説明

ピッキング設備

【課題】空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができるピッキング設備を提供すること。
【解決手段】ピッキングのために物品保持体を位置させる物品保持体設置部、及び、その物品保持体設置部に空状態で存在する物品保持体をその物品保持体設置部から移動させて段積み状態で保管する段積み保管装置を備えた物品保持体処理機能付ピッキング作業部が設けられ、制御手段Hが、保持状態の物品保持体を予備物品保管用の収納部から物品保持体設置部又はその物品保持体設置部に向けて物品保持体を搬送するコンベヤ搬送部CVに搬送すべく、物品搬送体3aの作動を制御するように構成されているピッキング設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持するための物品保持体を収納する複数の収納部を、物品を保持した保持状態の物品保持体を収納するピッキング用の収納部、ピッキング用の収納部における物品と同種の物品を保持した保持状態の物品保持体を収納する予備物品保管用の収納部、及び、物品を保持しない空状態の物品保持体を収納する保持体収納用の収納部に分類する状態で備えている収納棚と、この収納棚の表裏両側面のうちの一方の側面に沿って設定された走行経路を走行移動して、前記保持状態の物品保持体及び前記空状態の物品保持体を搬送する物品搬送体と、前記保持状態の物品保持体を前記予備物品保管用の収納部から前記ピッキング用の収納部まで搬送し、かつ、前記空状態の物品保持体を前記ピッキング用の収納部から前記保持体収納用の収納部に搬送すべく、前記物品搬送体の作動を制御する制御手段とが備えられ、前記ピッキング用の収納部が、前記収納棚の表裏両側面のうち前記物品搬送体が存在しない側面がわより、前記物品保持体に保持されている物品をピッキングできるように構成されているピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ピッキング設備の従来例として、制御手段が、ピッキング用の収納部における物品保持体に保持されている物品の全数がピッキングされて当該物品保持体が空状態となった場合に、その空状態の物品保持体を前記保持体収納用の収納部に搬送すべく、前記スタッカークレーンの作動を制御する物品保持体回収搬送処理を実行するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−104621号公報(請求項2及び請求項5、段落〔0070〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、ピッキング用の収納部に収納されている物品保持体が空状態となると、物品保持体回収搬送処理が実行されて、当該空状態の物品保持体が物品搬送体にて保持体収納用の収納部まで搬送されるので、物品保持体回収搬送処理が完了するまでの間は、物品搬送体による他の物品搬送処理(例えば、保持状態の物品保持体を空となっているピッキング用の収納部に搬送する供給搬送処理や外部から搬入された保持状態の物品保持体を予備物品保管用の収納部に搬送する入庫搬送処理等)を実行することができない。
【0005】
したがって、ピッキング用の収納部に収納されている物品保持体が空状態となると、保持状態の物品保持体を搬送する能力が一時的に低下し、ピッキング対象の物品が保持された保持状態の物品保持体を当該ピッキング用の収納部に搬送する時期が遅れ、ピッキング作業が滞る等の不都合が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができるピッキング設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかるピッキング設備は、
物品を保持するための物品保持体を収納する複数の収納部を、物品を保持した保持状態の物品保持体を収納するピッキング用の収納部、ピッキング用の収納部における物品と同種の物品を保持した保持状態の物品保持体を収納する予備物品保管用の収納部、及び、物品を保持しない空状態の物品保持体を収納する保持体収納用の収納部に分類する状態で備えている収納棚と、
この収納棚の表裏両側面のうちの一方の側面に沿って設定された走行経路を走行移動して、前記保持状態の物品保持体及び前記空状態の物品保持体を搬送する物品搬送体と、
前記保持状態の物品保持体を前記予備物品保管用の収納部から前記ピッキング用の収納部まで搬送し、かつ、前記空状態の物品保持体を前記ピッキング用の収納部から前記保持体収納用の収納部に搬送すべく、前記物品搬送体の作動を制御する制御手段とが備えられ、
前記ピッキング用の収納部が、前記収納棚の表裏両側面のうち前記物品搬送体が存在しない側面がわより、前記物品保持体に保持されている物品をピッキングできるように構成されているものであって、
その第1特徴構成は、
ピッキングのために前記物品保持体を位置させる物品保持体設置部、及び、その物品保持体設置部に前記空状態で存在する前記物品保持体をその物品保持体設置部から移動させて段積み状態で保管する段積み保管装置を備えた物品保持体処理機能付ピッキング作業部が設けられ、
前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記予備物品保管用の収納部から前記物品保持体設置部又はその物品保持体設置部に向けて物品保持体を搬送するコンベヤ搬送部に搬送すべく、前記物品搬送体の作動を制御するように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、制御手段が物品搬送体の作動を制御することで、保持状態の物品保持体を、予備物品保管用の収納部から物品保持体処理機能付ピッキング作業部における物品保持体設置部又はコンベヤ搬送部に搬送させることができる。コンベヤ搬送部に保持状態の物品保持体が搬送された場合は、その物品保持体はコンベヤ搬送部にて物品保持体設置部に向けて搬送される。
【0009】
つまり、制御手段が物品搬送体の作動を制御することで、保持状態の物品保持体を、物品保持体設置部に位置させることができる。したがって、保持状態の物品保持体を、予備物品保管用の収納部から物品保持体処理機能付ピッキング作業部に搬送した後に、物品保持体設置部に位置させた状態で当該物品保持体に保持されている物品をピッキングすることができる。
【0010】
そして、物品保持体処理機能付ピッキング作業部における段積み保管装置は、その物品保持体設置部に空状態で存在する物品保持体をその物品保持体設置部から移動させて段積み状態で保管するので、物品保持体設置部に位置させた状態で当該物品保持体に保持されている物品をピッキングして、当該物品保持体を空状態にした後に、その空状態になった物品保持体は物品保持体設置部から移動されて段積み状態で保管される。
【0011】
つまり、物品保持体処理機能付ピッキング作業部に保持状態の物品保持体が搬送されることで、物品保持体設置部におけるピッキング作業により空状態となった後は、物品搬送体は当該空状態になった物品保持体についての搬送処理は行わないので、他の搬送処理を実行することができる。
【0012】
このように、本発明の第1特徴構成によると、空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができるピッキング設備を得るに至った。
【0013】
本発明にかかるピッキング設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記制御手段が、予め1日を複数に区分け設定した複数の基準作業時間帯の夫々におけるピッキングオーダ情報、及び、前記予備物品保管用の収納部に収納されている前記物品保持体の夫々に保持されている物品数量情報を管理して、各基準作業時間帯の夫々において、前記予備物品保管用の収納部に収納されている物品保持体のうちで、保持している物品がピッキングにより空状態になることが前記ピッキングオーダ情報及び前記物品数量情報に基づいて予測される前記物品保持体を、前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送する物品保持体として選択するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、制御手段が、前記ピッキングオーダ情報、及び、前記物品数量情報を管理して、各基準作業時間帯の夫々において、前記予備物品保管用の収納部に収納されている物品保持体のうちで、保持している物品がピッキングにより空状態になることが前記ピッキングオーダ情報及び前記物品数量情報に基づいて予測される前記物品保持体を、前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送する物品保持体として選択するので、各基準作業時間帯の夫々においてピッキングにより空状態になることが予測される前記物品保持体を選択して、その選択した物品保持体を、前記物品搬送体にて前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送することができる。
【0015】
前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送に搬送された物品保持体については、空状態になった後は、物品保持体設置部から移動されて段積み状態で保管されるので、空状態の物品保持体を保持体収納用の収納部まで前記物品搬送体にて搬送させずに済む。
【0016】
したがって、基準作業時間帯に空状態になることが予測される前記物品保持体を選択して、その選択した物品保持体を可能な限り前記物品搬送体にて前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送させることで、前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部において基準作業時間帯に空状態となる物品保持体の数をできるだけ多くさせ、ピッキング用の収納部において基準作業時間帯に空状態となる物品保持体の数をできるだけ少なくさせることができる。
【0017】
このように、本発明の第2特徴構成によると、ピッキング用の収納部において空状態の物品保持体が発生することを抑制して、基準作業時間帯に空状態の物品保持体を物品搬送体にて保持体収納用の収納部まで搬送する回数をできるだけ少なくすることができるピッキング設備を得るに至った。
【0018】
本発明にかかる物品処理システムの第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部が、前記収納棚におけるその横幅方向で外方側に相当する箇所に設けられている点にある。
【0019】
すなわち、収納棚におけるその横幅方向で外方側に相当する箇所に物品保持体処理機能付ピッキング作業部を設ければよいので、既存のピッキング設備に本発明の物品保持体処理機能付ピッキング作業部を設ける場合に、収納棚等を大きく改造することなく設けることができ、設置作業の容易化を図ることができる。また、新たにピッキング設備を構成する場合でも、従来の収納棚等の設計内容を流用することができ、設置作業を円滑に行うことができる。
【0020】
このように、本発明の第3特徴構成によると、空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができ、しかも、導入し易いピッキング設備を得るに至った。
【0021】
本発明にかかる物品処理システムの第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成の何れか1つにおいて、
前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部に位置する物品保持体を段積み保管する保管指令を指令する手動操作式の保管指令手段が、前記物品保持体設置部の設置箇所に対応させて設けられ、
前記段積み保管装置が、前記物品保持体設置部から段積み箇所に物品保持体を載置搬送する後処理用搬送部、その後処理用搬送部の搬送作動を制御する搬送制御手段、及び、前記物品保持体設置部から前記段積み箇所に搬送される途中において物品保持体が前記空状態であるか否かを検出する空状態検出手段を備えて構成され、
前記搬送制御手段が、前記保管指令手段にて前記保管指令が指令されると、前記物品保持体設置部から前記段積み箇所に向けて前記物品保持体を搬送すべく前記後処理用搬送部を搬送作動させ、且つ、前記空状態検出手段が搬送される物品保持体が空状態でないことを検出すると、その物品保持体を前記物品保持体設置部に向けて戻すべく前記後処理用搬送部を搬送作動させるように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、搬送制御手段は、保管指令手段にて前記保管指令が指令されると、物品保持体設置部から段積み箇所に向けて前記物品保持体を搬送するべく後処理用搬送部を搬送作動させるので、ピッキング作業員が、物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部に位置する物品保持体に保持されている物品についてのピッキングが完了してから保管指令手段を指令操作して、物品保持体を段積み保管する保管指令を指令すると、物品保持体が、物品保持体設置部から段積み箇所に向けて搬送される。
【0023】
また、搬送制御手段は、前記空状態検出手段が搬送される物品保持体が空状態でないことを検出すると、その物品保持体を前記物品保持体設置部に向けて戻すべく前記後処理用搬送部を搬送作動させるので、空状態でない物品保持体が物品保持体設置部から段積み箇所に向けて搬送された場合には、その物品保持体が空状態でないことが空状態検出手段にて検出され、これにより空状態でない物品保持体を物品保持体設置部に向けて戻すべく後処理用搬送部が搬送作動される。つまり、空状態でない物品保持体が物品保持体設置部から段積み箇所に向けて搬送された場合には、空状態でない物品保持体は物品保持体設置部に戻される。
【0024】
したがって、ピッキング作業員により保管指令手段にて保管指令が誤って指令されて、空状態でない物品保持体が物品保持体設置部から段積み箇所に向けて搬送されたとしても、自動的に物品保持体設置部に戻されるので、空状態でない物品保持体が段積み保管装置に異常な状態で保管される事態を予防し、後続の物品保持体等との接触等のトラブルが発生することを防止でき、事故の発生を回避できる。
【0025】
さらに、空状態でない物品保持体は、ピッキングのために物品保持体を位置させる物品保持体設置部に戻されるので、ピッキング作業員は、空状態でない物品保持体について誤って保管指令を指令した後であっても、物品保持体設置部において当該空状態でない物品保持体を空状態とするべく、当該空状態でない物品保持体について再びピッキングを行ってから、再度、保管指令手段にて保管指令を指令して、空状態の物品保持体を段積み箇所に向けて搬送させることができる。
【0026】
このように、本発明の第4特徴構成によると、空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができ、しかも、段積み保管装置における事故の発生を回避しながらピッキング設備を継続して稼動させることができるピッキング設備を得るに至った。
【0027】
本発明にかかる物品処理システムの第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成の何れか1つにおいて、前記段積み保管装置における少なくとも段積み保管箇所が、段積み状態で保管されている複数の物品保持体を前記物品搬送体にて前記収納棚の搬出入部に搬送すべく、前記物品搬送体の搬送作用範囲内に位置されている点にある。
【0028】
すなわち、段積み保管装置における段積み保管箇所は搬送体の搬送作用範囲内に位置しているから、段積み保管箇所にて段積み状態で保管されている複数の物品保持体を、物品搬送体にて、収納棚の搬出入部に搬送することができる。
【0029】
したがって、物品保持体設置部においてピッキングされて空状態となった物品保持体を、段積み保管装置の段積み保管箇所にて段積み状態で保管した後、物品搬送体にて、収納棚の搬出入部に自動的に搬送させて、搬出入部において物品を保持するために利用することができる。
【0030】
このように、本発明の第5特徴構成によると、空状態の物品保持体が発生しても、その影響をできるだけ受けずに他の物品保持体を搬送することができ、しかも、物品保持体処理機能付ピッキング作業部で発生した空状態の物品保持体を収納棚の搬出入部にて利用することができる点で使い勝手のよいピッキング設備を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明のピッキング設備を自動倉庫BUに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動倉庫BUには、複数の収納部10を縦横に備えた第1収納棚101、第2収納棚102、第3収納棚103、及び、第4収納棚104の4つの収納棚1が並設されている。
【0032】
第1収納棚101及び第2収納棚102の間には、収納棚1の横幅方向の長さより長い距離が設定された第1走行経路Laに沿う第1走行軌道2aが1階F1の床面LV1に敷設されており、この第1走行経路Laに沿って走行原点位置が設定されているホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間で第1走行軌道2aに案内されながら走行移動して、物品保持体としてのパレットPを搬送する物品搬送体としての第1スタッカークレーン3aが設けられている。
【0033】
同様に、第3収納棚103及び第4収納棚104の間に位置する空間には、第2走行経路Lbに沿ってホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間で第2走行軌道2bに案内されながら走行移動する物品搬送体としての第2スタッカークレーン3bが設けられている。
【0034】
そして、第1収納棚101及び第2収納棚102は、それぞれの収納部10の物品出し入れ口が存在する側(以下、表面側という。)が第1走行経路Laを挟んで互いに対向する状態で配置されており、第1スタッカークレーン3aは、走行方向に垂直な方向で左右両側に移載が可能な図外の移載装置にて、第1収納棚101の収納部10及び第2収納棚102の収納部10の双方に対して移載作業(掬い作業及び卸し作業)が行えるようになっている。
【0035】
同様に、第3収納棚103及び第4収納棚104は、それぞれの表面側が第2走行経路Lbを挟んで互いに対向する状態で配置されており、第2スタッカークレーン3bは、第3収納棚103の収納部10及び第4収納棚104の収納部10の双方に対して移載作業が行えるようになっている。
【0036】
各収納棚1の構成を、第1収納棚101を例に説明する。
図5に示すように、第1収納棚101は、棚の奥行き方向で前後に対を成す状態で間隔を隔てて立設された長尺状の手前側支柱5f及び奥側支柱5bを水平材4及びラチス6にて連結して形成した支柱枠7が棚横幅方向に複数並ぶ状態で設けられ、これらの支柱枠7が棚の裏面側の上下各位置で長尺状の水平ビーム8により連結されて構成されている。なお、第1収納棚101の裏面側には垂直ブレース9が随所に設けられており、第1収納棚101の棚構造が補強されている。
【0037】
各支柱枠7には、物品支持体11が棚上下幅方向に並ぶ状態で設けられ、収納部10が、隣り合う支柱枠7の間において、それぞれの支柱枠7に設けられた物品支持体11にてパレットPを載置支持する状態に構成されている。
【0038】
上記構成により、第1収納棚101には、図2に示すように、棚上下幅方向で最下段の第1段から最上段の第13段までの13段の収納部10が並び、棚横幅方向で第1ベイ〜第42ベイ(第1走行経路LaのホームポジションHP側における第1収納棚101の端部にある収納部10の列を第1ベイとしている。)の42ベイの収納部10が並ぶ状態で多数の収納部10が形成されている。
【0039】
これら各段の収納部10の高さ寸法は、図2に示すように、大サイズL2、小サイズL1、極小サイズL0の何れかの寸法となるように、各支柱枠7に取り付けられる物品支持体11の高さ位置が設定されている。ちなみに、第4段及び第5段の極小サイズL0の収納部10の高さ寸法は、空状態のパレットPを単独で収納できるサイズ、つまり、パレットPの厚みに対応した高さ寸法となっている。
【0040】
また、図2に示すように、支柱枠7における複数の物品支持体11の夫々の取り付け高さは支柱枠7によらず同じ位置であり、棚横幅方向において物品支持体11は高さが揃っているので、棚横幅方向に隣接する収納部10の高さ寸法は互いに同一となっている。
【0041】
第1収納棚101の棚横幅方向で第20ベイから第21ベイの第1段から第2段における位置では、その位置に対応する手前側支柱5f及び奥側支柱5bに物品支持体11を設けず、収納部10に代えて、空状態のパレットPを段積み状態で保管する空パレットマガジン棚12が設けられている(図1参照)。空パレットマガジン棚12には、第1スタッカークレーン3aにて空状態のパレットPを移載自在で、かつ、移載されたパレットPを段積み状態とする図外の段積み装置が設けられており、この段積み装置により段積みされた空状態のパレットPが空パレットマガジン棚12に保管される。
【0042】
第1収納棚101の収納部10のうち、第4段及び第5段の極小サイズL0の収納部10は、空状態のパレットPを収納するパレット収納用の収納部10rであり、これら以外の収納部10は、物品Wを保持した保持状態のパレットPを収納する予備物品保管用の収納部10sとして使用されている。
【0043】
次に、第1収納棚101以外の収納棚1の構成について説明する。なお、第4収納棚104は、配置方向が反対向きである点以外は第1収納棚101と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0044】
第2収納棚102及び第3収納棚103は、基本的には第1収納棚101と同様に、複数の支柱枠7を水平ビーム8等で連結し、支柱枠7に物品支持体11を設けて複数の収納部10が縦横に並ぶように構成されているが、図3に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103では、第1収納棚101における極小サイズL0の第4段及び第5段並びに小サイズL1の第6段の収納部10に代えて、大サイズL2の収納部10を第4段に配置させるようにしてある。
【0045】
つまり、第2収納棚102及び第3収納棚103は、棚上下幅方向で最下段の第1段から最上段の第11段までの11段の収納部10が形成されており、各段の収納部10の高さ寸法は、大サイズL2、小サイズL1の2種類となっている。
【0046】
図3に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103では、その裏面に、物品Wを構成する段ボールケース等の荷姿の小分け物品Wpの落下を防止する樹脂製の背面ネット13が設けられており、さらに、上記第4段の大サイズL2の収納部10のうち、第5ベイ〜第11ベイ、第14ベイ〜第21ベイ、第24ベイ〜第31ベイ、第34ベイ〜第40ベイの収納部10が位置する収納棚1の裏面には、垂直ブレース9が設けられておらず、第2収納棚102と第3収納棚103との間に設けられた架台19にいるピッキング作業者がこれらの収納部10に収納されている保持状態のパレットPに保持されている物品Wから小分け物品Wpを収納部10の背面からピッキングできるように、ピッキング間口14が形成されている。
【0047】
そして、第2収納棚102及び第3収納棚103におけるピッキング間口14が形成されている収納部10のうち、第5ベイ〜第9ベイに位置するものは、空状態のパレットPを段積み状態で収納するパレット収納用の収納部10rであり、その他のピッキング間口14が形成されている収納部10は、物品Wを保持した保持状態のパレットPを収納するピッキング用の収納部10pとして使用されている。
【0048】
このように、第1収納棚101及び第2収納棚102の収納部10は、ピッキング用の収納部10p、予備物品保管用の収納部10s、及び、パレット収納用の収納部10rに分類する状態で備えられており、第1収納棚101及び第2収納棚102は本発明の収納棚を構成している。同様に、第3収納棚103及び第4収納棚104の収納部10は、ピッキング用の収納部10p、予備物品保管用の収納部10s、及び、パレット収納用の収納部10rに分類する状態で備えられており、第3収納棚103及び第4収納棚104は本発明の収納棚を構成している。
【0049】
なお、図6にも示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103におけるピッキング間口14が形成されている収納部10及びこれに上方側で隣接する収納部10(具体的には、第5ベイ〜第11ベイ、第14ベイ〜第21ベイ、第24ベイ〜第31ベイ、第34ベイ〜第40ベイの第4段及び第5段に位置する収納部10)の夫々については、これらの収納部10の仮想底面から下側に離れた位置に、物品Wの落下を防止する四角形状の水平金網15が設けられている。水平金網15は、物品支持体11の直下において、支柱枠7に対してブラケットなどにより吊り下げ支持されている。
【0050】
ピッキング用の収納部10pの上面に位置する水平金網15の手前側端面には、デジタル表示器22が設けられている。デジタル表示器22には、後述の管理制御装置Hから指令される表示情報に基づいて、対応するピッキング用の収納部10pに収納されているパレットPに載置された物品Wを構成する小分け物品Wpについての指定ピッキング数量や、指定ピッキング数量のピッキングされた後の当該ピッキング用の収納部10pに収納されている小分け物品Wpについての残り数量等が表示される。
【0051】
図4及び図6に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103の間には、ピッキング間口14が形成された収納部10に対応する高さに背面ピッキング作業場を形成すべく、1階の床面F1の高さLV1より高い中二階の床面F2Mの高さLV2Mに合わせて、棚横幅方向の全長に亘って架台19が設けられている。架台19は、奥側支柱5bに設けられた支持ブラケット16により第2収納棚102及び第3収納棚103の棚横幅方向で複数箇所において第2収納棚102及び第3収納棚103に連結支持されている。
【0052】
架台19の上面には、第2収納棚102及び第3収納棚103の中間箇所に、第2収納棚102及び第3収納棚103におけるピッキング用収納部10pからピッキングされた小分け物品Wpを図外の仕分作業場へと搬送する搬送ローラコンベヤ17と、小分け物品Wpを一時的に仮置きする第1仮置き台18a及び第2仮置き台18bとが設置されている。
【0053】
第1仮置き台18a及び第2仮置き台18bは、ピッキングされた小分け物品Wpを搬送ローラコンベヤ17に載せるに当たって、搬送作動している搬送ローラコンベヤ17の搬送面が他の小分け物品Wpで占有されているために当該ピッキングした小分け物品Wpを載せるスペースがない場合や、指定数量の小分け物品Wpを間違いなくピッキングするために指定数量の小分け物品Wpが全て揃うまで当該ピッキングした小分け物品Wpを搬送ローラコンベヤ17に載せない場合に、小分け物品Wpを一時的に仮置きするために用いられる。
【0054】
図1、図2、及び図3に示すように、自動倉庫BUの1階の床面F1には、第1収納棚101及び第4収納棚104のホームポジションHP側の端部(第1ベイ)より横外方側に、棚横幅方向で内方向きを搬送方向とする入庫コンベヤ20が、また、第2収納棚102及び第3収納棚103のホームポジションHP側の端部(第1ベイ)より横外方側に、棚横幅方向で外方向きを搬送方向とする出庫コンベヤ21が設置されている。
【0055】
入庫コンベヤ20は、外部から搬入された入庫対象の物品WをパレットPに保持された状態で入庫用移載箇所20eまで搬送するものである。第1スタカークレーン3aや第2スタッカークレーン3bは、入庫用移載箇所20eに位置する物品Wを保持した保持状態のパレットPを掬って、予備物品保管用の収納部10sに収納する。
【0056】
出庫コンベヤ21は、予備物品保管用の収納部10sから第1スタカークレーン3aや第2スタッカークレーン3bにてパレットPに保持された状態で出庫された出荷対象の物品Wを、パレットPに保持された状態で出荷用移載箇所21sからトラック積込み場所等へ搬送するものである。
【0057】
図3、図4及び図7に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103の夫々のホームポジションHP側の端部外方側における、架台19の高さLV2Mと同じ中二階の床面FM2には、投入された保持状態のパレットPから全ての小分け物品Wpをピッキングする第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPa及び第2物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPbが設けられている。これらのピッキング作業部は、架台19の搬送ローラコンベヤ17を中心に対称の配置となっており、基本的には同じように構成されている。以下、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaについて説明する。
【0058】
第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaは、中2階F2Mにおいて第2収納棚102の第1ベイの一部と第2ベイを占有する段積み装置23が設置された段積み箇所Z0に空状態のパレットPを載置搬送する後処理用搬送部としての空パレット搬送コンベヤ24やこの空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動を制御する搬送制御手段としてのピッキング作業部コントローラHc等からなる段積み保管装置DSを備えている。
【0059】
ピッキング作業部コントローラHcは、制御プログラムを実行するマイクロコンピュータを利用して構成している。また、段積み装置23は、パレットPの角部を係合支持する保持機構や、保持機構を昇降させる昇降機構の動作を組み合わせて、空状態のパレットPを段積み状態にする周知のもので構成している。
【0060】
段積み装置23について説明を加えると、段積み箇所Z0において、段積み状態のパレットPの最下段のパレットPの裏面を空パレット搬送コンベヤ24にて搬送される空状態のパレットPの上面より上方に位置するように、段積み状態のパレットPの最下段のものを保持機構にて支持し、空パレット搬送コンベヤ24にて空状態のパレットPを段積み箇所Z0に搬送させた後、保持機構を下降させることで段積み状態のパレットPを下降させて、段積み箇所Z0に位置する当該空状態のパレットPの上面に、段積み状態のパレットPの最下部のものの裏面を当接させるようにして、当該空状態のパレットPに段積み状態のパレットPを載置させ、保持機構を開放して段積み装置23の段積み箇所Z0に段積み状態のパレットPを載置する状態とした後、新たに最下段となった当該空状態のパレットPに対応する高さまで保持機構を下降させ、当該新たな最下段のパレットPを保持機構にて支持してから、保持機構を上昇させるといったように、段積み状態のパレットPの最下段の下方に、新たな空状態のパレットPを挿入してく形態で段積み状態とするものである。
【0061】
このように段積み箇所Z0では、空状態のパレットPが段積み状態にされるとともに、本実施形態では、そのまま段積み状態で保管される。つまり、本実施形態では、段積み箇所Z0は、段積み保管箇所Zrにもなっている。
【0062】
段積み箇所Z0は、その棚横幅方向の中心が第1ベイと第2ベイの中間位置(第1.5ベイと呼ぶ)に位置するように設定されている。そして、保持機構を下降させから保持機構を開放して段積み装置23の段積み箇所Z0に段積み状態のパレットPを載置させた状態にすることで、最下段のパレットPが、中二階の高さLV2Mに位置する第4段の収納部10、例えば、ピッキング用収納部10pに収納されるパレットPの高さと同じ高さになるようになっている。
【0063】
したがって、段積み装置23の段積み箇所Z0(段積み保管箇所Zr)に段積み状態の複数のパレットPを載置させた状態にすることで、第1スタッカークレーン3aにて、段積み保管箇所Zrに保管されている段積み状態の複数のパレットPを、第2収納棚102の第1.5ベイ、第4段の収納部に収納されたパレットとみなして、掬い取ることができる。もちろん、掬い取った段積み状態の複数のパレットPを、前述のパレット収納用の収納部10r又は入庫コンベヤ20若しくは出庫コンベヤ21に搬送することが可能である。
【0064】
このように、本実施形態では、段積み保管装置DSにおける少なくとも段積み装置23の段積み保管箇所Zrが、段積み状態で保管されている複数のパレットPを第1スタッカークレーン3aにて収納棚1の搬出入部に設置された入庫コンベヤ20や出庫コンベヤ21に搬送すべく、第1スタッカークレーン3aの搬送作用範囲内に位置されている。
【0065】
前記空パレット搬送コンベヤ24の搬送開始側の端部にはピッキング箇所Z1が設定されており、ピッキング箇所Z1にパレットPが位置する状態で、このピッキング箇所Z1に対応する作業場として架台19上に設けられたピッキング作業場に位置する作業者がピッキング作業を行うことができるようになっている。つまり、空パレット搬送コンベヤ24におけるピッキング箇所Z1が位置する部分がピッキングのためにパレットPを位置させる物品保持体設置部24Tとなっている。
【0066】
また、空パレット搬送コンベヤ24の物品保持体設置部24Tには、ピッキング箇所Z1に位置するパレットPによりオンするピッキング箇所リミットスイッチ24aが設けられており、ピッキング箇所リミットスイッチ24aの検出信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されている(図8参照)。
【0067】
ピッキング箇所Z1に位置するパレットP上から小分け物品Wpをピッキングする作業者の立ち位置の横脇には、非操作位置に復帰付勢された照光式の押ボタンスイッチで構成した手動操作式の保管指令手段としての完了ボタン30が備えられた操作ボックス31が設けられている。操作ボックス31は、作業者が操作し易いように、架台19に立設された支柱にて下方支持された状態で作業者の腰高さに合わせて設置されている。
【0068】
完了ボタン30は、作業者が保持状態のパレットPに保持されている全ての小分け物品Wpについてピッキング作業を完了させてパレットPを空状態にした後、空状態のパレットPを段積み装置23に保管するべく、保管指令を指令するために押下操作するものである。点灯状態の完了ボタン30を押下操作すると、完了ボタン30が消灯状態に切り換わるとともに、空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動が開始され、空状態のパレットPがピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0に向けて搬送され、後述の光センサ25が荷姿異常を検出することなく正常に段積み箇所Z0に位置すると、空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動が終了する。
【0069】
なお、完了ボタン30の操作信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されており、照光状態を制御するピッキング作業部コントローラHcの制御信号が完了ボタン30に対して出力されている(図7参照)。
【0070】
図7に示すように、段積み保管装置DSは、段積み装置23や空パレット搬送コンベヤ24の他、空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動を制御するピッキング作業部コントローラHc、及び、ピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0に搬送される途中、より具体的には空パレット搬送コンベヤ24の搬送方向下流位置においてパレットPが空状態であるか否かを検出する空状態検出手段としての光センサ25を備えている。
【0071】
光センサ25は、空パレット搬送コンベヤ24のコンベヤ幅方向の両脇に設けられた投受光器25T及び反射板25Rからなる回帰反射式の光センサである。投受光器25T及び反射板25Rの取り付け高さは、空パレット搬送コンベヤ24の搬送面上を搬送されるパレットPの上面より若干高い位置に検出光が位置するように設定されており、パレットP上に小分け物品Wpが1個でも残留したままピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0まで搬送されると、その残留している小分け物品Wpにより光センサ25の検出光が遮断され、光センサ25が検出信号を出力するようになっている。
【0072】
このように、光センサ25はパレットPが空状態であるか否かを検出するようになっており、ピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0に搬送されるパレットPの荷姿の異常を検出することができるようになっている。なお、光センサ25の検出信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されている(図8参照)。
【0073】
空パレット搬送コンベヤ24の横脇箇所で光センサ25の投受光器25Tが設けられた箇所付近には、空状態でないパレットPが段積み箇所Z0に搬送された場合に、赤色回転灯とブザーにより警報するブザー付きのシグナルタワー32が設けられている。なお、シグナルタワー32の警報作動の開始は光センサ25の検出信号に基づいて、また、シグナルタワー32の警報作動の停止はピッキング箇所リミットスイッチ24aの検出信号に基づいて、ピッキング作業部コントローラHcにより制御される。
【0074】
第1走行経路Laを中心にして空パレット搬送コンベヤ24の対向位置、即ち、第1収納棚101のホームポジションHP側の端部外方側には、第1収納棚101の第1ベイに設定された予備品投入箇所Z5に設置された載置台26に移載された保持状態のパレットPを、後述のトラバーサ27の搬送開始箇所Z3まで搬送する予備品搬送コンベヤ28が設けられている。
【0075】
また、予備品搬送コンベヤ28の搬送方向下流側の端部には、当該端部に設定された待機箇所Z4に位置するパレットPによりオンする待機パレット検出用リミットスイッチ28aが設けられており、待機パレット検出用リミットスイッチ28aの検出信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されている(図7参照)。
【0076】
前記載置台26は、予備品搬送コンベヤ28に対して保持状態のパレットPを押し出すためのチェーンコンベヤ26cを備えており、載置台26及び予備品搬送コンベヤ28の協働により保持状態のパレットPを待機箇所Z4まで搬送できるようになっている。
【0077】
また、載置台26cには、チェーンコンベヤ26c上の予備品投入箇所Z5に載置されたパレットPによりオンする在荷検出用リミットスイッチ26aが設けられており、在荷検出用リミットスイッチ26aの検出信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されている(図7参照)。
【0078】
前記トラバーサ27は、搬送開始箇所Z3と搬送終了箇所Z2との間で往復移動自在に設けられたコンベヤ付きスライド台車29を備えており、コンベヤ付きスライド台車29を搬送開始箇所Z3に位置させた状態で、コンベヤ付きスライド台車29の両方向コンベヤ29aを引き込み方向(予備品搬送コンベヤ28の搬送方向と同じ方向)に作動させ、かつ、予備品搬送コンベヤ28を作動させることで、両者の協働により、保持状態のパレットPを待機箇所Z4から搬送開始箇所Z3まで搬送できるようになっている。同様に、コンベヤ付きスライド台車29を搬送終了箇所Z2に位置させた状態で、コンベヤ付きスライド台車29の両方向コンベヤ29aを押し出し方向(空パレット搬送コンベヤ24の搬送方向と同じ方向)に作動させ、かつ、空パレット搬送コンベヤ24を作動させることで、両者の協働により、保持状態のパレットPを搬送終了箇所Z2からピッキング箇所Z1まで搬送できるようになっている。
【0079】
また、コンベヤ付きスライド台車29には、両方向コンベヤ29c上に載置されたパレットPによりオンする台車パレット検出用リミットスイッチ29aが設けられており、台車パレット検出用リミットスイッチ29aの検出信号はピッキング作業部コントローラHcに入力されている(図7参照)。
【0080】
このように、載置台26、予備品搬送コンベヤ28及びトラバーサ27は、互いに協働することで、第1スタッカークレーン3aにて載置台26に移載された保持状態のパレットPを、予備品投入箇所Z5、待機箇所Z4、搬送開始箇所Z3、搬送終了箇所Z2を経由してピッキング箇所Z1まで搬送することができるようになっている。つまり、載置台26、予備品搬送コンベヤ28及びトラバーサ27は、ピッキング箇所Z1に向けてパレットPを搬送するコンベヤ搬送部CVを構成している。
【0081】
図8に示すように、空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動を制御するピッキング作業部コントローラHcには、前述したピッキング箇所リミットスイッチ24a、完了ボタン30、光センサ25、待機パレット検出用リミットスイッチ28a、台車パレット検出用リミットスイッチ29a、在荷検出用リミットスイッチ26a及びシグナルタワー32の他に、載置台26のチェーンコンベヤ26c、予備品搬送コンベヤ28、トラバーサ27のコンベヤ付きスライド台車29及びこの台車に備えられた両方向コンベヤ29a、並びに段積み保管装置23が制御ラインにて接続されている。
【0082】
そして、物品Wが保持された保持状態のパレットPが第1スタッカークレーン3aにて第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaの載置台26に移載されると、当該パレットPはピッキング箇所Z1まで搬送されて、ピッキング作業場の作業員により物品Wの小分け物品Wpの全数がピッキングされる。そして、ピッキング作業を完了させた作業員が完了ボタン30を押下操作することで、ピッキング箇所Z1に位置するパレットPを段積み保管する保管指令が指令され、この保管指令に基づいて、ピッキング作業部コントローラHcにて段積み保管装置DSの作動が制御され、当該パレットPが段積み状態で保管されることになる。
【0083】
第2物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPbにも、同様にピッキング作業部コントローラHc等が備えられており、物品Wが保持された保持状態のパレットPが第2スタッカークレーン3bにて第2物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPbの載置台26に移載されると、当該パレットPはピッキング箇所Z1まで搬送されて、ピッキング作業場の作業員により物品Wの小分け物品Wpの全数がピッキングされる。そして、ピッキング作業を完了させた作業員が完了ボタン30を押下操作することで、ピッキング箇所Z1に位置するパレットPを段積み保管する保管指令が指令され、この保管指令に基づいて、ピッキング作業部コントローラHcにて段積み保管装置DSの作動が制御されて、当該パレットPが段積み状態で保管されることになる。
【0084】
以下、ピッキング作業部コントローラHcの制御動作について、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaのピッキング作業部コントローラHcを例に、図9〜図13のフローチャートに基づいて説明する。なお、初期状態では、パレットPは、段積み箇所Z0〜予備品投入箇所Z5の6箇所の何れにも存在しておらず、トラバーサ27のコンベヤ付きスライド台車29は、搬送開始箇所Z1に位置しているものとする。また、パレット要求フラグの初期値はONに設定されているものとする。
【0085】
図9及び図10のフローチャートに示すように、ピッキング作業部コントローラHcは、処理周期(例えば、1[ms])の間にステップ#A0、ステップ#A1、ステップ#A2、ステップ#A3の判断処理を有するメインルーチンを実行し、このメインルーチンは処理周期毎に繰り返し実行される。
【0086】
ステップ#A0では、後述する管理制御装置Hからの載置台状態情報要求があるか否かが判別される。要求があった場合には、在荷検出用リミットスイッチ26aの検出情報に基づいて、載置台26にパレットP(保持状態)が載置されている場合は在荷応答(ステップ#A02)を、載置台26にパレットPが載置されていない場合は空き応答(ステップ#A03)を返すべく、管理制御装置Hと通信する。
【0087】
ステップ#A1では、第1スタッカークレーン3aにて載置台26にパレットPが移載されて、載置台26における予備品投入箇所Z5が在荷状態(パレットPが存在する状態)であるか否かが、載置台26の在荷検出用リミットスイッチ26aの検出情報に基づいて判別される。予備品投入箇所Z5が在荷状態である場合は、さらに、待機パレット検出用リミットスイッチ28aの検出情報に基づいて、予備品搬送コンベヤ28における待機箇所Z4が在荷状態でるか否か判別され、待機箇所Z4が在荷状態でなければステップ#A12の処理を実行する。
【0088】
つまり、予備品投入箇所Z5が在荷状態で、かつ、待機箇所Z4が在荷状態でない場合だけ、載置台26のチェーンコンベヤ26cと予備品搬送コンベヤ28とを協働させて、予備品投入箇所Z5に位置するパレットP(保持状態)を待機箇所Z4まで搬送させる。これにより、載置台26の予備品投入箇所Z5に投入されたパレットPは、待機箇所Z4が在荷状態であればそのまま予備品投入箇所Z5に位置し、待機箇所Z4が在荷状態でなければ待機箇所Z4まで前詰めされた状態で待機することになる。
【0089】
ステップ#A2では、ピッキング作業者により完了ボタン30が押下操作されたか否かが判別される。完了ボタン30が押下操作された場合は、ステップ#A21の空パレット搬送処理を実行する。
【0090】
詳しくは後述するが、空パレット搬送処理では、空状態のパレットPがピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0に搬送され、原則としてそのまま断積み装置23にて段積みされ、次の保持状態のパレットPをピッキング箇所Z1に受け入れるべく、パレット要求フラグがONにセットされるが、ピッキング作業者がパレットPを空状態にする前に完了ボタン30を押下操作してしまい不完全な保持状態のパレットPが段積み箇所Z0に向って搬送されてしまった場合には、搬送途中で光センサ25にて荷姿異常が検出されることにより、そのパレットPは例外的にピッキング箇所Z1まで戻るように逆方向に搬送され、パレット要求フラグはOFFのまま維持される。
【0091】
空パレット搬送処理の実行後、ステップ#A22でパレット要求フラグがONかどうか判別され、ONであれば、ステップ#A23でトラバーサ27のコンベヤ付きスライド台車29が搬送終了箇所Z2に待機しているか否かが判別され、待機していれば、ステップ#A24のピッキングセット用搬送処理が実行される。
【0092】
つまり、パレット要求フラグがONで、かつ、コンベヤ付きスライド台車29が搬送終了箇所Z2に待機している場合だけ、ステップ#A24のピッキングセット用搬送処理が実行される。詳しくは後述するが、ピッキングセット用搬送処理では、保持状態のパレットPが搬送終了箇所Z2からピッキング箇所Z1へ搬送され、パレット要求フラグがOFFにセットされる。
【0093】
後述するように、搬送終了箇所Z2に待機しているコンベヤ付きスライド台車29は、パレットP(保持状態)が台車29の両方向コンベヤ29cに載置された状態となっているので、パレット要求フラグがONのときにコンベヤ付きスライド台車29が搬送終了箇所Z2に待機していれば、ピッキング箇所Z1に保持状態のパレットPをセットさせるべく、搬送終了箇所Z2からピッキング箇所Z1への搬送が可能であるので、ピッキングセット用搬送処理を実行するようになっているのである。
【0094】
ステップ#A3では、待機パレット検出用リミットスイッチ28aの検出情報に基づいて、待機箇所Z4が在荷状態であるか否かが判別される。待機箇所Z4が在荷状態であれば、コンベヤ付きスライド台車29の位置が判別され、コンベヤ付きスライド台車29が搬送開始箇所Z3に位置している場合には、待機箇所Z4に位置する保持状態のパレットPを搬送終了箇所Z2まで搬送するべく、ステップ#A32及びステップ#A33の処理が実行される。
【0095】
ステップ#A32では、台車パレット検出用リミットスイッチ29aの検出情報に基づいて、予備品搬送コンベヤ28とコンベヤ付きスライド台車29の両方向コンベヤ29cとの協働により、パレットPを搬送開始箇所Z3に位置させる。
【0096】
ステップ#A33では、コンベヤ付きスライド台車29が搬送終了箇所Z2に位置することを検出する搬送終了検出手段の検出情報に基づいて、コンベヤ付きスライド台車29をスライド移動させ、パレットPを搬送終了箇所Z2に位置させる。
【0097】
ステップ#A34では、パレット要求フラグがONであるか否かが判別され、パレット要求フラグがOFFであれば、搬送終了箇所Z2に位置するパレットPをそのまま搬送終了箇所Z2にて待機させておき、パレット要求フラグがONであれば、ステップ#A35でピッキングセット用搬送処理を実行して、搬送終了箇所Z2に位置するパレットPをピッキング箇所Z1に位置させる。
【0098】
次に、搬送制御処理におけるステップ#A21の空パレット搬送処理とステップ#A24及びステップ#A35のピッキングセット用搬送処理について、図11及び図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0099】
まず、空パレット搬送処理は、図11に示すように、ステップ#B1で、完了ボタン30を点灯状態から消灯状態に切り換え、ステップ#B2で空パレット搬送コンベヤ24の正転作動を開始させる。ステップ#B3で光センサ25がONしたか否か、すなわち、荷姿異常を検出したか否かをチェックし、荷姿異常が検出されると、ステップ#B31以降の処理が実行される。
【0100】
荷姿異常が検出されることなく空状態のパレットPが段積み箇所Z0まで搬送されると、ステップ#B3及びステップ#B4のループを抜けて、ステップ#B5、ステップ#B6及びステップ#B7の処理が実行されて、空パレット搬送処理が終了する。すなわち、空パレット搬送コンベヤ24の正転作動を停止させ、パレット要求フラグをONにセットし、段積み処理を実行して段積み装置23を作動させる。段積み処理により、段積み箇所Z0に位置する空状態のパレットPが段積み状態で保管される。
【0101】
パレットPがピッキング箇所Z1から段積み箇所Z0に搬送される途中で荷姿異常が検出された場合は、まず、ステップ#B31で空パレット搬送コンベヤ24の正転作動を停止させる。そして、ステップ#B32及びステップ#B33で、シグナルタワー32の警報作動や空パレット搬送コンベヤ24の逆転作動が開始される。
【0102】
ステップ#B34で、ピッキング箇所リミットスイッチ24aの検出情報に基づいて、パレットPがピッキング箇所Z1まで戻されたかどうか判別される。パレットPがピッキング箇所Z1まで戻されると、ステップ#B34のループを抜けて、ステップ#B35、ステップ#B36及びステップ#B37の処理が実行され、空パレット搬送処理が終了する。すなわち、シグナルタワー32の警報作動や空パレット搬送コンベヤ24の逆転作動が停止され、完了ボタン30が消灯状態から点灯状態に切り換えられる。
【0103】
このように、ピッキング作業部コントローラHcは、完了ボタン30にて保管指令が指令されると、空パレット搬送コンベヤ24の物品保持体設置部24Tに設定されたピッキング箇所Z1から段積み装置23が設置された段積み箇所Z0に向けてパレットPを搬送すべく空パレット搬送コンベヤ24を搬送作動させ、且つ、光センサ25が搬送されるパレットPが空状態でないことを検出すると、そのパレットPを物品保持体設置部24Tに向けて戻すべく空パレット搬送コンベヤ24を搬送作動させるように構成されている。
【0104】
次に、ピッキングセット用搬送処理は、図12に示すように、ステップ#C1で、ピッキング箇所リミットスイッチ24aの検出情報に基づいて、搬送終了箇所Z2からピッキング箇所Z1に保持状態のパレットPを搬送するべく、コンベヤ付きスライド台車29の両方向コンベヤ29c及び空パレット搬送コンベヤ24の搬送作動を制御する。
【0105】
ステップ#C2で、完了ボタン30を消灯状態から点灯状態に切り換え、ステップ#C3でパレット要求フラグをOFFにセットする。そして、ステップ#C4で、コンベヤ付きスライド台車29を搬送開始箇所Z3に空でスライド移動させる。
【0106】
このように、ピッキングセット用搬送処理では、ピッキング箇所Z1にパレットPを位置させるべく、コンベヤ付きスライド台車29からパレットPを払い出した後、次の保持状態のパレットPを搬送開始箇所Z3にて迅速に受け取ることができるように、コンベヤ付きスライド台車29を搬送開始箇所Z3に位置させるようにしている。
【0107】
次に、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaの載置台26に保持状態のパレットPを搬送する第1スタッカークレーン3aの作動を制御する管理制御装置Hの制御動作について説明する。なお、第2物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPbの載置台26に保持状態のパレットPを搬送する第2スタッカークレーン3bの作動を制御する管理制御装置Hが設けられており、これの制御動作も第1スタッカークレーン3aの作動を制御する管理制御装置Hと同様であるので、以下では、第1スタッカークレーン3aについての管理制御装置Hについてのみ説明する。
【0108】
管理制御装置Hは、図1に示すように、1階F1の床面LV1の第1走行経路LaのホームポジションHP側端部箇所において入庫コンベヤ20と出庫コンベヤ21との間に位置するように設置され、図7に示すように、管理制御装置Hは、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaのピッキング作業部コントローラHcと通信可能に接続されている。また、管理制御装置Hには、前述したピッキング用の収納部10pにおけるピッキング間口14に設けられ、空パレット発生通知ボタン33が備えられているデジタル表示器22や、入庫コンベヤ20及び出庫コンベヤ21が接続されている(図8参照)。
【0109】
管理制御装置Hは、保持状態のパレットPを前記予備物品保管用の収納部10sから前記ピッキング用の収納部10pまで搬送し、かつ、空状態のパレットPを前記ピッキング用の収納部10pから前記パレット収納用の収納部10rに搬送するべく、第1スタッカークレーン3aの作動を制御するものであり、本発明の制御手段に相当する。
【0110】
そして、管理制御装置Hは、予め1日を4つに区分け設定した基準作業時間帯(8:00〜12:00の第1時間帯、12:00〜15:00の第2時間帯、15:00〜17:00の第3時間帯、17:00〜20:00の第4時間帯)の夫々において生成されるバッチオーダにおける各品種の合計指定数量Sx(本発明のピッキングオーダ情報に相当する。)、及び、予備物品保管用の収納部10sに収納されているパレットPの夫々に保持されている小分け物品Wpの個数N(本発明の物品数量情報に相当する。以下、1パレ個数Nという)を管理して、各基準作業時間帯の夫々において、予備物品保管用の収納部10sに収納されているパレットPのうちで、保持している小分け物品Wpの全数がピッキングされて空状態になることが合計指定数量Sx及び1パレ個数Nに基づいて予測されるパレットPを、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにおけるコンベヤ搬送部CVの載置台26に搬送するパレットPとして選択するように構成されている。
【0111】
説明を加えると、上位のコンピュータは、取得した納入先別の出荷予定情報に基づいて多品種複数個の小分け物品Wpについての納入先別のピッキングオーダ(以下、「単発オーダ」という)を生成し、基準作業時間帯毎に処理すべき複数の単発オーダを集約して1つのバッチオーダを生成する。そして、各基準作業時間帯の開始時になると、上位のコンピュータは管理制御装置Hにその基準作業時間帯で処理すべき単発オーダが集約されたバッチオーダを指令する。
【0112】
管理制御装置Hは、バッチオーダにおけるある品種についての合計指定数量Sxが当該品種についての1パレ個数N以上であれば、合計指定数量Sxから、1パレ個数Nの倍数で合計指定数量Sxを超えない範囲で最大となる数量「N×z」を差し引いた小分け物品Wpの数「Sx−N×z」を、当該品種についてのピッキング用の収納部10pにおいてピッキングすべき小分け物品Wpの個数(背面ピッキング用指定数量)として、当該品種の小分け物品Wpを保持しているパレットPが収納されているピッキング用の収納部10pのデジタル表示器22に表示するとともに、「N×z」を、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにてピッキングすべき当該品種の小分け物品Wpの個数(全数ピッキング用指定数量)として、z個の保持状態のパレットPを、予備物品保管用の収納部10sから第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにおけるコンベヤ搬送部CV(より詳しくは、載置台26。)に搬送すべく、第1スタッカークレーン3aの作動を制御する。
【0113】
以下に、上述した管理制御装置Hのピッキング管理制御における制御動作について、図13に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。なお、分かり易くするために以下の説明では、品種イに注目して説明をしているが、バッチオーダに含まれる他の品種についても同様な処理が実行される。
【0114】
図13のフローチャートに示すように、管理制御装置Hは、バッチオーダが上位のコンピュータから指令されると、そのバッチオーダに含まれる品種イについての合計指定数量Sxが、品種イについての1パレ個数Nより小さければ、ステップ#D1でYesと判別し、ステップ#D2で品種イのピッキングを行うピッキング用の収納部10pとして選択された収納部10に対応するデジタル表示器22に品種イについての背面ピッキング用指定数量情報として合計指定数量Sxを送信し、デジタル表示器22に背面ピッキング用指定数量として「Sx」を表示させる。
【0115】
ステップ#D3で、品種イについての供給フラグFをチェックして、OFFであれば、品種イの物品Wが選択設定されたピッキング用の収納部10pに未供給であると認識して、品種イの物品Wを当該ピッキング用の収納部10pに供給するべく、ステップ#D4で第1スタッカークレーン3aの作動を制御して、予備物品保管用の収納部10sに収納されている保持状態のパレットP(品種イの小分け物品WpをN個保持している。)をピッキング用の収納部10pに搬送させ、ステップ#D5で供給フラグFをONにセットする。
【0116】
なお、供給フラグFは、品種別に設定されており、初期値がOFFで、ある品種の物品Wを保持した保持状態のパレットPがピッキング用の収納部10pに供給されると、ONにセットされ、ある品種についてのピッキング用の収納部10pから空パレットを回収する空パレット回収処理(詳しくは後述する。)を実行すれば、当該品種についての供給フラグFはOFFにリセットされる。
【0117】
今回のバッチオーダが発生した時点における、品種イについてのパレットPが収納されているピッキング用の収納部10pにおける小分け物品Wpの残数(管理制御装置Hが管理している。)に基づいて、今回のバッチオーダにおける品種イの背面ピッキング用指定数量(「Sx」又は後述する「Sx−N×z」)が賄えない場合は、当該ピッキング用の収納部10pに対応する背面ピッキング作業部において、今回のバッチオーダに基づくデジタル表示器22の表示に従ってピッキングが行われて、当該ピッキング用の収納部10pにおけるパレットPに残っていた品種イの小分け物品Wpの全数が、今回のバッチオーダにおける品種イについての背面ピッキング用指定数量のピッキングが完了する前になくなって、パレットPが空状態となる。
【0118】
管理制御装置Hは、今回のバッチオーダにおける品種イの背面ピッキング用指定数量が賄えない場合は、#D6でYesと判別され、そのピッキング用の収納部10pについてのピッキング作業者がデジタル表示器22に備えられた空パレット発生通知ボタン33を押して空パレット回収要求情報を送信するまで、ステップ#D7で待機する。
【0119】
空パレット回収要求情報を受信すると、ステップ#D8で空パレット回収処理を実行する。そして、管理制御装置Hは、空パレット回収処理の実行後、空パレット回収要求情報が発せられたピッキング用の収納部10pに、品種イの物品Wを供給するべく、ステップ#D9で第1スタッカークレーン3aの作動を制御して、品種イの物品Wを保持した保持状態のパレットPを予備物品保管用の収納部10sからピッキング用の収納部10pに搬送する。そして、ステップ#D10で品種イについての供給フラグFをONにセットする。
【0120】
空パレット回収処理では、当該デジタル表示器22からの空パレット回収要求情報に基づいて、第2収納棚102のピッキング用の収納部10pで発生した空状態のパレットPを、第1収納棚101の同一ベイに位置するパレット収納用の収納部10rに仮置きすべく、第1スタッカークレーン3aの作動を制御する。
【0121】
図2、図3及び図6にて示したように、第2収納棚102におけるピッキング用の収納部10pと第1収納棚101におけるパレット収納用の収納部10rは、対応する高さとなっており、また、第1スタッカークレーン3aが備える移載機は両側移載が可能であるので、ピッキング用の収納部10pで発生した空状態のパレットPを同一ベイに位置するパレット収納用の収納部10rに仮置きするようにすることで、第1スタッカークレーン3aでパレット収納用の収納部10rの空状態のパレットPを移載機で掬った後は、走行移動させることなく、また、極力少ない昇降移動により、空状態のパレットPをパレット収納用の収納部10rに移し換えることができる。なお、パレット収納用の収納部10rに収納されたパレットPは、搬送処理の合間に第1スタッカークレーン3aにて空パレットマガジン棚12に搬送され段積み状態で保管される。
【0122】
再び図13に戻って、管理制御装置Hは、バッチオーダにて指定された品種イの合計指定数量Sxが、品種イについての1パレ個数N以上であれば、ステップ#D1でNoと判別し、ステップ#D11で合計指定数量Sxを1パレ個数Nで割った商(Sx≧Nなので1以上の整数となる。)をパレット台数zに設定し、合計指定数量Sxから1パレ個数Nのパレット台数z倍の数量を差し引いた個数「Sx−N×z」を、品種イについての背面ピッキング用指定数量として算出し、品種イについてのピッキング用の収納部10pとして選択された収納部についてのデジタル表示器22に背面ピッキング用指定数量情報として「Sx−N×z」を送信し、デジタル表示器22に背面ピッキング用指定数量として「Sx−N×z」を表示させる(ステップ#D12)。
【0123】
品種イについてのピッキング用の収納部10pにて行われる背面ピッキング用指定数量「Sx−N×z」個のピッキングの管理として、前述したステップ#D3〜ステップ#D10の処理を実行する。全数ピッキング用指定数量「N×z」個のピッキングは第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにて行われるが、この全数ピッキング用指定数量「N×z」個のピッキングの管理として、ステップ#D13〜ステップ#D17の処理を実行する。
【0124】
管理制御装置Hは、保持状態のパレットPを予備物品保管用の収納部10sから出庫する処理を実行する前に、ステップ#D13で載置台状態情報をピッキング作業部コントローラHcに対して要求し、ステップ#D14でピッキング作業部コントローラHcからの空き応答により載置台26が在荷状態でないことが確認できれば、ステップ#D15で保持状態のパレットPを予備物品保管用の収納部10sから出庫し、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaの載置台26に搬送する。
【0125】
載置台26が在荷状態でない場合は、つまり、載置台状態情報要求に対して、ピッキング作業部コントローラHcが在荷応答を返してきた場合は、ステップ#D14でNoと判別され、保持状態のパレットPを予備物品保管用の収納部10sから出庫し、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaに搬送する処理(つまり、ステップ#D15の処理)は、一旦保留し、例えば、入庫コンベヤ20の入庫用移載箇所20eから予備物品保管用の収納部10sへ保持状態のパレットPを搬送する等、ステップ#D17で他の搬送処理を実行した後、ステップ#D13で再度ピッキング作業部コントローラHcに対して載置台状態情報を要求するようになっている。
【0126】
そして、z台の保持状態のパレットPを予備物品保管用の収納部10sから第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにおけるコンベヤ搬送部CV(より詳しくは、載置台26)に搬送するまで、ステップ#D13〜ステップ#D16及びステップ#D17の処理が繰り返される。
【0127】
以上説明したように、管理制御装置Hは、上位のコンピュータからバッチオーダが指令されると、そのオーダに含まれる各品種の指定数量x又は合計指定数量Sxに基づいて、予備物品保管用の収納部10sに収納されている1パレ個数の小分け物品Wpを保持した保持状態のパレットPを、上述の如くピッキング用の収納部10p及び第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaに振り分けて搬送するので、各品種について1パレ個数以上のピッキングのうち、1パレ個数の倍数分のピッキングは、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにて行い、残りの1パレ個数N未満のピッキングは、ピッキング用の収納部10pで行うことができる。
【0128】
つまり、空状態となることが見込まれるパレットPは第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaに搬送することで、ピッキング用の収納部10pで空状態のパレットが発生することを極力回避して、空パレット回収処理の実行を抑制することができるので、空状態のパレットPが発生しても、第1スタッカークレーン3aは、その影響をできるだけ受けずに他のパレットPを搬送することができる。
【0129】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0130】
(1)上記実施形態では、第1収納棚101及び第2収納棚102並びに第3収納棚103及び第4収納棚104の2つの収納棚にて本発明の収納棚が構成されたものを例示したが、これに代えて、単一又は3つ以上の収納棚にて本発明の収納棚が構成されたものであってもよい。
【0131】
(2)上記実施形態では、収納棚が複数の収納部を縦横に並設された状態で備えているものを例示したが、これに代えて、収納棚が複数の収納部を横方向に並設された状態で備えているものであってもよい。
【0132】
(3)上記実施形態では、物品搬送体がスタッカークレーンにて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、保持状態の物品保持体及び空状態の物品保持体を移載する移載装置を備え、走行経路に沿って走行自在に構成された自動搬送台車などであってもよい。
【0133】
(4)上記実施形態では、制御手段と搬送制御手段とが別体にて構成されたものを例示したが、これらを一体に構成してもよい。
【0134】
(5)上記実施形態では、制御手段が、保持状態の物品保持体を予備物品保管用の収納部から物品保持体設置部に向けて物品保持体を搬送するコンベヤ搬送部に搬送すべく、物品搬送体の作動を制御するように構成されたものを例示したが、物品保持体処理機能付ピッキング作業部にコンベヤ搬送部を設けない場合等においては、制御手段が、保持状態の物品保持体を予備物品保管用の収納部から物品保持体設置部に搬送すべく、物品搬送体の作動を制御するように構成されたものであってもよい。また、上記実施形態のように、物品保持体処理機能付ピッキング作業部にコンベヤ搬送部を設けたものであっても、制御手段が、保持状態の物品保持体を予備物品保管用の収納部から物品保持体設置部に搬送すべく、物品搬送体の作動を制御するように構成されたものであってもよい。
【0135】
(6)上記実施形態では、物品保持体処理機能付ピッキング作業部が、収納棚におけるその横幅方向で外方側に相当する箇所に設けられているものを例示したが、これに限らず、例えば、ピッキングのために前記物品保持体を位置させる物品保持体設置部を収納棚におけるピッキング用の収納部にて構成する等して、物品保持体処理機能付ピッキング作業部が、収納棚の横幅方向で中間部に位置するものであってもよく、物品保持体処理機能付ピッキング作業部の設置箇所については適宜変更可能である。
【0136】
(7)上記実施形態では、ピッキングオーダ情報として複数品種の物品を複数詰め合わせるものを例示したが、これに限らず、単一品種の物品を複数詰め合わせるものであってもよい。
【0137】
(8)上記実施形態では、管理制御装置Hは、単発オーダを複数集合させたバッチオーダに基づいてピッキング作業を管理するように構成されたものを例示したが、例えば、単発オーダに基づいてピッキング作業を管理する単発オーダモードによるピッキング管理と、バッチオーダに基づいてピッキング作業を管理するバッチオーダモードによるピッキング管理との双方を行うものであってもよい。
【0138】
この場合、管理制御装置Hは、単発オーダモードでは、単発オーダにおける各品種の指定数量x、及び、各品種の予備物品保管用の収納部10sに収納されている保持状態のパレットPの夫々に保持されている小分け物品Wpの個数Nを管理して、予備物品保管用の収納部10sに収納されているパレットPのうちで、保持している小分け物品Wpの全数がピッキングされて空状態になることが指定数量x及び1パレ個数Nに基づいて予測されるパレットPを、第1物品保持体処理機能付ピッキング作業部SPaにおけるコンベヤ搬送部CVの載置台26に搬送するパレットPとして選択することになる。
【0139】
(9)上記実施形態では、管理制御装置Hが、予め1日を4つに区分け設定した基準作業時間帯の夫々においてバッチオーダを生成するように構成されたものを例示したが、これに代えて、管理制御装置Hが、複数の単発オーダによる指定数量の合計が予め設定されたバッチオーダ生成用基準数量未満又はバッチオーダ生成用基準数量に相当する数量になるように、複数の単発オーダを集約してバッチオーダを生成するように構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明のピッキング設備が備えられた物流倉庫の1階における全体平面図
【図2】第1収納棚の側面図
【図3】第2収納棚の側面図
【図4】本発明のピッキング設備が備えられた物流倉庫の中2階における全体平面図
【図5】収納棚の構造を示す斜視図
【図6】背面ピッキング作業場の設置状態を示す縦断断面図
【図7】物品保持体処理機能付ピッキング作業部の平面図
【図8】管理制御装置及びピッキング作業部コントローラについての制御ブロック図
【図9】搬送制御処理のフローチャート
【図10】搬送制御処理のフローチャート
【図11】空パレット搬送処理のフローチャート
【図12】ピッキングセット用搬送処理のフローチャート
【図13】ピッキング管理制御のフローチャート
【符号の説明】
【0141】
P 物品保持体
W 物品
H 制御手段
Hc 搬送制御手段
Sx ピッキングオーダ情報
物品数量情報
DS 段積み保管装置
CV コンベヤ搬送部
Z0 段積み箇所,段積み保管箇所
SPa、SPb 物品保持体処理機能付ピッキング作業部
101,102、103,104 収納棚
3a、3b 物品搬送体
10 収納部
10p ピッキング用の収納部
10r 保持体収納用の収納部
10s 予備物品保管用の収納部
20,21 搬出入部
24 後処理用搬送部
24T 物品保持体設置部
25 空状態検出手段
30 保管指令手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持するための物品保持体を収納する複数の収納部を、物品を保持した保持状態の物品保持体を収納するピッキング用の収納部、ピッキング用の収納部における物品と同種の物品を保持した保持状態の物品保持体を収納する予備物品保管用の収納部、及び、物品を保持しない空状態の物品保持体を収納する保持体収納用の収納部に分類する状態で備えている収納棚と、
この収納棚の表裏両側面のうちの一方の側面がわに位置して前記保持状態の物品保持体及び前記空状態の物品保持体を搬送する物品搬送体と、
前記保持状態の物品保持体を前記予備物品保管用の収納部から前記ピッキング用の収納部まで搬送し、かつ、前記空状態の物品保持体を前記ピッキング用の収納部から前記保持体収納用の収納部に搬送するべく、前記物品搬送体の作動を制御する制御手段とが備えられ、
前記ピッキング用の収納部が、前記収納棚の表裏両側面のうち前記物品搬送体が存在しない側面がわより、前記物品保持体に保持されている物品をピッキングできるように構成されているピッキング設備であって、
ピッキングのために前記物品保持体を位置させる物品保持体設置部、及び、その物品保持体設置部に前記空状態で存在する前記物品保持体をその物品保持体設置部から移動させて段積み状態で保管する段積み保管装置を備えた物品保持体処理機能付ピッキング作業部が設けられ、
前記制御手段が、前記保持状態の物品保持体を前記予備物品保管用の収納部から前記物品保持体設置部又はその物品保持体設置部に向けて物品保持体を搬送するコンベヤ搬送部に搬送すべく、前記物品搬送体の作動を制御するように構成されているピッキング設備。
【請求項2】
前記制御手段が、
予め1日を複数に区分け設定した複数の基準作業時間帯の夫々におけるピッキングオーダ情報、及び、前記予備物品保管用の収納部に収納されている前記物品保持体の夫々に保持されている物品数量情報を管理して、各基準作業時間帯の夫々において、前記予備物品保管用の収納部に収納されている物品保持体のうちで、保持している物品がピッキングにより空状態になることが前記ピッキングオーダ情報及び前記物品数量情報に基づいて予測される前記物品保持体を、前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部又は前記コンベヤ搬送部に搬送する物品保持体として選択するように構成されている請求項1記載のピッキング設備。
【請求項3】
前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部が、前記収納棚におけるその横幅方向で外方側に相当する箇所に設けられている請求項1又は2記載のピッキング設備。
【請求項4】
前記物品保持体処理機能付ピッキング作業部における前記物品保持体設置部に位置する物品保持体を段積み保管する保管指令を指令する手動操作式の保管指令手段が、前記物品保持体設置部の設置箇所に対応させて設けられ、
前記段積み保管装置が、前記物品保持体設置部から段積み箇所に物品保持体を載置搬送する後処理用搬送部、その後処理用搬送部の搬送作動を制御する搬送制御手段、及び、前記物品保持体設置部から前記段積み箇所に搬送される途中において物品保持体が前記空状態であるか否かを検出する空状態検出手段を備えて構成され、
前記搬送制御手段が、前記保管指令手段にて前記保管指令が指令されると、前記物品保持体設置部から前記段積み箇所に向けて前記物品保持体を搬送すべく前記後処理用搬送部を搬送作動させ、且つ、前記空状態検出手段が搬送される物品保持体が空状態でないことを検出すると、その物品保持体を前記物品保持体設置部に向けて戻すべく前記後処理用搬送部を搬送作動させるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のピッキング設備。
【請求項5】
前記段積み保管装置における少なくとも段積み保管箇所が、段積み状態で保管されている複数の物品保持体を前記物品搬送体にて前記収納棚の搬出入部に搬送すべく、前記物品搬送体の搬送作用範囲内に位置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−23770(P2009−23770A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187186(P2007−187186)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】