説明

パルス信号検出回路、内燃機関の点火装置及びパルス信号検出方法

【課題】機能を維持した上で低価格化できるパルス信号検出回路を提供する。
【解決手段】パルス信号検出回路は、正極性及び負極性の被検出パルスを繰り返し有する被検出パルス信号が入力され、正極性の被検出パルスに対応した第1パルス及び負極性の被検出パルスに対応した第1パルスと同じ極性の第2パルスを有する第1パルス信号と、正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成するパルス信号生成部20と、時間計測可能な端子に入力された第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間又は立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された第2パルス信号の第3パルスを検出し、時間を計測中に第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定する計測検出部21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス信号検出回路、内燃機関の点火装置及びパルス信号検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(エンジン)用の点火装置(例えばCDI)は、内燃機関のクランクシャフトに取り付けられたロータと、ロータの外周に設けられた2つのリラクタと、各リラクタの前端部および後端部を検出するピックアップコイルと、パルス信号(クランク角信号)検出回路と、パルス信号検出回路からの点火タイミングに従って内燃機関に点火する点火部と、を備えている。内燃機関のクランクシャフトが回転すると、ロータも回転する。ピックアップコイルは、ロータの回転に応じて、第1のリラクタの前端部を検出して正極性の被検出パルスを生成し、その後端部を検出して負極性の被検出パルスを生成する。また、第2のリラクタの前端部を検出して正極性の被検出パルスを生成し、その後端部を検出して負極性の被検出パルスを生成する。これにより、図8に示すように、ピックアップコイルは、クランクシャフトの回転に応じた正および負極性の被検出パルスを繰り返し有するエンジン回転パルス信号を出力する。
【0003】
パルス信号検出回路は、マイコンを用いてエンジン回転パルス信号の被検出パルスを検出する。また、マイコンは2つの被検出パルス間の時間を計測して、計測された時間と、所定の被検出パルスが検出されたタイミングと、に基づいて固定点火タイミングや演算点火タイミングを演算する。具体的には、パルス信号検出回路は、エンジン回転パルス信号の正極性の被検出パルスのみに対応したパルスを有する正パルス信号と、エンジン回転パルス信号の負極性の被検出パルスのみに対応したパルスを有する負パルス信号と、を生成する。正パルス信号はマイコンの時間計測可能な正パルス入力端子(インプットキャプチャ)に入力され、マイコンは正パルス信号のパルスに基づいて時間計測を行う。負パルス信号は時間計測可能なマイコンの負パルス入力端子(インプットキャプチャ)に入力され、マイコンは負パルス信号のパルスに基づいて時間計測を行う。このように、従来のパルス信号検出回路は、マイコンが有する時間計測可能な2つの入力端子(インプットキャプチャ)を用いて時間計測及び被検出パルスの検出を行っていた。
【0004】
上記点火装置に関連して、例えば、特許文献1に記載されている点火装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−176625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したパルス信号検出回路は低価格であることが好ましい。そこで、パルス信号検出回路のマイコンを、例えば、高価格な32ビットや16ビットのマイコンから低価格な8ビットや4ビットのマイコンに変更することが考えられる。
【0007】
しかしながら、8ビットや4ビットのマイコンは、ピン数が限られ、1つのインプットキャプチャのみを有する。1つのインプットキャプチャのみを用いた場合、正極性または負極性の何れかの被検出パルスのみを検出するので、被検出パルス間の時間計測および所定の被検出パルスの検出が出来ない。
【0008】
このように、従来のパルス信号検出回路は、2つのインプットキャプチャを有するマイコンが必要なため、機能を維持した上で低価格化できない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る実施例に従ったパルス信号検出回路は、
正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとを繰り返し有する被検出パルス信号が入力され、前記正極性の被検出パルスに対応した第1パルス、及び、前記負極性の被検出パルスに対応した前記第1パルスと同じ極性の第2パルスを有する第1パルス信号と、前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成するパルス信号生成部と、
時間計測可能な端子に入力された前記第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された前記第2パルス信号の前記第3パルスを検出し、前記時間を計測中に前記第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定する計測検出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記計測検出部は、前記第1パルス信号の前記第1パルスまたは前記第2パルスを検出した後、検出されたパルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御しても良い。
【0011】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記パルス信号生成部は、前記正極性の被検出パルスの立ち上がりで前記第1パルスを生成し、前記負極性の被検出パルスの立ち下がりで前記第2パルスを生成し、前記負極性の被検出パルスの立ち下がりで前記第3パルスを生成しても良い。
【0012】
さらに、前記パルス信号検出回路において、
前記第3パルスは、前記負極性の被検出パルスに対応しても良い。
【0013】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記パルス信号生成部は、
前記被検出パルス信号がアノードに加えられる第1のダイオードと、
前記被検出パルス信号がカソードに加えられる第2のダイオードと、
前記第1のダイオードのカソードに制御端子が接続され、接地に一端が接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の他端にカソードが接続された第3のダイオードと、
前記第3のダイオードのアノードと電源との間に接続された第1の抵抗と、
前記第2のダイオードのアノードに一端が接続され、接地に制御端子が接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の他端にカソードが接続され、前記第3のダイオードの前記アノードにアノードが接続された第4のダイオードと、
前記第4のダイオードのカソードと前記電源との間に接続された第2の抵抗と、を備え、
前記第1パルス信号は、前記第3のダイオードの前記アノードと、前記第4のダイオードの前記アノードと、前記第1の抵抗と、の接続点から出力され、
前記第2パルス信号は、前記第2のスイッチ素子の前記他端と、前記第4のダイオードの前記カソードと、前記第2の抵抗と、の接続点から出力されても良い。
【0014】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記パルス信号生成部は、
前記電源と前記第3のダイオードの前記カソードとの間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記電源と前記第4のダイオードの前記カソードとの間に接続された第4のスイッチ素子と、をさらに備え、
前記計測検出部は、
前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった時、前記第3のスイッチ素子をオンに制御するように第1の制御信号を出力し、
前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した時、前記第4のスイッチ素子をオンに制御するように第2の制御信号を出力しても良い。
【0015】
さらに、前記パルス信号検出回路において、
前記計測検出部は、
前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった状態が所定時間継続した時、前記第1の制御信号を出力し、
前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した状態が所定時間継続した時、前記第2の制御信号を出力しても良い。
【0016】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記第1のスイッチ素子、前記第2のスイッチ素子、前記第3のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子は、バイポーラトランジスタで構成されていても良い。
【0017】
また、前記パルス信号検出回路において、
前記第1のスイッチ素子の前記他端と、前記第3のダイオードの前記カソードと、の間に接続された第3の抵抗と、
前記第2のスイッチ素子の前記他端と、前記第4のダイオードの前記カソードと、の間に接続された第4の抵抗と、をさらに備えても良い。
【0018】
さらに、前記パルス信号検出回路において、
前記第3のスイッチ素子は、
前記電源にエミッタが接続され、前記第3のダイオードの前記カソードにコレクタが接続された第1のpnp型バイポーラトランジスタと、
前記第1のpnp型バイポーラトランジスタの前記エミッタとベースとの間に接続された第5の抵抗と、
前記第1のpnp型バイポーラトランジスタの前記ベースに一端が接続され、他端に前記計測検出部からの前記第1の制御信号が入力される第6の抵抗と、を有し、
前記第4のスイッチ素子は、
前記電源にエミッタが接続され、前記第4のダイオードの前記カソードにコレクタが接続された第2のpnp型バイポーラトランジスタと、
前記第2のpnp型バイポーラトランジスタの前記エミッタとベースとの間に接続された第7の抵抗と、
前記第2のpnp型バイポーラトランジスタの前記ベースに一端が接続され、他端に前記計測検出部からの前記第2の制御信号が入力される第8の抵抗と、を有しても良い。
【0019】
また、前記パルス信号検出回路において、
計測された前記時間と、前記第1パルスまたは前記第2パルスが検出されたタイミングと、に基づいて演算した点火タイミングに点火信号を出力する点火タイミング演算部を更に備えても良い。
【0020】
本発明の一態様に係る実施例に従った内燃機関の点火装置は、
内燃機関により駆動されるロータと、
前記ロータの外周に設けられた被検出素子と、
前記被検出素子の前端部および後端部を検出して、前記前端部に対応した正極性の被検出パルスと前記後端部に対応した負極性の被検出パルスとを有する被検出パルス信号を生成する被検出パルス生成部と、
前記被検出パルス信号が入力される上述したパルス信号検出回路と、
前記パルス信号検出回路から出力された前記点火信号に基づいて前記内燃機関に点火する点火部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る実施例に従ったパルス信号検出方法は、
正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとを繰り返し有する被検出パルス信号が入力され、前記正極性の被検出パルスに対応した第1パルス、及び、前記負極性の被検出パルスに対応した前記第1パルスと同じ極性の第2パルスを有する第1パルス信号と、前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成するパルス信号生成部と、
時間計測可能な端子およびパルス検出可能な端子を有する計測検出部と、を備えるパルス信号検出回路におけるパルス信号検出方法であって、
前記計測検出部により、前記時間計測可能な端子に入力された前記第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された前記第2パルス信号の前記第3パルスを検出し、前記時間を計測中に前記第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定するステップを含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記パルス信号検出方法において、
前記計測検出部により、前記第1パルス信号の前記第1パルスまたは前記第2パルスを検出した後、検出されたパルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップをさらに含んでも良い。
【0023】
また、前記パルス信号検出方法において、
前記第3パルスは、前記負極性の被検出パルスに対応し、
前記パルス信号生成部を制御するステップは、
前記計測検出部により、前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった時、前記第1パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、
前記計測検出部により、前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した時、前記第2パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、をさらに含んでも良い。
【0024】
また、前記パルス信号検出方法において、
前記パルス信号生成部を制御するステップは、
前記計測検出部により、前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった状態が所定時間継続した時、前記第1パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、
前記計測検出部により、前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した状態が所定時間継続した時、前記第2パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、をさらに含んでも良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係るパルス信号検出回路によれば、パルス信号生成部が、正及び負極性の被検出パルスを有する被検出パルス信号から、正極性の被検出パルスに対応した第1パルス及び負極性の被検出パルスに対応した第2パルスを有する第1パルス信号と、正/負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成する。そして、計測検出部が、時間計測可能な端子に入力された第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された第2パルス信号の第3パルスを検出する。これにより、時間を計測中に第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定するようにしている。よって、1つの時間計測可能な端子(インプットキャプチャ)と、1つのパルス検出可能な端子(汎用ポート)とにより、被検出パルス間の時間計測および被検出パルスの検出ができる。即ち、2つのインプットキャプチャを有していない低価格のマイコンを用いることができるので、パルス信号検出回路を低価格化できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る点火装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路の回路図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路の波形図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路の高回転時の波形図である。
【図5】図5は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路の回路図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路の波形図である。
【図7】図7は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路の計測検出部の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、従来のパルス信号検出回路の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係る点火装置の概略図である。図1に示すように、点火装置は、ロータ10と、2つのリラクタ(被検出素子)11,12と、ピックアップコイル(被検出パルス生成部)13と、パルス信号検出回路14と、点火部15と、を備える。この点火装置は、例えば、自動2輪車用の内燃機関に用いられる。
【0029】
ロータ10は、内燃機関(図示せず)のクランクシャフト(図示せず)に取り付けられており、内燃機関により駆動される。
2つのリラクタ11,12は、ロータ10の外周に所定の間隔を空けて設けられている。リラクタ12は、ロータ10の外周に沿ってリラクタ11より長い。
【0030】
ピックアップコイル13は、リラクタ11の前端部E1および後端部E2と、リラクタ12の前端部E3および後端部E4とを検出して、各前端部E1,E3に対応した正極性の被検出パルスと各後端部E2,E4に対応した負極性の被検出パルスとを有するエンジン回転パルス信号(被検出パルス信号)を生成する。これにより、ピックアップコイル13は、クランクシャフトの回転に応じた正および負極性の被検出パルスを繰り返し有するエンジン回転パルス信号を出力する。
【0031】
パルス信号検出回路14は、入力されたエンジン回転パルス信号における所定の被検出パルスを検出すると共に、2つの被検出パルス間の時間を計測する。また、パルス信号検出回路14は、計測された時間と、所定の被検出パルスが検出されたタイミングと、に基づいて演算した点火タイミングに点火信号を出力する。
点火部15は、点火信号に基づいて内燃機関に点火する。
【0032】
図2は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路14の回路図である。図2に示すように、パルス信号検出回路14は、パルス信号生成部20と、計測検出部21と、点火タイミング演算部22と、を備える。計測検出部21と点火タイミング演算部22は、マイコンMを用いて構成されている。マイコンMは、時間計測可能な端子(正負パルス入力端子:インプットキャプチャ)T1と、パルス検出可能な端子(負パルス入力端子:汎用ポート)T2と、を有する、例えば8ビットや4ビットのマイコンである。パルス検出可能な端子T2は、時間計測できない端子である。
【0033】
パルス信号生成部20は、第1のダイオードD1と、第2のダイオードD2と、第3のダイオードD3と、第4のダイオードD4と、npn型のバイポーラトランジスタQ1と、npn型のバイポーラトランジスタQ2と、抵抗R1〜R6と、容量C1〜C4と、を備える。トランジスタQ1は、第1のスイッチ素子SW1として機能する。トランジスタQ2は、第2のスイッチ素子SW2として機能する。
エンジン回転パルス信号は、第1のダイオードD1のアノードと、第2のダイオードD2のカソードに加えられる。
【0034】
トランジスタQ1は、第1のダイオードD1のカソードにベース(制御端子)が接続され、接地GNDにエミッタ(一端)が接続されている。
【0035】
容量C1と抵抗R1は、第1のダイオードD1のカソードと、接地GNDとの間に並列接続されている。これら容量C1と抵抗R1は、ローパスフィルタとして機能する。
【0036】
第3のダイオードD3は、抵抗(第3の抵抗)R2を介して、トランジスタQ1のコレクタ(他端)にカソードが接続されている。
【0037】
抵抗(第1の抵抗)R3は、第3のダイオードD3のアノードと電源VCCとの間に接続されている。
【0038】
容量C3は、第3のダイオードD3のアノードと接地GNDとの間に接続されていて、ローパスフィルタとして機能する。
【0039】
トランジスタQ2は、第2のダイオードD2のアノードにエミッタ(一端)が接続され、接地GNDにベース(制御端子)が接続されている。
【0040】
容量C2と抵抗R4は、第2のダイオードD2のアノードと、接地GNDとの間に並列接続されている。これら容量C2と抵抗R4は、ローパスフィルタとして機能する。
【0041】
第4のダイオードD4は、抵抗(第4の抵抗)R5を介して、トランジスタQ2のコレクタ(他端)にカソードが接続され、第3のダイオードD3のアノードにアノードが接続されている。
【0042】
抵抗(第2の抵抗)R6は、第4のダイオードD4のカソードと電源VCCとの間に接続されている。
【0043】
容量C4は、第4のダイオードD4のカソードと接地GNDとの間に接続されていて、ローパスフィルタとして機能する。
【0044】
第1パルス信号は、第3のダイオードD3のアノードと、第4のダイオードD4のアノードと、抵抗R3と、容量C3との接続点から出力される。第1パルス信号は、マイコンMの時間計測可能な端子T1に入力される。
【0045】
第2パルス信号は、抵抗R5と、第4のダイオードD4のカソードと、抵抗R6と、容量C4との接続点から出力される。第2パルス信号は、マイコンMのパルス検出可能な端子T2に入力される。
【0046】
次に、図3の波形図を参照して、パルス信号検出回路14の動作を説明する。
図3は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路14の波形図である。エンジン回転パルス信号は、正極性の被検出パルスP1,P3と負極性の被検出パルスP2,P4とを交互に繰り返し有する。1番目の正極性の被検出パルスP1は、図1のリラクタ11の前端部E1に対応し、時刻t1で基準レベルから正電位に立ち上がり、時刻t2で基準レベルに立ち下がる。ここでは、基準レベルは接地GNDの電位とする。1番目の負極性の被検出パルスP2は、リラクタ11の後端部E2に対応し、時刻t3で基準電位から負電位に立ち下がり、時刻t4で基準レベルに立ち上がる。2番目の正極性の被検出パルスP3は、リラクタ12の前端部E3に対応し、時刻t5で立ち上がり、時刻t6で立ち下がる。2番目の負極性の被検出パルスP4は、リラクタ11の後端部E4に対応し、時刻t7で立ち下がり、時刻t8で立ち上がる。
【0047】
ロータ10が1回転する間に、図3に示すように、正極性の被検出パルスP1、負極性の被検出パルスP2、正極性の被検出パルスP3および負極性の被検出パルスP4が、この順番に現れる。つまり、図3には、1周期のエンジン回転パルス信号が示されている。
【0048】
時刻t1において1番目の正極性の被検出パルスP1が立ち上がると、第1のダイオードD1が導通し、トランジスタQ1がオンする。すると、電源VCCから接地GNDに、抵抗R3と、第3のダイオードD3と、抵抗R2と、トランジスタQ1とを介して電流が流れる。これにより、第1パルス信号は時刻t1においてハイレベルからローレベルに立ち下がる。つまり、パルス信号生成部20は、正極性の被検出パルスP1の立ち上がりで、正極性の被検出パルスP1に対応した第1パルスP1aを生成する。ここでは、ハイレベルは電源VCCの電位である。
【0049】
このとき、第2のダイオードD2は導通しないので、トランジスタQ2はオフである。よって、第2パルス信号はハイレベルを維持する。ここで、第4のダイオードD4が存在するので、第2パルス信号がハイレベルであることは、第1パルス信号に影響しない。
【0050】
時刻t2において1番目の正極性の被検出パルスP1が立ち下がると、第1のダイオードD1が導通しなくなるので、トランジスタQ1がオフする。これにより、抵抗R3を介して電源VCCの電位が供給されて、第1パルス信号はローレベルからハイレベルに立ち上がる。
【0051】
次に、時刻t3において1番目の負極性の被検出パルスP2が立ち下がると、第2のダイオードD2が導通し、トランジスタQ2がオンする。すると、電源VCCから第2のダイオードD2に、抵抗R3と、第4のダイオードD4と、抵抗R5と、トランジスタQ2とを介して電流が流れる。また、電源VCCから第2のダイオードD2に、抵抗R6と、第4のダイオードD4と、抵抗R5と、トランジスタQ2とを介して電流が流れる。これにより、第1パルス信号および第2パルス信号は時刻t3においてハイレベルからローレベルに立ち下がる。つまり、パルス信号生成部20は、負極性の被検出パルスP2の立ち下がりで、負極性の被検出パルスP2に対応した第2パルスP2aおよび第3パルスP3aを生成する。
このとき、第1のダイオードD1は導通しないので、トランジスタQ1はオフである。
【0052】
時刻t4において1番目の負極性の被検出パルスP2が立ち上がると、第2のダイオードD2が導通しなくなるので、トランジスタQ2がオフする。これにより、抵抗R3と抵抗R6を介して電源VCCの電位が供給されて、第1パルス信号及び第2パルス信号はハイレベルに立ち上がる。
【0053】
次に、時刻t5において2番目の正極性の被検出パルスP3が立ち上がると、上述した説明と同様に、第1パルス信号はローレベルに立ち下がる。時刻t6において2番目の正極性の被検出パルスP3が立ち下がると、第1パルス信号はハイレベルに立ち上がる。つまり、パルス信号生成部20は、正極性の被検出パルスP3の立ち上がりで、第1パルスP1bを生成する。
【0054】
次に、時刻t7において2番目の負極性の被検出パルスP4が立ち下がると、第1パルス信号及び第2パルス信号はローレベルに立ち下がる。時刻t8において2番目の負極性の被検出パルスP4が立ち上がると、第1パルス信号及び第2パルス信号はハイレベルに立ち上がる。つまり、パルス信号生成部20は、負極性の被検出パルスP4の立ち下がりで、第2パルスP2bおよび第3パルスP3bを生成する。
【0055】
計測検出部21は、時間計測可能な端子T1に入力された第1パルス信号の1番目の第1パルスP1aの立ち下がり(時刻t1)と、1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3)との間の時間を計測する。また、1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3)と、次の2番目の第1パルスP1bの立ち下がり(時刻t5)との間の時間、および、2番目の第1パルスP1bの立ち下がり(時刻t5)と、次の2番目の第2パルスP2bの立ち下がり(時刻t7)との間の時間も計測する。また、2番目の第2パルスP2bの立ち下がり(時刻t7)と、次の1番目の第1パルスP1aの立ち下がり(図示せず)との間の時間を計測しても良い。即ち、計測検出部21は、時間計測可能な端子T1に入力された第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測する。
【0056】
さらに、計測検出部21は、パルス検出可能な端子T2に入力された第2パルス信号の第3パルスP3a,P3bを検出して、第1パルス信号のパルス極性を判別する。これにより、計測検出部21は、時間を計測中に第3パルスP3a,P3bが検出されたか否かにより、計測された時間が正極性の被検出パルスP1,P3と負極性の被検出パルスP2,P4との何れに関係する時間であるか特定する。つまり、図3の例では、時刻t1から時刻t3の時間および時刻t5から時刻t7の時間を計測中には、計測検出部21は第3パルスP3a,P3bを検出しないので、これらの計測された時間が正極性の被検出パルスP1,P3に関係する時間であることを特定する。また、時刻t3から時刻t5の時間および時刻t7からの時間を計測中には、計測検出部21は第3パルスP3aまたは第3パルスP3bを検出するので、この計測された時間が負極性の被検出パルスP2,P4に関係する時間であることを特定する。
【0057】
また、点火タイミング演算部22は、このようにして計測検出部21で計測された時間と、第1パルスP1a,P1bまたは第2パルスP2a,P2bが検出されたタイミングと、に基づいて演算した点火タイミング(点火時期)に、点火信号を出力する。例えば、点火タイミング演算部22は、1番目の第1パルスP1aが検出された時刻t1と、時刻t1からロータ10が1回転した後の1番目の第1パルスP1a(図示せず)が検出された時刻と、の間の時間(1周期の時間)からエンジン回転数を特定する。そして、例えば、点火タイミング演算部22は、特定されたエンジン回転数が所定回転数より低い場合に固定点火タイミングを演算し、エンジン回転数が所定回転数以上の場合に演算点火タイミングを演算する。
【0058】
固定点火タイミングは、固定された点火タイミングである。点火タイミング演算部22は、例えば、2番目の第2パルスP2bが検出された時刻t7に所定の固定点火出力時間を加えた固定点火タイミングを演算する。そして、演算した固定点火タイミングに点火信号(固定点火出力信号)を出力する。
【0059】
演算点火タイミングは、エンジン回転数に応じて変化する点火タイミングである。点火タイミング演算部22は、例えば、2番目の第1パルスP1bが検出された時刻t5に演算点火出力時間を加えた演算点火タイミングを演算する。そして、演算した演算点火タイミングに点火信号(演算点火出力信号)を出力する。演算点火出力時間は、エンジン回転数に応じて変化する時間であり、予め各エンジン回転数に対応付けられてテーブルに記録されている。このテーブルは、点火タイミング演算部22に記憶されている。
【0060】
また、1番目の第1パルスP1aの立ち下がり(時刻t1)と1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3)との間の時間などと、第1パルスP1a,P1bまたは第2パルスP2a,P2bが検出されたタイミングと、に基づいて点火タイミングを演算しても良い。
【0061】
以上で説明した様に、本実施例によれば、パルス信号生成部20が、正及び負極性の被検出パルスP1〜P4を有するエンジン回転パルス信号から、正極性の被検出パルスP1,P3に対応した第1パルスP1a,P1b及び負極性の被検出パルスP2,P4に対応した第2パルスP2a,P2bを有する第1パルス信号と、負極性の被検出パルスP2,P4に対応した第3パルスP3a,P3bを有する第2パルス信号と、を生成する。そして、計測検出部21が、時間計測可能な端子T1に入力された第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子T2に入力された第2パルス信号の第3パルスP3a,P3bを検出する。これにより、時間を計測中に第3パルスP3a,P3bが検出されたか否かにより、計測された時間が正極性の被検出パルスP1,P3と負極性の被検出パルスP2,P4との何れに関係する時間であるか特定するようにしている。よって、1つの時間計測可能な端子(インプットキャプチャ)T1と、1つのパルス検出可能な端子(汎用ポート)T2とにより、2つの被検出パルス間の時間計測および被検出パルスの検出ができる。即ち、2つのインプットキャプチャを有していない低価格のマイコンを用いることができるので、パルス信号検出回路14を低価格化できる。
【0062】
ここで、上述した実施例1の構成において、内燃機関の回転数が高くなり、図3よりエンジン回転パルス信号のパルス間隔が短くなった場合について説明する。
【0063】
図4は、本発明の実施例1に係るパルス信号検出回路14の高回転時の波形図である。図4に示すように、内燃機関が図3の例より高回転(例えば、10000rpm以上)で動作すると、第1パルス信号について、1番目の第1パルスP1aの立ち上がり(時刻t2a)と、次の1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3a)との間の時間が、図3の例より短くなる。時刻t4aと時刻t5aとの間の時間も同様に短くなる。よって、計測検出部21が1番目の第1パルスP1aの立ち上がり(時刻t2a)を検出する前に、1番目の第2パルスP2aは立ち下がる(時刻t3a)ため、計測検出部21は1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3a)を検出できない。同様に、計測検出部21は2番目の第1パルスP1bの立ち下がり(時刻t5a)も検出できない。
【実施例2】
【0064】
実施例2は、内燃機関の回転数が実施例1より高くなった場合にも対応できるようにしたパルス信号検出回路に関する。
【0065】
図5は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路の回路図である。図5に示すように、パルス信号検出回路14aは、パルス信号生成部20aと、計測検出部21aと、点火タイミング演算部22と、を備える。計測検出部21aと点火タイミング演算部22は、マイコンMを用いて構成されている。マイコンMは、実施例1と同様な時間計測可能な端子T1及びパルス検出可能な端子T2に加え、正パルス遮断信号出力端子T3と、負パルス遮断信号出力端子T4と、をさらに有する。
【0066】
パルス信号生成部20aは、実施例1のパルス信号生成部20の構成に加え、第3のスイッチ素子SW3と、第4のスイッチ素子SW4と、をさらに備える。第3のスイッチ素子SW3は、電源VCCと第3のダイオードD3のカソードとの間に接続されている。第4のスイッチ素子SW4は、電源VCCと第4のダイオードD4のカソードとの間に接続されている。
【0067】
第3のスイッチ素子SW3は、第1のpnp型バイポーラトランジスタQ3と、抵抗(第5の抵抗)R7と、抵抗(第6の抵抗)R8とを有する。
【0068】
第1のpnp型バイポーラトランジスタQ3は、電源VCCにエミッタが接続され、第3のダイオードD3のカソードにコレクタが接続されている。
【0069】
抵抗R7は、第1のpnp型バイポーラトランジスタQ3のエミッタとベースとの間に接続されている。
【0070】
抵抗R8は、第1のpnp型バイポーラトランジスタQ3のベースに一端が接続され、他端にマイコンMの正パルス遮断信号出力端子T3から正パルス遮断信号(第1の制御信号)が入力される。
【0071】
第4のスイッチ素子SW4は、第2のpnp型バイポーラトランジスタQ4と、抵抗(第7の抵抗)R9と、抵抗(第8の抵抗)R10と、を有する。
【0072】
第2のpnp型バイポーラトランジスタQ4は、電源VCCにエミッタが接続され、第4のダイオードD4のカソードにコレクタが接続されている。
【0073】
抵抗R9は、第2のpnp型バイポーラトランジスタQ4のエミッタとベースとの間に接続されている。
【0074】
抵抗R10は、第2のpnp型バイポーラトランジスタQ4のベースに一端が接続され、他端にマイコンMの負パルス遮断信号出力端子T4から負パルス遮断信号(第2の制御信号)が入力される。
【0075】
計測検出部21aは、第1パルスP1a,P1bと第2パルスP2a,P2bとの何れかが検出されると共に第3パルスP3a,P3bが検出されない時、第3のスイッチ素子SW3をオンに制御するように正パルス遮断信号を正パルス遮断信号出力端子T3から出力する。また、計測検出部21は、第1パルスP1a,P1bと第2パルスP2a,P2bとの何れかが検出されると共に第3パルスP3a,P3bが検出される時、第4のスイッチ素子をオンに制御するように負パルス遮断信号を負パルス遮断信号出力端子T4から出力する。
【0076】
その他の構成は、図2の実施例1と同一であるため、同一の要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
次に、図6の波形図と図7のフローチャートを参照して、パルス信号検出回路14aの動作を説明する。
【0078】
図6は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路14aの波形図である。この図6は、内燃機関が図3の実施例1より高回転(例えば、10000rpm以上)で動作している場合の波形図である。つまり、図6のエンジン回転パルス信号は、図4の波形図のエンジン回転パルス信号に対応する。
【0079】
図7は、本発明の実施例2に係るパルス信号検出回路14aの計測検出部21aの動作を示すフローチャートである。
【0080】
図6の時刻t1aにおいて1番目の正極性の被検出パルスが基準レベルから立ち上がると、実施例1と同様に、第1パルス信号はローレベルに立ち下がる(第1パルスP1a)。計測検出部21aは、第1パルスP1aを検出すると、実行中の処理を中断して、図7のフローチャートに従って割り込み処理を開始する。
【0081】
まず、計測検出部21aは、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態が正パルス状態と一致するか否か判定する(ステップS10)。計測検出部21aは、時刻t1aでは第2パルス信号の第3パルスP3a,P3bが検出されていないので、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態は正パルス状態と一致すると判定して(ステップS10;Yes)、次に、正パルス状態がフィルタ時間継続しているか否か判定する(ステップS11)。
【0082】
フィルタ時間は、例えば、20μsなどである。フィルタ時間の間、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態が正パルス状態と一致するか複数回の判定を行うようにしても良い。
【0083】
正パルス状態がフィルタ時間継続していない場合(ステップS11;No)、割り込み処理を終了する。これにより、計測検出部21aは、フィルタ時間より短いノイズ等に反応しないようにできる。
【0084】
計測検出部21aは、正パルス状態がフィルタ時間継続している場合(ステップS11;Yes)、時刻t1bにおいて、正パルス遮断信号をハイレベルからローレベルにオンする(ステップS12)。
【0085】
次に、計測検出部21aは、時刻t1bにおいて負パルス遮断信号をローレベルからハイレベルにオフして(ステップS13)、割り込み処理を終了する。
【0086】
時刻t1bで正パルス遮断信号がローレベルになることにより、電源VCCから抵抗R7,R8に電流が流れ、トランジスタQ3のベースがローレベルになるので、トランジスタQ3がオンする。すると、トランジスタQ1がオンしていても、トランジスタQ3を介してトランジスタQ1に電流が流れるので、ダイオードD3のカソードの電位が上昇する。これにより、抵抗R3とダイオードD3を介してトランジスタQ1に電流が流れないようになる。従って、第1パルス信号は、抵抗R3と容量C3の時定数に基づいて徐々にハイレベルに上昇する。
【0087】
時刻t2aにおいて1番目の正極性の被検出パルスP1が立ち下がると、トランジスタQ1がオフする。しかし、このことは第1パルス信号には影響しない。
【0088】
次に、時刻t3aにおいて1番目の負極性の被検出パルスP2が基準レベルから立ち下がると、実施例1と同様に、第1パルス信号はローレベルに立ち下がり(第2パルスP2a)、第2パルス信号もローレベルに立ち下がる(第3パルスP3a)。計測検出部21aは、第2パルスP2aを検出すると、実行中の処理を中断して、再び図7のフローチャートに従って割り込み処理を開始する。
【0089】
割り込み処理において、まず、計測検出部21aは、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態が正パルス状態と一致するか否か判定する(ステップS10)。計測検出部21aは、時刻t3aでは第2パルス信号の第3パルスP3aが検出されているので、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態は正パルス状態と一致しないと判定する(ステップS10;No)。
【0090】
次に、計測検出部21aは、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態が負パルス状態と一致するか否か判定する(ステップS14)。計測検出部21aは、前述のように時刻t3aでは第2パルス信号の第3パルスP3aが検出されているので、第1パルス信号及び第2パルス信号の状態は負パルス状態と一致すると判定して(ステップS14;Yes)、次に、負パルス状態がフィルタ時間継続しているか否か判定する(ステップS15)。
【0091】
負パルス状態がフィルタ時間継続していない場合(ステップS15;No)、割り込み処理を終了する。
【0092】
計測検出部21aは、負パルス状態がフィルタ時間継続している場合(ステップS15;Yes)、時刻t3bにおいて、正パルス遮断信号をローレベルからハイレベルにオフする(ステップS16)。
【0093】
次に、計測検出部21aは、時刻t3bにおいて負パルス遮断信号をハイレベルからローレベルにオンして(ステップS17)、割り込み処理を終了する。
【0094】
時刻t3bで負パルス遮断信号がローレベルになることにより、電源VCCから抵抗R9,R10に電流が流れ、トランジスタQ4のベースがローレベルになるので、トランジスタQ4がオンする。すると、トランジスタQ2がオンしていても、トランジスタQ4を介してトランジスタQ2に電流が流れるので、ダイオードD4のカソードの電位が上昇する。これにより、抵抗R3とダイオードD4を介してトランジスタQ2に電流が流れないようになる。従って、第1パルス信号は、抵抗R3と容量C3の時定数に基づいて徐々にハイレベルに上昇する。一方、時刻t3bで、端子T2はオン状態のトランジスタQ4を介して電源VCCに接続されるため、第2パルス信号は、抵抗R6と容量C4の時定数に拘らず、瞬時にハイレベルに上昇する。
【0095】
時刻t4aにおいて1番目の負極性の被検出パルスP2が基準レベルに立ち上がると、トランジスタQ2がオフする。しかし、このことは第1パルス信号には影響しない。
時刻t4a以降の処理も、以上の処理と同様である。
【0096】
なお、ステップS14において、計測検出部21aが第1パルス信号及び第2パルス信号の状態は負パルス状態と一致しないと判定した場合(ステップS14;No)、パルス異常処理(例えば、計測検出部21aのリセット処理)を行い(ステップS18)、割り込み処理を終了する。
【0097】
このように、計測検出部21aは、第1パルス信号の第1パルスP1a,P1bまたは第2パルスP2a,P2bを検出した後、検出されたパルスを消滅させるようにパルス信号生成部20aを制御する。
【0098】
以上の構成により、第1パルス信号の1番目の第1パルスP1aは、時刻t2aより前に立ち上がっているので、計測検出部21aは、1番目の第1パルスP1aの立ち上がりを検出した後に、余裕を持って1番目の第2パルスP2aの立ち下がり(時刻t3a)を検出できる。同様に、計測検出部21aは2番目の第1パルスP1bの立ち下がり(時刻t5a)も検出できる。従って、本実施例によれば、内燃機関の回転数が実施例1より高回転であっても、第1パルス信号の第1パルスP1a,P1b及び第2パルスP2a,P2bを検出できる。即ち、2つのインプットキャプチャを有していない低価格のマイコンを用いた上で、従来のパルス信号検出回路と同等の回転数(例えば、15000rpm)を検出できる。
また、実施例1の他の効果も得られる。
【符号の説明】
【0099】
10 ロータ
11,12 リラクタ(被検出素子)
13 ピックアップコイル(被検出パルス生成部)
14,14a パルス信号検出回路
15 点火部
20,20a パルス信号生成部
21,21a 計測検出部
22 点火タイミング演算部
M マイコン
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
D3 第3のダイオード
D4 第4のダイオード
Q1 npn型のバイポーラトランジスタ
Q2 npn型のバイポーラトランジスタ
R1〜R10 抵抗
C1〜C4 容量
SW1 第1のスイッチ素子
SW2 第2のスイッチ素子
SW3 第3のスイッチ素子
SW4 第4のスイッチ素子
Q3 第1のpnp型バイポーラトランジスタ
Q4 第2のpnp型バイポーラトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとを繰り返し有する被検出パルス信号が入力され、前記正極性の被検出パルスに対応した第1パルス、及び、前記負極性の被検出パルスに対応した前記第1パルスと同じ極性の第2パルスを有する第1パルス信号と、前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成するパルス信号生成部と、
時間計測可能な端子に入力された前記第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された前記第2パルス信号の前記第3パルスを検出し、前記時間を計測中に前記第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定する計測検出部と、を備える
ことを特徴とするパルス信号検出回路。
【請求項2】
前記計測検出部は、前記第1パルス信号の前記第1パルスまたは前記第2パルスを検出した後、検出されたパルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のパルス信号検出回路。
【請求項3】
前記パルス信号生成部は、前記正極性の被検出パルスの立ち上がりで前記第1パルスを生成し、前記負極性の被検出パルスの立ち下がりで前記第2パルスを生成し、前記負極性の被検出パルスの立ち下がりで前記第3パルスを生成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパルス信号検出回路。
【請求項4】
前記第3パルスは、前記負極性の被検出パルスに対応する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のパルス信号検出回路。
【請求項5】
前記パルス信号生成部は、
前記被検出パルス信号がアノードに加えられる第1のダイオードと、
前記被検出パルス信号がカソードに加えられる第2のダイオードと、
前記第1のダイオードのカソードに制御端子が接続され、接地に一端が接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の他端にカソードが接続された第3のダイオードと、
前記第3のダイオードのアノードと電源との間に接続された第1の抵抗と、
前記第2のダイオードのアノードに一端が接続され、接地に制御端子が接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の他端にカソードが接続され、前記第3のダイオードの前記アノードにアノードが接続された第4のダイオードと、
前記第4のダイオードのカソードと前記電源との間に接続された第2の抵抗と、を備え、
前記第1パルス信号は、前記第3のダイオードの前記アノードと、前記第4のダイオードの前記アノードと、前記第1の抵抗と、の接続点から出力され、
前記第2パルス信号は、前記第2のスイッチ素子の前記他端と、前記第4のダイオードの前記カソードと、前記第2の抵抗と、の接続点から出力される
ことを特徴とする請求項4に記載のパルス信号検出回路。
【請求項6】
前記パルス信号生成部は、
前記電源と前記第3のダイオードの前記カソードとの間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記電源と前記第4のダイオードの前記カソードとの間に接続された第4のスイッチ素子と、をさらに備え、
前記計測検出部は、
前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった時、前記第3のスイッチ素子をオンに制御するように第1の制御信号を出力し、
前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した時、前記第4のスイッチ素子をオンに制御するように第2の制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項5に記載のパルス信号検出回路。
【請求項7】
前記計測検出部は、
前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった状態が所定時間継続した時、前記第1の制御信号を出力し、
前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した状態が所定時間継続した時、前記第2の制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載のパルス信号検出回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチ素子、前記第2のスイッチ素子、前記第3のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子は、バイポーラトランジスタで構成されている
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のパルス信号検出回路。
【請求項9】
前記第1のスイッチ素子の前記他端と、前記第3のダイオードの前記カソードと、の間に接続された第3の抵抗と、
前記第2のスイッチ素子の前記他端と、前記第4のダイオードの前記カソードと、の間に接続された第4の抵抗と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項5から請求項8の何れかに記載のパルス信号検出回路。
【請求項10】
前記第3のスイッチ素子は、
前記電源にエミッタが接続され、前記第3のダイオードの前記カソードにコレクタが接続された第1のpnp型バイポーラトランジスタと、
前記第1のpnp型バイポーラトランジスタの前記エミッタとベースとの間に接続された第5の抵抗と、
前記第1のpnp型バイポーラトランジスタの前記ベースに一端が接続され、他端に前記計測検出部からの前記第1の制御信号が入力される第6の抵抗と、を有し、
前記第4のスイッチ素子は、
前記電源にエミッタが接続され、前記第4のダイオードの前記カソードにコレクタが接続された第2のpnp型バイポーラトランジスタと、
前記第2のpnp型バイポーラトランジスタの前記エミッタとベースとの間に接続された第7の抵抗と、
前記第2のpnp型バイポーラトランジスタの前記ベースに一端が接続され、他端に前記計測検出部からの前記第2の制御信号が入力される第8の抵抗と、を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のパルス信号検出回路。
【請求項11】
計測された前記時間と、前記第1パルスまたは前記第2パルスが検出されたタイミングと、に基づいて演算した点火タイミングに点火信号を出力する点火タイミング演算部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載のパルス信号検出回路。
【請求項12】
内燃機関により駆動されるロータと、
前記ロータの外周に設けられた被検出素子と、
前記被検出素子の前端部および後端部を検出して、前記前端部に対応した正極性の被検出パルスと前記後端部に対応した負極性の被検出パルスとを有する被検出パルス信号を生成する被検出パルス生成部と、
前記被検出パルス信号が入力される請求項11に記載のパルス信号検出回路と、
前記パルス信号検出回路から出力された前記点火信号に基づいて前記内燃機関に点火する点火部と、を備える
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項13】
正極性の被検出パルスと負極性の被検出パルスとを繰り返し有する被検出パルス信号が入力され、前記正極性の被検出パルスに対応した第1パルス、及び、前記負極性の被検出パルスに対応した前記第1パルスと同じ極性の第2パルスを有する第1パルス信号と、前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスの何れかに対応した第3パルスを有する第2パルス信号と、を生成するパルス信号生成部と、
時間計測可能な端子およびパルス検出可能な端子を有する計測検出部と、を備えるパルス信号検出回路におけるパルス信号検出方法であって、
前記計測検出部により、前記時間計測可能な端子に入力された前記第1パルス信号の2つのパルスの立ち上がり間の時間または立ち下がり間の時間を計測すると共に、パルス検出可能な端子に入力された前記第2パルス信号の前記第3パルスを検出し、前記時間を計測中に前記第3パルスが検出されたか否かにより、計測された時間が前記正極性の被検出パルスと前記負極性の被検出パルスとの何れに関係する時間であるか特定するステップを含む
ことを特徴とするパルス信号検出方法。
【請求項14】
前記計測検出部により、前記第1パルス信号の前記第1パルスまたは前記第2パルスを検出した後、検出されたパルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項13に記載のパルス信号検出方法。
【請求項15】
前記第3パルスは、前記負極性の被検出パルスに対応し、
前記パルス信号生成部を制御するステップは、
前記計測検出部により、前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった時、前記第1パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、
前記計測検出部により、前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した時、前記第2パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項14に記載のパルス信号検出方法。
【請求項16】
前記パルス信号生成部を制御するステップは、
前記計測検出部により、前記第1パルスを検出したと共に前記第3パルスを検出しなかった状態が所定時間継続した時、前記第1パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、
前記計測検出部により、前記第2パルスおよび前記第3パルスを検出した状態が所定時間継続した時、前記第2パルスを消滅させるように前記パルス信号生成部を制御するステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項14に記載のパルス信号検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−172613(P2012−172613A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36150(P2011−36150)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】