説明

パターン検査装置およびパターン検査方法

【課題】欠陥の種類、材料、形状によらずコントラストを高くする。
【解決手段】実施の形態のパターン検査装置は、光源と、光透過率を変更可能な透過率制御素子と、ビームスプリッタと、偏光制御部と、位相制御部と、波面分布制御部と、検出部とを含む。前記ビームスプリッタは、前記光源から出射された光を分割し、検査対象のパターンが形成された基体と前記透過率制御素子とに照射し、前記基体からの反射光である信号光と、前記透過率制御素子からの反射光である参照光と、を重ね合わせて干渉光を生成する。前記偏光制御部は、前記参照光の偏光角および偏光位相を制御する。前記位相制御部は、前記参照光の位相を制御する。前記波面分布制御部は、前記透過率制御素子における前記参照光の波面分布を制御する。さらに、前記検出部は、前記干渉光を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、パターン検査装置およびパターン検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、フラットパネルディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの分野においては、表面に微細なパターンが形成された構造体(以下、「微細構造体」と称する)がリソグラフィ技術などを用いて製造されている。そして、近年においては、この様な微細構造体の微細化や高集積化が進められており、表面に形成されるパターンもより精緻なものとなってきている。
この様なパターンの精緻化にともない製造工程中で生じる欠陥も微細なものとなってきている。この場合、照明光の波長に対する欠陥の大きさが小さくなると欠陥からの光の散乱量が低下するので、欠陥の有無による反射率の差が小さくなりコントラストが低下してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−327557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、微細な欠陥に対するコントラストを高くすることができる、あるいは欠陥の種類、材料、形状によらずコントラストを高くすることができるパターン検査装置およびパターン検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態のパターン検査装置は、光源と、光透過率を変更可能な透過率制御素子と、ビームスプリッタと、偏光制御部と、位相制御部と、波面分布制御部と、検出部とを含む。
【0006】
前記ビームスプリッタは、前記光源から出射された光を分割し、検査対象のパターンが形成された基体と前記透過率制御素子とに照射し、前記基体からの反射光である信号光と、前記透過率制御素子からの反射光である参照光と、を重ね合わせて干渉光を生成する。
【0007】
前記偏光制御部は、前記参照光の偏光角および偏光位相を制御する。
【0008】
前記位相制御部は、前記参照光の位相を制御する。
【0009】
前記波面分布制御部は、前記透過率制御素子における前記参照光の波面分布を制御する。
【0010】
さらに、前記検出部は、前記干渉光を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、第1の実施の形態に係るパターン検査装置を例示するための模式図、(b)は、波面分布制御部の一例としてのMEMSミラーを例示するための模式図、(c)は、参照パターンについて得られた最適の波面分布の一例を示す模式図である。
【図2】比較例に係るパターン検査装置を例示するための模式図である。
【図3】図1(a)に例示するパターン検査装置の第1の変形例を例示するための模式図である。
【図4】図1(a)に例示するパターン検査装置の第2の変形例を例示するための模式図である。
【図5】図1(a)に例示するパターン検査装置による効果の一例を例示するグラフ図である。
【図6】第1の実施の形態に係るパターン検査方法について例示するためのフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係るパターン検査方法について例示するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係るパターン検査装置を例示するための模式図である。
【図9】図8に例示するパターン検査装置による検査データの一例を例示する模式図である。
【図10】図8に例示するパターン検査装置による効果の一例を例示するグラフ図である。
【図11】第2の実施の形態に係るパターン検査方法について例示するためのフローチャートである。
【図12】図1(a)に例示するパターン検査装置において、ある欠陥からの反射率の波長依存性の一例を例示するグラフ図である。
【図13】深紫外光を生成するための基本光源ユニットを例示するための模式図である。
【図14】図13に例示する基本光源ユニットを用いた広帯域光源を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施の形態のいくつかについて例示をする。図面において、同様の構成要素には同一の参照番号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(1)第1の実施の形態
図1(a)は、第1の実施の形態に係るパターン検査装置を例示するための模式図であり、図1(b)は、波面分布制御部の一例としてのMEMSミラーを例示するための模式図であり、図1(c)は、参照パターンについて得られた最適の波面分布の一例を示す模式図である。
【0014】
図2は、比較例に係るパターン検査装置を例示するための模式図である。
まず、本発明者が発明をするに至った過程で検討を加えた比較例について例示をする。
【0015】
図2に示すように、比較例に係るパターン検査装置100には、光源102、ビームスプリッタ103、載置部105、検出部106が設けられている。また、光路上には、対物レンズ104、対物レンズ107、偏光制御部108が設けられている。
【0016】
光源102は、コヒーレント光を出射するものとすることができる。また、ビームスプリッタ103は、光源102から出射された光L1を反射させ、検査対象となるパターンが形成されたウェーハWに導くとともに、パターンからの反射光L2を透過させて検出部106に導く。載置部105は、ウェーハWを載置、保持するとともに、保持したウェーハWの位置を変化させる。載置部105は、例えば、図示しない静電チャックを備えたXYテーブルとすることができる。検出部106は、例えば赤外CCD(Charge Coupled Device)または光電子増倍管などにより構成され、受光面に結像された像の光を光電変換する。ウェーハWは、本実施形態において例えば基体に対応する。
【0017】
対物レンズ104は、ビームスプリッタ103により反射された光L1をウェーハW上の検査対象となるパターンに集光させる。対物レンズ107は、ビームスプリッタ103を透過した反射光L2を検出部106の受光面に集光させる。すなわち、対物レンズ107は、検査対象の光学像を検出部106の受光面に結像させる。偏光制御部108は、透過する光の偏光制御(偏光角、偏光位相の制御)を行い直線偏光となるように制御する。偏光制御部108としては、例えば、波長板などを用いることができる。
【0018】
次に、パターン検査装置100の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置や作業者などによりウェーハWを載置部105に載置、保持させる。次に、光源102から光L1を出射させる。光源102から出射された光L1は、ビームスプリッタ103により反射され、ウェーハWに導かれる。この際、光L1は、対物レンズ104により集光され、検査対象となるパターンが照射される。そして、パターンからの反射光L2は、ビームスプリッタ103を透過し、偏光制御部108により偏光制御が行われる。偏光制御部108により偏光制御が行われた反射光L2は、対物レンズ107により検出部106の受光面に集光される。すなわち、検査対象の光学像を検出部106の受光面に結像させる。検出部106の受光面に結像された光学像の光が光電変換されることで、検査データが得られる。次に、載置部105に載置されたウェーハW上で検査が行われる位置を変化させ、前述のようにしてその位置における検査データが取得される。そして、この様にして得られた検査データに基づいて欠陥の有無が検査される。例えば、得られた検査データ同士の光のコントラストの違いを比較するなどして欠陥の有無が検査される。
【0019】
この様なパターン検査装置100によれば、欠陥の有無に起因する反射率の違いにより欠陥を検査することができる。しかしながら、近年においてはパターンの精緻化にともない照明光の波長に対する欠陥の大きさが小さくなってきている。そのため、欠陥からの光の散乱量が低下し、欠陥の有無に起因する反射率の差が小さくなってきている。その結果、コントラストが低下し、パターン検査装置100では微細な欠陥の検査が困難となるおそれがある。
【0020】
次に、図1を参照しながら、第1の実施の形態に係るパターン検査装置1について例示をする。
図1に示すように本実施の形態に係るパターン検査装置1には、光源102、波面分布制御信号生成部101、ビームスプリッタ111、載置部105、検出部106、検査データ処理部120、モニタ130、および透過率制御素子110が設けられている。また、光路上には、対物レンズ104、対物レンズ107、可動ミラー(位相制御部)112、偏光制御部108が設けられている。
【0021】
光源102は、波長の短い光を出射可能なものとすることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、波長が266nmの光を出射するYAGレーザ光源などを例示することができる。ただし、レーザ光源に限定されるわけではなく、パターンの大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0022】
ビームスプリッタ111は、光源102から出射された光L1を2つの光路に分割する。ビームスプリッタ111により反射された光L11はウェーハW上の検査対象となるパターンSP1へと導かれ、ビームスプリッタ111を透過した光L12は透過率制御素子110へ導かれる。そして、パターンSP1からの反射光L21と、透過率制御素子110からの反射光(以下、「参照光」という)L22とを重ね合わせることで干渉させることができるようになっている。
【0023】
可動ミラー112は、図示しない駆動部により平面ミラーの位置を光軸と平行な方向に移動させることができるようになっている。すなわち、平面ミラーの位置を移動させることで光路長を変化させ、参照光L22の位相を制御できるようになっている。
【0024】
透過率制御素子110は、参照光の強度および位相を部分的に選択可能となるように構成され、検査対象となるパターンSP1の欠陥の有無を判定するための参照パターンに応じて最もノイズが少なくなる波面分布を作成できるようになっている。このような透過率制御素子としては、図1(b)に例示する二次元MEMSミラーM1の他、図3に例示する液晶板LCBや、図4に例示する書き換え可能なホログラフィック光学素子HOE(Holographic Optical Element)を挙げることができる。参照パターンとしては、検査対象となるパターンSP1と同一の形状、サイズおよび材質で形成されたパターンが使用され、例えば図1(a)に示すアライメントパターンAP1の他、予め欠陥が無いことが確認されたパターンを用いることができる。なお、参照パターンはウェーハW上に配置されている必要は無く、ウェーハWとは別個の基体上に形成されたものでもよい。
【0025】
波面分布制御信号生成部101は、検出部106から参照パターンの光学像に関する検査データを与えられ、メモリMR1に格納された参照テーブルを参照しながら、最適の波面分布を作成するための制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。このような最適の波面分布の一例を図1(c)に示す。同図の例は、アライメントパターンAP1を参照パターンとして用いた場合に得られた波面分布を例示する。
本実施の形態において、透過率制御素子110および波面分布制御信号生成部101は、例えば波面分布制御部に対応し、波面分布制御信号生成部101は例えば波面調整部に対応する。
【0026】
検査データ処理部120は、検出部106から検査対象となるパターンの検査データを与えられて欠陥の有無を判定し、液晶ディスプレイなどで形成されるモニタ130に判定結果を表示させる。本実施の形態において、検出部106はウェーハWと光学的に共役な位置に配置されている。
また、メモリMR2には、アライメントパターンAP1を用いたアライメントによりウェーハWごとに作成された検査対象パターンの二次元位置座標データが格納される。検査データ処理部120は、メモリMR2の二次元位置座標データを参照することにより、欠陥があった場合の欠陥の位置を特定し、モニタ130に表示させる。
【0027】
次に、パターン検査装置110の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置や作業者などによりウェーハWを載置部105に載置、保持させる。
次に、前処理として透過率制御素子110において参照パターンに応じた波面分布を作成する。
まず、載置部105の駆動により、アライメントパターンAP1が視野内に入るようにウェーハ体Wを移動させる。次に、光源102から光L1を出射させる。光源102から出射された光L1は、ビームスプリッタ111により分割され、ビームスプリッタ111により反射された光L11はウェーハW上のアライメントパターンAP1へと導かれ、この一方、ビームスプリッタ111を透過した光L12は透過率制御素子110へ導かれる。この際、光L11は対物レンズ104により集光され、光L12は偏光制御部108により偏光制御が行われる。そして、アライメントパターンAP1からの反射光L21と、透過率制御素子110からの参照光L22とがビームスプリッタ111において重ね合わされる。
【0028】
この際、可動ミラー112における平面ミラーの位置を制御し光路長を変化させることで反射光L22の位相を制御して、反射光L21と参照光L22とを干渉させるようにする。光L20(干渉光)は、対物レンズ107により検出部106の受光面に集光される。すなわち、干渉させることでコントラストを高めた検査対象の光学像を検出部106の受光面に結像させる。検出部106の受光面に結像された光学像の光が光電変換されることで、検査データが得られる。
【0029】
次に、この検査データが波面分布制御信号生成部101に供給され、波面分布制御信号生成部101は、メモリMR1に格納された参照テーブルを参照しながら、最適の波面分布を作成するための制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。最適の波面分布が作成された場合は、検出部106の受光面に結像する光学像の強度が0になるので、波面分布制御信号生成部101は、検出部106から供給される検査データの信号が0になるまで、制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。
【0030】
このようにして透過率制御素子110において最適の波面分布が作成されると、検査対象であるパターンSP1の検査に移行する。
まず、このような透過率制御素子110における最適の波面分布を用いた検査原理を例示する。
【0031】
すなわち、載置部105の駆動により、検査対象であるパターンSP1が視野内に入るようにウェーハWを移動させる。次に、光源102から光L1を出射させる。光源102から出射された光L1は、ビームスプリッタ111により分割され、ビームスプリッタ111により反射された光L11はウェーハW上の検査対象であるパターンSP1へと導かれ、この一方、ビームスプリッタ111を透過した光L12は透過率制御素子110へ導かれる。この際、光L11は対物レンズ104により集光され、光L12は偏光制御部108により偏光制御が行われる。そして、検査対象であるパターンSP1からの反射光L21と、透過率制御素子110からの参照光L22とがビームスプリッタ111において重ね合わされる。
【0032】
この際、可動ミラー112における平面ミラーの位置を制御し光路長を変化させることで参照光L22の位相を制御して、振幅と位相の重ね合わせにより反射光L21と参照光L22とを干渉させるようにする。光L20(干渉光)は、対物レンズ107により検出部106の受光面に集光される。すなわち、干渉させることでコントラストが高められた検査対象の光学像が検出部106の受光面に結像し、その光学像の光が光電変換されることで、検査データが得られる。
【0033】
ここで、検査対象であるパターンSP1に欠陥が無い場合は、検出部106の受光面に集光される光の強度が0になり、検査データも0になる。この一方、検査対象であるパターンSP1に欠陥がある場合は、検出部106から検査データが得られる。
【0034】
このような検査原理の下、所望の検査シーケンスに従って、ウェーハWまたはビームスプリッタ111からの光L11を連続的または断続的にスキャンすることにより、ウェーハW上の所望の領域に亘って検査データを取得され、検出部106から検査データ処理部120へ送られる。検査データ処理部120は、検出部106から検査対象となるパターンの検査データを与えられ、欠陥の程度に応じて予め準備された閾値と対比することにより、欠陥の有無を判定する。そして、メモリMR2に格納された二次元位置座標データを参照することにより、欠陥があった場合の欠陥の位置を特定し、モニタ130に表示させる。検査データ処理部120はまた、検出部106から供給された検査データを加工し、理想のパターンからの積分強度の変化を表す信号、強度分布の変化を表す信号、または位相分布の変化を表す信号を生成してモニタ130に表示させることもできる。
【0035】
例えば、得られた検査データ同士の光のコントラストの違いを比較するなどして欠陥の有無が検査される。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、まず、反射光L21と、最適化された参照光L22と、を干渉させることによりコントラストを高めることができる。さらに、本実施の形態によれば、理想のパターンからの積分強度の変化を表す信号、強度分布の変化を表す信号、または位相分布の変化を表す信号を検査データから生成してパターンの欠陥を検査するので、検査対象のパターンが光源102から光L1の波長よりも小さい周期で配置されている場合でも、ウェーハ上に形成された、光L1の波長よりも小さい欠陥をも検出することができる。すなわち、欠陥の種類、材料、形状によらず微細な欠陥に対するコントラストをより一層高めることができる。そのため、微細な欠陥の検査が行えるようになる。
【0037】
本実施の形態による効果について図5を参照しながら例示する。
図5(a)および(b)は、参照光の強度と位相依存性とコントラストとの関係を表すグラフの一例である。図5(a)は、参照光の位相をパラメータとして、相対参照光強度(検査対象であるパターンからの反射光に対する参照光の強度)とコントラストとの関係を例示し、図5(b)は、相対参照光強度をパラメータとして、参照光の位相とコントラストとの関係を例示する。
【0038】
図5からは、図2に例示の比較例では参照光の強度が0なので、コントラストが0.16と最も低く、この一方、本実施の形態によれば、参照光相対強度0.08/位相340°の時、黒欠陥でコントラストが最大(−0.56)になり、参照光相対強度0.16/位相300°の時、白欠陥でコントラストが最大(0.56)になることが分かる。このことから、比較例の3.75倍(0.56/0.16)だけ分解能が向上することが分かる。
【0039】
図6は、本実施の形態の変形例を例示するための模式図である。図1との対比により明らかなように、図6に例示するパターン検査装置30には、光源122と、光源122からの光L3を透過するとともに、ビームスプリッタ111を透過した光L12を反射させて透過率制御素子110へと導くビームスプリッタ123がさらに設けられている。また、光源102とビームスプリッタ111との間には、光源2から出射された光L1が直線偏光となるように制御する偏光制御部8が配置され、ビームスプリッタ111と対物レンズ4との間には、ウェーハW上のパターンSP1を照射できるように光L11の照射位置を変化させる照射制御部12が配置されている。
【0040】
偏光制御部8は、光源102から出射された光L1の偏光制御(偏光角、偏光位相の制御)を行い直線偏光となるように制御する。すなわち、偏光制御部8は、光源102とビームスプリッタ111との間の光路に設けられ、光源102から出射した光L1が直線偏光となるように制御する。偏光制御部8は、例えば、波長板などとすることができる。
照射制御部12は、ウェーハW上の第1のパターンSP1を照射できるように光L11の照射位置を変化させる。照射制御部12は、例えば、AOM(Acoust Optic Modulator)光変調素子、ガルバノミラー(galvanometer mirror)、ポリゴンミラー(polygon mirror)などとすることができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、光の照射位置を変化させることができるものを適宜選択することができる。
【0041】
パターン検査装置30のその他の構成は、図1に例示するパターン検査装置1と実質的に同一であり、その作用についても、2つの光源102,122から光L1とL3がそれぞれ出射される点を除いて図1のパターン検査装置1と実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0042】
本変形例によれば、光源102から出射された光L1と光源122から出射された光L3とによる照射が行われるため、パターン検査装置1について上述した効果に加え、検査に用いる光の強度を高めることができる。
次に、本実施の形態に係るパターン検査方法について例示をする。
図7は、本実施の形態に係るパターン検査方法について例示をするためのフローチャートである。
まず、透過率制御素子110により、欠陥が無いパターンを用いて最もノイズが少ない、最適化された参照光の波面分布を作成する(ステップS1)。
【0043】
次に、光源から出射された光により信号光と、最適化された参照光と、を生成する(ステップS2)。このとき、図1に関して前述したように、1つの光源から出射された光を2つの光路に分割することにより信号光と参照光を生成してもよいし、図6に関して前述したように、2つの光源からそれぞれ光を出射することにより信号光と参照光とを生成してもよい。
【0044】
続いて、コントラストが高くなるように、信号光の偏光角および偏光位相を制御する(ステップS3)。このとき、1つの光源から出射された光を2つの光路に分割する場合には、2つの光路に分割される前の光の偏光角および偏光位相を制御することにより、信号光の偏光角および偏光位相を制御することができる。一方、2つの光源からそれぞれ光を出射する場合には、信号光を発生させる光源から出射されたそれぞれの光の偏光角および偏光位相を制御することにより、その信号光の偏光角および偏光位相を制御することができる。
【0045】
続いて、パターンからの反射光(信号光)と参照光とを干渉させる(ステップS4)。
続いて、干渉光の強度、位相などに基づいて欠陥の有無を検査する(ステップS5)。
【0046】
このパターン検査方法によれば、信号光と最適化された参照光とを干渉させ、その干渉光の強度、位相などに基づいて欠陥の有無を検査するので、ウェーハ上に形成された、光源からの光の波長よりも小さい欠陥をも検出することができる。すなわち、欠陥の種類、材料、形状によらず微細な欠陥に対するコントラストをより一層高めることができる。そのため、微細な欠陥の検査が行えるようになる。
【0047】
(2)第2の実施の形態
図8は、第2の実施の形態に係るパターン検査装置を例示するための模式図である。図8に示すパターン検査装置20には、光源2、ビームスプリッタ3、載置部5、検出部6、および波面分布制御信号生成部101が設けられている。また、光路上には、対物レンズ4、対物レンズ7、偏光制御部8、透過率制御素子110、偏光制御部10、位相制御部11、照射制御部12、照射制御部13、対物レンズ14が設けられている。
【0048】
光源2としては、図1の光源102と同様に、波長が266nmの光を出射するYAGレーザ光源などを使用することができる。
【0049】
ビームスプリッタ3は、光源2から出射された光L1を第1の光路15と第2の光路16とに分割する。この場合、分割強度比を1:1とすれば、2つの光路に同じ光の強度を有する光を出射することができる。ビームスプリッタ3により反射された光L11はウェーハW上の第1のパターンSP1へと導かれ、ビームスプリッタ3を透過した光L12は透過率制御素子110を介してウェーハW上の第2のパターンSP2へと導かれる。また、ウェーハW上の第1のパターンSP1からの反射光L21(信号光)と、ウェーハW上の第2のパターンSP2からの反射光L22(参照光)とを重ね合わせることで干渉させることができるようになっている。ビームスプリッタ3は、例えば、ハーフミラーとすることができる。
【0050】
載置部5は、ウェーハWを載置、保持する。また、載置部5には図示しない移動手段が設けられ、載置部5に載置されたウェーハWの位置を変化させて検査が行われる領域を移動させることができるようになっている。載置部5は、例えば、図示しない静電チャックを備えたXYテーブルとすることができる。なお、必ずしも図示しない移動手段を載置部5に設ける必要はなく、検査が行われる領域が相対的に変化するようになっていればよい。
【0051】
検出部6は、受光面に結像された像の光を光電変換する。すなわち、検出部6は、ビームスプリッタ3において反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)とを重ね合わせることで干渉させた光L20を検出する。また、検出部6は、検出部6の受光面と第1のパターンSP1、第2のパターンSP2が形成された面とが光学的に共役な位置関係となるように配設されている。検出部6としては、例えば、赤外CCDや光電子増倍管などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく、結像された像の光を光電変換できるものを適宜選択することができる。
【0052】
対物レンズ4は、ビームスプリッタ3により反射された光L11をウェーハW上の第1のパターンSP1に集光させる。対物レンズ14は、ビームスプリッタ3を透過した光L12をウェーハW上の第2のパターンSP2に集光させる。対物レンズ7は、ビームスプリッタ3からの光L20を検出部6の受光面に集光させる。すなわち、対物レンズ7は、干渉させることでコントラストを高めた検査対象の光学像を検出部6の受光面に結像させる。
【0053】
偏光制御部8は、光源2とビームスプリッタ3との間の光路に設けられ、光源2から出射した光L1が直線偏光となるように制御する。偏光制御部8は、例えば、波長板などとすることができる。
偏光制御部10は、透過する光の偏光制御(偏光角、偏光位相の制御)を行う。
位相制御部11は、透過する光の位相制御を行う。位相制御部11は、例えば、光遅延器などとすることができる。
この場合、偏光制御部10は、反射光L21(信号光)の強度と、反射光L22(参照光)の強度と、が略同一となるように制御する。また、位相制御部11は、反射光L21(信号光)の位相と、反射光L22(参照光)の位相と、が相互に反転するように制御する。ここで、反射光L21(信号光)の強度と、反射光L22(参照光)の強度とが、±5%の違いであれば微細な欠陥の検査を行うことができるようになる。
なお、図8においては、偏光制御部10と位相制御部11とを第2の光路16に設けたが、第1の光路15および第2の光路16の少なくともいずれかに設けられるようにすることができる。
【0054】
透過率制御素子110は、ビームスプリッタ3を透過した光L12の進行方向を変えることで、ウェーハW上の第2のパターンSP2へ光L12を導く。透過率制御素子110はまた、前述した第1の実施の形態と同様に、光L12の強度および位相を部分的に選択可能となるように構成され、検査対象となるパターンSP1,ST2の欠陥の有無を判定するための参照パターンに応じて最もノイズが少なくなる波面分布を作成できるようになっている。
【0055】
透過率制御素子としては、例えば、図1(b)に例示の二次元MEMSミラーM1、図3に例示の液晶板LCB、図4に例示の書き換え可能なホログラフィック光学素子HOEを使用することができる。
参照パターンとしては、検査対象となるパターンSP1,SP2とそれぞれ同一の形状、サイズおよび材質で形成されたパターンが使用され、例えばウェーハW上に形成されたアライメントパターンAP1,AP2の他、予め欠陥が無いことが確認されたパターンを用いることができる。なお、参照パターンはウェーハW上に配置されている必要は無く、ウェーハWとは別個の基体上に形成されたものでもよい。
【0056】
波面分布制御信号生成部101は、検出部106から参照パターンの光学像に関する検査データを与えられ、メモリMR1に格納された参照テーブルを参照しながら、例えば図1(c)に例示したような最適の波面分布を作成するための制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。
【0057】
第1の光路15に設けられた照射制御部12は、ウェーハW上の第1のパターンSP1を照射できるように光L11の照射位置を変化させる。また、第2の光路16に設けられた照射制御部13は、ウェーハW上の第2のパターンSP2を照射できるように光L12の照射位置を変化させる。この際、第1のパターンSP1と同じ形状寸法を有する第2のパターンSP2が照射されるように照射位置を変化させる。なお、第1のパターンSP1と第2のパターンSP2とは図8に示すように同一製品内にある場合に限らず、別個の製品内にあってもよい。例えば、半導体装置の場合には、同一のセルやチップ(ダイ)内にあってもよいし、隣接あるいは所定の寸法だけ離隔したセルやチップ(ダイ)内にあってもよい。照射制御部12、照射制御部13は、例えば、AOM(Acoust Optic Modulator)光変調素子、ガルバノミラー(galvanometer mirror)、ポリゴンミラー(polygon mirror)などとすることができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、光の照射位置を変化させることができるものを適宜選択することができる。
なお、本実施の形態においては、対物レンズ4が第1の光路15に設けられ、第1のパターンP1へ光L11を導くとともに第1のパターンP1からの反射光L21を導く第1の光学系17となる。また、透過率制御素子110、対物レンズ14が第2の光路16に設けられ、第1のパターンP1と同じ形状寸法を有する第2のパターンP2へ光L12を導くとともに第2のパターンP2からの反射光L22を導く第2の光学系18となる。
【0058】
次に、パターン検査装置20の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置や作業者などによりウェーハWを載置部5に載置、保持させる。
次に、前処理として透過率制御素子110において参照パターンに応じた波面分布を作成する。
すなわち、載置部5の駆動により、アライメントパターンAP1,AP2がそれぞれ第1の光路15および第2の光路16において視野内に入るようにウェーハWを移動させる。次に、光源2から光L1を出射させる。光源2から出射された光L1は、偏光制御部8により直線偏光となるように制御される。直線偏光となるように制御された光L1は、ビームスプリッタ3により例えば強度比が1:1となるように光L11と光L12とに分割される。ビームスプリッタ3により反射された光L11はウェーハW上の第1のアライメントパターンAP1へ導かれる。この際、検査対象となるパターンが照射されるように照射制御部12により照射位置が制御されるとともに、対物レンズ4により光L11が集光される。
【0059】
一方、ビームスプリッタ3を透過した光L12は、透過率制御素子110により進行方向が変えられウェーハW上の第2のアライメントパターンAP2へ導かれる。この際、第1のアライメントパターンAP1と同じ形状寸法を有する第2のアライメントパターンAP2が照射されるように照射制御部13により照射位置が制御される。また、対物レンズ14により光L12が集光される。
【0060】
また、偏光制御部10により偏光制御(偏光角、偏光位相の制御)が行われる。また、位相制御部11により位相制御が行われる。この際、反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)との光の強度が略同一で位相が相互に反転するように制御される。なお、反射光L21(信号光)の強度と、反射光L22(参照光)の強度とが、±5%の違いであれば微細な欠陥の検査を行うことができる。
【0061】
そして、第1のアライメントパターンAP1からの反射光L21(信号光)と、第2のアライメントパターンAP2からの反射光L22(参照光)とが、ビームスプリッタ3において重ね合わされる。
【0062】
ビームスプリッタ3で反射した干渉光は対物レンズ7により検出部106の受光面に集光される。検出部6の受光面に結像された光学像の光が光電変換されることで、検査データが得られる。
【0063】
次に、この検査データが波面分布制御信号生成部101に供給され、波面分布制御信号生成部101は、メモリMR1に格納された参照テーブルを参照しながら、最適の波面分布を作成するための制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。最適の波面分布が作成された場合は、検出部106の受光面に結像する光学像の強度が0になるので、波面分布制御信号生成部101は、検出部106から供給される検査データの信号が0になるまで、制御信号を生成して透過率制御素子110に与える。
【0064】
このようにして透過率制御素子110において最適の波面分布が作成されると、検査対象であるパターンSP1,SP2の検査に移行する。
【0065】
すなわち、光源2から光L1を出射させ、偏光制御部8により制御されて直線偏光となり、ビームスプリッタ3により例えば強度比が1:1となるように光L11と光L12とに分割される。ビームスプリッタ3により反射された光L11はウェーハW上の第1のパターンSP1へ導かれる。この際、検査対象となるパターンが照射されるように照射制御部12により照射位置が制御されるとともに、対物レンズ4により光L11が集光される。
【0066】
一方、ビームスプリッタ3を透過した光L12は、透過率制御素子110により進行方向が変えられウェーハW上の第2のパターンSP2へ導かれる。この際、第1のパターンSP1と同じ形状寸法を有する第2のパターンSP2が照射されるように照射制御部13により照射位置が制御される。また、対物レンズ14により光L12が集光される。
【0067】
また、偏光制御部10により偏光制御(偏光角、偏光位相の制御)が行われる。また、位相制御部11により位相制御が行われる。この際、反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)との光の強度が略同一で位相が相互に反転するように制御される。なお、反射光L21(信号光)の強度と、反射光L22(参照光)の強度とが、±5%の違いであれば微細な欠陥の検査を行うことができる。
【0068】
そして、第1のパターンSP1からの反射光L21(信号光)と、第2のパターンSP2からの反射光L22(参照光)とが、ビームスプリッタ3において重ね合わされる。この際、前述した偏光制御部10、位相制御部11による制御で反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)とが干渉する。
【0069】
この場合、反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)との位相が相互に反転しているので、第1のパターンP1と第2のパターンP2とが同一の場合、すなわち欠陥がない場合は重ね合わされた光L20の強度が著しく低くなる。一方、第1のパターンP1と第2のパターンP2とに異なる部分がある場合、すなわち欠陥がある場合は欠陥部分において光の強度や位相が変わるので重ね合わされた光L20の強度が高くなる。
【0070】
重ね合わされた光L20(干渉光)は、対物レンズ7により検出部6の受光面に集光される。すなわち、検査対象の光学像を検出部6の受光面に結像させる。検出部6の受光面に結像された光学像の光が光電変換されることで、検査データが得られる。
【0071】
次に検査を行う位置が、照射制御部12、照射制御部13により照射を行うことができる範囲外となった場合には、載置部5によりウェーハWの位置を変化させ、前述のようにしてその検査位置における検査データが取得される。なお、次に検査を行う位置が、照射制御部12、照射制御部13により照射を行うことができる範囲内にある場合には、照射制御部12、照射制御部13により照射位置が変更され、前述のようにしてその検査位置における検査データが取得される。
【0072】
次に、この様にして得られた検査データに基づいて欠陥の有無が検査される。例えば、得られた検査データから干渉光の瞳面分布の相違を解析すれば欠陥を確認できる。例えば、第1のパターンSP1と第2のパターンSP2とが同一の場合、図9(a)に例示するように、重ね合わされた光L20の強度が0になる。また、図9(b)および(c)に例示するように、該瞳面分布において、欠陥の高さに応じて光る周波数帯域が変わるので、欠陥の高さを判定することもできる。干渉光の瞳面分布の相違の解析に際しては、理想的な干渉状態と比較すればよい。比較には、例えば振幅比較と位相比較とがある。
【0073】
図10は、本実施の形態による効果をシミュレーションした結果の一例を例示する。図10(a)は、干渉光の強度をパラメータとして干渉光における位相とコントラストとの関係をシミュレートした一例であり、また、図10(b)は、干渉光の位相をパラメータとして干渉光における強度とコントラストとの関係をシミュレートした一例である。図10からは、強度1の干渉光の位相が210の場合に−0.6のコントラストとなり、強度1の干渉光の位相が180の場合に理想的なコントラスト1となることが分かる。
【0074】
本実施の形態によれば、反射光L21(信号光)と反射光L22(参照光)とを干渉させることができるのでコントラストを高めることができる。この場合、反射光L22(参照光)は、検査対象である第1のパターンSP1と同じ形状寸法を有する第2のパターンSP2からのものとなるので、干渉をさせるための制御が容易となる。すなわち、同じ性状を有する反射面からの反射光同士を干渉させることになるため位相と振幅(光の強度)との制御が容易となる。そのため、コントラストをさらに高めることができるので、より微細な欠陥の検査が行えるようになる。さらに、最適の波面分布が予め作成された透過率制御素子110を第2の光学系18に配置して参照光を取得するので、欠陥の種類、材料、形状によらず高い分解能で微細な欠陥の検査が行えるようになる。
【0075】
次に、本実施の形態に係る他のパターン検査方法について例示をする。
図11は、本実施の形態に係る他のパターン検査方法について例示をするためのフローチャートである。
【0076】
まず、欠陥が無いパターンを用いて透過率制御素子110により、最もノイズが少ない、最適化された波面分布を作成する(ステップS11)。
次いで、光源から出射された光を第1の光路と第2の光路とに分割する(ステップS12)。
次に、第1の光路を介して検査対象である第1のパターンSP1に光を照射することで第1のパターンSP1からの反射光(信号光)を発生させる(ステップS13−1)。
また、第2の光路を介して第1のパターンSP1と同じ形状寸法を有する第2のパターンSP2に光を照射することで第2のパターンSP2からの反射光(参照光)を発生させる(ステップS13−2)。
この場合、第2のパターンSP2は、欠陥がないことが確認されているパターンとすることができる。また、第1のパターンSP1はウェーハWに形成され、第2のパターンSP2はウェーハWとは別に設けられた基体W1に形成されているようにすることもできる。
【0077】
次に、第1のパターンSP1からの反射光(信号光)と、第2のパターンSP2からの反射光(参照光)との光の強度が略同一で位相が相互に反転するように制御する(ステップS14)。
この場合、第2のパターンSP2側の光の強度と位相を制御するようにすることができる。また、光の強度と位相の制御値などが予め分かっている場合には、予め制御された光を第1のパターンSP1および第2のパターンSP2の少なくともいずれかに照射するようにすることもできる。
次に、第1のパターンP1からの反射光(信号光)と、第2のパターンP2からの反射光(参照光)とを干渉させる(ステップS15)。
次に、干渉光の強度、位相などに基づいて欠陥の有無を検査する(ステップS16)。
【0078】
本実施の形態によれば、第1のパターンSP1からの反射光(信号光)と第2のパターンSP2からの反射光(参照光)とを干渉させることができるのでコントラストを高めることができる。この場合、第2のパターンP2からの反射光(参照光)は、検査対象である第1のパターンP1と同じ形状寸法を有するパターンからのものとなるので、干渉をさせるための制御が容易となる。すなわち、同じ性状を有する反射面からの反射光同士を干渉させることになるため位相と振幅(光の強度)との制御が容易となる。
【0079】
また、最適の波面分布が予め作成された透過率制御素子110を第2の光学系18に配置して参照光を取得するので、欠陥の種類、材料、形状によらず高い分解能で微細な欠陥の検査が行えるようになる。そのため、コントラストをさらに高めることができるので、より微細な欠陥の検査が行えるようになる。
また、第2のパターンSP2として欠陥がないことが確認されているパターンを用いるものとすれば、検査において欠陥があるとされた場合には、第1のパターンSP1に欠陥があることが容易に分かる。
【0080】
(3)薄膜の膜厚ばらつきに起因するノイズの回避
薄膜で形成されたパターンを検査対象とするパターン検査においては、薄膜の膜厚ばらつきによる光の干渉がノイズとなる。それを回避するため、パターン検査装置の光源は、膜厚ばらつきをキャンセルできる波長幅を有することが望ましい。より具体的には、±数nm以上の波長幅を有する光源が望ましく、それを実現するためには、例えばTi:sapphireの3倍高調波でフェムト(10−15)秒オーダーのパルスレーザで波長260nm±数十nmのものを用いればよい。
【0081】
図12は、図1(a)に例示のパターン検査装置について、ある欠陥からの反射率の波長依存性をシミュレーションにより求めたグラフ図である。薄膜干渉の影響から波長に依存して反射率は大きく変化する。そのため、図12に示す例では、波長260nm付近において反射率が低下してしまっている。そのため、通常の単一波長のレーザでは充分な感度が得られないことが分かる。そこで、例えば図1(a)に例示のパターン検査装置において、光源102として波長260nm±数十nmのパルスレーザ光源を用いれば、図12の反射率変動の積分強度の平均が信号強度となる。これにより、膜厚変動に対してロバストなパターン検査が可能になる。
【0082】
さらに、パルスレーザ光源に替えて、波長が互いに異なる複数のレーザが結合された広帯域光源を用いることもできる。
【0083】
図13は、深紫外光を生成するための基本光源ユニットを例示するための模式図である。図13に示す基本光源ユニット620は、赤外レーザダイオード622と、直列に接続されたSHG(Second Harmonic Generation)素子624a,624bとを含む。赤外レーザダイオード622とSHG素子624a、SHG素子624aとSHG素子624bは光ファイバOFで光学的に接続される。赤外レーザダイオード622は、波長1064nm±0.25nmの赤外レーザを出射する。この赤外レーザが2つのSHG素子624a,624bにより4倍高調波が発生し、SHG素子624bから深紫外光が出力される。
【0084】
波長と波長幅との関係は、
Δλ=Δλ266nm ×(λ266nm×/λ1064nm)
となるため、SHG素子624bから出力される深紫外光は、約266nm±1.5pmの波長幅を有する。
図14(a)および(b)は、図13に例示する基本光源ユニット620を複数用いて構成された広帯域光源を例示するための模式図である。
【0085】
図14(a)に例示する広帯域光源600は、100個の基本光源ユニット620とコンバイナ630とを備える。各基本光源ユニット620の中心波長は温度制御により互いに異なるものとなっている。そして、中心波長が互いに異なる深紫外をコンバイナ630で結合することにより、所望の波長幅の光源を得ることができる。本例の広帯域光源600では、波長幅±1.5nmの光源が実現される。勿論、この波長幅に限られることなく、元の赤外レーザダイオード622の出射光の中心波長と基本光源ユニット620の数とを制御することにより、所望の波長幅の光源を得ることが可能になる。
【0086】
また、図14(b)に例示する広帯域光源700は、100個の基本光源ユニット620とホモジナイザ640とを備える。ホモジナイザ640は、100個の基本光源ユニット620から出力される中心波長が互いに異なる複数の深紫外光の不均一な光強度分布を均一化する。ホモジナイザ640として、具体的には、屈折で光を曲げるアレイレンズを用いるものの他、DOE(回折光学素子:Diffractive Optical Element)を用いて回折光で波面を制御するもの等を用いることができる。本実施形態において、ホモジナイザ640は例えば波面均一化光学系に対応する。
【符号の説明】
【0087】
1,20,30:パターン検査装置、2,102,122:光源、3,23,103:ビームスプリッタ、5:載置部、6 検出部、8,24 偏光制御部、10 偏光制御部、11,25 位相制御部、12 照射制御部、13 照射制御部、4,7,14,104,107:対物レンズ、105:載置部、106:検出部、110:透過率制御素子、M1:MEMSミラー、LCB:液晶板、HOE:ホログラフィック光学素子、112:可動ミラー、600,700:広帯域光源、620:基本光源ユニット、622:赤外レーザダイオード、630:コンバイナ、640:ホモジナイザ、L21:反射光(信号光)、L22,L32:反射光(参照光)、SP1:第1のパターン、SP2:第2のパターン、W:ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光透過率を変更可能な透過率制御素子と、
前記光源から出射された光を分割し、検査対象のパターンが形成された基体と前記透過率制御素子とに照射し、前記基体からの反射光である信号光と、前記透過率制御素子からの反射光である参照光と、を重ね合わせて干渉光を生成するビームスプリッタと、
前記参照光の偏光角および偏光位相を制御可能な偏光制御部と、
前記参照光の位相を制御可能な位相制御部と、
前記透過率制御素子における前記参照光の波面分布を制御する波面分布制御部と、
前記干渉光を検出する検出部と、
を備えることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
前記波面分布制御部は、前記参照光の強度および位相を部分的に選択可能なMEMS(icro lector echanical ystem)ミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記波面分布制御部は、前記参照光の強度および位相を部分的に選択可能な液晶板を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記波面分布制御部は、前記参照光の強度および位相を部分的に選択可能なホログラフィック光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン検査装置。
【請求項5】
前記位相制御部は、前記反射光の位相と、前記参照光の位相と、が相互に反転するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパターン検査装置。
【請求項6】
前記基体を前記信号光で走査する走査部をさらに備え、
前記検出部は、基準となる参照パターンからの積分強度の変化を表す信号を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパターン検査装置。
【請求項7】
前記基体を前記信号光で走査する走査部をさらに備え、
前記検出部は、基準となる参照パターンからの強度分布の変化を表す信号を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパターン検査装置。
【請求項8】
前記基体を前記信号光で走査する走査部をさらに備え、
前記検出部は、基準となる参照パターンからの位相分布の変化を表す信号を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパターン検査装置。
【請求項9】
前記パターンは、前記光源からの出射光の波長よりも小さい周期で反復配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパターン検査装置。
【請求項10】
前記光源は、波長幅が±数nm〜数十nmのパルスレーザを出射することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記光源は、中心波長幅が±数pm以下で、中心波長が互いに異なる複数のレーザを組み合わせて出射する広帯域光源であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
光源から参照パターンへ出射された光により、参照光の波面分布を最適化し、
前記光源から出射された光により、基体に形成された検査対象であるパターンからの反射光である信号光と、前記最適化された参照光と、を生成し、
前記信号光と前記最適化された参照光とを重ね合わせることで干渉させ、
前記干渉させた光の強度および波面分布の少なくともいずれかに基づいて欠陥の有無を検査する、
ことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項13】
光源から出射された光を第1の光路と第2の光路とに分割し、
前記第1の光路を介して検査対象である第1のパターンに光を照射することで前記第1のパターンからの第1の反射光を発生させ、
前記第2の光路を介して前記第1のパターンと同じ形状寸法を有する第2のパターンに光を照射することで、前記第2のパターンからの第2の反射光であって参照パターンを用いて予め波面分布が最適化された第2の反射光を発生させ、
前記第1の反射光と前記第2の反射光と、を干渉させ、
干渉光の強度に基づいて欠陥の有無を検査すること、
を特徴とするパターン検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−202860(P2012−202860A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68443(P2011−68443)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】