説明

プロジェクタ装置

第1の画像生成及び投写ユニット(11)及び第2の画像生成及び投写ユニット(12)を備えるプロジェクタ装置(10)を提案する。第1及び第2の画像生成及び投写ユニット(11、12)の連携により、第1の又は二次元投写/表示モード及び第2の立体的又は投写/表示モードが実現される。第2の画像生成及び投写ユニット(12)は、第1の画像生成及び投写ユニット(11)から余りの光(L1’)を受光し、余りの光(L1’)を用いて、第2の画像(I2)を生成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に電子機器及び情報の交換及び表示のための設備において、画像表示及び画像投写技術は、広く普及し、益々重要になっている。
【0003】
ここで、立体的又は三次元的投写機能を実現することが重要な課題となっている。このような立体的又は三次元的な表示又は投写機能を有する従来の装置は、それぞれの実現のために必要な光学的部品の数が多いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、二次元投写機能と共に、立体的又は三次元的投写機能を実現し、同時に、取り扱いが容易で、小型化されたプロジェクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有するプロジェクタ装置によって、この課題を解決する。本発明に基づくプロジェクタ装置の好ましい実施の形態は、従属請求項に定義されている。
【0006】
本発明に係るプロジェクタ装置は、第1の画像を生成し、第1の画像を、二次元的な手法で表示画像として投写又は表示する第1の画像生成及び投写ユニットを備える。更に、プロジェクタ装置は、第2の画像を生成し、第2の画像を、二次元的な手法で表示画像として投写又は表示する第2の画像生成及び投写ユニットとを備える。本発明では、第1及び第2の画像生成及び投写ユニットは、協働して、表示画像が厳密な二次元的手法で投写及び/又は表示される第1の又は二次元投写/表示モードを実現するように適応化及び/又は構成される。更に、第1及び第2の画像生成及び投写ユニットは、協働して、表示画像が立体的又は三次元的な手法で投写及び/又は表示される第2の、立体的又は三次元的投写/表示モードを実現するように適応化及び/又は構成される。
【0007】
本発明の第1の解決策では、第1及び第2の画像生成及び投写ユニットは、互いに着脱可能に取り付けられるモジュールとして形成される。第1の画像生成及び投写ユニットは、第1の又は二次元投写/表示モードでは、第2の画像生成及び投写ユニットから独立したスタンドアロン機器として動作し又は動作可能である。
【0008】
すなわち、上述した課題に対する本発明の第1の解決策の基礎的な発想は、特に、第2の立体的又は三次元的投写/表示モードにおいて、第1及び第2の画像生成及び投写ユニットを結合又は取り付けることができるように構成及び/又は適応化することである。更に、特に第1の又は二次元投写/表示モードにおいては、この第1及び第2の画像生成及び投写ユニットは、互いに取り外し又は分離することができる。
【0009】
上述の課題に対する他の解決策では、第2の画像生成及び投写ユニットは、第1の画像生成及び投写ユニットから余りの光(waste light)を受光し、余りの光又はその一部又は派生光を用いて、第2の画像を生成するように適応化及び/又は構成される。
【0010】
すなわち、上述の課題に対する本発明の第2の解決策の基礎的な発想は、第2の画像生成及び投写ユニットが、それぞれの第1の画像の生成処理において、第1の画像生成及び投写ユニットが使用しなかった未使用の光、すなわち、余りの光を第1の画像生成及び投写ユニットから受光するように、第2の画像生成及び投写ユニットを構成及び/又は適応化することによって、第2の画像生成及び投写ユニットのために、独立した照明ユニット又はランプを確保する必要性をなくすことである。したがって、第2の解決策により、プロジェクタ装置のコンポーネント又は部品の数を削減できる。
【0011】
これらの2つの手法は、互いに組み合わせてもよく、これにより、互いに分離又は結合できる2つの画像生成及び投写ユニットを備え、第2の画像生成及び投写ユニットが、第1の画像生成及び投写ユニットが画像生成処理に使用しなかった余りの光を用いるので、発光部品が1つで済むプロジェクタ装置が提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態では、第1の画像生成及び投写ユニットは、一次照射光を受光及び/又は生成するように適応化及び/又は構成される。
【0013】
この第1の変形例により、本発明に基づくプロジェクタ装置における画像生成及び投写処理に外部の発光装置又はランプ装置を用いることができる。これに代えて、又はこれに加えて、第1の画像生成及び投写ユニットは、自らが一次照射光を生成するように適応化及び/又は構成してもよい。
【0014】
この変形例では、第1の画像生成及び投写ユニットは、照明ユニット、特にランプ装置又はこれに類似する装置を備えていてもよい。
【0015】
第1の画像を生成するために、この一次照射光の一部又はその成分のみが使用されるように第1の画像生成及び投写ユニットを適応化及び/又は構成することが更に好ましい。
【0016】
したがって、第1の画像生成及び投写ユニットは、第1の画像を生成するために使用しなかった一次照射光の一部又は成分を、余りの光として、特に第2の画像又は投写ユニットに供給するように適応化及び/又は構成することが好ましい。
【0017】
本発明の更に好適な実施の形態においては、第1の画像生成及び投写ユニット及び/又は第2の画像生成及び投写ユニットは、それぞれ第1及び第2の画像を生成する画像生成ユニット、特にそれぞれのLCDパネルと、第1の画像及び第2の画像をそれぞれ投写するビームスプリッタユニット、特にそれぞれの偏光選択ビームスプリッタキューブ及び/又は投写ユニットとを備える。
【0018】
本発明の更に好適な変形例においては、第1の画像生成及び投写ユニットは、順次的な色選択のための色切替ユニット、特に反射電子色スイッチ(reflective electronic color switch:RECS)を備える。
【0019】
色切替ユニットは、光を受け取るために、第1のスペクトル範囲内にある、受け取った光の第1の部分を反射し、第2のスペクトル領域内にある、受け取った光の第2の部分を透過するように構成及び/又は適応化してもよい。
【0020】
色切替ユニットは、照射パスに対称的に配置され、及び/又は第1の画像生成及び投写ユニットに対しては反射モードで動作し、第2の画像生成及び投写ユニットに対しては透過モードで動作するように構成及び/又は適応化してもよい。
【0021】
これに加えて又はこれに代えて、第1の画像生成及び投写ユニットは、第1の画像生成及び投写ユニットから第2の画像生成及び投写ユニットに余りの光を供給するインタフェースセクションを備えていてもよい。
【0022】
これら2つの場合、インタフェースセクションは、色切替ユニットに少なくとも部分的に基づいていることが好ましい。
【0023】
以下、別の表現により、本発明のこれらの及び更なる側面について説明する。
【0024】
本発明は、特に、立体的な投写ユニットのためのモジュール技術に関連する。発明の目的は、立体的又は3D画像を生成するモジュール方式の立体画像投写ユニットを提供することである。左右の目について相補的な偏光を行う眼鏡を用いることによって、遠景に後部映像を結像することができる。
【0025】
モジュール方式では、2つのユニットが提供され、1つのユニットは、発光部であるランプと、イメージャを有するビームスプリッタと、投写部とを備える投写モジュールである。このユニットは、単一のイメージャ装置を備えるプロジェクタに相当する。
【0026】
第2の部分は、第2のイメージャ及び投写部を含むビームスプリッタを備える。
【0027】
第1の部分は、正面投写及び背面投写のための、標準的な、スタンドアロンの2D投写ユニットとして用いることができる。立体又は3Dユニットは、偏光を維持する半透明の背面投写スクリーンと共に、背面投写モードにおいてのみ用いられる。
【0028】
2D及び立体又は3Dの画像は、用途に応じて生成することができる。本発明は、容易にスタックして、立体的な投写のための立体又は3Dモジュールを形成できる小型の2D投写ユニットを提供する。この柔軟性により、本発明は、複数の用途に対応する。
【0029】
立体画像を生成する最も簡単な手法は、2つのプロジェクタを互いにスタックし、又は互いに横に並べて使用する手法である。2つのプロジェクタは、それぞれが投写する画像が相関する(正しく重なる)ように透明スクリーンの後ろに設置される(背面投写)。
【0030】
それぞれの画像は、異なる偏光状態で投写される。
【0031】
具体例:右眼用の画像をp偏光光により投写し、左眼用の画像をs偏光光により投写する。観察者は、左眼用の画像からの光が右眼に到達し、及び右眼用の画像からの光が左眼に到達することを避けるために、右眼の正面にp偏光子があり、左眼の正面にs偏光子がある眼鏡を装着する必要がある。この構成により、観察者は、立体画像を見ることができる。
【0032】
現在では、2つのプロジェクタを使用する必要がある。両方のプロジェクタは、互いに垂直な直線偏光光を出射する必要がある。これは、何れか一方のプロジェクタの投写レンズの後に、リターダを配設し、偏光状態を回転させることによって実現される。
【0033】
以下、従来の立体又は3Dプロジェクタの幾つかの問題点について述べる。
*2つのプロジェクタ機器、すなわち、2つの電源、2つのランプ、2つの照明装置が必要である。
*両方のプロジェクタを同期させるために追加的な外部信号処理が必要である。
*一方のプロジェクタの偏光状態に対して、一方のプロジェクタの偏光状態を変更するために更なる外部のリターダが必要である。
*比較的大きな空間を必要とする。
【0034】
本発明の包括的な概念は、プロジェクタ装置をモジュール化し、柔軟に使用できるようにすることである。本発明に基づくプロジェクタ装置は、2D投写モードで使用することもでき、立体又は3D投写モードで使用することもできる。更に、本発明に基づくプロジェクタ装置は、2D投写モードにおいて、正面投写方式にも背面投写にも適用できる。
【0035】
基礎モジュールは、反射性色制御部、例えば、反射電子色スイッチ(reflective electronic color switch:RECS)を用いた単一のパネルプロジェクタであってもよい。この基礎モジュールにより、標準の2次元画像を投写することができる。この基礎モジュールは、主に、ランプ、照明光学系素子、ビームスプリッタ、RECS、マイクロディスプレイ及び投写レンズから構成される。更に、駆動系の電子部品を組み込んでもよい。
【0036】
オプションの着脱可能な立体又は3Dモジュールは、1つのビームスプリッタと、1つのマイクロディスプレイと、1つの投写レンズとを備える。更に、ディスプレイのための駆動回路を設けてもよい。
【0037】
両方のモジュールは、結合された後に、基礎モジュールの照明装置が照射した光に基づいて画像を投写するように設計される。RECSの後ろには、光インタフェースが配設される。
【0038】
標準の単一パネル方式では、未使用の光の一部、例えば、光の総量の約2/3は、波長選択コンポーネントによって反射又は吸収され、したがって、ディスプレイの照射には使用されない。本発明では、第2のパネルが、この第1のパネルからの未使用の光を用いる。
【0039】
両方のディスプレイは、RECS及び照明装置の残りの部分から等距離に配設される。これにより、更なる照明装置又は適応化光学素子は、不要である。この構成では、両方の投写レンズを互いに非常に近い距離に配置でき、このため、装置全体を小型化でき、スクリーンへの画像の相関についても、スクリーンから非常に近い位置で実現することができる。
【0040】
次に、RECSの動作原理について説明する。
【0041】
立体プロジェクタの動作原理の説明のために、RECSの1つの色状態を例示的に説明する。この状態では、RECSは、例えば、緑をλ2として反射し、マゼンタをλ3として透過させる。
【0042】
照明装置からλ1として出射される白色光は、p偏光状態を有する。
【0043】
光は、PBSを通過し、RECSに到達する。RECSにおいて、光は、λ2及びλ3の2つの成分に分離される。λ2は、RECSによって反射され、λ2の偏光状態は、pからsに変化する。偏光状態が90°変化したλ2の光は、PBS1によってディスプレイに反射される。ここで、表示モードに応じて、λ2の光の偏光状態は変更され、又は変更されない。ディスプレイが偏光状態を変更した場合、λ2の光は、システムから投写レンズに向かって出射される。この他の場合、λ2の光は、偏光状態を維持し、RECSに反射し、照明装置に戻される。
【0044】
補色λ3の光は、RECSによって、偏光方向を変えずに透過される。更に、この光は、PBS2によって透過され、ディスプレイ2に到達する。入射光(λ3)の偏光状態がディスプレイによって変更された場合、反射光は、投写レンズに誘導される。λ3の光は、偏光状態を維持することによって、ディスプレイからの反射により、照明装置に戻される。
【0045】
この原理によって、相補的な透過光を用いて、第2のパネルを照射し、システム効率が高められた2Dの同じ画像情報又は立体画像に必要な第2の画像情報を生成することができる。
【0046】
1つのサイクル又はフレームにおいて、全ての原色、すなわち、赤、緑、青は、ディスプレイ1にそれぞれ一回投写され、全ての補色は、ディスプレイ2に投写される。
【0047】
このため、両方のディスプレイについて、表示色駆動方式を適応化する必要がある。通常、順次的な色生成処理では、1つのフレームの期間は、人間の眼又はそのレセプタの生理学的な時間分解能以下に設定される。カラー画像情報は、1つのフレームの全ての単一の色ピクチャを統合した情報となる。
【0048】
以下、立体又は3Dの投写原理について、簡潔に説明する。
【0049】
この原理は、従来の技術に関連して上述したものと同じである。一方が右眼用、他方が左眼用の2つの視点からの2つの異なる画像が、2つのディスプレイに表示される。各ディスプレイは、1つの画像を表示する。上述した具体例では、左眼は、左側のディスプレイに表示された画像情報を受け取り、右眼は、右側のディスプレイに表示された画像情報を受け取る。これは、逆であってもよい。
【0050】
2つの画像は、上述したように、視点が異なり、及び偏光状態も異なる。ここで、左側のディスプレイには、s偏光光で画像が投写され、右側のディスプレイには、p偏光光で画像が投写されたとする。更に、背面投写スクリーンに投写された光が偏光を維持したとすると、吸収性の偏光子を有する眼鏡をかけることによって、3次元の又は立体的な画像を見ることができる。ここで、左眼の正面に配置される偏光子は、左眼用のs偏光光だけを透過し、右眼用の正面に配置されるp偏光子は、右眼用のp偏光光だけを透過する。
【0051】
光インタフェース又はインタフェースセクションは、立体又は3Dモジュールが接続されていない場合、シャッタによって覆われたある種の窓であってもよい。更に、ディスプレイ及びフォーカスのためのサーボへの電源供給のための電気的コネクタを設けてもよい。
【0052】
電気的な接続は、以下の通りであってもよい。基本的なモジュールは、必要な全ての要素を備える。(技術的な理由により)立体又は3Dモジュールのためのディスプレイドライバだけが基本的なモジュール内に設けられない。駆動制御電子回路は、右眼用の画像のコンテンツ及び左眼用の画像コンテンツのそれぞれに応じて、RECS(色スイッチ)段と連動して画像情報を処理する。ここで、ディスプレイRは、右眼用の画像コンテンツに基づいて駆動され、ディスプレイLは、左眼用の画像コンテンツに基づいて駆動される。
【0053】
2D投写モードの場合も、立体又は3Dモジュールは、取り外されない。駆動制御電子回路は、適用された信号によってモードを認識し、同じ画像情報でディスプレイを駆動する。
【0054】
本発明の概念の利点は、以下の通りである。
【0055】
1.2D、立体又は3D又は強調された2Dのためのモジュール方式のプロジェクタを提供できる。
【0056】
2.2Dモードにおいて、正面投写にも背面投写にも任意に適用できる。
【0057】
3.立体又は3D投写モードのために、追加的な信号処理又は同期のための電子回路は不要である。
【0058】
4.1つの電源、1つのランプ及び1つの照明装置だけで、小型のアーキテクチャで立体画像投写を実現できる。
【0059】
本発明のこれら及び更なる側面は、添付の図面を参照する以下の説明によって更に明瞭になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下の説明及び図面では、同様又は同等の機能を有する同様又は同等の構造又は要素には、共通の参照符号を付す。これらの構造又は要素の詳細については、繰返し説明はしない。
【0061】
図1A〜図1Cは、本発明に基づくプロジェクタ装置10の実施の形態の基本的な側面を図式的に示しており、ここでは、ディスプレイ装置50(以下、表示ユニットともいう。)、例えば、スクリーン50等に表示画像DIを表示及び投写する。
【0062】
図1Aに示す本発明に基づくプロジェクタ装置10は、第1の画像生成及び投写ユニット11及び第2の画像生成及び投写ユニット12を備える。図1Aのプロジェクタ装置10では、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12は、それぞれ空間的に近接して配設されており、例えば、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12は、互いに連結されている。
【0063】
第1の画像生成及び投写ユニット11は、一次照明光L1を受光又は生成する。ある光学的プロセスにおいて、少なくとも一次照明光L1の一部又は成分L11は、分離され、及び/又は第1の画像生成及び投写ユニット11の第1の画像I1の生成のために使用される。この結果、二次照明光L21又は画像光L21が生成され、投写プロセスにおいて、例えば、スクリーン等の表示ユニット50に向けて、三次照明光L31又は投写光L31として放射及び/又は投写される。
【0064】
第1の画像I1を生成するプロセスにおいて用いられなかった一次照明光L1の成分は、余りの光L1’として、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12の間又はこれらの近傍に配設されたインタフェースセクション80に供給される。このインタフェースセクション80は、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12の両方に亘って分散して設けてもよく、又は第1の画像生成及び投写ユニット11又は第2の画像生成及び投写ユニット12の完全な一部であってもよい。
【0065】
第2の画像生成及び投写ユニット12が余りの光L1’又はその一部を受け取ると、余りの光L1’又はその一部L12は、第2の画像生成及び投写ユニット12の第2の画像I2を生成するプロセスに用いられる。このようにして、第2の画像生成及び投写ユニット12の第2の二次照明光L22又は第2の画像光L22が生成され、第2の三次照明光L32又は画像光L32として、同じ表示ユニット50に出射又は投写される。
【0066】
この結果、図1Aに示す構成では、表示される表示画像DIは、第1の画像I1及び上記第2の画像I2が重ね合わされた画像として生成される。
【0067】
詳しくは、図1Aの構成では、それぞれ第1及び第2の画像I1、I2を生成する第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12のそれぞれのイメージャパネルは、画像I1及びI2が同じになるように制御される。したがって、図1Aの構成では、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12の両方を利用して、厳密な二次元投写が実現される。
【0068】
図1Bに示す構成では、第2の画像生成及び投写ユニット12は、第1の画像生成及び投写ユニット11から、空間的に分離又は切り離されている。したがって、余りの光L1’は、第2の画像生成及び投写ユニット12に到達しない。この結果、第2の画像I2は、生成されず、表示もされない。したがって、図1Bの構成では、第1の画像生成及び投写ユニット11のみによって、厳密な二次元投写が行われる。
【0069】
図1Cは、図1Aの構成に類似した構成を示している。なお、図1Aにおける同じ画像I1及びI2とは異なり、図1Cの画像I1及びI2は、それぞれの三次照明光L31、L32又は投写光L31、L32の偏光状態に関して視野又は視野角が異なる。したがって、図1Cは、表示ユニット50への立体的又は三次元的投写を実現する構成を示している。
【0070】
このように、図1A〜図1Cに示す一連の図から、2つの着脱可能に連結された第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12を備える本発明に基づくプロジェクタ装置10により、少ない光学部品で異なる投写方式に対応できる高い柔軟性を実現できることがわかる。
【0071】
図2は、図1A及び図1Cに示す構成を更に詳細に示す図である。第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12は、それぞれ、ビームスプリッタセクション又はユニット51、52、表示セクション61、62(以下、画像生成ユニットともいう。)及び投写ユニット41、42を備える。何れの場合も、ビームスプリッタユニット51、52は、偏光選択スプリッタ又はキューブ51、52として構成されている。図2に示す構成では、画像生成ユニット61、62は、反射性LCDパネル61、62として構成されている。第1の画像生成及び投写ユニット11から第2の画像生成及び投写ユニット12に余りの光L1’を供給し、光を伝達するためインタフェースセクション80は、例えば、反射電子色スイッチ70である色切替ユニット70と共に配設されている。
【0072】
更に、図2に示すように、第1の画像生成及び投写ユニット11は、ランプ装置21及びそれぞれの照明光学系22を含む照明ユニット20を備える。
【0073】
図2の構成の照明ユニット20及びその一部又は部品の更なる詳細を図3に示す。ランプ装置21は、ランプ21l及び放物面反射器21rから構成されている。照明光学系22は、偏光ミラー22m及び一連のレンズ22lを備える。
【0074】
図4は、本発明に基づくプロジェクタ装置10の制御部のブロック図である。ここで、第1及び第2の画像生成及び投写ユニット11、12は、二次元的投写若しくは立体的又は三次元的投写を行う場合、それぞれの信号プロセッサによって制御され、この制御データは、駆動制御機構に供給され、画像生成ユニット61、62及び色選択ユニット70が制御される。
【0075】
図3に示す構成とは異なる第1の画像生成及び投写ユニット11の構成を図5に示す。ここでは、図3に示す構成とは異なり、第2の画像生成及び投写ユニット12の画像生成ユニット62が、第1の画像生成及び投写ユニット11と同様の手法によって構成されている。したがって、入射する余りの光L1’及びビームスプリッタユニット52から第2の画像生成及び投写ユニット12の投写ユニット42に入射する二次照明光の偏光状態を偏光する更なる半波長リターダ90−1、90−2が設けられている。
【0076】
立体的又は三次元的な背面投写を実現する本発明に基づくプロジェクタ装置の概略的な透視図を図6Aに示す。立体又は3Dプロジェクタ、すなわち、第2の画像生成及び投写ユニット12は、背面投写ボックスの側に連結され、背面投写スクリーンに画像を投写する。立体又は3D画像は、偏光子眼鏡を用いて観察できる。2Dモードは、偏光子眼鏡なしで観察できる。
【0077】
図6Aは、投写モジュール又はユニット10を備え、立体的なピクチャ又は画像を生成する背面投写ボックスを示している。背面投写ボックスの投写モジュール又はユニット10が連結される部分にスロットを設けてもよい。投写モジュール又はユニット10から出射された光は、折り曲げミラー(folding mirror)を介して、背面投写スクリーンに案内される。
【0078】
図6Bは、折り曲げミラーがない背面投写構成の原理を示す図である。
この原理は、スタックされた2つの投写ユニットの原理と同様である。
【0079】
図7は、立体的又は三次元的投写を実現する際の従来の構成を示している。図7から明らかなように、従来の第1及び第2の画像生成及び投写ユニット111、112は、共通の制御装置130によって制御され、照明ユニット121、122を個別に備える。
【0080】
なお、本明細書及び本発明の特許請求の範囲において、「立体」、「三次元」又は「3D」という用語は、同義語として用いている。これらの用語は、立体的な投写によって画像を生成し、立体的又は3Dの印象を実現する技術を意味する。したがって、それぞれ二次元画像である視野が異なる2つの画像が生成される。これらの画像又は視野は、観察者の右眼及び左眼に、実質的に選択的に知覚されるように設計される。そして、観察者の脳では、2つの異なる画像から、遠近感又は立体的な印象を有する画像が形成される。本発明では、これらの2つの画像及び視野が生成及び投写される。ユーザ又は観察者は、2つの画像の選択的な知覚を可能にするために眼鏡又はゴーグルを着用する必要がある。
【0081】
単純な構成では、色スイッチ70は、2つのカラーホイール71、72と、4分の1波長板73及び吸収性偏光子74を備える。カラーホイール71、72は、それぞれ、赤、緑及び青の波長のための反射性ダイクロイックミラーの3つのセグメントを有する。
【0082】
カラーホイール71、72は、PBSキューブ52、51の間の照明装置に配設される。両方のホイール71、72は、直列に接続される。カラーホイール71、72の間には、4分の1波長板73及び偏光子74が配設される。更に、照明部において、2つの異なるダイクロイックセグメントが同時に存在するように、カラーホイール71、72は、互いに回転される。常に、それぞれのカラーホイール71、72の1つのセグメントが、照明又は光路を覆う。
【0083】
図8Aに示すように、ランプから白色直線偏光光λ1が入射し、第1のセグメントに衝突すると、λ2のスペクトル成分の第1のカラーホイール光L11は反射され、λ3及びλ4のスペクトル成分の光L12は、透過される。また、偏光子74及び4分の1波長板73は、この成分を透過する。4分の1波長板73において、光は、円偏光光に変えられる。第2のカラーホイール72は、スペクトル成分λ3又はL1’を反射し、スペクトル成分λ4を、PBS52の方向に透過する。ここで、光L12は、PBS52によって反射され、画像生成ユニット62を照射する。
【0084】
反射された成分λ3の円偏波状態は、セグメントの表面での反射によって、変化する。4分の1波長板73は、円偏光を直線偏光に戻し、この時点で、この光は、光λ1と比べると、90°回転している。ここでは、偏光子74は、反射したスペクトル成分λ3を吸収する。
【0085】
両方のカラーホイール71、72を回転させることによって、スペクトル成分λ2、λ3、λ4を選択的に透過、吸収又は反射させることができる。
これにより、ディスプレイ上に原色を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】本発明に基づくプロジェクタ装置の基本的な原理を説明する概略図である。
【図1B】本発明に基づくプロジェクタ装置の基本的な原理を説明する概略図である。
【図1C】本発明に基づくプロジェクタ装置の基本的な原理を説明する概略図である。
【図2】本発明に基づくプロジェクタ装置の更なる実施の形態の詳細な平面図である。
【図3】本発明に基づくプロジェクタ装置の更なる実施の形態の詳細な平面図である。
【図4】好適なプロジェクタ装置の実施の形態の制御構造を示す概略的なブロック図である。
【図5】本発明に基づくプロジェクタ装置の更なる実施の形態の詳細な平面図である。
【図6A】立体的又は三次元的投写方式のための詳細を示す透視図である。
【図6B】立体的又は三次元的投写方式のための詳細を示す構成図である。
【図7】従来のプロジェクタ装置を示す概略的なブロック図である。
【図8A】ダイクロイックベースの色スイッチの動作原理の概略図である。
【図8B】ダイクロイックベースの色スイッチの動作原理の概略図である。
【図8C】ダイクロイックベースの色スイッチの動作原理の概略図である。
【符号の説明】
【0087】
10 本発明に基づくプロジェクタ装置、11 本発明に基づく第1の画像生成及び投写ユニット、12 本発明に基づく第2の画像生成及び投写ユニット、20 照明ユニット、21 ランプユニット、ランプ装置、21 ランプ、21r 反射器、22 照明光学系、22l 投写レンズ、22m 偏光ミラー、41 投写光学素子、42 投写光学素子、50 ディスプレイ装置、表示ユニット、スクリーン、51 ビームスプリッタセクション、偏光選択スプリッタ又はキューブ、52 ビームスプリッタセクション、偏光選択スプリッタ又はキューブ、61 表示セクション、画像生成ユニット、イメージャパネル、LCD、62 表示セクション、画像生成ユニット、イメージャパネル、LCD、70 色切替ユニット、反射電子色スイッチ、RECS、71 カラーホイール、72 カラーホイール、73 4分の1波長板、74 偏光子、80 インタフェースセクション、90−1 半波長リターダ、90−2 半波長リターダ、100 従来のプロジェクタ装置、111 従来の第1の画像生成及び投写ユニット、112 従来の第2の画像生成及び投写ユニット、130 制御装置、DI 表示画像、I1 第1の画像、I2 第2の画像、L1 一次照射光、L1’ 余りの光、L11 一次照射光の成分、L12 一次照射光の成分、L21 二次照明光、画像光、L22 二次照明光、画像光、L31 三次照明光、投写光、L32 三次照明光、投写光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像(I1)を生成し、該第1の画像(I1)を、二次元的な手法で表示画像(DI)として投写又は表示する第1の画像生成及び投写ユニット(11)と、
第2の画像(I2)を生成し、該第2の画像(I2)を、二次元的な手法で上記表示画像(DI)として投写又は表示する第2の画像生成及び投写ユニット(12)とを備え、
上記第1及び第2の画像生成及び投写ユニット(11、12)は、協働して、上記表示画像(DI)が厳密な二次元的手法で投写及び/又は表示される第1の又は二次元投写/表示モードを実現するように適応化及び/又は構成され、
上記第1及び第2の画像生成及び投写ユニット(11、12)は、協働して、上記表示画像(DI)が立体的又は三次元的な手法で投写及び/又は表示される第2の、立体的又は三次元的投写/表示モードを実現するように適応化及び/又は構成され、
上記第1及び第2の画像生成及び投写ユニット(11、12)は、互いに着脱可能に取り付けられるモジュールとして形成され、
上記第2の画像生成及び投写ユニット(12)は、上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)から余りの光(L1’)を受光し、該余りの光(L1’)又はその一部又は派生光(L12)を用いて、上記第2の画像(I2)を生成するように適応化及び/又は構成されているプロジェクタ装置。
【請求項2】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、上記第1の又は二次元投写/表示モードでは、上記第2の画像生成及び投写ユニット(12)から独立したスタンドアロン機器として動作し又は動作可能であることを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ装置。
【請求項3】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、一次照射光(L1)を受光及び/又は生成するように適応化及び/又は構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプロジェクタ装置。
【請求項4】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、発光装置(21)を含む照明ユニット(20)を備えることを特徴とする請求項3記載のプロジェクタ装置。
【請求項5】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、上記一次照射光(L1)の一部又は成分(L11)を用いて、上記第1の画像(I1)を生成するように適応化及び/又は構成されていることを特徴とする請求項3又は4記載のプロジェクタ装置。
【請求項6】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、上記第1の画像(I1)を生成するために使用されない上記一次照射光(L1)の一部又は成分を、上記余りの光(L1’)として提供及び/又は供給するように適応化及び/又は構成されていることを特徴とする請求項5記載のプロジェクタ装置。
【請求項7】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)及び/又は上記第2の画像生成及び投写ユニット(12)は、それぞれ第1及び第2の画像(I1、I2)を生成するそれぞれのLCDパネル(61、62)を含む画像生成ユニット(61、62)と、上記第1の画像(I1)及び上記第2の画像(I2)をそれぞれ投写するそれぞれの偏光選択ビームスプリッタキューブ(51、52)及び/又は投写ユニット(41、42)を含むビームスプリッタユニット(51、52)とを備えることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載のプロジェクタ装置。
【請求項8】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、順次的な色選択のための反射電子色スイッチ(70)又はRECS(70)を含む色切替ユニット(70)を備えることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載のプロジェクタ装置。
【請求項9】
上記色切替ユニット(70)は、光を受け取るために、第1のスペクトル範囲内にある、上記受け取った光の第1の部分を反射し、第2のスペクトル領域内にある、上記受け取った光の第2の部分を透過するように構成及び/又は適応化されていることを特徴とする請求項8記載のプロジェクタ装置。
【請求項10】
上記色切替ユニット(70)は、
照射パスに対称的に配置され、及び/又は
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)に対しては反射モードで動作し、上記第2の画像生成及び投写ユニット(12)に対しては透過モードで動作するように構成及び/又は適応化されていることを特徴とする請求項8又は9記載のプロジェクタ装置。
【請求項11】
上記第1の画像生成及び投写ユニット(11)は、該第1の画像生成及び投写ユニット(11)から上記第2の画像生成及び投写ユニット(12)に上記余りの光(L1’)を供給するインタフェースセクション(80)を備えることを特徴とする請求項1乃至10何れか1項記載のプロジェクタ装置。
【請求項12】
上記インタフェースセクション(80)は、上記色切替ユニットに少なくとも部分的に基づいていることを特徴とする請求項11記載のプロジェクタ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2007−534984(P2007−534984A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508816(P2007−508816)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004115
【国際公開番号】WO2005/101821
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】