説明

バースト受信機,バースト受信制御方法、およびシステム

【課題】 ONU毎にレーザ立上り時間Tonが異なるバースト信号を受信しても、利得切替を確実にバーストプリアンブル期間に制限し、BER劣化を防ぐことを目的とする。
【解決手段】 OLTは、バースト信号毎にトランスインピーダンスアンプの利得切替許容期間を設定し、常に最適な利得切替許容期間となるよう制御する。具体的には、ONU登録時にONUから通知されたTonとONU識別子の対応を保持し、受信するバースト信号毎にTon時間に基づいて適切な切替許可時間Tselを決定し、トランスインピーダンスアンプの利得切替を許容する期間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト受信機において、送信レーザーの立ち上がり時間TonがONU毎に異なるバースト信号を受信しても,適切な利得を選択し,かつ,利得切替によるデータ部のビット誤り率劣化を防ぐバースト受信機およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[光アクセスネットワークの普及]
近年、インターネットの普及に伴い、ネットワークへの高速化への要求が高まり、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、そしてB−PON(Broadband PON)、E−PON(Ethernet PON)、G−PON(Gigabit Capable PON)の普及が進んでいる。特に、PON方式は、局に置かれる収容局(OLT:Optical Line Terminal)と各ユーザ宅に置かれるネットワークユニット(ONU:Optical Network Unit)の間を接続する際に、OLTから1本のファイバを出し、光スプリッタを用いて分岐して各ユーザが接続される。このため、ファイバの敷設コストが安く、かつ光伝送を用いるため高速に通信を行うことが可能であるため、世界各国で普及が進んでいる状況にある。
【0003】
[PON方式]
PON方式の中でも、OLTからONUへの下り伝送用とONUからOLTへの下り伝送用で別々の波長の光を用い、ONU毎の信号を時分割するTDM−PON方式が広く利用されている。このTDM−PON方式は、B−PON、E−PON,G−PON,10G−EPONにおいて採用されている。
【0004】
[バースト受信機]
TDM−PON方式においては、上り伝送においては、光信号の強弱が大きく変動するバースト信号となる。光信号の強弱が大きく変動するのは、OLTとONU間の距離がONU毎に異なり、その結果、光ファイバで生じる光損失量がONU毎に異なるためである。また、バースト信号になるのは、上り伝送においては時分割で各ONUからの光信号を多重しており、いずれかのONUが送信している時間といずれのONUも送信していない時間が生じるためである。OLTは、このバースト信号を受信するバースト受信機を備えることが必要となる。
【0005】
[広いダイナミックレンジ、同期時間短縮の必要性]
バースト受信機の性能を計る指標として、ダイナミックレンジと同期時間がある。
ダイナミックレンジは、受信可能な強信号と弱信号の強度の範囲を表しており、この範囲が大きいほど望ましい。また、同期時間は、バースト信号に対して、受信機の利得調整や閾値調整、クロックデータリカバリなどにかかる時間であり、通信の帯域利用効率が高くするためには、この同期時間の値が少ないほど望ましい。
[上りバースト信号の構成の例]
上りバースト信号の構成を10G−EPONを例として説明する(非特許文献1 Clause76を参照)。上りバースト信号は、Ton領域、SyncPattern領域、BurstDelimiter領域、Data領域、EndOfBurstDelimiter領域、Toff領域から構成される。 Ton領域は、レーザーがOFFの状態からONの状態に変化する領域である。SyncPattern領域は、あらかじめ決められたビットパターンが繰り返される領域である。SyncPattern領域は、バーストプリアンブル領域とも呼ばれる。このSyncPatttern領域の信号を受信中に、受信機の利得調整や閾値調整、クロックデータリカバリが実施される。BurstDelimiter領域は、あらかじめ決められたビットパターンが入る領域である。このBurstDelimiterを検出することで、OLTの受信部はデータ領域の開始位置を検出するのに利用される。Data領域は、MACフレームの繰り返しがFEC(Forward Error Correction)で符号化されたビットパターンが入る領域である。EndBurstDelimiter領域は、あらかじめ決められたビットパターンが入る領域である。このEndBurstDelimiterを検出することで、OLTの受信部はデータ領域の終了位置を検出することができる。Toff領域は、レーザーがONの状態からOFFの状態へ変化する領域である。
【0006】
[ONU毎のTon時間のばらつき]
また、バースト信号を送信するONUのレーザーの立ち上がり時間をTonと呼ぶ。10G−EPONの標準規格においては最大値512nsと規定されている(非特許文献1 Clause75を参照)。実際のONUにおいては、ベンダや製品毎に採用している送信機の部品が異なるため、Tonもベンダや製品毎に異なる可能性がある。そのため、OLTは0nsから512nsまでのTonのONUが混在した状況下においても、上りバースト信号を受信できることが望ましい。
【0007】
[利得選択型トランスインピーダンスの特徴]
広いダイナミックレンジおよび同期時間短縮を実現する技術として、利得選択型トランスインピーダンスアンプが知られている(例えば、特許文献1を参照。)この利得選択型トランスインピーダンスアンプは、受信した信号の強度と閾値の比較結果に応じて、利得切替を実施することで、広いダイナミックレンジと同期時間短縮を実現する。
【0008】
[雑音によるデータ部での利得切替の問題]
この利得選択型トランスインピーダンスアンプにおいては、雑音によってデータ部で利得切替が発生し、ビット誤り率(BER:Bit Error Ratio)が低下してしまう問題がある。これは、入力信号の強度が利得切替の閾値近傍にある場合に、データ部受信中に発生した雑音により、利得が切り替わり、その結果、切替直後のトランスインピーダンスの出力波形が歪み、BERが低下してしまう。
【0009】
[切替問題の解決技術]
この雑音によるデータ部での利得切替の問題を解決する技術として、利得切替を許容する期間をバーストプリアンブル受信中に制限する技術が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3)
[従来のバースト受信機の説明]
図4に特許文献2に記載の、従来のバースト受信機の構成を示す。従来のバースト受信機はフォトダイオード20,増幅回路321、322、利得切替回路311、312、バッファ回路371、372、データ検出部35、遅延回路36、利得切替コンパレータ38から構成される。フォトダイオード20に入力した光信号は、フォトダイオード20にて電流信号Iinに変換される。トランスインピーダンスアンプ300に入力した電流信号Iinは増幅回路321にて電圧信号に変換・増幅され、バッファ回路371、372にて増幅された後に出力される。また、バッファ回路371の出力はデータ検出部35および利得切替コンパレータ38に入力される。データ検出部35は、入力された電圧が設定された閾値Vth2を上回った場合にデータ検出信号DETを出力する。データ検出信号DETは遅延回路に入力され、設定された時間Tdだけ遅延した信号が利得固定信号HOLDとして出力される。利得切替コンパレータ38は、入力された電圧と閾値Vth1を比較して利得切替信号SELを出力する。なお、利得固定信号HOLDが無効である場合には利得切替を実施し、HOLDが有効である場合に利得を固定し、利得切替は実施しない。
【0010】
本構成のバースト受信機においては、データ検出してから遅延回路にて設定された時間だけ利得切替をおこなう。遅延回路の時間を調整して、バースト信号のバーストプリアンブル領域でのみ利得切替が起きるようにすることで、データ領域での利得切替を防ぎ、BERの劣化を防ぐことができる。
【0011】
【特許文献1】特許第3259707(特開2000−252774)
【特許文献2】特開2006−311033
【特許文献3】WO05/013480(特願2005−507384 )
【非特許文献1】IEEE 802.3av Clause75
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、ONUの送信機のレーザー立上り時間TonがONU毎に異なる点が考慮されていない。バースト受信機が、各ONUからTonが異なる信号を受信した場合に、バースト受信機においてBERが劣化する現象が起きる可能性がある。この現象は、受信機の設定パラメータVth2およびTdを調整しても解消されない。Tonが異なる信号を受信した場合にBERが劣化する場合の動作例を図5、図6、図7、図8、図9、図10にて説明する。図5、図7、図8、図9は各条件において、ONU#1,ONU#2、ONU#3から順にバースト信号が入力されたときの図4の装置の各部のタイミングチャートである。
【0013】
ここで、図面で利用されるパラメータを説明する。
【0014】
Iinは、トランスインピーダンスアンプ300に入力される電流信号である。BURST_RESETは、トランスインピーダンスアンプ300に入力する制御信号であり、トランスインピーダンスアンプ300内の利得切替コンパレータ38に入力され、利得を初期値に戻すために利用される。Vcは、バッファ回路371の出力の電圧信号であり、利得切替コンパレータ38やデータ検出部35が参照する。Voutは、トランスインピーダンスアンプ300の出力信号である。具体的には、バッファ回路372の出力の電圧信号である。Vth2は、データ検出部35においてデータを検出するための閾値である。電圧信号Vcと比較する際に利用される。Vc>Vth2のときにデータを検出したと判定する。Vth1は、利得切替コンパレータ38において利得切替を発生させるか否かを判定するための閾値である。VcとVth1を比較し、Vc>Vth1の時に利得切替を発生させる。ZTSEL_ENABLEは、利得切替を有効にするか否かを制御するための信号である。遅延回路36の出力電圧であり、ZTSEL_ENABLEがHighレベルのときのみ、VcとVth1の比較結果を有効と判定する。Tdは、遅延回路36にて発生させる遅延時間である。遅延回路36では、ZTSEL_ENABLEを時間幅TdだけHighレベルにする。ZTSELは、トランスインピーダンスアンプ300の利得を切り替えるための制御信号である。利得を切り替える場合にHighレベルとなる。
【0015】
なお、OLTに入力されるバースト信号として、パワーが大きくTonが短い信号、パワーが大きくTonが長い信号、パワーが利得切替近傍でTonが短い信号が順に入るとする。以下4つの条件、条件1から条件4の場合で、いずれもBERが劣化する現象を説明する。
[条件1]
Vth2がVth1に比べて小さく、かつ、Tdが最大のTonより短い条件(条件1)の動作を図5、図6を用いて説明する。
【0016】
1番目のバースト信号受信時には、時刻t2でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t3でVcがVth1を上回り利得が切り替わり、時刻t4で利得切替許容期間が終了する。そのため、1番目のバースト信号受信時には、適切な利得が選択され、BERは劣化しない。
【0017】
しかしながら、2番目のバースト信号受信時には、時刻t6でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t7で利得切替許容期間が終了する。その後、時刻t8でVcがVth2を上回っている。そのため、入力するパワーが大きいにもかかわらず、利得切替が発生せず、その結果BERが劣化してしまう。
【0018】
この場合のBER曲線を図6にて説明する。BER曲線は、トランスインピーダンスアンプ300に入力されるバースト電流信号の強度に対するBERの変化を示している。なお、バースト電流信号の強度は、バーストにおいて強度が安定したときの値を表す。
破線はトランスインピーダンスアンプ300の利得が大きい値ZT_Hであるときの電流信号の強度に対するBERの曲線を示す。また、点線はトランスインピーダンスアンプ300の利得が小さい値ZT_Lであるときの電流信号の強度に対するBERの曲線を示す。Ith1はZTがZT_HからZT_Lに切り替わるときの電流値である。実線は、入力電流に応じてZTが切り替わる場合の、電流信号の強度に対するBERの曲線をあらわす。実際にバースト信号を入力した場合のBER曲線は実線で示したBER曲線となる。
【0019】
TdがTonより短い場合には、本来切り替わる入力電流の強度Ith1より大きいIth1_alphaにて利得が切り替わる。そのため、図6に示すように、中間の入力電流の強度Ith1_alpha近傍でBERが劣化してしまう。
【0020】
[条件2]
Vth2がVth1に比べて小さく、かつ、Tdが最大のTonより長い条件(条件2)の動作を図7、図10を用いて説明する。
【0021】
2番目のバースト信号受信時には、時刻t6でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t7でVcがVth1を上回るため利得が切り替わり、時刻t8で利得切替許容期間が終了する。そのため、2番目のバースト信号受信時には、適切な利得が選択され、BERは劣化しない。
【0022】
しかしながら、3番目のバースト信号受信時には、時刻t11で雑音により利得切替が発生し、時刻t12で利得切替許容期間が終了する。そのため、データ部で利得切替が発生し、その結果BERが劣化してしまう。
【0023】
この場合のBER曲線を図10にて説明する。TdがTonより長い場合には、入力電流の強度Ith1近傍の信号を受信中に雑音により、データ部で利得切替が発生してしまう。そのため、中間の入力電流の強度Ith1近傍でBERが劣化してしまう。
【0024】
[条件3]
Vth2がVth1に近く、かつ、Tdが最大のTonより短い条件(条件3)の動作を図8、図10を用いて説明する。
【0025】
2番目のバースト信号受信時には、時刻t6でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t7で、VcがVth2を上回るため利得が切り替わり、時刻t8で利得切替許容期間が終了する。そのため、2番目のバースト信号受信時には、適切な利得が選択され、BERは劣化しない。
【0026】
しかしながら、3番目のバースト信号受信時には、時刻t10でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t11で雑音により利得切替が発生し、時刻t12で利得切替許容期間が終了する。そのため、データ部で利得切替が発生し、その結果BERが劣化してしまう。
そのため、この場合のBER曲線は条件2と同様に、図10に示すBER曲線となる。
【0027】
[条件4]
Vth2がVth1に近く、かつ、Tdが最大のTonより長い条件(条件4)の動作を図9、図10を用いて説明する。
2番目のバースト信号受信時には、時刻t6でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t7で利得が切り替わり、時刻t8で利得切替許容期間が終了する。そのため、2番目のバースト信号受信時には、適切な利得が選択され、BERは劣化しない。
【0028】
しかしながら、3番目のバースト信号受信時には、時刻t10でVcがVth2を上回り利得切替許容期間を開始し、時刻t11で雑音により利得切替が発生し、時刻t12で利得切替許容期間が終了する。そのため、データ部で利得切替が発生し、その結果BERが劣化してしまう。
そのため、この場合のBER曲線は条件2、条件3と同様に、図10に示すBER曲線となる。
【0029】
従って、特許文献2に記載の技術では,異なるTon時間のONUが存在する場合には、受信機のパラメータ(Vth1,Vth2,Td)を調整しても、ONU毎に適切な利得許容期間を設定することができず、その結果、利得切替が発生する近傍の中間パワーでのBERが劣化してしまう。
【0030】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、異なるTon時間のONUが存在する場合に、適切な利得許容期間を設定し、BERの劣化を防ぐことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
OLTは、バースト信号毎にトランスインピーダンスアンプの利得切替許容期間を設定し、最適な利得切替許容期間となるよう制御する。具体的には、ONU登録時にONUから通知されたTonとONU識別子の対応を保持し、受信するバースト信号毎にTon時間に基づいて適切な切替許可時間Tselを決定し、トランスインピーダンスアンプの利得切替を許容する期間を設定する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、異なるTon時間のONUが存在する場合においても、トランスインピーダンスアンプの利得切替点近傍でのBERの劣化を防ぐことが可能である。
【0033】
また、利得切替型トランスインピーダンスアンプにおいては、どの利得を設定しても一定以下のBERを達成できる重複領域を一般的に用意している。本発明によれば、重複領域を縮小して動作が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することが可能である。
【0034】
また、Ton時間が異なるONUが存在する場合に、最大のTonに合わせてTdやバーストプリアンブルの長さSynctimeを大きくする必要がない。そのため、TonがONU毎に変わる場合においても短い同期時間をそのまま維持することができ、上りの帯域利用効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一般的なPONシステムの構成
【図2】一般的なOLTの構成
【図3】一般的なONU登録でのシーケンス
【図4】従来のバースト受信機の構成
【図5】従来のバースト受信機におけるタイミングチャート 条件1(Vth2:小,Td:小)
【図6】従来のバースト受信機におけるBER曲線の例(条件1)
【図7】従来のバースト受信機におけるタイミングチャート 条件2(VTh2:小,Td:大)
【図8】従来のバースト受信機におけるタイミングチャート 条件3(Vth2:大,Td:小)
【図9】従来のバースト受信機におけるタイミングチャート 条件4(Vth2:大,Td:大)
【図10】従来のバースト受信機におけるBER曲線の例(条件2、3、4)
【図11】本発明の第1の実施形態におけるバースト受信機の構成
【図12】利得切替レベル検出部、データ検出部の動作例
【図13】本発明の第1の実施形態における論理回路の構成
【図14】本発明の第1の実施形態における利得切替許容時間の管理テーブルの例
【図15】本発明の第1の実施形態における論理回路の動作を表すフローチャート
【図16】本発明の第1の実施形態のおけるOLTとONUの動作を表すシーケンス図
【図17】本発明の第1の実施形態におけるタイミングチャート
【図18】本発明の第2の実施形態におけるバースト受信機の構成
【図19】本発明の第3の実施形態におけるバースト受信機の構成
【図20】本発明の第3の実施形態におけるタイミングチャート
【図21】本発明の第4の実施形態におけるバースト受信機の構成
【図22】本発明の第4の実施形態におけるタイミングチャート
【図23】本発明の第5の実施形態におけるバースト受信機の構成
【図24】本発明の第5の実施形態における論理回路の構成
【図25】本発明の第5の実施形態におけるタイミングチャート
【図26】本発明の第6の実施形態における利得切替許容時間の管理テーブルの例
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付与されている。
【0037】
[第1の実施形態]
[PONシステムの構成]
図1にPONを利用した光アクセス網の構成例を示す。光アクセス網は、OLT1、光スプリッタ3、及び複数のONU2(2−1〜2−n)を備える。OLT1は幹線の光ファイバ4−0を介して光スプリッタ3と接続される。ONU2(2−1〜2−n)は、各々、支線の光ファイバ4(4−1〜4−n)を介して光スプリッタ3に接続される。ONU2(2−1〜2−n)からOLT1への上り伝送に関して説明する。ONU2が送出した光信号は光スプリッタ3にて合波される。合波された光信号はOLT1に入力する。ONU2とOLT1間の距離は、ONU毎に異なる。また,距離が増大するにつれて光信号が減衰するため、OLT1に入力される光信号は強度が変動するバースト信号となる。
【0038】
[OLTの構成]
図2にOLT1装置の構成例を示す。OLT1は、WDM10、フォトダイオード20、トランスインピーダンスアンプ30、リミットアンプ40、レーザーダイオード50,ドライバ回路60、SerDes70、論理回路80、SNI90から構成される。
【0039】
WDM10は上り光信号(波長λ1)と下り光信号(波長λ2)を合波・分波する。WDM10は幹線の光ファイバ4−0より入力された上り光信号をフォトダイオード20に出力する。また、WDM10は、レーザーダイオード50より入力された下り光信号を幹線の光ファイバ4−0へ出力する。フォトダイオード20は、WDM10より入力された上り光信号を電流信号に変換し、電流信号をトランスインピーダンスアンプ30へ出力する。トランスインピーダンスアンプ30は、フォトダイオード20より入力された電流信号を電圧信号に変換し、電圧信号を増幅し、リミットアンプ40へ出力する。リミットアンプ40は、トランスインピーダンスアンプ30より入力された電圧信号を一定の振幅まで増幅したシリアル信号をSerDes70へ出力する。SerDes70はリミットアンプ40から入力された電圧信号から、クロックを抽出し、抽出したクロックで電圧信号をリタイミングして、デジタル信号に変換する。デジタル信号に変換する際に、シリアル信号をパラレル信号に変換する。変換したパラレル信号を論理回路80に出力する。また、SerDes70は論理回路から受信したパラレル信号をシリアル信号に変換し、ドライバ回路60へ出力する。ドライバ回路60は、SerDes70から入力されたシリアルの電圧信号を電流信号に変換して、レーザダイオード50を駆動する。レーザーダイオード50は、ドライバー回路60から入力された電流信号を光信号に変換して、WDM10に出力する。
【0040】
論理回路80は、SerDes70から入力されたデジタル信号に対して、復号化、フレーム解析、上りユーザーデータ信号と上り制御信号の振り分け、上り制御信号の解析などを実施する。上りユーザーデータ信号を、SNI90に出力する。また、論理回路80は、SNI90から入力された下りユーザーデータ信号と、論理回路内で生成した下り制御信号を多重したデジタルパラレル信号をSerDes70へ出力する。
【0041】
[ONU登録のシーケンス]
図3にONU登録のシーケンスを示す。10G−EPONではディスカバリプロセスと呼ばれており、新しくONUを接続する場合などに適用される。このディスカバリプロセスでは、ONU−OLT間のラウンドトリップタイムの測定,接続したONUに関する情報収集が行われる。
【0042】
OLT1は、DiscoveryGATEを全ONUに送信する(SIG100)。未登録のONUはDiscoveryGATEを受信すると、ランダムな時間Random delayだけ待ってから、REGISTER_REQをOLTに送信する(SIG200)。ランダムな時間を待つのは、複数のONUが応答した場合に、上り光信号の衝突を防ぐためである。また、OLTはDiscoveryGATEを送信してから一定期間DiscoveryWindowは、他の登録済みのONUにはタイムスロットを割りあてないため、未登録ONUのみがOLTにデータを送信できる。OLTはREGISTER_REQを受信すると、REGISTERを全ONUに送信する(SIG300)。その後、OLTはGATEを対応するONUに送信する(SIG400)。ONUはGATEを受信すると、REGISTER_ACKをOLTに送信する(SIG500)。 なお、メッセージREGISTER_REQには、ONUのTon時間、Toff時間の情報が含まれており、OLTはREGISTER_REQ受信時に各ONUのTon時間、Toff時間を知ることができる。
【0043】
[第1の実施形態におけるバースト受信機の構成]
図11に本発明の第1の実施形態におけるバースト受信機の構成を示す。
【0044】
本発明のバースト受信機は、フォトダイオード20,トランスインピーダンスアンプ301,リミットアンプ40,SerDes70,論理回路81から構成される。論理回路81とトランスインピーダンスアンプ301間には制御線で接続され、複数の制御信号BURST_RESET,ZTSEL_ENABLE,DATA_DETECTがやり取りされる。
【0045】
フォトダイオード20に入力された光信号は電流信号Iinに変換され、増幅回路32に入力される。
【0046】
増幅回路32は、入力された電流信号Iinを電圧信号に利得切替回路31で制御された利得で変換・増幅する。増幅回路32で増幅された電圧信号はVoutとしてリミットアンプ40に出力される。なお、増幅回路32の後段にバッファ回路を設けてもよい。また、増幅回路32の出力Vcはデータ検出部35、利得切替レベル検出部33に入力される。
【0047】
利得切替回路31は、利得切替制御部343から出力された制御信号ZTSELに基づいて利得を切り替える。例えば、ZTSEL=Highレベルである場合には、利得をZt_H、ZTSEL=Lowレベルである場合には、利得をZt_Lに設定する。
【0048】
リミットアンプ40は、入力された電圧Voutを一定の振幅まで増幅して、SerDes70に出力する。
【0049】
SerDes70は、入力されたシリアル電気信号から、クロックを抽出し、データをリタイミングする。その後、シリアル信号をパラレル信号に変換して、論理回路81に出力する。
【0050】
論理回路81は、各ONUに割り当てる上り帯域を制御し、上り送信のタイミングを制御している。上り送信のタイミング制御については、後述する。
【0051】
データ検出部35は、あらかじめ設定された閾値電圧Vth2と入力電圧Vcのレベルを比較した結果に基づいて、DATA_DETECT信号を出力する。データ検出部35の動作例を図12に示す。Vc>Vth2になるとDATA_DETECT=Highレベル、Vc<Vth2になるとDATA_DETECT=Lowレベルを出力する(図12の最下段参照)。また、データ検出部35の出力DATA_DETECTは論理回路81にも出力される。
【0052】
利得切替レベル検出部33は、あらかじめ設定された閾値電圧Vth1と入力電圧Vcのレベルを比較した結果に基づいて、ZTSEL_DETECT信号を出力する。利得切替レベル検出部33の動作例を図12に示す。Vc>Vth1になるとZTSEL_DETECT=Highレベル、Vc<Vth1になるとZTSEL_DETECT=Lowレベルを出力する。
【0053】
利得切替制御部343は、入力される制御信号BURST_RESET,ZTSEL_ENABLE,DATA_DETECT,ZTSEL_DETECTに基づいて、制御信号ZTSELを出力する。
【0054】
利得切替制御部343の動作を以下に説明する。利得切替制御部343は、BURST_RESETの立ち上がりを検出すると、ZTSEL=Highを出力し、増幅回路32の利得をZt_Hに設定する。また、利得切替動作は、DATA_DETECT=Highを検出してからZTSEL_ENABLE=Lowを検出するまでの期間のみ許可し、それ以外の期間は利得を固定する、すなわちZTSELの出力レベルを固定する。
また、利得切替自体は、ZTSEL_DETECTに基づいておこなう。ZTSEL_DETECT=HighのときはZTSEL=Highとし利得をZt_Hにする。ZTSEL_DETECT=LowのときはZTSEL=Lowとし、利得をZt_Lとする。
【0055】
以上の説明においては、利得切替制御部343はZTSEL_ENABLE信号がHighのときにZTSEL_DETECTのレベルに基づいてZTSEL信号を決定していた。ZTSEL_ENABLEがHighである期間に入力パワーが利得切替近傍で変動した場合、ZTSEL信号がHighとLowで変動するため、利得が変動してしまい受信動作が不安定になる可能性がある。そのため、ZTSEL信号が一度LowになるとLowを維持するような回路を利得切替制御部343に追加してもよい。
【0056】
[第1の実施形態における論理回路の構成]
図13に本発明の第1の実施形態における論理回路の構成を示す。
本発明の第1の実施形態における論理回路81は、上りフレーム受信部801、下りフレーム送信部802、MPCP制御部803、バースト受信機制御部810から構成される。
【0057】
上りフレーム受信部801は、SerDesから入力されたデジタル信号から、復号化、フレーム解析、制御信号とユーザー信号の振り分けなどを実施する。制御信号はMPCP制御部803に入力し、ユーザー信号はNNIに入力する。
【0058】
下りフレーム送信部802は、MPCP制御部803から受信した制御信号、NNIから受信したユーザー信号を多重して、SerDesに入力する。
【0059】
バースト受信機制御部810は、MPCP制御部803と信号をやり取りし、また、バースト受信機から制御信号を受信して、バースト受信機の制御を決定し、受信機制御用の制御信号を生成する。バースト受信機制御部810は、制御信号生成部811、ONU−ID、Ton対応記憶部812、Tsel算出部813から構成される。
【0060】
制御信号生成部811は、バースト受信機から入力されたDATA_DETECT信号、Tsel算出部813から入力されたTsel信号、MPCPから入力されたStartTime信号に基づいて、バースト受信機制御用の制御信号BURST_RESET,ZTSEL_ENABLEを生成する。
【0061】
ONU−ID、Ton対応記憶部812は、MPCP制御部803から入力されたONU−IDとTonの関係を記憶する。また、Tsel算出部813からONU−IDを入力すると対応するTonを出力する。
【0062】
Tsel算出部813は、MPCP制御部803からONU−IDが入力されると、ONU−IDを用いて、ONU−ID、Ton対応記憶部812からTonを取得する。Tsel算出部813は、取得したTonに基づいて、あらかじめ設定した関数によりTselを決定して、制御信号生成部に決定したTselを入力する。Tselを算出する関数については後述する。
【0063】
[論理回路が備える利得切替許容時間の管理テーブル]
論理回路81は、ONUの識別子であるONUIDとONUのTon時間の対応を保持する。さらに、利得切替許容時間は関数F1により、Tsel_n = F1(Ton_n)の対応を管理する。なお、OLTにて未登録のONUに対してはONU−ID=0とする。
【0064】
[Tsel算出方法]
Tsel算出部813は、Tonを変数とする関数F1を用いて利得切替許容時間を算出する。例えば、関数F1(Ton)=Ton+α−βを用いる。
【0065】
αは、Tonがほぼゼロである場合にトランスインピーダンスアンプ301の利得制御、リミットアンプ40の閾値制御が完了する時間であり、実際に測定が可能な値である。βは、論理回路81において、DATA_DETECT信号を検出してから、ZTSEL_ENABLE信号を出力するまでの処理遅延時間に基づいて算出する。この処理遅延時間は、論理回路の設計時に推定が可能な値であり、推定値を設定する。また、あらかじめ測定して値を設定してもよい。また、未登録ONUに対しては、Tonが不明であるため、システムで想定される最大のTon時間であるTon_maxに基づいて算出する。例えば、標準で規定する最大Ton時間を利用する。
【0066】
[上り送信のタイミング制御]
OLTは、ONUに送信するGATEメッセージを用いて上り通信を制御している。GATEメッセージには、上り送信を開始する時刻GrantStartTimeと上り送信許可時間GrantLengthの情報を含み、ONUはこの情報に基づいて上りの送信を実施する。そのため、OLTは各ONUから受信するタイミングStartTimeをあらかじめ知ることができる。
【0067】
[第1の実施形態における論理回路の動作]
図15に本発明の第1の実施形態における論理回路の動作を表すフローチャートを示す。
【0068】
S100にて論理回路を初期化し、処理を開始する。
【0069】
S101にてDiscoveryフェーズか通常転送フェーズかを判定する。例えば、Discoveryフェーズおよび通常転送フェーズ1回あたりの時間が1msとし、Discoveryフェーズ1回実行、通常転送フェーズを999回実行、Discoveryフェーズ1回実行、通常転送フェーズを999回実行、・・・を繰り返す。通常転送フェーズを実行した回数を数えるカウンタを設けることで、Discoveryフェーズか通常転送フェーズかを判定することができる。S101において、Discoveryフェーズと判定された場合はS201に、それ以外の場合はS301に移る。
【0070】
まず、Discoveryフェーズと判定された場合の動作を説明する。
S201において、Discovery処理を開始し、S202に移る。
S202において、DiscoveryGATEを全ONUに送信し、S203に移る。
S203において、DiscoceryGATEに応答するONUからのバースト信号受信に備えて、論理回路は未登録ONU用Tselを設定し、S204に移る。
S204において、一定時間の間にREGISTER_REQを受信したか否かを判定する。
【0071】
受信した場合はS205に、受信しなかった場合はS209に移る。
S205において、REGISTERを全ONUに送信し、S206に移る。
S206において、REGISTER_REQを送信したONUに対して、GATEを送信する。GATE送信終了後に、S207に移る。
S207において、REGISTER_ACKを受信し、メッセージ内容からACKかNACKを判定する。ACKである場合はS208に、それ以外の場合はS209に移る。
S208において、S204でREGISTER_REQに含まれるTon時間とREGISTER_ACKに含まれるONU−IDの対応を取得し、ONU−ID、Ton対応記憶部に対応を保持する。
【0072】
S209において、Discovery処理を終了し、S101に戻る。
【0073】
次に、Discoveryフェーズと判定されなかった場合の動作を説明する。
S301において、通常転送処理を開始し、S302に移る。
S302において、登録済みのONUに対してGATEを送信し、S303に移る。
S303において、GATEによって割り当てたStartTimeおよびLengthから各ONUからバースト信号を受信する予定期間、ONU−IDの対応を決定し、受信機制御回路に入力する。
S304において、受信機制御回路により、ONU−ID毎に設定されたTselに基づいてバースト制御信号を生成し、受信機にてdataまたはReportを受信する。
S305において、通常転送処理を終了し、S101に戻る。
【0074】
[第1の実施形態におけるOLTとONUの動作]
本発明の第1の実施形態における、OLTとONUの動作を表すシーケンス図を図16に示す。なお、開始時点においては、ONU#1は未登録、ONU#2は登録済みであるとする。
【0075】
OLTはDiscovery処理を開始し、DiscoveryGATE(SIG01)を全ONUに送信する。その後、OLTは、未登録ONUからの信号受信に備えて、未登録ONUのTselを設定する。未登録のONU#1は、DiscoveryGATE受信後に、ランダム時間だけ待った後に、REGISTER_REQ(SIG02)をOLTに送信する。
【0076】
OLTは、DiscoveryWindow終了後に、REGISTER(SIG03)を全ONUに送信する。さらに、OLTはREGISTER_REQ(SIG02)を送信したONUに対してGATE(SIG04)を送信する。
ONU#1は、REGISTER_ACK(SIG05)をOLTに送信する。
OLTは、REGISTER_ACKを受信したONUに関して、ONU−IDとTon時間の対応を記憶する。そして、Discovery処理を終了する。
【0077】
次に、OLTは通常転送処理を開始し、登録済みのONUに対して、それぞれGATE(SIG06およびSIG07)を送信し、ONUに上り送信グラントを与える。さらに、ONUからの受信に備えて各ONU受信用のTselを設定する。OLTは、まずONU#1のTselを設定する。
【0078】
ONUにおいては、上り送信グラントGATEによって許可された期間、上り信号を送信する。ONU#1が許可された期間にdata(SIG08)およびREPORT(SIG09)を送信する。OLTは、受信した信号に対して、Tsel_1で決まる受信部の制御を実施する。ONU#2が許可された期間にdata(SIG10)およびREPORT(SIG11)を送信する。OLTは、受信した信号に対して、Tsel_2で決まる受信部の制御を実施する。
【0079】
[第1の実施形態における受信機の動作例]
本発明の第1の実施形態における動作を表すタイミングチャートを図17に示す。Iin、BURST_RESET、Vc,Vout、ZTSEL_ENABLE,ZTSELの動作例を示す。また、ONU#1,ONU#2、ONU#3から順にバースト信号が入力されるとする。
【0080】
初期状態においては、Iinに信号が入力されておらず、また、他の制御信号はすべてLowであるとする。
【0081】
時刻t1にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t2にVcがVth2を上回り、ZTSEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t3にVcがVth1を上回り、ZTSEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t4=t2+Tsel_1に、利得切替許容期間を終了し、このときのZTSELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_1はSyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了するように調整されている。
【0082】
時刻t5にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t6にVcがVth2を上回り、ZTSEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t7にVcがVth1を上回り、ZTSEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t8=t6+Tsel_2に、利得切替許容期間を終了し、このときのZTSELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_2はTon_2に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。Tonが長いバーストに対しても適切な利得切替許容期間が設定されているため、適切な利得が選択され、BERの劣化を防ぐことができる。
【0083】
時刻t9にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t10にVcがVth2を上回り、ZTSEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t11=t10+Tsel_3に、利得切替許容期間を終了し、このときのZT_SELの出力Lowを固定し、利得をZT_Hのままとする。なお、Tsel_3はTon_3に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。時刻t12において、データ受信中にIinが変化し、VcがVth1を上回る。このとき、ZTSEL_ENABLE=Lowであり利得切替が許容されないため、ノイズによる利得切替が発生しない。そのため、利得切替に伴う波形劣化を防止でき、BERの劣化を防止することができる。
【0084】
以上により、第1の実施形態によれば、ONU毎にTon時間が異なる場合においても、BERの劣化を防止することが可能である。
【0085】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。第2の実施形態においては,データ検出をトランスインピーダンスアンプではなく、データ検出と同等の機能を備えたリミットアンプ41にて実施する。
【0086】
[第2の実施形態でのバースト受信機の構成]
第2の実施形態におけるバースト受信機の構成を図18を用いて説明する。
【0087】
第1の実施形態との差分は、トランスインピーダンスアンプ302においては、データ検出部がなく、リミットアンプ41がデータ検出信号DATA_DETECT_LAを出力する点である。論理回路は、第1の実施形態と同じで構わない。なお、リミットアンプにおいては、制御信号としてLOS(Loss of Signal)を出力できるものが存在する。データ検出信号はLOS信号、または、LOS信号を反転した信号として利用することができる。
【0088】
[第2の実施形態での受信機の動作例]
第2の実施形態におけるバースト受信機の動作は、第1の実施形態とほとんど同じである。第1の実施形態においては、VcがVth2を上回り、DATA_DETECT=Highになると、ZTSEL_ENABLE=Highにする。第2の実施形態においては、LAがDATA_DETECT_LA=Highになると、ZTSEL_ENABLE=Highにする。また、利得切替許容の開始は、第1の実施形態においては、DATA_DETECTで実施していたが、第2の実施形態においては、ZTSEL_ENABLEの立ち上がりで実施する。
【0089】
[第2の実施形態での効果]
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様にONU毎にTon時間が異なる場合においても、BERの劣化を防止することが可能である。また、トランスインピーダンスアンプの制御信号を第1の実施形態に比べて減らし、トランスインピーダンスアンプにデータ検出部が不要となる。そのため、トランスインピーダンスアンプの回路を単純にすることができる。
【0090】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0091】
[第3の実施形態でのバースト受信機の構成]
第3の実施形態におけるバースト受信機の構成を図19を用いて説明する。
第1の実施形態との差分は、トランスインピーダンスアンプ303においては、データ検出部がない点、論理回路が、DATA_DETECT用の制御入力を持たない点である。
第3の実施形態においては、利得切替許容期間の開始は、BURST_RESETと同時に立ち上がるZTSEL_ENABLEの立ち上がり検出時に行う。また、利得切替許容期間の終了は、ZTSEL_ENABLEの立ち下がり検出時に行う。第3の実施形態と第1の実施形態においては、利得切替許容期間の開始のタイミングが異なるため、Tsel算出関数は、第1の実施形態と異なって構わない。
【0092】
[第3の実施形態での動作例]
本発明の第3の実施形態における動作を表すタイミングチャートを図20に示す。Iin、BURST_RESET、Vc,Vout、ZTSEL_ENABLE,ZTSELの動作例を示す。また、ONU#1,ONU#2、ONU#3から順にバースト信号が入力されるとする。
【0093】
初期状態においては、Iinに信号が入力されておらず、また、他の制御信号はすべてLowであるとする。
【0094】
時刻t1にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。また、ZTSEL_ENABLE=Highにし、利得切替許容期間を開始する。時刻t2にVcがVth1を上回り、ZTSEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t3=t2+Tsel_1に、利得切替許容期間を終了し、このときのZTSELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_1はSyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了するように調整されている。
【0095】
時刻t4にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t5にVcがVth1を上回り、ZT_SEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t6=t4+Tsel_2に、利得切替許容期間を終了し、このときのZTSELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_2はTon_2に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。Tonが長いバーストに対しても適切な利得切替許容期間が設定されているため、適切な利得が選択され、BERの劣化を防ぐことができる。
【0096】
時刻t7にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t8=t7+Tsel_3に、利得切替許容期間を終了し、このときのZTSELの出力Lowを固定し、利得をZT_Hのままとする。なお、Tsel_3はTon_3に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。時刻t9において、データ受信中にIinが変化し、VcがVth1を上回る。このとき、ZTSEL_ENABLE=Lowであり利得切替が許容されないため、ノイズによる利得切替が発生しない。そのため、利得切替に伴う波形劣化を防止でき、BERの劣化を防止することができる。
【0097】
[第3の実施形態での効果]
以上により、第3の実施形態においても、ONU毎にTon時間が異なる場合においても、BERの劣化を防止することが可能である。トランスインピーダンスアンプの制御信号を第1の実施形態に比べて減らし、トランスインピーダンスアンプにデータ検出部が不要となる。また、論理回路にDATA_DETECT用の入力が不要になるため、論理回路を単純にすることができる。従って、トランスインピーダンスアンプおよび論理回路をより単純にすることが可能である。
【0098】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0099】
第4の実施形態においては,BURST_RESET信号とZTSEL_ENABLE信号の機能を共通の信号線BURST_RESET/ZTSEL_ENABLE信号で実現する。
【0100】
[第4の実施形態でのバースト受信機の構成]
第4の実施形態におけるバースト受信機の構成を図21を用いて説明する。
第1の実施形態との差分は、論理回路からトランスインピーダンスアンプへの制御信号が1つである点である。
第4の実施形態においては、利得切替許容期間の開始は、DATA_DETECTの立ち上がり時に実施し、共通信号の立下り時に利得切替許容期間を終了する。また、共通信号の立ち上がり時にトランスインピーダンスアンプをリセットする。
【0101】
[第4の実施形態での動作例]
本発明の第4の実施形態における動作を表すタイミングチャートを図22に示す。Iin、BURST_RESET、Vc,Vout、ZTSEL_ENABLE,ZTSELの動作例を示す。また、ONU#1,ONU#2、ONU#3から順にバースト信号が入力されるとする。
【0102】
初期状態においては、Iinに信号が入力されておらず、また、他の制御信号はすべてLowであるとする。
【0103】
時刻t1にBURST_RESET/ZTSEL_ENABLEが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t2にVcがVth2を上回り、DATA_DETECT=Highとし、論理回路は利得切替許容期間の時間計測を開始する。時刻t3にVcがVth1を上回り、ZT_SEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t4=t2+Tsel_1に、論理回路はBURST_RESET/ZTSEL_ENABLE=Lowにして利得切替許容期間を終了し、このときのZT_SELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_1はSyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了するように調整されている。
【0104】
時刻t5にBURST_RESET/ZTSEL_ENABLEが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t6にVcがVth2を上回り、DATA_DETECT=Highとし、論理回路は利得切替許容期間の時間計測を開始する。時刻t7にVcがVth1を上回り、ZT_SEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t8=t6+Tsel_2に、利得切替許容期間を終了し、このときのZT_SELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。なお、Tsel_2はTon_2に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。Tonが長いバーストに対しても適切な利得切替許容期間が設定されているため、適切な利得が選択され、BERの劣化を防ぐことができる。
【0105】
時刻t9にBURST_RESET/ZTSEL_ENABLEが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t10にVcがVth2を上回り、DATA_DETECT=Highとし、論理回路は利得切替許容期間の時間計測を開始する。時刻t11=t10+Tsel_3に、利得切替許容期間を終了し、このときのZT_SELの出力Lowを固定し、利得をZT_Hのままとする。なお、Tsel_3はTon_3に基づいて設定されているため、SyncPattern受信中に利得切替許容期間を終了する。時刻t12において、データ受信中にIinが変化し、VcがVth1を上回る。このとき、ZTSEL_ENABLE=Lowであり利得切替が許容されないため、ノイズによる利得切替が発生しない。そのため、利得切替に伴う波形劣化を防止でき、BERの劣化を防止することができる。
【0106】
以上により、第4の実施形態によれば、ONU毎にTon時間が異なる場合においても、BERの劣化を防止することが可能である。
【0107】
[第4の実施形態での効果]
第4の実施形態においては,BURST_RESET信号とZTSEL_ENABLE信号の機能を共通の信号線で実現できるため、トランスインピーダンスアンプと論理回路間の制御線の数を減らすことができ、回路を単純化することができる。
【0108】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。第5の実施形態においては,利得切替許容期間の終了を特定のパターン検出でおこなう。
【0109】
[第5の実施形態でのバースト受信機の構成]
第5の実施形態におけるバースト受信機の構成を図23を用いて説明する。
第1の実施形態との差分は、論理回路は、ONU識別子とTon時間および利得切替許容期間の対応を保持せず、利得切替許容期間の終了を特定のパターン検出でおこなう。
【0110】
論理回路84は、上り信号のビットパターンをあらかじめ設定されたパターンをと比較し、一定数以下の誤りビット数で一致した場合に検出することが可能な、パターン検出回路を備える。例えば、10G−EPONにおいては、SyncPatternやBurstDelimitterのパターン検出回路を設ける。
【0111】
[第5の実施形態における論理回路の構成]
図24に本発明の第5の実施形態における論理回路84の構成を示す。
本発明の第5の実施形態における論理回路84は、上りフレーム受信部801、下りフレーム送信部802、MPCP制御部804、バースト受信機制御部840から構成される。
【0112】
上りフレーム受信部801は、SerDesから入力されたデジタル信号から、復号化、フレーム解析、制御信号とユーザー信号の振り分けなどを実施する。制御信号はMPCP制御部804に入力し、ユーザー信号はNNIに入力する。
【0113】
下りフレーム送信部802は、MPCP制御部804から受信した制御信号、NNIから受信したユーザー信号を多重して、SerDesに入力する。
【0114】
バースト受信機制御部840は、MPCP制御部804と信号をやり取りし、また、バースト受信機から制御信号を受信して、バースト受信機の制御を決定し、受信機制御用の制御信号を生成する。バースト受信機制御部840は、制御信号生成部841、パターン検出部842から構成される。
【0115】
制御信号生成部841は、バースト受信機から入力されたDATA_DETECT信号、パターン検出部842から入力されたPAT_DETECT信号、MPCP制御部804から入力されたStartTime信号に基づいて、バースト受信機制御用の制御信号BURST_RESET,ZTSEL_ENABLEを生成する。具体的には、パターン検出部842は、SerDesから入力されたデジタル信号から、Ntotalビットからなる特定のパターンを検出する。具体的には、特定のビットパターンと受信ビットパターンを比較し、ビット不一致数Nerrorが一定数以下であれば、検出したと判定する。10G−EPONの場合においては、BurstDelimiterやSyncPatternと比較すればよい。また、10G−EPON用のOLTの論理回路においては、BurstDelimiter検出機能を備えているため、このBurstDelimiter検出機能をパターン検出部に代用することが可能である。なお、NtotalやNerrorはあらかじめ設定した値を用いる。
【0116】
[第5の実施形態での動作例]
本発明の第5の実施形態における動作を表すタイミングチャートを図25に示す。Iin、BURST_RESET、Vc,Vout、ZTSEL_ENABLE,ZTSELの動作例を示す。また、ONU#1,ONU#2、ONU#3から順にバースト信号が入力されるとする。
【0117】
初期状態においては、Iinに信号が入力されておらず、また、他の制御信号はすべてLowであるとする。
【0118】
時刻t1にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t2にVcがVth2を上回り、ZT_SEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t3にVcがVth1を上回り、ZT_SEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t4に、論理回路にてパターンを検出し、利得切替許容期間を終了する。このときのZT_SELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。
【0119】
時刻t5にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t6にVcがVth2を上回り、ZTSEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t7にVcがVth1を上回り、ZT_SEL=Highとなり、利得がZT_Lに変化する。時刻t8に、論理回路にてパターンを検出し、利得切替許容期間を終了する。このときのZT_SELの出力Highを固定し、利得をZT_Lにする。Tonが長いバーストに対しても適切な利得切替許容期間が設定されているため、適切な利得が選択され、BERの劣化を防ぐことができる。
【0120】
時刻t9にBURST_RESETが入力され、ZTSEL=Lowにし、利得をZT_Hにする。時刻t10にVcがVth2を上回り、ZTSEL_ENABLE=Highとし、利得切替許容期間を開始する。時刻t11に、論理回路にてパターンを検出し、利得切替許容期間を終了する。このときのZT_SELの出力Lowを固定し、利得をZT_Hのままとする。時刻t12において、データ受信中にIinが変化し、VcがVth1を上回る。このとき、ZTSEL_ENABLE=Lowであり利得切替が許容されないため、ノイズによる利得切替が発生しない。そのため、利得切替に伴う波形劣化を防止でき、BERの劣化を防止することができる。
【0121】
[第5の実施形態での効果]
第5の実施形態においては、ONU毎にTon時間の保持や、利得切替許容期間を算出する必要がなく、利得許容期間を設定することが可能である。
【0122】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。第6の実施形態においては,利得切替許容期間の長さをONUのTonおよびSyncTime(バーストプリアンブル長)に基づいて算出する。第6の実施形態における、ONU識別子と利得許容期間の管理テーブルを図26に示す。管理テーブルにおいては、各利得許容期間GainSelectTimeを関数F2(Ton,Tsync)により算出する。例えば、F2(Ton,Tsync)= Ton+Tsync−γとする。γはクロックリカバリに要する時間とし、ONUによらず一定の値とする。
【0123】
[第6の実施形態でのバースト受信機の構成]
バースト受信機の構成は、第1、2、3、4の実施形態と同じで構わない。
【0124】
[第6の実施形態での論理回路の構成]
ONU−ID、Ton対応記憶部において、ONU−IDとTonおよびSyncTimeの対応を保持する用に変更する。
【0125】
また、Tsel算出部において、TonおよびSyncTimeを用いて算出するように変更すればよい。
【0126】
[第6の実施形態での動作例]
受信機の動作は、Tselが異なる以外は、第1、2、3、4の実施形態と同じである。
【0127】
[第6の実施形態での効果]
ONU毎にSyncTimeが異なるシステムにおいても、最適な利得切替許容期間を設定することができる。
【0128】
[補足]
本説明においては、10GE−PON(IEEE802.3av)でのフレーム形式を用いて説明したが、E−PON(IEEE802.3ah)やG−PON(ITU−T G.984)でのフレーム形式でも同様に適用が可能である。
また、本発明においては、選択可能な利得が2種類であるとして説明したが、2種類より大きい場合においても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 光回線装置(OLT)
2−1〜2−n 光ネットワーク装置(ONU)
3 光スプリッタ
4−0〜4−n 光ファイバ
10 合波・分波器(WDM)
20 フォトダイオード(Photo Diode、PD)
30、300、301、302、303、304、305、306、307 トランスインピーダンスアンプ(TransImpedance Amplifier、TIA)
40、41 リミットアンプ(Limiting Amplifier、LA)
50 レーザーダイオード(Laser Diode、LD)
60 ドライバ回路(Driver)
70 SerDes(Serializer/Deserializer)
80、81、82、83、84 論理回路
90 SNI(Service Node Interface)
31、311、312 利得切替回路
32、321、322 増幅回路
33 利得切替レベル検出部
340 利得切替判断回路
341、342、343、344、345、346、347 利得切替制御部
35 データ検出部
36 遅延回路
371、372 バッファ回路
38 利得切替コンパレータ
801 上りフレーム受信部
802 下りフレーム送信部
803、804 MPCP制御部
810、840 バースト受信機制御部
811、841 制御信号生成部
812 ONU−ID、Ton対応記憶部
813 Tsel算出部
842 パターン検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利得切替が可能なトランスインピーダンスアンプと、
前記トランスインピーダンスアンプの出力レベルと第1の閾値とを比較して前記トランスインピーダンスアンプの利得切替をするレベルを検出する利得切替レベル検出部と、
前記利得切替制御部において前記トランスインピーダンスアンプが受信するバースト信号毎に利得切替を許容する期間を制御する、バースト受信制御部と、前記バースト受信制御部からの制御信号に基づいて、利得切替を許容するか否かを決定し、利得切替を許容された期間、前記利得切替レベル検出部の出力に基づいてトランスインピーダンスアンプの利得切替を実行する利得切替制御部と、を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置(OLT)であって、
前記バースト受信制御部は、
受信するバースト信号毎に、利得切替を許容する開始時刻と利得切替を許容する期間の長さとを決定し、
前記決定した利得切替を許容する開始時刻と利得切替を許容する期間の長さとに基づいて、前記利得切替制御部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置(OLT)であって、
前記バースト受信制御部は、
受信するバースト信号毎に、利得切替を許容する開始時刻と利得切替を許容する終了時刻とを決定し、
前記決定した利得切替を許容する開始時刻と利得切替を許容する終了時刻とに基づいて、前記利得切替制御部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の制御装置(OLT)であって、
前記トランスインピーダンスアンプの出力レベルと第2の閾値とを比較してバースト受信開始を検出するデータ検出部を備え、
前記バースト受信制御部は、前記データ検出部がバースト受信開始を検出した時刻を前記利得切替を許容する開始時刻とすることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の制御装置(OLT)であって、
前記トランスインピーダンスアンプの信号を増幅するリミットアンプを備え、
前記リミットアンプは、入力レベルまたは増幅した後のレベルと第3の閾値を比較してバースト受信開始を検出するデータ検出部を備え、
前記バースト受信制御部は、前記データ検出部がバースト受信開始を検出した時刻を前記利得切替を許容する開始時刻とすることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の制御装置(OLT)であって、
ONUが前記バースト信号を送信する時刻を指定し、前記指定したONU送信時刻に基づいて、バースト信号を受信開始する時刻を予測し、前記バースト信号を受信開始する時刻をバースト受信制御部に入力するMPCP制御部を備え、
前記バースト受信制御部は、前記MPCP制御部から入力された前記バースト信号を受信開始する時刻に基づいて前記利得切替を許容する開始時刻を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の制御装置(OLT)であって、
ONUから通知された各ONUのレーザ立ち上がり時間とONU識別子とを管理するMPCP制御部と、
各ONUのレーザ立ち上がり時間とONU識別子とを記憶する記憶部と、ONUから通知された前記各ONUのレーザ立ち上がり時間とONU識別子とをし、前記記憶部に書き込むMPCP制御部と、
前記記憶部から読み出した前記ONUのレーザ立ち上がり時間から、前記利得切替を許容する期間を算出し、前記算出した前記利得切替を許容する期間を前記バースト受信制御部に入力する、算出部と、を備え、
前記バースト受信制御部は、前記算出部から入力された利得切替を許容する期間を前記利得切替を許容する期間の長さとすることを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の制御装置(OLT)であって、
各ONUのレーザ立ち上がり時間とSyncTimeとONU識別子と、を記憶する記憶部と、
各ONUから通知されたONUのレーザ立ち上がり時間と、ONU識別子、ONUが送信するバーストプリアンブル長を管理し、ONUのレーザ立ち上がり時間とバーストプリアンブル長とONU識別子を前記記憶部に書き込むMPCP制御部と、
ONUのレーザ立ち上がり時間とバーストプリアンブル長とから利得切替を許容する期間を算出し、前記算出した利得切替を許容する期間を前記バースト受信制御部に入力する、算出部と、を備え、
前記バースト受信制御部は、前記算出部から入力された利得切替を許容する期間を前記利得切替を許容する期間の長さとすることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項3に記載の制御装置(OLT)であって、
前記トランスインピーダンスアンプの出力信号を増幅するリミットアンプと、
前記リミットアンプの出力信号からクロック抽出およびリタイミングを実施し、デジタル信号を出力するクロックデータリカバリ回路と、
前記クロックデータリカバリ回路のデジタル信号と、Nビットからなる特定のビットパターン列を比較し、不一致のビット数が一定数以下である場合にパターンを検出したと判定し、前記バースト受信制御部にパターン検出結果を入力する、パターン検出回路と、を備え、
前記バースト受信制御部は、前記パターン検出回路から入力されたパターン検出結果に基づいて、前記利得切替を許容する終了時刻を決定することを特徴とする制御装置。
【請求項10】
請求項2に記載の制御装置(OLT)であって、
各ONUのレーザ立ち上がり時間とONU識別子とを記憶する記憶部を備え、
前記バースト受信制御部は、ONUのレータ立ち上がり時間が前記記憶部に記憶されていないONUが送信したバースト信号に対しては、あらかじめ設定された利得切替許容期間の長さを用いて利得の切替制御をすることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
請求項7に記載の制御装置(OLT)であって、
前記記憶部は、未登録用のONU識別子とONUレーザ立ち上がり時間を保持し、
前記算出部は、前記記憶部にONUレーザ立ち上がり時間が保持されていないONUが送信したバースト信号に対しては、未登録用ONUのONUレーザ立ち上がり時間を用いて算出した利得切替許容期間をバースト受信制御部に入力し、
前記バースト受信制御部は、入力された利得切替許容期間をを用いて利得の切替制御をすることを特徴とする制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の制御装置(OLT)であって、
前記利得切替制御部は、リセット入力をもち、
前記バースト受信制御部は、前記利得切替制御部をリセットするためのリセット信号を出力し、バースト信号を受信する毎にリセットを出力することを特徴とする制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の制御装置(OLT)であって、
前記利得切替制御部は、
前記バースト受信制御部からのリセット信号を検出すると、前記トランスインピーダンスアンプの利得を第1の利得に設定する信号を出力し、
前記利得切替レベル検出部から前記利得切替許容期間に利得切替信号を受信すると、前記トランスインピーダンスアンプの利得を第1の利得よりも低い第2の利得に設定する信号を前記トランスインピーダンスアンプ出力し、
前記トランスインピーダンスアンプの利得を第2の利得に設定する信号を一旦出力すると、前記バースト受信制御部からのリセット信号を検出するまで、前記トランスインピーダンスアンプの利得を第2の利得に設定する信号を前記トランスインピーダンスアンプに出力する制御装置。
【請求項14】
制御装置(OLT)および端末装置(ONU)を含むネットワークシステムであって、
ONUは、ONU登録時にOLTへ送信機の立ち上がり時間を通知し、
前記制御装置(OLT)は、
利得切替が可能なトランスインピーダンスアンプと、
前記トランスインピーダンスアンプの利得切替を制御する利得切替制御部と、
前記トランスインピーダンスアンプの出力レベルと第1の閾値とを比較して利得切替をするレベルを検出する利得切替レベル検出部と、
前記利得切替制御部において利得切替を許容する期間を制御するバースト受信制御部と、
ONUの送信を制御するMPCP制御部と、備え、
ONU識別子と、前記ONUから通知された送信機の立ち上がり時間に基づいて決定した利得切替許容期間の長さとの対応を保持する記憶部と、
前記MPCP制御部から通知される次に受信するONU識別子に基づいて、利得切替許容期間の長さを決定する算出部と、を備え、
前記バースト受信制御部は、前記算出部で決定された利得切替許容期間の長さに基づいて、前記トランスインピーダンスの利得切替許容期間を制御することを特徴とするシステム。
【請求項15】
制御装置(OLT)および端末装置(ONU)から構成されるシステムであって、
ONUはONU登録時にOLTへ送信機の立ち上がり時間を通知し、
前記制御装置(OLT)は、
利得切替が可能なトランスインピーダンスアンプと、
前記トランスインピーダンスアンプの利得切替を制御する利得切替制御部と、
前記トランスインピーダンスアンプの出力レベルと第1の閾値とを比較して利得切替をするレベルを検出する利得切替レベル検出部と、
前記利得切替制御部において利得切替を許容する期間を制御するバースト受信制御部と
ONUの送信を制御するMPCP制御部と、
ONU識別子と、ONU送信時のバーストプリアンブル長と、前記ONUから通知される送信機の立ち上がり時間と前記バーストプリアンブル長と、に基づいて決定した利得切替許容期間の長さとの対応を保持する記憶部と、
前記MPCP制御部から通知される次に受信するONU識別子に基づいて利得切替許容期間の長さを決定する算出部と、を備え、
前記バースト受信制御部は、前記算出部で決定された利得切替許容期間の長さに基づいて、前記トランスインピーダンスの利得切替許容期間を制御することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−80377(P2012−80377A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224471(P2010−224471)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】