説明

プラズマ表面処理装置および該方法

【課題】本発明は、内部電極を用いることなく、ワークの内表面を処理し得るプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を提供する。
【解決手段】本発明のプラズマ表面処理装置Saは、内表面を持つ長尺筒状体のワークWKに対し前記内表面をプラズマによって表面処理する装置であって、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体をワークWK内に供給する供給部10aと、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むようにワークWKの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極21、22を備える電極部20aと、ワークWKおよび電極部20aを相対的に運動させる駆動部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマによってワークの表面を処理するプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法に関し、特に、ワークの内表面を処理するプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ(plasma)は、一般的には、電離した荷電粒子を含み、全体として電気的に略中性である粒子集団をいい、大略、高温プラズマ(熱プラズマ)と低温プラズマとに分類される。高温プラズマは、例えばアーク放電によって生成され、低温プラズマは、例えばグロー放電によって生成される。このようなプラズマは、例えば、溶接やエッチングや薄膜形成(コーティング)や表面改質等の材料加工分野、滅菌や殺菌等の医療分野、および、核融合反応によるエネルギー生成等のエネルギー分野等の広範な分野で利用されている。
【0003】
このように広範な分野で利用されているプラズマにおいて、ワーク(処理対象物)が比較的細長いチューブ(細筒状体)である場合では、前記チューブの出入口から奥の方にプラズマが届かず、このような細長いチューブの内壁面を表面処理しようとすると、その表面処理が難しくなる。そこで、このような細長いチューブの内壁面を表面処理する技術が、例えば、特許文献1に提案されている。
【0004】
図4は、特許文献1に開示の誘電体バリア放電プラズマ生成装置の構成を示す断面図である。図4において、この特許文献1に開示の誘電体バリア放電プラズマ生成装置1000は、線状プラズマを大気圧において生成する装置であって、直径1mmの導線から成る内部電極1001と、この内部電極1001が挿入される、外形1.9mmで内径1.3mmの石英管1004と、これら内部電極1001と石英管1004との隙間に充填されるセラミックボンドから成る充填材1005と、石英管1004の外側に5mm間隔で螺旋状に巻き付けられた幅2mmのアルミ箔から成る外部電極1002とを備えて構成される。内部電極1001および外部電極1002から成る細線状電極は、全長1000mmである。このような構成の誘電体バリア放電プラズマ生成装置1000では、大気中において、周波数5kHzで2.5kVの交流電圧が電源1003によって内部電極1001と外部電極1002との間に印加されることで、極細線状の誘電体バリア放電が発生する、と特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−34184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に開示の技術では、チューブ内に誘電体(充填材1005)に包囲された内部電極1001の構造体を挿入する必要があるが、内径が数mm、例えば1mm以下であって長尺な、例えば30cm以上のチューブ内に、このような構造体を挿入することは、実際上、難しいことである。特に、チューブが比較的柔らかい場合では、前記構造体がチューブの内表面に接触してしまい、この接触箇所では、プラズマが発生せず、プラズマによる所定の表面処理ができない虞がある。そればかりか、このような接触箇所では、ここを起点とした付着の原因となってしまう虞もある。さらに、このような構造体を挿入する構成では、生産性の向上を図ることも難しい。
【0007】
また、チューブ内に挿入されることから、内部電極1001の線径は、小さく(細く)する必要があり、プラズマの熱等で内部電極1001が損傷する虞もある。特に、前記特許文献1では、内部電極1001は、銅で構成されており、その損傷の虞が懸念される。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、内部電極を用いることなく、ワークの内表面を処理することができるプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるプラズマ表面処理装置は、内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理装置であって、前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体を前記ワーク内に供給する供給部と、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部と、前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動部とを備えることを特徴とする。そして、本発明の他の一態様にかかるプラズマ表面処理方法は、内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し、前記ワークの前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理方法であって、前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の流体を前記ワーク内に供給する供給工程と、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部に電圧を印加する印加工程と、前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法では、第1電極と第2電極との間にワークが配置され、ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体がワーク内に供給され、第1電極と前記第2電極との間に電力が供給された場合に、ワーク内に選択的にプラズマ放電が発生し、これによってワークの内表面がこのプラズマによって表面処理される。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法は、内部電極を用いることなく、ワークの内表面を処理することができ、生産性の向上も図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるプラズマ表面処理装置は、内部電極を用いることなく、ワークの内表面を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。
【図2】第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。
【図3】第3実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。
【図4】特許文献1に開示の誘電体バリア放電プラズマ生成装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。図1(A)は、全体構成を示し、図1(B)は、図1(A)に示す細長いワークWKの長尺方向である矢符A方向から第1電極21を見た場合の図である。
【0015】
図1において、第1実施形態におけるプラズマ表面処理装置Saは、内表面を持つ長尺筒状体のワークWKに対し前記内表面をプラズマによって表面処理する装置であって、供給部10aと、一対の第1および第2電極21、22を備えて構成される電極部20aと、電力供給部30とを備えて構成されている。
【0016】
ワークWKは、本プラズマ表面処理装置Saによってプラズマで表面処理される処理対象物であり、少なくとも内表面を持った長尺筒状体である。ワークWKは、本プラズマ表面処理装置Saが後述するようにワークWKの内外でそれらの雰囲気を放電開始電圧の点で互いに異ならせることによって、主にワークWKの内部でプラズマ放電を生じさせることから、その内外で濃度差を生じさせる程度に前記内外で流体の流通を抑制可能なものであり、前記内外で流体の流通を遮断可能なものである。ワークWKは、例えば、樹脂材料、例えば高分子材料やプラスチックのような絶縁材料によって形成される。プラズマの妨げにならなければ、ワークWKの一部は、金属等の導体であってもよい。また、ワークWKは、上述のように、少なくとも内表面を持つものであれば、本プラズマ表面処理装置Saによって前記内表面をプラズマによって表面処理することができるが、本プラズマ表面処理装置Saの構成から、ワークWKは、前記内表面によって形成される流路においてその流路方向の長さがその断面の大きさに較べて長いもの、例えば1桁以上や2桁以上長いもの、より具体的には、例えば、内径が数mm以下であって長さが数十cm以上である管状のものが、本プラズマ表面処理装置Saにおいて効果的である。
【0017】
表面処理は、例えば、表面の性質を変更もしくは改善する表面改質処理、表面上に薄膜を形成する薄膜形成(コーティング)処理および表面近傍や内空間に存在する菌を滅菌もしくは殺菌する滅菌殺菌処理等の各種の処理である。この表面改質処理として、例えば、表面の親水性あるいは撥水性等の改善処理が挙げられる。薄膜形成処理として、例えば、プラズマCVD等の薄膜形成技術による薄膜形成の処理が挙げられる。滅菌殺菌処理として、例えば、人工呼吸器等の呼吸回路管、内視鏡等の管およびカテーテル等の医療用品等に対する滅菌や殺菌の処理が挙げられる。
【0018】
供給部10aは、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体をワークWK内に供給する装置である。供給部10aは、例えば、貯蔵部11(11−1、11−2)と、流量制御部12と、コネクタ13とを備えて構成され、これら貯蔵部11、流量制御部12およびコネクタ13の各間は、管(パイプ)によってそれぞれ接続されている。対向する一対の第1および第2電極21、22間に挟まれた空間内において、「ワークWKにおける前記筒状体の内側領域」と「ワークWKにおける前記筒状体の外側領域」とで切り分けた場合のこの「ワークWKにおける前記筒状体の外側領域」が外雰囲気となる。
【0019】
貯蔵部11は、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の所定の気体を貯留する容器であり、例えば、ガスボンベである。貯蔵部11は、図1に示す例では、互いに異なる2つの気体を供給するために、2個の第1および第2貯蔵部11−1、11−2を備えて構成されている。前記互いに異なる2つの気体は、互いに異なる種類の気体であってよく、また互いに異なる濃度の同種の気体であってよい。
【0020】
図1に示す本実施形態のプラズマ表面処理装置Saは、大気圧下において動作するため、ワークWKの外雰囲気は、大気であり、貯蔵部11には、この大気よりも低い第2放電開始電圧を持つ気体であって、所定の表面処理に応じた気体である。例えば、このような第2放電開始電圧を持つ気体は、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)等のいわゆる不活性ガスであってよく、また例えば、これらのうちの1または複数によって希釈された前記所定の表面処理に応じた原料ガスであってよい。この原料ガスは、前記所定の表面処理に応じた種々のガス(任意の種類のガス)である。
【0021】
例えば、原料ガスは、ケイ素を主体とする非晶質半導体であるアモルファスシリコンの薄膜をワークWKの内表面上に形成する場合には、シラン(SiH)ガスである。
【0022】
また例えば、原料ガスは、二酸化ケイ素(SiO)の薄膜をワークWKの内表面上に形成する場合には、シラン(SiH)ガスおよび酸素ガスであり、この場合には、気体ではなく液体であるが、テトラエトキシシラン(TEOS)等の液体原料をバブリングして用いてもよい。また、この場合において、膜質を改善するために、酸素が混合されてもよい。
【0023】
また例えば、原料ガスは、カーボン系の薄膜をワークWKの内表面上に形成する場合には、メタンやアセチレン等の炭化水素系のガスである。このような炭化水素系のガスによって、例えばDLC(Diamond-like Carbon、ダイヤモンドライクカーボン)皮膜がワークWKの内表面上に形成される。この場合において、潤滑性を向上させるために、フッ素含有ガスが混合されてよく、これによって例えばフッ素ドープDLC皮膜がワークWKの内表面上に形成される。
【0024】
また例えば、原料ガスには、ガスバリア性を改善するために、例えばシリコンナイトライド(Si)の薄膜を形成すべく、シランガスやTDMAS(テトラジメチルアミノシラン)にアンモニアガスや窒素ガスの添加されたガスが用いられてもよい。
【0025】
また例えば、原料ガスには、撥水性を改善するために、微量の酸素ガスのほか、前記ヘリウムガスや、アルゴンガスがそのまま表面処理のガスとして用いられてもよい。
【0026】
このように原料ガスを適宜に変更することによって、ワークWKの内表面を所定の表面に表面処理することができ、本実施形態のプラズマ表面処理装置Saは、種々の表面処理プロセスに適用可能である。
【0027】
流量制御部12は、貯蔵部11からコネクタ13を介してワークWK内へ供給される気体の流量を制御する装置であり、例えば、マスフローコントローラ(MFC)等である。
【0028】
コネクタ13は、シール部の一例であり、貯蔵部11から流量制御部12を介して供給される前記気体をワークWK内へ供給するために、前記気体に対する入口となるワークWKの一方端に接続するための流体用の継手であり、例えば、比較的容易に(例えばワンタッチで)接続可能でシール性の高いクイックカップリングである。前記シール部は、ワークWKにおける気体の入口部と出口部とをシールするものであり、上述のようにクイックカップリングが好ましいが、Oリング等であってもよい。
【0029】
ワークWK内に流す第2放電開始電圧の気体がそのままプラズマ表面処理装置Sa外に流出しても差し支えないものである場合には、ワークWKの他方端は、開放状態であってもよい。また、例えばリサイクル性や環境性等のために前記気体を回収するべく、前記気体に対する出口となるワークWKの他方端には、コネクタ13と同様の図略のコネクタがさらに接続されている。さらに、このコネクタを介して回収した前記気体を貯蔵する図略の回収容器が備えられていてもよい。
【0030】
電極部20aにおける第1および第2電極21、22は、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むようにワークWKの大きさに応じて予め設定された所定の間隔を空けて互いに対向するように配設された一対の電極である。例えば、第1電極21は、ワークWKの長さに応じた所定の長さを持つ板状体であって、図1(B)に示すように例えば金属や合金等の電気導電性を有する導電体部211と、導電体部211の一方主面上に積層された電気絶縁性を有する絶縁層部212とを備えて構成される。同様に、第2電極22は、不図示の導電体部221と絶縁層部222とを備えて構成される。絶縁層部212、222は、例えば、アルミナ、アルマイト、シリカおよびテフロン(登録商標)等によって形成される。このように一対の第1および第2電極21、22における少なくとも対向する部分に絶縁層部212、222を設けることによって、ワークWKを除く場所における異常放電を低減することが可能となる。このような絶縁層部212、222は、例えば、溶射によって導電体部211、221の表面に形成される。
【0031】
そして、絶縁層部212、222の表面(前記板状体の一方主面)には、図1(B)に示すように、ワークWKが、その長尺方向と直交する横方向に横ずれしないように、絶縁層部212、222の外形形状に応じた形状の凹部が長尺方向に沿って形成されている。図1(B)に示す例では、ワークWKは、断面円形形状の管(筒状体)であるから、前記凹部は、断面半円形形状である。さらに、生産性のスループットを向上させるべく、本実施形態のプラズマ表面処理装置Saは、複数のワークWK、図1(B)に示す例では7個のワークWK−1〜WK−7を同時に表面処理するように構成されており、これに応じて7個の凹部が、長尺方向に平行に、横方向に並列されて、形成されている。また、これに応じてコネクタ13も7個のワークWKを同時に接続可能な構成とされている。
【0032】
電力供給部30は、第1および第2電極21、22に所定の電圧値の電圧を印加することによって電力を供給する装置であり、例えば、整合部31と、電源部32とを備えて構成される。
【0033】
電源部32は、所定の電圧値を持つ電圧を生成する装置である。前記所定の電圧値は、例えば、第1および第2電圧21、22間の間隔、ワークWKの材質、ワークWK内を流通する気体の第2放電開始電圧および表面処理の種類等に応じて適宜に設定される。また電源部32には、例えばワークWK内に発生させるプラズマの種類に応じて直流電圧や交流電圧を生成する電源回路が用いられる。交流電圧には、例えばRF(Radio Frequency)等の高周波電圧を含む。前記RFは、例えば、容易に利用可能であることから、工業用に一般的に用いられる13.56MHzが好ましい。
【0034】
整合部31は、電源部32と負荷(第1および第2電極21、22、ワークWK)との間でインピーダンス整合(インピーダンスマッチング)を行うための回路であり、例えば、マッチングボックスである。第1電極21は、整合部31に接続され、第2電極22は、接地される。
【0035】
そして、ワークWKが長尺筒状体であるために、例えばワークWKが内径5mm以下程度の細長いチューブである場合には、前記チューブ内の広い範囲に亘ってプラズマを発生させることが難しいため、チューブ(ワークWK)および電極部20aを相対的に運動させ、局在化したプラズマ(局所的に発生したプラズマ)を走査することが必要である。このため、本実施形態では、図略の駆動部によってチューブに対し第1および第2電極21、22のうちの少なくとも一方、例えば、第1および第2電極21、22を前記チューブの長尺方向に沿って移動させて相対的に運動させるように構成されている。これによって長尺のチューブの所定範囲の内表面の表面処理が可能となる。なお、上述に代え、チューブ(ワークWK)を運動させるように構成されてもよく、また、第1電極21を運動させるように構成されてもよく、あるいは、第2電極22を運動させるように構成されてもよい。
【0036】
このような構成のプラズマ表面処理装置Saでは、まず、ワークWK(図1に示す例では最大7個のワークWK−1〜WK−7)が供給部10aのコネクタ13に接続され、第1および第2電極21、22間にセット(配置)される。
【0037】
続いて、供給部10aの流量制御部12の制御に従って、所定の流量の気体が貯蔵部11から流量制御部12およびコネクタ13を介してワークWKへ供給される。これによってワークWK内の初期物が貯蔵部11からの流体によってワークWKから押し出されて排出され、ワークWK内は、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体で満たされることになる。なお、本実施形態では、ワークWK内の圧力は、略大気圧である。
【0038】
このようにワークWK内の初期物が貯蔵部11からの気体によってワークWKから排出され、ワークKW内が貯蔵部11からの気体によって満たされた後に、電力供給部30によって第1および第2電極21、22間に所定の電圧値の電圧が印加され、電力が供給される。
【0039】
これによって第1および第2電極21、22間に配設されたワークWK内では、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体でワークWK内が満たされていることから、ワークWKの内外における放電開始電圧の差によって主にワークWK内でプラズマ放電が発生する。そして、このプラズマ放電によって生成されたプラズマによってワークWKの内表面が表面処理される。
【0040】
例えば、前記アモルファスシリコンの薄膜をワークWKの内表面に形成する場合には、第1および第2電極21、22間に直流電圧または高周波の交流電圧が印加される。これによってグロー放電が生じ、このグロー放電によってプラズマが生じる。そして、このプラズマ中でシランが分解されることによってアモルファスシリコンが形成され、ワークWKの内表面にアモルファスシリコンの薄膜が形成され、表面処理される。なお、この例では、グロー放電によってワークWK内に低温プラズマを生じさせる場合について説明したが、誘電体バリア放電によってワークWK内にプラズマを生じさせてもよい。
【0041】
そして、長尺な筒状体のワークKWにおける所定の範囲に亘ってその内表面を表面処理するために、第1および第2電極21、22間に所定の電圧値の電圧を印可しながら、所定の速度で、前記図略の駆動部によって第1および第2電極21、22がワークWKの長尺方向に沿って移動させてワークWKに対し相対的に運動させる。
【0042】
このように本実施形態におけるプラズマ表面処理装置Saでは、ワークWKの内外で放電開始電圧を互いに異ならせることによって選択的にワークWK内にプラズマ放電を生じさせることができる。このため、本実施形態におけるプラズマ表面処理装置Saは、背景技術の特許文献1のように内部電極を用いることなく、ワークWKの内表面をプラズマによって処理することができ、生産性の向上も図ることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のプラズマ表面処理装置Saは、コネクタ13を備えている。このため、本実施形態のプラズマ表面処理装置Saは、ワークWKの一方端をコネクタ13に接続するだけでワークWKの外側とその内側とを分けて、ワークWK内のみに第2放電開始電圧の気体を供給することが可能となる。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置Saは、容易にワークWKをセットすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、上述の実施形態では、ワークWKは、第1および第2電極21、22に接触するように挟まれたが、接触していなくてもよい(離間していてもよい)。
【0045】
(実施例1および比較例)
このような図1に示す構成のプラズマ表面処理装置Saを用いて実施例1としてヘリウムプラズマによるプラズマ表面処理が行われた。この実施例1では、ワークWKは、内径2mmのチューブが用いられ、ワークWKの外雰囲気は、大気であり、ワークWK内には、ヘリウムガスが100sccmで流通された。内部圧力は、大気圧であり、特に制御されなかった。第1および第2電極21、22間に13.56MHzの高周波電圧を印加したところ、ワークWK内にのみでプラズマの発生が確認された。
【0046】
一方、比較例として、ヘリウムガスに代え窒素ガスを用いて、他は、前記実施例1と同様に、実施したところ、プラズマの発生は、確認されなかった。
【0047】
次に、別の実施形態について説明する。
【0048】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。
【0049】
第1実施形態におけるプラズマ表面処理装置Saは、ワークWKの外雰囲気が大気であったが、第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置Sbは、ワークWKの外雰囲気が減圧可能に構成される。
【0050】
このような第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置Sbは、例えば、図2に示すように、供給部10bと、一対の第1および第2電極23、24を備えて構成される電極部20bと、電力供給部30と、容器40aと、排出部50aと、昇降駆動部(垂直方向駆動部)70aとを備えて構成されている。
【0051】
容器40aは、ワークWKの外雰囲気を大気圧よりも低い気圧の雰囲気とするために、ワークWKの外雰囲気と大気とを区分けし、大気からワークWKの外雰囲気を遮蔽する気密容器41aである。気密容器41aは、例えば、ガラス製やステンレス製等の気密性の高い真空チャンバであり、例えば、図2に示しように略直方体形状である。気密容器41a内には、少なくとも第1および第2電極23、24が配置され、これら第1および第2電極23、24間には、ワークWKが配置されるように構成されている。
【0052】
供給部10bは、気密容器41a内に配置されるワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体をワークWK内に供給する装置であり、例えば、貯蔵部11(11−1、11−2)と、第1流量制御部12と、コネクタ13と、フレキシブルチューブ14aとを備えて構成される。これら第2実施形態の貯蔵部11、第1流量制御部12およびコネクタ13は、第1実施形態の貯蔵部11、流量制御部12およびコネクタ13とそれぞれ同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
フレキシブルチューブ14aは、第1流量制御部12とコネクタ13との間における第2放電開始電圧の気体の流路を形成する管状部材であり、コネクタ13が後述のように昇降しても第1流量制御部12からコネクタ13への前記流路を維持することができるように、螺旋状に巻かれており、変形可能に構成されている。
【0054】
第1流量制御部12は、その流出側が気密容器41aに形成された流体供給開口42aに気密容器41aの外部で接続されている。この流体供給開口42aにおける気密容器41aの内部には、フレキシブルチューブ14aの一方端が接続され、フレキシブルチューブ14aの他方端には、コネクタ13が接続されている。流体供給開口42aは、シール性が高くなるように構成されている。
【0055】
電極部20bにおける第1および第2電極23、24は、その所定の箇所で、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むようにワークWKの大きさに応じて予め設定された所定の間隔を空けて互いに対向するように配設された一対の電極である。そして、本実施形態では、第1および第2電極23、24のうちの一方、図2に示す例では第2電極24は、固定された固定電極であり、第1および第2電極23、24のうちの他方、図2に示す例では第1電極23は、前記固定電極に対し相対的に運動する運動電極であって、前記固定電極に対向する該運動電極の位置において該運動に従いワークWKの位置を変更可能に構成されている。
【0056】
より具体的には、第2電極24は、所定の長さを持つ板状体であって、第1実施形態の第2電極22と同様に、電気導電性を有する導電体部241(不図示)と、この導電体部241の一方主面上に積層された電気絶縁性を有する絶縁層部242(不図示)とを備えて構成される。第2電極24は、気密容器41a内における所定の位置に固定される。第1電極23は、周面を有する円柱状(円板状を含む)の円柱状部材であって、第1実施形態の第1電極21と同様に、電気導電性を有する前記円柱状の導電体部231(不図示)と、この円柱状の導電体部の周面上に積層(形成)された電気絶縁性を有する絶縁層部232(不図示)とを備えて構成される。第1電極23は、その周面がワークWKの大きさに応じた間隔を空けて第2電極24の一方主面に外接するように、気密容器41a内に回転軸233で配設される。第1電極23は、この回転軸233を軸に回転可能に構成される。ワークWKは、第1電極23の周面に所定の長さに亘って、図2に示す例では略半周の長さに亘って密着する一方、第2電極24に摺動可能に接している。あるいはワークWKは、第2電極24から離間していてもよい。
【0057】
電力供給部30は、第1実施形態の電力供給部30と同様であり、整合部31と、電源部32とを備えて構成されている。第1電極23は、前記回転軸233で整合部31に接続され、第2電極24は、接地される。
【0058】
排出部50aは、気密容器41a内の気体を気密容器41aの外部へ排出する装置であり、例えば、第1排出部51を備えて構成される。第1排出部51は、例えば、ロータリポンプや拡散ポンプやターボ分子ポンプ等の真空ポンプであり、ワークWKの真空度に応じて適宜な装置が用いられる。第1排出部51は、その吸入側が気密容器41aに形成された流体排出開口43aに気密容器41aの外部で接続されている。流体排出開口43aは、シール性が高くなるように構成されている。このような第1排出部51を備えることによって本実施形態の表面処理装置Sbは、ワークWKの外雰囲気を減圧することができる。
【0059】
そして、本実施形態では、ワークWK内に供給された第2放電開始電圧の気体を吸引するために、排出部50aは、さらに、第2排出部52と、コネクタ53と、フレキシブルチューブ54aとを備えている。コネクタ53は、前記気体に対する出口となるワークWKの他方端に接続するための流体用の継手であり、例えば、コネクタ13と同様に、クイックカップリングである。フレキシブルチューブ54aは、フレキシブルチューブ14aと同様に、コネクタ53と第2排出部52との間における第2放電開始電圧の流体の流路を形成する管状部材であり、コネクタ53が後述のように昇降してもコネクタ53から第2排出部52への前記流路を維持することができるように、螺旋状に巻かれており、変形可能に構成されている。第2排出部52は、ワークWK内に供給された第2放電開始電圧の気体を吸引する装置であり、例えば、第1排出部51と同様に、真空ポンプである。
【0060】
第2排出部52は、その吸入側が気密容器41aに形成された流体排出開口44aに気密容器41aの外部で接続されている。この流体排出開口44aにおける気密容器41aの内部には、フレキシブルチューブ54aの他方端が接続され、フレキシブルチューブ54aの一方端には、コネクタ53が接続されている。流体排出開口44aは、シール性が高くなるように構成されている。
【0061】
昇降駆動部70aは、第1および第2電極21、22間に挟まれるワークWKの位置を変更可能とするべく、第1および第2電極23、24の配設位置に対し、コネクタ13の位置を変位させるとともにこのコネクタ13の変位に応じてコネクタ53の位置を変位させる装置である。図2に示す第2実施形態のプラズマ表面処理装置Sbでは、昇降駆動部70aは、コネクタ13、53を上下方向に変位されるように構成されている。
【0062】
より具体的には、昇降駆動部70aは、コネクタ13を昇降(上下移動)させる第1昇降部70a−1と、このコネクタ13の昇降に応じてコネクタ53を降昇(下上移動)させる第2昇降部70a−1とを備えて構成されている。このように第1および第2昇降部70a−1、70a−2は、互いに同期して駆動される。
【0063】
第1昇降部70a−1は、例えば、第1昇降用モータ71−1と、第1回転導入端子部72−1と、第1スプライン軸73−1と、第1スリーブ体74−1とを備えて構成されている。第1昇降用モータ71−1は、気密容器41aの外部に、例えば図2に示す例では略直方体形状の気密容器41aの上部に配置されており、その出力軸は、第1回転導入端子部72−1に接続されている。第1回転導入端子部72−1は、第1昇降用モータ71−1における出力軸の回転運動を気密容器41a内へ導く装置であり、気密容器41a内に配置されている。第1昇降用モータ71−1および第1回転導入端子部72−1は、気密容器41aの気密性を保持するように高いシール性で気密容器41aの外内にそれぞれ配設される。第1回転導入端子部72−1は、例えば減速ギア等を備えて構成される。第1スプライン軸73−1の一方端は、第1回転導入端子部72−1に接続されており、気密容器41a内で垂下するように配置されている。第1スプライン軸73−1には、第1スリーブ体74−1が螺合されおり、第1スリーブ体74−1には、コネクタ13が固定されている。このような構成の第1昇降部70a−1では、第1昇降用モータ71−1は、その出力軸に回転運動を生じさせ、この回転運動は、第1回転導入端子部72−1を介して第1スプライン軸73−1に伝達されて、第1スプライン軸73−1が回転する。第1スプライン軸73−1が回転すると、第1スプライン軸73−1にその内周面で螺合されている第1スリーブ体74−1が第1スプライン軸73−1の軸方向(長尺方向)に沿って移動し、第1昇降用モータ71−1の回転運動が上下方向の第1スリーブ体74−1の直線運動に変換される。これによって第1スリーブ体74−1に固定されているコネクタ13は、上下移動し、昇降する。このように第1スプライン軸73−1および第1スリーブ体74−1は、いわゆるボールスプライン機構(上下機構)を構成している。
【0064】
第2昇降部70a−2は、第1昇降部70a−1と同様に、例えば、第2昇降用モータ71−2と、第2回転導入端子部72−2と、第2スプライン軸73−2と、第2スリーブ体74−2とを備えて構成されている。したがって、このような構成の第2昇降部70a−2では、第1昇降部70a−1と同様に、第2昇降用モータ71−2は、その出力軸に回転運動を生じさせ、この回転運動は、第2回転導入端子部72−2を介して第2スプライン軸73−2に伝達されて、第2スプライン軸73−2が回転する。第2スプライン軸73−2が回転すると、第2スプライン軸73−2にその内周面で螺合されている第2スリーブ体74−2が第2スプライン軸73−2の軸方向(長尺方向)に沿って移動し、第2昇降用モータ71−2の回転運動が上下方向の第2スリーブ体74−2の直線運動に変換される。これによって第2スリーブ体74−2に固定されているコネクタ53は、上下移動し、昇降する。
【0065】
そして、第1および第2昇降部70a−1、70a−2は、図略の同期制御部によって互いに同期するように駆動され、第1昇降部70a−1がコネクタ13を昇降させると、第2昇降部70a−2がこのコネクタ13の昇降に応じてコネクタ53を降昇させる。
【0066】
このような構成の第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置Sbでは、供給部10bのコネクタ13およびフレキシブルチューブ14aと、第1および第2電極23、24と、排出部50aのコネクタ53およびフレキシブルチューブ54aと、昇降駆動部70aの第1および第2回転導入端子部72−1、72−2、第1および第2スプライン軸73−1、73−2ならびに第1および第2スリーブ体74−1、74−2とが気密容器41a内に配設されている。
【0067】
このような構成のプラズマ表面処理装置Sbでは、まず、ワークWKの両端がそれぞれ供給部10bのコネクタ13および排出部50aのコネクタ53に接続され、このワークWKが第1電極23の周面に密着されることによって第1および第2電極23、24間にセット(配置)される。
【0068】
続いて、排出部50aの第1排出部51が駆動され、気密容器41a内が所定の気圧まで減圧される。ワークWKの外部に存在する気体で消費される電力を低減し、電力供給部30によって第1および第2電極23、24に供給される電力をワークWK内でのプラズマの発生により有効に利用するために、気密容器41a内は、例えば、400Torr以下の真空雰囲気に減圧されることが好ましい。
【0069】
一方、供給部10bの第1流量制御部12の制御に従って、所定の流量の流体が貯蔵部11から第1流量制御部12、流体供給開口42a、フレキシブルチューブ14aおよびコネクタ13を介してワークWKへ供給され、第2排出部52の駆動によってワークWK内を通り、コネクタ53、フレキシブルチューブ54a、流体排出開口44aおよび第2排出部52を介して排出される。これによってワークWK内の初期物が貯蔵部11からの気体によってワークWKから押し出されて排出され、ワークWK内は、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体で満たされることになる。なお、本実施形態では、ワークWK内は、400Torr程度にされている。
【0070】
このように気密容器41a内が所定の気圧に減圧されるとともに、ワークWK内の初期物が貯蔵部11からの気体によってワークWKから排出され、ワークKW内が貯蔵部11からの気体によって満たされた後に、電力供給部30によって第1および第2電極23、24間に所定の電圧値の電圧が印加され、電力が供給される。
【0071】
これによって第1および第2電極23、24間に配設されたワークWK内では、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体でワークWK内が満たされていることから、ワークWKの内外における放電開始電圧の差によって主にワークWK内でプラズマ放電が発生する。そして、このプラズマ放電によって生成されたプラズマによってワークWKの内表面が表面処理される。このように本実施形態のプラズマ表面処理装置Sbでは、気密容器41a内の気体を排出することによってワークWKの外雰囲気を減圧することができ、減圧下や真空下においてプラズマを発生させることができ、このプラズマによってワークWKの内表面を表面処理することができる。
【0072】
そして、電力供給部30によって第1および第2電極23、24間に所定の電圧値の電圧が印加されている間に、昇降駆動部70aの第1昇降部70a−1によってコネクタ13が昇降、例えば図2における矢符B1に示すように降下されるとともに、これに同期して昇降駆動部70aの第2昇降部70a−2によってコネクタ53が降昇、この例では図2における矢符B2に示すように上昇される。これによって第1および第2電極23、24間に挟まれるワークWKの位置がワークWKの一方端側から他方端側へ走査するように変更され、ワークWKの一方端側の所定位置から他方端側の所定位置までその内表面がプラズマによって表面処理される。このように本実施形態のプラズマ表面処理装置Sbでは、固定電極としての第2電極24と運動電極としての第1電極23との間に位置するワークWKの箇所に対して局所的にプラズマが発生され、第2電極24に対向する第1電極23の位置において第1電極23の運動に従いワークWKの位置が変更され、これによってワークWKの内表面略全体に亘って表面処理が施される。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置Sbは、ワークWKの内表面略全体に亘ってより確実に表面処理を施すことができる。
【0073】
なお、このような構成の第2実施形態のプラズマ表面処理装置Sbにおいて、ワークWKの外雰囲気の気体を制御するために、この第2実施形態のプラズマ表面処理装置Sbは、図2に破線示すように、気密容器41a内に第1放電開始電圧の所定の気体を供給する第2供給部をさらに備えて構成されてもよい。この第2供給部60は、例えば、第3貯蔵部61と、第2流量制御部62とを備えて構成される。第3貯蔵部61は、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧の所定の気体を貯留する容器であり、例えば、ガスボンベである。第1放電開始電圧の所定の流体は、例えば、窒素ガス、酸素ガスおよび六フッ化硫黄(SF)ガス等である。第2流量制御部62は、第1流量制御部12と同様に、第3貯蔵部13から気密容器41a内へ供給される気体の流量を制御する装置であり、例えば、マスフローコントローラ(MFC)等である。第2流量制御部62は、その流出側が気密容器41aに形成された流体供給開口45aに気密容器41aの外部で接続されている。この流体供給開口45aは、シール性が高くなるように構成されている。
【0074】
このような第2実施形態の変形形態のプラズマ表面処理装置Sbでは、第2供給部60によって所定の気体を気密容器41a内へ供給することによって、ワークWKの外雰囲気を所定の流体の雰囲気とすることができる。したがって、このような変形形態のプラズマ表面処理装置Sbでは、気密容器41a内に第1放電開始電圧の所定の気体を供給することによって、表面処理に応じてワークWKの外雰囲気を変更することができ、所望の表面処理を行うことが可能となる。
【0075】
なお、この場合において、第1排出部51を駆動することによって効率的にワークWKの外雰囲気を所定の気体の雰囲気とすることができる。
【0076】
(実施例2)
このような図2に示す変形形態のプラズマ表面処理装置Sbを用いて実施例2としてカーボン系の薄膜を形成するプラズマ表面処理が行われた。この実施例2では、ワークWKは、内径1mmのチューブが用いられ、ワークWKの外雰囲気は、窒素であり、ワークWK内には、2体積%のメタンを含んだヘリウムガスが100sccmで流通された。ワークWKの外雰囲気は、400Torrとした。第1および第2電極23、24間に13.56MHzの高周波電圧を印加したところ、ワークWK内にのみでプラズマの発生が確認された。そして、この状態で約10分間保持したところ、ワークWK内には、黒色の被膜が確認された。
【0077】
次に、別の実施形態について説明する。
【0078】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態におけるプラズマ表面処理装置の構成を示す図である。
【0079】
第2実施形態におけるプラズマ表面処理装置Sbは、第1電極23の周面に沿うことで略U字型に曲げられたワークWKの両端を互いに逆方向に移動させることによって、ワークWKに密着する第1電極23がその回転軸233を軸に第2電極24に対し相対的に回転するとともに、第2電極24に対向する第1電極23の位置においてこの回転に従いワークWKの位置を変更するものであったが、第3実施形態におけるプラズマ表面処理装置Scは、固定された第2電極26上にワークWKが静置され、第1電極25が水平方向駆動部70bによって第2電極26に対し相対的に移動され、第2電極26に対向する第1電極25の位置においてこの移動に従いワークWKの位置を変更するものである。
【0080】
このような第3実施形態におけるプラズマ表面処理装置Scは、例えば、図3に示すように、供給部10cと、一対の第1および第2電極25、26を備えて構成される電極部20cと、電力供給部30と、容器40bと、排出部50bと、水平方向駆動部70bとを備えて構成されている。
【0081】
容器40bは、容器40aと同様に、ワークWKの外雰囲気を大気圧よりも低い気圧の雰囲気とするために、ワークWKの外雰囲気と大気とを区分けし、大気からワークWKの外雰囲気を遮蔽する気密容器41bである。気密容器41bは、例えば、真空チャンバであり、図3に示すように、やや横長の直方体形状である。気密容器41b内には、少なくとも第1および第2電極25、26が配置され、これら第1および第2電極25、25間には、ワークWKが配置されるように構成されている。
【0082】
供給部10cは、供給部10bと同様に、気密容器41b内に配置されるワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体をワークWK内に供給する装置であり、例えば、貯蔵部11(11−1、11−2)と、第1流量制御部12と、コネクタ13と、チューブ14bとを備えて構成される。
【0083】
これら第2実施形態の貯蔵部11、第1流量制御部12およびコネクタ13は、第1実施形態の貯蔵部11、流量制御部12およびコネクタ13とそれぞれ同様であるので、その説明を省略する。チューブ14bは、第1流量制御部12とコネクタ13との間における第2放電開始電圧の流体の流路を形成する管状部材である。
【0084】
第1流量制御部12は、その流出側が気密容器41bに形成された流体供給開口42bに気密容器41bの外部で接続されている。この流体供給開口42bにおける気密容器41bの内部には、チューブ14bの一方端が接続され、チューブ14bの他方端には、コネクタ13が接続されている。流体供給開口42bは、シール性が高くなるように構成されている。
【0085】
電極部20cにおける第1および第2電極25、26は、その所定の箇所で、ワークWKの大きさに応じて予め設定された所定の間隔を空けて互いに対向するように配設された一対の電極である。そして、本実施形態では、第1および第2電極23、24のうちの一方、図3に示す例では第2電極26は、固定された固定電極であり、第1および第2電極25、26のうちの他方、図3に示す例では第1電極25は、前記固定電極に対し相対的に運動する運動電極であって、前記固定電極に対向する該運動電極の位置において該運動に従いワークWKの位置を変更可能に構成されている。
【0086】
より具体的には、第2電極26は、比較的長尺な所定の長さを持つ板状体であって、第1実施形態の第2電極22と同様に、電気導電性を有する導電体部261(不図示)と、この導電体部261の一方主面上に積層された電気絶縁性を有する絶縁層部262(不図示)とを備えて構成される。第2電極26は、気密容器41b内における所定の位置に固定される。第1電極25は、柱状(板状を含む)の柱状部材であって、第1実施形態の第1電極21と同様に、電気導電性を有する前記柱状の導電体部251(不図示)と、この柱状の導電体部における一方端面上に積層(形成)された電気絶縁性を有する絶縁層部252(不図示)とを備えて構成される。第1電極25は、その一方端面がワークWKの大きさに応じた間隔を空けて第2電極26の一方主面に対向するように、水平方向駆動部70bによって気密容器41b内に配設される。第1電極25は、この水平方向駆動部70bによって水平方向(左右方向)に移動可能に構成される。ワークWKは、第1電極25の一方主面上に載置され静置される一方、第2電極26に摺動可能に接している。あるいはワークWKは、第2電極26から離間していてもよい。
【0087】
電力供給部30は、第1実施形態の電力供給部30と同様であり、整合部31と、電源部32とを備えて構成されている。第1電極25は、整合部31に接続され、第2電極24は、接地される。
【0088】
排出部50bは、気密容器41b内の気体を気密容器41bの外部へ排出する装置であり、例えば、第2実施形態の排出部50aと同様の第1排出部51を備えて構成される。第1排出部51は、その吸入側が気密容器41bに形成された流体排出開口43bに気密容器41bの外部で接続されている。流体排出開口43bは、シール性が高くなるように構成されている。このような第1排出部51を備えることによって本実施形態の表面処理装置Scは、ワークWKの外雰囲気を減圧することができる。
【0089】
そして、本実施形態では、ワークWK内に供給された第2放電開始電圧の気体を吸引するために、排出部50bは、さらに、第2実施形態の排出部50aと同様の第2排出部52およびコネクタ53と、チューブ54bとを備えている。チューブ54bは、チューブ14bと同様に、コネクタ53と第2排出部52との間における第2放電開始電圧の気体の流路を形成する管状部材である。
【0090】
第2排出部52は、その吸入側が気密容器41bに形成された流体排出開口44bに気密容器41bの外部で接続されている。この流体排出開口44bにおける気密容器41bの内部には、チューブ54bの他方端が接続され、チューブ54bの一方端には、コネクタ53が接続されている。流体排出開口44bは、シール性が高くなるように構成されている。
【0091】
水平方向駆動部70bは、第1および第2電極21、22間に挟まれるワークWKの位置を変更可能とするべく、第2電極26およびこれに静置されたワークWKに対し、第1電極25を水平方向(左右方向)に変位させる装置である。
【0092】
より具体的には、水平方向駆動部70bは、絶縁板76と、駆動機構77と、案内部材78とを備えて構成され、これらは、気密容器41b内に配置されている。案内部材78は、駆動機構77を案内(ガイド)する部材であり、第2電極26の長手方向に沿って配設されている。駆動機構77は、案内部材78によって案内されて案内部材78の長手方向に沿って移動する装置である。駆動機構77は、例えば、駆動モータと、この駆動モータの駆動力を伝達する減速ギアと、これら駆動モータおよび減速ギアを収容する筐体とを備えて構成されている。案内部材78には、例えば、その長手方向に沿ってラックが設けられており、このラックと前記減速ギアの出力軸に設けられたピニオンとが噛合するように構成される。そして、前記駆動モータが駆動されると、その駆動力が前記減速ギアを介して前記ピニオンに伝達されて噛合しながら前記ラック上を進行することで、駆動機構77は、案内部材78によって案内されて案内部材78の長手方向に沿って移動する。また、絶縁板76は、電気絶縁性を有する部材である。絶縁板76の一方主面には、駆動機構77が固定され、その他方主面には、第1電極25がその他方端面で固定されている。すなわち、駆動機構77は、この絶縁板76を介して第1電極25に固定的に接続されている。
【0093】
このような構成の第3実施形態におけるプラズマ表面処理装置Scでは、供給部10cのコネクタ13およびチューブ14bと、第1および第2電極25、26と、排出部50bのコネクタ53およびチューブ54bと、水平方向駆動部70bとが気密容器41b内に配設されている。
【0094】
なお、上述では、水平方向駆動部70bは、駆動機構77および案内部材78によって第1電極25を水平方向に移動させる機構を構成したが、駆動機構77および案内部材78がいわゆるリニアモータを構成し、第1電極25を水平方向に移動させるように構成されてもよい。このような場合では、案内部材78が前記リニアモータの固定子として機能し、駆動機構77が前記リニアモータの可動子として機能するように構成される。
【0095】
このような構成のプラズマ表面処理装置Scでは、まず、ワークWKの両端がそれぞれ供給部10cのコネクタ13および排出部50bのコネクタ53に接続され、このワークWKが第2電極26に静置されることによって第1および第2電極25、26間にセット(配置)される。
【0096】
続いて、排出部50bの第1排出部51が駆動され、気密容器41b内が所定の気圧まで減圧される。一方、供給部10cの第1流量制御部12の制御に従って、所定の流量の気体が貯蔵部11から第1流量制御部12、流体供給開口42b、チューブ14bおよびコネクタ13を介してワークWKへ供給され、第2排出部52の駆動によってワークWK内を通り、コネクタ53、チューブ54b、流体排出開口44bおよび第2排出部52を介して排出される。これによってワークWK内の初期物が貯蔵部11からの気体によってワークWKから押し出されて排出され、ワークWK内は、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体で満たされることになる。なお、本実施形態では、ワークWK内は、400Torr程度にされている。
【0097】
このように気密容器41b内が所定の気圧に減圧されるとともに、ワークWK内の初期物が貯蔵部11からの気体によってワークWKから排出され、ワークKW内が貯蔵部11からの気体によって満たされた後に、電力供給部30によって第1および第2電極25、26間に所定の電圧値の電圧が印加され、電力が供給される。
【0098】
これによって第1および第2電極25、26間に配設されたワークWK内では、ワークWKの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体でワークWK内が満たされていることから、ワークWKの内外における放電開始電圧の差によって主にワークWK内でプラズマ放電が発生する。そして、このプラズマ放電によって生成されたプラズマによってワークWKの内表面が表面処理される。このように本実施形態のプラズマ表面処理装置Scでは、気密容器41b内の気体を排出することによってワークWKの外雰囲気を減圧することができ、減圧下や真空下においてプラズマを発生させることができ、このプラズマによってワークWKの内表面を表面処理することができる。
【0099】
そして、電力供給部30によって第1および第2電極25、26間に所定の電圧値の電圧が印加されている間に、水平方向駆動部70bによって第1電極25が水平方向、例えば、図3における矢符Cに示すように左側から右側へ移動される。これによって第1および第2電極25、26間に挟まれるワークWKの位置がワークWKの一方端側から他方端側へ走査するように変更され、ワークWKの一方端側の所定位置から他方端側の所定位置までその内表面がプラズマによって表面処理される。このように本実施形態のプラズマ表面処理装置Scでは、固定電極としての第2電極26と運動電極としての第1電極25との間に位置するワークWKの箇所に対して局所的にプラズマが発生され、第2電極26に対向する第1電極25の位置において第1電極25の運動に従いワークWKの位置が変更され、これによってワークWKの内表面略全体に亘って表面処理が施される。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置Scは、ワークWKの内表面略全体に亘ってより確実に表面処理を施すことができる。
【0100】
なお、このような構成の第3実施形態のプラズマ表面処理装置Scにおいて、第2実施形態のプラズマ表面処理装置Sbと同様に、ワークWKの外雰囲気の流体を制御するために、この第3実施形態のプラズマ表面処理装置Scは、図3に破線示すように、気密容器41b内に第1放電開始電圧の所定の気体を供給する第2供給部60をさらに備えて構成されてもよい。この第2供給部60は、例えば、第2実施形態のプラズマ表面処理装置Sbと同様の第3貯蔵部61および第2流量制御部62を備えて構成される。第2流量制御部62は、その流出側が気密容器41bに形成された流体供給開口45bに気密容器41bの外部で接続されている。この流体供給開口45bは、シール性が高くなるように構成されている。
【0101】
このような第3実施形態の変形形態のプラズマ表面処理装置Scでは、第2供給部60によって所定の気体を気密容器41b内へ供給することによって、ワークWKの外雰囲気を所定の気体の雰囲気とすることができる。したがって、このような変形形態のプラズマ表面処理装置Scでは、気密容器41b内に第1放電開始電圧の所定の気体を供給することによって、表面処理に応じてワークWKの外雰囲気を変更することができ、所望の表面処理を行うことが可能となる。
【0102】
また、上述の第2および第3実施形態において、プラズマ表面処理装置Sb、Scは、第1実施形態のプラズマ表面処理装置Saと同様に、生産性のスループットを向上させるべく、複数のワークWKを同時に表面処理することができるように構成されてもよい。
【0103】
また、上述の第1実施形態では、ワークWK内の圧力は、略大気圧程度にすることができ、また、上述の第2および第3実施形態では、ワークWK内が減圧され、プラズマの発生を容易にするために、ワークWK内の圧力は、400Torr程度まで減圧することもできる。なお、プラズマを局所的に発生させるために、ワークWK内の圧力は、200Torr以上が好ましい。
【0104】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0105】
一態様にかかるプラズマ表面処理装置は、内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理装置であって、前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体を前記ワーク内に供給する供給部と、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部と、前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動部とを備えるものである。
【0106】
そして、他の一態様にかかるプラズマ表面処理方法は、内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し、前記ワークの前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理方法であって、前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の流体を前記ワーク内に供給する供給工程と、前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部に電圧を印加する印加工程と、前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動工程とを備えるものである。
【0107】
このような構成のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法では、第1電極と第2電極との間にワークが配置され、ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体がワーク内に供給され、第1電極と前記第2電極との間に電力が供給された場合に、ワーク内に選択的にプラズマ放電が発生し、これによってワークの内表面がこのプラズマによって表面処理される。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法は、内部電極を用いることなく、ワークの内表面を処理することができ、生産性の向上も図ることが可能となる。
【0108】
また、他の一態様では、上述のプラズマ表面処理装置において、好ましくは、前記供給部は、前記第2放電開始電圧の流体に対する入口となる前記ワークの一方端に接続されるコネクタである。
【0109】
このような構成のプラズマ表面処理装置では、ワークの一方端をコネクタに接続するだけでワークの外側とその内側とを分けて、ワーク内のみに第2放電開始電圧の気体を供給することが可能となる。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置は、容易にワークをセットすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0110】
また、他の一態様では、これら上述のプラズマ表面処理装置において、好ましくは、前記第1および第2電極を収容する容器と、前記容器内の流体を排出する排出部とをさらに備えるものである。
【0111】
このような構成のプラズマ表面処理装置では、容器内の気体を排出することによってワークの外雰囲気を減圧することができ、減圧下や真空下においてプラズマを発生させることができる。
【0112】
また、他の一態様では、上述のプラズマ表面処理装置において、好ましくは、前記容器内に前記第1放電開始電圧の気体を供給する第2供給部をさらに備えることを特徴とする。
【0113】
このような構成のプラズマ表面処理装置では、容器内に第1放電開始電圧の所定の気体を供給することによって、表面処理に応じてワークの外雰囲気を変更することができ、所望の表面処理を行うことが可能となる。
【0114】
また、他の一態様では、上述のプラズマ表面処理装置において、好ましくは、前記第1および第2電極のうちの一方は、固定された固定電極であり、前記第1および第2電極のうちの他方は、前記固定電極に対し相対的に運動する運動電極であって、前記固定電極に対向する該運動電極の位置において該運動に従い前記ワークの位置を変更可能であるものである。
【0115】
このような構成のプラズマ表面処理装置では、固定電極と運動電極との間に位置するワークの箇所に対して局所的にプラズマが発生され、固定電極に対向する運動電極の位置において運動電極の運動に従いワークの位置が変更され、これによってワークの内表面全体に亘って表面処理が施される。このため、このような構成のプラズマ表面処理装置は、ワークの内表面全体に亘ってより確実に表面処理を施すことができる。
【0116】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0117】
Sa、Sb、Sc プラズマ表面処理装置
WK ワーク
10a、10b、10c 供給部
13、53 コネクタ
20a、20b、20c 電極部
21、23、25 第1電極
22、24、26 第2電極
30 電力供給部
40a、40b 容器
41a、41b 気密容器
50a、50b 排出部
51 第1排出部
52 第2排出部
70a 昇降駆動部
70b 水平方向駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理装置であって、
前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の気体を前記ワーク内に供給する供給部と、
前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部と、
前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動部とを備えること
を特徴とするプラズマ表面処理装置。
【請求項2】
内表面を持つ長尺筒状体のワークに対し、前記ワークの前記内表面をプラズマによって表面処理するプラズマ表面処理方法であって、
前記ワークの外雰囲気における第1放電開始電圧よりも低い第2放電開始電圧の流体を前記ワーク内に供給する供給工程と、
前記筒状体の外側から前記筒状体を挟み込むように前記ワークの大きさに応じた間隔を空けて互いに対向する一対の第1および第2電極を備える電極部に電圧を印加する印加工程と、
前記ワークおよび前記電極部を相対的に運動させる駆動工程とを備えること
を特徴とするプラズマ表面処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−233345(P2011−233345A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102196(P2010−102196)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】