ブレーキシステム
【課題】小型、軽量化が可能であるとともに、排気による悪影響を防止することのできる鉄道車両冷却装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ブレーキシステムは、機器の回転体に連動して回転するディスク11と、それぞれディスクに対向配置された複数のパッド10A、10Bと、各パッドをディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されている。
【解決手段】実施形態によれば、ブレーキシステムは、機器の回転体に連動して回転するディスク11と、それぞれディスクに対向配置された複数のパッド10A、10Bと、各パッドをディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動車、鉄道車両、エレベータの巻上機等に用いるブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道車両、エレベータの巻上機等は、回転する車輪あるいは駆動網車の回転を制動するブレーキシステムを備えている。ブレーキシステムとして、例えば、電磁式ブレーキは、車輪あるいは駆動網車等の回転体と連動して回転するブレーキディスクと、ブレーキディスクの片面あるいは両面に摺接するパッドと、パッドをブレーキディスクに押付ける押圧機構と、を備えている。押圧機構は、固定鉄心と稼動鉄心とを有し、固定鉄心の内部に巻装された巻線およびばねが配置され、ばねで稼動鉄心を押すように構成されている。パッドは、固定鉄心およびばねと反対側で稼動鉄心に固定され、稼動鉄心の移動によりブレーキディスクの摺動面に押付けられる。
【0003】
パッドが複数用いられる場合、これらのパッドはディスクの片面に対して、同一制動半径(r)上に配置される。そして、押圧部のばね力により、パッドをディスクに押付けることで、制動力を発生させる。
【0004】
あるいは、2つのパッドをブレーキディスクの両面に対して、同一制動半径(r)上に配置し、ブレーキディスクを両面側から挟み込むことによって制動力を発生させる(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようなブレーキシステムにおいて、パッドとディスクは、摺動により摩擦を生じ、熱力学の法則から、摩擦は熱に変換される。制動能力、即ちブレーキトルクにより生じるディスクの温度上昇値を以下に説明する。
【0006】
ブレーキトルクは、以下の式1で示される。
ブレーキトルク:TB=2・μ・F・r・Np ・・・ 式1
ここで、μ:摩擦係数、F:押付力、r:制動半径、Np:パッド数である。
【0007】
ブレーキを制動することより、発生するエネルギーは、以下の式2で示される。
エネルギー:E=2・π・n・TB・tb ・・・ 式2
ここで、n:回転速度、tb:制動時間である。
【0008】
この時のディスクの熱吸収質量は、以下の式3で示される。
熱吸収質量:m=A・t・γ ・・・・・・・ 式3
ここで、A:摺動面積、t:ディスク厚さ、γ:比重量である。
この時のディスクの温度上昇値は、以下の式4で示される。
温度上昇値:Δt=E/(λ・m) ・・・・・・・ 式4
ここで、λ:比熱である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−335547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した従来のブレーキシステムにおいては、次のような課題がある。
前述の式1〜4に示す通り、ブレーキの制動力を増加させると、ディスクの温度上昇値が高くなる。これにより、相対するパッドの温度も高くなる。
【0011】
1)ディスクは、温度が上昇すると膨張し、冷却されると収縮する。ディスクが拘束された場合、膨張時には圧縮応力が、収縮時には引張応力が発生する。このように、機器の運転・停止と共にブレーキシステムの制動・開放が行われるとディスクに温度サイクルが生じ、ディスクには圧縮と引張の繰り返し応力が作用する。このことは、ディスクと摩擦されるパッドにおいても同様である。
【0012】
このことを熱疲労と称し、一般的に、前述の膨張・収縮による歪と熱を繰り返し加えると材料組織は微細化する。このため、特性の悪化、不安定化のみならず、劣化による熱亀裂が発生し、ブレーキおよびその適用機器の短寿命の要因となる。
【0013】
また、制動を短時間で繰り返すと温度が蓄積され、更なる温度上昇の要因となる。制動後、冷却時間を設定すると復帰までの時間を損失することも課題として上げられる。
【0014】
パッドは、温度差に応じた熱膨張により、摩擦面(摺動面)が変化する。この変化により、ディスクとの接触状態が変化し、接触力が高い場所は摩擦による温度上昇が高く、接触力が低い場所は摩擦による温度上昇は低くなる。摩擦力および温度が高温となるとパッドの磨耗は大きく、その逆は、磨耗が小さくなる。従って、パッドの摩擦面は、昇温時に凸状となり、降温時には凹状なり、結果的に摩擦面の凹凸が発生する。このため、パッドの面当りが全面当りとならず、所定の制動能力を発揮できず、特性悪化の要因となる。
【0015】
温度上昇値並びに、熱疲労を抑えるため、様々な対策があるが、以下の課題がある。
2)ディスク形状の変更
ディスクに冷却フィンなどを構成し、放熱性を向上させる対策がある。
この場合、冷却フィン分の質量増加により、適用機器の質量増加および大形化の要因となる。また、形状の複雑化による歩留り・生産性の悪化および製造コストやリードタイムの増加となる。
【0016】
更に、鋳鉄などでディスクを構成した場合、肉厚偏差による巣などの内部欠陥や硬度のバラツキが大きくなり、品質の低下や特性悪化の要因となる。
【0017】
3)ブレーキ仕様の変更
主に、式1に関連する各々の仕様を変更すると、相互的に以下の課題が上げられる。
a.トルク(制動能力)を小さくすると、当然ながら機器の要求仕様を満足できなくなる。また、機器の適用範囲の縮小となり、ブレーキシステムの種類の増加や標準化の弊害となり、生産性の悪化の要因にもなっていた。
【0018】
b.摩擦係数を低く設定すると制動能力が低下するため、その対策として制動半径を大きくするとディスク径の大径化が必要となる。この場合、ディスクの製造誤差の抑制や加工精度確保のために、高い製造技術を要し、歩留り・生産性の悪化および製造コストやリードタイムの増加となる。
【0019】
パッドの押付力を増加するためには、ばね力を高くする必要があり、それに伴うばねの大形化やそれに対応する吸引力増加に伴う巻線の大形化が必要となる。この結果、生産性の諸問題のみならず、ブレーキおよび機器全体の大形化の要因となる。また、ばね力を増加させると吸引・釈放に関する力が大きくなり、一般的には動作時間が長くなる。このことにより、安全面における問題となる。
【0020】
c.摩擦係数を高く設定し、押付力または制動半径を小さくした場合、一般的に摩擦係数が高いと磨耗量が大きくなり、ブレーキシステムの短寿命化や保守・点検回数の増加の要因となる。
また、一般的に、摩擦係数が高いと制動時の騒音(鳴き音)も増加することとなり、周囲環境の悪化の要因になる。
【0021】
d.パッド数、即ち、ブレーキ数を増加させると、その取付機構が増加し、機器の複化を招く。また、同時に制動を行うための制御の困難さも課題となる。
【0022】
4)適用仕様の変更
主に、式2に関連する各々の仕様を変更すると、以下の課題が発生する。
a.回転速度を低く設定すると、機器の適用範囲の縮小となり、ブレーキシステムの種類の増加や標準化の弊害となり、生産性の悪化の要因にもなっていた。
【0023】
b.制動時間を短く設定すると、制動エネルギーが小さくなる。この場合、すり合わせに要する回数・時間が多く必要となる。そのため、製造における出荷試験時間の増加による生産性の悪化や、保守におけるパッド交換時のすり合わせ時間の増加による保守性の悪化の要因となっていた。
【0024】
5)熱容量の変更
主に、式3に関連する各々の仕様を変更すると、以下の課題が発生する。
a.摺動面積を増加させるためには、パッドの大形化が必要である。それに伴い、ブレーキの大形化やパッドの平面拡大による精度悪化または製造難易度増加を招く要因となっていた。
【0025】
b.ディスク厚さを増加させると、ディスクの大形化、それに伴う適用機器の大形化の要因となっていた。パッドを対向配置した構成においては、ディスク厚さに伴い、固定鉄心のホルダが異なり、適用仕様別の部品設定やそれに伴う管理が必要となる。
また、ホルダ製作においては、型・治工具などの投資が必要で、設計負荷の増大や生産性の悪化および製造コストの増加の要因にもなる。
【0026】
6)用途別の課題
前述の課題は、ブレーキ全般の課題であり、特定用途においては、以下の課題がある。
【0027】
a.エレベータに代表される昇降機
一般的に、大容量を必要とされる昇降機においては、非常に大きな制動能力が必要であり、1回の制動時における温度上昇値が非常に高い。従って、熱容量を大きく設定するために、ブレーキシステムが大形となる傾向にある。また、制動後の冷却も自然空冷が多く、時には、システムを停止する必要があった。
【0028】
b.新幹線に代表される車両用ブレーキ
車輪の回転速度が高く、制動回数も多いことから、制動時における温度上昇および断続的な繰り返し制動により、温度上昇値が非常に高い。また、制動後の冷却方法として、走行風などを利用するため、冷却速度が非常に速い。以上のことから、昇温・降温の温度サイクルが高く、更に、その温度差が大きいことから熱疲労の影響が非常に大きい。
【0029】
c.自動車や二輪車
本用途の問題の1つに、制動時の騒音(鳴き音)がある。騒音の要因として、パッド摩擦面の凹凸が影響していることが、様々な研究から明らかにされている。温度上昇および温度差が大きいと、パッドの摩擦面の凹凸が発生しやすく、騒音低減対策として、パッドの全面当りをする必要がある。
【0030】
この発明は、上述の事情に鑑み成されたもので、その課題は、ディスクやブレーキの性能を維持しつつ、ディスクおよびパッドの温度上昇を抑制することで適用範囲を拡大し、特性の向上や生産性向上および製造リードタイムの短縮・製造コストの縮小が可能なブレーキシステムを提供することにある。また、低温度化によるブレーキシステムの長寿命化や性能向上および小形軽量化を実現でき、低騒音化による環境改善も実現することのできるブレーキシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
実施形態によれば、この発明の態様に係るブレーキシステムは、機器の回転体に連動して回転するディスクと、それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図2】図2は、前記ブレーキシステムの押圧機構を一部破断して示す側面図。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図4】図4は、図1は、本発明の第3実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図5】図5は、前記ブレーキシステムの押圧機構を一部破断して示す側面図。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態に係るブレーキシステムの押圧騎虎を一部破断して示す側面図。
【図7】図7は、本発明の第5実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図8】図8は、本発明の第6実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図9】図9は、本発明の第7実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図10】図10は、本発明の第8実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図11】図11は、本発明の第9実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図12】図12は、本発明の第10実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図13】図13は、本発明の第11実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図14】図14は、本発明の第12実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図15】図15は、本発明の第13実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係るブレーキシステムについて詳細
に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るブレーキシステムについて説明する。図1は、ブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図であり、図2は、パッドを駆動する押圧機構を示す側面図である。
【0035】
図1および図2に示すように、ブレーキシステムは、適用機器の回転体、例えば、エレベータの巻上機に設けられた駆動網車の回転軸に取り付けられ、回転軸と連動して回転する円盤状のディスク11と、ディスクの摺動面に対向配置された複数のパッド10A、10Bと、各パッドをディスクの摺動面に摺接させる押圧機構12と、を備えている。
【0036】
2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の片面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1、パッド10Bは制動半径r2の位置と対向するようにそれぞれ配置され、かつ、パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0037】
押圧機構12は、例えば、電磁式の押圧機構として構成され、それぞれパッド10A、10Bに対応する2つの押圧機構12が設けられている。押圧機構12は、固定鉄心14と稼動鉄心16とを有し、固定鉄心14の内部には、巻装された巻線17およびばね18が配置されている。稼動鉄心16は、巻線17内に挿入された第1突出部20aと、この第1突出部と反対方向に突出した第2突出部20bとを有し、ディスク11の中心軸Cと平行な方向に沿って移動可能に支持されている。稼動鉄心16は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を構成している。
【0038】
パッド10A、10Bは、例えば、矩形板状に形成され、それぞれ稼動鉄心16の第2突出部20bに固定されている。固定鉄心14は、支持フレーム22等の剛体に支持され、パッド10A、10Bは、それぞれディスク11の片面と対向している。
【0039】
ブレーキの非動作時において、巻線17に通電されると、稼動鉄心16はディスク11から離れる方向に付勢され、パッド10A、10Bは、ディスク表面から離間して保持される。ブレーキの作動時、巻線17への通電が切られると、稼動鉄心16がばね18によりディスク11側に付勢され、パッド10A、10Bがそれぞれディスク11の摺動面に押付けられる。これにより制動力が得られる。この際、図1に示すように、パッド10A、10Bは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。すなわち、ディスク11において、パッド10Aが摺接する摺接面と、パッド10Bが摺接する摺接面とは、互いに重なることなく、半径方向にずれている。なお、これらの摺接面の一部が重なってもよい。
【0040】
上記のように構成されたブレーキシステムによれば、パッド10A、10Bは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。これにより、前述した式3(m=A・t・γ)に示す熱吸収質量mが増大する。この結果、前述した式4(Δt=E/(λ・m))に示す温度上昇値Δtを低く抑えることができる。
【0041】
このように、温度上昇値を低く抑えることにより、ディスク11およびパッド10A、10Bの熱疲労を軽減し、その結果、長寿命化ができ、制動後の冷却時間も短縮することができる。また、パッド10A、10Bの摩擦面の温度が低いと磨耗量も少なくでき、温度差も小さいため、摩擦面が平滑に維持しやすくなることから制動能力の向上や特性向上ができる。更に、制動時の騒音の低下も実現できる。ディスク11の温度上昇が低いことから、システムの構成の簡素化やそれに伴う機器の小形軽量化や生産性向上のみならず品質の安定化が可能となる。
【0042】
ブレーキ仕様においては、パッド摩擦面の性能向上が可能になることから、特性の向上が図れる。従来と同一温度に設定した場合、摩擦係数を高く設定したり、押付力の増加が可能なため、ブレーキシステムの小形化や簡素化を実現しつつ、特性の向上や適用範囲拡大による標準化が可能となる。パッドの面積を変更することなく、摺動面積を拡大することができるため、ブレーキの小形化や製造の簡素化ができる。
【0043】
総括すると、ディスクやパッドの構成を維持しつつ、温度上昇を抑制することで、適用範囲を拡大し特性の向上や生産性向上および製造リードタイムの短縮・製造コストの縮小を行うことができるブレーキシステムが得られる。また、低温度化によるブレーキシステムの長寿命化や性能向上および小形軽量化を実現でき低騒音化による環境改善も実現することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、第2実施形態によれば、2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の片面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1、パッド11Bは制動半径r2の位置にそれぞれ対向して配置され、かつ、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の直径線上の同一箇所に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0046】
パッド10A、10Bをディスク11に押付ける押圧機構は、第1実施形態と同様であり、パッド10A用とパッド10B用とが共通の押圧機構によって駆動される。なお、パッド10A、10B毎に別々の押圧機構で押圧駆動するようにしてもよい。
【0047】
上記のように構成された第2実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを共通の押圧機構で駆動する構成とすることにより、ブレーキシステムの小形、軽量化が図れる。
【0048】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図であり、図5は、パッドを駆動する押圧機構を示す側面図である。第3実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、第3実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0050】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。パッド10A、10Cは、ディスク11に対し、制動半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。
【0051】
パッド10B、10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。パッド10B、10Dは、ディスク11に対し、制動半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。
制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0052】
図5に示すように、パッド10A、10B、10C,10Dをディスク11の摺動面に押付ける押圧機構12は、第1実施形態と同様であり、4つのパッド10毎に別々の押圧機構12が設けられ、4つのパッドを独立して押圧駆動する。各押圧機構12は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している。
【0053】
上記のように構成された第3実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。更に、上記構成によれば、ディスク厚さを無限に変更することができ、機器の仕様に対し、設計自由度を拡大できると共に、ブレーキの標準化を図ることができる。
【0054】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスク、パッド、および押圧機構を概略的に示す側面図である。第4実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、第4実施形態によれば、押圧機構12は、ディスク11の片面側に設けられたパッド10Aとディスクの反対面側に設けられたパッド10Cとを同時に押圧するパッド対向式の押圧機構として構成され、パッド10A、10Cによりディスク11を両面側から挟み込んで制動する。
【0056】
押圧機構12は、固定鉄心14、稼動鉄心16、およびホルダ24を有するブレーキ本体を備えている。固定鉄心14の内部には、巻装された巻線17およびばね18が配置されている。稼動鉄心16は、巻線17内に挿入された第1突出部20aと、この第1突出部と反対方向に突出した第2突出部20bとを有し、ディスク11の中心軸Cと平行な方向に沿って移動可能に支持されている。
【0057】
パッド10Aは、稼動鉄心16の第2突出部20bに固定され、ディスク11の片面と対向している。固定鉄心14は、図示しない支持フレーム等により、ディスク11の回転軸と平行な方向に沿って移動可能に支持されている。
【0058】
ホルダ24は、固定鉄心14からディスク11を越えてディスクの反対面側まで延びている。ホルダ24の延出端にロッド26が一体的に形成され、このロッド26は、ディスク11の反対面側に位置し、ディスクの中心軸と平行に延びている。そして、ロッド26の先端部にパッド10Cが固定され、ディスク11の反対面と対向している。ロッド26および稼動鉄心16は、それぞれ1つのパッドを独立して押圧する押圧部をそれぞれ構成している。
【0059】
ブレーキの動作時において、稼動鉄心16はばね18によってディスク11側に付勢され、パッド10Aがディスク11の片方の摺動面に押付けられる。これにより制動力が得られる。この際、ディスク11の位置は不変であるため、ばね18の付勢力が反作用し、固定鉄心14、ホルダ24、ロッド26、およびパッド10Cを、稼動鉄心16と反対方向へ移動させる。これにより、パッド10Cがディスク11の反対側の摺動面に押付けられる。その結果、パッド10A、10Cは、ディスク11を両側から挟み込むに押付力を発生させる。
【0060】
ブレーキの非動作時、巻線17に通電されると、稼動鉄心16がディスク11から離間する方向に付勢され、パッド10Aがディスク11から離間するとともに、これに連動して、固定鉄心14、ホルダ24、ロッド26およびパッド10Cが稼動鉄心16と反対方向に移動し、パッド10Cがディスク11から離間する。
【0061】
上記のように構成された第4実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを1つの押圧機構12で駆動することにより、ブレーキシステムの小形、軽量化が図れる。
【0062】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第5実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、第5実施形態によれば、2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の両面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。パッド10Aは、ディスク11に片面に対し、制動半径r1の位置で対向し、パッド10Bはディスク11に反対側の面に対し、制動半径r2の位置で対向して配置さている。パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の直径線上の同一箇所に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0064】
パッド10A、10Bをディスク11に押付ける押圧機構は、第3実施形態と同様であり、パッド10A、10B毎に別々の押圧機構で押圧駆動する。あるいは、第4実施形態で示したように、パッド対向式の押圧機構12を用いて、2つのパッドを同時に駆動する構成としてもよい。
【0065】
上記のように構成された第5実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを共通の押圧機構で駆動する構成とすることにより、ブレーキシステムの小形、軽量化、取付構成の簡素化や共通化を図ることができる。
【0066】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第6実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、第6実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0068】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Cは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。このようなパッドの組を2組以上配置している。
【0069】
すなわち、パッド10B、パッド10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Bは制動半径r2の位置に、パッド10Dは制御半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。
【0070】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは異なる制動半径位置に対向配置されている。
【0071】
上記のように構成された第6実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第6実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。
【0072】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第7実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
図9に示すように、第7実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0074】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Cは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。このようなパッドの組を2組以上配置している。
【0075】
すなわち、パッド10B、パッド10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Bは制動半径r1の位置に、パッド10Dは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0076】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されている。
【0077】
上記のように構成された第7実施形態よれば、前述した第3の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。1つのブレーキ本体で複数のパッドを押圧駆動可能となり、ブレーキ本体の取付構成の簡素化や共通化ができる。また、同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されているため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、ブレーキの小形・軽量化のみならず、円周方向の構造を均等に構成することができる。
【0078】
(第8実施形態)
図10は、第8実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第8実施形態において、第6実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、第8実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0080】
パッド10A、10Bは、ディスク11の片面に対向して配置され、パッド10C、10Dはディスク11の反対側の面と対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Bは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10Cは制動半径r2の位置に、パッド10Dは制御半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは異なる制動半径位置に対向配置されている。
制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0081】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、パッド10A、10Bに対して、ディスク11の回転中心軸の周りで、それぞれ数10°ずれて配設されている。
上記のように構成された第6実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第6実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。また、ディスク厚さを無限に変更することができ、機器の仕様に対し、設計自由度を拡大できると共に、ブレーキの標準化や能力向上を図ることができる。
【0082】
(第9実施形態)
図11は、第9実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第9実施形態において、第7実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
図11に示すように、第9実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0084】
パッド10A、10Bは、ディスク11の片面に対向して配置され、パッド10C、10Dはディスク11の反対側の面と対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10A、10Bは制動半径r1の位置に、パッド10C、10Dは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0085】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、パッド10A、10Bに対して、ディスク11の回転中心軸の周りで、それぞれ数10°ずれて配設されている。
上記のように構成された第9実施形態よれば、前述した第7の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。1つのブレーキ本体で複数のパッドを押圧駆動可能となり、ブレーキ本体の取付構成の簡素化や共通化ができる。また、同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されているため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、ブレーキの小形・軽量化のみならず、円周方向の構造を均等に構成することができる。
【0086】
ディスクの各摺動面におけるパッドの制動半径位置は一定であるため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、小形・軽量化のみならず、円周方向の構造が均等に構成することができる。
【0087】
(第10実施形態)
図12は、第10実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第10実施形態において、第2実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
図12に示すように、ディスク11において、パッド10A、10Bの摺動面と反対側の表面に、例えば、円錐状の凸部30a、30bが形成されている。これらの凸部30a、30bは、その頂部が、ディスク11に対して、制動半径r1、r2の位置となるように設けられ、また、凸部30a、30bは、それぞれディスク11を挟んでパッド10A、10Bと対向する位置に設けられている。
【0089】
このような凸部30a、30bを設けることにより、ディスク11において、制動時に温度上昇が高くなる箇所の熱吸収質量を大きくとることができ、パッド10A、10Bの相対温度上昇を均一にすることができる。このことにより、温度上昇値を一定に保つのみならず、磨耗量を一定にすることができる。その結果、前述した第1ないし第9実施形態で得られる効果を一層高めることができる。
【0090】
(第11実施形態)
図13は、第11実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第11実施形態において、第5実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0091】
図13に示すように、パッド10Aは、ディスク11に片面に対し、制動半径r1の位置で対向し、パッド10Bはディスク11に反対側の面に対し、制動半径r2の位置で対向して配置さている。パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0092】
ディスク11において、パッド10A、10Bの摺動面と反対側の表面に、例えば、円錐状の凸部30a、30bが形成されている。これらの凸部30a、30bは、その頂部が、ディスク11に対して、制動半径r1、r2の位置となるように設けられ、また、凸部30a、30bは、それぞれディスク11を挟んでパッド10A、10Bと対向する位置に設けられている。
【0093】
このような凸部30a、30bを設けることにより、ディスク11において、制動時に温度上昇が高くなる箇所の熱吸収質量を大きくとることができ、パッド10A、10Bの相対温度上昇を均一にすることができる。このことにより、温度上昇値を一定に保つのみならず、磨耗量を一定にすることができる。その結果、前述した第1ないし第9実施形態で得られる効果を一層高めることができる。
【0094】
(第12実施形態)
図14は、第12実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第12実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0095】
ディスク11の片面に対向配置された複数のパッドは、必ずしも、同一直径線上に配置されている必要はなく、異なる直径線上に配置されていてもよい。すなわち、図14に示すように、ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Bは制動半径r2の位置にそれぞれ対向配置されている。パッド10A、10Bは、ディスク11の異なる直径線上にそれぞれ配置されている。パッド10A、10Bの互いに分離する角度は任意に設定することができる。
【0096】
第12実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッド10A、10B間の距離Hを短縮することができ、ブレーキシステムの小形・軽量化が図れる。本実施形態の構成は、前述した第1〜11実施形態に適用でき、その効果として、小形、軽量化を図ることができる。
【0097】
(第13実施形態)
図15は、第13実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第13実施形態において、第2実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0098】
図15に示すように、第13実施形態によれば、3つのパッド10A、10B、10Cがディスク11の片面に対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10A、10B、10Cは、それぞれ制動半径r1、r2、r3の位置にそれぞれ対向配置され、その制動半径の関係は、r1>r2>r3となっている。
【0099】
このように、ディスク11の片方の摺動面に対して、2個以上のパッドを設けても良い。この場合においても、前述した第1〜12実施形態と同様の作用、効果が得られる。また、パッド数を増やすことにより、制動力を上げることができる。制動半径r2の位置に設けられたパッド10Bによる制動力の低下分を、制動半径r3の位置に設けられたパッド10Cの制動力によって補助することができる。
【0100】
(第14実施形態)
第14実施形態では、図示しないが、制動半径位置の異なるパッド10A、10Bについて、ブレーキの押付力(F)を変化させる構成としている。この場合、前述した式1に示す通り、各ブレーキにおけるブレーキトルクを一定としても、式3に示す熱吸収質量を変化、即ち拡大することができる。そのため、結果的にブレーキの温度上昇を抑制することができる。また、第14実施形態においても、第1ないし13実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
(第15実施形態)
第15実施形態では、図示しないが、パッドおよびブレーキ本体を複数使用する際、1面制動式とパッド対向式を組み合わせ用いる構成としている。このよう構成においても、第1ないし第14実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(第16実施形態)
第16実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかをエレベータに代表される昇降機に適用している。
一般に、大容量を必要とされる昇降機においては、非常に大きな制動能力が必要であり、1回の制動時における温度上昇値を低く抑えることにより、小形・軽量化に非常に効果がある。また、制動後の冷却も迅速に行えることにより、システムの停止時間の短縮ができる。
【0103】
(第17実施形態)
第17実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかを、新幹線に代表される車両用ブレーキに適用している。
【0104】
車両の車輪は、回転速度が高く、制動回数も多いことから、制動時における温度上昇を低く抑えると、断続的な繰り返し制動においても、温度上昇を低く抑えることができ、熱疲労の影響を抑制できる。また、制動後の冷却方法として、走行風などを利用しても、昇温・降温の温度差が小さくできることから、前述と同様に熱疲労の影響を抑制することができる。更に、反摺動面の構成も簡素化ができ、ディスクの品質安定化のみならず、生産性の向上を図ることができる。
【0105】
(第18実施形態)
第18実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかを、自動車や二輪車に適用している。このブレーキシステムによれば、パッド摩擦面が平滑にできることから、鳴き音に代表されるブレーキの騒音低減ができる。
以上の通り、本発明に係るブレーキシステムは、各種用途において、様々な課題を克服することができる。
【0106】
前述した実施形態において、亜押圧機構のブレーキ本体は、電磁式ブレーキとしたが、これに限らず、油圧式ブレーキあるいは気圧式ブレーキとしてもよい。
一般に、大容量を必要とされる油圧式ブレーキにおいては、非常に大きな制動能力が必要となる。前述したように、各実施形態に係るブレーキシステムによれば、1回の制動時における温度上昇値を低く抑えることにより、小形・軽量化に非常に効果があり、また、制動後の冷却も迅速に行えることにより、システムの停止時間の短縮ができる。
【0107】
また、小形、軽量化が必要とされる気圧式ブレーキにおいては、各実施形態に係るブレーキシステムを用いることにより、温度上昇値を抑え、小形、軽量化とすることにより、非常に大きな効果が得られる。
【0108】
制動動作は、複数のパッドで同時に行う構成としても、あるいは、制動半径位置毎にパッドの動作開始タイミングを異なるように構成してもよい。制動半径位置毎にパッドの動作タイミングを異えた場合、制動時間以外の詳細な設定が可能なため、断続的な温度上昇に対しても温度設定ができ、システムとしても品質向上を図ることができる。
【0109】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、パッドの数、パッドの形状は、前述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて変更可能である。各パッドによるディスクの摺接面が、完全に離間している場合に限らず、一部が重複していてもよい。
【0110】
以上、実施形態を参照して本発明を詳細に説明した。以下に、本願発明の理解を容易にするため、発明の具体的な形態を付記する。
(付記1)
機器の回転体に連動して回転するディスクと、
それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、
各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されているブレーキシステム。
【0111】
(付記2)
前記ディスクは、片面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、前記摺動面に対向して配置されているとともに、前記ディスクの同一直径線上で互いに異なる制動半径位置にそれぞれ配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0112】
(付記3)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで180°離間して配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0113】
(付記4)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで同一の角度位置に配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0114】
(付記5)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0115】
(付記6)
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置されたパッドと、他方の摺動面に対向して配置されたパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0116】
(付記7)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、前記ディスクの回転中心軸の周りで同一の角度位置に配設されている付記6に記載のブレーキシステム。
【0117】
(付記8)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記6に記載のブレーキシステム。
【0118】
(付記9)
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置された複数のパッドと、他方の摺動面に対向して配置された複数のパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0119】
(付記10)
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは互いに異なる制動半径位置で対向配置されている付記9に記載のブレーキシステム。
【0120】
(付記11)
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは同一の制動半径位置で対向配置され、前記一方の摺動面に対向したパッドと他方の摺動面に対向したパッドとは、互いに異なる制動半径位置でそれぞれ対向配置されている付記9に記載のブレーキシステム。
【0121】
(付記12)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置されている付記10又は12に記載のブレーキシステム。
【0122】
(付記13)
前記一方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置され、前記他方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記一方の摺動面に対向配置されたパッドに対して、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記10又は12に記載のブレーキシステム。
【0123】
(付記14)
前記押圧機構は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している付記1ないし13のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0124】
(付記15)
前記押圧機構は、前記複数のパッドに対して、異なるブレーキ押付力(F)を与える付記1ないし14のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0125】
(付記16)
前記押圧機構は、電磁式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0126】
(付記17)
前記押圧機構は、油圧式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0127】
(付記18)
前記押圧機構は、気圧式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0128】
(付記19)
前記押圧機構は、パッドの押圧タイミングが各摺動半径位置のパッド毎に異なる付記1ないし18のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【符号の説明】
【0129】
10A、10B、10C、10D…パッド、11…ディスク、12…押圧機構、
14…固定鉄心、16…稼動鉄心、17…巻線、18…ばね
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動車、鉄道車両、エレベータの巻上機等に用いるブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道車両、エレベータの巻上機等は、回転する車輪あるいは駆動網車の回転を制動するブレーキシステムを備えている。ブレーキシステムとして、例えば、電磁式ブレーキは、車輪あるいは駆動網車等の回転体と連動して回転するブレーキディスクと、ブレーキディスクの片面あるいは両面に摺接するパッドと、パッドをブレーキディスクに押付ける押圧機構と、を備えている。押圧機構は、固定鉄心と稼動鉄心とを有し、固定鉄心の内部に巻装された巻線およびばねが配置され、ばねで稼動鉄心を押すように構成されている。パッドは、固定鉄心およびばねと反対側で稼動鉄心に固定され、稼動鉄心の移動によりブレーキディスクの摺動面に押付けられる。
【0003】
パッドが複数用いられる場合、これらのパッドはディスクの片面に対して、同一制動半径(r)上に配置される。そして、押圧部のばね力により、パッドをディスクに押付けることで、制動力を発生させる。
【0004】
あるいは、2つのパッドをブレーキディスクの両面に対して、同一制動半径(r)上に配置し、ブレーキディスクを両面側から挟み込むことによって制動力を発生させる(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようなブレーキシステムにおいて、パッドとディスクは、摺動により摩擦を生じ、熱力学の法則から、摩擦は熱に変換される。制動能力、即ちブレーキトルクにより生じるディスクの温度上昇値を以下に説明する。
【0006】
ブレーキトルクは、以下の式1で示される。
ブレーキトルク:TB=2・μ・F・r・Np ・・・ 式1
ここで、μ:摩擦係数、F:押付力、r:制動半径、Np:パッド数である。
【0007】
ブレーキを制動することより、発生するエネルギーは、以下の式2で示される。
エネルギー:E=2・π・n・TB・tb ・・・ 式2
ここで、n:回転速度、tb:制動時間である。
【0008】
この時のディスクの熱吸収質量は、以下の式3で示される。
熱吸収質量:m=A・t・γ ・・・・・・・ 式3
ここで、A:摺動面積、t:ディスク厚さ、γ:比重量である。
この時のディスクの温度上昇値は、以下の式4で示される。
温度上昇値:Δt=E/(λ・m) ・・・・・・・ 式4
ここで、λ:比熱である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−335547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した従来のブレーキシステムにおいては、次のような課題がある。
前述の式1〜4に示す通り、ブレーキの制動力を増加させると、ディスクの温度上昇値が高くなる。これにより、相対するパッドの温度も高くなる。
【0011】
1)ディスクは、温度が上昇すると膨張し、冷却されると収縮する。ディスクが拘束された場合、膨張時には圧縮応力が、収縮時には引張応力が発生する。このように、機器の運転・停止と共にブレーキシステムの制動・開放が行われるとディスクに温度サイクルが生じ、ディスクには圧縮と引張の繰り返し応力が作用する。このことは、ディスクと摩擦されるパッドにおいても同様である。
【0012】
このことを熱疲労と称し、一般的に、前述の膨張・収縮による歪と熱を繰り返し加えると材料組織は微細化する。このため、特性の悪化、不安定化のみならず、劣化による熱亀裂が発生し、ブレーキおよびその適用機器の短寿命の要因となる。
【0013】
また、制動を短時間で繰り返すと温度が蓄積され、更なる温度上昇の要因となる。制動後、冷却時間を設定すると復帰までの時間を損失することも課題として上げられる。
【0014】
パッドは、温度差に応じた熱膨張により、摩擦面(摺動面)が変化する。この変化により、ディスクとの接触状態が変化し、接触力が高い場所は摩擦による温度上昇が高く、接触力が低い場所は摩擦による温度上昇は低くなる。摩擦力および温度が高温となるとパッドの磨耗は大きく、その逆は、磨耗が小さくなる。従って、パッドの摩擦面は、昇温時に凸状となり、降温時には凹状なり、結果的に摩擦面の凹凸が発生する。このため、パッドの面当りが全面当りとならず、所定の制動能力を発揮できず、特性悪化の要因となる。
【0015】
温度上昇値並びに、熱疲労を抑えるため、様々な対策があるが、以下の課題がある。
2)ディスク形状の変更
ディスクに冷却フィンなどを構成し、放熱性を向上させる対策がある。
この場合、冷却フィン分の質量増加により、適用機器の質量増加および大形化の要因となる。また、形状の複雑化による歩留り・生産性の悪化および製造コストやリードタイムの増加となる。
【0016】
更に、鋳鉄などでディスクを構成した場合、肉厚偏差による巣などの内部欠陥や硬度のバラツキが大きくなり、品質の低下や特性悪化の要因となる。
【0017】
3)ブレーキ仕様の変更
主に、式1に関連する各々の仕様を変更すると、相互的に以下の課題が上げられる。
a.トルク(制動能力)を小さくすると、当然ながら機器の要求仕様を満足できなくなる。また、機器の適用範囲の縮小となり、ブレーキシステムの種類の増加や標準化の弊害となり、生産性の悪化の要因にもなっていた。
【0018】
b.摩擦係数を低く設定すると制動能力が低下するため、その対策として制動半径を大きくするとディスク径の大径化が必要となる。この場合、ディスクの製造誤差の抑制や加工精度確保のために、高い製造技術を要し、歩留り・生産性の悪化および製造コストやリードタイムの増加となる。
【0019】
パッドの押付力を増加するためには、ばね力を高くする必要があり、それに伴うばねの大形化やそれに対応する吸引力増加に伴う巻線の大形化が必要となる。この結果、生産性の諸問題のみならず、ブレーキおよび機器全体の大形化の要因となる。また、ばね力を増加させると吸引・釈放に関する力が大きくなり、一般的には動作時間が長くなる。このことにより、安全面における問題となる。
【0020】
c.摩擦係数を高く設定し、押付力または制動半径を小さくした場合、一般的に摩擦係数が高いと磨耗量が大きくなり、ブレーキシステムの短寿命化や保守・点検回数の増加の要因となる。
また、一般的に、摩擦係数が高いと制動時の騒音(鳴き音)も増加することとなり、周囲環境の悪化の要因になる。
【0021】
d.パッド数、即ち、ブレーキ数を増加させると、その取付機構が増加し、機器の複化を招く。また、同時に制動を行うための制御の困難さも課題となる。
【0022】
4)適用仕様の変更
主に、式2に関連する各々の仕様を変更すると、以下の課題が発生する。
a.回転速度を低く設定すると、機器の適用範囲の縮小となり、ブレーキシステムの種類の増加や標準化の弊害となり、生産性の悪化の要因にもなっていた。
【0023】
b.制動時間を短く設定すると、制動エネルギーが小さくなる。この場合、すり合わせに要する回数・時間が多く必要となる。そのため、製造における出荷試験時間の増加による生産性の悪化や、保守におけるパッド交換時のすり合わせ時間の増加による保守性の悪化の要因となっていた。
【0024】
5)熱容量の変更
主に、式3に関連する各々の仕様を変更すると、以下の課題が発生する。
a.摺動面積を増加させるためには、パッドの大形化が必要である。それに伴い、ブレーキの大形化やパッドの平面拡大による精度悪化または製造難易度増加を招く要因となっていた。
【0025】
b.ディスク厚さを増加させると、ディスクの大形化、それに伴う適用機器の大形化の要因となっていた。パッドを対向配置した構成においては、ディスク厚さに伴い、固定鉄心のホルダが異なり、適用仕様別の部品設定やそれに伴う管理が必要となる。
また、ホルダ製作においては、型・治工具などの投資が必要で、設計負荷の増大や生産性の悪化および製造コストの増加の要因にもなる。
【0026】
6)用途別の課題
前述の課題は、ブレーキ全般の課題であり、特定用途においては、以下の課題がある。
【0027】
a.エレベータに代表される昇降機
一般的に、大容量を必要とされる昇降機においては、非常に大きな制動能力が必要であり、1回の制動時における温度上昇値が非常に高い。従って、熱容量を大きく設定するために、ブレーキシステムが大形となる傾向にある。また、制動後の冷却も自然空冷が多く、時には、システムを停止する必要があった。
【0028】
b.新幹線に代表される車両用ブレーキ
車輪の回転速度が高く、制動回数も多いことから、制動時における温度上昇および断続的な繰り返し制動により、温度上昇値が非常に高い。また、制動後の冷却方法として、走行風などを利用するため、冷却速度が非常に速い。以上のことから、昇温・降温の温度サイクルが高く、更に、その温度差が大きいことから熱疲労の影響が非常に大きい。
【0029】
c.自動車や二輪車
本用途の問題の1つに、制動時の騒音(鳴き音)がある。騒音の要因として、パッド摩擦面の凹凸が影響していることが、様々な研究から明らかにされている。温度上昇および温度差が大きいと、パッドの摩擦面の凹凸が発生しやすく、騒音低減対策として、パッドの全面当りをする必要がある。
【0030】
この発明は、上述の事情に鑑み成されたもので、その課題は、ディスクやブレーキの性能を維持しつつ、ディスクおよびパッドの温度上昇を抑制することで適用範囲を拡大し、特性の向上や生産性向上および製造リードタイムの短縮・製造コストの縮小が可能なブレーキシステムを提供することにある。また、低温度化によるブレーキシステムの長寿命化や性能向上および小形軽量化を実現でき、低騒音化による環境改善も実現することのできるブレーキシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
実施形態によれば、この発明の態様に係るブレーキシステムは、機器の回転体に連動して回転するディスクと、それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図2】図2は、前記ブレーキシステムの押圧機構を一部破断して示す側面図。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図4】図4は、図1は、本発明の第3実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図5】図5は、前記ブレーキシステムの押圧機構を一部破断して示す側面図。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態に係るブレーキシステムの押圧騎虎を一部破断して示す側面図。
【図7】図7は、本発明の第5実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図8】図8は、本発明の第6実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図9】図9は、本発明の第7実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図10】図10は、本発明の第8実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図11】図11は、本発明の第9実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図12】図12は、本発明の第10実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図13】図13は、本発明の第11実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図14】図14は、本発明の第12実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【図15】図15は、本発明の第13実施形態に係るブレーキシステムのディスクおよびパッドを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係るブレーキシステムについて詳細
に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るブレーキシステムについて説明する。図1は、ブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図であり、図2は、パッドを駆動する押圧機構を示す側面図である。
【0035】
図1および図2に示すように、ブレーキシステムは、適用機器の回転体、例えば、エレベータの巻上機に設けられた駆動網車の回転軸に取り付けられ、回転軸と連動して回転する円盤状のディスク11と、ディスクの摺動面に対向配置された複数のパッド10A、10Bと、各パッドをディスクの摺動面に摺接させる押圧機構12と、を備えている。
【0036】
2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の片面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1、パッド10Bは制動半径r2の位置と対向するようにそれぞれ配置され、かつ、パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0037】
押圧機構12は、例えば、電磁式の押圧機構として構成され、それぞれパッド10A、10Bに対応する2つの押圧機構12が設けられている。押圧機構12は、固定鉄心14と稼動鉄心16とを有し、固定鉄心14の内部には、巻装された巻線17およびばね18が配置されている。稼動鉄心16は、巻線17内に挿入された第1突出部20aと、この第1突出部と反対方向に突出した第2突出部20bとを有し、ディスク11の中心軸Cと平行な方向に沿って移動可能に支持されている。稼動鉄心16は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を構成している。
【0038】
パッド10A、10Bは、例えば、矩形板状に形成され、それぞれ稼動鉄心16の第2突出部20bに固定されている。固定鉄心14は、支持フレーム22等の剛体に支持され、パッド10A、10Bは、それぞれディスク11の片面と対向している。
【0039】
ブレーキの非動作時において、巻線17に通電されると、稼動鉄心16はディスク11から離れる方向に付勢され、パッド10A、10Bは、ディスク表面から離間して保持される。ブレーキの作動時、巻線17への通電が切られると、稼動鉄心16がばね18によりディスク11側に付勢され、パッド10A、10Bがそれぞれディスク11の摺動面に押付けられる。これにより制動力が得られる。この際、図1に示すように、パッド10A、10Bは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。すなわち、ディスク11において、パッド10Aが摺接する摺接面と、パッド10Bが摺接する摺接面とは、互いに重なることなく、半径方向にずれている。なお、これらの摺接面の一部が重なってもよい。
【0040】
上記のように構成されたブレーキシステムによれば、パッド10A、10Bは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。これにより、前述した式3(m=A・t・γ)に示す熱吸収質量mが増大する。この結果、前述した式4(Δt=E/(λ・m))に示す温度上昇値Δtを低く抑えることができる。
【0041】
このように、温度上昇値を低く抑えることにより、ディスク11およびパッド10A、10Bの熱疲労を軽減し、その結果、長寿命化ができ、制動後の冷却時間も短縮することができる。また、パッド10A、10Bの摩擦面の温度が低いと磨耗量も少なくでき、温度差も小さいため、摩擦面が平滑に維持しやすくなることから制動能力の向上や特性向上ができる。更に、制動時の騒音の低下も実現できる。ディスク11の温度上昇が低いことから、システムの構成の簡素化やそれに伴う機器の小形軽量化や生産性向上のみならず品質の安定化が可能となる。
【0042】
ブレーキ仕様においては、パッド摩擦面の性能向上が可能になることから、特性の向上が図れる。従来と同一温度に設定した場合、摩擦係数を高く設定したり、押付力の増加が可能なため、ブレーキシステムの小形化や簡素化を実現しつつ、特性の向上や適用範囲拡大による標準化が可能となる。パッドの面積を変更することなく、摺動面積を拡大することができるため、ブレーキの小形化や製造の簡素化ができる。
【0043】
総括すると、ディスクやパッドの構成を維持しつつ、温度上昇を抑制することで、適用範囲を拡大し特性の向上や生産性向上および製造リードタイムの短縮・製造コストの縮小を行うことができるブレーキシステムが得られる。また、低温度化によるブレーキシステムの長寿命化や性能向上および小形軽量化を実現でき低騒音化による環境改善も実現することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、第2実施形態によれば、2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の片面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1、パッド11Bは制動半径r2の位置にそれぞれ対向して配置され、かつ、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の直径線上の同一箇所に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0046】
パッド10A、10Bをディスク11に押付ける押圧機構は、第1実施形態と同様であり、パッド10A用とパッド10B用とが共通の押圧機構によって駆動される。なお、パッド10A、10B毎に別々の押圧機構で押圧駆動するようにしてもよい。
【0047】
上記のように構成された第2実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを共通の押圧機構で駆動する構成とすることにより、ブレーキシステムの小形、軽量化が図れる。
【0048】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図であり、図5は、パッドを駆動する押圧機構を示す側面図である。第3実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、第3実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0050】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。パッド10A、10Cは、ディスク11に対し、制動半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。
【0051】
パッド10B、10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。パッド10B、10Dは、ディスク11に対し、制動半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。
制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0052】
図5に示すように、パッド10A、10B、10C,10Dをディスク11の摺動面に押付ける押圧機構12は、第1実施形態と同様であり、4つのパッド10毎に別々の押圧機構12が設けられ、4つのパッドを独立して押圧駆動する。各押圧機構12は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している。
【0053】
上記のように構成された第3実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。更に、上記構成によれば、ディスク厚さを無限に変更することができ、機器の仕様に対し、設計自由度を拡大できると共に、ブレーキの標準化を図ることができる。
【0054】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスク、パッド、および押圧機構を概略的に示す側面図である。第4実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、第4実施形態によれば、押圧機構12は、ディスク11の片面側に設けられたパッド10Aとディスクの反対面側に設けられたパッド10Cとを同時に押圧するパッド対向式の押圧機構として構成され、パッド10A、10Cによりディスク11を両面側から挟み込んで制動する。
【0056】
押圧機構12は、固定鉄心14、稼動鉄心16、およびホルダ24を有するブレーキ本体を備えている。固定鉄心14の内部には、巻装された巻線17およびばね18が配置されている。稼動鉄心16は、巻線17内に挿入された第1突出部20aと、この第1突出部と反対方向に突出した第2突出部20bとを有し、ディスク11の中心軸Cと平行な方向に沿って移動可能に支持されている。
【0057】
パッド10Aは、稼動鉄心16の第2突出部20bに固定され、ディスク11の片面と対向している。固定鉄心14は、図示しない支持フレーム等により、ディスク11の回転軸と平行な方向に沿って移動可能に支持されている。
【0058】
ホルダ24は、固定鉄心14からディスク11を越えてディスクの反対面側まで延びている。ホルダ24の延出端にロッド26が一体的に形成され、このロッド26は、ディスク11の反対面側に位置し、ディスクの中心軸と平行に延びている。そして、ロッド26の先端部にパッド10Cが固定され、ディスク11の反対面と対向している。ロッド26および稼動鉄心16は、それぞれ1つのパッドを独立して押圧する押圧部をそれぞれ構成している。
【0059】
ブレーキの動作時において、稼動鉄心16はばね18によってディスク11側に付勢され、パッド10Aがディスク11の片方の摺動面に押付けられる。これにより制動力が得られる。この際、ディスク11の位置は不変であるため、ばね18の付勢力が反作用し、固定鉄心14、ホルダ24、ロッド26、およびパッド10Cを、稼動鉄心16と反対方向へ移動させる。これにより、パッド10Cがディスク11の反対側の摺動面に押付けられる。その結果、パッド10A、10Cは、ディスク11を両側から挟み込むに押付力を発生させる。
【0060】
ブレーキの非動作時、巻線17に通電されると、稼動鉄心16がディスク11から離間する方向に付勢され、パッド10Aがディスク11から離間するとともに、これに連動して、固定鉄心14、ホルダ24、ロッド26およびパッド10Cが稼動鉄心16と反対方向に移動し、パッド10Cがディスク11から離間する。
【0061】
上記のように構成された第4実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを1つの押圧機構12で駆動することにより、ブレーキシステムの小形、軽量化が図れる。
【0062】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第5実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、第5実施形態によれば、2つのパッド10A、10Bは、ディスク11の両面と対向して、かつ、ディスク11に対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている。パッド10Aは、ディスク11に片面に対し、制動半径r1の位置で対向し、パッド10Bはディスク11に反対側の面に対し、制動半径r2の位置で対向して配置さている。パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の直径線上の同一箇所に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0064】
パッド10A、10Bをディスク11に押付ける押圧機構は、第3実施形態と同様であり、パッド10A、10B毎に別々の押圧機構で押圧駆動する。あるいは、第4実施形態で示したように、パッド対向式の押圧機構12を用いて、2つのパッドを同時に駆動する構成としてもよい。
【0065】
上記のように構成された第5実施形態に係るブレーキシステムにおいても、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、2つのパッドを共通の押圧機構で駆動する構成とすることにより、ブレーキシステムの小形、軽量化、取付構成の簡素化や共通化を図ることができる。
【0066】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第6実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、第6実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0068】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Cは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。このようなパッドの組を2組以上配置している。
【0069】
すなわち、パッド10B、パッド10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Bは制動半径r2の位置に、パッド10Dは制御半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。
【0070】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは異なる制動半径位置に対向配置されている。
【0071】
上記のように構成された第6実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第6実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。
【0072】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第7実施形態において、第3実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
図9に示すように、第7実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0074】
パッド10A、10Cは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Cは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。このようなパッドの組を2組以上配置している。
【0075】
すなわち、パッド10B、パッド10Dは、ディスク11を挟んで対向し、それぞれディスクの両面に対向している。ディスク11に対し、パッド10Bは制動半径r1の位置に、パッド10Dは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0076】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10C、10Dは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されている。
【0077】
上記のように構成された第7実施形態よれば、前述した第3の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。1つのブレーキ本体で複数のパッドを押圧駆動可能となり、ブレーキ本体の取付構成の簡素化や共通化ができる。また、同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されているため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、ブレーキの小形・軽量化のみならず、円周方向の構造を均等に構成することができる。
【0078】
(第8実施形態)
図10は、第8実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第8実施形態において、第6実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、第8実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0080】
パッド10A、10Bは、ディスク11の片面に対向して配置され、パッド10C、10Dはディスク11の反対側の面と対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Bは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10Cは制動半径r2の位置に、パッド10Dは制御半径r1の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは異なる制動半径位置に対向配置されている。
制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0081】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、パッド10A、10Bに対して、ディスク11の回転中心軸の周りで、それぞれ数10°ずれて配設されている。
上記のように構成された第6実施形態よれば、パッド10A、10Bおよびパッド10C、10Dは、異なる制動半径r1、r2の位置でディスク11の摺動面と摺接する。そのため、パッド10A、10Bが摺動するディスク11の摺動面積を拡大することができる。従って、第6実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。また、ディスク厚さを無限に変更することができ、機器の仕様に対し、設計自由度を拡大できると共に、ブレーキの標準化や能力向上を図ることができる。
【0082】
(第9実施形態)
図11は、第9実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第9実施形態において、第7実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
図11に示すように、第9実施形態によれば、ブレーキシステムは4つのパッド10A、10B、10C、10Dを有し、ディスク11の両面を摺動面とし、パッドによりディスクを両面側から挟み込んで制動する両面摺接型のブレーキシステムとして構成されている。
【0084】
パッド10A、10Bは、ディスク11の片面に対向して配置され、パッド10C、10Dはディスク11の反対側の面と対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10A、10Bは制動半径r1の位置に、パッド10C、10Dは制御半径r2の位置にそれぞれ対向して配置されている。ディスク11の同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0085】
パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸の周りで、180°互いに離間して配設されている。更に、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置されている。パッド10C、10Dは、パッド10A、10Bに対して、ディスク11の回転中心軸の周りで、それぞれ数10°ずれて配設されている。
上記のように構成された第9実施形態よれば、前述した第7の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッドをディスクの両面側に設け、ディスクを両側から挟んで制動することにより、制動力の増加が図れる。1つのブレーキ本体で複数のパッドを押圧駆動可能となり、ブレーキ本体の取付構成の簡素化や共通化ができる。また、同一摺動面において、複数のパッドは同一制動半径位置に対向配置されているため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、ブレーキの小形・軽量化のみならず、円周方向の構造を均等に構成することができる。
【0086】
ディスクの各摺動面におけるパッドの制動半径位置は一定であるため、ディスク内の摺動面の縮小ができる。その結果、小形・軽量化のみならず、円周方向の構造が均等に構成することができる。
【0087】
(第10実施形態)
図12は、第10実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第10実施形態において、第2実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
図12に示すように、ディスク11において、パッド10A、10Bの摺動面と反対側の表面に、例えば、円錐状の凸部30a、30bが形成されている。これらの凸部30a、30bは、その頂部が、ディスク11に対して、制動半径r1、r2の位置となるように設けられ、また、凸部30a、30bは、それぞれディスク11を挟んでパッド10A、10Bと対向する位置に設けられている。
【0089】
このような凸部30a、30bを設けることにより、ディスク11において、制動時に温度上昇が高くなる箇所の熱吸収質量を大きくとることができ、パッド10A、10Bの相対温度上昇を均一にすることができる。このことにより、温度上昇値を一定に保つのみならず、磨耗量を一定にすることができる。その結果、前述した第1ないし第9実施形態で得られる効果を一層高めることができる。
【0090】
(第11実施形態)
図13は、第11実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図および側面図である。第11実施形態において、第5実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0091】
図13に示すように、パッド10Aは、ディスク11に片面に対し、制動半径r1の位置で対向し、パッド10Bはディスク11に反対側の面に対し、制動半径r2の位置で対向して配置さている。パッド10A、10Bは、ディスク11の回転中心軸Cの周りで、互いに等しい角度位置に配設されている。すなわち、パッド10A、10Bは、ディスク11の同一直径線上に配置され、ディスク11の回転中心軸に対して同一側に配置されている。制動半径r1、r2の関係は、r1>r2となっている。
【0092】
ディスク11において、パッド10A、10Bの摺動面と反対側の表面に、例えば、円錐状の凸部30a、30bが形成されている。これらの凸部30a、30bは、その頂部が、ディスク11に対して、制動半径r1、r2の位置となるように設けられ、また、凸部30a、30bは、それぞれディスク11を挟んでパッド10A、10Bと対向する位置に設けられている。
【0093】
このような凸部30a、30bを設けることにより、ディスク11において、制動時に温度上昇が高くなる箇所の熱吸収質量を大きくとることができ、パッド10A、10Bの相対温度上昇を均一にすることができる。このことにより、温度上昇値を一定に保つのみならず、磨耗量を一定にすることができる。その結果、前述した第1ないし第9実施形態で得られる効果を一層高めることができる。
【0094】
(第12実施形態)
図14は、第12実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第12実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0095】
ディスク11の片面に対向配置された複数のパッドは、必ずしも、同一直径線上に配置されている必要はなく、異なる直径線上に配置されていてもよい。すなわち、図14に示すように、ディスク11に対し、パッド10Aは制動半径r1の位置に、パッド10Bは制動半径r2の位置にそれぞれ対向配置されている。パッド10A、10Bは、ディスク11の異なる直径線上にそれぞれ配置されている。パッド10A、10Bの互いに分離する角度は任意に設定することができる。
【0096】
第12実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。また、パッド10A、10B間の距離Hを短縮することができ、ブレーキシステムの小形・軽量化が図れる。本実施形態の構成は、前述した第1〜11実施形態に適用でき、その効果として、小形、軽量化を図ることができる。
【0097】
(第13実施形態)
図15は、第13実施形態に係るブレーキシステムにおけるディスクおよびパッドを概略的に示す正面図である。第13実施形態において、第2実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0098】
図15に示すように、第13実施形態によれば、3つのパッド10A、10B、10Cがディスク11の片面に対向して配置されている。ディスク11に対し、パッド10A、10B、10Cは、それぞれ制動半径r1、r2、r3の位置にそれぞれ対向配置され、その制動半径の関係は、r1>r2>r3となっている。
【0099】
このように、ディスク11の片方の摺動面に対して、2個以上のパッドを設けても良い。この場合においても、前述した第1〜12実施形態と同様の作用、効果が得られる。また、パッド数を増やすことにより、制動力を上げることができる。制動半径r2の位置に設けられたパッド10Bによる制動力の低下分を、制動半径r3の位置に設けられたパッド10Cの制動力によって補助することができる。
【0100】
(第14実施形態)
第14実施形態では、図示しないが、制動半径位置の異なるパッド10A、10Bについて、ブレーキの押付力(F)を変化させる構成としている。この場合、前述した式1に示す通り、各ブレーキにおけるブレーキトルクを一定としても、式3に示す熱吸収質量を変化、即ち拡大することができる。そのため、結果的にブレーキの温度上昇を抑制することができる。また、第14実施形態においても、第1ないし13実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
(第15実施形態)
第15実施形態では、図示しないが、パッドおよびブレーキ本体を複数使用する際、1面制動式とパッド対向式を組み合わせ用いる構成としている。このよう構成においても、第1ないし第14実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(第16実施形態)
第16実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかをエレベータに代表される昇降機に適用している。
一般に、大容量を必要とされる昇降機においては、非常に大きな制動能力が必要であり、1回の制動時における温度上昇値を低く抑えることにより、小形・軽量化に非常に効果がある。また、制動後の冷却も迅速に行えることにより、システムの停止時間の短縮ができる。
【0103】
(第17実施形態)
第17実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかを、新幹線に代表される車両用ブレーキに適用している。
【0104】
車両の車輪は、回転速度が高く、制動回数も多いことから、制動時における温度上昇を低く抑えると、断続的な繰り返し制動においても、温度上昇を低く抑えることができ、熱疲労の影響を抑制できる。また、制動後の冷却方法として、走行風などを利用しても、昇温・降温の温度差が小さくできることから、前述と同様に熱疲労の影響を抑制することができる。更に、反摺動面の構成も簡素化ができ、ディスクの品質安定化のみならず、生産性の向上を図ることができる。
【0105】
(第18実施形態)
第18実施形態では、図示しないが、前述の第1ないし第15実施形態に係るブレーキシステムのいずれかを、自動車や二輪車に適用している。このブレーキシステムによれば、パッド摩擦面が平滑にできることから、鳴き音に代表されるブレーキの騒音低減ができる。
以上の通り、本発明に係るブレーキシステムは、各種用途において、様々な課題を克服することができる。
【0106】
前述した実施形態において、亜押圧機構のブレーキ本体は、電磁式ブレーキとしたが、これに限らず、油圧式ブレーキあるいは気圧式ブレーキとしてもよい。
一般に、大容量を必要とされる油圧式ブレーキにおいては、非常に大きな制動能力が必要となる。前述したように、各実施形態に係るブレーキシステムによれば、1回の制動時における温度上昇値を低く抑えることにより、小形・軽量化に非常に効果があり、また、制動後の冷却も迅速に行えることにより、システムの停止時間の短縮ができる。
【0107】
また、小形、軽量化が必要とされる気圧式ブレーキにおいては、各実施形態に係るブレーキシステムを用いることにより、温度上昇値を抑え、小形、軽量化とすることにより、非常に大きな効果が得られる。
【0108】
制動動作は、複数のパッドで同時に行う構成としても、あるいは、制動半径位置毎にパッドの動作開始タイミングを異なるように構成してもよい。制動半径位置毎にパッドの動作タイミングを異えた場合、制動時間以外の詳細な設定が可能なため、断続的な温度上昇に対しても温度設定ができ、システムとしても品質向上を図ることができる。
【0109】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、パッドの数、パッドの形状は、前述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて変更可能である。各パッドによるディスクの摺接面が、完全に離間している場合に限らず、一部が重複していてもよい。
【0110】
以上、実施形態を参照して本発明を詳細に説明した。以下に、本願発明の理解を容易にするため、発明の具体的な形態を付記する。
(付記1)
機器の回転体に連動して回転するディスクと、
それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、
各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されているブレーキシステム。
【0111】
(付記2)
前記ディスクは、片面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、前記摺動面に対向して配置されているとともに、前記ディスクの同一直径線上で互いに異なる制動半径位置にそれぞれ配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0112】
(付記3)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで180°離間して配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0113】
(付記4)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで同一の角度位置に配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0114】
(付記5)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記2に記載のブレーキシステム。
【0115】
(付記6)
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置されたパッドと、他方の摺動面に対向して配置されたパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0116】
(付記7)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、前記ディスクの回転中心軸の周りで同一の角度位置に配設されている付記6に記載のブレーキシステム。
【0117】
(付記8)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記6に記載のブレーキシステム。
【0118】
(付記9)
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置された複数のパッドと、他方の摺動面に対向して配置された複数のパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている付記1に記載のブレーキシステム。
【0119】
(付記10)
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは互いに異なる制動半径位置で対向配置されている付記9に記載のブレーキシステム。
【0120】
(付記11)
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは同一の制動半径位置で対向配置され、前記一方の摺動面に対向したパッドと他方の摺動面に対向したパッドとは、互いに異なる制動半径位置でそれぞれ対向配置されている付記9に記載のブレーキシステム。
【0121】
(付記12)
前記複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置されている付記10又は12に記載のブレーキシステム。
【0122】
(付記13)
前記一方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置され、前記他方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記一方の摺動面に対向配置されたパッドに対して、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている付記10又は12に記載のブレーキシステム。
【0123】
(付記14)
前記押圧機構は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している付記1ないし13のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0124】
(付記15)
前記押圧機構は、前記複数のパッドに対して、異なるブレーキ押付力(F)を与える付記1ないし14のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0125】
(付記16)
前記押圧機構は、電磁式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0126】
(付記17)
前記押圧機構は、油圧式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0127】
(付記18)
前記押圧機構は、気圧式の押圧機構である付記1ないし15のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【0128】
(付記19)
前記押圧機構は、パッドの押圧タイミングが各摺動半径位置のパッド毎に異なる付記1ないし18のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【符号の説明】
【0129】
10A、10B、10C、10D…パッド、11…ディスク、12…押圧機構、
14…固定鉄心、16…稼動鉄心、17…巻線、18…ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の回転体に連動して回転するディスクと、
それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、
各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されているブレーキシステム。
【請求項2】
前記ディスクは、少なくとも片面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、前記摺動面に対向して配置されているとともに、前記ディスクの異なる制動半径位置にそれぞれ配設されている請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置されたパッドと、他方の摺動面に対向して配置されたパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは互いに異なる制動半径位置で対向配置されている請求項3に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは同一の制動半径位置で対向配置され、前記一方の摺動面に対向したパッドと他方の摺動面に対向したパッドとは、互いに異なる制動半径位置でそれぞれ対向配置されている請求項3に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記一方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置され、前記他方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記一方の摺動面に対向配置されたパッドに対して、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている請求項4又は5に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記押圧機構は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記押圧機構は、前記複数のパッドに対して、異なるブレーキ押付力(F)を与える請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記押圧機構は、電磁式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記押圧機構は、油圧式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記押圧機構は、気圧式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記押圧機構は、パッドの押圧タイミングが各摺動半径位置のパッド毎に異なる請求項1ないし11のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項1】
機器の回転体に連動して回転するディスクと、
それぞれディスクに対向配置された複数のパッドと、
各パッドを前記ディスクの表面に押付ける押圧機構と、を備え、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設され、前記ディスクの異なる直径線上で、前記ディスクの回転中心軸の周りで互いに異なる角度位置に配設されているブレーキシステム。
【請求項2】
前記ディスクは、少なくとも片面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、前記摺動面に対向して配置されているとともに、前記ディスクの異なる制動半径位置にそれぞれ配設されている請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記ディスクは、両面に摺動面を有し、
前記複数のパッドは、一方の摺動面に対向して配置されたパッドと、他方の摺動面に対向して配置されたパッドと、を含み、
前記複数のパッドは、前記ディスクに対して互いに異なる制動半径位置に対向して配設されている請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは互いに異なる制動半径位置で対向配置されている請求項3に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記ディスクの各摺動面に対し、前記複数のパッドは同一の制動半径位置で対向配置され、前記一方の摺動面に対向したパッドと他方の摺動面に対向したパッドとは、互いに異なる制動半径位置でそれぞれ対向配置されている請求項3に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記一方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記ディスクに対し、ディスクの同一直径線上に対向して配置され、前記他方の摺動面に対向配置された複数のパッドは、前記一方の摺動面に対向配置されたパッドに対して、前記ディスクの回転中心軸の周りで異なる角度位置に配設されている請求項4又は5に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記押圧機構は、1つのパッドを独立して押圧する押圧部を有している請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記押圧機構は、前記複数のパッドに対して、異なるブレーキ押付力(F)を与える請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記押圧機構は、電磁式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記押圧機構は、油圧式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記押圧機構は、気圧式の押圧機構である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記押圧機構は、パッドの押圧タイミングが各摺動半径位置のパッド毎に異なる請求項1ないし11のいずれか1項に記載のブレーキシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−225513(P2012−225513A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174383(P2012−174383)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2008−270015(P2008−270015)の分割
【原出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2008−270015(P2008−270015)の分割
【原出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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