フレア補正方法およびフレア補正プログラム
【課題】フレア補正を短時間で正確に行うフレア補正方法を提供すること。
【解決手段】パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンのパターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、基準フレア値でのパターン補正量を基準としてフレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、を含む。
【解決手段】パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンのパターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、基準フレア値でのパターン補正量を基準としてフレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレア補正方法およびフレア補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造に用いる露光装置が形成するパターンは、年々微細化が進められている。このため、露光装置が用いる露光光は、ハーフピッチ(HP)30nm世代以降ではArFより波長の短いEUV(Extreme Ultra Violet)が主流になると考えられている。波長をλ、光学の開口数をNAとすると、解像性はλ/NAという数式で表現され、この値が小さいほど微細なパターンを形成できる。よって、EUVでは短波長化によって露光転写パターンの解像性が上がり、ArFよりも微細なパターン形成が可能となる。
【0003】
一方で、この短波長化に伴って装置構成や露光方法などいくつか従来と変わる点がある。大きく変わる点としてレンズとマスクが挙げられる。従来は、レンズ光学系として屈折レンズが用いられていたが、EUVで露光する場合には、光吸収と屈折率の関係から露光光が透過しないので従来の屈折レンズは使えず、反射光学系(ミラー)を用いる必要がある。
【0004】
また、パターン転写に用いられる露光用マスクとしては、透明基板上に部分的に遮光領域を設けた従来の透過型マスクではなく、反射型のマスクを使う必要がある。この反射型のマスクは、所望のパターンがレジスト上に露光されるよう部分的に光を反射させる反射領域と露光光を反射させない吸収領域とから構成される。
【0005】
また、ミラー作製の際には、ミラーの表面を研磨する必要があるが、完全にはミラーをフラットに仕上げることができず、ミラー表面に凸凹(ラフネス)ができてしまう。このようなミラー表面ラフネスがあると、パターン露光の際に、ミラーに照射された露光光がミラー表面で乱反射する。このため、ウエハのレジスト面上の意図しない領域に散乱光が降りかかり、これによりコントラストが低下してパターン像がぼやけ、その結果、仕上がりパターン形状を所望通りに形成できない。乱反射された露光光はフレアと呼ばれ、EUV露光ではパターン形成を行う際のパターン形状の精度劣化の大きな要因の1つとされている。
【0006】
フレアの影響に起因するパターン像のぼやけなどを解消するためには、フレアの影響に起因するパターンの伸縮をキャンセルするようにマスク上のパターン形状を変形させればよい。ところが、フレアは、周辺パターン(反射領域)で反射される散乱光(散乱される反射光)が原因で起こること、実際の回路パターンは複雑で画一性が無いことから、各々の補正箇所において周辺パターンの配置に応じたパターン補正が必要となってくる。
【0007】
OPC(Optical Proximity effect Correction)ではOPE(Optical Proximity Effect)の範囲(数ミクロン:10-6m)で周辺パターンを考慮すればパターン補正が可能である。一方、フレアの場合、着目するパターンに対してフレア量を計算するためには、フレアは上述のようにミラーのラフネスに起因するものであるので、少なくともミリメートル(10-3m)オーダーのロングレンジにある周辺パターンの影響を考慮する必要がある。これは、EUVフレア補正の大きな特徴の1つである。ロングレンジの影響を補正するためには、動的にシミュレーションやイタレーションなど行わず、予め決めておいたフレア量に対する補正量を付加する単純な補正を行うことが、現在のコンピュータ処理性能からして現実的な時間内に処理できる方法である。
【0008】
また、特許文献1,2に記載の発明では、回路パターンレイアウトの領域を所定間隔で区画化(グリッドと称する)し、各区画領域に対してパターンの密度を計算している。そして、計算した密度とPSF(Point Spread Function)とをコンボリューションしフレア計算している。その際、所定の距離以上を荒く区画化(coarse grid)した場合の第1のフレア値と、前記所定の距離までについて細かく区画化(fine grid)した場合の第2のフレア値と、を求めている。そして、第1のフレア値と第2のフレア値とを足し合わせた値を、領域全体のフレア値として求めている。また、フレア値のUniformityが悪い箇所を見つける手段および、フレア値のUniformityが悪い箇所を見つけ出しダミーパターンを付加してフレア均一性を補正する手段が記述されている。
【0009】
また、特許文献3に記載の発明では、フレア量の計算およびフレア補正を行っている。フレア量の計算としては、まず、回路パターンレイアウト領域を区画化し、各区画領域の明るさ(パターン密度)を計算している。次いで、各領域に対して明るさと点像分布関数(例えばガウシアンやフラクタル関数など)を用いて畳み込み積分することでフレア量を求めている。フレア補正としては、計算により求めたフレア量に応じてエッジをバイアスするもしくは光学像(エアリアル画像)を調整することによってフレア補正を行っている。
【0010】
また、特許文献4に記載の発明では、まずPSFを求め、PSFとマスクパターンのエアリアルイメージとをコンボリューション(畳み込み積分)することでフレア量を計算している。次に、予め実験等より求めたフレア量に対するバイアス量を定義したルックアップテーブルを用い、フレア量に応じたバイアス量(補正量)をパターンに付加することで、フレアの影響を打ち消すようパターン補正(フレア補正)が行われている。
【0011】
上記特許文献3に記載の技術ではフレア量に応じてエッジをバイアスすることが、また、上記特許文献4に記載の技術では、実験用マスクなどを用いて露光実験を行いその結果に基づいて補正量を求めることが記載されており、仮にフレアの影響がない箇所がバイアス0という結果になるとフレア値の高い箇所ではパターンに大きな補正量を付加しなければならないことになる。パターンに大きな補正量を付加すると、パターン間距離やパターン幅が縮まって、マスク作製やマスク検査が困難になるという影響を受ける。また、補正前後でパターン密度が変化することに伴ってフレア値変化による補正精度の劣化が発生したり、MEF見積りの若干の誤差が精度劣化につながったり、更には補正対象領域が多くなり補正に要する時間が増えたり、マスク描画データの量が増大したり、とマスク形状と所望形状との間の乖離による諸々の影響を受ける。
【0012】
このような問題を回避するために、露光時に露光量などを調整することで、フレア補正を行う際の補正量が大きくならないよう補正量を0とする基準フレア値を変更する方法がある。しかしながら、基準値をどこに設定するかは人の経験的な判断によって決定されるのが現状で、システマティックな設定方法が存在していない。
【0013】
上記特許文献1〜4に記載の技術では、補正基準を変えておらず、基準となるフレア値の求め方については記述されていない。このため、上記特許文献1〜4に記載の技術では、フレア補正を正確に行うことができないという問題があった。また、今日の半導体回路は、微細化や多機能化によってますますレイアウトが複雑化してきており、人の判断で基準値を決定することはかなり困難となってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【特許文献1】US 6,625,802 B2 (Intel) Sep. 23, 2003 (Feb. 1, 2002)
【特許文献2】US 6,898,781 B2 (Intel) May 24, 2005 (Jul. 30 2003)
【特許文献3】特表2007−524255号公報
【特許文献4】US 6,815,129 B1 (EUV LLC) Nov. 9 2004 (Sep. 26 2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フレア補正を、短時間で正確に行うフレア補正方法およびフレア補正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明の一態様によれば、パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、前記フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、を含むことを特徴とするフレア補正方法が提供される。
【0017】
また、本願発明の一態様によれば、パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布であるフレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするフレア補正プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレア補正を、短時間で正確に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係るフレア補正装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、フレア補正装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、レイアウトデータの一部を示す上面図である。
【図5】図5は、レイアウトデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、メッシュ状に分割されたレイアウトデータのパターン密度マップを示す図である。
【図7】図7は、図6に示したパターン密度マップの一部を拡大して示した図である。
【図8】図8は、フレアマップの一例を示す図である。
【図9】図9は、図8に示したフレアマップを模式的に示した図である。
【図10】図10は、面積占有率の第1の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。
【図11】図11は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。
【図12】図12は、フレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではない場合の補正バイアス量を示す図である。
【図13】図13は、占有率とΔ補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。
【図14】図14は、占有率と補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。
【図15】図15は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【図16】図16は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。
【図18】図18は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【図19】図19は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、パターンエッジ占有率の第3の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。
【図21】図21は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値とパターンエッジ占有率との関係を示す図である。
【図22】図22は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るフレア補正方法およびフレア補正プログラムを詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るフレア補正装置の構成を示す図である。フレア補正装置1は、フレアの影響を解消するパターン補正(フレア補正)を行うコンピュータなどの装置である。
【0022】
本実施の形態のフレア補正装置1は、フレア補正を行う際にパターン(レイアウトデータ)の補正量(フレア補正量)として0が設定される基準フレア値(フレア補正の際に基準となるフレア量)を、システマティックに決定する。
【0023】
フレア補正装置1は、入力部10、記憶部11、フレアマップ算出部12、フレア占有率算出部13、基準フレア値決定部14、パターン補正部15、出力部16を備えている。
【0024】
入力部10は、フレア補正の対象となる設計レイアウトデータ(後述のレイアウトデータ4)、基準フレア値の算出に用いる数値データまたは関数などのPSF(Point Spread Function)、基準フレア値の算出方法を指定する指示情報などを入力する。入力部10は、レイアウトデータ4やPSFを記憶部11に送る。また、入力部10は、基準フレア値の算出方法を指定する指示情報を、基準フレア値決定部14に送る。記憶部11は、入力部10から送られてくるレイアウトデータ4やPSFを記憶するメモリなどである。
【0025】
フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4とPSFを用いてフレアマップの算出(フレア計算)を行う。フレアマップは、レイアウトデータ4上でのフレア値の分布に関する情報である。
【0026】
フレア占有率算出部13は、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値ごとのパターン面積占有率(以下、面積占有率という)を算出する。面積占有率は、各フレア値を有したパターンが、レイアウトデータ4内の全パターン上に占める面積の割合を示す情報(フレア値占有率)である。換言すると、面積占有率は、所定のフレア値を有したパターンの、パターンデータ全面積に対する占有率である。フレア占有率算出部13は、算出した面積占有率を用いて、階級をフレア値とし、各階級(小区間)(フレア量区分)に入っている度数を面積占有率とした分布(後述のヒストグラム81)を作成する。これにより、どのフレア値がレイアウトデータ4上でどの程度面積を占めているのかを定量的に判断することが可能となる。なお、フレア占有率算出部13は、ヒストグラム81の代わりにヒストグラム81に対応する度数分布表を作成してもよい。
【0027】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム81を解析してフレア補正量0とする基準フレア値を決定する。本実施の形態の基準フレア値決定部14は、例えばフレア値の分布中のうち面積占有率が最も高いフレア値を基準フレア値に決定する。
【0028】
パターン補正部15は、基準フレア値決定部14が決定した基準フレア値を基準としてレイアウトデータ4のバイアス補正(パターン補正)を行う。出力部16は、基準フレア値決定部14が決定した基準フレア値やパターン補正部15がパターン補正したレイアウトデータ4を外部装置などに出力する。
【0029】
図2は、フレア補正装置のハードウェア構成を示す図である。フレア補正装置1は、半導体装置製造工程の露光処理に用いるフォトマスクのレイアウトデータ(レイアウトデータ4)をフレア補正する装置であり、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。フレア補正装置1では、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
【0030】
CPU91は、レイアウトデータ4のフレア補正を行うコンピュータプログラムであるフレア補正プログラム98を用いてレイアウトデータ4のフレア補正を行う。
【0031】
表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、レイアウトデータ4、フレアマップ、フレア占有率、基準フレア値、フレア補正後のレイアウトデータ4などを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(基準フレア値の算出に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
【0032】
フレア補正プログラム98は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。CPU91はRAM93内にロードされたフレア補正プログラム98を実行する。具体的には、フレア補正装置1では、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内からフレア補正プログラム98を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。また、フレア補正プログラム98は、処理時にRAM93へロードされていれば良く、ROMだけでなくその他記憶装置(CD、DVD、ハードディスク、SSDなど。有線もしくは無線でネットワーク接続されている記憶装置も含む)に格納されていても良い。
【0033】
つぎに、第1の実施の形態に係るフレア補正方法について説明する。なお、以下の説明では、パターン寸法などの距離は全てウエハ面上での数値に換算して記載する。図3は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS10)。入力部10は、レイアウトデータ4やPSFを記憶部11に送る。記憶部11は、入力部10から送られてくるレイアウトデータ4やPSFを記憶しておく。
【0035】
フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS20)。フレアマップ算出部12が行うフレアマップの算出方法は、何れの形態でも良く、本実施例では大規模領域のフレアマップの算出として一般的に知られている手法を適用する。フレアマップ算出部12は、例えば、レイアウトデータ4のレイアウトをメッシュ状に区画化してパターン密度を算出した密度マップと、PSFと、をコンボリューション(畳み込み積分)することによって、フレアマップを算出する。PSFは、距離に応じて中心位置に照射される単位面積あたりの露光量を得ることができる数値データもしくは関数である。
【0036】
図4は、レイアウトデータの一部を示す上面図である。図4に示すラインアンドスペース(L/S)パターン3は、レイアウトデータ4内に繰り返して配置される種セルの一例である。ラインアンドスペースパターン3は、5μm×5μmの矩形状領域にラインLが所定方向を向くようラインLとスペースSとが交互に配置されて形成されている。ラインアンドスペースパターン3は、図内の最左端が40nmのラインLとスペースSであり、右方向に行くに従って5nmずつ線幅(ラインLの寸法)と間隔(スペースSの寸法)を大きくして配置されている。
【0037】
図5は、レイアウトデータの一例を示す図である。図5に示すレイアウトデータ4は、5μm×5μmのラインアンドスペースパターン3を種セルとしたレイアウトデータである。レイアウトデータ4は、ラインアンドスペースパターン3が250個×250個分だけ縦方向および横方向に繰り返してアレイ配置されている。したがって、レイアウトデータ4は、1250μm×1250μmの領域を有している。本実施の形態では、ラインアンドスペースパターン3が繰り返しアレイ配置されたレイアウトデータ4が製品のレイアウトデータである場合について説明する。なお、本実施の形態では、レイアウトデータ4がラインアンドスペースパターン3を繰り返しアレイ配置した場合について説明するが、製品パターンに対応するレイアウトデータのフレア補正を行う場合には、各製品パターンに対応するレイアウトデータをレイアウトデータ4とする。すなわち、製品パターンに対応するレイアウトデータは、図5に示すレイアウトデータ4に限らず、どのようなレイアウトデータであってもよい。
【0038】
レイアウトデータ4を1μm間隔で区画化(分割)すると1250個×1250個のメッシュとなる。フレアマップ算出部12は、区画化された各メッシュのパターン密度を求め、PSFとコンボリューションを行うことでフレアマップを得る。
【0039】
図6は、メッシュ状に分割されたレイアウトデータのパターン密度マップを示す図であり、図7は、図6に示したパターン密度マップの一部を拡大したパターン密度マップである。図6では、図5に示したレイアウトデータ4全体のパターン密度を示すパターン密度マップ61を模式化して上面図として図示している。また、図7では、図6に示したパターン密度マップ61のうち50μm×50μmの領域(X=1200μm〜1250μm、Y=0μm〜50μm)を拡大し、パターン密度マップ62として模式的に3次元で図示している。パターン密度マップ61,62のX軸およびY軸は、レイアウトデータ4のX方向およびY方向に対応している。また、パターン密度マップ62のZ軸が、パターン密度である。
【0040】
パターン密度マップ61,62内では、パターン密度の値に応じた領域71〜75がそれぞれY軸と平行な矩形領域として分布している。領域71は、パターン密度が最も低い領域(パターン密度が約0.46)であり、領域75は、パターン密度が2番目に高い領域(パターン密度が約0.52)である。また、領域74は、パターン密度が3番目に高い領域(パターン密度が約0.50)であり、領域73は、パターン密度が4番目に高い領域(パターン密度が約0.48)である。また、領域72は、パターン密度が最も高い領域(パターン密度が約0.54)である。パターン密度マップ61,62内では、領域71〜75が、領域71、領域75、領域74、領域73、領域72の順番で、X方向に繰り返し分布している。
【0041】
領域71、領域75、領域74、領域73、領域72からなる1組分のX方向の分布が、1つのラインアンドスペースパターン3に対応している。換言すると、5μm×5μmからなるラインアンドスペースパターン3内に、1つずつの領域71、領域75、領域74、領域73、領域72が分布している。図7では、10個×10個のラインアンドスペースパターン3のパターン密度を示している。
そして、パターン密度は、ラインアンドスペースパターン3の配置周期に対応するよう高低が繰り返されている。
【0042】
フレアマップ算出部12は、例えば式(1)を用いてフレアマップを算出する。式(1)では、Flare(x,y)が メッシュ位置(x,y)におけるフレア値であり、Density(X,Y)がメッシュ位置(X,Y)におけるパターン密度である。また、PSF(dist)が距離distにおけるPSF値(単位面積あたりの照射量)であり、Mesh_Areaがメッシュ面積である。
【0043】
【数1】
【0044】
フレアマップ算出部12は、例えば図8に示すようなフレアマップを算出する。図8は、フレアマップの一例を示す図である。図8では、左上側にフレアマップ101を示し、右下側にフレアマップ102を示している。フレアマップ101,102のX軸およびY軸は、レイアウトデータ4のX方向およびY方向に対応している。また、フレアマップ101,102のZ軸が、フレア値である。フレアマップ101は、レイアウトデータ4全体のフレア値を示すフレアマップであり、フレアマップ102は、フレアマップ101のうち50μm×50μmの領域(X=1200μm〜1250μm、Y=0μm〜50μm)を拡大して示したフレアマップである。
【0045】
図9は、図8に示したフレアマップを模式的に示した図である。図9では、フレアマップ102を模式的に3次元で図示している。フレアマップ101,102内では、種々の値を示すフレア値が略所定の周期に従って分布している。フレアマップ101,102内のフレア値は、パターン密度マップ61,62内のパターン密度と同様に、ラインアンドスペースパターン3の配置周期と同様の周期で高低が繰り返されている。さらに、フレアマップ101,102内では、X=0の近傍、X=1250μmの近傍、Y=0の近傍、Y=1250μmの近傍に近づくに従ってフレア値が小さくなっている。換言すると、レイアウトデータ4の外周部近傍に対応する箇所では、外周部近傍に近づくに従ってフレア値が小さくなっている。
【0046】
従来手法であれば、フレアマップをベースにフレア値0の時をバイアス量0(フレア補正量0)とし、フレア値に応じてパターンをリサイズすることによってフレア補正を行うことになる。ところが、仮にフレア値1パーセントあたり−1nm分だけパターンエッジにフレア補正が行われるとすると、フレアマップ101を用いた場合、最大となるフレア値は4.6%であるので、フレア補正の最大補正量は−4.6nmとなる。しがって、従来手法では、40nmのラインパターンであれば、補正後のパターンが30.8nmのラインパターンとなってしまい、マスク作成やマスク検査が困難となる可能性がある。
【0047】
そこで本実施の形態では、バイアス量を0とするフレア基準値を基準フレア値として決定し、この基準フレア値を用いてフレア補正を行う。具体的には、まずフレア占有率算出部13が、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値(フレア値の範囲を示す小区間)ごとの面積占有率を算出する(ステップS30)。図10は、面積占有率の第1の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。フレア占有率算出部13は、例えば図10に示すように、パターンPと所定のフレア値を持つメッシュ(フレアメッシュ20)とのAND演算を行うことでパターンPのフレアメッシュ20内での面積を算出し、パターンPのフレアメッシュ20内での面積を用いて面積占有率を算出する。
【0048】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分して面積占有率を算出し、算出した面積占有率を用いて、例えば図11に示すような分布(ヒストグラム81)を作成する。図11は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。図11では、横軸がフレア値を示し、縦軸が面積占有率を示している。
【0049】
別の手段として、本実施例では縦軸が面積占有率としたが、仮決めした基準フレア値を変化させた場合の補正バイアスの変化率を求め、該補正バイアスの変化率と面積占有率とを掛け合わせた値(つまり補正によるパターン変化率)を縦軸にとることも考えられる。特に、フレア値と補正量との間にリニアな関係がない場合、面積や後述するエッジの占有率だけの評価では必ずしも補正後のパターン変化率が小さくできるとは限らない。本評価手法を取り入れることでより正しく基準フレア値を決定することが可能となる。
【0050】
ここで、具体的な例を挙げて説明する。図12は、フレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではない場合の補正バイアス量を示す図である。図12では、基準フレア値を4%と仮決めしたときのフレア値に対する補正バイアス量を表している。図12に示すようにフレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではないケースが実際には在る。このような場合に、図11で示すフレア値毎に、占有率に対しフレア基準が変化したときの補正バイアス量の変化量(Δ補正量)を掛け合わす演算(占有率×Δ補正量)を行う。その結果が図13となる。
【0051】
図13は、占有率とΔ補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。図13では、横軸がフレア値を示し、縦軸が占有率×Δ補正量を示している。ここでの占有率は、面積占有率であってもよいし、後述するパターンエッジ占有率であってもよい。図13に示すグラフは、基準フレア値の変化に対し、各フレア値での補正量面積がどれだけ変化するのかの程度を表している。図13に示すグラフの中で占有率×Δ補正量が大きな箇所(本例では0.045のあたり)を基準フレア値にすることで、補正量変化量を小さく抑えることが可能となる。
【0052】
また、更に別な手段として、図11で示すフレア値毎に、占有率に対し補正値(補正バイアス量)そのものを掛け合わす演算(占有率×補正量)を行ってもよい。その結果が図14となる。
【0053】
図14は、占有率と補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。図14では、横軸がフレア値を示し、縦軸が占有率×補正量を示している。ここでの占有率は、面積占有率であってもよいし、後述するパターンエッジ占有率であってもよい。図14に示すグラフは、仮決めした基準フレア値におけるフレア値毎の補正量変化量の程度を表している。図14に示すグラフの中で、占有率×補正量が大きな箇所(本例では0.046)を基準フレア値とすることで、補正変化量を小さく抑えることが可能となる。また、図14に示した関係を用いることにより、縦軸の値の合計が補正変化面積総量と同等の意味を持つ値を表すので、この合計値が最小になるようにイタレーションなどの手法を取り入れることにより、最適な基準フレア値を決定することができる。
【0054】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム81を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS40)。基準フレア値決定部14は、例えばフレア値の分布中のうち面積占有率が最も高いフレア値を基準フレア値に決定する。換言すると、ヒストグラム81中で最も頻度の高いフレア値が基準フレア値に決定される。
【0055】
例えば、図11に示すヒストグラム81の場合、最も面積占有率の高いフレア値である0.042(4.2%)が基準フレア値となる。なお、基準フレア値は、面積占有率の最高値である必要はなく、例えばパターン密度(高い面積占有率)が集中しているフレア値領域のほぼ中心に位置するフレア値を基準フレア値としてもよい。図11に示すヒストグラム81の場合、パターン密度が集中しているフレア値領域は、0.042(4.2%)〜0.046(4.6%)であるので、この中間位置である0.044(4.4%)のフレア値を基準値フレア値に選択してもよい。
【0056】
また、基準フレア値決定部14は、別の方法として、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍に対応するフレア値を基準フレア値に決定してもよい。これにより、最大補正量を最も小さくすることができ、パターン全面において補正精度の向上を図ることができる。図11に示すヒストグラム81の場合、レンジが0.035〜0.046であるので、その中間位置である0.04のフレア値を基準フレア値とすることで、最大でも0.6nmのフレア補正しか行われないこととなる。
【0057】
また、基準フレア値決定部14は、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍であって、且つ面積占有率の高いフレア値を基準フレア値としてもよい。これにより、パターンへの最大補正量を抑えつつ、補正によるパターンの変化量を少なく抑えることが可能となる。
【0058】
また、基準フレア値決定部14は、ヒストグラム81の中で分布の平均位置(重心位置)に対応するフレア値を基準フレア値としてもよい。これにより、全体的な補正面積変動を小さくさせることが可能となる。また、基準フレア値決定部14は、上述した基準フレア値の決定方法を組み合わせて基準フレア値を選択してもよい。例えば、基準フレア値決定部14は、上述した基準フレア値の決定方法を複数用いて複数の基準フレア値を決定する。そして、基準フレア値決定部14は、決定した基準フレア値の平均値などを基準フレア値に決定する。基準フレア値決定部14へは、フレア基準値の決定方法として予め所定の方法を設定しておいてもよいし、入力部10から入力される使用者からの指示情報に従ってフレア基準値の決定方法を変えてもよい。
【0059】
更に、フレア基準を変化させたとき、基準露光量を変えて露光を行うため露光マージン(露光ドーズ変動やフォーカス変動の許容範囲)が十分に取れない場合も想定される。その場合には、マージンが十分に取れるフレア値範囲内で基準フレア値を決定する。
【0060】
また、フレア補正装置1は、レイアウトデータ4を複数の領域(例えば、パターンが微細な領域とパターンが微細でない領域)に分割し、分割後の各領域に対して基準フレア値を決定してもよい。この場合、領域毎に決定した基準フレア値の平均値などが基準フレア値に決定される。
【0061】
本実施の形態では、基準フレア値決定部14は、最も面積占有率の高いフレア値である0.042(4.2%)を基準フレア値に選択する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準(補正バイアス量0)としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.2%)を基準として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正(パターン補正)される(ステップS50)。レイアウトデータ4にバイアス付加してフレア補正する手段については一般的な方法としてパターンリサイズ処理による補正手法を用いる。例えば、基準フレア値が0.042の場合、0.043のフレア値を有しているパターンは、0.1nmだけ細くなるようフレア補正され、0.044のフレア値を有しているパターンは、0.2nmだけ細くなるようフレア補正される。また、0.041のフレア値を有しているパターンは、0.1nmだけ太くなるようフレア補正され、0.04のフレア値を有しているパターンは、0.2nmだけ太くなるようフレア補正される。このように、フレア補正装置1は、一連の処理フローの中で人の判断を仲介せず自動的に基準フレア値を決定し、フレア補正を行なう。
【0062】
図15は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図15では、フレア補正量がレイアウト面積でどの程度変化しているか(フレア補正した場合のレイアウト面積の変化率)を結果情報51として示している。具体的には、図15では、基準フレア値を設けないでフレア値に応じたフレア補正を行った場合(フレア値0の場合にバイアス0)(従来の方法)の補正変化率(パターン面積の変化率)と、基準フレア値を決定してフレア補正を行った場合(本実施の形態のフレア補正方法)の補正変化率を示している。図15の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.2%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.2%」での補正変化率は0.2%である。
【0063】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.2%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。これにより、オリジナルパターンからの乖離を最小限に抑えつつ高精度なフレア補正を行うことが可能となる。したがって、半導体集積回路の製造において、パターン周囲の粗密の影響によってパターン変形が起こる現象をフレア補正によって解消することが可能となる。
【0064】
レイアウトデータ4のフレア補正が行われた後、フレア補正後のレイアウトデータ4を用いてフォトマスクが作製される。そして、ウエハプロセスにフォトマスクを用いて半導体デバイスなどの半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、露光装置がフォトマスクを用いてウエハへの露光処理を行い、その後、ウエハの現像処理、エッチング処理を行う。半導体装置は、レイヤ毎にレイアウトデータ4のフレア補正、フォトマスクの作製が行われるとともに、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返されることによって製造される。
【0065】
なお、本実施の形態では、パターンデータの補正処理としてレイアウトデータ4のフレア補正を行う場合について説明したが、パターンデータの補正処理としてマスクデータやリソターゲットのフレア補正を行ってもよい。この場合、マスクデータやリソターゲットを用いて基準フレア値を算出し、算出した基準フレア値を用いてマスクデータやリソターゲットのフレア補正が行われる。
【0066】
また、本実施の形態では、ヒストグラム81を用いて基準フレア値を算出したが、ヒストグラム81に限らずフレア値と面積占有率との関係を示す他の情報を用いて基準フレア値を算出してもよい。
【0067】
このように第1の実施の形態によれば、最も面積占有率の高いフレア値を基準フレア値に設定し、この基準フレア値に基づいてフレア補正を行うので、フレアの影響を解消するフレア補正を、短時間で正確に行うことが可能になる。短時間である理由は、補正量が少ないことによるバイアス処理の短縮、およびシステマティックに基準フレア値を決定できることから人の介在が無くなるためである。
【0068】
また、ヒストグラム81の中で面積占有率の高いフレア値を基準フレア値(フレア補正量0)に設定する場合、パターン(レイアウトデータ4)の全面において補正前後の面積変動を小さく抑えることが可能となる。
【0069】
また、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍に対応するフレア値を基準フレア値に設定する場合、最大補正量を最も小さくすることができ、全てのフレア補正を高精度に補償することができる。
【0070】
また、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍であって、且つ面積占有率の高いフレア値を基準フレア値に設定する場合、パターンへの最大補正量を抑えつつ、パターンの変形量を少なく抑えることが可能となる。
【0071】
また、ヒストグラム81の中で分布の平均位置に対応するフレア値を基準フレア値に設定する場合、パターン全面において補正前後の面積変動を小さく抑えることが可能となる。
【0072】
(第2の実施の形態)
つぎに、図16〜図18を用いてこの発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、レイアウトデータ4の中からクリティカルパターンを抽出し、抽出したクリティカルパターンを用いて基準フレア値を算出する。
【0073】
図16は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す処理のうち図3に示す第1の実施の形態1に係るフレア補正方法と同様の処理を行う手順に付いては重複する説明を省略する。
【0074】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS110)。フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS120)。
【0075】
この後、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4の中からクリティカルパターンを抽出する(ステップS130)。具体的には、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4内から所定線幅以下のパターン(ラインL)、所定の間隔幅以下のパターン(スペースS)、もしくはこれらの組み合わせで所定の条件(クリティカル寸法の条件)に一致するパターンを抽出する。フレア占有率算出部13は、例えば、所定線幅以下のラインパターンであって、且つ所定の間隔幅以下のスペースパターンを有したパターンをクリティカルパターンとして抽出する。
【0076】
なお、フレア占有率算出部13は、実験やシミュレーションなどによって露光量マージンを算出し、所定マージン以下のパターンをクリティカルパターンとして抽出してもよい。また、フレア占有率算出部13は、使用者によって指定されたパターンやパターン領域をクリティカルパターンとして抽出してもよい。また、フレア占有率算出部13は、上述のクリティカルパターンの抽出方法を組み合わせて所定のクリティカルパターンを抽出してもよい。このように、本実施の形態のフレア占有率算出部13は、パターン形成に精度を要するパターンをクリティカルパターンとして抽出する。
【0077】
本実施の形態では、フレア占有率算出部13が線幅50nm以下のパターン部をクリティカルパターンとして抽出する場合について説明する。フレア占有率算出部13は、抽出したクリティカルパターンに対してのみ面積占有率分布を算出する(ステップS140)。
【0078】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分して面積占有率を算出し、算出した面積占有率を用いて、例えば図17に示すような分布(ヒストグラム82)を作成する。図17は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。図17では、横軸がフレア値を示し、縦軸が面積占有率を示している。
【0079】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム82を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS150)。基準フレア値決定部14は、第1の実施の形態と同様の方法によって基準フレア値を決定する。基準フレア値決定部14は、例えば、最も面積占有率の高い箇所0.046(4.6%)を基準フレア値に決定する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.6%)を基準(補正バイアス量0)として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正される(ステップS160)。
【0080】
図18は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図18では、図15と同様に、フレア補正によってレイアウト面積がどの程度変化しているかを結果情報52として示している。図15の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.6%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.6%」での補正変化率は0.19%である。
【0081】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.19%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。特にクリティカルパターンに対して補正を最小限に抑えることができるのでレイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも高精度な補正が可能となる。
【0082】
このように第2の実施の形態によれば、クリティカルパターンを用いて基準フレア値を算出するので、クリティカルパターンへの補正を小さく抑えることができる。したがって、レイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも、フレアの影響を解消するフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。また、パターン形成に精度を要するパターンをクリティカルパターンとして抽出するので、パターン形成に精度を要するパターンのフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。
【0083】
(第3の実施の形態)
つぎに、図19〜図22を用いてこの発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、レイアウトデータ4の中からパターンエッジを抽出し、抽出したパターンエッジを用いてパターンエッジ占有率を算出する。そして、算出したパターンエッジ占有率を用いて基準フレア値を算出する。
【0084】
図19は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。図19に示す処理のうち図3に示す第1の実施の形態1に係るフレア補正方法と同様の処理を行う手順に付いては重複する説明を省略する。
【0085】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS210)。フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS220)。
【0086】
この後、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4の中からパターンエッジを抽出する(ステップS230)。具体的には、フレア占有率算出部13は、フレアメッシュとオーバーラップするパターンエッジを抽出する。フレア占有率算出部13は、パターンエッジを用いて、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値毎のパターンエッジ占有率を算出する(ステップS240)。パターンエッジ占有率(フレア占有率)は、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値ごとのパターンエッジ長の占有率である。
【0087】
図20は、パターンエッジ占有率の第3の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。フレア占有率算出部13は、例えば図20に示すように、パターンエッジEと所定のフレア値を持つメッシュ(フレアメッシュ20)とのAND演算を行うことでパターンエッジ長を算出し、パターンエッジ長を用いてパターンエッジ占有率を算出する。具体的には、フレア占有率算出部13は、フレアメッシュ20とオーバーラップするパターンエッジEを抽出し、抽出したパターンエッジEのエッジ長の占有率(全パターン長に対してパターンエッジEのエッジ長が占める割合)をパターンエッジ占有率として算出する。換言すると、パターンエッジ占有率は、所定のフレア値を有したパターンの、パターンデータの全パターン長に対するエッジ長占有率である。パターンエッジ占有率を求める際、本実施の形態ではパターンエッジEを1nmの幅を持ったパターンに置き換えて第1の実施の形態と同様の方法によってパターンエッジ占有率を算出する。換言すると、パターンエッジEを1nm幅のパターン面積に変換して面積占有率を算出し、算出した面積占有率をパターンエッジ占有率とする。
【0088】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分してパターンエッジ占有率を算出し、算出したパターンエッジ占有率を用いて、例えば図21に示すような分布(ヒストグラム83)を作成する。これにより、どのフレア値がレイアウトデータ4上でどの程度パターンエッジ長を占めているのかを定量的に判断することが可能となる。
【0089】
図21は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値とパターンエッジ占有率との関係を示す図である。図21では、横軸がフレア値を示し、縦軸がパターンエッジ占有率を示している。
【0090】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム83を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS250)。基準フレア値決定部14は、第1の実施の形態と同様の方法によって基準フレア値を決定する。基準フレア値決定部14は、例えば、最もパターンエッジ占有率の高い箇所0.046(4.6%)を基準フレア値に決定する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.6%)を基準として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正される(ステップS260)。
【0091】
図22は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図22では、図15と同様に、フレア補正量によってレイアウト面積がどの程度変化しているかを結果情報53として示している。図22の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.6%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.6%」での補正変化率は0.19%である。
【0092】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.19%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。パターンエッジに対して補正を最小限に抑えることができるのでレイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも高精度な補正が可能となる。
【0093】
実際のフレア補正はパターンエッジEに対して行われるので、パターンエッジ占有率に基づいて基準フレア値を決定することにより、フレア補正に則した適切なフレア補正を行うことが可能となる。
【0094】
なお、実施の形態2と同様に、クリティカルパターンのパターンエッジに対してパターンエッジ占有率を算出し、算出したパターンエッジ占有率を用いて基準フレア値を算出してもよい。
【0095】
このように第3の実施の形態によれば、パターンエッジEを用いて基準フレア値を算出するので、パターンエッジEへの補正を小さく抑えることができる。したがって、レイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも、フレアの影響を解消するフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。
【0096】
なお、実施の形態1〜3で説明したフレア補正方法を、半導体装置の製造方法に適用してもよい。この場合、フレア補正後のレイアウトデータ4を用いてフォトマスクが作製される。そして、作製したフォトマスクを用いて半導体装置が製造される。また、実施の形態1〜3で説明したフレア補正方法を、フレア補正装置1を用いたフレア補正システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 フレア補正装置、4 レイアウトデータ、12 フレアマップ算出部、13 フレア占有率算出部、14 基準フレア値決定部、15 パターン補正部、61,62 パターン密度マップ、81〜83 ヒストグラム、101,102 フレアマップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレア補正方法およびフレア補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造に用いる露光装置が形成するパターンは、年々微細化が進められている。このため、露光装置が用いる露光光は、ハーフピッチ(HP)30nm世代以降ではArFより波長の短いEUV(Extreme Ultra Violet)が主流になると考えられている。波長をλ、光学の開口数をNAとすると、解像性はλ/NAという数式で表現され、この値が小さいほど微細なパターンを形成できる。よって、EUVでは短波長化によって露光転写パターンの解像性が上がり、ArFよりも微細なパターン形成が可能となる。
【0003】
一方で、この短波長化に伴って装置構成や露光方法などいくつか従来と変わる点がある。大きく変わる点としてレンズとマスクが挙げられる。従来は、レンズ光学系として屈折レンズが用いられていたが、EUVで露光する場合には、光吸収と屈折率の関係から露光光が透過しないので従来の屈折レンズは使えず、反射光学系(ミラー)を用いる必要がある。
【0004】
また、パターン転写に用いられる露光用マスクとしては、透明基板上に部分的に遮光領域を設けた従来の透過型マスクではなく、反射型のマスクを使う必要がある。この反射型のマスクは、所望のパターンがレジスト上に露光されるよう部分的に光を反射させる反射領域と露光光を反射させない吸収領域とから構成される。
【0005】
また、ミラー作製の際には、ミラーの表面を研磨する必要があるが、完全にはミラーをフラットに仕上げることができず、ミラー表面に凸凹(ラフネス)ができてしまう。このようなミラー表面ラフネスがあると、パターン露光の際に、ミラーに照射された露光光がミラー表面で乱反射する。このため、ウエハのレジスト面上の意図しない領域に散乱光が降りかかり、これによりコントラストが低下してパターン像がぼやけ、その結果、仕上がりパターン形状を所望通りに形成できない。乱反射された露光光はフレアと呼ばれ、EUV露光ではパターン形成を行う際のパターン形状の精度劣化の大きな要因の1つとされている。
【0006】
フレアの影響に起因するパターン像のぼやけなどを解消するためには、フレアの影響に起因するパターンの伸縮をキャンセルするようにマスク上のパターン形状を変形させればよい。ところが、フレアは、周辺パターン(反射領域)で反射される散乱光(散乱される反射光)が原因で起こること、実際の回路パターンは複雑で画一性が無いことから、各々の補正箇所において周辺パターンの配置に応じたパターン補正が必要となってくる。
【0007】
OPC(Optical Proximity effect Correction)ではOPE(Optical Proximity Effect)の範囲(数ミクロン:10-6m)で周辺パターンを考慮すればパターン補正が可能である。一方、フレアの場合、着目するパターンに対してフレア量を計算するためには、フレアは上述のようにミラーのラフネスに起因するものであるので、少なくともミリメートル(10-3m)オーダーのロングレンジにある周辺パターンの影響を考慮する必要がある。これは、EUVフレア補正の大きな特徴の1つである。ロングレンジの影響を補正するためには、動的にシミュレーションやイタレーションなど行わず、予め決めておいたフレア量に対する補正量を付加する単純な補正を行うことが、現在のコンピュータ処理性能からして現実的な時間内に処理できる方法である。
【0008】
また、特許文献1,2に記載の発明では、回路パターンレイアウトの領域を所定間隔で区画化(グリッドと称する)し、各区画領域に対してパターンの密度を計算している。そして、計算した密度とPSF(Point Spread Function)とをコンボリューションしフレア計算している。その際、所定の距離以上を荒く区画化(coarse grid)した場合の第1のフレア値と、前記所定の距離までについて細かく区画化(fine grid)した場合の第2のフレア値と、を求めている。そして、第1のフレア値と第2のフレア値とを足し合わせた値を、領域全体のフレア値として求めている。また、フレア値のUniformityが悪い箇所を見つける手段および、フレア値のUniformityが悪い箇所を見つけ出しダミーパターンを付加してフレア均一性を補正する手段が記述されている。
【0009】
また、特許文献3に記載の発明では、フレア量の計算およびフレア補正を行っている。フレア量の計算としては、まず、回路パターンレイアウト領域を区画化し、各区画領域の明るさ(パターン密度)を計算している。次いで、各領域に対して明るさと点像分布関数(例えばガウシアンやフラクタル関数など)を用いて畳み込み積分することでフレア量を求めている。フレア補正としては、計算により求めたフレア量に応じてエッジをバイアスするもしくは光学像(エアリアル画像)を調整することによってフレア補正を行っている。
【0010】
また、特許文献4に記載の発明では、まずPSFを求め、PSFとマスクパターンのエアリアルイメージとをコンボリューション(畳み込み積分)することでフレア量を計算している。次に、予め実験等より求めたフレア量に対するバイアス量を定義したルックアップテーブルを用い、フレア量に応じたバイアス量(補正量)をパターンに付加することで、フレアの影響を打ち消すようパターン補正(フレア補正)が行われている。
【0011】
上記特許文献3に記載の技術ではフレア量に応じてエッジをバイアスすることが、また、上記特許文献4に記載の技術では、実験用マスクなどを用いて露光実験を行いその結果に基づいて補正量を求めることが記載されており、仮にフレアの影響がない箇所がバイアス0という結果になるとフレア値の高い箇所ではパターンに大きな補正量を付加しなければならないことになる。パターンに大きな補正量を付加すると、パターン間距離やパターン幅が縮まって、マスク作製やマスク検査が困難になるという影響を受ける。また、補正前後でパターン密度が変化することに伴ってフレア値変化による補正精度の劣化が発生したり、MEF見積りの若干の誤差が精度劣化につながったり、更には補正対象領域が多くなり補正に要する時間が増えたり、マスク描画データの量が増大したり、とマスク形状と所望形状との間の乖離による諸々の影響を受ける。
【0012】
このような問題を回避するために、露光時に露光量などを調整することで、フレア補正を行う際の補正量が大きくならないよう補正量を0とする基準フレア値を変更する方法がある。しかしながら、基準値をどこに設定するかは人の経験的な判断によって決定されるのが現状で、システマティックな設定方法が存在していない。
【0013】
上記特許文献1〜4に記載の技術では、補正基準を変えておらず、基準となるフレア値の求め方については記述されていない。このため、上記特許文献1〜4に記載の技術では、フレア補正を正確に行うことができないという問題があった。また、今日の半導体回路は、微細化や多機能化によってますますレイアウトが複雑化してきており、人の判断で基準値を決定することはかなり困難となってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【特許文献1】US 6,625,802 B2 (Intel) Sep. 23, 2003 (Feb. 1, 2002)
【特許文献2】US 6,898,781 B2 (Intel) May 24, 2005 (Jul. 30 2003)
【特許文献3】特表2007−524255号公報
【特許文献4】US 6,815,129 B1 (EUV LLC) Nov. 9 2004 (Sep. 26 2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フレア補正を、短時間で正確に行うフレア補正方法およびフレア補正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明の一態様によれば、パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、前記フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、を含むことを特徴とするフレア補正方法が提供される。
【0017】
また、本願発明の一態様によれば、パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布であるフレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするフレア補正プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレア補正を、短時間で正確に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係るフレア補正装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、フレア補正装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、レイアウトデータの一部を示す上面図である。
【図5】図5は、レイアウトデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、メッシュ状に分割されたレイアウトデータのパターン密度マップを示す図である。
【図7】図7は、図6に示したパターン密度マップの一部を拡大して示した図である。
【図8】図8は、フレアマップの一例を示す図である。
【図9】図9は、図8に示したフレアマップを模式的に示した図である。
【図10】図10は、面積占有率の第1の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。
【図11】図11は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。
【図12】図12は、フレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではない場合の補正バイアス量を示す図である。
【図13】図13は、占有率とΔ補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。
【図14】図14は、占有率と補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。
【図15】図15は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【図16】図16は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。
【図18】図18は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【図19】図19は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、パターンエッジ占有率の第3の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。
【図21】図21は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値とパターンエッジ占有率との関係を示す図である。
【図22】図22は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るフレア補正方法およびフレア補正プログラムを詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るフレア補正装置の構成を示す図である。フレア補正装置1は、フレアの影響を解消するパターン補正(フレア補正)を行うコンピュータなどの装置である。
【0022】
本実施の形態のフレア補正装置1は、フレア補正を行う際にパターン(レイアウトデータ)の補正量(フレア補正量)として0が設定される基準フレア値(フレア補正の際に基準となるフレア量)を、システマティックに決定する。
【0023】
フレア補正装置1は、入力部10、記憶部11、フレアマップ算出部12、フレア占有率算出部13、基準フレア値決定部14、パターン補正部15、出力部16を備えている。
【0024】
入力部10は、フレア補正の対象となる設計レイアウトデータ(後述のレイアウトデータ4)、基準フレア値の算出に用いる数値データまたは関数などのPSF(Point Spread Function)、基準フレア値の算出方法を指定する指示情報などを入力する。入力部10は、レイアウトデータ4やPSFを記憶部11に送る。また、入力部10は、基準フレア値の算出方法を指定する指示情報を、基準フレア値決定部14に送る。記憶部11は、入力部10から送られてくるレイアウトデータ4やPSFを記憶するメモリなどである。
【0025】
フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4とPSFを用いてフレアマップの算出(フレア計算)を行う。フレアマップは、レイアウトデータ4上でのフレア値の分布に関する情報である。
【0026】
フレア占有率算出部13は、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値ごとのパターン面積占有率(以下、面積占有率という)を算出する。面積占有率は、各フレア値を有したパターンが、レイアウトデータ4内の全パターン上に占める面積の割合を示す情報(フレア値占有率)である。換言すると、面積占有率は、所定のフレア値を有したパターンの、パターンデータ全面積に対する占有率である。フレア占有率算出部13は、算出した面積占有率を用いて、階級をフレア値とし、各階級(小区間)(フレア量区分)に入っている度数を面積占有率とした分布(後述のヒストグラム81)を作成する。これにより、どのフレア値がレイアウトデータ4上でどの程度面積を占めているのかを定量的に判断することが可能となる。なお、フレア占有率算出部13は、ヒストグラム81の代わりにヒストグラム81に対応する度数分布表を作成してもよい。
【0027】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム81を解析してフレア補正量0とする基準フレア値を決定する。本実施の形態の基準フレア値決定部14は、例えばフレア値の分布中のうち面積占有率が最も高いフレア値を基準フレア値に決定する。
【0028】
パターン補正部15は、基準フレア値決定部14が決定した基準フレア値を基準としてレイアウトデータ4のバイアス補正(パターン補正)を行う。出力部16は、基準フレア値決定部14が決定した基準フレア値やパターン補正部15がパターン補正したレイアウトデータ4を外部装置などに出力する。
【0029】
図2は、フレア補正装置のハードウェア構成を示す図である。フレア補正装置1は、半導体装置製造工程の露光処理に用いるフォトマスクのレイアウトデータ(レイアウトデータ4)をフレア補正する装置であり、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。フレア補正装置1では、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
【0030】
CPU91は、レイアウトデータ4のフレア補正を行うコンピュータプログラムであるフレア補正プログラム98を用いてレイアウトデータ4のフレア補正を行う。
【0031】
表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、レイアウトデータ4、フレアマップ、フレア占有率、基準フレア値、フレア補正後のレイアウトデータ4などを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(基準フレア値の算出に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
【0032】
フレア補正プログラム98は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。CPU91はRAM93内にロードされたフレア補正プログラム98を実行する。具体的には、フレア補正装置1では、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内からフレア補正プログラム98を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。また、フレア補正プログラム98は、処理時にRAM93へロードされていれば良く、ROMだけでなくその他記憶装置(CD、DVD、ハードディスク、SSDなど。有線もしくは無線でネットワーク接続されている記憶装置も含む)に格納されていても良い。
【0033】
つぎに、第1の実施の形態に係るフレア補正方法について説明する。なお、以下の説明では、パターン寸法などの距離は全てウエハ面上での数値に換算して記載する。図3は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS10)。入力部10は、レイアウトデータ4やPSFを記憶部11に送る。記憶部11は、入力部10から送られてくるレイアウトデータ4やPSFを記憶しておく。
【0035】
フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS20)。フレアマップ算出部12が行うフレアマップの算出方法は、何れの形態でも良く、本実施例では大規模領域のフレアマップの算出として一般的に知られている手法を適用する。フレアマップ算出部12は、例えば、レイアウトデータ4のレイアウトをメッシュ状に区画化してパターン密度を算出した密度マップと、PSFと、をコンボリューション(畳み込み積分)することによって、フレアマップを算出する。PSFは、距離に応じて中心位置に照射される単位面積あたりの露光量を得ることができる数値データもしくは関数である。
【0036】
図4は、レイアウトデータの一部を示す上面図である。図4に示すラインアンドスペース(L/S)パターン3は、レイアウトデータ4内に繰り返して配置される種セルの一例である。ラインアンドスペースパターン3は、5μm×5μmの矩形状領域にラインLが所定方向を向くようラインLとスペースSとが交互に配置されて形成されている。ラインアンドスペースパターン3は、図内の最左端が40nmのラインLとスペースSであり、右方向に行くに従って5nmずつ線幅(ラインLの寸法)と間隔(スペースSの寸法)を大きくして配置されている。
【0037】
図5は、レイアウトデータの一例を示す図である。図5に示すレイアウトデータ4は、5μm×5μmのラインアンドスペースパターン3を種セルとしたレイアウトデータである。レイアウトデータ4は、ラインアンドスペースパターン3が250個×250個分だけ縦方向および横方向に繰り返してアレイ配置されている。したがって、レイアウトデータ4は、1250μm×1250μmの領域を有している。本実施の形態では、ラインアンドスペースパターン3が繰り返しアレイ配置されたレイアウトデータ4が製品のレイアウトデータである場合について説明する。なお、本実施の形態では、レイアウトデータ4がラインアンドスペースパターン3を繰り返しアレイ配置した場合について説明するが、製品パターンに対応するレイアウトデータのフレア補正を行う場合には、各製品パターンに対応するレイアウトデータをレイアウトデータ4とする。すなわち、製品パターンに対応するレイアウトデータは、図5に示すレイアウトデータ4に限らず、どのようなレイアウトデータであってもよい。
【0038】
レイアウトデータ4を1μm間隔で区画化(分割)すると1250個×1250個のメッシュとなる。フレアマップ算出部12は、区画化された各メッシュのパターン密度を求め、PSFとコンボリューションを行うことでフレアマップを得る。
【0039】
図6は、メッシュ状に分割されたレイアウトデータのパターン密度マップを示す図であり、図7は、図6に示したパターン密度マップの一部を拡大したパターン密度マップである。図6では、図5に示したレイアウトデータ4全体のパターン密度を示すパターン密度マップ61を模式化して上面図として図示している。また、図7では、図6に示したパターン密度マップ61のうち50μm×50μmの領域(X=1200μm〜1250μm、Y=0μm〜50μm)を拡大し、パターン密度マップ62として模式的に3次元で図示している。パターン密度マップ61,62のX軸およびY軸は、レイアウトデータ4のX方向およびY方向に対応している。また、パターン密度マップ62のZ軸が、パターン密度である。
【0040】
パターン密度マップ61,62内では、パターン密度の値に応じた領域71〜75がそれぞれY軸と平行な矩形領域として分布している。領域71は、パターン密度が最も低い領域(パターン密度が約0.46)であり、領域75は、パターン密度が2番目に高い領域(パターン密度が約0.52)である。また、領域74は、パターン密度が3番目に高い領域(パターン密度が約0.50)であり、領域73は、パターン密度が4番目に高い領域(パターン密度が約0.48)である。また、領域72は、パターン密度が最も高い領域(パターン密度が約0.54)である。パターン密度マップ61,62内では、領域71〜75が、領域71、領域75、領域74、領域73、領域72の順番で、X方向に繰り返し分布している。
【0041】
領域71、領域75、領域74、領域73、領域72からなる1組分のX方向の分布が、1つのラインアンドスペースパターン3に対応している。換言すると、5μm×5μmからなるラインアンドスペースパターン3内に、1つずつの領域71、領域75、領域74、領域73、領域72が分布している。図7では、10個×10個のラインアンドスペースパターン3のパターン密度を示している。
そして、パターン密度は、ラインアンドスペースパターン3の配置周期に対応するよう高低が繰り返されている。
【0042】
フレアマップ算出部12は、例えば式(1)を用いてフレアマップを算出する。式(1)では、Flare(x,y)が メッシュ位置(x,y)におけるフレア値であり、Density(X,Y)がメッシュ位置(X,Y)におけるパターン密度である。また、PSF(dist)が距離distにおけるPSF値(単位面積あたりの照射量)であり、Mesh_Areaがメッシュ面積である。
【0043】
【数1】
【0044】
フレアマップ算出部12は、例えば図8に示すようなフレアマップを算出する。図8は、フレアマップの一例を示す図である。図8では、左上側にフレアマップ101を示し、右下側にフレアマップ102を示している。フレアマップ101,102のX軸およびY軸は、レイアウトデータ4のX方向およびY方向に対応している。また、フレアマップ101,102のZ軸が、フレア値である。フレアマップ101は、レイアウトデータ4全体のフレア値を示すフレアマップであり、フレアマップ102は、フレアマップ101のうち50μm×50μmの領域(X=1200μm〜1250μm、Y=0μm〜50μm)を拡大して示したフレアマップである。
【0045】
図9は、図8に示したフレアマップを模式的に示した図である。図9では、フレアマップ102を模式的に3次元で図示している。フレアマップ101,102内では、種々の値を示すフレア値が略所定の周期に従って分布している。フレアマップ101,102内のフレア値は、パターン密度マップ61,62内のパターン密度と同様に、ラインアンドスペースパターン3の配置周期と同様の周期で高低が繰り返されている。さらに、フレアマップ101,102内では、X=0の近傍、X=1250μmの近傍、Y=0の近傍、Y=1250μmの近傍に近づくに従ってフレア値が小さくなっている。換言すると、レイアウトデータ4の外周部近傍に対応する箇所では、外周部近傍に近づくに従ってフレア値が小さくなっている。
【0046】
従来手法であれば、フレアマップをベースにフレア値0の時をバイアス量0(フレア補正量0)とし、フレア値に応じてパターンをリサイズすることによってフレア補正を行うことになる。ところが、仮にフレア値1パーセントあたり−1nm分だけパターンエッジにフレア補正が行われるとすると、フレアマップ101を用いた場合、最大となるフレア値は4.6%であるので、フレア補正の最大補正量は−4.6nmとなる。しがって、従来手法では、40nmのラインパターンであれば、補正後のパターンが30.8nmのラインパターンとなってしまい、マスク作成やマスク検査が困難となる可能性がある。
【0047】
そこで本実施の形態では、バイアス量を0とするフレア基準値を基準フレア値として決定し、この基準フレア値を用いてフレア補正を行う。具体的には、まずフレア占有率算出部13が、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値(フレア値の範囲を示す小区間)ごとの面積占有率を算出する(ステップS30)。図10は、面積占有率の第1の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。フレア占有率算出部13は、例えば図10に示すように、パターンPと所定のフレア値を持つメッシュ(フレアメッシュ20)とのAND演算を行うことでパターンPのフレアメッシュ20内での面積を算出し、パターンPのフレアメッシュ20内での面積を用いて面積占有率を算出する。
【0048】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分して面積占有率を算出し、算出した面積占有率を用いて、例えば図11に示すような分布(ヒストグラム81)を作成する。図11は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。図11では、横軸がフレア値を示し、縦軸が面積占有率を示している。
【0049】
別の手段として、本実施例では縦軸が面積占有率としたが、仮決めした基準フレア値を変化させた場合の補正バイアスの変化率を求め、該補正バイアスの変化率と面積占有率とを掛け合わせた値(つまり補正によるパターン変化率)を縦軸にとることも考えられる。特に、フレア値と補正量との間にリニアな関係がない場合、面積や後述するエッジの占有率だけの評価では必ずしも補正後のパターン変化率が小さくできるとは限らない。本評価手法を取り入れることでより正しく基準フレア値を決定することが可能となる。
【0050】
ここで、具体的な例を挙げて説明する。図12は、フレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではない場合の補正バイアス量を示す図である。図12では、基準フレア値を4%と仮決めしたときのフレア値に対する補正バイアス量を表している。図12に示すようにフレア値に対する補正バイアス量がリニアな関係ではないケースが実際には在る。このような場合に、図11で示すフレア値毎に、占有率に対しフレア基準が変化したときの補正バイアス量の変化量(Δ補正量)を掛け合わす演算(占有率×Δ補正量)を行う。その結果が図13となる。
【0051】
図13は、占有率とΔ補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。図13では、横軸がフレア値を示し、縦軸が占有率×Δ補正量を示している。ここでの占有率は、面積占有率であってもよいし、後述するパターンエッジ占有率であってもよい。図13に示すグラフは、基準フレア値の変化に対し、各フレア値での補正量面積がどれだけ変化するのかの程度を表している。図13に示すグラフの中で占有率×Δ補正量が大きな箇所(本例では0.045のあたり)を基準フレア値にすることで、補正量変化量を小さく抑えることが可能となる。
【0052】
また、更に別な手段として、図11で示すフレア値毎に、占有率に対し補正値(補正バイアス量)そのものを掛け合わす演算(占有率×補正量)を行ってもよい。その結果が図14となる。
【0053】
図14は、占有率と補正量を掛け合わせた値と、フレア値との関係を示す図である。図14では、横軸がフレア値を示し、縦軸が占有率×補正量を示している。ここでの占有率は、面積占有率であってもよいし、後述するパターンエッジ占有率であってもよい。図14に示すグラフは、仮決めした基準フレア値におけるフレア値毎の補正量変化量の程度を表している。図14に示すグラフの中で、占有率×補正量が大きな箇所(本例では0.046)を基準フレア値とすることで、補正変化量を小さく抑えることが可能となる。また、図14に示した関係を用いることにより、縦軸の値の合計が補正変化面積総量と同等の意味を持つ値を表すので、この合計値が最小になるようにイタレーションなどの手法を取り入れることにより、最適な基準フレア値を決定することができる。
【0054】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム81を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS40)。基準フレア値決定部14は、例えばフレア値の分布中のうち面積占有率が最も高いフレア値を基準フレア値に決定する。換言すると、ヒストグラム81中で最も頻度の高いフレア値が基準フレア値に決定される。
【0055】
例えば、図11に示すヒストグラム81の場合、最も面積占有率の高いフレア値である0.042(4.2%)が基準フレア値となる。なお、基準フレア値は、面積占有率の最高値である必要はなく、例えばパターン密度(高い面積占有率)が集中しているフレア値領域のほぼ中心に位置するフレア値を基準フレア値としてもよい。図11に示すヒストグラム81の場合、パターン密度が集中しているフレア値領域は、0.042(4.2%)〜0.046(4.6%)であるので、この中間位置である0.044(4.4%)のフレア値を基準値フレア値に選択してもよい。
【0056】
また、基準フレア値決定部14は、別の方法として、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍に対応するフレア値を基準フレア値に決定してもよい。これにより、最大補正量を最も小さくすることができ、パターン全面において補正精度の向上を図ることができる。図11に示すヒストグラム81の場合、レンジが0.035〜0.046であるので、その中間位置である0.04のフレア値を基準フレア値とすることで、最大でも0.6nmのフレア補正しか行われないこととなる。
【0057】
また、基準フレア値決定部14は、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍であって、且つ面積占有率の高いフレア値を基準フレア値としてもよい。これにより、パターンへの最大補正量を抑えつつ、補正によるパターンの変化量を少なく抑えることが可能となる。
【0058】
また、基準フレア値決定部14は、ヒストグラム81の中で分布の平均位置(重心位置)に対応するフレア値を基準フレア値としてもよい。これにより、全体的な補正面積変動を小さくさせることが可能となる。また、基準フレア値決定部14は、上述した基準フレア値の決定方法を組み合わせて基準フレア値を選択してもよい。例えば、基準フレア値決定部14は、上述した基準フレア値の決定方法を複数用いて複数の基準フレア値を決定する。そして、基準フレア値決定部14は、決定した基準フレア値の平均値などを基準フレア値に決定する。基準フレア値決定部14へは、フレア基準値の決定方法として予め所定の方法を設定しておいてもよいし、入力部10から入力される使用者からの指示情報に従ってフレア基準値の決定方法を変えてもよい。
【0059】
更に、フレア基準を変化させたとき、基準露光量を変えて露光を行うため露光マージン(露光ドーズ変動やフォーカス変動の許容範囲)が十分に取れない場合も想定される。その場合には、マージンが十分に取れるフレア値範囲内で基準フレア値を決定する。
【0060】
また、フレア補正装置1は、レイアウトデータ4を複数の領域(例えば、パターンが微細な領域とパターンが微細でない領域)に分割し、分割後の各領域に対して基準フレア値を決定してもよい。この場合、領域毎に決定した基準フレア値の平均値などが基準フレア値に決定される。
【0061】
本実施の形態では、基準フレア値決定部14は、最も面積占有率の高いフレア値である0.042(4.2%)を基準フレア値に選択する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準(補正バイアス量0)としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.2%)を基準として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正(パターン補正)される(ステップS50)。レイアウトデータ4にバイアス付加してフレア補正する手段については一般的な方法としてパターンリサイズ処理による補正手法を用いる。例えば、基準フレア値が0.042の場合、0.043のフレア値を有しているパターンは、0.1nmだけ細くなるようフレア補正され、0.044のフレア値を有しているパターンは、0.2nmだけ細くなるようフレア補正される。また、0.041のフレア値を有しているパターンは、0.1nmだけ太くなるようフレア補正され、0.04のフレア値を有しているパターンは、0.2nmだけ太くなるようフレア補正される。このように、フレア補正装置1は、一連の処理フローの中で人の判断を仲介せず自動的に基準フレア値を決定し、フレア補正を行なう。
【0062】
図15は、第1の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図15では、フレア補正量がレイアウト面積でどの程度変化しているか(フレア補正した場合のレイアウト面積の変化率)を結果情報51として示している。具体的には、図15では、基準フレア値を設けないでフレア値に応じたフレア補正を行った場合(フレア値0の場合にバイアス0)(従来の方法)の補正変化率(パターン面積の変化率)と、基準フレア値を決定してフレア補正を行った場合(本実施の形態のフレア補正方法)の補正変化率を示している。図15の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.2%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.2%」での補正変化率は0.2%である。
【0063】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.2%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。これにより、オリジナルパターンからの乖離を最小限に抑えつつ高精度なフレア補正を行うことが可能となる。したがって、半導体集積回路の製造において、パターン周囲の粗密の影響によってパターン変形が起こる現象をフレア補正によって解消することが可能となる。
【0064】
レイアウトデータ4のフレア補正が行われた後、フレア補正後のレイアウトデータ4を用いてフォトマスクが作製される。そして、ウエハプロセスにフォトマスクを用いて半導体デバイスなどの半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、露光装置がフォトマスクを用いてウエハへの露光処理を行い、その後、ウエハの現像処理、エッチング処理を行う。半導体装置は、レイヤ毎にレイアウトデータ4のフレア補正、フォトマスクの作製が行われるとともに、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返されることによって製造される。
【0065】
なお、本実施の形態では、パターンデータの補正処理としてレイアウトデータ4のフレア補正を行う場合について説明したが、パターンデータの補正処理としてマスクデータやリソターゲットのフレア補正を行ってもよい。この場合、マスクデータやリソターゲットを用いて基準フレア値を算出し、算出した基準フレア値を用いてマスクデータやリソターゲットのフレア補正が行われる。
【0066】
また、本実施の形態では、ヒストグラム81を用いて基準フレア値を算出したが、ヒストグラム81に限らずフレア値と面積占有率との関係を示す他の情報を用いて基準フレア値を算出してもよい。
【0067】
このように第1の実施の形態によれば、最も面積占有率の高いフレア値を基準フレア値に設定し、この基準フレア値に基づいてフレア補正を行うので、フレアの影響を解消するフレア補正を、短時間で正確に行うことが可能になる。短時間である理由は、補正量が少ないことによるバイアス処理の短縮、およびシステマティックに基準フレア値を決定できることから人の介在が無くなるためである。
【0068】
また、ヒストグラム81の中で面積占有率の高いフレア値を基準フレア値(フレア補正量0)に設定する場合、パターン(レイアウトデータ4)の全面において補正前後の面積変動を小さく抑えることが可能となる。
【0069】
また、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍に対応するフレア値を基準フレア値に設定する場合、最大補正量を最も小さくすることができ、全てのフレア補正を高精度に補償することができる。
【0070】
また、ヒストグラム81の中で最大フレア値と最小フレア値の中間近傍であって、且つ面積占有率の高いフレア値を基準フレア値に設定する場合、パターンへの最大補正量を抑えつつ、パターンの変形量を少なく抑えることが可能となる。
【0071】
また、ヒストグラム81の中で分布の平均位置に対応するフレア値を基準フレア値に設定する場合、パターン全面において補正前後の面積変動を小さく抑えることが可能となる。
【0072】
(第2の実施の形態)
つぎに、図16〜図18を用いてこの発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、レイアウトデータ4の中からクリティカルパターンを抽出し、抽出したクリティカルパターンを用いて基準フレア値を算出する。
【0073】
図16は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す処理のうち図3に示す第1の実施の形態1に係るフレア補正方法と同様の処理を行う手順に付いては重複する説明を省略する。
【0074】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS110)。フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS120)。
【0075】
この後、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4の中からクリティカルパターンを抽出する(ステップS130)。具体的には、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4内から所定線幅以下のパターン(ラインL)、所定の間隔幅以下のパターン(スペースS)、もしくはこれらの組み合わせで所定の条件(クリティカル寸法の条件)に一致するパターンを抽出する。フレア占有率算出部13は、例えば、所定線幅以下のラインパターンであって、且つ所定の間隔幅以下のスペースパターンを有したパターンをクリティカルパターンとして抽出する。
【0076】
なお、フレア占有率算出部13は、実験やシミュレーションなどによって露光量マージンを算出し、所定マージン以下のパターンをクリティカルパターンとして抽出してもよい。また、フレア占有率算出部13は、使用者によって指定されたパターンやパターン領域をクリティカルパターンとして抽出してもよい。また、フレア占有率算出部13は、上述のクリティカルパターンの抽出方法を組み合わせて所定のクリティカルパターンを抽出してもよい。このように、本実施の形態のフレア占有率算出部13は、パターン形成に精度を要するパターンをクリティカルパターンとして抽出する。
【0077】
本実施の形態では、フレア占有率算出部13が線幅50nm以下のパターン部をクリティカルパターンとして抽出する場合について説明する。フレア占有率算出部13は、抽出したクリティカルパターンに対してのみ面積占有率分布を算出する(ステップS140)。
【0078】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分して面積占有率を算出し、算出した面積占有率を用いて、例えば図17に示すような分布(ヒストグラム82)を作成する。図17は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値と面積占有率との関係を示す図である。図17では、横軸がフレア値を示し、縦軸が面積占有率を示している。
【0079】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム82を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS150)。基準フレア値決定部14は、第1の実施の形態と同様の方法によって基準フレア値を決定する。基準フレア値決定部14は、例えば、最も面積占有率の高い箇所0.046(4.6%)を基準フレア値に決定する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.6%)を基準(補正バイアス量0)として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正される(ステップS160)。
【0080】
図18は、第2の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図18では、図15と同様に、フレア補正によってレイアウト面積がどの程度変化しているかを結果情報52として示している。図15の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.6%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.6%」での補正変化率は0.19%である。
【0081】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.19%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。特にクリティカルパターンに対して補正を最小限に抑えることができるのでレイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも高精度な補正が可能となる。
【0082】
このように第2の実施の形態によれば、クリティカルパターンを用いて基準フレア値を算出するので、クリティカルパターンへの補正を小さく抑えることができる。したがって、レイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも、フレアの影響を解消するフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。また、パターン形成に精度を要するパターンをクリティカルパターンとして抽出するので、パターン形成に精度を要するパターンのフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。
【0083】
(第3の実施の形態)
つぎに、図19〜図22を用いてこの発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、レイアウトデータ4の中からパターンエッジを抽出し、抽出したパターンエッジを用いてパターンエッジ占有率を算出する。そして、算出したパターンエッジ占有率を用いて基準フレア値を算出する。
【0084】
図19は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法の処理手順を示すフローチャートである。図19に示す処理のうち図3に示す第1の実施の形態1に係るフレア補正方法と同様の処理を行う手順に付いては重複する説明を省略する。
【0085】
フレア補正装置1の入力部10へは、予めレイアウトデータ4、PSFなどを入力しておく(ステップS210)。フレアマップ算出部12は、レイアウトデータ4を用いてフレアマップの算出を行う(ステップS220)。
【0086】
この後、フレア占有率算出部13は、レイアウトデータ4の中からパターンエッジを抽出する(ステップS230)。具体的には、フレア占有率算出部13は、フレアメッシュとオーバーラップするパターンエッジを抽出する。フレア占有率算出部13は、パターンエッジを用いて、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値毎のパターンエッジ占有率を算出する(ステップS240)。パターンエッジ占有率(フレア占有率)は、所定のフレア値範囲毎に区分化されたフレア値ごとのパターンエッジ長の占有率である。
【0087】
図20は、パターンエッジ占有率の第3の実施の形態に係る算出処理を概念的に示した図である。フレア占有率算出部13は、例えば図20に示すように、パターンエッジEと所定のフレア値を持つメッシュ(フレアメッシュ20)とのAND演算を行うことでパターンエッジ長を算出し、パターンエッジ長を用いてパターンエッジ占有率を算出する。具体的には、フレア占有率算出部13は、フレアメッシュ20とオーバーラップするパターンエッジEを抽出し、抽出したパターンエッジEのエッジ長の占有率(全パターン長に対してパターンエッジEのエッジ長が占める割合)をパターンエッジ占有率として算出する。換言すると、パターンエッジ占有率は、所定のフレア値を有したパターンの、パターンデータの全パターン長に対するエッジ長占有率である。パターンエッジ占有率を求める際、本実施の形態ではパターンエッジEを1nmの幅を持ったパターンに置き換えて第1の実施の形態と同様の方法によってパターンエッジ占有率を算出する。換言すると、パターンエッジEを1nm幅のパターン面積に変換して面積占有率を算出し、算出した面積占有率をパターンエッジ占有率とする。
【0088】
フレア占有率算出部13は、フレア値を0.001(0.1%)に区分してパターンエッジ占有率を算出し、算出したパターンエッジ占有率を用いて、例えば図21に示すような分布(ヒストグラム83)を作成する。これにより、どのフレア値がレイアウトデータ4上でどの程度パターンエッジ長を占めているのかを定量的に判断することが可能となる。
【0089】
図21は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法で算出したフレア値とパターンエッジ占有率との関係を示す図である。図21では、横軸がフレア値を示し、縦軸がパターンエッジ占有率を示している。
【0090】
基準フレア値決定部14は、フレア占有率算出部13が作成したヒストグラム83を解析してフレア補正量0となる基準フレア値を決定する(ステップS250)。基準フレア値決定部14は、第1の実施の形態と同様の方法によって基準フレア値を決定する。基準フレア値決定部14は、例えば、最もパターンエッジ占有率の高い箇所0.046(4.6%)を基準フレア値に決定する。この後、パターン補正部15は、決定した基準フレア値を基準としてバイアス補正をパターンに行う。具体的には、基準フレア値(4.6%)を基準として、記憶部11内のレイアウトデータ4が1%あたり−1nmでフレア補正される(ステップS260)。
【0091】
図22は、第3の実施の形態に係るフレア補正方法によってフレア補正した場合の効果を示す図である。図22では、図15と同様に、フレア補正量によってレイアウト面積がどの程度変化しているかを結果情報53として示している。図22の補正変化率のうち従来の方法を「基準なし」で示し、本実施の形態のフレア補正方法を「基準4.6%」で示している。「基準なし」の場合の補正変化率は、4.3%であるのに対し、「基準4.6%」での補正変化率は0.19%である。
【0092】
このように、基準フレア値を設けずにフレア補正を行うと、補正前のオリジナルレイアウトパターンから約4.3%も形状が変化したことになる。一方、本実施の形態のフレア補正方法では、形状変化を0.19%に抑えることができる。したがって、本実施の形態のフレア補正方法では、レイアウトデータ4を、オリジナルパターンからほとんど変形させることなくフレア補正できる。パターンエッジに対して補正を最小限に抑えることができるのでレイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも高精度な補正が可能となる。
【0093】
実際のフレア補正はパターンエッジEに対して行われるので、パターンエッジ占有率に基づいて基準フレア値を決定することにより、フレア補正に則した適切なフレア補正を行うことが可能となる。
【0094】
なお、実施の形態2と同様に、クリティカルパターンのパターンエッジに対してパターンエッジ占有率を算出し、算出したパターンエッジ占有率を用いて基準フレア値を算出してもよい。
【0095】
このように第3の実施の形態によれば、パターンエッジEを用いて基準フレア値を算出するので、パターンエッジEへの補正を小さく抑えることができる。したがって、レイアウトデータ4内の全パターンを用いて基準フレア値を算出する場合よりも、フレアの影響を解消するフレア補正を高精度で正確に行うことが可能になる。
【0096】
なお、実施の形態1〜3で説明したフレア補正方法を、半導体装置の製造方法に適用してもよい。この場合、フレア補正後のレイアウトデータ4を用いてフォトマスクが作製される。そして、作製したフォトマスクを用いて半導体装置が製造される。また、実施の形態1〜3で説明したフレア補正方法を、フレア補正装置1を用いたフレア補正システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 フレア補正装置、4 レイアウトデータ、12 フレアマップ算出部、13 フレア占有率算出部、14 基準フレア値決定部、15 パターン補正部、61,62 パターン密度マップ、81〜83 ヒストグラム、101,102 フレアマップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、
前記フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、
前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、
前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、
を含むことを特徴とするフレア補正方法。
【請求項2】
前記フレア値占有率は、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータの全面積に対するパターン面積占有率であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項3】
前記フレア値占有率は、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータの全パターンエッジ長に対するパターンエッジ長占有率であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項4】
前記フレア値占有率は、前記フレア基準値の変化に対するパターン補正量の変化率もしくは補正量そのものを用いて算出した値であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項5】
パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布であるフレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、
前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、
前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするフレア補正プログラム。
【請求項1】
パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布をフレアマップとして算出するフレアマップ算出ステップと、
前記フレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、
前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、
前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、
を含むことを特徴とするフレア補正方法。
【請求項2】
前記フレア値占有率は、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータの全面積に対するパターン面積占有率であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項3】
前記フレア値占有率は、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータの全パターンエッジ長に対するパターンエッジ長占有率であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項4】
前記フレア値占有率は、前記フレア基準値の変化に対するパターン補正量の変化率もしくは補正量そのものを用いて算出した値であることを特徴とする請求項1に記載のフレア補正方法。
【請求項5】
パターンデータに対応するフレア値のパターンデータ上での分布であるフレアマップを用いて、所定のフレア値を有したパターンの前記パターンデータ上での占有率をフレア値占有率としてフレア値毎に算出する占有率算出ステップと、
前記フレア値占有率の分布に基づいて、フレア値の基準とする基準フレア値を決定する基準決定ステップと、
前記基準フレア値でのパターン補正量を基準として前記フレア値に応じたパターン補正を行うパターン補正ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするフレア補正プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図8】
【公開番号】特開2011−2722(P2011−2722A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146895(P2009−146895)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]