説明

プリント基板及びその製造方法

【課題】簡単に放熱体を形成することができ、放熱効率を高めることができるプリント基板を提供する。
【解決手段】電子部品12を実装すべき基板ユニット4であって、板状の絶縁基材9と、該絶縁基材9の少なくとも一方の面上に形成され、前記電子部品12とリード線15を介して直接又は間接に接続された導体パターン10とを有する基板ユニット4と、前記絶縁基材9の他方の面に重ね合わされた金属製の放熱板2と、前記電子部品12と前記放熱板2とを熱的に接続する伝熱経路とを備え、前記伝熱経路は、該放熱板2と密着して固定され、前記電子部品12と接着された金属製のピン3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造を有するプリント基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品が発する熱を外部に放出するプリント基板が特許文献1に開示されている。このプリント基板は、電子部品が実装されている部分にスルーホールを設け、このスルーホールに金属からなる放熱部品の突起部を差し込み、突起部の先端と電子部品を接触させて基板裏側に配設され、かつ突起部と一体となった本体部を通じて放熱させるものである。しかしながら、特許文献1に記載の放熱部品は、突起部と本体部が一体となって放熱部品を構成している。このような形状の放熱部品を一体として得る場合、鋳型等を用いて製造するため、そのための設備が必要となり、製造コストも高い。また、設備設置のスペースも必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−91522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、簡単に放熱体を形成することができ、放熱効率を高めることができるプリント基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、電子部品を実装すべき基板ユニットであって、板状の絶縁基材と、該絶縁基材の少なくとも一方の面上に形成され、前記電子部品とリード線を介して直接又は間接に接続された導体パターンとを有する基板ユニットと、前記基板ユニットに重ね合わされた金属製の放熱板と、前記電子部品と前記放熱板とを熱的に接続する伝熱経路とを備え、前記伝熱経路は、該放熱板と密着して固定され、前記電子部品と接着された金属製のピンであることを特徴とするプリント基板を提供する。
【0006】
また、請求項2の発明では、前記放熱板は、前記ピンが挿入される第1の貫通孔とをさらに有し、前記絶縁基材は、前記第1の貫通孔に対応する位置に設けられ、前記ピンが挿入される第2の貫通孔とをさらに有することを特徴としている。
また、請求項3の発明では、前記ピンは中実であり、一方の端面が前記放熱板と面一に形成されている底面とをさらに有することを特徴としている。
【0007】
さらに、請求項4の発明では、前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔との位置合わせをしながら前記基板ユニットと前記放熱板を接着し、前記第1及び第2の貫通孔に前記ピンを圧入することを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法を提供する。
また、請求項5の発明では、前記基板ユニットと前記放熱板を接着し、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を同時に形成し、前記第1及び第2の貫通孔に前記ピンを圧入することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、金属製のピンが放熱板に密着し、このピンに発熱体である電子部品が接着されるので、電子部品から発せられる熱をピンを介して効率よく放熱板から放熱することができる。また、この放熱構造を形成する際は、放熱板とピンを密着して固定するだけであるので、簡単な構造で且つ容易に放熱体を形成することができる。また、ピンと放熱板とを異なる材質のもので形成することができ、適宜最適な材料を組み合わせることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、第1及の貫通孔にピンを挿入するだけで簡単に放熱体を形成することができる。貫通孔に挿入する構造とすることで、ピンの外周から均等に放熱することができる。また、絶縁基材に第2の貫通孔を設けて置くことで、プリント基板の製造時の作業性が向上する。
【0010】
請求項3の発明によれば、ピンの一方の端面は放熱板と面一に形成される。このような底面を形成することにより、ピンが放熱板の一方の面から突出していないので、ピンと放熱板とからなる放熱体の取扱い性が向上する。
また、請求項4の発明によれば、基板ユニットと放熱板を接着してからピンを圧入するので、第1及び第2の貫通孔の位置合わせを容易に行うことができる。
【0011】
また、請求項5の発明では、基板ユニットと放熱板を接着してから第1及び第2の貫通孔を同時に形成するので、第1及び第2の貫通孔の位置合わせ作業を要しない。したがって、効率よい作業を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るプリント基板の概略断面図である。
【図2】本発明に係る別のプリント基板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本発明に係るプリント基板1は、放熱板2と、ピン3と、基板ユニット4とを有している。放熱板2は、金属製である。例えば銅等の導電性の高い金属が好ましい。ピン3は、放熱板2と同様金属製である。このピン3も、例えば銅等の導電性の高い金属が好ましい。ピン3は、例えば中実の円柱形状であり、放熱板2と密着して固定されている。具体的には、放熱板2にはピン3と略同径の第1の貫通孔5が形成されていて、ピン3はこの第1の貫通孔5に挿入されている。ピン3の一方の端面である底面6は、放熱板2の一方の面である底面7と面一である。このように互いの底面6,7同士を面一とすることで、ピン3が放熱板2の底面7から突出することを防止する。すなわち、ピン3は放熱板2の天面24からのみ突出している。
【0014】
一方、基板ユニット4は、板状の絶縁基材9と、導体パターン10とを有している。導体パターン10は、絶縁基材9上にエッチング法あるいはアディティブ法で形成されている。絶縁基材9には、第1の貫通孔5に対応する位置に設けられた第2の貫通孔11が形成されている。この第2の貫通孔11に、ピン3が挿入されている。放熱板2と基板ユニット4は、接着剤14を介して接着されている。絶縁基材9から突出したピン3の端面には、発熱体である電子部品12が接着剤13を介して接着されている。この電子部品12は、リード線15を介して所定の導体パターン10と接続され、基板ユニット4に実装されている。すなわち、図の例では、導体パターン10が絶縁基材9の少なくとも一方の面上に形成され、他方の面に放熱板2が重ね合わされている。なお、本発明に係る放熱構造は、図で示した絶縁基材9の片面のみに導体パターン10が形成された片面板の他、絶縁基材9の両面に導体パターン10が形成された両面板、さらには両面板と片面板とを組み合わせて積層した多層板にも適用可能である。
【0015】
このようにして形成されたプリント基板1は、金属製のピン3が放熱板2に密着し、このピン3の天面25に発熱体である電子部品12が接着されている。すなわち、ピン3が電子部品12と放熱板2とをつなぐ電熱経路となる。したがって、電子部品12から発せられる熱は、伝熱経路たるピン3を介して効率よく放熱板2から放熱される。このように、ピン3と放熱板2とが別体なので、この放熱構造を形成する際は、放熱板2とピン3を密着して固定するだけ、具体的には、第1の貫通孔5にピン3を挿入するだけであるので、簡単な構造で且つ容易に放熱体8を形成することができる。加えて、ピン3と放熱板2とを異なる材質のもので形成することができ、適宜最適な材料を組み合わせることができる。ピン3を第1の貫通孔5に挿入する構造とすることで、ピン3の外周から均等に放熱することができる。また、ピン3は、第2の貫通孔11に挿入されるだけで基板ユニット4の実装面に表われるので、プリント基板1の製造時の作業性が向上する。
【0016】
本発明に係るプリント基板の製造方法を具体的に説明すると、以下のようになる。上述した基板ユニット4の底面(実装面と反対側の面)7に対し、放熱板2を接着剤13を介して接着する。この接着は、第1の貫通孔5と第2の貫通孔11の位置を合わせながら行われる。なお、基板ユニット4は公知の方法で製造される。そして、第1の貫通孔5及び第2の貫通孔11に対してピン3を挿入する。換言すれば、ピン3は第1及び第2の貫通孔5,11に圧入される。したがって、ピン3は第1及び第2の貫通孔5,11内に固定される。このように、基板ユニット4と放熱板2を接着してからピン3を圧入するので、第1及び第2の貫通孔5,11の位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】
他の製造方法として、基板ユニット4と放熱板2とを接着材13を介して接着した後、第1及び第2の貫通孔5,11を同時に形成してもよい。このように貫通孔5,11を同時に形成することで、孔の位置合わせ作業が不要となり、作業の効率を向上させることができる。
【0018】
なお、本発明が提供する放熱構造は、図2に示すように、電子部品ユニット16が実装された基板ユニット4に対しても適用可能である。電子部品ユニット16は、電子部品12が片面側に実装され、絶縁基材17に設けられたスルーホール18に導電材料19を充填したものである。この導電材料19の両端に導電回路20,21が形成され、実装面と反対側の導電回路20が半田ボールや導電ペースト等の導電材22を介して導体パターン10に接続される。このとき、ピン3を絶縁基材17をそのまま貫通させて電子部品12と接着してもよいし、図2に示すように、導電材22を介して別のピン23と接続させ、この別のピン23を絶縁基材17を貫通させて電子部品12と接着してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 プリント基板
2 放熱板
3 ピン
4 基板ユニット
5 第1の貫通孔
6 底面
7 底面
8 放熱体
9 絶縁基材
10 導体パターン
11 第2の貫通孔
12 電子部品
13 接着剤
14 接着剤
15 リード線
16 電子部品ユニット
17 絶縁基材
18 スルーホール
19 導電材料
20 導電回路
21 導電回路
22 導電材
23 別のピン
24 天面
25 天面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装すべき基板ユニットであって、板状の絶縁基材と、該絶縁基材の少なくとも一方の面上に形成され、前記電子部品とリード線を介して直接又は間接に接続された導体パターンとを有する基板ユニットと、
前記基板ユニットの他方の面に重ね合わされた金属製の放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板とを熱的に接続する伝熱経路とを備え、
前記伝熱経路は、
該放熱板と密着して固定され、前記電子部品と接着された金属製のピンであることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記放熱板は、前記ピンが挿入される第1の貫通孔とをさらに有し、
前記絶縁基材は、前記第1の貫通孔に対応する位置に設けられ、前記ピンが挿入される第2の貫通孔とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記ピンは中実であり、一方の端面が前記放熱板と面一に形成されている底面とをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔との位置合わせをしながら前記基板ユニットと前記放熱板を接着し、
前記第1及び第2の貫通孔に前記ピンを圧入することを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記基板ユニットと前記放熱板を接着し、
前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を同時に形成し、
前記第1及び第2の貫通孔に前記ピンを圧入することを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−199002(P2011−199002A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64072(P2010−64072)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000243906)株式会社メイコー (34)
【Fターム(参考)】