説明

パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドおよび医薬品を調製するためのその使用

本発明は、パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、それを調製するためのプロセス、これらの化合物を含有する医薬品、および医薬品を調製するためのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、それを調製するための方法、これらの化合物を含有する医薬品、および医薬品を調製するためのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛、特に神経因性疼痛の治療は、医学分野において極めて重要である。疼痛に対する効果的な治療法は世界的規模で必要とされている。患者が満足できて成功の得られる疼痛の治療であると理解される、患者に優しい、目標を定めた慢性および非慢性状態の疼痛に対する治療の実現が急務であることは、適用される鎮痛薬および痛覚に関する基礎研究の分野で報告される極めて多数の科学論文によっても実証されている。
【0003】
疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛、好ましくは神経因性疼痛からなる群から選択される疼痛の治療にとって適切なアプローチは、カプサイシン受容体と呼ばれることが多いバニロイド受容体サブタイプ1(VR1/TRPV1)である。この受容体は、特に、例えばカプサイシンなどのバニロイド、熱、およびプロトンによって刺激され、疼痛を誘発する際に中心的役割を果たす。さらに、この受容体は、例えば偏頭痛;うつ病;神経変性疾患;認知障害;不安;てんかん;咳;下痢;掻痒;運動ニューロン疾患;心血管系の障害;食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;および特に尿失禁などの極めて多数の他の生理的および病態生理的プロセスにとっても重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、本発明の1つの目的は、医薬品中の、特にバニロイド受容体1(VR1/TRPV1受容体)によって少なくとも部分的に介在される障害もしくは疾患を治療するための医薬品中の薬理学的有効成分として、特に良好に適合する新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、今回、以下の一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドは、バニロイド受容体サブタイプ1(VR1/TRPV1受容体)に対する素晴らしい親和性を示し、このため少なくとも一部にはバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)によって媒介される障害もしくは疾患を予防および/または治療するために特に良好に適合することが見いだされた。
【0006】
本発明による化合物は、好ましくは疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛;関節痛;偏頭痛;うつ病;神経障害;神経外傷;神経変性疾患、特に多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患;認知障害、好ましくは認知不全症、より好ましくは記憶障害;不安;てんかん;好ましくは喘息および肺炎からなる群から選択される気道疾患;咳;尿失禁;過活動膀胱(OAB);下痢;胃潰瘍;大腸炎症候群;脳卒中;目の刺激;皮膚の刺激;神経症性皮膚疾患;炎症性疾患、好ましくは結腸の炎症;掻痒;食物摂取障害、特に多食症、悪液質、食欲不振症、および肥満症からなる群から選択される食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;医薬品依存症に続く禁断症状;医薬品に対する、好ましくは天然もしくは合成オピオイドに対する免疫の発生;薬物依存性;薬物乱用;薬物依存症に続く禁断症状;アルコール依存症;アルコール中毒;アルコール依存症に続く禁断症状を治療および/または予防するため;利尿のため;抗ナトリウム利尿のため;心血管系に影響を及ぼすため;覚醒を増加させるため;性欲を高めるため;運動活動を調節するため;または局所麻酔のために適合する。
【0007】
したがって、本発明は、式I
【化1】

(式中、Rは、直鎖状もしくは分枝状アルキルラジカルを表す)の、
各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合に適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にあるパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドを提供する。
【0008】
当業者には、本発明による一般式Iの化合物中では、水素以外のパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドの二重結合上の置換基は、相互に関連してシスもしくはトランスいずれかの立体配置を有している可能性があることは明らかであろう。対応するトランス異性体は(E)異性体、そしてシス異性体は(Z)異性体と呼ばれることが多い。
【0009】
好ましいのは、一般式Ia
【化2】

(式中、Rは直鎖状もしくは分枝状アルキルラジカルを表す)の、
各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比でのエナンチオマーの混合物の形態にある、または各場合に適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にあるパラ−アルキル置換トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドである。
【0010】
同様に好ましいのは、一般式IおよびIa(式中、Rは直鎖状もしくは分枝状C1-20アルキルラジカル、
より好ましくは直鎖状もしくは分枝状C1-10アルキルラジカル、
極めて好ましくはメチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;n−ブチル;イソブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;n−ペンチル;2−ペンチル;3−ペンチル;イソペンチル;ネオペンチル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;n−ヘキシル;2−ヘキシル;3−ヘキシル;イソヘキシル;ネオヘキシル;n−ヘプチル;2−ヘプチル;3−ヘプチル;4−ヘプチル;イソヘプチル;ネオヘプチル;n−オクチル;2−オクチル;3−オクチル;4−オクチル;イソオクチル;ネオオクチル;n−ノニル;2−ノニル;3−ノニル;4−ノニル;5−ノニル;イソノニル;ネオノニルおよびn−デシルからなる群から選択されるアルキルラジカル、
および最も好ましくは、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;n−ブチル;イソブチル;tert−ブチル;ネオペンチル;およびn−オクチルからなる群から選択されるアルキルラジカルを表す)の化合物である。
【0011】
特に好ましいのは、
[1]パラ−メチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[2]パラ−エチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[3]パラ−イソプロピル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および
[4]パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[5]パラ−プロピル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[6]パラ−イソブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[7]パラ−ネオペンチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[8]パラ−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および
[9]パラ−オクチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、からなる群から選択される、
および各場合においてそれらの塩、各場合において任意選択的に適切な溶媒和物の形態にある一般式IおよびIaの化合物である。
【0012】
極めて特に好ましいのは、各場合において任意選択的に適切な溶媒和物の形態にある、化合物
[4]パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドおよびその塩である。
【0013】
本発明による一般式IおよびIaの化合物がそれらの塩の形態にある場合は、これらの塩は、好ましくはアルカリ金属塩、好ましくはナトリウムもしくはカリウム塩からなる群から選択することができる。さらに好ましいのは、一般式[NRx4-x+(式中、Rは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは任意選択的に分枝状アルキルラジカルを表し、xは0、1、2、3または4を表す)のカチオンを備える塩である。上記の塩は、好ましくは水和物の形態にある適切な溶媒和物の形態で存在していてもよい。
【0014】
本発明は、上記の一般式IおよびIaの本発明による化合物を調製するための方法をさらに提供するが、この方法では一般式II
【化3】

(式中、Rは上述した意味を有する)の少なくとも1つのアルデヒドが、任意選択的に反応溶媒中において、少なくとも1つの塩基の存在下で、マロン酸(OH−C(=O)−CH2−C(=0)−OH)と反応させられ、結果として生じる任意選択的に適切な塩の形態にある一般式III
【化4】

(式中、Rは上述した意味を有する)のパラ−アルキル置換ケイ皮酸が、任意選択的に単離および任意選択的に精製され、反応溶媒中において、任意選択的に少なくとも1つの塩基の存在下で、任意選択的に少なくとも1つの適切なカップリング剤の存在下で、任意選択的に適切な塩の形態、好ましくは塩酸塩の形態にある4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミンと反応させられ、任意選択的に対応する塩の形態にある一般式I
【化5】

(式中、Rは上述した意味を有する)の化合物が生成され、その化合物は任意選択的に精製および任意選択的に単離される。
【0015】
パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドを調製するための本発明によるプロセスを、以下のスキーム1にも示した。
【化6】

【0016】
工程1では、上記の式II(式中、Rは上述した意味を有する)のアルデヒドは、マロン酸(化合物A)と、任意選択的に好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、および上述した反応溶媒のうちの少なくとも2つの混合物から選択される適切な反応溶媒中において、任意選択的に少なくとも1つの塩基の存在下で、好ましくはピペリジン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される有機塩基の存在下で、好ましくは20℃〜150℃の範囲内の温度、より好ましくは60℃〜120℃の範囲内の温度で、任意選択的に適切な塩の形態にある、任意選択的に単離および任意選択的に精製される一般式III(式中、Rは上述した意味を有する)のパラ−アルキル置換ケイ皮酸と反応させられる。この反応は、ピペリジンの存在下でピリジン中において実施するのが特に好ましい。
【0017】
工程2では、上記の一般式IIIの化合物が、好ましくは−70℃〜100℃の範囲内の温度で、任意選択的に適切な塩の形態にある、好ましくは塩酸塩の形態にある4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミン(化合物B)と、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、および上述した反応溶媒のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される反応溶媒中において、任意選択的に好ましくは1−ベンゾトリアゾリル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDCI)、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルロニウムテトラフルオロボレート(TBTO)、および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)からなる群から選択される少なくとも1つの適切なカップリング剤の存在下で、任意選択的に好ましくはトリエチルアミン、ピペリジン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、およびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される少なくとも1つの有機塩基の存在下で、−70℃〜100℃の範囲内の温度で反応させられ、任意選択的に適切な塩の形態にある、好ましくは対応する塩酸塩の形態にある一般式Iの化合物が生成され、その化合物は任意選択的に精製および任意選択的に単離される。
【0018】
本発明によるプロセスによって入手される一般式IIIのパラ−アルキル置換ケイ皮酸は、通常はそのシス/トランス異性体の混合物の形態にあり、それから各ジアステレオ異性体、特に、一般式IIIa
【化7】

のトランス異性体を当業者に知られている従来方法によって単離することができ、そして任意選択的に精製することができる。言及できる方法の例には、クロマトグラフィー分離法、特に標準圧下もしくは高圧下での液体クロマトグラフィー法、好ましくはMPLCおよびHPLC法、または適切な溶媒、好ましくはメタノールからの再結晶化を含むことができる。一般式IIIaのパラ−アルキル置換ケイ皮酸は、本発明によるスキーム1に記載したプロセスの工程2においても同様に使用できる。
【0019】
本発明によるプロセスによって入手されたパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドがそれらのシス/トランス異性体の混合物の形態にある場合は、一般式Ia
【化8】

のトランス異性体を当業者に知られている従来方法によってそれから単離することができ、そして任意選択的に精製することができる。言及できる方法の例には、クロマトグラフィー分離法、特に標準圧下もしくは高圧下での液体クロマトグラフィー法、好ましくはMPLCおよびHPLC法、または適切な溶媒からの再結晶化を含むことができる。
【0020】
上記の式IIの化合物ならびに化合物AおよびBは、各々市販で入手できる、および/または当業者に知られている従来方法によって調製できる。
【0021】
上述した反応の各々は、例えば圧力または構成成分の添加順序に関して、当業者に知られている従来条件下で実施できる。必要に応じて、当業者が特定条件のための最適方法を単純な予備実験によって決定することができる。
【0022】
上述した反応によって入手された中間体および最終生成物は、所望および/または必要であれば、当業者に知られている従来方法によって精製および/または単離されてもよい。適切な精製法は、例えば、抽出法およびカラムクロマトグラフィーもしくは分取クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法である。
【0023】
上記のプロセスの工程、ならびに中間体もしくは最終生成物の各精製および/または単離の全ては、完全または部分的に不活性雰囲気下、好ましくは窒素のブランケット下で実施されてもよい。
【0024】
それらの調製後に、上記の一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドがそれらのエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の混合物の形態で入手された場合は、これらは当業者に知られている従来方法によって分離し、任意選択的に単離することができる。言及できる方法の例には、キラル相上のクロマトグラフィー分離法、特に標準圧下もしくは高圧下での液体クロマトグラフィー法、好ましくはMPLCおよびHPLC法が含まれる。
【0025】
上記の本発明による一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に対応する立体異性体は、適切な塩の形態、特に適切な生理学的に許容できる塩の形態で、当業者に知られている従来方法によって入手でき、さらに本発明による医薬品が1つまたは複数のこれらの化合物の1つまたは複数の塩を含有することも可能である。
【0026】
または、上記の本発明による一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に対応する立体異性体、ならびに各場合におけるそれらの生理学的に許容できる塩は、それらの溶媒和物の形態で、特にそれらの水和物の形態で、当業者に知られている従来方法によって入手できる。
【0027】
驚くべきことに、上記の本発明による一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドは、バニロイド受容体1(VR1/TRPV1)調節のために、特にバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)活性化のためのアゴニストとして適合することが見いだされ、このため、特にこれらの受容体もしくはプロセスに関連する障害もしくは疾患を予防および/または治療するための医薬品中の医薬的有効成分として使用され得る。
【0028】
上記の本発明による一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に適切な立体異性体、ならびに各場合における適切な塩および溶媒和物は、毒物学的に無害であるので、このため医薬品中の医薬的有効成分として適合する。
【0029】
したがって本発明は、上記の本発明による一般式IまたはIaの、各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の1つの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合に適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある少なくとも1つのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に1つまたは複数の医薬的に許容できるアジュバントを含む医薬品をさらに提供する。
【0030】
本発明による医薬品は、バニロイド受容体1(VR1/TRPV1)調節のため、特にバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)活性化のために適合する。このため本発明による医薬品は、好ましくはバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)によって少なくとも部分的に介在される障害および/または疾患を予防および/または治療するために適合する。
【0031】
本発明による医薬品は、好ましくは疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛;関節痛;偏頭痛;うつ病;神経障害;神経外傷;より好ましくは多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患;認知障害、より好ましくは認知不全症、極めて好ましくは記憶障害;不安;てんかん;好ましくは喘息および肺炎からなる群から選択される気道疾患;咳;尿失禁;過活動膀胱(OAB);胃潰瘍;大腸炎症候群;脳卒中;目の刺激;皮膚の刺激;神経症性皮膚疾患;炎症性疾患、好ましくは結腸の炎症;下痢;掻痒;より好ましくは多食症、悪液質、食欲不振症、および肥満症からなる群から選択される食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;医薬品依存症に続く禁断症状;医薬品に対する、より好ましくは天然もしくは合成オピオイドに対する免疫の発生;薬物依存性;薬物乱用;薬物依存症に続く禁断症状;アルコール依存症;アルコール中毒;アルコール依存症に続く禁断症状を予防および/または治療するため;利尿のため;抗ナトリウム利尿のため;心血管系に影響を及ぼすため;覚醒を増加させるため;性欲を高めるため;運動活動を調節するため;または局所麻酔のために適合する。
【0032】
本発明による医薬品は、尿失禁または疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するために特に適合する。
【0033】
本発明による医薬品は、疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するために特に良好に適合する。
【0034】
本発明は、バニロイド受容体1(VR1/TRPV1)調節のため、特にバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)活性化のための医薬品の調製における、各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の1つの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合において適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある本発明による上記の一般式IまたはIaの少なくとも1つのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に1つまたは複数の医薬的に許容できるアジュバントの使用にさらに関する。
【0035】
好ましいのは、少なくともバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)によって部分的に介在される障害および/または疾患を予防および/または治療するための医薬品の調製における、各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の1つの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合において適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある本発明による上記の一般式IおよびIaの少なくとも1つのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に1つまたは複数の医薬的に許容できるアジュバントの使用である。
【0036】
特に好ましいのは、好ましくは疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛;関節痛;偏頭痛;うつ病;神経障害;神経外傷;神経変性疾患、より好ましくは多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患;認知障害、より好ましくは認知不全症、より好ましくは記憶障害;不安;てんかん;好ましくは喘息および肺炎からなる群から選択される気道疾患;咳;尿失禁;過活動膀胱(OAB);下痢;胃潰瘍;潰瘍性大腸炎;脳卒中;目の刺激;皮膚の刺激;神経症性皮膚疾患;炎症性疾患、好ましくは結腸の炎症;掻痒;食物摂取障害、より好ましくは多食症、悪液質、食欲不振症、および肥満症からなる群から選択される食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;医薬品依存症に続く禁断症状;医薬品に対する、より好ましくは天然もしくは合成オピオイドに対する免疫の発生;薬物依存性;薬物乱用;薬物依存症に続く禁断症状;アルコール依存症;アルコール中毒;アルコール依存症に続く禁断症状を予防および/または治療するため;利尿のため;抗ナトリウム利尿のため;心血管系に影響を及ぼすため;覚醒を増加させるため;性欲を高めるため;運動活動を調節するため;または局所麻酔のための、好ましくは尿失禁または疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するため、より好ましくは疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するための医薬品の調製における、各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の1つの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合において適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある本発明による上記の一般式IまたはIaの少なくとも1つのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および任意選択的に1つまたは複数の医薬的に許容できるアジュバントの使用である。
【0037】
本発明による医薬品は、成人ならびに幼児および乳児を含む小児へ投与するために適合する。
【0038】
本発明による薬剤は、液体、半固体、または固体製剤の形態で、例えば注射液、滴剤、ジュース剤、シロップ剤、スプレー剤、懸濁剤、錠剤、パッチ、カプセル剤、膏薬、坐剤、軟膏、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳剤、エアロゾル剤の形態、または多微粒子形、例えば、任意選択的に錠剤へ圧縮したり、カプセル内へ充填したり、液体中へ懸濁させたりできるペレット剤もしくは顆粒剤の形態で存在していてよく、さらにそれ自体で投与することもできる。
【0039】
各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の1つの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合において適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある本発明による上記の一般式IまたはIaの少なくとも1つのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドに加えて、本発明による医薬品は、好ましくは担体、充填剤、溶媒、希釈剤、界面活性剤、着色剤、保存料、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、フレーバー剤、およびカップリング剤からなる群から選択できる生理学的に許容できる医薬上のアジュバントをさらに含んでいる。
【0040】
生理学的に許容できるアジュバントの選択および使用すべきその量は、例えば皮膚、粘膜もしくは眼の感染に対して、薬剤を経口、皮下、非経口、静脈内、腹腔内、皮内、筋内、鼻腔内、口腔内、直腸内、または局所的に投与されるべきかどうかに依存する。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、顆粒剤、ペレット剤、ドロップ剤、ジュース剤、およびシロップ剤の形態にある調製物は、好ましくは経口投与のために適合するが、他方液剤、懸濁剤、容易に再構成可能な乾燥調製物およびスプレー剤は、非経口および局所投与ならびに吸入による投与のために適合する。
【0041】
デポー剤、溶解形、または膏薬内での、任意選択的に皮膚への浸透を促進する物質がさらに添加されている、本発明による医薬品中に使用される上記の一般式IおよびIaのパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドは、経皮的投与のための製剤に適合する。
【0042】
経口もしくは経皮的に使用できる製剤形は、さらにまた上記の一般式IおよびIaの各パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドの遅延放出を生じさせることもできる。
【0043】
本発明による医薬品の調製は、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,ed.A.R.Gennaro,17th Edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,especially in Part 8,Chapters 76 to 93に記載されているように、先行技術から知られている従来型の物質、器具、方法およびプロセスによって実施される。関連する説明は、本明細書に参照して組み込まれており、本開示の一部と見なすことができる。
【0044】
患者に投与すべき上記の一般式IまたはIaの各パラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドの量は変動してよく、例えば患者の体重もしくは年齢ならびに投与様式、適応および疾患の重症度に依存する。通常は0.005〜5,000mg/kg(患者の体重)、好ましくは0.05〜500mg/kgの少なくとも1つのそのような化合物が投与される。
【0045】
薬理学的方法:
バニロイド受容体1(VR1/TRPV1受容体)に関する機能試験
ヒト種およびラット種のバニロイド受容体1(VR1/TRPV1)に対する試験対象物質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性は、以下のアッセイを用いて決定できる。このアッセイによると、チャネルを通るCa2+流入は、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices社(米国サニーベール))内でCa2+感受性色素(Fluo−4型、Molecular Probes Europe BV社、オランダ国ライデン)によって定量される。
【0046】
方法:
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO K1細胞、European Collection of Cell Cultures(ECACC)、英国)をヒトまたはラットバニロイド受容体1(VR1)遺伝子により安定性にトランスフェクトする。機能試験のために、透明な底面を有する、ポリ−D−リシンでコーティングした黒色96ウェルプレート(BD Biosciences社(独国ハイデルベルク))上でこれらの細胞を25,000cells/ウェルの密度で播く。細胞は、10%(v/v)のFBS(ウシ胎児血清、Gibco lnvitrogen社(独国カールスルーエ)および18μg/mLのL−プロリン(Gibco Invitrogen社(独国カールスルーエ))を含む培養培地(Nutrient Mixture Ham’s F12、Gibco Invitrogen社(独国カールスルーエ))中において37℃および5% CO2で一晩インキュベートする。翌日、細胞にHBSS緩衝液(ハンクス緩衝食塩液、Gibco Invitrogen社(独国カールスルーエ))中の2μMのFluo−4および0.01%(v/v)のPluronic F127(Molecular Probes Europe BV社(オランダ国ライデン)を37℃で30分間にわたり添加する。次にプレートをHBSS緩衝液で3回洗浄し、室温でさらに15分間インキュベーションした後、FLIPRアッセイにおいてCa2+測定のために使用する。Ca2+依存性蛍光は、試験物質の添加前後に測定する(λex=488nm、λem=540nm)。定量は、最高蛍光強度(FC、蛍光計数)を経時的に測定することによって実行する。
【0047】
FLIPRアッセイ:
FLIPRプロトコールは、試験物質の2回の添加からなる。まず最初に試験物質(10μM)を細胞上へピペットで移し、Ca2+流入をコントロール(10μMのカプサイシン)と比較する。これにより10μMのカプサイシン(CP)の添加後のCa2+シグナルに基づく活性化率が得られる。5分間のインキュベーション後、100nMのカプサイシンを適用し、Ca2+の流入を同様に決定する。
【0048】
アゴニストおよびアンタゴニストの脱感作はCa2+流入の抑制を導く。最大達成可能阻害と比較した阻害率は、10μMのカプサイシンを用いて算出する。
【0049】
EC50値を決定するために、試験物質を様々な濃度で添加する。測定は3回ずつ実施し(n=3)、これらを少なくとも3回の独立実験で繰り返す(N=4)。
【0050】
2.マウスを対象とするライジング(writhing)試験を用いる鎮痛試験
本発明の式の化合物における鎮痛活性の分析は、I.C.Hendershot and J.Forsaith(1959)in J.Pharmacol.Exp.Ther.125,237−240による論文で記載されたように修飾された、マウスにおけるフェニルキノン誘導ライジングアッセイを用いて実施する。関連する説明は、本明細書に参照することにより組み込まれ、本開示の一部と見なすことができる。
【0051】
本試験のためには、25〜30gの体重を有する雄性NMRIマウスを使用する。1種の物質用量につき動物10匹からなる群に、試験物質の静脈内投与の10分後に、濃度0.02%のフェニルキノン水溶液(Sigma社製(ダイゼンホーフェン)から入手できるフェニルベンゾキノン溶液、5%のエタノールを添加して生成し、45℃の水浴中に保管する)の腹腔内投与(0.3mL/マウス)を実施する。動物は、観察用ケージ内に個別に収容した。プッシュボタン式カウンターを用いて、疼痛誘導性伸長運動(いわゆるライジング反応=後肢の伸びが付随する身体の伸長)の数をフェニルキノンの投与後5〜20分間の期間にわたり計数した。コントロールは、生理的食塩液しか投与されていない動物によって提供される。全物質を10mg/kgの標準用量で試験する。
【0052】
以下では、本発明を実施例を参照しながら説明する。これらの説明は、単に例として提供するものであり、本発明の全体的な発想を限定するものではない。
【実施例】
【0053】
調製した化合物の収率は最適化されていない。
【0054】
全温度は補正されていない。
【0055】
用語「当量」は物質の当量を意味し、「RT」は室温を意味し、「conc.」は濃縮を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「M」はmol/Lで記載した濃度であり、「aq.」は水性を意味する。
【0056】
その他の略語
BOP 1−ベンゾトリアゾリル−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウム
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DIPE ジイソプロピルエーテル
EA 酢酸エチル
【0057】
使用した化学物質および溶媒は、一般的な供給業者(Acros社、Avocado社、Aldrich社、Bachem社、Fluka社、Lancaster社、Maybridge社、Merck社、Sigma社、TCI社など)から市販で入手するか、または当業者に知られている従来方法によって合成した。
【0058】
E.Merck社(ダルムシュタット)によって供給されたシリカゲル60(0.040〜0.063mm)をカラムクロマトグラフィーのための固定相として使用した。
【0059】
薄層クロマトグラフィー分析は、E.Merck(ダルムシュタット)によって供給されたHPTLC用プレコーティングプレート、シリカゲル60 F254を用いて実施した。
【0060】
移動相またはクロマトグラフィー分析のための溶媒の混合比は、常にv/v(容積/容積)で記載した。
【0061】
分析は、質量分析法およびNMR分光法によって実施した。
【0062】
合成例4:
パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
a)パラ−tert−ブチル−トランス−ケイ皮酸の合成
19.20g(0.185mol)のマロン酸をピリジン(33mL)中に溶解させ、RTで15分間攪拌した。その後25.00g(0.154mmol)のパラ−tert−ブチルベンズアルデヒドおよび1.50mL(0.020mol)のピペリジンを加えた。反応混合物を攪拌しながら100℃で8時間加熱した。反応溶液を濃塩酸および氷の混合液中へ注入した後、RTでさらに2時間攪拌し続けた。結果として生じた沈降物を吸引によって濾過して取り出した。沈降物をメタノールにより再結晶化させると15.20g(0.074mol、理論値の48%)のパラ−tert−ブチル−トランス−ケイ皮酸が生成した。
【0063】
b)パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドの合成
400mg(1.96mmol)のパラ−tert−ブチル−トランス−ケイ皮酸を5℃でDMF(10mL)中に290mg(1.94mmol)の4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル−アミン塩酸塩および0.48mL(6.50mmol)のトリエチルアミンと一緒に溶解させた。DCM(9mL)中に870mg(1.97mmol)のBOPを含む溶液を添加した後、RTで16時間攪拌し続けた。次に反応溶液を水に注入し、DIPE/EA(1:1)の混合物を用いて2回抽出した。抽出物を含む有機相を2M当量の塩酸で洗浄し、1M当量の炭酸水素ナトリウム溶液を用いて3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去してDIPEにより再結晶化させた後に、384mg(1.13mmol、理論値の58%)のパラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドが得られた。
【0064】
以下の合成例1〜3および5〜9は、合成例4について記載した方法に類似する方法で調製した。
1.パラ−メチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
2.パラ−エチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
3.パラ−イソブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
5.パラ−プロピル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
6.パラ−イソ−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
7.パラ−ネオ−ペンチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
8.パラ−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
9.パラ−オクチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド
【0065】
薬理学的データ:
上述したFLIPRアッセイを用いて、ヒトおよびラットバニロイド受容体I(VR1/TRPV1受容体)に対するアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を決定した。
【0066】
試験した本発明によるパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドは、バニロイド受容体1(VR1/TRPV1受容体)に対して素晴らしいアゴニスト活性を示した。
【0067】
以下の表Iは、一般式Iに一致するパラ−アルキル置換トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドについての薬理学的データを示している。
【0068】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、Rは直鎖状もしくは分枝状アルキルラジカルを表す)の、
各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体の形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比での立体異性体、特にエナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体の混合物の形態にある、または各場合に適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にあるパラ−アルキル置換N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド。
【請求項2】
一般式Ia
【化2】

(式中、Rは直鎖状もしくは分枝状アルキルラジカルを表す)のそれらのトランス異性体の形態にある、
各場合に任意選択的にその純粋立体異性体、特にエナンチオマーの形態にある、それらのラセミ体の形態にある、または任意の所望の混合比でのエナンチオマーの混合物の形態にある、または各場合に適切な塩の形態にある、または各場合に適切な溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは直鎖状もしくは分枝状C1-20アルキルラジカル、
好ましくは直鎖状もしくは分枝状C1-10アルキルラジカル、
より好ましくはメチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;n−ブチル;イソブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;n−ペンチル;2−ペンチル;3−ペンチル;イソペンチル;ネオペンチル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;n−ヘキシル;2−ヘキシル;3−ヘキシル;イソヘキシル;ネオヘキシル;n−ヘプチル;2−ヘプチル;3−ヘプチル;4−ヘプチル;イソヘプチル;ネオヘプチル;n−オクチル;2−オクチル;3−オクチル;4−オクチル;イソオクチル;ネオオクチル;n−ノニル;2−ノニル;3−ノニル;4−ノニル;5−ノニル;イソノニル;ネオノニルおよびn−デシルからなる群から選択されるアルキルラジカル、
より好ましくは、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;n−ブチル;イソブチル;tert−ブチル;ネオペンチル;およびn−オクチルからなる群から選択されるアルキルラジカルを表すことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
[1]パラ−メチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[2]パラ−エチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[3]パラ−イソプロピル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[4]パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[5]パラ−プロピル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[6]パラ−イソブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[7]パラ−ネオペンチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、
[8]パラ−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミド、および
[9]パラ−オクチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドからなる群から選択される、
好ましくは
[4]パラ−tert−ブチル−トランス−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−ケイ皮酸アミドである、
各場合において任意選択的に塩の形態にある、または各場合において任意選択的に適切な溶媒和物の形態にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
一般式II
【化3】

(式中、Rは請求項1〜4のいずれか一項に記載した意味を有する)の少なくとも1つのアルデヒドが、任意選択的に反応溶媒中において、少なくとも1つの塩基の存在下で、マロン酸と反応させられ、結果として生じる任意選択的に適切な塩の形態にある一般式III
【化4】

(式中、Rは上述した意味を有する)のパラ−アルキル置換ケイ皮酸が、任意選択的に単離および任意選択的に精製され、反応溶媒中において、任意選択的に少なくとも1つの塩基の存在下、任意選択的に少なくとも1つの適切なカップリング剤の存在下で、任意選択的に適切な塩の形態にある4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミンと反応させられ、任意選択的に適切な塩の形態にある一般式I
【化5】

(式中、Rは上述した意味を有する)の化合物が生成され、前記化合物は任意選択的に精製および任意選択的に単離されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、および任意選択的に1つまたは複数の生理学的に許容できるアジュバントを含む医薬品。
【請求項7】
バニロイド受容体1(VR1/TRPV1受容体)によって少なくとも部分的に介在される障害および/または疾患を予防および/または治療するための、請求項6に記載の医薬品。
【請求項8】
疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛;関節痛;偏頭痛;うつ病;神経障害;神経外傷;より好ましくは多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患;認知障害、より好ましくは認知不全症、極めて好ましくは記憶障害;不安;てんかん;好ましくは喘息および肺炎からなる群から選択される気道疾患;咳;尿失禁;過活動膀胱(OAB);胃潰瘍;大腸炎症候群;脳卒中;目の刺激;皮膚の刺激;神経症性皮膚疾患;炎症性疾患、好ましくは結腸の炎症;下痢;掻痒;より好ましくは多食症、悪液質、食欲不振症、および肥満症からなる群から選択される食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;医薬品依存症に続く禁断症状;医薬品に対する、より好ましくは天然もしくは合成オピオイドに対する免疫の発生;薬物依存性;薬物乱用;薬物依存症に続く禁断症状;アルコール依存症を治療および/または予防するため;利尿のため;抗ナトリウム利尿のため;心血管系に影響を及ぼすため;覚醒を増加させるため;性欲を高めるため;運動活動を調節するため;または局所麻酔のための、請求項6または請求項7に記載の医薬品。
【請求項9】
バニロイド受容体1(VR1/TRPV1受容体)によって少なくとも部分的に介在される障害および/または疾患を予防および/または治療するための薬剤の調製における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項10】
疼痛、特に急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛;関節痛;偏頭痛;うつ病;神経障害;神経外傷;より好ましくは多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患;認知障害、より好ましくは認知不全症、極めて好ましくは記憶障害;不安;てんかん;好ましくは喘息および肺炎からなる群から選択される気道疾患;咳;尿失禁;過活動膀胱(OAB);胃潰瘍;大腸炎症候群;脳卒中;目の刺激;皮膚の刺激;神経症性皮膚疾患;炎症性疾患、好ましくは結腸の炎症;下痢;掻痒;より好ましくは多食症、悪液質、食欲不振症、および肥満症からなる群から選択される食物摂取障害;医薬品依存症;医薬品乱用;医薬品依存症に続く禁断症状;医薬品に対する、より好ましくは天然もしくは合成オピオイドに対する免疫の発生;薬物依存性;薬物乱用;薬物依存症に続く禁断症状;アルコール依存症を治療および/または予防するため;利尿のため;抗ナトリウム利尿のため;心血管系に影響を及ぼすため;覚醒を増加させるため;性欲を高めるため;運動活動を調節するため;または局所麻酔のための、好ましくは尿失禁を予防および/または治療するため、または疼痛、好ましくは急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するための医薬品を調製するため、より好ましくは疼痛、好ましくは急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、および内臓痛からなる群から選択される疼痛を予防および/または治療するための医薬品を調製するための医薬品の調製における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物の使用。

【公表番号】特表2008−509199(P2008−509199A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525297(P2007−525297)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053898
【国際公開番号】WO2006/018406
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(506003624)グリューネンタール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】