説明

ヒートシンク、冷却モジュールおよび冷却可能な電子基板

【課題】本発明は、耐久性や信頼性を損なうことなく、基体における温度勾配を効果的に低減することで、発熱体の温度上昇を低減する(すなわち、発熱体の冷却効果を高める)ヒートシンク、冷却モジュールおよび冷却可能な電子基板を提供する。
【解決手段】 本発明のヒートシンク10は、発熱体14と対向し、発熱体14から熱を奪う基体11を備え、基体11において、発熱体14と対向する対向部分12の熱抵抗が、対向部分12の周囲である周囲部分13の熱抵抗よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路、LED素子、パワーデバイスなどの発熱体を冷却するヒートシンク、冷却モジュールおよび冷却可能な電子基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、産業機器および自動車などには、半導体集積回路、LED素子、パワーデバイスなどの種々の発熱性の高い素子や電子部品が使用されている。これらの素子や電子部品内部を流れる電流が、これらの素子や電子部品を発熱させるからである。
【0003】
素子や電子部品は、その発熱が一定温度以上となると、動作保証ができなくなる問題もあり、他の部品や筐体へ悪影響を及ぼし、結果として電子機器や産業機器そのものの性能劣化を引き起こす可能性がある。
【0004】
このような発熱体の冷却のために、複数のフィンを有するヒートシンクを用いることが従来より行われ、種々の形状や工夫を有するヒートシンクが提案されている。
【0005】
ここで、ヒートシンクは発熱体から放熱される熱を奪いとり、その上でフィンから空気中に放熱して発熱体を冷却すると把握されている。この観点に基づき、種々のヒートシンクが提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0006】
特許文献1は、フィンのそれぞれの高さは、軸流ファンの回転軸を含む側板に対して垂直な面と交わる部分が最も低い(請求項4、段落0014、0019、0023、0025など)ヒートシンクを開示している。あるいは、特許文献1は、軸流ファンの回転軸を含み側板に対して垂直な面と交わる部分から離れるに従って、フィンのそれぞれの高さが高くなるヒートシンク(段落0021、0027、0032など)を開示している。
【0007】
特許文献2は、発熱体が接する中央付近に設けられている放熱フィンを集中的に冷却することで、全体としての冷却効果を高めるヒートシンクを開示している。すなわち、発熱体は基体の裏側の面の中央部に取り付けられやすく、基体から放熱フィンに熱が伝導する際に、対応する中央部付近の放熱フィンの熱分布率が高まることを利用したヒートシンクが開示されている。
【0008】
特許文献3は、基体の中央から放射線状に所定間隔でフィンを配置した放熱板を開示している。加えて、特許文献3は、フィン毎に高低差をつけた放熱板を開示している。
【0009】
特許文献4は、ヒートシンクを構成する基体が、中央ほど低くなる凹面を形成する放熱器を開示している。凹面の基体により、放熱フィンの基体からの突出高さは、基体中央の方が高くなり、周辺部のフィンとの間に圧力損失の差分が生じる。この圧力損失の差分により、冷却ファンから創出された冷却風が、ヒートシンクの中央部に集中して、発熱量の高い中央部が効率的に冷却されることになる。
【0010】
特許文献5は、基体にスリットを設けたヒートシンクを開示している。特に、受熱面の反対側に突出する伝熱プレート上に受熱面に沿うように第1のスリットが設けられ、伝熱プレートの側面に受熱面と直交する方向に第2のスリットが設けられているヒートシンクが開示されている。加えて、特許文献5は、第1のスリットと第2のスリットの深さを変えることにより、冷却効果を高めるヒートシンクを開示している。
【0011】
特許文献6は、軸流ファンの中心軸線上にコア部が設けられ、コア部に対して放射方向に薄板状フィンが設けられたヒートシンクを開示している。
【特許文献1】特開2006−237366号公報
【特許文献2】特開2005−251892号公報
【特許文献3】特開平8−195453号公報
【特許文献4】特許第2744566号公報
【特許文献5】特開2003−086984号公報
【特許文献6】特開2005−277193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これら従来技術はいずれも、発熱体の熱をヒートシンクの基体からフィンに効率よく伝導させて冷却効率を高めることに主眼が置かれている。特に、発熱体は、ヒートシンク裏面の中央部に接することが多い。このため、従来では、この中央部を中心に冷却することで、全体としての冷却効果を高める技術的視点に立った技術が多い。
【0013】
ここで、発熱体が生じさせる発熱温度の詳細について説明する。
【0014】
発熱体の冷却というと、発熱体が放熱した温度からの低減量の程度を考えてしまいがちである。しかし発熱体による発熱の問題は、温度の低減量で解決の度合いを測るのではなく、環境温度(室温)に対して発熱体がどの程度の温度差を有し、その結果発熱体の温度が基準値を超える問題を生じさせるかどうかで測るべきである。すなわち、発熱体が生じさせている温度を基準に冷却を論じるのではなく、室温を基準に発熱体の温度を論じるべきである。言い換えると、発熱体の温度をどの程度冷却できるかというよりも、発熱体の温度上昇をどの程度抑えることができるかという、積算的な考え方でヒートシンクの性能を論じるべきである。
【0015】
図20は、ヒートシンクと発熱体との温度変化を示す模式図である。
【0016】
ヒートシンクは、基体201とフィン202を備える。発熱体200は、基体201の裏面(受熱面)の中央部に接している。ここで、発熱体200の温度は、室温を基準にすると次のように算出される。図20に示されるように、フィン202の外部は、室温と同じ温度である。発熱体200の熱は、基体201に伝導する。基体201の熱は、フィン202に伝導する。フィン202の熱は、外部環境へ放熱される。
【0017】
ここで、室温を基準に発熱体200の温度を考えると、外部環境からフィン202の間で生じている温度勾配(発熱体200からの熱を放熱しているということは、外部環境に対してフィン202の根元までの温度差を考慮することでも発熱体200の温度を測ることができる)はΔT1である。同様に、フィン202の根元から基体201の受熱面までの温度勾配は、ΔT2である。更に、基体201の受熱面から発熱体200までの温度勾配はΔT3である。すなわち、室温を基準とした場合の発熱体温度は、ΔT1+ΔT2+ΔT3で定まる。このΔT1からΔT3までの合計により定まる発熱体温度が、所定値を超えると、発熱体たる電子部品や素子の動作不良などが生じる。
【0018】
特許文献1〜6に代表される従来の技術は、方針(1)発熱体の熱を基体がフィンに伝導する伝導速度を高める、方針(2)発熱体が接する基体の中央部付近の冷却効果を高める、ことに注力していたと考えられる。
【0019】
しかしながら、方針(1)に注力すると、発熱体の熱は、基体の厚み方向に単一に伝導しやすくなり、基体における厚み方向の熱流束の低減効果が弱まる問題が生じる。この厚み方向の熱流束の低減効果が弱まると、基体における温度勾配の低減効果も弱まる問題がある。基体における温度勾配は、熱の伝導しやすさを示す熱流束と基体の熱抵抗の乗算で決定されるからである。
【0020】
従来の技術では、この熱抵抗を下げるために、特許文献2のように基体の形状に着目したり、特許文献1や3のようにフィンの高さに着目したりしていた。この結果、基体の厚み方向の熱抵抗は小さくなるが、熱抵抗が小さくなることで熱流束が大きくなり、結果として温度勾配が大きくなってしまう。
【0021】
一方、方針(2)は、特許文献4のように中央部付近を集中的に冷却する技術として現れている。この場合でも、基体の厚み方向のみの熱移動に注力されているので、厚み方向に熱抵抗が小さくなる。しかしながら、熱流束が大きくなり、結果として温度勾配が大きくなってしまう。図20から明らかな通り、発熱体の温度上昇を抑えるには、基体とフィンの両方に対する考慮が必要であるのに、従来の技術では、基体における温度勾配に対する考慮が低かったと考えられる。
【0022】
更に、たとえば特許文献4では、基体を凹面にすることで、耐久性が悪くなるという問題も生じさせていた。
【0023】
すなわち、従来の技術では、基体の厚み方向の熱流束低減が阻害されると同時に、ヒートシンク自体の耐久性や信頼性を損なうという二重の問題を有していた。
【0024】
そこで本発明は、耐久性や信頼性を損なうことなく、基体における温度勾配を効果的に低減することで、発熱体の温度上昇を低減する(すなわち、発熱体の冷却効果を高める)ヒートシンク、冷却モジュールおよび冷却可能な電子基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明のヒートシンクは、発熱体と対向し、発熱体から熱を奪う基体を備え、基体において、発熱体と対向する対向部分の熱抵抗が、対向部分の周囲である周囲部分の熱抵抗よりも高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基体における温度勾配が低減するので、室温を基準とした発熱体の温度上昇が抑えられる。
【0027】
更に、本発明のヒートシンクによれば、構造上における耐久性や信頼性を損なうことも少ない。
【0028】
また、発熱体となりうる電子部品や素子の温度上昇が抑えられることで、これらを実装する電子基板、電子機器、産業機器や自動車などへの悪影響も抑えられる。結果として、これら電子機器や産業機器などの性能および信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の第1の発明に係るヒートシンクは、発熱体と対向し、発熱体から熱を奪う基体を備え、基体において、発熱体と対向する対向部分の熱抵抗が、対向部分の周囲である周囲部分の熱抵抗よりも高い。
【0030】
この構成により、基体内部で熱伝導経路が並列に構成される。熱伝導経路が並列に構成されることで、基体内部の熱流束qxが低減され、基体における温度勾配を低減できる。温度勾配を低減できることで、室温に対する発熱体の温度上昇が抑制される。
【0031】
本発明の第2の発明に係るヒートシンクでは、第1の発明に加えて、対向部分は、周囲部分よりも熱抵抗の高い素材で形成されている。
【0032】
本発明の第3の発明に係るヒートシンクでは、第1から第2のいずれかの発明に加えて、対向部分は、複数の孔を備える。
【0033】
これらの構成により、基体の対向部分の熱抵抗が、周囲部分の熱抵抗よりも高くなる。
【0034】
本発明の第4の発明に係るヒートシンクでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、基体は発熱体と対向する受熱面と、受熱面と対向する放熱面を有し、放熱面は、複数のフィンを備え、対向部分に対応する放熱面の領域である第1領域に備えられたフィンの熱抵抗は、周囲部分に対応する放熱面の領域である第2領域に備えられたフィンの熱抵抗よりも高い。
【0035】
この構成により、基体およびフィンにおける対向部分の熱抵抗が、周囲部分の熱抵抗よりも高くなる。この結果、基体およびフィンにおいて熱伝導経路が並列に構成される。熱伝導経路が並列に構成されることで、基体およびフィン内部の熱流束qxが低減され、基体およびフィンにおける温度勾配を低減できる。
【0036】
本発明の第5の発明に係るヒートシンクでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第1領域に備えられた単位面積あたりのフィンの個数は、第2領域に備えられた単位面積あたりのフィンの個数よりも少ない、
本発明の第6の発明に係るヒートシンクでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第1領域に備えられたフィンの総体積は、第2領域に備えられたフィンの総体積よりも小さい。
【0037】
これらの構成により、基体およびフィンにおける対向部分の熱抵抗が、周囲部分の熱抵抗よりも高くなる。この結果、基体およびフィンにおいて熱伝導経路が並列に構成される。熱伝導経路が並列に構成されることで、基体およびフィン内部の熱流束qxが低減され、基体およびフィンにおける温度勾配を低減できる。
【0038】
本発明の第7の発明に係るヒートシンクでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第1領域に備えられているフィンの個数は、0個である。
【0039】
この構成により、対向部分の熱抵抗が、周囲部分の熱抵抗よりも非常に高くなる。また、ヒートシンクの製造も容易となる。
【0040】
本発明の第8の発明に係るヒートシンクでは、基体において放熱面と交差する基体の側面が、更にフィンを備える。
【0041】
この構成により、対向部分の熱抵抗が、周囲部分の熱抵抗よりも高くなる。加えて、側面のフィンにより、基体が発熱体からの熱を面方向に積極的に拡散するようになる。この結果、基体およびフィンにおいて熱伝導経路が並列かつ面方向に構成され、熱流束が低減できる。熱流束が低減できることで、基体およびフィンでの温度勾配を低減できる。温度勾配を低減できることで、室温に対する発熱体の温度上昇が抑制される。
【0042】
本発明の第9の発明に係る冷却モジュールは、受熱面と放熱面を有する平板型の基体と、受熱面に対向して配置された平板型ヒートパイプを備え、基体において、平板型ヒートパイプと対向する対向部分の熱抵抗が、対向部分の周囲である周囲部分の熱抵抗よりも高く、平板型ヒートパイプは、内部に封入された冷媒の気化および凝縮によって発熱体を冷却する。
【0043】
この構成により、平板型ヒートパイプと相まって発熱体の温度上昇を更に抑制できる。特に、基体内部で熱伝導経路が並列に構成される。熱伝導経路が並列に構成されることで、基体内部の熱流束qxが低減され、基体における温度勾配を低減できる。温度勾配を低減できることで、室温に対する発熱体の温度上昇が抑制される。
【0044】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0045】
なお、本発明の各実施の形態の説明に先立ち、発明者により発明された本発明の概念を、従来技術との比較により説明する。
【0046】
(本発明の概念)
発熱体が周囲環境の温度である室温よりも高くなることの算出について説明する。図20で説明したとおり、発熱体の室温に対する温度差は、室温とフィンとの間で生じる温度勾配ΔT1、フィンと基体との間で生じる温度勾配ΔT2、基体と発熱体との間で生じる温度勾配ΔT3の積算により定まる。
【0047】
ここで、温度勾配の算出について説明する。
【0048】
外部環境とフィンとの間の温度勾配は、対流伝熱によって定まり、フィンからの放熱速度Qは、ニュートンの冷却の法則に基づいて(数1)で算出される。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、hは熱伝達係数[W/m・K]、Aは、フィン面積[m」、ΔTは、フィン表面温度と室温との温度差[K](すなわち温度勾配)である。
【0051】
(数1)から明らかな通り、熱伝達係数hを増加させるか、フィン面積Aを大きくすることで、加熱速度Qが向上する。
【0052】
一方、ΔT2,ΔT3を決定するのは、フィンおよび基体の内部における熱の伝導によって定まり、フーリエの熱伝導の法則より、例えば熱伝導方向をxとすると、x方向への熱流束qxは、(数2)により与えられる。
【0053】
【数2】

【0054】
ここで、kは熱伝導率[W/(m・K)]である。
【0055】
(数2)を一次近似して、(数3)を得る。
【0056】
【数3】

【0057】
(数3)より、熱伝導経路長Δxにおいて生じる温度勾配ΔTは、次の(数4)で算出される。
【0058】
【数4】

【0059】
qxは熱流束であり、Δx/k(kは物質により決まる定数である)は、熱抵抗である。
【0060】
(数4)は、電気抵抗と電流から電位差が得られるオームの法則と同等の構成となっている。例えば、左辺|ΔT|を電位差とすれば、右辺qxは電流値に対応し、Δx/kは電気抵抗に対応する。電位差は、電流(数4ではqxが対応する)と電気抵抗(数4では、Δx/kが対応する)の乗算で決定される。電位差を小さくするためには、電流を小さくすることおよび電気抵抗を小さくすることの少なくとも一方が必要である。
【0061】
電位差を温度勾配ΔTに置き換えると、(数4)から明らかな通り、熱流束qxおよび熱抵抗Δx/kの少なくとも一方を小さくする必要がある。
【0062】
従来の技術においては、上述の通り、熱抵抗を低減することのみに注力されており、熱流束への着眼点が少なかったと、発明者は考えた。さらに、ヒートシンクは、フィンと基体の2つの要素を備えているが、基体は厚み方向だけで熱伝導をするのではなく、面方向にも熱伝導を行う。発明者は、従来の技術ではこの基体の面方向への熱伝導の考慮がほとんどされていないことにも着目した。
【0063】
この着眼に基づき、本発明は、基体が発熱体からの熱を熱伝導させる際に、基体の面方向も活用する並列的な熱伝導を利用する。熱伝導の経路が基体内部で並列となることで、熱流束qxは、直列的な熱伝導の場合よりも小さくなる。すなわち、(数4)における熱流束qxが小さくなるので、基体における温度勾配ΔTは小さくなる。なお、熱抵抗Δx/kは、基体を構成する物質の物性および基体の厚みのみで決まるので、熱流束qxが小さくなることは、熱抵抗に影響を及ぼさない。
【0064】
図1は、従来の技術と本発明の熱伝導の概念を示す模式図である。
【0065】
図1(a)は、従来の技術における基体内部の熱伝導の概念を示し、図1(b)は、本発明における基体内部の熱伝導の概念を示す。
【0066】
図1(a)より明らかな通り、従来技術では、発熱体1からの熱は、基体2内部において、発熱体1の設置場所に対応してほぼ基体中央を直列的に伝導する。発熱体1からの熱は、熱伝導経路4を経由してフィン2に伝導する。熱は、熱伝導経路4を経由して、ほぼ直列的にフィン2に伝導するので、熱伝導経路4における熱流速qxは大きな値となる(直列接続の場合の電流値が大きくなるのと同じ理論である)。
【0067】
これに対して、図1(b)より明らかな通り、本発明は基体2内部を、発熱体1からの熱が並列に分配されて(すなわち面方向にも分配されながら)厚み方向を移動する。熱伝導経路5は、図1(b)に示されるとおり、並列に分配される。熱伝導経路5が並列に分配されることにより、分配された熱伝導経路毎の熱流束qxの値は小さくなる(並列接続の場合の電流値が小さくなるのと同じ理論である)。熱抵抗は、上記の通り基体2の物性と厚みのみで定まるので、熱流束qxが小さくなれば、基体2における温度勾配は小さくなる。
【0068】
このように、基体2の面方向を活用して熱流束qxの値を低減させることで、基体における温度勾配を低減させる概念は従来技術には無かった。基体における温度勾配が低減すれば、発熱体から基体、基体からフィン、フィンから外部環境のそれぞれの境界での温度勾配の積算により算出される発熱体の温度上昇が抑えられることになる。
【0069】
発明者は、従来の技術の問題点について、論理的な検討を加えることにより、本発明を支持する理論を発明した。図1は、この理論を概念として示しており、以下に説明する種々の実施の形態により実現される。
【0070】
以下、種々の実施の形態について説明する。
【0071】
(実施の形態1)
実施の形態1について、図2〜図4を用いて説明する。
【0072】
図2(a)は、本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示されるヒートシンクを上から見た上面図である。
【0073】
図2(a)に示されるヒートシンク10は、基体11を備えている。基体11は、受熱面16と放熱面17を備え、受熱面16は、発熱体14と対向する。発熱体14は、半導体集積回路、LED素子、パワーデバイスなどの電子部品や素子などを含む。図2では、発熱体14は、単体で表されているが、複数の部品や素子を含んでいても良い。
【0074】
基体11は、受熱面16で発熱体14と接し、発熱体14からの熱を奪う。基体11は、発熱体14からの熱を伝導し、放熱面17に伝達させる。
【0075】
ここで、基体11は、発熱体14と対向する対向部分12と、対向部分12の周囲である周囲部分13とを備える。対向部分12における熱抵抗(数4のΔx/k)の値は、周囲部分13における熱抵抗よりも高い。
【0076】
基体11の熱抵抗が、基体11全体で一様であると、図1(a)に示されるように、熱伝導経路は、直列になってしまう。しかしながら、図2に示されるように、対向部分12の熱抵抗が、周囲部分13の熱抵抗よりも高いことで、発熱体14からの熱は自然と基体11の周囲部分に分配されることになる。発熱体14からの熱は、熱抵抗の低い周囲部分13に逃げようとするからである。結果的に、熱伝導経路が並列になりやすい。
【0077】
図2(a)には、熱伝導経路20、21が示されている。対向部分12にける熱伝導経路20は、発熱体14から直接的に基体11の厚み方向にかけて、熱を伝導させる。一方、周囲部分13における熱伝導経路21は、発熱体から面方向に分配させた上で、放熱面17に、熱を伝導させる。このように、基体11においては、熱伝導経路が、対向部分12における熱伝導経路20と周囲部分13における熱伝導経路21とに並列的に形成される。
【0078】
本発明の概念での説明および(数4)から明らかな通り、熱伝導経路が並列になることで、熱流束qxは小さくなる。この結果、基体11における温度勾配は小さくなり、室温に比較した発熱体14の温度上昇が抑えられる。
【0079】
図3は、本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図である。
【0080】
図3に示されるヒートシンク10は、対向部分12が、周囲部分13よりも熱抵抗の高い素材で形成されている。基体11は、金属や樹脂で形成されることが多いが、異なる素材で形成されたブロックが組み合わされることで、対向部分12の熱抵抗が、周囲部分13の熱抵抗よりも高い値となる基体11が形成される。あるいは、一体に形成された気体11の対向部分12に不純物がドーピングされることで、対向部分12の熱抵抗を、周囲部分の13の熱抵抗よりも高くすることでも実現される。
【0081】
図3より明らかな通り、この場合であっても、発熱体14からの熱は強制的に周囲部分13に分配されて、熱伝導経路が並列に形成される。すなわち、発熱体14からの熱は、対向部分12における熱伝導経路20と周囲部分13における熱伝導経路21との並列経路に合わせて伝導する。
【0082】
このように、熱伝導経路が並列に形成されることで、熱抵抗qxが小さくなり、結果として基体11における温度勾配も小さくなる。
【0083】
ここで、熱抵抗の高い素材としては、PEEK材などのエンプラが例として挙げられる。また熱抵抗の低い素材としては、銅、アルミニウムなどの金属材料が例として挙げられる。
【0084】
次に、基体11における熱伝導経路を並列化するために、図4に示されるように基体11の対向部分12に複数の孔を備えることも好適である。
【0085】
図4は、本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図である。
【0086】
基体11の対向部分12には、放熱面17および受熱面16の両面において、複数の孔15が設けられている。複数の孔15が設けられることで、対抗部分12には空気により占領される領域が含まれる。空気の熱抵抗は大きいので、結果的に対向部分12の熱抵抗は、孔の設けられていない周囲部分13の熱抵抗よりも大きくなる。この結果、図2,3に示されるヒートシンクと同様に、基体11内部において並列的な熱伝導経路が形成され、熱流束qxが低減される。
【0087】
図4に示されるヒートシンクのように、対向部分12に複数の孔15が設けられることで、基体11において別体成型や異なる素材での形成をせずに容易に熱抵抗を変えることができる。
【0088】
なお、複数の孔15は、受熱面16および放熱面17の一方だけに設けられても良く、一方だけに設けられても良い。また、表面からえぐられた孔でなくても、基体11内部に形成された発砲でもよい。
【0089】
また、基体11は、一体で形成されても複数のブロックの組み合わせで形成されても、いずれでも良い。
【0090】
以上のように、実施の形態1におけるヒートシンクにより、発熱体14からの熱伝導経路が並列に分配され、基体11内部における熱流束を低減できる。この熱流束の低減によって、基体11における温度勾配が低減し、発熱体14の室温に対する温度上昇が抑制される。
【0091】
なお、基体11は、銅、アルミニウム、タングステン、チタンなどの熱伝導性の高い金属や耐熱性に優れた樹脂が用いられることが好適である。
【0092】
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。
【0093】
実施の形態2では、基体にフィンが設けられているヒートシンクであって、熱抵抗を制御することで温度勾配を低減させるヒートシンクについて説明する。
【0094】
図5は、本発明の実施の形態2におけるヒートシンクの側面図である。図6は、図5に示されるヒートシンクを上から見た上面図である。
【0095】
図5,6のうち、図2〜図4と同じ符号については説明を省略する。
【0096】
ヒートシンク30は、基体11と基体11の放熱面17に設けられた複数のフィン31を備えている。基体11は、実施の形態1で説明されたとおり、対向部分12における熱抵抗が周囲部分13における熱抵抗よりも高いことが好適である。ただし、実施の形態2におけるヒートシンク30は、フィン31の工夫によって基体11内部の熱伝導経路を並列に分配させることができるので、基体11単体を取り出したときに一様な熱抵抗を有していてもよい。
【0097】
放熱面17は、対向部分12に対応する第1領域32と周囲部分13に対応する第2領域33を有し、フィン31は、第1領域32および第2領域33から突出するように設けられている。
【0098】
ここで、第1領域32に設けられたフィン31が有する熱抵抗は、第2領域33に設けられたフィン31が有する熱抵抗よりも高い。基体11と合わせて/に代えて、対向部分12に対応する第1領域に設けられたフィン31についての熱抵抗が高いことで、発熱体14の熱は、基体11内部を面方向に分配された上で、並列的に伝導する。この結果、熱流束qxが小さくなり、基体11における温度勾配が小さくなる。加えて、基体11の放熱面17に設けられているフィン31における温度勾配も小さくなる。このように、フィン31の工夫により、実施の形態1と同じく基体11において、熱の伝導を面方向に拡張させて熱流束を低減でき、結果として室温に対する発熱体14の温度上昇を抑制できる。
【0099】
第1領域32におけるフィン31の熱抵抗を、第2領域におけるフィン31の熱抵抗よりも高くするには、第1領域32と第2領域33とで、フィン31の素材を異ならせたり、フィン31の個数を異ならせたり、フィン31の総体積を異ならせたりすればよい。
【0100】
例えば、図5に示されるように、第1領域32におけるフィン31の個数は、第2領域33におけるフィン31の個数よりも少なくする。第1領域32におけるフィン31の個数が、第2領域33におけるフィン31の個数よりも少ないことで、発熱体14の熱は、熱抵抗の小さい第2領域33にむけて移動しやすくなる。結果として、発熱体14からの熱は、基体11の受熱面16で受熱された後、基体11の面方向に移動して並列的に基体11内部を伝導する。更に、基体11からフィン31に熱は伝導し、フィン31から放熱される。このとき、基体11およびフィン31内部を伝導する熱の経路は分散された上で並列的であるので、熱流束qxは小さくなる。そうなると、基体11およびフィン31における温度勾配は数4から明らかな通り小さくなる。温度勾配が小さいことは、室温に対する発熱体14の温度上昇が低減されていることである。結果として、実施の形態2におけるヒートシンク30は、発熱体14の冷却効果が高いことを示している。
【0101】
また、図5に示されるように、第1領域32におけるフィン31の個数が、第2領域33におけるフィン31の個数よりも少ないことは、第1領域32におけるフィン31の総体積が、第2領域33におけるフィン31の総体積よりも小さいことを示している。すなわち、発熱体14の熱を、基体11の面方向に分散させて、熱流束qxを小さくさせるには、発熱体14と対向する対向部分におけるフィン31の総体積を減らすことでも実現できる。
【0102】
また、図7に示されるように、第1領域32におけるフィンの個数は、0個であることも好適である。図7は、本発明の実施の形態2におけるヒートシンクの側面図である。
【0103】
図7に示されるヒートシンク30は、第1領域32におけるフィン31が0個である。言い換えると、第1領域32においては、フィン31が設けられていない。
【0104】
このようにフィン31が発熱体14と対向する領域において、全く設けられていないことで、発熱体14からの熱は、基体11内部を面方向に移動しやすくなる。結果として、基体11内部での熱伝導経路は、対向部分12における熱伝導経路20と周囲部分13における熱伝導経路21とに分かれる。熱伝導経路が並列になれば、熱流束qxは当然に小さくなる。熱流束qxが小さいということは、温度勾配も小さくなるということである。
【0105】
このように、第1領域32においてフィン31が全く設けられないことで、発熱体14の温度上昇を抑制でき、発熱体14の冷却効果を高めることができる。
【0106】
なお、フィン31が設けられていないヒートシンクは、第1領域32に設計上生じうる凹凸のあるヒートシンクを排除するものではなく、本発明の主旨を没却しない程度に第1領域にフィンを設けたヒートシンクを排除するものではない。
【0107】
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。
【0108】
実施の形態3におけるヒートシンクは、基体の側面にフィンを備えている。
【0109】
図8は、本発明の実施の形態3におけるヒートシンクの側面図である。
【0110】
実施の形態3におけるヒートシンク50は、基体11において放熱面17と交差する側面に、フィン51を備えている。側面にフィン51を備えている以外は、実施の形態1、2で説明された構成と共通している。
【0111】
側面にフィン51が設けられていることで、発熱体14からの熱が、基体11において更に面方向に移動しやすくなる。
【0112】
フィン51が側面に備えられていることで、フィン50が備えられていない第1領域32よりも熱抵抗が小さくなり(フィン51という物体が備わっていることで、熱が引き寄せられやすくなるので)発熱体14の熱は、第1領域32に向かう厚み方向よりも、側面に向けて(すなわち面方向に)移動する。
【0113】
これは、基体11の対向部分の熱抵抗が周囲部分の熱抵抗よりも小さくなることに加えて、側面に設けられたフィン51が、発熱体14からの熱を積極的に面方向に分散させることにもよる。すなわち、基体11の側面にフィン51が設けられることで、発熱体14からの熱は、基体11内部において積極的に面方向に分散される。これは、基体11の放熱面にフィン31が設けられず、側面のフィン51だけが設けられても同様の熱分散の作用を示す。
【0114】
このため、発熱体14からの熱は、基体11において分散して並列な熱伝導経路で伝導する。熱伝導経路が並列になることで、基体11の厚み方向の熱流束qxは小さくなる。熱流束qxが小さいことで、熱流束と熱抵抗の積分で算出される基体11での温度勾配も小さくなる。発熱体14の温度は、室温からフィン、フィンから基体、基体から発熱体のそれぞれの間での温度勾配の積算により算出される。つまり、温度勾配が小さければ、発熱体14の温度上昇が小さくなる。
【0115】
実施の形態3におけるヒートシンク50は、基体11の側面にフィン51を設けることで、基体11での熱流束qxを低減する。結果として、実施の形態3におけるヒートシンク50は、発熱体14の温度上昇を抑制できる。すなわちヒートシンク50は、高い冷却効果を有する。
【0116】
(実施の形態4)
次に実施の形態4について説明する。
【0117】
実施の形態4では、封入された冷媒の気化と凝縮によって発熱体を冷却するヒートパイプと実施の形態1〜3で説明したヒートシンクが組み合わされた冷却モジュールについて説明する。
【0118】
図9、図10は、本発明の実施の形態4における冷却モジュールの側面図である。図9においては、第2領域32だけにフィン31が形成されているヒートシンク61が示され、図10においては、側面にもフィン51が形成されているヒートシンク61が示されている。
【0119】
冷却モジュール60は、ヒートシンク61および平板型ヒートパイプ62を備える。平板型ヒートパイプ62は、ヒートシンク61の受熱面16に対向して配置される。このとき、相互の対向面では、サーマルグリースなどの熱的接合剤が塗布されている。
【0120】
図9、10から明らかな通り、発熱体14は、まず平板型ヒートパイプ62に接しており、ヒートシンク61は、平板型ヒートパイプ62と接している。このため、発熱体14からの熱伝導は、平板型ヒートパイプ62を介してヒートシンク61に進む。すなわち、実施の形態4における冷却モジュール60は、平板型ヒートパイプ62とヒートシンク61が一緒になって、発熱体を冷却する。
【0121】
ヒートシンク61は、実施の形態1〜3で説明したのと同様のヒートシンクである。
【0122】
ヒートシンク61だけの場合に比べて、冷媒による受熱が可能な平板型ヒートパイプ62を加えることで、さらに効果の高い発熱体14の冷却が可能となる。
【0123】
(平板型ヒートパイプ)
平板型ヒートパイプ62は、複数の板材が積層されて内部に空間を有するように形成されている。形状は、平板型である。内部空間には、冷媒が封入されている。冷媒は通常は液体であって、平板型ヒートパイプ62の底面(発熱体14と接する受熱面である)に滞留している。発熱体14の熱がこの底面に伝導すると液体であった冷媒は気化し、平板型ヒートパイプ62の上面(ヒートシンク61と接する放熱面である)に移動する。この気化した冷媒の移動により、発熱体14からの熱が運ばれる。気化した冷媒が放熱面に移動すると、平板型ヒートパイプ62の放熱面の温度があがる。すなわち、実施の形態4の冷却モジュール60では、ヒートシンク61は、この平板型ヒートパイプ62と一体となって発熱体14を冷却する。
【0124】
ヒートシンク61は、平板型ヒートパイプ62の放熱面の熱を受熱面16で受熱して、実施の形態1〜3で説明したメカニズムにより熱伝導する。ヒートシンク61により放熱されると、平板型ヒートパイプ62の放熱面の温度は低下し、気化していた冷媒は凝縮して再び液体に戻る。液体に戻った冷媒は、その重みにより滴下して再び平板型ヒートパイプ62の底面(受熱面)に還流する。還流した液体の冷媒は、再び発熱体14からの熱により気化して熱移動を行う。この冷媒の気化と凝縮の繰り返しにより、平板型ヒートパイプ62は、発熱体14を冷却できる。
【0125】
平板型ヒートパイプ62は冷媒を用いて発熱体14の熱を奪うので、ヒートシンク61だけの場合よりも、冷却モジュール60は、高い冷却効果を有する。勿論、ヒートシンク61が加えられることで、平板型ヒートパイプ62の放熱面の熱が効率的に放熱されるので、平板型ヒートパイプ62だけの場合よりも、冷却モジュール60は、高い冷却効果を有する。
【0126】
言い換えると、平板型ヒートパイプ62は、ヒートシンク61の基体11と一体の基体であると考えればよい。
【0127】
(ヒートシンク)
冷却モジュール60では、平板型ヒートパイプ62が伝導した発熱体14の熱を、ヒートシンク61が放熱する。すなわち、平板型ヒートパイプ62とヒートシンク61が一体となって、発熱体14を冷却する(発熱体14の室温に対する温度上昇を抑制する)。
【0128】
ヒートシンク61において、受熱面16の平板型ヒートパイプ62と対向する部分を対向部分65とし、対向部分65以外の部分を周囲部分66とする。実施の形態1〜3においては、ヒートシンクが発熱体14と直接接していたので、発熱体14との対向する部分を対向部分12としていたが、実施の形態4では、ヒートシンク61は、平板型ヒートパイプ62の熱を奪い取るので、平板型ヒートパイプ62を基準に対向部分65および周囲部分66を定義している。なお、対向部分65および周囲部分66は、平板型ヒートパイプ62との対向する部分に基づいて決めているだけで、詳細に分けられている必要はない。おおまかに把握されれば十分である。これは、実施の形態1〜3における対向部分12および周囲部分13についても同様である。いずれも、受熱面16が発熱体14や平板型ヒートパイプ62と対向する大体の領域が、対向部分として把握されればよい。
【0129】
実施の形態4における冷却モジュール60においても、基体11の対向部分65の熱抵抗が周囲部分66の熱抵抗よりも高い。これは、基体11の素材や構造(対向部分65に複数の孔や発砲を有することなど)により実現される。あるいは、図9、図10に示されるとおり、フィン31、51の形成により実現される。
【0130】
例えば、対向部分65を形成する素材が、周囲部分66を形成する素材と異なることで、それぞれにおける熱抵抗の値は相違する。熱抵抗の値は素材の物性で定まるからである。このため、対向部分65は、熱抵抗の高い物性を有する素材で形成され、周囲部分66は、熱抵抗の低い物性を有する素材で形成されればよい。この場合は別体を組み合わせることで製造される。
【0131】
あるいは、同一素材で一体形成された後で、対向部分65に不純物がドーピングされることで、対向部分65の熱抵抗を周囲部分66の熱抵抗よりも高くしても良い。
【0132】
また、図4に示されるのと同様に、対向部分65の表面に複数の孔を設けたり内部に発砲孔を設けたりして、対向部分65の熱抵抗を高くしても良い。
【0133】
あるいは、対向部分65に形成されるフィンの数が少ないことやフィンが設けられないことで、対後部部65の熱抵抗が周囲部分66の熱抵抗よりも高くなる。
【0134】
このように対向部分65の熱抵抗が高くなることで、平板型ヒートパイプ62を介して伝導された発熱体14の熱は、基体11を並列に伝導する。この結果、基体11における熱流束qxは小さくなってヒートシンク61における温度勾配も低減する。発熱体14の温度は、室温に対する温度勾配の積算で算出されるので、ヒートシンク61における温度勾配が低減すれば発熱体14の温度上昇が抑制される。
【0135】
放熱面17における対向部分65に対応する第1領域32におけるフィン31の個数や総体積を、第2領域33におけるフィン31の個数や総体積よりも小さくすることでもよい。更には、図9に示されるように、第1領域32においてはフィン31を設けないことでもよい。なおフィン31が設けられていないとは、製造上で生じる凸凹や本発明の主旨を没却しない程度の些末なフィンを設けることを排除するものではない。
【0136】
また、図10に示されるように、基体11の側面にフィン51が設けられても良い。
【0137】
このように、ヒートシンク61に備えられるフィンの工夫により、対向部分65における熱抵抗が、周囲部分66の熱抵抗よりも高くなる。基体11そのものの素材や構造が異ならなくても、フィン31、51が平板型ヒートパイプ62の熱を引き寄せる効果を有するので、対向部分65の熱抵抗が周囲部分66の熱抵抗よりも高くなる。すなわち、フィン31、51の構成により、平板型ヒートパイプ62からの熱は基体11を並列に分配して伝導する。すなわち、基体11における熱伝導経路が並列になり、ヒートシンク61での熱流束qxが小さくなる。この結果、ヒートシンク61における温度勾配が低減できる。
【0138】
以上のように、実施の形態4における冷却モジュールも、熱流束qxを低減できることで、高い効率で発熱体14を冷却できる。
【0139】
なお、実施の形態1〜4のいずれにおいても、熱伝導経路の並列化のために、基体そのものの素材や構造の工夫とフィンの構成の工夫のいずれか一方だけが用いられてもよく、両者が組み合わされて用いられてもよい。
【0140】
また、冷却モジュール60は、ヒートシンク61と平板型ヒートパイプ62が組み合わされて構成されたものでも良く、ヒートシンク61で構成されたものでも良い。
【0141】
(実施の形態5)
次に実施の形態5について説明する。
【0142】
実施の形態5では、実施の形態4で説明した冷却モジュール64、65が装着された冷却可能な電子基板について説明する。
【0143】
なお、この電子基板は、家電品やコンピュータなどの電子機器、切削機械などの産業機器、産業用ロボット、自動車、航空機など様々なアプリケーションに用いることができる。
【0144】
図11(a)は、本発明の実施の形態5における冷却可能な電子基板の側面図であり、図11(b)は、本発明の実施の形態5における冷却可能な電子基板の上面図である。図11(a)と図11(b)は相互に対応する。
【0145】
冷却可能な電子基板80は、発熱性を有する電子部品82、83、84が装着された電子基板81と、電子部品82、83に対向して配置される冷却モジュール64と、電子部品84に対向して配置された冷却モジュール65を備える。なお、図11に示される通り、部品82、83に配置された冷却モジュール64は、ヒートシンク61と平板型ヒートパイプ62が組み合わされたものであり、部品84に配置された冷却モジュール65は、ヒートシンク61で構成されたものである。部品の発熱度合いや冷却モジュール64、65の装着に必要となる容積余裕度によって、ヒートシンク61だけの冷却モジュール65、もしくはヒートシンク61に平板型ヒートパイプ62が組み合わされた冷却モジュール64が使い分けられれば良い。使い分け方は任意に定まる。
【0146】
電子部品82、83、84は、それぞれ発熱性を有している。LSIやICなどの半導体集積回路であったり、LED素子であったり、パワーデバイスであったりする。
【0147】
冷却モジュール64は、電子部品82、83の両方に対向するように配置されている。冷却モジュール64は、2つの電子部品を同時に冷却する。一方、冷却モジュール65は、1つの電子部品84に対向するように配置されている。冷却モジュール65は、単体の電子部品を冷却する。
【0148】
冷却モジュール64が備えるヒートシンク61は、ヒートシンク61の放熱面であって電子部品82、83に対向する部分に対応する領域以外にフィン31を備えている。これは実施の形態1〜4で説明したのと同様である。同様に、冷却モジュール65が備えるヒートシンク61も、電子部品84と対向する部分に対応する領域以外にフィン31を備えている。
【0149】
このようなフィンの構造により、ヒートシンク61を構成する基体11において、熱伝導経路が並列化されて熱流束qxが低減する。熱流束qxが低減することにより、ヒートシンク61における温度勾配も低減するので、室温に対する電子部品82〜84の温度上昇が抑制できる。
【0150】
このように実施の形態5における冷却可能な電子基板80は、装着されている発熱性を有する電子部品を、高い効率で冷却できる。冷却モジュール64、65が装着されていることで、電子基板80が電子機器や産業機器などに実装された場合でも、電子部品の温度上昇が抑制できるからである。
【0151】
なお、図11に示される冷却モジュール64、65は一例であり、実施の形態1〜4で説明された他の形態や構成を有する冷却モジュールが使用されてもいいのは言うまでもない。
【0152】
なお、実施の形態1〜5で説明されたヒートシンク、冷却モジュールは、ヒートシンクでの温度勾配を低減することによって、接触する発熱体や平板型ヒートパイプの温度勾配も低減する。
【0153】
次に、実際にシミュレーションを行った実験例について説明する。
【0154】
(実施例)
(実施例1と比較例1による実験)
ここでは、実施例1を、比較例1との比較に基づいて説明する。
【0155】
なお、ここでは、ヒートシンクと平板型ヒートパイプを組み合わせた冷却モジュールについて実験を行った。ヒートシンクと平板型ヒートパイプが一体となって(平板型ヒートパイプとヒートシンクとが複合された基体であるとみなせばよい)、発熱体を冷却する。ヒートシンクは、本発明の実施の形態1から5で説明したヒートシンクであり、平板型ヒートパイプとの組み合わせの有無にかかわらず、従来のヒートシンクに比べて温度勾配を小さくできる。
【0156】
図12、図13は、本発明の実施例1におけるヒートシンクの斜視図である。図13は、図12に示されるヒートシンクの図中A−A’断面に沿った断面を見せている。
【0157】
図12、図13に示される実施例1は、発熱体と対向する対向部分として一般的に考えられる基体の中央部においてフィンが設けられておらず、周囲部分のみにフィンが設けられている。また、周辺部に行くにつれて、フィンの高さが高くなる。
【0158】
図14、図15は、本発明の比較例1におけるヒートシンクの斜視図である。図15は、図14に示されるヒートシンクの図中A−A’断面に沿った断面を見せている。比較例1のヒートシンクは、基体の放熱面の全面に一様にフィンを備えている。
【0159】
実施例1および比較例1のヒートシンクは、アルミニウムで形成されていると想定している。なお、アルミニウム以外であっても熱伝導性の良い、銅、銀、金、チタンなどの種々の金属や樹脂が用いられればよい。
【0160】
実施例1および比較例1のヒートシンクの基体は、5mmの厚み、50mm角のサイズを有している。フィンは、3mm角であって、5mmピッチで配置されて突出している。フィンの高さは、最外周部では40mm、その内側は30mm、更にその内側は20mm、最内側は10mmである。フィンを設置していない領域は、基体中心の12mm角の領域である。これは実施の形態1〜4で説明した第1領域に相当する。この12mm角の第1領域は、発熱体のサイズによって適宜変更されて良い。
【0161】
また、実施例1のフィンの高さは、上述のように中央から外周に向けて直線的に増加するだけでなく、二次曲線に近い形状で増加しても良く、ルート関数曲線に近い形状で増加しても良い。
【0162】
なお、フィンの高さの増加パターンは、ヒートシンクと組み合わされる送風ファンからの気流に応じて定められても良い。例えば、ヒートシンク上方より風を吹きつける場合には、ヒートシンクの横断面において、フィンが凹を描くような高さ変化を有していることが、気流の導入において効果的である。逆に、ヒートシンク上方へ風を吸い込む送風ファンが用いられる場合には、ヒートシンク横断面においてフィンが凸を描くような高さ変化を有していることが、気流の導入において効果的である。図12で示される実施例1のように、フィンの高さが直線的に変化するように攻勢されることで、送風ファンの違いによる性能変化の差分を最小限に抑えることができる。
【0163】
比較例1のヒートシンクの素材、基体のサイズは同じであり、高さ40mmのフィンが放熱面の全面に5mmピッチで配置されていることのみが相違する。
【0164】
加えて、実施例1および比較例1のヒートシンクは、平板型ヒートパイプと組み合わされ使用される。このとき、ヒートシンクと平板型ヒートパイプは、サーマルグリース等の熱的接合材(以下、「TIM」と呼ぶ。)を介して接続されている。TIMは、0.1mm程度の厚みを有するのが適当である。
【0165】
なお、TIMとしては、シリコン系のサーマルグリースをはじめ、銅や銀粒子などのフィラー入りのサーマルグリース、所定の温度・時間条件によって硬化するエポキシ系のサーマルグリース、ある温度異常でフェーズチェンジして流動性をもつサーマルグリース、あるいは液体金属製などの種々の素材を含む。なお、シリコン系サーマルグリースは、低コストであるメリットがある。
【0166】
また、平板型ヒートパイプは、銅を用いて製造した。
【0167】
以上のようにして、実施例1および比較例1にかかわるヒートシンクを試作した。
【0168】
この試作した実施例1と比較例1のそれぞれの冷却効果について、サーマルシミュレーションを実施した。
【0169】
シミュレーション方法として、固体内部におけるモデルに、有限体積法により3次元熱伝導方程式を離散化したモデルを採用した。また、ヒートシンク表面においては、鉛直面の熱伝達係数を200W/(m・K)の定数とし、上向き水平面における熱伝達係数を150W/(m・K)の定数とし、下向き水平面は10W/(m・K)の定数とするモデルを採用した。計算の安定性を考慮したためである。
【0170】
また、平板型ヒートパイプの熱伝達係数を、1700W/(m・K)とした。これは、銅の熱伝達係数の約5倍であり、平板型ヒートパイプの性能として適当と考えられるからである。
【0171】
まず、実施例1でのヒートシンクの表面温度に関するシミュレーション結果を、図16に示す。図16は、本発明の実施例1についてのシミュレーション結果をヒートシンクの表面温度に反映させた斜視図である。同様に、比較例1でのヒートシンクの受熱面温度に関するシミュレーション結果を、図17に示す。図17は、本発明の比較例1についてのシミュレーション結果をヒートシンクの受熱面温度に反映させた斜視図である。
【0172】
図16、17においては、色の濃い部分は温度が高く、色の薄い部分は温度が低いことを示している。図16から明らかな通り、実施例1のヒートシンクを用いた場合には、中心部の温度と周辺部の温度の差が小さい。特に中心部の温度が周辺部に比べてそこまで高くないことが分かる。すなわち、発熱体の熱が、中心部および周辺部に分散してヒートシンクを熱伝導していることが分かる。
【0173】
これに対して、図17から明らかな通り、比較例1のヒートシンクでは中心部の色が非常に濃く、中心を基本に熱が伝導している。すなわち、熱はヒートシンクで分散せず、発熱体から直にヒートシンクの厚み方向に熱伝導している。
【0174】
このように、シミュレーションからも実施例1のヒートシンクは、発熱体の熱をヒートシンク内部で分散させて熱伝導させることが確認された。
【0175】
なお、シミュレーションにおいては、ヒートシンクの受熱面の中心に発熱体があると想定している。
【0176】
ついで、実施例1と比較例1において、平板型ヒートパイプおよびヒートシンク内における温度平滑化効果と厚み方向の温度勾配低減効果を比較した。図18に、実験状況が示されている。図18は、本発明における実施例1と比較例1の温度勾配低減効果の実験を示す模式図である。
【0177】
図18に示すように、平板型ヒートパイプ内の横断面A−A’および鉛直断面B−B’での温度分布を、3次元曲面を用いて、図19に示す図19(a)は、実施例1の場合のA−A’における鉛直断面の温度分布を示す説明図であり、図19(b)は、比較例1の場合のA−A’における鉛直断面の温度分布を示す説明図である。
【0178】
図19(a)に示されるB−B’の傾きの大きさは、図18におけるB−B’での温度勾配を示すものである。言い換えると、実施例1(本発明の主旨に対応する)のヒートシンクと接する平板型ヒートパイプにおける温度勾配を示す。図19(b)に示されるB−B’の傾きは、比較例1のヒートシンクと接する平板型ヒートパイプにおける温度勾配を示す。
【0179】
図19(a)、(b)を比較して分かるとおり、実施例1のヒートシンクを用いた場合には、温度勾配が小さくなっていることが分かる。温度勾配が小さいことで、室温に対する発熱体の温度上昇を低減できる。このように、実施例1のヒートシンクは、ヒートシンクと組み合わされた平板型ヒートパイプの温度分布を平滑化でき、温度勾配を低減できる。
【0180】
一方、図19(b)から分かるとおり、比較例1のヒートシンクを用いた場合には、温度勾配が大きくなっている。なお図19に示されているのは、冷却モジュールの平板型ヒートパイプの部分の温度勾配であるが、平板型ヒートパイプは、ヒートシンクの一部であるので、ヒートシンク(あるいはヒートシンクの基体部分)における温度勾配を示しているとみなすことができる。
【0181】
このように、実験結果からも本発明の主旨である対向部分の熱抵抗が周囲部分の熱抵抗よりも高いヒートシンクは、温度勾配が小さくなり、室温に対する発熱体の温度上昇が抑制できる。
【0182】
次に、ヒートシンクに平板型ヒートパイプを組み合わせることによる冷却効果の増加を説明する。
【0183】
図12に示される実施例1のヒートシンクに、(1)平板型ヒートパイプ、(2)銅板(銅製の熱拡散部材)、(3)アルミニウム板(アルミニウム製の熱拡散部材)のいずれかを組み合わせた冷却モジュールによる、温度低下効果を実験した。なお(1)の平板型ヒートパイプは、実施の形態4で説明したとおり、封入された冷媒の気化と凝縮により冷却効果を発揮する部材であり、(2)の銅板および(3)のアルミニウム板は、ただの金属板である。
【0184】
(1)〜(3)が組み合わされた冷却モジュールのそれぞれにおいて、冷却モジュール内部の最高温度と最低温度を比較して、温度低下効果を算出した。算出結果は、(表1)に示される。
【0185】
【表1】

【0186】
表1から明らかな通り、(1)平板型ヒートパイプが組み合わされた冷却モジュールの温度低下効果が最も高い。このことから、平板型ヒートパイプが組み合わされることの冷却効果が高いことが分かる。
【0187】
図19に示される実験結果から、本発明のヒートシンクの冷却効果が高いことが分かり、表1に示される結果から、本発明のヒートシンクに平板型ヒートパイプを組み合わせた冷却モジュールの冷却効果が高いことが分かる。
【0188】
以上の実験結果より、本発明のヒートシンクは、発熱体の温度上昇を抑制できる。また、冷媒の気化・凝縮を利用した平板型ヒートパイプと組み合わされることで、更に高い効果で発熱体の温度上昇を抑制できる。
【0189】
以上のように、実施の形態1〜5のヒートシンク、冷却モジュールによれば、発熱体からの熱が面方向に移動しやすくなるので、基体内部での熱の移動が分散されて並列移動となる。結果として、熱流束qxが低減し、基体やフィンにおける温度勾配が低減する。温度勾配が低減することにより、室温に対しての発熱体の温度上昇が抑制される。
【0190】
なお、ヒートシンクや冷却モジュールが、発熱体と対向するのは、基体の中央付近であることが多いと考えられるので、対向部分は、基体の中央付近であると仮定されて本発明のヒートシンクや冷却モジュールが製造されることが適当である。勿論、使用上の都合によっては基体の端部で発熱体と対向することもありえるので、この場合には対向部分は、基体の端部として製造されればよい。
【0191】
これらのヒートシンク、冷却モジュール、冷却可能な電子基板は、電子機器、製造機械、産業機械、自動車、航空機器などの幅広い分野に適用される。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、電子部品や電子素子などの発熱性を有する発熱体の冷却などの分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】従来の技術と本発明の熱伝導の概念を示す模式図
【図2】(a)本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図 (b)図2(a)に示されるヒートシンクを上から見た上面図
【図3】本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるヒートシンクの側面図
【図5】本発明の実施の形態2におけるヒートシンクの側面図
【図6】図5に示されるヒートシンクを上から見た上面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるヒートシンクの側面図
【図8】本発明の実施の形態3におけるヒートシンクの側面図
【図9】本発明の実施の形態4における冷却モジュールの側面図
【図10】本発明の実施の形態4における冷却モジュールの側面図
【図11】(a)本発明の実施の形態5における冷却可能な電子基板の側面図 (b)本発明の実施の形態5における冷却可能な電子基板の上面図
【図12】本発明の実施例1におけるヒートシンクの斜視図
【図13】本発明の実施例1におけるヒートシンクの斜視図
【図14】本発明の比較例1におけるヒートシンクの斜視図
【図15】本発明の比較例1におけるヒートシンクの斜視図
【図16】本発明の実施例1についてのシミュレーション結果をヒートシンクの表面温度に反映させた斜視図
【図17】本発明の比較例1についてのシミュレーション結果をヒートシンクの表面温度に反映させた斜視図
【図18】本発明における実施例1と比較例1の温度勾配低減効果の実験を示す模式図
【図19】(a)実施例1の場合のA−A’における鉛直断面の温度分布を示す説明図 (b)比較例1の場合のA−A’における鉛直断面の温度分布を示す説明図
【図20】ヒートシンクと発熱体との温度変化を示す模式図
【符号の説明】
【0194】
1 発熱体
2 基体
3 フィン
4、5 熱伝導経路
10 ヒートシンク
11 基体
12 対向部分
13 周囲部分
14 発熱体
31 フィン
32 第1領域
33 第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と対向し、前記発熱体から熱を奪う基体を備え、
前記基体において、前記発熱体と対向する対向部分の熱抵抗が、前記対向部分の周囲である周囲部分の熱抵抗よりも高いヒートシンク。
【請求項2】
前記対向部分は、前記周囲部分よりも熱抵抗の高い素材で形成されている請求項1記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記対向部分は、複数の孔を備える請求項1から2のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記基体は前記発熱体と対向する受熱面と、前記受熱面と対向する放熱面を有し、
前記放熱面は、複数のフィンを備え、
前記対向部分に対応する前記放熱面の領域である第1領域に備えられた前記フィンの熱抵抗は、前記周囲部分に対応する前記放熱面の領域である第2領域に備えられた前記フィンの熱抵抗よりも高い請求項1から3のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記第1領域に備えられた単位面積あたりの前記フィンの個数は、前記第2領域に備えられた単位面積あたりの前記フィンの個数よりも少ない請求項1から4のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記第1領域に備えられた前記フィンの総体積は、前記第2領域に備えられた前記フィンの総体積よりも小さい請求項1から4のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記第1領域に備えられている前記フィンの個数は、0個である請求項1から4のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記基体において前記放熱面と交差する前記基体の側面が、更にフィンを備える請求項4から7のいずれか記載のヒートシンク。
【請求項9】
受熱面と放熱面を有する平板型の基体と
前記受熱面に対向して配置された平板型ヒートパイプを備え、
前記基体において、前記平板型ヒートパイプと対向する対向部分の熱抵抗が、前記対向部分の周囲である周囲部分の熱抵抗よりも高く、
前記平板型ヒートパイプは、内部に封入された冷媒の気化および凝縮によって発熱体を冷却する冷却モジュール。
【請求項10】
前記周囲部分に対応する前記放熱面の領域である第2領域には、複数のフィンが備えられ、前記対向部分に対応する前記放熱面の領域である第1領域には、0個の前記フィンが備えられている請求項9記載の冷却モジュール。
【請求項11】
前記基体において前記放熱面と交差する前記基体の側面が、更にフィンを備える請求項9から10のいずれか記載の冷却モジュール。
【請求項12】
電子基板と、
前記電子基板に装着された発熱性を有する電子部品と、
前記電子部品に対向して配置された請求項9から11のいずれか記載の冷却モジュールを備える冷却可能な電子基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図20】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−188329(P2009−188329A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29151(P2008−29151)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(591245141)株式会社渕上ミクロ (26)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】