説明

パーソナルナビゲーション装置における自動利得制御

一例では、ブルートゥースイネーブル型ナビゲーション装置は携帯電話とペアになって、携帯電話を用いて複数の調整用送信をそれぞれ異なる送信電力利得量でリモートサーバに送信する。これらの調整用送信は携帯電話及びその無線通信ネットワークの音声チャネルを経由する送信のために音声を合成する周波数トーンを用いて符号化される。ナビゲーション装置は次に前記調整用送信に対する受信応答に基づいて送信電力を調整し、調整した送信電力設定を当該携帯電話を用いるリモートサーバへの次の送信のために使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(著作権情報)
(C)2010エアビクティ社。本出願の開示の一部は、著作権保護の対象となる題材を含む。著作権者は、特許商標庁に出願され、登録された本件または特許開示の複製に対して異議を唱えるものではない。しかし、その他のいかなる場合も、全ての著作権を留保する(米国特許規則1.71(d))。
【0002】
ナビゲーション装置(パーソナルナビゲーション装置(PND)及び車内電子機器を含む)はナビゲーション装置の位置に基づく情報をユーザに出力する。これらのナビゲーション装置は一般に全地球測位システム(GPS)を利用して位置を決定し、スピーカ及び/又はディスプレイを用いて地図情報、方向などを出力するものである。
【背景技術】
【0003】
ナビゲーション装置により提供される機能を拡張及び/又は向上し続けるためには、ナビゲーション装置がインターネットなどへのネットワークアクセスを得る機会を最大にする必要がある。以下に開示する本発明はこの問題及びその他の問題を解決する。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの特徴の基本的な理解を与えるために以下に本発明の概要を記載する。この概要は本発明の主要な/重要な要素を特定することを意図するものでも本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。その唯一の目的は、本発明のいくつかのコンセプトを後記のより詳細な説明に対する前置きとして簡略化して提示することにある。
【0005】
一例では、ブルートゥース(登録商標)イネーブル型ナビゲーション装置は携帯電話とペアになって、携帯電話を用いて複数の調整用送信をそれぞれ異なる送信電力利得量でリモートサーバに送信する。これらの調整用送信は、携帯電話及びその無線通信ネットワークの音声チャネルを経由する送信のために音声を合成するトーン周波数を用いて符号化される。ナビゲーション装置は次に調整用送信に対する受信応答に従って送信電力の設定を調整し、調整した送信電力の設定を、当該携帯電話を用いるリモートサーバへの次の送信のために使用する。本発明の追加の特徴及び利点は添付図面を参照して進められる好適実施形態の下記の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ブルートゥース可能型携帯電話を用いてリモートサーバにアクセスするナビゲーション装置を備えるシステムを示す。
【図2】図1に示すナビゲーション装置に加えて、ナビゲーション装置とリモートサーバとの間の送信電力利得調整のための相互作用を示す。
【図3】図1及び図2に示すナビゲーション装置がどのように送信電力利得を調整するかを示す。
【図4】図1及び図2に示すサーバがどのように送信電力利得を調整するかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1はブルートゥース可能型携帯電話を用いてリモートサーバにアクセスするシナビゲーション装置を備えるステムを示す。
【0008】
システム100は、携帯電話1A−Bの利用可能な一つを介してリモートインターネットプロトコル(IP)サーバ15にデータをアップロードするように構成されたナビゲーション装置5を含む。ソフトウェア8がソフトウェア18と調整用通信を交換して送信電力利得を少なくとも電話ごとに調整し、その後調整した送信電力利得量を携帯電話1A−Bのどれが現在使用可能であるかに従って使用する。この少なくとも電話ごとの調整は、ナビゲーション装置5が様々な携帯電話及び無線通信ネットワークを介してリモートサーバ15と通信することを可能にし、ひいてはナビゲーション装置5の通信機会を最大にする。
【0009】
このような調整がナビゲーション装置5のサーバ15との通信機会をどのように最大にするかを正しく認識するために、ナビゲーション装置5からサーバ15へ送信される通信が携帯電話1A又は1Bのどちらが使用されるかに応じてどのように異なって処理されるかについて考察する。最初に、携帯電話1A及び1Bのどちらが使用されるかに応じて、通信はボコーダ20及び21などの異なる通信回路で処理される。ボコーダ20及び21の各々は、例えば電力利得を異なる量だけ変化させることによって信号の電力利得に異なる影響を与え得る。更に、携帯電話1A及び1Bとそれぞれ関連する異なる無線通信ネットワーク26及び27も異なるボコーダ22及び23を有し、信号に異なる影響を与え得る。これらの差異の結果として、少なくとも電話ごとの調整のない場合には、レシーバはどのような組み合わせのボコーダが送信を処理するかに応じて弱すぎる又は強すぎる信号を受信し得る。サーバ15及び/又はその帯域内シグナリング(IBS)モデム19は弱すぎる又は強すぎる信号の回復により生じる誤りを検出し、再送信を要求することができるが、このような再送信は時間を要し、依然として弱すぎる又は強すぎる信号を生じ得る。
【0010】
対照的に、システム100は、送信電力利得を電話ごとに調整し、ナビゲーション装置5によりどちらの伝送路30A又は30Bが使用されるかとは無関係に、ナビゲーション装置5からの送信29AをIBS19によって無誤り又は最小の誤りで受信することを可能にする。換言すれば、送信29B及び29Cは伝送路30A及び30Bの間の差異にもかかわらずほぼ同等の電力利得を有することができる。
【0011】
この少なくとも電話ごとの調整は、送信電力利得を特定の利用可能な電話に従って設定することができ、単に利用可能な電話の特定のメーカ又はモデルに対して調整されるだけでないことを意味する。同じメーカ又はモデルの2つの携帯電話でも、携帯電話内の部品が異なる動作特性を有し得るので、信号強度に異なる影響を与え得る。例えば、電子部品の性能は一般にある値の範囲で定められる。従って、これらの電子部品のあるものはこの範囲の上限側で動作するが、他のものはこの範囲の下限側で動作することが同じモデルの2つの異なるボコーダにおいて起こり、処理中に信号を異なって増幅することが起こり得る。例えば、同じモデルの2つの抵抗が異なる抵抗値を示し、これらの差がひいては電力利得に影響を与え得る。この理由のために、ソフトウェア8及び18は送信電力をモデルごとではなく少なくとも電話ごとに調整する。
【0012】
ソフトウェア8及び18は少なくとも電話ごとに送信電力を調整するが、このような調整はいくつかの例ではもっと細かくすることができる点に注意されたい。これは図2を参照して後で詳細に検討する。
【0013】
更に図1を参照して、システム100はナビゲーション装置5のアップロードの機会を最大にすることを認識すべきである。別の言い方をすれば、ナビゲーション装置5は特定の指定された電話を用いてIPサーバ15と通信することに限定されないで、近距離にある任意のブルートゥースイネーブル型携帯電話を用いてサーバ5にアクセスすることができる。
【0014】
前段落で述べた点に加えて、ナビゲーション装置5は、利用可能な携帯電話が無線通信ネットワークを介するパケットデータ接続をサポートするかどうかと関係なく、IPサーバ15へのアップロードに携帯電話を利用し得ることが好ましい。例えば、図示の携帯電話1A−Bは無線通信ネットワーク26及び27を介するパケットデータ接続をサポートしないが、次の段落で説明されるように、これらの携帯電話は依然としてIPネットワークアクセスのためにナビゲーション装置5により利用することができる。
【0015】
この理由及び他の理由のために、ナビゲーション装置5からサーバ15への送信(後で詳述される調整用送信を含む)は無線通信ネットワークの音声チャネルを経由する送信のためにIBSモデム9により変調される。IBSモデム9は受信ディジタルデータを音声周波数トーンに変調する。これらの周波数トーンは音声を合成するために選択され、これらの周波数トーンは利用可能な携帯電話1A又は1Bのボコーダ20/21及び利用可能な無線通信ネットワーク26/27内のボコーダ22/23(ネットワーク26/27とサーバ15との間の他のネットワークもボコーダを動作させることがある)を最小の減衰又は破損で通過する。音声トーンへの符号化及び変調前に、ディジタルデータは一以上のパケットにフォーマット化するのが好ましい。パケットフォーマッタはペイロードの前にヘッダ及び同期パターンを付加することができる。誤り訂正ビット、チェックサム及び他のエンハンスメントビットもパケットに付加することができる。次に、ナビゲーション装置5はIBS変調された通信29Aを音声データ用のブルートゥース接続を介して送信し、無線通信ネットワークの音声チャネル、更にはIPネットワーク28などの任意の介在ネットワークを経て転送することができ、送信された通信29AはIBSモデム19で受信され復調され(ビットストリームに復元し)、最後にサーバ15により処理される。
【0016】
サーバ15又は任意のリモートネットワークへの信頼できるアクセスはナビゲーション装置のための様々なアプリケーションをイネーブルできる。ナビゲーションシステムの一部であるナビゲーション装置5上のアプリケーションは位置ベース情報をリアルタイムに得ることができる。例えば、ナビゲーション装置5はGPS経由で決定された現在位置近くの交通事故に関するリアルタイム情報を得ることができる。ナビゲーション装置5は最新情報を内部ナビゲーションデータベースにダウンロードすることもでき、例えば格納地図を新ルートに関する情報に更新することができる。
【0017】
更に、ナビゲーション装置5上の任意の他のタイプのアプリケーションに遠隔格納データをここに記載の調整用送信を用いて与えることができる。これによりナビゲーション装置5の機能セットをナビゲーションに必ずしも関連しない他のアプリケーションに拡張することが可能にある。例えば、ナビゲーション装置5上のアプリケーションを用いて株式情報又は他の有用情報をインターネット経由で得ることができる。また、任意のタイプのネットワークへのアクセスを得るために任意のタイプのアプリケーションをナビゲーション装置5上で動作させることができることも理解されたい。
【0018】
電力利得はシステムの信号出力とシステムの信号入力の比に基づくものと理解されたい。送信電力利得という用語を使用するとき、関連システムはナビゲーション装置5(又はデータをサーバにアップロードするように構成された別の装置)である。受信電力利得という用語を使用するとき、関連システムはサーバ15である。
【0019】
送信電力利得はナビゲーション装置5上で、任意の既知の利得調整方法を用いて調整することができる。これは、ナビゲーション装置5の入力段又は出力段のいずれかに調整増幅器、可変抵抗又は他の回路部品を含むことができる。
【0020】
ナビゲーション装置5はソフトウェア8により更新されるテーブル38を含む。テーブル38はデータの送信に使用される電力利得を利用可能な携帯電話に少なくとも部分的に基づいて設定するために後で使用される。
【0021】
本例では、ナビゲーション装置5は携帯電話31とペア41になってナビゲーション装置5と携帯電話31との間にブルートゥース接続を確立する。このブルートゥース接続は米国特許第12/752,911号、「USING A BLUETOOTH CABLE MOBILE PHONE TO ACCESS A REMOTE NETWORK」に開示された原理に従って確立することができ、この特許文献は参照することによりあらゆる目的のためにその全体がここに含まれる。また、ペアリングはナビゲーション装置5上で動作するアプリケーションからの又はナビゲーション装置5のユーザインタフェースからの要求によりトリガすることができる。
【0022】
ペアリング中、ソフトウェア8は携帯電話31のブルートゥースクライアントIDを学習する。ブルートゥースクライアントIDはテーブル38内の携帯電話を一意に識別するために使用されるグローバルに一意の識別子である。
【0023】
携帯電話31はIPサーバ15からセッション開始要求43を受信する。ナビゲーション装置5は要求43を処理し、次にソフトウェア8はセッション開始遅延メカニズムを使用する。例えば、ソフトウェア8は確認応答にビットセッティングを用いることによって又は任意の他のセッション開始遅延メカニズムによってセッション開始を遅らせることができる。ソフトウェア18はビットセッティングを観測し、それに応じてセッション開始を遅らせるように構成される。
【0024】
ソフトウェア8は次に、IBSモデム9を用いて受信ディジタルデータを音声周波数トーンに変調することによって送信すべきテストデータを生成する。これらの周波数トーンは、音声をこれらの周波数トーンが介在するボコーダを最小の減衰又は破損で通過するように合成するために選択される。音声周波数トーンへの符号化及び変調前に、ディジタルデータは一以上のパケットにフォーマット化することができる。パケットフォーマッタはペイロードの前に、例えばヘッダ及び同期パターンを付加することができる。誤り訂正ビット、チェックサム及び他のエンハンスメントビットを付加することもできる。
【0025】
ソフトウェア8は次に変調されたテストデータ45を複数回送信し、各送信51は異なる送信電力利得量で送信する。例えば、テストデータ45は毎回異なる送信電力利得量で3回送信することができる。
【0026】
サーバ15では、ソフトウェア18が前記送信を受信し、受信電力利得を決定する。ソフトウェア18は決定された受信電力利得を示す応答52を返送する。
【0027】
ナビゲーション装置5では、ソフトウェア8が次にテストデータの各送信に対する受信送信電力利得を該送信の送信電力利得と相関させる。この相関は応答52に含まれる情報に従って行うことができる。
【0028】
ソフトウェア8は次に受信電力利得量を分析する。この分析は、一つの軸上に受信電力利得を含み、他の軸上に送信電力利得を含むグラフを生成するステップを含むことができる。このグラフを使用すれば、ソフトウェア8はグラフ上の点を接続して線グラフを生成することができる。次に、生成されたグラフ上の線を用いてサーバ15において所望の受信送信電力利得を生成する送信電力利得を補間することができる。受信電力利得の分析はグラフと完全に無関係に行うことができるが、如何なる場合にも送信電力利得は受信送信電力利得の分析に基づいて補間される。補間送信電力利得は典型的には送信51において使用された送信電力利得と異なる値であるが、送信51において使用された送信電力利得量からその一つを単に選択することもできる。
【0029】
ソフトウェア8は、分析中に特定された電力利得で送信を行うようにナビゲーション装置5を設定する。これは、ナビゲーション装置5上のブルートゥーストランシーバの設定又はナビゲーション装置5上の任意の他のソフトウェア又はハードウェアコンポーネントの制御を含むことができる。従って、遅延されたセッション開始61が発生すると、送信66は設定された送信電力利得で行われる。
【0030】
先に述べたように、IBSのモデム19は調整された受信電力利得で受信された通信からのデータを復元する。
【0031】
ソフトウェア8は、更に、補間送信電力利得を携帯電話31の一意のブルートゥースクライアントIDと関連してテーブル38に格納する。テーブル38は、このような関係を明示するために携帯電話カラム及び送信電力利得カラム内のエントリを示す。その後、テーブル38からの送信電力利得量が送信時にどの携帯電話が送信に使用されるかに応じて使用される。
【0032】
図示のテーブル38は、調整中に使用される無線通信ネットワークを特定するためにネットワーク識別子を含む任意選択カラムも含む。このカラムは調整に追加の粒度を与えるために使用することができる。先に述べたように、異なる無線通信ネットワークは異なるボコーダを使用し、少なくとも場合によっては受信電力利得に大きな影響を与え得る。それゆえ、いくつかの例では、調整を電話ごと及びネットワークごとに行うことができる。これはテーブル38に示されており、ブルートゥースクライアントID Cは2つの異なる送信電力利得量2.5dB及び3.1dBと関連する。
【0033】
上述した原理は、調整に更に細かい粒度を追加する、例えばテーブルに更なるカラムを追加するために使用することができる。例えば、同じ電話/ネットワークボコーダの組み合わせは、現在利用しているボコーダのモードに応じて複数の調整された電力利得量と関連しうる。ボコーダは異なるモード、例えばフルレート及ぶハーフレートで動作でき、どちらのモードで使用されているかに応じて受信電力利得は異なる影響を受け得る。従って、一例では、ナビゲーション装置5はボコーダの現在のモードを決定し、現在のモードに基づいてこの特定の電話/ネットワークボコーダの組み合わせに対する送信電力利得を選択する。他の可能なカラムは日時、無線通信ネットワークとサーバ15との間に介在する他のネットワークの識別子(IPネットワークなどの他のネットワークはボコーダを含み得る)などである。
【0034】
その後、ソフトウェア8は利用可能な携帯電話のブルートゥースクライアントID(及び可能ならネットワークIDなどの他の変量)をテーブル38と対照し、送信電力利得量を特定する。ソフトウェア8は次に特定された送信電力利得量を用いて携帯電話上のブルートゥーストランシーバを設定する。
【0035】
送信電力利得が設定されたら、サーバ15上のソフトウェア18はナビゲーション装置から受信される送信を連続的にモニタすることができる。受信電力利得は、ナビゲーション装置5が同じ携帯電話で同じ送信設定を使用し続けているにもかかわらず、「ドリフト」するかさもなければ経時的に変化する可能性がある。これは多くの理由、例えばナビゲーション装置及び利用可能な携帯電話がネットワーク間でローミングすること、タワーからの距離が単に変化すること、節電モードに入ったり出たりすること、などによって起こり得る。いずれにせよ、ソフトウェア18は新しい調整プロセスをいつでも開始させるためにナビゲーション装置5上のソフトウェア8をトリガする。
【0036】
ソフトウェア18は、新しい調整プロセスが必要とされるときを任意のプロセスを用いて決定することができる。一例では、ソフトウェア18はナビゲーション装置からの送信の受信電力利得を連続的にモニタし、この受信電力利得が閾値範囲外になる場合に新しい調整プロセスの開始をトリガする。別の例では、ソフトウェア18は送信誤り率を経時的にモニタし、この送信誤り率が閾値を超える場合に新しい調整プロセスの開始をトリガする。送信誤りは電力利得に加えて他のファクタにも関連するため、ソフトウェア18はこの送信誤り率から電力利得により生じる可能性の低い送信誤り率を除外するために若干のトラブルシューティングを行うことができる。
【0037】
上述の例ではセッション開始要求はサーバ15により送信されたが、他の例ではナビゲーション装置5がセッション開始要求を送信し、調整をこの送信前、後又は中に実行することができる。このような例においては、ソフトウェア8はセッション開始を遅らせる必要はない。
【0038】
図3は、図1及び図2に示されるナビゲーション装置がどのように送信電力利得を調整するかを示す。
【0039】
ブロック301において、ナビゲーション装置はリモートサーバとの通信のために携帯電話とブルートゥース接続を確立する。ブルートゥース接続は米国特許第12/752,911号、「USING A BLUETOOTH CABLE MOBILE PHONE TO ACCESS A REMOTE NETWORK」に記載されているように確立することができる。
【0040】
ブロック302において、ナビゲーション装置は携帯電話の一意の識別子(及び可能ならネットワーク識別子などの他の属性)を、携帯電話を調整された送信電力利得量に相関させるテーブルと照合する。ひし形ブロック303において、テーブル内に当該携帯電話に対するエントリがある場合、ブロック304Aにおいてナビゲーション装置はブルートゥーストランシーバを当該携帯電話に対する調整された送信電力利得に従って設定する。ナビゲーション装置はブロック305において、設定された送信電力利得でデータをアップロードするためにリモートサーバとのセッションを開始する。
【0041】
ひし形ブロック303においてエントリが見つからない場合には、ブロック304Bにおいてナビゲーション装置はリモートサーバとのセッションの開始を遅らせる。ブロック306において、ナビゲーション装置は受信ディジタルビットシーケンスを異なるビット値に対して異なる周波数トーンを有する音声信号に変調する。ここで、これらの周波数トーンは無線音声チャネルを通過するように選択される。ナビゲーション装置はブロック307において異なる送信電力利得量を用いて音声信号を送信する。
【0042】
ブロック308において、ナビゲーション装置はこの送信に対して返送されるリモートサーバにおける受信電力利得量を示す応答を受信する。ブロック309において、ナビゲーション装置は受信電力利得量を分析して当該携帯電話に対する調整された送信電力利得を決定する。ブロック310において、ナビゲーション装置は調整された送信電力利得を当該携帯電話と関連付けるために当該携帯電話に対してテーブルにエントリを生成する。プロセスは次にブロック304Aに戻る。
【0043】
図4は、図1及び図2に示されるサーバがどのように送信電力利得を調整するかを示す。
【0044】
ブロック401において、サーバは音声信号の複数の送信を受信する。ブロック402において、サーバはこれらの送信の各々に対して受信電力利得を決定し、その受信電力利得を特定する通信をナビゲーション装置に送る。
【0045】
その後、サーバはブロック403において調整された受信電力利得を有する送信を受信する。ブロック404において、次に受信される送信が閾値範囲外の受信電力利得を有する場合、サーバはナビゲーション装置に新しい調整プロセスを行うように信号通知する。プロセスは次にブロック401に戻る。
【0046】
本発明の基本的な原則から離れることなく上述した実施形態の細部に多くの変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。従って、本発明の範囲は後記の請求項によってのみ定められる。
【0047】
上述した殆どの装置はハードウェア及び関連ソフトウェアを備える。例えば、典型的なナビゲーション装置は上述した動作を実行するために一つ以上のプロセッサ及びこれらのプロセッサで実行可能なソフトウェアを含む可能性が高い。ここではソフトウェアなる語は一般に理解されている意味で使用され、プロセッサにより使用可能なプログラム又はルーチン(サブルーチン、オブジェクト、プラグインなど)並びにデータを指す。周知のように、コンピュータプログラムは一般に機械読取り可能な又はコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記憶された命令を備える。本発明のいくつかの実施形態は機械読取り可能な又はディジタルメモリなどのコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記憶された命令に記憶された実行可能なプログラム又は命令を含むことができる。しかし、通常の意味の「コンピュータ」が任意の実施形態に必要とされることを暗示するものではない。例えば、埋め込み型又は他の型のプロセッサをここに記載のコンポーネントのような装置に使用することができる。
【0048】
ソフトウェアを格納するメモリも周知である。いくつかの実施形態において、所定のプロセッサと関連するメモリは同じ物理的装置内にプロセッサ(「オンボード」メモリ)として格納することができ、例えば集積回路マイクロプロセッサなどに組み込まれた同種のRAM又はフラッシュメモリとすることができる。このような場合には、メモリとディジタルプロセッサが例えばI/Oポート、ネットワーク接続などにより一緒に動作可能にもしくは互いに通信するように結合され、プロセッサがメモリに格納されたファイルを読み出すことができるとき、メモリはディジタルプロセッサと「関連」するものとなる。関連メモリは「リードオンリ」メモリ(ROM)とすることができ、設計によるかパーミッション設定によるかは問わない。他の例はWORM、EPROM、EEPROM、FLASHなどを含むが、これらに限定されない。これらの技術は多くの場合固体半導体デバイスに実現される。他のメモリは慣例の回転ディスクドライブなどの可動部分を備えることができる。このようなメモリのすべてが「機械読取り可能な」又は「コンピュータ読取り可能な」メモリであり、ここに記載の機能を実施する実行可能な命令を格納するために使用できる。
【0049】
「ソフトウェア製品」は、一連の実行可能な命令が機械読取り可能な形に格納されたメモリ装置であって、ソフトウェア製品への適正なアクセス権を有する適正なマシン又はプロセッサが命令により実施されるプロセスを実行するために命令を実行することができるメモリ装置を指す。ソフトウェア製品は時々ソフトウェアを配布するために使用される。上記の制限無しで含まれる任意のタイプの機械読取り可能なメモリをソフトウェア製品の作製のために使用することもできる。それはそうだが、ソフトウェアは電子的伝送(「ダウンロード」)で配布することもでき、この場合には対応するソフトウェア製品は送信側又は受信側又は両側に存在する。
【0050】
本発明の原理を好適実施形態において説明し例示してきたが、本発明はこのような原理から離れることなく構成及び細部を変更できること明らかである。これらの変更及び変形のすべては以下の請求項に記載の本発明の精神及び範囲に入ることを主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令で符号化されたプロセッサ読取り可能な媒体であって、前記命令は、実行されると、
リモートサーバと、ナビゲーション装置と携帯電話との間のブルートゥース接続及び前記携帯電話と関連する無線通信ネットワークの無線音声チャネルを介して通信する処理、
受信ディジタルビットシーケンスを、異なるビット値に対して異なる周波数トーンを有する音声信号に変調する処理で、これらの周波数トーンは前記無線通信ネットワーク内で動作するボコーダにより妨害されずに前記無線音声チャネルを通過するように選択される、処理、
前記音声信号を1回目は第1の送信電力利得量を用いて、2回目は第2の異なる送信電力利得量を用いて送信する処理、
前記第1及び第2の送信に対して返送されるリモートサーバでの受信電力利得量を示す応答を受信する処理、及び
前記応答を分析することによって第3の送信電力利得量を決定し、前記携帯電話を用いて前記リモートサーバにデータを送信するために前記第3の送信電力利得量を用いる処理、
を生じる、プロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項2】
前記命令は、実行されると、
前記携帯電話に対するブルートゥースクライアント識別子を見つけ出す処理、及び
見つけ出されたブルートゥースクライアント識別子を前記第3の送信電力利得量と関連付けるためにナビゲーション装置のテーブルにエントリを生成する処理、
を生じる、請求項1記載のプロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置のテーブルは、それぞれカスタム送信電力利得量をブルートゥースイネーブル型携帯電話と関連付ける複数のエントリを含む、請求項2記載のプロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項4】
前記命令は、実行されると、
前記携帯電話に対するブルートゥースクライアント識別子を見つけ出す処理、
前記無線通信ネットワークを識別する処理、及び
前記見つけ出されたブルートゥースクライアント識別子及び前記無線通信ネットワークの組み合わせを前記第3の送信電力利得量と関連付けるためにエントリを生成する処理、
を生じる、請求項1記載のプロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項5】
前記ナビゲーション装置のテーブルは、それぞれカスタマ送信電力利得量をブルートゥースイネーブル型携帯電話及び携帯電話ネットワークの組み合わせと関連付ける複数のエントリを含む、請求項4記載のプロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項6】
前記命令は、実行されると、
前記リモートサーバにおける受信電力利得量が所定の範囲外であることを示す通信を受信する処理、及び
この通信の受信に応答して、前記携帯電話とともに使用する新しい送信電力利得量を特定するために複数の変調された送信を異なる電力利得量で送信する処理、
を生じる、請求項1記載のプロセッサ読取り可能な媒体。
【請求項7】
リモートサーバと、ナビゲーション装置と携帯電話との間のブルートゥース接続及び前記携帯電話の無線通信ネットワークの無線音声チャネルを介して通信するステップ、
複数の調整用送信を異なる送信電力利得量で前記リモートサーバに送信するステップで、前記調整用送信は前記無線音声チャネルを前記無線通信ネットワーク内で動作するボコーダにより妨害されずに通過するように選択された周波数トーンを用いて変調される、ステップ、
前記リモートサーバにおける受信電力利得量を示す応答を受信し、各受信電力利得量を前記調整用通信の各々と関連付けるステップ、及び
前記受信電力利得量を分析することによって調整された送信電力利得量を決定し、前記携帯電話を用いて前記サーバにデータをアップロードするとき前記調整された送信電力利得量を用いるステップ、
を備える、方法。
【請求項8】
前記方法は、更に、
前記リモートサーバへの送信要求に応答して、現在利用可能な携帯電話を識別するステップ、
前記現在利用可能な携帯電話を、携帯電話を前記調整された送信電力利得量と関連付けるテーブルと照合するステップ、
前記ナビゲーション装置上のブルートゥーストランシーバを前記照合結果に従って設定するステップ、及び
前記ブルートゥーストランシーバの設定後に前記現在利用可能な携帯電話を介して前記リモートサーバにデータをアップロードするステップ、
を備える、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記要求は前記ナビゲーション装置のユーザインタフェースを介して受信される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、更に、
前記リモートサーバからセッション開始要求を受信するステップ、
セッションの開始を遅らせるために確認応答メッセージにビットをセットするステップ、及び
前記ビットがセットされた確認応答メッセージを送信するステップ、
を備える、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記調整用送信は、前記確認応答の送信後であって遅延されたセッション開始の前又は前記確認応答の送信と同時に送信される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、更に、前記リモートサーバにより要求されるときはいつでも別の複数の調整用送信を送信し、送信の設定を最新の調整に従って変更するステップを備える、請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、更に、
前記携帯電話のボコーダ又は前記無線通信ネットワークのボコーダの動作モデルを決定するステップ、
前記調整された送信電力利得量を前記携帯電話と関連付けるためにナビゲーション装置のテーブルにエントリを生成するステップ、及び
前記生成されたエントリに前記決定された動作モードを、前記調整された送信電力利得量が前記決定された動作モードと関連付けられるように記録するするステップ、
を備える、請求項7記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、更に、
前記携帯電話を異なる調整された送信電力利得量と関連付けるために前記ナビゲーション装置のテーブルに別のエントリを生成するステップ、及び
生成された別のエントリに、異なる動作モードを記録するステップ、
を備える、請求項13記載の方法。
【請求項15】
命令で符号化されたプロセッサ読取り可能な媒体を有するサーバであって、前記命令は、実行されると、
リモートナビゲーション装置と、携帯電話まで延在する無線音声チャネル及び携帯電話とナビゲーション装置との間のブルートゥース接続を介して通信する処理、
前記ナビゲーション装置から受信される複数の音声信号の電力利得量を決定する処理、
前記受信電力利得量を特定する通信を送信し、各受信電力利得量を前記ナビゲーション装置からの送信と相関させる処理、及び
前記ナビゲーション装置からのアップロードを受信し、受信したアップロードの受信電力利得量を当該サーバの帯域内信号方式(IBS)復調のために調整する処理、
を生じる、サーバ。
【請求項16】
前記命令は、実行されると、
受信電力利得の閾値範囲外の受信電力利得量を有する新たに受信された送信を識別する処理、
この識別に応答して、前記ナビゲーション装置に、複数の音声信号を異なる電力利得量で送信させる処理、
を生じさせる、請求項15記載のサーバ。
【請求項17】
前記命令は、実行されると、
前記ナビゲーション装置からの確認応答をセッション開始の遅延を要求するビットシーケンスについて分析する処理、及び
セッション開始を前記デバイス利得量の決定と関連する所定の時間の間遅らせる処理、
を生じさせる、請求項15記載のサーバ。
【請求項18】
利用可能な携帯電話とブルートゥース接続を確立するように構成されたナビゲーション装置を備えるシステムであって、
前記ナビゲーション装置は前記利用可能な携帯電話の一意の識別子を、識別子と送信電力利得量を対応付けるテーブルと照合するように構成され、
前記照合がエントリを識別する場合には、前記ナビゲーション装置は前記利用可能な携帯電話を介して前記識別されたエントリに指示された電力利得量でデータをリモートサーバにアップロードするように構成され、
前記照合がエントリを識別しない場合には、前記ナビゲーション装置は音声信号を複数の異なる送信電力利得量で送信し、前記サーバから返送される、前記送信に対する受信電力利得量を示す応答を受信するように構成され、
前記ナビゲーション装置は、前記応答に基づいて送信電力利得を決定し、決定された送信電力利得量を前記利用可能な携帯電話の一意の識別子と関連付けるために前記テーブルにエントリを生成するように構成されている、
システム。
【請求項19】
更に、前記サーバは前記音声信号の送信に基づいて受信電力利得量を決定するように構成され、
更に、前記サーバは前記利用可能な携帯電話による次の送信を最適化するために前記ナビゲーション装置により使用されるべき通信を生成し、送信するように構成されている、
請求項18記載のシステム。
【請求項20】
更に、前記ナビゲーション装置は前記決定された送信電力利得量に基づいて送信電力設定を調整するように構成され、
更に、前記サーバは前記ナビゲーション装置における送信電力設定を再調整するために使用される新しい複数の音声送信を送信するために前記ナビゲーション装置をトリガするように構成されている、
請求項18記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−525770(P2012−525770A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508506(P2012−508506)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/029937
【国際公開番号】WO2010/129122
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(309032522)エアビクティ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】