連結するためのジョイント要素、クロスメンバ、フェンダー、フェンダーモジュール、クラッシュボックス、リヤエンド、スペアホイール収納部(spare-wheel recess)、エンジンフード、エンジンカバー、水タンクアセンブリ、エンジン−補強システム(engine-rigidity systems)(フロントエンド補強システム)、車両フロア、フロア補強システム、シート補強システム、シートクロスメンバ、テールゲート、車枠、シート構造、背もたれ、シートシェル、安全ベルトが一体化された又は一体化されていないシート背もたれ、手荷物棚、バルブカバー、発電機又は電動モータ用のエンドプレート、完全な車両ドア構造、衝撃吸収サイドメンバ(side-impact members)、モジュールブラケット(module members)、オイルパン、ギヤボックスオイルパン、オイルモジュール、ヘッドランプフレーム、ドアシール、ドアシール補強材、シャーシ部品、およびまたスクータフレームとして使用される。
【0260】
非自動車(non-automotive)部門における本発明のハイブリッド構造の軽量部品の好ましい用途は、電気装置又は電子装置、家庭用装置、家具、ヒーター、買い物用カート、棚、階段、エスカレータのステップ、又はマンホールの蓋である。
【0261】
しかし、本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品は、もちろん、鉄道車両、航空機、船舶、そり、スクータ、又は、軽量であるが安定な構造に重点が置かれる他の運搬手段にも好適である。
【0262】
しかし、本発明は、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、基体の穿孔を介して別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部および/又は内部空間にあるハイブリッド構造の軽量部品であって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子3〜50の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物が、成形プロセスによって、好ましくは射出成形、溶融押出、圧縮成形、スタンピング、又は吹込成形によって、成形型内で加工されることを特徴とする軽量部品の製造方法も提供する。
【0263】
しかし、本発明は、部品、好ましくは任意のタイプの車両の部品を軽量化する方法であって、軽量部品を使用し、軽量部品はシェル状の基体で構成されており、その外部および/又は内部空間に、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造があり、熱可塑性樹脂が、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子3〜50の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である、少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)AxByタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物から製造されることを特徴とする方法も提供する。
【0264】
本発明の目的では、「確実に連結された」は、押し出されたポリマーが、例えば、基体の開口部を通って開口部の反対側に流出し、その縁部上に達し、凝固時に確実な相互連結を形成することを意味する。前述のように、1つの好ましい実施形態では、インサート成形された熱可塑性樹脂と基体の連結は、基体の穿孔を介して別個の連結部位で行われ、プラスチック(熱可塑性樹脂)はそれを貫通して、穿孔領域全体に延び、このようにして特に確実な相互連結が達成される。しかし、それは、ここでも、開口部を通って突出するばりが確実な相互連結を作り出すように器具で加工される、追加の工程で行われてもよい。「確実に連結された」の用語は、また、その後の接着剤を使用した又はレーザーを使用した接合を含む。しかし、基体の周囲への流動(周囲にウェブを形成すること)によって確実な相互連結を達成することもできる。
【0265】
しかし、本発明は、基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部又は内部空間にあるハイブリッド構造の軽量部品を備える車両又は他の運搬手段、特に自動車、鉄道車両、航空機、船舶、そり、又はスクータであって
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子3〜50の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物が使用され、これらが車両に装備されることを特徴とする、車両又は他の運搬手段も提供する。
【実施例】
【0266】
本発明のハイブリッドをベースにする軽量部品が技術的に優れていることは、ランクセス・ドイツ社(Lanxess Deutschland GmbH)製のポリアミド(=成分A)をベースにする様々な製品を使用することによって実証される。
【0267】
デュレタン(Durethan)(登録商標)BKV30は、本発明において使用され得る構成成分B1)、B2)又はB3)を含まない、ポリアミドをベースにする成形用組成物である。
【0268】
デュレタン(Durethan)(登録商標)BKV30XFは、ポリアミドおよび成分B1)をベースにする成形用組成物である。
【0269】
実施例1
溶融温度280℃、金型温度80℃、および射出圧力650バールでの本発明のハイブリッド部品の製造に関する流路長/壁厚(流路長の単位、mm)の関係
【0270】
【表1】

【0271】
表から、従来の製品と比較したとき、デュレタン(Durethan)(登録商標)BKV30XFは流動が著しく改善したことが分かる。数値は金型内の流路長をmmで示している。デュレタン(Durethan)(登録商標)BKV30XFは、従って、ハイブリッド部品の製造に優れた適性を有する。
【0272】
実施例2
安定性が損なわれない、図1によるハイブリッド構造の自動車フロントエンドメンバの軽量化(単位、グラム)
図1および表中、
a=ハイブリッド上部ウェブ
b=ハイブリッド垂直ストラット
c=溶接ナット部材
である。
【0273】
【表2】

【0274】
実施例3
図2によるハイブリッド構造の車両フロントエンドメンバの軽量化(単位、グラム)
図2および表中、
d=ハイブリッド上部ウェブ、リブおよびモールディング(overmoulding)
e=ハイブリッド垂直ストラット、リブおよびモールディング
f=ヘッドランプフレーム
g=ソケット
h=盗難防止システム
である。
【0275】
【表3】

【0276】
表から、本発明の流動改善剤を使用して製造されたフロントエンドは低重量であるため、著しい軽量化につながり、従って、部品の安定性、および従って自動車の安全性を損なうことなく、盗難防止などの追加の適用が可能になることが分かる。従って、部品の重量が軽くなると、自動車の運転中の燃費の向上と資源の経済的使用が可能になる。
【0277】
実施例4
安定性が損なわれない、図3によるハイブリッド構造の自動車フロントエンドメンバの軽量化(単位、グラム)
図3および表中で、
i=鋼シート
k=プラスチック構造
である。
【0278】
【表4】

【0279】
ここでも、この表から、成分Bによる流動助剤を含まない成形用組成物から製造された対応するフロントエンドメンバと比較して、ロトリル(Lotryl)(登録商標)EHを使用して製造された本発明のポリアミドをベースにするハイブリッドフロントエンドメンバが軽量化したことがよく分かる。
【図1】

【図2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部および/又は内部空間にある、シェル状の基体で構成される軽量部品であって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子1〜30の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物が使用されることを特徴とする、軽量部品。
【請求項2】
前記インサート成形された熱可塑性樹脂と前記基体の連結が、前記基体の穿孔を介して別個の連結部位で行われ、前記熱可塑性樹脂がこれらを貫通し、前記穿孔領域上に延びることを特徴とする、請求項1に記載の軽量部品。
【請求項3】
ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ASAポリマー、ABSポリマー、SANポリマー、POM、PPE、ポリプロピレン、ポリアリーレンエーテルスルホン又はそれらのブレンドからなる群から選択される熱可塑性樹脂が使用され、好ましくはポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又はそれらのブレンド、特に好ましくはポリアミド、又は、前述の材料とポリアミドとのブレンドが使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の軽量部品。
【請求項4】
成分A)およびB)に加えて、
C)0.001〜75重量部、好ましくは10〜70重量部、特に好ましくは20〜65重量部、とりわけ好ましくは30〜65重量部のフィラー又は強化材、
も含む成形用組成物が、前記軽量部品の調製に使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の軽量部品。
【請求項5】
前記使用されるフィラー又は強化材が、ガラス繊維を含むことを特徴とする、請求項4に記載の軽量部品。
【請求項6】
前記基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で前記基体と連結されている補強構造が外部および/又は内部空間にあるハイブリッド型の軽量部品の製造方法であって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子3〜50の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物が、成形金型内で成形プロセスによって加工されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
自動車部門および非自動車部門、好ましくは自動車、鉄道車両、航空機、船舶、そり、又は他の運搬手段、電気装置又は電子装置、家庭用装置、家具、ヒーター、スクータ、買い物用カート、棚、階段、エスカレータのステップ、又はマンホールの蓋における、請求項1〜5のいずれか一項に記載の軽量部品の使用。
【請求項8】
前記軽量部品が、自動車の、完全なフロントエンド、ヘッドランプフレーム、歩行者保護ビーム、エンジンフード又は荷物室リッド用の特定の目的のスラムパネル、フロントルーフアーチ、リアルーフアーチ、ルーフフレーム、ルーフモジュール(ルーフ全体)、スライディングルーフ支持部、ダッシュボード支持部(クロスカービーム)、ステアリングコラムリテーナ、防火壁、ペダル、ペダルブロック、ギヤシフトブロック、A、B又はCピラー、B−ピラーモジュール、サイドメンバ、サイドメンバとBピラーを連結するためのジョイント要素、クロスメンバ、フェンダー、フェンダーモジュール、クラッシュボックス、リヤエンド、スペアホイール収納部、エンジンフード、エンジンカバー、エンジンオイルパン、ギヤボックスオイルパン、オイルモジュール、水タンクアセンブリ、エンジン−補強システム(フロントエンド補強システム)、シャシー部品、車両フロア、ドアシール、ドアシール補強システム、フロア補強システム、シート補強システム、シートクロスメンバ、テールゲート、車枠、シート構造、背もたれ、シートパン、安全ベルトが一体化された又は一体化されていないシート背もたれ、手荷物棚、完全な車両ドア構造、Aピラーとクロスメンバを連結するためのジョイント要素、Aピラー、クロスメンバおよびサイドメンバを連結するためのジョイント要素、フロア補強システム、シートクロスメンバ、バルブカバー、発電機又は電動モータ用のエンドプレートに使用されることを特徴とする、請求項6に記載の軽量部品の使用。
【請求項9】
基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部および/又は内部空間にあるシェル状の基体から、ハイブリッド型の軽量部品が製造され、前記熱可塑性樹脂が、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子1〜30の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である、少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)との混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物から製造されることを特徴とする、部品の軽量化方法。
【請求項10】
添加される別の成分C)が、0.001〜75重量部、好ましくは10〜70重量部、特に好ましくは20〜65重量部、とりわけ好ましくは30〜65重量部のフィラー又は強化材を含むことを特徴とする、請求項9に記載の軽量化方法。
【請求項11】
前記使用される成形プロセスが、射出成形、溶融押出成形、圧縮成形、スタンピング、又は吹込成形を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
基体に確実に連結され、インサート成形された熱可塑性樹脂で構成され、別個の連結部位で基体と連結されている補強構造が外部および/又は内部空間にある、ハイブリッドの形態の軽量部品を備える車両又は他の運搬手段、好ましくは自動車、鉄道車両、航空機、船舶、そり、又はスクータであって、
A)99.99〜10重量部、好ましくは99.5〜40重量部、特に好ましくは99.0〜55重量部の少なくとも1種類の半結晶性熱可塑性ポリマー、および
B)0.01〜50重量部、好ましくは0.25〜20重量部、特に好ましくは1.0〜15重量部の、
B1)少なくとも1種類のオレフィン、好ましくは1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子1〜30の脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルで構成される少なくとも1種類の共重合体であって、共重合体B1)のMFIが100g/10分以上、好ましくは150g/10分以上である共重合体、又は
B2)OH数が1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部に準拠)である、少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリカーボネート、又は
B3)Aタイプの少なくとも1種類の高分岐又は過分岐ポリエステルであって、xが少なくとも1.1であり、yが少なくとも2.1であるポリエステル、又は
B1)とB2)の混合物、又はB1)とB3)の混合物、又はB2)とB3)の混合物、又はB1)とB2)とB3)の混合物(どの場合もA)と混合される)
を含むポリマー成形用組成物が使用され、これらが前記車両内に装備されることを特徴とする、車両又は他の運搬手段。

【公表番号】特表2009−535243(P2009−535243A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508167(P2009−508167)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003520
【国際公開番号】WO2007/128395
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】