説明

ピストン部材、ピストン部材を備える装置、ならびに、ピストン部材および装置の使用および方法

ピストン(3、3’、3”)が設けられたピストンロッド(4)を備えるピストン部材(1、1’、1”)は、シリンダバレル(5、6、7、5’、6’、7’、5”、6”、7”)内で往復動するのに役立ち、前記ピストン(3、3’、3”)は、シリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)を、ピストン(3、3’、3”)と対向するキャップ付き近位端(35a、35a’、35a”)を有する近位のシリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”)と、ピストン(3、3’、3”)と対向する遠位シリンダバレル端(35b、35b’、35b”)を有する遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)とに分ける。ピストン部材は、遠位シリンダバレル端(35b、35b’、35b”)で遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)内に配置される少なくとも1つのシールリング(8、8’、8”)またはシートを備える。好ましくは、3つの連続するピストン部材(1、1’、1”)は、石炭粉をガス化装置へ輸送するために装置内で順次に動作するように配置される。シリンダバレル内でのピストンの動きは、割り当てられた石炭粉のバッチを高圧反応器へ輸送するために互いに対して制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダバレル内で往復動するピストンが設けられるピストンロッドを備えるピストン部材に関し、前記ピストンは、シリンダバレルチャンバを、ピストンと対向するキャップ付き近位端を有する近位のシリンダバレルチャンバと、ピストンと対向する遠位シリンダバレル端を有する遠位のシリンダバレルチャンバとに分ける。
【0002】
また、本発明は、割り当てられた材料のバッチをガス化装置または反応器などの受け体へ連続輸送するための装置に関する。
【0003】
本発明は、割り当てられた材料のバッチを高圧下でガス化装置または反応器などの受け体へ連続輸送する方法に更に関する。
【0004】
特に、本発明は、石炭粉および他の固体材料を輸送するための装置の使用および方法に関する。
【背景技術】
【0005】
化石燃料、バイオマス、または、廃棄物のガス化は、現在、電気を発生させるために産業規模で幅広く使用されている。ガス化は、700℃を超える高温での化学プロセスに依存し、そのため、原料がガス化装置へ連続的に供給される際には、特に有毒で爆発性のガスの存在に起因して、安全規制に関する高い要求を課す。ガス化装置内で、炭素系原料が幾つかの異なるプロセスを受ける。最初に、炭素系粒子がだんだん熱くなると熱分解プロセスが起こる。揮発性ガスが解放され、炭化物が生成され、それによって、石炭の重量損失がもたらされる。プロセスは、炭素系材料の特性に依存し、炭化物の構造および組成を決定する。炭化物は、その後、ガス化反応を受ける。次に、燃焼プロセスにおいて、揮発性生成物、および、炭化物の一部が、酸素と反応して、二酸化炭素および一酸化炭素を生成する。この燃焼プロセスは、炭化物が二酸化炭素および蒸気と反応して一酸化炭素および水素を生成するその後のガス化反応のための熱を与える。酸素または空気をガス化システムへ導入することにより、有機材料が一酸化炭素およびエネルギーへ変換され、更に有機材料を水素および付加的な二酸化炭素へと変換する第2の反応が促される。
【0006】
しかしながら、高圧反応器への固体の供給は、高い機器コストおよび質の悪い材料特性に起因して、常に困難であった。圧力に抗して供給する最も一般的に使用される原理であるロックホッパは、加圧および移動のために使用される不活性ガスの消費量が非常に大きいという深刻な問題を有する。これは、低い密度を有するかまたはブリッジを形成する傾向を有する固体を供給する場合が、特にそうである。ロックホッパの1つの他の大きな欠点は、それがバッチ型の作業であるという点である。ホッパ間のバルブは移動される間に高濃度の固体で動作可能でなければならないため、バルブが動作状態下で固着とシール破損の影響をうける。減圧バルブおよび通気ラインはいずれも、差圧の影響下でのこれらを通じた硬質固体の急速な移動の結果として、激しい研磨状態の影響を受ける。したがって、そのようなシステムは、シーケンス制御不良を受けやすく、多大なコストに起因して連続動作に適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
欧州特許第1425089号明細書は、異なる圧力領域間での粒子状生成物の移送のための方法および装置に関するものである。堰システムにおいて、粒子状生成物は、最初に、均一粒子自由空間によって分けられる一連の均一な生成物小分け部を生成する小分け装置を通じて輸送される。その後、生成物小分け部は、少なくとも1つの堰チャンバと2つの圧力ロックとを備える堰装置を通じて個別に輸送される。この圧力ロックの少なくとも一方は、常に、2つの圧力領域間で圧密バリアを確保し、また、生成物小分け部は、ピストンスクリューにより第1の領域から堰チャンバへ強制的に装填される。ピストンスクリューの軸は、実際には、堰チャンバの軸と一直線をなす。また、生成物小分け部は、前記ピストンスクリューまたはピストンによって、あるいは第2の圧力領域の圧力よりも高い圧力で供給されるガス、蒸気、または、液体によって堰チャンバから第2の圧力領域へと強制的に除去される。欧州特許第1425089号明細書に記載される装置のシール面は摩耗に対して非常に弱く、そのため、装置が漏れやすい。ガスが圧力流体として使用される場合には、堰チャンバが再び充填されるように減圧されなければならないので、堰チャンバ内で圧縮されるガスが解放されなければならない。したがって、堰チャンバからのガスは、それぞれのピストンストローク中に大気へ解放される。このことは、装置が、可燃性でない、爆発性でない、または、有毒でない雰囲気へしか供給できないこと、あるいは、不活性ブリードガス、すなわち、供給機構での任意の漏れによって生じるガスの消費が非常に大きいことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による主要な態様では、従来技術の不利を改善できるピストン部材、装置、および、方法が提供される。
【0009】
本発明による第2の態様では、可燃性雰囲気、爆発性雰囲気、および/または、有害な雰囲気へ材料を、安全性リスクを伴うことなく輸送できるピストン部材、装置、および、方法が提供される。
【0010】
本発明による第3の態様では、これまで知られているよりも磨滅頻度が低いピストン部材および装置が提供される。
【0011】
本発明による第4の態様では、その構成要素を最小のコストおよび最小のダウンタイムで交換できる装置が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様では、可燃物の微粒子をガス化装置や反応器を含む受け体へと目詰まりなく輸送できるピストン部材、装置、および、方法が提供される。
【0013】
本発明の第6の態様では、割り当てられた材料のバッチを、ブリッジを伴わずに高温受け体へ連続輸送するための装置が提供される。
【0014】
前述した態様のうちの少なくとも1つが本発明にしたがって達成される新規かつ独創的な特徴は、少なくとも1つのシールリングまたはシート、好ましくは延性シールリングまたは延性シートが、遠位のシリンダバレルチャンバ内の遠位シリンダバレル端に配置されることにある。
【0015】
本発明の範囲内で、「延性材料」は、破壊することなく塑性変形される機械的特性を有する材料として規定される。
【0016】
延性シールリングまたは延性シートには、ピストンが、前方ピストンストロークにおいて所定の力で当て付き、その結果、延性シールリングまたは延性シートが変形されて、シリンダバレルチャンバ、延性シールリングまたはシート、および、ピストンの接触面間に流体密のシールが形成される。シートは、シリンダバレル内壁上の環状突出部によって構成されてもよく、または、別個に挿入されるシールリングによって構成されてもよい。最初のケースでは、シリンダバレル部分全体が置き換えられなければならず、後者のケースでは、シールシングだけを交換すれば済む。いずれのケースにおいても、シートまたはシールリングは、シリンダバレルチャンバの小径の環状突出端部を構成し、この端部には、前方ピストンストロークの終わりに、ピストン前方にある材料を輸送しているピストンが当たる。したがって、ピストン部材は、ピストンの移動がピストンの軸方向長さよりも長くなるように設計される。
【0017】
延性シールリングまたは延性シートの材料の延性に起因して、前記延性シールリングまたは延性シートは、戻りピストンストローク中にその当初の形態を取り戻す。したがって、延性シールリングまたは延性シートは、ピストンおよびシリンダバレルとシール係合するための有利に移動するシートとしての役目を果たす。ピストンが当たるときに延性シールリングまたは延性シートの十分な変形をもたらすピストン部材の好ましい実施形態は、硬質金属、例えば硬化鋼から製造されるピストンと、延性金属、例えばオーステナイト系ステンレス鋼から製造される延性シールリングまたは延性シートとを含む。オーステナイト系ステンレス鋼は、ピストン部材の構成要素と延性シールリングまたは延性シートとの間に非常に信頼できる金属−金属シールをもたらす高い延性および高い最大抗張力を有する。この場合、延性シールリングまたは延性シートは、それぞれのピストンストローク後に有利に再生する。この実施形態は、固体可燃材料を高圧受け体へ輸送する使用に適している。
【0018】
シールシングまたはシートが、延性でない金属から製造される場合、前記シールリングまたはシールはその形状を取り戻すことができない場合があるが、ピストン部材の構成要素とシールリングまたはシートとの間の密接な金属−金属シールに起因して、シール能力は依然として存在して信頼できる。この実施形態では、シールリングまたはシートが、シリンダバレルと共に成型されてもよい。
【0019】
シールリングまたはシートが延性材料から製造されるか否かにかかわりなく、確実なシールを維持するために摩耗が交換を必要とする場合には、メンテナンス中のダウンタイムがしばしば長引く従来の装置とは対照的に、シールリングまたはシートを低コストで交換できる。
【0020】
そのようなシールリングまたはシートの更なる利点は、シール構成要素、すなわち、シールリングまたはシートのシール特性に関して有害な結果を伴うことなく、堆積物、凝集物質、または、任意の異物を破壊あるいは切断できるという点である。シールリングまたはシートの縁部は、ピストンが当たるときにシリンダバレル内に存在する任意の輸送された材料の切断ナイフとしての機能を果たし、したがって、シールリングまたはシートの固有の有利な更なる特性は、シリンダバレル内の目詰まりおよび蓄積を防止するツールとしての特性である。
【0021】
ピストンの体積と、材料が受け体へ行く途中で輸送される中間区画室の全容積との差を補償するために、ピストンは、遠位のシリンダバレルチャンバへ向けて対向するフロントノーズを有することが有利である。輸送は、輸送プロセスが圧力を中立に維持するように、それぞれが中間区画室の容積にほぼ対応する体積の連続的な割り当てられたバッチを成す状態で連続的に行なわれてもよい。したがって、ノーズは、ノーズが前記中間区画室内に突出するときに中間区画室の全容積がピストンの体積に近くなるように設計されるのが好ましい。容積と体積との間の差は、2つの管状部材が互いに流体連通するように結合されるときに必要とされるカップリングフランジと、ピストンおよび供給チャンバの製造公差とに起因して生じる。突出するノーズをサイズおよび形状に適切な法付を持たせることにより、ピストンの体積と中間区画室の容積との間の前記容積比率の制御を得ることができる。ノーズは、ピストンストロークに影響を及ぼさないか、またはピストンの往復移動のための経路中にない任意の都合の良い形態を有することができ、そのため、有利なことには、ピストンがピストン軸周りに回転することも防止され、それにより、ピストン上のノーズのための逃げ角および隙間領域が幾つかの協働するピストン部材に確保される。
【0022】
好ましい実施形態において、ノーズは、他のピストンがノーズを備えるピストンに対して垂直に往復動するための空間を与えるように構成される軸方向切り欠きまたは軸方向凹部を有する。
【0023】
例示的な中間区画室は、例えば、以下で更に詳しく説明するように、連続的に往復して協働するピストン部材同士を互いに対して略垂直に配置することによって形成される一時的な中間区画室である。容積比率の一例として、中間区画室の容積とピストンの体積との間の比率が11:10である場合、ピストン部材は、10バールの背圧でガス輸送がゼロである。固体材料は中間区画室内で何らかの体積を占めるため、最大100バールの反応器圧の中立圧力を得ることもできる。
【0024】
通常、加圧反応器に材料を供給する協働するピストン部材の堰システムは、耐密性がなく、ガスの流れを引き起こし、その結果、一酸化炭素などのガス状物質が周囲へ漏れ、または、大気が堰システムの動作プロセス中に取り込まれる。従来のピストン部材用途では、所定期間の動作後にリニアシールの機能の低下がしばしば検出される。この期間は、ピストンがバイオマスまたは石炭粉などの研磨性の非常に高い固体材料と接触すると、許容できないほど短くなる可能性がある。
【0025】
ピストン部材が流体密に急に動作を停止する場合、ピストン部材は、ピストン部材と直接的にまたは間接的に連通する受け体からの加圧ガスまたは流体の漏れまたはシリンダバレルチャンバを通じた加圧ガスまたは流体の漏れを検出する手段を有してもよい。
【0026】
加圧ガスまたは流体の漏れを検出する手段の例示的な実施形態は、ピストンとシリンダバレルの内壁との間の周方向隙間によって画定される加圧チャンバと流体連通する圧力測定計器と、シリンダバレルチャンバ壁中または該壁に配置される2つの離間する環状シール部材とを備えてもよい。
【0027】
本出願で使用する用語「加圧チャンバ」は、周囲環境の圧力を上回る圧力を有するチャンバとして理解されるべきである。
【0028】
最終的に、ピストンバレルチャンバの端部におけるシールリングまたはシートは、すなわち、ピストンストロークの終わりに配置されるシールリングは、例えば摩耗に起因して、多くのピストンストローク中に効果がなくなりまたは不具合が生じ、あるいは、より硬質な構成要素との接触に起因して損傷される。その場合、シールリングまたはシートを直ちに交換することが非常に重要である。したがって、ピストン部材の効果的で、好ましい、有益な動作のためには、漏れの早期検出が重要である。また、ひび、亀裂、溶接不良によって、または、フランジ結合不良によって、空気またはガスがピストン部材から逃げる場合があり、同様に、そのような場所で空気がピストン部材に入る場合がある。いずれの状況においても、空気またはガスにより、検出領域の油圧は、増大または減少して、漏れが生じたことを直ちに示す。したがって、圧力が所定の標準圧または圧力区間から外れているというどんな表示も、漏れの存在の表示である。
【0029】
圧力測定計器がパイプを介して加圧チャンバと流体連通する場合には、リニアシールを構成する加圧チャンバが受け体での圧力よりも高い油圧の圧油で満たされてもよい。信頼できる加圧チャンバの寿命を延ばすために、離間する環状シール部材が前記パイプの両側に配置されてもよい。シールリングまたはシートの反対側で、ピストンに常に注油することができる。往復動システムの任意の部分における漏れは直ちに検出される。これは、往復動システム内の圧力が受け体での圧力などの所望のレベルを下回る場合に、ガス状物質が油パイプを介して加圧チャンバ内へ押し込まれまたは自然に逃げ込んで圧力測定計器へと向かうからである。圧力測定計器は、圧力が望ましくないレベルまで降下したという警報または表示、および、漏れの原因を取り除くための措置をとる必要があるという警報または表示を起動してもよい。
【0030】
環状シール手段部材は、シリンダバレルチャンバの環状内壁の凹部内に配置されるリップシールまたは1つまたは複数のOリングであることが好ましい。リップシールは、油の漏れおよび加圧チャンバ内への汚れの進入を防止するために、往復動するピストンに擦り付く柔軟なリップを有する。漏れが存在すると、シール能力が不十分となり、それにより、ピストンの移動速度に影響を与えるなど、ピストン部材に対して幾つかの異なる影響が及ぶ可能性がある。加圧チャンバ内の油圧は、作用が圧力測定計器によって記録される圧力差を均等にしようと試みる。多くのタイプの排他的なリップが本発明の範囲内で使用されてもよい。
【0031】
シリンダバレル内でのピストンのスムーズな往復移動を容易にするため、少なくとも1つの外周スライドシールが、加圧チャンバへのパイプ入口と環状シール部材との間に介在するシリンダバレルチャンバ壁に配置されてもよく、また、好ましい実施形態では、少なくとも1つの外周スライドシールがテフロン(登録商標)シールであってもよい。
【0032】
ピストンストロークの終わりで、ピストンにより輸送される材料のための中間区画室または他の受け体への移行部で、遠位端シリンダバレル端における有効なシールを得るために、シールリングまたはシートは、遠位のシリンダバレルチャンバの内径の2‰〜2%の距離で遠位のシリンダバレルチャンバの径方向内側に延びるような寸法を有してもよい。このシール能力は、ピストン部材が、シリンダバレルチャンバとピストンとの間をシールするためにシールリングを変形させるまたはシールリングと接触するようなストローク長を伴う寸法を有する場合に、更に確保される。
【0033】
前述したように、本発明は、前述したピストン部材のうちの少なくとも1つを使用して割り当てられた材料のバッチを受け体へ連続輸送するための装置にも関連する。受け体は、例えば、固体粒子材料を高圧で燃焼させるガス化装置または反応器であってもよい。しかしながら、ピストン部材は材料を任意の受け体へ輸送して供給することができるため、受け体は高圧で動作する種類のものである必要はなく、また、本発明の範囲内では、任意の種類の材料を確実かつ安全な態様で任意の種類の受け体へ輸送することができる。
【0034】
割り当てられた材料のバッチを高いプロセス圧で動作する受け体へ連続輸送するために用いるのに特に適する装置は、前述した種類の少なくとも3つのピストン部材を備えてもよい。そのような装置は堰システムとしての機能を果たすことが有利である。この堰システムでは、割り当てられた材料のバッチが個々の部分としてシステム内の受け体に供給され、受け体では、原料と受け体との間の任意の流体連通が除去されて排除され、また、ブリッジが起こり得ない。
【0035】
そのような装置の好ましい実施形態は、有利なことには、
−第1のピストン部材が輸送される材料を受けてもよく、第1のピストン部材が第1のシリンダバレル内で往復動する第1のピストンを有し、第1のピストンが、第1のシリンダバレルの第1のシリンダバレルチャンバを、キャップ付き端部を有する第1の近位のシリンダバレルチャンバと、反対側の第1の遠位シリンダバレル端を有する第1の遠位のシリンダバレルチャンバとに分け、
−第2のピストン部材が第2のシリンダバレル内で往復動する第2のピストンを有してもよく、第2のピストンが、第2のシリンダバレルの第2のシリンダバレルチャンバを、第2のキャップ付き端部を有する第2の近位のシリンダバレルチャンバと、反対側の第2の遠位シリンダバレル端を有する第2の遠位のシリンダバレルチャンバとに分け、
−第3のピストン部材が第3のシリンダバレル内で往復動する第3のピストンを有してもよく、第3のピストンが、第3のシリンダバレルの第3のシリンダバレルチャンバを、第3のキャップ付き端部を有する第3の近位のシリンダバレルチャンバと、反対側の第3の遠位シリンダバレル端を有する第3の遠位のシリンダバレルチャンバとに分け、
−第1のピストン部材が、その第1の前方ピストンストロークにおいて、第1の遠位のシリンダバレルチャンバに供給された材料を、少なくとも第2の遠位のシリンダバレルチャンバと第3の遠位端に配置される第3のピストンとによって画定される第1の中間区画室または堰へ輸送してもよく、
−第2のピストン部材が、その第2の前方ピストンストロークにおいて、第1の中間区画室または堰からの材料を、第3の遠位のシリンダバレルチャンバと、第2のピストンの遠位端と、受け体とによって画定される第2の中間区画室へ輸送してもよいように構成されてもよい。
【0036】
そのような装置により、材料を圧縮することなく固体材料を、例えばガス化装置や反応器へ輸送することができるとともに、交互のピストンストロークを成すピストン部材のピストンにより材料を押し進めることができる。それぞれの対応するシリンダバレルチャンバ内で順次に動作するピストンの制御された往復動によって画定される密閉中間区画室または堰に起因して、原料フィーダと受け体との間に直接的な連通が存在しない。ブリッジが起こる可能性は決してなく、また、装置は、既知のスクリューフィーダシステムよりも安全であり、高い動作能力を有するとともに、良好な正常運転で維持することが容易である。例えば、シールリングが摩耗を受けるなど、多くの場合に非常に簡単な構成要素の交換によって素早く容易に修復できる場合を除き、動作障害または動作停止などの動作トラブルは稀である。供給サイクル全体にわたって、受け体内のプロセス圧に対する優れた機械的シールを形成して維持することができる。
【0037】
材料は、それぞれのシリンダバレル内で往復動するピストンにより与えられる動作サイクルで、互いに連通するように配置された前後に位置する一時的な中間区画室を通じて押し進められ、それにより、第1のピストン部材の第1のピストンが、材料を第2のシリンダの第2のシリンダバレルチャンバに供給することができ、また、これが行なわれると、第2のピストンが、割り当てられた材料のバッチを第3のピストン部材の第3のシリンダバレルチャンバ内に供給することができ、最終的に、この第3のピストン部材の第3のピストンが、割り当てられた材料のバッチを受け体へ押し進める。動作サイクルステップ中、次の割り当てられた材料のバッチが既にサイクル内で進んでいてもよく、それにより、中間区画室が繰り返し充填される。したがって、動作サイクルが何度も連続的に繰り返される。ピストン部材は材料を圧縮することなく前方へ移動させ、また、粒径分布(PSD)が実質的に乱されない。
【0038】
好ましくは、延性材料から製造される少なくとも1つのシールリングまたはシートは、材料を最終的な受け体に供給する堰システムを規定する中間区画室のシールを行なうことに寄与する。初期のテクスチャおよび粒径分布は輸送全体中にわたって維持される。
−ピストンを近位端へ引き込んで遠位のシリンダバレルチャンバを拡大させるステップと、
−材料を遠位のシリンダバレルチャンバに供給するステップと、
−シリンダバレルチャンバの遠位端へ向けたピストンストロークを行なって、割り当てられた材料のバッチを受け体に供給するステップと
を含む動作サイクルでは、割り当てられた材料のバッチを受け体へ連続供給するために1つのピストン部材だけで済む。
【0039】
この簡単な方法は、加圧されない受け体へ材料が供給されるようになっている場合に好ましい場合がある。
【0040】
複数のピストン部材を含む本発明による好ましい方法は、割り当てられた原料のバッチを装置の第1のピストン部材へ連続的に供給するとともに、第1のピストン部材の第1のピストン、第2のピストン部材の第2のピストン、および、第3のピストン部材の第3のピストンを繰り返し供給サイクルで往復動させることによって原料のバッチを受け体へ輸送するように装置を動作させることを含み、繰り返し供給サイクルでは、ピストンは、第1のピストン部材の第1の遠位のシリンダバレルチャンバに供給される材料の一連のバッチのための中間区画室を画定するように配置される。
【0041】
本発明による好ましい方法は、
(a)第1のピストンを第1のシリンダバレルの近位端に配置するステップと、
(b)第2のピストンを第2のシリンダバレルの遠位端に配置するとともに、第3のピストンを第3のシリンダバレルの遠位端に配置するステップと、
(c)第2のピストンを第2のシリンダバレルの近位端へ戻しつつ、受け体に供給される割り当てられた原料のバッチを高圧下で第1の遠位のシリンダバレルチャンバに供給するステップと、
(d)第1のピストンを第1のシリンダバレルの遠位端へ向けて移動させて、原料を第2のピストン部材の第2のピストンの前方の第1の中間区画室内に供給するとともに、第1のピストンおよび第1のシールリングまたはシートによって第1のシリンダバレルと第2のシリンダバレルとの間の第1のシールを行なうステップと、
(e)第3のピストンを第3のシリンダバレルの近位端へと移動させ、それにより、第1のシリンダバレルと第2のシリンダバレルとの間の第1のシールを維持するステップと、
(f)第2のピストンを第2のシリンダバレルの遠位端へ向けて移動させ、第2のシールリングまたはシートと、第3のピストン部材の第3のピストンの前方の第2の中間区画室へ原料を供給する第2のピストンとによって、第2のシリンダバレルと第3のシリンダバレルとの間の第2のシールを行なうステップと、
(g)第1のピストンを第1のシリンダバレルの近位端へ戻す間に第2のシールを維持する一方で、同時に、第3のピストンが第3のシリンダバレルの遠位端へ移動され、それにより、原料が受け体に供給されるステップと、
(h)ステップb〜gを繰り返すステップと
を更に備える。
【0042】
本発明による変形された方法では、動作サイクルを繰り返すときに全てのピストン部材が開放される。
【0043】
したがって、変形された実施形態において、方法は、
(a’)第1のピストンを第1のシリンダバレルの近位端に配置するとともに、第2のピストンを第2のシリンダバレルの近位端に配置し、かつ第3のピストンを第3のシリンダバレルの近位端に配置するステップと、
(b’)第1のピストンを第1のシリンダバレルの遠位端に配置するとともに、第2のピストンを第2のシリンダバレルの遠位端に配置し、かつ第3のピストンを第3のシリンダバレルの遠位端に配置するステップと、
(c’)第2のピストンを第2のシリンダバレルの近位端に配置するとともに、第1のピストンを第1のシリンダバレルの近位端に配置するステップと、
(d’)受け体に供給される割り当てられた原料のバッチを高圧下で第1の遠位のシリンダバレルチャンバに供給するとともに、第1のピストンを第1のシリンダバレルの遠位端へ向けて移動させて、原料のバッチを第1の区画室に供給するステップと、
(e’)第3のピストンを第3のシリンダバレルの近位端へ向けて引き込むステップと、
(f’)第2のピストンを第2のシリンダバレルの遠位端へ向けて移動させて原料のバッチを第2の区画室に供給するステップと、
(g’)第3のピストンを第3のシリンダバレルの近位端へ向けて移動させる動作サイクルステップと、
(f’)ステップc’〜g’を繰り返すステップと
を含む動作サイクルを備えてもよい。
【0044】
ピストン部材、装置、または、方法の前述した実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つのピストン部材が液圧または空気圧のピストン部材であってもよい。
【0045】
次に、3つのピストン部材を有する装置を示す実施例によって本発明を説明する。適切と見なされる場合には、本発明による装置に3つを超えるピストン部材が実装されてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ノーズを伴わない本発明によるピストン部材の第1の実施形態の分解斜視図を示している。
【図2】本発明による3つのピストン部材を有する装置およびスクリューフィーダを斜視図で示しており、この場合、装置の内部構造を明らかにするために例示目的で装置の外壁の一部が除去されている。
【図3】図2に示される第2のピストンのIII−III線に沿う断面図を示している。
【図4】図3の円で囲まれた領域C1の拡大図である。
【図5】図3の円で囲まれた領域C2の拡大図である。
【図6】本発明による装置の動作サイクルの動作ステップにおけるピストン部材のピストンを示す図2のVI−VI線に沿う断面図を示している。
【図7】図6と同じ断面図であるが、ピストンが他の動作ステップにある断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、材料を受け体(図示せず)に供給するように適合されている本発明によるピストン部材1の第1の実施形態の構成要素を分解図で示している。
【0048】
ピストン部材1は、近位端キャップ2と、ピストンロッド4を有するピストン3と、ピストンバレル5と、管状の加圧チャンバシリンダ6と、T字形カップリングシリンダ部7と、シールリング8と、フランジ10を有する出口パイプ9とから成る。ピストンの移動のために利用できるシリンダバレル全体は、ピストン・シリンダ・バレル5と、管状の加圧チャンバシリンダ6と、T字形カップリングシリンダ部7とから成り、このうち、T字形カップリングシリンダ部がシリンダバレル全体の遠位端を形成する。
【0049】
近位端キャップ2は、ピストン・シリンダ・バレル5上の対応する第1のカップリングフランジ12aと結合するための第1のカップリングフランジ11を有する。ピストン・シリンダ・バレル5は、加圧チャンバシリンダ6上の対応する第1のフランジ13aと結合するための第2のカップリングフランジ12bを第1のカップリングフランジ12aの反対側に有する。加圧チャンバは、第1のカップリングフランジ13aの反対側に、管状のT字形カップリングシリンダ部7上の対応する第1のフランジ14と結合するように適合されている第2のカップリングフランジ13bを有する。前記管状T字形カップリングシリンダ部7は、第1のフランジ14の軸方向反対側に、図示のケースでは出口パイプ9のフランジ10に結合するための第2のフランジ15を有する。しかしながら、第2のフランジ15は、後述するように他のピストン部材上の他のカップリングピースに結合するために設けることもできる。管状T字形カップリングシリンダ部7の軸に対して垂直に、前記管状T字形カップリングシリンダ部7は、例えばスクリューフィーダ、他のピストン部材、または、他の材料供給システムに連結するための第3のカップリングフランジ17を有するカップリングピース16を有する。
【0050】
本発明によるピストン部材は、原料を受け体に供給するためのピストンフィーダに組み付けることができるか、またはピストンフィーダで使用できる構成要素から成る。それぞれの個々の構成要素は、許容できる有効寿命を有するが、交換することも容易である。ピストン部材は、容易に交換可能な個々の更に小さいユニット部品から成るため、ダウンタイムを最小限に維持できる。
【0051】
本発明による装置および方法がどのように動作するのかを当業者に対して更に明確にするために、更なる図を参照して、付加されるピストン部材と協働する、ピストン部材の個々の構成要素、ならびにピストン部材についての構造、組成、配置、および機能について更に詳しく説明する。
【0052】
図2は、3つの協働するピストン部材1、1’、1”を有する本発明による装置18の斜視図を示している。図2の左上に見られるピストン部材1”は、装置18の第3のピストン部材を構成しており、例えば、石炭粉がガス燃料へと変換されるガス化装置などの高圧の受け体(図示せず)へスクリューフィーダ21によって供給される原料を輸送するための連続する一連の略同一なピストン部材1、1’、1”における最終部材である。ピストン部材1、1’、1”は、図1に見られるピストン部材にほぼ対応しており、そのため、同様の部分においては、第1のピストン部材1の構成要素がアポストロフィを伴うことなく示され、第2のピストン部材1’の構成要素が1つのアポストロフィを伴って示され、また、第3のピストン部材1”が2つのアポストロフィを伴って示されている点を除き、同じ参照符号が付されている。
【0053】
スクリューフィーダ21は、遠位のカップリングフランジ22によって、第1のピストン部材1の第1のカップリングピース16の第3のカップリングフランジ17に結合される。スクリューフィーダ21は、原料リザーバ(図示せず)に結合するためのスクリュー・フィーダ・カップリング・ピース・フランジ24を伴うスクリュー・フィーダ・カップリング・ピース23から成る。スクリュー・フィーダ・カップリング・ピース23は原料をスクリュー25に供給するように配置されており、スクリュー25は、シャフト27によって供給チューブ26の内側に回転可能に配置される。
【0054】
第1および第2のピストン部材1、1’は、図2の右上の円で囲まれたカットアウト部から分かるように、ピストン3、3’にフロントノーズ19、19’が設けられているという点において、図1に見られるピストン部材とは異なる。カットアウト部は、第2のピストン部材1’の加圧チャンバ6’の内部構造を明らかにしており、この場合、加圧チャンバの環状内壁とピストン3’との間の隙間へ圧油を供給するために、油入口パイプ30’の両側に第1および第2の環状リップシール部材28’、29’が軸方向距離を隔てて配置される。第1および第2の環状シール部材28’、29’は、加圧チャンバ6’の内壁に形成される適切な凹部30’、31’に受け入れられる。別の態様では、加圧チャンバをシリンダバレルに沿って上流または下流に移動させることができる。
【0055】
図3は、図2に示される第2のピストンの線IIIに沿う断面を示している。ピストン3の近位端は凹状中実体として構成されるノーズ19’を有しており、このノーズは、図6および図7を参照して後述するように、ピストンの体積とノーズの前方のシリンダバレル内に形成される中間区画室の容積との差を補償する。
【0056】
図3の円で囲まれた領域C1の拡大図である図4から明確に分かるように、第1および第2の環状リップシール部材28’、29’および第2のピストン部材1’は、油入口パイプ30’の両側で、加圧チャンバ6’の内壁の凹部31a’、31b’内に軸方向距離を隔てて配置される。スライドシール32’、33’が環状リップシール部材28’、29’と油パイプ入口30’との間に介挿される。加圧チャンバ6’のリニアシール全体は、往復ピストン3に油を供給するのに役立つとともに、往復装置でのガスの漏れを検出する手段としての役目も果たし、適切に機能する。第1のピストン部材1も、加圧チャンバ6の内壁の凹部31a、31b内の環状リップシール部材28、29、油入口パイプ30、ならびに、スライドシール32、33を伴って同様の態様で構成される。また、第3のピストン部材1”も、加圧チャンバ6”の内壁の凹部31a”、31b”内の環状リップシール部材28”、29”、油入口パイプ30”、および、スライドシール32”、33”を伴って構成される。
【0057】
図5は、図3の円で囲まれた領域C2の拡大図であり、シールリング8’を示している。このシールリング8’は、シリンダバレル5’、6’、7’の遠位端35b’に配置されており、第3のピストン3”が、第1のピストン部材1によって最初に供給される割り当てられた原料を、受け体へと出口パイプ9を介して移動させる間に、ピストン3’と係合して、第3のピストン部材1”と第2のピストン部材1’との間に強固な流体密のシールバリアを形成する。
【0058】
図6および図7は、図2に示される装置18の動作原理、および、装置18を使用する方法を示している。
【0059】
第1のピストン3は、第1のシリンダバレルチャンバ34を第1の近位のシリンダバレルチャンバ34aと第1の遠位のシリンダバレルチャンバ34bとに分けるとともに、第2のピストン3’は、第2のシリンダバレルチャンバ34’を第2の近位のシリンダバレルチャンバ34a’と第2の遠位のシリンダバレルチャンバ34b’とに分け、かつ、第3のピストン3”は、第3のシリンダバレルチャンバ34”を第3の近位のシリンダバレルチャンバ34a”と第3の遠位のシリンダバレルチャンバ34b”とに分ける。
【0060】
装置18の動作サイクルにおいて、第1のピストン3は、第1の近位のシリンダバレルチャンバ34a内で第1のシリンダバレル5、6、7の近位端35aに配置されて開始し、これにより、一群の原料をスクリューフィーダ21から受けるべく第1の遠位のシリンダバレルチャンバ34bが露出される。第2のピストン3’は、第2のシリンダバレル5’、6’、7’の第2の遠位のシリンダバレルチャンバ34b’内に配置される。この場合、ノーズ19’は第3のシリンダバレルチャンバ34”内に僅かに突出している。第2のピストン3’は、第1のピストン3および第3のピストン3”の両方に対して略垂直に配置されており、シールリング8、8’、8”と共に第1のピストン3および第3のピストン3”へ向けてシールを行なう。供給区画室36が、第1の遠位のシリンダバレルチャンバ34b、第1のシールリング8、第2のピストン3’、および、スクリューフィーダ21によって画定される。
【0061】
一群の原料が受け入れ区画室36へ移送されると、ノーズ19を有する第1のピストン3は、割り当てられた一群の原料を第1の区画室37に供給するため、それがシールリング8に当たるまで第2のピストン3’へ向けて前方に移動する。
【0062】
図7から分かるように、第3のピストン3”は、第1のシリンダバレルと第2のシリンダバレルとの間のシールを維持しつつ、第3の遠位のシリンダバレルチャンバ34a”へと移動する。その後、最初に第2のシリンダバレルチャンバ34’への材料のアクセスを阻止していた第2のピストン部材1’の第2のピストン3’は、第2のシリンダバレルチャンバ34’の近位端35a’へ戻り、それにより、第1の中間区画室36からの一群の原料が第2のピストン3’のノーズ19’の前方の第2の遠位のシリンダバレルチャンバ34b’へと進むことができる。第2の遠位のシリンダバレルチャンバ34b’は、第1のピストン3のノーズ19および第3のピストン3”と共に、流体密の第2の中間チャンバ38を画定する。
【0063】
動作サイクルの次のステップでは、第2のピストン3’が第2のシリンダバレル34’の第2の遠位のシリンダバレルチャンバ34b’へと移動される。第2のピストン3’のピストンストロークの終わりに、第2のシールリング8’、第2のピストン3’、および、第3のピストン3”によって、第2のシリンダバレルチャンバ34’と第3のシリンダバレルチャンバ34”との間のシールが確立される。また、一方で、同時に、第1のピストン3が第1のシリンダバレルチャンバ34の近位端35aへ安全な態様で戻ることができるようにシールが再生される。同時に、原料を受け体に供給するために、第3のピストン3”が第3のシリンダバレルチャンバ34”の遠位端35b”へ移動される。この供給サイクルは、必要とされる限り繰り返される。
【実施例】
【0064】
延性シールリングを有するパイロット供給装置
ガスをプロセスに流入させることなくまたはガスをプロセスから流出させることなく60バールの反応器圧力に抗して650kg/mのバルク密度と1300kg/mの粒子密度とを有する石炭粉を供給するように設計されている供給装置。第1のピストン部材が連続スクリューフィーダによって重力で軸方向に送られる。第1のピストン部材は第2のピストン部材および第3のピストン部材と協働し、これらのピストン部材の全ては、直径700mmのシリンダバレル、および1000mmのストローク長を有する。
【0065】
第2のピストン部材および第3のピストン部材のピストン速度は、材料の前進輸送中においては250mm/秒であり、第2のピストンおよび第3のピストンをそれぞれ戻して引き込む最中においては350mm/秒であり、一方、第1のピストン部材の速度は、前進移動中においては350mm/秒であり、戻して引き込む最中においては400mm/秒である。ピストン部材の前進移動の終わりに、ピストンは、延性シールリングに当て付いてこれを変形させ、漏れを防止するシール能力を得るのに十分な度合まで材料を圧縮する。ピストンは、有効なシールの検出を確保するために約0.5秒間その遠位端前方位置にとどまり、それにより、約15〜20秒のピストン・ストローク・サイクルがもたらされる。
【0066】
装置の能力は、1ストローク当たり0.384mであり、または、16秒のピストン・ストローク・サイクルにわたって0.024m/秒である。90%の充填率では、能力が、石炭粉約50トン/時である。
【0067】
ピストンは、輸送材料によってもたらされる任意の物質の固有の力とプロセス圧とに打ち勝ちつつ、石炭粉を隣のピストンの前のチャンバ内へ押し込んでシールを形成する。
【0068】
400〜500N/mmの前進ピストン力が前方ピストンストロークでシリンダバレルの延性シールリングに印加される。延性シールリングは、長さが約2200mmであり、遠位シリンダバレル端でピストンと係合する。約1.1MNの前進ピストン力印加は、700mmピストンに対して2.7MNを加えるプロセス圧に耐える。シールリングまたはシートがピストンに対して加える力、プロセス圧、および、任意の摩擦力は、一緒に克服されなければならない。石炭粉をそれぞれのシリンダバレルチャンバの遠位シリンダバレル端へ移動させるための約4MNの全ピストン力は、必要以上に大きい。
【0069】
安全で確実なシールを得て漏れを最小限に抑えまたは防止するために必要なピストン力は、それぞれのピストンにおいて同じであるが、異なるピストンに必要な作業は非常に異なる。
【0070】
第1のピストンは両方向で輸送摩擦力に打ち勝たなければならず、第1のシリンダバレルチャンバの遠位端で第1の延性シールリングと接触するときに第1の前方ピストンストロークの最後の2〜4mmにおいてのみ約4MNの大きなシール力が必要とされる。
【0071】
第2のピストンは、輸送摩擦力と、第2のシリンダバレルチャンバの遠位端へ向かう前方ストロークでのプロセス圧とに打ち勝たなければならず、第2の延性シールリングと接触するときに前方ストロークの最後の2〜4mmにわたって、第2のシリンダバレルの近位端へ向かう戻りストロークに作用する輸送摩擦力に打ち勝つべく、約4MNの大きなシール力を必要とする。
【0072】
第3のピストンは、第3のシリンダバレルチャンバの遠位端へ向かう前方ストロークに作用するプロセス圧に抗して作業する必要があり、また、前方ストロークの最後の2〜4mmにわたって約4MNの大きなシール力が必要とされる。石炭粉が供給される反応器内のプロセス圧は、第3のピストンが第3のシリンダバレルチャンバの近位端へ向けて移動するときに第3のピストンの戻りストロークで有利に利用される。
【0073】
ピストンは、それぞれのシリンダバレルの内側で約2mmの公差をもって往復動し、このシリンダバレルは、ピストンが前記シリンダバレルチャンバ内で往復動しているときにシリンダバレルの近位のチャンバのバッチと遠位のシリンダバレルとの間に所望の割合を規定するために、それぞれの端部キャップで終端される。
【0074】
この実施例では、650kg/mのバルク密度と1300kg/mの粒子密度とを有する石炭粉が60バールに抗して供給される。2つの容積間の比率36:35が中立の流れを得るために必要とされる。この比率が更に小さい場合には、流れに漏れが生じ、更に大きい場合には、ピストンが空気をプロセス中へ圧送する。
【0075】
ピストン部材のピストンは、ピストンストロークの終端で隣のピストン部材のシリンダバレルチャンバへ向けて有利にシールし、この隣のピストン部材は一連の連続動作するピストン部材内に配置される。2つのピストン部材のみを備える装置の場合には、原料供給源と最終的な受け体との間のブリッジを回避してこれらの間の直接的または間接的な流体連通を効果的に防止するために、2つのピストン部材間に移行ステーションが挿入されなければならない。このように、本発明の範囲内では2つのピストン部材を使用できるが、3つ以上のピストン部材を有する装置がより好ましい。
【0076】
ピストン部材が1つだけの場合、前記ピストン部材は、割り当てられたバッチを単一の往復動作で受け体に供給するために使用される。この簡単な実施形態ではシール機能があまり必要とされないが、ピストン部材が使用できる。
【0077】
石炭粉をガス化装置へ輸送するための装置では、3つの連続するピストン部材が順次に動作するようになっていることが好ましい。シリンダバレル内でのピストンの動作は、割り当てられた石炭粉のバッチを高圧ガス可装置へ輸送するために互いに対して制御される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダバレル(5、6、7、5’、6’、7’、5”、6”、7”)内で往復動するピストン(3、3’、3”)が設けられたピストンロッド(4)を備えるピストン部材(1、1’、1”)であって、前記ピストン(3、3’、3”)が、シリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)を、前記ピストン(3、3’、3”)と対向するキャップ付き近位端(35a、35a’、35a”)を有する近位のシリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”)と、前記ピストン(3、3’、3”)と対向する遠位シリンダバレル端(35b、35b’、35b”)を有する遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)とに分けているもので、少なくとも1つのシールリング(8、8’、8”)またはシートが前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)内の前記遠位シリンダバレル端(35b、35b’、35b”)に配置されていることを特徴とするピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシールリング(8、8’、8”)またはシートが延性材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項3】
前記ピストン(3、3’、3”)が、前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)の方向に向くフロントノーズ(19、19’、19”)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項4】
他のピストン(3、3’、3”)が、前記ノーズ(19、19’、19”)を有する前記ピストン(3、3’、3”)に対して垂直に往復動するための空間が得られるように構成された軸方向切り欠きまたは軸方向凹部を、前記ノーズ(19、19’、19”)が有することを特徴とする、請求項3に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項5】
前記ピストン部材(1;18)が、前記ピストン部材(1、1’、1”)と直接的にまたは間接的に連通する受け体からの加圧ガスまたは流体の漏れまたはシリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)を通じた加圧ガスまたは流体の漏れを検出する手段を有することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項6】
前記加圧ガスまたは流体の漏れを検出する手段が、前記ピストン(3、3’、3”)と前記シリンダバレル(5、6、7、5’、6’、7’、5”、6”、7”)の内壁との間の周方向隙間によって画定される加圧チャンバ(6、6’、6”)と流体連通する圧力測定計器と、前記シリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)の壁中または該壁に配置される2つの離間する環状シール部材(28、28’、28”、29、29’、29”)とを備えることを特徴とする、請求項5に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項7】
前記圧力測定計器がパイプ(30、30’、30”)を介して前記加圧チャンバと流体連通すること、前記加圧チャンバ(6、6’、6”)が受け体での圧力よりも高い油圧に圧油を保持すること、並びに前記離間する環状シール部材(28、28’、28”、29、29’、29”)が前記パイプ(30、30’、30”)の両側に配置されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項8】
少なくとも1つの外周スライドシール(32、32’、32”、33、33’、33”)が、前記加圧チャンバへのパイプ(30、30’、39”)入口と前記環状シール部材(28、28’、28”、29、29’、29”)との間に介在する前記シリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)の壁に配置されることを特徴とする、請求項7に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項9】
前記環状シール部材(28、28’、28”、29、29’、29”)がリップシールまたは1つもしくは複数のOリングであることを特徴とする、請求項6、7または8に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項10】
前記スライドシール(32、32’、32”、33、33’、33”)がテフロン(登録商標)シールであることを特徴とする、請求項7または8に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項11】
前記シールリング(8、8’、8”)またはシートが、前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)の内径の2‰〜2%の距離で前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)の径方向内側に延びるような寸法を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項12】
前記シリンダバレルチャンバ(34a、34a’、34a”、34b、34b’、34b”)と前記ピストン(3、3’、3”)との間をシールするために前記シールリング(8、8’、8”)を変形させるまたは前記シールリング(8、8’、8”)と接触するようなストローク長を伴う寸法を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項13】
液圧式または空気圧式であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のピストン部材(1、1’、1”)。
【請求項14】
割り当てられた材料のバッチを受け体へ連続輸送するための装置(18)であって、該装置(18)が請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのピストン部材(1、1’、1”)を備えることを特徴とする装置(18)。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも3つのピストン部材(1、1’、1”)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の割り当てられた材料のバッチを受け体へ連続輸送するための装置(18)。
【請求項16】
−輸送される材料を受ける第1のピストン部材(1)であって、第1のシリンダバレル(5、6、7)内で往復動する第1のピストン(3)を有し、前記第1のピストン(3)が、前記第1のシリンダバレル(5、6、7)の第1のシリンダバレルチャンバ(34a、34b)を、キャップ付き近位端(2)を有する第1の近位のシリンダバレルチャンバ(34a)と、反対側の第1の遠位シリンダバレル端(35b)を有する第2の遠位のシリンダバレルチャンバ(34b)とに分ける、第1のピストン部材(1)と、
−第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)内で往復動する第2のピストン(3’)を有する第2のピストン部材(1’)であって、前記第2のピストン(3’)が、前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)の第2のシリンダバレルチャンバ(34a’、34b’)を、第2のキャップ付き端部(2’)を有する第2の近位のシリンダバレルチャンバ(34a’)と、反対側の第2の遠位シリンダバレル端(35b’)を有する第2の遠位のシリンダバレルチャンバ(34b’)とに分ける、第2のピストン部材(1’)と、
−第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)内で往復動する第3のピストン(3”)を有する第3のピストン部材(1”)であって、前記第3のピストン(3”)が、前記第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)の第3のシリンダバレルチャンバ(34a”、34b”)を、第3のキャップ付き端部(2”)を有する第3の近位のシリンダバレルチャンバ(34a”)と、反対側の第3の遠位シリンダバレル端(35b”)を有する第2の遠位のシリンダバレルチャンバ(34b”)とに分ける第3のピストン部材(1”)と
を備えており、
−前記第1のピストン部材(1)が、その第1の前方ピストンストロークにおいて、第1の遠位のシリンダバレルチャンバ(34b)に供給された材料を、少なくとも第2の遠位のシリンダバレルチャンバ(34a’)と第3の遠位端(35b”)に配置される前記第3のピストン(3”)とによって画定される第1の中間区画室(37)または堰へ輸送し、
−前記第2のピストン部材(1’)が、その第2の前方ピストンストロークにおいて、前記第1の中間区画室(37)または堰からの材料を、前記第3の遠位のシリンダバレルチャンバ(34a”)と、前記第2のピストン(3’)の前記遠位端(35b’)と、前記受け体とによって画定される第2の中間区画室(38)へ輸送する
ことを特徴とする、請求項14または15に記載の装置(18)。
【請求項17】
液圧ピストン部材または空気圧ピストン部材を備えることを特徴とする請求項14、15または16に記載の装置(18)。
【請求項18】
受け体が、ガス化装置または反応器、好ましくは高圧のガス化装置または反応器であることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載の装置(18)。
【請求項19】
割り当てられた材料のバッチを請求項1〜13のいずれか1項に記載のピストン部材(1、1’、1”)によって受け体へ連続輸送する方法であって、
−前記ピストン(3、3’、3”)をシリンダバレルチャンバ(34、34’、34”)の前記近位端(35a、35a’、35a”)へ引き込んで前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)を拡大させることと、
−前記割り当てられたバッチ材料を前記遠位のシリンダバレルチャンバ(34b、34b’、34b”)に供給することと、
−前記シリンダバレルチャンバ(5、6、7;5’、6’、7’;5”、6”、7”)の遠位端へ向けたピストンストロークを行なって、前記割り当てられた材料のバッチを受け体に供給することと
からなる一動作サイクルを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
割り当てられた材料のバッチを請求項14〜18のいずれか1項に記載の装置(18)によって高圧下で受け体へ連続輸送する方法であって、割り当てられた原料のバッチを前記装置(18)の前記第1のピストン部材(1)へ連続的に供給するとともに、前記第1のピストン部材(1)の前記第1のピストン(3)、前記第2のピストン部材(1’)の前記第2のピストン(3’)、および前記第3のピストン部材(1”)の前記第3のピストン(3”)を繰り返し供給サイクルで往復動させることによって、前記原料のバッチを受け体へ輸送するように前記装置(18)を動作させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
(a)前記第1のピストン(3)を前記第1のシリンダバレル(5、6、7)の前記近位端(35a)に配置するステップと、
(b)前記第2のピストン(3’)を前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)の前記遠位端(35b’)に配置するとともに、前記第3のピストン(3”)を前記第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)の前記遠位端(35b”)に配置するステップと、
(c)前記第2のピストン(3”)を前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)の前記近位端(35a’)へ戻しつつ、受け体に供給される割り当てられた原料のバッチを高圧下で前記第1の遠位のシリンダバレルチャンバ(34b)に供給するステップと、
(d)前記第1のピストン(3)を前記第1のシリンダバレル(5、6、7)の前記遠位端(35b)へ向けて移動させて、原料を前記第2のピストン部材(1’)の前記第2のピストン(3’)の前方の前記第1の中間区画室(37)内に供給するとともに、前記第1のピストン(3)および前記第1のシールリング(8)またはシートによって、前記第1のシリンダバレル(5、6、7)と前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)との間をシールするステップと、
(e)前記第3のピストン(3”)を前記第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)の前記近位端(35a”)へと移動させ、それにより、前記第1のシリンダバレル(5、6、7)と前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)との間の前記シールを維持するステップと、
(f)前記第2のピストン(3’)を前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)の前記遠位端(35b’)へ向けて移動させ、前記第2のシールリング(8”)またはシートと、前記第3のピストン部材(1”)の前記第3のピストン(3”)の前方の第2の中間区画室(38)へ原料を供給する前記第2のピストン(3’)とによって、前記第2のシリンダバレル(5’、6’、7’)と前記第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)との間をシールするステップと、
(g)前記第1のピストン(3)を前記第1のシリンダバレル(5、6、7)の前記近位端(35a)へ戻す間にシールを維持すると同時に、前記第3のピストン(3”)を前記第3のシリンダバレル(5”、6”、7”)の前記遠位端(35b”)へ移動することにより、前記割り当てられた原料のバッチを前記受け体に供給するステップと、
(h)ステップb〜gを繰り返すステップと
を更に含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
石炭粉を輸送するための、請求項14〜請求項18のいずれか1項に記載の装置(18)、および/または請求項19〜請求項21のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−507563(P2013−507563A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533483(P2012−533483)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050267
【国際公開番号】WO2011/044911
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098072)
【Fターム(参考)】