ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器用の希土類がドープされ有効区域が大きい光ファイバ
【課題】大口径コアおよび/または高いドーピングを可能にするガラスを提供すること。
【解決手段】本明細書に記載の様々な実施形態には、コア・サイズの大きい光ファイバおよびロッドで使用されてもよい、希土類がドープされたガラス組成物が含まれる。このような光ファイバおよびロッドは、ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器で使用されてもよい。ガラスの屈折率は、実質上均一でもよく、実施形態によってはシリカの屈折率に近くてもよい。これらの特徴に対する実現可能な利点には、コア内での追加導波路の形成を低減させることが含まれ、コア・サイズが大きくなるにつれて、ますます問題になる。
【解決手段】本明細書に記載の様々な実施形態には、コア・サイズの大きい光ファイバおよびロッドで使用されてもよい、希土類がドープされたガラス組成物が含まれる。このような光ファイバおよびロッドは、ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器で使用されてもよい。ガラスの屈折率は、実質上均一でもよく、実施形態によってはシリカの屈折率に近くてもよい。これらの特徴に対する実現可能な利点には、コア内での追加導波路の形成を低減させることが含まれ、コア・サイズが大きくなるにつれて、ますます問題になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年9月20日出願の「Rare Earth Doped Large Effective Area Optical Fibers for Fiber Lasers and Amplifiers」と題する米国特許仮出願第60/846,012号(整理番号IMRAA.037PR)の優先権を主張し、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する。
【0002】
本出願は、たとえば、希土類がドープされた光ファイバおよび有効区域が大きいファイバを含み、たとえばファイバ・レーザおよびファイバ増幅器で使用することができる光ファイバ、ならびにこのようなファイバを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバ・レーザは、様々な利点により、過去10年間にわたりそれらの半導体相当品をしのぐ大きな将来性を示してきた。ファイバ・レーザは、製造が容易であり、熱放散が効率的で、より安定で、より良いビーム品質を生み出し、より高信頼でよりコンパクトである。
【0004】
ファイバ・レーザにおいてパワーを増大させる際の主要な限界には、非線形効果および光損傷が含まれ、それらは、レーザにおける光学モードの厳しい制限の直接の結果である。光ファイバには、いくつかの非線形効果がある。自己位相変調は、高ピーク・パワーの超短パルスの生成において優位を占める。ラマン散乱は、より長いパルスおよび連続波動作に対して、主要な制限のうちの1つである。ブリユアン散乱は、狭スペクトル線幅の用途で優位を占める。
【0005】
どのようにしてこれらの非線形効果を打ち消すかについて、多くの研究がなされてきた。あるレベルの自己位相変調は、セルフシミラリトン(self-similaritons)での分散によって平衡をとることができる。ストーク波長(Stoke wavelengths)において損失を増大させるためのW型導波路設計により、ラマン散乱を低減させることができる。音響導波性を低減させることにより、ブリユアン散乱を低減させることもできる。これらの非線形効果のすべては、光ファイバ・コア内で光強度が高いことの直接の結果なので、コアのサイズを増大させることは、有効なモード区域を増大させることと同等であり、光強度を、したがって非線形効果を効果的に低減させることができる。
【0006】
適切な空間フィルタおよび/または基本モードの選択的なモード励起がある場合、コアのサイズがより大きいマルチモード・ファイバを使用して、近回折限界増幅器の役割を果たすことができる。マルチモード・ファイバを使用することにより、単一モード・ファイバによって提供されるコアのサイズを超えて、コアのサイズを増大させることが可能になる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される、Fermannらの米国特許第5,818,630号を参照されたい。コアのサイズの増大とともにファイバがよりマルチモードになるにつれて、良好なビーム品質を維持するためには、これらのファイバにおいて、基本モードの容易な放出および確実な伝搬もますます重要である。
【0007】
非線形効果を低減させる他の有効な方法は、長さの短いファイバを使用することである。この手法は、高濃度に希土類がドープされたホスト・ガラスを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/846,012号
【特許文献2】米国特許第5,818,630号
【特許文献3】米国特許出願第10/844,943号
【特許文献4】米国特許第6,711,918B1号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「High-power air-clad large-mode-area photonic crystal fiber laser」、Optics Express、vol.11、818〜823頁、2003年
【非特許文献2】「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720頁、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、必要となるものは、大口径コアおよび/または高いドーピングを可能にするガラスである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載の様々な実施形態には、光ファイバで使用してもよい希土類がドープされたガラス組成物、およびコア・サイズの大きいロッドが含まれる。ガラスの屈折率は、実質上均一でもよく、実施形態によっては、シリカの屈折率に近くてもよい。これらの特徴に対する実現可能な利点には、コア内での追加導波路の形成を低減させることが含まれ、コア・サイズが大きくなるにつれて、ますます問題になる。
【0012】
たとえば、本明細書に記載の様々な実施形態は、屈折率を有するシリカ、前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリン、前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素、および前記シリカ中の希土類イオンを含む、ドープされたガラスを備える。希土類イオンは、シリカ中の濃度が少なくとも約1000モルppmである。リン、ホウ素、および希土類イオンを内包するシリカの屈折率は、シリカの屈折率の約±0.003以内である。
【0013】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンがドープされたガラスを製造する方法を含む。その方法は、希土類イオンがドープされたガラスを含む複数のロッドを束ねる工程、および束ねられたロッドを引き伸ばして第1のロッドを形成する工程を含む。実施形態によっては、第1のロッドが、より短いセクションにカットされ、それらが束ねられ引き伸ばされて、第2のロッドを形成してもよい。この第2のロッドの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1μmである屈折率観測装置を用いて測定される、約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さくてよい。
【0014】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むロッドを備える。コアの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1から0.5μmである屈折率観測装置を用いて測定される約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さい。
【0015】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むファイバを備える。コアの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1から0.5μmである屈折率観測装置を用いて測定される約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さい。
【0016】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むロッドを備え、コアは、平均屈折率がシリカの屈折率の約±0.003以内である、少なくとも200平方ミクロン(μm2)のドープされた領域を備える。
【0017】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むファイバを備え、コアは、平均屈折率がシリカの屈折率の約±0.003以内である、少なくとも200平方ミクロン(μm2)のドープされた領域を備える。
【0018】
本明細書に記載の他の実施形態は、コア半径がρのコア、コアの周りに配置された第1のクラッド、および第1のクラッドの周りに配置された第2のクラッドを含むステップ・インデックス光ファイバを備える。第1のクラッドは、外半径がρ1である。コアおよび第1のクラッドは、屈折率での差がΔnであり、第1のクラッドおよび第2のクラッドは、屈折率での差がΔn1である。このステップ・インデックス光ファイバについては、(i)コア内で10未満のモードがサポートされ、(ii)第1のクラッドの半径ρ1は、約1.1ρよりも大きく、約2ρよりも小さく、また(iii)第1のクラッドと前記第2のクラッドの間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnよりも大きく、約50Δnよりも小さい。
【0019】
本明細書に記載の他の実施形態は、光増幅を可能にする光ファイバ・システムを備える。光ファイバ・システムは、1つまたは複数のタイプの希土類イオンでドープされた光ファイバを備える。光ファイバは、テーパー状の入力を有し、そこから長く伸びる。光ファイバ・システムは、光ファイバに光学的に結合された光ポンプ、および光ファイバのテーパー状の入力に光学的に結合された光源をさらに備える。テーパー状の入力端は、テーパー状の入力から長く伸びる部分よりも、低減された数の光学モードをサポートする。
【0020】
本明細書に記載の他の実施形態は、ガラスを製造する方法を含む。この方法は、蒸着によりホウ素を導入する工程、および蒸着により亜リン酸を導入する工程を含み、ホウ素および亜リン酸は、互いに異なる時点で導入される。ホウ素および亜リン酸を互いに異なる時点で導入することで、気相でのホウ素および亜リン酸の反応を防止する。
【0021】
本明細書において開示される装置、組成物、および方法の例示的な実施形態は、各添付図に示され、各添付図は例示だけを目的とする。図面は添付の各図を含み、同様の番号は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本明細書に記載の実施形態によっては光ファイバの製造で使用することができる、ロッドの形での高濃度にドープされたガラスを概略的に示す図である。
【図2A】チューブの表面上での変形化学気相沈積法(MCVD)のための装置を概略的に示す図である。
【図2B】図2Aに示されるチューブ内でのコア・スートの蒸着を概略的に示す図である。
【図2C】(a)イッテルビウムのドーピングを含むガラス母材のコア領域を横切る屈折率、(b)ガラスの平均屈折率、(c)シリカの屈折率、および(d)同様のイッテルビウム・ドーピング・レベルを有する従来のシリカ母材の平均屈折率の例をプロットした図である。
【図3A】図2Aおよび2Bに示される装置によって製造することができるような母材構造を概略的に示す図である。
【図3B】イッテルビウムを含まない、図3Aの母材の各部分を取り除くことによって製造されるロッドを概略的に示す図である。
【図4A】イッテルビウムがドープされたロッドのスタック、およびスタックのキャニング(canning)を概略的に示す図である。
【図4B】図4Aの線AAを横切る屈折率プロファイルをプロットした図である。
【図5A】図4Aに示されるプロセスで作製されるガラス棒(canes)によって形成されるスタック、およびスタックのキャニングを概略的に示す図である。
【図5B】図5Aの線BBを横切る屈折率プロファイルをプロットし、増大した均一性および屈折率を示す図である。
【図6】図4A、4B、5A、および5Bに関して上記に開示される技法などの技法を使用して製造される、イッテルビウムがドープされたコアを有する漏洩チャネル・ファイバの断面図の写真である。
【図7A】図6に示されるようなファイバの漏洩の断面図を概略的に示す図である。
【図7B】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率と一致する平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図7C】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率よりも高い平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図7D】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率よりも低い平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図8】Yb3+ドープされたコアを含む、大口径コアの偏光維持(PM)ファイバの断面図の写真である。
【図9A】コアレス・ファイバとともにスライスすることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図9B】端面を形成するために劈開された、図9Aのコアレス・ファイバを概略的に示す図である。
【図10A】大口径コアのファイバ内の穴を縮小させることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図10B】端面を形成するために劈開された、図10Aのコアレス・ファイバを概略的に示す図である。
【図10C】大口径コアのファイバ内の穴にテーパーをつけ縮小させることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図10D】端面を形成するために劈開された、図10Cのテーパーつきファイバを概略的に示す図である。
【図11】シリカ・クラッドの屈折率よりも高い平均屈折率を有する、本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、希土類がドープされたコアを組み込むステップ・インデックス・ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図12】シリカ・クラッドの屈折率よりも高い平均屈折率を有する、本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、ドープされたコアを組み込む偏光維持(PM)ステップ・インデックス・ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図13】本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、ドープされたコアを組み込む耐曲げ性ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図14】本明細書に記載のプロセスによって形成されるダブル・クラッド・ファイバを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細は、例および図によって説明されることになる。多くの実現可能な変形形態もまた可能であり、各例で使用されるプロセスの詳細には限定されないことが、当業者には容易に理解できる。
【0024】
前述の通り、ファイバ・レーザでのパワーの増大に対する1つの制限には、非線形効果および光損傷が含まれ、それらは、レーザにおける光学モードの厳しい制限の直接の結果である。これらの非線形効果は、光ファイバ・コア内で光強度が高いことの直接の結果であるので、コアのサイズを増大させることは、有効なモード区域を増大させることと同等であり、光強度を、したがって非線形効果を効果的に低減させることができる。
【0025】
マルチモード・ファイバを使用することにより、単一モード・ファイバによって提供されるコアのサイズを超えて、コアのサイズを増大させることが可能になる。コアのサイズがより大口径のマルチモード・ファイバは、適切な空間フィルタおよび/または基本モードの選択的なモード励起がある場合、近回折限界増幅器の役割を果たすために使用することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用されるFermannらの米国特許第5,818,630号を参照されたい。
【0026】
主に、高マルチモード・ファイバにおける放出の困難さおよびモード間結合のために、確実な基本モード動作が必要とされる場合、従来のファイバは、〜35μmのコア径の限界に達する。過去数年において、フォトニック結晶ファイバ(PCF)に基づく新規設計が研究されてきた。この設計は、弱い導波路の設計を犠牲にして単一モードまたは非常に少ないモードをサポートする、大口径コアのファイバの実証を可能にする。
【0027】
参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「High-power air-clad large-mode-area photonic crystal fiber laser」、Optics Express、vol.11、818〜823頁、2003年において、Limpertらは、〜28μmのコア径を有するフォトニック結晶ファイバを開示する。単一モードの伝搬を確実にするために、このファイバ設計は、穴径対穴間隔の比d/Λが0.18よりも小さい多数の小径穴を有する。使用される穴径dは、d/λ≒2である動作波長λに相当する。この小径穴サイズ/波長の比においては、空気穴への著しい光パワーの浸透が生じ、これにより、曲げに対する感度が厳格になる。主に、曲げ損失が高いので、確実な基本モード動作のために、この設計はまた〜35μmに制限される。
【0028】
参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720頁、2006年において、Limpertらは、フォトニック結晶ファイバの設計を用いたロッドを開示する。直径1.5mmのロッドにおいて、フォトニック結晶の設計を用いて、100μmまでのコア径が達成されてきた。100μmのコア・ロッドにおけるd/Λ比は、0.2である。ロッドの構造は、導波路をまっすぐに保ち、高い曲げ損失を軽減する。実際的な理由により、ロッドの長さは0.5メートルに制限される。
【0029】
対照的に、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「Large Core Holey Fibers」と題する米国特許出願第10/844,943号(IM−107;整理番号IMRAA.024A)に開示される設計手法は、数がはるかに少なく、はるかに大きい穴を使用する。この設計では、高次モードが流出し、その結果高次モードにおいて高い伝搬損失が生じるように、はるかに大きい漏洩チャネルを作り出す。はるかに大きい空気穴を使用することで、曲げ感度が低減する。この設計の最新の実装形態では、0.65と同じ高さのd/Λが使用され、その結果、曲げ損失がはるかに低減する。穴径対波長の比d/Λをはるかに大きくすると、穴への光パワーの浸透を効果的に防止し、その結果、湾曲したファイバにわたって、光学的な導波がはるかに改善される。このタイプの設計はまた、高次モードの漏洩損失が高いために、モード間結合が低減させられ、その結果、単一モードの伝搬がはるかに改善される。
【0030】
米国特許出願第10/844,943号で開示されるフォトニック結晶ファイバの設計および漏洩チャネルの設計を用いて実際的な増幅器ファイバを作製するためには、ドープされたコア上の屈折率の均一性は、従来の光ファイバ製造で実現できる均一性よりも良好であることが好ましい。
【0031】
コアがより大きくなるとき、屈折率の比較的高い局所的な材料が屈折率の比較的低い材料によって囲まれるために、コア上で屈折率が不均一であることにより、局所的な導波路が形成されることがある。局所的な導波路の形成は、屈折率の不均一性のレベル、ならびに屈折率の不均一性の幾何学サイズに依存する。コア上の実質的な屈折の均一性は、この局所的な導波を低減させることができる。具体的には、不均一性を小さい幾何学サイズに保つことにより、屈折率での局所的な変化が導波路を形成することにはならない。したがって、様々な実施形態では、屈折率の不均一性は、波長の長さの数倍未満に保たれる。さらに、屈折率の大きい不均一性は、より小さくされる。このような均一性は、大口径コアに対してよりも、小さいコアに対して達成するほうが容易である。
【0032】
さらに、コアのドープされた領域での屈折率が、コアのドープされていない領域よりも高い場合、コア内に導波路が形成されてもよい。コアは、たとえばシリカを含んでもよい。光学利得を得るようにドープされたシリカの各部分が、ドープされていないシリカよりも屈折率が高い場合、追加の局所的な導波が生じてもよい。コアのドープされた領域およびドープされていない領域の正確な屈折率の整合は、この問題を軽減することがある。ドープされた区域がより大きいとき、たとえば、有効コア区域がより大きいとき、より密接な屈折率整合は、ドープされた領域が小さい場合よりも有用になることがある。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態において、ドープされたコアの平均屈折率も、コア内にも使用されるクラッド・ガラスの屈折率に近接するように制御される。ドーピング・レベルが3000モルppm以上である希土類イオン向けの知られている母材を使用して、ドープされたガラスの屈折率をこのように制御することは難しいことがある。
【0033】
本明細書に記載の実施形態によっては、コア内の屈折率がより高い、高濃度にイッテルビウムがドープされたロッドに加えて、シリカよりも屈折率が低い、フッ素がドープされたシリカ・ロッドを束ね、束ねられたロッドを引き伸ばしてコア・ロッドを作製することにより、所望の屈折率の均一性および平均屈折率を実現することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720ページ、2006年を参照されたい。シリカの屈折率に近接した総合的な平均屈折率をもたらすように、フッ素がドープされたロッドの数、およびイッテルビウムがドープされたロッドの数は慎重に選ばれる。2つのタイプのロッドの合計数は大きく、それらのロッドはスタックの中で均等に分散される。各ロッドは、通常は6角形のスタックに束ねられ、引き伸ばされてコア・ロッドが作製される。このようにして、高度の平均屈折率制御を達成することができる。光は、光の波長よりもはるかに小さい寸法の構造体を認識することができないので、最初の個々のロッドが、最終のコアにおいて光の波長程度の寸法にまで低減されるとき、非常に均一な屈折率を達成することができる。しかし、イッテルビウムを含まないフッ素ドープされたシリカ・ロッドによって希釈されるために、この技法は、最終のコア内での平均のイッテルビウム・ドーピングのレベルを低減させる。このようなフッ素がドープされたロッドは、平均屈折率を達成するために使用することができるが、イッテルビウムを含まなくてもよい。この手法は、利得をもたらすために使用される平均イッテルビウムレベルを下げることになる。
【0034】
それにもかかわらず、理論上、平均屈折率の正確な制御は、1つは屈折率が高く1つは屈折率が低い2つのタイプのロッドを含むガラス内の各タイプのロッドの数の比を制御することによって達成することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される、Klinerらに交付された米国特許第6,711,918B1号を参照されたい。クラッド・ガラスは比較的少数の高屈折率のロッドを含むが、コアは比較的多数の高屈折率のロッドを含む母材を作製することができる。
【0035】
ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器内のイッテルビウムのための従来の母材は、シリカ・ガラス母材であった。高いドーピング・レベルでのイッテルビウム・クラスタリング(ytterbium-clustering)を低減させるために、あるレベルのアルミニウムまたはリンが、しばしば加えられる。各イッテルビウム・イオン間の相互作用の結果、多光子のアップコンバージョンが生じ、したがって、レーザまたは増幅器において追加のエネルギー損失が生じることもあるという事実により、イッテルビウム・クラスタリングは望ましくない。
【0036】
さらに、光黒化(photo-darkening)は、ファイバ内に大量の光パワーが存在する結果として色中心が作り出されることにより、ファイバ内の背景損失が永久に増大させられる現象である。光黒化は、高いイッテルビウム・ドーピング・レベルでのイッテルビウム・クラスタリングに関連していると一般的に信じられており、複数のイオンが相互に作用して、光黒化を生じさせる非常に高いエネルギー・レベルを有する光子を発生する。その効果は、暴露の期間の後に飽和することがあるが、出力パワーの損失、およびファイバ・レーザおよびファイバ増幅器内での効率の低減の一因となる。光黒化は、高いパワー・レベルにおいてより厳格であり、適切に処理されない場合には、高出力ファイバ・レーザ・システムでの著しいパワー損失の一因となることがある。
【0037】
しかし、イッテルビウム・クラスタリングを低減させるためにアルミニウムおよびリンを加えることは、屈折率を上げる効果がある。必要とされる場合、少量のゲルマニウム・ドーピングを加えて、屈折率を上げることができる。フッ素を加えて、屈折率を下げることができる。人工シリカ・ファイバの製造技法の現状により、シリカ・ガラスに組み込むことができるフッ素の量が制限されるため、希土類がドープされたコアの屈折率は、通常シリカの屈折率よりも高い。希土類ドーピングによる屈折率の増大に加えて、適度に低いレベルのクラスタリングを達成するために、アルミニウムまたはリンに対して必要とされるドーピング・レベルはより高いので、このことは特に希土類が高濃度にドープされたコアに対して当てはまる。したがって、屈折率がシリカの屈折率に近いある種の大口径コアのファイバ設計において、ファイバ・レーザのパワー・スケーリングのために使用される希土類が高濃度にドープされたコア・ガラスを作製することは、特に難しい。
【0038】
しかし、本明細書に記載の様々な実施形態には、屈折率がシリカの屈折率に近い、希土類が高濃度にドープされたガラス組成物が含まれる。このようなガラスは、他のロッドならびに光ファイバを製造するための母材として使用することができるロッドに作りかえることができる。さらに、このようなガラスは、遠隔通信産業における光ファイバの製造で使用される成熟した技術で製造することができる。
【0039】
たとえば、図1に示される一実施形態は、高水準の希土類イオン、たとえば>1000モルppmを有し、屈折率がシリカ・ガラスの屈折率に非常に近い、たとえば屈折率の差がΔn<1×10-3であるガラス組成物を含むガラス・ロッドすなわち母材2を備える。この実施形態では、大部分のシリカ・ガラスは、著しいレベルのリン、たとえば10〜50モル%のリン、およびホウ素、たとえば8〜50モル%のホウ素を有する。様々な実施形態では、リンおよびホウ素は、リンまたはホウ素を含む化合物の中に存在する。大部分のシリカ・ガラスは、たとえば、5〜25モル%のP2O5、および4〜25モル%のB2O3を含んでもよい。たとえば、質量分析計またはSEMを使用する元素分析を使用して、ガラスの組成を決定してもよい。このようなガラス組成物により、失透することなく20,000モルppmまでのイッテルビウム・ドーピング・レベルが可能になり、非常に効率的なレーザおよび増幅器の動作が可能になることが分かってきた。同等量のイッテルビウム・ドーピング・レベルについて、製造されたファイバでは、光黒化効果は大幅に低いことが分かってきた。このガラスを使用することにより、光黒化を低減させることができ、その結果、はるかに安定で効率的な高出力ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器を実現することができる。
【0040】
本明細書に記載の様々な実施形態には、実効屈折率の均一性がきわめて高いドープされたファイバ・コアを製造するための技法も含まれる。コアおよびクラッドを有する、希土類がドープされた多数の母材を製造することにより、この高い均一性を達成することができる。ドープされたコア・ガラスの平均屈折率は、シリカ・ガラスの屈折率に非常に近くなるように製造される。母材のクラッド・ガラスは、研削または穴あけにより、全体的にまたは部分的に取り除いてもよい。結果として、図1に示されるようなロッドを得ることができる。結果として得られるロッドは束ねられ、このスタックは引き伸ばされてより小さいサイズのロッドになり、スタック内の各構成ロッドの実質的な融着を確実に行う。場合によっては、スタックは引き伸ばす前にチューブに挿入することができる。引き伸ばされたロッドは、切断し、他の同様のロッドとともに再度束ね、同様の手順に従って再度引き伸ばすことができる。最終的に一様なロッドを得るために、このプロセスは何度も繰り返すことができる。最終のファイバでは、高い引伸ばし温度での、粘性の低い希土類がドープされたガラスの流れおよび拡散により、ドープされたガラスはさらに混合されてもよい。スタックがチューブに挿入される代替構成では、構造体を融着させるために、追加の工程を加えてもよい。次いで、引き伸ばしてロッドにする前に、チューブの一部分または全部を、研削またはエッチングによって取り除いてもよい。
【0041】
他のドープされたガラスと対照的に、本明細書に記載のこの希土類がドープされたガラスにより、シリカ・ガラスの屈折率に非常に近い屈折率にすることができる。さらに、他の方法で使用される2つのタイプのガラス・ロッドの代わりに、同じタイプのガラス・ロッドのスタック・アンド・ドローを繰り返すことによって、非常に均一な希土類がドープされたコア・ガラスを作製することができる。この手法は、ガラスの均一性をさらに改善し、ファイバ・コア内で、高く有効な希土類ドーピング・レベルを可能にする。
【0042】
母材を束ねキャニングすることによって形成されるファイバを製造するための様々なファイバおよびプロセスが、以下でより詳細に記述される。母材を製造するプロセスも記述される。母材、ファイバ、および他の構造体を製造するためのプロセスは、例および図により詳細に記述されることになる。しかし、プロセス、ならびに結果として生じる成果物および中間の成果物における広範囲の変形形態が可能である。各処理工程は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。同様に、各成分は、加えても、取り除いても、また、異なるようにまたは異なる量で構成されてもよい。具体的には、初期成分および添加成分を変更してもよい。
【0043】
以下の各例で使用される母材の製造技法は、変形化学気相沈積法(MCVD)であるが、たとえば外部析出プロセスなど、他の知られている蒸着技法も使用することができる。液体前駆物質、たとえばそれぞれSiCl4およびPOCl3を用いて、従来のバブラー装置を介して、シリコンおよびリンが析出ゾーンに導入される。ガス前駆物質、たとえばBCl3を介して、ホウ素が析出ゾーンに導入される。フッ素も使用され、CF4を介して導入される。よく知られた溶液ドーピング・プロセスを介して、希土類イオンが導入される。
【0044】
プロセスの初期段階では、図2Aに示されるように、外径が25mmで内径が19mmの基板チューブ10は、洗浄され、MCVDシステムの旋盤上に配置される。この例では、フィンランド、ヴァンターのNextrom Technologies社製の、光ファイバ製造用の標準のMCVDシステムが使用されるが、他のシステムを使用してもよい。基板チューブ10は、直径が同様のスターティング・チューブ11と第1の端で、また直径がより大きいスート・チューブ12と第2の端で接合される。スターター・チューブ11は、チャック13によって保持され、回転シール15を介してガス入口管16に接続される。スート・チューブ12も、チャック14によって保持される。スート・チューブ12は、排気ガスを放出前に処理するスクラバ(scrubber)に接続される。基板チューブ10に沿って動く移動式バーナ17は、基板チューブの一部分を一度に加熱することができる。バーナ17は、スート・チューブ12との接合部付近の基板チューブ10の端に到達するとき、スターター・チューブ11との接合部付近の基板10の開始部分に急速に移動する。バーナは、基板チューブ10に沿った次の移動に備えることになる。チャック13、14は、40rpmの速度で回転する。
【0045】
基板チューブ10の内面からガラスの層を取り除くために200sccmのCF4が使用されるエッチング通路を用いて、基板チューブ10は最初に洗浄される。シリカを含んでもよい、屈折率が基板チューブに近いクラッドを析出させるために、1つまたは複数の任意選択のクラッド通路が使用される。クラッドを形成するために、500sccmのSiCl4、300sccmのPOCl3、および10sccmのSF6の流れが使用されてもよい。
【0046】
図2Bに示されるように、スート・チューブ端から上流にバーナ17を動かすことにより、コア層が析出される。バーナ17は、スート形成に先だって上流に移動し、したがって、図2Bに示されるように、どんなスートの焼結も避けるために、バーナがコア・スート20の上を通り過ぎることはない。実施形態によっては、コア形成のために使用される流れは、100sccmのSiCl4、500sccmのPOCl3、および200sccmのCF4である。コアが通過する間、バーナ17は、20mm/分でスート・チューブ端からスターティング・チューブ端に進んで、スート形成を促進する。バーナについては、47slm(standard liter/min)の水素および酸素/水素比0.45が使用される。次いで、コア・スート20を1300℃に加熱することによって固化するために、コア層は通過させられる。
【0047】
次いで、基板チューブ10は、旋盤から取り出されて、イッテルビウムをスート層に組み込むために、YbCl3溶液にコア・スート20を浸漬する。1時間の溶液ドーピングの後に、溶液は排出され、基板チューブ10は旋盤上に戻される。基板チューブは、窒素を通過し、〜1000℃まで加熱されることにより、数時間乾燥される。コア・スート20は、10〜150sccmのBCl3の流れとともに1750℃に加熱することによって焼結される。焼結を経た後、基板チューブ10は、あるレベルのPOCl3の過剰ドーピングで崩壊プロセスを通過し、バーナの温度は著しく上げられ、バーナの速度は下げられる。崩壊プロセスの間、チューブの表面張力は、チューブの外径を低減させる。実施形態によっては、3〜5回の崩壊工程が使用される。チューブはすべて崩壊して、最後にはロッドになる。イッテルビウムがドープされたコアを有する固形の母材が得られる。この実施形態では、ホウ素および亜リン酸は、互いに異なる時点で導入され、それにより、気相でのホウ素および亜リン酸の反応の可能性を低減させる。
【0048】
図2Cの曲線100は、製造されるイッテルビウム・ドープされた母材のコア部分全体にわたる屈折率プロファイルを示す。線102で示されるシリカの目標屈折率とともに、コア全体にわたるこの母材の平均屈折率が、線101で示される。101で示されるコア全体にわたる母材の平均屈折率は、102で示される目標屈折率の±1×10-4以内に収めることができる。従来のシリカ・ホストを用いて作製される平均屈折率の例が線103によって図示され、はるかに高い値である。ガラス内に組み込まれるはるかに大量のB2O3レベルにより、マッチングが著しく増大し、それにより、ドープされたガラスの屈折率が低下した。
【0049】
コアは、3500〜17500モルppmのYb3+イオンでドープされ、976nmで300〜1500dB/mの吸収が生じる。この例では、コアは、15〜25モル%のP2O5、0.1〜0.5モル%のF、および10〜25モル%のB2O3でさらにドープされる。50μmのコア・ファイバについては、実施形態によっては、平均屈折率とシリカの屈折率の間の差Δn=n−nsilicaは、1μmの波長において−5×10-3よりも大きく、5×10-4よりも小さい。場合によっては、少なくとも1つには、イッテルビウム・クラスタリングを防止するリンを含有しているために、同等量のイッテルビウム・ドーピング・レベルに対して、製造されたファイバにおいて光黒化効果も大幅に低減させられる。ファイバを製造するのに使用されるパラメータの変化を使用してもよく、結果も変化してよい。
【0050】
図3Aは、図2A〜2Cを参照しながら前述したプロセスで製造されてもよい基板チューブ10からの、コア201、任意選択の析出されたクラッド層202、およびシリカ・ガラス層203を備える母材200の構造を示す。図3Bは、シリカ層203、析出されたクラッド層202、および、おそらくコア201の小さな部分を取り除くことにより、母材200から作製されるコア・ロッド210をさらに示す。断面図211には、コア201の全部または一部分が含まれる。一代替実施形態では、ロッド211は、クラッド層202の一部分を含む。
【0051】
繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスは、希土類がドープされたコアを有する複数の母材の製造から始まる。次いで、母材は研削されて、シリカ層203が取り除かれ、大部分は希土類がドープされたコア・ガラスを含む複数のコア・ロッド210を作製するために、析出されたクラッド層202が全体的にまたは部分的に取り除かれる。代替例として、イッテルビウムを含まないガラス層をエッチングで取り除く工程、およびドープされたコアを穴あけして取り除く工程が、この目的のために使用することができる。
【0052】
次いで、図4Aに示されるように、ドープされたコア・ロッド210は束ねることができる。その高い実装密度により、図4Aに示される6角形のスタック300を使用してもよいが、他のスタック構成を使用することもできる。スタックが所定の位置に保持される間、スタック300の両端は融着される。次いで、融着された両端は、キャニングの間、スタック300の形状を保持することができる。スタック300全体を融着することは任意選択である。図4Aに示される後続のキャニング・プロセスにおいて、ドープされたコア・ロッドの浪費を低減させるために、ドープされたコア・ロッド210は、一端または両端においてドープされていないロッドと接合することもできる。次いで、スタック300は、スタック内のすべてのロッドを融着するための適切な引伸ばし条件を選ぶことにより、単一のロッド310にキャニングすることができる。スタック300は、引き伸ばす前に、チューブ(図4Aでは図示せず)に挿入することもできる。引き伸ばしている間、チューブは、スタック300を所定の位置に保持しなくてすむ。キャニングされたロッド310は、実質上融着された断面図を有する。図4Bは、図4Aに示されるAAに沿った断面図を横切る屈折率プロファイル320を示す。屈折率プロファイル320は、主に、寸法が縮小された最初のコア・ロッド210の屈折率を含む。より高いキャニング温度では、流れおよび拡散が発生することがある。最初のロッド210の屈折プロファイルの山と谷は、大幅に平滑化することができる。
【0053】
次いで、図5Aに示される繰返しプロセス用にスタック400を形成するために、ガラス棒310は、複数のセクションに切断され、再び束ねることができる。このプロセスは何度も繰り返すことができる。図5Bは、図5Aでの結果として生じるガラス棒410の線BBに沿った屈折率プロファイル420を示す。屈折率プロファイル420は、主に、寸法が縮小された最初のガラス棒310の屈折率プロファイルを含む。この場合も、キャニング温度が高い場合、流れおよび拡散により、屈折率プロファイル420(BBに沿って表示される)は大幅に平滑化することができる。これにより、より均一な屈折プロファイルを作成することができる。第2段階は、製造される母材内での不整合を排除することができるので、実施形態によっては、少なくとも2つの段階が使用される。図4Aおよび5Aでのスタックの例では、37本のロッドのスタックが使用される。他のスタック・サイズを使用することもできる。各段階で使用されるロッドの数は、同じである必要はない。様々な実施形態において、構成は変化してもよい。
【0054】
このプロセスの別の実施例では、2段階プロセスの各段階において、スタックは、引伸ばしの前にチューブに挿入される。さらに、引伸ばしに先立って、スタックおよびチューブを融着させるのに、追加工程を使用することができる。次いで、研削またはエッチングにより、チューブは、全体的にまたは部分的に取り除かれてもよい。さらに、ドープされたロッドは、大口径コアのファイバのコア領域に組み込まれる。このようなファイバは、ドープされたコアを、ドープされていないロッドならびに中空の(ドープされていない)ロッドとともに束ね、引き伸ばすことによって製造されてもよい。それによって製造されるファイバ500の断面図が、図6に示される。ファイバ500は、コア501を定義する6つの穴502を備える。6つの穴は、引伸ばしプロセスで使用される6本の中空ロッドから形成されてもよい。他のプロセスおよび構成が使用されてもよい。コア503のドープされた部分は、それぞれ第1および第2のスタックを示す図4Aおよび5Aに関して前述したような繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスによって製造される、ドープされたロッドを備える。第1のスタックで使用される任意選択のシリカ・チューブは、イッテルビウムがドープされたガラスの屈折率よりも屈折率がわずかに低いので、第2のスタックで使用されるロッドの各々は目に見える。
【0055】
図6に示される実施形態では、ホーリー・ファイバ500内のドープされたロッドならびに穴502に対して、シリカ・ガラスは母材として使用される。他の様々な実施形態では、ホーリー・ファイバ内のドープされたロッドおよび/または穴に対して、シリカは母材として使用されてもよい。したがって、シリカは、コア503内のドープされた領域に対して母材として使用されてもよく、クラッドを作製するための母材の材料として使用されてもよい。他の実施形態では、母材の材料として他の材料が使用されてもよい。さらに、たとえばホーリー・ファイバ内のドープされた領域(たとえばロッド)または穴を囲むために、コアまたはクラッドの領域のいずれに対しても、様々な母材の材料が使用されてもよい。
【0056】
図7A〜7Dは、ドープされたコア・ロッドが、異なる平均屈折率を有するように選ばれる、様々な実施形態を示す。図7Aは、コア501を形成する6つの穴502を有する漏洩チャネル・ファイバ500を示す。コア501の一部分503は、ドープされたロッドから作製される。図7B、7C、および7Dは、図7Aでの線504に沿って例示された屈折率プロファイルであり、図7Aで、ドープされたコアの平均屈折率は、それぞれ、使用されるシリカ・ガラスの屈折率と同じ、それよりも高い、またそれよりも低い。
【0057】
図7Bは、平均屈折率612がシリカ・ガラス610の屈折率と一致する、コア501のドープされた部分503の屈折率611を示す。空気の屈折率613も図7Bに示される。図7Cは、平均屈折率622がシリカ・ガラス610の屈折率よりも高い、コア501のドープされた部分503の屈折率621を示す。この場合、この高い平均屈折率のために、追加の導波路が生じることになる。実施形態によっては、平均屈折率とシリカの屈折率の差Δn=n−nsilicaは十分に小さく、したがって、V=2πρNA/λは約6未満に保たれる。ただし、Xは光学波長であり、ρはコア半径であり、NA=(n2−nsilica2)1/2≒nsilica(2Δn/nsilica)1/2である。様々な実施形態では、Vは約2.4よりも低く、したがって、この追加の導波路では高次モードはサポートされない。この追加の導波路が局所的に増大する屈折率によって作製される場合、高次モード伝搬を低減させるための総合的な導波路効果を低減させるために、穴502を低減させることができる。各穴の間のギャップは、漏洩チャネルを提供する。漏洩を増大させるために、穴のサイズまたは/および数のいずれかを低減することができる。それにより、高次モードを漏洩させることができ、数モードまたは単一モードのファイバが提供される。
【0058】
図7Dは、平均屈折率632がシリカ・ガラス610の屈折率よりも低い、コア501のドープされた部分503の屈折率631を示す。この場合、この低い平均屈折率のために、追加の負の導波路が生じることになる。様々な実施形態では、平均屈折率とシリカの屈折率の差Δn=n−nsilicaは−0.005よりも大きく、したがって、穴502からの導波路効果を相殺せず、−0.001よりも大きくてもよい。この追加の負の導波路が存在する場合、総合的な導波路効果を増大させるために、穴502は増大させられてもよい。穴のサイズまたは数のいずれかが増大させられてもよい。
【0059】
図8は、4つの穴702に加えて2つの応力要素704を組み込む、偏光維持(PM)ファイバ700の断面図を示す。コア701は、図4Aおよび5Aを参照しながら記述されたプロセスを使用して製造されるロッドなど、ドープされたロッドを使用して形成される、ドープされた一部分703を備える。
【0060】
図8に示される実施形態では、シリカ・ガラスは、ホーリー・ファイバ500内のドープされたロッド、2つの応力要素704、ならびに穴702用の母材として使用される。したがって、様々な他の実施形態では、シリカは、ホーリー・ファイバ内のドープされたロッド、応力要素、および/または穴用の母材として使用されてもよい。シリカは、コア703内のドープされた領域用の母材として使用されてもよく、クラッドを作製するための母材の材料として使用されてもよい。他の実施形態では、母材の材料として、他の材料が使用されてもよい。さらに、たとえば、ドープされた領域(たとえばロッド)、ホーリー・ファイバ内の穴、応力要素、または他の構成部品用の母材として、コアまたはクラッドの領域のいずれにも、様々な材料が使用されてよい。
【0061】
したがって、シリカ・ガラスおよび空気穴が上記の例で使用されるが、設計を実施するためには、様々な屈折率を有する、多くの様々な透明な光媒体を使用することができる。一例として、軟質ガラスは、シリカに取って代わることができ、屈折率がより低い別の軟質ガラスを使用して、空気穴に取って代わることができる。イッテルビウム以外の希土類イオンを使用することもできる。依然として、たとえば、構成、材料、寸法、または他の設計パラメータにおける他の変形形態が可能である。
【0062】
大きい穴が存在するために、劈開時に望ましくない亀裂が発生することがある。亀裂は、使用には適さない劈開された端面を作ることがある。さらに、様々な用途について、たとえば、汚染物質が穴に入るのを防止するために、ファイバ端で穴を密閉することが必要になる。これらの問題を解決するために、いくつかの技法を使用することができる。図9Aに示される一実施形態では、コアレス・ファイバ802は、大口径コアのホーリー・ファイバ801に接合される。次いで、コアレス・ファイバ802は、劈開されて端面810を形成する。劈開された端面810の断面図は、図9Bに示される。接合点804および穴803は、図9Aに鮮明に示される。コアレス・ファイバは、増幅器の出力に配置される場合、ビーム拡大に対してエンド・キャップの役割を果たしてもよい。エンド・キャップは、ガラスを出る前にビームが拡大することができる均一な媒体を提供する。端面の損傷を低減または最小限に抑えるために、このビーム拡大は、有利には、ガラス/空気のインターフェースにおいて光強度を低減させることができる。
【0063】
他の手法では、ホーリー・ファイバ900内の穴901は、ホーリー・ファイバのセクションを少なくともガラス軟化温度と同じ高さの温度まで加熱することにより、全体的に崩壊してソリッド・ファイバ903になる。次いで、ファイバ900は、図10Aに示されるような端面910を形成するために、崩壊した一部分において劈開することができる。図10Bは、PMファイバの、崩壊され劈開された端面910の断面図を示す。応力要素911は、図10Bに示されるファイバの断面図上で目に見える。前述のようなドープされたロッドも、コアのドープされたセクション912において目に見える。
【0064】
図10Cは、穴921を有するホーリー・ファイバ920が、テーパーをつけられ、次いで崩壊させられる、さらなる技法を示す。このプロセスは、そのように限定されるべきではないが、テーパーを作製し、穴921を崩壊させるために、引伸ばしおよび/または加熱を使用することができる。ホーリー・ファイバ920は、テーパー923、および劈開されテーパーがつけられた端922を有する。この場合の端面922は、図10Dに示される。このテーパー923は、より少数のモードをサポートし、特に増幅器の入力端に配置されるとき、さらに、高次モードに対する伝送損失を増大する助けとなることがある。このような入力テーパーは、光パワーをコアに効率的に放出する助けとなることがある。
【0065】
実効屈折率の均一性がきわめて高いドープされたコアを作製するための、本明細書に記載の繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスは、従来のステップ・インデックス・ファイバならびにフォトニック結晶ファイバで使用することもできる。従来のステップ・インデックス・ファイバ内で、ドープされたコア領域を作製するために、スタック・アンド・ドローが繰り返される様々な実施形態では、ドープされた母材コアの平均屈折率は、クラッド・ガラスの屈折率よりもわずかに高くなるように作製することができる。ドープされた母材は、たとえば、ファイバのコアの一部分を形成するドープされたロッドを含んでもよい。実施形態によっては、複数のドープされたロッドから作製される最終のロッドは、クラッド・ガラスを含むチューブに挿入される。
【0066】
ファイバ1000は、図11に示される。図11では、ドープされたコア1001は、繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスから作製される。前述の通り、ドープされたコア1001は、複数のドープされたロッドから形成されてもよい。クラッド層1003は、クラッド・ガラスを備える。ファイバ1000は、コーティング1002でさらに被覆される。
【0067】
屈折率プロファイル1004は、ドープされたコアとクラッド・ガラスの間の屈折率の差Δnを示す。実効屈折率の均一性が非常に高いドープされたコアは、モードの質および使いやすさを改善することができ、より小さいΔnを使用できるようにすることもできる。多くの現行設計では、Δnは、1×10-3よりも大きく、屈折率の均一性、製造プロセスの再現性、および基本モードの曲げ損失によってある程度影響されるように選ばれる。より小さいΔnにより、より大きいコア径を実装することが可能になる。たとえば、Δnが(50/30)2≒2.8分の1に低減させられる場合、30μmのコア・ファイバでのモードの質は、50μmのコア・ファイバで達成することができる。曲げ損失はΔnに依存しているので、同じコアのサイズについては、より低いΔnに対して、より高い曲げ損失が予想される。実施形態によっては、曲げ性能を妥協して、Δnを8×10-5未満、たとえばNA≦0.015に低減させることができる場合には、50μmのコア径に対して、〜1μmの波長で単一モード・ファイバが可能である。しかし、これらの範囲外の値も可能である。
【0068】
図12に示されるように、非常に均一なドープされたコア1101を有する、大口径コアの偏光維持(PM)ファイバを作成するために、ファイバ1100のクラッド1103内に応力ロッド1104を含むことができる。屈折率が1103の屈折率よりも低い追加のクラッド層は、クラッド1103とコーティング1102の間に加えて、ダブル・クラッド・ファイバ構造体内にポンプ・ガイドを形成することもできる。コーティング1102は、ダブル・クラッド構造体を形成するために、屈折率が低くなるように選ぶこともできる。コア1101の一部分のみをドープし、同様のスタック・アンド・ドロー技法を使用して、屈折率が非常に均一なコアの残りの部分を作製することも可能である。このようなコアの一部分の選択ドーピングを使用して、ファイバ内のモード選択をさらに改善することができる。
【0069】
前述の通り、従来のファイバでのより小さいΔnにより、より大きいコア径を使用することができるようになる。しかし、より低いΔnに対しては、より高い曲げ損失が予想される。本明細書に記載の様々な実施形態は、この曲げ損失を低減させるための設計も提供する。
【0070】
たとえば、図13における設計を使用して、NAが非常に小さく、たとえばNA<0.05で、導波が弱い大口径コアのファイバ1200の曲げ損失を改善する(たとえば、低減させる)ことができる。第1のクラッド層1202は、コア1201の隣に配置されて小さいΔnを提供し、部分的にまたは完全に希土類がドープされたコアにおいて、1から10のモードをサポートする。第1の層1202と第2の層1203の間の屈折率の差Δn1は、Δnよりもはるかに大きく、たとえばΔn1>1.5Δnになるように選んで、曲げ損失を低減させることができ、Δn1が高いほど有効である。ファイバは、第2のクラッド層1203を囲むコーティング1204をさらに備える。第1のクラッド層1202の直径ρ1は、コア1201の直径ρよりもわずかに大きい、たとえばρ1>1.1ρであることが必要となるだけである。ρ1およびΔnが大き過ぎると、コア1201および第1のクラッド層1202によって形成される組み合わされた導波路内で、多数のモードがサポートされることになる可能性がある。コア1201および第1のクラッド1202によって、余りに多くのモードがサポートされる場合、基本モードの放出が難しくなることがあり、モード間結合が増大させられることがある。コア1201内でサポートされるモードは、希土類がドープされたコアとオーバーラップし、したがってより大きな利得を有するほうがよいので、第1のクラッド1202内の著しい量のパワーを有する各モードの光は、区別されることになる。
【0071】
図13に示されるファイバと同様に、図14にはダブル・クラッド・ファイバ1300が示され、コア1301、第1のクラッド1302および第2のクラッド1303、ならびにコーティング1304を備える。図14に示されるファイバは、第2のクラッド層1303とコーティング1304の間の第3のクラッド層1305をさらに備える。
【0072】
第1のクラッド層1302とコア1301の間に小さいΔnをもうけて、部分的にまたは完全に希土類がドープされたコア内で、1から10のモードをサポートしてもよい。第1の層1302と第2の層1303の間の屈折率の差Δn1は、Δnよりもはるかに大きく、たとえばΔn1>1.5Δnになるように選んで、曲げ損失を低減させることができ、Δn1が高いほど有効である。第1のクラッド層1302の直径ρ1は、コア1301の直径ρよりもわずかに大きい、たとえばρ1>1.1ρであることが必要となるだけである。ρ1およびΔnが大き過ぎると、コア1301および第1のクラッド層1302によって形成される組み合わされた導波路内で、多数のモードがサポートされることになる可能性がある。コア1201および第1のクラッド1202によって、余りに多くのモードがサポートされる場合、基本モードの放出が難しくなることがあり、モード間結合が増大させられることがある。
【0073】
実施形態によっては、第2の層1303と第3の層1305の間の屈折率の差は、Δnよりもはるかに大きく、さらにはΔn1よりも大きくなるように選ぶことができる。第3のクラッド1305は、たとえばファイバ増幅器またはレーザ内で、ポンプ放射を伝搬させるためのコア1301、第1のクラッド1302、および第2のクラッド1303を備える伝搬領域を提供することができる。
【0074】
ファイバ1200および1300は、大きい有効区域を有してもよく、希土類要素でドープされてもよい。屈折率がシリカの屈折率に近接しているガラス組成物は、前述のコアで使用されてもよい。さらに、前述されたようなスタック・アンド・ドロー・プロセスを使用して、コア全体にわたる屈折率の均一性を増大させてもよい。本明細書に記載の他の特徴および方法も、図13および14に示されるファイバ1200、1300で使用することができる。
【0075】
多種多様の変形形態が可能である。各構成部品は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。様々な構成部品で置き換えてもよい。配置および構成が異なってもよい。同様に、各処理工程は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。
【0076】
本発明のうちの、ある実施形態を記述してきたが、これらの実施形態は、ほんの一例として提示されてきたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。確かに、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で実施されてもよく、さらに、本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載の方法およびシステムの形での様々な省略、置換、および変更を行ってもよい。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本発明の範囲および趣旨に入ることになる、このような形態または修正形態を含むものである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年9月20日出願の「Rare Earth Doped Large Effective Area Optical Fibers for Fiber Lasers and Amplifiers」と題する米国特許仮出願第60/846,012号(整理番号IMRAA.037PR)の優先権を主張し、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する。
【0002】
本出願は、たとえば、希土類がドープされた光ファイバおよび有効区域が大きいファイバを含み、たとえばファイバ・レーザおよびファイバ増幅器で使用することができる光ファイバ、ならびにこのようなファイバを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバ・レーザは、様々な利点により、過去10年間にわたりそれらの半導体相当品をしのぐ大きな将来性を示してきた。ファイバ・レーザは、製造が容易であり、熱放散が効率的で、より安定で、より良いビーム品質を生み出し、より高信頼でよりコンパクトである。
【0004】
ファイバ・レーザにおいてパワーを増大させる際の主要な限界には、非線形効果および光損傷が含まれ、それらは、レーザにおける光学モードの厳しい制限の直接の結果である。光ファイバには、いくつかの非線形効果がある。自己位相変調は、高ピーク・パワーの超短パルスの生成において優位を占める。ラマン散乱は、より長いパルスおよび連続波動作に対して、主要な制限のうちの1つである。ブリユアン散乱は、狭スペクトル線幅の用途で優位を占める。
【0005】
どのようにしてこれらの非線形効果を打ち消すかについて、多くの研究がなされてきた。あるレベルの自己位相変調は、セルフシミラリトン(self-similaritons)での分散によって平衡をとることができる。ストーク波長(Stoke wavelengths)において損失を増大させるためのW型導波路設計により、ラマン散乱を低減させることができる。音響導波性を低減させることにより、ブリユアン散乱を低減させることもできる。これらの非線形効果のすべては、光ファイバ・コア内で光強度が高いことの直接の結果なので、コアのサイズを増大させることは、有効なモード区域を増大させることと同等であり、光強度を、したがって非線形効果を効果的に低減させることができる。
【0006】
適切な空間フィルタおよび/または基本モードの選択的なモード励起がある場合、コアのサイズがより大きいマルチモード・ファイバを使用して、近回折限界増幅器の役割を果たすことができる。マルチモード・ファイバを使用することにより、単一モード・ファイバによって提供されるコアのサイズを超えて、コアのサイズを増大させることが可能になる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される、Fermannらの米国特許第5,818,630号を参照されたい。コアのサイズの増大とともにファイバがよりマルチモードになるにつれて、良好なビーム品質を維持するためには、これらのファイバにおいて、基本モードの容易な放出および確実な伝搬もますます重要である。
【0007】
非線形効果を低減させる他の有効な方法は、長さの短いファイバを使用することである。この手法は、高濃度に希土類がドープされたホスト・ガラスを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/846,012号
【特許文献2】米国特許第5,818,630号
【特許文献3】米国特許出願第10/844,943号
【特許文献4】米国特許第6,711,918B1号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「High-power air-clad large-mode-area photonic crystal fiber laser」、Optics Express、vol.11、818〜823頁、2003年
【非特許文献2】「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720頁、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、必要となるものは、大口径コアおよび/または高いドーピングを可能にするガラスである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載の様々な実施形態には、光ファイバで使用してもよい希土類がドープされたガラス組成物、およびコア・サイズの大きいロッドが含まれる。ガラスの屈折率は、実質上均一でもよく、実施形態によっては、シリカの屈折率に近くてもよい。これらの特徴に対する実現可能な利点には、コア内での追加導波路の形成を低減させることが含まれ、コア・サイズが大きくなるにつれて、ますます問題になる。
【0012】
たとえば、本明細書に記載の様々な実施形態は、屈折率を有するシリカ、前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリン、前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素、および前記シリカ中の希土類イオンを含む、ドープされたガラスを備える。希土類イオンは、シリカ中の濃度が少なくとも約1000モルppmである。リン、ホウ素、および希土類イオンを内包するシリカの屈折率は、シリカの屈折率の約±0.003以内である。
【0013】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンがドープされたガラスを製造する方法を含む。その方法は、希土類イオンがドープされたガラスを含む複数のロッドを束ねる工程、および束ねられたロッドを引き伸ばして第1のロッドを形成する工程を含む。実施形態によっては、第1のロッドが、より短いセクションにカットされ、それらが束ねられ引き伸ばされて、第2のロッドを形成してもよい。この第2のロッドの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1μmである屈折率観測装置を用いて測定される、約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さくてよい。
【0014】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むロッドを備える。コアの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1から0.5μmである屈折率観測装置を用いて測定される約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さい。
【0015】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むファイバを備える。コアの実効屈折率の均一性は、空間分解能が0.1から0.5μmである屈折率観測装置を用いて測定される約5×10-4の最大ピークトゥピークの変化よりも小さい。
【0016】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むロッドを備え、コアは、平均屈折率がシリカの屈折率の約±0.003以内である、少なくとも200平方ミクロン(μm2)のドープされた領域を備える。
【0017】
本明細書に記載の他の実施形態は、希土類イオンでドープされたコアおよびクラッドを含むファイバを備え、コアは、平均屈折率がシリカの屈折率の約±0.003以内である、少なくとも200平方ミクロン(μm2)のドープされた領域を備える。
【0018】
本明細書に記載の他の実施形態は、コア半径がρのコア、コアの周りに配置された第1のクラッド、および第1のクラッドの周りに配置された第2のクラッドを含むステップ・インデックス光ファイバを備える。第1のクラッドは、外半径がρ1である。コアおよび第1のクラッドは、屈折率での差がΔnであり、第1のクラッドおよび第2のクラッドは、屈折率での差がΔn1である。このステップ・インデックス光ファイバについては、(i)コア内で10未満のモードがサポートされ、(ii)第1のクラッドの半径ρ1は、約1.1ρよりも大きく、約2ρよりも小さく、また(iii)第1のクラッドと前記第2のクラッドの間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnよりも大きく、約50Δnよりも小さい。
【0019】
本明細書に記載の他の実施形態は、光増幅を可能にする光ファイバ・システムを備える。光ファイバ・システムは、1つまたは複数のタイプの希土類イオンでドープされた光ファイバを備える。光ファイバは、テーパー状の入力を有し、そこから長く伸びる。光ファイバ・システムは、光ファイバに光学的に結合された光ポンプ、および光ファイバのテーパー状の入力に光学的に結合された光源をさらに備える。テーパー状の入力端は、テーパー状の入力から長く伸びる部分よりも、低減された数の光学モードをサポートする。
【0020】
本明細書に記載の他の実施形態は、ガラスを製造する方法を含む。この方法は、蒸着によりホウ素を導入する工程、および蒸着により亜リン酸を導入する工程を含み、ホウ素および亜リン酸は、互いに異なる時点で導入される。ホウ素および亜リン酸を互いに異なる時点で導入することで、気相でのホウ素および亜リン酸の反応を防止する。
【0021】
本明細書において開示される装置、組成物、および方法の例示的な実施形態は、各添付図に示され、各添付図は例示だけを目的とする。図面は添付の各図を含み、同様の番号は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本明細書に記載の実施形態によっては光ファイバの製造で使用することができる、ロッドの形での高濃度にドープされたガラスを概略的に示す図である。
【図2A】チューブの表面上での変形化学気相沈積法(MCVD)のための装置を概略的に示す図である。
【図2B】図2Aに示されるチューブ内でのコア・スートの蒸着を概略的に示す図である。
【図2C】(a)イッテルビウムのドーピングを含むガラス母材のコア領域を横切る屈折率、(b)ガラスの平均屈折率、(c)シリカの屈折率、および(d)同様のイッテルビウム・ドーピング・レベルを有する従来のシリカ母材の平均屈折率の例をプロットした図である。
【図3A】図2Aおよび2Bに示される装置によって製造することができるような母材構造を概略的に示す図である。
【図3B】イッテルビウムを含まない、図3Aの母材の各部分を取り除くことによって製造されるロッドを概略的に示す図である。
【図4A】イッテルビウムがドープされたロッドのスタック、およびスタックのキャニング(canning)を概略的に示す図である。
【図4B】図4Aの線AAを横切る屈折率プロファイルをプロットした図である。
【図5A】図4Aに示されるプロセスで作製されるガラス棒(canes)によって形成されるスタック、およびスタックのキャニングを概略的に示す図である。
【図5B】図5Aの線BBを横切る屈折率プロファイルをプロットし、増大した均一性および屈折率を示す図である。
【図6】図4A、4B、5A、および5Bに関して上記に開示される技法などの技法を使用して製造される、イッテルビウムがドープされたコアを有する漏洩チャネル・ファイバの断面図の写真である。
【図7A】図6に示されるようなファイバの漏洩の断面図を概略的に示す図である。
【図7B】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率と一致する平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図7C】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率よりも高い平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図7D】クラッドを形成するために使用されるシリカの屈折率よりも低い平均屈折率を有するイッテルビウムがドープされたロッドを使用して形成される、図7Aのファイバを横切る屈折率プロファイルを概略的に示す図である。
【図8】Yb3+ドープされたコアを含む、大口径コアの偏光維持(PM)ファイバの断面図の写真である。
【図9A】コアレス・ファイバとともにスライスすることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図9B】端面を形成するために劈開された、図9Aのコアレス・ファイバを概略的に示す図である。
【図10A】大口径コアのファイバ内の穴を縮小させることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図10B】端面を形成するために劈開された、図10Aのコアレス・ファイバを概略的に示す図である。
【図10C】大口径コアのファイバ内の穴にテーパーをつけ縮小させることによって準備されるファイバ端面を概略的に示す図である。
【図10D】端面を形成するために劈開された、図10Cのテーパーつきファイバを概略的に示す図である。
【図11】シリカ・クラッドの屈折率よりも高い平均屈折率を有する、本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、希土類がドープされたコアを組み込むステップ・インデックス・ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図12】シリカ・クラッドの屈折率よりも高い平均屈折率を有する、本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、ドープされたコアを組み込む偏光維持(PM)ステップ・インデックス・ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図13】本明細書に記載されているようなスタック・アンド・ドロー・プロセスで製造される、ドープされたコアを組み込む耐曲げ性ファイバの設計を概略的に示す図である。
【図14】本明細書に記載のプロセスによって形成されるダブル・クラッド・ファイバを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細は、例および図によって説明されることになる。多くの実現可能な変形形態もまた可能であり、各例で使用されるプロセスの詳細には限定されないことが、当業者には容易に理解できる。
【0024】
前述の通り、ファイバ・レーザでのパワーの増大に対する1つの制限には、非線形効果および光損傷が含まれ、それらは、レーザにおける光学モードの厳しい制限の直接の結果である。これらの非線形効果は、光ファイバ・コア内で光強度が高いことの直接の結果であるので、コアのサイズを増大させることは、有効なモード区域を増大させることと同等であり、光強度を、したがって非線形効果を効果的に低減させることができる。
【0025】
マルチモード・ファイバを使用することにより、単一モード・ファイバによって提供されるコアのサイズを超えて、コアのサイズを増大させることが可能になる。コアのサイズがより大口径のマルチモード・ファイバは、適切な空間フィルタおよび/または基本モードの選択的なモード励起がある場合、近回折限界増幅器の役割を果たすために使用することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用されるFermannらの米国特許第5,818,630号を参照されたい。
【0026】
主に、高マルチモード・ファイバにおける放出の困難さおよびモード間結合のために、確実な基本モード動作が必要とされる場合、従来のファイバは、〜35μmのコア径の限界に達する。過去数年において、フォトニック結晶ファイバ(PCF)に基づく新規設計が研究されてきた。この設計は、弱い導波路の設計を犠牲にして単一モードまたは非常に少ないモードをサポートする、大口径コアのファイバの実証を可能にする。
【0027】
参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「High-power air-clad large-mode-area photonic crystal fiber laser」、Optics Express、vol.11、818〜823頁、2003年において、Limpertらは、〜28μmのコア径を有するフォトニック結晶ファイバを開示する。単一モードの伝搬を確実にするために、このファイバ設計は、穴径対穴間隔の比d/Λが0.18よりも小さい多数の小径穴を有する。使用される穴径dは、d/λ≒2である動作波長λに相当する。この小径穴サイズ/波長の比においては、空気穴への著しい光パワーの浸透が生じ、これにより、曲げに対する感度が厳格になる。主に、曲げ損失が高いので、確実な基本モード動作のために、この設計はまた〜35μmに制限される。
【0028】
参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720頁、2006年において、Limpertらは、フォトニック結晶ファイバの設計を用いたロッドを開示する。直径1.5mmのロッドにおいて、フォトニック結晶の設計を用いて、100μmまでのコア径が達成されてきた。100μmのコア・ロッドにおけるd/Λ比は、0.2である。ロッドの構造は、導波路をまっすぐに保ち、高い曲げ損失を軽減する。実際的な理由により、ロッドの長さは0.5メートルに制限される。
【0029】
対照的に、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される「Large Core Holey Fibers」と題する米国特許出願第10/844,943号(IM−107;整理番号IMRAA.024A)に開示される設計手法は、数がはるかに少なく、はるかに大きい穴を使用する。この設計では、高次モードが流出し、その結果高次モードにおいて高い伝搬損失が生じるように、はるかに大きい漏洩チャネルを作り出す。はるかに大きい空気穴を使用することで、曲げ感度が低減する。この設計の最新の実装形態では、0.65と同じ高さのd/Λが使用され、その結果、曲げ損失がはるかに低減する。穴径対波長の比d/Λをはるかに大きくすると、穴への光パワーの浸透を効果的に防止し、その結果、湾曲したファイバにわたって、光学的な導波がはるかに改善される。このタイプの設計はまた、高次モードの漏洩損失が高いために、モード間結合が低減させられ、その結果、単一モードの伝搬がはるかに改善される。
【0030】
米国特許出願第10/844,943号で開示されるフォトニック結晶ファイバの設計および漏洩チャネルの設計を用いて実際的な増幅器ファイバを作製するためには、ドープされたコア上の屈折率の均一性は、従来の光ファイバ製造で実現できる均一性よりも良好であることが好ましい。
【0031】
コアがより大きくなるとき、屈折率の比較的高い局所的な材料が屈折率の比較的低い材料によって囲まれるために、コア上で屈折率が不均一であることにより、局所的な導波路が形成されることがある。局所的な導波路の形成は、屈折率の不均一性のレベル、ならびに屈折率の不均一性の幾何学サイズに依存する。コア上の実質的な屈折の均一性は、この局所的な導波を低減させることができる。具体的には、不均一性を小さい幾何学サイズに保つことにより、屈折率での局所的な変化が導波路を形成することにはならない。したがって、様々な実施形態では、屈折率の不均一性は、波長の長さの数倍未満に保たれる。さらに、屈折率の大きい不均一性は、より小さくされる。このような均一性は、大口径コアに対してよりも、小さいコアに対して達成するほうが容易である。
【0032】
さらに、コアのドープされた領域での屈折率が、コアのドープされていない領域よりも高い場合、コア内に導波路が形成されてもよい。コアは、たとえばシリカを含んでもよい。光学利得を得るようにドープされたシリカの各部分が、ドープされていないシリカよりも屈折率が高い場合、追加の局所的な導波が生じてもよい。コアのドープされた領域およびドープされていない領域の正確な屈折率の整合は、この問題を軽減することがある。ドープされた区域がより大きいとき、たとえば、有効コア区域がより大きいとき、より密接な屈折率整合は、ドープされた領域が小さい場合よりも有用になることがある。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態において、ドープされたコアの平均屈折率も、コア内にも使用されるクラッド・ガラスの屈折率に近接するように制御される。ドーピング・レベルが3000モルppm以上である希土類イオン向けの知られている母材を使用して、ドープされたガラスの屈折率をこのように制御することは難しいことがある。
【0033】
本明細書に記載の実施形態によっては、コア内の屈折率がより高い、高濃度にイッテルビウムがドープされたロッドに加えて、シリカよりも屈折率が低い、フッ素がドープされたシリカ・ロッドを束ね、束ねられたロッドを引き伸ばしてコア・ロッドを作製することにより、所望の屈折率の均一性および平均屈折率を実現することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する「Extended single-mode photonic crystal fiber lasers」、Optics Express、vol.14、2715〜2720ページ、2006年を参照されたい。シリカの屈折率に近接した総合的な平均屈折率をもたらすように、フッ素がドープされたロッドの数、およびイッテルビウムがドープされたロッドの数は慎重に選ばれる。2つのタイプのロッドの合計数は大きく、それらのロッドはスタックの中で均等に分散される。各ロッドは、通常は6角形のスタックに束ねられ、引き伸ばされてコア・ロッドが作製される。このようにして、高度の平均屈折率制御を達成することができる。光は、光の波長よりもはるかに小さい寸法の構造体を認識することができないので、最初の個々のロッドが、最終のコアにおいて光の波長程度の寸法にまで低減されるとき、非常に均一な屈折率を達成することができる。しかし、イッテルビウムを含まないフッ素ドープされたシリカ・ロッドによって希釈されるために、この技法は、最終のコア内での平均のイッテルビウム・ドーピングのレベルを低減させる。このようなフッ素がドープされたロッドは、平均屈折率を達成するために使用することができるが、イッテルビウムを含まなくてもよい。この手法は、利得をもたらすために使用される平均イッテルビウムレベルを下げることになる。
【0034】
それにもかかわらず、理論上、平均屈折率の正確な制御は、1つは屈折率が高く1つは屈折率が低い2つのタイプのロッドを含むガラス内の各タイプのロッドの数の比を制御することによって達成することができる。たとえば、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用される、Klinerらに交付された米国特許第6,711,918B1号を参照されたい。クラッド・ガラスは比較的少数の高屈折率のロッドを含むが、コアは比較的多数の高屈折率のロッドを含む母材を作製することができる。
【0035】
ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器内のイッテルビウムのための従来の母材は、シリカ・ガラス母材であった。高いドーピング・レベルでのイッテルビウム・クラスタリング(ytterbium-clustering)を低減させるために、あるレベルのアルミニウムまたはリンが、しばしば加えられる。各イッテルビウム・イオン間の相互作用の結果、多光子のアップコンバージョンが生じ、したがって、レーザまたは増幅器において追加のエネルギー損失が生じることもあるという事実により、イッテルビウム・クラスタリングは望ましくない。
【0036】
さらに、光黒化(photo-darkening)は、ファイバ内に大量の光パワーが存在する結果として色中心が作り出されることにより、ファイバ内の背景損失が永久に増大させられる現象である。光黒化は、高いイッテルビウム・ドーピング・レベルでのイッテルビウム・クラスタリングに関連していると一般的に信じられており、複数のイオンが相互に作用して、光黒化を生じさせる非常に高いエネルギー・レベルを有する光子を発生する。その効果は、暴露の期間の後に飽和することがあるが、出力パワーの損失、およびファイバ・レーザおよびファイバ増幅器内での効率の低減の一因となる。光黒化は、高いパワー・レベルにおいてより厳格であり、適切に処理されない場合には、高出力ファイバ・レーザ・システムでの著しいパワー損失の一因となることがある。
【0037】
しかし、イッテルビウム・クラスタリングを低減させるためにアルミニウムおよびリンを加えることは、屈折率を上げる効果がある。必要とされる場合、少量のゲルマニウム・ドーピングを加えて、屈折率を上げることができる。フッ素を加えて、屈折率を下げることができる。人工シリカ・ファイバの製造技法の現状により、シリカ・ガラスに組み込むことができるフッ素の量が制限されるため、希土類がドープされたコアの屈折率は、通常シリカの屈折率よりも高い。希土類ドーピングによる屈折率の増大に加えて、適度に低いレベルのクラスタリングを達成するために、アルミニウムまたはリンに対して必要とされるドーピング・レベルはより高いので、このことは特に希土類が高濃度にドープされたコアに対して当てはまる。したがって、屈折率がシリカの屈折率に近いある種の大口径コアのファイバ設計において、ファイバ・レーザのパワー・スケーリングのために使用される希土類が高濃度にドープされたコア・ガラスを作製することは、特に難しい。
【0038】
しかし、本明細書に記載の様々な実施形態には、屈折率がシリカの屈折率に近い、希土類が高濃度にドープされたガラス組成物が含まれる。このようなガラスは、他のロッドならびに光ファイバを製造するための母材として使用することができるロッドに作りかえることができる。さらに、このようなガラスは、遠隔通信産業における光ファイバの製造で使用される成熟した技術で製造することができる。
【0039】
たとえば、図1に示される一実施形態は、高水準の希土類イオン、たとえば>1000モルppmを有し、屈折率がシリカ・ガラスの屈折率に非常に近い、たとえば屈折率の差がΔn<1×10-3であるガラス組成物を含むガラス・ロッドすなわち母材2を備える。この実施形態では、大部分のシリカ・ガラスは、著しいレベルのリン、たとえば10〜50モル%のリン、およびホウ素、たとえば8〜50モル%のホウ素を有する。様々な実施形態では、リンおよびホウ素は、リンまたはホウ素を含む化合物の中に存在する。大部分のシリカ・ガラスは、たとえば、5〜25モル%のP2O5、および4〜25モル%のB2O3を含んでもよい。たとえば、質量分析計またはSEMを使用する元素分析を使用して、ガラスの組成を決定してもよい。このようなガラス組成物により、失透することなく20,000モルppmまでのイッテルビウム・ドーピング・レベルが可能になり、非常に効率的なレーザおよび増幅器の動作が可能になることが分かってきた。同等量のイッテルビウム・ドーピング・レベルについて、製造されたファイバでは、光黒化効果は大幅に低いことが分かってきた。このガラスを使用することにより、光黒化を低減させることができ、その結果、はるかに安定で効率的な高出力ファイバ・レーザおよびファイバ増幅器を実現することができる。
【0040】
本明細書に記載の様々な実施形態には、実効屈折率の均一性がきわめて高いドープされたファイバ・コアを製造するための技法も含まれる。コアおよびクラッドを有する、希土類がドープされた多数の母材を製造することにより、この高い均一性を達成することができる。ドープされたコア・ガラスの平均屈折率は、シリカ・ガラスの屈折率に非常に近くなるように製造される。母材のクラッド・ガラスは、研削または穴あけにより、全体的にまたは部分的に取り除いてもよい。結果として、図1に示されるようなロッドを得ることができる。結果として得られるロッドは束ねられ、このスタックは引き伸ばされてより小さいサイズのロッドになり、スタック内の各構成ロッドの実質的な融着を確実に行う。場合によっては、スタックは引き伸ばす前にチューブに挿入することができる。引き伸ばされたロッドは、切断し、他の同様のロッドとともに再度束ね、同様の手順に従って再度引き伸ばすことができる。最終的に一様なロッドを得るために、このプロセスは何度も繰り返すことができる。最終のファイバでは、高い引伸ばし温度での、粘性の低い希土類がドープされたガラスの流れおよび拡散により、ドープされたガラスはさらに混合されてもよい。スタックがチューブに挿入される代替構成では、構造体を融着させるために、追加の工程を加えてもよい。次いで、引き伸ばしてロッドにする前に、チューブの一部分または全部を、研削またはエッチングによって取り除いてもよい。
【0041】
他のドープされたガラスと対照的に、本明細書に記載のこの希土類がドープされたガラスにより、シリカ・ガラスの屈折率に非常に近い屈折率にすることができる。さらに、他の方法で使用される2つのタイプのガラス・ロッドの代わりに、同じタイプのガラス・ロッドのスタック・アンド・ドローを繰り返すことによって、非常に均一な希土類がドープされたコア・ガラスを作製することができる。この手法は、ガラスの均一性をさらに改善し、ファイバ・コア内で、高く有効な希土類ドーピング・レベルを可能にする。
【0042】
母材を束ねキャニングすることによって形成されるファイバを製造するための様々なファイバおよびプロセスが、以下でより詳細に記述される。母材を製造するプロセスも記述される。母材、ファイバ、および他の構造体を製造するためのプロセスは、例および図により詳細に記述されることになる。しかし、プロセス、ならびに結果として生じる成果物および中間の成果物における広範囲の変形形態が可能である。各処理工程は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。同様に、各成分は、加えても、取り除いても、また、異なるようにまたは異なる量で構成されてもよい。具体的には、初期成分および添加成分を変更してもよい。
【0043】
以下の各例で使用される母材の製造技法は、変形化学気相沈積法(MCVD)であるが、たとえば外部析出プロセスなど、他の知られている蒸着技法も使用することができる。液体前駆物質、たとえばそれぞれSiCl4およびPOCl3を用いて、従来のバブラー装置を介して、シリコンおよびリンが析出ゾーンに導入される。ガス前駆物質、たとえばBCl3を介して、ホウ素が析出ゾーンに導入される。フッ素も使用され、CF4を介して導入される。よく知られた溶液ドーピング・プロセスを介して、希土類イオンが導入される。
【0044】
プロセスの初期段階では、図2Aに示されるように、外径が25mmで内径が19mmの基板チューブ10は、洗浄され、MCVDシステムの旋盤上に配置される。この例では、フィンランド、ヴァンターのNextrom Technologies社製の、光ファイバ製造用の標準のMCVDシステムが使用されるが、他のシステムを使用してもよい。基板チューブ10は、直径が同様のスターティング・チューブ11と第1の端で、また直径がより大きいスート・チューブ12と第2の端で接合される。スターター・チューブ11は、チャック13によって保持され、回転シール15を介してガス入口管16に接続される。スート・チューブ12も、チャック14によって保持される。スート・チューブ12は、排気ガスを放出前に処理するスクラバ(scrubber)に接続される。基板チューブ10に沿って動く移動式バーナ17は、基板チューブの一部分を一度に加熱することができる。バーナ17は、スート・チューブ12との接合部付近の基板チューブ10の端に到達するとき、スターター・チューブ11との接合部付近の基板10の開始部分に急速に移動する。バーナは、基板チューブ10に沿った次の移動に備えることになる。チャック13、14は、40rpmの速度で回転する。
【0045】
基板チューブ10の内面からガラスの層を取り除くために200sccmのCF4が使用されるエッチング通路を用いて、基板チューブ10は最初に洗浄される。シリカを含んでもよい、屈折率が基板チューブに近いクラッドを析出させるために、1つまたは複数の任意選択のクラッド通路が使用される。クラッドを形成するために、500sccmのSiCl4、300sccmのPOCl3、および10sccmのSF6の流れが使用されてもよい。
【0046】
図2Bに示されるように、スート・チューブ端から上流にバーナ17を動かすことにより、コア層が析出される。バーナ17は、スート形成に先だって上流に移動し、したがって、図2Bに示されるように、どんなスートの焼結も避けるために、バーナがコア・スート20の上を通り過ぎることはない。実施形態によっては、コア形成のために使用される流れは、100sccmのSiCl4、500sccmのPOCl3、および200sccmのCF4である。コアが通過する間、バーナ17は、20mm/分でスート・チューブ端からスターティング・チューブ端に進んで、スート形成を促進する。バーナについては、47slm(standard liter/min)の水素および酸素/水素比0.45が使用される。次いで、コア・スート20を1300℃に加熱することによって固化するために、コア層は通過させられる。
【0047】
次いで、基板チューブ10は、旋盤から取り出されて、イッテルビウムをスート層に組み込むために、YbCl3溶液にコア・スート20を浸漬する。1時間の溶液ドーピングの後に、溶液は排出され、基板チューブ10は旋盤上に戻される。基板チューブは、窒素を通過し、〜1000℃まで加熱されることにより、数時間乾燥される。コア・スート20は、10〜150sccmのBCl3の流れとともに1750℃に加熱することによって焼結される。焼結を経た後、基板チューブ10は、あるレベルのPOCl3の過剰ドーピングで崩壊プロセスを通過し、バーナの温度は著しく上げられ、バーナの速度は下げられる。崩壊プロセスの間、チューブの表面張力は、チューブの外径を低減させる。実施形態によっては、3〜5回の崩壊工程が使用される。チューブはすべて崩壊して、最後にはロッドになる。イッテルビウムがドープされたコアを有する固形の母材が得られる。この実施形態では、ホウ素および亜リン酸は、互いに異なる時点で導入され、それにより、気相でのホウ素および亜リン酸の反応の可能性を低減させる。
【0048】
図2Cの曲線100は、製造されるイッテルビウム・ドープされた母材のコア部分全体にわたる屈折率プロファイルを示す。線102で示されるシリカの目標屈折率とともに、コア全体にわたるこの母材の平均屈折率が、線101で示される。101で示されるコア全体にわたる母材の平均屈折率は、102で示される目標屈折率の±1×10-4以内に収めることができる。従来のシリカ・ホストを用いて作製される平均屈折率の例が線103によって図示され、はるかに高い値である。ガラス内に組み込まれるはるかに大量のB2O3レベルにより、マッチングが著しく増大し、それにより、ドープされたガラスの屈折率が低下した。
【0049】
コアは、3500〜17500モルppmのYb3+イオンでドープされ、976nmで300〜1500dB/mの吸収が生じる。この例では、コアは、15〜25モル%のP2O5、0.1〜0.5モル%のF、および10〜25モル%のB2O3でさらにドープされる。50μmのコア・ファイバについては、実施形態によっては、平均屈折率とシリカの屈折率の間の差Δn=n−nsilicaは、1μmの波長において−5×10-3よりも大きく、5×10-4よりも小さい。場合によっては、少なくとも1つには、イッテルビウム・クラスタリングを防止するリンを含有しているために、同等量のイッテルビウム・ドーピング・レベルに対して、製造されたファイバにおいて光黒化効果も大幅に低減させられる。ファイバを製造するのに使用されるパラメータの変化を使用してもよく、結果も変化してよい。
【0050】
図3Aは、図2A〜2Cを参照しながら前述したプロセスで製造されてもよい基板チューブ10からの、コア201、任意選択の析出されたクラッド層202、およびシリカ・ガラス層203を備える母材200の構造を示す。図3Bは、シリカ層203、析出されたクラッド層202、および、おそらくコア201の小さな部分を取り除くことにより、母材200から作製されるコア・ロッド210をさらに示す。断面図211には、コア201の全部または一部分が含まれる。一代替実施形態では、ロッド211は、クラッド層202の一部分を含む。
【0051】
繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスは、希土類がドープされたコアを有する複数の母材の製造から始まる。次いで、母材は研削されて、シリカ層203が取り除かれ、大部分は希土類がドープされたコア・ガラスを含む複数のコア・ロッド210を作製するために、析出されたクラッド層202が全体的にまたは部分的に取り除かれる。代替例として、イッテルビウムを含まないガラス層をエッチングで取り除く工程、およびドープされたコアを穴あけして取り除く工程が、この目的のために使用することができる。
【0052】
次いで、図4Aに示されるように、ドープされたコア・ロッド210は束ねることができる。その高い実装密度により、図4Aに示される6角形のスタック300を使用してもよいが、他のスタック構成を使用することもできる。スタックが所定の位置に保持される間、スタック300の両端は融着される。次いで、融着された両端は、キャニングの間、スタック300の形状を保持することができる。スタック300全体を融着することは任意選択である。図4Aに示される後続のキャニング・プロセスにおいて、ドープされたコア・ロッドの浪費を低減させるために、ドープされたコア・ロッド210は、一端または両端においてドープされていないロッドと接合することもできる。次いで、スタック300は、スタック内のすべてのロッドを融着するための適切な引伸ばし条件を選ぶことにより、単一のロッド310にキャニングすることができる。スタック300は、引き伸ばす前に、チューブ(図4Aでは図示せず)に挿入することもできる。引き伸ばしている間、チューブは、スタック300を所定の位置に保持しなくてすむ。キャニングされたロッド310は、実質上融着された断面図を有する。図4Bは、図4Aに示されるAAに沿った断面図を横切る屈折率プロファイル320を示す。屈折率プロファイル320は、主に、寸法が縮小された最初のコア・ロッド210の屈折率を含む。より高いキャニング温度では、流れおよび拡散が発生することがある。最初のロッド210の屈折プロファイルの山と谷は、大幅に平滑化することができる。
【0053】
次いで、図5Aに示される繰返しプロセス用にスタック400を形成するために、ガラス棒310は、複数のセクションに切断され、再び束ねることができる。このプロセスは何度も繰り返すことができる。図5Bは、図5Aでの結果として生じるガラス棒410の線BBに沿った屈折率プロファイル420を示す。屈折率プロファイル420は、主に、寸法が縮小された最初のガラス棒310の屈折率プロファイルを含む。この場合も、キャニング温度が高い場合、流れおよび拡散により、屈折率プロファイル420(BBに沿って表示される)は大幅に平滑化することができる。これにより、より均一な屈折プロファイルを作成することができる。第2段階は、製造される母材内での不整合を排除することができるので、実施形態によっては、少なくとも2つの段階が使用される。図4Aおよび5Aでのスタックの例では、37本のロッドのスタックが使用される。他のスタック・サイズを使用することもできる。各段階で使用されるロッドの数は、同じである必要はない。様々な実施形態において、構成は変化してもよい。
【0054】
このプロセスの別の実施例では、2段階プロセスの各段階において、スタックは、引伸ばしの前にチューブに挿入される。さらに、引伸ばしに先立って、スタックおよびチューブを融着させるのに、追加工程を使用することができる。次いで、研削またはエッチングにより、チューブは、全体的にまたは部分的に取り除かれてもよい。さらに、ドープされたロッドは、大口径コアのファイバのコア領域に組み込まれる。このようなファイバは、ドープされたコアを、ドープされていないロッドならびに中空の(ドープされていない)ロッドとともに束ね、引き伸ばすことによって製造されてもよい。それによって製造されるファイバ500の断面図が、図6に示される。ファイバ500は、コア501を定義する6つの穴502を備える。6つの穴は、引伸ばしプロセスで使用される6本の中空ロッドから形成されてもよい。他のプロセスおよび構成が使用されてもよい。コア503のドープされた部分は、それぞれ第1および第2のスタックを示す図4Aおよび5Aに関して前述したような繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスによって製造される、ドープされたロッドを備える。第1のスタックで使用される任意選択のシリカ・チューブは、イッテルビウムがドープされたガラスの屈折率よりも屈折率がわずかに低いので、第2のスタックで使用されるロッドの各々は目に見える。
【0055】
図6に示される実施形態では、ホーリー・ファイバ500内のドープされたロッドならびに穴502に対して、シリカ・ガラスは母材として使用される。他の様々な実施形態では、ホーリー・ファイバ内のドープされたロッドおよび/または穴に対して、シリカは母材として使用されてもよい。したがって、シリカは、コア503内のドープされた領域に対して母材として使用されてもよく、クラッドを作製するための母材の材料として使用されてもよい。他の実施形態では、母材の材料として他の材料が使用されてもよい。さらに、たとえばホーリー・ファイバ内のドープされた領域(たとえばロッド)または穴を囲むために、コアまたはクラッドの領域のいずれに対しても、様々な母材の材料が使用されてもよい。
【0056】
図7A〜7Dは、ドープされたコア・ロッドが、異なる平均屈折率を有するように選ばれる、様々な実施形態を示す。図7Aは、コア501を形成する6つの穴502を有する漏洩チャネル・ファイバ500を示す。コア501の一部分503は、ドープされたロッドから作製される。図7B、7C、および7Dは、図7Aでの線504に沿って例示された屈折率プロファイルであり、図7Aで、ドープされたコアの平均屈折率は、それぞれ、使用されるシリカ・ガラスの屈折率と同じ、それよりも高い、またそれよりも低い。
【0057】
図7Bは、平均屈折率612がシリカ・ガラス610の屈折率と一致する、コア501のドープされた部分503の屈折率611を示す。空気の屈折率613も図7Bに示される。図7Cは、平均屈折率622がシリカ・ガラス610の屈折率よりも高い、コア501のドープされた部分503の屈折率621を示す。この場合、この高い平均屈折率のために、追加の導波路が生じることになる。実施形態によっては、平均屈折率とシリカの屈折率の差Δn=n−nsilicaは十分に小さく、したがって、V=2πρNA/λは約6未満に保たれる。ただし、Xは光学波長であり、ρはコア半径であり、NA=(n2−nsilica2)1/2≒nsilica(2Δn/nsilica)1/2である。様々な実施形態では、Vは約2.4よりも低く、したがって、この追加の導波路では高次モードはサポートされない。この追加の導波路が局所的に増大する屈折率によって作製される場合、高次モード伝搬を低減させるための総合的な導波路効果を低減させるために、穴502を低減させることができる。各穴の間のギャップは、漏洩チャネルを提供する。漏洩を増大させるために、穴のサイズまたは/および数のいずれかを低減することができる。それにより、高次モードを漏洩させることができ、数モードまたは単一モードのファイバが提供される。
【0058】
図7Dは、平均屈折率632がシリカ・ガラス610の屈折率よりも低い、コア501のドープされた部分503の屈折率631を示す。この場合、この低い平均屈折率のために、追加の負の導波路が生じることになる。様々な実施形態では、平均屈折率とシリカの屈折率の差Δn=n−nsilicaは−0.005よりも大きく、したがって、穴502からの導波路効果を相殺せず、−0.001よりも大きくてもよい。この追加の負の導波路が存在する場合、総合的な導波路効果を増大させるために、穴502は増大させられてもよい。穴のサイズまたは数のいずれかが増大させられてもよい。
【0059】
図8は、4つの穴702に加えて2つの応力要素704を組み込む、偏光維持(PM)ファイバ700の断面図を示す。コア701は、図4Aおよび5Aを参照しながら記述されたプロセスを使用して製造されるロッドなど、ドープされたロッドを使用して形成される、ドープされた一部分703を備える。
【0060】
図8に示される実施形態では、シリカ・ガラスは、ホーリー・ファイバ500内のドープされたロッド、2つの応力要素704、ならびに穴702用の母材として使用される。したがって、様々な他の実施形態では、シリカは、ホーリー・ファイバ内のドープされたロッド、応力要素、および/または穴用の母材として使用されてもよい。シリカは、コア703内のドープされた領域用の母材として使用されてもよく、クラッドを作製するための母材の材料として使用されてもよい。他の実施形態では、母材の材料として、他の材料が使用されてもよい。さらに、たとえば、ドープされた領域(たとえばロッド)、ホーリー・ファイバ内の穴、応力要素、または他の構成部品用の母材として、コアまたはクラッドの領域のいずれにも、様々な材料が使用されてよい。
【0061】
したがって、シリカ・ガラスおよび空気穴が上記の例で使用されるが、設計を実施するためには、様々な屈折率を有する、多くの様々な透明な光媒体を使用することができる。一例として、軟質ガラスは、シリカに取って代わることができ、屈折率がより低い別の軟質ガラスを使用して、空気穴に取って代わることができる。イッテルビウム以外の希土類イオンを使用することもできる。依然として、たとえば、構成、材料、寸法、または他の設計パラメータにおける他の変形形態が可能である。
【0062】
大きい穴が存在するために、劈開時に望ましくない亀裂が発生することがある。亀裂は、使用には適さない劈開された端面を作ることがある。さらに、様々な用途について、たとえば、汚染物質が穴に入るのを防止するために、ファイバ端で穴を密閉することが必要になる。これらの問題を解決するために、いくつかの技法を使用することができる。図9Aに示される一実施形態では、コアレス・ファイバ802は、大口径コアのホーリー・ファイバ801に接合される。次いで、コアレス・ファイバ802は、劈開されて端面810を形成する。劈開された端面810の断面図は、図9Bに示される。接合点804および穴803は、図9Aに鮮明に示される。コアレス・ファイバは、増幅器の出力に配置される場合、ビーム拡大に対してエンド・キャップの役割を果たしてもよい。エンド・キャップは、ガラスを出る前にビームが拡大することができる均一な媒体を提供する。端面の損傷を低減または最小限に抑えるために、このビーム拡大は、有利には、ガラス/空気のインターフェースにおいて光強度を低減させることができる。
【0063】
他の手法では、ホーリー・ファイバ900内の穴901は、ホーリー・ファイバのセクションを少なくともガラス軟化温度と同じ高さの温度まで加熱することにより、全体的に崩壊してソリッド・ファイバ903になる。次いで、ファイバ900は、図10Aに示されるような端面910を形成するために、崩壊した一部分において劈開することができる。図10Bは、PMファイバの、崩壊され劈開された端面910の断面図を示す。応力要素911は、図10Bに示されるファイバの断面図上で目に見える。前述のようなドープされたロッドも、コアのドープされたセクション912において目に見える。
【0064】
図10Cは、穴921を有するホーリー・ファイバ920が、テーパーをつけられ、次いで崩壊させられる、さらなる技法を示す。このプロセスは、そのように限定されるべきではないが、テーパーを作製し、穴921を崩壊させるために、引伸ばしおよび/または加熱を使用することができる。ホーリー・ファイバ920は、テーパー923、および劈開されテーパーがつけられた端922を有する。この場合の端面922は、図10Dに示される。このテーパー923は、より少数のモードをサポートし、特に増幅器の入力端に配置されるとき、さらに、高次モードに対する伝送損失を増大する助けとなることがある。このような入力テーパーは、光パワーをコアに効率的に放出する助けとなることがある。
【0065】
実効屈折率の均一性がきわめて高いドープされたコアを作製するための、本明細書に記載の繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスは、従来のステップ・インデックス・ファイバならびにフォトニック結晶ファイバで使用することもできる。従来のステップ・インデックス・ファイバ内で、ドープされたコア領域を作製するために、スタック・アンド・ドローが繰り返される様々な実施形態では、ドープされた母材コアの平均屈折率は、クラッド・ガラスの屈折率よりもわずかに高くなるように作製することができる。ドープされた母材は、たとえば、ファイバのコアの一部分を形成するドープされたロッドを含んでもよい。実施形態によっては、複数のドープされたロッドから作製される最終のロッドは、クラッド・ガラスを含むチューブに挿入される。
【0066】
ファイバ1000は、図11に示される。図11では、ドープされたコア1001は、繰返しスタック・アンド・ドロー・プロセスから作製される。前述の通り、ドープされたコア1001は、複数のドープされたロッドから形成されてもよい。クラッド層1003は、クラッド・ガラスを備える。ファイバ1000は、コーティング1002でさらに被覆される。
【0067】
屈折率プロファイル1004は、ドープされたコアとクラッド・ガラスの間の屈折率の差Δnを示す。実効屈折率の均一性が非常に高いドープされたコアは、モードの質および使いやすさを改善することができ、より小さいΔnを使用できるようにすることもできる。多くの現行設計では、Δnは、1×10-3よりも大きく、屈折率の均一性、製造プロセスの再現性、および基本モードの曲げ損失によってある程度影響されるように選ばれる。より小さいΔnにより、より大きいコア径を実装することが可能になる。たとえば、Δnが(50/30)2≒2.8分の1に低減させられる場合、30μmのコア・ファイバでのモードの質は、50μmのコア・ファイバで達成することができる。曲げ損失はΔnに依存しているので、同じコアのサイズについては、より低いΔnに対して、より高い曲げ損失が予想される。実施形態によっては、曲げ性能を妥協して、Δnを8×10-5未満、たとえばNA≦0.015に低減させることができる場合には、50μmのコア径に対して、〜1μmの波長で単一モード・ファイバが可能である。しかし、これらの範囲外の値も可能である。
【0068】
図12に示されるように、非常に均一なドープされたコア1101を有する、大口径コアの偏光維持(PM)ファイバを作成するために、ファイバ1100のクラッド1103内に応力ロッド1104を含むことができる。屈折率が1103の屈折率よりも低い追加のクラッド層は、クラッド1103とコーティング1102の間に加えて、ダブル・クラッド・ファイバ構造体内にポンプ・ガイドを形成することもできる。コーティング1102は、ダブル・クラッド構造体を形成するために、屈折率が低くなるように選ぶこともできる。コア1101の一部分のみをドープし、同様のスタック・アンド・ドロー技法を使用して、屈折率が非常に均一なコアの残りの部分を作製することも可能である。このようなコアの一部分の選択ドーピングを使用して、ファイバ内のモード選択をさらに改善することができる。
【0069】
前述の通り、従来のファイバでのより小さいΔnにより、より大きいコア径を使用することができるようになる。しかし、より低いΔnに対しては、より高い曲げ損失が予想される。本明細書に記載の様々な実施形態は、この曲げ損失を低減させるための設計も提供する。
【0070】
たとえば、図13における設計を使用して、NAが非常に小さく、たとえばNA<0.05で、導波が弱い大口径コアのファイバ1200の曲げ損失を改善する(たとえば、低減させる)ことができる。第1のクラッド層1202は、コア1201の隣に配置されて小さいΔnを提供し、部分的にまたは完全に希土類がドープされたコアにおいて、1から10のモードをサポートする。第1の層1202と第2の層1203の間の屈折率の差Δn1は、Δnよりもはるかに大きく、たとえばΔn1>1.5Δnになるように選んで、曲げ損失を低減させることができ、Δn1が高いほど有効である。ファイバは、第2のクラッド層1203を囲むコーティング1204をさらに備える。第1のクラッド層1202の直径ρ1は、コア1201の直径ρよりもわずかに大きい、たとえばρ1>1.1ρであることが必要となるだけである。ρ1およびΔnが大き過ぎると、コア1201および第1のクラッド層1202によって形成される組み合わされた導波路内で、多数のモードがサポートされることになる可能性がある。コア1201および第1のクラッド1202によって、余りに多くのモードがサポートされる場合、基本モードの放出が難しくなることがあり、モード間結合が増大させられることがある。コア1201内でサポートされるモードは、希土類がドープされたコアとオーバーラップし、したがってより大きな利得を有するほうがよいので、第1のクラッド1202内の著しい量のパワーを有する各モードの光は、区別されることになる。
【0071】
図13に示されるファイバと同様に、図14にはダブル・クラッド・ファイバ1300が示され、コア1301、第1のクラッド1302および第2のクラッド1303、ならびにコーティング1304を備える。図14に示されるファイバは、第2のクラッド層1303とコーティング1304の間の第3のクラッド層1305をさらに備える。
【0072】
第1のクラッド層1302とコア1301の間に小さいΔnをもうけて、部分的にまたは完全に希土類がドープされたコア内で、1から10のモードをサポートしてもよい。第1の層1302と第2の層1303の間の屈折率の差Δn1は、Δnよりもはるかに大きく、たとえばΔn1>1.5Δnになるように選んで、曲げ損失を低減させることができ、Δn1が高いほど有効である。第1のクラッド層1302の直径ρ1は、コア1301の直径ρよりもわずかに大きい、たとえばρ1>1.1ρであることが必要となるだけである。ρ1およびΔnが大き過ぎると、コア1301および第1のクラッド層1302によって形成される組み合わされた導波路内で、多数のモードがサポートされることになる可能性がある。コア1201および第1のクラッド1202によって、余りに多くのモードがサポートされる場合、基本モードの放出が難しくなることがあり、モード間結合が増大させられることがある。
【0073】
実施形態によっては、第2の層1303と第3の層1305の間の屈折率の差は、Δnよりもはるかに大きく、さらにはΔn1よりも大きくなるように選ぶことができる。第3のクラッド1305は、たとえばファイバ増幅器またはレーザ内で、ポンプ放射を伝搬させるためのコア1301、第1のクラッド1302、および第2のクラッド1303を備える伝搬領域を提供することができる。
【0074】
ファイバ1200および1300は、大きい有効区域を有してもよく、希土類要素でドープされてもよい。屈折率がシリカの屈折率に近接しているガラス組成物は、前述のコアで使用されてもよい。さらに、前述されたようなスタック・アンド・ドロー・プロセスを使用して、コア全体にわたる屈折率の均一性を増大させてもよい。本明細書に記載の他の特徴および方法も、図13および14に示されるファイバ1200、1300で使用することができる。
【0075】
多種多様の変形形態が可能である。各構成部品は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。様々な構成部品で置き換えてもよい。配置および構成が異なってもよい。同様に、各処理工程は、加えても、取り除いても、また並び替えてもよい。
【0076】
本発明のうちの、ある実施形態を記述してきたが、これらの実施形態は、ほんの一例として提示されてきたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。確かに、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で実施されてもよく、さらに、本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載の方法およびシステムの形での様々な省略、置換、および変更を行ってもよい。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本発明の範囲および趣旨に入ることになる、このような形態または修正形態を含むものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア半径ρを有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δnを有し、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
(i)10より小さい数のモードが前記コアにおいてサポートされ、(ii)前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、(iii)前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドの屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、ステップ・インデックス光ファイバ。
【請求項2】
コア半径ρ及びコア屈折率ncoreを有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1及び屈折率nc1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δn=ncore−nc1及び約0.05より小さい開口数(NA)を有し、前記NAはncore及びnc1により決定されるものであり、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッド間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、大口径コアの光ファイバ。
【請求項3】
前記大口径コアの光ファイバは、曲げられるものであり、実質的に同じコア半径ρとクラッド及びコア間の屈折率の差Δnを有する大口径コアの光ファイバに比べ、低減された曲げ損失をともなうように構成される、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項4】
Δnは約10-3より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項5】
前記コアは約50μmと同じ大きさであり、前記Δnは約8x10-5より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項6】
前記コアは約50μmと同じ大きさであり、前記NAは約0.015より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項7】
前記大口径は少なくとも200平方ミクロンのドープされた領域を含む、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項8】
前記コアは、シリカの屈折率の約±0.003以内にある平均屈折率を有するドープされた領域を含む、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項9】
前記第1のクラッドは前記コアよりわずかに大きく、前記第1のクラッドの外半径ρ1は、1.1ρ<ρ1<1.5ρの範囲にある、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項10】
1.5Δn<Δn1<10Δnである、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項11】
前記コアは、部分的に希土類がドープされている、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項12】
前記コアは、全体的に希土類がドープされている、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項13】
前記コアの半径は、約25μmと同じ大きさである、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項14】
前記第2のクラッドのまわりに配置された第3のクラッドと、前記コア、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドを含むポンプ伝搬領域とをさらに備える、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項15】
コーティングと、ポンプガイドを形成するための、前記コーティングと前記第2のクラッド間に配置された追加のクラッドとをさらに備える、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項16】
前記コアは、約5x10-4より小さい最大ピークトゥピークの変化をともなう実効屈折率の均一性を有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項17】
前記大口径コアの光ファイバの一部は、ホーリー・ファイバを有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項18】
屈折率を有するシリカと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリンと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素と、
前記シリカ中で少なくとも約1000モルppmの濃度を有する、前記シリカ中の希土類イオンとを含み、
前記リン、前記ホウ素、および前記希土類イオンをその中に有する前記シリカは、前記シリカの屈折率の約±0.003以内である屈折率を有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項19】
コア半径ρ及びコア屈折率ncoreを有し、前記コアにわたり実質的に均一な屈折率を有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1及び屈折率nc1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δnを有し、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッド間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、大口径コアの光ファイバ。
【請求項20】
前記コアは、約5x10-4より小さい最大ピークトゥピークの変化をともなう実効屈折率の均一性を有する、請求項19に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項21】
組み合わされた導波路が前記コア及び前記第1のクラッドにより形成され、
前記組み合わされた導波路においてサポートされるモードの数とサポートされるモードの数間のモード間結合とが、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードと比べて利得を増加させたように限定されるように、前記第1のクラッドの外半径ρ1及び前記Δnの値はとられている、請求項19に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項22】
光増幅を提供する光ファイバ・システムであって、
前記光ファイバ・システムは、
請求項2に記載の大口径コアの光ファイバと、
前記大口径コアの光ファイバへ光学的に結合された光ポンプと、
前記大口径コアの光ファイバの入力に光学的に結合された光ソースとを備え、
前記大口径コアの光ファイバの前記コアは、希土類イオンの一つ又は複数の種類でドープされており、前記大口径コアの光ファイバは、前記コア及び前記第1のクラッドにより形成される組み合わされた導波路を含む、光ファイバ・システム。
【請求項23】
前記組み合わされた導波路は、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードに比べ利得を増加させたように、構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項24】
前記コアは、前記コア内で放射される入力ビームを受信するよう構成され、
前記入力ビームは、前記大口径コアの光ファイバの基本モードにある、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項25】
前記大口径コアの光ファイバは、前記コアにおいて1から10までのモードをサポートするよう構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項26】
前記組み合わされた導波路においてサポートされるモードの数とサポートされるモードの数間のモード間結合とが、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードと比べて利得を増加させたように限定されるように、前記第1のクラッドの外半径ρ1及び前記Δnの値はとられている、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項27】
前記コアは実質的な屈折率の均一性を有する、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項28】
前記コアの半径は約25μmと同じ大きさである、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項29】
前記大口径コアの光ファイバの一部はホーリー・ファイバを含む、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項30】
前記大口径コアの光ファイバは、曲げられるものであり、実質的に同じコア半径ρとクラッド及びコア間の屈折率の差Δnを有する大口径コアの光ファイバに比べ、低減された曲げ損失をともなうように構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項31】
前記大口径コアの光ファイバは、前記第2のクラッドのまわりに配置された第3のクラッドと、前記コア、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドを含むポンプ伝搬領域とをさらに含む、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項32】
コーティングと、ポンプガイドを形成するための、前記コーティングと前記第2のクラッド間に配置された追加のクラッドとをさらに備える、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項33】
前記第1のクラッドは前記コアよりわずかに大きく、前記第1のクラッドの外半径ρ1は、1.1ρ<ρ1<1.5ρの範囲にある、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項34】
前記大口径コアの光ファイバの前記入力はテーパーをつけられ、前記大口径コアの光ファイバは前記テーパーづけられた入力から伸びる長さを有し、前記テーパーづけられた入力は前記テーパーづけられた入力から伸びる前記長さより低減された数の光モードをサポートする、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項35】
前記大口径コアの前記コアは、
屈折率を有するシリカと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリンと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素と、
前記シリカ中で少なくとも約1000モルppmの濃度を有する、前記シリカ中の希土類イオンとを含み、
前記リン、前記ホウ素、および前記希土類イオンをその中に有する前記シリカは、前記シリカの屈折率の約±0.003以内である屈折率を有する、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項1】
コア半径ρを有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δnを有し、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
(i)10より小さい数のモードが前記コアにおいてサポートされ、(ii)前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、(iii)前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドの屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、ステップ・インデックス光ファイバ。
【請求項2】
コア半径ρ及びコア屈折率ncoreを有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1及び屈折率nc1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δn=ncore−nc1及び約0.05より小さい開口数(NA)を有し、前記NAはncore及びnc1により決定されるものであり、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッド間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、大口径コアの光ファイバ。
【請求項3】
前記大口径コアの光ファイバは、曲げられるものであり、実質的に同じコア半径ρとクラッド及びコア間の屈折率の差Δnを有する大口径コアの光ファイバに比べ、低減された曲げ損失をともなうように構成される、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項4】
Δnは約10-3より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項5】
前記コアは約50μmと同じ大きさであり、前記Δnは約8x10-5より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項6】
前記コアは約50μmと同じ大きさであり、前記NAは約0.015より小さい、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項7】
前記大口径は少なくとも200平方ミクロンのドープされた領域を含む、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項8】
前記コアは、シリカの屈折率の約±0.003以内にある平均屈折率を有するドープされた領域を含む、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項9】
前記第1のクラッドは前記コアよりわずかに大きく、前記第1のクラッドの外半径ρ1は、1.1ρ<ρ1<1.5ρの範囲にある、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項10】
1.5Δn<Δn1<10Δnである、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項11】
前記コアは、部分的に希土類がドープされている、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項12】
前記コアは、全体的に希土類がドープされている、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項13】
前記コアの半径は、約25μmと同じ大きさである、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項14】
前記第2のクラッドのまわりに配置された第3のクラッドと、前記コア、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドを含むポンプ伝搬領域とをさらに備える、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項15】
コーティングと、ポンプガイドを形成するための、前記コーティングと前記第2のクラッド間に配置された追加のクラッドとをさらに備える、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項16】
前記コアは、約5x10-4より小さい最大ピークトゥピークの変化をともなう実効屈折率の均一性を有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項17】
前記大口径コアの光ファイバの一部は、ホーリー・ファイバを有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項18】
屈折率を有するシリカと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリンと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素と、
前記シリカ中で少なくとも約1000モルppmの濃度を有する、前記シリカ中の希土類イオンとを含み、
前記リン、前記ホウ素、および前記希土類イオンをその中に有する前記シリカは、前記シリカの屈折率の約±0.003以内である屈折率を有する、請求項2に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項19】
コア半径ρ及びコア屈折率ncoreを有し、前記コアにわたり実質的に均一な屈折率を有するコアと、
前記コアのまわりに配置された第1のクラッドと、
前記第1のクラッドのまわりに配置された第2のクラッドとを備え、
前記第1のクラッドは外半径ρ1及び屈折率nc1を有し、前記コア及び前記第1のクラッドは屈折率の差Δnを有し、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは屈折率の差Δn1を有し、
前記第1のクラッドの外半径ρ1は、約1.1ρより大きいが約2ρよりも小さく、
前記第1のクラッド及び前記第2のクラッド間の屈折率の差Δn1は、約1.5Δnより大きいが約50Δnよりも小さい、大口径コアの光ファイバ。
【請求項20】
前記コアは、約5x10-4より小さい最大ピークトゥピークの変化をともなう実効屈折率の均一性を有する、請求項19に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項21】
組み合わされた導波路が前記コア及び前記第1のクラッドにより形成され、
前記組み合わされた導波路においてサポートされるモードの数とサポートされるモードの数間のモード間結合とが、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードと比べて利得を増加させたように限定されるように、前記第1のクラッドの外半径ρ1及び前記Δnの値はとられている、請求項19に記載の大口径コアの光ファイバ。
【請求項22】
光増幅を提供する光ファイバ・システムであって、
前記光ファイバ・システムは、
請求項2に記載の大口径コアの光ファイバと、
前記大口径コアの光ファイバへ光学的に結合された光ポンプと、
前記大口径コアの光ファイバの入力に光学的に結合された光ソースとを備え、
前記大口径コアの光ファイバの前記コアは、希土類イオンの一つ又は複数の種類でドープされており、前記大口径コアの光ファイバは、前記コア及び前記第1のクラッドにより形成される組み合わされた導波路を含む、光ファイバ・システム。
【請求項23】
前記組み合わされた導波路は、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードに比べ利得を増加させたように、構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項24】
前記コアは、前記コア内で放射される入力ビームを受信するよう構成され、
前記入力ビームは、前記大口径コアの光ファイバの基本モードにある、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項25】
前記大口径コアの光ファイバは、前記コアにおいて1から10までのモードをサポートするよう構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項26】
前記組み合わされた導波路においてサポートされるモードの数とサポートされるモードの数間のモード間結合とが、前記コアにおいてサポートされるモードが前記第1のクラッドで実質的なパワーを有するモードと比べて利得を増加させたように限定されるように、前記第1のクラッドの外半径ρ1及び前記Δnの値はとられている、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項27】
前記コアは実質的な屈折率の均一性を有する、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項28】
前記コアの半径は約25μmと同じ大きさである、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項29】
前記大口径コアの光ファイバの一部はホーリー・ファイバを含む、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項30】
前記大口径コアの光ファイバは、曲げられるものであり、実質的に同じコア半径ρとクラッド及びコア間の屈折率の差Δnを有する大口径コアの光ファイバに比べ、低減された曲げ損失をともなうように構成される、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項31】
前記大口径コアの光ファイバは、前記第2のクラッドのまわりに配置された第3のクラッドと、前記コア、前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドを含むポンプ伝搬領域とをさらに含む、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項32】
コーティングと、ポンプガイドを形成するための、前記コーティングと前記第2のクラッド間に配置された追加のクラッドとをさらに備える、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項33】
前記第1のクラッドは前記コアよりわずかに大きく、前記第1のクラッドの外半径ρ1は、1.1ρ<ρ1<1.5ρの範囲にある、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項34】
前記大口径コアの光ファイバの前記入力はテーパーをつけられ、前記大口径コアの光ファイバは前記テーパーづけられた入力から伸びる長さを有し、前記テーパーづけられた入力は前記テーパーづけられた入力から伸びる前記長さより低減された数の光モードをサポートする、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【請求項35】
前記大口径コアの前記コアは、
屈折率を有するシリカと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のリンと、
前記シリカ中の少なくとも約10モル%のホウ素と、
前記シリカ中で少なくとも約1000モルppmの濃度を有する、前記シリカ中の希土類イオンとを含み、
前記リン、前記ホウ素、および前記希土類イオンをその中に有する前記シリカは、前記シリカの屈折率の約±0.003以内である屈折率を有する、請求項22に記載の光ファイバ・システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−102170(P2013−102170A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278092(P2012−278092)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2007−207657(P2007−207657)の分割
【原出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2007−207657(P2007−207657)の分割
【原出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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