説明

フルカラー表示装置

【課題】ウォーニング表示などのように、所定の表示画像12hを所定の色で表示することが決まっている所定領域14aの輝度を上げることのできるフルカラー表示装置を提供する。
【解決手段】カラーフィルタ素子は、色フィルタR、G、Bの配置領域と非配置領域14aとを備えており、非配置領域14aは白色光がそのまま透過するようにされている。また、カラーフィルタ素子の非配置領域14aは、表示パネル10のうち所定の画像を表示する所定領域14aに対応しており、カラーフィルタ素子の非配置領域14aの白色光出射側には白色光を所定の色に変換するレンズ42が配置されている。
これによれば、警告表示などのように、所定の表示画像を所定の色で表示することが決まっている所定領域14aにおいて、複数の画素10bに対応する各色フィルタR、G、Bを無くすことで輝度を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各画素にてRGB3原色の光の強度を制御することによりフルカラー画像を表示するフルカラー表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フルカラー表示装置として、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)などが知られている。例えば、受光型(非発光型)のディスプレイであるLCDの場合、液晶パネルは複数の画素によって構成される表示領域を有しており、各画素は赤色R(Red)領域、緑色G(Green)領域、および青色B(Blue)領域に分割されている(図4(b)参照)。
【0003】
具体的には、これらの各領域に対応して、それぞれ赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタを備えており、これらの各フィルタによってバックライトユニットからの白色光のRGB成分を選択的に透過させる。LCDでは、各画素のRGB各領域に対応する液晶セルに印加する電圧を制御することにより、透過光のRGB成分のバランスを調整してフルカラー表示を実現している。
【0004】
下記の特許文献1では、このような従来のフルカラー表示装置を車両に搭載して、メータ表示やウォーニング表示、さらにカーナビゲーションシステムからのナビゲーション情報の表示など、多目的に用いることが提案されている。このようなフルカラー表示装置において、エンジンの油圧不足や燃料の残量不足など、ユーザに対して警告するための表示を行う場合、各種の表示画像を赤色あるいは橙色で発色させる警告表示が行われている。
【0005】
図8は、従来の警告表示部の断面構成を示す模式図であり、図9は、図8の警告表示部の構成を示す分解模式図である。この例は、液晶パネル10の複数の画素10aにて赤色あるいは橙色の表示画像12hを表示している例である。また、図10は、従来の他の警告表示部の断面構成を示す模式図であり、図11は、図10の警告表示部の構成を示す分解斜視図である。
【0006】
この例は、液晶パネル10の表面側に、基板61上に配置した発光デバイス(発光ダイオード)62と、その発光デバイス62のさらに表面側に、赤色(あるいは橙色)の透過部にて表示画像12hが形成されたウォーニングレンズ42Aを設けて表示する例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−91461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来の警告表示方法において、液晶パネル10の複数の画素10aにて赤色の表示画像12hを表示する例では、赤色のようなRGB3原色のうちの一つに近い色で単色表示を行うこととなる。つまり、このような単色表示では、各画素10aにて、拡散板(バックライト)22からの光のうち、赤色R(Red)成分だけを透過させ、他の2色は透過が抑えられるため、輝度が上がらないという問題点がある。
【0009】
このため、重要な情報であるウォーニングの表示であるにも拘らず、他のメータ表示部などと同じ輝度であり、ウォーニング表示だけを明るく表示させることが不可能であるために、ユーザが気付きにくいという問題点となっている。一方、液晶パネル10とは別に、発光デバイス62とウォーニングレンズ42Aとを設けて表示する例では、ウォーニング表示の明るさは液晶パネル10の明るさとは関係なく設定することができ、ウォーニング表示だけ明るく表示させることが可能となるが、その分余分なコストが掛かってしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、ウォーニング表示などのように、所定の表示画像を所定の色で表示することが決まっている所定領域の輝度を上げることのできるフルカラー表示装置を提供することにある。なお、図8、図10で説明しなかった符号は、後述する「発明を実施するための形態」の中で説明する符合と対応させているため、ここでの説明は省略する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、白色光を出射するとともに画像を表示する表示パネル(10)と、表示パネル(10)の白色光出射側に配置され、白色光をフルカラーの光に変換するものであり、RGB3原色の色フィルタ(R、G、B)を有するカラーフィルタ素子とを備えたフルカラー表示装置であり、カラーフィルタ素子は、色フィルタ(R、G、B)の配置領域と非配置領域(14a)とを備えており、非配置領域(14a)は白色光がそのまま透過するようにされており、カラーフィルタ素子の非配置領域(14a)は、表示パネル(10)のうち所定の画像を表示する所定領域(14a)に対応しており、カラーフィルタ素子の非配置領域(14a)の白色光出射側には白色光を所定の色に変換するフィルタ部材(42)が配置されていることを特徴としている。
【0012】
これは、所定領域(14a)で所定の表示画像を所定の色で表示するならば、表示パネル(10)の3原色の色フィルタ(R、G、B)で選択透過させた光で表現するよりも、別のフィルタ部材(42)で所定の色に着色した方が、白色光源ユニット(20)の光を有効利用できることに着目したものである。この請求項1に記載の発明によれば、警告表示などのように、所定の表示画像を所定の色で表示することが決まっている所定領域(14a)において、複数の画素(10b)に対応する各色フィルタ(R、G、B)を無くすことで輝度を上げることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のフルカラー表示装置において、フルカラー表示装置は車両用表示装置(1)であり、カラーフィルタ素子の色フィルタ(R、G、B)の配置領域において表示パネル(10)は車両の状態値を画像として表示し、カラーフィルタ素子の非配置領域(14a)において表示パネル(10)は所定の画像として車両における警告画像(12h)を表示することを特徴としている。
【0014】
この請求項2に記載の発明によれば、所定領域(14a)に表示される情報がユーザーに対する警告表示である場合、所定領域(14a)の輝度を上げることは特に有効となる。ユーザーにとって重要な情報である警告画像(12h)が低い輝度で表示されると、ユーザーが警告画像(12h)を見落としてしまう恐れがあるが、輝度を上げることによりユーザーは重要な情報である警告画像(12h)を見落とすことなく認識することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のフルカラー表示装置において、車両の状態値の図像は、少なくとも車速表示図像、水温表示画像、残燃料表示同像であり、警告画像(12h)は少なくともシートペルト警告画像、ドア警告画像であることを特徴としている。この請求項3に記載の発明によれば、具体的には上記したような状態値図像および警告画像(12h)を表示するものである。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれかに記載のフルカラー表示装置において、表示パネル(10)は、液晶パネルおよび白色光源ユニット(20)を備えることを特徴としている。この請求項4に記載の発明によれば、液晶パネルのように、白色光源ユニット(20)からの光を透過させる受光型(非発光型)のディスプレイにおいて、透過する際の光の減衰が抑えられることにより、所定領域(14a)の輝度を上げることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれかに記載のフルカラー表示装置において、表示パネル(10)は、有機ELパネルであることを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、有機ELパネルとして白色発光層(20A)の光出射側に3原色の色フィルタ(R、G、B)を配置して白色光をフルカラーの光に変換するものであれば、色フィルタ(R、G、B)を無くすことで所定領域(14a)の輝度を上げることができる。
【0018】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のフルカラー表示装置を用いた車両用表示装置1の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1中のII−II断面図である。
【図3】図1の車両用表示装置1の電気回路構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、本発明の一実施形態におけるウォーニング表示領域14aの断面構成を示す模式図であり、(b)は、(a)中のb視拡大図、(c)は、(a)中のc視拡大図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるウォーニング表示領域14aの構成を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるウォーニング表示領域14aの構成を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態におけるウォーニング表示領域14aの断面構成を示す模式図である。
【図8】従来の警告表示部の断面構成を示す模式図である。
【図9】図8の警告表示部の構成を示す分解斜視図である。
【図10】従来の他の警告表示部の断面構成を示す模式図である。
【図11】図10の警告表示部の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜5を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のフルカラー表示装置を用いた車両用表示装置1の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1中のII−II断面図、図3は、図1の車両用表示装置1の電気回路構成を示すブロック図である。車両用表示装置1は、図1に示すように、各種車両のコンビネーションメータとして機能するものであり、本実施形態は、自動車用のコンビネーションメータに本発明を適用した例として説明する。
【0021】
本実施形態の車両用表示装置1は、図2に示すように、大別すると、メータケース2の中に配設された液晶パネル(本発明で言う表示パネル)10、白色光源ユニット20、および制御回路30などから構成されている。液晶パネル10は、TFT(Thin Film Transistor)透過液晶パネルであり、車両運転中の運転者が意匠面(画面)11を見られるよう、図示しない車室内の運転席の前方に設置される。
【0022】
この液晶パネル10は、後述するが、マトリックス状に配された複数の画素10a(図4(b)参照)を有するドットマトリックス型であり、それら各画素が駆動されることにより、意匠面11上にフルカラーの画像表示をすることができる。本実施形態の液晶パネル10は、図1に示すように、複数の画素10aによって構成される表示領域14を、メータ画像12および背景画像13を表示する意匠表示領域と、各種のインジケータ(本発明で言う警告画像)12hを表示するウォーニング表示領域(本発明で言う非配置領域、所定領域)14aとで構成している。
【0023】
メータ画像12は、後述する車両の状態値を車両の運転者へ表示するための画像であり、本実施形態では具体的に、車速を示す車速表示画像12a、エンジン回転数を示す回転数表示画像12b、エンジン冷却水の温度を示す水温表示画像12c、燃料の残量を示す残燃料表示画像12dを表示している。
【0024】
本実施形態では他に、ターン方向を示すターン方向表示画像12e、シフトポジションを示すシフトポジション表示画像12f、累積走行距離および走行距離を示すオド/トリップメータ表示画像12g、などが表示されている。また、ウォーニング表示領域14aには、必要に応じて、警告を表す画像として、例えば、リヤライト警告、エンジンチェック警告、シートベルト警告、ハイビーム警告、ドア警告、ブレーキ警告、排気温警告、オイル警告、チャージ警告など、各種のインジケータ12hが表示される。
【0025】
背景画像13は、メータ画像12などの表示画像を際立たせて表示させるための背景として表示されるものである。表示領域14は、意匠面11全体を構成しており、表示領域14を構成する各画素の駆動によりメータ画像12および背景画像13を表示する。白色光源ユニット20は、図2に示すように、発光ダイオード21および拡散板22を備えている。
【0026】
発光ダイオード21は、本実施形態ではチップタイプであり、液晶パネル10の反意匠面側の下方に配設されている。発光ダイオード21は、図3に示すように、制御回路30と電源回路32を介して電気接続されており、制御回路30から与えられる発光駆動信号に従って駆動されることで白色光を放射する。拡散板22は、光透過性の樹脂で平板状に形成されており、液晶パネル10の反意匠側面を覆うように配設されている。
【0027】
拡散板22は、図2に示すように、下端面に隣接して位置する発光ダイオード21からの入射光を、拡散して液晶パネル10側の発光面22aから出射することにより、発光面22aにおける発光輝度をその全域に亘って略均一にしている。以上により白色光源ユニット20は、発光面22aからの光によって液晶パネル10の全体を後方から透過照明し、液晶パネル10の意匠面11に表示される画像を発光させる。
図2に示すように、液晶パネル10前方(車両後方側)のメータケース2の前面部周縁には、意匠面11を覆うように、透光板3が取り付けられている。この透光板3は、その下部に対して上部を前方に出すようにして、意匠面11の平面(垂直面)に対して下方を向いて傾斜させた状態で取り付けられている。そして、本実施形態の透光板3は、アクリル樹脂板などの透明板で形成されている。
【0028】
制御手段としての制御回路30は、例えばマイクロコンピュータであり、発光ダイオード21の車両前方側のメータケース2内に配設されている。制御回路30は、図3に示すように、液晶パネル10の駆動回路31、および白色光源ユニット20の発光ダイオード21の電源回路32に電気接続されている。また、制御回路30は、車両に搭載されたライトスイッチS1、液晶調整スイッチS2、状態値センサS3、異常センサS4、照度センサS5などにも電気接続されている。
【0029】
このような電気接続形態の制御回路30は、スイッチS1、S2およびセンサS3〜S5からの信号に基づいて駆動回路31へ与える画像信号、および電源回路32へ与える駆動信号を生成し、液晶パネル10の表示作動および白色光源ユニット20の発光作動を制御する。なお、特に液晶パネル10の表示作動の制御については、画像メモリ(例えば画像ROM)30aに記憶されている画像データに基づき、制御回路30が画像信号を生成することによって実現している。
【0030】
ここでライトスイッチS1は、車両の所定のランプをON/OFFするためのスイッチであり、特に本実施形態では操作位置として、テールランプONの車幅灯ON位置、前照灯ON位置、およびテールランプOFFの全灯OFF位置を有している。これにより車両の乗員は、ライトスイッチS1を希望の位置に操作することで、その操作位置に対応したON/OFF指令を入力可能となっている。
【0031】
液晶調整スイッチS2は、液晶パネル10の意匠面11に表示される画像の明るさを調整するためのスイッチであり、特に本実施形態では、画像の明るさについて規定された複数段階(例えば十段階)の調整値に対応する複数の操作位置を有している。これにより乗員は、液晶調整スイッチS2を希望の位置に操作することで、その操作位置に対応した調整値を入力可能となっている。
【0032】
以上の各スイッチS1、S2は、それぞれ操作位置に対応した入力内容を表す信号を、制御回路30へと送信する。このように各スイッチS1、S2は、乗員からの入力を受ける「入力手段」として機能する。
【0033】
状態値センサS3は、液晶パネル10の意匠面11に画像として表示させる車両の状態値、本実施形態では例えば車速などを検出する。異常センサS4は、車両に発生した異常、本実施形態では例えばエンジン冷却水の水温異常などを検出する。照度センサS5は、車両の外光の照度を検出する。これらのセンサS3〜S5は、それぞれの検出結果を表す信号を制御回路30へ送信する。
【0034】
次に、本発明の要部の構成について説明する。図4の(a)は、本発明の一実施形態におけるウォーニング表示領域14aの断面構成を示す模式図であり、(b)は、(a)中のb視拡大図、(c)は、(a)中のc視拡大図である。表示領域14の一部分であるウォーニング表示領域14aにおいては、上述したように、所定のインジケータ12hが所定の位置で所定の色で表示することが決まっている。なお、以降は、図1における右から4番目のブレーキ警告のインジケータ12hを例にして説明する。
【0035】
このようなウォーニング表示領域14aにおいて、表示パネル10のウォーニング表示領域14aにおいて、複数の画素10bに対応するRGB三原色の各フィルタR、G、Bを無くすようにしている(図4(c)参照)。具体的には、液晶パネルの製作時、透明樹脂シート(図示せず)の表面にR、G、Bのそれぞれの顔料を含んだ着色樹脂層を印刷するが、ウォーニング表示領域14aに対応する部分だけ着色樹脂層を印刷しないこととなる。
【0036】
これにより、ウォーニング表示領域14aに対応する部分は透明樹脂シートのままとなり、白色光がそのまま透過することとなる。そして、表示パネル10のウォーニング表示領域14aの前面側には、レンズ(本発明で言うフィルタ部材)42を配置している。なお、このレンズ42は、メータケース2の一部であるカバー41によって支持されている(図4(a)参照)。
【0037】
図5は、本発明の第1実施形態におけるウォーニング表示領域14aの構成を示す分解模式図である。図5に示すように、ウォーニング表示領域14aにおける表示は、ウォーニング表示領域14aに対応する複数の画素10bを全て透過状態にするとともに、画像レンズ(本発明で言うフィルタ部材)42Aにて所定のインジケータ12hを所定の色、ここでは赤色または橙色で表示している。
【0038】
従来の液晶表示では、例えば、赤色のウォーニングであった場合、1画素内の赤色フィルタRだけを透過させ、残りの緑色フィルタGと青色フィルタBとは遮光させている。1画素の明るさは、赤色の明るさ+緑色の明るさ+青色の明るさの合計で表されるが、この場合、赤色の明るさだけとなる。
【0039】
このように、赤色しか透過させない場合、1画素の中の赤色領域しか透過していないことで1画素を透過可能な光が1/3となり、さらにその1/3の光が赤色フィルタR中を透過することでさらに約1/10の明るさに減衰されてしまう。これが青色の場合ならば(1/3)×(1/5)、緑の場合ならば(1/3)×(1/3)となる。
【0040】
本実施形態では、対応する画素10b内の各色フィルタR、G、Bを無くすため、1画素を構成する3つの領域全てを透過させることができ、その明るさは、白の明るさ+白の明るさ+白の明るさの合計となり、原理的には白色光源ユニット20からの発色光そのものを透過させることとなる。
【0041】
液晶パネル10を透過した後の光は、液晶パネル10の意匠面11の上に設けられたレンズ42によってウォーニングの赤色に色付けされる。このため、例え上記の色フィルタと同じ透過率のレンズ42を使用したとしても、1画素全ての光を使うことができるため、3倍の明るさまで輝度を上げることが可能となる。さらに、透過率の良いレンズ42を選択すれば、さらなる輝度向上が可能となる。
【0042】
次に、本実施形態の特徴と、その効果について述べる。まず、カラーフィルタ素子は、色フィルタR、G、Bの配置領域と非配置領域14aとを備えており、非配置領域14aは白色光がそのまま透過するようにされている。また、カラーフィルタ素子の非配置領域14aは、表示パネル10のうち所定の画像を表示する所定領域14aに対応しており、カラーフィルタ素子の非配置領域14aの白色光出射側には白色光を所定の色に変換するレンズ42が配置されている。
【0043】
これは、所定領域14aで所定の表示画像を所定の色で表示するならば、表示パネル10の3原色の色フィルタR、G、Bで選択透過させた光で表現するよりも、別のレンズ42で所定の色に着色した方が、白色光源ユニット20の光を有効利用できることに着目したものである。これによれば、警告表示などのように、所定の表示画像を所定の色で表示することが決まっている所定領域14aにおいて、複数の画素10bに対応する各色フィルタR、G、Bを無くすことで輝度を上げることができる。
【0044】
また、フルカラー表示装置は車両用表示装置1であり、カラーフィルタ素子の色フィルタR、G、Bの配置領域において表示パネル10は車両の状態値を画像として表示し、カラーフィルタ素子の非配置領域14aにおいて表示パネル10は所定の画像として車両における警告画像12hを表示するようにしている。
【0045】
これによれば、所定領域14aに表示される情報がユーザーに対する警告表示である場合、所定領域14aの輝度を上げることは特に有効となる。ユーザーにとって重要な情報である警告画像12hが低い輝度で表示されると、ユーザーが警告画像12hを見落としてしまう恐れがあるが、輝度を上げることによりユーザーは重要な情報である警告画像12hを見落とすことなく認識することができる。
【0046】
また車両の状態値の図像は、少なくとも車速表示図像、水温表示画像、残燃料表示同像であり、警告画像12hは少なくともシートペルト警告画像、ドア警告画像である。これによれば、具体的には上記したような状態値図像および警告画像12hを表示するものである。
【0047】
また、表示パネル10は、液晶パネルおよび白色光源ユニット20を備えている。これによれば、液晶パネルのように、白色光源ユニット20からの光を透過させる受光型(非発光型)のディスプレイにおいて、透過する際の光の減衰が抑えられることにより、所定領域14aの輝度を上げることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態におけるウォーニング表示領域14aの構成を示す分解模式図である。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一もしくは均等な構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0049】
本実施形態での所定領域14aにおける表示は、所定領域14aに対応する複数の画素10bにて所定の警告画像12hを表示するとともに、その警告画像12hをカラーフィルタ(本発明で言うフィルタ部材)42Bを透過させることで所定の色として表示している。
【0050】
これによれば、白色光源ユニット20からの白色光が、液晶パネル10の複数の画素10bで所定の警告画像12hにされてカラーフィルタ42Bに到達し、その所定の警告画像12hがカラーフィルタ42Bで所定の色に色付けされて表現されることとなる。この方法によっても、液晶パネル10を所定の警告画像12hとなって透過する際の光の減衰が抑えられることより、所定領域14aの輝度を上げることができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本発明の第3実施形態におけるウォーニング表示領域14aの構成を示す分解模式図である。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。本実施形態では、表示パネル10としてエレクトロルミネッセンス素子を用いた有機ELパネルを用いている。これによれば、パネル内の白色発光層であり、画素を構成する10aと10bが、上述した実施形態における白色光源ユニット20の役割もこなすこととなる。
【0052】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、白色光源ユニット20内で拡散板22に投光する光源は発光ダイオード21であったが、CCT(冷陰極管)であっても良いし、エレクトロルミネッセンス素子であっても良い。また、上述の実施形態では、ウォーニング表示に用いているが、ウォーニング表示以外の情報表示に適用しも良い。但し、本発明はユーザーにとって重要な情報が高輝度表示される場合に適用すると効果的である。
【0053】
また、上述の実施形態では、車室内のインストルメントパネルからその意匠面11を運転者に向けて配設していたが、意匠面11に表示された画像がハーフミラーにより虚像として運転者に表示されるように配置されていても良い。また、本発明のフルカラー表示装置は、車両に搭載して用いられる車両用表示装置に限らず、船舶や航空機などの移動体に用いられる表示装置に適用しても良いし、家庭用電化製品など、定置式の装置に用いられる表示装置に適用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
1…車両用表示装置
10…液晶パネル、有機ELパネル(表示パネル)
12h…インジケータ(警告画像)
14a…ウォーニング表示領域(非配置領域、所定領域)
20…白色光源ユニット
42…レンズ(フィルタ部材)
R…赤色フィルタ(色フィルタ)
G…緑色フィルタ(色フィルタ)
B…青色フィルタ(色フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を出射するとともに画像を表示する表示パネル(10)と、
前記表示パネル(10)の白色光出射側に配置され、前記白色光をフルカラーの光に変換するものであり、RGB3原色の色フィルタ(R、G、B)を有するカラーフィルタ素子とを備えたフルカラー表示装置であり、
前記カラーフィルタ素子は、前記色フィルタ(R、G、B)の配置領域と非配置領域(14a)とを備えており、前記非配置領域(14a)は前記白色光がそのまま透過するようにされており、
前記カラーフィルタ素子の前記非配置領域(14a)は、前記表示パネル(10)のうち所定の画像を表示する所定領域(14a)に対応しており、
前記カラーフィルタ素子の前記非配置領域(14a)の白色光出射側には前記白色光を所定の色に変換するフィルタ部材(42)が配置されていることを特徴とするフルカラー表示装置。
【請求項2】
前記フルカラー表示装置は車両用表示装置(1)であり、前記カラーフィルタ素子の前記色フィルタ(R、G、B)の配置領域において前記表示パネル(10)は車両の状態値を画像として表示し、
前記カラーフィルタ素子の前記非配置領域(14a)において前記表示パネル(10)は前記所定の画像として車両における警告画像(12h)を表示することを特徴とする請求項1に記載のフルカラー表示装置。
【請求項3】
前記車両の状態値の図像は、少なくとも車速表示図像、水温表示画像、残燃料表示同像であり、前記警告画像(12h)は少なくともシートペルト警告画像、ドア警告画像であることを特徴とする請求項2に記載のフルカラー表示装置。
【請求項4】
前記表示パネル(10)は、液晶パネルおよび白色光源ユニット(20)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフルカラー表示装置。
【請求項5】
前記表示パネル(10)は、有機ELパネルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフルカラー表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−237373(P2010−237373A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84316(P2009−84316)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】