説明

ピラゾール化合物およびそれに関連する使用

例えば、糖尿病、肥満および代謝症候群の治療のために有用な置換ピラゾールが提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2004年3月23日提出の米国特許仮出願第60/556,013号の恩典を主張し、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府助成研究開発のもとで行われた発明に対する権利についての言明
該当しない。
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、またはコンピュータープログラムリストの添付物への参照
該当しない。
【0004】
本発明は、HSD1阻害活性を有するピラゾール化合物に関する。11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1(以下「11β-HSD1」または「HSD1」)はグルココルチコイド(以下「GC」)の不活性11-ケト体(例えば、コルチゾン、11-デヒドロコルチコステロン)と活性11β-ヒドロキシ体(例えば、それぞれコルチゾル、コルチコステロン)との間の相互変換を触媒する。この酵素はインビボでは11-ケトから11β-ヒドロキシへのレダクターゼの方向、すなわち活性GCの産生を選択的に行う。
【0005】
11β-HSD1は広範に発現され、肝、肺、脂肪組織、脈管構造、卵巣および中枢神経系において最も顕著である。
【0006】
最近の実験結果より、HSD1を通じて産生されたGCの活性体ならびに酵素自体がいくつかの生物作用および疾患に関与していることが示唆されている。
【0007】
例えば、活性GCは糖新生酵素を刺激し、少なくとも部分的には高血糖の誘発において影響を有することが知られている。この場合、HSD1は甲状腺に加えてGC産生の第二の供給源でありうる。
【0008】
もう一つの例として、クッシング症候群で見られる末梢組織内の活性GCの持続的過剰はインスリン抵抗性を引き起こし、ここでHSD1は重要な役割を担うと考えられる。
【0009】
同様に、脂肪組織において、活性GCは前脂肪細胞の脂肪細胞への分化を促進することが明らかにされている。成熟脂肪細胞はHSD1活性を発現し、これは活性体の局所濃度を高め、さらには脂肪組織の拡大を引き起こす。そのようなHSD1の作用は肥満の病因において非常に重要であると考えられる。
【0010】
加えて、胎盤脱落膜におけるHSD1の局所免疫抑制作用、および副腎皮質における酵素の発現とアドレナリン合成の誘導との間の関係が示唆されている。
【0011】
(前述したことは以下に記載されている:Quinkler M, Oelkers W & Diederich S (2001) European Journal of Endocrinology Vol. 144, Pages 87-97(非特許文献1);およびSeckl JR & Walker BR (2001) Endocrinology Vol. 142, Pages 1371-1376(非特許文献2))。
【0012】
前述の示唆によれば、HSD1に対する阻害作用を有する薬物は、糖尿病、肥満、そのような疾患のいずれかに関連する代謝症候群、またはHSD1の作用によって起こる任意の他の疾患を治療または予防する際に有用であると考えられる。
【0013】
糖尿病はその主要な特徴が慢性高血糖で、様々な代謝異常を引き起こし、高いグルコース濃度に基づく口渇、多飲、多尿などの症状を示す。持続的高血糖状態は網膜症、腎症、神経障害、ならびにアテローム性動脈硬化症による心筋および/または脳梗塞などの糖尿病性合併症にもつながりうる。
【0014】
糖尿病の治療において、合併症の発症および進行を抑制するために、高血糖の適度な抑制が非常に重要である。これらの目的のために、食事療法、運動療法および薬物療法が適当な基準で組み合わせて用いられ、薬物療法では特に、作用機序が異なる多くのアプローチが試みられている。これらの様々な既存の方法にもかかわらず、十分な治療効果はまだ得られていない。
【0015】
肥満は、体重が減少すれば改善されるか、もしくは進行しないと思われる任意の疾患(例えば、糖尿病、高脂血症、高血圧)、または内臓の脂肪量過剰に併発する太った状態と定義される。そのような状態が続けば、糖尿病、高脂血症、高血圧および関連する障害の少なくとも二つが起こり、続いてアテローム性動脈硬化症による心筋および/または脳梗塞が発症すると考えられる。
【0016】
肥満の主な治療法は食事療法および運動療法で、必要がある場合、例えば、食事/運動療法が困難な場合にのみ薬物療法が行われる。しかし、既存の薬物のほとんどは中枢作用を通じて摂食を抑制するため、有害作用および用法においていくつかの問題がある。
【0017】
その結果、新しい作用機序を有する任意の糖尿病および/または肥満治療薬がこれまで求められてきた。これらの状況において、HSD1に対する阻害作用を有する薬物が、糖尿病を治療する別の機序でのアプローチによる代替法として、ならびに肥満に対する他の薬物の中でも新規な「脂肪組織作用」クラスとして有用であると期待される。
【0018】
HSD1の阻害を通じて糖尿病および/または肥満を治療するための開発中の薬物として、例えば、国際公開公報第03/104207号(特許文献1)および国際公開公報第03/104208号(特許文献2)は下記の一般式のトリアゾール化合物:

(式中:
AおよびBは別々または一緒で;
別々の場合、Aはハロ、無置換もしくは置換C1-6アルキル、無置換もしくは置換OC1-6アルキルまたは無置換もしくは置換フェニルであり、Bは-H、ハロ、無置換もしくは置換C1-6アルキル、無置換もしくは置換OC1-6アルキル、無置換もしくは置換-SC1-6アルキル、無置換もしくは置換C2-6アルケニル、無置換もしくは置換フェニルまたは無置換もしくは置換ナフチルであり;かつ
一緒の場合、無置換もしくは置換C1-4アルキレンまたは無置換もしくは置換C2-5アルカンジイルであり;
R1はそれぞれ-H、-OH、ハロ、無置換もしくは置換C1-10アルキル、無置換もしくは置換C1-6アルコキシまたは無置換もしくは置換C6-10アリールであるか、あるいは二つのR1は一緒になって縮合C5-6アルキル(無置換または置換のいずれか)または無置換もしくは置換アリール環であり;
R2およびR3は別々または一緒で;
一緒の場合は、(a)縮合5〜10員非芳香環を形成するC3-8アルカンジイル(任意に無置換または置換いずれかの1〜2個の二重結合を含む)または(b)縮合6〜10員芳香族単環式(無置換または置換のいずれか)または二環式基(無置換または置換のいずれか)であり;
別々の場合は、R2はC1-14アルキル(無置換または置換のいずれか)、無置換もしくは置換フェニル、無置換もしくは置換ピリジル、無置換もしくは置換いずれかのC2-10アルケニル、-CH2CO2H、-CH2CO2C1-6アルキル、-CH2C(O)NHRa、-NH2、-NHRaまたはN(Ra)2であり、R3は無置換もしくは置換C1-4アルキル、無置換もしくは置換C2-10アルケニル、無置換もしくは置換SC1-6アルキル、無置換もしくは置換C6-10アリール、無置換もしくは置換ヘテロシクリルまたは無置換もしくは置換ヘテロアリールであり;
Raは無置換もしくは置換C1-3アルキル、無置換もしくは置換OC1-3アルキル、無置換もしくは置換C6-10ArC1-6アルキレンまたは無置換もしくは置換フェニルである)を開示している。
【0019】
しかし、前述の出願において提供される記載は本発明の構造を有する化合物のいずれも開示または示唆してはいない。
【0020】
本発明の化合物は、本明細書に記載の構造的特徴を選択した結果、物理化学的(安定性など)および生物学的(HSD1阻害活性、特異性、バイオアベイラビリティ、代謝など)特性を改善する。
【0021】
【特許文献1】国際公開公報第03/104207号
【特許文献2】国際公開公報第03/104208号
【非特許文献1】Quinkler M, Oelkers W & Diederich S (2001) European Journal of Endocrinology Vol. 144, Pages 87-97
【非特許文献2】Seckl JR & Walker BR (2001) Endocrinology Vol. 142, Pages 1371-1376
【発明の開示】
【0022】
発明の概要
本発明に従い、下記の式で表されるピラゾール化合物は優れたHSD1阻害活性を有し、HSD1阻害剤または糖尿病もしくは肥満の治療薬として有用であることが明らかにされている。
【0023】
本発明は下記を提供する:
【0024】
一つの局面において、本発明は下記の式で表されるピラゾール化合物:

(式中
R1は水素原子、-CO-O-アルキル、-COOH、アルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基であり、ここでアルキル基、アルコキシ基およびシクロアルキル基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、-N(R10)-CO-R11、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、ここでR10およびR11はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、かつアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここでhは0〜3であり、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルであり、かつR14は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基であるか、またはR2およびR3ならびに/もしくはR4およびR5はそれらが結合している炭素原子との組み合わせで、下記で表される環を形成し、

(式中、Y1環はシクロアルカンまたはヘテロシクロアルカン基であり、波線は分子の残りの部分への結合点を示し、ここでシクロアルカン基およびヘテロシクロアルカン基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく(h、R12、R13およびR14は前述の定義のとおりである)、
ここで、アルキル基、アルコキシ基およびシクロアルキル基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、アリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい(R10、R11、h、R12、R13およびR14は前述の定義のとおりである));
下付き文字nは0から3の整数であり;
Ar1はアリール基またはヘテロアリール基であり;
R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)j-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-N02、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基またはヘテロアリール基であり、ここでjは0〜3であり、かつアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく(R12、R13、R14およびhは前述の定義のとおりである);
下付き文字mは0から3の整数であり;
R8およびR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、-OH、-NO2、-CN、アルキル基、アルコキシ基、-CO-R17、-SO2-R17、-CO-N(R18)(R19)、-N(R20)(R21)であるか、または組み合わせで-O-アルキレン-O-を形成し、ここでアルキル基およびアルコキシ基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、-N(R10)-CO-R11、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく(R10、R11、h、R12、R13およびR15は前述の定義のとおりである);
R17は-OH、アルコキシ基、アルキル基、-NH2、-NH-アルキルまたは-N(-アルキル)2であり、ここでアルコキシ基およびアルキル基は-OH、-SO2-R22および-(CH2)t-CO-R23からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、ここでtは0〜3であり、R22はアルキル基または-NH2であり、かつR23はアルキル基、-NH-アルキル、-N(-アルキル)2、または-NH2であり、ここでアルキル基は-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、ここでuは0〜3であり、かつR24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルであり、
R18およびR19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または(CH2)p-R26であり、ここでpは0〜3であり、かつR26は-OH、ハロアルキル基、アルコキシ基、-CO-NH2または-N(R24)(R25)であり、ここでR24およびR25は前述の定義のとおりであり;
R20およびR21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基-CO-R23またはそれぞれが結合されている窒素原子との組み合わせで下記を形成し、

ここでアルキル基は-OH、-SO2-R22および-(CH2)t-CO-R23(ここでR22およびR23は前述の定義のとおりである)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、X1は-CO-、-CH2-または-CH2-CH2-であり、X2は-O-、-(CH2)q-もしくは-N(R29)-または下記で表されるスピロ環であり、

ここでqは0〜2であり、R29は水素原子、-CO-R30、-SO2-R30または-(CH2)r-Ar3であり、ここでR30はアルキル基、アルコキシ基、-NH-アルキルまたは-N(-アルキル)2であり、rは0〜3であり、かつAr3はアリール基またはヘテロアリール基であり、ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく(h、R12、R13およびR14は前述の定義のとおりである)、かつスピロ環Y2はスピロ-シクロアルキルまたはスピロ-ヘテロシクロアルキル環であり、かつR27およびR28はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基またはヘテロアリール基であり(h、R12、R13およびR14は前述の定義のとおりである);
Ar2はアリール基、ヘテロアリール基または下記の式を有する環であり、

(式中、V1はCHまたはNであり、X3は-(CH2)v-であり、ここでvは0〜2であり、かつW1は-C(R31)(R32)-、-CO-または-N(R33)-であり、ここでR31およびR32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、-(CH2)w-OH、-CO-R34、-L1-Ar4または-N(R35)(R36)であり、ここでwは0〜3であり、R34は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R37)(R38)であり、ここでR37およびR38はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、-(CH2)x-OHまたはアルコキシ基であり、ここでxは0〜3であり、L1は-(CH2)y-、-O-または-CO-であり、ここでyは0〜3であり、Ar4はアリール基またはヘテロアリール基であり、ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく(h、R12、R13およびR14は前述の定義のとおりである)、かつR35およびR36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、-CO-アルキル、-CO-O-アルキルまたはL1-Ar4であり(L1およびAr4は前述の定義のとおりである)、かつR33は水素原子、-CO-R28、-SO2-R28または-(CH2)k-Ar3であり、ここでkは0〜3である(R28およびAr3は前述の定義のとおりである));かつ

で表されるピラゾール環(Aと表示)は

から選択される)、
またはそのプロドラッグもしくはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0025】
前述の本発明の化合物において、別の変数を定義するために用いる任意の変数は、特に記載がない限り、前述の最も完全な意味を有することになる。加えて、下付き文字が範囲を示す場合(例えば、xおよびyが0から3である)、下限(0)は結合の存在を示すことになる。
【0026】
いくつかの態様において、ピラゾール化合物は下付き文字mが0である前述の式、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有する。
【0027】
他の態様において、ピラゾール化合物は下付き文字mが0であり、R2およびR3がそれらが結合されている炭素原子との組み合わせで下記

(式中、Y1環はC3-8シクロアルカン基である)を形成する前述の式を有し、化合物はそのプロドラッグもしくはその薬学的に許容される塩をさらに含む。この態様群において、好ましくはAr1はフェニル基である。さらに好ましいのは、R6およびR7がそれぞれ独立にハロゲン原子または水素原子である態様である。
【0028】
もう一つの局面において、本発明は、前述のピラゾール化合物の一つもしくは複数、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0029】
さらにもう一つの局面において、本発明は、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含むHSD1(11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)阻害剤を提供する。
【0030】
関連する局面において、本発明は、糖尿病の治療または予防薬であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む薬物を提供する。
【0031】
もう一つの局面において、本発明は、肥満の治療または予防薬であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む薬物を提供する。
【0032】
さらにもう一つの局面において、本発明は、代謝症候群の治療または予防薬であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む薬物を提供する。
【0033】
さらにもう一つの局面において、本発明は、糖尿病の治療または予防法であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を提供する。
【0034】
もう一つの局面において、本発明は、肥満の治療または予防法であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を提供する。
【0035】
さらにもう一つの局面において、本発明は、代謝症候群の治療または予防法であって、前述のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を提供する。
【0036】
前述の局面に関連するさらにもう一つの局面において、治療法が糖尿病治療のために前述のピラゾール化合物を異なる治療薬と組み合わせて使用することを含む方法が提供される。好ましくは、糖尿病のための異なる治療薬は、インスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。他の好ましい態様において、糖尿病のための異なる治療薬はインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。
【0037】
前述の局面に関連するもう一つの局面において、治療法が肥満のための前述のピラゾール化合物の使用を含み、この化合物は糖尿病治療のための異なる治療薬と組み合わせて使用される方法が提供される。好ましくは、糖尿病のための異なる治療薬は、インスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。他の好ましい態様において、糖尿病のための異なる治療薬はインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。
【0038】
前述の局面に関連するさらにもう一つの局面において、治療法が代謝症候群のための前述のピラゾール化合物の使用を含み、この化合物は糖尿病治療のための異なる治療薬と組み合わせて使用される方法が提供される。好ましくは、糖尿病のための異なる治療薬は、インスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。他の好ましい態様において、糖尿病のための異なる治療薬はインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である。
【0039】
前述の局面に関連するさらにもう一つの局面において、治療法が糖尿病のための前述のピラゾール化合物の使用を含み、この化合物は肥満治療のための異なる治療薬と組み合わせて使用される方法が提供される。好ましくは、肥満のための異なる治療薬はマジンドールである。
【0040】
前述の局面に関連するもう一つの局面において、治療法が肥満のための前述のピラゾール化合物の使用を含み、この化合物は肥満治療のための異なる治療薬と組み合わせて使用される方法が提供される。好ましくは、肥満のための異なる治療薬はマジンドールである。
【0041】
前述の局面に関連するさらにもう一つの局面において、治療法が代謝症候群のための前述のピラゾール化合物の使用を含み、この化合物は肥満治療のための異なる治療薬と組み合わせて使用される方法が提供される。好ましくは、肥満のための異なる治療薬はマジンドールである。
【0042】
発明の詳細な説明
本発明の化合物を上で説明してきた。より具体的には、本明細書において用いられるそれぞれの置換基および部分を以下に定義する。
【0043】
「アルキル基」とは、直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。その例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基などが含まれる。これは好ましくは1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基である。
【0044】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R27、R28、R30、R31、R32、R34、R35、R36、R37、およびR38のために、好ましいのはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチルであり、特に好ましいのはメチルおよびイソプロピルである。
【0045】
「シクロアルキル基」とは、飽和環状アルキル基を意味する。その例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが含まれる。これは好ましくは3から8個、より好ましくは3から6個の炭素原子を有するシクロアルキル基である。
【0046】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R27、R28、Y1およびY2のために、好ましいのはシクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルであり、特に好ましいのはシクロプロピルである。Y1およびY2の場合、環は分子の残りにスピロ環の様式で結合されている。
【0047】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1から3個のヘテロ原子を含む飽和5から7員複素環基を意味する。その例には、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダジリジニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基などが含まれる。
【0048】
Y1およびY2のために、好ましいのはピペリジニルであり、これはY2環の場合には分子の残りにスピロ環の様式で結合されている。
【0049】
「アルケニル基」とは、直鎖または分枝鎖アルケニル基を意味する。その例には、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基などが含まれる。これは好ましくは2から6個、より好ましくは2から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルケニル基である。
【0050】
R6、R7、R27およびR28のために、好ましいのはビニルである。
【0051】
「アリール基」とは、芳香族炭化水素基を意味する。その例には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが含まれる。これは好ましくはフェニル基またはナフチル基である。
【0052】
R6、R7、R27、R28、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4のために、好ましいのはフェニルおよびナフチルであり、特に好ましいのはフェニルである。
【0053】
「ヘテロアリール基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1から3個のヘテロ原子を含む単環式または縮合5から14員芳香族複素環基を意味する。その例には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾキサゾリル基、インドリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、ナフチリジニル基などが含まれる。これは好ましくは窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1から3個のヘテロ原子を含む単環式または縮合5から10員芳香族複素環基で、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基などが含まれる。
【0054】
R6、R7、Ar1のために、好ましいのはチエニル、ピロリルおよびピリジルである。
【0055】
R27、R28、Ar2のために、好ましいのはチエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびピリジルであり、特に好ましいのはチエニルおよびピリジルである。
【0056】
Ar3およびAr4のために好ましいのはピリジルである。
【0057】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。これは好ましくはフッ素原子または塩素原子である。
【0058】
R6およびR7のために、好ましいのはフッ素原子または塩素原子である。この場合、Ar1は特に好ましくはフェニルであり、フェニルの4位だけがフッ素原子または塩素原子で置換されている。
【0059】
R8およびR9のために、好ましいのは塩素原子である。この場合、Ar2は特に好ましくはフェニルであり、フェニルの少なくとも2位が塩素原子で置換されている。
【0060】
R27およびR28のために、好ましいのはフッ素原子または塩素原子である。
【0061】
「ハロアルキル基」とは、前述の定義の「アルキル基」が前述の定義の「ハロゲン原子」で置換されているハロアルキル基を意味する。その例には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、1,2-ジクロロエチル基、2,2-ジクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基などが含まれる。これは好ましくは1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖ハロアルキル基であり、特に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0062】
R6、R7、R26、R27、R28、R31およびR32のために、好ましいのはフルオロメチル基、ジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基である。
【0063】
「アルコキシ基」とは、直鎖または分枝鎖アルコキシ基である。その例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが含まれる。これは好ましくは1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基である。
【0064】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R14、R17、R26、R27、R28、R30、R31、R32、R34、R37およびR38のために、好ましいのはメトキシ、エトキシおよびイソプロポキシである。
【0065】
「-CO-アルキル」とは、前述の定義の「アルキル基」をアルキル部分として有するアルキルカルボニル基を意味する。その例には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基などが含まれる。これは好ましくはアルキル部分が1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であるアルキルカルボニル基である。
【0066】
R12、R13、R24、R25、R35およびR36のために、特に好ましいのはアセチル、プロピオニル、ブチリルおよびイソブチリルである。
【0067】
「-CO-O-アルキル」とは、前述の定義の「アルキル基」をアルキル部分として有するアルコキシカルボニル基を意味する。その例には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、イソペントキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、tert-ペントキシカルボニル基、1-エチルプロポキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが含まれる。これは好ましくは「アルキル部分」が1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であるアルコキシカルボニル基である。
【0068】
R1、R35およびR36のために、特に好ましいのはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert-ブトキシカルボニルである。
【0069】
「-NH-アルキル」とは、前述の定義の「アルキル基」をアルキル部分として有するアルキルアミノ基を意味する。その例には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基などが含まれる。これは好ましくはアルキル部分が1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であるアルキルアミノ基である。
【0070】
R17、R23およびR30のために、特に好ましいのはメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノおよびイソプロピルアミノである。
【0071】
「-N(-アルキル)2」とは、前述の定義の「アルキル基」をアルキル部分として有するジアルキルアミノ基を意味する。その例にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ(sec-ブチル)アミノ基、ジ(tert-ブチル)アミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジ(tert-ペンチル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-プロピルアミノ基、N-エチル-N-プロピルアミノ基などが含まれる。これは好ましくはアルキル部分が1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であるジアルキルアミノ基である。
【0072】
R17、R23およびR30のために、特に好ましいのはジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびN-エチル-N-メチルアミノである。
【0073】
「アルキル基」および「アルコキシ基」は、ハロゲン原子、-CF3、-OH、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、-N(R11)(R12)(R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R13(R13は-OH、アルコキシ基、アルキル基 または-N(R14)(R15)であり、ここでR14およびR15はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよい。ここで、置換基「アリール基」および「ヘテロアリール基」は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)n-OH(n=0〜3)、-N(R11)(R12)(R11およびR12は独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R13(R13は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R14)(R15)であり、ここでR14およびR15はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。
【0074】
R17、R20、R21のための「アルキル基」およびR17のための「アルコキシ基」は、-OH、-SO2-R22(R22はアルキル基または-NH2であり、かつR23はアルキル基、-NH-アルキル、-N(-アルキル)2、または-NH2であり、ここでアルキル基は-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい)(uは0〜3であり、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)および-(CH2)t-CO-R23(tは0〜3である)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい。
【0075】
R22およびR23のための「アルキル基」は、-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25))(uは0〜3であり、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)および-(CH2)t-CO-R23(tは0〜3である)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい。
【0076】
R6、R7、R26、R27、R28、R31およびR32のための「ハロアルキル基」、R12、R13、R24、R25、R35およびR36のための「アルキルカルボニル基」、R1、R35およびR36のための「アルキルオキシカルボニル基」、R30のための「アルキルアミノ基」ならびにR30のための「ジアルキルアミノ基」の「アルキル」部分は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)(R10およびR10はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよい。ここで、置換基「アリール基」および「ヘテロアリール基」は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH(hは0〜3である)、-N(R12)(R13)(R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14(R14は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。
【0077】
R17のための「アルキルアミノ基」およびR17のための「ジアルキルアミノ基」の「アルキル」部分は、-OH、-SO2-R22(R22はアルキル基または-NH2であり、かつR23はアルキル基、-NH-アルキル、-N(-アルキル)2、または-NH2であり、ここでアルキル基は-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい)(uは0〜3であり、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)および-(CH2)t-CO-R23(tは0〜3である)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい。
【0078】
R23のための「アルキルアミノ基」およびR23のための「ジアルキルアミノ基」の「アルキル」部分は、-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25))(uは0〜3であり、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)および-(CH2)t-CO-R23(tは0〜3である)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよい。
【0079】
「アリール基」および「ヘテロアリール基」はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH(hは0〜3である)、-N(R12)(R13)(R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14(R14は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。
【0080】
R6、R7、R27、R28、Y1およびY2のための「シクロアルキル基」ならびにY1およびY2のための「ヘテロシクロアルキル基」は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH(hは0〜3である)、-N(R12)(R13)(R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14(R14は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。
【0081】
R1、R2、R3、R4およびR5のための「シクロアルキル基」は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)(R10およびR11はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよい。ここで、置換基「アリール基」および「ヘテロアリール基」は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH(hは0〜3である)、-N(R12)(R13)(R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルである)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14(R14は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。
【0082】
前述の置換基「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルキル基」、「アルケニル基」、「アリール基」、「ヘテロアリール基」、「ハロゲン原子」、「ハロアルキル基」、「アルコキシ基」、「ハロアルコキシ基」は前述の定義のとおりである。
【0083】
R8およびR9は組み合わせで-O-アルキレン-O-を形成してもよい。ここで、「アルキレン」とは二価の炭化水素を意味する。その例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどが含まれる。これは好ましくは1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキレン、特に好ましくはメチレンである。
【0084】
前述の式において、mは好ましくは0であり;R2およびR3は好ましくは組み合わせでC3-8シクロアルカン基であるY1環を形成し;Ar1は好ましくはフェニル基であり;R6およびR7は好ましくは独立にハロゲン原子または水素原子である。
【0085】
「薬学的に許容される塩」は、前述の式で表されるピラゾール化合物と非毒性の塩を形成するかぎり、いかなる塩であってもよい。例えば、そのような塩は塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などの無機酸;シュウ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メチルスルホン酸、ベンジルスルホン酸などの有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウムなどの無機塩基;メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、グアニジン、コリン、シンコニン、N-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基;またはリシン、ヒスチジン、アルギニン、アラニンなどのアミノ酸との反応によって得ることができる。本発明において、各化合物の含水物、水和物および溶媒和物もその中に含まれる。
【0086】
加えて、前述の式で表されるピラゾール化合物は様々な同位体も含む。例えば、

は互変異性体として存在し、不斉炭素原子がある場合、それに基づく立体異性体として鏡像異性体およびジアステレオマーが存在する。いくつかの場合には、位置異性体も存在することがある。したがって、本発明はこれらの異性体およびその混合物すべてを含む。
【0087】
本発明は、前述の式で表されるピラゾール化合物のプロドラッグおよび代謝物も含む。「プロドラッグ」は、本発明の化合物の誘導体であって、化学的または代謝的に分解可能な基を有し、生物に投与された後、その元の化合物の形に復元されてその固有の効力を示し、かつ共有結合を持たない複合体および塩を含む。例えば、医用薬剤の分野でプロドラッグとして公知のエステル誘導体を用いることができる。
【0088】
本発明の化合物を製剤として用いる場合、一般には薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、膨張剤、崩壊剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、着香料、着色料、甘味料、増粘剤、矯正剤、溶解補助剤や、水、植物油、エタノールおよびベンジルアルコールなどのアルコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセロール、ゼラチン、乳糖、デンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、ワセリンなどのそれ自体は公知の他の添加剤と混合し、通常の方法によって全身または局所、経口または非経口投与用の錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、坐剤、注射剤、点眼剤、液剤、カプセル剤、トローチ、エアロゾル、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などの剤形で製造する。
【0089】
本発明の化合物の用量は、年齢、体重、症状、治療する疾患、投与法などに応じて変動するが、一般には成人に対して1回につき1mgから1000mgを1日に1回から数回投与する。
【0090】
本発明の化合物は哺乳動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に、HSD1阻害剤、糖尿病の予防もしくは治療薬、糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害、アテローム性動脈硬化症に基づく心筋梗塞および脳梗塞など)の予防もしくは治療薬、高脂血症の予防もしくは治療薬、肥満や神経変性疾患などの予防もしくは治療薬、またはHSD1によって仲介される疾患の予防もしくは治療薬として投与することができる。
【0091】
本発明の化合物は哺乳動物に、糖尿病の予防または治療を目的として、他の糖尿病または肥満治療薬と同時に投与することができる。本発明において、「糖尿病治療薬」は糖尿病合併症の治療薬を含む。さらに、本発明の化合物は、肥満の予防または治療のために、他の糖尿病または肥満治療薬との組み合わせで哺乳動物に投与することもできる。
【0092】
組み合わせ投与の場合、本発明の化合物を他の糖尿病治療薬もしくは他の肥満治療薬(以下、組み合わせ医用薬剤と呼ぶ)と同時に投与してもよく、または間隔をおいて投与してもよい。組み合わせ投与の場合、本発明の化合物および組み合わせ医用薬剤を含む薬学的組成物を投与することもできる。または、本発明の化合物を含む薬学的組成物と組み合わせ医用薬剤を含む薬学的組成物とを別々に投与してもよい。それぞれの薬学的組成物の投与経路は同じでも異なっていてもよい。
【0093】
組み合わせ投与の場合、本発明の化合物は1回につき1mgから1000mgの用量で1日に1回から数回投与してもよい。加えて、化合物をそれよりも少ない用量で投与してもよい。組み合わせ医用薬剤は糖尿病もしくは肥満の予防もしくは治療のために一般に用いられる用量、またはそれよりも少ない用量で投与することができる。
【0094】
組み合わせ投与のために用いる他の糖尿病治療薬として、インスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤、インスリン増感剤などを挙げることができる。例えば、インスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボース、塩酸ピオグリタゾンなどを、本発明の化合物との組み合わせ投与用に用いることができる。
【0095】
組み合わせ投与のために用いる他の肥満治療薬として、例えばマジンドールを挙げることができる。
【0096】
本発明のピラゾール化合物の製造法の一例を以下に記載するが、これは本発明の化合物の製造法を限定するものではない。製造法において記載がなくても、必要に応じて保護基を官能基に導入した後、次の段階で脱保護すること、それぞれの製造法および段階の順序を入れ替えることなどによって、効率的製造を行うことができる。反応後の処理は、単離・精製、結晶化、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィ、調製用HPLCなどの通常の方法を、必要に応じて選択または組み合わせることにより、典型法によって適用することができる。
【0097】
製造法1
本製造法においてピラゾール化合物を製造し、この方法は下記の段階のいずれかを含む。

(式中、各記号は前述の定義のとおりである)。
【0098】
公知の方法で合成したジケトン(1)およびヒドラジン水和物(2)を溶媒中で反応させてピラゾール(3)を得る。溶媒として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、酢酸、またはその混合溶媒を挙げることができる。反応温度は好ましくは20℃〜250℃である。
【0099】
実施例
本発明の式で表されるピラゾール化合物およびその製造法を、以下に実施例を参照することにより詳細に説明するが、これらの実施例は限定的と解釈されるべきではない。
【0100】
実施例1-1:3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-5-((1-フェニルシクロプロパン)-1-イル)-ピラゾールの製造
1-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メチル-3-(1-フェニルシクロプロパン)-プロパン-1,3-ジオン(347mg)を酢酸(4mL)およびエタノール(2mL)中に懸濁し、ヒドラジン水和物(100mg)を加え、混合物を80℃で3時間加熱した。反応溶液を濃縮し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、乾燥して、標題化合物(318mg)を得た。

【0101】
実施例1-2から1-6:
実施例1-1と同じ様式で、必要に応じて他の通常の方法を用い、ピラゾール化合物を製造した。各実施例の化合物の構造式および特性値を以下の表に示す。




【0102】
実験例:インビトロHSD1(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)活性阻害作用
HSD1阻害活性を、酵素供給源としてバキュロウイルス系を用いて発現させたヒトHSD1(以下、組換えHSD1)を用い、コルチゾンからコルチゾルへの変換における抑制作用をSPA(シンチレーション近接アッセイ)系で定量して調べた。反応のために、試薬を96穴プレート(96 well Opti-plates(商標)-96 (Packard))に下記の最終濃度まで加え、100μl量を室温で90分間反応させた。用いた反応溶液は0.1μg/mL組換えHSD1、500μM NADPH、16nM 3Hコルチゾン(Amersham Biosciences、1.78Tbq/mol)を0.1%BSA(Sigma)含有PBSに溶解したもので、試験薬は化合物溶液(DMSO溶液)2μlであった。90分後、抗コルチゾルマウスモノクローナル抗体(East Coast Biologics)0.08μg、SPA PVTマウス抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)365μg、および175μMカルベノキソロン(Sigma)を含むPBS(40μl、0.1%BSA(Sigma)含有)を反応溶液に加えて反応を停止した。反応完了後、プレートを室温で終夜インキュベートし、放射能をTopcount(Packard)で測定した。対照として、試験薬の代わりに2μlのDMSOを含むウェルの値(0%阻害)を用い、陽性対照として、試験薬の代わりにカルベノキソロンを最終濃度50μMで含むウェルの値(100%阻害)を用いた。試験薬の阻害(%)を((対照の値-試験薬の値)/(対照の値-陽性対照の値))×100(%)で算出した。IC50値を、コンピューターの曲線当てはめソフトを用いて解析した。得られた結果を以下の表に示す。

【0103】
上の表中、IC50のカラムの「+」は10nM≦IC50≦1,000nMを意味し、IC50のカラムの「++」はIC50<10nMを意味する。
【0104】
実施例2-1から2-45:
実施例1-1と同じ様式で、必要に応じて他の通常の方法を用い、以下の表に示すピラゾール化合物も製造することができる。




【0105】
前述のとおり、本発明のピラゾール化合物は優れたHSD1阻害活性を有し、HSD1阻害剤、糖尿病治療薬または肥満治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
該当しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式で表されるピラゾール化合物:

(式中
R1は水素原子、-CO-O-アルキル、-COOH、アルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基であり、
ここでアルキル基、アルコキシ基およびシクロアルキル基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、-N(R10)-CO-R11、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、
ここでR10およびR11はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、かつアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで下付き文字hは0〜3の整数であり、R12およびR13はそれぞれの場合に独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルであり、かつR14はそれぞれ独立に-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R15)(R16)であり、
ここでR15およびR16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基であるか、またはR2およびR3ならびにR4およびR5はそれらが結合している炭素原子との組み合わせで、下記で表される環を形成してもよく

(式中、Y1環はシクロアルカンまたはヘテロシクロアルカンであり、
ここでシクロアルカン基およびヘテロシクロアルカン基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、アルキル基、アルコキシ基およびシクロアルキル基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、アリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい);
下付き文字nは0から3の整数であり;
Ar1はアリール基またはヘテロアリール基であり;
R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)j-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-N02、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基またはヘテロアリール基であり
ここでjは0〜3であり、かつアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく;
下付き文字mは0から3の整数であり;
R8およびR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、-OH、-NO2、-CN、アルキル基、アルコキシ基、-CO-R17、-SO2-R17、-CO-N(R18)(R19)、-N(R20)(R21)であるか、または組み合わせで-O-アルキレン-O-を形成し、
ここでアルキル基およびアルコキシ基はハロゲン原子、ハロアルキル基、-OH、-NH2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-COOH、-CO-O-アルキル、-CO-N(R10)(R11)、-N(R10)-CO-R11、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から5個の置換基で置換されていてもよく、
ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく;
R17は-OH、アルコキシ基、アルキル基、-NH2、-NH-アルキルまたは-N(-アルキル)2であり、
ここでアルコキシ基およびアルキル基は-OH、-SO2-R22および-(CH2)t-CO-R23からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、
ここでtは0〜3であり、R22はアルキル基または-NH2であり、かつR23はアルキル基、-NH-アルキル、-N(-アルキル)2、または-NH2であり、
ここでアルキル基は-OH、アルコキシ基または-(CH2)u-N(R24)(R25)からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、
ここでuは0〜3であり、かつR24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または-CO-アルキルであり
R18およびR19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または(CH2)p-R26であり、
ここでpは0〜3であり、かつR26は-OH、ハロアルキル基、アルコキシ基、-CO-NH2または-N(R24)(R25)であり、
R20およびR21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基-CO-R23またはそれぞれが結合されている窒素原子との組み合わせで下記を形成し

ここでアルキル基は-OH、-SO2-R22および-(CH2)t-CO-R23からそれぞれ独立に選択される置換基で置換されていてもよく、X1は-CO-、-CH2-または-CH2-CH2-であり、X2は-O-、-(CH2)q-、-N(R29)-または下記で表されるスピロ環であり

ここでqは0〜2であり、R29は水素原子、-CO-R30、-SO2-R30または-(CH2)r-Ar3であり、
ここでR30はアルキル基、アルコキシ基、-NH-アルキルまたは-N(-アルキル)2であり、rは0〜3であり、かつAr3はアリール基またはヘテロアリール基であり、
ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、かつ
Y2環はスピロシクロアルキルまたはスピロヘテロシクロアルキル環であり、かつ
R27およびR28はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基またはヘテロアリール基であり;
Ar2はアリール基、ヘテロアリール基または下記の式を有する環であり

(式中、V1はCHまたはNであり、X3は-(CH2)v-であり、
ここでvは0〜2であり、かつ
W1は-C(R31)(R32)-、-CO-または-N(R33)-であり、
ここでR31およびR32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、-(CH2)w-OH、-CO-R34、-L1-Ar4または-N(R35)(R36)であり、
ここでwは0〜3であり、R34は-OH、アルコキシ基、アルキル基または-N(R37)(R38)であり、
ここでR37およびR38はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、-(CH2)x-OHまたはアルコキシ基であり、
ここでxは0〜3であり、
L1は-(CH2)y-、-O-または-CO-であり、
ここでyは0〜3であり、
Ar4はアリール基またはヘテロアリール基であり、
ここでアリール基およびヘテロアリール基はハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、-(CH2)h-OH、-N(R12)(R13)、-CN、-NO2、アルコキシ基、シクロアルキル基、アルケニル基、-CO-R14、アリール基およびヘテロアリール基からそれぞれ独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、かつ
R35およびR36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、-CO-アルキル、-CO-O-アルキルまたはL1-Ar4であり、かつ
R33は水素原子、-CO-R28、-SO2-R28または-(CH2)k-Ar3であり、
ここでkは0〜3である);
かつAと表示されるピラゾール環は

から選択される)、
そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
mが0である、請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R2およびR3がそれぞれが結合されている炭素原子との組み合わせで下記で表される環

(式中、Y1環はC3-8シクロアルカン基であり、かつ波線は分子の残りの部分への結合点を示す)を形成する、請求項2記載のピラゾール化合物。
【請求項4】
Ar1がフェニル基である、請求項3記載のピラゾール化合物。
【請求項5】
R6およびR7がそれぞれ独立にハロゲン原子または水素原子である、請求項4記載のピラゾール化合物。
【請求項6】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、HSD1(11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)阻害剤。
【請求項8】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、糖尿病の治療薬または予防薬。
【請求項9】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、肥満の治療薬または予防薬。
【請求項10】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、代謝症候群の治療薬または予防薬。
【請求項11】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、糖尿病を治療または予防する方法。
【請求項12】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、肥満を治療または予防する方法。
【請求項13】
請求項1記載のピラゾール化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、代謝症候群を治療または予防する方法。
【請求項14】
異なる糖尿病治療薬を組み合わせて使用する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
異なる糖尿病治療薬がインスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
異なる糖尿病治療薬がインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
異なる糖尿病治療薬を組み合わせて使用する、請求項12記載の方法。
【請求項18】
異なる糖尿病治療薬がインスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
異なる糖尿病治療薬がインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
異なる糖尿病治療薬を組み合わせて使用する、請求項13記載の方法。
【請求項21】
異なる糖尿病治療薬がインスリン製剤、スルホニル尿素、インスリン分泌促進物質、スルホンアミド、ビグアナイド、α-グルコシダーゼ阻害剤、PTP1B阻害剤およびインスリン増感剤からなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
異なる糖尿病治療薬がインスリン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトフォルミン、塩酸ブフォルミン、ボグリボース、アカルボースおよび塩酸ピオグリタゾンからなる群より選択される一つまたは複数の医用薬剤である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
異なる肥満治療薬を組み合わせて使用する、請求項11記載の方法。
【請求項24】
異なる肥満治療薬がマジンドールである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
異なる肥満治療薬を組み合わせて使用する、請求項12記載の方法。
【請求項26】
異なる肥満治療薬がマジンドールである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
異なる肥満治療薬を組み合わせて使用する、請求項13記載の方法。
【請求項28】
異なる肥満治療薬がマジンドールである、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2007−530549(P2007−530549A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505053(P2007−505053)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/009292
【国際公開番号】WO2005/095350
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(506147331)アムゲン インコーポレイティッド (27)
【Fターム(参考)】