説明

プロセスカートリッジ及び現像カートリッジ

【課題】感光体ドラムと現像ユニットを装着した引き出し部材を装置本体内に装着する電子写真画像形成装置において、感光体ドラムと現像ローラとが接離可能で、且つ小型化を実現できる電子写真画像形成装置を提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジと、装置本体と、プロセスカートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動可能な引き出し部材13と、を有する電子写真画像形成装置において、現像ローラと感光体ドラムとを接触させるための接触位置と、現像ローラと感光体ドラムとを離隔させるための離隔位置と、を取り得る接離部材42が、引き出し部材13に備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、感光体ドラムと、感光体ドラムに作用する現像ローラ及び画像形成に用いる現像剤(トナー)を収容した現像ユニットと、を一体化したプロセスカートリッジ方式が知られている。また、感光体ドラムとは別体で、現像ユニットのみで構成される現像カートリッジ方式も知られている。これらのカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザー自身で行うことができる。そのため、これらのカートリッジ方式は電子写真画像形成装置に広く用いられている。
【0003】
また、プロセスカートリッジや現像カートリッジを積載する引き出しを設け、この引き出しを装置本体内から所定位置まで引き出すことで各種カートリッジの交換作業を行えるように構成した技術も知られている。この技術によれば、ユーザーは現像剤の交換を容易に行うことができる。
【0004】
ここで、画像形成装置において画像形成を行う際には、現像ユニット内の現像ローラは所定圧で感光体ドラム方向に付勢された状態になっている。そして、現像ローラが感光体ドラムに接触して現像する接触現像方式においては、現像ローラにおける弾性層が感光体ドラム表面に所定圧で接触した状態となる。
【0005】
そのため、現像ユニットが装置本体に装着された状態で長時間使用された場合に、現像ローラの弾性層が変形してしまうことがある。これによって、現像時に画像のむらが発生してしまうことがある。また、現像ローラが感光体ドラムに接しているため、現像ローラから感光体ドラムへ不要な現像剤が付着してしまう場合がある。また、感光体ドラムと現像ローラとが、現像時以外にも接触して回転しているため、感光体ドラムと現像ローラとの摺擦によって、感光体ドラム,現像ローラ及び現像剤の劣化が促進される場合がある。
【0006】
そこで、このような劣化の促進を抑制するために、画像形成が行われない間は、感光体ドラムと現像ローラとを離隔させる機構を設けた技術が提案されている(特許文献1参照
)。
【0007】
このような従来技術においては、感光体ドラムと現像ローラとを接触させる位置と、これらを離隔させる位置とを取り得る部材(以下、接離部材と称する)が、装置本体側に設けられている。そして、感光体ドラム及び現像ローラを有するカートリッジを装着した引き出し部材(トレイ)が装置本体内に進入する際には、この接離部材は引き出し部材の移動経路から退避した位置に位置している。そして、引き出し部材が装置本体内の所定位置まで進入した後にドアが閉じられることによって、接離部材は、引き出し部材に装着されたカートリッジに向かって移動し、感光ドラムと現像ローラとを離隔させる。
【0008】
しかしながら、かかる従来例においては、接離部材が装置本体側に設けられている。そのため、引き出し部材を装置本体内に移動させる際に、上記の通り、引き出し部材の移動が妨げられない位置に、接離部材を退避させる必要があった。また、現像ローラを感光体ドラムから離隔させるために、接離部材を引き出し部材内のカートリッジの位置まで進入させる必要があった。従って、装置本体に、接離部材を装置本体側から引き出し部材内のカートリッジの位置まで移動させるためのスペースを必要としていた。これにより、装置
本体の小型化の面で制約となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−213024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、感光体ドラムと現像ユニットを装着した引き出し部材を装置本体内に装着する電子写真画像形成装置において、感光体ドラムと現像ローラとが接離可能で、且つ小型化を実現できる電子写真画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の画像形成装置は、
電子写真感光体と、前記電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラに供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、を有するプロセスカートリッジと、
装置本体と、
前記プロセスカートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動可能な支持部材と、
を有する電子写真画像形成装置において、
前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるための接触位置と、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを離隔させるための離隔位置と、を取り得る接離部材が、前記支持部材に備えられていることを特徴とする。
【0013】
また、他の発明は、
電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラに供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、を有する現像カートリッジと、
装置本体と、
前記電子写真感光体を支持し、前記現像カートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動可能な支持部材と、
を有する電子写真画像形成装置において、
前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるための接触位置と、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを離隔させるための離隔位置と、を取り得る接離部材が、前記支持部材に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、感光体ドラムと現像ユニットを装着した引き出し部材を装置本体内に装着する電子写真画像形成装置において、感光体ドラムと現像ローラとが接触離間可能で、且つ小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る画像形成装置全体の模式的断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る画像形成装置における引き出しユニットを引き出した状態を示す模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係る画像形成装置の装置本体における引き出し部材の装着部を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係る画像形成装置の装置本体における引き出し部材の装着部を示す斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例1に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【図8】図8は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジの斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジを引き出しユニット(引き出し部材)に装着する様子を示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジを引き出し部材に装着する様子を示す斜視図である。
【図11】図11は引き出し部材にプロセスカートリッジを装着した状態を示す概略図である。
【図12】図12は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す斜視図である。
【図13】図13は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。
【図14】図14は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが開いた状態の様子を示す模式的断面図である。
【図15】図15は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが閉じた状態を示す模式的断面図である。
【図16】図16は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成指令直後の様子を示す斜視図である。
【図17】図17は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつ画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。
【図18】図18は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成動作に移行する途中の状態を示す斜視図である。
【図19】図19は本発明の実施例1に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。
【図20】図20は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成動作に移行する途中の状態を示す斜視図である。
【図21】図21は本発明の実施例1に係る画像形成装置における画像形成動作が可能になった状態を示す模式的断面図である。
【図22】図22は本発明の実施例2に係る現像カートリッジの斜視図である。
【図23】図23は本発明の実施例2に係る感光体カートリッジの斜視図である。
【図24】図24は本発明の実施例2に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。
【図25】図25は本発明の実施例2に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。
【図26】図26は本発明の実施例2に係る感光体カートリッジ及び現像カートリッジを引き出し部材に装着する様子を示す斜視図である。
【図27】図27は本発明の実施例2に係る感光体カートリッジ及び現像カートリッジを引き出し部材に装着する様子を示す斜視図である。
【図28】図28は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。
【図29】図29は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。
【図30】図30は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが開いた状態の様子を示す模式的断面図である。
【図31】図31は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが閉じた状態を示す模式的断面図である。
【図32】図32は本発明の実施例2に係る引き出しユニットにおける画像形成指令直後の様子を示す斜視図である。
【図33】図33は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつ画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。
【図34】図34は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。
【図35】図35は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。
【図36】図36は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作が可能になった状態を示す模式的断面図である。
【図37】図37は本発明の実施例3に係る画像形成装置の装置本体における引き出しユニットの装着部を示す斜視図である。
【図38】図38は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。
【図39】図39は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出しユニットの模式的断面図である。
【図40】図40は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出し部材への現像カートリッジの装着時の様子を示す斜視図である。
【図41】図41は本発明の実施例3に係る画像形成装置における現像カートリッジを装着し、かつ画像形成動作が行われていない状態を示す模式的断面図である。
【図42】図42は本発明の実施例3に係る画像形成装置における現像カートリッジの位置決めが完了した状態(画像形成が可能な状態)を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0017】
(実施例1)
図1〜図21を参照して、本発明の実施例1に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称する)について説明する。
【0018】
<画像形成装置の全体構成>
本発明の実施例1に係る画像形成装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は本発明の実施例1に係る画像形成装置全体の模式的断面図である。図2は本発明の実施例1に係る画像形成装置における引き出しユニットを引き出した状態を示す模式的断面図である。
【0019】
本実施例に係る画像形成装置100は、水平方向に並べて設けられた4個の電子写真感光体ドラム(以下「感光体ドラム1」と称す)を備えている。これらの感光体ドラム1は、不図示の駆動手段によって、図1中、時計回りに回転するように構成されている。
【0020】
また、画像形成装置100には、電子写真画像形成プロセス手段として、感光体ドラム1の他にも、帯電手段2,スキャナユニット3,現像ユニット4y,4m,4c,4k、及び静電転写手段5などが設けられている。なお、「現像ユニット4y,4m,4c,4
k(yはイエロー、mはマゼンタ、cはシアン、kはブラックの各現像剤を収容することを意味している)」については、以下、適宜、色別を示す添え字を省略して、「現像ユニット4」と称する。
【0021】
ここで、帯電手段2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する機能を備えている。スキャナユニット3は、画像情報に基づいてレーザービームを感光体ドラム1に照射して、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する機能を備えている。現像ユニット4は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を、現像剤であるトナーを用いて現像する機能を備えている。静電転写手段5は、感光体ドラム1上のトナー画像を記録媒体としてのシート材Sに転写する機能を備えている。なお、シート材Sの具体例としては、紙,OHPシート及び布を挙げることができる。
【0022】
また、画像形成装置100には、転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6が設けられている。更に、画像形成装置100には、静電転写手段5を構成する静電転写ベルト(以下「転写ベルト11」と称す)の下側に、転写ベルト11上に付着した残留トナーを清掃するクリーニング手段7も設けられている。
【0023】
感光体ドラム1は、例えばアルミシリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC感光体)が塗布されたものである。感光体ドラム1は、その両端部が不図示の支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に、駆動モータ(不図示)からの駆動力を受けるため不図示のドラムカップリングが配置される。これにより、感光体ドラム1は、駆動モータの駆動力がドラムカップリングを介して伝達され、図1中時計回りに回転する。
【0024】
本実施例に係る帯電手段2は、接触帯電方式のものを採用している。より具体的には、帯電手段2はローラ状に形成された導電性ローラであり、このローラを感光体ドラム1の表面に当接させている。そして、このローラに帯電バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。
【0025】
スキャナユニット3は、感光体ドラム1の上側に配置されている。このスキャナユニット3においては、画像信号に対応する画像光(レーザービーム)を、不図示のレーザーダイオードから照射して、帯電済みの感光体ドラム1の表面を露光する。これにより、画像信号に応じた静電潜像が、感光体ドラム1の表面に形成される。
【0026】
各現像ユニット4は、イエロー,マゼンタ,シアン及びブラック色のトナーをそれぞれ収納したトナー容器41y,41m,41c,41kを有している。なお、これらのトナー容器41y,41m,41c,41kは、現像ローラ40に供給するための現像剤(トナー)を収納する現像剤収納部である。これらのトナー容器41y,41m,41c,41k内のトナーは、トナー供給ローラ43に送り込まれる。そして、このトナー供給ローラ43と、現像ローラ40の外周に圧接された現像ブレード44によって、現像ローラ40の外周にトナーが塗布され、かつトナーに電荷が付与される。
【0027】
そして、現像ローラ40に現像バイアスを印加することにより、感光体ドラム1に形成された潜像にトナーが付着してトナー画像が形成される。なお、現像ローラ40は、感光体ドラム1に対向し、かつ接触するように配置されている。ここで現像ユニット4と感光体ドラム1とは、一体でプロセスカートリッジP(Py,Pm,Pc,Pk)を形成している。プロセスカートリッジPは、ユーザーの使用によりトナーが消費され寿命となった際には、プロセスカートリッジPごと交換することができるようになっている(いわゆるカートリッジ方式)。
【0028】
図1に示すように画像形成装置100には、感光体ドラム1に接する転写ベルト11が設けられている。そして、この転写ベルト11によって、シート材Sは転写位置まで搬送され、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像が転写される。
【0029】
転写ベルト11の内側には、各感光体ドラム1に対向する位置に、それぞれ転写ローラ12が設けられている。これらの転写ローラ12から正極性の電荷が転写ベルト11を介してシート材Sに印加される。これによりシート材Sに感光体ドラム1上のトナー画像が転写される。
【0030】
また、画像形成装置100には、画像形成部にシート材Sを給送する機能を有する給送部16が設けられている。この給送部16には、複数枚のシート材Sを収納する給送カセット17が設けられている。そして、画像形成時には、給送ローラ18及びレジストローラ対19が画像形成動作に応じて回転する。これによって、カセット17内のシート材Sが1枚ずつ給送される。そして、転写ベルト11の回転とトナー画像との同期をとって、シート材Sは、レジストローラ対19によって転写ベルト11に送られる。
【0031】
更に、画像形成装置100には、シート材Sに転写された複数色のトナー画像を定着させる機能を有する定着部20が設けられている。この定着部20は、回転する加熱ローラ21bと、これに圧接する加圧ローラ21aとから構成される。即ち、感光体ドラム1上のトナー画像が転写されたシート材Sは、これら加熱ローラ21b及び加圧ローラ21aに挟持されながら搬送され、その際に熱及び圧力が付与される。これによって複数色のトナー画像がシート材Sの表面に定着される。
【0032】
画像形成プロセスについて簡単にまとめると次の通りである。画像形成動作が開始されると、感光体ドラム1は回転する。そして、帯電手段2が、感光体ドラム1の表面に一様な電荷を付与し、スキャナユニット3は、画像信号に応じて、感光体ドラム1の表面に露光を行い、感光体ドラム1の表面上に静電潜像を形成する。そして、現像ローラ40によって、この静電潜像を現像する(トナーを付着させる)。
【0033】
一方、給送部16により給送され、転写ベルト11によって搬送されるシート材Sには、各感光体ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像が順次転写される。4色のトナー画像が転写されたシート材Sは定着部20に送られる。そして、定着部20によってカラー画像が定着されたシート材Sは、排出ローラ対23によって、排出部24から装置の外部に排出される。
【0034】
<引き出し部材(支持部材)の概要>
プロセスカートリッジPを取り外し可能に支持して、装置本体の内側に位置する内側位置と、装置本体の外側に位置する外側位置との間を移動可能に構成された支持部材としての引き出し部材13について説明する。
【0035】
ここで、本実施例において、「装置本体」とは、画像形成装置100を構成する各種部材(部品)のうち、少なくとも引き出し部材13及びこの引き出し部材13に固定または着脱自在に構成された部材(部品)を除くものを意味する。
【0036】
図2に示すように、引き出し部材13は、装置本体に対して実質的に水平方向(矢印D1,D2方向)に直線的に移動(押し込み/引き出し)可能に設けられている。そして、引き出し部材13は、装置本体の内部に収納された位置(図1に示す位置)、または装置本体の外部に引き出された位置(図2に示す位置)に移動させることができる。
【0037】
そして、引き出し部材13が引き出し位置にある状態で、プロセスカートリッジP(P
y,Pm,Pc,Pk)は、実質的に重力方向(図2中矢印C方向)に、引き出し部材13に対して、ユーザーによって装着される。このように装着されたプロセスカートリッジPは、その長手方向(現像ローラ40の軸線方向)が引き出し部材13の移動方向に直交する方向となるよう配置される。なお、4個のプロセスカートリッジPy,Pm,Pc,Pkは、引き出し部材13の移動方向に並べて配置される。
【0038】
これらのプロセスカートリッジPは、引き出し部材13に装着された状態で、引き出し部材13と共に装置本体内に移動する。そして、引き出し部材13を装置本体の内部に移動させた状態で、ドア10が閉じられると、全てのプロセスカートリッジPが装置本体内の所定の位置に装着される。
【0039】
このように、本実施例に係る画像形成装置100によれば、4個のプロセスカートリッジPをまとめて装置本体内に装着させることができ、かつ4個のプロセスカートリッジPをまとめて装置本体の外部に引き出すことができる。従って、プロセスカートリッジを個別に装置本体内に装着する構成を採用したものに比べて、プロセスカートリッジPの交換時の作業性に優れている。
【0040】
<引き出し部材(支持部材)の装着部>
特に、図3及び図4を参照して、装置本体における引き出し部材13の装着部の構成について説明する。図3及び図4は本発明の実施例1に係る画像形成装置の装置本体における引き出し部材の装着部を示す斜視図である。なお、図3及び図4においては、装着部の構成が分かり易いように、装置本体を構成する部材(部品)のうち、スキャナユニット3等を省略して示している。また、図3と図4はそれぞれ異なる方向から見た斜視図を示している。
【0041】
装置本体フレームの内壁面には、引き出し部材13の移動方向を案内する一対のガイド部14R,14Lがそれぞれ対向するように設けられている。これらのガイド部14R,14Lは、後述する引き出し部材13の被ガイド部13a,13b,13c,13d(図5及び図6参照)をガイドする部位であり、断面がコの字形状となっている。また、これらのガイド部14R,14Lは、引き出し部材13を装置本体の外部に引き出す位置から装置本体の内部に収納させる位置まで案内できるように、装置本体の入口付近(ドア10付近)から奥側まで略水平方向に伸びるように設けられている。
【0042】
また、ガイド部14R,14Lの上方には、プロセスカートリッジPを所定の位置に押圧して位置決めするための押圧部材65,66が設けられている。これらの押圧部材65,66は、装置本体側からの駆動力によって下方に移動することで、プロセスカートリッジPを押圧するように構成されており、プロセスカートリッジPを装置本体内の所定の位置に位置決めするために設けられている。
【0043】
また、図4に示すように、ガイド部14Lの下方には、感光体ドラム1へ駆動を伝達す
るためのドラムカップリング部材25、及び現像ローラ40に駆動を伝達するための現像カップリング部材26が水平方向に等間隔に配置されている。ドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26は不図示の駆動源からの駆動力をプロセスカートリッジPに伝達する。ドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26はドア10を
開いた状態では、側壁内に退避した状態となっていて、ドア10を閉める動作に連動してプロセスカートリッジP側に進入する構成となっている。
【0044】
更に、図4に示すように、ガイド部14Lの奥側には、後述する接離部材42を移動させるための駆動力を与える駆動ギア46が設けられている。
【0045】
<引き出し部材(支持部材)の詳細>
特に、図5及び図6を参照して、引き出し部材13について詳細に説明する。図5及び図6は本発明の実施例1に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。なお、図5と図6はそれぞれ異なる方向から見た斜視図を示している。
【0046】
引き出し部材13の四隅には、装置本体のガイド部14R,14Lにガイドされる被ガイド部13a,13b,13c,13dが設けられている。被ガイド部13a,13cはガイド部14Rにガイドされ、被ガイド部13b,13dはガイド部14Lにガイドされる。被ガイド部13a,13bは、側面側の外側に突出した形状で構成されており、引き出し部材13が引き出し位置において傾かないように引き出し方向に伸びるように構成されている。また、被ガイド部13c,13dは円柱形状で構成されており、側面側の外側に突出するように構成されている。
【0047】
また、引き出し部材13の一端部には、引き出しユニットU1をユーザーが操作するための把手部28が設けられている。
【0048】
更に、引き出し部材13には、後述するプロセスカートリッジPを装着するための装着部13fが一列に設けられている。各装着部13fの間には、仕切り板13gが設けられており、プロセスカートリッジPを装着する際の目安になっている。各装着部13fの下
部には、それぞれ開口部13eが設けられている。これらの開口部13eを通して、プロセスカートリッジPに設けられた感光体ドラム1は、転写ベルト11に対して接触するこ
とができる。
【0049】
各装着部13fの一端側と他端側には、それぞれプロセスカートリッジPを引き出し部材13内に装着するためのガイド部13h,13i,13j,13kが設けられている。そして、ガイド部13h,13jの下方には、プロセスカートリッジPを引き出し部材13に対して位置決めするための位置決め部13h1,13j1が設けられている。
【0050】
図5に示すように、引き出し部材13には、上述のドラムカップリング部材25が進入するための開口部13m、及び現像カップリング部材26が進入するための開口部13lが設けられている。ドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26は、ドア10を閉める動作に連動して開口部13m及び開口部13lに進入する。これらの開口部13m,13lにそれぞれ進入したドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26は、プロセスカートリッジPのカップリング部材と係合して、プロセスカートリッジPへの駆動が伝達可能な状態となる。
【0051】
引き出し部材13の一方の側面側には接離部材42が設けられている。接離部材42は、引き出し部材13の移動方向に沿って伸びた形状をしており、引き出し部材13の移動方向と同方向(図5中、矢印D方向)に移動可能に構成されている。接離部材42の後端側には、上記の駆動ギア46(図4参照)から駆動力を受け、接離部材42が移動するための駆動力が得られる駆動力受け部としてのラック部42aが設けられている。
【0052】
接離部材42は、その長手方向に沿って、凹凸形状(第1凸部(力付与部)42b,第2凸部(力付与部)42c,凹部42d)を有している。この接離部材42に設けられた第1凸部(力付与部)42bは、感光体ドラム1を転写ベルト4から離隔させる機能を有している。また、第2凸部(力付与部)42cは、第1凸部42bよりも更に突出した構成であり、現像ローラ40を感光体ドラム1から離隔させる機能を有している。詳細は後述する。第1凸部42bと第2凸部42cとの間には、これらの凸部より凹んだ凹部42dが設けられている。
【0053】
以上のように、引き出しユニットU1は、引き出し部材13と接離部材42とから構成されている。
【0054】
<プロセスカートリッジ>
次に、引き出し部材13に装着されるプロセスカートリッジPについて、図7〜図9を参照して説明する。図7は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。図8は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジの斜視図である。図9は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジを引き出しユニット(引き出し部材)に装着する様子を示す斜視図である。
【0055】
プロセスカートリッジPは、感光体ユニット8と現像ユニット4とから構成されている。そして、感光体ユニット8は、感光体ドラム1と、帯電手段2と、クリーニング手段6
と、クリーニング手段6により除去されたトナーを収容する廃トナー容器30とから構成されている。また、現像ユニット4は、現像ローラ40と、トナー供給ローラ43と、現像ブレード44と、画像形成に使用されるトナーを収容するトナー容器41とから構成されている。
【0056】
上記の通り、トナー容器41内のトナーは、トナー供給ローラ43に送り込まれる。そして、このトナー供給ローラ43と、現像ローラ40の外周に圧接された現像ブレード44によって、現像ローラ40の外周にトナーが塗布され、かつトナーに電荷が付与される。そして、現像ローラ40に装置本体から現像バイアスを印加することにより、感光体ドラム1に形成された潜像にトナーが付着してトナー画像が形成される。感光体ドラム1上に現像されたトナー画像がシート材Sに転写された後、感光体ドラム1表面に残ったトナーはクリーニング手段6によって除去され、廃トナー容器30内に収容される。
【0057】
ここで、トナー容器41内のトナーが消費された場合には、ユーザーはプロセスカートリッジPを交換することによって再度印刷を行うことができる。
【0058】
図8に示すように、プロセスカートリッジPの一端部には、装置本体側のドラムカップリング部材25より駆動力を受けるためのカップリング部材47が回転可能に支持されている。また、現像カップリング部材26より駆動力を受けるためのカップリング部材45も回転可能に支持されている。
【0059】
カップリング部材47は、感光体ドラム1の一端に設けられており、装置本体からカッ
プリング部材47が受けた駆動力によって、感光体ドラム1が回転する。また、カップリ
ング部材45が受けた駆動力は、不図示の中間ギアを介し、現像ローラ40及びトナー供給ローラ43に伝達され、これらが回転する。
【0060】
カップリング部材45の外周は円筒状のリブで覆われており、係合部71aを形成している。係合部71aは、トナー容器41の外側に固定されるサイドカバー71に設けられている。カップリング部材45は係合部71aに対して回転可能に構成されている。また、図9に示すように、係合部71aの反対側にも係合部70aが設けられている。この係合部70aも同様に、サイドカバー70に設けられている。これら係合部71a,70aは共に現像ユニット4に設けられている。
【0061】
また、廃トナー容器30には、前記係合部71a,70aを支持する穴部30a,30bが設けられている。廃トナー容器30に設けられた穴部30a,30bが、現像ユニット4に設けられた係合部71a,70aに係合することで、感光体ユニット8と現像ユニット4が結合するように構成されている。
【0062】
ここで、各係合部71a,70aは、各穴部30a,30bに対して移動可能(回転可能)な構成となっているため、現像ユニット4は感光体ユニット8に対して移動することができる。つまり、現像ローラ40は感光体ドラム1に対して移動可能な構成となっている。
【0063】
感光体ユニット8と現像ユニット4の間には、図7〜図9に示すように付勢部材としてのバネ9が設けられている。このバネ9によって、現像ローラ40を感光体ドラム1に対して所定の圧力で押圧している。現像ユニット4が感光体ユニット8に対して、現像ローラ40が感光体ドラム1から離れるように移動する際には、このバネ9の付勢力に抗して移動することとなる。
【0064】
図8に示すように、カップリング部材47の外周は円筒状のリブで覆われており、被ガイド部30cを形成している。また、図9に示すように、長手方向における被ガイド部30cの反対側には、円筒状の突起で構成された被ガイド部30dが設けられている。また、図8に示すように、被ガイド部30cの上方には、被ガイド部30eが設けられており、図9に示すように被ガイド部30dの上方には、被ガイド部30fが設けられている。これらの被ガイド部30c,30d,30e,30fは、プロセスカートリッジPを、引き出し部材13内に装着し、かつ引き出し部材13内に位置決めするための機能を有している。詳細は後述する。
【0065】
また、図8に示すように、感光体ユニット8の一方の側面側の上部には、感光体ドラム1の軸線方向外側に突出した力受け部30gが設けられている。この力受け部30gは、引き出し部材13に設けられた接離部材42から力を受けて、感光体ドラム1を転写ベルト11から離隔させる機能を有している。詳細は後述する。更に、図9に示すように、感光体ユニット8の他方の側面側の上部には、力受け部30hが設けられている。これらの力受け部30g,30hは、いずれも後述する押圧部材65,66より力を受けて、プロセスカートリッジPを引き出し部材13内で位置決めする機能を有する。
【0066】
また、図8に示すように、現像ユニット4のサイドカバー71の上方には、現像ローラ40の軸線方向外側に突出した力受け部71bが設けられている。力受け部71bは、接離部材42より力を受け、現像ローラ40を感光体ドラム1から離隔させる機能を有している。詳細は後述する。
【0067】
<引き出し部材へのプロセスカートリッジの装着>
引き出し部材13へのプロセスカートリッジP(Py,Pm,Pc,Pk)の装着について、図9〜図11を参照して説明する。図9及び図10は本発明の実施例1に係るプロセスカートリッジを引き出し部材に装着する様子を示す斜視図である。なお、図9及び図10(a)はいずれもプロセスカートリッジの装着過程の様子を示しており、それぞれ異なる方向から見た図を示している。また、図10(b)はプロセスカートリッジを全て装着した状態を示している。図11は引き出し部材にプロセスカートリッジを装着した状態を示す概略図である。なお、図11(a)は側面から見た概略図であり、同図(b)は模式的(縦)断面図である。
【0068】
各プロセスカートリッジPy,Pm,Pc,Pkは、引き出し部材13に設けられた4箇所の装着部13f(図5参照)にそれぞれ装着される。ユーザーは、実質的に重力方向である矢印C方向へプロセスカートリッジPの装着を行う。
【0069】
プロセスカートリッジPの装着を行う場合、ユーザーは、まず、プロセスカートリッジPの両端部に設けられた被ガイド部30c,30dを引き出し部材13のガイド部13h,13jに沿うように装着する。次に、ユーザーは、被ガイド部30e,30fをガイド
13i,13kに沿うように装着する。これにより、プロセスカートリッジPは、各ガイド部13h,13i,13j,13kにガイドされて引き出し部材13内に装着される。
【0070】
プロセスカートリッジPを引き出し部材13に装着していくと、感光体ユニット8に設けられた力受け部30gが、接離部材42に設けられた第1凸部42bに当接する。また、現像ユニット4のサイドカバー71に設けられた力受け部71bが、第2凸部42cに当接する。
【0071】
感光体ユニット8に設けられた力受け部30gが第1凸部42bに当接することで、プロセスカートリッジPは、画像形成を行う位置に対して、一段高い位置に保持される。つまり、図2に示すように、感光体ドラム1の表面は、転写ベルト11の表面(記録媒体搬送面)よりも一段高い(離隔した)位置に保持された状態となる。
【0072】
ここで、接離部材42は引き出し部材13の一端側にのみ設けられている。また、接離部材42の第1凸部42bより力を受ける力受け部30gも感光体ユニット8の片側にのみ設けられている。しかし、プロセスカートリッジPの他端側に設けられた被ガイド部30dは、転写ベルト11における幅方向の端よりも外側に設けられているので、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面から離れることが可能である。つまり、プロセスカートリッジPは、一端側で力受け部30gが第1凸部42bから力を受けて浮き上がる。一方、他端側では、引き出し部材13の位置決め部13j1に被ガイド部30dが当接した状態を維持する。そのため、プロセスカートリッジPは転写ベルト11に対して斜めの状態となる。しかし、上記の通り、被ガイド部30dが転写ベルト11の幅方向の端よりも外側に設けられているので、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面から離隔する。
【0073】
また、現像ユニット4に設けられた力受け部71bが、接離部材42に設けられた第2凸部42cに当接することで、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離隔する。これについて、特に、図11を参照して説明する。
【0074】
接離部材42に設けられた第2凸部42cは、第1凸部42bよりも一段高くなるように構成されている。一方、感光体ユニット8に設けられた力受け部30gと、現像ユニットに設けられた力受け部71bとは、外力を受けていない状態でほぼ同一高さとなるように構成されている。従って、第2凸部42cに当接した力受け部71bは、現像ユニット4の重量分の力を受けることにより、付勢部材9の力に抗するように、現像ローラ40の表面を、感光体ドラム1の表面から離隔させる。つまり、力受け部71bが力を受けることで、現像ユニット4に設けられた係合部71a,70aが、感光体ユニット8に設けられた穴部30a,30bを中心にそれぞれ回転する。
【0075】
このとき、接離部材42は、第1凸部42bが力受け部30gと当接し、第2凸部42cが力受け部71bと当接する位置にある。このとき、感光体ドラム1の表面を、転写ベルト11の表面から離隔した位置に位置させることができる。また、現像ローラ40の表面を、感光体ドラム1の表面から離隔した位置に位置させることができる。このように、接離部材42が、現像ローラ40と感光体ドラム1とを離隔させることができる位置にあるときの位置を、以下、「離隔位置」と称する。
【0076】
そして、引き出し部材13を装置本体から引き出した状態、つまり、引き出し部材13が装置本体の外側に位置(以下、適宜、外側位置と称する)する場合、接離部材42は「離隔位置」に位置する。そのため、図11に示すように、プロセスカートリッジPを引き出し部材13に装着すると、その装着動作に伴って、現像ローラ40の表面は、感光体ドラム1の表面から離隔する。従って、プロセスカートリッジPを引き出し部材13に装着
する際に、装着時の衝撃により、感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面が摺擦し、これらの表面に傷が付くことを抑制できる。
【0077】
以上のように、プロセスカートリッジPを引き出し部材13に装着する過程において、現像ローラ40の表面が、感光体ドラム1の表面から離隔した状態で、プロセスカートリッジPは装着される。また、感光体ドラム1の表面が、転写ベルト11の面より離隔した状態で、プロセスカートリッジPは装着される。
【0078】
<引き出しユニットの装置本体内への装着>
引き出しユニットU1の装置本体内への装着動作に関し、図12〜図15を参照して説明する。図12は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す斜視図である。図13は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。図14は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが開いた状態の様子を示す模式的断面図である。なお、図13及び図14においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図15は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが閉じた状態を示す模式的断面図である。なお、図15においては、画像形成動作が行われていない状態を示している。
【0079】
図12に示すように、引き出しユニットU1は、引き出し部材13における被ガイド部13a,13b,13c,13d(図5,6参照)が、装置本体側のガイド部14R,14L(図3,4参照)に沿うように、矢印E方向に装着される。
【0080】
そして、引き出しユニットU1(引き出し部材13)の装着動作中は、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aとは離隔した状態を維持している。つまり、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aとの間には隙間gが形成されている。従って、感光体ドラム1の表面が転写ベルト11の表面に摺擦することなく、引き出しユニットU1を装置本体内に装着することができる。なお、装着動作中、引き出しユニットU1は転写ベルト11の記録媒体搬送面11aと略平行に移動する。
【0081】
また、引き出しユニットU1の装着動作中は、感光体ドラム1と現像ローラ40の表面も、お互い離隔した状態を維持している。つまり両者の間には隙間hが形成されており、接離部材14は「離隔位置」に位置している。従って、プロセスカートリッジPを装着した引き出しユニットU1を装置本体内に装着する際に、装着時の衝撃等で、感光体ドラム1の表面と、現像ローラ40の表面とが当接し、傷が付くことを抑制できる。
【0082】
また、引き出しユニットU1が装置本体内に装着されると、接離部材42に設けられたラック部42a(図10参照)と、装置本体の駆動ギア46(図4参照)とが噛み合った状態となる。これにより、駆動ギア46からラック部42aに駆動力が伝達可能な状態となる。
【0083】
図14に示すように、引き出しユニットU1を装置本体内に完全に挿入した状態で、かつドア10が開いた状態では、依然として感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aは離隔している。また、感光体ドラム1と現像ローラ40の表面も、同様に離隔している。
【0084】
図15はドアを閉じた状態を示している。ドア10を閉じる動作によって、ドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26(図4参照)が、引き出し部材13に設けられた開口部13m及び開口部13l(図5参照)にそれぞれ進入してくる。しかし、プロセスカートリッジPはまだ正規の位置(画像形成可能な位置)に位置していない。従
って、ドラムカップリング部材25及び現像カップリング部材26は、それぞれカップリング部材47,45(図8参照)とは係合していない。
【0085】
なお、ドア10を閉じた状態であっても、画像形成動作が行われていない状態においては、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11a、及び感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は、いずれも離隔した状態を維持している。つまり、接離部材14は「離隔位置」に位置している。
【0086】
以上のような状態で、装置本体から画像形成動作の指令が来るまで待機している。
【0087】
<画像形成動作時の各部の動作>
画像形成動作時における各部の動作について、図16〜図21を参照して説明する。図16は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成指令直後の様子を示す斜視図である。図17は本発明の実施例1に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつ画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。なお、図17においては、引き出しユニット及び転写ベルト付近の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図18は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成動作に移行する途中の状態を示す斜視図である。図19は本発明の実施例1に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。なお、図19においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図20は本発明の実施例1に係る引き出しユニットにおける画像形成動作に移行する途中の状態を示す斜視図である。図21は本発明の実施例1に係る画像形成装置における画像形成動作が可能になった状態を示す模式的断面図である。なお、図21においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。
【0088】
画像形成の指令が来ると、装置本体に設けられたモーター(不図示)に駆動連結した駆動ギア46が、図16に示すように矢印F方向に回転する。これにより、駆動ギア46に噛み合っているラック部42aによって、接離部材42は図中矢印G方向に移動する。この接離部材42が図16に示す位置まで移動すると、感光体ユニット8に設けられた力受け部30gが、接離部材42の第1凸部42bから外れる。しかし、現像ユニット4に設けられた力受け部71bは、依然として第2凸部42c上に位置している。なお、第2凸部42cの方が、第1凸部42bよりも接離部材42の移動方向において長くなるように構成されていることによって、このようなメカニズムを可能としている。
【0089】
図17は、図16に示す状態において、引き出し部材13とプロセスカートリッジPと転写ベルト11との位置関係を示している。上記の通り、接離部材42の移動動作によって、力受け部30gが第1凸部42bから外れることで、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面に当接する。一方、力受け部71bは第2凸部42cより力を受けたままの状態のため、現像ローラ40は感光体ドラム1の表面から離隔した状態である。なお、感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は離隔した状態を維持しているので、このときの接離部材42の位置は、「離隔位置」に相当する。
【0090】
その後、図18に示すように、装置本体側に設けられた押圧部材65,66が不図示の駆動源により駆動され、矢印H方向に移動する。そして、これら押圧部材65,66が、プロセスカートリッジPに設けられた力受け部30g,30hに当接し、力を付与する。これにより、プロセスカートリッジPの被ガイド部30c(図8参照)が、引き出し部材13に設けられた位置決め部13h1(図9参照)に当接する。また、被ガイド部30d(図9参照)が、位置決め部13j1(図10参照)に当接する。更に、被ガイド部30e,30f(図8,9参照)が、ガイド部13i,13k(図9,10参照)に嵌まり、
プロセスカートリッジPは引き出し部材13内で位置決めされる。
【0091】
以上のように、押圧部材65,66の作用により、プロセスカートリッジPは装置本体内で位置決めされる。
【0092】
図19は、図18に示す状態において、装置本体内部の様子を示している。この状態においては、プロセスカートリッジPは、現像ローラ40の表面が、感光体ドラム1の表面から離隔した状態を維持している。また、感光体ドラム1の表面は、転写ベルト11の表面と当接している。なお、感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は離隔した状態を維持しているので、このときの接離部材42の位置は、「離隔位置」に相当する。
【0093】
その後、現像ローラ40と感光体ドラム1とを接触させるために、駆動ギア46が更に回転し、図20に示すように、接離部材42が矢印G方向に移動する。これにより現像ユニット4に設けられた力受け部71bは、接離部材42の第2凸部42cから離れ、この第2凸部42cから力を受けない状態となる。従って、現像ユニット4と感光体ユニット8との間に設けられたバネ9の付勢力によって、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とが接触する。これにより、画像形成装置100は、画像形成が可能な状態になる。このように、画像形成を可能とするために、接離部材42が、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とを接触させることができる位置にあるときの位置を、以下、「接触位置」と称する。画像形成動作については、既に説明した通りである。なお、図21は、画像形成動作が可能な状態にある際の装置本体内部の様子を示している。
【0094】
画像形成が終了すると、駆動ギア46を図16に示す矢印F方向とは反対方向に回転させ、接離部材42を図20中矢印I方向に移動させる。これにより、接離部材42は再び「離隔位置」に移動し、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離隔する(図18,19に示す状態)。
【0095】
その後、押圧部材65,66が上記の押圧方向とは反対方向に移動し、且つ接離部材42が矢印I方向に更に移動する。これにより、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面から離隔する。この状態で、次の画像形成の指令を待つ。或いは、引き出し部材13が引き出される場合、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の表面(記録媒体搬送面11a)、及び感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は離隔したままの状態を維持する。つまり、接離部材42は「離隔位置」に位置する。従って、プロセスカートリッジPを装着した引き出し部材13を装置本体外に引き出す際に、移動時の衝撃等で、感光体ドラム1の表面と、現像ローラ40の表面とが当接し、傷が付いてしまうことを抑制できる。
【0096】
<本実施例の優れた点>
以上のように、本実施例に係る画像形成装置100によれば、接離部材42が「離隔位置」と「接触位置」とを取り得る構成を採用している。そして、この接触部材42の移動によって、現像ローラ40が、適時、感光体ドラム1から離隔する位置、または感光体ドラム1に当接する位置に移動する構成を採用している。これにより、引き出しユニットU1(引き出し部材13)の引き出し操作中など、画像形成が行われない際には、現像ローラ40と感光体ドラム1が接触しない状態とすることができる。従って、各部材の劣化を抑制し、長寿命化を図ることが可能である。
【0097】
また、本実施例に係る画像形成装置100によれば、接離部材42を引き出し部材13に設ける構成を採用している。従って、上記従来例のように現像ローラを感光体ドラムから離隔させるための接離部材を装置本体側に設ける場合のように、接離部材が装置本体側から引き出し部材内まで進入させる構成を必要としない。つまり、装置本体に、接離部材
を装置本体側から引き出し部材内のカートリッジの位置まで移動させるためのスペースが必要ないため、装置本体の小型化を実現できる。
【0098】
なお、装置本体側に固定した接離部材を設けて、引き出し部材の押し込み動作や引き出し動作によって、カートリッジに設けた力受け部が接離部材からの力を受けて、現像ローラの感光体ドラムに対する接離動作がなされる構成も考えられ得る。
【0099】
しかしながら、そのような構成を採用した場合であっても、カートリッジに設けた力受け部が接離部材に当接可能とするために、この力受け部を引き出し部材の外側に突出させる必要がある。従って、装置の小型化の支障になってしまう。これに対して、本実施例によれば、接離部材42を引き出し部材13内に設けたので、力受け部71bを必要以上に突出させる必要が無く、プロセスカートリッジPの小型化が可能となる。
【0100】
また、上記のような構成を採用した場合であっても、接離部材に対してカートリッジの力受け部を所望のタイミングでのみ当接させるために、カートリッジの力受け部を接離部材から退避させた状態でカートリッジを装着させなければならない。そして、最終的には、カートリッジの力受け部が接離部材に当接する位置まで、引き出し部材全体を移動させる構成や仕組みが必要となる。これに対して、本実施例によれば、接離部材42を引き出し部材13内に設けたことによって、装置本体構成を簡略化でき、かつ小型化が可能となる。
【0101】
なお、本実施例では、転写ベルト11の一例として、転写ベルト11によって、シート材Sを感光体ドラム1表面に搬送し、感光体ドラム1上の現像像を直接シート材Sに転写するように構成された場合を示した。しかしながら、本発明は、感光体ドラム上に形成された現像像が転写され、最終的に記録媒体(シート材)に再転写する方式の中間転写ベルトを採用した画像形成装置にも適用可能である。
【0102】
また、本実施例では、接離部材42を引き出し部材13の一端側にのみ設けた場合の構成を示した。しかし、引き出し部材13の他端側にも同様に接離部材を設けてもよい。ただし、この場合には、接離部材から力を受けるための力受け部も両端側に設ける必要があることは言うまでもない。両側に接離部材を設ければ、プロセスカートリッジは、カートリッジ内に備えられた感光体ドラムや現像ローラの各軸が傾くことなく移動する。従って、感光体ドラムと転写ベルトとの離隔状態や、感光体ドラムと現像ローラとの離隔状態をより安定させることができる。
【0103】
(実施例2)
図22〜図36には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、感光体ドラム1を含む感光体ユニット8と、現像ローラ40を含む現像ユニット4とが一体化されたプロセスカートリッジPが、引き出し部材13に装着される方式を採用した場合の例を説明した。本実施例では、感光体ドラム1を含む感光体ユニットと、現像ローラ40を含む現像ユニットとが、各々別々に引き出し部材63に装着される方式を採用した場合の例について説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0104】
<現像カートリッジ>
本発明の実施例2に係る現像ユニットである現像カートリッジについて、図22を参照して説明する。図22は本発明の実施例2に係る現像カートリッジの斜視図である。なお、図22においては、それぞれ異なる方向から見た斜視図を(a)と(b)に示している。
【0105】
本実施例に係る現像カートリッジ60は、現像ローラ40と、トナー供給ローラ(不図示)と、現像ブレード(不図示)と、画像形成に使用される現像剤であるトナーを収容するトナー容器41とから構成される。なお、本実施例に係る画像形成装置においては、それぞれ収容するトナーの色が異なる4個の現像カートリッジ60が備えられる。そこで、明細書の説明に用いる符号、及び図中に付した符号については、適宜、単に「60」とする場合と、それぞれ区別するために「60y,60m,60c,60k」とする場合に分けている。後者の場合において、yはイエロー、mはマゼンタ、cはシアン、kはブラックの各現像剤(トナー)を収容することを意味している。
【0106】
図22に示すように、現像カートリッジ60の一端部には、装置本体側の現像カップリング部材26より駆動力を受けるためのカップリング部材45が回転可能に支持されている。カップリング部材45が受けた駆動力は不図示の中間ギアを介し、現像ローラ40及びトナー供給ローラ等に伝達される。
【0107】
また、現像カートリッジ60の一方の側面側のサイドカバー61の上部には、現像ローラ40の軸線方向外側に突出した力受け部61aが設けられている。この力受け部61aは、接離部材42(後述する図24参照)から力を受けて、現像ローラ40を感光体ドラム1から離隔させる機能を有している。詳細は後述する。更に、現像カートリッジ60の他方の側面側のサイドカバー62の上部には力受け部62aが設けられている。これらの力受け部61a,62aは、いずれも装置本体側に設けられた押圧部材により押圧され、現像カートリッジ60を引き出し部材63に対して位置決めする機能を有する。詳細は後述する。
【0108】
力受け部61a,62aの側方には、被位置決め部61b,62bが、いずれも現像ローラ40の軸線方向外側に突出するように設けられている。詳細は後述する。
【0109】
<感光体カートリッジ>
本発明の実施例2に係る感光体ユニットである感光体カートリッジについて、図23を参照して説明する。図23は本発明の実施例2に係る感光体カートリッジの斜視図である。なお、図23においては、それぞれ異なる方向から見た斜視図を(a)と(b)に示している。
【0110】
本実施例に係る感光体カートリッジ50は、感光体ドラム1と、帯電手段2と、クリーニング手段(不図示)と、クリーニング手段により除去されたトナーを収容する廃トナー容器31とから構成される。なお、本実施例に係る画像形成装置においては、それぞれ感光体ドラム1上に現像されるトナーの色が異なるように配置された4個の感光体カートリッジ50が備えられる。そこで、明細書の説明に用いる符号、及び図中に付した符号については、適宜、単に「50」とする場合と、それぞれ区別するために「50y,50m,50c,50k」とする場合に分けている。後者の場合において、yはイエロー、mはマゼンタ、cはシアン、kはブラックの各現像剤(トナー)が現像されることを意味している。
【0111】
図23に示すように、感光体カートリッジ50の一端部には、装置本体側のドラムカップリング部材25より駆動力を受けるためのカップリング部材47が回転可能に支持されている。カップリング部材47は、感光体ドラム1の一端に設けられていて、装置本体側からカップリング部材47が受けた駆動力によって、感光体ドラム1は回転する。
【0112】
カップリング部材47の外周は円筒状のリブで覆われており、被ガイド部31aを形成している。また、この被ガイド部31aの反対側にも、円筒状の突起が突出するように構成された被ガイド部31bが設けられている。また、被ガイド部31aの上方には被ガイ
ド部31cが設けられており、被ガイド部31bの上方にも被ガイド部31dが設けられている。これらの被ガイド部31a,31b,31c,31dは、感光体カートリッジ50を、引き出し部材63内に装着し、引き出し部材63内に位置決めするための機能を有している。詳細は後述する。
【0113】
また、感光体カートリッジ50の一方の側面側の上部には、感光体ドラム1の軸線方向外側に突出した力受け部31eが設けられている。この力受け部31eは、引き出し部材63に設けられた接離部材42(後述する図24参照)から力を受けて、感光体ドラム1を転写ベルト11から離隔させる機能を有している。詳細は後述する。更に、感光体カートリッジ50の他方の側面側には、力受け部31fが設けられている。これらの力受け部31e,31fは、いずれも装置本体側に設けられた押圧部材により押圧され、感光体カートリッジ50を引き出し部材63に対して位置決めする機能を有する。詳細は後述する。
【0114】
<引き出し部材(支持部材)の詳細>
本発明の実施例2に係る引き出し部材63について、図24及び図25を参照して説明する。図24及び図25は本発明の実施例2に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。なお、図24と図25はそれぞれ異なる方向から見た斜視図を示している。
【0115】
本実施例に係る引き出しユニットU2が、上記実施例1と異なる点は、現像カートリッジ60を引き出し部材63内で位置決めするために、引き出し部材63に、位置決め部63a,63bを設けた点である。
【0116】
現像カートリッジ60は、その被位置決め部61b,62b(図22参照)が、引き出し部材63に設けられた位置決め部63a,63bに嵌まることで、引き出し部材63内で位置決めされる。
【0117】
なお、実施例1の場合と同様に、引き出し部材63には、接離部材42が設けられている。接離部材42の構成は実施例1と同様のため、説明を省略する。また、引き出しユニットU2が引き出し部材63と接離部材42とから構成される点についても、上記実施例1の場合と同様である。
【0118】
<引き出し部材への感光体カートリッジ及び現像カートリッジの装着>
引き出し部材63への現像カートリッジ60(60y,60m,60c,60k)、及び感光体カートリッジ50(50y,50m,50c,50k)の装着について、図26及び図27を参照して説明する。図26及び図27は本発明の実施例2に係る感光体カートリッジ及び現像カートリッジを引き出し部材に装着する様子を示す斜視図である。なお、図26及び図27は、いずれもこれらのカートリッジの装着過程の様子を示しており、それぞれ異なる方向から見た図を示している。
【0119】
本実施例においては、感光体カートリッジ50及び現像カートリッジ60は、引き出し部材63に各々別々に装着される。両者を引き出し部材63に装着する場合、感光体カートリッジ50を装着した後に、現像カートリッジ60を装着する。
【0120】
感光体カートリッジ50の装着を行う場合、ユーザーは、まず、感光体カートリッジ50の両端部に設けられた被ガイド部31a,31bを引き出し部材63のガイド部63c,63dに沿うように装着する。次に、ユーザーは、被ガイド部31c,31dを、ガイド部63e,63fに沿うように装着する。これにより、感光体カートリッジ50は、引き出し部材63内に装着される。
【0121】
そして、現像カートリッジ60の装着を行う場合、ユーザーは、現像カートリッジ60の被位置決め部61b,62bが、引き出し部材63に設けられた位置決め部63a,63bの位置に一致するように、現像カートリッジ60を装着する。但し、装着時点では、被位置決め部61b,62bは位置決め部63a,63bには当接しない。
【0122】
感光体カートリッジ50を引き出し部材63に装着していくと、感光体カートリッジ50に設けられた力受け部31eが、接離部材42に設けられた第1凸部(力付与部)42b(図26参照)に当接する。また、現像カートリッジ60のサイドカバー71に設けられた力受け部61aが第2凸部(力付与部)42c(図26参照)に当接する。
【0123】
感光体カートリッジ50に設けられた力受け部31eが第1凸部42bに当接することで、感光体カートリッジ50は、画像形成を行う位置に対して、一段高い位置に保持される。つまり、感光体ドラム1の表面は、転写ベルト11の表面記録媒体搬送面11a)よりも一段高い(離隔した)位置に保持された状態となる。
【0124】
また、現像カートリッジ60に設けられた力受け部61aが、接離部材42に設けられた第2凸部42cに当接することで、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離隔する。これについて、特に、図28を参照して説明する。図28は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。なお、図28においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。
【0125】
接離部材42に設けられた第2凸部42cは、第1凸部42bよりも一段高くなるように構成されている。一方、感光体カートリッジ50に設けられた力受け部31eと、現像カートリッジ60に設けられた力受け部61aとは、外力を受けていない状態でほぼ同一高さとなるように構成されている。これにより、現像カートリッジ60の方が、感光体カートリッジ50よりも、更に高い位置に保持された状態となる。従って、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離れた状態となる。
【0126】
ここで、接離部材42は引き出し部材63の一端側にのみ設けられている。また、接離部材42の第2凸部42cより力を受ける力受け部61aも現像カートリッジ60の片側にのみ設けられている。しかし、現像カートリッジ60の他端側に設けられた被位置決め部62bは、感光体ドラム1における長手方向の端よりも外側に設けられているので、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離れることが可能である。つまり、現像カートリッジ60は、一端側で力受け部61aが第2凸部42cから力を受けて浮き上がる。一方、他端側では、引き出し部材63の位置決め部63bに被位置決め部62bが当接した状態を維持する。そのため、現像カートリッジ60は感光体ドラム1に対して斜めの状態となる。しかし、上記の通り、被位置決め部62bが感光体ドラム1の長手方向の端よりも外側に設けられているので、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離隔する。
【0127】
このように、感光体カートリッジ50及び現像カートリッジ60を装着したとき、接離部材42は、第1凸部42bが力受け部31eと当接し、第2凸部42cが力受け部61aと当接する位置にある。このとき、感光体ドラム1の表面を、転写ベルト11の表面から離隔した位置に位置させることができる。また、現像ローラ40の表面を、感光体ドラム1の表面から離隔した位置に位置させることができる。このように、接離部材42が、現像ローラ40と感光体ドラム1とを離隔させることができる位置にあるときの位置を、実施例1の場合と同様に「離隔位置」と称する。
【0128】
このように、現像カートリッジ60を引き出し部材63に装着する過程において、現像ローラ40の表面が、感光体ドラム1の表面から離隔した状態で、現像カートリッジ60は装着される。従って、現像カートリッジ60を引き出し部材63に装着する際に、装着時の衝撃により、感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面が摺擦し、これらの表面に傷が付くことを抑制できる。
【0129】
以上のように、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面、及び感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の表面は、いずれも離隔した状態で、感光体カートリッジ50及び現像カートリッジ60は引き出し部材63に装着される。
【0130】
<引き出しユニットの装置本体内への装着>
引き出しユニットU2の装置本体内への装着動作に関し、図29〜図31を参照して説明する。図29は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着している様子を示す模式的断面図である。図30は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが開いた状態の様子を示す模式的断面図である。なお、図29及び図30においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図31は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつドアが閉じた状態を示す模式的断面図である。なお、図31においては、画像形成動作が行われていない状態を示している。
【0131】
図29に示すように、引き出しユニットU2(引き出し部材63)は矢印D1方向に装置本体内に装着される。引き出しユニットU2の装着動作中は、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aとは離隔した状態を維持している。つまり感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aとの間には隙間gが形成されている。従って、感光体ドラム1の表面が転写ベルト11の表面に摺擦することなく、引き出しユニットU2を装置本体内に装着することができる。
【0132】
また、引き出しユニットU2の装着動作中は、感光体ドラム1と現像ローラ40の表面も、お互い離隔した状態を維持している。つまり両者の間には隙間hが形成されており、接離部材42は「離隔位置」に位置している。従って、引き出しユニットU2を装置本体内に装着する際に、装着時の衝撃等で、感光体ドラム1の表面と、現像ローラ40の表面とが当接し、傷が付くことを抑制できる。
【0133】
図30に示すように、引き出しユニットU2を装置本体内に完全に挿入した状態で、かつドア10が開いた状態では、依然として感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11aは離隔している。また、感光体ドラム1と現像ローラ40の表面も、同様に離隔している。
【0134】
図31はドアを閉じた状態を示している。ドア10を閉じた状態であっても、画像形成動作が行われていない状態においては、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の記録媒体搬送面11a、及び感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は、いずれも離隔した状態を維持している。つまり、接離部材42は「離隔位置」に位置している。
【0135】
以上のような状態で、装置本体から画像形成動作の指令が来るまで待機している。
【0136】
<画像形成動作時の各部の動作>
画像形成動作時における各部の動作について、図32〜図36を参照して説明する。図32は本発明の実施例2に係る引き出しユニットにおける画像形成指令直後の様子を示す斜視図である。図33は本発明の実施例2に係る引き出しユニットを装置本体内に装着し、かつ画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。なお、図33にお
いては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図34は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。図35は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作に移行する途中の状態を示す模式的断面図である。なお、図35においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。図36は本発明の実施例2に係る画像形成装置における画像形成動作が可能になった状態を示す模式的断面図である。なお、図36においては、装置全体の模式的断面図と、一つの感光体ドラム付近を拡大した模式的断面図を示している。
【0137】
画像形成の指令が来ると、装置本体に設けられたモーター(不図示)と駆動連結した駆動ギア46が、図32に示すように矢印F方向に回転する。これにより、駆動ギア46と噛み合っているラック部42aによって、接離部材42は図中矢印G方向に移動する。この接離部材42が図32に示す位置まで移動すると、感光体カートリッジ50に設けられた力受け部31eが、接離部材42の第1凸部42bから外れる。しかし、現像カートリッジ60に設けられた力受け部61aは、依然として第2凸部42c上に位置している。なお、第2凸部42cの方が、第1凸部42bよりも接離部材42の移動方向において長くなるように構成されていることによって、このようなメカニズムを可能としている。
【0138】
図33は、図32に示す状態における装置全体の模式的断面図を示している。上記の通り、接離部材52の移動動作によって、力受け部31eが第1凸部42bから外れることで、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面に当接する。一方、力受け部61aは第2凸部42cより力を受けたままの状態のため、現像ローラ40は感光体ドラム1の表面から離隔した状態である。なお、感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は離隔した状態を維持しているので、このときの接離部材42の位置は、「離隔位置」に相当する。
【0139】
その後、図34に示すように、装置本体側に設けられた押圧部材65,66が不図示の駆動源により駆動され、矢印H方向に移動する。そして、これら押圧部材65,66が、感光体カートリッジ50に設けられた力受け部31e,31f(図23参照)に当接し、力を付与する。これにより、感光体カートリッジ50の被ガイド部31a(図23参照)が、引き出し部材63に設けられた位置決め部63c1(図25参照)に当接する。また、被ガイド部31b(図23参照)が、位置決め部63d1(図24参照)に当接する。更に、被ガイド部31c,31d(図23)が、ガイド部63e,63f(図24,25参照)に嵌まり、感光体カートリッジ50は引き出し部材63内で位置決めされる。
【0140】
以上のように、押圧部材65,66の作用により、感光体カートリッジ50は装置本体内で位置決めされる。
【0141】
その後、現像ローラ40と感光体ドラム1とを接触させるために、駆動ギア46が更に回転し、接離部材42は矢印G方向(図32参照)に更に移動する。これにより現像カートリッジ60に設けられた力受け部61aは、接離部材42の第2凸部42cから離れ、この第2凸部42Cから力を受けない状態となる。これにより、現像カートリッジ60は、その自重により鉛直方向の下向きに移動し、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とが接触する。この時、現像カートリッジ60の被位置決め部61b,62b(図22参照)と、引き出し部材63に設けられた位置決め部63a,63b(図24,25参照)とは、まだ当接していない。図35はそのときの状態を示す模式的断面図である。なお、この状態においては、上記の通り、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とが接触する。このように、接離部材42が、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とを接触させることができる位置にあるときの位置を、以下、「接触位置」と称する。
【0142】
その後、図36に示すように、装置本体に設けられた押圧部材67が不図示の駆動源により駆動され、矢印J方向に移動してくる。なお、押圧部材67は装置本体の両側面側にそれぞれ設けられており、各現像カートリッジ60に対応するように、合計4対設けられている。
【0143】
そして、一対の押圧部材67が、現像カートリッジ60に設けられた力受け部61a,62a(図22参照)にそれぞれ当接し、力を付与する。これにより、現像カートリッジ60の被位置決め部61b,62b(図22参照)が、引き出し部材63に設けられた位置決め部63a,63b(図24,25参照)に向かって押圧される。また、現像ローラ40の表面が、被位置決め部61b,62bを支点として、感光体ドラム1の表面方向に押圧される。現像ローラ40の表面が感光体ドラム2の表面に対して進入し、所定の進入量になった時点で、現像カートリッジ60の被位置決め部61b,62bと、引き出し部材63に設けられた位置決め部63a,63bが当接するように構成されている。
【0144】
以上のように、押圧部材67の作用により、現像カートリッジ60は装置本体内で位置決めされる。
【0145】
このように、現像カートリッジ60の位置決めが完了すると、画像形成装置100は、画像形成が可能な状態となる。なお、この状態においては、接離部材42は、現像ローラ40の表面と感光体ドラム1の表面とを接触させることができる位置、すなわち「接触位置」に位置している。なお、画像形成動作については、実施例1において既に説明した通りである。
【0146】
画像形成が終了すると、不図示の駆動源により押圧部材67を上記の押圧方向とは反対方向(図36中、矢印J方向と反対方向)に移動させる。また、駆動ギア46を図32に示す矢印F方向とは反対方向に回転させ、接離部材42を図32中、矢印I方向に移動させる。これにより、接離部材42は再び「離隔位置」に移動し、現像ローラ40の表面は感光体ドラム1の表面から離隔する(図34参照)。
【0147】
その後、押圧部材65,66が上記の押圧方向とは反対方向に移動し、且つ接離部材42が矢印I方向に更に移動する。これにより、感光体ドラム1の表面は転写ベルト11の表面から離隔する(図31に示す状態)。この状態で、次の画像形成の指令を待つ。或いは、引き出し部材63が引き出される場合、感光体ドラム1の表面と転写ベルト11の表面(記録媒体搬送面11a)、及び感光体ドラム1の表面と現像ローラ40の表面は離隔したままの状態を維持する。つまり、接離部材42は「離隔位置」に位置する。従って、引き出し部材63を装置本体外に引き出す際に、移動時の衝撃等で、感光体ドラム1の表面と、現像ローラ40の表面とが当接し、傷が付いてしまうことを抑制できる。
【0148】
<本実施例の優れた点>
以上のように、本実施例に係る画像形成装置100によれば、接離部材42が「離隔位置」と「接触位置」とを取り得る構成を採用している。そして、この接触部材42の移動によって、現像ローラ40が、適時、感光体ドラム1から離隔する位置、または感光体ドラム1に当接する位置に移動する構成を採用している。これにより、引き出しユニットU2(引き出し部材63)の引き出し操作中など、画像形成が行われない際には、現像ローラ40と感光体ドラム1が接触しない状態とすることができる。従って、各部材の劣化を抑制し、長寿命化を図ることが可能である。
【0149】
また、本実施例に係る画像形成装置100によれば、接離部材42を引き出し部材63に設ける構成を採用している。従って、上記従来例のように現像ローラを感光体ドラムから離隔させるための接離部材を装置本体側に設ける場合のように、接離部材が装置本体側
から引き出し部材内まで進入させる構成を必要としない。つまり、装置本体に、接離部材を装置本体側から引き出し部材内のカートリッジの位置まで移動させるためのスペースが必要ないため、装置本体の小型化を実現できる。
【0150】
なお、装置本体側に固定した接離部材を設けて、引き出し部材の押し込み動作や引き出し動作によって、カートリッジに設けた力受け部が接離部材からの力を受けて、現像ローラの感光体ドラムに対する接離動作がなされる構成も考えられ得る。
【0151】
しかしながら、そのような構成を採用した場合であっても、カートリッジに設けた力受け部が接離部材に当接可能とするために、この力受け部を引き出し部材の外側に突出させる必要がある。従って、装置の小型化の支障になってしまう。これに対して、本実施例によれば、接離部材42を引き出し部材63内に設けたので、力受け部71bを必要以上に突出させる必要が無く、現像カートリッジ63の小型化が可能となる。
【0152】
また、上記のような構成を採用した場合であっても、接離部材に対してカートリッジの力受け部を所望のタイミングでのみ当接させるために、カートリッジの力受け部を接離部材から退避させた状態でカートリッジを装着させなければならない。そして、最終的には、カートリッジの力受け部が接離部材に当接する位置まで、引き出し部材全体を移動させる構成や仕組みが必要となる。これに対して、本実施例によれば、接離部材42を引き出し部材63内に設けたことによって、装置本体構成を簡略化でき、かつ小型化が可能となる。
【0153】
なお、本実施例では、転写ベルト11の一例として、転写ベルト11によって、シート材Sを感光体ドラム1表面に搬送し、感光体ドラム1上の現像像を直接シート材Sに転写するように構成された場合を示した。しかしながら、本発明は、感光体ドラム上に形成された現像像が転写され、最終的に記録媒体(シート材)に再転写する方式の中間転写ベルトを採用した画像形成装置にも適用可能である。
【0154】
また、本実施例では、接離部材42を引き出し部材63の一端側にのみ設けた場合の構成を示した。しかし、引き出し部材63の他端側にも同様に接離部材を設けてもよい。ただし、この場合には、接離部材から力を受けるための力受け部も両端側に設ける必要があることは言うまでもない。両側に接離部材を設ければ、感光体カートリッジや現像カートリッジは、カートリッジ内に備えられた感光体ドラムや現像ローラの各軸が傾くことなく移動する。従って、感光体ドラムと転写ベルトとの離隔状態や、感光体ドラムと現像ローラとの離隔状態をより安定させることができる。
【0155】
(実施例3)
図37〜図42には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例2では、感光体ユニット(感光体カートリッジ)と現像ユニット(現像カートリッジ)とが引き出し部材に対して各々別々に装着される方式を採用した場合の例を示した。これに対し、本実施例では、感光体ユニットが引き出し部材に対して固定されており、現像ユニット(現像カートリッジ)が引き出し部材に対して装着される方式を採用した場合の例を示す。また、上記実施例1,2では接離部材が引き出し部材の移動方向に移動する構成を採用した場合の例を示した。これに対し、本実施例では、接離部材が引き出し部材の移動方向に対して垂直方向に移動する構成を採用した場合の例を示す。引き出し部材や接離部材に関する構成以外の基本的な構成については、上記実施例と同一の構成であるので、同一の構成についての説明は適宜省略する。なお、上記実施例と同一の構成部分について同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0156】
<引き出しユニット(引き出し部材(支持部材))の装着部>
特に図37を参照して、装置本体における引き出しユニット(引き出し部材)の装着部の構成について説明する。図37は本発明の実施例3に係る画像形成装置の装置本体における引き出しユニットの装着部を示す斜視図である。なお、図37においては、装着部の構成が分かり易いように、装置本体を構成する部材(部品)のうち、スキャナユニット等を省略して示している。また、図37中の(a)と(b)はそれぞれ異なる方向から見た斜視図を示している。
【0157】
装置本体フレームの内壁面には、後述する引き出しユニットU3の移動方向を案内する一対のガイド部材14RX,14LXがそれぞれ対向するように設けられている。これらのガイド部材14RX,14LXは、後述する引き出し部材63Xの被ガイド部13a,13b,13c,13d(図38参照)をガイドする、断面がコの字状のレール状部材である。また、これらのガイド部材14RX,14LXは、引き出し部材63Xを装置本体の外部に引き出す位置から装置本体の内部に収納させる位置まで案内できるように、装置本体の入口付近(ドア10付近)から奥側まで略水平方向に伸びるように設けられている。
【0158】
また、ガイド部材14RX,14LXの上方には、後述する現像ユニットである現像カートリッジ60Xを所定の位置に押圧して位置決めするための押圧部材65X,66Xが設けられている。これらの押圧部材65X,66Xは、装置本体側からの駆動力によって下方に移動することで、現像カートリッジ60Xを押圧するように構成されており、現像カートリッジ60Xを装置本体内の所定の位置に位置決めするために設けられている。
【0159】
また、ガイド部材14LXの下方には、現像カートリッジ60Xに駆動を伝達するための4つの現像カップリング部材26が設けられている。これら4つの現像カップリング部材26は、4箇所に配置される現像カートリッジ60Xにそれぞれ対応するように、略等間隔に水平方向に並べて配置されている。現像カップリング部材26は不図示の駆動源からの駆動力を現像カートリッジ60Xに伝達する。現像カップリング部材26は、ドア10を開いた状態では、図37(b)に示すように、側壁内に退避した状態となっており、ドア10を閉める動作に連動して現像カートリッジ60X側に進入する構成となっている。
【0160】
<引き出しユニット>
特に、図38及び図39を参照して、本発明の実施例3に係る引き出しユニットU3について詳細に説明する。図38は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出しユニットの斜視図である。図39は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出しユニットの模式的断面図である。なお、本実施例に係る引き出しユニットU3においては、基本的な構造が同一のものが引き出し方向に4つ並んだ構成である。そのため、図38及び図39においては、図を見易くするために、4つの基本的構造のうちの一つのみに符号を付している。
【0161】
本実施例においては、感光体ドラム1を支持し、現像カートリッジ60Xを取り外し可能に支持して、装置本体の内側に位置する内側位置と、装置本体の外側に位置する外側位置との間を移動可能な支持部材としての引き出し部材63Xが設けられている。そして、この引き出し部材63Xに、感光体ドラム1,帯電手段2,クリーニング手段6及び廃トナー容器30等が固定されている。また、引き出し部材63Xに、接離ユニット80が設けられている。このように、本実施例に係る引き出しユニットU3は、引き出し部材63Xと、感光体ドラム1,帯電手段2,クリーニング手段6及び廃トナー容器30等と、接離ユニット80とから構成されている。
【0162】
引き出し部材63Xの四隅には、装置本体のガイド部材14RX,14LXにガイドさ
れる被ガイド部13a,13b,13c,13dが設けられている。被ガイド部13a,13cはガイド部材14RXにガイドされ、被ガイド部13b,13dはガイド部材14LXにガイドされる。被ガイド部13a,13bは、側面側の外側に突出した形状で構成されており、引き出しユニットU3が引き出し位置において傾かないように引き出し方向に伸びるように構成されている。また、被ガイド部13c,13dは円柱形状で構成されており、側面側の外側に突出するように構成されている。
【0163】
更に、引き出し部材63Xの一方の側壁には、上記の現像カップリング部材26が進入する開口部13lが設けられている。現像カップリング部材26は、ドア10を閉める動作に連動して開口部13lに進入するように構成されている。この開口部13lから進入した現像カップリング部材26は、現像カートリッジ60Xのカップリング部材45X(後述する図40参照)と係合する。これにより、装置本体側の不図示の駆動源から、装置本体側の現像カップリング部材26と現像カートリッジ60X側のカップリング部材45Xとを介して現像カートリッジ60Xに駆動力が伝達される。
【0164】
次に、引き出し部材63Xに対する現像カートリッジ60Xの位置決めに関する構成について説明する。
【0165】
現像カートリッジ60Xは、引き出し部材63Xにおいて、各感光体ドラム1に対向する位置に装着される。そして、現像カートリッジ60Xが装着される領域の両端側に、現像カートリッジ60Xを引き出し部材63X内にガイドするガイド部13q,13rがそれぞれ設けられている。各ガイド部13q,13rは縦長の溝で構成されている。そして、ガイド部13qを構成する縦長の溝の溝底部分が現像カートリッジ60Xを位置決めする位置決め部として機能する。なお、両端側にそれぞれ設けられたガイド部13qのうち図38中手前側のガイド部13qの下端付近に、上記の開口部13mが設けられている。
【0166】
また、ガイド部13rの内部に、接離ユニット80が設けられている。この接離ユニット80は、現像カートリッジ60Xを支持する接離部材81と、この接離部材81を上方に付勢する付勢部材であるバネ82とから構成される。接離部材81は、後述する現像ローラ40Xと感光体ドラム1とを接触させるための接触位置と、現像ローラ40Xと感光体ドラム1とを離隔させるための離隔位置と、を取り得るように構成されている。
【0167】
そして、本実施例に係る接離ユニット80は、現像カートリッジ60Xの装着領域の両端側にそれぞれ設けられている。
【0168】
<引き出し部材への現像カートリッジの装着>
引き出し部材63Xへの現像カートリッジ60X(60Xy,60Xm,60Xc,60Xk)の装着について、特に図40を参照して説明する。なお、「現像カートリッジ60Xy,60Xm,60Xc,60Xk」については、本実施例の説明では、適宜、色別を示す添え字を省略して、「現像カートリッジ60X」と称する。ここで、yはイエロー、mはマゼンタ、cはシアン、kはブラックの各現像剤を収容することを意味している。
【0169】
図40は本発明の実施例3に係る画像形成装置における引き出し部材への現像カートリッジの装着時の様子を示す斜視図である。なお、現像カートリッジを装着する際には、引き出し部材63Xを装置本体から引き出した状態で行うが、図40においては、装置本体を省略している。
【0170】
現像カートリッジ60Xは、引き出し部材63Xに設けられた各装着部にそれぞれ装着される。ユーザーは、実質的に重力方向である矢印C方向へ現像カートリッジ60Xの装着を行う。
【0171】
現像カートリッジ60Xの両側面にはそれぞれ突起61Xが設けられている。これらの突起61Xは、引き出し部材63Xに設けられたガイド部13rにガイドされる。また、現像カートリッジ60Xの一方の側面に設けられたカップリング部材45Xの外周は、円筒状のリブで覆われている。この円筒状のリブは、引き出し部材63Xに設けられたガイド部13qにガイドされる被ガイド部として機能する。そして、現像カートリッジ60Xの他方の側面にも、引き出し部材63Xに設けられたガイド部13qにガイドされる被ガイド部(不図示)が設けられている。
【0172】
現像カートリッジ60Xを装着する場合、まず、その両側面にそれぞれ設けられた上記の被ガイド部を、引き出し部材63Xに設けられた一対のガイド部13qに嵌まるように装着する。次に、現像カートリッジ60Xの両側面にそれぞれ設けられた突起61Xを、引き出し部材63Xに設けられた一対のガイド部13rに嵌まるように装着する。
【0173】
このようにして、現像カートリッジ60Xは、各ガイド部13q,13rにガイドされて、引き出し部材63X内に装着される。
【0174】
ここで、現像カートリッジ60Xは、その両側面にそれぞれ設けられた突起61Xが、接離部材81上に載置された状態で引き出し部材63Xに装着される。そして、接離部材81は、上記の通り、バネ82によって上方に付勢されており、現像カートリッジ60Xの自重だけでは現像カートリッジ60Xは完全に装着された状態とはならない。すなわち、現像カートリッジ60Xは、完全に装着された位置(画像形成が可能な位置)よりも上方に位置し、現像ローラ40Xは感光体ドラム1から離隔している。この時、現像カートリッジ60Xに設けられた上記一対の被ガイド部は、現像カートリッジ60Xを位置決めするためのガイド部13qにおける位置決め部(溝の溝底部分)には当接していない。
【0175】
このように、現像カートリッジ60Xを引き出し部材63Xに装着しただけでは、現像ローラ40Xは感光体ドラム1には当接しない。従って、現像カートリッジ60Xの装着作業時に、現像ローラ40Xの表面と感光体ドラム1との表面とを離隔させた状態を維持することができる。従って、現像カートリッジ60Xの装着動作によって、感光体ドラム1の表面を傷つけてしまうことを抑制できる。なお、接離部材81が、現像ローラ40Xと感光体ドラム1とを離隔させることができる位置にあるときの位置を、上記各実施例の場合と同様に「離隔位置」と称する。
【0176】
<現像カートリッジの位置決め構成>
現像カートリッジ60Xの装置本体内での位置決め構成に関して、特に図41及び図42を参照して説明する。図41は本発明の実施例3に係る画像形成装置における現像カートリッジを装着し、かつ画像形成動作が行われていない状態を示す模式的断面図である。図42は本発明の実施例3に係る画像形成装置における現像カートリッジの位置決めが完了した状態(画像形成が可能な状態)を示す模式的断面図である。なお、これら図41及び図42においては、装置本体側の各種部材のうち現像カートリッジの位置決めに関係する部材のみを示している。
【0177】
現像カートリッジ60Xは、画像形成の指令が来ると、現像ローラ40Xが感光体ドラム1から離間した位置から(図41参照)、感光体ドラム1に接触する位置まで移動する(図42参照)。これにより、画像形成が可能な状態になる。以下、この動作について説明する。
【0178】
装置本体には、上記の通り、一対の押圧部材65X,66Xが設けられている。これらの押圧部材65X,66Xは、画像形成の指令(画像形成信号)によって、不図示の駆動
源により駆動され、下方に移動する。そして、これら押圧部材65X,66Xが現像カートリッジ60Xの両側面にそれぞれ設けられた突起61Xを下方に向かって押圧する。この押圧力によって、一対の突起61Xは接離部材81をバネ82の付勢力に抗して下方に押し下げる。これにより現像カートリッジ60Xに設けられた上記一対の被ガイド部がガイド部13qに沿って下方に移動し、その位置決め部(溝の溝底部分)に当接して止まる。
【0179】
以上のようにして、現像カートリッジ60Xの位置決めがなされる。この状態で、現像ローラ40Xは感光体ドラム1に当接し、画像形成が可能な状態となる(図42参照)。このように、接離部材81が、現像ローラ40Xの表面と感光体ドラム1の表面とを接触させることができる位置にあるときの位置を、「接触位置」と称する。
【0180】
以上のように、本実施例においても、上記各実施例の場合と同様に、接離部材81は、画像形成が行われるときのみ「接触位置」に位置し、画像形成が行われないときには「離隔位置」に位置する。これにより、引き出しユニットU3(引き出し部材63X)の引き出し操作中など、画像形成が行われない際には、現像ローラ40Xと感光体ドラム1が接触しない状態とすることができる。従って、各部材の劣化を抑制し、長寿命化を図ることが可能である。
【0181】
また、本実施例においても、接離部材81を引き出し部材63Xに設ける構成を採用している。従って、上記各実施例の場合と同様に、装置の小型化を実現できる。
【符号の説明】
【0182】
1 感光体ドラム
4 現像ユニット
8 感光体ユニット
9 バネ
13 引き出し部材
40 現像ローラ
41 トナー容器
42 接離部材
42a ラック部
46 駆動ギア
50 感光体カートリッジ
60,60X 現像カートリッジ
61a,62a 力受け部
63,63X 引き出し部材
65,66,65X,66X 押圧部材
71b 力受け部
80 接離ユニット
81 接離部材
82 バネ
100 画像形成装置
P,Py,Pm,Pc,Pk プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体と、前記電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラに供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、を有するプロセスカートリッジと、
装置本体と、
前記プロセスカートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動可能な支持部材と、
を有する電子写真画像形成装置において、
前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるための接触位置と、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを離隔させるための離隔位置と、を取り得る接離部材が、前記支持部材に備えられていることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記接離部材は、前記接触位置と前記離隔位置との間で移動するための駆動力を受ける駆動力受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部材が前記外側位置に位置している際に、前記接離部材が前記離隔位置に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジは、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるために前記現像ローラを前記電子写真感光体側に向けて付勢する付勢部材を有しており、
前記支持部材が前記内側位置に位置する際に、前記接離部材が前記離隔位置から前記接触位置へ移動することにより、前記付勢部材が前記現像ローラを付勢して、該現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電子写真画像形成装置。
【請求項5】
電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラに供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、を有する現像カートリッジと、
装置本体と、
前記電子写真感光体を支持し、前記現像カートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動可能な支持部材と、
を有する電子写真画像形成装置において、
前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるための接触位置と、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを離隔させるための離隔位置と、を取り得る接離部材が、前記支持部材に備えられていることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項6】
前記接離部材は、前記接触位置と前記離隔位置との間で移動するための駆動力を受ける駆動力受け部を有することを特徴とする請求項5に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材が前記外側位置に位置している際に、前記接離部材が前記離隔位置に位置していることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体は、前記現像ローラと前記電子写真感光体とを接触させるために前記現像カートリッジを押圧する押圧部材を有しており、
前記支持部材が前記内側位置に位置する際に、前記押圧部材が前記現像カートリッジを押圧することにより、前記接離部材が前記離隔位置から前記接触位置へ移動して、前記現像ローラと前記電子写真感光体とが接触することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一つに記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2012−137798(P2012−137798A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97858(P2012−97858)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2009−27689(P2009−27689)の分割
【原出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】