説明

フォトレジストパターン形成方法、及びフォトレジストパターン形成用基板

【課題】液浸型露光方式における媒体となる液体の汚染や変質を有効に防止し、基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することが可能なフォトレジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】基板2上にフォトレジスト膜3と上層膜4とが配設されたフォトレジストパターン形成用基板1を得、液体を媒体として露光を行うことで、基板2上に所定のレジストパターンを形成する方法であって、フォトレジストパターン形成用基板1を得るに際し、基板2上の略全域にフォトレジストを塗布した後、少なくとも露光領域6を残すように、基板2の外周側に塗布したフォトレジストの少なくとも一部を除去してフォトレジスト膜3付き基板7を得、得られたフォトレジスト膜3付き基板7上の略全域に、上層膜成分4aを塗布してフォトレジストパターン形成用基板1を得るフォトレジストパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストパターン形成方法、及びフォトレジストパターン形成用基板に関する。さらに詳しくは、液浸型露光方式における媒体となる液体の汚染や変質を有効に防止し、基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することが可能なフォトレジストパターン形成方法、及びこのようなフォトレジストパターン形成方法に好適に用いることが可能なフォトレジストパターン形成用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の製造においては、例えば、シリコンウェーハ等の基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成し、これに所定のパターンを有するマスクを通じて露光光を照射した後に現像することにより、基板上に所定のレジストパターンを形成する露光技術が応用されている。具体的には、例えば、フォトレジスト膜が配設された基板上の各ショット領域に転写するステッパー型、又はステップ・アンド・スキャン方式の露光装置によってフォトレジストパターンが形成されている。
【0003】
このような露光装置に用いられる光学系を構成する投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数(NA:Numerical Aperture)が大きいほど高くなる。そのため、集積回路パターンサイズの微細化に伴い露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。また、フォトレジストパターンの形成に使用されるフォトレジストや反射防止膜等についても、集積回路パターンサイズの微細化に伴いさまざまな提案がなされている。
【0004】
例えば、基板上に形成したフォトレジスト膜上に低屈折率であるフッ素含有化合物を含む表面反射防止膜を設け、これによりフォトレジスト膜表面からの反射光によるレジストパターン形成時の悪影響を防止することが開示されている(例えば、特許文献1)。フォトレジスト膜上に表面反射防止膜を配設すると、フォトレジスト膜の膜厚の変動量に対して、露光量の変動量が小さくなり、フォトレジスト膜の膜厚がばらついた場合においても感度ばらつきが小さくなり、ひいてはフォトレジストパターンの寸法ばらつきが小さくなるという利点がある。また、表面反射防止膜を用いると、入射光と反射光あるいは反射光同士の干渉によるスタンディングウエーブを低減することができるという利点もある。
【0005】
また、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路パターンサイズの微細化要求に対しては、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた90nm(ハーフピッチ)の量産化が最先端の集積回路では検討されている。従来の露光装置においては、基板が配置される空間は、屈折率が1の空気で満たされている。このとき、基板と露光装置の光学系のレンズとの間の空間を屈折率nの媒体で満たした場合、焦点深度は屈折率倍以上に拡大されることが報告されている。また、媒体として液体を用いることにより空気の場合では実現できなかった投影光学系の開口数(NA)の大きな光学系を実現できるために、解像力が向上することが知られている。
【0006】
このように露光するための投影光学系の開口数(NA)を1以上に大きくし、より微細なパターンを転写したり、焦点深度を大きくしたりできる投影露光する方式を液浸型露光方式といい、このような液浸型露光方式を用いた露光装置が開示されている(例えば、特許文献2又は3参照)。
【0007】
このような液浸型露光方式の露光装置としては、例えば、特許文献2に記載されているような、露光ビームでマスクを照明し、投影光学系を介してその露光ビーム(露光光)で基板上に露光する投影露光装置において、その投影光学系とその基板との間を満たすように液体を流すとともに、その基板の移動方向に応じてその液体を流す方向を変化させる液体供給装置を備えた投影露光装置を挙げることができる。
【0008】
このような液浸型露光方式においては、基板上に単にフォトレジスト膜が配設されている場合においては、基板上のフォトレジスト膜と、投影光学系のレンズとはそれぞれ液体と接触する。このため、フォトレジスト膜に液体が浸透して、フォトレジストの成分が変わってしまい投影露光の解像度が低下したり、逆にフォトレジスト膜の成分が液体に溶出することにより液体の屈折率が変化したり、また、露光光の透過率が変化して解像性が劣化したりする。また、投影光学系のレンズを汚染することがある。このため、フォトレジスト膜上には、この液体に溶出することない上層膜を形成して、フォトレジスト膜の成分が液体に溶出することを防止している。この上層膜としては、露光光の波長に対して十分な透過性を有し、かつフォトレジスト膜とインターミキシングを起こすことない材料が用いられる。この上層膜は、上述した表面反射防止膜としての機能を期待することもできる。
【0009】
このようなフォトレジスト膜や上層膜は、例えば、図8に示すような塗布装置50を用いて、スピンコートによって形成されている。図8に示す塗布装置50を用いてフォトレジスト膜を形成する場合は、まず、真空チャック等により基板51を回転支持台52に固定し、ノズル53から液状のフォトレジスト54を基板51上に滴下する。この後、回転支持台52に接続された回転部55を回転させ、回転支持台52に固定された基板51を回転させる。基板51上に滴下された液状のフォトレジスト54は、遠心力により基板51の外方に向けて広がり、基板51上にフォトレジスト54の被膜が形成され、このフォトレジスト54の被膜を所望の温度で乾燥することでフォトレジスト膜が基板51上に均一な膜厚で形成される。上層膜を形成する場合においても、基板51上に形成されたフォトレジスト膜上に、液状の上層膜成分を滴下し、上述した方法と同様の方法によって上層膜成分の薄膜を形成し、乾燥して上層膜を形成する。
【0010】
フォトレジスト膜や上層膜をスピンコートによって形成した場合、基板上の全域を覆うようにしてそれぞれの膜が配設される。このような基板を、これ以降の各工程、例えば、露光装置等に基板を保持して位置決めする際に、露光装置の位置決め部等と接触する基板の外周部分のフォトレジスト膜や上層膜が剥がれたり欠けたりすることによる発塵の恐れや、基板の外周部分と露光装置における接触部との接触によるフォトレジスト膜の移転があり、汚染の原因となったりすることがある。このため、スピンコートによってフォトレジスト膜及び上層膜を形成した場合には、図9に示すように、露光光が実際に行われない基板51の外周部分におけるフォトレジスト膜56及び上層膜57を溶剤(例えば、リンス液)によって除去し、フォトレジスト膜56及び上層膜57の剥がれや欠け等を防止している。
【特許文献1】特開平7−181685号公報
【特許文献2】国際公開第99/49504号パンフレット
【特許文献3】特開2004−207711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、フォトレジスト膜56及び上層膜57の外周部分を除去する際には、一回のリンス液の塗布によって除去が行われているため、フォトレジスト膜56の側面は、外部に露出した状態となる。このため、上述した液浸型露光方式によって投影露光を行う際に、フォトレジスト膜56の露出した側面を含む領域のチップを露光する場合には、フォトレジスト膜56の側面からフォトレジスト膜56の成分が液浸型露光方式における媒体として使用する液体に溶出して、液体が汚染されたり、液体の成分が変質したりする。これにより投影露光の解像度が低下したり、液体と接触する投影光学系のレンズが汚染するという問題があった。特に、近年の集積回路パターンサイズの微細化に伴い、この液体の微小な汚染や変質が液浸型露光方式におけるフォトレジストパターン形成に対して大きな影響を与えるようになっている。
【0012】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することが可能なフォトレジストパターン形成方法、及びこのようなフォトレジストパターン形成方法に好適に用いることが可能なフォトレジストパターン形成用基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、以下のフォトレジストパターン形成方法、及びフォトレジストパターン形成用基板が提供される。
【0014】
[1]基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成するとともに、前記フォトレジスト膜上に上層膜成分を塗布して上層膜を形成して、前記基板上に前記フォトレジスト膜と前記上層膜とが配設されたフォトレジストパターン形成用基板を得、前記フォトレジストパターン形成用基板上に、液体を媒体として、所定のパターンを有するマスクを通じて露光光を照射した後に現像することにより、前記基板上に所定のレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成方法であって、前記基板上の略全域に前記フォトレジストを塗布した後、少なくとも前記基板に前記露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記基板の外周側に塗布した前記フォトレジストの少なくとも一部を除去して、少なくとも前記基板上の前記露光領域に前記フォトレジスト膜が配設されたフォトレジスト膜付き基板を得、得られた前記フォトレジスト膜付き基板上の略全域に、前記上層膜成分を塗布して、前記基板上に配設された前記フォトレジスト膜の表面及び側面が前記上層膜によって覆われた前記フォトレジストパターン形成用基板を得るフォトレジストパターン形成方法(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0015】
[2]前記フォトレジスト膜付き基板上の略全域に塗布した前記上層膜成分のうち、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残すように、前記基板の外周側に塗布した前記上層膜成分の少なくとも一部を除去して前記上層膜を形成する前記[1]に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0016】
[3]前記基板上にスピンコートにより前記フォトレジストを塗布する前記[1]又は[2]に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0017】
[4]前記基板の外周側に塗布した前記フォトレジストの少なくとも一部に前記フォトレジストが溶解する液体を塗布して、少なくとも前記基板に前記露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記フォトレジストの少なくとも一部を除去する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0018】
[5]前記基板の外周側に塗布した前記上層膜成分の少なくとも一部に前記上層膜成分が溶解する液体を塗布して、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残すように、前記上層膜成分の少なくとも一部を除去する前記[2]〜[4]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0019】
[6]前記基板上に下層膜成分を塗布して下層膜を形成し、前記基板上に形成した前記下層膜上に、前記フォトレジストを塗布して前記フォトレジスト膜を形成する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0020】
[7]前記下層膜を、少なくとも一つの層から構成された膜状に形成する前記[6]に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0021】
[8]前記フォトレジストパターン形成用基板上に配設する前記媒体としての前記液体が、水である前記[1]〜[7]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0022】
[9]前記フォトレジストパターン形成用基板上に配設する前記媒体としての前記液体が、水よりも屈折率の高い有機物液体である前記[1]〜[7]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【0023】
[10]前記基板と、前記基板上に配設されたフォトレジスト膜と、前記フォトレジスト膜上に配設された上層膜とを備えたフォトレジストパターン形成用基板であって、前記基板上の前記フォトレジスト膜が、少なくとも前記基板に露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記基板の外周側に配設されたフォトレジスト膜が除去されたものであるとともに、前記上層膜が、前記基板上の前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆うように配設されたものであるフォトレジストパターン形成用基板(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0024】
[11]前記上層膜が、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残して、前記基板の外周側に配設された少なくとも一部が除去されたものである前記[10]に記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【0025】
[12]前記基板と前記フォトレジスト膜との間に、下層膜が配設された前記[10]又は[11]に記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【0026】
[13]前記基板上にフォトレジストパターンを形成する際に、水を媒体として露光光を照射する前記[10]〜[12]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【0027】
[14]前記基板上にフォトレジストパターンを形成する際に、水よりも屈折率の高い有機物液体を媒体として露光光を照射する前記[10]〜[12]のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【発明の効果】
【0028】
本発明のフォトレジストパターン形成方法によれば、液浸型露光方式における媒体となる液体の汚染や変質を有効に防止し、基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することができる。また、本発明のフォトレジストパターン形成用基板は、上述した本発明のフォトレジストパターン形成方法に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明(第一及び第二の発明)の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0030】
図1は、本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって得られるフォトレジストパターン形成用基板の構成を模式的に示す説明図であり、図2は、本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態における投影露光の工程を模式的に示す説明図であり、図3は、本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって基板上に形成されたフォトレジストパターンを模式的示す説明図である。また、図4(a)〜図4(c)は、図1に示すフォトレジストパターン形成用基板を得る工程を模式的に示す説明図である。本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法は、図1に示すように、例えば下地(図示せず)に単一又は複数の膜構造を持つ基板2上に、フォトレジストを塗布してフォトレジスト膜3を形成するとともに、フォトレジスト膜3上に上層膜成分を塗布して上層膜4を形成して、基板2上にフォトレジスト膜3と上層膜4とが配設されたフォトレジストパターン形成用基板1を得、図2に示すように、得られたフォトレジストパターン形成用基板1上に、液体12を媒体として、所定のパターンを有するマスク13を通じて露光光を照射した後に現像することにより、図3に示すような、基板2上に所定のレジストパターン5を形成するフォトレジストパターン形成方法であって、図1に示すフォトレジストパターン形成用基板1を得るに際し、図4(a)に示すように、まず、基板2上の略全域にフォトレジスト3aを塗布した後、図4(b)に示すように、少なくとも基板に露光光が照射される領域6(以下、「露光領域」という)を残すように、基板2の外周側に塗布したフォトレジスト3aの少なくとも一部を除去して、少なくとも基板2上の露光領域6にフォトレジスト膜3が配設されたフォトレジスト膜付き基板7を得、図4(c)に示すように、得られたフォトレジスト膜付き基板7上の略全域に、上層膜成分4aを塗布して、基板2上に配設されたフォトレジスト膜3の表面及び側面が上層膜4によって覆われたフォトレジストパターン形成用基板1を得る、フォトレジストパターン形成方法である。なお、ここでいう露光領域6とは、例えば、基板2から複数の半導体素子等を製造する場合において、図3に示すように、基板2にフォトレジストパターン5を形成して、実際に半導体素子等が製造される領域のことを指す。また、基板2とは、例えば、シリコンウェーハ、液晶等のディスプレイ素子用のガラスプレート、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウェーハ、あるいは露光装置で用いられる合成石英等からなるマスクやレチクル等を指す。なお、基板2にフォトレジストを塗布する際には、上述したように基板2の下地としての下層膜の上に塗布してもよいし、下地を用いずに、基板2の表面に直接塗布してもよい。
【0031】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法によれば、図1に示すようなフォトレジストパターン形成用基板1に、液浸型露光方式によって投影露光を行う場合において、フォトレジストパターン形成用基板1のフォトレジスト膜3の表面及び側面の全てが上層膜4によって覆われているため、基板2の外周部分におけるフォトレジスト膜3の成分が、液浸型露光方式における媒体として使用する液体12(図2参照)に溶出するのを抑制して、この液体12(図2参照)が汚染されたり、液体12(図2参照)の成分が変質したりすることを有効に防止することができる。このため、基板2の外周部分においても解像度の高い投影露光を実現することができるとともに、特に、フォトレジスト膜3には光が当たると酸を発生するPAG(Photo Acid Generator)と呼ばれる酸性を有する成分が含まれていることがあり、このような成分が、例えば、水等を用いた液体12(図2参照)に溶出した場合には、露光の精度が低下したり、液体12(図2参照)と接触する投影光学系15(図2参照)のレンズ16(図2参照)表面の汚染、エッチングなどを生じることがあるが、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法はこれらを有効に防止することができる。
【0032】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法において、図4(a)及び図4(c)に示すような、基板2上にフォトレジスト3aや上層膜成分4aを塗布する工程は、例えば、図5に示すようなスピンコート式の塗布装置31を用いて実現することができる。このスピンコート式の塗布装置31は、スピンコートによって基板2上に薄膜を形成する装置であり、例えば、基板2の一方の表面を上にして基板2を支持する回転支持台32と、この回転支持台32に接続され、回転支持台32を基板2の表面に直交する軸の周りに回転させる回転部33と、回転支持台32上に支持した基板2上に液状のフォトレジスト3aを滴下するレジスト供給ノズル34a及び上層膜成分4aを滴下する上層膜供給ノズル34bと、回転支持台32、レジスト供給ノズル34a、及び上層膜供給ノズル34bを囲うケース体35とを備えている。なお、本実施の形態におけるフォトレジストや上層膜成分を塗布する工程は、上述した方法に限定されることはなく、例えば、流延塗布やロール塗布、スキャン塗布等の方法によって行ってもよい。
【0033】
塗布装置31を構成する回転支持台32は、ケース体35の底部を貫通し、回転部33により回転する回転軸33aの上端に取り付けてあって、基板2を真空吸着するチャック機構を基板支持面に備え、回転軸33aと共に基板支持面に直交する軸の周りに回転する。ケース体35は、基板2の回転に伴って遠心力により基板2から飛散するフォトレジスト粒子又は上層膜成分粒子を捕捉するために設けてあって、側方及び上方に飛散するフォトレジスト粒子又は上層膜成分粒子を捕捉する外ケース35aと、基板2から下方に飛散するフォトレジスト粒子又は上層膜成分粒子を外ケース35aの底部に誘導する内ケース35bとから構成されている。外ケース35aには、レジスト供給ノズル34a等を導入するために、及び基板2を取り入れ、取り出すために、開口36を上部に有する。また、内ケース35bは、外ケース35aの下部に設けられ、円筒部37aと、その上部開口からケース体35の内部に向かって広がる傘部37bとから形成されている。
【0034】
レジスト供給ノズル34aは、ケース体35の開口36を介して上方から下降し、基板2の塗布面に臨む位置に配置されている。また、この塗布装置31においては、基板2の表面に塗布したフォトレジスト3aのうち、外周側のフォトレジストの少なくとも一部を除去するために、リンス液を噴射する第1洗浄ノズル38がケース体35の上部開口36を介して基板2の外側部分を指向するように設けてあり、さらに、基板2の裏面及び側面を洗浄するために、リンス液を噴射する第2洗浄ノズル39がケース体35の底部を貫通して基板2の裏面及び側面を指向するように設けてある。また、図5に示す塗布装置31においては、ケース体35内部を排気する排気装置(図示せず)に接続された排気管40及び捕捉したケース体35で捕捉したフォトレジストを排出するドレイン管41が、ケース体35の底部に接続されている。
【0035】
ここで、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法において、このような塗布装置31を用いてフォトレジストパターン形成用基板1(図1参照)を得るまでの工程についてさらに具体的に説明する。まず、基板2を回転支持台32上に支持して、例えば、1000rpmの低回転数で回転させつつレジスト供給ノズル34aからフォトレジスト3aを基板2上に滴下し、所定時間回転させることにより、基板2上の略全域にフォトレジスト3aを拡散させる。なお、使用するフォトレジスト3aとしては、従来のフォトレジストパターン形成方法に用いられるフォトレジストを好適に用いることができ、使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酸発生剤を含有する化学増幅側のポジ型又はネガ型のフォトレジストを挙げることができる。また、フォトレジストとしては比較的低粘度であることが好ましい。KrFやArF用のフォトレジストがここでは用いられることが多い。
【0036】
次に、フォトレジスト3aの滴下を中止し、基板2上のフォトレジスト3aが所望の厚さとなるように、基板2をさらに高回転、例えば、5000rpmで所定時間回転させて、フォトレジスト3aを基板2上の略全域に塗布する(図4(a)参照)。
【0037】
次に、第1洗浄ノズル38からリンス液を噴出して、少なくとも基板2に露光光が照射される領域6(露光領域)を残すように、基板2の外周側に塗布したフォトレジスト3aの少なくとも一部を除去して、少なくとも基板2上の露光領域6にフォトレジスト膜3が配設されたフォトレジスト膜付き基板7を得る(図4(b)参照)。この際に使用するリンス液としては、塗布したフォトレジスト3aを容易に除去することが可能なものであればよい。
【0038】
なお、上述したようにフォトレジスト3aを除去する際には、基板2上の露光領域6(図4(b)参照)を残すように行うものであるが、例えば、12インチの基板2の場合においては、基板2の外周側における2〜3mmの領域を除去することが好ましい。
【0039】
また、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、基板2の外周側に塗布したフォトレジスト3aの少なくとも一部を除去する際に、さらに第2洗浄ノズル39からリンス液を噴出して基板2の裏面及び側面の洗浄(除去)を行ってもよい。スピンコートによってフォトレジスト3aを塗布する場合、余剰のフォトレジスト3aが基板2の裏面及び側面まで拡散してしまうことがあり、必要に応じて基板2の裏面及び側面のフォトレジスト3aを除去する。
【0040】
また、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、基板2上にフォトレジスト3aを塗布する前に、図6(a)〜図6(c)に示すように、基板2上に下層膜成分8aを塗布して下層膜8を形成し、基板2上に形成した下層膜8上にフォトレジスト3aを塗布することにより、フォトレジスト膜3を形成して、フォトレジスト膜付き基板7を得てもよい。この下層膜8は、従来、反射防止のためにフォトレジスト3aの下層に配設されている反射防止膜を好適例として挙げることができる。また、下層膜8としては、二以上の層から構成された膜状のものであってもよく、例えば、多層のハードマスクを用いることもできる。なお、下層膜8を形成した場合には、基板2の外周側に塗布したフォトレジスト3aの少なくとも一部を除去する際に、対応する部位の下層膜8も同時に除去することができる。
【0041】
次に、図5に示す塗布装置31の回転支持台32上のフォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)を、例えば、1000rpmの低回転数で回転させつつ上層膜供給ノズル34bから上層膜成分4aを滴下し、所定時間回転させることにより、フォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)上の略全域に上層膜成分4aを拡散させる。なお、上層膜4(図1参照)となる上層膜成分4aは、液浸型露光方式に用いられる液体12(図2参照)に溶出することがなく、また、露光光14(図2参照)の波長に対して十分な透過性を有し、かつフォトレジスト膜3(図1参照)とインターミキシングを起こすことない材料を用いる。このような材料としては、例えば、フッ素原子を含む基をその側鎖に有する繰返し単位を含む樹脂と、炭素数が6以下の1価のアルコールを含む溶液を好適例として挙げることができる。また、例えば、現像液に溶解する材料を用いることで、上層膜4(図1参照)を露光後に剥離する工程を省略することができる。
【0042】
次に、上層膜成分4aの滴下を中止し、フォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)上の上層膜成分4aが所望の厚さとなるように、フォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)をさらに高回転、例えば、5000rpmで所定時間回転させて、フォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)上の略全域に、上層膜成分4aを塗布して、基板2上に配設されたフォトレジスト膜3の表面及び側面が上層膜4によって覆われたフォトレジストパターン形成用基板1を得る(図4(c)参照)。なお、このようにして得られたフォトレジストパターン形成用基板1は、この後、ベーク工程を行いフォトレジスト膜3及び上層膜4に含まれる残留溶剤を除去する。
【0043】
なお、上層膜成分4aをフォトレジスト膜付き基板7(図4(b)参照)上の略全域に塗布した後に、少なくともフォトレジスト膜3(図4(b)参照)の表面及び側面を覆う部分を残すように、基板2の外周側に塗布した上層膜成分4aの少なくとも一部を除去してもよい。このように基板2の外周側に塗布した上層膜成分4aの少なくとも一部を除去する際には、第1洗浄ノズル38からリンス液を噴出して除去することができる。また、第2洗浄ノズル39からリンス液を噴出して基板2の裏面及び側面の洗浄(除去)を行ってもよい。このようにして図1に示すようなフォトレジストパターン形成用基板1を得ることができる。得られたフォトレジストパターン形成用基板1において、外周側に上層膜4が配設されていると、露光装置等においてフォトレジストパターン形成用基板1の位置決めを行う際に、外周側の上層膜4が欠けて発塵することがある。このように、少なくともフォトレジスト膜3の表面及び側面を覆う部分を残すように、基板2の外周側に塗布した上層膜成分4a(図4(c)参照)の少なくとも一部を除去することにより、上述した本実施の形態の効果を維持したまま、フォトレジストパターン形成用基板1からの発塵の可能性を軽減することができる。なお、上層膜成分4a(図4(c)参照)を除去するリンス液としては、フォトレジスト3a(図4(a)参照)を除去するリンス液と同じものを好適に用いることができる。
【0044】
少なくともフォトレジスト膜3の表面及び側面を覆う部分を残すように、基板2の外周側に塗布した上層膜成分4aの少なくとも一部を除去する場合には、図7(a)に示すように、フォトレジスト膜3の表面及び側面を覆う部分だけを残すよう除去してもよいし、図7(b)に示すように、フォトレジスト膜3が配設された領域よりも大きな領域を残すように、即ち、基板2と上層膜4とが直接接触する部位を残すように除去してもよい。
【0045】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、このようにして得られたフォトレジストパターン形成用基板1を使用し、液浸型露光方式によって基板2(図3参照)上に所定のレジストパターン5(図3参照)を形成する。このように液浸型露光方式による投影露光を採用しているため、投影光学系のパターンの像の焦点深度を、空気中における焦点深度の約n倍に拡大することができ、微細な回路等のパターンを、高い解像度で形成することができる。また、上述したようにフォトレジストパターン形成用基板1においては、フォトレジスト膜3の表面及び側面が、液浸型露光方式における媒体となる液体12(図2参照)に溶出することがない材料から構成された上層膜4によって完全に覆われているため、フォトレジスト膜3と液体12(図2参照)とが接触することがなく、液体12(図2参照)の汚染によって生じる解像度の低下や投影光学系15(図2参照)のレンズ16(図2参照)の汚染を有効に防止することができる。
【0046】
なお、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、液浸型露光方式による投影露光の方法については特に制限はなく、従来公知の液浸型露光方式による投影露光の方法に準じて行うことができる。例えば、図2に示すように、フォトレジストパターン形成用基板1を保持するための保持手段17、所定のパターンが形成されたマスク13、保持手段17に保持されたフォトレジストパターン形成用基板1に所定のパターンを投影するための露光光14を照射する照明光学系18、マスク13を通過した露光光14をフォトレジストパターン形成用基板1上に投影する投影光学系15、及び保持手段17に保持されたフォトレジストパターン形成用基板1と投影光学系15との間の空間に液体12を満たすための液体供給手段19を備えた露光装置を用いて実現することができる。図2における露光装置11は、フォトレジストパターン形成用基板1が保持されている領域の一部に液体12を供給して、フォトレジストパターン形成用基板1を液体12に浸漬させることにより、フォトレジストパターン形成用基板1と投影光学系15との間の空間に液体12を満たし、この液体12を介して投影露光を行う露光装置11(Local Fill法(局所液浸方式)と呼ぶ)であるが、フォトレジストパターン形成用基板1と投影光学系15との間の空間に液体12を満たす方法については特に制限はない。また、本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法に使用する露光装置は、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型の露光装置であってもよく、マスク(レチクル)と基板(フォトレジストパターン形成用基板)とを同期走査して露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置であってもよい。
【0047】
なお、図2に示す露光装置11における照明光学系18は、マスク13を照明するための露光光14を照射するものであり、例えば、この露光光14としては、ArFエキシマレーザ(193nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、F2エキシマレーザ(157nm)等を用いることができるが、微細なパターンを解像するためには露光光14の波長が短いことが好ましい。投影光学系15は主に鏡筒で支持された複数の光学素子(例えば、レンズ16)で構成されている。マスク13は、その位置決めを行うために、所定の方向に移動、微動及び回転可能なマスクステージ20上に保持されている。
【0048】
保持手段17は、フォトレジストパターン形成用基板1上の所定領域毎に順次露光を行うことができるように、保持したフォトレジストパターン形成用基板1を所定の方向に移動させることができるように構成されたものであることが好ましく、従来公知の露光装置に用いられる保持手段を好適に用いることができる。図2に示す保持手段17は、露光光14の光軸と一致する方向(Z軸方向)の位置及び傾斜角を制御するZステージ17aと、このZステージ17aを支持し、Z軸方向に垂直な平面内におけて、マスク13とフォトレジストパターン形成用基板1とが同期移動する走査方向(X軸方向)と、この走査方向に直交する方向(Y軸方向)とに駆動可能なXYステージ17bと、このXYステージ17bを支持する基台17cとを有するものである。なお、フォトレジストパターン形成用基板1は、その裏面を吸着等により固定する基板ホルダ(図示せず)に保持されて、Zステージ17a上に保持される。なお、図示は省略するが、保持手段17は、Zステージ17aの位置を計測するための移動鏡及びレーザ干渉計、Zステージ17a及びXYステージ17bを駆動するためのステージ駆動部、また、このステージ駆動部等を制御するための制御部等をさらに有するものであってもよい。
【0049】
液体供給手段19は、フォトレジストパターン形成用基板1と投影光学系15との間の空間に液体12を供給する液体供給部19aと、空間に供給した液体12を回収する液体回収部19bとを有するものであり、例えば、液体供給部19aは、液体12を貯留する供給タンク21と、供給する液体12の流路となる供給流路23とを有し、また、液体回収部19bは、回収した液体12を貯留する回収タンク22と、回収する液体12の流路となる回収流路24とを有している。液体12は、液体供給部19aから供給流路23を介して空間に対して単位時間当たり所定量だけ供給され、回収流路24を介して液体回収部19bへ、同じく単位時間当たり所定量が回収される。これにより、投影光学系15の先端面とフォトレジストパターン形成用基板1との間の空間に液体12が満たされる。なお、供給流路と回収流路とを投影光学系15の先端部の中心に対して180°回転した配置には、図示はされていないが、図2における供給流路23と回収流路24とは反対の方向(図2における左から右への方向)に液体12を供給するための、末端が三つに分岐した第二の供給流路と、末端が二つに分岐された第二の回収流路とが配置されている。
【0050】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、フォトレジストパターン形成用基板1に投影露光を場合には、先ず、所定のレジストパターンに対応するパターンが形成されたマスク13を、露光装置11のマスクステージ20上に保持する。一方、フォトレジストパターン形成用基板1を保持手段17に保持し、アライメントマーク等を用いて位置関係や回転などを測定した後、所定の場所に位置決めする。
【0051】
次に、液体供給手段19により、保持手段17によってフォトレジストパターン形成用基板1が保持されている領域の一部に液体12を供給して、液体12にフォトレジストパターン形成用基板1の一部を浸漬させる。本実施の形態のフォトレジストパターン形成方法においては、投影露光の媒体として使用する液体12については特に制限はなく、水、又は、水よりも屈折率の高い有機物液体を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、露光の精度を向上させることができる。
【0052】
次に、照明光学系18から露光光14、例えば、ArFエキシマレーザ光(真空中での波長193nm)を発生させる。マスク13を通過した露光光14は、投影光学系15に入射して、所定の投影倍率、例えば、1/4倍に縮小される。その後、投影光学系15から出射した露光光によってフォトレジストパターン形成用基板1にパターンを転写する。次に液体12を回収し、次に露光を行う領域に移動し、再度同じ工程を繰り返す。露光時には、ステップ・アンド・スキャン方式により、順次、フォトレジストパターン形成用基板1の領域毎に走査露光を行う。
【0053】
この後、露光したフォトレジストパターン形成用基板1を現像する。この現像は、露光光として、例えば、ArFエキシマレーザ光等のエキシマレーザ光を用いた場合には、触媒反応により酸の発生を加速するために行うものである。この現像においては、図示は省略するが、例えば、現像機(ディベロッパー)を用い、強アルカリ性の現像液TMAH(N(CH34OH)等を露光したフォトレジストパターン形成用基板に滴下、又は噴射することによって行うことができる。なお、この現像は、従来公知のフォトレジストパターン形成方法における現像の方法に準じて行うことができる。なお、上層膜として現像液に溶解する材料を使用した場合には、現像中又は現像後の洗浄中に上層膜が除去されて、基板上にパターンが形成される。また、上層膜として現像液に溶解しない材料を使用した場合には、別途、上層膜を除去する。このようにして基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することができる。
【0054】
なお、現像の前に、フォトレジスト膜の解像度、パターン形状、現像性等を向上させるために、露光したフォトレジストパターン形成用基板を焼成してもよい。この焼成の際の温度としては、使用したフォトレジスト等の種類によって適宜選択されるが、通常、100〜150℃程度である。
【0055】
次に、本発明(第二の発明)のフォトレジストパターン形成用基板の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板は、図1に示すような、上述した第一の発明の実施の形態(フォトレジストパターン形成方法)に用いられるフォトレジストパターン形成用基板1である。このフォトレジストパターン形成用基板1は、基板2と、基板2上に配設されたフォトレジスト膜3と、フォトレジスト膜3上に配設された上層膜4とを備えたフォトレジストパターン形成用基板1であって、基板2上のフォトレジスト膜3が、少なくとも基板2に露光光が照射される領域6(露光領域)を残すように、基板2の外周側に配設されたフォトレジスト膜3が除去されたものであるとともに、上層膜4が、基板2上のフォトレジスト膜3の表面及び側面を覆うように配設されたものである。
【0056】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板1は、フォトレジスト膜3の表面及び側面の全てが上層膜4によって覆われているため、フォトレジストパターン形成用基板1に投影露光を行う場合において、フォトレジスト膜3の成分が、液浸型露光方式における媒体として使用する液体12(図2参照)に溶出するのを抑制して、この液体12(図2参照)が汚染されたり、その成分が変質したりすることを有効に防止することができる。このため、解像度の高い投影露光を実現することができるとともに、液体12(図2参照)と接触する投影光学系15(図2参照)のレンズ16(図2参照)の汚染を有効に防止することができる。なお、本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板1は、水を媒体として露光光を照射する場合や、水よりも屈折率の高い有機物液体を媒体として露光光を照射する場合に好適に用いることができる。
【0057】
本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板1は、例えば、図5に示すような塗布装置31を用いて得ることが可能なフォトレジストパターン形成用基板1であり、上述した第一の発明の実施の形態において、図4(a)〜図4(c)を参照して説明した方法により製造することができる。また、フォトレジスト膜3や上層膜4の材料については、第一の発明の実施の形態において説明した材料を好適に用いることができる。
【0058】
また、本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板1においては、上層膜4が、少なくともフォトレジスト膜3の表面及び側面を覆う部分を残して、基板2の外周側に配設された少なくとも一部が除去されたものであることが好ましい。例えば、フォトレジストパターン形成用基板1の外周側に上層膜4が配設されていると、露光装置等においてフォトレジストパターン形成用基板1の位置決めを行う際に、外周側の上層膜4が欠けて発塵することがある。このように、少なくともフォトレジスト膜3の表面及び側面を覆う部分を残すように、基板2の外周側に塗布した上層膜成分4a(図4(c)参照)の少なくとも一部を除去されたものであると、上述した本実施の形態の効果を維持したまま、フォトレジストパターン形成用基板1からの発塵の可能性を軽減することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態のフォトレジストパターン形成用基板1においては、図7(c)に示すように、基板2とフォトレジスト膜3との間に、下層膜8が配設されたものであってもよい。この下層膜8は、従来、反射防止のためにフォトレジスト膜3の下層に配設されている反射防止膜を好適例として挙げることができる。この下層膜8においても、第一の発明の実施の形態において説明した下層膜8と同様に構成されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のフォトレジストパターン形成方法は、液浸型露光方式における媒体となる液体の汚染や変質を有効に防止し、基板上に高精度にフォトレジストパターンを形成することができ、半導体素子等の製造方法において利用することができる。また、本発明のフォトレジストパターン形成用基板は、上述した本発明のフォトレジストパターン形成方法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって得られるフォトレジストパターン形成用基板の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態における投影露光の工程を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって基板上に形成されたフォトレジストパターンを模式的示す説明図である。
【図4(a)】図1に示すフォトレジストパターン形成用基板を得る工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図4(b)】図4(a)に続く工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図4(c)】図4(b)に続く工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態に用いられるスピンコート式の塗布装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図6(a)】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態において、基板に下層膜を形成する工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図6(b)】図6(a)に続く工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図6(c)】図6(b)に続く工程の一部を模式的に示す説明図である。
【図7(a)】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって得られるフォトレジストパターン形成用基板の他の例を模式的に示す説明図である。
【図7(b)】本発明(第一の発明)のフォトレジストパターン形成方法の一の実施の形態によって得られるフォトレジストパターン形成用基板の他の例を模式的に示す説明図である。
【図8】従来のフォトレジストパターン形成方法に用いられるスピンコート式の塗布装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】従来のフォトレジストパターン形成方法によって得られるフォトレジストパターン形成用基板の構成を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1…フォトレジストパターン形成用基板、2…基板、3…フォトレジスト膜、3a…フォトレジスト、4…上層膜、4a…上層膜成分、5…レジストパターン、6…少なくとも基板に露光光が照射される領域(露光領域)、7…フォトレジスト膜付き基板、8…下層膜、8a…下層膜成分、11…露光装置、12…液体、13…マスク、14…露光光、15…投影光学系、16…レンズ、17…保持手段、17a…Zステージ、17b…XYステージ、17c…基台、18…照明光学系、19…液体供給手段、19a…液体供給部、19b…液体回収部、20…マスクステージ、21…供給タンク、22…回収タンク、23…供給流路、24…回収流路、31…塗布装置、32…回転支持台、33…回転部、33a…回転軸、34a…レジスト供給ノズル、34b…上層膜供給ノズル、35…ケース体、35a…外ケース、35b…内ケース、36…開口、37a…円筒部、37b…傘部、38…第1洗浄ノズル、39…第2洗浄ノズル、40…排気管、41…ドレイン管、50…塗布装置、51…基板、52…回転支持台、53…ノズル、54…フォトレジスト、55…回転部、56…フォトレジスト膜、57…上層膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成するとともに、前記フォトレジスト膜上に上層膜成分を塗布して上層膜を形成して、前記基板上に前記フォトレジスト膜と前記上層膜とが配設されたフォトレジストパターン形成用基板を得、前記フォトレジストパターン形成用基板上に、液体を媒体として、所定のパターンを有するマスクを通じて露光光を照射した後に現像することにより、前記基板上に所定のレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成方法であって、
前記基板上の略全域に前記フォトレジストを塗布した後、少なくとも前記基板に前記露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記基板の外周側に塗布した前記フォトレジストの少なくとも一部を除去して、少なくとも前記基板上の前記露光領域に前記フォトレジスト膜が配設されたフォトレジスト膜付き基板を得、得られた前記フォトレジスト膜付き基板上の略全域に、前記上層膜成分を塗布して、前記基板上に配設された前記フォトレジスト膜の表面及び側面が前記上層膜によって覆われた前記フォトレジストパターン形成用基板を得るフォトレジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記フォトレジスト膜付き基板上の略全域に塗布した前記上層膜成分のうち、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残すように、前記基板の外周側に塗布した前記上層膜成分の少なくとも一部を除去して前記上層膜を形成する請求項1に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記基板上にスピンコートにより前記フォトレジストを塗布する請求項1又は2に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記基板の外周側に塗布した前記フォトレジストの少なくとも一部に前記フォトレジストが溶解する液体を塗布して、少なくとも前記基板に前記露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記フォトレジストの少なくとも一部を除去する請求項1〜3のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記基板の外周側に塗布した前記上層膜成分の少なくとも一部に前記上層膜成分が溶解する液体を塗布して、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残すように、前記上層膜成分の少なくとも一部を除去する請求項2〜4のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項6】
前記基板上に下層膜成分を塗布して下層膜を形成し、前記基板上に形成した前記下層膜上に、前記フォトレジストを塗布して前記フォトレジスト膜を形成する請求項1〜5のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項7】
前記下層膜を、少なくとも一つの層から構成された膜状に形成する請求項6に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項8】
前記フォトレジストパターン形成用基板上に配設する前記媒体としての前記液体が、水である請求項1〜7のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項9】
前記フォトレジストパターン形成用基板上に配設する前記媒体としての前記液体が、水よりも屈折率の高い有機物液体である請求項1〜7のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項10】
前記基板と、前記基板上に配設されたフォトレジスト膜と、前記フォトレジスト膜上に配設された上層膜とを備えたフォトレジストパターン形成用基板であって、
前記基板上の前記フォトレジスト膜が、少なくとも前記基板に露光光が照射される領域(露光領域)を残すように、前記基板の外周側に配設されたフォトレジスト膜が除去されたものであるとともに、前記上層膜が、前記基板上の前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆うように配設されたものであるフォトレジストパターン形成用基板。
【請求項11】
前記上層膜が、少なくとも前記フォトレジスト膜の表面及び側面を覆う部分を残して、前記基板の外周側に配設された少なくとも一部が除去されたものである請求項10に記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【請求項12】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間に、下層膜が配設された請求項10又は11に記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【請求項13】
前記基板上にフォトレジストパターンを形成する際に、水を媒体として露光光を照射する請求項10〜12のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成用基板。
【請求項14】
前記基板上にフォトレジストパターンを形成する際に、水よりも屈折率の高い有機物液体を媒体として露光光を照射する請求項10〜12のいずれかに記載のフォトレジストパターン形成用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−189687(P2006−189687A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2387(P2005−2387)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】