説明

ブランクス及びその形成方法、並びに該ブランクスを用いたブラックマトリックス及びその形成方法、

【課題】
ディスプレイ技術の進展に伴う高負荷の処理条件に対応できる耐候性を備え、しかも、優れた低反射特牲、優れた遮光性、及び優れた加工性を有し、且つ、環境負荷の低いブランクス又はブラックマトリックスを提供する。
【解決手段】
透明基板の表面上に直接若しくは間接に付着させて形成した遮光膜又は遮光膜と反射防止膜から成るブランクス又はブラックマトリックスにおいて、遮光膜は、遮光膜の金属成分をNiとMoとTiを主成分とし、Tiの含有量が10〜25原子%である薄膜でを構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶カラーディスプレイ装置や電極材料フォトマスクに用いるブランクス及びその形
成方法、並びに該ブランクスを用いたブラックマトリックス及びその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、透明基板の表面上に、一様に形成した薄膜層はブランクスと呼ばれ、ブランクスの所定の部分にエッチング処理等を施し薄膜層を除去した開口部分と、該開口部分に相補的に残る遮光層を形成してパターン状としたものはブラックマトリックスと呼ばれている。従って、ブランクスとブラックマトリックスは、パターンの有無が相違するだけで、その材料、機能が同一であり、本明細書においては特別に両者を区別しない限り同等物として扱う。
【0003】
液晶ディスプレイ装置のディスプレイ部は、画素開口部のコントラスト及び表示品質を向上させるため、ガラス基板上に規則的な格子状等に形成された高い遮光性を有するブラックマトリックスが設けられている。ブラックマトリックスのパターン間には、ブルー、グリーン、レッドの各着色パターンから構成されるフィルタ色パターンが設けられ、ブラックマトリックスとフィルター色パターンの上部には、透明導電膜、保護膜又は平坦化膜を積層してカラーフィルターに構成されるのが一般的である。
【0004】
ブラックマトリックスの膜厚は0.3μm以下であることが要求され、同時に可視光領域での光学濃度(O.D)が3.5以上という高い遮光性、及び優れた耐候性が要求されている。このため、従来技術では、ブランクス及びブラックマトリックスには、優れた耐候性と高い遮光性を有するCr金属又はCrの酸化物、窒化物等のCr酸化物からなる薄膜が用いられている。また、近年では、Crの金属やその化合物の優れた光学特性を利用した二層膜構成等が使用されており、これらにより優れた低反射性をも兼備するごとが可能となった。
【0005】
ところが、Cr金属やその化合物から成るブラックマトリックスは、パターン形成工程等のエッチングエ程において、Crを含有する廃棄物が生ずる。この廃棄物中に6価のCrが含まれる場合、6価のCrは有害であり、環境負荷が高いため、廃棄物の取り扱い及び保管に厳重な注意が必要となるだけでなく、廃棄物の処理には多大な費用が掛かる。
【0006】
このため、Crを含まないブランクス及びブラックマトリックスが従来数多く提案されている。一般的な組成はNi系合金であり、Niはブランクス及びブラックマトリックスの基本的な光学特性を得るための基本元素であり、これにWやMo、Al、Ti、Cu、Nb等を加えた合金が用いられている。
【0007】
それらの幾つかの例を挙げると、
特許文献1には、NiW、NiFe、NiCo、NiMo、NiTa、NiCuが提案されている。
特許文献2及び特許文献3には、NiMo、NiMoAl、NiMoTi(Mo量は10〜37原子%、ただし実施例では15〜22原子%。Ti量は7〜15原子%、ただし実施例では7〜11原子%)が提案されている。
特許文献4には、NiMo、NiTi、NiMoTi(Mo量は0〜40原子%、ただし実施例では15原子%。Ti量は0〜20原子%、ただし実施例では10原子%)が提案されている。
特許文献5〜特許文献9には、NiMoTi(Mo量は1〜6質量%、ただし実施例では1.2〜5.8質量%。Ti量は40〜50質量%、ただし実施例では41〜49質量%、及び、Mo量は2.0〜10.0質量%、ただし実施例では2.2質量%。Ti量は87.0〜97.7質量%、ただし実施例では1.2質量%。)、NiNb、NiMoTa、NiMoNb、NiMoNbTiが提案されている。
特許文献10には、NiMoTaNbFeAlZrが提案されている。
【0008】
これらの材料は、Crを含まないブラックマトリックス材料であり、良好な低反射特性、及び加工プロセス・使用環境に耐え得るのに必要な耐食性(耐候性)、すなわち、耐アルカリ性、耐水性を十分有していると記載されている。
【0009】
また、特許文献5には、NiへのMo、Tiの添加はNiの磁性を低下させてマグネトロンスパッタリング速度を増す作用があり、さらに、耐食性(耐侯性)を向上させると記載されている。
【0010】
特許文献3及び特許文献10には、Crを含まないブラックマトリックス材料の、(硝酸第二セリウムアンモニウム一過塩素酸系エッチング液に対する)エッチング速度とクロム膜のエッチング速度が同程度であれば、膜を採用するための大規模な製造装置の改造を必要とせず、既存のクロム膜ブラックマトリックスのパターニング用の製造ラインを容易に代用でき、生産性に優れると記載されている。
【0011】
また、液晶ディスプレイ装置の薄型化、大型化及び高精細化は、薄膜の加工技術においても要求水準が高度になっている。例えば、ディスプレイ用薄膜のプロセス処理に用いられる酸、アルカリ、熱、水などの処理環境が多様化し、これに伴い厳しい処理条件が導入されても、これらに十分な耐性を備えていることが望まれる。
【0012】
この種の耐性を示すものとして耐侯性が重要な指標となる。この指標の主要検査方法の一つに電解エッチング耐性試験がある。電解エッチング耐性試験は、添付図面の図4に示す装置が用いられる。即ち、まず、特定の電解物質を所定濃度に溶解した電解水に対して、ガラス基板上に形成した金から成る金属膜、又は、白金から成る金属膜、又は、インジウム−錫酸化膜、又は、ステンレス板による陰極電極と、ガラス基板上に形成した各種金属膜から成る陽極電極とを対向させて浸漬させる。そして、陰極電極と陽極電極とを直流電源を介して導通する。このとき耐性が不充分な金属から成る腸極電極は、電解質条件や浸漬時間などにより、電解水中に溶出する。そして金属膜に対しては、膜厚縮小や局所的なピンホール発生など、電解エッチングに起因する不具合が生じる。
【0013】
この電解エッチング耐性試験から、Cr金属と比較して、種々のCrを含まないブランクス及びブラックマトリックス材料の耐候性水準が低いことが知られており、ディスプレイ技術の要求高度化に対して対応不充分の要因となる恐れがある。
【0014】
特許文献11には、メッキによる膜形成ではあるが、耐電食性(電解エッチング耐性)の悪いNi膜に、Pd50%、残部Ni膜による表面層の形成により、耐電食性(電解エッチング耐性)が改善されると記載されている。ただし、貴金属添加による耐電食性(電解エッチング耐性)改善はコスト面で不利である。また、特許文献11には、耐電食性(電解エッチング耐性)の評価方法が記載されている。
【0015】
さらに、これまで数多くのCrを含まないブランクス及びブラックマトリックス材料が提案されてきたにもかかわらず、実際に使用されている例は少ない。その理由は、Cr材のブランクス及びブラックマトリックスの優れた性質を越えるものがないことにある。Cr材の優れた特性としては
1.低反射特牲、
2.遮光性、
3.Cr膜のエッチング速度や良好なパターン形状における加工性、
4.耐候性、(耐水性、耐アルカリ性)
があり、これらの特性に、上述のような環境性(Crを含まない)及び電解エッチング耐性を加えると、それぞれの特性の少なくとも一つを満たしている材料は提案されているものの、それら全ての性質を満たす材料は得られていない。
【特許文献1】WO97/31290公表公報
【特許文献2】特開平10−301499公報
【特許文献3】特開平11−119676公報
【特許文献4】特開平11−142617公報
【特許文献5】特開2001−311812公報
【特許文献6】特開2001―311805公報
【特許文献7】特開2001−356204公報
【特許文献8】特開2002−167666公報
【特許文献9】特開2002−167667公報
【特許文献10】特開2002−107537公報
【特許文献11】特許第3161805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らの研究では、NiはCr材のブランクス及びブラックマトリックス代替材料としては有望であるが、そのままでは使用できない。NiはCrエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム−過塩素酸系エッチング液)に対するエッチング速度は小さく、パターン加工できない。そのため、Crエッチング液に対するエッチング速度が大きいMoを加えることが考えられる。しかし、Mo又はNiMoは耐侯性(耐水性、耐アルカリ牲、電解エッチング耐牲)が悪い。そのため、耐侯性の優れたTiを加えることが考えられる。しかし、Ti又はNiTiはCrエッチング液に対するエッチング速度は小さくパターン加工性が悪くなる。Tiの代わりにAlを用いても、同様な耐候性効果が得られるが、Tiを用いた方がより効果が大きいことが分かった。
【0017】
すなわち、Ni、Mo、Tiの含有量は、一つの特性を良くすれば、他の特性が悪くなると言った相反する関係となり、Cr代替ブランクス及びブラックマトリックスとしての全ての特性すなわち低反射特性、遮光性、加工性、耐候性、環境性、電解エッチング耐性を満たすためには、これらの最適な含有率を求めることが必要である。
【0018】
電解エッチング耐性があるとは、より優れた耐候性を有している状態といえる。Ti含有薄膜は、Ti成分が薄膜表面に自然酸化によってチタニア(Ti0)不動態を形成するため、保護効果が高い。オージェ分光分析装置を用いてNiMoTi薄膜の分析を行ったところ、最表面にTi0が存在しており、またTiの量が薄膜内部の量に比べて多いことが分かった。このことは、薄膜成分にTiがそれほど多く含まれていなくても、最表面に耐候性を有するに必要な量のTi0を形成することができ、また薄膜内部のTiはそれほど多くはないため、NiMoのエッチング速度に影響を与えない状態を作り出せることが分った。すなわち、一見、トレードオフの関係である、より優れた耐候性とエッチング性の両立が可能となる。
【0019】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、ディスプレイ技術の進展に伴う高負荷の処理条件に対応できる耐候性を備え、しかも、優れた低反射特牲、優れた遮光性、及び優れた加工性を有し、且つ、環境負荷の低いブランクス及びブラックマトリックスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の発明によれば、透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された遮光膜を有するブランクスであって、遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10〜25原子%である薄膜であることを特徴としている。
【0021】
遮光膜は、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜又は金属膜の少なくとも一つから成り得る。
【0022】
遮光膜に含まれる金属元素は、Mo18〜25原子%、Ti10〜25原子%、残部がNi及び不可避元素から成り得る。
【0023】
遮光膜に含まれる金属元素中のMoの含有量は、Niの含有量の1/3以上であり得る。
【0024】
遮光膜に含まれる金属元素中のNi、Mo、Tiの総和は99.9%以上であり得る。
【0025】
遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であり得る。
【0026】
本発明の第2の発明によれば、透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された反射防止膜を有するブランクスであって、反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴としている。
【0027】
反射防止膜は、酸化膜、酸窒化膜から成り得る。
【0028】
反射防止膜に含まれる金属元素は、Mo18〜25原子%、Ti10〜25原子%、残部がNi及び不可避元素から成り得る。
【0029】
遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であり得る。
【0030】
反射防止膜に含まれる金属元素中のNi、Mo、Tiの総和は99.9%以上であり得る。
【0031】
本発明の第3の発明によれば、透明基板の表面上に直接又は間接に形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスであって、反射防止膜及び遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴としている。
【0032】
反射防止膜は、Ni、Mo、Tiの酸化膜又は酸窒化膜で形成された薄膜であり、遮光膜はNi、Mo、Tiの酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜又は金属膜の少なくとも一つで形成された薄膜であり得る。
【0033】
反射防止膜は複数層で形成され得る。この場合、複数層の前記反射防止膜の内、透明基板上に直接又は間接に形成される第1反射防止膜は、Ni、Mo、Tiの酸化膜又は酸窒化膜により形成され、また第1反射防止膜上に直接又は間接に形成される第2反射防止膜は、第1反射防止膜と屈折率が異なるNi、Mo、Tiの酸化膜、窒化膜又は酸窒化膜で形成され得る。
【0034】
遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であり得る。
【0035】
本発明の第4の発明によれば、透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスであって、反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Alを主成分とする薄膜であり、遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴としている。
【0036】
反射防止膜はNi、Mo、Alの酸化膜又は酸窒化膜で形成された薄膜であり、遮光膜はNi、Mo、Tiの酸化膜、酸窒化膜、窒化膜、炭化膜、又は金属膜で形成された薄膜であり得る。
【0037】
反射防止膜は複数層で形成され得る。この場合、複数層の前記反射防止膜の内、透明基板上に直接又は間接に形成される第1反射防止膜は、Ni、Mo、Alの酸化膜又は酸窒化膜により形成され、また第1反射防止膜上に直接又は間接に形成される第2反射防止膜は、第1反射防止膜と屈折率の異なるNi、Mo、Alの酸化膜、窒化膜又は酸窒化膜で形成され得る。
【0038】
反射防止膜に含まれる金属元素中のMoの含有量は、Niの含有量の1/3以上であり得る。
【0039】
本発明の第5の発明によれば、本発明の第1、第2、第3、第4の発明のいずれかによるブランクスをエッチングして、パターンを形成して作成されるブラックマトリックスが提供される。
【0040】
本発明の第6の発明によれば、Ni、Mo、Tiを主成分とするターゲットを、スパッタガスと酸素付与ガスを含むガスを供給しながらスパッタし、基板上に反射防止膜を形成するステップと、
ターゲットを、スパッタガスと、酸素付与ガス、窒素付与ガス、炭化水素ガスの少なくとも何れか、又は、スパッタガスのみを供給しながらスパッタして、反射防止膜上に遮光膜を形成するステップと
を含むことから成るブランクスの形成方法が提供される。
【0041】
本発明の第7の発明によれば、Ni、Mo、Alを主成分とするターゲットを、スパッタガスと酸素付与ガスを含むガス供給しながらスパッタし、基板上に反射防止膜を形成するステップと、
Ni、Mo、Tiを主成分とするターゲットを、スパッタガスと、酸素付与ガス、窒素付与ガス、炭化水素ガスの少なくとも何れか、又は、スパッタガスのみを供給しながらスパッタして、反射防止膜上に遮光膜を形成するステップと
を含むことから成るブランクスの形成方法が提供される。
【0042】
本発明の第8の発明によれば、本発明の第6の発明又は第7の発明によるブランクスを一液のエッチング液でエッチングしてパターンを形成するステップを含むことからなるブラックマトリックスの形成方法が提供される。
【0043】
エッチング液は、硝酸第二セリウムアンモニウム-過塩素酸系エッチング液であり得る。
【0044】
本発明では、Ti量10〜25原子%、Mo量18〜25原子%、残部Niからなる遮光膜又は遮光膜と反射防止膜から成るブランクス又はブラックマトリックスにおいては、電解エッチング耐性及びCr代替ブランクス及びブラックマトリックスとしての全ての特性(低反射特性、遮光性、加工性、耐侯性、環境性、電解エッチング耐性)を満たしていることが分かった。具体的な組成としては、Ni62原子%とMo21原子%とTi17原子%の組成、Ni63原子%とMo22原子%とTi15原子%の組成、Ni66原子%とMo22原子%とTil2原子%の組成からなる遮光膜又は遮光膜と反射防止膜からなるブランクス又はブラックマトリックスにおいて上記全ての特性が得られた。また、Ti量が10〜25原子%の範囲であっても、エッチング速度が最適値でないものもあるが、この場含Mo量を多くすれば解決できる。具体的には、Tiを除いたNiMo比が3:1以上になるようなMoの量を選定ずればよい。
【0045】
上記のように得られた耐侯性、エッチング性に優れたNiMoTiから成る遮光膜又は遮光膜と(反応ガスとしてAr、N、COを用いて作成した)反射防止膜から成るブランクス又はブラックマトリックスは良好な低反射特性を示した。
【0046】
さらに、特性のよい遮光膜又は遮光膜と反射防止膜から成るブランクス又はブラックマトリックスを得るために、NiMoTiよりも低反射特性に優れたNiMoAlを用い、NiMoAlから成る反射防止膜とNiMoTiからなる遮光膜を組み合わせたブランクス又はブラックマトリックスは、より優れた耐侯性を保ちつつ、Cr材のブランクス及びブラックマトリックスと比較して、同程度の低反射性となる。この異種材料の積層体において、NiMoAlとNiMoTiのCrエッチング液に対するエッチング速度には差がないため、パターン形状に影響を及ぼさない。さらにNiMoAlの耐候性はNiMoTiに劣るものの、耐侯性は薄膜の最表面の特性であるため、耐候性はNiMoTiからなる遮光膜の特性が反映される。
【0047】
また、NiMoAlから成る反射防止膜を二層構造としし場合には、干渉勃果を利用した二層構造の反射防止膜は、より反射率の低い特性が得られる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の第1の発明によるブランクスにおいては、遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10〜25原子%である薄膜で構成し、また、本発明の第2の発明によるブランクスにおいては、反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜で構成し、また、本発明の第3の発明による、透明基板の表面上に直接又は間接に形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスでは、反射防止膜及び遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜で構成し、また、本発明の第4の発明による、透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスにおいては、反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Alを主成分とする薄膜であり、遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜で構成し、さらに、本発明の第5の発明によるブラックマトリックスでは、本発明の第1、第2、第3、第4の発明のいずれかによるブランクスを用いているので、液晶ディスプレイ製造時の歩留まり向上や商品長寿命化への貢献、及び環境負荷の軽減が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、添付図面を参照して実施例に基き本発明の実施形態について説明する。
図1には、透明基板1上にNiとMoとTiを金属成分の主成分とする遮光膜2を直接形成した膜構造を示し、図2には、透明基板2の表面上に、NiとMoとTiを金属成分の主成分とする薄膜の反射防止膜3が設けられ、そして反射防止膜3の表面にNiとMoとTiを金属成分の主成分とする薄膜の遮光膜2設けられる膜構造を示し、また図3には反射防止膜3を二層膜で構成した膜構造を示している。
【実施例1】
【0050】
実施例1では、図1に示すように、透明基板1上に、純度99.9%のNiとMoとTiの3成分から成る焼結体ターゲットを使用して所定の雰囲気ガスの真空室内で直流スパッタリング法により遮光膜2を成膜した。
【0051】
比較例として、純度99.9%のNiとMoの2成分から成る焼結体ターゲット、純度99.9%のNiとMoとAlの3成分から成る焼結体ターゲット、純度99.9%の純Ni又は純Mo又は純Tiである純金属ターゲットを使用し、本発明の物と同じ条件で成膜した。
【0052】
透明基板1は、0.7mm厚さのコーニング製1737ガラスを用い、成膜中は真空室内に設けた石英ヒータにより透明基板1が120℃になるように加熱した。真空槽内には、雰囲気ガスとしてArを用い、ターゲット近傍に設けたガス導入管から導入した。成膜時の圧カは、6.7×10−2〜4.0×10−1Paの範囲で設定した。成膜装置の制約上、膜厚は投入電カにより制御し、約1000Åの膜厚を得るために約1.75W(パワー密度2.6W/cm)を投入した。
【0053】
形成された遮光膜2の膜特性を調べた結果は表1の通りであった。これらの薄膜の膜厚は表面粗さ計により測定し、O.D.は光学濃度計の可視域フィルターを用いて測定した。エッチング時間の測定は、硝酸第二セリウムアンモニウム165gと70%過塩素酸42mlを純水に混合し、1000mlに調整したCr用エッチング溶液を用い、エッチング中の遮光膜に対する、レーザー透過光をモニタすることにより測定した。各種の耐食性は、試料を所定の溶液浴に、恒温中、一定時間浸漬させ、浸漬前後のO.D.値を測定し、その減少度により評価した。減少変化量が小さいほど耐食性は優れている。耐水性は、純水、室温、浸漬時間は24時間の処理とした。耐アルカリ性は5wt%NaOH、75℃、浸漬時間は30分の処理とした。
【0054】
図4に示す電解エッチング耐性試験装置を用い、容器中に数%濃度のNaCl水溶液を電解質溶液として入れ、そして、ガラス基板に上に形成したインジウムー錫酸化膜を陰極として、上記により作成した、金属Mo、Ni、Ti及びAlの金属種類の組み合わせを合金成分とした各種金属膜から成る遮光膜で構成される電極を陽極として対向させて浸漬させた。このとき、陽極側と陰極側との電極間距離を4mm程度に設定した。また、両電極に9Vの直流電圧を印加して、30分間の通電を行った。電解エッチング耐性は陽極に使った試験片の0.D.値を測定し、処理前後の減少量により評価した。減少変化量が小さいほど耐食性は優れている。電解エッチング耐性の結果は、表1の通りであった。
【0055】
また、膜組成の分析は、オージェ分析(AES)により行なった。
【0056】
【表1】

【0057】
その結果、膜組成Ni62原子%Mo21原子%Ti17原子%(サンプルNo.2)、Ni63原子%Mo22原子%Ti15原子%(サンプルNo.3)、Ni66原子%Mo22原子%Ti12原子%(サンプルNo.4)から成る遮光膜は、電解エッチング耐性、耐水性、耐アルカリ性に優れていることが分かった。また、エッチング時間はCr材のブランクス及びブラックマトリックスのエッチング時間と比較して同等或いはCr以上のエッチング速度が得られた(Crのエッチング速度が単層遮光膜で1.69nm/secであるのに対して、1.24〜2.89nm/secであった。)。すなわちTi量10〜25原子%、Mo量18〜25原子%、残部Niの範囲の組成が有効であることが分かった。
【0058】
また、Ni70原子%Mo18原子%Ti12原子%組成(サンプルNo.5)から成る遮光膜のように、Ti量が10〜25原子%の範囲にあって、電解エッチング耐性、耐水性、耐アルカリ性がすぐれていても、エッチング速度が最適値でないものもあり、この場合多くのMo量が必要であった。具体的には、Ni70原子%Mo18原子%Ti12原子%組成(サンプルNo.5)と、Ni66原子%Mo22原子%Ti12原子%組成(サンプルNo.4)の比較から分かるように、NiMo比が3:1以上になるような、より多くのMo量が必要であることが分かる。
【0059】
オージェ分析(AES)の結果、遮光膜の最表面に、TiOの生成を確認した。またそのTi量は膜内部の量よりも多かった。このTiOが電解エッチング耐性に寄与していると考えられる。
【実施例2】
【0060】
実施例2では、図2に示すように、透明基板1上に遮光膜2や反射防止膜3を実施例1で得られた、耐候性にすぐれた、Ni63原子%Mo22原子%Ti15原子%から成る焼結体ターゲットを使用して所定の雰囲気ガスの真空室内で直流スパッタリング法により成膜した。
【0061】
比較例として、Ni65原子%Mo15原子%A120原子%から成る焼結体ターゲットを使用し、本発明のものと同様に直流スパッタリング法により形成した。
【0062】
透明基板1は、0.7mm厚さのコーニング製1737ガラスを用い、成膜中は真空室内に設けた石英ヒータによりその基板が120℃になるように加熱した。真空糟内には、雰囲気ガスとしてAr、CH、N、O、CO、NO、NOのうち少なくとも一つを選択し、ターゲット近傍に設けたガス導入管から導入した。成膜時の圧カは、6.7×10−2〜4.0×10−1Paの範囲で設定した。成膜装置の制約上、膜厚は投入電カにより制御し、遮光膜2については約1000Åの膜厚を得るために約1.8kW(パワー密度2.7W/cm)を、反射防止膜3については約600Åの膜厚を得るために約2.1kW(パワー密度3.2W/cm)を投入した。
【0063】
形成された遮光膜2、及び、低反射膜3、及び、低反射膜2と遮光膜3からなるブランクス又はブラックマトリックスの膜特性として、反射率を分光光度計により測定し、ガラス面の反射率も含めた絶対値(ガラス面側反射率)とした。さらに実施例1と同様な方法で、膜厚、O.D.、エッチング時間、耐水性、耐アルカリ性、電解エッチング耐性を調べた結果は表2の通りであった。
【0064】
【表2】

【0065】
その結果、NiMoTi組成から成る(遮光膜と反射防止膜から成る)ブランクス又はブラックマトリックス(サンプルNo.18)は、Cr系の低反射膜と同程度の低反射特性を示したが、比較例のNi65原子%Mo15原子%A120原子%から成る(遮光膜と反射防止膜から成る)ブランクス又はブラックマトリックス(サンプルNo.20)の方がより低反射であった。電解エッチング耐性は、比較例のサンプルNo.20が電解エッチング試験後、膜が完全に消失してしまうのに対して、サンプルNo.18は、その遮光膜(サンプルNo.3)と同様に良好であった。また、耐水性、耐アルカリ性も良好であり、エッチング時間はCr材のブランクス及びブラックマトリックスのエッチング時間と比較してCr以上のエッチング速度が得られた(Crのエッチング速度が遮光膜と低反射層の2層膜構成で1.88nm/secであるのに対して、サンプルNo.18では2.73nm/secであった。)。
【実施例3】
【0066】
実施例3では、遮光膜2に実施例1で得られ、耐候性にすぐれた、Ni63原子%Mo22原子%Ti15原子%から成る焼結体ターゲットを使用し、反射防止膜3に低反射特性にすぐれたNi65原子%Mo15原子%A120原子%から成る焼結体夕ーゲットを使用して所定の雰囲気ガスの真空室内で直流スパッタリング法により成膜した。
【0067】
透明基板1は、0.7mm厚さのコーニング製1737ガラスを用い、成膜中は真空室内に設けた石英ヒータにより透明基板1が120℃になるように加熱した。真空槽内には、雰囲気ガスとしてAr、CH、N、O、CO、NO、NOのうち少なくとも一つを選択し、ターゲット近傍に設けたガス導入管から導入した。成膜時の圧力は、6.7×10−1〜4.0×10−1Paの範囲で設定した。成膜装置の制約上、膜厚は投入電力により制御し、遮光膜においては約100Åの膜厚を得るために約1.8kW(パワー密度2.7W/cm)を、反射防止膜においては約600Åの膜厚を得るために約2.1kW(パワー密度3.2W/cm)を投入した。
【0068】
形成された低反射膜と遮光膜からなるブンランクス又はブラックマトリックスの膜特性として、反射率を分光光度計により測定し、ガラス面の反射率も含めた絶対値(ガラス面側反射率)とした、さらに実施例1と同様な方法で、膜厚、O.D.、エッチング時間、耐水性、耐アルカリ性、電解エッチシグ耐性を調べた結果は表2の通りであった。
【0069】
その結果、遮光膜に耐候性にすぐれたNiMoTi組成から成り、且つ、反射防止膜に低反射特牲にすぐれたNiMoAlから成るブランクス又はブラックマトリックス(サンプルNo.21)の組み合わせは、実施例2よりも低い反射特性を示した。また、電解エッチング耐性、耐水性、耐アルカリ性、エッチング時間も良好であり、Cr同等のエッチング速度であった(Crのエッチング速度が遮光膜と低反射層の2層膜構成で1.88nm/secであるのに対して、サンプルNo.21では2.00nm/secであった)。
【実施例4】
【0070】
遮光層2にNiMoTi膜を用い、反射防止層3にNiMoAlを用いる組み合わせにおいて、図3に示すように、反射防止膜3を複数層に分け(屈折率の異なる複数層膜の干渉効果を利用する)試みを行った。成膜条件は実施例3と同様であるが、反射防止層3の一層目の成膜条件は二層目に比べて酸化ガスを多くした。膜厚は反射防止膜3においては各約300Åの膜厚を得るために約1.0kW(パワー密度1.5W/cm)を投入した。
【0071】
形成された複数層の低反射膜と遮光膜から成るブンランクス又はブラックマトリックスの膜特性として、反射率を分光光度計により測定し、ガラス面の反射率も含めた絶対値(ガラス面側反射率)とした、さらに実施例1と同様な方法で、膜厚、0.D.、エッチング時間、耐水性、耐アルカリ性、電解エッチング耐性を調べた結果は表2の通りであった。
【0072】
その結果、この条件で作成した三層構造のブランクス又はブラックマトリックス(サンプルNo.22)は、最も低い反射防止特性を示した。また、電解エッチング耐性、耐水性、耐アルカリ性、エッチング時間も良好であり、Cr以上のエッチング速度が得られた(Crのエッチング速度が遮光膜と低反射層の2層膜構成で1.88nm/secであるのに対して、サンプルNo.22では2.71nm/secであった)。
【0073】
ところで、本発明の実施例では、低反射層はガラス面側に設定したが、遮光膜をガラス面側に付け、その上に本発明の反射防止層を設ける膜構成を逆転させた反射防止型ブランクスとして実施することも可能である。この場合は、一般的なフォトマスクとしての使用が可能である。
また、本発明の遮光層に相当するブランクスについては、各種電極膜としての使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を実施するための膜構成の一つの例を示す概略断面図。
【図2】本発明を実施するための膜構成の別の例を示す概略断面図。
【図3】本発明を実施するための膜構成の別の例を示す概略断面図。
【図4】電解エッチング耐性試験装置の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0075】
1:透明基板
2:遮光膜
3:低反射膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された遮光膜を有するブランクスであって、前記遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10〜25原子%である薄膜であることを特徴とするブランクス。
【請求項2】
前記遮光膜が、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜又は金属膜の少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項1に記載のブランクス。
【請求項3】
前記遮光膜に含まれる金属元素は、Mo18〜25原子%、Ti10〜25原子%、残部がNi及び不可避元素から成ることを特徴とする請求項1に記載のブランクス。
【請求項4】
前記遮光膜に含まれる金属元素中のMoの含有量が、Niの含有量の1/3以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項5】
前記遮光膜に含まれる金属元素中のNi、Mo、Tiの総和が99.9%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項6】
前記遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項7】
透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された反射防止膜を有するブランクスであって、前記反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴とするブランクス。
【請求項8】
前記反射防止膜が、酸化膜、酸窒化膜から成ることを特徴とする請求項7に記載のブランクス。
【請求項9】
前記反射防止膜に含まれる金属元素は、Mo18〜25原子%、Ti10〜25原子%、残部がNi及び不可避元素から成ることを特徴とする請求項7又は8に記載のブランクス。
【請求項10】
前記反射防止膜に含まれる金属元素中のMoの含有量が、Niの含有量の1/3以上であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項11】
前記反射防止膜に含まれる金属元素中のNi、Mo、Tiの総和が99.9%以上であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項12】
透明基板の表面上に直接又は間接に形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスであって、前記反射防止膜及び前記遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴とするブランクス。
【請求項13】
前記反射防止膜が、Ni、Mo、Tiの酸化膜又は酸窒化膜で形成された薄膜であり、前記遮光膜がNi、Mo、Tiの酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、炭化膜又は金属膜の少なくとも一つで形成された薄膜であることを特徴とする請求項12に記載のブランクス。
【請求項14】
前記反射防止膜が複数層で形成されていることを特徴とする請求項12に記載のブランクス。
【請求項15】
複数層の前記反射防止膜の内、透明基板上に直接又は間接に形成される第1反射防止膜が、Ni、Mo、Tiの酸化膜又は酸窒化膜により形成され、
前記第1反射防止膜上に直接又は間接に形成される第2反射防止膜が、前記第1反射防止膜と屈折率が異なるNi、Mo、Tiの酸化膜、窒化膜又は酸窒化膜で形成されたことを特徴とする請求項14に記載のブランクス。
【請求項16】
前記遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項17】
透明基板の表面上に直接又は間接に付着して形成された反射防止膜及び遮光膜を有するブランクスであって、前記反射防止膜の金属成分がNi、Mo、Alを主成分とする薄膜であり、前記遮光膜の金属成分がNi、Mo、Tiを主成分とし、Tiの含有量が10~25原子%である薄膜であることを特徴とするブランクス。
【請求項18】
前記反射防止膜がNi、Mo、Alの酸化膜もしくは酸窒化膜で形成された薄膜であり、前記遮光膜がNi、Mo、Tiの酸化膜、酸窒化膜、窒化膜、炭化膜、又は金属膜で形成された薄膜であることを特徴とする請求項17に記載のブランクス。
【請求項19】
前記反射防止膜が複数層で形成されていることを特徴とする請求項17に記載のブランクス。
【請求項20】
複数層の前記反射防止膜の内、透明基板上に直接又は間接に形成される第1反射防止膜が、Ni、Mo、Alの酸化膜又は酸窒化膜により形成され、
前記第1反射防止膜上に直接又は間接に形成される第2反射防止膜が、前記第1反射防止膜と屈折率の異なるNi、Mo、Alの酸化膜、窒化膜又は酸窒化膜で形成されたことを特徴とする請求項19に記載のブランクス。
【請求項21】
前記遮光膜は、電解エッチング試験において、O.D(光学濃度)変化量が50%以下であることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のブランクス。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載のブランクスをエッチングして、パターンを形成して作成されることを特徴とするブラックマトリックス。
【請求項23】
Ni、Mo、Tiを主成分とするターゲットを、スパッタガスと酸素付与ガスを含むガスを供給しながらスパッタし、基板上に反射防止膜を形成するステップと、
前記ターゲットを、スパッタガスと、酸素付与ガス、窒素付与ガス、炭化水素ガスの少なくとも何れか、又は、スパッタガスのみを供給しながらスパッタして、前記反射防止膜上に遮光膜を形成するステップと
を含むことを特徴とするブランクスの形成方法。
【請求項24】
Ni、Mo、Alを主成分とするターゲットを、スパッタガスと酸素付与ガスを含むガス供給しながらスパッタし、基板上に反射防止膜を形成するステップと、
Ni、Mo、Tiを主成分とするターゲットを、スパッタガスと、酸素付与ガス、窒素付与ガス、炭化水素ガスの少なくとも何れか、又は、スパッタガスのみを供給しながらスパッタして、前記反射防止膜上に遮光膜を形成するステップと
を含むことを特徴とするブランクスの形成方法。
【請求項25】
請求項23又は24で形成したブランクスを一液のエッチング液でエッチングしてパターンを形成するステップを含むことを特徴とするブラックマトリックスの形成方法。
【請求項26】
前記エッチング液が、硝酸第二セリウムアンモニウム-過塩素酸系エッチング液であることを特徴とする請求25に記載のブラックマトリックスの形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−162942(P2006−162942A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353917(P2004−353917)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000101710)アルバック成膜株式会社 (39)
【Fターム(参考)】