ハンディターミナル
【課題】 主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存することができる、ハンディターミナルを提供する。
【解決手段】 主電池16、RAMをバックアップする副電池17、主電池16から副電池17に切り替える間にCPU1を通常動作させるキャパシタ18を搭載する。そして、主電池16からの電源供給が停止した場合に、CPU1の電源を主電池16からキャパシタ18に切り替える。CPU1はキャパシタ18から電源の供給を受けている間に、RAM12にデータ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、キャパシタ18が放電し電圧が低下した後に、CPU1とRAM12の電源を副電池17に切り替え、この副電池17によりCPU1をスリープ状態に維持すると共に、RAM12がデータを保持できるようにバックアップする。
【解決手段】 主電池16、RAMをバックアップする副電池17、主電池16から副電池17に切り替える間にCPU1を通常動作させるキャパシタ18を搭載する。そして、主電池16からの電源供給が停止した場合に、CPU1の電源を主電池16からキャパシタ18に切り替える。CPU1はキャパシタ18から電源の供給を受けている間に、RAM12にデータ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、キャパシタ18が放電し電圧が低下した後に、CPU1とRAM12の電源を副電池17に切り替え、この副電池17によりCPU1をスリープ状態に維持すると共に、RAM12がデータを保持できるようにバックアップする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外食店舗内等の注文データ管理システムにおいて、客からの注文を入力し、無線転送するハンディターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レストラン、居酒屋あるいはホテル等で、客から注文された注文データ等を管理するために、注文データ管理システムが使用されている。この注文データ管理システムにおいては、ウエイトレスが客から料理の注文を受けた場合、ハンディターミナルにテーブル番号や人数等と共に注文を受けた各メニューを入力する。この入力された注文データは、ハンディターミナルから注文データ管理システムの制御装置に無線送信され、この注文データを基に、調理指示データや会計データ等が作成される。
【0003】
図11は、ハンディターミナルの外観例である。蓋31を開くことにより、タッチパネルを使用した表示部14が見えるようになっており、キー入力部13の押下による注文データ入力や、表示部14のタッチパネルへのペン入力やタッチ入力により注文データの入力を行うことができるように構成されている。
【0004】
ところで、上述した従来のハンディターミナルにおいて、乾電池駆動のハンディターミナルでは、振動などで電池の接点が離れてしまい一瞬停電状態になることがある。これを「瞬断」と呼ぶ。また、電池交換の際に停電状態になることがある。このように電池からの電源供給が停止した場合、RAM(例えば、SRAM等)に書き込み中のデータは消えてしまうか、送信中のデータが途中で切れてしまい不完全な状態となることがある。
【0005】
これらの対策の第1の方法として、乾電池の接点を強いバネで固定して瞬断を回避する方法がある。第2の方法として、容量が大きいキャパシタを使って電圧を保持し、瞬断に対処する方法がある。第3の方法として、駆動電圧の異なるCPUを2つ搭載してサブCPUで電圧を監視する仕組みを用いる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、上述した第1の方法では完全に瞬断を防ぐことは難しく。第2の方法では、瞬断の時間が長いとデータ消えが発生する可能性がある。また、第3の方法の場合では、CPUがRAMにデータを書込み中に、電池による電源の供給が停止した場合には、RAMに正常のデータを書き込むことができないという問題があった。
【0007】
飲食店等で使用されるハンディターミナルでこのような現象が発生すると、入力した注文データが消えてしまうことがあり、また異なる注文データがRAMに保存されてしまう可能性があり、これらの問題を解決したハンディターミナルの提供が望まれていた。
【特許文献1】特開2003−295984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来のハンディターミナルにおいては、CPUがRAMにデータを書込み中に、電池からの電源供給が停止した場合には、RAMに正常なデータを書き込むことができないという問題があった。
【0009】
また、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化が進行した電池を使っている場合に突然動作電圧を下回るような場合も同様にRAMのデータが不整合になる場合があった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の第1の目的は、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる、ハンディターミナルを提供することにある。また、第2の目的として、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化した場合に、これを検出してRAMへの誤データの書き込みを回避し、また、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる、ハンディターミナルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のハンディターミナルは、ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池と、前記ハンディターミナル内のRAMに書き込まれているデータを保持するのに必要な電圧を供給すると共に、前記ハンディターミナル内のCPUを待機モードに維持するのに必要な電圧を供給する第1の副電池と、前記CPUの動作に必要な電圧であり、かつ、前記CPUがRAMにデータを書き込むために必要な電圧を、少なくとも前記CPUが所定量のデータを前記RAMに書き込むのに要する期間、前記CPUに供給する第2の副電池と、前記CPUとRAMとに供給する電圧を、前記主電池と、第1の副電池と、第2の副電池の組み合わせのうちいずれか1つを選択して供給する電池制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、電池を三系統搭載する。すなわち、主電池、CPUの待機状態およびRAMのデータ保持をバックアップする第1の副電池、主電池から副電池に切り替える間にCPUを通常動作させる第2の副電池を搭載する。また、主電池と、第1の副電池と、第2の副電池のうちのいずれか1つを選択する電池制御回路を設ける。そして、例えば、主電池からの電源供給が停止した場合に、CPUの電源を主電池から第2の副電池に切り替える。CPUは第2の副電池から電源の供給を受けている間に、データ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、第2の副電池の電圧が放電し電圧が低下した場合に、CPUとRAMの電源を第1の副電池に切り替え、この第1の副電池によりCPUを待機モードに維持すると共に、RAMがデータを安全に保持できるようにバックアップする。
【0013】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0014】
また、本発明のハンディターミナルは、前記電池制御回路には、前記主電池の電圧と前記第2の副電池の電圧とを少なくとも検出する電池電圧検出部と、前記電池電圧検出部により主電池の電圧レベルが予め設定された電圧基準値より低下しことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記主電池から前記第2の副電池に切り替えると共に、前記第2の副電池の電圧の電圧レベルが前記電圧基準値より低下したことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記第2の副電池から前記第1の副電池に切り替える電源切替部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池からの電源供給が停止した場合に、CPUの電源を主電池から第2の副電池に切り替える。CPUは第2の副電池から電源の供給を受けている間に、データ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、第2の副電池の電圧が放電し電圧が低下した場合に、CPUとRAMの電源を第1の副電池に切り替え、この第1の副電池によりCPUを待機モードに維持すると共に、RAMがデータを安全に保持できるようにバックアップする。
【0016】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0017】
また、本発明のハンディターミナルは、前記ハンディターミナルは少なくとも飲食店を含む店舗内において注文データを入力するためのハンディターミナルであって、前記CPUは、前記第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データを前記RAMに書き込むと共に、その後に待機モードに遷移するように構成されたこと、を特徴とする。
【0018】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、飲食店等でハンディターミナルに注文データを入力した際に、主電池からの電源供給が停止した場合は、CPUは、第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データのRAMへの書き込みを完了させ、その後に待機モードに遷移する。
【0019】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、入力された注文データを安全にRAMに保存することができる。
【0020】
また、本発明のハンディターミナルは、前記第2の副電池はキャパシタで構成されており、ハンディターミナルの起動時に、前記電池制御回路が、前記主電池から前記キャパシタを充電するようにする構成されたこと、を特徴とする。
【0021】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、第2の副電池をキャパシタで構成し、該キャパシタを主電池により充電するようにしたので、これにより、容易かつ安価に第2の副電池を設備することができる。
【0022】
また、本発明のハンディターミナルは、前記CPUから前記RAMにデータを書き込みを行う際には、前記電圧検出部により前記主電池および第1の副電池の電圧レベルを測定し、前記主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常と判定された場合に前記RAMへのデータの書き込みを実行するとともに、前記RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータのサムチェックを行うように構成されたこと、を特徴とする。
【0023】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、RAMにデータを書き込みを行う際には、主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常であるかを判定し、主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常な場合にRAMへのデータの書き込みを実行するとともに、RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータにサムチェックを行うようにしたので、RAMに安全にデータを書き込むことができると共に、データの整合性を常に保つことができる。
【0024】
また、本発明のハンディターミナルは、前記主電池は乾電池または二次電池のいずれかで構成され、前記主電池電圧検出部により測定された主電池電圧を基に前記主電池の種類を判定し、判定された主電池の種類に応じて前記電圧基準値を生成する電圧基準値生成部を、備えることを特徴とする。
【0025】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池として乾電池または二次電池のいずれかを使用し、また、電池の種類に応じて電圧基準値を生成するようにしたので、これにより、電池の種類に応じて、主電池からの電源供給の停止を判定できる。
【0026】
また、本発明のハンディターミナルは、前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池に対する負荷を変動させた場合の主電池の電圧の振幅値の変化から、主電池の劣化を判定するようにしたので、これにより、主電池の劣化を容易に判定できる。このため、主電池が劣化している場合は、RAMへのデータの書き込みを中止して、誤データの書き込みを回避できると共に、主電池劣化のメッセージを表示部に表示することにより、主電池の交換をユーザに促すことができる。
【0028】
また、本発明のハンディターミナルは、前記負荷変動部は、ハンディターミナルが備える表示部と通信部の両方、またはいずれか一方を、予め定められた周期で起動または停止することにより、前記主電池に対する負荷を変動させること、を特徴とする。
【0029】
これにより、主電池に接続する変動負荷を特別に用意する必要がなくなる。
【0030】
また、本発明のハンディターミナルは、ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池を有するハンディターミナルであって、前記主電池の電圧を検出する電池電圧検出部と、前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池に対する負荷を変動させた場合の主電池の電圧の振幅値の変化から、主電池の劣化を判定するようにしたので、これにより、主電池の劣化を容易に判定できる。このため、主電池が劣化している場合は、RAMへのデータの書き込みを中止して、誤データの書き込みを回避できると共に、主電池劣化のメッセージを表示部に表示することにより、主電池の交換をユーザに促すことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のハンディターミナルにおいては、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存することができると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0033】
また、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化した場合に、これを検出してRAMへの誤データの書き込みを回避し、また、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0035】
[第1の実施の形態]
(ハンディターミナルの概略構成の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係わるハンディターミナルの概略構成を示す図である。図1に示すハンディターミナルは、飲食店等で注文データを受け付けるための端末であり、ハンディターミナルは、CPU1、ROM11、RAM12、キー入力部13、表示部14、通信部15、主電池16、副電池17、キャパシタ18、電池制御回路21を備える。(なお、CPU1および電池制御回路21の詳細な構成については後述される。)
CPU1は、ハンディターミナルの各部を統括して制御する制御部である。ROM11には注文データを処理する制御プログラムならびに漢字フォントなどが格納されている。RAM12は、消費電流の少ないSRAM等であり、注文データ等のデータが格納されている。キー入力部13は、注文データを入力するためのキー入力部であり、メニューキーや数量データを入力するための数値キー等で構成される。表示部14はカラーLCDを使用した表示部であり、タッチパネルとしても機能する表示部である。通信部15は、注文データ管理システムの制御装置(図示せず)と無線により通信を行うための処理部であり、注文データを注文データ管理システム側に送信する。
【0036】
なお、図1に示す例では、表示部14はタッチパネル機能付のカラーLCDを用いるものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、モノクロLCDでも良いしタッチパネル機能がなくても良い。
【0037】
主電池16は、ハンディターミナル内の基本となる主電源であり、乾電池または充電可能な二次電池で構成され、通常時に、CPU1、ROM11、RAM12、キー入力部13、通信部15等に対し電源を供給する。
【0038】
副電池17は、コイン電池等であり、主電池16からの電源供給が停止した場合に、RAM12へ電源を供給してデータを保持させると共に、CPU1をスリープモード(待機モード)に維持するための電源を供給する。なお、前述の第1の副電池は副電池17が相当する。
【0039】
キャパシタ18は、主電池16から充電される電源であり、主電池16から副電池17に電源を切り替える際に、CPU1に電源を供給するための電源である。前述の第2の副電池はキャパシタ18が相当する。
【0040】
電池制御回路21は、主電池16からキャパシタ18への充電回路を構成する。また、電池制御回路21は、CPU1およびRAM12の電源を主電池16からキャパシタ18へ切り替えると共に、キャパシタ18から副電池17に切り替える制御を行う。
【0041】
上記構成のハンディターミナルにおいて、主電池16からの電源供給が停止された場合は、キャパシタ18からCPU1に電源を供給し、CPU1を所定の期間だけ通常動作できるようにし、CPU1がRAM12にデータ書き込み中であれば、それを完了させる。そして、CPU1は、スリープモードに移行するための退避処理を行い、スリープモードに遷移する。その後、キャパシタ18が放電し出力電圧が低下すると、CPU1およびRAM12に供給する電源をキャパシタ18から副電池17に切り替える。この副電池17によりCPU1をスリープモードに維持し、また、RAM12のデータを安全に保持する。
【0042】
また、本発明のハンディターミナルは、上述した機能の他に、主電池16の電池容量の減少、および主電池16の劣化を判定して警告を表示する機能も備えている。
【0043】
(主電池16からの電源供給が停止された場合の各電池の切り替え動作の説明)
図2は、主電池からの電源供給が停止された場合の電池切り替え動作の説明図であり、主電池からの電源供給が停止された場合の、CPU1およびRAM12に電源を供給する各電池の電圧と時間との関係を示している。
【0044】
図2において、符号b1は、主電池の放電(電圧)曲線、b2は、キャパシタの放電(電圧)曲線、b3は副電池の放電(電圧)曲線、v1はCPUがスリープ状態を保持できる電圧、v2はCPUが通常動作を行える電圧、t1は瞬断または電池交換などによりb1がv2を下回る開始時間、t2はキャパシタの放電によりb2がv2を下回る開始時間、t1〜t2はキャパシタでCPUを通常動作させることができる最大時間を、それぞれ示している。なお、時間t1〜t2の時間幅は、例えば、飲食向けのハンディターミナルでは注文データとして最大2Kバイト程度が必要となり、これをCPU1がRAM12に保存できる時間以上とし、この時間に応じてキャパシタの容量が決定される。
【0045】
図2を参照して、主電池16からの電源供給を停止すると、曲線b1に示すように、主電池16からの電源電圧が次第に低下し、時刻t1において、CPUが通常動作を行える電圧v2以下になろうとする。この時、CPU1に対して供給される電源は、主電池16からキャパシタ18に切り替えられ、CPU1に対して曲線b2に示す電圧が供給される。
【0046】
このキャパシタ18により、時刻t1からt2の間はCPU1が通常動作を行えるように維持される。この時刻t1からt2の間に、CPUは注文データをRAM12に保存するなど、ハンディターミナルが安全に動作を終了し、スリープモードに遷移するための処理を行う。
【0047】
時刻t2に至り、曲線b1で示すキャパシタ18の電圧がv2以下になると、CPU1、およびRAM12の電源は、キャパシタ18から副電池17に切り替えられ、曲線b3で示す電圧が供給される。この副電池17の電圧は、RAM12にデータを保持させると共に、CPU1をスリープ状態に保持するのに十分な電圧であり、これにより、時刻t2以降から主電池16の電源が回復するまでの間、副電池17により、RAM12のデータが保持され、また、CPU1のスリープ状態が保持される。
【0048】
(CPUおよび電池制御回路の詳細な構成の説明)
また、図3は、CPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。図3に示す例は、CPU1と電池制御回路21の内部構成と共に、各回路部への電源の供給経路A、B、CD、E、Fを示したものであり、CPUと電池制御回路については、本発明に直接関係する部分のみを示したものである。
【0049】
なお、CPU1は内部にA/D変換器2A、D/A変換器2Bを内蔵したマイクロコントローラ等であり、また、CPU1内の各処理部は、ROM11に記憶された制御プログラム等を実行することによりソフトウェア手段によりその機能を実現するものである。
【0050】
CPU1内の主電池電圧検出部3は、主電池16の電圧を検出するための処理部である。副電池電圧検出部4は、副電池17の電圧を検出するための処理部である。この電圧検出の場合に、主電池16の電圧、副電池17の電圧、および電源線Aの電圧を所定の時間ごとにA/D変換器2Aにより取り込み電圧検出を行うものである。
【0051】
BLD(Battery Low Detect)判定部5は、ハンディターミナルの起動時に、主電池16の電圧レベルを判定し、この電圧レベルを基に主電池16が乾電池であるか二次電池であるかを判定する。そして、この判定結果を基に、電圧基準値生成部5Aにより電圧基準値(BLD値)を生成する。この電圧基準値は、D/A変換器2Bによりアナログ信号に変換されて電池制御回路21にも送られ、電池制御回路21内の電圧基準値保持部25に保持される。
【0052】
データ書込部6は、注文データ等のデータをRAM12に保存するための処理部である。このデータ書込部6では、RAM12へデータを書き込む場合に、主電池電圧検出部3および副電池電圧検出部4における電池電圧の検出結果を基に、RAM12に安全にデータを書き込めるかどうかを判定する。データ書込部6は、安全にデータを書き込めると判定した場合に、RAM12にデータを書き込む。また、RAM12に書き込まれるデータにはサムチェックデータが付加されている。データ書込部6は、RAM6にデータを書き込んだ後、この書き込んだデータを再度読み出し、サムチェック部7によりサムチェックを行い、RAM12に保存されたデータと書込みデータとの間に整合性が保たれていることを検証する。
【0053】
データ退避部8は、主電池16からの電源供給が停止され、CPU1の電源が主電池16からキャパシタ18に切り替えられた場合に、この電源切替情報を電源切替部26から受信する。そして、このデータ退避部8により、CPU1が現在処理中の注文データ等をRAM12に退避すると共に、スリープモードに安全に移行するためのデータ退避処理を行う。
【0054】
次に、電池制御回路21の構成について説明する。
【0055】
電池制御回路21内の充電部22は主電池16からキャパシタ18への充電を行う回路であり、主電池16からキャパシタ18への充電は、ハンディターミナルの起動時に行われる。
【0056】
主電池電圧検出部23は、例えばコンパレータで構成されており、主電池16の電圧を電圧基準値保持部25に保持された電圧基準値と比較することにより、主電池16の電圧が、CPU1が通常動作できる電圧レベルであるかどうかを判定する。
【0057】
キャパシタ電圧検出部24は、例えば、コンパレータで構成されており、キャパシタ18の電圧を、電圧基準値保持部25に保持された電圧基準値と比較することにより、キャパシタ18の電圧が、CPU1が通常動作できる電圧レベルであるかどうかを判定する。
【0058】
電源切替部26は、主電池電圧検出部23およびキャパシタ電圧検出部24における判定結果を基に、トランジスタ等の半導体スイッチで構成されるスイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5をON/OFF制御する。これにより、電源切替部26は、CPU1およびRAM12等の電源となる電池(主電池16、副電池17、キャパシタ18)を切り替える。また、電源切替部26は、電池を切り替えた場合に、この電池切替の情報をCPU1のデータ退避部8に通知する。
【0059】
主電池16から電源供給可能な場合は、電源切替部26はスイッチSW1、スイッチSW4、およびSW5をオン(導通)にし、他のスイッチをオフ(非導通)にする。これにより、CPU1、ROM12、RAM13、キー入力部13、表示部14、および通信部15に対し、電源線B、A、C、Dを通して、主電池16から電源を供給する。
【0060】
主電池16からの電源供給が停止し、キャパシタ18から電源供給を行う場合は、電源切替部26は、SW3をオン(導通)にし、他のスイッチをオフ(非導通)にし、CPU1、およびRAM12に対し、電源線E、Aを介して電源を供給する。
【0061】
キャパシタ18の放電が進み、キャパシタ18からの電源供給を停止する場合は、SW2をオンにし、他のスイッチをオフにして、CPU1、およびRAM12に対し、電源線F、Aを介して、副電池17から電源を供給する。
【0062】
なお、上述した例では、電池制御回路21の主電池電圧検出部23と、CPU1内の主電池電圧検出部3とが重複して使用されている。これは、主電池16の電圧が低下し、CPU1内の主電池電圧検出部23が機能しなくなった場合にも、電池制御回路21は主電池電圧を検出する必要があるために設けられている。
【0063】
従って、CPU1が通常動作できなくなる電圧基準値を、実際にCPU1が動作できなくなる電圧よりも高めに設定することにより、電池制御回路21内の主電池電圧検出部23、キャパシタ電圧検出部24等の機能をCPU1内に含めることもできる。
【0064】
また、図3に示す例では、電圧基準値生成部5Aで生成された電圧基準値は、D/A変換器2Bによりアナログ信号に変換される構成となっているが、他の方法として、電圧基準値生成部5Aが電池ごとに基準値テーブルを持つ方法がある。この方法では、使用される電池の種類に応じた基準値が基準値テーブルから選択され電池制御回路21に送られる。
【0065】
この場合、電池制御回路21は、主電池電圧およびキャパシタ電圧と、電圧基準値(基準値テーブルから選択された基準値)とをデジタル値で比較するため、デジタル回路またはCPU1と同様なマイクロコントローラ等で構成される(ただし、CPU1よりも低い電圧で動作可能な回路構成とする)。なお、CPU1内において、電池の種類に応じた基準値テーブルを使用し、主電池電圧およびキャパシタ電圧と、電圧基準値とを比較する構成とすることもできる。
【0066】
なお、前述の電池電圧検出部は、主電池電圧検出部23およびキャパシタ電圧検出部24が相当する。
【0067】
(ハンディターミナルにおける各処理動作につての説明)
上述したように、CPU1内のデータ書込部6は、RAM12へデータを書き込む場合に、電池電圧を確認し、安全にデータを書き込めると判定した後に、RAM12にデータを書き込むように構成されている。
【0068】
図4は、RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図4を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0069】
CPU1において、RAM12へのデータ書込み処理が開始される(ステップS101)。RAM12へのデータ書込み処理が開始されると、最初に主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルがチェックされ(ステップS102)、所定の電圧基準値以上であるかどうかが判定される(ステップS103)。
【0070】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定されると(ステップS103:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0071】
一方、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS103:Yes)、次に、副電池17の電圧レベルがチェックされ(ステップS104)、所定の電圧基準値以上であるかどうかが判定される(ステップS105)。
【0072】
副電池17の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定されると(ステップS105:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0073】
副電池17の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS105:Yes)、ステップS106に移行し、書込みデータのサムチェックを作成し(ステップS106)、このサムチェックデータを付加したデータをRAM12に書き込む(ステップS107)。そして、RAM12に書き込んだ当該データを再び読み出し(ステップS108)、読み出したデータのサムチェックを行う。
【0074】
サムチェックの結果が正しい(OK)と判定された場合は(ステップS109:Yes)、RAM12へのデータ書込みが正常に行われたものとして、書き込み処理を終了する(ステップS111)。一方、ステップS109の判定において、サムチェックの結果が正しくないと判定された場合は(ステップS109:No)、RAM12に書き込んだデータをクリアし(ステップS110)、ステップS102に戻る。
【0075】
上述した処理の流れにより、RAM12にデータを書き込む際に、主電池16の電圧の判定と、副電池17の電圧の判定とを行うことにより、RAM12に安全にデータを書き込むことができる。また、書き込んだデータを読み出してサムチェックを行うようにしたので、これにより、RAM12に書き込まれたデータに整合性があることを判定できる。
【0076】
また、図5は、瞬断に対する割込み処理の流れを示すフローチャートである。主電池16からの電源供給が停止した場合の処理の流れを示したものである。以下、図5を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0077】
電池制御回路21では、主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルを常時チェックしており(ステップS201)、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下になったと判定した場合は(ステップS202:Yes)、瞬断に対する割込み処理が開始される。
【0078】
瞬断に対する割込み処理が開始されると(ステップS301)、電池制御回路21では、CPU1およびRAM12の電源を主電池16からキャパシタ18に切り替える(ステップS302)。また、電池制御回路21は、電源を主電池16からキャパシタ18に切り替えたことを示す電池切替信号をCPU1に送信する。
【0079】
一方、CPU1では、主電池16からキャパシタ18への電池切替信号を受信すると、RAM12へデータ書込み中であれば、このデータ書込みを完了させる(ステップS303)。RAM12へデータ書込みが完了すると(ステップS303:No)、CPU1はスリープモードに遷移し(ステップS304)、瞬断に対する割込み処理が終了する(ステップS305)。
【0080】
これにより、RAM12へデータ書込み中に、主電池16からの電源供給が停止した場合にも、RAM12へデータを安全に書き込むことができるようになる。
【0081】
なお、図5に示す処理では、電池制御回路21側の主電池電圧検出部23が、主電池16からの電源供給を停止を検出する場合について説明したが、CPU1側の主電池電圧検出部3により、主電池16からの電源供給を停止を検出して瞬断に対する割込み処理を開始することもできる。なお、この場合は、CPU1から電池制御回路21に対して、瞬断に対する割込み処理を開始する旨の信号を通知する必要がある。
【0082】
また、図6は、ハンディターミナルの起動時の電池判定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図6を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0083】
ハンディターミナルの起動処理が開始されると(ステップS401)、CPU1の主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルを測定する(ステップS402)。そして、測定された電圧レベルに応じて電池種類を判定する(ステップS403)。この場合に、新品の乾電池は二次電池よりも電圧が高いので、これより、電池種類を自動判定できる。または、起動時にハンディターミナルの表示部に電池種類を設定するためのダイアログ画面を表示し、ユーザが設定するようにしてもよい。
【0084】
次に、電池種類が二次電池と判定された場合は、電圧基準値を、例えば、1.1Vに設定し(ステップS404)、電池種類が乾電池と判定された場合は、電圧基準値を、例えば、1.2Vに設定する(ステップS405)。
【0085】
次に、主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルをチェックし(ステップS406)、所定の電圧基準値以上であるかどうかを判定する(ステップS407)。
【0086】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定された場合は(ステップS407:No)、起動不可と判定し、起動処理エラーとする(ステップS410)。一方、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS407:Yes)、キャパシタ18への充電処理を行い(ステップS408)、起動処理を完了する(ステップS409)。
【0087】
上記処理により、主電池16の種類に応じて電圧基準値を設定できる。
【0088】
[第2の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態では、主電池からの電源供給が停止した場合にも、安全にデータを退避できるハンディターミナルについて説明したが、本発明のハンディターミナルでは、さらに、主電池の劣化判定を行うようにもできる。本発明の第2の実施の形態では、この主電池の劣化判定機能を備えるハンディターミナルについて説明する。
【0089】
(主電池劣化判定動作の説明)
最初に、本発明のハンディターミナルにおける主電池の劣化判定動作について説明する。
【0090】
図7は、主電池劣化判定動作にについて説明するための図である。図7において、符号v3はCPU1が通常動作を行える電圧、r1、r2は劣化測定するための負荷抵抗値(抵抗値r1と抵抗値r2とを交互に変化させる)、b4は劣化電池の放電電圧曲線、b5は正常電池の放電電圧曲線を、それぞれ示している。
【0091】
放電電圧曲線b4に示す劣化電池の電圧波形は、十分に充電した状態での測定データを模式的に示すものである。従って、平均電圧(振幅の中央値)がv3よりも高く測定され、電圧チェックのみでは、あたかも使用可能な電池と判断されてしまう。着目すべきは、波形の振幅値の変動の大きさであり、放電電圧曲線b5に示す劣化していない正常な電池の同じ負荷抵抗での振幅と比較すると約2倍の振幅変動を生じる。十分に充電されて平均電圧としてv3を超える電圧が測定されても、このように大きな振幅変動を示す電池は、短時間で平均電圧が急降下する傾向がある。従って、電池の劣化状態の確認には、電圧の振幅を計測すれば良い。
【0092】
なお、図7に示す例では、放電電圧曲線b5で示される正常電池の波形では、平均電圧がv3を下回っている例を示しているが、これは充電そのものが不十分である例を示してものであり、十分な充電を行うことにより、放電電圧曲線b5の平均電圧をv3にできる。
【0093】
以上説明したように、劣化電池は負荷が小さい時には高い電圧を示すが、負荷を大きくした場合大きな電圧降下の傾向が見られる。一方正常な電池は電圧降下が小さい。これにより、主電池が劣化しているかどうかを判定でき、劣化している場合は、主電池を交換するように警告するメッセージを表示部に表示することができる。
【0094】
(CPUおよび電池制御回路の詳細な構成の説明)
また、図8は、主電池劣化判定機能を備えるハンディターミナルにおけるCPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【0095】
図8に示すハンディターミナルが、図3に示すハンディターミナルと構成上異なるのは、図3に示すハンディターミナルに対し、CPU1内の主電池劣化判定部9と、負荷変動部9Aを新たに追加した点である。さらに、負荷変動部9Aによりオン・オフ駆動されるスイッチSW6と、スイッチSW6により電源線Aに接続される擬似負荷10を新たに追加した点である。他の構成は図3に示すハンディターミナルと同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された部分についてのみ説明する。
【0096】
主電池劣化判定部9では、負荷変動部9Aにより電源線Aに接続される擬似負荷10をSW6によりON、OFFし、電源線Aの電圧の振幅値の変化を検出し、この電圧振幅値の変化を基に、主電池16の劣化を判定する処理部である。なお、擬似負荷10に代えて、比較的消費電流の大きい表示部14と通信部15の起動と停止を繰り返すようにしてもよい。
【0097】
(ハンディターミナルにおける各処理動作の説明)
図9は、RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
図9に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートと比較して、新たに、主電池劣化判定の処理ステップ(ステップS103A、S103B)が追加された点が異なり、他のステップは図4に示すフローチャートと同様である。このため、同一の処理内容のステップには同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された処理ステップの部分についてのみ説明する。
【0099】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS103:Yes)、主電池劣化判定部9により主電池劣化チェックを行う(ステップS103A)。この主電池劣化判定は、図7に示したように、負荷変動時の主電池電圧の振幅値の変化を検出することにより行われる。
【0100】
主電池劣化チェックにより主電池が劣化していると判定された場合は(ステップS103B:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0101】
一方、主電池劣化判定部9により主電池が劣化していないと判定された場合は(ステップS103B:Yes)、副電池電圧検出部4により、副電池17の電圧レベルがチェックされる(ステップS104)。
【0102】
上述した処理の流れにより、RAM12にデータを書き込む際に、主電池16の電圧の判定と、副電池17の電圧の判定に加えて、主電池16の劣化判定を行うようにしたので、より安全にRAM12へデータを書き込むことができる。
【0103】
また、図10は、主電池劣化判定を行うハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0104】
図10に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートと比較して、新たに、主電池劣化判定の処理ステップ(ステップS407A、S407B)が追加された点が異なり、他のステップは図6に示すフローチャートと同様である。このため、同一の処理内容のステップには同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された処理ステップの部分についてのみ説明する。
【0105】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS407:Yes)、主電池劣化判定部9により主電池劣化チェックが行われる(ステップS407A)。この主電池劣化判定は、図7に示したように、負荷変動時の主電池電圧の振幅値の変化を検出することにより行われる。
【0106】
主電池劣化チェックにより主電池が劣化していると判定された場合は(ステップS407B:No)、起動不可と判定し、起動処理エラーとする(ステップS410)。一方、主電池16が劣化していないと判定された場合は(ステップS407B:Yes)、キャパシタ18への充電処理を行い(ステップS408)、起動処理を完了する(ステップS409)。
【0107】
上記処理により、ハンディターミナルの起動時に主電池の劣化の判定を行い、起動処理を完了することができる。
【0108】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のハンディターミナルは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態に係わるハンディターミナルの概略構成を示す図である。
【図2】主電池からの電源供給が停止された場合の電池切り替え動作の説明図である。
【図3】CPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【図4】RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】瞬断に対する割込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】主電池劣化判定動作について説明するための図である。
【図8】主電池劣化判定機能を備えるハンディターミナルにおけるCPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【図9】RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定と主電池劣化判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】主電池劣化判定を行うハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】ハンディターミナルの外観例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1・・・CPU、2A・・・A/D変換器、2B・・・D/A変換器、3・・・主電池電圧検出部、4・・・副電池電圧検出部、5・・・BLD判定部、5A・・・電圧基準値生成部、6・・・データ書込部、7・・・サムチェック部、8・・・データ退避部、9・・・主電池劣化判定部、9A・・・負荷変動部、10・・・擬似負荷、11・・・ROM、12・・・RAM、13・・・キー入力部、14・・・表示部、15・・・通信部、16・・・主電池、17・・・副電池、18・・・キャパシタ、21・・・ 電池制御回路、22・・・充電部、23・・・主電池電圧検出部、24・・・キャパシタ電圧検出部、25・・・電圧基準値保持部、26・・・電源切替部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外食店舗内等の注文データ管理システムにおいて、客からの注文を入力し、無線転送するハンディターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レストラン、居酒屋あるいはホテル等で、客から注文された注文データ等を管理するために、注文データ管理システムが使用されている。この注文データ管理システムにおいては、ウエイトレスが客から料理の注文を受けた場合、ハンディターミナルにテーブル番号や人数等と共に注文を受けた各メニューを入力する。この入力された注文データは、ハンディターミナルから注文データ管理システムの制御装置に無線送信され、この注文データを基に、調理指示データや会計データ等が作成される。
【0003】
図11は、ハンディターミナルの外観例である。蓋31を開くことにより、タッチパネルを使用した表示部14が見えるようになっており、キー入力部13の押下による注文データ入力や、表示部14のタッチパネルへのペン入力やタッチ入力により注文データの入力を行うことができるように構成されている。
【0004】
ところで、上述した従来のハンディターミナルにおいて、乾電池駆動のハンディターミナルでは、振動などで電池の接点が離れてしまい一瞬停電状態になることがある。これを「瞬断」と呼ぶ。また、電池交換の際に停電状態になることがある。このように電池からの電源供給が停止した場合、RAM(例えば、SRAM等)に書き込み中のデータは消えてしまうか、送信中のデータが途中で切れてしまい不完全な状態となることがある。
【0005】
これらの対策の第1の方法として、乾電池の接点を強いバネで固定して瞬断を回避する方法がある。第2の方法として、容量が大きいキャパシタを使って電圧を保持し、瞬断に対処する方法がある。第3の方法として、駆動電圧の異なるCPUを2つ搭載してサブCPUで電圧を監視する仕組みを用いる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、上述した第1の方法では完全に瞬断を防ぐことは難しく。第2の方法では、瞬断の時間が長いとデータ消えが発生する可能性がある。また、第3の方法の場合では、CPUがRAMにデータを書込み中に、電池による電源の供給が停止した場合には、RAMに正常のデータを書き込むことができないという問題があった。
【0007】
飲食店等で使用されるハンディターミナルでこのような現象が発生すると、入力した注文データが消えてしまうことがあり、また異なる注文データがRAMに保存されてしまう可能性があり、これらの問題を解決したハンディターミナルの提供が望まれていた。
【特許文献1】特開2003−295984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来のハンディターミナルにおいては、CPUがRAMにデータを書込み中に、電池からの電源供給が停止した場合には、RAMに正常なデータを書き込むことができないという問題があった。
【0009】
また、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化が進行した電池を使っている場合に突然動作電圧を下回るような場合も同様にRAMのデータが不整合になる場合があった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の第1の目的は、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる、ハンディターミナルを提供することにある。また、第2の目的として、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化した場合に、これを検出してRAMへの誤データの書き込みを回避し、また、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる、ハンディターミナルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のハンディターミナルは、ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池と、前記ハンディターミナル内のRAMに書き込まれているデータを保持するのに必要な電圧を供給すると共に、前記ハンディターミナル内のCPUを待機モードに維持するのに必要な電圧を供給する第1の副電池と、前記CPUの動作に必要な電圧であり、かつ、前記CPUがRAMにデータを書き込むために必要な電圧を、少なくとも前記CPUが所定量のデータを前記RAMに書き込むのに要する期間、前記CPUに供給する第2の副電池と、前記CPUとRAMとに供給する電圧を、前記主電池と、第1の副電池と、第2の副電池の組み合わせのうちいずれか1つを選択して供給する電池制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、電池を三系統搭載する。すなわち、主電池、CPUの待機状態およびRAMのデータ保持をバックアップする第1の副電池、主電池から副電池に切り替える間にCPUを通常動作させる第2の副電池を搭載する。また、主電池と、第1の副電池と、第2の副電池のうちのいずれか1つを選択する電池制御回路を設ける。そして、例えば、主電池からの電源供給が停止した場合に、CPUの電源を主電池から第2の副電池に切り替える。CPUは第2の副電池から電源の供給を受けている間に、データ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、第2の副電池の電圧が放電し電圧が低下した場合に、CPUとRAMの電源を第1の副電池に切り替え、この第1の副電池によりCPUを待機モードに維持すると共に、RAMがデータを安全に保持できるようにバックアップする。
【0013】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0014】
また、本発明のハンディターミナルは、前記電池制御回路には、前記主電池の電圧と前記第2の副電池の電圧とを少なくとも検出する電池電圧検出部と、前記電池電圧検出部により主電池の電圧レベルが予め設定された電圧基準値より低下しことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記主電池から前記第2の副電池に切り替えると共に、前記第2の副電池の電圧の電圧レベルが前記電圧基準値より低下したことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記第2の副電池から前記第1の副電池に切り替える電源切替部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池からの電源供給が停止した場合に、CPUの電源を主電池から第2の副電池に切り替える。CPUは第2の副電池から電源の供給を受けている間に、データ書き込み中であればデータの書き込みを完了する。その後、第2の副電池の電圧が放電し電圧が低下した場合に、CPUとRAMの電源を第1の副電池に切り替え、この第1の副電池によりCPUを待機モードに維持すると共に、RAMがデータを安全に保持できるようにバックアップする。
【0016】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存すると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0017】
また、本発明のハンディターミナルは、前記ハンディターミナルは少なくとも飲食店を含む店舗内において注文データを入力するためのハンディターミナルであって、前記CPUは、前記第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データを前記RAMに書き込むと共に、その後に待機モードに遷移するように構成されたこと、を特徴とする。
【0018】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、飲食店等でハンディターミナルに注文データを入力した際に、主電池からの電源供給が停止した場合は、CPUは、第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データのRAMへの書き込みを完了させ、その後に待機モードに遷移する。
【0019】
これにより、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、入力された注文データを安全にRAMに保存することができる。
【0020】
また、本発明のハンディターミナルは、前記第2の副電池はキャパシタで構成されており、ハンディターミナルの起動時に、前記電池制御回路が、前記主電池から前記キャパシタを充電するようにする構成されたこと、を特徴とする。
【0021】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、第2の副電池をキャパシタで構成し、該キャパシタを主電池により充電するようにしたので、これにより、容易かつ安価に第2の副電池を設備することができる。
【0022】
また、本発明のハンディターミナルは、前記CPUから前記RAMにデータを書き込みを行う際には、前記電圧検出部により前記主電池および第1の副電池の電圧レベルを測定し、前記主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常と判定された場合に前記RAMへのデータの書き込みを実行するとともに、前記RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータのサムチェックを行うように構成されたこと、を特徴とする。
【0023】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、RAMにデータを書き込みを行う際には、主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常であるかを判定し、主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常な場合にRAMへのデータの書き込みを実行するとともに、RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータにサムチェックを行うようにしたので、RAMに安全にデータを書き込むことができると共に、データの整合性を常に保つことができる。
【0024】
また、本発明のハンディターミナルは、前記主電池は乾電池または二次電池のいずれかで構成され、前記主電池電圧検出部により測定された主電池電圧を基に前記主電池の種類を判定し、判定された主電池の種類に応じて前記電圧基準値を生成する電圧基準値生成部を、備えることを特徴とする。
【0025】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池として乾電池または二次電池のいずれかを使用し、また、電池の種類に応じて電圧基準値を生成するようにしたので、これにより、電池の種類に応じて、主電池からの電源供給の停止を判定できる。
【0026】
また、本発明のハンディターミナルは、前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池に対する負荷を変動させた場合の主電池の電圧の振幅値の変化から、主電池の劣化を判定するようにしたので、これにより、主電池の劣化を容易に判定できる。このため、主電池が劣化している場合は、RAMへのデータの書き込みを中止して、誤データの書き込みを回避できると共に、主電池劣化のメッセージを表示部に表示することにより、主電池の交換をユーザに促すことができる。
【0028】
また、本発明のハンディターミナルは、前記負荷変動部は、ハンディターミナルが備える表示部と通信部の両方、またはいずれか一方を、予め定められた周期で起動または停止することにより、前記主電池に対する負荷を変動させること、を特徴とする。
【0029】
これにより、主電池に接続する変動負荷を特別に用意する必要がなくなる。
【0030】
また、本発明のハンディターミナルは、ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池を有するハンディターミナルであって、前記主電池の電圧を検出する電池電圧検出部と、前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
上記構成からなる本発明のハンディターミナルでは、主電池に対する負荷を変動させた場合の主電池の電圧の振幅値の変化から、主電池の劣化を判定するようにしたので、これにより、主電池の劣化を容易に判定できる。このため、主電池が劣化している場合は、RAMへのデータの書き込みを中止して、誤データの書き込みを回避できると共に、主電池劣化のメッセージを表示部に表示することにより、主電池の交換をユーザに促すことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のハンディターミナルにおいては、主電池電圧の瞬断や主電池の交換等により、主電池からの電源供給が停止した場合にも、RAMに書き込み中のデータを安全に保存することができると共に、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【0033】
また、電池の容量が少なくなってきた場合や劣化した場合に、これを検出してRAMへの誤データの書き込みを回避し、また、RAMに保存されたデータを安全に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0035】
[第1の実施の形態]
(ハンディターミナルの概略構成の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係わるハンディターミナルの概略構成を示す図である。図1に示すハンディターミナルは、飲食店等で注文データを受け付けるための端末であり、ハンディターミナルは、CPU1、ROM11、RAM12、キー入力部13、表示部14、通信部15、主電池16、副電池17、キャパシタ18、電池制御回路21を備える。(なお、CPU1および電池制御回路21の詳細な構成については後述される。)
CPU1は、ハンディターミナルの各部を統括して制御する制御部である。ROM11には注文データを処理する制御プログラムならびに漢字フォントなどが格納されている。RAM12は、消費電流の少ないSRAM等であり、注文データ等のデータが格納されている。キー入力部13は、注文データを入力するためのキー入力部であり、メニューキーや数量データを入力するための数値キー等で構成される。表示部14はカラーLCDを使用した表示部であり、タッチパネルとしても機能する表示部である。通信部15は、注文データ管理システムの制御装置(図示せず)と無線により通信を行うための処理部であり、注文データを注文データ管理システム側に送信する。
【0036】
なお、図1に示す例では、表示部14はタッチパネル機能付のカラーLCDを用いるものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、モノクロLCDでも良いしタッチパネル機能がなくても良い。
【0037】
主電池16は、ハンディターミナル内の基本となる主電源であり、乾電池または充電可能な二次電池で構成され、通常時に、CPU1、ROM11、RAM12、キー入力部13、通信部15等に対し電源を供給する。
【0038】
副電池17は、コイン電池等であり、主電池16からの電源供給が停止した場合に、RAM12へ電源を供給してデータを保持させると共に、CPU1をスリープモード(待機モード)に維持するための電源を供給する。なお、前述の第1の副電池は副電池17が相当する。
【0039】
キャパシタ18は、主電池16から充電される電源であり、主電池16から副電池17に電源を切り替える際に、CPU1に電源を供給するための電源である。前述の第2の副電池はキャパシタ18が相当する。
【0040】
電池制御回路21は、主電池16からキャパシタ18への充電回路を構成する。また、電池制御回路21は、CPU1およびRAM12の電源を主電池16からキャパシタ18へ切り替えると共に、キャパシタ18から副電池17に切り替える制御を行う。
【0041】
上記構成のハンディターミナルにおいて、主電池16からの電源供給が停止された場合は、キャパシタ18からCPU1に電源を供給し、CPU1を所定の期間だけ通常動作できるようにし、CPU1がRAM12にデータ書き込み中であれば、それを完了させる。そして、CPU1は、スリープモードに移行するための退避処理を行い、スリープモードに遷移する。その後、キャパシタ18が放電し出力電圧が低下すると、CPU1およびRAM12に供給する電源をキャパシタ18から副電池17に切り替える。この副電池17によりCPU1をスリープモードに維持し、また、RAM12のデータを安全に保持する。
【0042】
また、本発明のハンディターミナルは、上述した機能の他に、主電池16の電池容量の減少、および主電池16の劣化を判定して警告を表示する機能も備えている。
【0043】
(主電池16からの電源供給が停止された場合の各電池の切り替え動作の説明)
図2は、主電池からの電源供給が停止された場合の電池切り替え動作の説明図であり、主電池からの電源供給が停止された場合の、CPU1およびRAM12に電源を供給する各電池の電圧と時間との関係を示している。
【0044】
図2において、符号b1は、主電池の放電(電圧)曲線、b2は、キャパシタの放電(電圧)曲線、b3は副電池の放電(電圧)曲線、v1はCPUがスリープ状態を保持できる電圧、v2はCPUが通常動作を行える電圧、t1は瞬断または電池交換などによりb1がv2を下回る開始時間、t2はキャパシタの放電によりb2がv2を下回る開始時間、t1〜t2はキャパシタでCPUを通常動作させることができる最大時間を、それぞれ示している。なお、時間t1〜t2の時間幅は、例えば、飲食向けのハンディターミナルでは注文データとして最大2Kバイト程度が必要となり、これをCPU1がRAM12に保存できる時間以上とし、この時間に応じてキャパシタの容量が決定される。
【0045】
図2を参照して、主電池16からの電源供給を停止すると、曲線b1に示すように、主電池16からの電源電圧が次第に低下し、時刻t1において、CPUが通常動作を行える電圧v2以下になろうとする。この時、CPU1に対して供給される電源は、主電池16からキャパシタ18に切り替えられ、CPU1に対して曲線b2に示す電圧が供給される。
【0046】
このキャパシタ18により、時刻t1からt2の間はCPU1が通常動作を行えるように維持される。この時刻t1からt2の間に、CPUは注文データをRAM12に保存するなど、ハンディターミナルが安全に動作を終了し、スリープモードに遷移するための処理を行う。
【0047】
時刻t2に至り、曲線b1で示すキャパシタ18の電圧がv2以下になると、CPU1、およびRAM12の電源は、キャパシタ18から副電池17に切り替えられ、曲線b3で示す電圧が供給される。この副電池17の電圧は、RAM12にデータを保持させると共に、CPU1をスリープ状態に保持するのに十分な電圧であり、これにより、時刻t2以降から主電池16の電源が回復するまでの間、副電池17により、RAM12のデータが保持され、また、CPU1のスリープ状態が保持される。
【0048】
(CPUおよび電池制御回路の詳細な構成の説明)
また、図3は、CPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。図3に示す例は、CPU1と電池制御回路21の内部構成と共に、各回路部への電源の供給経路A、B、CD、E、Fを示したものであり、CPUと電池制御回路については、本発明に直接関係する部分のみを示したものである。
【0049】
なお、CPU1は内部にA/D変換器2A、D/A変換器2Bを内蔵したマイクロコントローラ等であり、また、CPU1内の各処理部は、ROM11に記憶された制御プログラム等を実行することによりソフトウェア手段によりその機能を実現するものである。
【0050】
CPU1内の主電池電圧検出部3は、主電池16の電圧を検出するための処理部である。副電池電圧検出部4は、副電池17の電圧を検出するための処理部である。この電圧検出の場合に、主電池16の電圧、副電池17の電圧、および電源線Aの電圧を所定の時間ごとにA/D変換器2Aにより取り込み電圧検出を行うものである。
【0051】
BLD(Battery Low Detect)判定部5は、ハンディターミナルの起動時に、主電池16の電圧レベルを判定し、この電圧レベルを基に主電池16が乾電池であるか二次電池であるかを判定する。そして、この判定結果を基に、電圧基準値生成部5Aにより電圧基準値(BLD値)を生成する。この電圧基準値は、D/A変換器2Bによりアナログ信号に変換されて電池制御回路21にも送られ、電池制御回路21内の電圧基準値保持部25に保持される。
【0052】
データ書込部6は、注文データ等のデータをRAM12に保存するための処理部である。このデータ書込部6では、RAM12へデータを書き込む場合に、主電池電圧検出部3および副電池電圧検出部4における電池電圧の検出結果を基に、RAM12に安全にデータを書き込めるかどうかを判定する。データ書込部6は、安全にデータを書き込めると判定した場合に、RAM12にデータを書き込む。また、RAM12に書き込まれるデータにはサムチェックデータが付加されている。データ書込部6は、RAM6にデータを書き込んだ後、この書き込んだデータを再度読み出し、サムチェック部7によりサムチェックを行い、RAM12に保存されたデータと書込みデータとの間に整合性が保たれていることを検証する。
【0053】
データ退避部8は、主電池16からの電源供給が停止され、CPU1の電源が主電池16からキャパシタ18に切り替えられた場合に、この電源切替情報を電源切替部26から受信する。そして、このデータ退避部8により、CPU1が現在処理中の注文データ等をRAM12に退避すると共に、スリープモードに安全に移行するためのデータ退避処理を行う。
【0054】
次に、電池制御回路21の構成について説明する。
【0055】
電池制御回路21内の充電部22は主電池16からキャパシタ18への充電を行う回路であり、主電池16からキャパシタ18への充電は、ハンディターミナルの起動時に行われる。
【0056】
主電池電圧検出部23は、例えばコンパレータで構成されており、主電池16の電圧を電圧基準値保持部25に保持された電圧基準値と比較することにより、主電池16の電圧が、CPU1が通常動作できる電圧レベルであるかどうかを判定する。
【0057】
キャパシタ電圧検出部24は、例えば、コンパレータで構成されており、キャパシタ18の電圧を、電圧基準値保持部25に保持された電圧基準値と比較することにより、キャパシタ18の電圧が、CPU1が通常動作できる電圧レベルであるかどうかを判定する。
【0058】
電源切替部26は、主電池電圧検出部23およびキャパシタ電圧検出部24における判定結果を基に、トランジスタ等の半導体スイッチで構成されるスイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5をON/OFF制御する。これにより、電源切替部26は、CPU1およびRAM12等の電源となる電池(主電池16、副電池17、キャパシタ18)を切り替える。また、電源切替部26は、電池を切り替えた場合に、この電池切替の情報をCPU1のデータ退避部8に通知する。
【0059】
主電池16から電源供給可能な場合は、電源切替部26はスイッチSW1、スイッチSW4、およびSW5をオン(導通)にし、他のスイッチをオフ(非導通)にする。これにより、CPU1、ROM12、RAM13、キー入力部13、表示部14、および通信部15に対し、電源線B、A、C、Dを通して、主電池16から電源を供給する。
【0060】
主電池16からの電源供給が停止し、キャパシタ18から電源供給を行う場合は、電源切替部26は、SW3をオン(導通)にし、他のスイッチをオフ(非導通)にし、CPU1、およびRAM12に対し、電源線E、Aを介して電源を供給する。
【0061】
キャパシタ18の放電が進み、キャパシタ18からの電源供給を停止する場合は、SW2をオンにし、他のスイッチをオフにして、CPU1、およびRAM12に対し、電源線F、Aを介して、副電池17から電源を供給する。
【0062】
なお、上述した例では、電池制御回路21の主電池電圧検出部23と、CPU1内の主電池電圧検出部3とが重複して使用されている。これは、主電池16の電圧が低下し、CPU1内の主電池電圧検出部23が機能しなくなった場合にも、電池制御回路21は主電池電圧を検出する必要があるために設けられている。
【0063】
従って、CPU1が通常動作できなくなる電圧基準値を、実際にCPU1が動作できなくなる電圧よりも高めに設定することにより、電池制御回路21内の主電池電圧検出部23、キャパシタ電圧検出部24等の機能をCPU1内に含めることもできる。
【0064】
また、図3に示す例では、電圧基準値生成部5Aで生成された電圧基準値は、D/A変換器2Bによりアナログ信号に変換される構成となっているが、他の方法として、電圧基準値生成部5Aが電池ごとに基準値テーブルを持つ方法がある。この方法では、使用される電池の種類に応じた基準値が基準値テーブルから選択され電池制御回路21に送られる。
【0065】
この場合、電池制御回路21は、主電池電圧およびキャパシタ電圧と、電圧基準値(基準値テーブルから選択された基準値)とをデジタル値で比較するため、デジタル回路またはCPU1と同様なマイクロコントローラ等で構成される(ただし、CPU1よりも低い電圧で動作可能な回路構成とする)。なお、CPU1内において、電池の種類に応じた基準値テーブルを使用し、主電池電圧およびキャパシタ電圧と、電圧基準値とを比較する構成とすることもできる。
【0066】
なお、前述の電池電圧検出部は、主電池電圧検出部23およびキャパシタ電圧検出部24が相当する。
【0067】
(ハンディターミナルにおける各処理動作につての説明)
上述したように、CPU1内のデータ書込部6は、RAM12へデータを書き込む場合に、電池電圧を確認し、安全にデータを書き込めると判定した後に、RAM12にデータを書き込むように構成されている。
【0068】
図4は、RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図4を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0069】
CPU1において、RAM12へのデータ書込み処理が開始される(ステップS101)。RAM12へのデータ書込み処理が開始されると、最初に主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルがチェックされ(ステップS102)、所定の電圧基準値以上であるかどうかが判定される(ステップS103)。
【0070】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定されると(ステップS103:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0071】
一方、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS103:Yes)、次に、副電池17の電圧レベルがチェックされ(ステップS104)、所定の電圧基準値以上であるかどうかが判定される(ステップS105)。
【0072】
副電池17の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定されると(ステップS105:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0073】
副電池17の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS105:Yes)、ステップS106に移行し、書込みデータのサムチェックを作成し(ステップS106)、このサムチェックデータを付加したデータをRAM12に書き込む(ステップS107)。そして、RAM12に書き込んだ当該データを再び読み出し(ステップS108)、読み出したデータのサムチェックを行う。
【0074】
サムチェックの結果が正しい(OK)と判定された場合は(ステップS109:Yes)、RAM12へのデータ書込みが正常に行われたものとして、書き込み処理を終了する(ステップS111)。一方、ステップS109の判定において、サムチェックの結果が正しくないと判定された場合は(ステップS109:No)、RAM12に書き込んだデータをクリアし(ステップS110)、ステップS102に戻る。
【0075】
上述した処理の流れにより、RAM12にデータを書き込む際に、主電池16の電圧の判定と、副電池17の電圧の判定とを行うことにより、RAM12に安全にデータを書き込むことができる。また、書き込んだデータを読み出してサムチェックを行うようにしたので、これにより、RAM12に書き込まれたデータに整合性があることを判定できる。
【0076】
また、図5は、瞬断に対する割込み処理の流れを示すフローチャートである。主電池16からの電源供給が停止した場合の処理の流れを示したものである。以下、図5を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0077】
電池制御回路21では、主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルを常時チェックしており(ステップS201)、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下になったと判定した場合は(ステップS202:Yes)、瞬断に対する割込み処理が開始される。
【0078】
瞬断に対する割込み処理が開始されると(ステップS301)、電池制御回路21では、CPU1およびRAM12の電源を主電池16からキャパシタ18に切り替える(ステップS302)。また、電池制御回路21は、電源を主電池16からキャパシタ18に切り替えたことを示す電池切替信号をCPU1に送信する。
【0079】
一方、CPU1では、主電池16からキャパシタ18への電池切替信号を受信すると、RAM12へデータ書込み中であれば、このデータ書込みを完了させる(ステップS303)。RAM12へデータ書込みが完了すると(ステップS303:No)、CPU1はスリープモードに遷移し(ステップS304)、瞬断に対する割込み処理が終了する(ステップS305)。
【0080】
これにより、RAM12へデータ書込み中に、主電池16からの電源供給が停止した場合にも、RAM12へデータを安全に書き込むことができるようになる。
【0081】
なお、図5に示す処理では、電池制御回路21側の主電池電圧検出部23が、主電池16からの電源供給を停止を検出する場合について説明したが、CPU1側の主電池電圧検出部3により、主電池16からの電源供給を停止を検出して瞬断に対する割込み処理を開始することもできる。なお、この場合は、CPU1から電池制御回路21に対して、瞬断に対する割込み処理を開始する旨の信号を通知する必要がある。
【0082】
また、図6は、ハンディターミナルの起動時の電池判定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図6を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0083】
ハンディターミナルの起動処理が開始されると(ステップS401)、CPU1の主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルを測定する(ステップS402)。そして、測定された電圧レベルに応じて電池種類を判定する(ステップS403)。この場合に、新品の乾電池は二次電池よりも電圧が高いので、これより、電池種類を自動判定できる。または、起動時にハンディターミナルの表示部に電池種類を設定するためのダイアログ画面を表示し、ユーザが設定するようにしてもよい。
【0084】
次に、電池種類が二次電池と判定された場合は、電圧基準値を、例えば、1.1Vに設定し(ステップS404)、電池種類が乾電池と判定された場合は、電圧基準値を、例えば、1.2Vに設定する(ステップS405)。
【0085】
次に、主電池電圧検出部3により主電池16の電圧レベルをチェックし(ステップS406)、所定の電圧基準値以上であるかどうかを判定する(ステップS407)。
【0086】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以下であると判定された場合は(ステップS407:No)、起動不可と判定し、起動処理エラーとする(ステップS410)。一方、主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS407:Yes)、キャパシタ18への充電処理を行い(ステップS408)、起動処理を完了する(ステップS409)。
【0087】
上記処理により、主電池16の種類に応じて電圧基準値を設定できる。
【0088】
[第2の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態では、主電池からの電源供給が停止した場合にも、安全にデータを退避できるハンディターミナルについて説明したが、本発明のハンディターミナルでは、さらに、主電池の劣化判定を行うようにもできる。本発明の第2の実施の形態では、この主電池の劣化判定機能を備えるハンディターミナルについて説明する。
【0089】
(主電池劣化判定動作の説明)
最初に、本発明のハンディターミナルにおける主電池の劣化判定動作について説明する。
【0090】
図7は、主電池劣化判定動作にについて説明するための図である。図7において、符号v3はCPU1が通常動作を行える電圧、r1、r2は劣化測定するための負荷抵抗値(抵抗値r1と抵抗値r2とを交互に変化させる)、b4は劣化電池の放電電圧曲線、b5は正常電池の放電電圧曲線を、それぞれ示している。
【0091】
放電電圧曲線b4に示す劣化電池の電圧波形は、十分に充電した状態での測定データを模式的に示すものである。従って、平均電圧(振幅の中央値)がv3よりも高く測定され、電圧チェックのみでは、あたかも使用可能な電池と判断されてしまう。着目すべきは、波形の振幅値の変動の大きさであり、放電電圧曲線b5に示す劣化していない正常な電池の同じ負荷抵抗での振幅と比較すると約2倍の振幅変動を生じる。十分に充電されて平均電圧としてv3を超える電圧が測定されても、このように大きな振幅変動を示す電池は、短時間で平均電圧が急降下する傾向がある。従って、電池の劣化状態の確認には、電圧の振幅を計測すれば良い。
【0092】
なお、図7に示す例では、放電電圧曲線b5で示される正常電池の波形では、平均電圧がv3を下回っている例を示しているが、これは充電そのものが不十分である例を示してものであり、十分な充電を行うことにより、放電電圧曲線b5の平均電圧をv3にできる。
【0093】
以上説明したように、劣化電池は負荷が小さい時には高い電圧を示すが、負荷を大きくした場合大きな電圧降下の傾向が見られる。一方正常な電池は電圧降下が小さい。これにより、主電池が劣化しているかどうかを判定でき、劣化している場合は、主電池を交換するように警告するメッセージを表示部に表示することができる。
【0094】
(CPUおよび電池制御回路の詳細な構成の説明)
また、図8は、主電池劣化判定機能を備えるハンディターミナルにおけるCPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【0095】
図8に示すハンディターミナルが、図3に示すハンディターミナルと構成上異なるのは、図3に示すハンディターミナルに対し、CPU1内の主電池劣化判定部9と、負荷変動部9Aを新たに追加した点である。さらに、負荷変動部9Aによりオン・オフ駆動されるスイッチSW6と、スイッチSW6により電源線Aに接続される擬似負荷10を新たに追加した点である。他の構成は図3に示すハンディターミナルと同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された部分についてのみ説明する。
【0096】
主電池劣化判定部9では、負荷変動部9Aにより電源線Aに接続される擬似負荷10をSW6によりON、OFFし、電源線Aの電圧の振幅値の変化を検出し、この電圧振幅値の変化を基に、主電池16の劣化を判定する処理部である。なお、擬似負荷10に代えて、比較的消費電流の大きい表示部14と通信部15の起動と停止を繰り返すようにしてもよい。
【0097】
(ハンディターミナルにおける各処理動作の説明)
図9は、RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
図9に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートと比較して、新たに、主電池劣化判定の処理ステップ(ステップS103A、S103B)が追加された点が異なり、他のステップは図4に示すフローチャートと同様である。このため、同一の処理内容のステップには同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された処理ステップの部分についてのみ説明する。
【0099】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS103:Yes)、主電池劣化判定部9により主電池劣化チェックを行う(ステップS103A)。この主電池劣化判定は、図7に示したように、負荷変動時の主電池電圧の振幅値の変化を検出することにより行われる。
【0100】
主電池劣化チェックにより主電池が劣化していると判定された場合は(ステップS103B:No)、RAM12へのデータ書込み不可と判定し、RAM12へのデータ書込みを中止する(ステップS112)。
【0101】
一方、主電池劣化判定部9により主電池が劣化していないと判定された場合は(ステップS103B:Yes)、副電池電圧検出部4により、副電池17の電圧レベルがチェックされる(ステップS104)。
【0102】
上述した処理の流れにより、RAM12にデータを書き込む際に、主電池16の電圧の判定と、副電池17の電圧の判定に加えて、主電池16の劣化判定を行うようにしたので、より安全にRAM12へデータを書き込むことができる。
【0103】
また、図10は、主電池劣化判定を行うハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0104】
図10に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートと比較して、新たに、主電池劣化判定の処理ステップ(ステップS407A、S407B)が追加された点が異なり、他のステップは図6に示すフローチャートと同様である。このため、同一の処理内容のステップには同一の符号を付し、重複する説明は省略し、新たに追加された処理ステップの部分についてのみ説明する。
【0105】
主電池16の電圧が所定の電圧基準値以上であると判定されると(ステップS407:Yes)、主電池劣化判定部9により主電池劣化チェックが行われる(ステップS407A)。この主電池劣化判定は、図7に示したように、負荷変動時の主電池電圧の振幅値の変化を検出することにより行われる。
【0106】
主電池劣化チェックにより主電池が劣化していると判定された場合は(ステップS407B:No)、起動不可と判定し、起動処理エラーとする(ステップS410)。一方、主電池16が劣化していないと判定された場合は(ステップS407B:Yes)、キャパシタ18への充電処理を行い(ステップS408)、起動処理を完了する(ステップS409)。
【0107】
上記処理により、ハンディターミナルの起動時に主電池の劣化の判定を行い、起動処理を完了することができる。
【0108】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のハンディターミナルは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態に係わるハンディターミナルの概略構成を示す図である。
【図2】主電池からの電源供給が停止された場合の電池切り替え動作の説明図である。
【図3】CPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【図4】RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】瞬断に対する割込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】主電池劣化判定動作について説明するための図である。
【図8】主電池劣化判定機能を備えるハンディターミナルにおけるCPUと電池制御回路の詳細な構成を示す図である。
【図9】RAMにデータを書込む場合の電池電圧の判定と主電池劣化判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】主電池劣化判定を行うハンディターミナルの起動処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】ハンディターミナルの外観例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1・・・CPU、2A・・・A/D変換器、2B・・・D/A変換器、3・・・主電池電圧検出部、4・・・副電池電圧検出部、5・・・BLD判定部、5A・・・電圧基準値生成部、6・・・データ書込部、7・・・サムチェック部、8・・・データ退避部、9・・・主電池劣化判定部、9A・・・負荷変動部、10・・・擬似負荷、11・・・ROM、12・・・RAM、13・・・キー入力部、14・・・表示部、15・・・通信部、16・・・主電池、17・・・副電池、18・・・キャパシタ、21・・・ 電池制御回路、22・・・充電部、23・・・主電池電圧検出部、24・・・キャパシタ電圧検出部、25・・・電圧基準値保持部、26・・・電源切替部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池と、
前記ハンディターミナル内のRAMに書き込まれているデータを保持するのに必要な電圧を供給すると共に、前記ハンディターミナル内のCPUを待機モードに維持するのに必要な電圧を供給する第1の副電池と、
前記CPUの動作に必要な電圧であり、かつ、前記CPUがRAMにデータを書き込むために必要な電圧を、少なくとも前記CPUが所定量のデータを前記RAMに書き込むのに要する期間、前記CPUに供給する第2の副電池と、
前記CPUとRAMとに供給する電圧を、前記主電池と、第1の副電池と、第2の副電池の組み合わせのうちいずれか1つを選択して供給する電池制御回路と、
を備えることを特徴とするハンディターミナル。
【請求項2】
前記電池制御回路には、
前記主電池の電圧と前記第2の副電池の電圧とを少なくとも検出する電池電圧検出部と、
前記電池電圧検出部により主電池の電圧レベルが予め設定された電圧基準値より低下しことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記主電池から前記第2の副電池に切り替えると共に、
前記第2の副電池の電圧の電圧レベルが前記電圧基準値より低下したことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記第2の副電池から前記第1の副電池に切り替える電源切替部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のハンディターミナル。
【請求項3】
前記ハンディターミナルは少なくとも飲食店を含む店舗内において注文データを入力するためのハンディターミナルであって、
前記CPUは、前記第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データを前記RAMに書き込むと共に、その後に待機モードに遷移するように構成されたこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のハンディターミナル。
【請求項4】
前記第2の副電池はキャパシタで構成されており、
ハンディターミナルの起動時に、前記電池制御回路が、前記主電池から前記キャパシタを充電するようにする構成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項5】
前記CPUから前記RAMにデータを書き込みを行う際には、
前記電圧検出部により前記主電池および第1の副電池の電圧レベルを測定し、前記主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常と判定された場合に前記RAMへのデータの書き込みを実行するとともに、
前記RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータのサムチェックを行うように構成されたこと、
を特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項6】
前記主電池は乾電池または二次電池のいずれかで構成され、
前記主電池電圧検出部により測定された主電池電圧を基に前記主電池の種類を判定し、判定された主電池の種類に応じて前記電圧基準値を生成する電圧基準値生成部を、
備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項7】
前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、
前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項8】
前記負荷変動部は、ハンディターミナルが備える表示部と通信部の両方、またはいずれか一方を、予め定められた周期で起動または停止することにより、前記主電池に対する負荷を変動させること、
を特徴とする請求項7に記載のハンディターミナル。
【請求項9】
ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池を有するハンディターミナルであって、
前記主電池の電圧を検出する電池電圧検出部と、
前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、
前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、
を備えることを特徴とするハンディターミナル。
【請求項1】
ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池と、
前記ハンディターミナル内のRAMに書き込まれているデータを保持するのに必要な電圧を供給すると共に、前記ハンディターミナル内のCPUを待機モードに維持するのに必要な電圧を供給する第1の副電池と、
前記CPUの動作に必要な電圧であり、かつ、前記CPUがRAMにデータを書き込むために必要な電圧を、少なくとも前記CPUが所定量のデータを前記RAMに書き込むのに要する期間、前記CPUに供給する第2の副電池と、
前記CPUとRAMとに供給する電圧を、前記主電池と、第1の副電池と、第2の副電池の組み合わせのうちいずれか1つを選択して供給する電池制御回路と、
を備えることを特徴とするハンディターミナル。
【請求項2】
前記電池制御回路には、
前記主電池の電圧と前記第2の副電池の電圧とを少なくとも検出する電池電圧検出部と、
前記電池電圧検出部により主電池の電圧レベルが予め設定された電圧基準値より低下しことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記主電池から前記第2の副電池に切り替えると共に、
前記第2の副電池の電圧の電圧レベルが前記電圧基準値より低下したことが検出された場合に、前記CPUとRAMとに供給する電源を前記第2の副電池から前記第1の副電池に切り替える電源切替部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のハンディターミナル。
【請求項3】
前記ハンディターミナルは少なくとも飲食店を含む店舗内において注文データを入力するためのハンディターミナルであって、
前記CPUは、前記第2の副電池から電源の供給を受けている間に、入力された注文データを前記RAMに書き込むと共に、その後に待機モードに遷移するように構成されたこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のハンディターミナル。
【請求項4】
前記第2の副電池はキャパシタで構成されており、
ハンディターミナルの起動時に、前記電池制御回路が、前記主電池から前記キャパシタを充電するようにする構成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項5】
前記CPUから前記RAMにデータを書き込みを行う際には、
前記電圧検出部により前記主電池および第1の副電池の電圧レベルを測定し、前記主電池および第1の副電池の電圧レベルが正常と判定された場合に前記RAMへのデータの書き込みを実行するとともに、
前記RAMに書き込んだデータを再度読み出し、該読み出したデータのサムチェックを行うように構成されたこと、
を特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項6】
前記主電池は乾電池または二次電池のいずれかで構成され、
前記主電池電圧検出部により測定された主電池電圧を基に前記主電池の種類を判定し、判定された主電池の種類に応じて前記電圧基準値を生成する電圧基準値生成部を、
備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項7】
前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、
前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のハンディターミナル。
【請求項8】
前記負荷変動部は、ハンディターミナルが備える表示部と通信部の両方、またはいずれか一方を、予め定められた周期で起動または停止することにより、前記主電池に対する負荷を変動させること、
を特徴とする請求項7に記載のハンディターミナル。
【請求項9】
ハンディターミナル内の各部に電源を供給する主電池を有するハンディターミナルであって、
前記主電池の電圧を検出する電池電圧検出部と、
前記主電池に対する負荷を変動させることにより前記主電池の出力電圧を電圧変動させる負荷変動部と、
前記主電池の電圧を前記電圧検出部により検出し、検出した電圧の振幅値の変化が、予め定められた変動幅より大きい場合に、前記主電池が劣化していると判定する主電池劣化判定部と、
を備えることを特徴とするハンディターミナル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−59054(P2009−59054A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224120(P2007−224120)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】
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