プラズマ耐性コーティングで基板をコーティングする方法および関連するコーティングされた基板
本発明は、微粒子化の低減を示すプラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法であって、基板にコーティング層を適用するステップを含む方法を含み、コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない。[0062]記載される方法によって調製されるコーティングされた基板。また、本発明には、フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで構造要素として使用するためのコーティングされた基板も含まれ、コーティングは、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層であり、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本特許出願は、2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/264,556号の利益を米国特許法第119条(e)の下に主張し、この仮特許出願の開示が本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ケイ素または石英は、半導体処理装置の種々の構成要素に広く使用される。しかしながら、これらの材料は、プラズマエッチング中に容易にエッチングされる。したがって、ケイ素または石英系材料がプラズマエッチング処理で広く採用されるにつれて、保護コーティング層の適用によってケイ素または石英を保護および維持する試みが行われてきた。そのような遮またはコーティング層の目的は、種々のプラズマ(NF3、Cl2、C4F8、CF4、CHF3、CH2F2、SF6、およびHBr)への石英またはケイ素材料の曝露を低減し、それにより、重量損失を防止するか、もしくは低減するように、および/または粒子がチャンバ壁もしくはフォトレジスト材料から除去され得るドライエッチング処理中の微粒子化を低減するように作用することである。
【0003】
従来のコーティングおよび方法は、好適な遮蔽または保護層を開発する試みに使用されてきた。例えば、プラズマエッチング条件において化学的に安定していることが既知である、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、SiAlON等の種々のセラミック材料を含有するコーティングが調製されてきた。
【0004】
これらのコーティング材料のうちのいくつかの不利点は、(エッチングに起因する)重量損失が低減され得るが、多くの場合、コーティング材料がプラズマ構成要素と反応し、不要な微粒子を生成し得ることである。例えば、ケイ素または石英がアルミナでコーティングされる場合、基板がプラズマエッチング環境から保護されるため、重量損失は低減される。しかしながら、フッ素含有エッチング環境において、コーティングからのアルミナがフッ素ベースのプラズマと反応し、高度に安定した化合物であるフッ化アルミニウムを形成することが分かる。フッ化アルミニウムの安定性により、それはチャンバの中で蒸発せず、微粒子の形態でチャンバの中に残り、それは、処理されている半導体ウエハーを汚染し得る。したがって、酸化アルミニウムがプラズマエッチング環境において化学的に安定した材料であるにもかかわらず、微粒子化の問題は、その用途を制限する。
【0005】
イットリアで石英基板をコーティングすることによって、微粒子化の問題を軽減するいくつかの従来技術の試みが行われてきた。イットリアおよびアルミナは、同様の方法でプラズマエッチングガスと相互作用する。イットリアは、半導体産業において、プラズマエッチング速度を減少させ、粒子生成を防止する材料であることが既知である。したがって、多くのイットリア適用が、プラズマエッチング関連部品に導入された。多くの場合、他の材料からすでに製造されている部品に適用されるコーティングの代わりに、バルクイットリアが部品に使用された。
【0006】
しかしながら、バルクイットリアの適用は不利点を有する。例えば、それは高価であり、良好な機械的強度を有しない。さらに、バルクイットリアのほとんどは、完全密度まで緻密化され得ず、細かいイットリア粒子がプラズマエッチング中に落ち得るバルク部品の比較的多孔質な表面をもたらす。
【0007】
バルクイットリアの使用と関連する問題に対応するために、コーティングされたイットリア部品を使用する試みが行われた。多くの従来のコーティング適用において、溶射コーティングが広く利用されているが、溶射処理は、プラズマエッチング中にイットリア粒子を落とし得る多孔質構造を有するコーティングを生じさせる。さらに、溶射コーティング層の多孔性によって、層は、フッ素ベースのプラズマの攻撃から下層の基板を保護するために比較的厚くなければならない。
【0008】
さらに、これらの種類のイットリアコーティングの使用に対する1つの根源的な不利点は、コーティングが非常に低い熱膨張係数を有するため、基板、特に石英基板から分離する傾向があることである。熱サイクルへの曝露によって、コーティング層と基板材料との間の熱膨張係数の差はあまりに大きく、分離または剥離が生じ得る。したがって、基板から剥離するこの傾向は、イットリアコーティングの使用を非常に非実用的なものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、イットリアコーティングによって提供される利点、特に、微粒子汚染を呈しないその傾向を考慮して、当該技術分野において、有意な剥離なしでそのようなコーティングの使用を可能にする技術的解決法の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な概要)
本発明は、微粒子化の低減を示すプラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法であって、基板にコーティング層を適用するステップを含む方法を含み、コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない。
【0011】
また、記載される方法によって調製されるコーティングされた基板も含まれる。また、本発明には、フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで構造要素として使用するためのコーティングされた基板も含まれ、コーティングは、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層であり、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す。
【0012】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素が含まれ、構造要素の表面の少なくとも一部分は、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層でコーティングされ、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す。
【0013】
上記の概要および以下の発明の好適な実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとよりよく理解される。本発明は、示される正確な配列および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、サンプルコーティングを示す、イオンビームによって支援される概略的な電子ビームコーティングチャンバである。
【図2】図2は、従来のプラズマスプレーコーティングによる典型的なイットリアコーティング(左側の画像)およびイオンビームによって支援される電子ビームによる物理蒸着コーティング(右側の画像)の微細構造を示す。
【図3】図3は、異なる熱膨張係数を有する概略的なコーティング層設計および残留応力を示す。
【図4】図4は、残留応力を低減するために緩衝層を有する概略的なコーティング層設計を示す。
【図5】図5は、石英基板上にコーティングされる、透明の5ミクロンの厚さのイットリアを示す。
【図6】図6は、図5に示す、石英基板上にコーティングされる5ミクロンの厚さのイットリアのインライン透過率を示す。
【図7】図7は、a)多孔質コーティングおよびb)ひび割れしたコーティング層の質の悪いコーティング層の概略的な図を示す。
【図8】図8は、プラズマエッチングの前後の石英上にコーティングされるイットリアの断面を示す。
【図9】図9は、プラズマエッチングの前後の部分的にイットリアでコーティングされたケイ素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載される発明は、プラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法を含む。このコーティングは、コーティング層が、現在利用可能なイットリアコーティング、例えば、溶射処理によって調製されるものと比較して高密度かつ薄型であるという点で独特である。コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、プラズマエッチング条件下で微粒子化の低減を示す。また、本方法によって作られるコーティングされた基板も含まれ、基板は、約20ミクロン以下の厚さを有し、微粒子化の低減およびプラズマ耐性を示すコーティング層を有する。
【0016】
コーティングされる基板は、当該技術分野で既知のいずれの基板であってもよい。チャンバ壁、絶縁体、静電チャック、窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、インサートリング、スクリュー、ボルト、およびファスナー等、半導体ウエハー処理で使用するための要素を製造するために使用される基板材料が好ましくあり得る。
【0017】
基板材料の例としては、石英、ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、および様々な種類のセラミック複合材料が挙げられ得るが、これに限定されない。
【0018】
コーティング層は、プラズマ含有環境、特に、例えばフッ素ベースのプラズマ含有環境に曝露された時に、あるレベルのプラズマ耐性および/または微粒子化の低減を示すことが可能である任意の材料から形成されてもよい。例えば、コーティング層は、イットリアまたはイットリア由来複合材料、例えば、イットリウムアルミニウムガーネット、もしくはイットリウムアルミニウムペロブスカイト、または列挙される例のうちのいずれかの組み合わせから形成されてもよい。さらに、フッ化イットリウム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア等の他の材料もまた、本発明に含まれ得る。
【0019】
コーティング層の中で使用される例示的な材料の熱膨張係数を含む機械および熱特性を表I
【0020】
【表1】
に示す。
【0021】
そのような基板材料は、種々の熱膨張係数を有し得る。場合によっては、コーティング層の熱膨張係数は、基板の熱膨張係数よりも大きくてもよい。場合によっては、それは、逆であってもよい。基板とコーティング層との間に熱膨張係数の差がある場合、コーティングが昇温で実施される際、常に残留応力が存在するであろう。したがって、コーティング層は、残留応力を低減するように適切に設計されるべきである。例えば、基板は、石英の場合、約0.55×10−6/℃の低い熱膨張係数を有し得、イットリアコーティング層の熱膨張係数は、はるかに高く(8.1×10−6/℃)、対照的に、アルミニウム基板の熱膨張係数(27×10−6/℃)は、イットリアコーティング層よりもはるかに高い。
【0022】
いくつかの場合において、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数の不一致が大きい時、例えば、5×10−6/℃を超える差がある時、基板とコーティング層との間に中間緩衝層を置くことが望ましくあり得る。緩衝層は、基板の熱膨張係数の値とコーティング層の熱膨張係数の値との間の、好ましくは、2つの値の間の中間点にある熱膨張係数を有する材料から作られることが好ましくあり得る。
【0023】
一実施形態では、コーティング層は、基板の表面に沿って実質的に均一の厚さを有する。コーティング層の厚さは、約20ミクロン以下であることが好ましくあり得る。あるいは、コーティング層の厚さは、約15ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、および/または約2ミクロン以下である。一実施形態では、コーティング層は、基板の表面に沿って実質的に均一の密度を有する。コーティングの密度は、プラズマエッチング耐性に影響を及ぼし得る。コーティングが十分に高密度でない場合、フッ素プラズマ化学物質がコーティング層の中の空隙に浸透し、基板を攻撃する。いったんコーティングされた基板が攻撃されると、コーティング層の剥離またはフレーキングが観察される。コーティングの相対密度は、コーティング層の中の空隙の相対体積比の影響を受ける。コーティングが高密度で、空隙を含まない場合、コーティング密度は、コーティング材料の理論密度と同一であるはずである。しかしながら、アルキメデス法でコーティング層の密度を測定することは不可能である。代わりに、顕微鏡による断面画像が、相対コーティング密度を識別するために良好な表現であり得る。コーティング密度を定量的に表現する単純な方法は、基板が透明である時のコーティングサンプルのインライン透過率を測定することである。いくつかの実施形態では、コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す。
【0024】
あるいは、所定体積の空間中に存在する材料の量を考慮してもよい。例えば、約90%の密度を有するコーティングは、1立方ミクロン当たり、体積の90%がコーティング材料によって占められることを意味する。本発明の一実施形態では、コーティング層は、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、および/または約99.9%の高密度を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、コーティングは、実質的にガス不浸透性である。
【0026】
コーティング層は、そのような適用処理が望ましい厚さおよび密度のコーティングの蒸着を可能にする限り、当該技術分野で既知の、または開発される任意の手段によって、基板に適用されてもよい。好適な適用処理は、物理蒸着コーティングおよび電子ビームコーティングを含んでもよく、例示的な処理は、例えば、米国特許第6,007,880号、第7,205,662号、および第7,311,797号に詳細に示され、それらのそれぞれの内容は、参照によって本明細書に援用される。どの方法が使用されるかにかかわらず、コーティング層は、比較的高密度なガス不浸透性層であり、および/または剥離もしくはフレーキングせず、かつ温度サイクルに耐えるべきであることが好ましくあり得る。
【0027】
一実施例として、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングチャンバを概略的に示す図1を提供する。チャンバ10は、高真空レベルを維持するために、ポンプ11(例えば、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、分子ドラッグポンプ、および/またはクライオポンプ)によって真空排気される。膜蒸着が起こる基板40は、予め十分に超音波洗浄される。基板40は、コーティングチャンバの中で固定具12によって保持されるものとする。基板40は、接着強度を高めるために、ヒータ13によって予熱される。コーティング対象材料20は、るつぼ21の中に配置される。多重コーティング層設計に対して、るつぼは、最大で6つの異なる対象材料を保持するよう設計され、るつぼは、対象材料を変更するように回転することができる。陽極アーク法によって電子銃から生成される電子ビーム22は、対象材料20を融解し、気相31としてチャンバの中で蒸発する。気相31は、基板40の表面上に蒸着する。電子ビームコーティング処理において、アルゴンガスから生成される1つまたは2つのイオン源30が、基板エッチングおよび洗浄のために使用される。イオンビーム支援コーティングは、接着強度を高め、コーティング層の密度を増加させると考えられる。
【0028】
プラズマによる従来の溶射コーティングによる典型的なイットリアコーティング、および本発明のイオンビームによって支援される電子ビームによる物理蒸着コーティングの微細構造を図2で見ることができる。プラズマによる従来の溶射コーティングのコーティング層が図2(左側の画像)に示すように厚く、多孔質(すなわち低密度)である一方で、電子ビームコーティングによるコーティングは、図2(右側の画像)に示すように高密度であり、したがって、厚くなる必要はない。概して、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数の不一致は、高くなるべきではない。不一致が大きい場合、コーティング層と基板との間で残留応力が増大し、コーティングされた試料が熱サイクルに曝露される場合、剥離またはクラックが起こりやすい。理論的に、コーティング層と基板との間の残留応力は、コーティング厚および熱膨張係数の不一致に比例する。したがって、理想的には、コーティング層が高密度である場合、コーティング厚を低減することがより良好である。
【0029】
電子ビームコーティングにおいて、より高い基板の温度は、接着強度を増加させるが、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数が大きい場合、冷却中に残留応力が増大し得る。残留応力を回避するためにコーティングチャンバ温度が増加させられる場合、コーティング層は、コーティングされたサンプルが熱サイクルに曝露されると剥離し得る。したがって、1)コーティング層と基板との間の熱膨張係数の不一致、および2)接着強度を考慮することによるコーティング温度、および3)コーティング厚を考慮することによって、コーティング処理パラメータが慎重に選択されるべきである。いくつかの実施形態では、約700℃未満の電子ビームコーティング処理によってコーティング処理を実施することが望ましくあり得る。
【0030】
図3は、異なる熱膨張係数を有するコーティング層構成を示す。コーティング層の熱膨張係数が基板よりも大きい時(例えば、石英基板上のイットリアコーティング)、コーティング層60は、コーティング後の冷却段階中に収縮し始める。しかし、基板50は、コーティング層60を収縮させない。したがって、コーティング層60の中で引張応力が増大し、基板50の中で圧縮応力が増大する。残留応力が大きすぎる場合、コーティングの表面に有害な亀裂またはクラックが観察され得る。そのような亀裂またはクラックは、コーティング層の表面にのみ見られるように発現し得る、有害ではない、微細なしわ(最小限の深さを有する)とは異なる。しかしながら、残留応力が高すぎる場合、深いクラックがコーティング層の中に見られ得る。この場合、クラックは、典型的には基板表面に達する。これらの種類のクラックは、コーティング条件を調整することによって、コーティング中に生成されるべきではない。クラックが深すぎる場合、基板は、クラックを通してプラズマエッチング中にエッチングされる可能性がある。したがって、コーティングにおける深いクラックの回避は、重要であり得る。
【0031】
一方で、コーティング層の熱膨張係数が基板よりも小さい場合(例えば、アルミニウム基板上のイットリアコーティング)、コーティング層51の中で圧縮応力が増大し、基板61の中で引張応力が増大する。応力を低減するために、薄いコーティングが好ましい。しかしながら、単にコーティング厚を低減するだけでは、プラズマエッチングから基板を保護することはできないであろう。
【0032】
熱膨張応力の不一致が高すぎる場合、図4に示すように、残留応力を低減するために緩衝層を組み込むことが必要である。コーティング層80の熱膨張係数が基板70よりも大きい時(例えば、石英基板上のイットリアコーティング)、緩衝層75の組み込みは、残留応力を低減し得る。緩衝層材料は、コーティング層80と基板70との間の熱膨張係数を有するべきである。この場合、熱膨張係数の不一致を低減するために、ケイ素材料が良好な実施例であり得る。
【0033】
一方で、コーティング層81の熱膨張が基板71よりも小さい時(例えば、アルミニウム上のイットリアコーティング)、緩衝層76の組み込みは、コーティング層81よりも大きいが、基板71よりも小さい熱膨張係数を有し得る。Al2O3またはZrO2ならびにCaF2およびYF3等のフッ化物化合物等のいくつかの種類の複合材料が、熱膨張係数を調整することが可能であり得る。CaF2およびYF3の別の利点は、フッ化物系プラズマエッチングによって容易に攻撃されないことである。
【0034】
プラズマエッチング処理に曝露された後のコーティング層は、例えば、光学的表面形状測定装置によって観察される時、深いクラックまたは亀裂を実施的に含むべきではない。例えば、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後、層は、コーティング層の断面(すなわち、層の頂面から層の底面)に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない。いくつかの実施形態では、時間は、約1〜約5時間、約1〜約10時間、および/または約1時間〜約1000時間である。あるいは、または加えて、時間は、適用される処理条件に応じて、最大で約5,000、最大で約7,000、および/または最大で約10,000時間であってもよい。
【0035】
図5は、石英基板上にコーティングされる5ミクロンの厚さのイットリアの写真を示す。コーティング層が非常に高密度であるため、サンプルは透明に見える。コーティング層が非常に高密度であるため、透過率は、石英基板と比較してコーティング後でさえ低減されない。このため、本発明のコーティングは、透明の窓材料としても使用することができる。
【0036】
図6は、図5に示す5ミクロンの厚さのイットリアでコーティングされた石英試料の光透過を示す。透過率が屈折率、基板およびコーティング層の吸光係数、ならびにコーティング厚の影響を受けるため、透過は、典型的な波形パターンを示す。本発明のコーティングは、可視範囲の中で80%を超えるインライン透過率を示す。コーティングが多孔質である場合、透過率は、それほど高くないであろう。
【0037】
先に述べたように、コーティング層は、ガス不浸透性層であり、基板に達する深いクラックを含むべきではない。この場合、基板は、プラズマエッチングによって攻撃され、コーティング層が基板から剥離し得る。
【0038】
図7は、多孔質コーティング層またはひび割れしたコーティング層を有する悪いコーティング実施例の概略的な図を示す。コーティング層が多孔質である時、エッチングガス112は、多孔質コーティング層110に浸透し得、次いで、基板100が部分的にエッチングされる。コーティング後の接着が良好であるにもかかわらず、多孔質コーティング層110は、もはや基板100に接着せず、コーティング層は、剥離し始め、エッチングされた空隙113を残す。多孔質コーティング層は、短い時間プラズマエッチングに曝露されたとしても検出され得る。
【0039】
一方で、コーティング層が非常に高密度であるにもかかわらず、コーティングが厚すぎた時、またはコーティング界面上に応力が蓄積されすぎた時、コーティング層は、ひび割れし得る。コーティング層120が基板に達したいくつかの深いクラック118を有する場合、エッチングガス117は、クラック118に浸透し、次いで、基板110がエッチングされ、空隙123を残す。その結果、コーティング層は、基板から剥離し始める。そのようなクラックは、コーティング条件を最適化することによって回避または排除され得る。
【0040】
図8は、プラズマエッチングの前後の石英上にコーティングされるイットリアの典型的な断面を示す。プラズマエッチング条件は、8時間にわたる35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットの直流プラズマであった。目立ったエッチングは観察されず、基板は、試料全体を通してNF3によって攻撃されていない。
【実施例】
【0041】
(実施例I)
300mmのウエハープラズマエッチングチャンバに使用される溶融石英から作られる石英ディスク(500mmの直径×50mmの厚さ)を調製し、コーティング基板として使用した。イソプロピルアルコールを用いてディスクを超音波洗浄した。次いで、ディスクを電子ビームコーティングチャンバに取り付け、真空下で一晩そのままにした。コーティングチャンバ真空レベルを2.4×10−5トルで保持し、1時間にわたって200℃まで予熱した。高純度イットリア対象(>99.99%)を電子ビームで蒸発させ、5ミクロンのコーティング厚を得るために、5時間にわたってコーティングした。電子ビームコーティングを支援するために、アルゴンイオンビームを使用した。コーティング後、サンプルを10時間にわたってSF6中でエッチング試験した。微粒子化またはエッチングは観察されなかった。プラズマに露出された範囲とマスクされた範囲との間のコーティング厚の差から、エッチング速度を測定した。試料をモノリシックイットリアセラミックで部分的にマスクした。プラズマエッチング実験後、表面形状測定装置を用いて高さの差を測定した。イットリアでコーティングされたサンプルの測定されたエッチング速度は、3nm/時間未満であった。
【0042】
(実施例II)
イットリアコーティングを作るために、ケイ素フォーカスリング(360mmの直径×3.4mmの厚さ)を使用した。イソプロピルアルコールを用いて基板を超音波洗浄した。次いで、リングを細かく切断し、実施例1に記載するものと同一の方法で部分的にコーティングした。コーティング厚は、頂面で7ミクロン、および縁部で3〜5ミクロンであった。フォーカスリングを2時間にわたって直流NF3プラズマ(35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワット)に露出した。
【0043】
図9は、部分的にコーティングされたケイ素フォーカスリングの典型的な実施例を示す。Asコーティングされた試料はコントラストにおいて差を示す。コーティング領域90は、非コーティング領域91よりもわずかに暗い。境界線を曲線で示した。2時間のエッチング後、コーティング領域95は、全くエッチングされていないが、非コーティング領域96は、1.5mmの深さにエッチングされている。同様に、ケイ素フォーカスリングを非コーティング側面から攻撃した。イットリアフィルム97がケイ素リングの表面上に残っていることがなおも観察される。底部分をエッチングした。
【0044】
(実施例III)
イットリアコーティングを作るために、アルミニウムクーポン(30×30×3mm)を使用した。実施例1に記載するものと同一の方法で基板をコーティングした。コーティング厚は、5ミクロンであった。コーティングされたサンプルを直流NF3プラズマ中でプラズマエッチング試験した。エッチング条件は、35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットのプラズマ出力であった。サンプルを8時間にわたってエッチングした。プラズマエッチング後、コーティング表面上の損傷は観察されなかった。エッチングされたサンプルを横に切り、SEMによって測定されるコーティング厚をプラズマエッチング前のサンプルと比較した。エッチング速度は、アルミニウム金属上のコーティングの場合、3nm/時間未満であった。
【0045】
(実施例IV)
サファイアクーポン(25×25×3mm)を電子ビームコーティングによってY2O3コーティング層でコーティングした。実施例Iに記載するものと同一の方法で基板をコーティングした。コーティング厚は、5ミクロンであった。コーティングされたサンプルを直流NF3プラズマ中でプラズマエッチング試験した。エッチング条件は、35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットのプラズマ出力であった。サンプルを72時間にわたってエッチングした。コーティングされた範囲とマスクされた範囲との間のステップ高の差を測定するために、コーティングの一部分をイットリアセラミックでマスクした。測定されたエッチング速度は、0.5nm/時間未満であった。
【0046】
(実施例V)
石英クーポン(25×25×10mm)を、Si緩衝層を有するY2O3コーティング層でコーティングした。最初に、緩衝層を電子ビームコーティング法によって約0.5ミクロンの厚さにコーティングし、次いで、4ミクロンのイットリアを緩衝層上にコーティングした。緩衝層は、残留応力を増加させる働きをする。サンプルを300℃まで加熱処理し、2時間保持し、次いで、冷却した。参照により本明細書に援用されるASTM D3359−09で定められるパーマセルテープ試験による熱サイクル試験を実施した後に、コーティングは剥離しなかった。コーティング後、コーティングの色は、ケイ素コーティング層により暗褐色であった。サンプルをNF3でプラズマエッチングし、エッチングは、SEMによって観察されなかった。EDSによって、表面は、なおもイットリアピークを示している。
【0047】
上記の実施形態の広範な発明概念から逸脱することなしに、上記の実施形態が変更され得ることが当業者によって理解される。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神および範囲内の修正を含むよう意図されることを理解される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本特許出願は、2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/264,556号の利益を米国特許法第119条(e)の下に主張し、この仮特許出願の開示が本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ケイ素または石英は、半導体処理装置の種々の構成要素に広く使用される。しかしながら、これらの材料は、プラズマエッチング中に容易にエッチングされる。したがって、ケイ素または石英系材料がプラズマエッチング処理で広く採用されるにつれて、保護コーティング層の適用によってケイ素または石英を保護および維持する試みが行われてきた。そのような遮またはコーティング層の目的は、種々のプラズマ(NF3、Cl2、C4F8、CF4、CHF3、CH2F2、SF6、およびHBr)への石英またはケイ素材料の曝露を低減し、それにより、重量損失を防止するか、もしくは低減するように、および/または粒子がチャンバ壁もしくはフォトレジスト材料から除去され得るドライエッチング処理中の微粒子化を低減するように作用することである。
【0003】
従来のコーティングおよび方法は、好適な遮蔽または保護層を開発する試みに使用されてきた。例えば、プラズマエッチング条件において化学的に安定していることが既知である、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、SiAlON等の種々のセラミック材料を含有するコーティングが調製されてきた。
【0004】
これらのコーティング材料のうちのいくつかの不利点は、(エッチングに起因する)重量損失が低減され得るが、多くの場合、コーティング材料がプラズマ構成要素と反応し、不要な微粒子を生成し得ることである。例えば、ケイ素または石英がアルミナでコーティングされる場合、基板がプラズマエッチング環境から保護されるため、重量損失は低減される。しかしながら、フッ素含有エッチング環境において、コーティングからのアルミナがフッ素ベースのプラズマと反応し、高度に安定した化合物であるフッ化アルミニウムを形成することが分かる。フッ化アルミニウムの安定性により、それはチャンバの中で蒸発せず、微粒子の形態でチャンバの中に残り、それは、処理されている半導体ウエハーを汚染し得る。したがって、酸化アルミニウムがプラズマエッチング環境において化学的に安定した材料であるにもかかわらず、微粒子化の問題は、その用途を制限する。
【0005】
イットリアで石英基板をコーティングすることによって、微粒子化の問題を軽減するいくつかの従来技術の試みが行われてきた。イットリアおよびアルミナは、同様の方法でプラズマエッチングガスと相互作用する。イットリアは、半導体産業において、プラズマエッチング速度を減少させ、粒子生成を防止する材料であることが既知である。したがって、多くのイットリア適用が、プラズマエッチング関連部品に導入された。多くの場合、他の材料からすでに製造されている部品に適用されるコーティングの代わりに、バルクイットリアが部品に使用された。
【0006】
しかしながら、バルクイットリアの適用は不利点を有する。例えば、それは高価であり、良好な機械的強度を有しない。さらに、バルクイットリアのほとんどは、完全密度まで緻密化され得ず、細かいイットリア粒子がプラズマエッチング中に落ち得るバルク部品の比較的多孔質な表面をもたらす。
【0007】
バルクイットリアの使用と関連する問題に対応するために、コーティングされたイットリア部品を使用する試みが行われた。多くの従来のコーティング適用において、溶射コーティングが広く利用されているが、溶射処理は、プラズマエッチング中にイットリア粒子を落とし得る多孔質構造を有するコーティングを生じさせる。さらに、溶射コーティング層の多孔性によって、層は、フッ素ベースのプラズマの攻撃から下層の基板を保護するために比較的厚くなければならない。
【0008】
さらに、これらの種類のイットリアコーティングの使用に対する1つの根源的な不利点は、コーティングが非常に低い熱膨張係数を有するため、基板、特に石英基板から分離する傾向があることである。熱サイクルへの曝露によって、コーティング層と基板材料との間の熱膨張係数の差はあまりに大きく、分離または剥離が生じ得る。したがって、基板から剥離するこの傾向は、イットリアコーティングの使用を非常に非実用的なものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、イットリアコーティングによって提供される利点、特に、微粒子汚染を呈しないその傾向を考慮して、当該技術分野において、有意な剥離なしでそのようなコーティングの使用を可能にする技術的解決法の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な概要)
本発明は、微粒子化の低減を示すプラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法であって、基板にコーティング層を適用するステップを含む方法を含み、コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない。
【0011】
また、記載される方法によって調製されるコーティングされた基板も含まれる。また、本発明には、フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで構造要素として使用するためのコーティングされた基板も含まれ、コーティングは、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層であり、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す。
【0012】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素が含まれ、構造要素の表面の少なくとも一部分は、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層でコーティングされ、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後のコーティング層は、コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す。
【0013】
上記の概要および以下の発明の好適な実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとよりよく理解される。本発明は、示される正確な配列および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、サンプルコーティングを示す、イオンビームによって支援される概略的な電子ビームコーティングチャンバである。
【図2】図2は、従来のプラズマスプレーコーティングによる典型的なイットリアコーティング(左側の画像)およびイオンビームによって支援される電子ビームによる物理蒸着コーティング(右側の画像)の微細構造を示す。
【図3】図3は、異なる熱膨張係数を有する概略的なコーティング層設計および残留応力を示す。
【図4】図4は、残留応力を低減するために緩衝層を有する概略的なコーティング層設計を示す。
【図5】図5は、石英基板上にコーティングされる、透明の5ミクロンの厚さのイットリアを示す。
【図6】図6は、図5に示す、石英基板上にコーティングされる5ミクロンの厚さのイットリアのインライン透過率を示す。
【図7】図7は、a)多孔質コーティングおよびb)ひび割れしたコーティング層の質の悪いコーティング層の概略的な図を示す。
【図8】図8は、プラズマエッチングの前後の石英上にコーティングされるイットリアの断面を示す。
【図9】図9は、プラズマエッチングの前後の部分的にイットリアでコーティングされたケイ素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載される発明は、プラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法を含む。このコーティングは、コーティング層が、現在利用可能なイットリアコーティング、例えば、溶射処理によって調製されるものと比較して高密度かつ薄型であるという点で独特である。コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、プラズマエッチング条件下で微粒子化の低減を示す。また、本方法によって作られるコーティングされた基板も含まれ、基板は、約20ミクロン以下の厚さを有し、微粒子化の低減およびプラズマ耐性を示すコーティング層を有する。
【0016】
コーティングされる基板は、当該技術分野で既知のいずれの基板であってもよい。チャンバ壁、絶縁体、静電チャック、窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、インサートリング、スクリュー、ボルト、およびファスナー等、半導体ウエハー処理で使用するための要素を製造するために使用される基板材料が好ましくあり得る。
【0017】
基板材料の例としては、石英、ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、および様々な種類のセラミック複合材料が挙げられ得るが、これに限定されない。
【0018】
コーティング層は、プラズマ含有環境、特に、例えばフッ素ベースのプラズマ含有環境に曝露された時に、あるレベルのプラズマ耐性および/または微粒子化の低減を示すことが可能である任意の材料から形成されてもよい。例えば、コーティング層は、イットリアまたはイットリア由来複合材料、例えば、イットリウムアルミニウムガーネット、もしくはイットリウムアルミニウムペロブスカイト、または列挙される例のうちのいずれかの組み合わせから形成されてもよい。さらに、フッ化イットリウム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア等の他の材料もまた、本発明に含まれ得る。
【0019】
コーティング層の中で使用される例示的な材料の熱膨張係数を含む機械および熱特性を表I
【0020】
【表1】
に示す。
【0021】
そのような基板材料は、種々の熱膨張係数を有し得る。場合によっては、コーティング層の熱膨張係数は、基板の熱膨張係数よりも大きくてもよい。場合によっては、それは、逆であってもよい。基板とコーティング層との間に熱膨張係数の差がある場合、コーティングが昇温で実施される際、常に残留応力が存在するであろう。したがって、コーティング層は、残留応力を低減するように適切に設計されるべきである。例えば、基板は、石英の場合、約0.55×10−6/℃の低い熱膨張係数を有し得、イットリアコーティング層の熱膨張係数は、はるかに高く(8.1×10−6/℃)、対照的に、アルミニウム基板の熱膨張係数(27×10−6/℃)は、イットリアコーティング層よりもはるかに高い。
【0022】
いくつかの場合において、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数の不一致が大きい時、例えば、5×10−6/℃を超える差がある時、基板とコーティング層との間に中間緩衝層を置くことが望ましくあり得る。緩衝層は、基板の熱膨張係数の値とコーティング層の熱膨張係数の値との間の、好ましくは、2つの値の間の中間点にある熱膨張係数を有する材料から作られることが好ましくあり得る。
【0023】
一実施形態では、コーティング層は、基板の表面に沿って実質的に均一の厚さを有する。コーティング層の厚さは、約20ミクロン以下であることが好ましくあり得る。あるいは、コーティング層の厚さは、約15ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、および/または約2ミクロン以下である。一実施形態では、コーティング層は、基板の表面に沿って実質的に均一の密度を有する。コーティングの密度は、プラズマエッチング耐性に影響を及ぼし得る。コーティングが十分に高密度でない場合、フッ素プラズマ化学物質がコーティング層の中の空隙に浸透し、基板を攻撃する。いったんコーティングされた基板が攻撃されると、コーティング層の剥離またはフレーキングが観察される。コーティングの相対密度は、コーティング層の中の空隙の相対体積比の影響を受ける。コーティングが高密度で、空隙を含まない場合、コーティング密度は、コーティング材料の理論密度と同一であるはずである。しかしながら、アルキメデス法でコーティング層の密度を測定することは不可能である。代わりに、顕微鏡による断面画像が、相対コーティング密度を識別するために良好な表現であり得る。コーティング密度を定量的に表現する単純な方法は、基板が透明である時のコーティングサンプルのインライン透過率を測定することである。いくつかの実施形態では、コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す。
【0024】
あるいは、所定体積の空間中に存在する材料の量を考慮してもよい。例えば、約90%の密度を有するコーティングは、1立方ミクロン当たり、体積の90%がコーティング材料によって占められることを意味する。本発明の一実施形態では、コーティング層は、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、および/または約99.9%の高密度を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、コーティングは、実質的にガス不浸透性である。
【0026】
コーティング層は、そのような適用処理が望ましい厚さおよび密度のコーティングの蒸着を可能にする限り、当該技術分野で既知の、または開発される任意の手段によって、基板に適用されてもよい。好適な適用処理は、物理蒸着コーティングおよび電子ビームコーティングを含んでもよく、例示的な処理は、例えば、米国特許第6,007,880号、第7,205,662号、および第7,311,797号に詳細に示され、それらのそれぞれの内容は、参照によって本明細書に援用される。どの方法が使用されるかにかかわらず、コーティング層は、比較的高密度なガス不浸透性層であり、および/または剥離もしくはフレーキングせず、かつ温度サイクルに耐えるべきであることが好ましくあり得る。
【0027】
一実施例として、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングチャンバを概略的に示す図1を提供する。チャンバ10は、高真空レベルを維持するために、ポンプ11(例えば、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、分子ドラッグポンプ、および/またはクライオポンプ)によって真空排気される。膜蒸着が起こる基板40は、予め十分に超音波洗浄される。基板40は、コーティングチャンバの中で固定具12によって保持されるものとする。基板40は、接着強度を高めるために、ヒータ13によって予熱される。コーティング対象材料20は、るつぼ21の中に配置される。多重コーティング層設計に対して、るつぼは、最大で6つの異なる対象材料を保持するよう設計され、るつぼは、対象材料を変更するように回転することができる。陽極アーク法によって電子銃から生成される電子ビーム22は、対象材料20を融解し、気相31としてチャンバの中で蒸発する。気相31は、基板40の表面上に蒸着する。電子ビームコーティング処理において、アルゴンガスから生成される1つまたは2つのイオン源30が、基板エッチングおよび洗浄のために使用される。イオンビーム支援コーティングは、接着強度を高め、コーティング層の密度を増加させると考えられる。
【0028】
プラズマによる従来の溶射コーティングによる典型的なイットリアコーティング、および本発明のイオンビームによって支援される電子ビームによる物理蒸着コーティングの微細構造を図2で見ることができる。プラズマによる従来の溶射コーティングのコーティング層が図2(左側の画像)に示すように厚く、多孔質(すなわち低密度)である一方で、電子ビームコーティングによるコーティングは、図2(右側の画像)に示すように高密度であり、したがって、厚くなる必要はない。概して、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数の不一致は、高くなるべきではない。不一致が大きい場合、コーティング層と基板との間で残留応力が増大し、コーティングされた試料が熱サイクルに曝露される場合、剥離またはクラックが起こりやすい。理論的に、コーティング層と基板との間の残留応力は、コーティング厚および熱膨張係数の不一致に比例する。したがって、理想的には、コーティング層が高密度である場合、コーティング厚を低減することがより良好である。
【0029】
電子ビームコーティングにおいて、より高い基板の温度は、接着強度を増加させるが、コーティング層材料と基板との間の熱膨張係数が大きい場合、冷却中に残留応力が増大し得る。残留応力を回避するためにコーティングチャンバ温度が増加させられる場合、コーティング層は、コーティングされたサンプルが熱サイクルに曝露されると剥離し得る。したがって、1)コーティング層と基板との間の熱膨張係数の不一致、および2)接着強度を考慮することによるコーティング温度、および3)コーティング厚を考慮することによって、コーティング処理パラメータが慎重に選択されるべきである。いくつかの実施形態では、約700℃未満の電子ビームコーティング処理によってコーティング処理を実施することが望ましくあり得る。
【0030】
図3は、異なる熱膨張係数を有するコーティング層構成を示す。コーティング層の熱膨張係数が基板よりも大きい時(例えば、石英基板上のイットリアコーティング)、コーティング層60は、コーティング後の冷却段階中に収縮し始める。しかし、基板50は、コーティング層60を収縮させない。したがって、コーティング層60の中で引張応力が増大し、基板50の中で圧縮応力が増大する。残留応力が大きすぎる場合、コーティングの表面に有害な亀裂またはクラックが観察され得る。そのような亀裂またはクラックは、コーティング層の表面にのみ見られるように発現し得る、有害ではない、微細なしわ(最小限の深さを有する)とは異なる。しかしながら、残留応力が高すぎる場合、深いクラックがコーティング層の中に見られ得る。この場合、クラックは、典型的には基板表面に達する。これらの種類のクラックは、コーティング条件を調整することによって、コーティング中に生成されるべきではない。クラックが深すぎる場合、基板は、クラックを通してプラズマエッチング中にエッチングされる可能性がある。したがって、コーティングにおける深いクラックの回避は、重要であり得る。
【0031】
一方で、コーティング層の熱膨張係数が基板よりも小さい場合(例えば、アルミニウム基板上のイットリアコーティング)、コーティング層51の中で圧縮応力が増大し、基板61の中で引張応力が増大する。応力を低減するために、薄いコーティングが好ましい。しかしながら、単にコーティング厚を低減するだけでは、プラズマエッチングから基板を保護することはできないであろう。
【0032】
熱膨張応力の不一致が高すぎる場合、図4に示すように、残留応力を低減するために緩衝層を組み込むことが必要である。コーティング層80の熱膨張係数が基板70よりも大きい時(例えば、石英基板上のイットリアコーティング)、緩衝層75の組み込みは、残留応力を低減し得る。緩衝層材料は、コーティング層80と基板70との間の熱膨張係数を有するべきである。この場合、熱膨張係数の不一致を低減するために、ケイ素材料が良好な実施例であり得る。
【0033】
一方で、コーティング層81の熱膨張が基板71よりも小さい時(例えば、アルミニウム上のイットリアコーティング)、緩衝層76の組み込みは、コーティング層81よりも大きいが、基板71よりも小さい熱膨張係数を有し得る。Al2O3またはZrO2ならびにCaF2およびYF3等のフッ化物化合物等のいくつかの種類の複合材料が、熱膨張係数を調整することが可能であり得る。CaF2およびYF3の別の利点は、フッ化物系プラズマエッチングによって容易に攻撃されないことである。
【0034】
プラズマエッチング処理に曝露された後のコーティング層は、例えば、光学的表面形状測定装置によって観察される時、深いクラックまたは亀裂を実施的に含むべきではない。例えば、ある時間にわたってフッ素ベースのプラズマに曝露された後、層は、コーティング層の断面(すなわち、層の頂面から層の底面)に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない。いくつかの実施形態では、時間は、約1〜約5時間、約1〜約10時間、および/または約1時間〜約1000時間である。あるいは、または加えて、時間は、適用される処理条件に応じて、最大で約5,000、最大で約7,000、および/または最大で約10,000時間であってもよい。
【0035】
図5は、石英基板上にコーティングされる5ミクロンの厚さのイットリアの写真を示す。コーティング層が非常に高密度であるため、サンプルは透明に見える。コーティング層が非常に高密度であるため、透過率は、石英基板と比較してコーティング後でさえ低減されない。このため、本発明のコーティングは、透明の窓材料としても使用することができる。
【0036】
図6は、図5に示す5ミクロンの厚さのイットリアでコーティングされた石英試料の光透過を示す。透過率が屈折率、基板およびコーティング層の吸光係数、ならびにコーティング厚の影響を受けるため、透過は、典型的な波形パターンを示す。本発明のコーティングは、可視範囲の中で80%を超えるインライン透過率を示す。コーティングが多孔質である場合、透過率は、それほど高くないであろう。
【0037】
先に述べたように、コーティング層は、ガス不浸透性層であり、基板に達する深いクラックを含むべきではない。この場合、基板は、プラズマエッチングによって攻撃され、コーティング層が基板から剥離し得る。
【0038】
図7は、多孔質コーティング層またはひび割れしたコーティング層を有する悪いコーティング実施例の概略的な図を示す。コーティング層が多孔質である時、エッチングガス112は、多孔質コーティング層110に浸透し得、次いで、基板100が部分的にエッチングされる。コーティング後の接着が良好であるにもかかわらず、多孔質コーティング層110は、もはや基板100に接着せず、コーティング層は、剥離し始め、エッチングされた空隙113を残す。多孔質コーティング層は、短い時間プラズマエッチングに曝露されたとしても検出され得る。
【0039】
一方で、コーティング層が非常に高密度であるにもかかわらず、コーティングが厚すぎた時、またはコーティング界面上に応力が蓄積されすぎた時、コーティング層は、ひび割れし得る。コーティング層120が基板に達したいくつかの深いクラック118を有する場合、エッチングガス117は、クラック118に浸透し、次いで、基板110がエッチングされ、空隙123を残す。その結果、コーティング層は、基板から剥離し始める。そのようなクラックは、コーティング条件を最適化することによって回避または排除され得る。
【0040】
図8は、プラズマエッチングの前後の石英上にコーティングされるイットリアの典型的な断面を示す。プラズマエッチング条件は、8時間にわたる35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットの直流プラズマであった。目立ったエッチングは観察されず、基板は、試料全体を通してNF3によって攻撃されていない。
【実施例】
【0041】
(実施例I)
300mmのウエハープラズマエッチングチャンバに使用される溶融石英から作られる石英ディスク(500mmの直径×50mmの厚さ)を調製し、コーティング基板として使用した。イソプロピルアルコールを用いてディスクを超音波洗浄した。次いで、ディスクを電子ビームコーティングチャンバに取り付け、真空下で一晩そのままにした。コーティングチャンバ真空レベルを2.4×10−5トルで保持し、1時間にわたって200℃まで予熱した。高純度イットリア対象(>99.99%)を電子ビームで蒸発させ、5ミクロンのコーティング厚を得るために、5時間にわたってコーティングした。電子ビームコーティングを支援するために、アルゴンイオンビームを使用した。コーティング後、サンプルを10時間にわたってSF6中でエッチング試験した。微粒子化またはエッチングは観察されなかった。プラズマに露出された範囲とマスクされた範囲との間のコーティング厚の差から、エッチング速度を測定した。試料をモノリシックイットリアセラミックで部分的にマスクした。プラズマエッチング実験後、表面形状測定装置を用いて高さの差を測定した。イットリアでコーティングされたサンプルの測定されたエッチング速度は、3nm/時間未満であった。
【0042】
(実施例II)
イットリアコーティングを作るために、ケイ素フォーカスリング(360mmの直径×3.4mmの厚さ)を使用した。イソプロピルアルコールを用いて基板を超音波洗浄した。次いで、リングを細かく切断し、実施例1に記載するものと同一の方法で部分的にコーティングした。コーティング厚は、頂面で7ミクロン、および縁部で3〜5ミクロンであった。フォーカスリングを2時間にわたって直流NF3プラズマ(35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワット)に露出した。
【0043】
図9は、部分的にコーティングされたケイ素フォーカスリングの典型的な実施例を示す。Asコーティングされた試料はコントラストにおいて差を示す。コーティング領域90は、非コーティング領域91よりもわずかに暗い。境界線を曲線で示した。2時間のエッチング後、コーティング領域95は、全くエッチングされていないが、非コーティング領域96は、1.5mmの深さにエッチングされている。同様に、ケイ素フォーカスリングを非コーティング側面から攻撃した。イットリアフィルム97がケイ素リングの表面上に残っていることがなおも観察される。底部分をエッチングした。
【0044】
(実施例III)
イットリアコーティングを作るために、アルミニウムクーポン(30×30×3mm)を使用した。実施例1に記載するものと同一の方法で基板をコーティングした。コーティング厚は、5ミクロンであった。コーティングされたサンプルを直流NF3プラズマ中でプラズマエッチング試験した。エッチング条件は、35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットのプラズマ出力であった。サンプルを8時間にわたってエッチングした。プラズマエッチング後、コーティング表面上の損傷は観察されなかった。エッチングされたサンプルを横に切り、SEMによって測定されるコーティング厚をプラズマエッチング前のサンプルと比較した。エッチング速度は、アルミニウム金属上のコーティングの場合、3nm/時間未満であった。
【0045】
(実施例IV)
サファイアクーポン(25×25×3mm)を電子ビームコーティングによってY2O3コーティング層でコーティングした。実施例Iに記載するものと同一の方法で基板をコーティングした。コーティング厚は、5ミクロンであった。コーティングされたサンプルを直流NF3プラズマ中でプラズマエッチング試験した。エッチング条件は、35sccmのNF3、3sccmのO2、500ミリトル、および350ワットのプラズマ出力であった。サンプルを72時間にわたってエッチングした。コーティングされた範囲とマスクされた範囲との間のステップ高の差を測定するために、コーティングの一部分をイットリアセラミックでマスクした。測定されたエッチング速度は、0.5nm/時間未満であった。
【0046】
(実施例V)
石英クーポン(25×25×10mm)を、Si緩衝層を有するY2O3コーティング層でコーティングした。最初に、緩衝層を電子ビームコーティング法によって約0.5ミクロンの厚さにコーティングし、次いで、4ミクロンのイットリアを緩衝層上にコーティングした。緩衝層は、残留応力を増加させる働きをする。サンプルを300℃まで加熱処理し、2時間保持し、次いで、冷却した。参照により本明細書に援用されるASTM D3359−09で定められるパーマセルテープ試験による熱サイクル試験を実施した後に、コーティングは剥離しなかった。コーティング後、コーティングの色は、ケイ素コーティング層により暗褐色であった。サンプルをNF3でプラズマエッチングし、エッチングは、SEMによって観察されなかった。EDSによって、表面は、なおもイットリアピークを示している。
【0047】
上記の実施形態の広範な発明概念から逸脱することなしに、上記の実施形態が変更され得ることが当業者によって理解される。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神および範囲内の修正を含むよう意図されることを理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減した微粒子化を示すプラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法であって、該方法は、基板にコーティング層を適用することを含み、コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有する、方法。
【請求項2】
前記コーティング層は、ある時間の間フッ素ベースのプラズマに曝露された後、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記時間は、約1時間〜約1,000時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング層は、約10ミクロン以下の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング層は、約5ミクロン以下の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング層は、電子ビームコーティング、スパッタリング、物理蒸着、化学蒸着、電子ビームコーティング、イオンビーム、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングから選択される処理によって前記基板上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング層は、約700℃未満で実施される電子ビームコーティングプロセスによって前記基板上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング層で前記基板をコーティングする前に、緩衝層で前記基板をコーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記緩衝層は、約0.1ミクロン〜約2ミクロンの厚さを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(ii)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素の少なくとも一部分の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記要素は、拡散ディスク、チャンバ壁、チャンバ床、絶縁体、静電チャック、窓、スクリュー、ボルト、ファスナー、シャワーヘッド、ヒーターブロック、陽極処理ヒーターブロック、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、およびインサートリングから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって調製されるコーティングされた基板。
【請求項20】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで構造要素として使用するコーティングされた基板であって、コーティングは、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層であり、該コーティング層は、フッ素ベースのプラズマに曝露された後で微粒子化の低減を示す、コーティングされた基板。
【請求項21】
前記コーティング層は、ある時間の間にフッ素ベースのプラズマに曝露された後で、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項22】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項23】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項24】
前記時間は、約1時間〜約1000時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項25】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項26】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項27】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項28】
前記コーティング層は、約15ミクロン以下の厚さを有する、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項29】
前記コーティングは、電子ビームコーティング、スパッタリング、物理蒸着、化学蒸着、電子ビームコーティング、イオンビームコーティング、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングから選択される処理によって適用される、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項30】
前記コーティング層は、約700℃未満で実施される電子ビームコーティング処理によって前記基板上にコーティングされる、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項31】
緩衝層をさらに備える、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項32】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(i)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項33】
前記コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項34】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素であって、構造要素の表面の少なくとも一部分は、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層でコーティングされ、該コーティング層は、フッ素ベースのプラズマに曝露された後、微粒子化の低減を示す、構造要素。
【請求項35】
前記コーティング層は、ある時間の間フッ素ベースのプラズマに曝露された後で、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す、請求項34に記載の構造要素。
【請求項36】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項37】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項38】
前記時間は、約1時間〜約1000時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項39】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項34に記載の構造要素。
【請求項40】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項34に記載の構造要素。
【請求項41】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項34に記載の構造要素。
【請求項42】
緩衝層をさらに備える、請求項34に記載の構造要素。
【請求項43】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(i)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項34に記載の構造要素。
【請求項44】
前記要素は、拡散ディスク、チャンバ壁、チャンバ床、絶縁体、静電チャック、窓、スクリュー、ボルト、ファスナー、シャワーヘッド、ヒーターブロック、陽極処理ヒーターブロック、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、およびインサートリングから選択される、請求項34に記載の構造要素。
【請求項45】
コーティング層でコーティングされる基板を備える半導体ウエハー処理装置で使用されるプラズマエッチング耐性窓であって、該コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、該コーティングは、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、プラズマエッチング耐性窓。
【請求項46】
前記インライン透過率は、約400nmを超える波長で、約50%を超える、請求項45に記載の窓。
【請求項47】
前記基板は、石英である、請求項45に記載の窓。
【請求項48】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項45に記載の窓。
【請求項49】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項45に記載の窓。
【請求項1】
低減した微粒子化を示すプラズマエッチング耐性層で基板をコーティングする方法であって、該方法は、基板にコーティング層を適用することを含み、コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有する、方法。
【請求項2】
前記コーティング層は、ある時間の間フッ素ベースのプラズマに曝露された後、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記時間は、約1時間〜約1,000時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング層は、約10ミクロン以下の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング層は、約5ミクロン以下の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング層は、電子ビームコーティング、スパッタリング、物理蒸着、化学蒸着、電子ビームコーティング、イオンビーム、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングから選択される処理によって前記基板上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング層は、約700℃未満で実施される電子ビームコーティングプロセスによって前記基板上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング層で前記基板をコーティングする前に、緩衝層で前記基板をコーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記緩衝層は、約0.1ミクロン〜約2ミクロンの厚さを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(ii)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素の少なくとも一部分の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記要素は、拡散ディスク、チャンバ壁、チャンバ床、絶縁体、静電チャック、窓、スクリュー、ボルト、ファスナー、シャワーヘッド、ヒーターブロック、陽極処理ヒーターブロック、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、およびインサートリングから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって調製されるコーティングされた基板。
【請求項20】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで構造要素として使用するコーティングされた基板であって、コーティングは、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層であり、該コーティング層は、フッ素ベースのプラズマに曝露された後で微粒子化の低減を示す、コーティングされた基板。
【請求項21】
前記コーティング層は、ある時間の間にフッ素ベースのプラズマに曝露された後で、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項22】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項23】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項24】
前記時間は、約1時間〜約1000時間である、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項25】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項26】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項27】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項28】
前記コーティング層は、約15ミクロン以下の厚さを有する、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項29】
前記コーティングは、電子ビームコーティング、スパッタリング、物理蒸着、化学蒸着、電子ビームコーティング、イオンビームコーティング、イオンビームによって支援される電子ビームコーティングから選択される処理によって適用される、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項30】
前記コーティング層は、約700℃未満で実施される電子ビームコーティング処理によって前記基板上にコーティングされる、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項31】
緩衝層をさらに備える、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項32】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(i)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項33】
前記コーティング層は、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、請求項20に記載のコーティングされた基板。
【請求項34】
フッ素ベースの半導体ウエハー処理プロトコルで使用される構造要素であって、構造要素の表面の少なくとも一部分は、約20ミクロン以下の厚さを有するコーティング層でコーティングされ、該コーティング層は、フッ素ベースのプラズマに曝露された後、微粒子化の低減を示す、構造要素。
【請求項35】
前記コーティング層は、ある時間の間フッ素ベースのプラズマに曝露された後で、該コーティング層の断面に広がるいかなるクラックまたは亀裂も実質的に含まず、微粒子化の低減を示す、請求項34に記載の構造要素。
【請求項36】
前記時間は、約1時間〜約5時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項37】
前記時間は、約1時間〜約10時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項38】
前記時間は、約1時間〜約1000時間である、請求項34に記載の構造要素。
【請求項39】
前記基板は、石英、ケイ素、アルミナ、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、SiAlON、AlON、およびセラミック複合材料から選択される、請求項34に記載の構造要素。
【請求項40】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項34に記載の構造要素。
【請求項41】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項34に記載の構造要素。
【請求項42】
緩衝層をさらに備える、請求項34に記載の構造要素。
【請求項43】
前記緩衝層は、(i)前記コーティング層の熱膨張係数よりも小さく、かつ、(i)前記基板の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する、請求項34に記載の構造要素。
【請求項44】
前記要素は、拡散ディスク、チャンバ壁、チャンバ床、絶縁体、静電チャック、窓、スクリュー、ボルト、ファスナー、シャワーヘッド、ヒーターブロック、陽極処理ヒーターブロック、フォーカスリング、インナーリング、アウターリング、キャプチャリング、およびインサートリングから選択される、請求項34に記載の構造要素。
【請求項45】
コーティング層でコーティングされる基板を備える半導体ウエハー処理装置で使用されるプラズマエッチング耐性窓であって、該コーティング層は、約20ミクロン以下の厚さを有し、該コーティングは、約300nmを超える波長で、約30%を超えるインライン透過率を示す、プラズマエッチング耐性窓。
【請求項46】
前記インライン透過率は、約400nmを超える波長で、約50%を超える、請求項45に記載の窓。
【請求項47】
前記基板は、石英である、請求項45に記載の窓。
【請求項48】
前記コーティング層は、イットリア、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウム、およびイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)を含む、請求項45に記載の窓。
【請求項49】
前記コーティング層は、約3×10−6/℃〜約20×10−6/℃の熱膨張係数を有する、アルミナ、酸化ランタン、酸化ネオジム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化タンタルを含む、請求項45に記載の窓。
【図1】
【図2】
【図3a)】
【図3b)】
【図4a)】
【図4b)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3a)】
【図3b)】
【図4a)】
【図4b)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2013−512573(P2013−512573A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541169(P2012−541169)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057865
【国際公開番号】WO2011/066314
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505283588)グリーン, ツイード オブ デラウェア, インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057865
【国際公開番号】WO2011/066314
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505283588)グリーン, ツイード オブ デラウェア, インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】
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