説明

ブラシローラ及びその製造方法

【課題】 毛倒れが生じにくく耐久性が向上したブラシローラを実現する。
【解決手段】 本発明によるブラシローラは、シャフト(1)の外周面が静電植毛されたパイル(2)により覆われ、パイルとして繊維長の異なる複数種類のパイルを含む。パイルの組み合わせとして、同一繊維材料から構成され繊維長の長いパイルと繊維長の短いパイルとが植毛されたブラシローラ、材質の異なる複数種類の繊維により構成されるブラシローラ、或いは、剛性の異なる複数種類の繊維により構成されるブラシローラ、電気的特性の異なる複数種類の繊維により構成されるブラシローラ等がある。本発明によるブラシローラは、クリーニングローラ、トナー供給ローラ、又は潤滑剤供給ローラ等として利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維長の異なる複数種類のパイルが植毛されたブラシローラ及びその製造方法に関するものである。
さらに、本発明は、上記ブラシローラを用いたクリーニング装置及び潤滑剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置においては、感光ドラムの表面を一様に帯電させるためにローラ帯電方式が採用されている。このローラ帯電方式では、感光ドラムに対してバイアスされた帯電ローラを従動回転させ、コロナ放電により感光ドラムを所定の表面電位に帯電させている。また、感光ドラム上に形成されたトナー像を記録紙に転写するため、ベルト転写方式が用いられている。ベルト転写方式では、感光ドラムと接触するように転写ベルトを走行させ、感光ドラム上に形成したトナー像と同期して記録紙を搬送し、転写ベルトにトナーの帯電極性とは反対極性の転写電圧を印加し、静電引力により感光ドラム上のトナー像を記録紙側に転写させている。
【0003】
感光ドラムの表面には、クリーニングされなかったトナーや紙粉等の異物が残留するため、感光ドラム表面と接触する帯電ローラや転写ベルト等にもトナーや紙粉が付着してしまう。しかしながら、帯電ローラに異物が付着すると、均一なコロナ放電が行われず、感光ドラム上に帯電ムラが発生し、画像品質が低下してしまう。特に、帯電ローラ表面にトナーや紙粉等が付着してフィルミングが発生すると、帯電ムラが顕著に発生してしまう。また、転写ベルトに紙粉や外添剤等の異物が付着すると、転写ムラが発生し、同様に画像品質が低下する。このような不具合を解消するため、帯電ローラや転写ベルトにクリーニングローラが設けられ、クリーニングローラにより帯電ローラ等の表面がクリーニングされている。
【0004】
従来のクリーニングローラとして、基布にパイル糸が織り込まれたテープ状のブラシ布をシャフトの外周に巻き付けたブラシローラが用いられている。また、別のクリーニングローラとして、芯体の表面にパイルが静電植毛されたファーブラシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このファーブラシは、導電性のブラシ繊維を静電植毛により芯体の表面に植毛することにより製造されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−309760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブラシローラやファーブラシをクリーニングローラとして使用する場合、パイルは帯電ローラや転写ベルト等の被クリーニング部材と圧接しているため、多数枚コピーすると毛倒れが発生し、クリーニング性能が徐々に劣化し耐久性に難点があった。また、毛倒れを防止するために剛性の高いパイルを用いようとすると、被クリーニング部材の表面に損傷を与える不具合が生じてしまう。
【0007】
さらに、電子写真式の画像形成装置においては、ブラシローラを用いて感光ドラム表面にステアリン酸亜鉛等の潤滑剤が供給されている。従来の潤滑剤供給装置では、固形の潤滑剤と感光ドラムとの間にブラシローラを配置し、ブラシローラにより固形の潤滑剤を掻き落とし、ブラシ毛に付着した微粉体の潤滑剤が感光ドラム表面に塗布されている。しかしながら、単一のブラシローラにより潤滑剤の掻き落とし及び塗布が行われているため、潤滑剤の供給が安定して行われない欠点があった。すなわち、多数枚コピーするにしたがって、パイルと固形潤滑剤との間の接触状態が変化し、ブラシローラによる掻き落とし性能が低下すると共に潤滑剤の塗布性能も低下する不具合が発生する。このような場合、剛性の高いパイルのブラシローラを用いて耐久性を高めようとすると、逆に感光ドラム表面を摩損する不具合が生じてしまう。さらに、電気掃除機等の各種装置や器具においてもブラシローラが用いられており、その耐久性やクリーニング性能を改善することも強く要請されている。
【0008】
本発明の目的は、クリーニングローラや潤滑剤供給ローラ等として用いても、毛倒れが生じにくく耐久性が向上したブラシローラを実現することにある。
さらに、本発明の別の目的は、感光ドラムや帯電ローラ等の被クリーニング部材を摩損した損傷を与えることのないブラシローラを提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、電気掃除機等の各種装置や器具において用いられているブラシローラの耐久性やクリーニング性能を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるブラシローラは、シャフトの外周面が、静電植毛されたパイルにより覆われているブラシローラであって、
前記パイルは、繊維長の異なる複数種類のパイルを含み、複数種類のパイルがほぼ均一に植毛されていることを特徴とする。
【0010】
本発明者が静電植毛について種々の実験及び解析を行った結果、パイルの繊維長に応じて植毛密度が相違することが判明した。すなわち、繊維長の長いパイルを静電植毛する場合の植毛密度は比較的低く、繊維長の短いパイルを静電植毛する場合その植毛密度は比較的高くなることが判明した。また、繊維長の長いパイルと繊維長の短いパイルとを混在させて同時に静電植毛すると、繊維長の短いパイルの植毛速度が速く、繊維長の長いパイルの植毛速度が遅く、繊維長の長いパイルが植毛される割合が小さいことも判明した。これらの解析結果に基づき、本発明では、植毛すべきパイルの長さに応じて段階的に静電植毛を行ない、初めに繊維長の長いパイルを静電植毛し、続いて繊維長の短いパイルを静電植毛する。このように、繊維長の長い順に複数種類のパイルを静電植毛することにより、繊維長の異なる複数種類のパイルをほぼ均一に植毛することが可能になる。
【0011】
上述した静電植毛方法をブラシローラの製造方法に適用することにより、繊維長の異なる複数種類のパイルがほぼ均一に植毛されたブラシローラを製造することが可能になる。すなわち、初めに繊維長の長いパイルを静電植毛し、続いて繊維長の短いパイルを静電植毛することにより、繊維長の短いパイルは、先に植毛された繊維長の長い第1のパイル間を埋め込むように植毛されるので、繊維長の異なる複数種類のパイルが均一に植毛されたブラシローラが実現される。植毛されるパイルの材質として種々の繊維を用いることができ、例えば、ナイロン(6,66,12等の各種のナイロン)繊維、ビニロン(ポリビニルアルコール)繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、各種ポリエチレン繊維、フッ素樹脂(PTFE,FEP,PFA,ETFE)繊維、PEN,PET等のポリエステル繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維等の合成繊維、レーヨン系繊維やキュプラ繊維等の再生繊維、アセテート繊維、さらに、絹や羊毛の動物繊維、綿や麻等の植物繊維から選択した1種類又は複数種類の繊維を用いることができる。従って、同一材質で繊維長の異なる繊維が植毛されたブラシローラ、或いは異種材質で繊維長の異なる繊維が植毛されたブラシローラが実現される。
【0012】
繊維長の異なる複数種類のパイルが混在するように静電植毛されたブラシローラは、一例として感光ドラム用のクリーニングローラとして用いる場合、以下に述べる作用効果が達成される。すなわち、被クリーニング部材である感光ドラムの表面には主として繊維長の長いパイルが接触し、繊維長の短いパイルは、繊維長の長い第1のパイルの根元を補強する役割を果たす。この結果、クリーニング作用を果たす第1のパイルが毛倒れするのが防止され、耐久性が向上したクリーニングローラが実現される。また、トナーや紙粉等の異物がパイルの根元に溜め込まれる不具合も解消される。さらに、繊維長の短いパイルは感光ドラムとの間の間隔を規定するスペーサとしての機能も発揮すると共に感光ドラムと接触して繊維長の長いパイルとは異なるクリーニング性能を発揮するので、感光ドラム表面に損傷を与えたり摩損する不具合が解消されるだけでなく、繊維長の異なるパイルのクリーニング性能が相乗された一層良好なクリーニング性能が発揮される。
【0013】
本発明によるクリーニング装置は、 回転自在に配置され、静電植毛されたパイルにより覆われているブラシローラと、ブラシローラを回転駆動させる駆動装置とを有し、被クリーニング部材の表面を回転するブラシローラによりクリーニングするクリーニング装置であって、
前記ブラシローラは、第1の繊維長及び第1の剛性を有する第1の種類のパイルと、前記第1の繊維長よりも短い繊維長及び第1の剛性よりも高い剛性を有する第2の種類のパイルとにより覆われ、
ブラシローラの中心から被クリーニング部材表面までの距離は、ブラシローラの中心から第1の種類のパイルの先端までの距離及び第2の種類のパイルの先端までの距離よりも短くなるように設定されていることを特徴とする。
【0014】
繊維長の異なる複数種類のパイルが植毛されたブラシローラをクリーニングローラとして用いたクリーニング装置について、クリーニング性能とニップ量について詳細に説明する。感光ドラム等の被クリーニング対象物の表面には、トナー、トナー外添剤、紙粉、オゾン生成物等の性状の異なる複数種類の異物が付着し、これらの付着強度はそれぞれ相違し、被クリーニング対象物の表面に対して弱く付着している場合と強く付着している場合がある。よって、クリーニングローラとしては、被クリーニング対象物の表面を柔らかく拭き取る作用とクリーニング表面に固着した異物を掻き取る作用の両方の作用が要求される。この要求に対して、柔軟なパイルと固いパイルとが混在するように織り込まれたパイル織物を用いたブラシローラを用いることが想定される。しかし、パイル織物は、その製造工程の特性より、全てのパイルの繊維長が揃ってしまうため、固いパイルと柔らかいパイルのニップ量が同一となり、各パイル毎にニップ量を相違させることは不可能であり、拭き取り効果と掻き取り効果の両方の効果を併有するブラシローラが実現できないのが実情である。これに対して、本発明のブラシローラは、各種類のパイル毎に繊維長が相違するため、例えば柔軟なパイルの繊維長を長くすると共に剛性の高い固いパイルの繊維長を短くすることにより、柔軟なパイルのニップ量が大きく設定され剛性の高いパイルのニップ量が小さく設定される。この結果、柔軟で繊維長の長いパイルによる拭き取り効果が得られると共に、固く繊維長の短いパイルの先端エッジ部を利用した掻き取り効果の両方の効果が達成される。
【0015】
一例として、比較的柔軟なナイロン繊維(例えば、4デシテックス)と比較的剛性の高い(固い)ポリエステル繊維(例えば、6デシテックス)の2種類のパイルを用い、ナイロン繊維の繊維長を4mmとし、ポリエステル繊維の繊維長を3mmとし、ナイロン繊維のニップ量が1.5mmとなりポリエステル繊維のニップ量が0.5mmとなるように感光ドラム表面とクリーニングローラとの間隔を設定し、駆動装置によりブラシローラを回転駆動した場合、ナイロン繊維は感光ドラムの表面に対して主としてパイルの腹が接触するため感光ドラム表面に対して拭き取り効果が作用し、ポリエステル繊維は主として先端エッジ部が感光ドラム表面と接触するため掻き取り効果が作用する。この結果、拭き取り効果と掻き取り効果の両方の効果を有効に発揮するブラシローラが実現され、付着強度の異なる種々の異物に対して有効なクリーニング装置が実現される。
【0016】
本発明によれば、一旦繊維長の長いパイルを静電植毛した後、繊維長の短い種々の特性のパイルを静電植毛することも可能である。初めに静電植毛された第1の繊維長を有する第1のパイルに対して、同一材質又は異種材質であって繊維径の異なるパイル、剛性等の機械的特性の異なるパイル、電気的特性の異なるパイル等の種々の特性のパイルを植毛することが可能である。以下に、本発明のブラシローラの種々の特性について説明する。
【0017】
本発明によるブラシローラは、シャフトの外周面が、静電植毛されたパイルにより覆われているブラシローラであって、第1の繊維長を有する第1のパイルと第1の繊維長よりも短い第2の繊維長の第2のパイルとの2種類のパイルが植毛され、前記第2のパイルの太さが、前記第1のパイルの太さに等しいか又はそれよりも太いことを特徴とする。第2のパイルとして、繊維長が短く繊維径の太いパイルを用いると、繊維長の長いパイルの根元が一層強く補強され、毛倒れしにくく耐久性が一層向上したクリーニングローラが実現される。
【0018】
第1及び第2のパイルを機械的又は電気的特性の異なる繊維により構成すれば、種々の用途のブラシローラが実現される。例えば、剛性の異なる繊維を用いることにより、固形の潤滑剤を感光ドラムに供給する潤滑剤供給ローラとして極めて好適なブラシローラが実現される。すなわち、繊維長が短く剛性の高い第2のパイルにより固形の潤滑剤を削り出す作用が得られ、繊維長が長く剛性の低い柔軟な長いパイルにより微粉体の潤滑剤が感光ドラム表面に塗布されるので、感光ドラムに損傷を与えることなく、安定して潤滑剤を供給することができる。特に、繊維長が短く剛性の高いパイルがブラシローラと感光ドラムとの間の間隔を規制するスペーサとしての役割も果たすので、所定量の潤滑剤を安定して感光ドラムに供給することが可能になる。尚、剛性の高いパイルとして、例えばポリエステル繊維、アクリル系繊維又はポリイミド繊維が用いられ、剛性が低く柔軟性に富むパイルとしてナイロン繊維、レーヨン系繊維又はアセテート繊維が用いられる。尚、第1及び第2のパイルを同一種類の繊維で構成し、第2のパイルとして繊維径の太い繊維を用いることにより、繊維長が長く柔軟な第1のパイルと繊維長が短く剛性の高い第2のパイルとが植毛されたブラシローラが実現される。
【0019】
本発明によるブラシローラの好適実施例は、第1及び第2のパイルが共に導電性繊維により構成されていることを特徴とする。パイルを導電性繊維により構成すれば、現像装置のトナー供給ローラとして用いることが可能である。トナー供給ローラに適用する場合、繊維長の長いパイルの根元に繊維長の短いパイルが埋め込まれるので、トナー供給ローラの根元にトナーが溜まる不具合が抑制される。
【0020】
本発明による潤滑剤供給装置は、回転部材又は走行部材の表面に粉状の潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置において、
外周面が静電植毛されたパイルにより覆われ、パイルにより固形状の潤滑剤を削り取って回転部材又は走行部材の表面に供給するブラシローラと、前記固形状の潤滑剤をブラシローラに対して押圧する押圧手段とを有し、
前記ブラシローラは、第1の繊維長及び第1の剛性を有する第1の種類のパイルと、前記第1の繊維長よりも短い繊維長及び第1の剛性よりも高い剛性を有する第2の種類のパイルとにより覆われ、
ブラシローラの中心から回転部材又は走行部材の表面までの距離は、ブラシローラの中心から第1の種類のパイルの先端までの距離よりも短く、ブラシローラの中心から第2の種類のパイルの先端までの距離よりも長くなるように設定されていることを特徴とする。
【0021】
本発明による潤滑剤供給装置では、ブラシローラの柔軟な第1の種類のパイル及び剛性の高い第2のパイルの両方のパイルが固形状の潤滑剤と接触し、感光ドラム、転写ローラ、転写ベルト、又は中間転写ベルト等とは柔軟な第1の種類のパイルだけが接触するため、剛性の高い第2の種類のパイルにより固形の潤滑剤が削り取られ、削られた潤滑剤が柔軟で繊維長の長い第1のパイルにより感光ドラム表面に供給されることになる。この結果、適量の潤滑剤を感光ドラム、転写ローラ、転写ベルトや中間転写ベルト等に安定して供給することができる。尚、本発明による潤滑剤供給装置は、感光ドラムや転写ローラ或いは転写ベルトだけでなく、摩擦力を低減する必要がある各種の回転部材や走行部材に潤滑剤を供給する場合にも適用される。
【0022】
本発明による静電植毛方法は、ワークの表面に繊維長の異なる複数種類のパイルを植毛する静電植毛方法であって、
植毛されるべきワークに接着剤を塗布し、
接着剤が塗布されたワークに、繊維長の異なるパイルを繊維長の長い順に順次静電植毛することを特徴とする。
【0023】
ワークとして、基布のような織物やローラを用いることができる。また、静電植毛されるパイルとして、同種又は異種の繊維のパイル、種々の繊維長又は種々の機械的特性及び電気的特性のパイルを用いることができる。また、繊維長の異なる3種類又は4種類等の複数種類のパイルを順次段階的に静電植毛することにより、繊維長の異なる複数種類のパイルを静電植毛することも可能である。
【0024】
本発明によるブラシローラの製造方法は、ローラの外周面上に繊維長の異なる2種類のパイルが植毛されたブラシローラの製造方法であって、
植毛されるべきローラの搬送方向にそって、第1及び第2の静電植毛装置を配置し、外周面に接着剤が塗布されたローラを回転させながら第1及び第2の静電植毛装置を順次通過させ、
前記第1の静電植毛装置において、接着剤が塗布されたローラの外周面に第1の繊維長の第1のパイルを静電植毛する第1の植毛工程と、
第2の静電植毛装置において、第1のパイルが植毛されたローラに、前記第1の繊維長よりも短い第2の繊維長の第2のパイルを静電植毛する第2の植毛工程とを具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるブラシローラは、繊維長の異なる複数種類のパイルが静電植毛されているので、ローラの根元が機械的に補強され、耐久性が向上したブラシローラが実現される。さらに、静電植毛されるパイルの材料、機械的特性又は電気的特性を相違させることにより、種々の用途のブラシローラが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は本発明によるブラシローラの一例を示す線図である。図1Aのブラシローラは、金属製のシャフト1を有し、シャフト1の外周面には、静電植毛により繊維長の異なる2種類のパイル2が直接植毛されている。第1の種類のパイルは第1の繊維長を有し、第2のパイルは第1の繊維長よりも短い第2の繊維長を有する。また、繊維の太さに関して、第2のパイルは第1のパイルよりも太い繊維である。従って、細くて長い繊維の第1のパイルと、太くて短い繊維の第2のパイルの2種類のパイルがほぼ均一に植毛されている。図1Bに示すブラシローラは、繊維長の異なる2種類のパイルが静電植毛されたテープ状の基布3を用い、当該基布をシャフト1の外周面上に巻き付けてブラシローラとしたものである。尚、繊維の種類に関して、第1及び第2のパイルを共に同一種類の繊維で構成してもよく、或いは異種の繊維で構成することも可能である。また、繊維の太さに関して、第1及び第2のパイルは同一の繊維径とすることも、勿論可能である。或いは、第2のパイルとして、第1のパイルの繊維径よりも細い繊維を用いることも可能である。
【0027】
本発明によるブラシローラは、繊維長の異なる複数種類のパイルが均一に植毛されていることを特徴としており、各種パイルを適切に組み合わすことにより特有の技術的効果を有するブラシローラが実現される。静電植毛されるパイルの組み合わせを一例として以下に記載する。
【0028】
[パイルの長短]
シャフトの外周面に同一の材料で繊維長の異なる2種類のパイルが植毛されたブラシローラ。
繊維長の長い第1のパイルを静電植毛し、続いて同一の繊維材料で繊維長の短い第2のパイルを静電植毛すると、繊維長の短い第2のパイルは、繊維長の長い第1のパイル間を埋め込むように植毛される。この結果、繊維長の長いパイルと繊維長の短いパイルとがほぼ均一に植毛されたブラシローラが実現される。繊維長の短い第2のパイルは、繊維長の長い第1のパイルの根元付近を補強するように作用するため、各種ローラや転写ベルト等の表面をクリーニングするクリーニングローラとして用いる場合並びに感光ドラム表面をクリーニングするファーブラシとして用いる場合、毛倒れが防止され耐久性が向上したブラシが実現される。また、トナーや紙粉等がパイルの根元に溜め込まれる不具合が解消される。
【0029】
[パイルの太さ]
繊維長が長い第1のパイルと繊維長が短く且つ繊維径の太い第2のパイルとが植毛されたブラシローラ。
繊維長の長い第1のパイルを静電植毛した後、繊維長が短く且つ繊維径の太い第2のパイルを静電植毛することにより、繊維長の長いパイルの根元が一層強く補強されたブラシローラが実現される。当該ブラシローラは、固形の潤滑剤を削り落としながら、微粉体として感光ドラム表面に供給する潤滑剤供給ローラとしても好適である。
【0030】
[パイルの材質]
種又は異種の繊維から構成され、繊維長が相違する複数種類のパイルが植毛されたブラシローラ。
使用されるパイルとして、ナイロン繊維、レーヨン系繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維及びアラミド繊維等の各種繊維が用いられ、ブラシローラの用途に応じて適切な繊維材料が選択される。
【0031】
[パイルの剛性]
繊維長が相違すると共に繊維の剛性が互いに異なるパイルが植毛されたブラシローラ。
繊維長が長く柔軟性に富むパイルと繊維長が短く剛性の高いパイルとが混在するように静電植毛することにより、繊維長の長いパイルの根元を一層強く補強することができ、耐久性が一層向上する。尚、パイルの剛性の高低は、同一材質で同一繊維径であっても繊維長が異なるパイルを植毛することにより剛性の異なる複数種類のパイルが植毛される。また、繊維の剛性自体が相違する複数種類のパイルを植毛することによっても剛性が相違するパイルが植毛されたブラシローラが実現される。尚、繊維長が短く剛性の高いパイルは、スペーサとしても機能するため、クリーニングローラと感光ドラムや転写ベルト等との間の間隔を維持しつつ高い柔軟性のパイルにより被クリーニング部材の表面をクリーニングすることが可能になる。
また、潤滑剤供給ローラとして用いる場合、繊維長が短く剛性の高いパイルにより固形の潤滑剤を掻き落とし、掻き落とされた潤滑剤を繊維長が長く柔軟性に富むパイルにより感光ドラム表面に塗布することができ、所定量の潤滑剤を安定して感光ドラムに塗布することが可能になる。
さらに、クリーニングローラとして用いる場合、繊維長が長く柔軟性に富むパイルによる拭き取り効果と繊維長が短く剛性の高いパイルによる掻き取り効果の両方の効果が発揮され、付着強度の異なる種類の異物を除去することが可能になる。
【0032】
[パイルの電気的特性]
導電性のパイルであって繊維長が相違するパイルが植毛されたブラシローラ。
原糸段階でカーボン等の導電性物質により導電性が付与された導電性繊維をパイルとして用いることにより、繊維長の異なるパイルが混在する導電性ブラシローラが実現される。当該導電性ブラシローラは、現像装置のトナー供給ローラとして用いられる。また、導電率又は抵抗値の異なる複数種類の導電性繊維を静電植毛することにより、ブラシ帯電ローラとして好適なブラシローラが実現される。また、2種類のパイルのうち、一方のパイルを電気的導電性とし他方のパイルを電気的絶縁性とすることができる。
【0033】
図2は本発明によるブラシローラを具える電子写真式画像形成装置の一例を示す図である。感光ドラム10は帯電装置11により所定の表面電位に帯電される。次に、感光ドラムは、露光位置において画像光により露光されて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置12により現像され、感光ドラム上にトナー像が形成される。トナー像は転写位置まで移動し、ベルト転写装置13により、同期して搬送されてくる記録紙14上に転写される。転写後、感光ドラムはイレーサ15により除電される。その後、潤滑剤供給装置16により、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤が塗布される。その後、クリーニング装置17によりブレードクリーニングされて残留トナーが除去される。さらに、感光ドラム用のクリーニングローラ18によりクリーニングされて1サイクルが終了する。尚、潤滑剤供給装置16とクリーニング装置17との配置関係については、クリーニング装置17の後段に潤滑剤供給装置16を配置することも可能である。
以下において、本発明によるブラシローラの利用例について説明する。
【0034】
初めに、本発明によるブラシローラを帯電ローラ用のクリーニングローラとして利用する場合について説明する。帯電装置11は、バイアス源に接続された帯電ローラ20を有する。帯電ローラ20は感光ドラム10に対して従動回転又は強制駆動回転し、その間にコロナ放電により感光ドラム10を所定の表面電位に帯電する。感光ドラム10の表面はクリーニング装置17によりクリーニングされるが、拭き取られなかったトナーや外添剤等が残留しており、残留トナー等が帯電ローラ20の表面に付着し、フィルミングを起こすおそれがある。そこで、本発明によるブラシローラをクリーニングローラ21として配置する。クリーニングローラ21は、帯電ローラ20に接触して従動回転するように配置する。このように、本発明によるブラシローラを帯電ローラに対して接触するように回転自在に配置するだけで、帯電ローラ表面に残留トナーや外添剤等が付着することが防止される。クリーニングローラ21は、剛性が低く繊維長の長いパイルと剛性が高く繊維長の短いパイルとが混在したブラシローラを用いる。よって、繊維長の長いパイルによる拭き取り効果と繊維長の短いパイルによる掻き取り効果が得られ、付着強度の異なる異物に対して有効なクリーニング効果が達成される。
【0035】
次に、感光ドラム用のクリーニングローラ18のクリーニング作用について説明する。本例では、クリーニングローラ18は、繊維長が長く柔軟な第1の種類のパイルと繊維長が短く剛性の高い第2の種類のパイルが植毛されたブラシローラを用いる。また、クリーニングローラ18と感光ドラム表面との間の距離は、クリーニングローラの中心から繊維長の長い第1の種類のパイル及び繊維長の短い第2の種類のパイルの先端までの距離よりも短くなるように設定する。このようにクリーニングローラと感光ドラムとの間の距離を設定することにより、繊維長の長いパイルは主としてパイルの腹が感光ドラム表面と接触するので感光ドラム表面に存在する異物を拭き取る作用を果たし、繊維長の短い第2の種類のパイルは主として先端のエッジ部が感光ドラム表面と接触するため感光ドラム表面に比較的強固に付着した異物を掻き落とす作用を発揮する。この結果、単一のクリーニングローラを用いるだけで、感光ドラム表面に付着している種々の性状の異物を除去することが可能になる。
【0036】
本例では、バイアス源に接続された帯電ローラを用いて感光ドラムを所定の表面電位に帯電する方法を用いたが、本発明による導電性のブラシローラを帯電ローラとして用いることも可能である。帯電ブラシローラとして用いる場合、金属のシャフトに導電性の接着剤を塗布し、導電性のパイルを静電植毛することにより帯電ブラシローラが得られる。この際、繊維長の異なるパイルの導電率を適切に設定することにより、感光ドラムを所望の表面電位に安定して帯電させることができる。特に、毛倒れが防止されるので、安定した耐久性の帯電ブラシローラが実現される。
【0037】
本発明によるブラシローラは、現像装置12におけるトナー供給ローラとしても用いることができる。すなわち、本発明によるブラシローラのパイルを導電性のパイルで構成することにより、常時所定量のトナーを感光ドラムに安定して供給することができるトナー供給ローラが実現される。この場合、繊維長の異なる2種類の導電性パイルが植毛されたブラシローラを用いれば、トナー溜まり等が形成される不具合が解消され、トナー供給を安定して行うことができる。
【0038】
ベルト転写装置13にも本発明によるブラシローラをクリーニングローラとして適用することができる。転写ベルト22の表面には、紙粉やトナー等が付着して汚染されるため、紙粉やトナーを除去するため、クリーニングローラ23を圧接するように回転自在に配置し、転写ベルト22に紙粉等が残留するのを防止する。この場合、クリーニングローラ23として、繊維長の長い剛性が低いパイルと及び繊維長が短く剛性の高いパイルの2種類のパイルが植毛されたブラシローラを用いれば、繊維長の短いパイルが繊維長の長いパイルの根元を補強するため、クリーニングローラが毛倒れするのが防止され、クリーニングローラの耐久性が格段に向上する。さらに、拭き取り効果と掻き取り効果の両方の効果が発揮され、付着強度の低い異物及び付着強度の高い異物の両方に対して良好なクリーニング性能が発揮される。さらに、ベルト転写装置の駆動ローラや従動ローラにもクリーニングローラ24及び25を圧接するように配置し、これらローラに紙粉やトナーが蓄積するのが防止される。
【0039】
潤滑剤供給装置16において、本発明によるブラシローラを潤滑剤供給ローラとして用いることができる。従来の潤滑剤供給ローラは、単一種類のパイルが植毛されたローラを潤滑剤供給ローラとして用い、スプリングを用いて固形の潤滑剤を潤滑剤供給ローラに押圧する構成が採用されていた。しかし、固形の潤滑剤を掻き落とす作用と潤滑剤を感光ドラムに塗布する作用とを単一種類のパイルのブラシローラで行うには、安定性の観点においてが限界があった。これに対して、本発明によるブラシローラは、繊維長が長く剛性の低いパイルと繊維長が短く剛性の高いパイルとが混在しているため、剛性の高いパイルにより潤滑剤を掻き落とし、剛性が低く繊維長の長いパイルにより潤滑剤が感光ドラム上に塗布されるので、感光ドラムへの潤滑剤の供給を安定して行うことが可能になる。
【0040】
次に、本発明によるブラシローラをカラー画像形成装置に適用した実施例について説明する。図3は本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す線図である。赤、青、黄色及び黒の画像を形成する4つの画像形成ユニット30〜33を配置する。これらの画像形成ユニットは、図面上感光ドラムだけを図示するが、図2に図示した画像形成装置としての各構成要素を有し、それぞれ各色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット30〜33により形成されたトナー像は、同期して搬送される一次(中間)転写ベルト34上に重ね合わされて転写される。
【0041】
一次転写ベルト34は、4本のベルト搬送ローラ35〜38と1個のテンションローラ39に張架され、各画像形成ユニットのトナー像の形成タイミングに同期して走行する。一次転写ベルト34上に転写されたトナー像は、二次転写ローラ40により、同期して送られてくる記録紙41上に転写され、ヒートロール定着装置42により定着されて排紙される。転写後、一次転写ベルト34は、潤滑剤供給装置43により潤滑剤が供給され、クリーニング装置44によりブレードクリーニングされ残留トナーや紙粉が除去され、さらに、クリーニングローラ45によりクリーニングされて画像形成工程が終了する。
【0042】
本発明によるブラシローラは、各画像形成ユニット30〜33に用いられるだけでなく、中間転写ベルト装置の各構成部材のクリーニングにも利用することができる。例えば、一次転写ベルト34の表面を清浄にするためのクリーニングローラ45として本発明によるブラシローラを用いることが可能である。また、多数枚コピーすると、ベルト搬送ローラにも紙粉等が付着するため、駆動搬送ローラ35及び従動搬送ローラ36にも本発明のクリーニングローラ46及び47を当接させてクリーニングすることにより、一次転写ベルトを安定して走行させることが可能になる。さらに、潤滑剤供給装置の43の潤滑剤供給ローラ48としても使用される。さらに、ヒートロール定着装置42のヒートローラ及び加圧ローラ用のクリーニングローラ49及び50として利用される。尚、ヒートローラ及び加圧ローラは高温であるため、パイルとしてポリイミド繊維のような耐熱性の繊維が用いられる。
【0043】
次に、本発明による静電植毛方法について説明する。図4は、本発明による静電植毛方法を実施するための静電植毛装置の一例を示す線図である。本例では、ワークの移動経路にそって連続するように配置した2台の静電植毛装置60及び61を用いてワークにパイルを静電植毛する。ワークとして、金属のシャフト62を用い、接着剤が塗布されたシャフトの外周面にパイルを2段階で植毛する。本例では、静電植毛装置として、ワークの下側及び上側からパイルを供給するアップダウン方式の静電植毛装置を用いる。尚、アップダウン方式以外のサイド方式等の各種の静電植毛装置を用いることができる。第1の静電植毛装置60は、ワーク62の下側に配置した第1のパイル収納容器63及びワークの上側に配置されメッシュの第2のパイル収納容器64を有する。これらパイル収納容器は繊維長の長い第1の種類のパイルを収納する。ワークとパイル収納容器との間にメッシュ状の帯電電極(グリッド電極)65及び66を配置し、これら帯電電極は第1のバイアス電源67に接続する。
【0044】
第2の静電植毛装置61は、移送されるワーク62の上側及び下側にそれぞれ第1及び第2のパイル収納容器68及び69を有し、これらのパイル収納容器には第1のパイルよりも短い繊維長の第2のパイルを収納する。ワーク62の下側及び上側に帯電電極70及び71を配置し、これらの電極を第2のバイアス電源72に接続する。第2のバイアス電源72は、第1のバイアス電源67よりも高いバイアス電圧に設定する。
【0045】
ワークであるシャフト62は、移送装置(図示せず)により矢印に沿って(紙面の左側から右側に向けて)回転しながら順次移送される。ワークは、電気的に接地する。各パイル収納容器内のパイルは、帯電電極の静電力による飛翔し、帯電電極を通過する間に帯電し、接地されたシャフトとの間に形成される電界によりシャフトに付着する。本発明では、第1の静電植毛装置60により繊維長の長いパイルが植毛され、続いて第2の静電植毛装置61により繊維長の短いパイルが植毛される。このようにして、繊維長の長いパイルと繊維長の短いパイルとを均一に植毛することができる。尚、本例では、2段に設置した静電植毛装置を用いたが、勿論静電植毛装置を3段及び4段等の多段に設置して複数種類のパイルを均一に植毛することも可能である。
尚、第2の静電植毛装置の帯電電圧(グリッド電圧)を第1の静電植毛の帯電電圧よりも高くすることにより、ワークと帯電電極との間に形成される電位傾度が一層大きくなり、繊維長の短い第2のパイルが植毛される割合を一層高くすることができる。
【0046】
尚、パイルをワークに接着させる接着剤として、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ナイロン系接着剤等の各種接着剤を用いることができ、ワークの材質に応じて適切に選択される。
【0047】
次に、本発明によるブラシローラを潤滑剤供給装置に応用した例について説明する。図5は、本発明による潤滑剤供給装置の一例を示す線図である。本例では、感光ドラム80に潤滑剤を供給する。感光ドラム80と対向するようにブラシローラ81を回転自在に配置し、駆動装置(図示せず)によりブラシローラを回転駆動する。ブラシローラ81と接触するように固形状の潤滑剤82を配置する。固形の潤滑剤は保持部材により保持され、この保持部材を押圧スプリング83によりブラシローラ81に向けて所定の押圧力で押圧する。尚、スプリング83の他端は支持フレーム84に支持する。本例では、ブラシローラ81の外周面は、剛性が低く繊維長の長い第1の種類とパイル、剛性が高く繊維長の短い第2の種類のパイルにより覆う。感光ドラム80の表面とブラシローラ81の中心との間の距離は、ブラシローラの中心から柔軟な第1の種類のパイルの先端までの距離よりも短く、剛性の高い第2の種類のパイルの先端までの距離よりも長くなるように設定する。このように設定することにより、ブラシローラ81と固形状の潤滑剤とは第1及び第2のパイルの両方のパイルと接触するから、剛性の高いパイルにより固形状の潤滑剤が削られ、繊維長の長い第1パイルにより感光ドラム80の表面に供給することができる。この場合、剛性の高い第2のパイルは感光ドラムとは接触しないため、感光ドラムの表面に傷を付ける等の不具合は発生しない。
【0048】
本発明は上述した実施例だけに限定される種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施例では、電子写真方式の画像形成装置を例にして説明したが、本発明は、インクジェットプリンタ等の各種画像形成装置に用いられるブラシローラやクリーニングローラ或いは潤滑剤供給ローラにも適用される。
【0049】
さらに、本発明は画像形成装置以外の各種装置や器具等にも適用され、例えば電気掃除機用のブラシローラとしても利用することが可能である。電気掃除機用のブラシローラとして、繊維長の長いパイルと繊維長の短いパイルとが混在したブラシローラを用いれば、繊維長の長いパイルと短いパイルとの相乗効果により一層優れたクリーニング性能が発揮される。また、紙や布又はベルト等から水分や各種溶剤などの液体を吸収する吸収ローラにも本発明を適用することが可能であり、繊維長の異なるパイルが均一に植毛された吸収ローラを用いることにより、一層優れた吸収効果が達成される。
【0050】
上述した実施例では、潤滑剤供給装置として、感光ドラムや転写ローラ或いは転写ベルトへ潤滑剤を供給する場合について説明したが、画像形成装置は勿論のこと、画像形成装置以外の各種回転部材や走行部材に潤滑剤を供給する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明によるブラシローラの一例を示す図である。
【図2】本発明によるブラシローラを用いた画像形成装置の一例を示す線図である。
【図3】本発明によるブラシローラが用いられるカラー画像形成装置の一例を示す線図である。
【図4】本発明による静電植毛方法を実施するための静電植毛装置の一例を示す線図である。
【図5】本発明による潤滑材供給装置の一例を示す線図である。
【符号の説明】
【0052】
1 シャフト
2 パイル
3 テープ状の基布
11 帯電装置
12 現像装置
13 転写装置
14 記録紙
15 イレーサ
16 潤滑剤供給装置
17 クリーニング装置
18,21,23,24,25 クリーニングローラ
20 帯電ローラ
22 転写ベルト
60 第1の静電植毛装置
61 第2の静電植毛装置
62 シャフト
63,64,68,69 パイル収納容器
65,66,70,71 帯電電極
67 第1のバイアス電源
72 第2のバイアス電源
80 感光ドラム
81 ブラシローラ
82 固形状潤滑剤
83 押圧スプリング
84 支持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの外周面が、静電植毛されたパイルにより覆われているブラシローラであって、
前記パイルは、繊維長の異なる複数種類のパイルを含み、複数種類のパイルがほぼ均一に植毛されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシローラにおいて、前記パイルは、繊維長の異なる同一材質の繊維により構成され、又は繊維長の異なる異種材質の繊維により構成されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシローラにおいて、前記パイルは、ナイロン繊維、ビニロン繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、フッ素樹脂繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアラミド繊維、ポリイミド繊維、レーヨン系繊維、アセテート繊維、キュプラ、絹、羊毛、綿、麻から選択した1種類又は複数種類の繊維により構成されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のブラシローラにおいて、前記シャフトは、第1の繊維長を有する第1の種類のパイルと第1の繊維長よりも短い繊維長の第2の種類のパイルにより覆われ、前記第2の種類のパイルの太さが第1の種類のパイルの太さに等しいか又はそれよりも太いことを特徴とするブラシローラ。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のブラシローラにおいて、前記シャフトは、第1の繊維長を有する第1の種類のパイルと第1の繊維長よりも短い繊維長の第2の種類のパイルにより覆われ、前記第2の種類のパイルの剛性が第1の種類のパイルの剛性に等しいか又はそれよりも高いことを特徴とするブラシローラ。
【請求項6】
請求項5に記載のブラシローラにおいて、前記シャフトは、第1の繊維長を有する第1の種類のパイルと第1の繊維長よりも短い繊維長の第2の種類のパイルにより覆われ、前記第1の種類のパイルはレーヨン系繊維、ナイロン繊維、又はトリアセテート繊維により構成され、第2の種類のパイルはポリエステル繊維、アクリル繊維、又はポリイミド繊維により構成されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項7】
請求項2又は3に記載のブラシローラにおいて、前記シャフトは、第1の繊維長を有する第1の種類のパイルと第1の繊維長よりも短い繊維長の第2の種類のパイルにより覆われ、前記第1及び第2の種類のパイルのうち、いずれか一方の種類のパイルが電気的導電性の繊維により構成され、他方のパイルが電気的絶縁性繊維により構成されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項8】
請求項2又は3に記載のブラシローラにおいて、前記シャフトは、第1の繊維長を有する第1の種類のパイルと第1の繊維長よりも短い繊維長の第2の種類のパイルにより覆われ、前記第1及び第2の種類のパイルが共に導電性繊維により構成されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のブラシローラにおいて、前記パイルは、静電植毛によりシャフトの外周面に直接植毛されていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のブラシローラにおいて、前記パイルは基布に静電植毛され、当該基布がシャフトの外周面上に巻き付けられていることを特徴とするブラシローラ。
【請求項11】
ワークの表面に繊維長の異なる複数種類のパイルを静電植毛する静電植毛方法であって、
植毛されるべきワークに接着剤を塗布し、
接着剤が塗布されたワークに、繊維長の異なる複数種類のパイルを繊維長の長い順に静電植毛することを特徴とする静電植毛方法。
【請求項12】
ローラの外周面上に繊維長の異なる2種類のパイルが植毛されたブラシローラの製造方法であって、
植毛されるべきローラの搬送方向にそって第1及び第2の静電植毛装置を配置し、接着剤が塗布されたローラを回転させながら第1及び第2の静電植毛装置を順次通過させ、
前記第1の静電植毛装置において、接着剤が塗布されたローラの外周面に第1の繊維長を有する第1のパイルを静電植毛する第1の植毛工程と、
第2の静電植毛装置において、第1のパイルが植毛されたローラに、前記第1の繊維長よりも短い第2の繊維長の第2のパイルを静電植毛する第2の植毛工程とを具えることを特徴とするブラシローラの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のブラシローラの製造方法において、前記第2の植毛工程における帯電電圧を、前記第1の植毛工程における帯電電圧より高く設定して静電植毛することを特徴とするブラシローラの製造方法。
【請求項14】
回転自在に配置され、静電植毛されたパイルにより覆われているブラシローラと、ブラシローラを回転駆動させる駆動装置とを有し、被クリーニング部材の表面を回転するブラシローラによりクリーニングするクリーニング装置であって、
前記ブラシローラは、第1の繊維長及び第1の剛性を有する第1の種類のパイルと、前記第1の繊維長よりも短い繊維長及び第1の剛性よりも高い剛性を有する第2の種類のパイルとにより覆われ、
ブラシローラの中心から被クリーニング部材表面までの距離は、ブラシローラの中心から第1の種類のパイルの先端までの距離及び第2の種類のパイルの先端までの距離よりも短くなるように設定されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項15】
回転部材又は走行部材の表面に粉状の潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置において、
外周面が静電植毛されたパイルにより覆われ、パイルにより固形状の潤滑剤を削り取って回転部材又は走行部材の表面に供給するブラシローラと、前記固形状の潤滑剤をブラシローラに対して押圧する押圧手段とを有し、
前記ブラシローラは、第1の繊維長及び第1の剛性を有する第1の種類のパイルと、前記第1の繊維長よりも短い繊維長及び第1の剛性よりも高い剛性を有する第2の種類のパイルとにより覆われ、
ブラシローラの中心から回転部材又は走行部材の表面までの距離は、ブラシローラの中心から第1の種類のパイルの先端までの距離よりも短く、ブラシローラの中心から第2の種類のパイルの先端までの距離よりも長くなるように設定されていることを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項16】
請求項15に記載の潤滑剤供給装置において、前記固形状の潤滑剤はブラシローラの第1及び第2の種類のパイルと接触し、前記回転部材又は走行部材はブラシローラの第1の種類のパイルとだけ接触し、第2の種類のパイルとは接触しないように構成したことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の潤滑剤供給装置において、当該潤滑剤供給装置は画像形成装置に用いられ、感光ドラムに潤滑剤を供給する装置、或いは、転写ローラ、転写ベルト、又は中間転写ベルトに潤滑剤を供給する装置として用いられることを特徴とする潤滑剤供給装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−122484(P2008−122484A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303447(P2006−303447)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(591091733)近江ベルベット株式会社 (2)
【出願人】(000150774)株式会社槌屋 (56)
【Fターム(参考)】