パターン検査方法及び半導体装置の製造方法
【課題】高精度のパターン検査を行うことが可能なパターン検査方法等を提供する。
【解決手段】披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程(S12)と、加工された設計データから披検査パターンの参照データを生成する工程(S14)と、実際に形成された披検査パターンのデータと参照データとを比較する工程と(S15)、を備える。
【解決手段】披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程(S12)と、加工された設計データから披検査パターンの参照データを生成する工程(S14)と、実際に形成された披検査パターンのデータと参照データとを比較する工程と(S15)、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクのパターン検査を行う場合、披検査パターンの画像のデータ(センサデータ)と設計データを展開することで得られた参照データとを比較し、両者の不一致箇所を欠陥として抽出している。
【0003】
ところが、半導体装置が微細化してくると、適正な画像が得られ難くなってくる。そのため、披検査パターンを撮像する際の照明の形状や偏光状態を特殊な状態に設定することで、適正な画像を取得することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、半導体装置がより微細化されてくると、照明の形状や偏光状態によっては、画像データと参照データとの間に大きな誤差が生じる場合がある。その結果、高精度のパターン検査ができなくなるといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−9339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高精度のパターン検査を行うことが可能なパターン検査方法等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点に係るパターン検査方法は、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程と、前記加工された設計データから前記披検査パターンの参照データを生成する工程と、実際に形成された前記披検査パターンのデータと前記参照データとを比較する工程と、を備える。
【0008】
本発明の第2の視点に係る半導体装置の製造方法は、上記パターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する工程と、前記リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板上に転写する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高精度のパターン検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るパターン検査装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】通常照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図3】小σ照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図4】輪帯照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図5】本発明の実施形態の第1の比較例の欠陥判定について示した図である。
【図6】本発明の実施形態の第2の比較例の欠陥判定について示した図である。
【図7】本発明の実施形態の欠陥判定について示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係るパターン検査方法の概略を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係り、リソグラフィ用マスク全面の概略を模式的に示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の概略を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るパターン検査装置の構成を模式的に示した図である。
【0013】
図1に示すように、光軸10に沿って、光源(例えば、アルゴンレーザ)12、絞り14、1/2波長板16、1/4波長板18、集光レンズ20、XYステージ22、対物レンズ24及び画像センサ26が配置されている。光源12、絞り14、1/2波長板16、1/4波長板18、集光レンズ20、対物レンズ24及び画像センサ26により、XYステージ22上に載置されたリソグラフィ用マスク(披検査基板)28上のパターン(披検査パターン)の画像を撮像する撮像部が構成される。
【0014】
XYステージ22にはステージ制御部30が接続されており、計算機32によってステージ制御部30を制御することで、XYステージ22はX方向及びY方向に移動可能である。XYステージ22を移動させることで、リソグラフィ用マスク28を所望の位置に移動させることができる。
【0015】
画像センサ26には、例えばCCDを1次元又は2次元に配列したCCDセンサを用いることができる。画像センサ26の受光面積が小さくても、リソグラフィ用マスク28を画像センサ26に対してX方向及びY方向に相対的に移動させることで、リソグラフィ用マスク28上に形成されたパターン全体を撮像することが可能である。画像センサ26には、集光レンズ20及び対物レンズ24等の光学系により、リソグラフィ用マスク28上のパターン像が例えば数百倍に拡大されて結像される。なお、リソグラフィ用マスク28の特性によっては、透過光の他に、反射光を用いるようにしてもよい。また、透過光と反射光とが混合した光を用いるようにしてもよい。
【0016】
センサ回路34からは、画像センサ26から得られるリソグラフィ用マスク28全体のパターン像に対応した光学像のデータ(センサデータ)が出力される。センサデータの画素サイズは、例えば、100nm×100nmである。
【0017】
A/D変換器36は、センサ回路34からのセンサデータ(センサ信号)をA/D変換するものである。
【0018】
パターン展開部38は、計算機32を介して入力されたマスクパターンの検査データを、センサデータと同程度の分解能を有する多値の階調データに展開する。なお、センサデータが2値の場合には、パターン展開部38は検査データを2値の階調データに展開する。後述するように、従来は、上記検査データは、披検査パターンの設計データに対応するものであり、OPC(optical proximity correction)等の処理が施されたマスクパターンの描画データに対応するものであった。本実施形態では、上記検査データは、披検査パターンの設計データを披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工したものである。すなわち、OPC等の処理が施されたマスクパターンの描画データに加工を施したものである。なお、上記検査データは、例えばCADによって生成される。
【0019】
参照データ発生部40は、リソグラフィ用マスクを撮像することによって得られたセンサデータと比較するために、パターン展開部38からのデータに対してフィルタ処理等を施して参照データを発生するものである。具体的には、リソグラフィ用マスク上に形成されるパターンのエッチングプロセス等によって生じる形状変化を考慮して、参照データを発生する。参照データの画素サイズは、センサデータの画素サイズと同じ(例えば、100nm×100nm)である。
【0020】
欠陥判定部42は、A/D変換器36からのセンサデータと参照データ発生部40からの参照データとを比較して、欠陥データを発生するものである。具体的には、センサデータと参照データとの差画像を生成し、差画像に基づいてパターンの欠陥の有無を判定する。すなわち、リソグラフィ用マスク上に実際に形成された披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとを比較して、欠陥の有無を判定する。
【0021】
ここで、検査対象であるリソグラフィ用マスク28に照射される照明について説明する。
【0022】
図1に示した例では、リソグラフィ用マスク28の上方に1/2波長板(λ/2板)16及び1/4波長板(λ/4板)18が配置されている。このように、1/2波長板16及び1/4波長板18を配置することで、照明光の偏光状態を制御することが可能である。1/2波長板16及び1/4波長板18の角度を適当に設定することにより、光源12から発生した直線偏光の光が円偏光或いは任意の角度の直線偏光に変換される。そして、このようにして変換された円偏光或いは直線偏光が、リソグラフィ用マスク28に照射される。
【0023】
ここで、1/2波長板(λ/2板)は、回転することにより、直線偏光の偏光方向を変えることができる光学部品である。また、1/4波長板(λ/4板)は、直線偏光を円偏光や楕円偏光に換えることができる光学部品である。これらの2つの波長板の向きを調整することにより、光学的な解像度を向上させることが可能である。すなわち、リソグラフィ用マスクのパターンが方向性を有する場合には直線偏光を使い、偏光方向とパターンの方向を一致させることで、光学的な解像度を向上させることが可能である。これにより、高い検査感度が必要な検査領域に対して、解像度を上げて検査を行うことが可能となる。また、パターンの方向が一定方向でない場合には、円偏光を用いて検査することで、パターンの方向に依存せずに検査感度を確保することが可能である。
【0024】
また、対物レンズ24の瞳面と共役な位置に設けた絞り14の開口を、特定部位を透過させる形状にしてもよい。このようにすることで、対物レンズに対して被写体のパターンのN次回折光が集光するように照明光の角度を設定することができる。特定部位として輪帯状の開口部を有する絞りを用いた場合には、被写体のパターンの回折光をより多く取り込み、コントラストに寄与しないバックグランドの光を遮光することができるため、周期パターンに対する光学的な解像度を上げることができる。また、輪帯状の絞りによってL/Sパターン(ラインアンドスペースパターン)の回折光を対物レンズに集光させることで、L/Sパターンに対する光学的な解像度を上げるとともに、中央部に開口を設けて周期パターン以外の回折光も集光できるようにすることで、L/Sパターン以外のパターンのコントラストを確保することも可能である。
【0025】
次に、照明形状を変えたときの、センサデータ及び参照データそれぞれの光学像コントラスト特性について説明する。
【0026】
図2は通常照明(σ=1.0)の場合、図3は小σ照明(σ=0.6)の場合、図4は輪帯照明の場合である。図2(a)、図3(a)及び図4(a)は照明形状を示した図であり、図2(b)、図3(b)及び図4(b)はパターン寸法(L/Sパターンの寸法)と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【0027】
図2及び図3の場合には、パターンを撮像して得られたセンサデータの特性と、設計データを展開して得られた参照データの特性とは、よく一致している。これに対して、図4の場合には、センサデータの特性と参照データの特性とが一致していない部分がある。絞りの開口部の半径は、寸法pのL/Sパターンを撮像する際の光学的な解像度、つまりコントラストを上げるように計算されている。そのため、センサデータのパターン寸法p付近の光学像コントラストが増大している。これに対して、参照データについては、パターン寸法p付近の光学像コントラストの増大を表現することができない。その結果、パターン寸法p付近において、センサデータの特性と参照データの特性の差が大きくなっている。したがって、図4の輪帯照明等を用いてパターン検査を行った場合には、特定のパターンに対して解像度を上げることができる一方、センサデータの特性と参照データの特性との間に誤差が生じる場合がある。
【0028】
次に、欠陥判定について説明する。
【0029】
図5は、本実施形態の第1の比較例の欠陥判定について示した図である。図5の例は、通常照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。
【0030】
図5(a)は、検査データのパターンを示したものである。本比較例では、検査データは、披検査パターンの設計データ、すなわち描画データと同じものである。図5(c)は、画像センサによって撮像されたセンサデータのパターンである。リソグラフィ用マスク上ではほぼ矩形のコンタクトホールパターンが、光学的な特性により、センサデータのパターンでは円形になっている。また、図5(c)の中央のコンタクトホールパターンには欠陥があるため、光の強度が低下している。図5(b)は、参照データのパターンである。これは、検査データをパターン展開部で多値化した後、参照データ発生部によって生成されたものである。この参照データには、光学的な特性及びエッチングプロセスの特性等に起因して生じる形状の変化が反映されている。本比較例では、センサデータと参照データとはよく一致している。図5(d)は、図5(b)の参照データと図5(c)のセンサデータとの差分を示したものである。欠陥箇所では光の強度差が生じている。
【0031】
図6は、本実施形態の第2の比較例の欠陥判定について示した図である。図6の例は、輪帯照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。図5の場合と同様、図6(a)は検査データ(披検査パターンの設計データ、すなわち描画データ)のパターン、図6(b)は参照データのパターン、図6(c)はセンサデータのパターン、図6(d)は参照データとセンサデータとの差分である。
【0032】
輪帯照明のような特殊な照明を用いて光学的な解像度を上げた場合、センサデータのコントラストは向上するが、センサデータのパターンの形状が大きく変化する場合がある。図6(c)に示すように、センサデータのコントラストは増加している(光の強度が増加している)が、コンタクトホールパターンの形状が菱形となっている。ところが、図6(b)の参照データでは、菱形形状が表現されていない。そのため、図6(d)に示すように、欠陥箇所以外にも参照データとセンサデータとの差画像(差信号)が発生し、正確に欠陥を抽出することができない。
【0033】
図7は、本実施形態の欠陥判定について示した図である。輪帯照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。図7(a)は披検査パターンの設計データ(描画データ)のパターン、図7(b)は検査データのパターン、図7(c)は参照データのパターン、図7(d)はセンサデータのパターン、図7(e)は参照データとセンサデータとの差分である。図7に示すように、本実施形態では、上述した第1の比較例及び第2の比較例とは異なり、披検査パターンの設計データ(描画データ)と検査データとは同じものではない。
【0034】
以下、図7(b)の検査データについて説明する。図7(b)の検査データは、図7(a)の披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで得られる。上記照明条件には、照明の照明形状及び照明の偏光状態の少なくとも一方が含まれる。具体的には、上記照明条件を用いて披検査パターンの予測形状をシミュレーションし、得られたシミュレーション情報に基づいて披検査パターンの設計データを加工することで、図7(b)の検査データが得られる。そして、このようにして加工された披検査パターンの設計データ(検査データ)から、図7(c)の参照データが生成される。すなわち、リソグラフィ用マスク上に実際に形成される披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとができるだけ一致するように、検査データが生成される。
【0035】
本実施形態では、以上のようにして参照データが生成されるため、図7(c)に示した参照データと図7(d)に示したセンサデータとはよく一致している。そのため、図7(e)に示した参照データとセンサデータとの差分では、欠陥箇所のみが差画像として抽出されている。すなわち、照明形状や偏光状態といった照明条件を考慮して設計データを加工することで検査データを生成し、この検査データから参照データを生成することにより、既存の参照データ発生装置を用いても的確な参照データを生成することができる。また、差画像は、パターンの高コントラスト化による恩恵を受け、通常照明の差画像に比べて十分大きな欠陥信号を得ることができる。
【0036】
なお、上述した照明条件には、検査に用いる照明の照明形状や偏光状態の他に、検査に用いる照明の波長や開口数がさらに含まれていてもよい。また、検査データを生成する際に、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に加えてさらに、披検査パターンの光学特性に依存した情報に基づいて、披検査パターンの設計データを加工するようにしてもよい。これにより、より的確な検査パターン及び参照データを生成することが可能である。なお、披検査パターンの光学特性には、披検査パターンの位相差(例えば、リソグラフィ用マスクの透過部の透過光とハーフトーン部の透過光との位相差)や、披検査パターンの透過率(例えば、リソグラフィ用マスクの透過部、ハーフトーン部及び遮光部の透過率)が含まれる。
【0037】
また、上述した方法で用いる照明条件は、上述した方法を用いて検査されたリソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板(半導体ウエハ)に転写する際の照明条件と同じであることが好ましい。これにより、半導体基板(半導体ウエハ)へのパターンの転写性を考慮した的確なパターン検査を行うことが可能である。
【0038】
また、上述した方法では、披検査パターンの予測形状をシミュレーションすることで得られた情報に基づいて検査データを生成するようにしたが、披検査パターンの予測形状を予め求められた実験結果に基づいて予測することで得られた情報に基づいて検査データを生成するようにしてもよい。具体的には、各種照明条件について各種パターンの予測形状を予め実験的に求めてテーブルに設定しておく。そして、実際の検査に用いる照明条件での披検査パターンの予測形状を、上記テーブルを参照して予測する。
【0039】
図8は、本実施形態の方法に基づいて行われるパターン検査方法の概略を示したフローチャートである。以下、図1及び図8を参照して、本実施形態に係るパターン検査方法について説明する。
【0040】
まず、リソグラフィ用マスク上に形成される披検査パターンの設計データ(描画データ)を用意する(S11)。次に、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで、検査データを生成する(S12)。生成された検査データは計算機32を介してパターン展開部38に送られ、パターン展開部38では検査データを階調データに展開する(S13)。参照データ発生部40では、パターン展開部38から出力されたデータに対してフィルタ処理等を施して参照データを発生する(S14)。欠陥判定部42では、A/D変換器34からのセンサデータと参照データ発生部40からの参照データとを比較して、欠陥データを発生する(S15)。すなわち、センサデータと参照データとの差画像を生成し、差画像に基づいてパターンの欠陥の有無を判定する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで、検査データを生成する。そして、この検査データから披検査パターンの参照データを生成する。そのため、輪帯照明等の変形照明を用いて検査を行った場合でも、実際にリソグラフィ用マスク上に形成された披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとの一致度を高めることができる。したがって、センサデータと参照データとを比較することによって、披検査パターンに存在する欠陥を的確に抽出することができ、披検査パターンを的確に検査することが可能となる。
【0042】
次に、上述したパターン検査方法を用いてリソグラフィ用マスク全面を検査する場合について説明する。図9は、リソグラフィ用マスク全面の概略を模式的に示した図である。
【0043】
図9に示した例では、リソグラフィ用マスク内に4つの領域(領域1〜領域4)が含まれている。領域1はコンタクトパターンが配置された領域、領域2は横方向のラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が配置された領域、領域3は縦方向のラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が配置された領域、領域4はロジックパターンが配置された領域である。
【0044】
例えば、ラインアンドスペースパターンに対して高い検出感度が要求される場合、領域2及び領域3の解像度が上がるようにするために、輪帯照明を用いてリソグラフィ用マスク全面を検査する。そして、領域2及び領域3については、上述した方法により設計データを加工することで生成された検査データを用いる。領域1及び領域4については、従来方法と同様に、設計データを加工することなく検査データとして用いる。そして、これらの検査データから参照データを生成し、リソグラフィ用マスク上に実際に形成されたパターンのデータ(センサデータ)を参照データと比較する。
【0045】
上述した方法によってパターン検査を行うことにより、領域毎に照明を換えることなく、リソグラフィ用マスク全面を効率的に検査することが可能である。
【0046】
図10は、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用いた半導体装置の製造方法の概略を示したフローチャートである。
【0047】
まず、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する(S21)。次に、リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板(半導体ウエハ)上のフォトレジストに転写する(S22)。続いて、フォトレジストを現像してフォトレジストパターンを形成する(S23)。さらに、フォトレジストパターンをマスクとして用いてエッチングを行うことで、半導体基板上に所望のパターンを形成する。
【0048】
このように、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用いて半導装置を製造することで、欠陥が抑制された半導体装置を効果的に作製することが可能である。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出され得る。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0050】
12…光源 14…絞り
16…1/2波長板 18…1/4波長板
20…集光レンズ 22…XYステージ
24…対物レンズ 26…画像センサ
28…リソグラフィ用マスク 30…ステージ制御部
32…計算機 34…センサ回路
36…A/D変換器 38…パターン展開部
40…参照データ発生部 42…欠陥判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクのパターン検査を行う場合、披検査パターンの画像のデータ(センサデータ)と設計データを展開することで得られた参照データとを比較し、両者の不一致箇所を欠陥として抽出している。
【0003】
ところが、半導体装置が微細化してくると、適正な画像が得られ難くなってくる。そのため、披検査パターンを撮像する際の照明の形状や偏光状態を特殊な状態に設定することで、適正な画像を取得することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、半導体装置がより微細化されてくると、照明の形状や偏光状態によっては、画像データと参照データとの間に大きな誤差が生じる場合がある。その結果、高精度のパターン検査ができなくなるといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−9339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高精度のパターン検査を行うことが可能なパターン検査方法等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点に係るパターン検査方法は、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程と、前記加工された設計データから前記披検査パターンの参照データを生成する工程と、実際に形成された前記披検査パターンのデータと前記参照データとを比較する工程と、を備える。
【0008】
本発明の第2の視点に係る半導体装置の製造方法は、上記パターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する工程と、前記リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板上に転写する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高精度のパターン検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るパターン検査装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】通常照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図3】小σ照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図4】輪帯照明を用いた場合のパターン寸法と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【図5】本発明の実施形態の第1の比較例の欠陥判定について示した図である。
【図6】本発明の実施形態の第2の比較例の欠陥判定について示した図である。
【図7】本発明の実施形態の欠陥判定について示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係るパターン検査方法の概略を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係り、リソグラフィ用マスク全面の概略を模式的に示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の概略を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るパターン検査装置の構成を模式的に示した図である。
【0013】
図1に示すように、光軸10に沿って、光源(例えば、アルゴンレーザ)12、絞り14、1/2波長板16、1/4波長板18、集光レンズ20、XYステージ22、対物レンズ24及び画像センサ26が配置されている。光源12、絞り14、1/2波長板16、1/4波長板18、集光レンズ20、対物レンズ24及び画像センサ26により、XYステージ22上に載置されたリソグラフィ用マスク(披検査基板)28上のパターン(披検査パターン)の画像を撮像する撮像部が構成される。
【0014】
XYステージ22にはステージ制御部30が接続されており、計算機32によってステージ制御部30を制御することで、XYステージ22はX方向及びY方向に移動可能である。XYステージ22を移動させることで、リソグラフィ用マスク28を所望の位置に移動させることができる。
【0015】
画像センサ26には、例えばCCDを1次元又は2次元に配列したCCDセンサを用いることができる。画像センサ26の受光面積が小さくても、リソグラフィ用マスク28を画像センサ26に対してX方向及びY方向に相対的に移動させることで、リソグラフィ用マスク28上に形成されたパターン全体を撮像することが可能である。画像センサ26には、集光レンズ20及び対物レンズ24等の光学系により、リソグラフィ用マスク28上のパターン像が例えば数百倍に拡大されて結像される。なお、リソグラフィ用マスク28の特性によっては、透過光の他に、反射光を用いるようにしてもよい。また、透過光と反射光とが混合した光を用いるようにしてもよい。
【0016】
センサ回路34からは、画像センサ26から得られるリソグラフィ用マスク28全体のパターン像に対応した光学像のデータ(センサデータ)が出力される。センサデータの画素サイズは、例えば、100nm×100nmである。
【0017】
A/D変換器36は、センサ回路34からのセンサデータ(センサ信号)をA/D変換するものである。
【0018】
パターン展開部38は、計算機32を介して入力されたマスクパターンの検査データを、センサデータと同程度の分解能を有する多値の階調データに展開する。なお、センサデータが2値の場合には、パターン展開部38は検査データを2値の階調データに展開する。後述するように、従来は、上記検査データは、披検査パターンの設計データに対応するものであり、OPC(optical proximity correction)等の処理が施されたマスクパターンの描画データに対応するものであった。本実施形態では、上記検査データは、披検査パターンの設計データを披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工したものである。すなわち、OPC等の処理が施されたマスクパターンの描画データに加工を施したものである。なお、上記検査データは、例えばCADによって生成される。
【0019】
参照データ発生部40は、リソグラフィ用マスクを撮像することによって得られたセンサデータと比較するために、パターン展開部38からのデータに対してフィルタ処理等を施して参照データを発生するものである。具体的には、リソグラフィ用マスク上に形成されるパターンのエッチングプロセス等によって生じる形状変化を考慮して、参照データを発生する。参照データの画素サイズは、センサデータの画素サイズと同じ(例えば、100nm×100nm)である。
【0020】
欠陥判定部42は、A/D変換器36からのセンサデータと参照データ発生部40からの参照データとを比較して、欠陥データを発生するものである。具体的には、センサデータと参照データとの差画像を生成し、差画像に基づいてパターンの欠陥の有無を判定する。すなわち、リソグラフィ用マスク上に実際に形成された披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとを比較して、欠陥の有無を判定する。
【0021】
ここで、検査対象であるリソグラフィ用マスク28に照射される照明について説明する。
【0022】
図1に示した例では、リソグラフィ用マスク28の上方に1/2波長板(λ/2板)16及び1/4波長板(λ/4板)18が配置されている。このように、1/2波長板16及び1/4波長板18を配置することで、照明光の偏光状態を制御することが可能である。1/2波長板16及び1/4波長板18の角度を適当に設定することにより、光源12から発生した直線偏光の光が円偏光或いは任意の角度の直線偏光に変換される。そして、このようにして変換された円偏光或いは直線偏光が、リソグラフィ用マスク28に照射される。
【0023】
ここで、1/2波長板(λ/2板)は、回転することにより、直線偏光の偏光方向を変えることができる光学部品である。また、1/4波長板(λ/4板)は、直線偏光を円偏光や楕円偏光に換えることができる光学部品である。これらの2つの波長板の向きを調整することにより、光学的な解像度を向上させることが可能である。すなわち、リソグラフィ用マスクのパターンが方向性を有する場合には直線偏光を使い、偏光方向とパターンの方向を一致させることで、光学的な解像度を向上させることが可能である。これにより、高い検査感度が必要な検査領域に対して、解像度を上げて検査を行うことが可能となる。また、パターンの方向が一定方向でない場合には、円偏光を用いて検査することで、パターンの方向に依存せずに検査感度を確保することが可能である。
【0024】
また、対物レンズ24の瞳面と共役な位置に設けた絞り14の開口を、特定部位を透過させる形状にしてもよい。このようにすることで、対物レンズに対して被写体のパターンのN次回折光が集光するように照明光の角度を設定することができる。特定部位として輪帯状の開口部を有する絞りを用いた場合には、被写体のパターンの回折光をより多く取り込み、コントラストに寄与しないバックグランドの光を遮光することができるため、周期パターンに対する光学的な解像度を上げることができる。また、輪帯状の絞りによってL/Sパターン(ラインアンドスペースパターン)の回折光を対物レンズに集光させることで、L/Sパターンに対する光学的な解像度を上げるとともに、中央部に開口を設けて周期パターン以外の回折光も集光できるようにすることで、L/Sパターン以外のパターンのコントラストを確保することも可能である。
【0025】
次に、照明形状を変えたときの、センサデータ及び参照データそれぞれの光学像コントラスト特性について説明する。
【0026】
図2は通常照明(σ=1.0)の場合、図3は小σ照明(σ=0.6)の場合、図4は輪帯照明の場合である。図2(a)、図3(a)及び図4(a)は照明形状を示した図であり、図2(b)、図3(b)及び図4(b)はパターン寸法(L/Sパターンの寸法)と光学像コントラストとの関係を示した図である。
【0027】
図2及び図3の場合には、パターンを撮像して得られたセンサデータの特性と、設計データを展開して得られた参照データの特性とは、よく一致している。これに対して、図4の場合には、センサデータの特性と参照データの特性とが一致していない部分がある。絞りの開口部の半径は、寸法pのL/Sパターンを撮像する際の光学的な解像度、つまりコントラストを上げるように計算されている。そのため、センサデータのパターン寸法p付近の光学像コントラストが増大している。これに対して、参照データについては、パターン寸法p付近の光学像コントラストの増大を表現することができない。その結果、パターン寸法p付近において、センサデータの特性と参照データの特性の差が大きくなっている。したがって、図4の輪帯照明等を用いてパターン検査を行った場合には、特定のパターンに対して解像度を上げることができる一方、センサデータの特性と参照データの特性との間に誤差が生じる場合がある。
【0028】
次に、欠陥判定について説明する。
【0029】
図5は、本実施形態の第1の比較例の欠陥判定について示した図である。図5の例は、通常照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。
【0030】
図5(a)は、検査データのパターンを示したものである。本比較例では、検査データは、披検査パターンの設計データ、すなわち描画データと同じものである。図5(c)は、画像センサによって撮像されたセンサデータのパターンである。リソグラフィ用マスク上ではほぼ矩形のコンタクトホールパターンが、光学的な特性により、センサデータのパターンでは円形になっている。また、図5(c)の中央のコンタクトホールパターンには欠陥があるため、光の強度が低下している。図5(b)は、参照データのパターンである。これは、検査データをパターン展開部で多値化した後、参照データ発生部によって生成されたものである。この参照データには、光学的な特性及びエッチングプロセスの特性等に起因して生じる形状の変化が反映されている。本比較例では、センサデータと参照データとはよく一致している。図5(d)は、図5(b)の参照データと図5(c)のセンサデータとの差分を示したものである。欠陥箇所では光の強度差が生じている。
【0031】
図6は、本実施形態の第2の比較例の欠陥判定について示した図である。図6の例は、輪帯照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。図5の場合と同様、図6(a)は検査データ(披検査パターンの設計データ、すなわち描画データ)のパターン、図6(b)は参照データのパターン、図6(c)はセンサデータのパターン、図6(d)は参照データとセンサデータとの差分である。
【0032】
輪帯照明のような特殊な照明を用いて光学的な解像度を上げた場合、センサデータのコントラストは向上するが、センサデータのパターンの形状が大きく変化する場合がある。図6(c)に示すように、センサデータのコントラストは増加している(光の強度が増加している)が、コンタクトホールパターンの形状が菱形となっている。ところが、図6(b)の参照データでは、菱形形状が表現されていない。そのため、図6(d)に示すように、欠陥箇所以外にも参照データとセンサデータとの差画像(差信号)が発生し、正確に欠陥を抽出することができない。
【0033】
図7は、本実施形態の欠陥判定について示した図である。輪帯照明を用いてパターン検査を行った場合を示している。図7(a)は披検査パターンの設計データ(描画データ)のパターン、図7(b)は検査データのパターン、図7(c)は参照データのパターン、図7(d)はセンサデータのパターン、図7(e)は参照データとセンサデータとの差分である。図7に示すように、本実施形態では、上述した第1の比較例及び第2の比較例とは異なり、披検査パターンの設計データ(描画データ)と検査データとは同じものではない。
【0034】
以下、図7(b)の検査データについて説明する。図7(b)の検査データは、図7(a)の披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで得られる。上記照明条件には、照明の照明形状及び照明の偏光状態の少なくとも一方が含まれる。具体的には、上記照明条件を用いて披検査パターンの予測形状をシミュレーションし、得られたシミュレーション情報に基づいて披検査パターンの設計データを加工することで、図7(b)の検査データが得られる。そして、このようにして加工された披検査パターンの設計データ(検査データ)から、図7(c)の参照データが生成される。すなわち、リソグラフィ用マスク上に実際に形成される披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとができるだけ一致するように、検査データが生成される。
【0035】
本実施形態では、以上のようにして参照データが生成されるため、図7(c)に示した参照データと図7(d)に示したセンサデータとはよく一致している。そのため、図7(e)に示した参照データとセンサデータとの差分では、欠陥箇所のみが差画像として抽出されている。すなわち、照明形状や偏光状態といった照明条件を考慮して設計データを加工することで検査データを生成し、この検査データから参照データを生成することにより、既存の参照データ発生装置を用いても的確な参照データを生成することができる。また、差画像は、パターンの高コントラスト化による恩恵を受け、通常照明の差画像に比べて十分大きな欠陥信号を得ることができる。
【0036】
なお、上述した照明条件には、検査に用いる照明の照明形状や偏光状態の他に、検査に用いる照明の波長や開口数がさらに含まれていてもよい。また、検査データを生成する際に、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に加えてさらに、披検査パターンの光学特性に依存した情報に基づいて、披検査パターンの設計データを加工するようにしてもよい。これにより、より的確な検査パターン及び参照データを生成することが可能である。なお、披検査パターンの光学特性には、披検査パターンの位相差(例えば、リソグラフィ用マスクの透過部の透過光とハーフトーン部の透過光との位相差)や、披検査パターンの透過率(例えば、リソグラフィ用マスクの透過部、ハーフトーン部及び遮光部の透過率)が含まれる。
【0037】
また、上述した方法で用いる照明条件は、上述した方法を用いて検査されたリソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板(半導体ウエハ)に転写する際の照明条件と同じであることが好ましい。これにより、半導体基板(半導体ウエハ)へのパターンの転写性を考慮した的確なパターン検査を行うことが可能である。
【0038】
また、上述した方法では、披検査パターンの予測形状をシミュレーションすることで得られた情報に基づいて検査データを生成するようにしたが、披検査パターンの予測形状を予め求められた実験結果に基づいて予測することで得られた情報に基づいて検査データを生成するようにしてもよい。具体的には、各種照明条件について各種パターンの予測形状を予め実験的に求めてテーブルに設定しておく。そして、実際の検査に用いる照明条件での披検査パターンの予測形状を、上記テーブルを参照して予測する。
【0039】
図8は、本実施形態の方法に基づいて行われるパターン検査方法の概略を示したフローチャートである。以下、図1及び図8を参照して、本実施形態に係るパターン検査方法について説明する。
【0040】
まず、リソグラフィ用マスク上に形成される披検査パターンの設計データ(描画データ)を用意する(S11)。次に、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで、検査データを生成する(S12)。生成された検査データは計算機32を介してパターン展開部38に送られ、パターン展開部38では検査データを階調データに展開する(S13)。参照データ発生部40では、パターン展開部38から出力されたデータに対してフィルタ処理等を施して参照データを発生する(S14)。欠陥判定部42では、A/D変換器34からのセンサデータと参照データ発生部40からの参照データとを比較して、欠陥データを発生する(S15)。すなわち、センサデータと参照データとの差画像を生成し、差画像に基づいてパターンの欠陥の有無を判定する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工することで、検査データを生成する。そして、この検査データから披検査パターンの参照データを生成する。そのため、輪帯照明等の変形照明を用いて検査を行った場合でも、実際にリソグラフィ用マスク上に形成された披検査パターンのデータ(センサデータ)と参照データとの一致度を高めることができる。したがって、センサデータと参照データとを比較することによって、披検査パターンに存在する欠陥を的確に抽出することができ、披検査パターンを的確に検査することが可能となる。
【0042】
次に、上述したパターン検査方法を用いてリソグラフィ用マスク全面を検査する場合について説明する。図9は、リソグラフィ用マスク全面の概略を模式的に示した図である。
【0043】
図9に示した例では、リソグラフィ用マスク内に4つの領域(領域1〜領域4)が含まれている。領域1はコンタクトパターンが配置された領域、領域2は横方向のラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が配置された領域、領域3は縦方向のラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が配置された領域、領域4はロジックパターンが配置された領域である。
【0044】
例えば、ラインアンドスペースパターンに対して高い検出感度が要求される場合、領域2及び領域3の解像度が上がるようにするために、輪帯照明を用いてリソグラフィ用マスク全面を検査する。そして、領域2及び領域3については、上述した方法により設計データを加工することで生成された検査データを用いる。領域1及び領域4については、従来方法と同様に、設計データを加工することなく検査データとして用いる。そして、これらの検査データから参照データを生成し、リソグラフィ用マスク上に実際に形成されたパターンのデータ(センサデータ)を参照データと比較する。
【0045】
上述した方法によってパターン検査を行うことにより、領域毎に照明を換えることなく、リソグラフィ用マスク全面を効率的に検査することが可能である。
【0046】
図10は、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用いた半導体装置の製造方法の概略を示したフローチャートである。
【0047】
まず、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する(S21)。次に、リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板(半導体ウエハ)上のフォトレジストに転写する(S22)。続いて、フォトレジストを現像してフォトレジストパターンを形成する(S23)。さらに、フォトレジストパターンをマスクとして用いてエッチングを行うことで、半導体基板上に所望のパターンを形成する。
【0048】
このように、上述したパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用いて半導装置を製造することで、欠陥が抑制された半導体装置を効果的に作製することが可能である。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出され得る。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0050】
12…光源 14…絞り
16…1/2波長板 18…1/4波長板
20…集光レンズ 22…XYステージ
24…対物レンズ 26…画像センサ
28…リソグラフィ用マスク 30…ステージ制御部
32…計算機 34…センサ回路
36…A/D変換器 38…パターン展開部
40…参照データ発生部 42…欠陥判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程と、
前記加工された設計データから前記披検査パターンの参照データを生成する工程と、
実際に形成された前記披検査パターンのデータと前記参照データとを比較する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
前記照明条件は、前記照明の照明形状及び前記照明の偏光状態の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項3】
前記照明条件は、前記照明の波長及び前記照明の開口数の少なくとも一方をさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載のパターン検査方法。
【請求項4】
前記情報は、前記披検査パターンの光学特性にさらに依存する
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項5】
前記情報は、前記披検査パターンの予測形状を前記照明条件に基づいてシミュレーションすることで得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項6】
前記情報は、前記披検査パターンの予測形状を予め求められた実験結果に基づいて予測することで得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項7】
前記照明条件は、前記パターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスク上のパターンを転写する際の照明条件と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項8】
請求項1に記載のパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する工程と、
前記リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板上に転写する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
披検査パターンの設計データを、披検査パターンの検査に用いる照明の照明条件に依存した情報に基づいて加工する工程と、
前記加工された設計データから前記披検査パターンの参照データを生成する工程と、
実際に形成された前記披検査パターンのデータと前記参照データとを比較する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
前記照明条件は、前記照明の照明形状及び前記照明の偏光状態の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項3】
前記照明条件は、前記照明の波長及び前記照明の開口数の少なくとも一方をさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載のパターン検査方法。
【請求項4】
前記情報は、前記披検査パターンの光学特性にさらに依存する
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項5】
前記情報は、前記披検査パターンの予測形状を前記照明条件に基づいてシミュレーションすることで得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項6】
前記情報は、前記披検査パターンの予測形状を予め求められた実験結果に基づいて予測することで得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項7】
前記照明条件は、前記パターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスク上のパターンを転写する際の照明条件と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項8】
請求項1に記載のパターン検査方法によって検査されたリソグラフィ用マスクを用意する工程と、
前記リソグラフィ用マスク上のパターンを半導体基板上に転写する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−203343(P2011−203343A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68432(P2010−68432)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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