プラズマエッチング処理装置の制御方法およびトリミング量制御システム
【課題】 トリミング実施中の疎パターンと密パターンのそれぞれのトリミング量をモニターする方法を確立し、それぞれのパターンのトリミング量が規格値に収まるトリミング終点を検出する方法を実現するトリミング量制御技術を提供する。
【解決手段】 真空処理室内に収容したウエハにレジストトリミング処理を施すプラズマエッチング処理装置13において、プラズマ処理中の装置状態をモニタリングするOES19を有し、OES19からのモニタリング出力に基づく特徴量16およびトリミング時間15とから予め設定した疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17を用いて疎密パターン別トリミング量予測値18を予測し、トリミング量予測値18と目標トリミング量110との距離が等しくなる時点をトリミングプロセスの終了点として、プラズマエッチング処理装置13を制御する。
【解決手段】 真空処理室内に収容したウエハにレジストトリミング処理を施すプラズマエッチング処理装置13において、プラズマ処理中の装置状態をモニタリングするOES19を有し、OES19からのモニタリング出力に基づく特徴量16およびトリミング時間15とから予め設定した疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17を用いて疎密パターン別トリミング量予測値18を予測し、トリミング量予測値18と目標トリミング量110との距離が等しくなる時点をトリミングプロセスの終了点として、プラズマエッチング処理装置13を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチング処理技術に関し、特に、装置状態によって変動するトリミング量をモニターし、所望のトリミング量にてトリミング処理を終了できるトリミング量制御に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討したところによれば、半導体装置の半導体集積回路チップは、半導体デバイス化ウエハ上に導電層や絶縁層あるいはその他の薄膜層を予め定められた順序で成膜工程により順次に積層し、必要に応じて各層毎に露光工程とエッチング工程により回路パターンを転写することでパターン層を形成し、所定の層を全て重ねた後にウエハ上の個々のチップを切断分離して製造する。半導体装置の速度性能は、材料が同じ場合には主に回路パターンの幅寸法によって決まるため、年々微細化が推し進められており、それに応じて精密な露光工程とエッチング工程が要求されるに至っている。
【0003】
露光工程の微細化能力は、主に露光光源の波長に依存するため、I線からKrFレーザ、ArFレーザと、より短い波長の光源とその波長に感度のあるレジスト材料の開発が進められてきた。しかし近年、光源の短波長化が微細化の進展に追いつかず、パターン転写能力が限界にきている。また、露光寸法と必要とされるレジスト寸法との間には差が生じており、露光後の寸法を細線化するレジストトリミング方法が検討され始めた。現在は、デバイスメーカ各社でレジストトリミングプロセスの研究が盛んであり、プロセスが確立されつつある。
【0004】
例えば、ITRS(The International Technology Roadmap for Semiconductors)2003に示された、今後のトリミング量推移とトリミング工程に許容される同一パターンのばらつきおよび完成寸法のパターン疎密差許容値との関係において、トリミング工程では、ウエハ内・ウエハ間・ロット間で同一パターンについて、ばらつき±1nm以下の高精度な加工が要求される一方で、パターン疎密に起因する寸法差に対しては5nmが許容されている。すなわち、疎パターン・密パターンが疎密間差を保ちながら、それぞれ±1nm以下の精度でトリミング加工されることが要求されている。現状、要求を満たす当座のプロセス開発が進められているが、今後の微細化の進展に伴い必要となる、トリミング量高精度制御技術は確立されていなかった。
【0005】
プラズマエッチング処理装置は、例えば、真空処理室内にエッチングガスを導入し、減圧下でプラズマ放電を発生させ、このプラズマ中に発生するラジカルあるいはイオンを、試料であるウエハの表面に反応させてエッチングする装置が知られている。このような処理を行うドライエッチング装置は、レシピと呼ばれる製造条件(ガス流量、ガス圧力、投入電力、エッチング時間等)のもとにエッチング処理を行う。レジストトリミングも、レジスト細線化の原理はエッチング処理と同様であり、前記レシピはトリミングプロセスで常に一定に保持されている。
【0006】
しかし、一定のレシピでウエハを処理した場合にも、材料とエッチングガスとの反応生成物が処理室内壁に堆積し、この堆積物からアウトガスと呼ばれる不要なガスが発生して処理室内の環境が経時変化する。さらに、処理室関連部品の温度変化、部品の消耗によっても処理室内環境は変化する。このように、ドライエッチング装置には様々な外乱要因が存在し、ばらつき±1nm以下が要求されるトリミングプロセスにおいては、外乱によるトリミング結果の変動を無視できない。
【0007】
予め決定されたレシピに従ってエッチングを実施するのでなく、装置の状態に応じて適切なエッチング時間を判断してエッチングを終了する方法として、発光スペクトルを利用した終点検出方法が一般的である。エッチング生成物に特有な波長の発光強度をモニタし、被エッチング材料がなくなってエッチング生成物からの発光が大きく減少する時点を、発光強度の一次微分や二次微分を用いて精度よく検出し、エッチング終了点を決定する。
【0008】
特許文献1に、発光スペクトルの多変量統計解析分析を利用したプラズマ処理モニタ技術が開示されている。この技術では、HotellingT2と呼ばれる変化点を高精度に抽出する統計解析手法を用いて発光スペクトルより被エッチング膜がなくなるエッチング終了点を検出する。
【0009】
また、終点検出方法とは異なるが、多くのエッチング環境の情報を含み、計測方法が比較的簡便な発光スペクトルを用いたエッチング結果の評価手法として、非特許文献1の中で、エッチング終了後のAl線幅の減少量を、エッチング実施時の発光スペクトルの主成分解析スコアを用いて精度よく予測する方法が開示されている。
【特許文献1】特表2001−521280号公報
【非特許文献1】アイイーイーイー トランザクションズ オン セミコンダクター マニファクチャリング(IEEE TRANSACTIONS ON SEMICONDUCTOR MANUFACTURING),VOL.10,NO.1,FEBRUARY 1997,pp52−61
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記レジストトリミングにおいて、装置状態によらず、常に所望のトリミング量にてトリミングプロセスを終了するためには、トリミング量を正確に逐次判断するモニタリング技術が必要である。前記特許文献1に開示されるエッチング終点検出方法は、被エッチング膜がなくなる点を発光スペクトルの変化より検出する方法であり、トリミングプロセスのように、トリミングの進行途中にトリミング量を判定して、終了点を決定することはできない。
【0011】
また、前記非特許文献1では、エッチング終了時のエッチング結果を予測するにすぎず、トリミング量を逐次判断することは不可能であった。
【0012】
そこで、本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、トリミング実施中のトリミング量をモニターする方法を確立し、トリミング終点を検出する方法を実現するトリミング量制御技術を提供することを目的とするものである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、トリミング実施中の疎パターンと密パターンのそれぞれのトリミング量をモニターする方法を確立し、それぞれのパターンのトリミング量が規格値に収まるトリミング終点を検出する方法を実現するトリミング量制御技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、装置状態をモニタリングする測定手段と、測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルとを備えたプラズマエッチング処理装置の制御方法およびトリミング量制御システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0015】
すなわち、本発明においては、特徴量とトリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出し、トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了するものである。さらに、トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、トリミング量を予測するモデルを更新するようにしたものである。また、逐次算出されるトリミング予測量を表示するようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、装置状態をモニタリングする測定手段と、測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、特徴量とマスクトリミング時間に基づき、試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルとを備えたプラズマエッチング処理装置の制御方法およびトリミング量制御システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0017】
すなわち、本発明においては、特徴量とマスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出し、複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了するものである。特に、複数種類のマスクトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量に適用するようにしたものである。さらに、マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新するようにしたものである。また、逐次算出される複数種類のマスクトリミング予測量を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装置状態を表す特徴量である発光スペクトルの主成分スコアおよびトリミング時間を用いて、予め作成したトリミング量予測モデルに基づき疎・密パターン毎にトリミング量を予測することができ、かつ、目標トリミング量の規格上下限内に疎・密パターンのトリミング量予測値が来た時点でトリミングプロセスを終了させることができる。これにより、素子特性を決定付けるゲート寸法の高精度加工が可能となり、素子特性のばらつきを低減することが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、従来は予め定めたトリミング時間によってプロセスを終了してからトリミング結果を計測、あるいは予測していたために、所望のトリミング量が実現できなかった場合はスクラップウエハとせざるを得ない場合があったが、その様な失敗を低減することができる。
【0020】
さらに、本発明によれば、スクラップにならない場合であっても、最終的にウエハ1枚の価格が高額となるために、トリミング工程における歩留まりが低い場合、不良チップによる損失が大きいが、トリミング量制御によってトリミング工程の歩留まりが向上し、トリミング工程以外の工程歩留まりを考慮しても、損失を低減することができる。
【0021】
また、本発明によれば、常に一定のエッチング結果を得るために、頻繁に実施していた装置初期化(クリーニング)等の保守作業を大幅に軽減でき、装置稼働率を向上して生産性向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1においては、レジストトリミング工程で各パターンに許容される寸法ばらつき1nm以下を実現するために、装置状態の特徴量と処理時間から疎パターンと密パターンのトリミング量を別々に予測し、トリミング目標値からの各予測値の距離が等しくなる点をトリミング終了点とした。このトリミング終了点を判断する例として、2種類の場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施の形態に係るトリミング量制御システムの概要を示す図である。図1において、本実施の形態に係るトリミング量制御システムを含むシステム全体は、ホトリソグラフィ処理装置(Photo)11、計測器(CD−M)12、プラズマエッチング処理装置(Etch)13等から構成される。
【0025】
プラズマエッチング処理装置13には、発光分光器(以下、Optical Emission Spectroscopyの略であるOESと称す)19、パーソナルコンピュータ(PC)111等が搭載されており、PC111の画面にトリミング量制御の各種情報が表示され、またトリミング量制御におけるトリミング終了点判定部112等の各種処理がソフトウェアによる制御プログラムに基づいて実行される。ここでは、プラズマエッチング処理装置13や、これに搭載されるOES19、PC111等を含めてトリミング量制御システムと呼ぶ。
【0026】
ホトリソグラフィ処理装置11は、例えば、半導体基板上に堆積されたゲート電極材料上に、レジストを露光する際の反射光を防止する反射防止膜およびレジスト膜を塗布し、このレジストを、例えば目的とする電界効果型トランジスタのゲート部分を加工する際のマスク材となるパターン形状に加工する。以下、ゲート電極幅をCD(Critical Dimension)値と称する。
【0027】
計測器12は、前記加工後のレジストのCD値を計測するCD−SEM等の計測器である。この計測器12で計測されたレジストCD寸法の計測値と必要レジスト寸法値14から目標トリミング量110を算出する。
【0028】
プラズマエッチング処理装置13は、例えば、試料であるウエハを真空処理室に収容後、真空処理室内のガスを真空排気し、トリミングに適したガスを導入して真空処理室内にプラズマを立てることで、トリミングプロセスを開始する。プラズマが立ってからの時間がトリミング時間15である。トリミング中のプラズマの発光を、OES19を用いて収集する。トリミング時間15と発光スペクトルの特徴量16である主成分スコアから、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17に従い、疎密パターン毎にトリミング量予測値18を算出する。疎密パターンそれぞれのトリミング量予測値A・Bと目標トリミング量110との距離a・bが等しくなるまで、例えば0.5sのサンプリング間隔でトリミング量予測を繰り返す。二つの距離a・bの大小関係が逆転した時点でトリミングプロセスを終了する。
【0029】
このトリミング量制御システムにおいて、トリミング量制御方法を実現するためには、トリミング量制御を実施する前に予め高精度な疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17を作成しておく必要がある。
【0030】
<トリミング量制御方法>
図2は、本実施の形態に係るトリミング量制御システムにおいて、トリミング量制御方法を実現する2つのステップを示す図である。トリミング量制御方法は、オフラインモデル導出ステップS41と、オンライントリミング量制御ステップS42からなる。
【0031】
まず、オフラインモデル導出ステップS41として、トリミング時の発光スペクトルに対して主成分解析を実施して、発光主成分スコア(特徴量)と、これを計算するための係数および基準ベクトルを算出する。そして、主成分スコアおよびエッチング時間と、この時の疎パターン、密パターンのそれぞれのトリミング量とを関連付ける疎・密パターン別回帰モデルを作成する。
【0032】
続いて、オンライントリミング量制御ステップS42として、エッチング実施時の発光スペクトルから、係数および基準ベクトルを用いてスコアを算出し、スコアおよびエッチング時間より疎・密パターン別回帰モデルを用いて、疎パターンおよび密パターンのトリミング量予測値を算出する。以上の処理を所定のサンプリング間隔で繰り返し、トリミング量予測値と疎・密パターン予測値との各々の距離が等しくなる時点をトリミング終了点としてトリミング処理を停止する。
【0033】
<オフラインモデル導出ステップ>
次に、オフラインモデル導出ステップについて、図3〜図7を用いて詳細に説明する。
【0034】
図3は、トリミングプロセスの概念を示す図である。(a)はレジストトリミングの初期状態、(b)はレジストトリミング後の状態を示す。
【0035】
トリミングとは、ホト工程で、現状の転写能力の限界で加工されたレジストパターン寸法を、所望のゲートCD値にゲート材料をエッチングするのに適当な必要レジスト寸法に細線化する技術である。通常、ArFレーザを用いた露光を行う場合には、下地膜からの反射光を防止する必要があるために、下地反射防止膜(BARC)が必要であり、初期状態は図3(a)に示すような構造となっている。
【0036】
レジストトリミングプロセスでは、まず、ArFレーザ光に感度のあるArFレジストをマスクとしてBARC膜をパターニングし、その後、ArFレジスト膜とBARC膜の積層構造であるパターン全体を細らせて、所望のパターン寸法を得る。このトリミング後は図3(b)に示すような構造となる。レジストパターン寸法からトリミング後寸法を差し引いた量をトリミング量と呼ぶ。
【0037】
図4は、同一条件でトリミングを実施した際の総処理枚数(横軸)に対するトリミング量(縦軸)の推移を示す図である。
【0038】
前述したように、従来のエッチング処理装置は、エッチング実施に伴い装置内壁にエッチング生成物が徐々に付着することが主原因となって、トリミング結果に緩やかなロット間変動を生じる。また、同一ロットの中でも、真空処理室内のガス雰囲気の違いを反映してロット内の着工順序に依存したロット内変動を生じる。このような変動は、疎パターンと密パターンとの間に疎密差を保ちながら同様に生じていた。
【0039】
そこで、本発明の特徴であるトリミング量予測モデルを導出するにあたっては、このような装置状態の変化を捕らえる特徴量の導入が必要である。また、同じ特徴量を示す装置状態であっても、トリミング時間によってトリミング量は変わってくるので、トリミング時間も予測に必要な因子であると考えた。
【0040】
特徴量の抽出方法としては、主成分解析手法を用いた。主成分解析手法とは、ある問題に対して、いくつかの要因が考えられるとき、それら要因を一つ一つ独立に扱うのではなく、総合的に取り扱おうとする手法である。主成分解析では、多くの変量の値をできるだけ情報の損失無しに、1個または互いに独立な数個の総合的指標で代表させることが可能である。主成分解析の対象をトリミング実施中の発光スペクトルとし、ロット内・ロット間変動に対応する発光スペクトルの変化を主成分スコアとして圧縮し、トリミング量予測モデルに用いる特徴量とした。
【0041】
図5は、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出の実験条件を示す図である。ここでは、実験を実施した9枚のウエハの実験条件を示すが、これに限られるものではない。
【0042】
トリミング量予測回帰モデルが常に精度良くトリミング量を予測するためには、モデル使用範囲の装置状態の変化を特徴量として正確に捉える必要があるために、タグチメソッドのL9直交表に従い、ロット内位置・全掃間位置の各条件およびトリミング時間を効果的に9条件に設定した。トリミング時間は、トリミング終了点周辺の3水準(25秒・35秒・45秒)を選択した。装置状態の変化は、主にロット内変動とロット間変動に大別されるために、ロット内のスロット位置として、1ロットのウエハ枚数13枚を仮定し、1枚目・5枚目・13枚目の水準とした。ロット間変動を捉える条件としては、全掃直後の全掃間初期と全掃直前の全掃間後期とその間をとった全掃間中期の3水準とした。
【0043】
この実験では、9枚のウエハを用いてモデル導出を試みたが、装置状態の変化を特徴量として抽出することが目的であるので、全掃間位置とロット内位置およびトリミング時間が予測モデル使用範囲を十分カバーしていれば良い。よって、9枚より少ない5枚等のウエハで簡略化した予測回帰モデル導出を実施することも可能である。
【0044】
図6は、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出方法を示すフローチャートである。ここでは、9枚のウエハの実験条件を示す図5の例に従って説明するが、これより少ない場合は、この枚数のウエハについて実験を繰り返す以外は同様である。
【0045】
まず、図5の実験条件に従い、トリミングを開始する(S91)。このトリミング開始時から発光スペクトルのデータを収集する(S92)。この発光スペクトルのデータ収集は、トリミング開始時から指定されたトリミング時間で決定されるトリミング終了まで行う(S93)。そして、トリミング終了後に、トリミング後寸法を疎密パターン毎に計測し、予め計測しておいた初期のレジストパターン寸法から差し引くことで、疎密パターンのトリミング量を算出する(S94)。これを、9枚のウエハについて繰り返すことで実験が終了となる(S95)。
【0046】
続いて、実験で得られたウエハ9枚分のデータの発光スペクトル時間平均に対し、主成分解析を実施して(S96)、主成分スコアを算出するための係数である固有ベクトル、主成分スコア算出時に各発光スペクトルの基準となる基準ベクトルを算出する(S97,98)。さらに、得られた固有ベクトルと基準ベクトルを用いて、各ウエハ毎にそのときの装置状態を示す特徴量である発光主成分スコアを算出する(S99)。そして、発光主成分スコアとトリミング時間を説明因子として、疎密パターン毎にトリミング量を予測する疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出する(S910)。
【0047】
図7は、トリミング量予測回帰モデルの概念を示す図である。図7では、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、時間による推定部分と、発光主成分による推定部分を示している。
【0048】
トリミング量予測回帰モデルでは、時間のみを説明因子とした場合に対し、発光主成分スコアを説明因子として用いた場合が予測精度が低減し、トリミング量予測における特徴量の重要性が明らかである。予測トリミング量は、トリミング時間によるトリミング量推定部分に発光主成分による推定部分が加算されたものであり、装置状態の変動によるトリミング量の変動量を、装置状態の特徴量が補償する構成となっている。なお、図7では、発光主成分による推定部分の幅を簡単のため一意に記載しているが、装置状態に応じて変動する発光主成分スコアにより、発光主成分による推定幅は変動することは言うまでもない。
【0049】
<オンライントリミング量制御ステップ>
次に、オンライントリミング量制御ステップについて、図8〜図11を用いて詳細に説明する。
【0050】
図8は、トリミング量制御方法を示すフローチャートである。オンライントリミング量制御ステップは、前記図2に示した2番目のステップであり、前述したオフラインモデル導出ステップにおいて、すでに疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル、発光主成分スコアを算出するための係数(固有ベクトル)、基準ベクトルは導出済みであることを仮定している。
【0051】
まず、これら予め導出された回帰モデル、基準ベクトルおよび固有ベクトルを取得する(S121〜123)。さらに、目標マスク寸法を取得し(S124)、トリミングを実施するウエハのレジストパターン寸法値を取得する(S125)。そして、レジストパターン寸法値から目標マスク寸法を差し引き、トリミング目標量を算出する(S126)。
【0052】
続いて、トリミングを開始し(S91)、トリミング時間を取得し(S127)、発光データを収集して(S92)、トリミング時間と発光データから発光主成分スコアを算出する(S99)。さらに、発光主成分スコアにより、疎密パターン毎にトリミング量を算出する(S128)。そして、疎密パターン毎の予測値とトリミング目標量との距離a,bを算出し(S129)、aとbが等しくなるまで、S127〜1210までの処理を繰り返し、所望のトリミング量にてトリミングプロセスを終了する(S93)。
【0053】
以上の処理において、次のウエハがあるか否かを判定し、すべてのウエハが終了するまでS125〜93の処理を繰り返して行う(S95)。
【0054】
図9は、トリミング終了点決定方法を詳細に示す図である。それぞれ、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、(a)はa<bの場合、(b)はa=bの場合、(c)はa>bの場合である。
【0055】
疎パターンと密パターンは、同一のプラズマにさらされた場合に、パターン間のスペース幅の違いにより、エッチャントや反応生成物から受ける影響が異なるために、同じスピードで削れることはなく、通常、許容可能な範囲(〜5nm)でずれを生ずる。そこで、エッチングの進行に伴い、トリミング目標値を先に超える密パターンと目標値に満たない疎パターンが存在する。密パターンの予測値をAとし、この時の目標値との距離をa、疎パターンの予測値をBとして、この時の目標値との距離をbとすると、時刻のT0では、図9(a)に示すようにa<bであったものが、エッチングの進行に伴い、図9(c)に示すようにa>bに変化するが(時刻T2)、図9(b)に示すようにa=bとなった時点のT1がトリミング終了点である。
【0056】
このように、疎密パターントリミング量の目標値からの距離が等しい時点をエッチング終了点とすることで、疎パターンと密パターンとの距離間の疎密差が等しい場合には、エッチング速度、すなわち疎密パターンの傾きが異なる場合にも、常に疎密パターンのトリミング量がロット内・ロット間で等しくなる時点でトリミングを終了することが可能である。
【0057】
図10は、トリミング量の疎密差が異なった場合の終了点決定方法を示す図である。それぞれ、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、(a)は疎密差Dの場合、(b)は疎密差D+ΔDの場合である。
【0058】
図10(a)に示すトリミング量の疎密差Dが、図10(b)に示すように、装置状態によって疎密差許容範囲内でΔDだけ変化した場合にも、目標値からの距離を疎密パターンで等しく保つことで、各パターンのトリミング量変動をΔD/2に按分することができ、トリミング量疎密差の変動が各パターンのトリミング量に与える影響を最小に抑えることが可能である。なお、疎密パターン差は、エッチング装置の要求仕様であり、大幅にずれることは考えられないため、ΔD/2は各パターンに許容されるばらつき±1nmを超えることはない。
【0059】
図11は、トリミング量予測を用いたトリミング量制御結果を示す図である。この図11に対して、トリミング時間を一定とした従来のトリミング処理結果は前述した図6の通りである。
【0060】
従来のトリミング処理では、前記図6に示したように、一定の疎密差を持って、ロット内変動およびロット間変動が存在し、目標とする結果が得られなくなった時点で頻繁に全掃を実施していたが、本発明によるトリミング量予測を用いたトリミング量制御では、図11に示すように、送処理枚数に対して疎密パターンのトリミング量がほぼ一定で、かつロット内変動、ロット間変動も小さくなり、ロット間変動・ロット内変動ともに抑制されて、疎密パターン毎のトリミング量制御の効果が明らかである。
【0061】
このように、装置変動を発光スペクトルの特徴量として捉えて予測回帰モデルに組み込んだ、疎密パターン別トリミング量予測制御方法を用いることで、従来発生していたトリミング量の経時変動が抑制され、精度良いトリミング加工が可能となって、装置信頼性が向上した。また、これまではトリミング結果の経時変動量が許容変動量を超えた時点で、装置状態をリセットする全掃作業を頻繁に実施していたが、トリミング量予測制御を実施することで、トリミング量の経時変動が抑制され、全掃に到るまでに処理可能な総処理枚数が大幅に増えて、装置稼働率が向上した。また、ゲート寸法は、デバイスの性能を決定付ける重要な因子であり、ゲート加工に用いるマスクレジスト寸法が高精度に管理されることで、ゲート加工精度を向上し、デバイスの信頼性が向上した。
【0062】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2においては、トリミング量予測モデルを処理結果に基づき更新するトリミング量Run−to−Run制御方法について説明する。近年、微細パターンを計測する手法として、光散乱を用いた形状推定手段(Optical Critical Dimensionを略して以下OCDと記載する。)が実用化されてきた。エッチング装置毎にOCDモジュールを搭載することが可能であり、処理前後のパターン寸法や形状を装置において計測できるために、計測に要する時間を軽減でき、かつ計測点数を大幅に向上する点がOCD搭載のメリットである。
【0063】
前述のモデル導出方法の説明で述べたように、モデル導出する際に装置変動をカバーする十分な範囲で実験を実施すると、高精度なモデルが導出できるが、実験実施に時間を要する。そこで、OCDを活用すればトリミング実施後に、その場でトリミング量を計測することが可能であり、トリミング量とトリミング時間およびこの時の発光スペクトルを用いて疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを逐次更新していくことができる。モデルは、装置状態に応じて調整されるので、加工精度を確保したまま、初期のオフラインモデル導出に必要なウエハ枚数や工数を低減することが可能である。
【0064】
図12は、本実施の形態に係るトリミング量Run−to−Run制御システムの概要を示す図である。図12において、本実施の形態に係るトリミング量Run−to−Run制御システムは、前記実施の形態1のプラズマエッチング処理装置(Etch)13に対して、OES19等の他に、OCD171が搭載されており、トリミング量Run−to−Run制御が可能となっている。
【0065】
図13は、トリミング量Run−to−Run制御方法を示すフローチャートである。このトリミング量Run−to−Run制御方法において、予め準備したトリミング量予測回帰モデルと固有ベクトルと基準ベクトルを用いて疎密パターン毎にトリミング量予測を行いながら、目標トリミング量にてトリミングを終了する点までは(S121〜93)、前述したトリミング量制御方法と同様であり、同一のステップには同一の番号を付して説明を省略する。
【0066】
続いて、S93のトリミング終了後に、疎密パターン毎にトリミング量をOCDにて計測する(S94)。次に、得られた発光スペクトルとオフラインモデル導出のステップにて使用した過去の発光スペクトルとを用いて、再び発光データの主成分解析を実施する(S96)。ここで、新たな固有ベクトルと基準ベクトルが得られるので、次のトリミング量制御に用いる固有ベクトルと基準ベクトルとして更新する(S181,182)。そして、新たに得られた固有ベクトルと基準ベクトルを用いて発光主成分スコアを算出し(S99)、発光主成分スコアおよびトリミング時間より新たな疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出して、これを次のウエハのトリミング量予測回帰モデルとして現モデルを更新する(S183)。
【0067】
このように、トリミング実施後に、OCDでトリミング量を計測して、トリミング量とトリミング時間およびこの時の発光スペクトルを用いて疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを逐次更新していくことができる。
【0068】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、トリミング量モニタリング方法について説明する。
【0069】
図14は、トリミング量モニタリング方法を示すフローチャートである。このトリミング量モニタリング方法において、前述したトリミング量制御方法と同様に、発光スペクトルの主成分スコアとこの時のトリミング時間とを用いて予測した疎密パターン毎のトリミング量を算出し(S121〜128)、この算出したトリミング量を表示し(S191)、トリミング終了まで繰り返す(S192)。
【0070】
このように、疎密パターン毎のトリミング量は、これを表示する機能と組み合わせれば、逐次算出したトリミング量のトリミングモニター機構を実現することができる。
【0071】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4においては、トリミング量制御システムのインターフェース画面および処理の流れについて説明する。
【0072】
前記実施の形態1〜3では、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを用いたトリミング量予測制御方法について述べたが、これを実現するためのシステムについて、本実施の形態では簡単な例を説明する。
【0073】
図15は、トリミング量制御システムの構成と、このシステムのインターフェース画面および処理の流れを示す図である。
【0074】
トリミング量制御システムは、OES19、PC111、OCD171等が搭載されたプラズマエッチング処理装置13と、莫大な量の発光スペクトルと処理時間、処理結果であるトリミング量を収集・保存し、活用するためのデータサーバ201をLAN等のネットワーク上に備えて構成される。
【0075】
本トリミング量制御システムは、前記図2に示した2ステップからなる処理の流れを、図15のようなインターフェース画面を用いて実行する。
【0076】
まず、モデル導出ボタン211を押すと、モデル導出に必要となる解析対象を選択するための画面に遷移する。ここで、解析対象の選択キーワード213を入力し、実行ボタン214を押すことで、データサーバ201に蓄えられた発光スペクトルと、トリミング時間およびトリミング量を取得する。そして、発光スペクトルに対して主成分解析を実施し、特徴量を算出するための係数および基準ベクトルを算出する。また、特徴量とトリミング時間より、トリミング量を予測する疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出する。この処理の流れは、前記図6に示したものと同様である。
【0077】
次に、トリミング量制御ボタン212を押した場合の処理について述べる。前記図2に示したとおり、終点の決定に寸法目標値216と初期寸法値217から算出されるトリミング量目標値が必要である。これらの値を入力して実行ボタン214を押すと、予め得られた係数および基準ベクトルを用いて、エッチング装置から得られる発光スペクトルを特徴量に逐次変換する。この時の処理時間とともに疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを用いて、疎密パターン毎のトリミング予測量を逐次算出し、画面上に表示する。このトリミング量予測および終了点判定の処理フローは、前記図8に示したものと同等である。これにより、トリミング終了点218を判定し、トリミング処理を終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、装置状態を示す特徴量である発光スペクトルの主成分スコアおよびトリミング時間により、現在のトリミング量を逐次把握することが可能であり、このトリミング量予測結果に基づいて最適なトリミング時間にてトリミングプロセスを終了するので、装置状態の変化に基づくロット間変動・ロット内変動を抑えて精度の良いデバイス加工を実施することができる。
【0079】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5においては、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法と、ポリシリコントリミングプロセスについて説明する。
【0080】
前記実施の形態1〜4においては、複数のトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量である場合を例に説明したが、本実施の形態では、別の例を説明する。
【0081】
図16は、ウエハ上のトリミング速度を示す図である。図16に示すように、一般にトリミング速度は、ウエハの中央に対して点対称に分布する。このような場合、面内の全ての点で目標値近傍にトリミング結果を収めるためには、複数点のトリミング量を予測し、終了点を判定する必要がある。
【0082】
図17は、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法を示す図である。図17において、中央Cと半径Bの領域と半径Aの領域の3種類のトリミング量を予測する。予測トリミング量が最大となる半径Bの領域のトリミング量予測結果と、予測トリミング量が最小となる半径Aの領域のトリミング量予測結果に着目し、それぞれの値と目標値との距離が等しくなる点をトリミング終了点とする。
【0083】
図18は、ポリシリコントリミングプロセスを示す図である。(a)はポリシリコントリミングの初期状態、(b)はポリシリコンエッチング後の状態、(c)はポリシリコントリミング後の状態を示す。
【0084】
トリミング(細線化)は、前述した図3のレジスト以外に、ポリシリコンにも適用可能である。ポリシリコントリミングプロセスは、所望のゲート寸法を得るためにレジストマスクではなく、ゲート材料であるポリシリコンを直接細線化する技術である。
【0085】
ポリシリコントリミングプロセスでは、初期状態が、図18(a)に示すように、ポリシリコン上にSiO2が積層された構造となっている。まず、図18(b)に示すように、SiO2をマスクとして、ポリシリコンを側壁保護膜を生成しながらエッチングする。その後、ガス種を変えて、側壁保護膜の形成なしに残りのポリシリコンを縦方向と横方向にエッチングすることで、図18(c)のようにパターン幅を細線化する。通常、時間管理でトリミングプロセスの終了点を決定しているが、トリミング量予測回帰モデルを用いて、トリミング量を逐次予測し、終了点を決定することで、高精度なトリミングプロセスの実施が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係るトリミング量制御システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、トリミング量制御方法を実現する2つのステップを示す図である。
【図3】(a),(b)は本発明の実施の形態1において、トリミングプロセスの概念を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1において、同一条件でトリミングを実施した際の総処理枚数に対するトリミング量の推移を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1において、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出の実験条件を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1において、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1において、トリミング量予測回帰モデルの概念を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1において、トリミング量制御方法を示すフローチャートである。
【図9】(a)〜(c)は本発明の実施の形態1において、トリミング終了点決定方法を詳細に示す図である。
【図10】(a),(b)は本発明の実施の形態1において、トリミング量の疎密差が異なった場合の終了点決定方法を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1において、トリミング量予測を用いたトリミング量制御結果を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係るトリミング量Run−to−Run制御システムの概要を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2において、トリミング量Run−to−Run制御方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3において、トリミング量モニタリング方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態4において、トリミング量制御システムの構成と、このシステムのインターフェース画面および処理の流れを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態5において、ウエハ上のトリミング速度を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態5において、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の実施の形態5において、ポリシリコントリミングプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
11…ホトリソグラフィ処理装置、12…計測器、13…プラズマエッチング処理装置、14…必要レジスト寸法、15…トリミング時間、16…特徴量、17…疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル、18…疎密パターン別トリミング量予測値、19…発光分光器、110…目標トリミング量、111…パーソナルコンピュータ、112…トリミング終了点判定部、171…光散乱形状推定手段、201…データサーバ、211…モデル導出ボタン、212…トリミング量制御ボタン、213…選択キーワード、214…実行ボタン、216…寸法目標値、217…初期寸法値、218…トリミング終了点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチング処理技術に関し、特に、装置状態によって変動するトリミング量をモニターし、所望のトリミング量にてトリミング処理を終了できるトリミング量制御に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討したところによれば、半導体装置の半導体集積回路チップは、半導体デバイス化ウエハ上に導電層や絶縁層あるいはその他の薄膜層を予め定められた順序で成膜工程により順次に積層し、必要に応じて各層毎に露光工程とエッチング工程により回路パターンを転写することでパターン層を形成し、所定の層を全て重ねた後にウエハ上の個々のチップを切断分離して製造する。半導体装置の速度性能は、材料が同じ場合には主に回路パターンの幅寸法によって決まるため、年々微細化が推し進められており、それに応じて精密な露光工程とエッチング工程が要求されるに至っている。
【0003】
露光工程の微細化能力は、主に露光光源の波長に依存するため、I線からKrFレーザ、ArFレーザと、より短い波長の光源とその波長に感度のあるレジスト材料の開発が進められてきた。しかし近年、光源の短波長化が微細化の進展に追いつかず、パターン転写能力が限界にきている。また、露光寸法と必要とされるレジスト寸法との間には差が生じており、露光後の寸法を細線化するレジストトリミング方法が検討され始めた。現在は、デバイスメーカ各社でレジストトリミングプロセスの研究が盛んであり、プロセスが確立されつつある。
【0004】
例えば、ITRS(The International Technology Roadmap for Semiconductors)2003に示された、今後のトリミング量推移とトリミング工程に許容される同一パターンのばらつきおよび完成寸法のパターン疎密差許容値との関係において、トリミング工程では、ウエハ内・ウエハ間・ロット間で同一パターンについて、ばらつき±1nm以下の高精度な加工が要求される一方で、パターン疎密に起因する寸法差に対しては5nmが許容されている。すなわち、疎パターン・密パターンが疎密間差を保ちながら、それぞれ±1nm以下の精度でトリミング加工されることが要求されている。現状、要求を満たす当座のプロセス開発が進められているが、今後の微細化の進展に伴い必要となる、トリミング量高精度制御技術は確立されていなかった。
【0005】
プラズマエッチング処理装置は、例えば、真空処理室内にエッチングガスを導入し、減圧下でプラズマ放電を発生させ、このプラズマ中に発生するラジカルあるいはイオンを、試料であるウエハの表面に反応させてエッチングする装置が知られている。このような処理を行うドライエッチング装置は、レシピと呼ばれる製造条件(ガス流量、ガス圧力、投入電力、エッチング時間等)のもとにエッチング処理を行う。レジストトリミングも、レジスト細線化の原理はエッチング処理と同様であり、前記レシピはトリミングプロセスで常に一定に保持されている。
【0006】
しかし、一定のレシピでウエハを処理した場合にも、材料とエッチングガスとの反応生成物が処理室内壁に堆積し、この堆積物からアウトガスと呼ばれる不要なガスが発生して処理室内の環境が経時変化する。さらに、処理室関連部品の温度変化、部品の消耗によっても処理室内環境は変化する。このように、ドライエッチング装置には様々な外乱要因が存在し、ばらつき±1nm以下が要求されるトリミングプロセスにおいては、外乱によるトリミング結果の変動を無視できない。
【0007】
予め決定されたレシピに従ってエッチングを実施するのでなく、装置の状態に応じて適切なエッチング時間を判断してエッチングを終了する方法として、発光スペクトルを利用した終点検出方法が一般的である。エッチング生成物に特有な波長の発光強度をモニタし、被エッチング材料がなくなってエッチング生成物からの発光が大きく減少する時点を、発光強度の一次微分や二次微分を用いて精度よく検出し、エッチング終了点を決定する。
【0008】
特許文献1に、発光スペクトルの多変量統計解析分析を利用したプラズマ処理モニタ技術が開示されている。この技術では、HotellingT2と呼ばれる変化点を高精度に抽出する統計解析手法を用いて発光スペクトルより被エッチング膜がなくなるエッチング終了点を検出する。
【0009】
また、終点検出方法とは異なるが、多くのエッチング環境の情報を含み、計測方法が比較的簡便な発光スペクトルを用いたエッチング結果の評価手法として、非特許文献1の中で、エッチング終了後のAl線幅の減少量を、エッチング実施時の発光スペクトルの主成分解析スコアを用いて精度よく予測する方法が開示されている。
【特許文献1】特表2001−521280号公報
【非特許文献1】アイイーイーイー トランザクションズ オン セミコンダクター マニファクチャリング(IEEE TRANSACTIONS ON SEMICONDUCTOR MANUFACTURING),VOL.10,NO.1,FEBRUARY 1997,pp52−61
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記レジストトリミングにおいて、装置状態によらず、常に所望のトリミング量にてトリミングプロセスを終了するためには、トリミング量を正確に逐次判断するモニタリング技術が必要である。前記特許文献1に開示されるエッチング終点検出方法は、被エッチング膜がなくなる点を発光スペクトルの変化より検出する方法であり、トリミングプロセスのように、トリミングの進行途中にトリミング量を判定して、終了点を決定することはできない。
【0011】
また、前記非特許文献1では、エッチング終了時のエッチング結果を予測するにすぎず、トリミング量を逐次判断することは不可能であった。
【0012】
そこで、本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、トリミング実施中のトリミング量をモニターする方法を確立し、トリミング終点を検出する方法を実現するトリミング量制御技術を提供することを目的とするものである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、トリミング実施中の疎パターンと密パターンのそれぞれのトリミング量をモニターする方法を確立し、それぞれのパターンのトリミング量が規格値に収まるトリミング終点を検出する方法を実現するトリミング量制御技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、装置状態をモニタリングする測定手段と、測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルとを備えたプラズマエッチング処理装置の制御方法およびトリミング量制御システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0015】
すなわち、本発明においては、特徴量とトリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出し、トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了するものである。さらに、トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、トリミング量を予測するモデルを更新するようにしたものである。また、逐次算出されるトリミング予測量を表示するようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、装置状態をモニタリングする測定手段と、測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、特徴量とマスクトリミング時間に基づき、試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルとを備えたプラズマエッチング処理装置の制御方法およびトリミング量制御システムに適用され、以下のような特徴を有するものである。
【0017】
すなわち、本発明においては、特徴量とマスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出し、複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了するものである。特に、複数種類のマスクトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量に適用するようにしたものである。さらに、マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新するようにしたものである。また、逐次算出される複数種類のマスクトリミング予測量を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装置状態を表す特徴量である発光スペクトルの主成分スコアおよびトリミング時間を用いて、予め作成したトリミング量予測モデルに基づき疎・密パターン毎にトリミング量を予測することができ、かつ、目標トリミング量の規格上下限内に疎・密パターンのトリミング量予測値が来た時点でトリミングプロセスを終了させることができる。これにより、素子特性を決定付けるゲート寸法の高精度加工が可能となり、素子特性のばらつきを低減することが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、従来は予め定めたトリミング時間によってプロセスを終了してからトリミング結果を計測、あるいは予測していたために、所望のトリミング量が実現できなかった場合はスクラップウエハとせざるを得ない場合があったが、その様な失敗を低減することができる。
【0020】
さらに、本発明によれば、スクラップにならない場合であっても、最終的にウエハ1枚の価格が高額となるために、トリミング工程における歩留まりが低い場合、不良チップによる損失が大きいが、トリミング量制御によってトリミング工程の歩留まりが向上し、トリミング工程以外の工程歩留まりを考慮しても、損失を低減することができる。
【0021】
また、本発明によれば、常に一定のエッチング結果を得るために、頻繁に実施していた装置初期化(クリーニング)等の保守作業を大幅に軽減でき、装置稼働率を向上して生産性向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1においては、レジストトリミング工程で各パターンに許容される寸法ばらつき1nm以下を実現するために、装置状態の特徴量と処理時間から疎パターンと密パターンのトリミング量を別々に予測し、トリミング目標値からの各予測値の距離が等しくなる点をトリミング終了点とした。このトリミング終了点を判断する例として、2種類の場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施の形態に係るトリミング量制御システムの概要を示す図である。図1において、本実施の形態に係るトリミング量制御システムを含むシステム全体は、ホトリソグラフィ処理装置(Photo)11、計測器(CD−M)12、プラズマエッチング処理装置(Etch)13等から構成される。
【0025】
プラズマエッチング処理装置13には、発光分光器(以下、Optical Emission Spectroscopyの略であるOESと称す)19、パーソナルコンピュータ(PC)111等が搭載されており、PC111の画面にトリミング量制御の各種情報が表示され、またトリミング量制御におけるトリミング終了点判定部112等の各種処理がソフトウェアによる制御プログラムに基づいて実行される。ここでは、プラズマエッチング処理装置13や、これに搭載されるOES19、PC111等を含めてトリミング量制御システムと呼ぶ。
【0026】
ホトリソグラフィ処理装置11は、例えば、半導体基板上に堆積されたゲート電極材料上に、レジストを露光する際の反射光を防止する反射防止膜およびレジスト膜を塗布し、このレジストを、例えば目的とする電界効果型トランジスタのゲート部分を加工する際のマスク材となるパターン形状に加工する。以下、ゲート電極幅をCD(Critical Dimension)値と称する。
【0027】
計測器12は、前記加工後のレジストのCD値を計測するCD−SEM等の計測器である。この計測器12で計測されたレジストCD寸法の計測値と必要レジスト寸法値14から目標トリミング量110を算出する。
【0028】
プラズマエッチング処理装置13は、例えば、試料であるウエハを真空処理室に収容後、真空処理室内のガスを真空排気し、トリミングに適したガスを導入して真空処理室内にプラズマを立てることで、トリミングプロセスを開始する。プラズマが立ってからの時間がトリミング時間15である。トリミング中のプラズマの発光を、OES19を用いて収集する。トリミング時間15と発光スペクトルの特徴量16である主成分スコアから、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17に従い、疎密パターン毎にトリミング量予測値18を算出する。疎密パターンそれぞれのトリミング量予測値A・Bと目標トリミング量110との距離a・bが等しくなるまで、例えば0.5sのサンプリング間隔でトリミング量予測を繰り返す。二つの距離a・bの大小関係が逆転した時点でトリミングプロセスを終了する。
【0029】
このトリミング量制御システムにおいて、トリミング量制御方法を実現するためには、トリミング量制御を実施する前に予め高精度な疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル17を作成しておく必要がある。
【0030】
<トリミング量制御方法>
図2は、本実施の形態に係るトリミング量制御システムにおいて、トリミング量制御方法を実現する2つのステップを示す図である。トリミング量制御方法は、オフラインモデル導出ステップS41と、オンライントリミング量制御ステップS42からなる。
【0031】
まず、オフラインモデル導出ステップS41として、トリミング時の発光スペクトルに対して主成分解析を実施して、発光主成分スコア(特徴量)と、これを計算するための係数および基準ベクトルを算出する。そして、主成分スコアおよびエッチング時間と、この時の疎パターン、密パターンのそれぞれのトリミング量とを関連付ける疎・密パターン別回帰モデルを作成する。
【0032】
続いて、オンライントリミング量制御ステップS42として、エッチング実施時の発光スペクトルから、係数および基準ベクトルを用いてスコアを算出し、スコアおよびエッチング時間より疎・密パターン別回帰モデルを用いて、疎パターンおよび密パターンのトリミング量予測値を算出する。以上の処理を所定のサンプリング間隔で繰り返し、トリミング量予測値と疎・密パターン予測値との各々の距離が等しくなる時点をトリミング終了点としてトリミング処理を停止する。
【0033】
<オフラインモデル導出ステップ>
次に、オフラインモデル導出ステップについて、図3〜図7を用いて詳細に説明する。
【0034】
図3は、トリミングプロセスの概念を示す図である。(a)はレジストトリミングの初期状態、(b)はレジストトリミング後の状態を示す。
【0035】
トリミングとは、ホト工程で、現状の転写能力の限界で加工されたレジストパターン寸法を、所望のゲートCD値にゲート材料をエッチングするのに適当な必要レジスト寸法に細線化する技術である。通常、ArFレーザを用いた露光を行う場合には、下地膜からの反射光を防止する必要があるために、下地反射防止膜(BARC)が必要であり、初期状態は図3(a)に示すような構造となっている。
【0036】
レジストトリミングプロセスでは、まず、ArFレーザ光に感度のあるArFレジストをマスクとしてBARC膜をパターニングし、その後、ArFレジスト膜とBARC膜の積層構造であるパターン全体を細らせて、所望のパターン寸法を得る。このトリミング後は図3(b)に示すような構造となる。レジストパターン寸法からトリミング後寸法を差し引いた量をトリミング量と呼ぶ。
【0037】
図4は、同一条件でトリミングを実施した際の総処理枚数(横軸)に対するトリミング量(縦軸)の推移を示す図である。
【0038】
前述したように、従来のエッチング処理装置は、エッチング実施に伴い装置内壁にエッチング生成物が徐々に付着することが主原因となって、トリミング結果に緩やかなロット間変動を生じる。また、同一ロットの中でも、真空処理室内のガス雰囲気の違いを反映してロット内の着工順序に依存したロット内変動を生じる。このような変動は、疎パターンと密パターンとの間に疎密差を保ちながら同様に生じていた。
【0039】
そこで、本発明の特徴であるトリミング量予測モデルを導出するにあたっては、このような装置状態の変化を捕らえる特徴量の導入が必要である。また、同じ特徴量を示す装置状態であっても、トリミング時間によってトリミング量は変わってくるので、トリミング時間も予測に必要な因子であると考えた。
【0040】
特徴量の抽出方法としては、主成分解析手法を用いた。主成分解析手法とは、ある問題に対して、いくつかの要因が考えられるとき、それら要因を一つ一つ独立に扱うのではなく、総合的に取り扱おうとする手法である。主成分解析では、多くの変量の値をできるだけ情報の損失無しに、1個または互いに独立な数個の総合的指標で代表させることが可能である。主成分解析の対象をトリミング実施中の発光スペクトルとし、ロット内・ロット間変動に対応する発光スペクトルの変化を主成分スコアとして圧縮し、トリミング量予測モデルに用いる特徴量とした。
【0041】
図5は、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出の実験条件を示す図である。ここでは、実験を実施した9枚のウエハの実験条件を示すが、これに限られるものではない。
【0042】
トリミング量予測回帰モデルが常に精度良くトリミング量を予測するためには、モデル使用範囲の装置状態の変化を特徴量として正確に捉える必要があるために、タグチメソッドのL9直交表に従い、ロット内位置・全掃間位置の各条件およびトリミング時間を効果的に9条件に設定した。トリミング時間は、トリミング終了点周辺の3水準(25秒・35秒・45秒)を選択した。装置状態の変化は、主にロット内変動とロット間変動に大別されるために、ロット内のスロット位置として、1ロットのウエハ枚数13枚を仮定し、1枚目・5枚目・13枚目の水準とした。ロット間変動を捉える条件としては、全掃直後の全掃間初期と全掃直前の全掃間後期とその間をとった全掃間中期の3水準とした。
【0043】
この実験では、9枚のウエハを用いてモデル導出を試みたが、装置状態の変化を特徴量として抽出することが目的であるので、全掃間位置とロット内位置およびトリミング時間が予測モデル使用範囲を十分カバーしていれば良い。よって、9枚より少ない5枚等のウエハで簡略化した予測回帰モデル導出を実施することも可能である。
【0044】
図6は、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出方法を示すフローチャートである。ここでは、9枚のウエハの実験条件を示す図5の例に従って説明するが、これより少ない場合は、この枚数のウエハについて実験を繰り返す以外は同様である。
【0045】
まず、図5の実験条件に従い、トリミングを開始する(S91)。このトリミング開始時から発光スペクトルのデータを収集する(S92)。この発光スペクトルのデータ収集は、トリミング開始時から指定されたトリミング時間で決定されるトリミング終了まで行う(S93)。そして、トリミング終了後に、トリミング後寸法を疎密パターン毎に計測し、予め計測しておいた初期のレジストパターン寸法から差し引くことで、疎密パターンのトリミング量を算出する(S94)。これを、9枚のウエハについて繰り返すことで実験が終了となる(S95)。
【0046】
続いて、実験で得られたウエハ9枚分のデータの発光スペクトル時間平均に対し、主成分解析を実施して(S96)、主成分スコアを算出するための係数である固有ベクトル、主成分スコア算出時に各発光スペクトルの基準となる基準ベクトルを算出する(S97,98)。さらに、得られた固有ベクトルと基準ベクトルを用いて、各ウエハ毎にそのときの装置状態を示す特徴量である発光主成分スコアを算出する(S99)。そして、発光主成分スコアとトリミング時間を説明因子として、疎密パターン毎にトリミング量を予測する疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出する(S910)。
【0047】
図7は、トリミング量予測回帰モデルの概念を示す図である。図7では、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、時間による推定部分と、発光主成分による推定部分を示している。
【0048】
トリミング量予測回帰モデルでは、時間のみを説明因子とした場合に対し、発光主成分スコアを説明因子として用いた場合が予測精度が低減し、トリミング量予測における特徴量の重要性が明らかである。予測トリミング量は、トリミング時間によるトリミング量推定部分に発光主成分による推定部分が加算されたものであり、装置状態の変動によるトリミング量の変動量を、装置状態の特徴量が補償する構成となっている。なお、図7では、発光主成分による推定部分の幅を簡単のため一意に記載しているが、装置状態に応じて変動する発光主成分スコアにより、発光主成分による推定幅は変動することは言うまでもない。
【0049】
<オンライントリミング量制御ステップ>
次に、オンライントリミング量制御ステップについて、図8〜図11を用いて詳細に説明する。
【0050】
図8は、トリミング量制御方法を示すフローチャートである。オンライントリミング量制御ステップは、前記図2に示した2番目のステップであり、前述したオフラインモデル導出ステップにおいて、すでに疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル、発光主成分スコアを算出するための係数(固有ベクトル)、基準ベクトルは導出済みであることを仮定している。
【0051】
まず、これら予め導出された回帰モデル、基準ベクトルおよび固有ベクトルを取得する(S121〜123)。さらに、目標マスク寸法を取得し(S124)、トリミングを実施するウエハのレジストパターン寸法値を取得する(S125)。そして、レジストパターン寸法値から目標マスク寸法を差し引き、トリミング目標量を算出する(S126)。
【0052】
続いて、トリミングを開始し(S91)、トリミング時間を取得し(S127)、発光データを収集して(S92)、トリミング時間と発光データから発光主成分スコアを算出する(S99)。さらに、発光主成分スコアにより、疎密パターン毎にトリミング量を算出する(S128)。そして、疎密パターン毎の予測値とトリミング目標量との距離a,bを算出し(S129)、aとbが等しくなるまで、S127〜1210までの処理を繰り返し、所望のトリミング量にてトリミングプロセスを終了する(S93)。
【0053】
以上の処理において、次のウエハがあるか否かを判定し、すべてのウエハが終了するまでS125〜93の処理を繰り返して行う(S95)。
【0054】
図9は、トリミング終了点決定方法を詳細に示す図である。それぞれ、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、(a)はa<bの場合、(b)はa=bの場合、(c)はa>bの場合である。
【0055】
疎パターンと密パターンは、同一のプラズマにさらされた場合に、パターン間のスペース幅の違いにより、エッチャントや反応生成物から受ける影響が異なるために、同じスピードで削れることはなく、通常、許容可能な範囲(〜5nm)でずれを生ずる。そこで、エッチングの進行に伴い、トリミング目標値を先に超える密パターンと目標値に満たない疎パターンが存在する。密パターンの予測値をAとし、この時の目標値との距離をa、疎パターンの予測値をBとして、この時の目標値との距離をbとすると、時刻のT0では、図9(a)に示すようにa<bであったものが、エッチングの進行に伴い、図9(c)に示すようにa>bに変化するが(時刻T2)、図9(b)に示すようにa=bとなった時点のT1がトリミング終了点である。
【0056】
このように、疎密パターントリミング量の目標値からの距離が等しい時点をエッチング終了点とすることで、疎パターンと密パターンとの距離間の疎密差が等しい場合には、エッチング速度、すなわち疎密パターンの傾きが異なる場合にも、常に疎密パターンのトリミング量がロット内・ロット間で等しくなる時点でトリミングを終了することが可能である。
【0057】
図10は、トリミング量の疎密差が異なった場合の終了点決定方法を示す図である。それぞれ、横軸をトリミング時間、縦軸を予測トリミング量とし、(a)は疎密差Dの場合、(b)は疎密差D+ΔDの場合である。
【0058】
図10(a)に示すトリミング量の疎密差Dが、図10(b)に示すように、装置状態によって疎密差許容範囲内でΔDだけ変化した場合にも、目標値からの距離を疎密パターンで等しく保つことで、各パターンのトリミング量変動をΔD/2に按分することができ、トリミング量疎密差の変動が各パターンのトリミング量に与える影響を最小に抑えることが可能である。なお、疎密パターン差は、エッチング装置の要求仕様であり、大幅にずれることは考えられないため、ΔD/2は各パターンに許容されるばらつき±1nmを超えることはない。
【0059】
図11は、トリミング量予測を用いたトリミング量制御結果を示す図である。この図11に対して、トリミング時間を一定とした従来のトリミング処理結果は前述した図6の通りである。
【0060】
従来のトリミング処理では、前記図6に示したように、一定の疎密差を持って、ロット内変動およびロット間変動が存在し、目標とする結果が得られなくなった時点で頻繁に全掃を実施していたが、本発明によるトリミング量予測を用いたトリミング量制御では、図11に示すように、送処理枚数に対して疎密パターンのトリミング量がほぼ一定で、かつロット内変動、ロット間変動も小さくなり、ロット間変動・ロット内変動ともに抑制されて、疎密パターン毎のトリミング量制御の効果が明らかである。
【0061】
このように、装置変動を発光スペクトルの特徴量として捉えて予測回帰モデルに組み込んだ、疎密パターン別トリミング量予測制御方法を用いることで、従来発生していたトリミング量の経時変動が抑制され、精度良いトリミング加工が可能となって、装置信頼性が向上した。また、これまではトリミング結果の経時変動量が許容変動量を超えた時点で、装置状態をリセットする全掃作業を頻繁に実施していたが、トリミング量予測制御を実施することで、トリミング量の経時変動が抑制され、全掃に到るまでに処理可能な総処理枚数が大幅に増えて、装置稼働率が向上した。また、ゲート寸法は、デバイスの性能を決定付ける重要な因子であり、ゲート加工に用いるマスクレジスト寸法が高精度に管理されることで、ゲート加工精度を向上し、デバイスの信頼性が向上した。
【0062】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2においては、トリミング量予測モデルを処理結果に基づき更新するトリミング量Run−to−Run制御方法について説明する。近年、微細パターンを計測する手法として、光散乱を用いた形状推定手段(Optical Critical Dimensionを略して以下OCDと記載する。)が実用化されてきた。エッチング装置毎にOCDモジュールを搭載することが可能であり、処理前後のパターン寸法や形状を装置において計測できるために、計測に要する時間を軽減でき、かつ計測点数を大幅に向上する点がOCD搭載のメリットである。
【0063】
前述のモデル導出方法の説明で述べたように、モデル導出する際に装置変動をカバーする十分な範囲で実験を実施すると、高精度なモデルが導出できるが、実験実施に時間を要する。そこで、OCDを活用すればトリミング実施後に、その場でトリミング量を計測することが可能であり、トリミング量とトリミング時間およびこの時の発光スペクトルを用いて疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを逐次更新していくことができる。モデルは、装置状態に応じて調整されるので、加工精度を確保したまま、初期のオフラインモデル導出に必要なウエハ枚数や工数を低減することが可能である。
【0064】
図12は、本実施の形態に係るトリミング量Run−to−Run制御システムの概要を示す図である。図12において、本実施の形態に係るトリミング量Run−to−Run制御システムは、前記実施の形態1のプラズマエッチング処理装置(Etch)13に対して、OES19等の他に、OCD171が搭載されており、トリミング量Run−to−Run制御が可能となっている。
【0065】
図13は、トリミング量Run−to−Run制御方法を示すフローチャートである。このトリミング量Run−to−Run制御方法において、予め準備したトリミング量予測回帰モデルと固有ベクトルと基準ベクトルを用いて疎密パターン毎にトリミング量予測を行いながら、目標トリミング量にてトリミングを終了する点までは(S121〜93)、前述したトリミング量制御方法と同様であり、同一のステップには同一の番号を付して説明を省略する。
【0066】
続いて、S93のトリミング終了後に、疎密パターン毎にトリミング量をOCDにて計測する(S94)。次に、得られた発光スペクトルとオフラインモデル導出のステップにて使用した過去の発光スペクトルとを用いて、再び発光データの主成分解析を実施する(S96)。ここで、新たな固有ベクトルと基準ベクトルが得られるので、次のトリミング量制御に用いる固有ベクトルと基準ベクトルとして更新する(S181,182)。そして、新たに得られた固有ベクトルと基準ベクトルを用いて発光主成分スコアを算出し(S99)、発光主成分スコアおよびトリミング時間より新たな疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出して、これを次のウエハのトリミング量予測回帰モデルとして現モデルを更新する(S183)。
【0067】
このように、トリミング実施後に、OCDでトリミング量を計測して、トリミング量とトリミング時間およびこの時の発光スペクトルを用いて疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを逐次更新していくことができる。
【0068】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、トリミング量モニタリング方法について説明する。
【0069】
図14は、トリミング量モニタリング方法を示すフローチャートである。このトリミング量モニタリング方法において、前述したトリミング量制御方法と同様に、発光スペクトルの主成分スコアとこの時のトリミング時間とを用いて予測した疎密パターン毎のトリミング量を算出し(S121〜128)、この算出したトリミング量を表示し(S191)、トリミング終了まで繰り返す(S192)。
【0070】
このように、疎密パターン毎のトリミング量は、これを表示する機能と組み合わせれば、逐次算出したトリミング量のトリミングモニター機構を実現することができる。
【0071】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4においては、トリミング量制御システムのインターフェース画面および処理の流れについて説明する。
【0072】
前記実施の形態1〜3では、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを用いたトリミング量予測制御方法について述べたが、これを実現するためのシステムについて、本実施の形態では簡単な例を説明する。
【0073】
図15は、トリミング量制御システムの構成と、このシステムのインターフェース画面および処理の流れを示す図である。
【0074】
トリミング量制御システムは、OES19、PC111、OCD171等が搭載されたプラズマエッチング処理装置13と、莫大な量の発光スペクトルと処理時間、処理結果であるトリミング量を収集・保存し、活用するためのデータサーバ201をLAN等のネットワーク上に備えて構成される。
【0075】
本トリミング量制御システムは、前記図2に示した2ステップからなる処理の流れを、図15のようなインターフェース画面を用いて実行する。
【0076】
まず、モデル導出ボタン211を押すと、モデル導出に必要となる解析対象を選択するための画面に遷移する。ここで、解析対象の選択キーワード213を入力し、実行ボタン214を押すことで、データサーバ201に蓄えられた発光スペクトルと、トリミング時間およびトリミング量を取得する。そして、発光スペクトルに対して主成分解析を実施し、特徴量を算出するための係数および基準ベクトルを算出する。また、特徴量とトリミング時間より、トリミング量を予測する疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを導出する。この処理の流れは、前記図6に示したものと同様である。
【0077】
次に、トリミング量制御ボタン212を押した場合の処理について述べる。前記図2に示したとおり、終点の決定に寸法目標値216と初期寸法値217から算出されるトリミング量目標値が必要である。これらの値を入力して実行ボタン214を押すと、予め得られた係数および基準ベクトルを用いて、エッチング装置から得られる発光スペクトルを特徴量に逐次変換する。この時の処理時間とともに疎密パターン別トリミング量予測回帰モデルを用いて、疎密パターン毎のトリミング予測量を逐次算出し、画面上に表示する。このトリミング量予測および終了点判定の処理フローは、前記図8に示したものと同等である。これにより、トリミング終了点218を判定し、トリミング処理を終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、装置状態を示す特徴量である発光スペクトルの主成分スコアおよびトリミング時間により、現在のトリミング量を逐次把握することが可能であり、このトリミング量予測結果に基づいて最適なトリミング時間にてトリミングプロセスを終了するので、装置状態の変化に基づくロット間変動・ロット内変動を抑えて精度の良いデバイス加工を実施することができる。
【0079】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5においては、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法と、ポリシリコントリミングプロセスについて説明する。
【0080】
前記実施の形態1〜4においては、複数のトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量である場合を例に説明したが、本実施の形態では、別の例を説明する。
【0081】
図16は、ウエハ上のトリミング速度を示す図である。図16に示すように、一般にトリミング速度は、ウエハの中央に対して点対称に分布する。このような場合、面内の全ての点で目標値近傍にトリミング結果を収めるためには、複数点のトリミング量を予測し、終了点を判定する必要がある。
【0082】
図17は、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法を示す図である。図17において、中央Cと半径Bの領域と半径Aの領域の3種類のトリミング量を予測する。予測トリミング量が最大となる半径Bの領域のトリミング量予測結果と、予測トリミング量が最小となる半径Aの領域のトリミング量予測結果に着目し、それぞれの値と目標値との距離が等しくなる点をトリミング終了点とする。
【0083】
図18は、ポリシリコントリミングプロセスを示す図である。(a)はポリシリコントリミングの初期状態、(b)はポリシリコンエッチング後の状態、(c)はポリシリコントリミング後の状態を示す。
【0084】
トリミング(細線化)は、前述した図3のレジスト以外に、ポリシリコンにも適用可能である。ポリシリコントリミングプロセスは、所望のゲート寸法を得るためにレジストマスクではなく、ゲート材料であるポリシリコンを直接細線化する技術である。
【0085】
ポリシリコントリミングプロセスでは、初期状態が、図18(a)に示すように、ポリシリコン上にSiO2が積層された構造となっている。まず、図18(b)に示すように、SiO2をマスクとして、ポリシリコンを側壁保護膜を生成しながらエッチングする。その後、ガス種を変えて、側壁保護膜の形成なしに残りのポリシリコンを縦方向と横方向にエッチングすることで、図18(c)のようにパターン幅を細線化する。通常、時間管理でトリミングプロセスの終了点を決定しているが、トリミング量予測回帰モデルを用いて、トリミング量を逐次予測し、終了点を決定することで、高精度なトリミングプロセスの実施が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係るトリミング量制御システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、トリミング量制御方法を実現する2つのステップを示す図である。
【図3】(a),(b)は本発明の実施の形態1において、トリミングプロセスの概念を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1において、同一条件でトリミングを実施した際の総処理枚数に対するトリミング量の推移を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1において、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出の実験条件を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1において、疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル導出方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1において、トリミング量予測回帰モデルの概念を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1において、トリミング量制御方法を示すフローチャートである。
【図9】(a)〜(c)は本発明の実施の形態1において、トリミング終了点決定方法を詳細に示す図である。
【図10】(a),(b)は本発明の実施の形態1において、トリミング量の疎密差が異なった場合の終了点決定方法を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1において、トリミング量予測を用いたトリミング量制御結果を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係るトリミング量Run−to−Run制御システムの概要を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2において、トリミング量Run−to−Run制御方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3において、トリミング量モニタリング方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態4において、トリミング量制御システムの構成と、このシステムのインターフェース画面および処理の流れを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態5において、ウエハ上のトリミング速度を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態5において、複数の予測トリミング量を用いた終了判定方法を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の実施の形態5において、ポリシリコントリミングプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
11…ホトリソグラフィ処理装置、12…計測器、13…プラズマエッチング処理装置、14…必要レジスト寸法、15…トリミング時間、16…特徴量、17…疎密パターン別トリミング量予測回帰モデル、18…疎密パターン別トリミング量予測値、19…発光分光器、110…目標トリミング量、111…パーソナルコンピュータ、112…トリミング終了点判定部、171…光散乱形状推定手段、201…データサーバ、211…モデル導出ボタン、212…トリミング量制御ボタン、213…選択キーワード、214…実行ボタン、216…寸法目標値、217…初期寸法値、218…トリミング終了点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルとを備え、
前記特徴量と前記トリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出し、
前記トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、前記トリミング量を予測するモデルを更新することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記逐次算出されるトリミング予測量を表示することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項4】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルと、
前記特徴量と前記トリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出する手段と、
前記トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了する手段と、
前記トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、前記トリミング量を予測するモデルを更新する手段とを備えることを特徴とするトリミング量制御システム。
【請求項5】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とマスクトリミング時間に基づき、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルとを備え、
前記特徴量と前記マスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出し、
前記複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記複数種類のマスクトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量であることを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記逐次算出される複数種類のマスクトリミング予測量を表示することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項9】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とマスクトリミング時間に基づき、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルと、
前記特徴量と前記マスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出する手段と、
前記複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了する手段と、
前記マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新する手段とを備えることを特徴とするトリミング量制御システム。
【請求項1】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルとを備え、
前記特徴量と前記トリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出し、
前記トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、前記トリミング量を予測するモデルを更新することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記逐次算出されるトリミング予測量を表示することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項4】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とトリミング時間に基づき、トリミング量を予測するモデルと、
前記特徴量と前記トリミング時間とからトリミング予測量を逐次算出する手段と、
前記トリミング予測量が予め定められたトリミング量目標値以上となった時点で、トリミング処理を終了する手段と、
前記トリミング処理の終了時に、計測したトリミング量とこの時のモニタリング結果をもとに、前記トリミング量を予測するモデルを更新する手段とを備えることを特徴とするトリミング量制御システム。
【請求項5】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とマスクトリミング時間に基づき、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルとを備え、
前記特徴量と前記マスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出し、
前記複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記複数種類のマスクトリミング量は、疎パターンと密パターンの2種類のパターンのマスクトリミング量であることを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5記載のプラズマエッチング処理装置の制御方法において、
前記逐次算出される複数種類のマスクトリミング予測量を表示することを特徴とするプラズマエッチング処理装置の制御方法。
【請求項9】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマエッチング処理装置と、
装置状態をモニタリングする測定手段と、
前記測定手段の出力であるモニタリング結果から特徴量を算出する手段と、
前記特徴量とマスクトリミング時間に基づき、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルと、
前記特徴量と前記マスクトリミング時間とから複数種類のマスクトリミング予測量を逐次算出する手段と、
前記複数種類のマスクトリミング予測量と予め定められたマスクトリミング量目標値との距離が等しくなった時点で、マスクトリミング処理を終了する手段と、
前記マスクトリミング処理の終了時に、計測したマスクトリミング量とこの時のモニタリング結果およびマスクトリミング時間をもとに、前記試料上の異なる複数種類のマスクトリミング量をそれぞれ予測するモデルを更新する手段とを備えることを特徴とするトリミング量制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−13013(P2006−13013A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185718(P2004−185718)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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