説明

ピログルタミン酸化単球走化性タンパク質−1(MCP−1N1pE)に対する抗体

前炎症性サイトカインピログルタミン酸化MCP-1(MCP-1 N1pE)に特異的に結合するモノクローナル抗体が説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、前炎症性サイトカインピログルタミン酸化MCP-1(MCP-1 N1pE)に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連する先行技術)
走化性サイトカイン(ケモカイン)は、白血球を誘引しかつ活性化するタンパク質であり、並びに炎症において基本的な役割を果たすと考えられる。ケモカインは、N-末端システイン残基の出現により分類された4群に分けられる(「C」-;「CC」-;「CXC」-及び「CX3C」-ケモカイン)。「CXC」-ケモカインは、好中球に優先的に作用する。対照的に「CC」-ケモカインは、優先的に単球を炎症部位へ誘引する。単球浸潤は、数多くの病態において重要な事象と考えられる(Gerard, C.及びRollins, B. J.の論文、Nat.Immunol, 2, 108-115 (2001);Bhatia, M.らの論文、Pancreatology, 5, 132-144 (2005);Kitamoto, S.、Egashira, K.及びTakeshita, A.の論文、J Pharmacol Sci., 91, 192-196 (2003))。
【0003】
ケモカインファミリーのひとつとしてのMCPファミリーは、単球の誘引に関して優先性を発揮するが、それらの能力に違いを示す、4つのメンバー(MCP-1から4)からなる (Luini, W.らの論文、Cytokine, 6, 28-31 (1994);Uguccioni, M.らの論文、Eur J Immunol, 25, 64-68 (1995))。
【0004】
MCP-1は、ケモカインβ(C-C)サブファミリーのメンバーである。このファミリーにおいて、そのアミノ末端に最も近い2個のシステインは、互いに隣接している(従ってC-Cタンパク質)。多くの他のC-Cケモカインのように、MCP-1遺伝子は、ヒト第17番染色体上に位置している。MCP-1に結合する細胞表面受容体は、CCR2及びCCR5である。
【0005】
以下に、MCP-1のcDNA配列に加え、アミノ酸配列の両方を示す:
ヒトMCP-1(CCL2) (GeneBank寄託番号:M24545)
【化1】

タンパク質(太字はシグナル配列:アミノ酸23個;成熟MCP-1:アミノ酸76個)
【化2】

【0006】
MCP-1がケモカインβファミリーのメンバーであることと合致して、MCP-1は、ナノモルを下回る濃度で、インビトロにおいて単球を化学誘引しかつ活性化することが示されている。増大されたMCP-1発現が、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息及び遅延型過敏反応のような数多くの炎症疾患及び非炎症疾患の状態を含む、単球の蓄積及び活性化に関与している様々な病態において検出されている。
【0007】
数多くの研究が、特に下記疾患の発症に関するMCP-1の重要な役割を強調している:アテローム性動脈硬化症(Gu, L.らの論文、Mol. Cell, 2, 275-281 (1998);Gosling, J.らの論文、J Clin. Invest, 103, 773-778 (1999));関節リウマチ(Gong, J. H.らの論文、J Exp. Med, 186, 131-137 (1997);Ogata, H.らの論文、J Pathol. 182, 106-114 (1997));膵炎(Bhatia, M.らの論文、Am.J Physiol Gastrointest. Liver Physiol, 288, G1259-G1265 (2005));アルツハイマー病(Yamamoto, M.らの論文、Am. J Pathol. 166, 1475-1485 (2005));肺線維症(Inoshima, I.らの論文、Am. J Physiol Lung Cell Mol. Physiol, 286, L1038-L1044 (2004));腎線維症(Wada, T.らの論文、J Am. Soc. Nephrol. 15, 940-948 (2004))、及び移植片拒絶反応(Saiura, A.らの論文、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 24, 1886-1890 (2004))。更にMCP-1は、下記疾患においても役割を果たし得る:妊娠中毒症(Katabuchi, H.らの論文、Med Electron Microsc. 36, 253-262 (2003))、腫瘍発生のパラクリン因子として(Ohta, M.らの論文、Int. J Oncol. 22, 773-778 (2003);Li, S.らの論文、J Exp. Med, 202, 617-624 (2005))、神経因性疼痛(White, F. A.らの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2005))、及びAIDS(Park, I. W.、Wang, J. F.、及びGroopman, J. E.の論文、Blood, 97, 352-358 (2001);Coll, B.らの論文、Cytokine, 34, 51-55 (2006))。
【0008】
ヒト及び齧歯類MCP-1の成熟型は、グルタミニルシクラーゼ(QC)により翻訳後修飾され、N-末端ピログルタミル(pGlu)残基を有する。
グルタミニルシクラーゼ(QC, EC 2.3.2.5)は、アンモニアの遊離下で、N-末端グルタミニル残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリン、pGlu*)への分子内環化、及び水の遊離下で、N-末端グルタミル残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。
【0009】
このN-末端pGlu修飾は、そのタンパク質にアミノペプチダーゼによるN-末端分解に対する抵抗性をもたらし、このことは、MCP-1の走化能は、そのN-末端により媒介されるので重要である(Van Damme, J.らの論文、Chem Immunol, 72, 42-56 (1999))。人工的伸長又は分解は、機能の喪失につながるが、依然MCP-1はその受容体(CCR2)に結合する(Proost, P.らの論文、J Immunol, 160, 4034-4041 (1998);Zhang, Y. J.らの論文、J Biol.Chem, 269, 15918-15924 (1994);Masure, S.らの論文、J Interferon Cytokine Res. 15, 955-963 (1995);Hemmerich, S.らの論文、Biochemistry, 38, 13013-13025 (1999))。
【0010】
数多くの疾患状態におけるMCP-1の大きな役割のために、効力のある診断道具及び抗-MCP-1戦略が必要とされている。
前述のように、説得力のある証拠が、アルツハイマー病(AD)におけるMCP-1の役割を指摘している(Xia, M. Q.及びHyman, B. T.の論文、J Neurovirol. 5, 32-41 (1999))。老人斑内及びCNSの常在型マクロファージである反応性ミクログリア内のMCP-1の存在が、ADに罹患した患者の脳において認められた(Ishizuka, K.らの論文、Psychiatry Clin. Neurosci. 51, 135-138 (1997))。アミロイドβタンパク質(Aβ)による単球及びミクログリアの刺激は、インビトロにおいてケモカイン分泌を誘導し(Meda, L.らの論文、J Immunol, 157, 1213-1218 (1996);Szczepanik, A. M.らの論文、J Neuroimmunol. 113, 49-62 (2001))、かつマウス海馬へのAβ(1-42)の脳室内注入は、インビボにおいてMCP-1を有意に上昇している。更にAβ沈着物は、ミクログリア細胞を誘引しかつ活性化し、並びにこれらにMCP-1などの炎症メディエーターを産生させ、このことは次に、更なる走化性、活性化及び組織損傷を誘導するフィードバックにつながる。Aβ沈着部位において、活性化されたミクログリアは、Aβペプチドを更に貪食し、これは増幅された活性化につながる(Rogers, J.及びLue, L. F.の論文、Neurochem. Int. 39, 333-340 (2001))。
【0011】
ADに関する3×Tgマウスモデルにおけるケモカイン発現の試験は、神経炎症は斑形成に先行すること、及びMCP-1は11倍アップレギュレーションされることを明らかにした。更にこのMCP-1のアップレギュレーションは、最初の細胞内Aβ沈着物の出現と相関するように見える(Janelsins, M. C.らの論文、J Neuroinflammation, 2, 23 (2005))。ADに関するTg2575マウスモデルと、MCP-1過剰発現しているマウスモデルとの交雑は、Aβ沈着物の周りに増加したミクログリア蓄積を示し、かつこの蓄積は、シングル-トランスジェニックTg2576同腹仔と比べ、びまん性老人斑量の増加を伴っていたことを示した(Yamamoto, M.らの論文、Am. J Pathol. 166, 1475-1485 (2005))。
【0012】
MCP-1レベルは、AD患者及び軽度認知障害(MCI)を示す患者のCSFにおいて増加されている(Galimberti, D.らの論文、Arch. Neurol. 63, 538-543 (2006))。更にMCP-1は、MCI患者及び早期AD患者の血清中での増大されたレベルを示している(Clerici, F.らの論文、Neurobiol. Aging, 27, 1763-1768 (2006))。
【0013】
アテローム性動脈硬化症病巣は、冠動脈血流を制限又は閉塞し、これは虚血性心疾患に関連した死亡の主因であり、結果的に年間500,000〜600,000例が死亡している。閉塞された動脈を開存するための経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)は、1996年には、米国内では550,000名を超える患者において、世界中では945,000名を上回る患者において実施された(Lemaitreらの論文、1996)。この技術の主要な制限は、PTCA後直ちに(急性閉塞)及び長期間にわたり(再狭窄)の両方の、血管のPTCA後閉鎖の問題であり:部分的(subtotal)病変を伴う患者の30%及び慢性的全体病変を伴う患者の50%は、血管形成術後に再狭窄へと進むであろう。加えて再狭窄は、伏在静脈バイパス移植術を受ける患者においては、重大な問題である。急性閉塞の機序には、いくつかの要因が関与しているように見え、かつ結果的に動脈の閉鎖を伴う血管リコイル、及び/又は新たに開存された血管の損傷を受けた長手部分に沿った血小板の沈着、それに続くフィブリン/赤血球血栓の形成から生じ得る。
【0014】
血管形成術後の再狭窄は、より緩徐なプロセスであり、かつ細胞由来の増殖因子の粘着血小板からの放出を伴う決定的ではない(subcritical)血栓症の初期形成に関与し、これは引き続き血管内膜の平滑筋細胞の増殖及び炎症細胞の局所的浸潤を伴い、血管過形成に寄与している。それらの血栓症、細胞増殖、細胞遊走及び炎症の中で、複数のプロセスが、各々再狭窄プロセスに寄与しているように見えることに注目することは重要である。
【0015】
米国において、再狭窄率30〜50%とは、米国における患者の120,000〜200,000名には、再狭窄のリスクがあると言い換えられる。そのような患者の80%のみが再度の血管形成術を選択し(残りの20%は冠動脈バイパス移植術を選択する)、かつこれが残り20%に関する冠動脈バイパス移植術の経費に加えられる場合、再狭窄に関する総経費は、容易に数十億ドルに達する。従って奏効する再狭窄の予防は、重大な治療的恩恵のみではなく、重大な保険医療の節約も生じるであろう。
【0016】
上昇されたMCP-1発現は、前記疾患の原因又は結果であるかどうかは明らかでないが、数多くの動物モデルにおいて中和抗体の適用から、治療的恩恵が生じた。
【0017】
今までのところ、先行技術のモノクローナル抗体は、受容体アンタゴニストとして作用するそれらの能力に関してスクリーニングされた。これらはいずれも、MCP-1の直近のピログルタミン酸を有するアミノ酸(=MCP1 N1pE)を標的としない。この状況において、N-末端領域からのアミノ酸1-8の欠失は、MCP-1活性を完全に破壊することに注目することは重要であり、このことはこのアミノ末端領域は活性に必須であることを示唆している。
【0018】
結果的に、MCP-1 N1pEに対し向けられた抗体は、MCP-1の発現及び機能を調べる場合のみではなく、MCP-1が関与し得る疾患又は障害に関連した治療的及び診断的適用においても、役割を果たし得ることがわかる。
前述の観点から、本発明の根底となるひとつの目的は、MCP-1 N1pEに選択的に結合する抗体を提供することである。
【発明の概要】
【0019】
(発明の要旨)
本発明は、MCP-1 N1pE、すなわちピログルタミン酸化MCP-1に選択的に結合する抗体を提供する。
好ましくは、モノクローナル抗体が提供される。
本発明は、特に、高親和性でMCP-1 N1pEペプチドに結合する点で特徴付けられる、抗体又はそれらの変種に関する。前述の高親和性とは、本発明の状況においては、親和性が、10-6M以上のKD値、好ましくは10-7M以上のKD値、更により好ましくは10-8M〜10-12MのKD値であることを意味する。
【0020】
この種のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞から産生されることが好ましい。この種のハイブリドーマ細胞は、「ブダペスト条約(Budapest Treaty)」に従い、2008年5月6日に、ドイツ微生物・培養細胞収集有限会社(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen) GmbH, (DSMZ)(Inhoffenstrasse 7B, 38124 Braunschweig, 独国)に寄託され、すなわち:
【表1】

【0021】
特に、選択的結合が、MCP-1のピログルタミン酸を有するアミノ末端への結合を意味する、モノクローナル抗体が好ましい。
更に好ましくは、選択的結合とは、抗体が、MCP-1 N1pEのピログルタミン酸を有するアミノ末端の外側のエピトープといかなる交差反応性も示さないことを意味する、モノクローナル抗体である。
【0022】
MCP-1 N1pEのアミノ末端とは、本明細書において、MCP-1 N1pEのアミノ末端の最初の1〜10個のアミノ酸、好ましくはMCP N1pEのアミノ末端の最初の1〜8個のアミノ酸、最も好ましくはMCP N1pEのアミノ末端の最初の1〜4個のアミノ酸と定義される。
本発明は更に、そのような抗体を産生及び放出する能力を有する、前記ハイブリドーマ細胞クローンそれ自体に関する。
【0023】
抗体332-4B8(DSM ACC 2907)、332-4F8(DSM ACC 2908)、348-2C9(DSM ACC 2906)及び348-1D4(DSM ACC 2905)により、本出願の発明者らは最初に、利用可能なモノクローナル抗体に加え、これらの抗体を産生し放出するハイブリドーマ細胞を作製し、これらがMCP-1 N1pEを選択的に認識し、かつこれに結合し、その結果これに影響を及ぼすことが可能であるようにした。これらの抗体は結果的に、医師及び研究者に、適宜、抗体それ自身を使用するか又は抗体に結合されている特定の試薬を使用するかのいずれかでの、一方で細胞培養物及び患者から得られた試料の両方におけるMCP-1 N1pEの検出に関し、並びに他方でMCP-1 N1pEの可能性のある操作に関して、これまでのところ独自である、多用途の手段を提供している。
【0024】
本出願の発明者らは、これに関連して、前記抗体332-4B8、332-4F8、348-2C9及び348-1D4は、アミノ酸pE-P-D、すなわちピログルタミン酸-プロリン-アスパラギン酸で始まるMCP-1 N1pEのポリペプチドへ選択的に結合することを確認した。
【0025】
本発明者らは、MCP-1 N1pEは、哺乳動物の、特にマウス、ラット及びヒトの血液試料(血清、血漿)中でも検出されること、並びにMCP-1 N1pEレベルは、炎症刺激後上昇され、これは選択的グルタミニルシクラーゼ(QC)阻害剤(例えば、1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素-塩酸塩)の適用により逆転され得ることを明らかにすることができる(特にWO 2008/104580に開示されたグルタミニルペプチドシクラーゼ阻害剤を参照されたい)。
【0026】
結果的に、これらの抗体は、診断及び治療目的に極めて適しており、これは多種多様な検査及び治療的作用を実現することを可能にしている。
従って本発明の更なる実施態様は、前記新規抗体のひとつを含有する医薬組成物に関する。好ましくは該新規抗体は、細胞を指向した治療的物質又は診断的物質に結合されている。
【0027】
本発明の抗体は、検出の手段に結合され、従って間接的に関連細胞に結合され、これにより例えばX-線診断/シンチグラフィー法を使用し、直接これらの細胞を検出することが可能になる。対応する様式において、治療的活性物質への結合は、MCP-1 N1pEを有する細胞への直接的かつ選択的作用を発揮することも可能にすることができる。
【0028】
更なる利点は、以下に示された説明から明白となるであろう。
前述の特徴及び以下に更に説明されるべき特徴は、特定された各々の場合における組合せのみではなく、本発明の範囲から逸脱しない限りは、他の組合せで、又はそれら単独でも、使用することができることは理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
(定義)
用語「抗体」は、最も広範な意味で使用され、かつ具体的には、それらが所望の生物活性を示す限りは、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を対象としている。本抗体は、例としてIgM、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4)、IgD、IgA又はIgEであることができる。しかし好ましくは本抗体は、IgM抗体ではない。
【0030】
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、一般には無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFv断片:ダイアボディ;単鎖抗体分子;及び、抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0031】
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体をいい、すなわちその集団を構成している個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然の変異以外は、同一である。モノクローナル抗体は、単独の抗原性部位に対して向けられている高度な特異性がある。更に、典型的には様々な抗原決定基(エピトープ)に対して向けられた様々な抗体を含む「ポリクローナル抗体」調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単独の抗原決定に対して向けられている。それらの特異性に加え、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンが夾雑されないハイブリドーマ培養により合成される点で、それらは有利であり得ることが多い。「モノクローナル」とは、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を示しており、かついずれか特定の方法による抗体産生を必要とするとは解釈されない。例えば本発明において使用されるモノクローナル抗体は、Khlerらの論文(Nature, 256:495 (1975))に最初に説明されたハイブリドーマ法により作製されることができるか、又は一般に周知の組換えDNA法により作製されることができる。「モノクローナル抗体」は、例えばClacksonらの論文(Nature, 352:624-628 (1991))及びMarksらの論文(J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991))に説明された技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されることもできる。
【0032】
モノクローナル抗体は、本明細書において具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、この鎖(複数)の残りは、別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である、キメラ抗体(免疫グロブリン)、更には所望の生物活性を示す限りはそのような抗体の断片を含む。
【0033】
非-ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非-ヒト免疫グロブリンに由来した最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、それらの免疫グロブリン鎖又は断片(Fv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合性部分配列)である。大部分に関して、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非-ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非-ヒト残基により置き換えられている。更にヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDR又はフレームワーク配列にも認められない残基を含むことができる。
【0034】
これらの修飾は、抗体性能を更に純化しかつ最適化するために行われる。概してヒト化抗体は、少なくとも1個の、及び典型的には2個の可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで全て又は実質的に全てのCDR領域は、非-ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、かつ全て又は実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリン配列のそれであろう。ヒト化抗体は、最適に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むであろう。更なる詳細に関しては、Jonesらの論文、Nature, 321:522-525 (1986)、Reichmannらの論文、Nature, 332:323-329 (1988):及び、Prestaの論文、Curr. Op. Struct. Biel., 2:593-596 (1992)を参照されたい。ヒト化抗体は、抗体の抗原-結合領域が、関心対象の抗原によるマカクザルの免疫化により産生された抗体に由来している、Primatized(商標)抗体を含む。
【0035】
「単鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体の可変重鎖(VH)ドメイン及び可変軽鎖(VL)ドメインを含み、ここでこれらのドメインは、単独のポリペプチド鎖に存在する。一般にFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを更に含み、このことはsFvが、抗原結合の望ましい構造を形成することを可能にする。sFvの総説については、Pluckthunの文献、「モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)」、113巻、Rosenburg及びMoore編集、Springer-Verlag社、ニューヨーク、269-315頁(1994)を参照されたい。
【0036】
用語「ダイアボディ」は、その断片が、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(VD)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原-結合部位を伴う小型の抗体断片(VHVD)をいう。同じ鎖上の2つのドメインを対合させるには短すぎるリンカーを使用することにより、これらのドメインは、別の鎖の相補ドメインと対合するように強制され、かつ2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、Hollingerらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)においてより十分に説明されている。
【0037】
「単離された」抗体は、同定されかつその天然の環境の成分から分離及び/又は回収されたものである。その天然の環境の夾雑成分は、この抗体の診断用又は治療用の用途と干渉するであろう物質であり、かつこれは酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性若しくは非-タンパク質性溶質を含むことができる。好ましい実施態様において、本抗体は、(1)Lowry法により決定された抗体の95重量%を超えるまで、及び最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップシーケネーター(spinning cup sequenator)の使用により、N-末端又は中間部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、若しくは(3)クマーシーブルー又は好ましくは銀染色を用い、還元又は非還元条件下で、SDS-PAGEにより均質であるまで:精製されるであろう。単離された抗体とは、少なくとも1つのその抗体の天然環境の成分も存在しないことを理由に、組換え細胞内のインサイチュ抗体を含む。しかし通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程により調製されるであろう。
【0038】
本明細書において使用される表現「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養液」は、互換的に使用され、かつそのような呼称は全て後代を含む。従って語句「形質転換体」及び「形質転換された細胞」は、継代(transfer)された数とは関係なくそれらから誘導された初代の対象細胞及び培養物を含む。全ての後代は、意図的な又は不用意な変異のために、DNA含量が正確に同一でないことがあり得ることも理解される。当初の形質転換された細胞に関してスクリーニングされたものと同じ機能又は生物活性を有する変異体後代が含まれる。明確な指定が意図される場合、これは文脈から明らかであろう。
【0039】
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、互換性があり、かつペプチド結合により連結されたアミノ酸で構成された生体分子を意味すると定義される。
【0040】
ふたつの配列の間の「相同性」は、配列一致度により決定される。比較されるべきふたつの配列が互いに長さが異なる場合、配列一致度はより長い配列のヌクレオチド残基と同一である、より短い配列のヌクレオチド残基の割合に関連することが好ましい。配列一致度は、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、ユニックス用バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park, 575 Science Drive Madison, WI 53711)などのコンピュータプログラムを使用し、慣習的に決定されることができる。Bestfitは、ふたつの配列間で最高の配列一致度を有するセグメントを見つけるために、Smith及びWatermanの論文(Advances in Applied Mathematics, 2, 482-489 (1981))のローカルホモロジーアルゴリズムを利用する。特定の配列が本発明の参照配列と例えば95%一致度を有するかどうかを決定するために、Bestfit又は他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、それらのパラメータは好ましくは一致度の割合が、参照配列の全長にわたり計算され、かつ参照配列中のヌクレオチド総数の最大5%のホモロジーギャップが許されるように調節される。Bestfitを使用する場合、いわゆる任意のパラメータはそれらの予め設定された(「デフォルト」)値にとどめられることが好ましい。所与の配列と前述の本発明の配列の間の比較において出現する逸脱は、例えば付加、欠失、置換、挿入又は組換えにより引き起こされ得る。そのような配列比較は、好ましくはプログラム「fasta20u66」(バージョン2.0u66、1998年9月、William R. Pearson及びバージニア大学;同じくW.R. Pearsonの論文、Methods in Enzymology, 183, 63-98 (1990)、添付例、並びにhttp://workbench.sdsc.edu/を参照されたい)によっても実行されることができる。この目的のためには、「デフォルト」のパラメータ設定が使用されてよい。
【0041】
本明細書において使用される「保存的変化」とは、未変性のタンパク質と比べ、変異体ポリペプチドの三次構造に最小の変化を生じるか、又は変異体ポリペプチドの抗原決定基に最小の変化を生じる、各々、実質的に高次構造的に又は抗原性的に中立(neutral)である変更をいう。本発明の抗体及び抗体断片に言及する場合、保存的変化とは、抗体が対象受容体に結合することを不可能にしないアミノ酸置換を意味する。当業者は、どのアミノ酸置換が、高次構造的に又は抗原性的に中立である高い可能性を維持しながら、作製されることができるかを予測することができるであろう。そのような指針は、例えば、Berzofskyの論文、Science, 229:932-940 (1985)、及びBowieらの論文、Science, 247: 1306-1310 (1990)に提供されている。高次構造又は抗原性の中立性を維持する可能性に影響を及ぼすと考えられる要因は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:(a)疎水性アミノ酸の置換は、疎水性残基は恐らくタンパク質の内部に配置されるので、抗原性にあまり影響を及ぼさないであろう;(b)アミノ酸の物理化学的に類似した置換は、置換されたアミノ酸は構造的に未変性のアミノ酸を模倣しているので、高次構造にあまり影響を及ぼさないであろう;並びに、(c)進化上で保存された配列の変更は、そのような保存はそのアミノ酸配列は機能的に重要であることを示唆しているので、恐らく高次構造に有害に作用する。当業者は、非限定的に、ミクロ補体結合法(例えば、Wassermanらの論文、J. Immunol. 87:290-295 (1961);Levineらの論文、Meth. Enzymol. 11:928-936 (1967)を参照されたい)などの周知のアッセイを用い、並びに高次構造-依存型のモノクローナル抗体を使用する結合試験を通じて(例えば、Lewisらの論文、Biochem. 22:948-954 (1983)を参照されたい)、タンパク質高次構造の変更を評価することができるであろう。
【0042】
本明細書において使用される用語「ある(a、an及びthe)」は、「1以上」を意味するように定義され、かつ文脈が不適切でない限りは、複数を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、適用例及び実施例に加え、下記図面の助けを借りて、以下により詳細に説明される:
【図1A】図1A:SPR解析(Biacore 3000)により決定された、モノクローナル抗体332-4B8のヒトMCP-1 N1pE-38への結合の特徴。測定は、ランニング緩衝液としてHBS-EPを使用することにより行った。結合に180秒間、その後解離相180秒間、及び0.1M HClによる再生に5秒間を要した。
【図1B】図1B:SPR解析(Biacore 3000)により決定された、モノクローナル抗体332-4F8のヒトMCP-1 N1pE-38への結合の特徴。測定は、ランニング緩衝液としてHBS-EPを使用することにより行った。結合に180秒間、その後解離相180秒間、及び0.1M HClによる再生に5秒間を要した。
【図1C】図1C:SPR解析(Biacore 3000)により決定された、モノクローナル抗体348-2C9のヒトMCP-1 N1pE-38への結合の特徴。測定は、ランニング緩衝液としてHBS-EPを使用することにより行った。結合に180秒間、その後解離相180秒間、及び0.1M HClによる再生に5秒間を要した。
【図1D】図1D:SPR解析(Biacore 3000)により決定された、モノクローナル抗体348-1D4ヒトMCP-1 N1pE-38への結合の特徴。測定は、ランニング緩衝液としてHBS-EPを使用することにより行った。結合に180秒間、その後解離相180秒間、及び0.1M HClによる再生に5秒間を要した。
【0044】
【図2A】図2A:モノクローナル抗体322-4B8のヒトMCP-1 N1pE-38及びMCP-1 3-38に対するドットブロット解析。
【図2B】図2B:モノクローナル抗体322-4F8のヒトMCP-1 N1pE-38及びMCP-1 3-38に対するドットブロット解析。
【図2C】図2C:モノクローナル抗体348-1D4のヒトMCP-1 N1pE-38及びMCP-1 3-38に対するドットブロット解析。
【図2D】図2D:モノクローナル抗体348-2C9のヒトMCP-1 N1pE-38及びMCP-1 3-38に対するドットブロット解析。
【0045】
【図3】図3:モノクローナル抗体322-4B8、322-4F8、348-1D4及び348-2C9のPepSpot解析。
【図4】図4:モノクローナル抗MCP-1抗体332-4B8、348-2C9及び348-1D4を使用することによる、ELISAにおける組換えヒトMCP-1 N1pEの定量的検出。
【図5】図5:ELISAにおけるモノクローナル抗体322-4B8、348-1D4及び348-2C9による、ヒト血清からのヒトMCP-1 N1pEの検出。
【図6】図6:OSM及びIL1βにより刺激された、NHDF細胞におけるhMCP-1 N1pEの時間依存性の発現。
【図7】図7:QCIの適用後の、LPS誘導されたTHP1細胞の細胞培養液上清中のhMCP-1 N1pEの濃度依存性の減少。
【0046】
【図8】図8:モノクローナル抗MCP-1抗体332-4B8、348-2C9及び348-1D4を使用することによる、ELISAにおける組換えマウスMCP-1 N1pEの定量的検出。
【図9】図9:未処理の及びLPS誘導されたRAW 264.7細胞の細胞培養液上清中の未変性マウスMCP-1 N1pEの定量的検出。
【図10】図10:QCIの適用後の、LPS誘導されたRAW 264.7細胞の細胞培養液上清中のmMCP-1 N1pEの濃度依存性の減少。
【図11】図11:LPS処理後異なる時点でのマウス血清中のmMCP-1 N1pEの定量的検出。
【0047】
【図12】図12:ELISAによるチオグリコール酸処理したマウス由来の腹腔洗浄液中mMCP-1 N1pEの定量的検出の希釈直線性。
【図13】図13:マウスのMCP1 N1pE(A)及び総マウスMCP1(B)から得られたウェスタンブロットシグナルと、マウスのMCP1 N1pEに関する対応するELISAデータとの比較(C)。
【図14】図14:ELISAにおける抗MCP-1 N1pE抗体348-2C9によるラットMCP-1 N1pEの定量的検出。
【図15】図15:Aβ(3-49)、LPS又はNaClの微量注入後の、抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9によるラットの脳切片中のMCP-1 N1pE染色。
【図16】図16:モノクローナル抗体(A)348-1D4及び(B)332-4B8への抗原hMCP-1 N1pE-38の滴定に関連した結合熱のフィッティング曲線。
【0048】
診断適用に関して、本抗体は典型的には、検出可能な部分により標識されるであろう。一般に下記の範疇に群別される数多くの標識が、利用可能である:
(a) 35S、14C、125I、3H、及び131Iなどの、放射性同位元素。本抗体は、例えば、「免疫学最新プロトコール(Current Protocols in Immunology)」、第1及び2巻、Gtigenら編集、Wiley-Interscience社、ニューヨーク、NY. 刊行1991年に説明された技術を用い、放射性同位元素により標識されることができ、かつ放射活性は、シンチレーションカウンティングを用いて測定されることができる。
(b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリン及びテキサスレッドなどの蛍光標識が、利用可能である。これらの蛍光標識は、例えば、「免疫学最新プロトコール」(前掲)に明らかにされた技術を用い、本抗体に複合されることができる。蛍光は、蛍光光度計を用い定量されることができる。
(c)様々な酵素-基質標識が利用可能である。このような酵素は一般に、様々な技術を用い測定されることができる発色基質の化学的変化を触媒する。例えばこの酵素は、基質内の色の変化を触媒することができ、この変化は分光光度計により測定されることができる。あるいはこの酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変更することができる。蛍光の変化を定量する技術は、先に説明されている。化学発光基質は、化学反応により電子的に励起され始め、その後測定され得る光を放出するか(例えばケミルミノメーターを用いて)、又は蛍光アクセプターへエネルギーを供与する。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えばホタルのルシフェラーゼ及び細菌のルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、O-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどを含む。酵素を抗体に複合する技術は、O'Sullivanらの文献、「酵素免疫検定法における使用のための酵素-抗体複合体の調製方法(Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay)」、Methods in Enzym (編集Langone及びH. Van Vunakis)、Academic Press社、ニューヨーク、73: 147-166 (1981)に説明されている。
【0049】
酵素-基質組合せの例は、例えば以下を含む:
(i)基質としての過酸化水素(hydrogen peroxidase)と、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)、ここで過酸化水素は、色素前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;
(ii)発色基質としてのp-ニトロフェニルリン酸と、アルカリホスファターゼ(AP);並びに
(iii)発色基質(例えばp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は発蛍光基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼとの、β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)。
数多くの他の酵素-基質組合せが、当業者には利用可能である。
【0050】
場合によって、前記標識は、本抗体と間接的に複合される。当業者は、これを実現する様々な技術を知っているであろう。例えば本抗体は、ビオチンと複合されることができ、かつ前述の標識の3つの広範な範疇のいずれかは、アビジンと複合されることができ、その逆もまた同様である。ビオチンは、アビジンに選択的に結合し、その結果この標識は、この間接的様式で、本抗体と複合されることができる。あるいは、標識の抗体との間接的複合を実現するために、本抗体は、小型ハプテン(例えばジゴキシン)と複合され、かつ前述の異なる種類の標識のひとつは、抗-ハプテン抗体(例えば抗-ジゴキシン抗体)と複合される。従って、標識の本抗体との間接的複合が実現され得る。
【0051】
本発明の抗体は、標識される必要はなく、かつそれらの存在は、本発明の抗体に結合する標識された抗体を用いて検出されることができる。
本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、並びに免疫沈降アッセイなどの、いずれか公知のアッセイ方法において利用されることができる(Zolaの文献、「モノクローナル抗体:技術マニュアル(Monoclonal Antibodies A Manual of Techniques)」、147-158頁(CRC Press社、1987))。
【0052】
競合結合アッセイは、標識された標準の、限定された量の抗体との結合に関して被験試料分析物と競合する能力に頼っている。被験試料中のMCP-1ペプチドの量は、抗体に結合され始める標準の量に反比例する。結合され始める標準の量の決定を促進するために、本抗体は一般に、競合の前後には不溶化され、その結果該抗体に結合されている標準及び分析物は、未結合のままでいる標準及び分析物から都合良く分離されることができる。
【0053】
サンドイッチアッセイは、各々検出されるべきタンパク質の異なる免疫原性部分又はエピトープに結合することが可能である2つの抗体の使用に関与している。サンドイッチアッセイにおいて、被験試料分析物は、固形支持体上に固定されている第一の抗体により結合され、その後第二の抗体が分析物に結合し、その結果不溶性の3つの部分の複合物を形成する。第二の抗体それ自身は、検出可能な部分により標識されている(直接サンドイッチアッセイ)か、又は検出可能な部分により標識されている抗免疫グロブリン抗体を用いて測定されることができる(間接サンドイッチアッセイ)。例えば、サンドイッチアッセイのひとつの好ましい型はELISAアッセイであり、その場合検出可能な部分は酵素である。
免疫組織化学的分析に関して、本組織試料は、新鮮若しくは凍結されているか、又はパラフィン内に包埋され、かつ例えばホルマリンなどの保存剤により固定されることができる。
【0054】
(診断キット)
便宜上本発明の抗体は、キット、すなわち予め定められた量の試薬のその診断用アッセイの実行に関する指示書との梱包組合せにおいて提供されることができる。抗体が酵素により標識されている場合、このキットは、その酵素により必要とされる基質及び補因子(例えば、検出可能な発色団又は発蛍光団を提供する基質前駆体)を備えるであろう。加えて、安定剤、緩衝液(例えばブロック緩衝液又は溶解緩衝液)などの他の添加剤が備えられることができる。これらの様々な試薬の相対量は、このアッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中濃度を提供するために、広範に変動されることができる。特にこれらの試薬は、溶解時に好適な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含有する、通常凍結乾燥された乾燥粉末として提供されることができる。
【0055】
本発明の診断用キットは、以下に説明されたような更なる生物学的活性物質を含むことができる。本診断用キットにおける使用に関して特に好ましいのは、グルタミニルシクラーゼ阻害剤である。
【0056】
本発明の診断キットは、以下から選択される炎症疾患からなる群から選択される、MCP-1-関連疾患及び状態の検出及び診断に関して特に有用である:
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、及び
f.他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など。
【0057】
好ましくは、本発明の抗体は、MCP-1-関連疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、喘息、遅延型過敏反応、膵炎、アルツハイマー病、肺線維症、腎線維症、妊娠中毒症、移植片拒絶反応、神経因性疼痛、AIDS及び腫瘍を検出するための診断的方法において特に有用である。
【0058】
最も好ましくは、本発明の診断キットは、アルツハイマー病の、又は同じく最も好ましくはアテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄及び膵炎から選択される疾患の、特にアルツハイマー病若しくは関節リウマチの、検出及び診断に関して有用である。
【0059】
本発明に従い好ましいのは、モノクローナル抗体である。
本発明に従いより好ましいのは、該抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:33、37及び41から選択されるヌクレオチド配列、又は配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体である。
【0060】
あるいは本発明に従い好ましいのは、該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:35、39及び43から選択されるヌクレオチド配列、又は配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体である。
【0061】
本発明に従い更に好ましいのは、該抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:33のヌクレオチド配列又は配列番号:34のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:35のヌクレオチド配列、又は配列番号:36のアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体である。
【0062】
同じく本発明に従い好ましいのは、該抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:37のヌクレオチド配列又は配列番号:38のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:39のヌクレオチド配列、又は配列番号:40のアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体である。
【0063】
本発明に従いより好ましいのは、該抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:41のヌクレオチド配列又は配列番号:42のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:43のヌクレオチド配列、又は配列番号:44のアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体である。
【0064】
特に好ましいのは、下記群から選択されるハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗体である:
【表2】

【0065】
更に好ましい実施態様に従い、本抗体は、ヒト化若しくはキメラ抗体であることができるか、又はヒト抗体である。
更に前述の群から選択される抗体は、該群の機能的変種であることもできる。
【0066】
本発明の状況において、本発明の抗体の「機能的変種」とは、結合能を保持している抗体、特にMCP-1 N1pE-38又はそれらの機能的変種への高親和性の結合能を保持している抗体である。そのような機能的変種の提供は、当該技術分野において公知であり、かつ抗体及びそれらの断片の定義において指摘された、前述の可能性を包含している。
好ましい実施態様において、本抗体は、先に定義されたような抗体断片である。
【0067】
更なる好ましい実施態様において、本発明の抗体は、先に定義された抗体の相補性決定領域(CDR)を有する抗体である。好ましくは、本抗体は標識されることができ;可能性のある標識は、前述のもの及び特に抗体の診断用途の当業者に公知のもの全てである。
【0068】
本発明は更に、配列番号:33、37又は41から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む軽鎖可変領域、又はそれらの機能的部分に関する。
【0069】
本発明は更に、配列番号:35、39又は43から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む重鎖可変領域、又はそれらの機能的部分に関する。
【0070】
本発明に従い更に好ましいのは、それらの任意の機能的に同等な抗体又は機能的部分を含むモノクローナル抗体であり、この抗体は、配列番号:34、38又は42から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0071】
本発明に従いより好ましいのは、それらの任意の機能的に同等な抗体又は機能的部分を含むモノクローナル抗体であり、この抗体は、配列番号:36、40又は44から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0072】
更に本発明は、それらの任意の機能的に同等な抗体又は機能的部分を含むモノクローナル抗体に関し、ここで該抗体の軽鎖の可変部分は、配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに/又は該抗体の重鎖の可変部分は、配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで該抗体は、配列番号:34、36、38、40、42及び44の少なくとも1つの配列に少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ以上の保存的置換を導入することにより変更されており、ここで該抗体が、その完全な機能性を本質的に維持している。
【0073】
本発明は更に、本明細書に提示されたモノクローナル抗体の軽鎖可変領域をコードしている単離されたポリヌクレオチドに関し、ここで該単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:33、37及び41から選択される核酸配列を含む。
【0074】
本発明は、本明細書に提示されたモノクローナル抗体の重鎖可変領域をコードしている単離されたポリヌクレオチドにも関し、ここで該単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:35、39及び43から選択される核酸配列を含む。
【0075】
更に本発明は、本明細書に提示されたモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の単離されたペプチドに関し、ここで該単離されたペプチドは、配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0076】
更に本発明は、本明細書に提示されたモノクローナル抗体の重鎖可変領域の単離されたペプチドに関し、ここで該単離されたペプチドは、配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0077】
更に好ましい実施態様において、本発明は、配列番号:7〜32からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドに関する。
好ましくは本抗体は、固相上に固定されている。
【0078】
本発明は、先に定義された抗体を含有する組成物にも関する。特に該組成物は、特に生物学的試料中のMCP-1 N1pE又はそれらの変種の検出による、診断用途のための、特別にMCP-1-関連疾患の診断のための、組成物である。
【0079】
別の実施態様において、本発明の抗体及び先に本明細書において説明された抗体又はそれらの断片は、MCP-1 N1pEに対する結合親和性が、通常の抗体の結合親和性よりも、少なくとも2倍、特に少なくとも4倍、特に少なくとも10倍、特に少なくとも15倍、より特に少なくとも20倍、しかし特別には少なくとも25倍より高いものを示す。
【0080】
更に別の実施態様において、キメラ抗体若しくはそれらの断片、又はヒト化抗体若しくはそれらの断片が、先に本明細書において説明されたように提供され、この抗体は、哺乳動物の、特にヒト脳のMCP-1 N1pEに実質的に結合し、しかし好ましくは、MCP-1 N1pEとの、特にMCP-1 N1pE 3-38とのいかなる著しい交差反応性も示さない。
【0081】
本発明は、先に定義された抗体のヒト化型、該ヒト化抗体を含有する組成物、及び哺乳動物における、特にヒトにおけるMCP-1-関連疾患の治療、特にアルツハイマー病の治療のための該組成物の使用にも関する。
【0082】
本発明は、以下のハイブリドーマ細胞株にも関する:
【表3】

【0083】
本発明は、インビトロ診断法における、両方とも先に定義された、抗体又はこの抗体を含有する組成物の使用にも関する。特にこの診断方法は、特に生物学的試料中のMCP-1 N1pE又はそれらの変種を検出することによる、MCP-1-関連疾患の診断に関する。
好ましくは、前記試料は血清試料である。
従って別の好ましい実施態様において、前記試料は、体液(liquor)、脳脊髄液(CSF)又は滑液試料である。
【0084】
特に好ましい実施態様において、本発明は、MCP-1-関連疾患又は状態の診断に関する、インビトロ又はインサイチュ診断方法であって:
a)前記状態又は疾患に罹患していることが疑われる対象の試料、好ましくは血清、体液又はCSF試料から選択される試料、最も好ましくは血清試料;又は特定の体部分若しくは体領域を、本発明の抗体と、接触させる工程;及び
b)前記試料由来のMCP-1 N1pEペプチドへの該抗体の結合を検出する工程:
を含む方法に関する。
【0085】
更に特定すると、本発明は、試料中の又はインサイチュにおける、MCP-1 N1pEペプチドへの抗体又はそれらの活性断片の免疫特異的結合を検出することを含む、MCP-1-関連疾患又は状態の診断方法であって:
(a)MCP-1ペプチドを含むことが疑われる試料又は特定の体部分若しくは体領域を、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、又はキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、及び/又はそれらの機能的部分と接触させる工程;
(b)前記抗体及び/又はそれらの機能的部分を、MCP-1 N1pEペプチドへ結合させ、免疫複合体を形成することを可能にする工程;
(c)前記免疫複合体の形成を検出する工程;並びに
(d)前記免疫複合体の存在又は非存在を、試料又は特定の体部分若しくは体領域中のMCP-1 N1pEペプチドの存在又は非存在と相関させる工程:を含む方法に関する。
【0086】
前述の診断方法は:
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、及び、
f.他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など:から選択される炎症疾患からなる群から選択されるMCP-1-関連疾患及び状態の検出及び診断に特に有用である。
【0087】
好ましくは、前述の診断方法は、MCP-1-関連疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、喘息、遅延型過敏反応、膵炎、アルツハイマー病、肺線維症、腎線維症、妊娠中毒症、移植片拒絶反応、神経因性疼痛、AIDS及び腫瘍などの検出に有用である。
【0088】
最も好ましくは、前記診断方法は、アルツハイマー病の、又は最も好ましくはアテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄及び膵炎から選択される疾患の、特にアルツハイマー病又は関節リウマチの検出及び診断に有用である。
【0089】
更に別の実施態様において、本発明は、任意の機能的に同等な抗体又はそれらの任意の誘導体若しくは機能的部分を含む、本発明の抗体、又はキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片を、治療的有効量含有する組成物、特に任意に医薬として許容し得る担体を更に含有する医薬組成物である組成物に関する。
【0090】
本発明の別の実施態様において、前記組成物は、治療的有効量の本抗体を含有する。
更に本発明に含まれるのは、任意の機能的に同等な抗体又はそれらの任意の誘導体若しくは機能的部分を含む、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、又はキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片を治療的有効量、並びに任意に更なる生物学的活性物質及び/又は医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含有する混合物である。
【0091】
特に本発明は、この更なる生物学的活性物質が、以下から選択される炎症疾患などの、MCP-1に関連した疾患及び障害の群の投薬治療に使用される化合物である、混合物に関する:
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、及び、
f.他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など。
【0092】
その他の生物学的活性物質又は化合物は、本発明の抗体と同じ若しくは同様の機序によるか、又はある無関係の作用機序によるか、又は多数の関連した及び/若しくは無関係の作用機序により、その生物学的作用を発揮することができる。
【0093】
一般に、その他の生物学的活性化合物は、神経(neutron)伝達エンハンサー、精神治療薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム-チャネル遮断薬、生体アミン、ベンゾジアゼピン系精神安定薬、アセチルコリンの合成、貯蔵若しくは放出のエンハンサー、アセチルコリンシナプス後受容体アゴニスト、モノアミンオキシダーゼ-A若しくは-B阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸グルタミン酸受容体アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、抗酸化薬、セロトニン受容体アンタゴニスト、CCR2受容体アンタゴニスト及びMCP-1抗体を含むことができる。他の生物学的活性物質としてのMCP-1抗体とは、未変性のMCP-1に結合している抗体、すなわちそのN-末端Glu残基がpGluに環化されていないような抗体を意味する。
【0094】
より特定すると、本発明は、酸化的ストレスに対し有効である化合物、抗アポトーシス化合物、金属キレート剤、ピレンゼピン及び代謝産物などのDNA修復阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホネート(1,3PDS)、α-セクレターゼ活性化因子、β-及びγ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊因子、アミロイドβ除去/枯渇細胞成分に対する誘引物質、グルタミニルシクラーゼ阻害剤などの、ピログルタミン酸修飾アミロイドβ3-42を含むN-末端切断型アミロイドβペプチドの阻害剤、抗炎症分子、又はタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、及び/若しくはガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、M1アゴニスト、並びにアミロイド若しくはタウ修飾物質及び栄養補助物質を含む他の薬物、並びに栄養補助物質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、本発明の抗体、並びに任意に医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と一緒に含有する混合物に関する。
【0095】
本発明は更に、前記化合物がコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)である混合物、特に該化合物がタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、ガランタミン、ナイアシン及びメマンチンからなる群から選択されるひとつである混合物に関する。
【0096】
更なる実施態様において、本発明の混合物は、ナイアシン又はメマンチンを、本発明の抗体、並びに任意に医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と一緒に含有することができる。
【0097】
更なる実施態様において、本発明の混合物は、グルタミニルシクラーゼ阻害剤を、本発明の抗体、並びに任意に医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と一緒に含有することができる。
【0098】
好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2005/075436に、特に31〜40頁に示された実施例1−141に開示されている。実施例1−141の合成は、WO 2005/075436の40〜48頁に示されている。実施例1−141、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2005/075436の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0099】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/055945に、特に46〜155頁に示された実施例1−473に開示されている。実施例1−473の合成は、WO 2008/055945の156〜192頁に示されている。実施例1−473、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/055945の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0100】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/055947に、特に53〜118頁に示された実施例1−345に開示されている。実施例1−345の合成は、WO 2008/055947の119〜133頁に示されている。実施例1−345、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/055947の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0101】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/055950に、特に57〜120頁に示された実施例1−212に開示されている。実施例1−212の合成は、WO 2008/055950の121〜128頁に示されている。実施例1−212、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/055950の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0102】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO2008/065141に、特に56〜59頁に示された実施例1−25に開示されている。実施例1−25の合成は、WO2008/065141の60〜67頁に示されている。実施例1−25、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO2008/065141の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0103】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/110523に、特に55〜59頁に示された実施例1−27に開示されている。実施例1−27の合成は、WO 2008/110523の59〜71頁に示されている。実施例1−27、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/110523の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0104】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128981に、特に62〜65頁に示された実施例1−18に開示されている。実施例1−18の合成は、WO 2008/128981の65〜74頁に示されている。実施例1−18、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128981の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0105】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128982に、特に61〜67頁に示された実施例1−44に開示されている。実施例1−44の合成は、WO 2008/128982の68〜83頁に示されている。実施例1−44、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128982の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0106】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128983に、特に64〜68頁に示された実施例1−30に開示されている。実施例1−30の合成は、WO 2008/128983の68〜80頁に示されている。実施例1−30、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128983の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0107】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128984に、特に63〜69頁に示された実施例1−36に開示されている。実施例1−36の合成は、WO 2008/128984の69〜81頁に示されている。実施例1−36、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128984の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0108】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128985に、特に66〜76頁に示された実施例1−71に開示されている。実施例1−71の合成は、WO 2008/128985の76〜98頁に示されている。実施例1−71、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128985の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0109】
更に好ましいグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、WO 2008/128986に、特に65〜66頁に示された実施例1−7に開示されている。実施例1−7の合成は、WO 2008/128986の66〜73頁に示されている。実施例1−7、それらの合成及びグルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関するWO 2008/128986の開示は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0110】
更に別の本発明の実施態様において、幻覚、妄想、思考障害(顕著な思考散乱、脱線、脱線思考により顕在化)、及び突飛な行動又は解体した行動、更には無快感症、平坦情動、感情鈍麻、及び引きこもりを含む精神病の陽性及び陰性症状の治療のための「非定型抗精神病薬」、例えばクロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール又はオランザピンなどを、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、とりわけキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、並びに任意に医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と一緒に含有する混合物が提供される。
【0111】
本発明の特定の実施態様において、本発明の及び先に本明細書において説明されたような組成物及び混合物は、前記抗体及び生物学的活性物質を、各々、治療的有効量で含有する。
【0112】
本発明の抗体と組合せた混合物中で好適に使用されることができる他の化合物は、WO2008/065141に開示されており(特に37/38頁参照)、これはPEP阻害剤(43/44頁)、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼ阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV-様酵素阻害剤(48/49頁参照);アセチルコリンエステラーゼ(ACE)阻害剤(47頁参照)、PIMTエンハンサー、βセクレターゼ阻害剤(41頁参照)、γセクレターゼ阻害剤(41/42頁参照)、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害剤(42/43頁参照)、TNFα阻害剤、ムスカリンM1受容体アンタゴニスト(46頁参照)、NMDA受容体アンタゴニスト(47/48頁参照)、σ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト(43頁参照)、免疫調節薬、免疫抑制薬、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、Differin(CD 271、アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えばBB 76163)、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)及びSAIK-MSからなる群から選択される物質;β-アミロイド抗体(44頁参照)、システインプロテアーゼ阻害剤(44頁参照);MCP-1アンタゴニスト(44/45頁参照)、アミロイドタンパク質沈着阻害剤(42頁参照)及びβアミロイド合成阻害剤(42頁参照)を含み、この文献は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0113】
別の実施態様において、本発明は、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、又はキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、並びに/又は前記生物学的活性物質を、治療的有効量で含有する混合物に関する。
【0114】
本発明は更に、アルツハイマー病(AD)、レビー小体認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアム島パーキンソン認知症複合などの神経学的疾患;更には、アミロイド様タンパク質に基づくか又はそれらに関連した他の疾患、例えば進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、及び黄斑変性を含むその他を含むが、これらに限定されるものではない疾患などの、MCP-1に関連した疾患及び障害の群の作用を治療又は緩和するための医薬品の調製のための、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、とりわけキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、並びに/又はそれらの機能的部分、並びに/又は該抗体を含有する医薬組成物、若しくは混合物の使用に関する。
【0115】
より好ましくは、本発明は、以下から選択される炎症疾患の作用を治療又は緩和するための医薬品の調製のための、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、とりわけキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、並びに/又はそれらの機能的部分、並びに/又は該抗体を含有する医薬組成物、若しくは混合物の使用に関する:
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、及び、
f.他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など。
【0116】
同じく、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、とりわけキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明のヒト化抗体若しくはそれらの断片を、医薬として許容し得る剤形に製剤することを含む、先に定義されたようなMCP-1に関連した疾患及び障害の群の作用を予防、治療又は緩和する方法における使用のための、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体、とりわけキメラ抗体若しくはそれらの断片、又は本発明の及び先に本明細書において説明されたようなヒト化抗体若しくはそれらの断片、並びに/又はそれらの機能的部分、並びに/又は該抗体及び/若しくはそれらの機能的部分を特に治療的有効量で含有する医薬組成物、若しくは混合物の調製に関する方法も、本発明に含まれる。
【0117】
更に、前記抗体を治療的有効量投与することを含む、MCP-1に関連した障害に罹患した動物又はヒトに、抗体及び/若しくはそれらの機能的部分、とりわけヒト化抗体及び/若しくはそれらの機能的部分、又はそのような抗体及び/若しくはそれらの機能的部分を含有する組成物若しくは混合物を投与することによる、先に定義されたようなMCP-1に関連した疾患及び障害の群の作用を予防、治療又は緩和する方法が、本発明に含まれる。
【0118】
(投与及び用量)
前記抗体は、担体;好ましくは医薬的に許容し得る担体中で、哺乳動物へ投与されることが好ましい。好適な担体及びそれらの製剤は、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、A. Gennaro編集、Mack Publishing社、Easton, PA, 1990;及び、レミントンの著書、「調剤の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第20版、Mack Publishing社、2000年において説明されている。典型的には、製剤を等張にするために、適量の医薬として許容し得る塩が製剤において使用される。この担体の例は、食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む。この溶液のpHは、好ましくは約5〜約8であり、より好ましくは約7〜約7.5である。更なる担体は、本抗体を含有する固形の疎水ポリマーの半透性マトリクスのような、持続放出型調製品を含み、このマトリクスは、例えばフィルムなどの成形品、リポソーム又は微粒子の形である。当業者には、例えば投与される抗体の投与経路及び濃度に応じ、ある種の担体がより好ましいことは明らかであろう。
【0119】
本抗体は、注射(例えば、全身性、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、門脈内、脳内、脳室内、及び鼻腔内)によるか、又は有効な形での血流へのその送達を確実にする注入などの他の方法により、哺乳動物へ投与されることができる。本抗体は、局所的治療作用を発揮するために、摘出組織潅流などの、摘出潅流技術により投与されてもよい。静脈内注射が好ましい。
【0120】
本抗体の投与に関する有効量及び投与計画は、経験により決定されることができ、かつそのような決定の実行は、当該技術分野の技術の範囲内である。当業者は、投与されるべき抗体の用量は、例えば、該抗体を受け取る哺乳動物、投与経路、使用される抗体の特定の種類及びその哺乳動物に投与される他の薬物に応じて変動することを理解するであろう。抗体の好適な投与量を選択する上での指針は、抗体の治療的使用に関する文献、例えば「モノクローナル抗体ハンドブック(Handbook of Monoclonal Antibodies)」、Ferroneら編集、Noges Publications社、Park Ridge, NJ, 1985の、第22章及び303〜357頁;Smithらの文献、「ヒト診断及び療法における抗体(Antibodies in Human Diagnosis and Therapy)」、Haberら編集、Raven Press社、ニューヨーク、1977年、365〜389頁などにおいて認められる。単独で使用される本抗体の典型的1日量は、前述の要因に応じて、約1μg/kg体重/日から最大100mg/kg体重/日又はそれ以上までの範囲であることができる。一般に、以下の投与量のいずれかが使用され:少なくとも約50mg/kg体重;少なくとも約10mg/kg体重;少なくとも約3mg/kg体重;少なくとも約1mg/kg体重;少なくとも約750μg/kg体重;少なくとも約500μg/kg体重;少なくとも約250μg/kg体重;少なくとも約100μg/kg体重;少なくとも約50μg/kg体重;少なくとも約10μg/kg体重;少なくとも約1μg/kg体重、又はそれ以上の投与量が、投与される。抗体は、可能性のある副作用を避けるために、治療開始時に比較的少ない投与量又は比較的少ない頻度で投与されることができる。
【0121】
一部の実施態様において、1種よりも多い抗体が存在することができる。そのような組成物は、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種の異なる本発明の抗体(ポリペプチドを含む)を含有することができる。
【0122】
本抗体は、1種以上の他の治療薬の有効量と組合せて、哺乳動物へ投与されることもできる。本抗体は、1種以上の他の治療薬と逐次又は同時に投与されることができる。抗体及び治療薬の量は、例えば、どの種類の薬物が使用されるか、治療される病態、及び投与計画及び投与経路によって決まるが、概して各々が個別に使用される場合よりも少ないであろう。
【0123】
哺乳動物への抗体の投与後に、その哺乳動物の生理状態は、熟練した医師に周知の様々な方法においてモニタリングされることができる。前述の投与及び用量の原理は、本明細書に説明されたポリペプチドに関して適応されることができる。
【0124】
本明細書に説明された抗体又はポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも、所望の細胞における抗体又はポリペプチドの送達及び発現に使用されることができる。この抗体の発現を指示するために発現ベクターが使用され得ることは明らかである。発現ベクターは、全身的、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、髄腔内、脳室内、経口、腸内、非経口、鼻腔内、経皮的に、又は吸入により投与されることができる。例えば発現ベクターの投与は、注射、経口投与、粒子銃又はカテーテルによる投与、並びに外用投与を含む、局所的又は全身的投与を含んでいる。当業者は、インビボにおいて外来性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与を熟知している。例えば米国特許第6,436,908号;第6,413,942号;及び、第6,376,471号を参照されたい。
【0125】
本発明の抗体をコードしているポリヌクレオチドを含有する治療的組成物の標的化された送達も、使用されることができる。受容体-媒介されたDNA送達技術は、例えば、Findeisらの論文、Trends Biotechnol., 11: 202 (1993);Chiouらの文献、「遺伝子療法:直接的遺伝子導入の方法及び適用(Gene Therapeutics: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer)」(J.A. Wolff編集) (1994);Wuらの論文、J. Biol. Chem., 263: 621 (1988);Wuらの論文、J. Biol Chem., 269: 542 (1994);Zenkeらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 87: 3655 (1990);Wuらの論文、J. Biol. Chem. 266:338 (1991)に説明されている。ポリヌクレオチドを含有する治療的組成物は、遺伝子治療プロトコールにおける局所投与のためにDNA約100ng〜約200mgの範囲で投与される。DNAの約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、及び約20μg〜約100μgの濃度範囲も、遺伝子治療プロトコールの期間に使用されることができる。本発明の治療的ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用し送達されることができる。この遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス起源又は非ウイルス起源であることができる(全般的に、Jollyの論文、Cancer Gene Therapy, 1 :51 (1994);Kirnuraの論文、Human Gene Therapy, 5: 845 (1994);Connellyの論文、Human Gene Therapy, 1: 185 (1995);及び、Kaplittの論文、Nature Genetics, 6:148 (1994)を参照されたい)。そのようなコード配列の発現は、内在性哺乳動物プロモーター又は異種プロモーターを使用し、誘導されることができる。このコード配列の発現は、構成的であるか又は調節されるかのいずれかであることができる。
【0126】
所望のポリヌクレオチドの送達及び所望の細胞における発現のためのウイルスベースのベクターは、当該技術分野において周知である。ウイルスベースのビヒクルの例は、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO 90/07936;WO 94/03622;WO 93/25698;WO 93/25234;WO 93/11230;WO 93/10218;WO 91/02805;米国特許第5,219,740号;第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;及び、欧州特許第EP 0 345 242号を参照されたい)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67;ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373;ATCC VR-1246)、及びベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923;ATCC VR-1250;ATCC VR 1249;ATCC VR-532))、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO 94/12649、WO 93/03769;WO 93/19191;WO 94/28938;WO 95/11984及びWO 95/00655を参照されたい)を含むが、これらに限定されるものではない。Curielの論文(Hum. Gene Ther. 3:147 (1992))に説明されたような、死滅されたアデノウイルスに連結されたDNAの投与も、利用されることができる。
【0127】
死滅されたアデノウイルス単独に連結された又は連結されないポリカチオン複合されたDNA(例えば、Curielの論文、Hum. Gene Ther., 3:147 (1992)を参照されたい);リガンド連結されたDNA(例えば、Wuらの論文、J Biol. Chem., 264: 16985 (1989)を参照されたい);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開番号WO 95/07994;WO 96/17072;WO 95/30763;及び、WO 97/42338を参照されたい)、並びに核酸電荷中和(nucleic charge neutralization)又は細胞膜との融合を含むが、これらに限定されるものではない、非ウイルス性送達ビヒクル及び方法も、利用されることができる。裸のDNAも、利用されることができる。裸のDNA導入方法の例は、PCT公開番号WO 90/11092及び米国特許第5,580,859号に開示されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用するリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開番号WO 95/13796;WO 94/23697;WO 91/14445;及び、欧州特許第EP 0 524 968号に開示されている。追加のアプローチは、Philipの論文、Mol Cell Biol, 14:2411 (1994)、及びWoffendinの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. 91:1581 (1994)に説明されている。
【実施例】
【0128】
(実施例)
(実施例1:MCP-1 N1pEに対して向けられたモノクローナル抗体の調製及び特徴決定)
この目的は、ペプチドMCP-1 N1pE-38(配列番号:4)(これは、N-末端から始まる最初の38個のアミノ酸を伴うMCP-1 N1pEである)のアミノ末端にpE-P-D-A(配列番号:3)を含むアミノ酸配列とは反応性であるが、MCP-1 N1pE-38と同じ分子であるがアミノ末端にpE及びPを欠いているペプチドMCP-1 D3-38(配列番号:5)とは反応性でない、モノクローナル抗体の産生であった。
【0129】
免疫化に関して、ペプチドpE-P-D-A-I-N-A-P-V-C-アミド(ヒトMCP-1 N1pE-9 (配列番号:6))を使用した。この低分子量抗原は、担体タンパク質としてウシ血清アルブミン(精製画分V BSA;Pierce社)と、架橋剤としてSulfo-MBS(Pierce社)を使用し、複合した。
【0130】
このモノクローナル抗体を産生するために、8週齢の雌のBALB/cマウスを、前記ペプチド-BSA-複合体により、表1に示された二つの異なる免疫化手順により免疫化した:
【0131】
【表4】

【0132】
例えばペプチド100μgは、PBS中に溶解されたペプチド-BSA-複合体50μlに相当する。このペプチド-BSA-複合体を、等量のTiterMaxゴールドアジュバント(Sigma社)又は不完全フロイントアジュバント中に乳化し、かつ安定した乳剤として、腹腔内(i.p.)注射した。融合実験の3日前に、各マウスは、静脈内注射として投与されるPBS 25μl中に溶解されたペプチド(25μlペプチド-BSA-複合体)総投与量50μgを受け取った。
【0133】
最後の追加免疫投与量の前に、所望の抗体の存在を、レシピエント血清中で、免疫化抗原としてのヒトMCP-1 N1pE-9による酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用い検出した。特異的抗体価は、1:200000よりも大きかった。
【0134】
融合手順は、免疫化したマウス由来の脾細胞6×107個及びマウス骨髄腫細胞株SP2/0由来の細胞2×107個を、50%ポリエチレングリコール(Sigma社)1.2mlと共に、37℃で30秒間インキュベーションした。洗浄後、これらの細胞を、4個の96-ウェル細胞培養プレートに播種した。ハイブリッドクローンを、20%ウシ胎仔血清(PAN Biotech社、Aigenbach, DE)及びHAT-サプリメント(50×;PAN)]を補充したHAT培地[RPMI 1640培養培地(Biochrom社、ベルリン、DE)において増殖することにより、選択した。
【0135】
培養上清を、融合後2週間、抗原特異性IgG抗体について最初にスクリーニングした。培養上清中の抗原特異性抗体の存在を、特に、96-ウェルプレートのウェルに直接付着された、下記各ペプチドとのその結合により測定した:
−ヒトMCP-1 1-9、
−ヒトMCP-1 N1pE-38、又は
−ヒトMCP-1 D3-38。
この抗体結合は、それに酵素が結合されている関連のある抗-種免疫グロブリン(ウサギ抗-マウスIgG(HRP)Fc-特異性抗体、Pierce社、ロックフォード、USA)の添加、それに続くその酵素への発色基質の添加により、定量化した。新鮮な培養培地及びポリクローナルマウス抗血清の希釈物を、陰性対照及び陽性対照として使用した。
【0136】
ハイブリドーマコロニーを産生する特異性抗体を、細胞増殖のために24-ウェルプレートに移し、再度試験した。ヒトMCP-1 N1pE-38について陽性を、及びヒトMCP-1 D3-38について陰性を繰り返したハイブリドーマは、SPR解析(Biacore 3000)により追加して試験した。
【0137】
結合されたhMCP1 N1pE-38の高い結合及び低い解離を示し、加えて陰性対照ペプチドMCP1 D3-38への結合は示さないクローンから選択される最良のクローンを、その後クローニングし、かつ限界希釈技術により再クローニングし、特徴決定し、かつ凍結した。アイソタイプの特徴決定に関して、マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit)(Roche社)を使用した。
【0138】
ヒトMCP-1 N1pE-9-BSA-複合体で免疫化したBalb/cマウス由来の脾細胞の融合の2週間後(短期免疫化プロトコール)、ペプチドヒトMCP-1 N1pE-38について、更にはIgGについて陽性、並びにペプチドヒトMCP-1 D3-38について陰性の44種の細胞培養液上清を最初に試験した。44種のハイブリッド中33種は、24-ウェルプレートに移した後陽性を繰り返し、かつSPR解析(Biacore 3000)によっても試験した。8種のハイブリドーマは、限定希釈によりクローニングし、18種の特異的クローンを生じ、その中の8種は再クローニングした。これにより、ペプチドヒトMCP-1 N1pE-38との強力な反応性及びSPR解析(Biacore 3000)により明らかにされたような良好な結合特性を持つ抗体を産生する2つの細胞株を確立した。得られる抗体は、332-4B8及び332-4F8と称し、モノクローナル332-4B8及び332-4F8は両方ともIgGクラスに属し、アイソタイプIgG1であった。
【0139】
長期免疫化したBalb/cマウスの脾細胞のマウス骨髄腫細胞株SP2/0由来の細胞との融合は、ヒトMCP-1 N1pE-38に加えIgGについて陽性の最初に試験された35種の細胞培養液上清を生じた。これらの35種の一次陽性ハイブリドーマのうち、15種は、24-ウェルプレートに移した後陽性を繰り返し、かつ更にSPR解析(Biacore 3000)により試験した。4種のハイブリドーマをクローニングし、8種の特異的クローンを作製し、そのうちの4種を再クローニングした。最後にペプチドヒトMCP-1 N1pE-38と反応性があるが、ヒトMCP-1 D3-38とは反応性がない2つの細胞株を、SPR解析(Biacore 3000)により明らかにされたように確立した。これら2つの細胞株348-1D4及び348-2C9は、IgGクラスに属し、アイソタイプIgG2bであった。
【0140】
前述のクローンの各々から、プロテインG精製された抗体10mgを作製し、更なる特徴決定実験に供した。調製された様々なMCP-1 N1pEモノクローナル抗体の特性は、下記実施例から得ることができる。
【0141】
(実施例2:MCP-1 N1pEに対し向けて産生されたモノクローナル抗体のSPR解析(Biacore 3000))
プロテインG精製されたモノクローナル抗体332-4B8、332-4F8、348-1D4及び348-2C9をSPR解析により、ヒト MCP1 N1pE-38へのそれらの結合特性に関して特徴付けた。これらの解析は、Biacore 3000上で行った。この効力(avail)のために、CM5チップを、フローセル(Fc)2上でヒトMCP1 N1pE-38ペプチドのおよそ100反応単位(RU)によりコーティングした。Fc4は、ヒトMCP1 D3-38ペプチド100RUによりコーティングした。Fc1及びFc3は、ブランク減算のために調製した。モノクローナル抗体は、ランニング緩衝液HBS-EP(Hepes緩衝食塩水+3mM EDTA+0.005%(v/v)界面活性剤P20、Biacore社、フライブルグ、DE)中に、濃度範囲20μg/ml〜1μg/mlで希釈した。最初にHBS-EPにより規準シグナルを決定し、その後抗体希釈物を180秒間適用し、抗体の抗原への結合を決定した。その後純粋なHBS-EPを、再度更に180秒間注入し、対応する抗体の解離速度を決定した。最後にBiacore CM5チップを、0.1M HClの短時間注入により再生し、全ての存在する抗体を除去した。
Fc1及びFc3からのブランクシグナルを、Fc2及びFc4のシグナルから、各々、減算した。
【0142】
(結果:)
全ての試験したモノクローナル抗体は、ヒトMCP-1 D3-38への結合に失敗した(データは示さず)。ヒトMCP-1 N1pE-38への結合に関して、本モノクローナル抗体は、異なる結合特徴を示した。
【0143】
ヒトMCP-1 N1pE-38への最強の結合は、332-4B8により示された。濃度20μg/mlで、ほぼ2000RUがモニタリングされた。解離は、濃度5μg/mlでほぼ0であり、このことは332-4B8のその抗原への極めて強力な結合を明らかにしている(図1A)。
【0144】
同じくモノクローナル抗体332-4F8は、ヒトMCP-1 N1pE-38への非常に安定した結合を示した。しかしこの抗体クローンは、結合時間180秒間以内にわずかに約150RUを達成した。他方で、試験した全ての濃度で解離は生じなかった(図1B)。
【0145】
モノクローナル抗体クローン348-2C9及び348-1D4は、ほぼ等しい結合特性を示した。20μg/mlで、およそ500RUの結合シグナルが両方のクローンについてモニタリングされた。解離速度は、より低い抗体濃度で減少した。解離は、抗体1μg/mlでも認めることができたが、しかし測定されたシグナルは、基準線よりも十分上側にとどまった(図1C+図1D)。
まとめると、これらの結果は、試験した全てのモノクローナル抗体は、それらの対応する抗原MCP-1 N1pEと相互作用することができることの証拠を提供している。
【0146】
(実施例3:MCP-1 N1pEに対し向けて産生されたモノクローナル抗体のドットブロット解析)
次に、SPR解析により決定されたような結合反応速度の差異は同じく、使用された抗体がその抗原と長期間相互作用することを可能にする実験的状況においても明らかであるかどうかを試験した。
【0147】
簡単なドットブロットプロトコールを、各未変性ペプチドに対するMCP-1 N1pE抗体クローンの感度に関する全般的見解を得るために遂行した。漸減濃度(1000ng〜20ng)のヒトMCP-1 N1pE-38ペプチド及びヒトMCP-1 D3-38ペプチドを、ニトロセルロースメンブレン小片上にスポットした。解析のために、メンブレンを、TBST-M(=TBST(トリス緩衝食塩水+0.05%Tween-20)+5%スキムミルク)により、室温で2時間、穏やかに振盪しながらブロックした。メンブレンを、等量のTBST-M中に1μg/mlに希釈した個別のMCP-1 N1pE抗体クローンと共に、揺動式プラットフォーム上で、4℃で一晩インキュベーションした。アルカリホスファターゼと複合された抗-マウス二次抗体を、標準手順に従うシグナル検出に使用した。
【0148】
(結果:)
図2A−2Dに認められる用に、試験した全ての抗体クローンは、ドットブロット解析において、ほぼ等しい結果を示した。20ngに低下した濃度のMCP-1 N1pE-38ペプチドは、プロテインG精製したモノクローナル抗体332-4B8、332-4F8、348-1D4及び348-2C9により明確に検出された。これらの抗体クローンは、MCP-1 D3-38との交差反応性を生じなかった。
【0149】
(実施例4:MCP-1 N1pEに対し向けて産生されたモノクローナル抗体のPepSpot解析)
MCP-1 N1pE抗体クローンの特異性及び選択性をより詳細に決定するために、PepSpot解析を行った。
対応するPepSpotメンブレンは、JPT Peptide Technologies(JPT)社(ベルリン)により調製された。これらのメンブレン上に、指定されたアミノ酸配列(図3参照;ZはpEを表す)を持つペプチドを、濃度1μg/スポットで固定した。
【0150】
解析のために、メンブレンを、TBST-M(=TBST+5%スキムミルク)により、室温で2時間、穏やかに振盪しながらブロックした。メンブレンを、等量のTBST-M中に1μg/mlに希釈した個別のMCP-1 N1pE抗体クローンと共に、揺動式プラットフォーム上で、4℃で一晩インキュベーションした。アルカリホスファターゼと複合された抗-マウス二次抗体を、標準手順に従うシグナル検出に使用した。
【0151】
(結果:)
図3において認められるように、試験した4種の抗体クローン全てが、MCP-1 N1pEペプチドに関し高度に選択性である。MCP-1 N1pEの最初の4個のアミノ酸(下線付き配列)で始まるMCP-1 N1pEペプチドを含むスポット上に、強力なシグナルが得られた。
【0152】
加えて、MCP-1 N1pEの最初の3個のアミノ酸で始まるペプチドを含むスポット(スポット10、13及び14)は、4種の抗体クローン全てにより明確に認められた。抗体は、MCP-1 N1pEのわずかに2個のアミノ末端アミノ酸で始まるペプチドを認めることは失敗した(スポット12)。抗体は、pE(Z)とは異なるアミノ酸で始まるペプチドスポットを認めることにも失敗した。スポット3の場合、Qからの自然発生的pE形成は排除することができない。従って、このペプチドにより得られたシグナルは、恐らく自然発生的に形成されたpEへの抗体の結合を反映しているであろう。
【0153】
まとめると、これらの結果は、4種のMCP-1 N1pE抗体クローンは全て、対応する抗原に結合するために、MCP-1 N1pEの最初の3〜4個のアミノ酸を必要とすることを明らかにしている。
【0154】
(実施例5:SPR解析によるN1pE残基を有する他のペプチドに対する交差反応性の試験)
抗MCP-1 N1pE抗体の選択性を決定するために、N-末端pE残基を有する他のヒトペプチドとの交差反応性を、表面プラズモン共鳴により解析した。
従って、以下のペプチド又はそれらのN-末端領域を、CM5-チップの表面に固定した:MCP1、MCP2、大ガストリン、ゴナドリベリン、ニューロテンシン、オレキシンA、フィブロネクチン、コラーゲン1及びTRH。陽性対照として、MCP-1 N1pE-38への結合も分析した。モノクローナル抗体332-4B8、332-4F8、348-1D4及び348-2C9を、HBS-EP(Biacore社)中に25μg/mlまで希釈した。交差反応性は、その上に各ペプチドが固定されたCM5-チップ数個を備えたBiacore 3000用い観察した。このシステムは、20μl/分で試行した。測定されたバルク作用及びチップ表面への非特異的反応は、そこに被験ペプチドが固定されたフローセル2、3又は4のシグナルを、空のフローセル1のシグナルで減算することにより補正した。結合(9分間)は、前記抗体クローン180μlの注入により得た。解離は、9分間にわたり観察した。残存する抗体分子を、0.1M HClの5μlの注入により除去した。この抗体の様々なペプチドとの各相互作用に関して、結合及び解離を記録した。交差反応性は、最終時の速度及びシグナルに関する結合相の評価により決定した。
【0155】
表2は、これらのモノクローナル抗体が、MCP-1 N1pEエピトープに関して特異性があることを示している。分析されたペプチドとの交差反応性は認められなかった。
【0156】
【表5】

【0157】
(実施例6:MCP-1 N1pEに対し向けられたモノクローナル抗体のKD値の決定)
MCP-1 N1pE抗体クローンのhMCP-1 N1pE-38への結合反応速度を分析するために、結合定数K、解離定数KD、反応エンタルピーΔHに加え、反応エントロピーΔSを決定した。
【0158】
抗MCP1 N1pE抗体348-1D4及び332-4B8の抗原hMCP-1 N1pE-38に対する結合親和性を、VP-ITC微量熱量計(MicroCal)を用い決定した。両方の抗体クローンに加えhMCP-1 N1pE-38ペプチドを、150mM NaCl、25mM Na2HPO4、25mM KH2PO4、2mM EDTA pH7.4に対し、4℃で一晩透析し、同じ緩衝条件を確実にし、かつプロトン化事象によるバックグラウンド熱を回避した。その後これらの抗体及びペプチドの濃度を、280nmでの吸光度及び各々の吸光係数から算出した。クローン348-1D4との滴定実験に関しては、抗体及びhMCP-1 N1pE-38を、各々、濃度4.38μM及び147μMで使用した。クローン332-4B8との滴定実験に関しては、抗体及びhMCP-1 N1pE-38を、各々、1.86μM及び64.3μMで使用した。結合熱は、抗体溶液への抗原10μlの29回注入の滴定により、20℃で記録した。hMCP-1 N1pE-38ペプチドの希釈により生じた熱発生を評価するために、この値を、規定された条件及び装置の設定を用い、透析緩衝液への滴定により決定した。データのプロットは、MicroCal ORIGINソフトウェアによりもたらされた。算出された結合熱は、抗原の希釈により生じた熱により補正した。得られる曲線は、「ワンセットオブサイト(One Set of Sites)」結合モデルにフィッティングした。このモデルにより、化学量論係数(stoichiometry)、結合定数、反応エンタルピー及び反応エントロピーを算出することができる。
【0159】
(結果:)
図16は、得られたフィッティング曲線、並びに化学量論係数、結合定数、反応エンタルピー及び反応エントロピーの算出された値を示している。加えて表3は、得られたデータに関する総括を示している。
【0160】
【表6】

【0161】
(実施例7:MCP-1 N1pEに対し向けられたモノクローナル抗体を使用するELISAにおける組換えヒトMCP-1 N1pEの検出)
これまで示された技術により、MCP-1 N1pEの選択的検出は明確に示されている。従って提示された抗体クローンは、ELISAのような、可能性のある診断上の意味合いに関する道具におけるそれらの適用可能性についても試験した。
結果的に、組換えhMCP-1 N1pEの検出を可能にするELISAプロトコールを、遂行した。
【0162】
ヒトMCP-1捕獲するために、ヒトMCP-1と特異的に結合する捕獲抗体として、商業的に入手可能なポリクローナル抗血清(ヤギ抗-hMCP1-AF(R&D Systems社、ミネアポリス、米国))を、ポリスチレン96−ウェルマイクロタイタープレートに固定した。未結合の捕獲抗体を、このプレートから洗浄除去した。ブロッキング工程後、ブロッキング緩衝液中に希釈した組換えhMCP-1 N1pEを、これらのウェルに添加した。室温で2時間インキュベーションした後、プレートを、TBS-Tにより少なくとも3回洗浄した。検出のために、MCP-1 N1pE抗体クローン(332-4B8、348-1D4、348-2C9の各々)は、HRP-複合した抗マウス抗体と一緒に、ブロッキング緩衝液中に希釈し、マイクロタイタープレートへ添加し、かつ室温で1時間インキュベーションした。TBS-Tによる数回の洗浄後、市販のHRP基質TMB(SureBlue Reserve TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(1-成分)(KPL社、ガイサースバーグ、米国)による呈色反応を行い(暗所において室温で30分間インキュベーション)、引き続き1.2N H2SO4の添加により停止した。吸収は、Tecan Sunriseプレートリーダーにより決定した。
【0163】
(結果:)
抗MCP-1抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9は、濃度依存様式で組換えヒトMCP-1を検出することができる。これにより、抗体クローン348-2C9及び348-1D4は、332-4B8と比べ、はるかにより感度が良いことが分かった(図4)。
【0164】
(実施例8:MCP-1 N1pEに対し向けられたモノクローナル抗体を使用するヒト血清中ELISAによるMCP-1 N1pEの検出)
組換えhMCP-1 N1pEは、本発明のモノクローナル抗MCP-1 N1pE抗体を使用することにより、ELISAにおいて定量的に検出することができるので、ヒト血清中の未変性hMCP-1 N1pEの検出を試験した。
このELISAプロトコールは、ブロッキング工程及び希釈工程にFBS、0.05%Tween、10%FBSを使用すること以外は、実施例7に対応している。
【0165】
(結果:)
試験した全てのMCP-1 N1pE抗体クローンは、確立されたELISA設定において非常に強力なシグナルを発生した。シグナルは、血清試料の希釈係数と共に減少した(図5;表4)。
【0166】
【表7】

【0167】
SPR解析(Biacore社)において、クローン332-4B8はより好ましい結合特性を示したが、クローン348-1D4及び348-2C9は、ELISAにおいてより高いシグナルを生じた。得られたデータに従い、試験した全ての抗体クローンは、ELISA適応に良く適している。
加えて、これらのデータは、MCP-1 N1pEは、健常者のヒト血清中においても検出可能である。
【0168】
(実施例9:ヒト血清中のhMCP-1 N1pEのスパイク及びリカバリー)
ヒト血清中のhMCP1 N1pEの定量的検出を検証するために、スパイク及びリカバリー実験を行った。
このELISAプロトコールは、実施例8に対応しており、hMCP-1 N1pEの検出のために、抗体348-2C9を使用した。スパイク及びリカバリーの検証に関して、様々なレベルの組換えhMCP-1 N1pEを、ヒト血清中でスパイクした。リカバリーは、スパイクした試料において測定したhMCP-1 N1pE値からスパイクしなかった血清試料の値を減算することにより算出した。
【0169】
(結果:)
表5は、348-2C9抗体により得られたヒト血清におけるスパイク及びリカバリーデータを示している。スパイクしたhMCP-1 N1pEペプチドの66%〜79.4%のリカバリーが認められた。
【0170】
【表8】

【0171】
これらのデータは、モノクローナル抗体348-2C9は、ヒト血清中のhMCP1 N1pEの定量的検出に使用することができることを確認している。
【0172】
(実施例10:ELISAによる刺激されたNHDF細胞の細胞培養液上清中のヒトMCP-1 N1pEの検出)
炎症刺激後、hMCP-1の発現は、ヒト正常皮膚線維芽細胞(NHDF)において増強される。従って、MCP-1 N1pEレベルも上昇されると仮定することができる。この理解が真実であるとすると、MCP-1 N1pEの量は、NHDFへのオンコスタチンM(OSM)及びインターロイキン1β(IL1β)の適用後に増加するはずである。
【0173】
これを証明するために、OSM及びIL1β刺激したNHDFの細胞培養液上清を、実施例7に説明されたようなELISA分析に供した。hMCP1 N1pEの検出には、抗体348-1D4を使用した。NHDFは、14日間にわたり刺激し、かつhMCP-1 N1pE分泌の時間依存性を試験するために、異なる時点で分析した。
【0174】
(結果:)
OSM及びIL1β適用の炎症刺激後、hMCP1 N1pEの量は、時間依存様式で増加した(図6)。これらのデータは、hMCP-1 N1pEは、NHDFの細胞培養液上清においても定量的に検出され得ることを示している。
【0175】
(実施例11:QCインヒビターQCIの存在下でのLPS刺激したヒト急性単球性白血病細胞株(THP1)の細胞培養液上清中のヒトMCP-1 N1pEの検出)
実施例8−10に明らかにされたように、未変性hMCP-1 N1pEは、本発明のモノクローナル抗hMCP-1 N1pE抗体を使用するELISAにより、ヒト血清中に加え細胞培養液上清中で定量的に検出されることができる。グルタミニルシクラーゼ(QC)は、細胞レベルでのMCP-1 N1pE形成の前提条件であるので、QCの阻害は、結果的に減少したMCP-1 N1pEレベルを生じるはずである。
【0176】
これを証明するために、ヒト急性単球性白血病細胞株(THP1)を、漸増濃度のQCインヒビターQCIの非存在又は存在下で、LPSにより24時間刺激した。細胞培養液上清は、実施例7に説明されたようなELISA分析に供した。抗体348-1D4を、hMCP1 N1pEの検出に使用した。
【0177】
(結果:)
図7は、hMCP-1 N1pE量は、THP1細胞の細胞培養液上清中のQCインヒビター濃度の増加により減少することを示している。
【0178】
(実施例12:MCP-1 N1pEに対し向けられたモノクローナル抗体の使用によるELISAにおける組換えマウスMCP-1 N1pEの検出)
実施例7は、抗MCP-1抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9による、組換えヒトMCP-1 N1pEの濃度依存性の検出を示している。マウス及びヒトMCP-1の4個のN-末端アミノ酸は相同であるので、組換えマウスMCP-1の定量的検出を更に分析した。
結果的に、組換えマウスMCP-1 N1pEの検出を可能にするELISAプロトコールを、遂行した。
【0179】
マウスMCP-1を捕獲するために、マウスMCP-1と特異的に結合する捕獲抗体として、商業的に入手可能なポリクローナル抗血清(ウサギ抗mJE(Peprotech社、ロッキイヒル、米国)を、ポリスチレン96−ウェルマイクロタイタープレートに固定した。未結合の捕獲抗体を、このプレートから洗浄除去した。ブロッキング工程後、ブロッキング緩衝液中に希釈した組換えmMCP-1 N1pEを、これらのウェルに添加した。室温で2時間インキュベーションした後、プレートを、TBS-Tにより少なくとも3回洗浄した。検出のために、MCP-1 N1pE抗体クローン(332-4B8、348-1D4、348-2C9の各々)は、HRP-複合した抗マウス抗体と一緒に、ブロッキング緩衝液中に希釈し、マイクロタイタープレートへ添加し、かつ室温で1時間インキュベーションした。TBS-Tによる数回の洗浄工程後、市販のHRP基質TMB(SureBlue Reserve TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(1-成分)(KPL社、ガイサースバーグ、米国)による呈色反応を行い(暗所において室温で30分間インキュベーション)、引き続き1.2N H2SO4の添加により停止した。吸収は、Tecan Sunriseプレートリーダーにより決定した。
【0180】
(結果:)
抗MCP-1抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9は、濃度依存様式で組換えマウスMCP-1を検出することができる。ヒトhMCP-1により得られた結果同様、抗体クローン348-2C9及び348-1D4は、332-4B8と比べ、はるかにより感度が良いことが分かった(図8)。
【0181】
(実施例13:ELISAによる刺激されたマウスマクロファージ細胞株RAW 264.7の細胞培養液上清中のマウスMCP-1 N1pEの検出)
炎症刺激後、mMCP-1の発現は、RAW 264.7細胞において増強される。従って、MCP-1 N1pEレベルレベルも上昇されると仮定することができる。この理解が真実であるとすると、mMCP-1 N1pEの量は、LPSの適用後に増加するはずである。
【0182】
これを証明するために、LPS刺激したRAW 264.7の細胞培養液上清を、実施例12に説明されたようなELISA分析に供した。mMCP1 N1pEの検出には、抗体348-2C9を使用した。RAW 264.7細胞は、LPS 10ngにより24時間刺激した。
【0183】
(結果:)
LPS適用の炎症刺激後、mMCP1 N1pEの量は、途方もなく増加した(図9)。これらのデータは、mMCP-1 N1pEは、RAW 264.7細胞の細胞培養液上清においても定量的に検出され得ることを示している。
【0184】
(実施例14:モノクローナル抗体348-2C9を使用するELISAによるQCインヒビターQCIの存在下でのLPS刺激したマウスマクロファージ細胞株RAW 264.7の細胞培養液上清中のマウスMCP-1 N1pEの検出)
実施例13に明らかにされたように、mMCP-1 N1pEレベルは、LPSのような炎症刺激後にかなり増加する。抗MCP-1 N1pE抗体は、ヒトMCP-1 N1pEレベルがQCI濃度の増加により減少することを明らかにするために使用することができることが、更に実施例11において示されている。ここでこの作用も、マウスマクロファージ細胞株RAW 264.7において検出され得るかどうかが更に試験される。
【0185】
マウスマクロファージ細胞株RAW 264.7を、漸増濃度のQCインヒビターQCIの非存在又は存在下で、LPSにより刺激した。細胞培養液上清は、実施例12に説明されたようなELISA分析に供した。抗体348-2C9を、検出に使用した。
【0186】
(結果:)
先に仮定したように、mMCP-1 N1pEレベルは、LPS刺激されたマウスマクロファージにおいて、QCインヒビターQCIの存在下で低下した。このシグナルの減少は、QCI濃度に厳密に左右された(図10参照)。
【0187】
(実施例15:ELISAによる健常マウス対LPS処理マウスの血清中のマウスMCP-1 N1pEの検出)
実施例12−14は、ELISAによる細胞培養液上清中の組換えmMCP1 N1pEに加え組変えmMCP1 N1pEの定量的検出を示している。実施例8−9において示したように、抗MCP-1 N1pE抗体は、ヒト血清中のMCP-1 N1pEの検出のためにも使用することができる。更にここでマウス血清中のMCP-1 N1pEのレベルが決定される。
【0188】
このELISAプロトコールは、ブロッキング工程及び希釈工程にFBS、0.05%Tween、10%FBSを使用すること、並びに検出のための抗体348-2C9の使用以外は、実施例12に対応している。
【0189】
(結果:)
マウス血清中のmMCP-1 N1pEレベルは、LPS刺激により、400pg/mlから900ng/mlまで、刺激時間に応じて増加した(図11)。この実験は、抗体348-2C9は、マウス血清中のmMCP-1 N1pEの定量的検出のために使用することもできることを示している。
【0190】
(実施例16:ELISAによるマウス腹腔洗浄液中のmMCP-1 N1pE検出に関する希釈直線性の実験)
確立されたELISAにおいて抗MCP-1 N1pE抗体の適用可能性を試験するために、チオグリコール酸で処置したマウス由来の腹腔洗浄液試料の希釈直線性を分析した。
このELISAプロトコールは、実施例12に対応している。検出のために、抗体348-2C9を使用した。アッセイ直線性を決定するために、各試料を、本アッセイ範囲内の値を生じるよう、ELISAブロッカーにより連続希釈した。
【0191】
(結果:)
図12は、様々な試料希釈液の分析は、最大15%の偏差を伴い、同様のmMCP-1 N1pEレベルを生じることを示している。この実験は、抗MCP-1 N1pE抗体は、マウス腹腔洗浄液中のMCP-1 N1pEレベルの分析のために使用することができることを明らかにしている。
【0192】
(実施例17:ウェスタンブロット解析における抗MCP-1 N1pE抗体の使用及びELISAにより得られたデータとの比較)
実施例3−4は、抗体332-4F8、332-4B8、348-1D4及び348-2C9は、ドットブロット解析及びPepSpot解析においてMCP-1 N1pEの少なくとも最初の4個のアミノ酸を認識することを明らかにしている。本実験において、これらの抗体は、RAW 264.7細胞培養液上清中の未変性マウスMCP-1 N1pEの検出に使用することができるかどうかが試験される。更に、得られたウェスタンブロットデータは、ELISAにより得られたデータを確認することができるかどうかが試験される。
【0193】
ウェスタンブロット解析に関して、RAW 264.7細胞の細胞培養液上清を、SDS-ゲル電気泳動に供した。分離されたタンパク質を、ニトロセルロースメンブレンに電気的に移した。このメンブレンをTBST-Mにより室温で2時間ブロックした後、抗体を、TBST-M中に1μg/mlに希釈した抗MCP-1 N1pEクローン332-4B8及び総MCP-1を認識する抗体(ヤギ抗MCP-1、R&D Systems社)と共に、4℃で一晩インキュベーションした。ホースラディッシュペルオキシダーゼに複合したヤギ抗マウス二次抗体を、標準手順に従うシグナル検出に使用した。
このELISAプロトコールは、実施例14に対応している。
【0194】
(結果:)
図13Bに示されたように、総mMCP-1の検出のためのヤギ抗マウスMCP-1抗体により発生したウェスタンブロットシグナル強度において、変化は存在しなかった。しかし、mMCP-1 N1pEのウェスタンブロットシグナルは、濃度依存性であり(図13A)、かつmMCP-1 N1pE量を示している対応するELISAデータと相関している(図13C)。これらのデータは、一方で抗MCP-1 N1pE抗体332-4B8はウェスタンブロット解析に使用され得ることを示している。更にウェスタンブロット解析により、ELISAデータの正確さが確認された。
【0195】
(実施例18:MCP-1 N1pEに対し向けられたモノクローナル抗体を使用するELISAにおける組換えラットMCP-1 N1pEの検出)
実施例12は、抗MCP-1抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9による、組換えマウスMCP-1 N1pEの濃度依存性の検出を示している。マウス及びラットのMCP-1のN-末端配列は相同である。従って、組換えラットMCP-1の定量的検出を分析した。
結果的に、組換えラットMCP-1 N1pEの検出を可能にするELISAプロトコールを、遂行した。
【0196】
ラットMCP-1を捕獲するために、ラットMCP-1と特異的に結合する捕獲抗体として、商業的に入手可能なポリクローナル抗血清(MCP-1に対するウサギポリクローナル[LS-C54182/13136]、LifeSpan Biosciences社、シアトル、米国)を、PBSにより250ng/mlに希釈し、かつポリスチレン96−ウェルマイクロタイタープレートに固定した。未結合の捕獲抗体を、このプレートから洗浄除去した。ブロッキング工程後、PBS、0.05%Tween、10%FBSに希釈した組換えrMCP-1 N1pEを、これらのウェルに添加した。室温で2時間インキュベーションした後、プレートを、TBS-Tにより少なくとも3回洗浄した。検出のために、MCP-1 N1pE抗体クローン348-2C9は、HRP-複合した抗マウス抗体と一緒に、PBS、0.05%Tween、10%FBS中に希釈し、前記マイクロタイタープレートへ添加し、かつ4℃で1時間インキュベーションした。TBS-Tによる数回の洗浄後、市販のHRP基質TMB(SureBlue Reserve TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(1-成分)(KPL社、ガイサースバーグ、米国)による呈色反応を行い(暗所において室温で30分間インキュベーション)、引き続き1.2N H2SO4の添加により停止した。吸収は、Tecan Sunriseプレートリーダーにより決定した。
【0197】
(結果:)
抗MCP-1抗体348-2C9は、ELISAにおいて、濃度依存様式で組換えラットMCP-1を検出することができる(図14)。
【0198】

(実施例19:ラット血清中のrMCP-1 N1pEのスパイク及びリカバリー)
実施例18は、ELISAにおける抗体348-2C9による組換えラットMCP-1の定量的検出を示している。rMCP-1 N1pEもラット血清中で検出することができるかどうかを証明しかつこのELISA法を検証するために、スパイク及びリカバリー実験を行った。
【0199】
このELISAプロトコールは、実施例18に対応しており、スパイク及びリカバリーの検証のために、様々なレベルの組換えラットMCP-1 N1pEを、LPS処置したラットの血清中でスパイクした。リカバリーは、スパイクした試料において測定したrMCP-1 N1pE値からスパイクしなかった血清試料の値を減算することにより算出した。
【0200】
(結果:)
表6は、348-2C9抗体により得られたラット血清におけるスパイク及びリカバリーデータを示している。スパイクしたrMCP-1 N1pEペプチドの65.5%〜96.2%のリカバリーが認められた。
【0201】
【表9】

【0202】
これらのデータは、モノクローナル抗体348-2C9は、ラット血清中のラットMCP1 N1pEの定量的検出に使用することができることを確認している。
【0203】
(実施例20:抗体可変領域の配列決定)
(ハイブリドーマ細胞の培養:)
ハイブリドーマ細胞を、15%FBS、1%MEM-NEA(非必須アミノ酸、Gibco社)、50μg/mlゲンタマイシン(Gibco社)及び50μMβ-メルカプトエタノールを添加した、D-MEM(+L-グルタミン、+ピルビン酸ナトリウム、4.5g/lグルコース、Gibco社)上で、37℃及び5%CO2で増殖した。細胞密度に応じて、3〜4日後に継代培養を行った。細胞を、濃度0.5×106個細胞/mlで播種し、細胞密度2〜5×106個細胞/mlで分割を行った。
【0204】
(cDNA合成及び逆転写:)
総RNAを、NucleospinRNA単離キット(Macherey-Nagel社)のマニュアルに従い、2×106個細胞から単離した。RNA 100ngを、オリゴ(dT)15プライマー(Promega社)及びSuperscript III逆転写酵素(Invitrogen社)を使用することにより、cDNA合成に適用した。
【0205】
(重鎖及び軽鎖の可変領域のPCR-増幅:)
重鎖可変領域は、プライマーMHV1-12と組み合わせて、プライマーMHCG1(クローン5-5-6及び6-1-6の場合)並びにMHCG2b(クローン17-4-3及び24-2-3)と共に、Phusion(商標)高忠実度DNAポリメラーゼ(NEW ENGLAND BioLabs社)を使用することにより、鋳型cDNAから増幅した。軽鎖可変領域の増幅のためには、プライマーMKV1-MKV11と組合せて、プライマーMKCを使用した。
【0206】
(pJET1.2におけるPCR産物のクローニング:)
PCRにより増幅された重鎖及び軽鎖可変領域を、pJET1.2/平滑端ベクターへ、Clone JET(商標)PCRクローニングキット(Fermentas社)のプロトコールに従いクローニングした。配列決定は、pJET1.2配列決定プライマーにより行った。これらのプライマー配列は表7に示している。
【0207】
【表10】

【0208】
(結果:)
下記配列を同定した:
(クローン1D4)
【化3】

【0209】
(クローン2C9)
【化4】

【0210】
(クローン4B8)
【化5】

【0211】
(実施例21:免疫組織化学のためのMCP-1 N1pE抗体クローンの適用)
本発明の抗体により、MCP-1 N1pEを、Aβ(3-49)、LPS又はNaClの微量注入後のラットの脳切片において染色した。染色した脳切片を、図15に示す。図15は、本発明の抗体332-4B8、348-1D4及び348-2C9は、免疫組織化学に適していることを示している。これらの抗体は、ラットの脳内でMCP-1 N1pEを特異的に検出する。
【0212】
(寄託)
MCP-1 N1pEを特異的に認識するモノクローナル抗体が作製された。現在、モノクローナル抗体発現する対応するハイブリドーマ細胞クローン348/1D4、348/2C9、332/4B8及び332/4F8は全て、「ブダペスト条約(Budapest Treaty)」に基づき寄託されており、かつドイツ微生物・培養細胞収集有限会社(Deutsche Stammsammlung fr Mikoorganismen und Zellkulturen(DSMZ)) (Inhoffenstrasse 7B, 38124、ブラウンシュヴァイク、独国)において、寄託日2008年5月6日付けで、各々下記寄託番号で入手可能である:
【表11】

【0213】
これらの抗体のそれらの各標的配列に対する特異性は、確認することができる。MCP-1 N1pEに関して、高親和性抗体クローンは、低いpg範囲で、予想される検出限界を持つELISA設定において強力なシグナルを生じることを確定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MCP-1 N1pEに選択的に結合する、抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分。
【請求項2】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、キメラ抗体である、請求項1又は2記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:33、37及び41から選択されるヌクレオチド配列、又は配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:35、39及び43から選択されるヌクレオチド配列、又は配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:33のヌクレオチド配列又は配列番号:34のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:35のヌクレオチド配列、又は配列番号:36のアミノ酸配列を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:37のヌクレオチド配列又は配列番号:38のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:39のヌクレオチド配列、又は配列番号:40のアミノ酸配列を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:41のヌクレオチド配列又は配列番号:42のアミノ酸配列を有し、かつここで該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:43のヌクレオチド配列、又は配列番号:44のアミノ酸配列を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗体。
【請求項9】
ハイブリドーマ細胞により作製される、請求項1〜8のいずれか1項記載の抗体であって、ここで該ハイブリドーマ細胞が、DSM ACC 2905、DSM ACC 2906、DSM ACC 2907及びDSM ACC 2908として、ドイツ微生物・培養細胞収集有限会社(DSMZ)に寄託されているハイブリドーマ細胞からなる群から選択される、抗体。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号:33、37又は41から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体が、配列番号:35、39又は43から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む重鎖可変領域、又はそれらの機能的部分を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体が、配列番号:34、38又は42から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号:36、40又は44から選択される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体の軽鎖の可変部分が、配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに/又は該抗体の重鎖の可変部分が、配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を含み、かつここで該抗体が、配列番号:34、36、38、40、42及び44の少なくとも1つの配列に少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ以上の保存的置換を導入することにより変更されており、かつここで該抗体が、その完全な機能性を本質的に維持している、請求項1〜13のいずれか1項記載の抗体。
【請求項15】
前記選択的結合が、MCP-1のピログルタミン酸を有するアミノ末端への結合を意味する、請求項1〜14のいずれか1項記載の抗体。
【請求項16】
前記選択的結合が、MCP-1N1pEのピログルタミン酸を有するアミノ末端の外側のエピトープとのいかなる交差反応性も示さないことを意味する、請求項1〜15のいずれか1項記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、ヒト化抗体である、請求項1〜16のいずれか1項記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、MCP-1N1pEへの高親和性を保持している抗体断片である、請求項1〜17のいずれか1項記載の抗体。
【請求項19】
哺乳動物におけるMCP1 N1pE又はそれらの変種の検出において使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分。
【請求項20】
前記哺乳動物が、ラット、マウス又はヒトである、請求項19記載の抗体。
【請求項21】
前記MCP-1 N1pEへの高親和性を保持しているダイアボディ又は単鎖抗体である、請求項1〜20のいずれか1項記載の抗体。
【請求項22】
請求項9記載の抗体の相補性決定領域を有する、請求項1〜21のいずれか1項記載の抗体。
【請求項23】
標識されている、請求項1〜22のいずれか1項記載の抗体。
【請求項24】
固相上に固定されている、請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体。
【請求項25】
全てドイツ微生物・培養細胞収集有限会社(DSMZ)に寄託されている、DSM ACC 2905、DSM ACC 2906、DSM ACC 2907及びDSM ACC 2908からなる群から選択される、ハイブリドーマ細胞株。
【請求項26】
請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分を含む、組成物。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分を治療的有効量、並びに任意に更なる生物学的活性物質及び/又は医薬として許容し得る担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記更なる生物学的活性化合物が、神経(neutron)伝達エンハンサー、精神治療薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム-チャネル遮断薬、生体アミン、ベンゾジアゼピン系精神安定薬、アセチルコリンの合成、貯蔵若しくは放出のエンハンサー、アセチルコリンシナプス後受容体アゴニスト、モノアミンオキシダーゼ-A若しくは-B阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸グルタミン酸受容体アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬、抗酸化薬、セロトニン受容体アンタゴニスト、CCR2受容体アンタゴニスト及びMCP-1抗体から選択される、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記更なる生物学的活性化合物が、酸化的ストレスに対し有効である化合物、抗アポトーシス化合物、金属キレート剤、DNA修復の阻害剤、α-セクレターゼ活性化因子、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊因子、アミロイドβ除去/枯渇細胞成分に対する誘引物質、ピログルタミン酸修飾アミロイドβ3-42を含むN-末端切断型アミロイドβペプチドの阻害剤、グルタミニルシクラーゼ阻害剤、抗炎症分子、及びコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、並びにアミロイド若しくはタウ修飾物質及び栄養補助物質を含む他の薬物から選択される、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記更なる生物学的活性化合物が、PEP阻害剤、LiCl、DP IV又はDP IV-様酵素阻害剤;アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼ阻害剤、γセクレターゼ阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤、TNFα阻害剤、ムスカリンM1受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、σ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト、免疫調節薬、免疫抑制薬、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、Differin(CD 271、アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えばBB 76163)、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)及びSAIK-MSから選択される物質;β-アミロイド抗体、システインプロテアーゼ阻害剤;MCP-1アンタゴニスト、アミロイドタンパク質沈着阻害剤及びβアミロイド合成阻害剤から選択される、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記更なる生物学的活性化合物が、コリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記コリンエステラーゼ阻害剤が、タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、ガランタミン、ナイアシン及びメマンチンからなる群から選択されるものである、請求項29又は30記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記更なる生物学的活性化合物が、グルタミニルシクラーゼ阻害剤である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤が、1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素-塩酸塩である、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項35】
診断方法又は治療方法における、請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分、又は請求項26〜34のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項36】
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、
f.及び、他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など:から選択される炎症疾患からなる群から選択されるMCP-1-関連疾患及び状態の治療、予防又は遅延のための、請求項35記載の使用。
【請求項37】
アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、喘息、遅延型過敏反応、膵炎、アルツハイマー病、肺線維症、腎線維症、妊娠中毒症、移植片拒絶反応、神経因性疼痛、AIDS及び腫瘍の治療、予防又は遅延のための、請求項35又は36記載の使用。
【請求項38】
アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄及び膵炎から選択される疾患の治療、予防又は遅延のための、請求項35〜37のいずれか1項記載の使用。
【請求項39】
MCI又はアルツハイマー病の治療、予防又は遅延のための、請求項35〜37のいずれか1項記載の使用。
【請求項40】
前記MCP-1 N1pEペプチドを含むと推定される生物学的試料を、請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分と接触させる工程、並びに該抗体の試料中のMCP-1 N1pEへの特異的結合を検出する工程を含む、MCP-1 N1pEを検出する方法。
【請求項41】
生物学的試料中のMCP-1 N1pE又はそれらの変種を検出することを含む、MCP-1-関連疾患又は状態の診断のための、インビトロ又はインサイチュ診断方法。
【請求項42】
a.前記状態又は疾患に罹患していることが疑われる対象の試料、又は特定の体部分若しくは体領域を、請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分と接触させる工程;及び
b.前記試料由来のMCP-1 N1pEペプチドへの該抗体の結合を検出する工程:を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
a.MCP-1ペプチドを含むことが疑われる試料又は特定の体部分若しくは体領域を、該抗体と接触させる工程;
b.前記抗体をMCP-1 N1pEペプチドへ結合させ、免疫複合体を形成することを可能にする工程;
c.前記免疫複合体の形成を検出する工程;並びに
d.前記免疫複合体の存在又は非存在を、試料又は特定の体部分若しくは体領域中のMCP-1 N1pEペプチドの存在又は非存在と相関させる工程:を含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、又はそれらの任意の機能的に同等な抗体若しくは機能的部分の、試料中又はインサイチュのMCP-1 N1pEペプチドへの免疫特異的結合を検出することを含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記生物学的試料が、血清、体液、脳脊髄液(CSF)又は滑液試料から選択される、請求項41〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記生物学的試料が、血清試料である、請求項41〜44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
a.神経変性疾患、例えば、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群の神経変性、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、多発性硬化症など、
b.慢性及び急性炎症、例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、膵炎など、
c.線維症、例えば、肺線維症、肝線維症、腎線維症など、
d.癌、例えば癌/血管内皮腫の増殖、胃癌など、
e.代謝性疾患、例えば高血圧など、
f.及び、他の炎症疾患、例えば、神経因性疼痛、移植片拒絶反応/移植片機能不全/移植片血管障害、HIV感染症/AIDS、妊娠中毒症、結節硬化症など:から選択される炎症疾患からなる群から選択されるMCP-1-関連疾患及び状態の検出及び診断のための、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項47】
アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、喘息、遅延型過敏反応、膵炎、アルツハイマー病、肺線維症、腎線維症、妊娠中毒症、移植片拒絶反応、神経因性疼痛、AIDS及び腫瘍の検出及び診断のための、請求項46記載の使用。
【請求項48】
アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄及び膵炎の検出及び診断のための、請求項46又は47記載の使用。
【請求項49】
アルツハイマー病又は関節リウマチの検出及び診断のための、請求項46〜48のいずれか1項記載の使用。
【請求項50】
請求項1〜23のいずれか1項記載の抗体、及び使用説明書、及び任意に更なる生物学的活性物質(1種又は複数)を備える、診断用キット。
【請求項51】
請求項4記載のモノクローナル抗体の軽鎖可変領域をコードしている単離されたポリヌクレオチドであり、ここで該単離されたポリヌクレオチドが、配列番号:33、37及び41から選択される核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項52】
請求項5記載のモノクローナル抗体の重鎖可変領域をコードしている単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号:35、39及び43から選択される核酸配列を含む、前記単離されたポリヌクレオチド。
【請求項53】
請求項4記載のモノクローナル抗体の軽鎖可変領域の単離されたペプチドであって、配列番号:34、38及び42から選択されるアミノ酸配列を含む、前記単離されたペプチド。
【請求項54】
請求項5記載のモノクローナル抗体の重鎖可変領域の単離されたペプチドであって、配列番号:36、40及び44から選択されるアミノ酸配列を含む、前記単離されたペプチド。
【請求項55】
配列番号:7〜32からなる群から選択される、オリゴヌクレオチド。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−500016(P2012−500016A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523422(P2011−523422)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060757
【国際公開番号】WO2010/020669
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】