説明

プリント基板

【課題】ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板において、ランド上へのはんだ塗布量のばらつきを抑制しつつ、はんだの接続信頼性を向上すること。
【解決手段】ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板であって、絶縁基材の一面上に形成されたランドの側面と、ランドを外部に露出させる開口部を有して絶縁基材の一面上に形成されたソルダーレジストの開口部側壁面との対向領域に、ランドの側面及び開口部の側壁面に接しつつ絶縁基材の一面から所定の高さを有する固形状の充填部材を設けた。この充填部材は、はんだ付け時のリフローによって溶融され、且つ、ランドの表面に対する濡れ性が、はんだ付け時にランドの上面に配置されるはんだの溶融状態よりも低い樹脂材料を用いて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板に関し、特にベアチップやBGAなどのチップサイズパッケージといった、端子ピッチの微細な電子部品が実装されるプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板が知られている。このプリント基板は、絶縁基材と、絶縁基材の一面上に形成されたランドと、ランドを外部に露出させる開口部を有して絶縁基材の一面上に形成され、ランドの側面と開口部の側壁面との間に所定の間隔を有するソルダーレジストと、を備えている。このようなプリント基板では、スクリーン印刷により、ランドにおける絶縁基材と反対の上面にペースト状のはんだを配置し、このはんだをリフローすることで、ランドが電子部品の対応する端子と電気的に接続される。
【0003】
近年、大電流化や放熱性向上のために、ランドの厚さが厚く(例えば50μm以上)なってきている。ノーマルレジスト構造のランドでは、ランドの厚さが厚いと、スクリーン印刷時に、ランド側面とレジスト開口部の側壁面との対向領域において絶縁基材の一面まではんだが届かず、はんだとプリント基板との接触面積が小さいため、はんだ塗布量がばらつくという問題がある。
【0004】
一方、特許文献1には、ランドの周辺に、該ランドに密接して形成された光硬化性樹脂絶縁層を有するプリント基板が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−186440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板に、上記した特許文献1に記載の光硬化性樹脂絶縁層を用いると、ランド側面とレジスト開口部の側壁面との対向領域を、光硬化性樹脂絶縁層にて少なからず埋めることができる。このように、レジスト開口部の対向領域(隙間)を光硬化性樹脂絶縁層にて埋めると、スクリーン印刷時に、光硬化性樹脂絶縁層の表面にペースト状のはんだが接触し、これにより光硬化性樹脂絶縁層を含むプリント基板とはんだとの接触面積を増大して、はんだ塗布量のばらつきを抑制することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、光硬化性樹脂絶縁層が、絶縁基材の一面から所定の高さを有しつつ、ランドに密接してランド周辺に形成されている。なお、所定高さとは、ランドの厚さの約1/3以上であって、ランドの厚さを超えない範囲(すなわちランドの高さ以下)である。このため、はんだをリフローする際に、ランドの側面のうち、光硬化性樹脂絶縁層の接する部分には、溶融したはんだが接触することができず、ランドの側面に形成されるはんだのサイドフィレットと、ランドの側面との接続面積が小さい。なお、高さによっては、ランド側面に溶融したはんだが接触することができず、サイドフィレットが全く形成されない。このように、特許文献1の構成では、はんだとランドとの接続面積が小さく、はんだの接続信頼性(はんだ寿命)が低いものとなる。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板において、ランド上へのはんだ塗布量のばらつきを抑制しつつ、はんだの接続信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、
絶縁基材と、
絶縁基材の一面上に形成されたランドと、
ランドを外部に露出させる開口部を有して絶縁基材の一面上に形成され、ランドの側面と開口部の側壁面との間に所定の間隔を有するソルダーレジストと、を備え、
スクリーン印刷により、ランドにおける絶縁基材と反対の上面に、ペースト状のはんだが配置され、このはんだをリフローすることで、ランドが電子部品の対応する端子と電気的に接続されるプリント基板であって、
ソルダーレジストに形成された開口部において、ランドの側面と開口部の側壁面との対向領域には、ランドの側面及び開口部の側壁面に接しつつ絶縁基材の一面から所定の高さを有して固形状の充填部材が配置されており、
充填部材は、リフローによって溶融することで、ランドの側面全域にはんだのサイドフィレットを形成できる材料を用いて形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、ノーマルレジスト構造のランドを有するプリント基板が、レジスト開口部の対向領域(隙間)に、固形状の充填部材を有している。このため、スクリーン印刷により、ペースト状のはんだを、ランドを含むプリント基板上に塗布する際に、ペースト状のはんだとプリント基板との接触面積を、レジスト開口部の対向領域に充填部材を有さない構成に較べて、大きくすることができる。これにより、ペースト状のはんだの塗布量ばらつきを抑制することができる。
【0011】
また、充填部材は、リフローによって溶融することで、ランドの側面全域にはんだのサイドフィレットを形成できる材料を用いて形成されている。したがって、リフローによって溶融しない充填部材(光硬化性樹脂絶縁層)をランドの側面に隣接させる従来の構成に較べて、はんだとランドとの接続面積を大きくすることができる。これにより、はんだの接続信頼性(はんだ寿命)を向上することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、
充填部材は、ランドの表面に対する濡れ性が、ランドの上面に配置されるはんだの溶融状態よりも低い樹脂材料を用いて形成されることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、リフロー時に、充填部材が溶融して(液状となって)流動可能となる。そして、ランドの表面に対する濡れ性は、充填部材よりもはんだのほうが優れるため、溶融状態の充填部材はランドの側面から遠ざかるほうに流動し、ランドの側面全域に溶融状態のはんだを接触させることができる。これにより、ランドの側面全域に、はんだのサイドフィレットを形成することができる。
【0014】
請求項3に記載のように、
充填部材は、ランドの表面の酸化膜と、ペースト状のはんだに含まれるはんだ粉末表面の酸化膜とを除去する清浄作用を有する樹脂材料を用いて形成されると良い。
【0015】
本発明によれば、充填部材の清浄作用により、ランド表面を、溶融状態のはんだが濡れ広がりやすくなる。このように、はんだの濡れ性を、充填部材にて補助する構成とすると、清浄作用を有さない充填部材を用いる構成に較べて、ランドの側面全域に、はんだのサイドフィレットを形成しやすくすることができる。
【0016】
請求項4に記載のように、
充填部材は、ペースト状のはんだに含まれるフラックスの樹脂と同一の樹脂を用いて形成されると良い。
【0017】
リフロー時には、ペースト状のはんだを構成するフラックス成分の樹脂もリフローによって溶融状態となり、ランドの側面から遠ざかるほうに流動する。そして、はんだ(はんだ粉末を構成する金属の焼結体)の周辺に位置し、リフローが終了した時点で、フラックス残渣を形成する。上記発明では、充填部材を構成する樹脂も、リフロー時に溶融し、ランドの側面から遠ざかるほうに流動する。そして、フラックス成分の樹脂と混じり、該樹脂とともにフラックス残渣を形成する。
【0018】
本発明のように、充填部材を構成する樹脂と、ペースト状のはんだを構成するフラックス成分の樹脂を同一とすると、フラックス残渣の特性を所望の特性としやすいという利点がある。例えば、フラックス残渣の割れを抑制すべく、フラックス残渣に柔軟性を持たせるために、ペースト状のはんだを構成するフラックス成分の樹脂を、例えばロジン樹脂と、該ロジン樹脂よりも軟らかいアクリル系樹脂と、を所定の比率で混合してなるものとする。充填部材を構成する樹脂を、ペースト状のはんだを構成するフラックス成分の樹脂と同一とすると、充填部材の充填量がばらついても、フラックス残渣中の混合樹脂の比率は充填部材の充填量によって変化せず、一定である。したがって、フラックス残渣の特性を所望の特性としやすい。
【0019】
請求項5に記載のように、
充填部材は、ランドの上面と同じ高さを有して、開口部の対向領域に配置されると良い。
【0020】
本発明によれば、充填部材とランド上面がほぼ面一となるため、ペースト状のはんだの塗布量ばらつきを、効果的に抑制することができる。また、充填部材がランド上面よりも高く、充填部材にスクリーンが支持されると、周辺に充填部材が配置されたランドの近傍に位置する、周辺に充填部材が配置されないランドに対して、にじみ等の印刷不良が生じる虞がある。本発明によれば、この印刷不良の発生を抑制することもできる。
【0021】
請求項6に記載のように、
はんだペーストを乾燥させたものを充填部材としても良い。
【0022】
本発明によれば、レジスト開口部の対向領域(隙間)に、固形状の充填部材として、はんだペーストを乾燥させたものを設ける。このため、リフロー実装すべく、スクリーン印刷により、ペースト状のはんだを、ランドを含むプリント基板上に塗布する際に、ペースト状のはんだとプリント基板との接触面積を、レジスト開口部の対向領域に充填部材を有さない構成に較べて、大きくすることができる。これにより、ペースト状のはんだの塗布量ばらつきを抑制することができる。
【0023】
また、乾燥させたはんだペースト(充填部材)中のはんだ粉末は、リフローによって溶融し、ランドの側面を濡れ広がる。これにより、ランドの側面全域にはんだのサイドフィレットを形成することができる。本発明によれば、印刷により供給される、ペースト状のはんだとは別に、レジスト開口部の対向領域に、充填部材として、はんだペーストを乾燥させたものを配置しておくため、印刷時に仮にはんだ塗布量が不足したとしても、ランドの側面全域に、はんだのサイドフィレットを形成することができる。なお、はんだペーストを乾燥させたものとは、はんだ粉末と少なくとも溶剤とを混練してなるはんだペーストのうち、溶剤を少なからず気化させて、充填部材における絶縁基材の一面と反対の上面を、乾燥状態としたものを指す。
【0024】
請求項7に記載の発明の作用効果は、請求項5に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0025】
上記した発明は、請求項8に記載のように、
ランドとして、ベアチップ用又はチップサイズパッケージ用のランドを有するプリント基板に好適である。
【0026】
このようなランドは、端子ピッチの微細な電子部品が実装されるランドであり、このランドに対応するスクリーン開口部のアスペクト比(開口面積に対する開口側壁面積)は、他のランドに対応するスクリーン開口部のアスペクト比に較べて大きくなる。このため、特に塗布量のばらつきが大きい傾向があるが、上記発明によれば、充填部材の効果により、ペースト状のはんだの塗布量ばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るプリント基板の平面図である。
【図2】図1において、破線で囲まれた領域IIを拡大した平面図であり、便宜上、第1ランドと充填部材にハッチングを施している。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】プリント基板の製造方法を示す断面図であり、(a)は、ノーマルレジスト構造の第1ランドを形成する工程、(b)は、樹脂ペーストを塗布する工程、(c)は、樹脂ペーストを乾燥させて充填部材とする工程を示す。
【図5】プリント基板に電子部品をリフローはんだ付けする工程を示す断面図であり、(a)は、はんだペーストを印刷した状態、(b)は、リフローはんだ付けが完了した状態を示す。
【図6】比較例としてプリント基板が充填部材を有さない場合の、はんだペースト印刷の課題を説明するための断面図であり、(a)は、メタルマスクの開口部にはんだペーストを充填した状態を示し、(b)は、プリント基板からメタルマスクを版離れさせた状態を示す。
【図7】比較例として第1ランドの側面にリフローによって溶融しない部材が接触配置された場合の、リフローはんだ付けの課題を説明するための断面図である。
【図8】充填部材の配置の変形例を示す平面図である。この平面図は、図2に対応している。図2同様、便宜上、第1ランド、配線、及び充填部材にハッチングを施している。
【図9】充填部材の配置面を2ndリフロー面とする場合の課題を説明するための断面図であり、(a)は、1stリフロー面に電子部品をリフローはんだ付けする工程を示し、(b)は、リフローはんだ付け後の状態を示す。
【図10】第2実施形態に係るプリント基板のうち、充填部材が配置されたノーマルレジスト構造の第1ランド周辺を拡大した断面図である。この断面図は、図3に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、プリント基板(絶縁基材)の厚さ方向を単に厚さ方向と示し、該厚さ方向に垂直な方向(絶縁基材の一面に沿う方向)を単に垂直方向と示す。
【0029】
(第1実施形態)
図1〜図3に示すように、プリント基板100は、絶縁基材10と、少なくともノーマルレジスト構造のランドを含むランド20と、ソルダーレジスト30と、充填部材40を有する。このうち、充填部材40が本実施形態に係る特徴部分である。
【0030】
絶縁基材10は、プリント基板100において、ランド20などを保持する基材であり、電気絶縁材料である樹脂やセラミックスを主原料として形成されている。本実施形態では、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主材として形成されており、ほぼ均一の厚さを有しつつ、垂直方向に沿う外形輪郭が図1に示すような矩形状をなしている。このように、絶縁基材10は、平面矩形の平板状をなしている。この絶縁基材10において、厚さ方向に垂直な表面に、ランド20が形成されている。
【0031】
ランド20は、プリント基板100において、電子部品(図5(b)の電子部品112参照)の端子がはんだ付けされる外部接続用の電極である。このランド20は、ノーマルレジスト構造のランドを少なくとも含んでおり、絶縁基材10における厚さ方向に垂直な表面のうち、少なくとも一方に形成されている。なお、ノーマルレジスト構造とは、ランド20の側面とソルダーレジスト30の開口部31の側壁面との間に対向領域(隙間)を有する構造である。ランド20の構造としては、上記ノーマルレジスト構造以外に、ランド20の上面における周縁に、ソルダーレジスト30が乗り上げたオーバーレジスト構造がある。
【0032】
本実施形態では、絶縁基材10の表面のうち、一面10aのみにランド20が形成されている。また、全てのランド20がノーマルレジスト構造となっている。また、ランド20として、後述する充填部材40が隣接配置される第1ランド21と、充填部材40が隣接配置されない第2ランド22を有している。本実施形態では、ベアチップやチップサイズパッケージ(CSP)などの、端子ピッチが狭い電子部品に対応するランドが第1ランド21とされ、チップ抵抗やチップコンデンサなど、ベアチップやCSPに比べて端子ピッチが広い電子部品に対応するランドが第2ランド22となっている。なお、CSPとしては、例えばBGAやQFNなどがある。
【0033】
図1において、紙面向かって左側(第2ランド22の下側)に位置する第1ランド21は、外周から内周に向かって3列(3段)の矩形環状配置となっており、ベアチップやBGAなどに対応するランドである。一方、紙面向かって右側の第1ランド21は、例えばQFNに対応するランドである。
【0034】
これらランド20は、配線23同様、金属箔(例えば銅箔)をパターニングしてなる。すなわち、配線23の端部としてランド20が形成されている。本実施形態では、第1ランド21の大電流対応及び放熱性向上のため、ランド20及び配線23を構成する金属箔として、厚さ50μm程度のものを採用している。このようなランド20は、配線23の端部として配線23と一体的に形成されても良いし、単独で形成されて層間接続ビア(図示略)により配線23と接続されても良い。
【0035】
図2及び図3に示す第1ランド21は、図示しない層間接続ビアを介して、絶縁基材10の内部に配置された配線23(内層配線)と電気的に接続されている。また、図3に示すように、絶縁基材10の一面10aには、ランド20だけでなく、配線23も形成されている。このように、本実施形態では、絶縁基材10の一面10aにランド20及び配線23が配置されるとともに、絶縁基材10の内部にも配線23(図示略)が配置されており、これにより多層構造のプリント基板100となっている。
【0036】
ソルダーレジスト30は、はんだの付着防止、配線23の保護などの機能を果たすものであり、絶縁基材10の表面のうち、ランド20を含む配線23の形成面に形成される。このソルダーレジスト30は、ランド20をはんだ付け可能に露出させるための開口部31を有している。
【0037】
本実施形態では、上記したように、全てのランド20がノーマルレジスト構造となっている。したがって、全てのランド20の側面との間に所定の間隔を有するように、開口部31が、対応するランド20を取り囲んで形成されている。例えば、ベアチップやBGAに対応する第1ランド21を取り囲む開口部31は、第1ランド21の外形輪郭に対応して平面円形状をなしている。そして、第1ランド21の側面21aと開口部31の側壁面31aとの間には、第1ランド21の側面全周にわたって、ほぼ均一幅の隙間(対向領域)が形成されている。一方、図示しないが、QFNに対応する第1ランド21を取り囲む開口部31は、第1ランド21の外形輪郭に対応して平面矩形状をなしている。そして、この第1ランド21の側面21aと開口部31の側壁面31aとの間にも、第1ランド21の側面全周にわたって、ほぼ均一幅の隙間(対向領域)が形成されている。
【0038】
また、ソルダーレジスト30は、図3に示すように、絶縁基材10の一面10aに形成された配線23を被覆しない部分32(以下、低背部32)と、配線23を被覆する部分33(高背部33)を有する。そして、高背部33に較べて、一面10aからの高さが低い低背部32の上面32aが、第1ランド21の上面21bとほぼ面一の位置関係、すなわち上面21bとほぼ同じ高さとなっている。
【0039】
充填部材40は、ノーマルレジスト構造のランド20の側面と、ソルダーレジスト30の開口部31の側壁面との対向領域(間隙)に配置される。この充填部材40は、リフローによって溶融する、すなわち液体となることで、ランド20の側面全域にはんだ113のサイドフィレット113a(後述する図5(b)参照)を形成できる材料を用いて形成されており、プリント基板100の状態で固形状となっている。また、ランド20の側面及び開口部31の側壁面に接しつつ絶縁基材10の一面10aから所定の高さを有している。
【0040】
本実施形態では、ノーマルレジスト構造のランド20のうち、第1ランド21のみに対応して充填部材40が設けられている。すなわち、第2ランド22には、充填部材40が設けられていない。このため、第1ランド21が、特許請求の範囲に記載のランドに相当する。図3に示すように、第1ランド21の側面21aと、該ランド21を取り囲む開口部31の側壁面31aとの間に形成される対向領域には、該対向領域を埋めるように充填部材40が配置されている。充填部材40は、第1ランド21の側面21a、開口部31の側壁面31a、及び絶縁基材10の一面10aにそれぞれ接するとともに、その上面40aが、第1ランド21の上面21b及び低背部32の上面32aとほぼ面一の位置関係となっている。すなわち、本実施形態では、第1ランド21の側面21aと、第1ランド21を取り囲む開口部31の側壁面31aとの対向領域が、充填部材40によりほぼ全て埋められている。
【0041】
また、充填部材40は、第1ランド21の表面(側面21a及び上面21b)に対する濡れ性が、電子部品112をリフローはんだ付けする際に第1ランド21の上面21bに配置されるはんだ113(はんだペースト111中のはんだ粉末)の溶融状態よりも低い樹脂材料を用いて形成されている。本実施形態では、充填部材40が、はんだペースト111に含まれるフラックスの樹脂と同一の樹脂(例えばロジン樹脂)を用いて形成されている。このため、充填部材40を構成する樹脂が、第1ランド21の表面の酸化膜と、はんだペースト111に含まれるはんだ粉末表面の酸化膜とを除去する清浄作用も有している。
【0042】
次に、上記したプリント基板100の製造方法について説明する。
【0043】
まず、ランド20や配線23からなる導電経路が形成された絶縁基材10を準備する。すなわち、充填部材40が配置されていない通常のプリント基板100の状態まで形成する。その際、絶縁基材10の一面10aに、第1ランド21を含むランド20及び配線23が配置されるように、絶縁基材10の一面10aに貼着された銅箔をパターニングする。
【0044】
次いで、絶縁基材10の一面10a全面に、例えばスプレーコート法により、ソルダーレジスト30を形成する。そして、露光、現像を経て、ソルダーレジスト30を所定形状にパターニングする。これにより、ソルダーレジスト30に開口部31が形成され、開口部31内にランド20が位置することとなる。すなわち、ランド20が外部に露出された状態となる。
【0045】
次いで、開口部31から露出されたランド20の表面(例えば第1ランド21の側面21a及び上面21b)に、スプレーなどにより、プリフラックス(図示略)を塗布する。なお、後述するはんだペースト111がPb入りの場合には、プリフラックスに代えて、はんだ膜(はんだレベラー)を形成しても良い。以上が図4(a)に示す、ノーマルレジスト構造のランド20(第1ランド21)を形成する工程である。
【0046】
次いで、充填部材40を配置する。本実施形態では、上記したように、ランド20のうち、第1ランド21のみに充填部材40を配置する。具体的には、ロジン樹脂を溶剤(溶媒)にて所定粘度に調整してなる樹脂ペースト40bを、第1ランド21の側面21aとソルダーレジスト30の開口部31の側壁面31aとの対向領域(間隙)に、ディスペンサやスクリーン印刷法により塗布する。本実施形態では、図4(b)に示すように、ディスペンサ110を用いて、対向領域に樹脂ペースト40bを充填する。このとき、樹脂ペースト40bは、絶縁基材10の一面10a側から側面21a及び側壁面31aに接しつつ、対向領域を徐々に埋めていく。また、一面10aと反対の面(充填部材40の上面40aに相当)は平坦となる。本実施形態では、後述する乾燥後(固形化後)の状態で、充填部材40の上面40aが、第1ランド21の上面21bと略面一(ほぼ等しい高さ)となるように、樹脂ペースト40bを塗布する。
【0047】
そして、加熱などにより、樹脂ペースト40b中の溶剤を少なからず気化させることで、図4(c)に示す固形状の充填部材40を得ることができる。なお、固形状の充填部材40とは、樹脂ペースト40b中の溶剤が少なからず気化されて、充填部材40の少なくとも上面40aが乾燥し、これにより上面40aの皮膜強度が高まった状態を指す。もちろん、樹脂ペースト40bの溶剤を完全に気化させ、充填部材40を、樹脂のみからなる構成としても良い。
【0048】
次に、このように構成されるプリント基板100への電子部品112のリフローはんだ付けについて説明しつつ、充填部材40を設けたことによる効果を説明する。
【0049】
なお、リフローはんだ付けについては、絶縁基材10の一面10aにおいて、第1ランド21だけでなく第2ランド22についても実施されるが、以下においては、充填部材40の効果を説明するため、第1ランド21についてのみ言及する。
【0050】
絶縁基材10の一面10a上に、電子部品112をリフローはんだ付けするに際し、先ずスクリーン印刷法により、図5(a)に示すように、第1ランド21の上面21b上に、はんだペースト111を塗布する。このはんだペースト111は、特許請求の範囲に記載のペースト状のはんだに相当する。はんだペースト111は、はんだ粉末と、フラックスとを混練してなる。はんだ粉末としては、Pb入り、Pbフリーのいずれも採用することができる。フラックスは、ロジン樹脂やアクリル系樹脂などのベース樹脂に、活性剤などの各種添加剤を加え、溶剤(溶媒)にて所定粘度に調整してなるものである。本実施形態では、はんだペースト111が、Pbフリー系のSn−Ag−Cu合金のはんだ粉末を含むとともに、フラックスのベース樹脂としてロジン樹脂(松脂)を含む。
【0051】
このスクリーン印刷では、スクリーンとしてのメタルマスク114の開口部114a(図6参照)が、対応する第1ランド21の上面21bの外形輪郭とほぼ同一の開口形状を有するとともに、上面21bの面積よりも若干大きい開口面積を有するものを用いる。
【0052】
ところで、第1ランド21の側面21aとソルダーレジスト30の開口部31の側壁面31aとの対向領域に充填部材40を有さず、該対向領域が空隙のプリント基板100を用いる場合、図6(a)に示すように、図示しないスキージを操作することで、メタルマスク114の開口部114aを通過したはんだペースト111は、プリント基板100のうち、第1ランド21の上面21bのみに接触する。このため、絶縁基材10の一面10a上に配置したメタルマスク114を一面10aから離反させる、すなわち版離れさせる際に、図6(b)に示すように、第1ランド21上に残るべきはんだペースト111の一部が、メタルマスク114側に持っていかれ、第1ランド21上に位置するはんだペースト111の塗布量がばらついてしまう。なお、図6(b)では、第1ランド21上のはんだペースト111がツノ形状を有しており、その厚さが面内で不均一となっている。
【0053】
特に本実施形態に示すように、大電流化、高放熱化対応のため、第1ランド21の厚さが厚いと、はんだペースト111が、第1ランド21の周囲に位置する絶縁基材10の一面10aまで届きにくく(一面10aに接触しにくく)、このような不具合が生じる。
【0054】
これに対し、本実施形態では、第1ランド21の側面21aとソルダーレジスト30の開口部31の側壁面31aとの対向領域に、充填部材40を設けている。より詳しくは、充填部材40の上面40aを、第1ランド21の上面21bと略面一としている。このため、スクリーン印刷時において、図5(a)に示すように、はんだペースト111が、第1ランド21の上面21bだけでなく、上面21bの周辺に位置する充填部材40の上面40aにも接触する。すなわち、はんだペースト111とプリント基板100との接触面積を、充填部材40を有さない構成に較べて、大きくすることができる。特に、メタルマスク114の版離れ方向(厚さ方向にそう方向)に対して略垂直な接触面積を大きくすることができる。したがって、第1ランド21上へのはんだペースト111の塗布量のばらつきを抑制することができる。換言すれば、図5(a)に示すように、第1ランド21上に、その厚さが面内でほぼ均一なはんだペースト111を配置することができる。
【0055】
上記はんだペースト111の塗布後、図5(b)に示すように、電子部品112を絶縁基材10の一面10a上に位置決め載置する。具体的には、電子部品112の端子が、対応する第1ランド21の直上に位置して、第1ランド21上のはんだペースト111に接触するように電子部品112を配置する。そして、この状態で、リフローを行う。リフローの温度は200〜300℃程度である。このリフローにより、はんだペースト111は加熱され、フラックスを構成する溶剤が気化するとともに、ベース樹脂であるロジン樹脂が溶融する。このロジン樹脂により、第1ランド21の表面と、はんだペースト111中のはんだ粉末の表面とに形成された酸化膜が除去されるとともに、これら表面に酸化膜が新たに形成されるのが抑制される。また、リフローの加熱により、はんだ粉末が溶融してなる溶融はんだは、溶融状態にあるロジン樹脂よりも第1ランド21の表面に対する濡れ性に優れるため、ロジン樹脂を押しのけて、第1ランド21の表面を濡れ広がる。換言すれば、溶融状態にあるロジン樹脂のほうが、溶融はんだよりも、第1ランド21の表面に対する濡れ性が低いため、ロジン樹脂を押しのけて、第1ランド21の表面を濡れ広がる。
【0056】
ところで、図7に示すソルダーレジスト30のようにリフローによって溶融しない部材が、第1ランド21の側面21a全域に隣接して形成される場合、上記した溶融はんだは、第1ランド21の表面のうち、上面21bのみを濡れ広がる。このため、冷却固化した状態(溶融はんだを構成する金属同士が金属結合を形成した焼結状態)で、はんだ113は、第1ランド21の上面21bのみと接続(接合)する。なお、図7に示す符号113bは、ロジン樹脂などが含まれるフラックス残渣である。
【0057】
これに対し、本実施形態では、リフローにより、充填部材40を構成するロジン樹脂も溶融し、液状となる。なお、充填部材40に溶剤が残存している場合には、このリフローにより気化する。上記したように、溶融状態にあるロジン樹脂のほうが、溶融はんだよりも、第1ランド21の表面に対する濡れ性が低いため、上記したはんだ粉末が溶融してなる溶融はんだは、固形状の状態で充填部材40を構成していた溶融状態にあるロジン樹脂を押しのけて、第1ランド21の側面21aにも濡れ広がる。このため、冷却固化した状態で、はんだ113は、第1ランド21の上面21bの全域及び側面21aの全域と接続(接合)する。すなわち、第1ランド21の側面21a全域、より詳しくは、対向領域をなす側面21aの部分の全域にサイドフィレット113aが形成される。したがって、リフローにより溶融しない部材を第1ランド21の側面21aに隣接させる構成に較べて、第1ランド21に対するはんだ113の接続面積を増大させ、これにより、はんだ113の接続信頼性(はんだ寿命)を向上することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、はんだペースト111中のフラックスと、充填部材40を構成する樹脂が、いずれも溶融状態で、第1ランド21の側面21aから遠ざかるほうに流動し、互いに混じり合う。そして、はんだ113の周辺で、フラックス残渣113bを形成する。本実施形態では、充填部材40を構成する樹脂材料を、はんだペースト111に含まれるフラックスの樹脂と同一としているため、フラックス残渣113bの特性を所望の特性としやすいという利点がある。例えば、フラックス残渣113bの割れを抑制すべく、フラックス残渣113bに柔軟性を持たせるために、はんだペースト111を構成するフラックス成分の樹脂を、例えばロジン樹脂と、該ロジン樹脂よりも軟らかいアクリル系樹脂とを所定の比率(例えば1:2)で混合してなるものとする。充填部材40を構成する樹脂を、はんだペースト111を構成するフラックス成分の樹脂と同一とすると、充填部材40を構成する樹脂ペースト40bの充填量がばらついても、フラックス残渣113b中の混合樹脂の比率は充填量によって変化せず、一定である。したがって、フラックス残渣113bの特性を所望の特性としやすい。
【0059】
また、本実施形態では、充填部材40を構成する樹脂が、第1ランド21の表面の酸化膜と、はんだペースト111に含まれるはんだ粉末表面の酸化膜とを除去する清浄作用を有する。このため、充填部材40の清浄作用により、第1ランド21の表面(側面21aを、溶融はんだが濡れ広がりやすい。このように、はんだの濡れ性を、充填部材40にて補助する構成とすると、清浄作用を有さない充填部材40を用いる構成に較べて、第1ランド21の側面21a全域に、はんだ113のサイドフィレット113aを形成しやすくすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、端子ピッチの微細な電子部品112が実装されるランドが、充填部材40が隣接配置される第1ランド21となっている。このため、第1ランド21に対応するメタルマスク114の開口部114aのアスペクト比(開口面積に対する開口側壁面積)は、他のランド20に対応する開口部のアスペクト比に較べて大きい。これにより、特に第1ランド21において、はんだペースト111の塗布量ばらつきが大きい。しかしながら、本実施形態によれば、充填部材40の効果により、このような第1ランド21に対しても、はんだペースト111の塗布量ばらつきを抑制することができる。
【0061】
(変形例)
第1ランド21の側面21aと、ソルダーレジスト30の開口部31の側壁面31aとの対向領域に配置される充填部材40の高さは、上記実施形態の高さに限定されるものではない。対向領域に少なからず充填部材40が配置されると、配置されない構成に較べて、はんだペースト111が、プリント基板100における第1ランド21以外の部分と接触しやすくなる。これにより、はんだペースト111とプリント基板100との接触面積を大きくすることができる。しかしながら、充填部材40の高さが、第1ランド21の上面21bの高さに近いほど、はんだペースト111の塗布量のばらつきを、より効果的に抑制することができる。なお、充填部材40の上面40aが第1ランド21の上面21bに対して高くなり、メタルマスク114が充填部材40に支持された状態となると、第1ランド21の近傍に位置する第2ランド22とメタルマスク114との隙間が広くなり、第2ランド22に、にじみ等の印刷不良が生じやすくなる。したがって、充填部材40の上面40aを、配線23を覆う高背部33の上面33a以下の高さとすることが好ましい。
【0062】
上記実施形態では、充填部材40を構成する樹脂材料として、はんだペースト111に含まれるフラックスの樹脂と同一の樹脂を用いて形成される例を示した。しかしながら、はんだペースト111に含まれるフラックスの樹脂と異なる樹脂を用いても良い。樹脂材料としては、少なくともリフロー時に溶融し、これにより、溶融はんだを第1ランド21の側面21aに接触させることができるものであれば良い。また、はんだペースト111に含まれるフラックスの樹脂と異なり、且つ、第1ランド21の表面の酸化膜と、はんだペースト111に含まれるはんだ粉末表面の酸化膜とを除去する清浄作用を有する樹脂を採用しても良い。
【0063】
上記実施形態では、複数のランド20の一部のみ(第1ランド21のみ)、充填部材40を隣接して設ける例を示した。しかしながら、ノーマルレジスト構造のランド20であれば、上記構成を採用することができる。
【0064】
上記実施形態では、第1ランド21の側面21aと、該ランド21を取り囲む開口部31の側壁面31aとの間に形成される対向領域の形状について特に言及せず、図3では、垂直方向に沿う対向領域の平面形状が環状の例を示した。しかしながら、図8に示すように、第1ランド21が、絶縁基材10の一面10aに位置する配線23と接続される構成では、対向領域が環状とはならず、略C字状となる。このような略C字状の対向領域についても、充填部材40を配置することで、環状の対向領域に配置した上記充填部材40と同等の効果を奏することができる。この場合、第1ランド21の側面21aのうち、略C字状の対向領域をなす側面21aの部分の全域にサイドフィレット113aが形成される。すなわち、第1ランド21の側面21aのうち、配線23との接続された部分を除く部分の全域にサイドフィレット113aが形成される。
【0065】
上記実施形態では、絶縁基材10の一面10aのみにランド20が形成される例を示した。しかしながら、一面10aのみでなく、一面10aと反対の裏面10bにもランド20が形成された構成、すなわちプリント基板100の両面にランド20を有する構成としても良い。ただし、両面のランド20に電子部品112がそれぞれリフローはんだ付けされ、且つ、図9(a)に示すように、第1ランド21及び充填部材40が形成された一面10aを2ndリフロー面、第2ランド22が形成された裏面10bを1stリフロー面とする場合、以下の不具合が生じる虞がある。リフローする際には、両面側からプリント基板100にリフロー熱が印加される。このため、裏面10bの第2ランド22に電子部品112をリフローはんだ付けする際、加熱により、一面10a側に形成された充填部材40中に残存する溶剤が気化し、図9(b)に示すように、充填部材40の高さが減少(膜減り)する。したがって、プリント基板100の形成時に、第1ランド21の上面21bと充填部材40の上面40aとの高さを合わせ込んでおいても、上記膜減りにより、段差が生じることとなる。このため、裏面10bに次いで、一面10aの第1ランド21に、スクリーン印刷によりはんだペースト111を塗布する際に、はんだペースト111の塗布量ばらつき抑制の効果が低減する虞がある。
【0066】
したがって、プリント基板100の両面にランド20を有し、且つ、片面のみに第1ランド21(及び充填部材40)が形成される構成では、第1ランド21の形成面を1stリフロー面とすると良い。一方、第1ランド21の形成面を2ndリフロー面としなければならない場合には、樹脂ペースト40bを形成する際に用いる溶剤として、リフロー時に気化する範囲で、より沸点の高いものを用いると良い。また、樹脂ペースト40b中における溶剤の混合比率を低くする(溶剤に対して樹脂の比率を高くする)ことによっても、膜減りを抑制することができる。
【0067】
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示したプリント基板100及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、樹脂を用いて充填部材40が形成される例を示した。
【0068】
これに対し、本実施形態では、図10に示すように、はんだペーストを用いて充填部材42が形成される点を特徴とする。充填部材42と第1実施形態に示した充填部材40との相違点は、構成材料のみであり、充填部材40の構成を、充填部材42にも適用することができる。
【0069】
なお、図10に示す例では、充填部材42の上面42aが、第1ランド21の上面21bと略面一(ほぼ同じ高さ)となっている。また、充填部材42も、プリント基板100の状態で、固形状となっている。このような固形状の充填部材42とは、はんだペースト中の溶剤が少なからず気化されて、充填部材42の少なくとも上面42aが乾燥し、これにより上面42aの皮膜強度が高まった状態を指す。もちろん、はんだペーストの溶剤を完全に気化させ、充填部材42を、溶剤のない状態としても良い。本実施形態では、充填部材42を構成するはんだペーストが、リフローはんだ付けする際のはんだペースト111と同一の構成となっている。すなわち、はんだ粉末及びフラックスの構成が同一であり、Sn−Ag−Cu合金のはんだ粉末を含むとともに、フラックスのベース樹脂としてロジン樹脂を含む。
【0070】
次に、本実施形態に係るプリント基板100において、充填部材42を設けたことによる効果を説明する。充填部材42を設けた効果は、基本的に充填部材40を設けた効果と同じである。相違点は、リフローによって溶融することで、第1ランド21の側面21a全域に、はんだ113のサイドフィレット113aを形成できる作用の部分である。以下、相違点について説明する。
【0071】
本実施形態では、リフローにより、充填部材42を構成するはんだ粉末と、ロジン樹脂がともに溶融する。また、充填部材42由来の溶融はんだは、少なくとも充填部材42由来のロジン樹脂を押しのけて、第1ランド21の表面(少なくとも側面21a)に濡れ広がる。一方、はんだペースト111中のはんだ粉末及びロジン樹脂も、リフローにより溶融し、はんだペースト111由来の溶融はんだは、少なくともはんだペースト111由来のロジン樹脂を押しのけて、第1ランド21の表面(少なくとも上面21b)に濡れ広がる。このため、冷却固化した状態で、はんだ113は、第1ランド21の上面21bの全域及び側面21aの全域と接続(接合)する。すなわち、第1ランド21の側面21a全域にサイドフィレット113aが形成される。したがって、リフローにより溶融しない部材を第1ランド21の側面21aに隣接させる構成に較べて、第1ランド21に対するはんだ113の接続面積を増大させ、これにより、はんだ113の接続信頼性(はんだ寿命)を向上することができる。
【0072】
特に本実施形態では、はんだペースト111とは別に、充填部材42として、はんだペーストを乾燥させたものを配置しておくため、スクリーン印刷時に仮にはんだペースト111の塗布量が不足したとしても、第1ランド21bの側面21a全域に、はんだ113のサイドフィレット113aを形成することができる。
【0073】
充填部材42を構成するはんだペーストとしては、はんだ粉末を溶剤にて所定粘度に調整したもの、すなわちベース樹脂など溶剤以外のフラックス成分を有さないものを採用することもできる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・絶縁基材
10a・・・一面
20・・・ランド
21・・・第1ランド
21a・・・側面
21b・・・上面
30・・・ソルダーレジスト
31・・・開口部
31a・・・側壁面
40,42・・・充填部材
40a,42a・・・上面
40b・・・樹脂ペースト
100・・・プリント基板
111・・・はんだペースト
113・・・はんだ
113a・・・サイドフィレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、
前記絶縁基材の一面上に形成されたランドと、
前記ランドを外部に露出させる開口部を有して前記絶縁基材の一面上に形成され、前記ランドの側面と前記開口部の側壁面との間に所定の間隔を有するソルダーレジストと、を備え、
スクリーン印刷により、前記ランドにおける絶縁基材と反対の上面に、ペースト状のはんだが配置され、このはんだをリフローすることで、前記ランドが電子部品の対応する端子と電気的に接続されるプリント基板であって、
前記ソルダーレジストに形成された開口部において、前記ランドの側面と前記開口部の側壁面との対向領域には、前記ランドの側面及び前記開口部の側壁面に接しつつ前記絶縁基材の一面から所定の高さを有して固形状の充填部材が配置されており、
前記充填部材は、リフローによって溶融することで、前記ランドの側面全域にはんだのサイドフィレットを形成できる材料を用いて形成されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記充填部材は、前記ランドの表面に対する濡れ性が、前記ランドの上面に配置されるはんだの溶融状態よりも低い樹脂材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記充填部材は、前記ランドの表面の酸化膜と、前記ペースト状のはんだに含まれるはんだ粉末表面の酸化膜とを除去する清浄作用を有する樹脂材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記充填部材は、前記ペースト状のはんだに含まれるフラックスの樹脂と同一の樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプリント基板。
【請求項5】
前記充填部材は、前記ランドの上面と同じ高さを有して、前記開口部の対向領域に配置されていることを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記充填部材は、はんだペーストを乾燥させたものであることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記充填部材は、前記ランドの上面と同じ高さを有して、前記開口部の対向領域に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のプリント基板。
【請求項8】
前記ランドは、ベアチップ用又はチップサイズパッケージ用のランドであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−55208(P2013−55208A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192200(P2011−192200)
【出願日】平成23年9月4日(2011.9.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】