説明

バッテリー温調システムの安全装置

【課題】 車両衝突に際し、バッテリー端子間の導通による感電を防止することの可能なEVやHEV用のバッテリー温調システムの安全装置を提供すること。
【解決手段】 配管3内に液状の熱媒体を充填しこの熱媒体でバッテリーBと熱交換する第1熱交換部2を備えた第1熱交換ユニット1と、前記第1熱交換部2で熱交換した熱媒体を放熱或いは放冷する第2熱交換部21を備えた第2熱交換ユニット20と、を有する車両用バッテリーの温調システムにおいて、車両衝突時の衝撃信号を発する衝撃検出手段30と、前記衝撃信号が発せられたときに圧縮気体を配管3内に放出する圧縮気体供給装置40と、前記配管内に充填された熱媒体を前記配管3外へ排出可能に設けられた排出部4と、を備え、衝撃検出手段30が衝撃を検知したときに、第1熱交換部2にある熱媒体を、圧縮気体供給装置40から放出された圧縮気体により排出部4から当該配管外へ排出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド電気自動車に装備されるバッテリー温調システムの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(Electrical Vehicle 以下、「EV」)やハイブリッド電気自動車(Hybrid
Electrical Vehicle以下、「HEV」)には多数のバッテリーが装備され、車両走行用のモータを駆動するための電力を保持している。そして、これらバッテリーに対し、バッテリー充電時のバッテリー自身からの発熱を除去すること、電力を効率良く得られる温度領域を維持することを目的に、温度調整装置が付帯されている。
【0003】
バッテリーが充電され発熱を除去したい状況として、バッテリーの保持電力量が車両の走行によって残り少なくなった際の電力補充のほか、走行中の車両が停止しようとするときにモータから得られる電力(所謂回生エネルギー)の貯蔵がある。逆に、冬季など車両周囲の温熱環境が低い場合は、走行中に効率良く電力を得るよう、バッテリーを加温したい状況がある。このように温度調整装置は、バッテリー電力補充時のような車両停止時だけでなく、走行時においても機能を発揮できるよう構成されることが望ましい。
【0004】
ところで、バッテリーには、走行距離延長の要請のため保持する電力量の増大に加え、電力補充時間の短縮化の要請により、電力補充時における単位時間当たりの充電量は増える傾向にある。そのため、充電時のバッテリーからの発熱量が増加し、バッテリーが高温となって、充電効率が低下したりバッテリーの寿命が短縮化されてしまうので、温度調整装置には冷却性能の確保及び向上が求められている。
【0005】
この種のバッテリーの温度調整装置として、水冷式と空冷式のものが知られているところ、バッテリーとの単位時間当たり熱交換量を大きくとれる観点から、水冷式冷却装置への関心が高まっている(水冷式のものとして、後記特許文献1のもの参照)。尚、水冷式と空冷式のほかにも、空調装置用の冷凍サイクルやヒートポンプサイクル等の冷媒を利用したシステムも提案されている。しかし、バッテリーの劣化や故障への対応としてバッテリー及びその温度調整装置には交換作業の容易性が求められるところ、冷媒の交換作業は煩雑であり、交換時に回収漏れした場合は環境破壊にもつながることから、冷媒利用システムは一般的に用いられていない。
【0006】
また、走行用のバッテリーとして、リチウム系、ニッケル水素系、ナトリウム硫黄蓄電池等が開発されているが、これらのバッテリーは、従来の内燃機関用バッテリーとは異なり、例えば100Vや350V仕様のものが用いられていて電圧が高く、万一、EVやHEVに事故発生があったときは、乗員や救助を行う人が感電することのないように、感電防止の配慮が不可欠である。
【0007】
従来、上述した感電防止の措置として、車両衝突時の衝撃を感知し、バッテリー回路を遮断したり或いはバッテリー回路の配線を変えて低電圧化するものや、車両衝突時の衝撃を感知し、バッテリーに向けて冷却剤、中和剤、吸収剤、消化剤等の薬剤を噴射して、バッテリー自身の破損による電解液の飛散を防止するものが提案されている(後者のものとして、後記特許文献2のもの参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−105988号公報
【特許文献2】特開平9−074603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術においては、EVやHEVの車両衝突時の衝撃によりバッテリーの冷却装置が破損して、バッテリー電解液や薬剤等が飛散し、バッテリー端子間に侵入して導通せしめ、これにより乗員や救助者が感電するといった水冷式冷却装置の液体使用システムに由来する不具合を回避することは困難であった。
【0010】
そこで本発明は、この種のバッテリー冷却装置の液体使用システムにおいて、車両衝突に際し、バッテリー端子間の導通による感電を防止することの可能なEVやHEV用のバッテリー温調システムの安全装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願第1請求項に記載した発明は、実施例で用いた符号を付して記すと、配管3内に液状の熱媒体を充填しこの熱媒体でバッテリーBと熱交換する第1熱交換部2を備えた第1熱交換ユニット1と、前記第1熱交換部2で熱交換した熱媒体を放熱或いは放冷する第2熱交換部21を備えた第2熱交換ユニット20と、を有する車両用バッテリーの温調システムにおいて、
車両衝突時の衝撃を検出して衝撃信号を発する衝撃検出手段30と、
前記第1熱交換ユニット1の前記配管3に接続され、前記衝撃信号が発せられたときに圧縮気体を当該配管内に放出する圧縮気体供給装置40と、
前記第1熱交換ユニット1の前記配管3に接続され、当該配管内に充填された熱媒体を当該配管外へ排出可能に設けられた排出部4と、を備え、
前記衝撃検出手段30が衝撃を検知したときに、前記第1熱交換部2にある前記熱媒体を、前記圧縮気体供給装置40から放出された圧縮気体により前記排出部4から前記配管外へ排出するようにしたバッテリー温調システムの安全装置である。
【0012】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記圧縮気体供給装置40は、前記第1熱交換部2の上流側に設置するとともに、前記排出部4は、前記第1熱交換部2の下流側に設置したバッテリー温調システムの安全装置である。
【0013】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記排出部4は、配管3内の圧力が所定値を越えると開動作する圧力弁であり、この開動作により前記熱媒体を配管外へ排出するようにしたバッテリー温調システムの安全装置である。
【0014】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記排出部4は、前記衝撃信号が発せられたときに開動作する電磁弁であり、この開動作により前記熱媒体を配管外へ排出するようにしたバッテリー温調システムの安全装置である。
【0015】
本願第5請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記第1熱交換ユニット1の上方に大気連通口3bを設けるとともに、この大気連通口3bを開閉する開閉弁6を設け、更に、少なくとも前記第1熱交換部2の下方に前記排出部4を設けて構成され、この開閉弁6は、前記衝撃検出手段30が衝撃信号を発してから所定時間経過後に開弁するようにしたバッテリー温調システムの安全装置である。
【発明の効果】
【0016】
本願第1請求項に記載した発明によれば、車両が停止中か走行中かに拘らず、車両が衝撃を受けたときには、第1熱交換部にある熱媒体は、圧縮気体供給装置から放出された圧縮気体により排出部から配管外へ排出されるので、万一、衝突事故等によってEVやHEVのシステムが破損するような場合でも、第1熱交換部から熱媒体が洩れ出るおそれは全くなく、従って、第1熱交換部にて熱媒体が洩れ出る場合に生じ得る感電事故を回避することができる。
【0017】
本願第2請求項に記載した発明によれば、圧縮気体供給装置は第1熱交換部の上流側に設置され排出部は第1熱交換部の下流側に設置されるので、サイクル内への熱媒体の残留を可及的になくすことができ、より確実に感電事故を回避することができる。
【0018】
本願第3請求項に記載した発明によれば、熱媒体が圧縮気体供給装置から放出された圧縮気体に付勢されるので、配管内圧力が高くなる。そして、配管内の圧力が所定値を越えると圧力弁が開動作するので、第1熱交換部にある熱媒体は排出部から配管外へ排出される。このように、配管内の圧力が所定値を超えるだけで熱媒体を配管外へ排出できるので、排出部の開閉制御機構を省略し構成や制御を簡素化することができる。
【0019】
本願第4請求項に記載した発明によれば、衝撃信号が発せられると、電磁弁である排出部は開動作して開放状態になるので、第1熱交換部にある熱媒体は排出部から配管外へ排出される。このように排出部を開放状態にできるので、より確実に熱媒体を排出することができる。
【0020】
本願第5請求項に記載した発明によれば、圧縮気体供給装置からの圧縮気体による排出動作がなされた後も、残留する熱媒体は自重により、第1熱交換部の下方にある排出部から流下する。即ち、第1熱交換ユニットの上方の配管には大気連通口が設けられているので、第1熱交換ユニット内つまり配管内に空気が流入して、熱媒体の流下は促進され、これにより、圧縮気体供給装置からの圧力気体による排出動作で熱媒体が残留したとしてもこの残留した熱媒体の排出ができ、一層確実に感電事故を回避することができる。
【0021】
本発明は、このようにして、万一、衝突事故等によってシステムが破損するような場合でも、第1熱交換部には熱媒体がないので、熱媒体が洩れ出るおそれは全くなく、感電事故を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。図1は、本例の温調システムの安全装置を示す全体構成図であり、第1熱交換ユニット1と、第2熱交換ユニット20と、車両衝突時の衝撃を検出して衝撃信号を発する衝撃検出手段30と、衝撃信号が発せられたときに圧縮気体を配管3内に放出する圧縮気体供給装置40と、第1熱交換ユニット1の配管3に接続され、前記圧縮気体に付勢された熱媒体を配管外へ排出可能に設けられた排出部4とから構成される。
【0023】
第1熱交換ユニット1は、配管3内に液状の熱媒体を充填しこの熱媒体でバッテリーBと熱交換する第1熱交換部2を備える。この熱媒体には、例えば水や不凍液が用いられるが、これらに特に限定されるものではない。熱媒体を液状としたことで、バッテリー交換時と同時に第1熱交換ユニットの熱媒体を一時的に抜き取ることが要請されても、熱媒体の大気中への揮散のおそれが低く、容易かつ安全に交換作業をすることができる。第2熱交換ユニット20は、第1熱交換部2で熱交換した熱媒体を放熱或いは放冷する第2熱交換部21を備える。
【0024】
前記第1熱交換ユニット1は、第1熱交換部2の上流側に圧縮気体供給装置40を接続し、第1熱交換部2の下流側には排出部4を設け、そして、熱媒体を配管内3で循環させるポンプ5を備える。尚、本例では、排出部4は第1熱交換部2の下方に設けられている。
【0025】
前記第2熱交換ユニット20は、前述したように第2熱交換部21を備えるものであって、冷媒を圧縮する圧縮機22と、圧縮機22で圧縮された冷媒を冷却する凝縮器23と、凝縮器23で冷却された冷媒を減圧して膨張させる減圧器24aと、減圧器24aで減圧された冷媒を蒸発する蒸発器25とを備えている。尚、圧縮機22は、図示を省略したモータによって駆動される。また、前記第2熱交換ユニットに用いられる冷媒としては、フロンや二酸化炭素、ハイドロカーボン等が適宜利用される。
【0026】
図1において、符号26は切替弁であり、この切替弁26の切替えによって、第2熱交換部21において温調を行うこともできる。従って、この温調により、第1熱交換部2においてバッテリーBの温調も行うことができるので、バッテリー温度を適宜一定状態にして、バッテリーの充放電効率を高めることが可能となる。
【0027】
例えば、圧縮機22から吐出され凝縮器23を経由した冷媒を、切替弁26により第2熱交換部21へ流れるようにすれば、冷媒は第2熱交換部21の上流の減圧器24bで減圧され、第2熱交換部21で蒸発するとともに熱交換ユニット1を冷却し、圧縮機22へ戻すことができる。更に、圧縮機22からの冷媒の吐出量や、第2熱交換部21の上流の減圧器24bの設定条件を適宜変更することによって、第2熱交換部21での第1熱交換ユニット1の冷却量を制御することができる。
【0028】
また、必要に応じて、圧縮機22から吐出され凝縮器23を経由した冷媒を切替弁26により、第2熱交換部21と、蒸発器25との両方に分配してもよい。
【0029】
衝撃検出手段30は、前述したように、車両衝突時の衝撃を検出して衝撃信号を発する衝撃検出手段としての電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する。)31であってマイクロコンピュータ(CPU)、タイマ回路、メモリ等により構成され、車両の運転状況等を検出する各種センサ群32の検出信号が入力される。このセンサ群32には、車両の衝突を検出する衝突検出センサが備えられている。ECU31は、この入力信号に基づいて所定の演算処理を行い、本例では、圧縮気体供給装置40に制御信号を出力するように構成されている。
【0030】
圧縮気体供給装置40は、例えば圧縮ガスボンベを備えるものであって、図示を省略した電磁弁を介して配管3に接続され、常時は閉塞されている当該電磁弁が、ECU31からの制御信号により開放して、配管3内に圧縮気体を放出するように構成されている。
【0031】
排出部4は、本例の場合、配管3内の圧力が所定値(開弁圧閾値)を越えると開動作する圧力弁で構成している。そして、上述したように、圧縮気体供給装置40から圧縮気体が放出されて、配管3内の圧力が開弁圧閾値を越えると、排出部4が開放され、熱媒体が配管外へ排出される。尚、図中、3aは、配管3の開口である。
【0032】
以上のように構成される図1のバッテリー温調システムの安全装置において、衝撃検出手段30が衝撃を検知すると、圧縮気体供給装置40に衝撃信号を発する。本例の場合、ECU31は圧縮気体供給装置40に制御信号を出力し、これに基づいて、圧縮気体供給装置40は、圧縮気体を放出する。圧縮気体が配管3内に充填されると、配管内圧力が急騰し、とりわけ下流側の第1熱交換部2にある熱媒体は押圧されて強制的に流下され、排出部4から配管外へ排出されることになる。
【0033】
このように、車両が衝撃を受けたときには、第1熱交換部にある熱媒体は、圧縮気体供給装置から放出された圧縮気体により排出部から配管外へ排出されるので、万一、衝突事故等によってEVやHEVのシステムが破損するような場合でも、第1熱交換部から熱媒体が洩れ出るおそれは全くなく、従って、第1熱交換部にて熱媒体が洩れ出る場合に生じ得る感電事故を回避することができる。
【0034】
また、本例の場合、圧縮気体供給装置は第1熱交換部の上流側に設置されるとともに、排出部は第1熱交換部の下流側に設置されるので、サイクル内への熱媒体の残留を可及的になくすことができ、より確実に感電事故を回避することができる。
【0035】
図2に示すバッテリー温調システムの安全装置は、排出部4を電磁弁で構成したものである。即ち、排出部4は、前記衝撃信号が発せられたときに開動作する電磁弁であり、この開動作により前記熱媒体を配管外へ排出するようにしている。
【0036】
従って、図2に示す例では、衝撃信号が発せられると、圧縮気体供給装置から圧縮気体が放出されるとともに、電磁弁である排出部4が開動作して開放状態になるので、第1熱交換部2にある熱媒体は、圧縮気体により排出部4から配管外へ排出される。これにより、前例同様、第1熱交換部にて熱媒体が洩れ出る場合に生じ得る感電事故を回避することができる。
【0037】
図3及び図4に示すバッテリー温調システムの安全装置は、図2の装置に加えて、第1熱交換ユニット1の上方の配管3に大気連通口3bを設けるとともに、この大気連通口3bを開閉する開閉弁6を設けて構成している。尚、図1及び図2の場合と共通する構成要素には、同一の符号を付して、以下その詳細な説明は省略する。
【0038】
本例のバッテリー温調システムの安全装置は、第1熱交換ユニット1の上方の配管3に大気連通口3bを設け、開閉弁6は電磁弁を用いている。そして、この開閉弁は、排出部4の電磁弁と同様に、ECU31からの制御信号によって、開閉作動するように構成されている。
【0039】
本例では、開閉弁6は、常時は閉弁していて、衝撃検出手段30が衝撃信号を発してから所定時間経過後に開放するものである。尚、排出部4は、前例同様、第1熱交換部2よりも下方に設置されている。
【0040】
図5は、本例の安全装置の動作についてのフローチャートである。まず、図5のS10に示すように、ECU31において、車両が衝突したか否かが判断される。この判断は、ECU31に入力される各種の衝突信号の有無に応じて行われる。車両が衝突していないと判断されたときには、制御処理を終了する。一方、車両が衝突したと判断されたときには、圧縮気体供給装置40への圧縮気体放出指令信号が出力される(S11)とともに、排出部4への排出部開放指令信号が出力され(S12)、同時に、タイマ回路により時間T1の計時が開始される(S13)。時間T1は、ECU31に予め設定される時間であって、例えば10〜30秒のいずれかに設定される。
【0041】
そして、S14に移行し、時間T1が経過したかが判断される。時間T1が経過していないと断されたときには、S14に戻る。一方、時間T1が経過したと断されたときには、開閉弁6への開閉弁開放指令信号が出力され(S15)、開閉弁6が開弁する。
【0042】
前述したように、第1熱交換ユニット1の上方の配管3には大気連通口3bが設けられているので、開閉弁6が開弁すると、第1熱交換ユニット内つまり配管内に空気が流入して、第1熱交換部に残留する熱媒体は自重によりその流下は促進される。
【0043】
本例の安全装置によれば、圧縮気体供給装置からの圧縮気体による排出動作がなされた後も、残留する熱媒体は自重による排出部からの流下が促進されるので、一層確実に感電事故を回避することができる。
【0044】
以上のようにして、各実施の形態に係るバッテリー温調システムの安全装置によれば、万一、衝突事故等によってシステムが破損するような場合でも、第1熱交換部には熱媒体がないので、熱媒体が洩れ出るおそれは全くなく、これにより感電事故を回避することができるものである。
【0045】
尚、本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置は、前記各例のほか、本発明の目的に沿って適宜改変することができるものである。例えば、車両にエアバックが備えられているものは、通常、前述したようなECUが用いられているので、既設のECUを本発明に利用することもできるものである。
【0046】
また、第2熱交換ユニットにおいて、圧縮機22から吐出する冷媒を第2熱交換部へと通流し、膨張弁24b、切替弁26、凝縮器23を順次経由するように構成することで、第1熱交換ユニット1の内部に充填される熱冷媒を加温してもよい。圧縮機21からの冷媒の吐出方向の切り替えは、圧縮機21自体の運転方向を逆回転としたり、或いは圧縮機21の運転方向は一定としつつ第2熱交換ユニット内での圧縮機の配置変更や流路切り替え経路(いずれも図示せず)の設定など、周知の手法を適用することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、EVやHEV用のバッテリー温度調整装置において、液体使用システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置に係り、第1具体例を示す全体構成図である。
【図2】本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置に係り、第2具体例を示す全体構成図である。
【図3】本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置に係り、第3具体例を示す全体構成図である。
【図4】本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置に係り、第3具体例を示す全体構成図である。
【図5】本発明に係るバッテリー温調システムの安全装置に係り、第3具体例のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 第1熱交換ユニット
2 第1熱交換部
3 配管
3a 開口
3b 大気連通口
4 排出部
5 ポンプ
6 開閉弁
20 第2熱交換ユニット
21 第2熱交換部
22 圧縮機
23 凝縮器
24a 減圧器
24b 減圧器
25 蒸発器
26 切替弁
30 衝撃検出手段
31 電子制御ユニット(ECU)
32 センサ群
B バッテリー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内に液状の熱媒体を充填しこの熱媒体でバッテリーと熱交換する第1熱交換部を備えた第1熱交換ユニットと、前記第1熱交換部で熱交換した熱媒体を放熱或いは放冷する第2熱交換部を備えた第2熱交換ユニットと、を有する車両用バッテリーの温調システムにおいて、
車両衝突時の衝撃を検出して衝撃信号を発する衝撃検出手段と、
前記第1熱交換ユニットの前記配管に接続され、前記衝撃信号が発せられたときに圧縮気体を当該配管内に放出する圧縮気体供給装置と、
前記第1熱交換ユニットの前記配管に接続され、当該配管内に充填された熱媒体を前記配管外へ排出可能に設けられた排出部と、を備え、
前記衝撃検出手段が衝撃を検知したときに、前記第1熱交換部にある前記熱媒体を、前記圧縮気体供給装置から放出された圧縮気体により前記排出部から当該配管外へ排出するようにしたことを特徴とするバッテリー温調システムの安全装置。
【請求項2】
前記圧縮気体供給装置は、前記第1熱交換部の上流側に設置するとともに、前記排出部は、前記第1熱交換部の下流側に設置したことを特徴とする請求項1記載のバッテリー温調システムの安全装置。
【請求項3】
前記排出部は、配管内の圧力が所定値を越えると開動作する圧力弁であり、この開動作により前記熱媒体を配管外へ排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のバッテリー温調システムの安全装置。
【請求項4】
前記排出部は、前記衝撃信号が発せられたときに開動作する電磁弁であり、この開動作により前記熱媒体を配管外へ排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のバッテリー温調システムの安全装置。
【請求項5】
前記第1熱交換ユニットの上方に大気連通口を設けるとともに、この大気連通口を開閉する開閉弁を設け、更に、少なくとも前記第1熱交換部の下方に前記排出部を設けて構成され、この開閉弁は、前記衝撃検出手段が衝撃信号を発してから所定時間経過後に開弁するようにしたことを特徴とする請求項1記載のバッテリー温調システムの安全装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−151893(P2011−151893A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9366(P2010−9366)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオジャパン (282)
【Fターム(参考)】