説明

バルブ制御装置

【課題】 アクチュエータのロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の振れ幅の違いによるストロークセンサの出力値の差を低減して、ロッド4のストローク量の検出精度を向上することを課題とする。
【解決手段】 ウェイストゲートバルブ制御装置においては、ホール素子の感磁面を、磁性移動体7の中心を通り、且つ第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと、磁性移動体7の中心を通り、且つ第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度の範囲内において、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度の中心線(∠AOBの角度中心線LX)上に配置したことにより、ホール素子の感磁面に対する磁束密度(磁界の強さ)の変化を小さくすることができる。これにより、ロッド4の軸振れを要因とするストロークセンサの出力値の差を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブを駆動するロッドをその軸線方向に往復移動させるアクチュエータを備え、ロッドのストローク量に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ制御装置に関するもので、特にウェイストゲートバルブの開閉制御を行うバルブ制御装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、バルブの開閉制御を行うバルブ制御装置として、図19および図20に示したように、流体流路を開閉するバルブ101と、このバルブ101を駆動するロッド102を有する電動アクチュエータと、この電動アクチュエータの動力源である電動モータ103に供給する電力を制御するモータ制御ユニットとを備えたバルブ制御装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電動アクチュエータは、電動モータ103の回転を2段減速する減速機構と、この減速機構の回転運動をロッド102の直線運動に変換する往復スライダリンク機構と、ロッド102を往復移動方向に支持するスラスト軸受104とを備えている。このスラスト軸受104は、ロッド102の軸線方向に貫通する貫通孔を有し、アクチュエータケースの軸受孔に保持固定されている。
減速機構は、電動モータ103の出力軸に固定されたピニオンギヤ105、このピニオンギヤ105と噛み合って回転する中間ギヤ106、およびこの中間ギヤ106と噛み合って回転する最終ギヤ107等を有している。また、中間ギヤ106は、支持軸111の外周に回転自在に取り付けられている。また、最終ギヤ107は、支持軸112の外周に回転自在に取り付けられている。
【0004】
電動アクチュエータのロッド102には、ファーストピボット113を介してトグルレバー108が連結されている。また、最終ギヤ107には、セカンドピボット114を介してトグルレバー108が連結されている。そして、ファーストピボット113は、トグルレバー108の第1嵌合孔に打ち込まれてトグルレバー108に固定されており、セカンドピボット114は、トグルレバー108の第2嵌合孔に打ち込まれてトグルレバー108に固定されている。
特許文献1に記載の電動アクチュエータは、電動モータ103が減速機構の3つのギヤ105〜107を回転させ、最終ギヤ107にセカンドピボット114を介して連結したトグルレバー108がロッド102をその軸線方向に押圧(あるいは引き戻)して最終ギヤ107の回転運動をロッド102の往復直線運動に変換するように構成されている。
ここで、ロッド102とバルブ101のシャフト115との間には、リンクレバー109が設置されている。
【0005】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の電動アクチュエータでは、ロッド推力によってリンクレバー109を回転させるとき、ロッド102がリンクレバー109から側力の反作用(図示点線)を受けるため、ロッド102の先端に振れが発生する。
ロッド102が振れると、ロッド102は単純なロッド軸方向Yの直線運動ではなく、曲線的方向Y’に移動する。また、バルブ圧力Pによりロッド102のストローク位置の位置ズレも発生する。
センサは、ロッド位置検出用部材110に設けられた磁気回路(磁石およびヨーク等によって構成される磁気回路)の位置を検出する。このため、ロッド102が曲線的に移動すると、磁石からの磁界が曲線的に変化し、センサから出力される出力値が曲線的に変化する。これにより、磁気回路のストローク位置、つまりロッド102のストローク位置に対するセンサの出力変化特性の直線性(リニアリティ)が低下してしまう。
【0006】
また、ロッド102の直線的なストローク位置を直接検出することが可能なロッドストローク位置検出装置として、図21(a)に示したように、磁性固定体(センサ、ステータ121、122)と、この磁性固定体に対してロッド102のストローク方向に相対変位可能な磁気回路(永久磁石123およびヨーク124等によって構成される磁気回路)とを備え、ロッド102のストローク方向(軸線方向)に対して磁性固定体が平行に配置されている構造が公知である(例えば、特許文献2参照)。
センサは、2つのステータ121、122間に形成される磁束検出ギャップに挿入されたホール素子125を有している。
磁気回路は、ロッド102に一体的に設置されている。
ロッドストローク位置検出装置は、ステータ121、122、永久磁石123、ヨーク124およびホール素子125によって2つの磁気回路A、Bが形成されている。
【0007】
ところが、特許文献2に記載のロッドストローク位置検出装置において、実際にはロッド102をその往復移動方向に摺動自在に支持するロッド軸受133の軸受ガタにより磁気回路が図示矢印のように振れる。これにより、磁気回路とホール素子125との間の距離が変動するため、ホール素子125の感磁面で受ける磁界の強さにばらつきが生じる。 ここで、磁気回路(永久磁石123、ヨーク124)がロッド軸受133に近い場合には、図21(b)に示したように、磁気回路の振れ幅が小さく、磁気回路とホール素子125との間の距離の変動幅も小さい。また、磁気回路がロッド軸受133より遠い場合には、図21(c)に示したように、磁気回路の振れ幅が大きく、磁気回路とホール素子125との間の距離の変動幅も大きい。
すなわち、磁気回路に対するホール素子125の感磁面を、磁気回路の振れ幅の平均的な位置に設置していないので、磁気回路がロッド軸受133に近い場合と遠い場合とでは、磁気回路の振れ幅に大きな差があり、ホール素子125がその感磁面で受ける磁界の強さのばらつき差が発生する。これにより、ロッド102の軸振れに伴うセンサ出力の差が大きいため、センサ精度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/062928号パンフレット
【特許文献2】特開2004−177398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アクチュエータのロッドの揺動(軸振れ)を要因とするセンサ出力値の差を低減して、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上することのできるバルブ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、回転中心軸を中心にして回転するバルブと、このバルブを駆動するロッドを有し、このロッドをその軸線方向に往復移動させるアクチュエータと、バルブとロッドとを連結するレバーを有し、ロッドの直線運動をバルブの回転運動に変換するリンク機構と、一定の磁束密度の磁界を発生する磁石を含む磁性移動体、およびこの磁性移動体のストローク方向への移動に伴って変化する磁束に対応した電気信号を出力するセンサを有し、センサから出力された電気信号に基づいて、ロッドの軸線方向への移動量を検出するストローク検出手段とを備え、ロッドの軸線方向への移動量に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ制御装置において、磁性移動体は、ロッドに一体的に設置されている。
【0011】
そして、アクチュエータは、ロッドの揺動(軸振れ)を許容しつつ、ロッドをその軸線方向に摺動自在に支持するロッド軸受を有している。
また、レバーは、バルブの回転中心軸と同一軸心上に回転軸(回転中心)を有し、且つロッドと結合すると共に、バルブが回転動作する際、レバーの回転軸を中心にした所定の曲率半径の曲線上を移動する結合部を有している。
磁石は、ロッド軸中心線に対して垂直な方向に着磁された2つの第1、第2磁石により構成されている。
2つの第1、第2磁石は、互いに対向して配置されて、ロッド軸中心線に対して平行な平面である磁極面をそれぞれ有している。
センサは、2つの第1、第2磁石の磁極面(第1磁石または第2磁石の磁極面)から印加される磁界の磁束(密度)を感磁する感磁面を有している。
【0012】
ここで、バルブの全閉開度時における、レバーの結合部の回転作動点を、レバーの全閉開度点とする。また、バルブの全開開度時における、レバーの結合部の回転作動点を、レバーの全開開度点とする。また、バルブの全閉開度時にレバーの回転軸とレバーの全閉開度点とを結ぶ直線を、全閉時レバー中心線とする。また、バルブの全開開度時にレバーの回転軸とレバーの全開開度点とを結ぶ直線を、全開時レバー中心線とする。また、全閉時レバー中心線と全開時レバー中心線との角度中心線を、レバー作動角中心線とする。また、ロッドの軸線方向の中心線をロッド軸中心線とする。
また、レバーの全閉開度点を点Aとし、ロッド軸受の中心を軸受中心Oとして設定し、ロッド軸受の軸受中心Oを中心にして点Aと対称位置関係にある点を点A’として設定し、レバー作動角中心線とロッド軸中心線とが垂直になる位置関係にある交点を点Bとして設定し、ロッド軸受の軸受中心Oを中心にして点Bと対称位置関係にある点を点B’として設定している。
【0013】
以上のように設定されているとき、センサの感磁面を、磁性移動体に対し、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の範囲内に配置している。
第1仮想直線とは、バルブの全閉開度時における2つの第1、第2磁石の磁極面間の中間地点である、磁性移動体の中心を通り、且つロッド軸受の軸受中心Oを通り点Aと点A’とを結ぶ第1直線AOA’に平行な直線のことである。
第2仮想直線とは、バルブの中間開度時における2つの第1、第2磁石の磁極面間の中間地点である、磁性移動体の中心を通り、且つロッド軸受の軸受中心Oを通り点Bと点B’とを結ぶ第2直線BOB’に平行な直線のことである。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、センサの感磁面を、磁性移動体に対し、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の範囲内に配置したことにより、ロッドがロッド軸受の軸受中心を中心にして曲線的に移動する。これにより、ロッドの軸線方向の移動に伴って磁束(磁界の強さ)が曲線的に変化した場合であっても、ロッドの軸振れ幅の平均的な場所にセンサの感磁面を配置しているので、センサの感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることが可能となる。 これによって、バルブを全閉位置から全開位置に至るまでの作動範囲で回転動作させる際に、磁性移動体がロッド軸受に近い場合と遠い場合とでロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の振れ幅が異なっている場合であっても、磁性移動体(2つの第1、第2磁石の磁極面(第1磁石または第2磁石の磁極面))からセンサの感磁面が受ける磁束(磁界の強さ)のばらつき量が小さくなるので、ロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の振れ幅の違いによるセンサの出力値(センサ出力値)の差を低減できる。
すなわち、ロッド軸受と磁性移動体との間の距離が近い場合におけるロッドの軸振れを要因とするセンサ出力値と、ロッド軸受と磁性移動体との間の距離が遠い場合におけるロッドの軸振れを要因とするセンサ出力値との差を低減できるので、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交点を通る直線上に配置している。 請求項3に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交点を通る直線に対して平行または垂直に配置している。
請求項4に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の中心線上に配置している。
請求項5に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の中心線に対して平行または垂直に配置している。
なお、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線上に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線に対して平行または垂直に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線上に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線に対して平行または垂直に配置しても良い。
【0016】
請求項6及び7に記載の発明によれば、第1直線AOA’と第2直線BOB’との交差角度の中心線と、レバーの回転軸を中心とする所定の曲率半径を有し、点Aと点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を点Cとし、ロッド軸受の軸受中心Oを中心にして点Cと対称位置関係にある点を点C’として設定している。
以上のように設定されているとき、センサの感磁面を、ロッド軸受の軸受中心Oを通り点Cと点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線上に配置している。あるいはロッド軸受の軸受中心Oを通り点Cと点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線に対して平行または垂直に配置したことにより、センサの感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることが可能となる。
これによって、ロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の振れ幅の違いによるセンサ出力値の差を低減できるので、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明によれば、バルブとは、流路を流れる流体の流量を制御する流量制御弁の弁体のことである。
この流量制御弁は、バルブの全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全閉側の低開度領域におけるロッドの軸線方向への移動量に対する流量の変化率が、バルブの全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全開側の高開度領域におけるロッドの軸線方向への移動量に対する流量の変化率よりも大きい流量特性を具備している。
ここで、ロッドの直線運動をバルブの回転運動に変換するリンク機構を有する流量制御弁は、その弁体であるバルブの低開度領域で、それ以外の高開度領域と比べてロッドの移動量、つまりリンク機構のレバー作動角度に対する流量(圧力)の変化率が急激になる流量特性を持っている。
そこで、ロッドの軸線方向への移動量に対する流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッドの軸振れ量を最小にすることで、センサの検出精度の向上およびロッドの制御性の向上を図るという目的で、請求項1及び6に記載の発明を採用した場合、ロッドの移動量に対する流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッドの軸振れ量(レバーの回転角度当たりに対するロッドの軸振れ幅)を最小値に設定できるので、センサによるロッドの軸線方向への移動量の検出精度の向上およびロッドのストローク量の制御性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項9に記載の発明によれば、第1直線AOA’と第2直線BOB’との交差角度の中心線と、レバーの回転軸を中心とする所定の曲率半径を有し、点Aと点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を点Cとし、ロッド軸受の軸受中心Oを中心にして点Cと対称位置関係にある点を点C’として設定している。
以上のように設定されているとき、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線とロッド軸受の軸受中心Oを通り点Cと点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の範囲内に配置したことにより、ロッドの移動量に対する流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッドの軸振れ量(レバーの回転角度当たりに対するロッドの軸振れ幅)を最小値に設定できるので、センサの感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることが可能となる。
これによって、ロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の振れ幅の違いによるセンサ出力値の差を低減できるので、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な仮想直線と第3直線COC’に平行な仮想直線との交点を通る直線上に配置している。
請求項11に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な仮想直線と第3直線COC’に平行な仮想直線との交点を通る直線に対して平行または垂直に配置している。
請求項12に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の中心線上に配置している。
請求項13に記載の発明によれば、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の中心線に対して平行または垂直に配置している。
請求項10〜13に記載の発明によれば、ロッドの移動量に対する流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッドの軸振れ量(レバーの回転角度当たりに対するロッドの軸振れ幅)を最小値に設定できるので、センサの感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることが可能となる。
これによって、ロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の軸振れ幅の違いによるセンサ出力値の差を低減できるので、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上することができる。
なお、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線上に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線に対して平行または垂直に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第3直線COC’に平行な第3仮想直線上に配置しても良い。また、センサの感磁面を、第3直線COC’に平行な第3仮想直線に対して平行または垂直に配置しても良い。
【0020】
請求項14に記載の発明によれば、磁性移動体は、磁石(2つの第1、第2磁石)の磁力によって磁化される長方形枠状の磁性体(ヨーク、磁性フレーム)を有している。この磁性体は、磁石(2つの第1、第2磁石)の磁極面から放出された磁束(磁界)をセンサに対して集中させることができる。
請求項15に記載の発明によれば、長方形枠状の磁性体の長手方向の向きを、ロッド軸中心線と同一方向に一致させている。
これによって、長方形枠状の磁性体の内側空間(センサ収納空間)内における磁性移動体のストローク方向への移動に伴う磁束変化(磁界変化)を緩やかにすることができる。したがって、磁性移動体(長方形枠状の磁性体、磁石)とセンサとの配置ばらつきに対するセンサの感磁面が受ける磁束変化(磁界の強さ変化)ばらつきを抑制できるので、磁性移動体のストローク位置の検出精度ばらつき、つまりロッドの(直線的な)ストローク位置の検出精度ばらつきを抑制することができる。
【0021】
請求項16に記載の発明によれば、ロッドのロッド端部とロッド軸受との間に中間部を有している。そして、ロッドの中間部に磁性移動体を一体的に設置したことにより、磁性移動体とロッド軸受との間の距離を短くすることができる。つまり磁性移動体をロッド軸受に近づけることが可能となるので、ロッドの軸振れ幅、つまり磁性移動体の軸振れ幅を低減することができる。
請求項17に記載の発明によれば、磁性移動体を、ロッドの軸線方向の中心線(ロッド軸線方向中心線)を含んだ仮想平面を境にして面対称となるように配置したことにより、磁性移動体(長方形枠状の磁性体、磁石)とセンサとの配置ばらつきに対するセンサの感磁面が受ける磁束変化(磁界の強さ変化)ばらつきを抑制できるので、磁性移動体のストローク位置の検出精度ばらつき、つまりロッドの(直線的な)ストローク位置の検出精度ばらつきを抑制することができる。
【0022】
請求項18に記載の発明によれば、アクチュエータは、動力源であるモータの回転を減速する減速機構と、この減速機構の回転運動をロッドの直線運動に変換する変換機構とを備えている。
請求項19に記載の発明によれば、減速機構は、モータによって回転駆動される駆動ギヤ、およびこの駆動ギヤと噛み合って回転する従動ギヤを有している。
また、変換機構は、バルブの動作パターンに対応した形状のカム溝を有し、従動ギヤの回転に伴って回転するカムと、このカムのカム溝に移動自在に挿入されるフォロワとを備えている。
また、ロッドは、フォロワを回転自在に支持する支軸を有し、一端側がフォロワおよび支軸を介してカムに連結し、他端側がバルブに連結している。
すなわち、ロッドは、モータの駆動力(モータトルク)を少なくとも駆動ギヤと従動ギヤを有する減速ギヤ機構(例えば平歯車減速機構)およびカムを有する変換機構を備えた動力伝達機構で発生する荷重(バルブを閉じる側に回転動作させる全閉方向荷重およびバルブを開く側に回転動作させる全開方向荷重)によって軸線方向に往復移動(駆動)される構成を備えている。
これによって、ロッドのストローク位置とロッド推力との関係を可変することができ、バルブ圧力による位置ズレを抑制することができる。
【0023】
請求項20に記載の発明によれば、減速機構は、モータによって回転駆動される駆動ギヤ、この駆動ギヤと噛み合って回転する従動ギヤ、およびこの従動ギヤの外側に突出した第1ピボットを有している。
また、変換機構は、第1ピボットの突出方向と同一方向に突出し、ロッドに連結する第2ピボット、および一端側が第1ピボットに回転自在に支持され、他端側が第2ピボットに回転自在に支持されたリンクレバーを有している。
すなわち、ロッドは、モータの駆動力(モータトルク)を少なくとも駆動ギヤと従動ギヤおよび第1ピボットを有する減速ギヤ機構(例えば平歯車減速機構)およびリンクレバーを有する変換機構を備えた動力伝達機構で発生する荷重(バルブを閉じる側に回転動作させる全閉方向荷重およびバルブを開く側に回転動作させる全開方向荷重)によって軸線方向に往復移動(駆動)される構成を備えている。
これによって、ロッドのストローク位置とロッド推力との関係を可変することができ、バルブ圧力による位置ズレを抑制することができる。
【0024】
請求項21に記載の発明によれば、ロッドの支軸に回転自在に支持されるフォロワは、磁性を有する磁性材(磁性体)により構成されている。そして、磁石(2つの第1、第2磁石)を含んで構成される磁性移動体は、フォロワとロッドの支軸の軸線方向で重なるように、ロッドに一体的に設置されている。
請求項22に記載の発明によれば、ロッドの軸線方向への移動時におけるフォロワの移動軌跡は、磁性移動体における、磁石(2つの第1、第2磁石)の磁極面から放出された磁束がセンサの感磁面を通らず、センサで検出される磁束密度としてはゼロ(0mT)となる部位(センサに対するロッドのストローク位置においてセンサで検出される磁束密度がゼロとなる点)を通ると共に、ロッド軸中心線(ロッドの軸線方向)に対して垂直な方向に延びる仮想直線T上を通るように形成されている。これにより、磁性移動体の磁石(2つの第1、第2磁石)の磁極面からセンサの感磁面へ向けて放出された磁束が、磁性材(磁性体)製のフォロワに吸われるのを抑えることができるので、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度をより向上することができる。
【0025】
請求項23に記載の発明によれば、センサは、磁性移動体の移動に伴って変化する磁束密度に比例した電気信号を出力する磁気検出素子を有するセンサチップと、このセンサチップの電極部に接続されるリードフレームと、センサチップおよびリードフレームを樹脂封止する直方体形状のパッケージとを具備している。そして、センサチップは、(例えば絶縁性接着剤を介して)リードフレームの表面上に搭載されている。
請求項24に記載の発明によれば、センサチップを樹脂封止する直方体形状のパッケージの短手方向の向きを、ロッド軸中心線(ロッドの軸線方向)に対して垂直な方向に一致させている。ここで、上述したように、センサの感磁面を上記の第1〜第3仮想直線等に対して平行に配置した場合、ロッドの軸線方向に対して垂直な磁束変化をセンサで検出できる。この場合、パッケージの短手方向の向きを、ロッド軸中心線に対して垂直な方向に一致させることができるので、ロッドの軸線方向に対して垂直な方向の体格(磁性移動体の体格)が小さくなる。
【0026】
請求項25に記載の発明によれば、センサチップを樹脂封止する直方体形状のパッケージの長手方向の向きを、ロッド軸中心線(ロッドの軸線方向)に対して垂直な方向に一致させている。ここで、上述したように、センサの感磁面を上記の第1〜第3仮想直線等に対して垂直に配置した場合、ロッドの軸線方向に対して平行な磁束変化をセンサで検出できる。この場合、センサの周辺に形成される磁束(密度)分布が均一となるので、磁性移動体(磁気回路)とセンサの感磁面との位置ズレによる磁束変動(磁束変化)が小さくなり、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度が向上する。
請求項26に記載の発明によれば、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線とは、レバーの結合部が、全閉開度点に配置された際に、第1磁石の磁極面と第2磁石の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことである。
請求項27に記載の発明によれば、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線とは、レバーの結合部が、レバーの全閉開度点とレバーの全開開度点との中間の開度点(レバー作動角中心線とロッド軸中心線とが垂直になる位置関係にある交点)に配置された際に、第1磁石の磁極面と第2磁石の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことである。
【0027】
請求項28に記載の発明によれば、ロッドの軸線方向への移動量とは、ロッドのストローク量のことである。
つまり、センサから出力された電気信号に基づいて、ロッドの直線的なストローク量を検出するストローク検出手段を備えている。
なお、バルブを、内燃機関(エンジン)より流出する排気ガスを制御する排気ガス制御弁の弁体に適用しても良い。また、バルブを、例えば内燃機関(エンジン)に搭載されるターボチャージャのウェイストゲート流路(または排気ガス循環装置のERGガス流路)を流れる排気ガス(またはEGRガス)の流量を制御する排気ガス流量(またはEGRガス流量)制御弁の弁体に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例1)。
【図2】ウェイストゲートバルブ制御装置を示した説明図である(実施例1)。
【図3】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した断面図である(実施例1)。
【図4】ウェイストゲートバルブ制御装置を示した説明図である(実施例1)。
【図5】電動アクチュエータのバルブ全開状態を示した断面図である(実施例1)。
【図6】(a)はセンサ配置例を示した説明図である(比較例)。(b)はリンクレバーの作動角度に対する流量特性を示したグラフである(実施例2)。
【図7】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例2)。
【図8】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例2)。
【図9】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例2)。
【図10】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例3)。
【図11】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(実施例4)。
【図12】ウェイストゲートバルブ制御装置を示した説明図である(実施例5)。
【図13】ウェイストゲートバルブ制御装置を示した説明図である(実施例5)。
【図14】(a)、(b)はストロークセンサに対してロッドのストローク方向へ移動する磁性移動体を示した模式図である(実施例6)。
【図15】ウェイストゲートバルブ制御装置を示した説明図である(実施例7)。
【図16】(a)、(b)は2つの第1、第2磁石と長方形枠状の磁性体により構成される磁性移動体を示した模式図である(実施例7)。
【図17】(a)は2つの第1、第2磁石と長方形枠状の磁性体により構成される磁性移動体を示した模式図で、(b)はロッドのストローク変化に対する磁束密度変化の理想特性直線とbase特性を示した図で、(c)はロッドのストローク変化に対する磁束密度変化の直線性を示した図である(実施例7)。
【図18】(a)は2つの第1、第2磁石と長方形枠状の磁性体により構成される磁性移動体を示した模式図で、(b)はロッドのストローク変化に対する磁束密度変化の直線性を示した図である(比較例1)。
【図19】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(従来例1)。
【図20】電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した説明図である(従来例1)。
【図21】(a)〜(c)はロッドストローク位置検出装置を示した説明図である(従来例2)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、ロッドの軸振れを要因とするセンサ出力値の差を低減して、ロッドの直線的なストローク位置の検出精度を向上するという目的を、磁性移動体に対し、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線(LA)と、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線(LB)または第3直線COC’に平行な第3仮想直線(LC)との交差角度(∠AOBまたは∠AOC)の範囲内にセンサの感磁面を配置したことで実現した。
【実施例1】
【0030】
[実施例1の構成]
図1ないし図5は本発明の実施例1を示したもので、図1は電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した図で、図2および図4はウェイストゲートバルブ制御装置を示した図でで、図3および図5は電動アクチュエータのバルブ全閉状態、バルブ全開状態を示した図である。
【0031】
本実施例の内燃機関のウェイストゲートバルブ制御装置は、内燃機関の過給圧制御装置として使用されるシステムであって、ターボチャージャのウェイストゲート流路を開閉するウェイストゲートバルブ1と、このウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結するリンクレバー3等のリンク機構と、リンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1に駆動連結するロッド4を有する電動アクチュエータと、内燃機関(エンジン)の運転状況に基づいてウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行ってエンジンの過給圧を可変制御するエンジン制御ユニット(ECU)とを備えている。
【0032】
ウェイストゲートバルブ1は、エンジンに搭載されるターボチャージャのウェイストゲート流路を流れる排気ガスの流量を制御する排気ガス流量制御弁の弁体である。このウェイストゲートバルブ1は、エンジン運転時に、ECUからの制御信号に基づいて、ウェイストゲートバルブ1の全閉位置から全開位置に至るまでのバルブ作動範囲で回転動作されることで、ウェイストゲート流路の開口面積(排気ガス流通面積)を変更する。
ウェイストゲートバルブ1の背面(隔壁:バルブシートに着座する着座面に対して反対側の端面)には、L字状のシャフト2が一体的に設けられている。
なお、ウェイストゲートバルブ1の詳細は後述する。
【0033】
電動アクチュエータは、ロッド4のストローク方向(荷重作用方向)への移動量(ロッド4のストローク量)に応じてウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う。
電動アクチュエータは、ロッド軸中心線方向(軸線方向)に往復移動するロッド4の他に、ロッド4の揺動(軸振れ)を許容しつつ、ロッド4をその往復移動方向(ロッド4のストローク方向)に摺動自在に支持するロッド軸受(スラスト軸受)5と、ロッド4に対して、ウェイストゲートバルブ1を閉じる側(バルブ全閉側)に付勢する付勢力(スプリング荷重)を発生するコイルスプリング6と、スラスト軸受5およびコイルスプリング6等の構成部品を収容するアクチュエータケースとを備えている。ここで、電動アクチュエータのロッド4は、そのストローク方向の先端側が、アクチュエータケースの円環状の端面よりアクチュエータケース外部側に突出している。
なお、電動アクチュエータの詳細は、後述する。
【0034】
エンジンは、複数の気筒を有する多気筒ディーゼルエンジンが採用されている。このエンジンの複数(各気筒毎)の吸気ポートには、吸入空気が流れる吸気管が接続されている。この吸気管の途中には、ターボチャージャのコンプレッサ、インタークーラ、スロットルバルブおよびインテークマニホールド等が設置されている。
また、エンジンの複数(各気筒毎)の排気ポートには、排気ガスが流れる排気管が接続されている。この排気管の途中には、エキゾーストマニホールドおよびターボチャージャのタービン等が設置されている。
【0035】
ターボチャージャは、タービンとコンプレッサとを備え、吸入空気をコンプレッサで圧縮し、圧縮された空気をエンジンの各気筒毎の燃焼室に送り込むターボ過給機である。
タービンは、渦巻形状のタービンハウジングを備えている。このタービンハウジング内には、タービンインペラ(タービンホイール)が設置されている。
コンプレッサは、渦巻形状のコンプレッサハウジングを備えている。このコンプレッサハウジング内には、コンプレッサインペラ(コンプレッサホイール)が設置されている。 また、タービンインペラとコンプレッサインペラとは、ロータシャフトによって一体となって回転するように連結されている。
ターボチャージャは、タービンインペラが排気ガスにより回転駆動されると、コンプレッサインペラも回転し、このコンプレッサインペラが吸入空気を圧縮する。
【0036】
ここで、本実施例のターボチャージャのタービンハウジングには、ウェイストゲート流路およびウェイストゲートバルブ1が設けられている。
ウェイストゲート流路は、タービンハウジングに導入された排気ガスを、タービンインペラを経由しないで、つまりタービンインペラを迂回(バイパス)してタービンインペラよりも下流側の排気通路へ流すためのバイパス通路(流体通路)である。
あるいはウェイストゲート流路は、エンジンより流出した排気ガスを、エキゾーストマニホールドの集合部よりも下流側から分岐して、ターボチャージャのタービンよりも排気ガス流方向の下流側で排気通路に合流させる、つまり排気ガスをタービンハウジングよりバイパスさせるためのバイパス通路(流体通路)である。
【0037】
本実施例のウェイストゲート流路は、タービンハウジングの入口部の隔壁で開口した上流側連通孔(ウェイストゲートポート)と、タービンハウジングの出口部の隔壁で開口した下流側連通孔とを連通する。
ウェイストゲートバルブ1は、例えばステンレス鋼等の金属材料によって円板形状に形成されている。このウェイストゲートバルブ1は、ウェイストゲート流路、特にウェイストゲートポートの軸線方向(排気ガス流方向)に対して直交する垂直方向に回転中心軸を有し、電動アクチュエータのロッド4のロッド軸中心線方向の先端部に接続されて、タービンハウジングの入口部の隔壁(バルブシート)に対して着座、離脱して、ウェイストゲート流路、特にウェイストゲートポートを開閉する排気ガス制御弁である。また、ウェイストゲートバルブ1は、回転中心軸を中心にして回転することで、ウェイストゲート流路、特にウェイストゲートポートの開口面積を連続的または段階的に可変する。
【0038】
ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間には、電動アクチュエータのロッド4の直線運動をウェイストゲートバルブ1の回転運動に変換するリンク機構が設置されている。
このリンク機構は、図1および図2に示したように、一端側が電動アクチュエータのロッド4のストローク方向(往復移動方向)の先端側に連結し、且つ他端側がウェイストゲートバルブ1のシャフト2の先端側(バルブ側に対して反対側)に連結したリンクレバー3等を有している。
ここで、ロッド4のストローク方向の先端側には、ロッド4の裏面側から打ち込まれて表面側に突出した第1ヒンジピン(第1支持軸)11が固定(または一体的に形成)されている。また、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2には、第1ヒンジピン11の突出方向と同一方向に突出した第2ヒンジピン(第2支持軸)12が一体的に形成(または固定)されている。
【0039】
リンクレバー3は、図1に示したように、ウェイストゲートバルブ1の回転中心軸と同一軸心上に回転軸(リンクレバー3の回転中心)を有し、且つロッド4と結合する第1結合部、およびウェイストゲートバルブ1のシャフト2と結合する第2結合部を有している。第1結合部には、第1ヒンジピン11が嵌合する断面円形状の第1嵌合孔が形成されている。また、第2結合部には、第2ヒンジピン12が嵌合する断面円形状の第2嵌合孔が形成されている。
なお、リンク機構、特にリンクレバー3の詳細は、後述する。
【0040】
リンクレバー3は、第1ヒンジピン11の外周に回転自在に支持されている。また、リンクレバー3は、第2ヒンジピン12に固定されている。
第1ヒンジピン11は、ウェイストゲートバルブ1、シャフト2およびリンクレバー3等を回転自在に支持している。
第2ヒンジピン12は、途中で直角に屈曲したシャフト2の電動アクチュエータ側端部に固定されている。この第2ヒンジピン12は、ターボチャージャのタービンハウジングの側壁部に回転自在に支持されている。また、第2ヒンジピン12の中心は、ウェイストゲートバルブ1の回転中心となっている。
以上によって、ウェイストゲートバルブ1は、第1ヒンジピン11、リンクレバー3、第2ヒンジピン12を介して、ロッド4のストローク方向の先端側に連結されるヒンジバルブを構成する。
【0041】
次に、本実施例の電動アクチュエータの詳細を図1ないし図5に基づいて説明する。
電動アクチュエータは、ロッド4、スラスト軸受5およびコイルスプリング6の他に、電力の供給を受けて駆動力(モータトルク)を発生する電動モータMと、この電動モータMの回転を2段減速する減速機構と、この減速機構の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構と、電動アクチュエータのロッド4のストローク位置を検出するストローク量検出装置(磁性移動体7、ストロークセンサS)と、これらの各構成部品を収容するアクチュエータケースとを備えている。
【0042】
減速機構は、3つの減速ギヤにより構成されている。減速機構は、電動モータMのモータシャフト(回転軸、出力軸)13、このモータシャフト13に対して並列配置された2つの第1、第2支持軸(中間ギヤシャフト、最終ギヤシャフト)14、15、モータシャフト13に固定されたピニオンギヤ(モータギヤ)16、このピニオンギヤ16と噛み合って回転する中間ギヤ(駆動ギヤ)17、およびこの中間ギヤ17と噛み合って回転する最終ギヤ(従動ギヤ、平歯車)18等によって構成されている。
変換機構は、回転するプレートカム21、このプレートカム21のカム溝22内に移動自在に挿入されるフォロワ23、およびこのフォロワ23を回転自在に支持するピボットピン24等によって構成されている。
【0043】
ここで、電動アクチュエータのアクチュエータケースは、電動モータMを収容保持するモータハウジング25と、減速機構および変換機構を回転自在に収容するギヤハウジング26と、このギヤハウジング26の開口部を塞ぐセンサカバー(蓋体)27とを備えている。
モータハウジング25、ギヤハウジング26は、金属材料によって形成されている。また、センサカバー27は、金属材料または樹脂材料によって形成されている。
ここで、ギヤハウジング26の側壁よりバルブ側に位置する円筒状のベアリングホルダ28には、ロッド4の軸方向に貫通する軸受孔が形成されている。この軸受孔の孔壁面には、スラスト軸受5が圧入嵌合されている。また、ギヤハウジング26の側壁よりバルブ側に突出する円筒状のスプリングホルダ29内には、コイルスプリング6が収容されている。
【0044】
電動アクチュエータのロッド4は、そのロッド軸中心線方向と同一方向のストローク方向に真っ直ぐに延びている。このロッド4は、フォロワ23およびピボットピン24を介して、プレートカム21に連結(接続)するプレート(平板)状の駆動ロッド(第1ロッド)31と、リンク機構(リンクレバー3等)を介して、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結(接続)するプレート(平板)状の従動ロッド(第2ロッド)32と、駆動ロッド31と従動ロッド32とを連結する断面円形状の接続ロッド33とによって構成されている。なお、駆動ロッド31、従動ロッド32および接続ロッド33は、例えばステンレス鋼等の金属材料(非磁性体)によって形成されており、溶接等により接続されて一体部品となっている。
【0045】
駆動ロッド31は、フォロワ23およびピボットピン24を介して、プレートカム21から荷重を受ける入力部である。この駆動ロッド31は、ロッド4のロッド端部とスラスト軸受5との間に設けられる中間部である。
また、駆動ロッド31は、その表面が、磁性移動体7を樹脂モールド成形またはネジ締結等により固定するための磁性移動体搭載面となっている。また、駆動ロッド31の一端部(接続ロッド33側に対して反対側の端部)には、ピボットピン24が嵌合する嵌合孔34が形成されている。なお、ピボットピン24は、駆動ロッド31の裏面側から打ち込まれて表面側に突出して駆動ロッド31に接続(固定)されている。
また、駆動ロッド31の他端部には、接続ロッド33の軸線方向の一端側と溶接により接続される第1連結部35が設けられている。
【0046】
従動ロッド32は、リンクレバー3および第1、第2ヒンジピン11、12を介して、ウェイストゲートバルブ1に荷重を与える出力部である。この従動ロッド32の一端部(接続ロッド33側の端部)には、接続ロッド33の軸線方向の他端側と溶接により接続される第2連結部36が設けられている。
従動ロッド32の他端部(接続ロッド33側に対して反対側の端部)には、第1ヒンジピン11が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。なお、第1ヒンジピン11は、従動ロッド32の裏面側から打ち込まれて表面側に突出して従動ロッド32に接続(固定)されている。
【0047】
接続ロッド33は、駆動ロッド31の第1連結部35と従動ロッド32の第2連結部36とを連結する中継部である。この接続ロッド33の駆動ロッド31側端部の外周には、コイルスプリング6からストローク方向のバルブ全閉側に付勢する荷重を受け止める荷重受け部である円環状(鍔状、フランジ状)のスプリングシート37が装着されている。また、接続ロッド33は、スラスト軸受5の軸受中心Oを中心に揺動自在で、且つスラスト軸受5の軸線方向に摺動自在に支持されている。なお、スプリングシート37は、駆動ロッド31の第1連結部35の端面に係止されている。
【0048】
スラスト軸受5は、接続ロッド33をそのストローク方向(往復移動方向)に摺動自在に支持するものである。このスラスト軸受5の内部には、ロッド4の軸方向に貫通する貫通孔(摺動孔)が形成されている。また、スラスト軸受5の内周面(接続ロッド33と摺動する摺動面)は、スラスト軸受5の軸受中心O付近で最もロッド軸中心線側に突出する凸曲面となっている。これにより、接続ロッド33の揺動(軸振れ)が許容される。
【0049】
コイルスプリング6は、ロッド4に対して、ウェイストゲートバルブ1を閉じる側(ロッド軸中心線方向のバルブ全閉側)に付勢する付勢力(荷重)を発生するロッド(バルブ)付勢手段である。このコイルスプリング6の一端は、スプリングシート37に保持され、コイルスプリング6の他端は、ベアリングホルダ28の端部とスプリングホルダ29とを連結する円環状の隔壁(閉鎖壁)38に保持されている。
これによって、電動アクチュエータのロッド4、特に駆動ロッド31には、コイルスプリング6からのスプリング荷重(バルブ全閉側に付勢する荷重)が作用している。
【0050】
減速機構は、電動モータMのトルクを変換機構に伝達する動力伝達機構を構成する。この減速機構は、上述したように、中間ギヤシャフト14、最終ギヤシャフト15、ピニオンギヤ16、中間ギヤ17および最終ギヤ18等によって構成されている。
中間ギヤシャフト14および最終ギヤシャフト15は、互いに並列配置されている。また、3つのギヤ16〜18は、ギヤハウジング26の減速ギヤ収納空間内において回転自在に収容されている。
【0051】
中間ギヤシャフト14は、ギヤハウジング26の嵌合孔に打ち込まれてギヤハウジング26の嵌合部に圧入固定されている。この中間ギヤシャフト14の軸方向中心線は、中間ギヤ17の回転中心を構成している。また、中間ギヤシャフト14の外周には、2つのベアリング(軸受:図示せず)を介して、中間ギヤ17が回転自在に支持されている。なお、2つのベアリングは設けなくても良い。
また、中間ギヤシャフト14の中間ギヤ17の端面より突出した突出部の外周には、円環状の周方向溝が形成されている。この周方向溝には、中間ギヤシャフト14の外周に中間ギヤ17を嵌め合わせた際に、中間ギヤシャフト14からの中間ギヤ17の抜け止めを行うワッシャおよびCリング等の中間ギヤ抜け止め手段が装着されている。
【0052】
最終ギヤシャフト15は、ギヤハウジング26の嵌合孔41に打ち込まれて円筒状の嵌合部42に圧入固定されている。この最終ギヤシャフト15の軸方向中心線は、最終ギヤ18の回転中心を構成している。また、最終ギヤシャフト15の外周には、2つのベアリング(軸受)43を介して、最終ギヤ18が回転自在に支持されている。なお、2つのベアリング43は設けなくても良い。
また、最終ギヤシャフト15の最終ギヤ18の端面より突出した突出部の外周には、円環状の周方向溝が形成されている。この周方向溝には、最終ギヤシャフト15の外周に最終ギヤ18を嵌め合わせた際に、最終ギヤシャフト15からの最終ギヤ18の抜け止めを行うワッシャおよびCリング等の最終ギヤ抜け止め手段が装着されている。
【0053】
ピニオンギヤ16は、金属材料または樹脂材料によって形成されている。このピニオンギヤ16は、モータシャフト13の外周に圧入固定されている。ピニオンギヤ16の外周には、中間ギヤ17と噛み合う複数の凸状歯(ピニオンギヤ部)44が周方向全体に形成されている。
中間ギヤ17は、金属材料または樹脂材料によって形成されており、中間ギヤシャフト14の外周に回転自在に嵌め合わされている。この中間ギヤ17は、中間ギヤシャフト14の周囲を周方向に取り囲むように設置された円筒部を有している。この円筒部の外周には、円環状の最大外径部(径大部)が一体的に形成されている。
【0054】
中間ギヤ17の径大部の外周には、ピニオンギヤ16の凸状歯44と噛み合う複数の凸状歯(大径ギヤ部)45が周方向全体に形成されている。また、円筒部(径小部)の外周には、最終ギヤ18と噛み合う複数の凸状歯(小径ギヤ部)46が周方向全体に形成されている。
最終ギヤ18は、金属材料または樹脂材料によって形成されており、2つのベアリング43を介して、最終ギヤシャフト15の外周に回転自在に嵌め合わされている。この最終ギヤ18は、最終ギヤシャフト15の周囲を周方向に取り囲むように設置された円筒部を有している。この円筒部には、円筒部の外周面より扇状に広がるフランジ47を有している。
最終ギヤ18のフランジ47の外周部には、中間ギヤ17の凸状歯46と噛み合う複数の凸状歯(扇状の大径ギヤ部)48が所定の角度分だけ扇状に形成されている。
【0055】
変換機構は、最終ギヤ18の回転運動をロッド4の直線運動に変換する運動方向変換機構である。この変換機構は、最終ギヤ18の最終ギヤシャフト15を中心にして最終ギヤ18と一体的に回転するプレートカム21、このプレートカム21のカム溝22内に移動自在に挿入されるフォロワ23、およびこのフォロワ23を回転自在に支持するピボットピン24等によって構成されている。
プレートカム21は、金属材料によって所定の形状に形成されており、最終ギヤ18のカム装着部に固定されている。なお、最終ギヤ18が樹脂材料で形成されている場合、プレートカム21は最終ギヤ18にインサート成形される。また、最終ギヤ18が金属材料で形成されている場合、最終ギヤ18とプレートカム21とを焼結金属等で一体化しても良い。このように構成することで、最終ギヤ18の回転軸とプレートカム21の回転軸とが共通化されるため、最終ギヤ18の回転中心(最終ギヤシャフト15の回転中心)とプレートカム21の回転中心とが一致する。また、最終ギヤ18の作動角度(最終ギヤ作動角)とプレートカム21の回転角度(カム回転角)とが等しくなる。
【0056】
プレートカム21のカム溝22は、ウェイストゲートバルブ1の動作パターンに対応した湾曲形状のガイド部である。
ここで、プレートカム21のカム形状およびプレートカム21の回転角度は、ウェイストゲートバルブ1を全閉位置から全開位置まで駆動するのに必要なロッドストローク量に対して決定される。
フォロワ23は、金属材料によって円筒形状に形成されており、ピボットピン24の外周に回転自在に嵌め合わされている。このフォロワ23は、ピボットピン24の周囲を周方向に取り囲むように円筒部を有している。
ピボットピン24は、ロッド4の嵌合孔34に打ち込まれてロッド4に圧入固定されている。なお、ピボットピン24のフォロワ23の円筒部の端面より突出した突出部には、フォロワ23の抜け止めを行うために潰されて鍔状にカシメられたフランジが形成されている。
また、フォロワ23の回転中心は、プレートカム21の回転中心と共に、ロッド4のストローク方向の中心線上、つまりロッド軸中心線RC上に設置されている。
【0057】
電動モータMは、電動アクチュエータの動力源であって、モータハウジング25のモータ収納空間内に収容保持されている。この電動モータMは、ECUによって通電制御されるように構成されている。
そして、ECUには、CPU、ROM、RAM等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、ECUは、ストロークセンサS、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、過給圧センサおよび車速センサ等の各種センサのセンサ出力信号に基づいて、スロットルバルブの電動アクチュエータ、ウェイストゲートバルブ1の電動アクチュエータを制御する。
【0058】
次に、本実施例のストローク量検出装置の詳細を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
ストローク量検出装置は、ロッド4に一体的に設置された磁性移動体7と、この磁性移動体7のストローク位置を検出するストロークセンサSとを備えている。
なお、ECUは、ストロークセンサSから出力される出力値(センサ出力値)に基づいて、電動アクチュエータのロッド4の直線的なストローク位置を演算(検出)するロッドストローク検出手段としての機能を有している。
【0059】
磁性移動体7は、検出対象物であるロッド4のストローク方向への移動に伴って直線変位(移動)するように、ロッド4の駆動ロッド31の表面(磁性移動体搭載面)に一体的に設置(締結一体化)されている。この磁性移動体7は、平行な一定の磁束密度の磁界を発生するマグネット(2つの第1、第2磁石8:図14及び13参照)、およびこれらの第1、第2磁石8の磁極面から放出された磁束(磁界)をストロークセンサSに対して集中させる(平面視)長方形枠体状の磁性フレーム(磁性体9)等によって構成されている。
【0060】
磁性移動体7の第1磁極面、つまり第1磁石8の磁極面(N極)は、所定のエアギャップ(磁気検出ギャップ)を隔ててストロークセンサSのホールIC、特にホール素子の感磁面に対向して配置されている。また、磁性移動体7の第2磁極面、つまり第2磁石8の磁極面(S極)は、所定のエアギャップ(磁気検出ギャップ)を隔ててストロークセンサSのホールIC、特にホール素子の感磁面に対向して配置されている。
なお、磁性移動体7を、ロッド4の駆動ロッド31の磁性移動体搭載面上にモールド成形またはネジ締結固定等の固定手段を用いて保持固定しても良い。
【0061】
2つの第1、第2磁石8は、直方体形状に形成されており、ストロークセンサSに向けて磁束(磁界)を放出する永久磁石である。これらの第1、第2磁石8は、磁石内部の磁力線の向きが互いに平行となるように平行着磁されている。また、2つの第1、第2磁石8は、ストロークセンサSを相対移動可能に収容する所定のセンサ収容空間を隔てて対向して配置されている。
また、2つの第1、第2磁石8は、ロッド4のストローク方向の中心線、つまりロッド軸中心線RCに平行な直線である、磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC)に対して平行な磁極面を有している。この磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC)は、プレートカム21の回転中心と共に、ロッド4のストローク方向の中心線上、つまりロッド軸中心線RC上に設置されている。
【0062】
磁性体9は、閉磁路を形成する鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料によって形成されている。この磁性体9は、長手方向、つまりロッド軸中心線RCに平行な直線(MC)に沿うように延びる直方体形状の上下ブロック(ロッド軸方向ブロック:以下ブロックと略す)51、52、および短手方向、つまりロッド軸中心線RCに平行な直線(MC)に対して直交する垂直線に沿うように延びる直方体形状の左右ブロック(ロッド垂直方向ブロック:以下ブロックと略す)53、54によって構成されている。
【0063】
また、ブロック51の中央部の内側面(センサ収容空間側面)には、極性がN極とされた磁極面(磁極部)が設けられている。また、ブロック52の中央部の内側面(センサ収容空間側面、ブロック51の中央部と対向する対向面)には、極性がS極とされた磁極面(磁極部)が設けられている。
なお、2つの第1、第2磁石8をストロークセンサS側に設置して磁性移動体7を磁性体9のみで構成しても良い。
【0064】
ストロークセンサSは、磁性移動体7で周囲を囲まれたセンサ収容空間内に位置するようにセンサカバー27のセンサ搭載部(センサホルダ)に保持固定されている。このストロークセンサSは、センサカバー27のセンサ搭載部(センサホルダ)から駆動ロッド31側に突出するように設置されている。
また、ストロークセンサSは、磁性移動体7のストローク方向への移動に伴って変化する磁束(磁束密度、磁界分布、磁界強さ)を検出するホール素子を有している。このホール素子には、磁性移動体7、特に2つの第1、第2磁石8の磁極面(N極)から印加される磁界の磁束密度(磁束の量)や磁界の強さを感磁する感磁面Fが設けられている。
【0065】
ホール素子は、その磁気検出面である感磁面Fを通過する磁束密度に対応した電気信号(電圧信号)を出力する非接触式の磁気検出素子である。また、ホール素子は、その磁気検出面である感磁面を通過する磁束の流れ方向に応じた電気信号(電圧信号)を出力する非接触式の磁気検出素子である。
ホール素子は、磁性移動体7、特に第1磁石8の磁極面(N極)に対して第1エアギャップを隔てて対向し、磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC)に対して平行な感磁面、あるいは所定の傾斜角度分だけ傾斜した感磁面を有している。
【0066】
そして、ストロークセンサSは、ホール素子の感磁面Fを鎖交する磁束密度に対応した電気信号(電圧信号、センサ出力信号:以下センサ出力値と言う)をECUに向けて出力するホールICを主体に構成されている。このストロークセンサSは、2つの第1、第2磁石8より放出される磁束密度に比例した電気信号(出力電圧)を出力するホール素子(磁気検出素子)およびこのホール素子の出力電圧を増幅した増幅信号を出力する電圧増幅器を有するセンサチップ(ホール素子チップ)と、このセンサチップの電極パッド部に接続されるリードフレームと、センサチップおよびリードフレームをモールド樹脂等により樹脂封止する直方体形状のパッケージとを具備している。
なお、センサチップは、絶縁性接着剤を介して、リードフレームの表面上に搭載されている。
【0067】
ホールICは、ホール素子と増幅回路とを一体化したICチップ(センサチップ)のことであって、磁性体9の内部に形成される長方形状のセンサ収容空間内において、磁性移動体7に対して相対的に移動可能に設置されている。このホールICは、磁性移動体7(2つの第1、第2磁石8および磁性体9によって構成される磁気回路)の途中に位置するように、センサカバー27のセンサホルダに保持固定されている。
なお、非接触式の磁気検出素子として、ホールICの代わりに、ホール素子単体または磁気抵抗素子(MR素子)を使用しても良い。
【0068】
また、ストロークセンサSは、ウェイストゲートバルブ1が全閉位置と全開位置との間にある場合、磁性移動体7のストローク位置(基準位置に対する相対位置)とロッド4のストローク量とが対応しており、また、ロッド4のストローク位置とウェイストゲートバルブ1のバルブ開度とが対応している。このため、ECUは、磁性移動体7のストローク位置、つまり磁場の変化に対応して出力されるセンサ出力値を測定して、ロッド4のストローク量を求め、このロッド4のストローク量からウェイストゲートバルブ1のバルブ開度を求め、このバルブ開度からウェイストゲート流路を流れる排気ガスの流量を求めることが可能である。
【0069】
ここで、2つの第1、第2磁石8および磁性体9によって構成される磁気回路である磁性移動体7のストローク位置をセンシングする方式として、ホールIC、ホール素子またはMR素子を使用して、非接触での磁気検出で実施する場合、磁性移動体7とストロークセンサSのホールICとで構成される磁気回路の近傍に鉄等の磁性体があると、非接触式の磁気検出素子が検出する磁場が安定して確保できない可能性がある。そこで、本実施例の電動アクチュエータでは、磁性移動体7に近接する部品(ロッド4、最終ギヤ18、プレートカム21、フォロワ23、ピボットピン24、最終ギヤシャフト15)を非磁性体(ステンレス鋼等の非磁性金属、非磁性樹脂等)で構成することで、磁気回路への外乱影響を回避している。
【0070】
本実施例のリンクレバー3およびロッド4の詳細を図1ないし図5に基づいて説明する。
リンクレバー3の第1結合部とは、ウェイストゲートバルブ1を動かすと、つまりウェイストゲートバルブ1が全閉位置から全開位置に至るまで回転動作(開閉)すると、ウェイストゲートバルブ1の回転中心軸と同一軸心上に位置する回転軸(リンクレバー3の回転中心、第2ヒンジピン12の中心)を中心にした所定の曲率半径の曲線である回転作動線(リンクレバー3の回転作動線:図示一点鎖線)上を移動する結合部(結合部の中心点、結合点)のことである。すなわち、リンクレバー3の第1結合部とは、ロッド4のストローク方向の先端部との結合部である第1ヒンジピン11のことである。
【0071】
そして、リンクレバー3の回転作動線とは、ウェイストゲートバルブ1が全閉位置となるリンクレバー3の回転作動点を、リンクレバー3の全閉開度点とし、ウェイストゲートバルブ1が全開位置となるリンクレバー3の回転作動点を、リンクレバー3の全開開度点としたとき、リンクレバー3の全閉開度点とリンクレバー3の全開開度点とを、ウェイストゲートバルブ1の回転中心軸(リンクレバー3の回転軸)を中心にした所定の曲率半径の曲線で結んだ円弧軌跡のことである。
【0072】
ここで、ウェイストゲートバルブ1の全閉位置とは、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートに着座してウェイストゲート流路を閉鎖している全閉開度の状態のことである。 また、ウェイストゲートバルブ1の全開位置とは、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートより離脱してウェイストゲート流路を開放している全開開度の状態のことである。 また、ウェイストゲートバルブ1の中間開度とは、ウェイストゲートバルブ1の全閉位置と全開位置との中間の開度(中央値)のことである。
【0073】
ここで、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、図1に示したように、2つの第1、第2磁石8および磁性体9によって構成される磁気回路である磁性移動体7に対する、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の配置を次のように設定している。
本実施例では、ウェイストゲートバルブ1が全閉開度となるリンクレバー3の回転作動点が、リンクレバー3の全閉開度点Aとして設定されている。
また、ウェイストゲートバルブ1が全開開度となるリンクレバー3の回転作動点は、リンクレバー3の全開開度点Dとして設定されている。
【0074】
また、ウェイストゲートバルブ1の全閉開度時にリンクレバー3の回転軸LOとリンクレバー3の全閉開度点Aとを結ぶ直線は、全閉時レバー中心線L1として設定されている。
また、ウェイストゲートバルブ1の全開開度時にリンクレバー3の回転軸LOとリンクレバー3の全開開度点Dとを結ぶ直線は、全開時レバー中心線L2として設定されている。
また、全閉時レバー中心線L1と全開時レバー中心線L2との角度中心線は、レバー作動角中心線LCとして設定されている。
【0075】
また、本実施例では、ロッド4のストローク方向(軸線方向)の中心線を、ロッド軸中心線RCとする。
また、スラスト軸受5の軸受中心Oを中心にして、リンクレバー3の全閉開度点Aと対称位置関係にある点を、点A’と記す。
そして、レバー作動角中心線LCとロッド軸中心線RCとが垂直になる位置関係にある交点である、リンクレバー3の全閉開度点Aとリンクレバー3の全開開度点Dとの中間開度の点(リンクレバー3の中間開度点)をBとして設定し、また、スラスト軸受5の軸受中心Oを中心にして中間開度点Bと対称位置関係にある点を、点B’と記す。
【0076】
以上のように、リンクレバー3の各回転作動点を設定したとき、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面は、磁性移動体7、特に2つの第1、第2磁石8の磁極面に対し、スラスト軸受5の軸受中心Oを通り全閉開度点Aと点A’とを結ぶ第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと、スラスト軸受5の軸受中心Oを通り中間開度点Bと点B’とを結ぶ第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度∠AOBの範囲内に配置されている。
【0077】
第1仮想直線LAとは、ウェイストゲートバルブ1の全閉開度時における2つの第1、第2磁石8の磁極面間の中間地点である、磁性移動体7の中心(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線:MC)を通る直線のことである。また、リンクレバー3の第1ヒンジピン11が、リンクレバー3の全閉開度点Aに配置された際に、第1磁石8の磁極面と第2磁石8の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことである。
【0078】
第2仮想直線LBとは、ウェイストゲートバルブ1の全開開度時における2つの第1、第2磁石8の磁極面間の中間地点である、磁性移動体7の中心(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線:MC)を通る直線のことである。また、リンクレバー3の第1ヒンジピン11が、レバー作動角中心線LCとロッド軸中心線RCとが垂直になる位置関係にある交点である、リンクレバー3の中間開度点Bに配置された際に、第1磁石8の磁極面と第2磁石8の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことである。
【0079】
ここで、本実施例のホールIC、特にホール素子の感磁面は、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交点を通る直線であり、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度の中心線(∠AOBの角度中心線LX)上に設定されている。
なお、ホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA上に配置しても良い。また、ホール素子の感磁面を、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LB上に配置しても良い。あるいはホール素子の感磁面を、∠AOBの角度中心線LXを除く、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交点を通る直線上に配置しても良い。
【0080】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う電動アクチュエータの作動を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0081】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値に満たない場合、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動アクチュエータの構成部品が、全閉状態に止まるため、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態を継続する。これにより、ウェイストゲート流路は閉鎖される。この結果、エンジンより排出された排気ガスの全量は、ターボチャージャのタービンハウジングの入口部から流入してタービンインペラを回転させ、タービンハウジングの出口部から排出される。
一方、吸気管内に吸い込まれた吸入空気は、タービンインペラの回転により駆動されるコンプレッサインペラによって圧縮されて圧力(過給圧)が上昇する。そして、圧力が上昇した吸入空気は、エンジンに吸い込まれる。
【0082】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値以上に上昇した場合、つまり予め設定された最大過給圧を超える場合、ウェイストゲートバルブ1が全開状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動モータMのモータシャフト13が全開方向に回転する。これにより、モータトルクが、ピニオンギヤ16、中間ギヤ17、最終ギヤ18に伝達される。そして、最終ギヤ18からモータトルクが伝達されたプレートカム21が、最終ギヤ18の回転に伴って所定の回転角度(最終ギヤ18の作動角度と等しい回転角度)だけ全開方向に回転する。
すると、ピボットピン24がカム溝22を摺動(滑動)して、カム溝22の全閉位置から全開位置まで移動することにより、駆動ロッド31がコイルスプリング6を圧縮しながらロッド4のストローク方向のバルブ開側に直線移動する(押し出される)。すると、ロッド4の直線移動に伴って、駆動ロッド31、従動ロッド32および接続ロッド33がロッド4のストローク方向のバルブ開側に直線移動する。
【0083】
さらに、従動ロッド32の直線移動に伴って、第1ヒンジピン11がロッド4のストローク方向のバルブ開側に直線移動することにより、リンクレバー3が第2ヒンジピン12を中心にして全開方向に回転する。すると、第2ヒンジピン12の回転に伴ってウェイストゲートバルブ1も第2ヒンジピン12を中心にして全開方向に回転する。これにより、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートより離脱して全開状態となるため、ウェイストゲート流路が開放される。このときのロッド4のロッド軸中心線RCに対するリンクレバー3の作動角度(レバー角度)はθとなる(図4参照)。
この結果、エンジンからタービンハウジングの入口部に流入した排気ガスの一部がタービンインペラをバイパスするウェイストゲート流路を通ってタービンハウジングの出口部に排出される。これにより、タービンインペラに作用する排気エネルギーが減少し、タービンインペラの回転速度が低下するので、ターボチャージャの過回転が防止される。
また、過給圧または排気圧が過大とならないようになる。また、タービンインペラの過回転に伴うタービンインペラの破損等が防止される。
【0084】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値よりも低下した場合、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動モータMのモータシャフト13が全閉方向に回転する。これにより、モータトルクが、ピニオンギヤ16、中間ギヤ17、最終ギヤ18、プレートカム21に伝達される。そして、プレートカム21が、最終ギヤ18の回転に伴って所定の回転角度だけ全閉方向に回転する。
すると、ピボットピン24がカム溝22を摺動(滑動)して、カム溝22の全開位置から全閉位置まで移動することにより、ロッド4のストローク方向のバルブ閉側にロッド4が直線移動する(引き戻される)。すると、ロッド4の直線移動に伴って駆動ロッド31、従動ロッド32および接続ロッド33がロッド4のストローク方向のバルブ閉側に直線移動する。
【0085】
さらに、従動ロッド32の直線移動に伴って、第1ヒンジピン11がロッド4のストローク方向のバルブ閉側に直線移動することにより、リンクレバー3が第2ヒンジピン12を中心にして全閉方向に回転する。すると、第2ヒンジピン12の回転に伴ってウェイストゲートバルブ1も第2ヒンジピン12を中心にして全閉方向に回転する。これにより、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートに着座して全閉状態となるため、ウェイストゲート流路が閉鎖される。
また、ウェイストゲートバルブ1は、エンジンの運転状況、特に過給圧センサにより検出される過給圧に基づいて、全閉位置と全開位置との中間の中間開度に設定されるように制御される。この場合、ウェイストゲートバルブ1のバルブ開度が過給圧に基づいて連続的または段階的に変更されるため、ウェイストゲート流路を通過する排気ガスの流量を連続的または段階的に微調整できる。これにより、エンジンの過給圧を連続的または段階的に可変制御できる。
【0086】
[実施例1の特徴1]
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間に、ロッド4の直線運動をウェイストゲートバルブ1の回転運動に変換するリンク機構を設置している。このリンク機構は、一端側が第1ヒンジピン11を介して従動ロッド32に連結し、且つ他端側が第2ヒンジピン12を介してウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結したリンクレバー3等によって構成されている。
【0087】
このようなヒンジバルブ構造の場合、電動アクチュエータのロッド4の推力によってリンクレバー3を回転させ、ウェイストゲートバルブ1を回転動作させるときに、スラスト軸受5の軸受中心Oを中心にしてロッド4に軸振れが発生する。そして、ロッド4が振れると、駆動ロッド31に一体的に設置された磁性移動体7の磁極面とストロークセンサSのホール素子の感磁面との間の距離が変動して、ホール素子の感磁面を鎖交する磁束密度(磁界の強さ)の変化がロッド4のストローク位置に対応せず、ばらつくため、センサ出力値に対する信頼性が低下するという問題がある。
【0088】
そこで、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面が、図1に示したように、磁性移動体7、特に2つの第1、第2磁石8の磁極面に対し、スラスト軸受5の軸受中心Oを通り全閉開度点Aと点A’とを結ぶ第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと、スラスト軸受5の軸受中心Oを通り中間開度点Bと点B’とを結ぶ第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度∠AOBの範囲内で、且つ第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度の中心線(∠AOBの角度中心線LX)上に位置するように配置(設定)されている。
【0089】
これにより、ロッド4がスラスト軸受5の軸受中心Oを中心にして曲線的に移動し、ロッド4のストローク方向の移動に伴って磁束(磁界の強さ)が曲線的に変化した場合であっても、ロッド4の軸振れ幅の平均的な場所にホール素子の感磁面を配置しているので、図6(a)に示した比較例(ロッド直線状態の磁気回路91の中心に合わせたセンサ92の配置例)と比べて、ホール素子の感磁面に対する磁束密度(磁界の強さ)の変化を小さくすることができる。
これによって、ウェイストゲートバルブ1を全閉位置から全開位置に至るまでの作動範囲で回転動作させる際に、磁性移動体7を構成する2つの第1、第2磁石8および磁性体9がスラスト軸受5の軸受中心Oに近い場合と遠い場合とでロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の軸振れ幅が異なっている場合であっても、磁性移動体7の磁極面からホール素子の感磁面が受ける磁束(磁界の強さ)のばらつき量が小さくなるので、ロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の軸振れ幅の違いによるストロークセンサSを構成するホールICのセンサ出力値の差を低減できる。
【0090】
ここで、図1のストロークセンサS(ホールIC)と磁性移動体7の磁性体9との間の矢印長さは、ホール素子の感磁面への磁界の強さを表している。また、図6(a)のセンサ(ホールIC)92と磁気回路(磁性体)91との間の矢印長さは、ホール素子の感磁面への磁界の強さを表している。図1および図6(a)からも確認できるように、ホール素子の感磁面への磁界の強さの差は、図6(a)の比較例の方が大きい。つまり図1の実施例1の方が差が小さい。
すなわち、スラスト軸受5の軸受中心Oと磁性移動体7との間の距離が近い場合におけるロッド4の軸振れによるセンサ出力値と、スラスト軸受5の軸受中心Oと磁性移動体7との間の距離が遠い場合におけるロッド4の軸振れによるセンサ出力値との差を低減できる。この結果、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度を向上できるので、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。
【0091】
[実施例1の特徴2]
ところで、近年、自動車に搭載されるエンジンの排気ガスの規制強化に伴い、排出ガス関係のOBD(車載診断装置による故障診断機能)の装着が義務づけられている。
そして、過給圧センサより出力されるセンサ出力信号に基づいてウェイストゲートバルブ1のバルブ開度をリニアに可変する開閉制御を行うウェイストゲートバルブ制御装置の場合、OBD要件としてロッド4のストローク位置を直接検出する必要がある。
そこで、ウェイストゲートバルブ制御装置においては、リンク機構のリンクレバー3を介して、ウェイストゲートバルブ1に連結する駆動ロッド31上に磁性移動体7を一体的に設置している。
【0092】
そして、ストロークセンサSのホールICによって駆動ロッド31と一体で動く磁性移動体7のストローク位置を検出しているので、電動アクチュエータの最終作動段であるロッド4のストローク位置を直接検出することができる。この結果、ロッド4のストローク位置の検出精度が向上するため、例えば過給圧センサのセンサ出力値(検出値)に対応して目標バルブ開度を設定(演算)し、ストロークセンサSによって検出される実際のバルブ開度と目標バルブ開度との偏差に応じて電動モータMへの供給電力を可変制御(フィードバック制御)する場合における、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。
【0093】
また、ストロークセンサSのホールICで検出される磁性移動体7のストローク位置が、所定時間が経過しても設定された目標位置に到達または接近しない場合には、ロッド4または電動アクチュエータの故障(例えばウェイストゲートバルブ1またはロッド4の作動不能状態等)と判断することができる。つまり、ウェイストゲートバルブ1、ロッド4または電動アクチュエータの故障診断を実施できる。これにより、OBD要件を満足できる。
【0094】
[実施例1の特徴3]
また、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、電動モータMの駆動力(モータトルク)を3つのギヤ16〜18を有する減速機構(平歯車である最終ギヤ18を有する歯車減速機構)と、プレートカム21、フォロワ23およびピボットピン24を有するカム式変換機構とを備えた動力伝達機構で発生する荷重(ウェイストゲートバルブ1を閉じる側に回転動作させる全閉方向荷重およびウェイストゲートバルブ1を開く側に回転動作させる全開方向荷重)によってロッド4をそのストローク方向に往復移動させる構成を備えている。
これによって、電動アクチュエータのロッド4のストローク位置とロッド推力との関係を可変することができ、バルブ圧力Pによるロッド4のストローク位置の位置ズレを抑制することができる。
【0095】
[実施例1の特徴4]
また、ロッド4の駆動ロッド31の表面(磁性移動体搭載面)に磁性移動体7、つまり2つの第1、第2磁石8と磁性体9を一体的に設置したことにより、スラスト軸受5の軸受中心Oと磁性移動体7との間の距離を短くすることができる。つまり磁性移動体7をスラスト軸受5の軸受中心Oに近づけることが可能となるので、電動アクチュエータのロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の軸振れ幅を低減することができる。
【実施例2】
【0096】
[実施例2の構成]
図6(b)ないし図9は本発明の実施例2を示したもので、図6(b)はリンクレバーの作動角度に対する流量特性を示したグラフで、図7ないし図9は電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した図である。
【0097】
本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、ターボチャージャのウェイストゲート流路10の開口面積を変更するウェイストゲートバルブ1と、ロッド4のストローク方向への移動量(ストローク量)に応じてウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う電動アクチュエータと、エンジンの運転状況に基づいて電動モータMへの供給電力を制御することでエンジンの過給圧を可変制御するECUとを備えている。
ウェイストゲートバルブ1は、ウェイストゲート流路10の開口面積(排気ガス流通面積)を変更してウェイストゲート流路10を流れる排気ガス流量を制御する排気ガス流量制御弁の弁体である。
【0098】
ここで、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、図7ないし図9に示したように、2つの第1、第2磁石8および磁性体9によって構成される磁気回路である磁性移動体7に対する、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の配置を次のように設定している。
本実施例では、ウェイストゲートバルブ1が全閉開度となるリンクレバー3の回転作動点が、リンクレバー3の全閉開度点Aとして設定されている。
また、ウェイストゲートバルブ1が全閉開度と全開開度との中間の開度となるリンクレバー3の回転作動点は、全閉開度点Aと中間開度点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線AB上の中間点Cとして設定されている。
また、ウェイストゲートバルブ1が全開開度となるリンクレバー3の回転作動点は、リンクレバー3の全開開度点Dとして設定されている。
【0099】
また、第1直線AOA’と第2直線BOB’との交差角度の中心線と、リンクレバー3の回転中心を中心とする曲率半径を有し、全閉開度点Aと中間開度点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を中間点Cとして設定し、スラスト軸受5の軸受中心Oを中心にして中間点Cと対称位置関係にある点を、点C’として設定している。
以上のように、リンクレバー3の各回転作動点を設定したとき、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面は、磁性移動体7、特に2つの第1、第2磁石8の磁極面に対し、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAとスラスト軸受5の軸受中心Oを通り点Cと点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交差角度∠AOCの範囲内に配置されている。
【0100】
第3仮想直線LCとは、ウェイストゲートバルブ1の中間開度時に2つの第1、第2磁石8の磁極面間の中間地点である、磁性移動体7の中心(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線:MC)を通る直線のことである。また、リンクレバー3の第1ヒンジピン11が、全閉開度点Aと中間開度点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点である中間点Cに配置された際に、第1磁石8の磁極面と第2磁石8の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことである。
【0101】
ここで、本実施例のホールIC、特にホール素子の感磁面Fは、図7に示したように、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交点を通る直線であり、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交差角度の中心線(∠AOCの角度中心線LY)上に設定されている。
なお、ホール素子の感磁面Fを、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LB上に配置しても良い。また、ホール素子の感磁面Fを、図8に示したように、第3直線COC’に平行な第3仮想直線LC上に配置しても良い。また、ホール素子の感磁面Fを、図9に示したように、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA上に配置しても良い。あるいはホール素子の感磁面Fを、∠AOCの角度中心線LYを除く、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交点を通る直線上に配置しても良い。
【0102】
[実施例2の特徴1]
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、上述した実施例1の特徴1及び2に加えて、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交差角度の中心線(∠AOCの角度中心線LY)に対して平行に配置している。
これにより、図6(a)に示した比較例(ロッド直線状態の磁気回路91の中心に合わせたセンサ92の配置例)と比べて、ホール素子の感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることができる。
これによって、ロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の軸振れ幅の違いによるストロークセンサSを構成するホールICのセンサ出力値の差を低減できる。この結果、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度を向上できるので、実施例1の特徴1で説明したように、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。
【0103】
[実施例2の特徴2]
ところで、本実施例のウェイストゲートバルブ1は、上述したように、ウェイストゲート流路10を流れる排気ガス流量を制御する排気ガス流量制御弁の弁体として使用されている。このような排気ガス流量制御弁は、図6(b)に示したように、ウェイストゲートバルブ1の全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全閉側の低開度領域におけるロッド4の移動量に対する排気ガス流量Qの変化率が、ウェイストゲートバルブ1の全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全開側の高開度領域におけるロッド4の移動量に対する排気ガス流量Qの変化率よりも大きい流量特性を有する傾向にあることが実験等によって確認されている。
すなわち、電動アクチュエータのロッド4の直線運動をウェイストゲートバルブ1の回転運動に変換するリンクレバー3等のリンク機構を有する排気ガス流量制御弁は、その弁体であるウェイストゲートバルブ1の低開度領域で、それ以外の高開度領域と比べてロッド4の移動量、つまりリンク機構のレバー作動角度(θ)に対する排気ガス流量(圧力)の変化率が急激になる流量特性を持っている。
【0104】
そこで、ロッド4の移動量に対する排気ガス流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッド4の軸振れ量を最小にすることで、ストロークセンサSの検出精度の向上およびロッド4の制御性の向上を図るという目的で、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面を、実施例2の特徴1で説明したように、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交差角度の中心線(∠AOCの角度中心線LY)に対して平行に配置した場合、特にホール素子の感磁面を、図7に示したように、∠AOCの角度中心線LY上に設定した場合、ロッド4の移動量に対する排気ガス流量(圧力)の変化率が大きい低開度領域でのロッド4の軸振れ量(リンクレバー3の回転角度当たりに対するロッド4の軸振れ幅)を最小値に設定できるので、ストロークセンサSによるロッド4のストローク量の検出精度の向上およびロッド4のストローク量の制御性の向上を図ることができる。
【0105】
ここで、実施例2の特徴1に代えて、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面を、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LB上に配置しても良い。また、ホール素子の感磁面を、第3直線COC’に平行な第3仮想直線LC上に配置しても良い。あるいはホール素子の感磁面を、∠AOCの角度中心線LYを除く、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCとの交点を通る直線上に配置しても良い。
以上のように設定されているとき、排気ガス流量の変化が急激な低開度領域の作動範囲(全閉開度点Aと中間点Cとの間のレバー作動範囲)で、ホール素子の感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることができる。
【0106】
また、実施例2の特徴2の変形例として、ホール素子の感磁面を、図9に示したように、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA上に配置しても良い。この場合、排気ガス流量の変化が急激な全閉位置付近の作動範囲(全閉開度点Aと中間点Cとの間のレバー作動範囲)で、ホール素子の感磁面に対する磁束(磁界の強さ)の変化を小さくすることができる。
これによって、ロッド4の軸振れ幅、つまり磁性移動体7の軸振れ幅の違いによるストロークセンサSを構成するホールICのセンサ出力値の差を低減できる。この結果、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度を向上できるので、実施例1の特徴1で説明したように、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。
【実施例3】
【0107】
[実施例3の構成]
図10は本発明の実施例3を示したもので、電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した図である。
【0108】
本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、ターボチャージャのウェイストゲート流路を開閉するウェイストゲートバルブ1と、このウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結するリンクレバー3と、このリンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1に駆動連結するロッド4を有する電動アクチュエータと、この電動アクチュエータのロッド4のストローク位置を検出するストローク量検出装置と、エンジンの運転状況(特に過給圧センサのセンサ出力値(検出値))に基づいてウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行ってエンジンの過給圧を可変制御するECUとを備えている。
【0109】
ストローク量検出装置は、スラスト軸受5よりも電動モータ側(バルブ側に対して逆側)のロッド4に一体的に設置された磁性移動体7と、この磁性移動体7を伴って形成される磁気回路の途中に設置されたストロークセンサSとを備えている。また、ECUは、実施例1で説明したように、ストロークセンサSのセンサ出力値に基づいて、電動アクチュエータのロッド4の直線的なストローク位置を演算(検出)するように構成されている。 そして、磁性移動体7は、2つの第1、第2磁石8および長方形枠体状の磁性体9等によって構成されている。磁性体9は、ブロック53、54の短手方向の長さ(ロッド軸中心線RCに対して直交する垂直方向の長さLS)よりも、ブロック51、52の長手方向の長さ(ロッド軸中心線方向の長さLL)の方が長くなっている。そして、磁性移動体7は、磁性体9の長手方向の向きを、ロッド4のストローク方向(ロッド軸中心線方向)と同一方向に一致させている。
【0110】
[実施例3の特徴]
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、上述した実施例1の特徴1及び2に加えて、磁性移動体7を構成する磁性体9の長手方向の向きをロッド4のストローク方向(ロッド軸中心線方向)と同一方向に一致させている。
これにより、磁性体9の内側空間(センサ収納空間)内における磁性移動体7のストローク方向への移動に伴う磁束変化(磁界変化)を緩やかにすることができる。したがって、磁性移動体7を構成する2つの第1、第2磁石8および磁性体9とストロークセンサSとの配置ばらつきに対するホール素子の感磁面が受ける磁束変化(磁界の強さ変化)ばらつきを抑制できる。これにより、磁性移動体7のストローク位置の検出精度ばらつき、つまりロッド4の直線的なストローク位置の検出精度ばらつきを抑制することができる。
【実施例4】
【0111】
[実施例4の構成]
図11は本発明の実施例4を示したもので、電動アクチュエータのロッドとリンクレバーの接続位置関係を示した図である。
【0112】
本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、実施例1〜3と同様に、ウェイストゲートバルブ1と、リンクレバー3と、ロッド4を有する電動アクチュエータと、ストローク量検出装置と、ECUとを備えている。
ストローク量検出装置は、実施例1〜3と同様に、2つの第1、第2磁石8および磁性体9によって構成される磁性移動体7と、ホール素子を有するストロークセンサSとを備えている。
そして、磁性移動体7は、ロッド4のストローク方向の中心線(ロッド軸線方向中心線)を含んだ仮想平面を境にして面対称となるように配置されている。
【0113】
[実施例4の特徴]
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、上述した実施例1の特徴1及び2に加えて、磁性移動体7を、ロッドのストローク方向の中心線(ロッド軸線方向中心線)を含んだ仮想平面を境にして面対称となるように配置している。
これによって、磁性移動体7を構成する2つの第1、第2磁石8および磁性体9とストロークセンサSとの配置ばらつきに対するホール素子の感磁面が受ける磁束変化(磁界の強さ変化)ばらつきを抑制できる。これにより、磁性移動体7のストローク位置の検出精度ばらつき、つまりロッド4の直線的なストローク位置の検出精度ばらつきを抑制することができる。
【実施例5】
【0114】
図12および図13は本発明の実施例5を示したもので、ウェイストゲートバルブ制御装置を示した図である。
【0115】
本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置は、実施例1〜4と同様に、リンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1に駆動連結するロッド4を有する電動アクチュエータを備えている。この電動アクチュエータは、ロッド4、スラスト軸受5およびコイルスプリング6の他に、動力源である電動モータMと、この電動モータMの回転を2段減速する減速機構と、この減速機構の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構と、ストローク量検出装置(磁性移動体7、ストロークセンサS)と、これらの各構成部品を収容するアクチュエータケースとを備えている。
【0116】
本実施例の減速機構の最終ギヤ18の表面上には、変換機構のリンクレバー19を回転自在に支持する第1ピボットピン61が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。 電動アクチュエータのロッド4には、第2ピボットピン62を介してガイドプレート63が連結されている。このロッド4は、リンク機構(リンクレバー3等)を介して、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結(接続)するプレート(平板)状の従動ロッド32と、第2ピボットピン62を介してガイドプレート63に連結(接続)する断面円形状の接続ロッド33とによって構成されている。なお、従動ロッド32および接続ロッド33は、例えばステンレス鋼等の金属材料(非磁性体)によって形成されており、溶接等により接続されて一体部品となっている。
【0117】
従動ロッド32の一端部(接続ロッド33側の端部)には、接続ロッド33と溶接により接続されている。
従動ロッド32の他端部(接続ロッド33側に対して反対側の端部)には、第1ヒンジピン11が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。
接続ロッド33の一端部(従動ロッド32側に対して反対側の端部)には、平面部が形成されている。この平面部には、第2ピボットピン62が嵌合する嵌合孔(図示せず)が板厚方向に貫通するように形成されている。接続ロッド33は、スラスト軸受5に摺動自在に支持されている。
ガイドプレート63は、接続ロッド33の平面部と重なり合う部分に、第2ピボットピン62が嵌合する嵌合孔64が形成されている。このガイドプレート63の磁性移動体搭載面上には、磁性移動体7がモールド成形またはネジ締結固定によって一体的に設置されている。そして、センサカバー27には、磁性移動体7を伴って磁気回路を形成するストロークセンサSが搭載されている。
【0118】
本実施例の減速機構は、実施例1〜4と同様に、ピニオンギヤ16、中間ギヤ17および最終ギヤ18等によって構成されている。なお、中間ギヤシャフト14の軸方向中心線は、中間ギヤ17の回転中心を構成している。また、最終ギヤシャフト15の軸方向中心線は、最終ギヤ18の回転中心を構成している。
本実施例の変換機構は、一端側が最終ギヤ18に連結し、且つ他端側が接続ロッド33に連結したリンクレバー19等を有している。
【0119】
ここで、最終ギヤ18の嵌合孔には、その最終ギヤ18の表面側に突出するように第1ピボットピン61が固定(または一体的に形成)されている。
また、ロッド4の嵌合孔には、第1ピボットピン61と同一方向に突出した第2ピボットピン62が一体的に形成(または固定)されている。
リンクレバー19の一端側には、第1ピボットピン61が貫通する第1ピン挿通孔65が形成されている。また、リンクレバー19の他端側には、第2ピボットピン62が貫通する第2ピン挿通孔(図示せず)が形成されている。そして、リンクレバー19は、第1ピボットピン61の外周に回転自在に支持されている。また、リンクレバー19は、第2ピボットピン62の外周に回転自在に支持されている。
【0120】
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、モータトルクを3つのギヤ16〜18および第1ピボットピン61を有する減速機構(平歯車である最終ギヤ18を有する歯車減速機構)と、リンクレバー19を有する変換機構とを備えた動力伝達機構で発生する荷重(ウェイストゲートバルブ1を閉じる側に回転動作させる全閉方向荷重およびウェイストゲートバルブ1を開く側に回転動作させる全開方向荷重)によってロッド4をそのストローク方向に往復移動させる構成を備えている。
これによって、電動アクチュエータのロッド4のストローク位置とロッド推力との関係を可変することができ、バルブ圧力Pによるロッド4のストローク位置の位置ズレを抑制することができる。
【実施例6】
【0121】
図14は本発明の実施例6を示したもので、図14(a)、(b)はストロークセンサに対してロッドのストローク方向へ移動する磁性移動体(マグネットおよび磁性フレームを含んで構成される磁気回路)を示した図である。
【0122】
本実施例の内燃機関のウェイストゲートバルブ制御装置は、実施例1〜5と同様に、リンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1を駆動するロッド4を有する電動アクチュエータと、過給圧センサにより検出される過給圧に基づいてウェイストゲートバルブ1の開度制御を行うECUとを備えている。
電動アクチュエータは、実施例1〜5と同様に、ロッド4、スラスト軸受5、コイルスプリング6、電動モータM、減速機構、変換機構、ストローク量検出装置、およびアクチュエータケース等を備えている。
【0123】
ここで、本実施例のストローク量検出装置は、実施例1〜5と同様に、磁性移動体7およびストロークセンサSにより構成されている。
磁性移動体7は、ロッド4に一体的に設置(締結一体化)されている。この磁性移動体7は、図14に示したように、ストロークセンサSへ磁束を与える直方体形状のマグネット、およびマグネットから放出された磁束(磁界)をストロークセンサSに対して集中させる(平面視)長方形枠体状の磁性フレーム(磁性体9)等によって構成されている。なお、磁性体9は、磁性を有する磁性材料によって形成され、直方体形状の上下ブロック51、52および直方体形状の左右ブロック53、54等を有している。
【0124】
マグネットは、磁性体9で周囲を囲まれたセンサ収容空間内において磁性体9の内側面に一体的に設置(接着、固定)されている。このマグネットは、センサ収容空間を隔てて対向して配置された2つの第1、第2磁石8を有している。
第1磁石8は、磁性体9のブロック51の内側面(センサ収容空間側面)に組み付けられている。ここで、図14(a)に示した第1磁石8は、その長手方向の図示左側端部に設けられる磁極の極性がS極とされ、また、第1磁石8の長手方向の図示右側端部に設けられる磁極の極性がN極とされている。また、図14(b)に示した第1磁石8は、その短手方向の図示下側(内側)端面に設けられる磁極面の極性がN極とされ、また、第1磁石8の短手方向の図示上側(外側)端面に設けられる磁極面の極性がS極とされている。
【0125】
第2磁石8は、磁性体9のブロック52(ブロック51に対向配置されるブロック52)の内側面(センサ収容空間側面、対向面)に組み付けられている。ここで、図14(a)に示した第2磁石8は、図示左側端部に設けられる磁極の極性がN極とされ、また、図示右側端部に設けられる磁極の極性がS極とされている。また、図14(b)に示した第2磁石8は、その短手方向の図示上側(内側)端面に設けられる磁極面の極性がN極とされ、また、第2磁石8の短手方向の図示下側(外側)端面に設けられる磁極面の極性がS極とされている。
【0126】
ストロークセンサSは、実施例1〜5と同様に、2つの第1、第2磁石8より放出される磁束密度に比例した電気信号(出力電圧)を出力するホール素子(磁気検出素子)およびこのホール素子の出力電圧を増幅した増幅信号を出力する電圧増幅器を有するセンサチップ(ホール素子チップ)66と、このセンサチップ66の電極パッド部に接続されるリードフレーム(図示せず)と、センサチップ66およびリードフレームを共にモールド樹脂等により樹脂封止する直方体形状のパッケージ67とを具備している。
センサチップ66は、絶縁性接着剤を介して、リードフレームの表面上に搭載されている。また、センサチップ66は、パッケージ67の内部に収容されている。
【0127】
ここで、本実施例のストロークセンサSは、図14(a)に示したように、パッケージ67の短手方向の向きを、ロッド軸中心線RC(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC))に対して垂直な方向(図示太字両矢印)に一致させている。
また、ストロークセンサSは、図14(b)に示したように、パッケージ67の長手方向の向きを、ロッド軸中心線RC(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC))に対して垂直な方向(図示太字両矢印)に一致させている。
ホール素子チップ66に含まれるホール素子には、磁性移動体7、特に2つの第1、第2磁石8から与えられる磁束密度を感磁する感磁面が設けられている。
【0128】
以上のように、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBまたは第3直線COC’に平行な第3仮想直線LC上に配置している。
すなわち、ホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBまたは第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCに対して平行となるように配置しているので、ロッド4のストローク方向に対して垂直な磁束変動(磁束変化)をストロークセンサSのホール素子で検出できる。
【0129】
これにより、図14(a)に示したように、ホール素子チップ66を樹脂封止するパッケージ67の短手方向の向きを、ロッド軸中心線RC(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC))に対して垂直な方向に一致させることができる。このため、ロッド4のストローク方向に対して垂直な方向の体格(磁性移動体7の体格)を小型化できる。なお、ロッド4のストローク方向は、ストローク分のスペース要のため、磁性移動体7の長手方向への体格増加の影響はない。
なお、パッケージ67の短手方向の向きを、ロッド4のストローク方向に対して垂直な方向に一致させて、実施例1〜5と同様に、ホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBまたは第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCに対して平行となるように配置した場合には、ストロークセンサSのホール素子の周辺に形成される磁束(密度)分布が不均一となるので、磁性移動体(磁気回路)7とホール素子の感磁面との位置ズレによる磁束変動(磁束変化)が大きくなり、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度が若干悪くなる。
【0130】
一方、本実施例のウェイストゲートバルブ制御装置においては、ストロークセンサSを構成するホールIC、特にホール素子チップ66におけるホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBまたは第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCに対して垂直となるように配置しているので、ロッド4のストローク方向に対して平行な磁束変動(磁束変化)を検出できる。
これにより、図14(b)に示したように、ホール素子チップ66を樹脂封止するパッケージ67の長手方向の向きを、ロッド軸中心線RC(磁性移動体7のストローク方向の中心軸線(MC))に対して垂直な方向に一致させることができる。このため、ストロークセンサSのホール素子の周辺(均一磁界領域内)に形成される磁束(密度)分布が均一となるため、磁性移動体(磁気回路)7とホール素子の感磁面との位置ズレによる磁束変動(磁束変化)が小さくなり、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度をより向上できる。
【0131】
ここで、ストロークセンサSのホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LA、第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBまたは第3直線COC’に平行な第3仮想直線LCに対して垂直に配置した場合には、パッケージ67の長手方向の向きを、ロッド4のストローク方向に対して垂直な方向に一致させることができるので、ロッド4のストローク方向と垂直な方向の体格(磁性移動体7の体格)が大型化する可能性がある。
なお、上述したように、ホール素子の感磁面を、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交点を通る直線であり、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交差角度の中心線(∠AOBの角度中心線LX)上に配置しても良い。あるいはホール素子の感磁面を、∠AOBの角度中心線LXを除く、第1直線AOA’に平行な第1仮想直線LAと第2直線BOB’に平行な第2仮想直線LBとの交点を通る直線上に配置しても良い。
【実施例7】
【0132】
図15ないし図17は本発明の実施例7を示したもので、図15はウェイストゲートバルブ制御装置を示した図で、図16(a)、(b)は2つの第1、第2磁石と長方形枠状の磁性体により構成される磁性移動体を示した図で、図17(a)は2つの第1、第2磁石と長方形枠状の磁性体により構成される磁性移動体を示した図で、図17(b)はロッドのストローク変化に対する磁束密度変化の理想特性直線と基準特性線(base)を示した図で、図17(c)はロッドのストローク変化に対する磁束密度変化の直線性を示した図である。
【0133】
本実施例の内燃機関のウェイストゲートバルブ制御装置は、実施例1〜5と同様に、リンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1を駆動するロッド4を有する電動アクチュエータと、過給圧センサにより検出される過給圧に基づいてウェイストゲートバルブ1の開度制御を行うECUとを備えている。
電動アクチュエータは、実施例1〜5と同様に、ロッド4、スラスト軸受5、コイルスプリング6、電動モータM、減速機構、変換機構、ストローク量検出装置、およびアクチュエータケース等を備えている。
【0134】
本実施例の変換機構は、最終ギヤ18の回転運動をロッド4の直線運動に変換する運動方向変換機構であって、実施例1〜5と同様に、最終ギヤ18と一体的に回転するプレートカム21、このプレートカム21のカム溝22内に移動自在に挿入されるフォロワ23、およびこのフォロワ23を回転自在に支持するピボットピン24等によって構成されている。
本実施例のフォロワ23は、磁性を有する鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料によって円筒形状に形成されており、ロッド4に圧入固定されたピボットピン24の外周に回転自在に嵌め合わされている。このフォロワ23は、ピボットピン24の周囲を周方向に取り囲むように円筒部を有している。また、フォロワ23の回転中心は、プレートカム21の回転中心と共に、ロッド4のストローク方向の中心線上、つまりロッド軸中心線RC上に設置されている。
本実施例のストローク量検出装置は、実施例6と同様に、磁性移動体7およびストロークセンサSにより構成されている。
磁性移動体7は、図15に示したように、フォロワ23およびピボットピン24の軸線方向で重なるように、ロッド4に一体的に設置(締結一体化)されている。
【0135】
ここで、実施例1のフォロワ23を本実施例と同様に磁性材料製とした場合、ロッド4のストローク方向への移動時におけるフォロワ23の移動軌跡を表す仮想直線T’が、図18(a)に示したように、磁性移動体7の長手方向の図示右寄りを通り、図示上下方向に延びる直線となる。そして、フォロワ23が仮想直線T’上を動く。この場合、ロッド4のストローク位置に対する2つの第1、第2磁石8の磁極面からストロークセンサSへ向けて放出される磁束密度の変化は、予め実験等により作成した理想特性線よりズレてしまう。すなわち、図18(b)に示したように、ロッド4のストローク変化に対する磁束密度変化の直線性が±2.4%の範囲以内となる。
これは、磁性移動体7の2つの第1、第2磁石8の磁極面からストロークセンサSへ向けて放出された磁束が、磁性材料製のフォロワ23に吸われてしまい、ロッド4のストローク変化に対する磁束密度変化の直線性が低下するためである。
【0136】
そこで、本実施例では、ロッド4のストローク方向への移動時におけるフォロワ23の移動軌跡が、磁性移動体7における、2つの第1、第2磁石8から放出された磁束がストロークセンサSのホール素子の感磁面を通らず、ストロークセンサSのホール素子で検出される磁束密度としてはゼロ(0mT)となる部位(ストロークセンサSのホール素子に対するロッド4のストローク位置においてストロークセンサSのホール素子で検出される磁束密度がゼロとなる点)を通ると共に、ロッド4のストローク方向に対して垂直な方向に延びる仮想直線T上を通るように形成している。
この結果、磁性移動体7の2つの第1、第2磁石8の磁極面からストロークセンサSへ向けて放出される磁束が、磁性材料製のフォロワ23に吸われるのを抑えることができるので、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度をより向上することができる。
【0137】
ここで、本実施例では、仮想直線Tが、図17(a)に示したように、磁性移動体7の長手方向の中央を通り、図示上下方向に延びる直線となっている。そして、フォロワ23の移動軌跡は、仮想直線T上を動くようになっている。この場合、ロッド4のストローク位置に対する2つの第1、第2磁石8の磁極面からストロークセンサSへ向けて放出される磁束密度の変化は、図17(b)に示したように、予め実験等により作成した理想特性線にほぼ沿ったものとなる。すなわち、図17(c)に示したように、ロッド4のストローク変化に対する磁束密度変化の直線性が±1.5%の範囲以内となる。これにより、磁束密度と比例関係にあるストロークセンサSのセンサ出力値も直線性に優れるので、ロッド4の直線的なストローク位置の検出精度を向上できる。
【0138】
[変形例]
本実施例では、本発明のバルブ制御装置を、ウェイストゲートバルブ1を駆動する電動アクチュエータを制御するウェイストゲートバルブ制御装置に適用しているが、本発明のバルブ制御装置を、EGRガス等の排気ガスの流量(調整)を制御する排気ガス流量制御弁の弁体(バルブ)、EGRクーラを通過するEGRガス量とEGRクーラをバイパスするEGRガス量との比率を制御(調整)する排気ガス温度制御弁の弁体(バルブ)を駆動する電動アクチュエータを制御するバルブ制御装置に適用しても良い。
【0139】
本実施例では、回転中心軸を中心にして回転するバルブ(排気ガス制御弁の弁体であるバルブ本体)を、回転中心軸を中心にして回転することで、ウェイストゲート流路を流れる排気ガスの流量を開閉動作により制御(調整)するウェイストゲートバルブ1に適用しているが、回転中心軸を中心にして回転するバルブ(排気ガス制御弁の弁体であるバルブ本体)を、回転中心軸を中心にして回転することで、ターボチャージャのタービンに導入される排気ガスの流量を開閉動作により制御(調整)する排気ガス流量制御バルブ(または流路切替バルブ)に適用しても良い。
【0140】
本実施例では、バルブを駆動するアクチュエータとして、リンクレバー3を介してウェイストゲートバルブ1に連結するロッド4を、電動モータMの駆動力を利用して軸線方向(ストローク方向)に往復移動させることでウェイストゲートバルブ1を駆動する電動アクチュエータを用いているが、バルブを駆動するアクチュエータとして、レバーを介してバルブに連結するロッドを、電磁力または流体圧力を利用して軸線方向(ストローク方向)に往復移動させることでバルブを駆動する電磁アクチュエータまたは流体圧アクチュエータを用いても良い。
【0141】
また、自動車等の車両に搭載される内燃機関(エンジン)として、ディーゼルエンジンだけでなく、ガソリンエンジンを用いても良い。また、内燃機関(エンジン)として、多気筒エンジンだけでなく、単気筒エンジンを用いても良い。
また、磁性移動体7に含まれるマグネット(2つの第1、第2磁石8)の各磁極の極性は実施例1〜8のものに限定されず、磁石の形状や磁石の個数も実施例1〜8のものに限定されない。
【符号の説明】
【0142】
M 電動モータ(動力源)
S ストロークセンサ(ロッドストローク検出手段、ホールIC)
1 ウェイストゲートバルブ(流量制御弁の弁体)
2 ウェイストゲートバルブのシャフト
3 リンク機構のリンクレバー
4 電動アクチュエータのロッド
5 スラスト軸受(ロッド軸受)
6 コイルスプリング(ロッド(バルブ)付勢手段)
7 磁性移動体(ロッドストローク検出手段)
8 第1、第2磁石(マグネット)
9 磁性体(長方形枠体状の磁性フレーム)
10 ウェイストゲート流路
11 リンク機構の第1ヒンジピン(第1支持軸)
12 リンク機構の第2ヒンジピン(第2支持軸)
16 減速機構のピニオンギヤ
17 減速機構の中間ギヤ(駆動ギヤ)
18 減速機構の最終ギヤ(従動ギヤ)
19 変換機構のリンクレバー
21 変換機構のプレートカム
22 プレートカムのカム溝
23 変換機構のフォロワ
24 変換機構のピボットピン(ロッドの支軸)
31 駆動ロッド(第1ロッド)
32 従動ロッド(第2ロッド)
33 接続ロッド
51 ブロック(磁性体)
52 ブロック(磁性体)
53 ブロック(磁性体)
54 ブロック(磁性体)
61 変換機構の第1ピボットピン
62 変換機構の第2ピボットピン
63 ガイドプレート
66 センサチップ(ホール素子チップ)
67 パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回転中心軸を中心にして回転するバルブと、
(b)このバルブを駆動するロッドを有し、このロッドをその軸線方向に往復移動させるアクチュエータと、
(c)前記バルブと前記ロッドとを連結するレバーを有し、前記ロッドの直線運動を前記バルブの回転運動に変換するリンク機構と、
(d)前記ロッドに一体的に設置されて、一定の磁束密度の磁界を発生する磁石を含む磁性移動体、およびこの磁性移動体のストローク方向への移動に伴って変化する磁束に対応した電気信号を出力するセンサを有し、
前記センサから出力された電気信号に基づいて、前記ロッドの軸線方向への移動量を検出するストローク検出手段と
を備え、
前記ロッドの軸線方向への移動量に応じて前記バルブの開閉制御を行うバルブ制御装置において、
前記アクチュエータは、前記ロッドの揺動を許容しつつ、前記ロッドをその軸線方向に摺動自在に支持するロッド軸受を有し、
前記レバーは、前記バルブの回転中心軸と同一軸心上に回転軸を有し、且つ前記ロッドと結合すると共に、前記バルブが回転動作する際、前記レバーの回転軸を中心にした所定の曲率半径の曲線上を移動する結合部を有し、
前記磁石は、前記ロッドの軸線方向の中心線に対して垂直な方向に着磁された2つの第1、第2磁石よりなり、
前記2つの第1、第2磁石は、互いに対向して配置されて、前記ロッドの軸線方向の中心線に対して平行な平面である磁極面をそれぞれ有し、
前記センサは、前記第1磁石または前記第2磁石の磁極面から印加される磁界の磁束を感磁する感磁面を有し、
前記バルブの全閉開度時における、前記結合部の回転作動点を、前記レバーの全閉開度点とし、
前記バルブの全開開度時における、前記結合部の回転作動点を、前記レバーの全開開度点とし、
前記バルブの全閉開度時に前記レバーの回転軸と前記レバーの全閉開度点とを結ぶ直線を、全閉時レバー中心線とし、
前記バルブの全開開度時に前記レバーの回転軸と前記レバーの全開開度点とを結ぶ直線を、全開時レバー中心線とし、
前記全閉時レバー中心線と前記全開時レバー中心線との角度中心線を、レバー作動角中心線とし、
前記ロッドの軸線方向の中心線をロッド軸中心線とし、
前記レバーの全閉開度点を点Aとし、
前記ロッド軸受の中心を軸受中心Oとし、
前記軸受中心Oを中心にして前記点Aと対称位置関係にある点を点A’とし、
前記レバー作動角中心線と前記ロッド軸中心線とが垂直になる位置関係にある交点を点Bとし、
前記軸受中心Oを中心にして前記点Bと対称位置関係にある点を点B’として設定したとき、
前記センサの感磁面は、前記磁性移動体に対し、
前記バルブの全閉開度時における前記2つの第1、第2磁石の磁極面間の中間地点である、前記磁性移動体の中心を通り、且つ前記軸受中心Oを通り前記点Aと前記点A’とを結ぶ第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と、
前記バルブの中間開度時における前記2つの第1、第2磁石の磁極面間の中間地点である、前記磁性移動体の中心を通り、且つ前記軸受中心Oを通り前記点Bと前記点B’とを結ぶ第2直線BOB’に平行な第2仮想直線と
の交差角度の範囲内に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交点を通る直線上に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交点を通る直線に対して平行または垂直に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の中心線上に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第2直線BOB’に平行な第2仮想直線との交差角度の中心線に対して平行または垂直に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記第1直線AOA’と前記第2直線BOB’との交差角度の中心線と、前記レバーの回転軸を中心とする所定の曲率半径を有し、前記点Aと前記点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を点Cとし、
前記軸受中心Oを中心にして前記点Cと対称位置関係にある点を点C’として設定したとき、
前記センサの感磁面は、前記軸受中心Oを通り前記点Cと前記点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線上に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項7】
請求項1または請求項6に記載のバルブ制御装置において、
前記第1直線AOA’と前記第2直線BOB’との交差角度の中心線と、前記レバーの回転軸を中心とする所定の曲率半径を有し、前記点Aと前記点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を点Cとし、
前記軸受中心Oを中心にして前記点Cと対称位置関係にある点を点C’として設定したとき、
前記センサの感磁面は、前記軸受中心Oを通り前記点Cと前記点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線に対して平行または垂直に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記バルブは、流路を流れる流体の流量を制御する流量制御弁の弁体であって、
前記流量制御弁は、前記バルブの全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全閉側の低開度領域における前記ロッドの軸線方向への移動量に対する流量の変化率が、前記バルブの全閉開度と全開開度との中間の開度よりも全開側の高開度領域における前記ロッドの軸線方向への移動量に対する流量の変化率よりも大きい流量特性を具備していることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のバルブ制御装置において、
前記第1直線AOA’と前記第2直線BOB’との交差角度の中心線と、前記レバーの回転軸を中心とする所定の曲率半径を有し、前記点Aと前記点Bとを結ぶ円弧状の仮想曲線ABとの交点を点Cとし、
前記軸受中心Oを中心にして前記点Cと対称位置関係にある点を点C’として設定したとき、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記軸受中心Oを通り前記点Cと前記点C’とを結ぶ第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の範囲内に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交点を通る直線上に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交点を通る直線に対して平行または垂直に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の中心線上に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記センサの感磁面は、前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線と前記第3直線COC’に平行な第3仮想直線との交差角度の中心線に対して平行または垂直に配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記磁性移動体は、前記磁石の磁力によって磁化される長方形枠状の磁性体を有していることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項15】
請求項14に記載のバルブ制御装置において、
前記磁性体の長手方向の向きを、前記ロッド軸中心線と同一方向に一致させていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記ロッドは、そのロッド端部と前記ロッド軸受との間に中間部を有し、
前記磁性移動体は、前記中間部に一体的に設置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記磁性移動体は、前記ロッドの軸線方向の中心線を含んだ仮想平面を境にして面対称となるように配置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記アクチュエータは、動力源であるモータの回転を減速する減速機構と、この減速機構の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換する変換機構とを備えたことを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項19】
請求項18に記載のバルブ制御装置において、
前記減速機構は、前記モータによって回転駆動される駆動ギヤ、およびこの駆動ギヤと噛み合って回転する従動ギヤを有し、
前記変換機構は、前記バルブの動作パターンに対応した形状のカム溝を有し、前記従動ギヤの回転に伴って回転するカムと、前記カム溝に移動自在に挿入されるフォロワとを備え、
前記ロッドは、前記フォロワを回転自在に支持する支軸を有し、一端側が前記フォロワおよび前記支軸を介して前記カムに連結し、他端側が前記バルブに連結することを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項20】
請求項19に記載のバルブ制御装置において、
前記減速機構は、前記モータによって回転駆動される駆動ギヤ、この駆動ギヤと噛み合って回転する従動ギヤ、およびこの従動ギヤの外側に突出した第1ピボットを有し、
前記変換機構は、前記第1ピボットの突出方向と同一方向に突出し、前記ロッドに連結する第2ピボット、および一端側が前記第1ピボットに回転自在に支持され、他端側が前記第2ピボットに回転自在に支持されたリンクレバーを有していることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載のバルブ制御装置において、
前記フォロワは、磁性を有する磁性材により構成されており、
前記磁性移動体は、前記フォロワと前記支軸の軸線方向で重なるように、前記ロッドに一体的に設置されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載のバルブ制御装置において、
前記ロッドの軸線方向への移動時における前記フォロワの移動軌跡は、
前記磁性移動体における、前記磁石から放出された磁束が前記センサの感磁面を通らず、前記センサで検出される磁束密度としてはゼロとなる部位を通ると共に、
前記ロッド軸中心線に対して垂直な方向に延びる仮想直線T上を通るように形成されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項23】
請求項1ないし請求項22のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記センサは、磁束密度に比例した電気信号を出力する磁気検出素子を有するセンサチップと、このセンサチップの電極部に接続されるリードフレームと、前記センサチップおよび前記リードフレームを樹脂封止する直方体形状のパッケージとを具備し、
前記センサチップは、前記リードフレームの表面上に搭載されていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項24】
請求項23に記載のバルブ制御装置において、
前記パッケージの短手方向の向きを、前記ロッド軸中心線に対して垂直な方向に一致させていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項25】
請求項23に記載のバルブ制御装置において、
前記パッケージの長手方向の向きを、前記ロッド軸中心線に対して垂直な方向に一致させていることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項26】
請求項1ないし請求項25のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記第1直線AOA’に平行な第1仮想直線とは、前記結合部が、前記レバーの全閉開度点に配置された際に、前記第1磁石の磁極面と前記第2磁石の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことであることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項27】
請求項1ないし請求項26のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記第2直線BOB’に平行な第2仮想直線とは、前記結合部が、前記レバーの全閉開度点と前記レバーの全開開度点との中間の開度点(前記レバー作動角中心線と前記ロッド軸中心線とが垂直になる位置関係にある交点)に配置された際に、前記第1磁石の磁極面と前記第2磁石の磁極面との対向距離の中間点を通る中心線に対して平行な直線のことであることを特徴とするバルブ制御装置。
【請求項28】
請求項1ないし請求項27のうちのいずれか1つに記載のバルブ制御装置において、
前記ロッドの軸線方向への移動量とは、前記ロッドのストロ−ク量のことであることを特徴とするバルブ制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−132554(P2012−132554A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141648(P2011−141648)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】