説明

パネル搬送装置およびパネル搬送方法

【課題】大型のパネルを含む多品種のパネルを安定して搬送することが可能なパネル搬送装置およびパネル搬送方法を提供することを目的とする。
【解決手段】パネルに基板を接合することにより表示パネルを組み立てるパネル搬送装置のパネル搬送機構3において、ガラスパネルの縁部を下面側から両持ち支持する載置テーブル4に設けられたパネル支持部4aからガラスパネルの搬送方向に細長形状の延出部23を延出させ、吸着ブロック24を延出部23に移動自在に装着する。対象とするガラスパネルの品種を変更する際には、ガラスパネルのサイズに応じて吸着ブロック24を延出部23に沿って移動させて、ガラスパネルの吸着保持に適した位置に移設する。これにより、大型のパネルを含む多品種のパネルを安定して搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルなどのパネルを搬送するパネル搬送装置およびパネル搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のディスプレイとして用いられるプラズマパネルや液晶パネルなどの表示パネルは、表示画面となるガラスパネルの縁部にTCP(テープキャリアパッケージ)などのコネクタを介してドライバ基板を接合することにより組み立てられる。この組立て作業を行うパネル組立装置は、上流側装置から渡されるガラスパネルを圧着装置まで搬送して供給するパネル搬送機構を備えている。表示パネルなどパネル状のパネルを搬送する搬送機構としては、パネルを下面側からアーム状の保持具によって保持して移動させる方式が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例では、片持ち形状の保持アームによってパネルを保持し、保持アームを搬送レールに沿って移動させることにより、パネルを直線移動させるようにしている。
【特許文献1】特許第3239685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年表示パネルのサイズは大型化し、パネル組立装置において搬送対象となるパネルのサイズ・重量が増大している。このようなパネルの大型化・重量増大に伴い、上述例のように片持ち形状の保持アームによってパネルを保持する方式においては、保持アームはパネルの重量によって下垂変形を生じ、安定した搬送が困難となっている。このため、大型のパネルを含む多品種のパネルを安定して搬送することができるパネル搬送機構が望まれていた。
【0004】
そこで本発明は、大型のパネルを含む多品種ののパネルを安定した搬送が可能なパネル搬送装置およびパネル搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のパネル搬送装置は、パネルを搬送経路に沿って搬送するパネル搬送装置であって、前記搬送経路に略平行に配設された1対の搬送レールと、前記1対の搬送レールに沿ってそれぞれ移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルの縁部を複数の吸着部によって下面側から吸着保持して両持ち支持する1対のパネル載置部とを備え、前記パネル載置部は、このパネル載置部の略中央位置に固定配置された中央載置部と、この中央載置部に対して前記搬送レールによる搬送方向に可動に設けられた可動載置部とを有し、前記パネルのサイズに応じて前記可動載置部を前記搬送方向に移設する。
【0006】
本発明のパネル搬送方法は、搬送経路に略平行に配設された1対の搬送レールと、1対の搬送レールに沿ってそれぞれ移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルの縁部を複数の吸着部によって下面側から吸着保持して両持ち支持する1対のパネル載置部とを備えたパネル搬送装置によって、パネルを前記搬送経路に沿って搬送するパネル搬送方法であって、前記パネル載置部は、このパネル載置部の略中央位置に固定配置された中央載置部と、この中央載置部に対して前記搬送レールによる搬送方向に可動に設けられた可動載置部とを有し、前記パネルのサイズに応じて前記可動載置部を前記搬送方向に移設する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パネルの縁部を複数の吸着部によって下面側から吸着保持して両持ち
支持する1対のパネル載置部を、中央載置部とこの中央載置部に対して搬送方向に可動に設けられた可動載置部とで構成し、パネルのサイズに応じて前記可動載置部を搬送方向に移動させることにより、大型のパネルを含む多品種のパネルを安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図、図2は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図、図3は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図、図4は本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図、図5は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の斜視図、図6は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル載置部の構造説明図、図7は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル載置部の平面図、図8は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図、図9は本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図、図10は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図、図11は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図、図12は本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル載置部の部分斜視図である。
【0009】
まず図1、図2を参照して、パネル組立ラインについて説明する。図1において、第1パネル組立装置M1、第2パネル組立装置M2、第3パネル組立装置M3はそれぞれ同一構造の単体装置であり、ガラスパネルの1つの辺にドライバ用の基板をTABやTCPなどの可撓性のコネクタを介して接合する機能を有している。本実施の形態においては、このような単体装置を複数台直列に配置することによってパネル組立ラインを構成しており、これらの複数の単体装置によって主に大型のガラスパネルの複数辺に対して順次基板を接続することにより、表示パネルを組み立てる。
【0010】
単体装置の構成について説明する。基台1にはX方向(パネル搬送方向)に隣接してサブ基台1aが付設されており、サブ基台1aの上面には基板7をストックして供給する部品供給部2が設けられている。サブ基台1a、基台1の手前側(図1において下側)には、パネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8がX方向に直列に配置されている。パネル搬送機構3は平行に配設された搬送レールによって水平移動する1対の載置テーブル4を備えており、載置テーブル4によってガラスパネル5(パネル)を下面側から両持ち支持して、上流側(図1において左側)から下流側へ搬送する機能を有している。
【0011】
パネル搬送機構3は、各パネル組立装置において一部を上流側へ張り出して延出させた配置となっている。この張り出し部分は後述するように上流側装置からガラスパネル5が搬入される搬入位置(図10参照)となっており、搬送レールの下流位置は、以下に説明するパネル位置決めテーブル8へガラスパネル5を受け渡す受渡位置(図10参照)となっている。そして載置テーブル4がこの搬入位置から受渡位置に至る搬送経路に沿って移動することにより、ガラスパネル5の搬送が行われる。したがってパネル搬送機構3は、ガラスパネル5を搬入位置から受渡位置へ至る搬送経路に沿って搬送するパネル搬送手段となっている。
【0012】
図2に示すように、パネル位置決めテーブル8はY軸テーブル8Y、X軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘを積層し、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面にパネル保持部9を装着した構成となっている。パネル保持部9は、載置テーブル4に載置されて前述の受渡位置まで搬送されたガラスパネル5を保持する。パネル位置決めテーブル8を駆動することにより、パネル保持部9はX方向、Y方向、Z方向およびΘ方向に移動し、パネル搬送機構3からガラスパネル5を受け取って、パネル位置決めテーブル8の背後に配設された圧着
接合部12による作業位置まで移動させ位置決めする。
【0013】
したがってパネル位置決めテーブル8は、受渡位置にてガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置まで移動させるパネル受取移動手段となっている。そしてパネル搬送機構3およびパネル位置決めテーブル8は、ガラスパネル5を圧着接合部12による作業位置に供給するパネル供給装置を構成している。
【0014】
基台1の上面において、圧着接合部12の背後側(図1において上側、図2において左側)には、基板位置決めテーブル10が配設されている。図2に示すように基板位置決めテーブル10は、X軸テーブル10X、Y軸テーブル10Yを段積みした構成となっており、Y軸テーブル10Yの上面には基板保持テーブル11が装着されている。基板保持テーブル11には、部品供給部2から基板供給機構(図示省略)によって取り出された基板7が移載され保持される。
【0015】
基板7は薄くて挟みやすいフレキシブル基板であり、そのままではハンドリングや搬送が難しいため、基板保持テーブル11によって下面側を下受けされクランプされた状態で搬送や位置決めが行われる。そして基板保持テーブル11に保持された基板7は、Y軸テーブル10Yによって圧着接合部12まで搬送され、圧着接合部12に対して位置決めされる。すなわち、基板位置決めテーブル10は、基板供給部2によって供給された基板7を、圧着接合部12まで搬送する基板搬送手段となっている。
【0016】
圧着接合部12はガラスパネル5と基板7とを接合する接合手段であり、門型のフレーム12aに昇降押圧機構13によって昇降する押圧ツール14を配設し、押圧ツール14の直下に下受部材15を配置した構造となっている(図4参照)。下受部材15の側面には基板認識カメラ16が配設されており、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を位置決めする際には、基板認識カメラ16によりガラスパネル5に設けられた認識マークを撮像することにより、ガラスパネル5の位置を認識する。
【0017】
次に図3、図4を参照して、組立対象のガラスパネル5および基板7とガラスパネル5との接合動作について説明する。図3に示すように、ガラスパネル5は液晶ディスプレイなどの表示装置に用いられ、2枚の矩形ガラス板を積層した構造となっている。ガラスパネル5の外縁部のうち、一方のガラス板が露呈した縁部5aには、前工程において予めコネクタ6が縁部5aから張り出した状態でボンディングされている。このパネル組立ラインにおけるパネル組立作業では、基板7とコネクタ6にそれぞれ設けられた接続用端子相互を、異方性導電剤をテープ状にした接合テープを介して接合する。
【0018】
なお、必ずしもガラスパネル5の縁部5aに予めコネクタ6をボンディングしておく必要はない。基板7の方に予めコネクタ6を基板7の縁部から張り出した状態でボンディングしておき、コネクタ6の基板7の縁部から張り出した部分をガラスパネル5の縁部5aにボンディングするようにしてもよい。
【0019】
接合動作においては、図4に示すように、基板保持テーブル11に保持され予め接合テープ17が貼付けられた基板7を、基板位置決めテーブル10によって下受部材15に対して位置決めする。次いで、コネクタ6と基板7のそれぞれの接続用端子が位置合わせされるように、ガラスパネル5をパネル位置決めテーブル8によって位置決めする。そしてこの状態で押圧ツール14を下降させることにより、ガラスパネル5に予め接合されたコネクタ6は、接合テープ17を介して基板7に接合される。
【0020】
次に図5、図6、図7を参照して、パネル搬送機構3の詳細構造を説明する。図5に示
すように、パネル搬送機構3は前述の搬送経路に平行に配置された1対の搬送レール3aに沿って、載置テーブル4を往復動させる構成となっている。逆L字断面のフレーム3bは、略中央位置に設けられた脚部3cによって基台1の上面に固定され、左側部分が前述のように上流側に張り出している。
【0021】
フレーム3bの上面にはガイドレール20が全長にわたって配設されており、ガイドレール20にスライド自在に嵌着したスライダ21は、載置テーブル4の下面に固着されている。載置テーブル4はスライダ21が固着された基部から内側(パネル搬送中心側)に張り出して設けられたパネル支持部4aを備えている。パネル支持部4aの上面には、吸着パッド22が吸着面を上向きにしてX方向に複数個配列されている。吸着パッド22は載置テーブル4を介して真空吸引源25に接続されており、真空吸引源25を駆動することにより、吸着パッド22から真空吸引し、パネル支持部4aに載置されたガラスパネル5を下面側から吸着保持する。
【0022】
パネル支持部4aにはX方向に両側に延出する細長形状の延出部23が設けられており、延出部23には上面に吸着パッド22が装着された吸着ブロック24が装着されている。図6に示すように、延出部23にはガイド溝23aが長手方向(X方向)に沿って設けられている。また吸着ブロック24の下面にはガイド溝23aに嵌合する形状の凸部24aが突設されており、凸部24aをガイド溝23aに嵌合させることにより、吸着ブロック24は延出部23にガラスパネル5の搬送方向に移動自在に装着される。そしてボルト24cを凸部24aに設けられたねじ孔24bに螺合させて締結することにより、吸着ブロック24の位置が固定される。
【0023】
吸着パッド22は真空吸引配管(図示省略)によってパネル支持部4aと連結されており、真空吸引源25を駆動することにより、パネル支持部4aに設けられた吸着パッド22とともに吸着ブロック24の吸着パッド22から真空吸引する。パネル支持部4aおよび吸着ブロック24に設けられた吸着パッド22は、ガラスパネル5の縁部を下面側から吸着保持する吸着部となっている。
【0024】
延出部23の長さは、対象とするガラスパネル5の辺長に対応して設定される。図7(a)に示すように、最大サイズのガラスパネル5Aを対象とする場合には、吸着ブロック24を延出部23の最先端部までスライドさせて固定する。これにより、載置テーブル4によってガラスパネル5Aを保持する際に、ガラスパネル5Aはパネル支持部4aに設けられた複数の吸着パッド22によって縁部の略中央部を保持されるとともに、各対角位置を吸着パッド22によって保持され、ガラスパネル5Aは搬送途中において配置ずれを生じることなく、安定した姿勢で搬送される。図7(b)に示すように最小サイズのガラスパネル5Bを対象とする場合には、吸着ブロック24をパネル支持部4aに最も近接した位置に移設する。そして最大・最小の中間サイズのガラスパネル5を対象とする場合には、それぞれのガラスパネル5のサイズに応じて吸着ブロック24をガイド溝23aに沿って移設する。
【0025】
上記構成において1対の載置テーブル4は、1対の搬送レール3aに沿ってそれぞれ移動自在に設けられ、上面に載置されたガラスパネル5を下面側から両持ち支持する1対のパネル載置部となっている。そしてこのパネル載置部は、このパネル載置部の略中央位置に固定配置された中央載置部としてのパネル支持部4aと、この中央載置部に対して搬送レール3aによる搬送方向に可動に設けられた可動載置部としての吸着ブロック24とを有し、ガラスパネル5のサイズに応じて吸着ブロック24を搬送方向に移設する形態となっている。
【0026】
このように、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持して搬送する構成において、ガラ
スパネル5のサイズに応じて移設可能な可動載置部を設けることにより、サイズの異なる複数品種のガラスパネル5を適切な保持位置で吸着保持することができ、位置ずれを生じることなく安定して搬送することが可能となる。
【0027】
載置テーブル4の駆動機構について説明する。フレーム3bの前後端にはプーリ28a、28bが軸支されており、プーリ28a、28bに調帯されたベルト27は、載置テーブル4の下面に突設された係止部材26に係止されている。一方側の脚部3cにはモータ34が配設されており、モータ34の回転軸に結合されたプーリ33はベルト32を介してプーリ31を回転駆動し、さらにプーリ31は駆動軸30を介して駆動プーリ29を回転駆動する。
【0028】
駆動プーリ29にはベルト27が周回しており、モータ34を正逆駆動することにより、2つの搬送レール3aに装着された2つのベルト27は同期してX方向に正逆走行し、これにより載置テーブル4は搬送レール3aに沿って同期して往復動する。モータ34、プーリ33、ベルト32、プーリ31、駆動軸30、駆動プーリ29、プーリ28a、プーリ28b、ベルト27および係止部材26は、1対の載置テーブル4を搬送レール3aに沿って同期して移動させる同期駆動手段となっている。
【0029】
次に図8を参照して、パネル位置決めテーブル8およびパネル保持部9の機能を説明する。図8(a)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘの上面に設けられたパネル保持部9は、X軸テーブル8X、Y軸テーブル8Yを駆動することにより、X方向、Y方向に移動自在となっている。また図8(b)に示すように、X軸テーブル8Xの動作とZΘ軸テーブル8ZΘの動作とを組み合わせることにより、後述するようにガラスパネル5を受け取るパネル受取動作およびガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作を行うことができる。
【0030】
次に図9、図10、図11を参照して、パネル組立ラインにおけるガラスパネル5の搬送動作について説明する。図9において、第1パネル組立装置M1に設けられたパネル搬送機構3において、上流側に張り出した搬入位置[A]に移動した載置テーブル4上には、上流側装置によってガラスパネル5が載置される(矢印a)。そしてガラスパネル5が載置された載置テーブル4がパネル搬送機構3の搬送経路に沿って移動することにより(矢印b)、載置テーブル4に載置されたガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8への受渡位置[B]に位置する。
【0031】
この状態でパネル位置決めテーブル8を駆動してパネル保持部9にパネル受取動作を行わせることにより、受渡位置[B]に位置したガラスパネル5は、パネル位置決めテーブル8の中央部、すなわち圧着接合部12へ移動するためにガラスパネル5が待機する待機位置[C]へ移動する(矢印c)。このパネル受取動作の詳細を図10を参照して説明する。図10(a)は、ガラスパネル5を載置した載置テーブル4が受渡位置[B]に、下降位置にあるパネル保持部9が待機位置[C]に、それぞれ位置した状態を示している。
【0032】
この後図10(b)に示すように、X軸テーブル8Xを駆動してパネル保持部9を受渡位置[B]へ移動させ、ガラスパネル5の下方に位置させる。次いで、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、図10(c)に示すように、載置テーブル4に載置されていたガラスパネル5を下面から保持する。これにより、パネル保持部9は載置テーブル4からガラスパネル5を受け取る。この後、図10(d)に示すように、パネル保持部9を待機位置[C]まで移動させ、次いでパネル保持部9を下降させることにより、ガラスパネル5は待機位置[C]に位置する。
【0033】
この後、Y軸テーブル8Yを駆動してX軸テーブル8Xごとパネル保持部9をY方向へ移動させることにより(図8(a)参照)、図9に示すように、ガラスパネル5は圧着接
合部12によってガラスパネル5へ基板7を接合するための作業位置[D]へ移動する(矢印d)。そしてここで図4に示す作業が行われた後のガラスパネル5は再び待機位置[C]に戻り、この後、第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3に設定された搬入位置[A]にガラスパネル5を受け渡すパネル受渡動作が実行される(矢印e)。
【0034】
このパネル受渡動作の詳細を図11を参照して説明する。図11(a)は、接合作業後のガラスパネル5を保持し下降位置にあるパネル保持部9が第1パネル組立装置M1の待機位置[C]に、また空状態の載置テーブル4が第2パネル組立装置M2のパネル搬送機構3の搬入位置[A]に、それぞれ位置した状態を示している。次いで図11(b)に示すように、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を上昇させ、さらに図11(c)に示すようにX軸テーブル8Xを駆動して、パネル保持部9をガラスパネル5とともに搬入位置[A]へ移動させる。この後、ZΘ軸テーブル8ZΘを駆動してパネル保持部9を下降させることにより、パネル保持部9は保持していたガラスパネル5を載置テーブル4に受け渡し、次いで図11(d)に示すように、パネル保持部9が待機位置[C]に戻ることにより、パネル受渡動作が終了する。
【0035】
上記構成において、パネル位置決めテーブル8に備えられたX軸テーブル8X、ZΘ軸テーブル8ZΘは、パネル保持部9を1対の搬送レール3aに対して相対的に昇降およびX方向に水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させる受取動作手段となっているとともに、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を、下流側の第2パネル組立装置M2の搬入位置[A]に位置する載置テーブル4に受け渡す受渡動作手段となっている。
【0036】
さらにパネル位置決めテーブル8に備えられたY軸テーブル8Yは、パネル保持部9に保持されたガラスパネル5を待機位置[C]と作業位置[D]との間で移動させるパネル移動手段となっている。このように、本実施の形態において上記構成のパネル位置決めテーブル8は、上流側装置から供給されるガラスパネル5を受け取るパネル受取り、圧着接合部12へガラスパネル5を移動させるパネル移動、作業後のガラスパネル5を下流側装置へ受け渡すパネル受渡しの3つの機能を有する構成となっている。これにより、複数のパネル組み立て装置を連結配置した構成のパネル組み立てラインにおけるパネル搬送動作の効率化が実現されている。
【0037】
上述のパネル組立装置によって、ガラスパネル5に基板7を圧着接合部12によって接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立方法においては、以下の動作工程が実行される。すなわちまず上流側装置から供給されたガラスパネル5を搬入位置[A]から受渡位置[B]へ至る搬送経路に沿って搬送し(パネル搬送工程)、受渡位置[B]のガラスパネル5をパネル保持部9によって保持して受け取って、圧着接合部12による作業位置[D]まで移動させ(パネル受取移動工程)、圧着接合部12によってガラスパネル5と基板7とを接合する(接合工程)。
【0038】
そしてパネル搬送工程においては、搬送経路に略平行に配設された1対の搬送レール3aに沿ってそれぞれ移動自在に設けられた1対の載置テーブル4によって、ガラスパネル5を下面側から両持ち支持した状態で、1対の載置テーブル4を搬送レール3aに沿って同期して移動させ、パネル受取移動工程においては、パネル保持部9を1対の搬送レール3aに対して相対的に昇降および水平移動させることにより、受渡位置[B]に位置する載置テーブル4上のガラスパネル5を下面側からパネル保持部9に保持させるパネル受取動作を実行するようにしている。
【0039】
上記動作をサイズの異なる複数品種のガラスパネル5を対象として実行する際には、ガラスパネル5のサイズが変更される度に、吸着ブロック24を延出部23に設けられたガ
イド溝23aに沿って移動させて、対象となるガラスパネル5のサイズに応じて移設する。
【0040】
なお、図3に示す吸着ブロック24には、1つの吸着パッド22のみが装着されていたが、図12に示すように、複数の吸着パッド22が装着された吸着ブロック124を延出部23に備えるようにしてもよい。ここに示す例では、吸着ブロック124の上面側から挿通させたボルト125をナットプレート126によって締結することにより吸着ブロック124を固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のパネル組立装置およびパネル組立方法は、大型のパネルを含む多品種のパネルを安定して搬送することができるという利点を有し、パネルに基板を接合することにより表示パネルを組み立てるパネル組立分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態のパネル組立ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の組立対象となる表示パネルの斜視図
【図4】本発明の一実施の形態のパネル組立装置の部分断面図
【図5】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル搬送機構の斜視図
【図6】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル載置部の構造説明図
【図7】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル載置部のへ平面図
【図8】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル位置決めテーブルの動作説明図
【図9】本発明の一実施の形態のパネル組立装置のパネル保持部の斜視図
【図10】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受取動作の動作説明図
【図11】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル受渡動作の動作説明図
【図12】本発明の一実施の形態のパネル組立装置におけるパネル載置部の部分斜視図
【符号の説明】
【0043】
2 部品供給部
3 パネル搬送機構
4 載置テーブル
4a パネル支持部
5,5A,5B ガラスパネル
6 コネクタ
7 基板
8 パネル位置決めテーブル
9 パネル保持部
10 基板位置決めテーブル
12 圧着接合部
23 延出部
24 吸着ブロック
M1 第1パネル組立装置
M2 第2パネル組立装置
[A] 搬入位置
[B] 受渡位置
[C] 待機位置
[D] 作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを搬送経路に沿って搬送するパネル搬送装置であって、前記搬送経路に略平行に配設された1対の搬送レールと、前記1対の搬送レールに沿ってそれぞれ移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルの縁部を複数の吸着部によって下面側から吸着保持して両持ち支持する1対のパネル載置部とを備え、
前記パネル載置部は、このパネル載置部の略中央位置に固定配置された中央載置部と、この中央載置部に対して前記搬送レールによる搬送方向に可動に設けられた可動載置部とを有し、前記パネルのサイズに応じて前記可動載置部を前記搬送方向に移設することを特徴とするパネル搬送装置。
【請求項2】
前記中央載置部には前記搬送方向に延出する延出部が設けられており、前記可動載置部は前記延出部に設けられたガイド溝に沿って移動自在となっていることを特徴とする請求項1記載のパネル搬送装置。
【請求項3】
搬送経路に略平行に配設された1対の搬送レールと、1対の搬送レールに沿ってそれぞれ移動自在に設けられ上面に載置された前記パネルの縁部を複数の吸着部によって下面側から吸着保持して両持ち支持する1対のパネル載置部とを備えたパネル搬送装置によって、パネルを前記搬送経路に沿って搬送するパネル搬送方法であって、
前記パネル載置部は、このパネル載置部の略中央位置に固定配置された中央載置部と、この中央載置部に対して前記搬送レールによる搬送方向に可動に設けられた可動載置部とを有し、前記パネルのサイズに応じて前記可動載置部を前記搬送方向に移設することを特徴とするパネル搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−256742(P2006−256742A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74616(P2005−74616)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】