説明

プロダン含有ヌクレオチド及びその利用

【課題】簡便かつ正確に核酸塩基を同定できるポリヌクレオチド誘導体を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物を塩基とするヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体。


(式中、Rは、置換ピリミジン環又は置換プリン環を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基配列中の特定部位のヌクレオチドの種類の決定に用いられるポリヌクレオチド誘導体、その中間体、プローブ、プライマー、ヌクレオチド同定試薬、核酸定量試薬、DNAチップ、ヌクレオチドの同定方法、及び核酸の定量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリダイゼーションを利用した核酸塩基決定は、プローブとしてのポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを、蛍光ラベルされた標的核酸とハイブリダイズさせ、その融解温度を測定することにより行っている。詳述すれば、プローブの所定位置の塩基が標的核酸の対応塩基と塩基対を形成する場合としない場合とで、2本鎖の融解温度が若干異なることを利用して、塩基の同定を行っている。
【0003】
しかし、この場合は、対合する塩基が塩基対を形成する場合としない場合との融解温度の差ができるだけ大きくなるような条件設定を、個々の標的核酸ごとに行う必要がある。また、塩基間の非特異的な吸着や塩基対形成の不安定性などによる検出エラーが生じ易い。さらに、標的核酸のラベル量を少なくせざるを得ない場合や、長時間の操作により蛍光が退色する場合には、検出誤差が大きくなる。
【0004】
また、標的核酸配列を検出するために蛍光ラベルしたプローブを用いることも提案されている(例えば、特許文献1(第4欄式(I)、第5欄第5-9行);特許文献2(請求項1、第15頁第11-19行);特許文献3(請求項1、段落0004、段落0005);及び特許文献4(請求項1、第2頁右下欄第5-8行))。しかし、この方法ではハイブリダイズした2本鎖と未反応の蛍光核酸プローブとを洗浄操作などで分離する工程が必要であり、この洗浄が不十分な場合、非特異的蛍光が残存して擬陽性を呈することがある。これらの蛍光プローブは常時発光しており、標的核酸と塩基対を形成することにより標的核酸を標識するものにすぎず、標的核酸中の特定塩基を同定することはできない。
【0005】
ここで、特許文献5(特許請求の範囲など)、及び特許文献6(特許請求の範囲など)は、1又は2以上のヌクレオチドが特定のヌクレオチド誘導体で置換されたポリヌクレオチド誘導体をプローブとして用いて標的核酸とのハイブリダイゼーションを行うことにより、標的核酸中の特定塩基を同定する方法を開示している。この方法は、標的核酸中の当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチドの種類によって蛍光が増大したり、消光したり、発光波長がシフトしたりすることを利用して、標的核酸中の特定塩基を同定する方法である。しかし、特許文献5及び6のポリヌクレオチド誘導体の発する蛍光の発光波長は380〜420nm程度であり、蛍光スペクトルの測定には、紫外近傍の短波長域の蛍光を測定できる特殊な機器を必要とする。
【特許文献1】特公平3-71437号公報(第4欄式(I)、第5欄第5-9行)
【特許文献2】特表平9-505556号公報(請求項1、第15頁第11-19行)
【特許文献3】特開平6-135991号公報(請求項1、段落0004、段落0005)
【特許文献4】特開昭62-059293号公報
【特許文献5】特開2004-166522号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献6】特開2004-168672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便かつ正確に核酸塩基の同定を行えるポリヌクレオチド誘導体、その中間体として使用できるヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体及び塩基化合物、プローブ、プライマー、ヌクレオチド同定試薬、核酸定量試薬、DNAチップ、標的核酸中のヌクレオチドの同定方法、及び核酸の定量方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 1又は2以上のヌクレオチドが以下の式
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R12は−H又は−OHを示す。)
で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体は蛍光を発する。このポリヌクレオチド誘導体をプローブとして用いて標的核酸とのハイブリダイゼーションを行うと、相補鎖中の当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチド中の塩基がアデニンの場合は、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルである場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が格段に高くなる。このポリヌクレオチド誘導体を使用すれば、標的核酸の所定位置の塩基を簡単かつ正確に同定できる。
(ii) 1又は2以上のヌクレオチドが以下の式
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R12は−H又は−OHを示す。)
で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体は蛍光を発する。このポリヌクレオチド誘導体をプローブとして用いて標的核酸とのハイブリダイゼーションを行うと、相補鎖中の当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチド中の塩基がチミンの場合は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルである場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が格段に高くなる。このポリヌクレオチド誘導体を使用すれば、標的核酸の所定位置の塩基を簡単かつ正確に同定できる。
(iii) 1又は2以上のヌクレオチドが以下の式
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R12は−H又は−OHを示す。)
で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体は蛍光を発する。このポリヌクレオチド誘導体をプローブとして用いて標的核酸とのハイブリダイゼーションを行うと、相補鎖中の当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチド中の塩基がグアニンの場合は、アデニン、シトシン、チミン、ウラシルである場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が格段に高くなる。このポリヌクレオチド誘導体を使用すれば、標的核酸の所定位置の塩基を簡単かつ正確に同定できる。
(iv) 1又は2以上のヌクレオチドが以下の式
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R12は−H又は−OHを示す。)
で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体は蛍光を発する。このポリヌクレオチド誘導体をプローブとして用いて標的核酸とのハイブリダイゼーションを行うと、相補鎖中の当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチド中の塩基がシトシンの場合は、アデニン、グアニン、チミン、ウラシルである場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が格段に高くなる。このポリヌクレオチド誘導体を使用すれば、標的核酸の所定位置の塩基を簡単かつ正確に同定できる。
(v) 1又は2以上のヌクレオチドが以下の式
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R12は−H又は−OHを示す。)
で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体を用いる場合も上記と同様の結果が得られる。
【0018】
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の化合物、ヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体等を提供する。
【0019】
項1. 以下の式(1)で表される化合物。
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、Rは、以下の式(2)で表される置換基、又は式(3)で表される置換基を示す。)
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、Rは、=O、又は−NHを示す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【0024】
【化8】

【0025】
(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。Rが=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
項2. 以下の式(4)で表される項1に記載の化合物。
【0026】
【化9】

【0027】
項3. 以下の式(5)で表される項1に記載の化合物。
【0028】
【化10】

【0029】
項4. 以下の式(6)で表される項1に記載の化合物。
【0030】
【化11】

【0031】
項5. 以下の式(7)で表される項1に記載の化合物。
【0032】
【化12】

【0033】
項6. 以下の式(8)で表される項1に記載の化合物。
【0034】
【化13】

【0035】
項7. 以下の式(9)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0036】
【化14】

【0037】
(式中、Rは、以下の式(10)で表される置換基、又は式(11)で表される置換基を示す。)
【0038】
【化15】

【0039】
(式中、Rは、=O、又は−NHを表す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【0040】
【化16】

【0041】
(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。R=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項8. 式(9)中のRが、以下の式(12)で表される置換基である項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0042】
【化17】

【0043】
(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項9. 式(9)中のRが、以下の式(13)で表される置換基である項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0044】
【化18】

【0045】
(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項10. 式(9)中のRが、以下の式(14)で表される置換基である項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0046】
【化19】

【0047】
(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項11. 式(9)中のRが、以下の式(15)で表される置換基である項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0048】
【化20】

【0049】
(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項12. 式(9)中のRが、以下の式(16)で表される置換基である項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【0050】
【化21】

【0051】
(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
項13. ポリヌクレオチドにおいて、1又は2以上のヌクレオチドが以下の式(17)で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体。
【0052】
【化22】

【0053】
(式中、R10は、以下の式(18)で表される置換基、又は式(19)で表される置換基を示す。)
【0054】
【化23】

【0055】
(式中、R11は、=O、又は−NHを表す。R12は−H、又は−OHを示す。R11が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【0056】
【化24】

【0057】
(式中、R13は、−OH、=O、又は−NHを示し、R13が−OH、又は−NHのときR14はHを示し、R13が=OのときR14は−NHを示す。R13=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R12は−H、又は−OHを示す。)
項14. 式(17)中のR10が、式(20)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体で置換されている項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【0058】
【化25】

【0059】
(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
項15. 式(17)中のR10が、以下の式(21)で表される置換基である項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【0060】
【化26】

【0061】
(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
項16. 式(17)中のR10が、以下の式(22)で表される置換基である項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【0062】
【化27】

【0063】
(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
項17. 式(17)中のR10が、以下の式(23)で表される置換基である項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【0064】
【化28】

【0065】
(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
項18. 式(17)中のR10が、以下の式(24)で表される置換基である項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【0066】
【化29】

【0067】
(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
項19. 以下の式(25)で表される化合物。
【0068】
【化30】

【0069】
(式中、R15は、以下の式(26)で表される置換基、又は式(27)で表される置換基を示す。)
【0070】
【化31】

【0071】
(式中、R16は、=O、又は−NHを示す。R16が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【0072】
【化32】

【0073】
(式中、R18は、−OH、=O、又は−NHを示し、R18が−OH、又は−NHのときR19はHを示し、R18が=OのときR19は−NHを示す。R18=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項20. 式(25)中のR15が、以下の式(28)で表される置換基である項19に記載の化合物。
【0074】
【化33】

【0075】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項21. 式(25)中のR15が、以下の式(29)で表される置換基である項19に記載の化合物。
【0076】
【化34】

【0077】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項22. 式(25)中のR15が、以下の式(30)で表される置換基である項19に記載の化合物。
【0078】
【化35】

【0079】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項23. 式(25)中のR15が、以下の式(31)で表される置換基である項19に記載の化合物。
【0080】
【化36】

【0081】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項24. 式(25)中のR15が、以下の式(32)で表される置換基である項19に記載の化合物。
【0082】
【化37】

【0083】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項25. 以下の式(33)で表される化合物。
【0084】
【化38】

【0085】
(式中、R20は、以下の式(34)で表される置換基、又は式(35)で表される置換基を示す。)
【0086】
【化39】

【0087】
(式中、R21は、=O、又は−NHを示す。R21が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【0088】
【化40】

【0089】
(式中、R23は、−OH、=O、又は−NHを示し、R23が−OH、又は−NHのときR24はHを示し、R23が=OのときR24は−NHを示す。R23=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項26. 式(33)中のR20が、以下の式(36)で表される置換基である項25に記載の化合物。
【0090】
【化41】

【0091】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項27. 式(33)中のR20が、以下の式(37)で表される置換基である項25に記載の化合物。
【0092】
【化42】

【0093】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項28. 式(33)中のR20が、以下の式(38)で表される置換基である項25に記載の化合物。
【0094】
【化43】

【0095】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項29. 式(33)中のR20が、以下の式(39)で表される置換基である項25に記載の化合物。
【0096】
【化44】

【0097】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項30. 式(33)中のR20が、以下の式(40)で表される置換基である項25に記載の化合物。
【0098】
【化45】

【0099】
(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
項31. 項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブ。
【0100】
項32. 項31のプローブを含むヌクレオチド同定試薬。
【0101】
項33. 項31のプローブを含む核酸定量試薬。
【0102】
項34. 基体上に1又は複数の項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体が固定又は吸着されたDNAチップ。
【0103】
項35. 項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;
ハイブリダイズ産物の蛍光スペクトルを測定する工程と;
この蛍光スペクトルを、ハイブリダイズ前の上記ポリヌクレオチド誘導体の蛍光スペクトルと比較することにより、標的核酸の特定位置のヌクレオチドの種類を同定する工程と
を含む標的核酸中のヌクレオチドの同定方法。
【0104】
項36. 項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプライマー。
【0105】
項37. 項36のプライマーを含む核酸定量試薬。
【0106】
項38. 項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;
ハイブリダイズ産物の蛍光強度を測定する工程と;
この蛍光強度を、濃度既知の標的核酸と上記ポリヌクレオチド誘導体とのハイブリダイズ産物の蛍光強度と比較することにより、標的核酸の濃度を求める工程と
を含む試料中の標的核酸の定量方法。
【発明の効果】
【0107】
本発明によれば、簡便かつ正確に核酸塩基の同定を行えるポリヌクレオチド誘導体、その中間体として使用できるヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体及び塩基化合物が提供された。
【0108】
さらにいえば、本発明のヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体は、標的核酸とハイブリダイズさせると、標的核酸における当該ヌクレオチド誘導体と対合するヌクレオチドの塩基が特定のものである場合には他のヌクレオチドである場合に比べて蛍光強度が非常に高くなる。これを利用して標的核酸中の塩基の同定を行うことができる。
【0109】
また、本発明のポリヌクレオチド誘導体が標的核酸と結合して発する蛍光は、常法に従い300〜650nm程度、特に450〜650nm程度の波長域で測定すればよく、通常490~550nm付近にピークを有する発光スペクトルを示す。従って、紫外光を検出できる特殊な機器を使用する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0110】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明の化合物
<塩基化合物>
本発明の塩基化合物は、文献未記載の新規化合物であり、以下の式(1)で表される。
【0111】
【化46】

【0112】
(式中、Rは、以下の式(2)で表される置換基、又は式(3)で表される置換基を示す。)
【0113】
【化47】

【0114】
(式中、Rは、=O、又は−NHを示す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【0115】
【化48】

【0116】
(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。R=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
式(1)で表される化合物には、以下の5つの化合物が含まれる。式(4)の化合物はウラシル誘導体であり、式(5)の化合物はシトシン誘導体であり、式(6)の化合物はアデニン誘導体であり、式(7)の化合物はグアニン誘導体であり、式(8)の化合物はヒポキサンチン誘導体である。
【0117】
【化49】

【0118】
【化50】

【0119】
【化51】

【0120】
【化52】

【0121】
【化53】

【0122】
<ヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体>
本発明のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体は、文献未記載の新規化合物であって、以下の式(9)で表される化合物である。
【0123】
【化54】

【0124】
(式中、Rは、以下の式(10)で表される置換基、又は式(11)で表される置換基を示す。)
【0125】
【化55】

【0126】
(式中、Rは、=O、又は−NHを表す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【0127】
【化56】

【0128】
(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。R=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
式(9)で表される化合物には、式(9)中のRが以下の式(12)〜(16)で表される各置換基であるヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体が含まれる。式(12)〜(16)において、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。
【0129】
【化57】

【0130】
【化58】

【0131】
【化59】

【0132】
【化60】

【0133】
【化61】

【0134】
が水素原子である場合には、上記化合物はデオキシリボヌクレオシド又はデオキシリボヌクレオチド誘導体であり、Rが水酸基である場合には、上記化合物はリボヌクレオシド又はリボヌクレオチド誘導体である。
【0135】
また、nが0である場合すなわちリン酸基が存在しない場合には、上記化合物はヌクレオシド誘導体であり、nが1、2又は3である場合には、上記化合物はヌクレオチド誘導体である。
<ポリヌクレオチド誘導体>
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、ポリヌクレオチドにおいて、1又は2以上のヌクレオチドが以下の式(17)で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体である。
【0136】
【化62】

【0137】
(式中、R10は、以下の式(18)で表される置換基、又は式(19)で表される置換基を示す。)
【0138】
【化63】

【0139】
(式中、R11は、=O、又は−NHを表す。R11が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R12は−H、又は−OHを示す。)
【0140】
【化64】

【0141】
(式中、R13は、−OH、=O、又は−NHを示し、R13が−OH、又は−NHのときR14はHを示し、R13が=OのときR14は−NHを示す。R13=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R12は−H、又は−OHを示す。)
式(17)で表されるヌクレオチド誘導体には、式(17)中のR10が以下の式(20)〜(24)で表される各置換基であるヌクレオチド誘導体が含まれる。式(20)〜(24)において、R12は−H、又は−OHを示す。
【0142】
【化65】

【0143】
【化66】

【0144】
【化67】

【0145】
【化68】

【0146】
【化69】

【0147】
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、DNAであってもよくRNAであってもよい。
【0148】
本発明のポリヌクレオチド誘導体のヌクレオチド数は特に限定されないが、例えば、10〜100個程度、好ましくは15〜30個程度のヌクレオチドからなるものが挙げられる。このように、本発明のポリヌクレオチドにはオリゴヌクレオチドも含まれる。
【0149】
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、全体のヌクレオチド数により異なるが、上記本発明のヌクレオチド誘導体を1〜20個程度まで有していてよい。より好ましくは1〜5個程度までである。上記の範囲であれば、塩基間相互作用により蛍光スペクトルが変化してピーク波長が移動してしまうということがない。
<ポリヌクレオチド誘導体の製造中間体>
本発明のポリヌクレオチド誘導体の第1の中間体(トリチル体)は、文献未記載の新規化合物であり、以下の式(25)で表される。
【0150】
【化70】

【0151】
(式中、R15は、以下の式(26)で表される置換基、又は式(27)で表される置換基を示す。)
【0152】
【化71】

【0153】
(式中、R16は、=O、又は−NHを示す。R16が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【0154】
【化72】

【0155】
(式中、R18は、−OH、=O、又は−NHを示し、R18が−OH、又は−NHのときR19はHを示し、R18が=OのときR19は−NHを示す。R18=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
式(25)で表される化合物には、式(25)中のR15が以下の式(28)〜(32)で表される各置換基である化合物が含まれる。式(28)〜(32)において、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。
【0156】
【化73】

【0157】
【化74】

【0158】
【化75】

【0159】
【化76】

【0160】
【化77】

【0161】
本発明のポリヌクレオチド誘導体の第2の中間体(アミダイト体)は、文献未記載の新規化合物であり、以下の式(33)で表される。
【0162】
【化78】

【0163】
(式中、R20は、以下の式(34)で表される置換基、又は式(35)で表される置換基を示す。)
【0164】
【化79】

【0165】
(式中、R21は、=O、又は−NHを示す。R21が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【0166】
【化80】

【0167】
(式中、R23は、−OH、=O、又は−NHを示し、R23が−OH、又は−NHのときR24はHを示し、R23が=OのときR24は−NHを示す。R23が=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
式(33)で表される化合物には、式(33)中のR20が以下の式(36)〜(40)で表される置換基である各化合物が含まれる。式(36)〜(40)において、R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。
【0168】
【化81】

【0169】
【化82】

【0170】
【化83】

【0171】
【化84】

【0172】
【化85】

【0173】
式(33)の化合物は、フォスフォロアミダイト法によりポリヌクレオチド誘導体を合成する際の原料となるヌクレオシド誘導体である。また、式(25)の化合物は、式(33)の化合物の合成の中間体である。
化合物の製造方法
<塩基化合物>
式(4)で表される塩基化合物(ウラシル誘導体)は、実施例の化合物(8)〜(12)の配糖体のN-グリコシド結合を酸加水分解することにより得られる。
【0174】
式(5)で表される塩基化合物(シトシン誘導体)は、実施例の化合物(39)〜(41)の配糖体のN-グリコシド結合を酸加水分解するとともに、アミノ基の保護基をアリカリ処理により脱離させることにより得られる。
【0175】
式(6)で表される塩基化合物(アデニン誘導体)は、実施例の化合物(21)〜(24)の配糖体のN-グリコシド結合を酸加水分解するとともに、アミノ基の保護基をアリカリ処理により脱離させることにより得られる。
【0176】
式(7)で表される塩基化合物(グアニン誘導体)は、実施例の化合物(31)〜(34)の配糖体のN-グリコシド結合を酸加水分解するとともに、アミノ基の保護基をアリカリ処理により脱離させることにより得られる。
【0177】
また、式(8)で表される塩基化合物(イノシン誘導体)も同様にして得ることができる。
<ヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体>
式(9)で表される化合物中のRが上記式(12)で表される置換基であるヌクレオシド誘導体(ウリジン誘導体)は、例えば、以下の方法で合成できる。先ず、常法により得られた6-(N,N-ジメチルアミノ)ナフタレン-2-カルボキシアルデヒドに対しトリメチルシリルアセチレンを作用させることによりアルコール体を得る。次いでアセチレン末端のケイ素を除去した後、ケイ素保護された5-ヨードデオキシウリジンとのパラジウムカップリングによりヌクレオシドに導入する。接触水素還元反応によって三重結合を単結合まで還元した後、アルコールをケトンへ酸化する。最後にケイ素保護基を除くことによって、Rが式(12)で表される置換基である式(9)のヌクレオシド誘導体が得られる。
【0178】
式(9)で表される化合物中のRが式(14)で表される置換基であるヌクレオシド誘導体(アデノシン誘導体)は、例えば以下の方法で合成できる。先ず、常法により得られた6-(N,N-ジメチルアミノ)ナフタレン-2-カルボキシアルデヒドに対しトリメチルシリルアセチレンを作用させることによりアルコール体を得る。次いでアセチレン末端のケイ素を除去した後、ケイ素保護された8-ブロモデオキシアデノシンとのパラジウムカップリングによりヌクレオシドに導入する。接触水素還元反応によって三重結合を単結合まで還元した後、アルコールをケトンへ酸化する。最後にケイ素保護基を除くことによって、Rが式(14)で表される置換基である式(9)のヌクレオシド誘導体が得られる。
【0179】
ヌクレオチド誘導体は対応するヌクレオシド誘導体から常法により得ることができる。すなわち、POCl3及びリン酸トリメチルを添加することにより、ヌクレオチド(n=1)が得られる。さらに、ピロリン酸トリブチルアンモニウム塩を添加することにより、三リン酸体が得られる。
<ポリヌクレオチド合成の中間体>
式(25)中のR15が式(28)、(29)、(30)、又は(31)で表される置換基である各ヌクレオシド誘導体のトリチル体、並びに式(33)中のR20が式(36)、(37)、(38)、又は(39)で表される置換基である各ヌクレオシド誘導体のアミダイト体は、それぞれ実施例に記載の方法で製造できる。
【0180】
また、式(25)中のR15が式(32)で表される置換基であるヌクレオシド誘導体のトリチル体、及び式(33)中のR20が式(40)で表される置換基であるヌクレオシド誘導体のアミダイト体も、同様にして製造することができる。
<ポリヌクレオチド誘導体>
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、例えば核酸自動合成機を用いたフォスフォロアミダイト法による化学合成方法において、特定部位のヌクレオシドのアミダイト体に代えて、式(33)中のR20が式(36)〜式(40)で表される各置換基であるヌクレオシド誘導体のアミダイト体を用いることにより合成できる。
用途
本発明の塩基化合物(式(1)の化合物)、ヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体(式(9)の化合物)、ポリヌクレオチド誘導体の合成中間体(式(25)の化合物・式(33)の化合物)は、本発明のポリヌクレオチド誘導体(式(17)の化合物を含むポリヌクレオチド誘導体)の合成に供することができる。
【0181】
本発明の塩基化合物及びヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体は蛍光を発するところ、これを含む本発明のポリヌクレオチド誘導体は、標的核酸とハイブリダイズさせると、このポリヌクレオチド誘導体に対合するヌクレオチドの塩基が、特定塩基である場合には、その他の塩基である場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が著しく高い。
【0182】
例えば、式(17)中のR10が式(20)(ウラシル誘導体)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体は標的核酸とハイブリダイズさせると、このポリヌクレオチド誘導体に対合するヌクレオチドの塩基がアデニンである場合には、その他の塩基である場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が著しく高い。
【0183】
また、式(17)中のR10が式(21)(シトシン誘導体)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体は標的核酸とハイブリダイズさせると、このポリヌクレオチド誘導体に対合するヌクレオチドの塩基がグアニンである場合には、その他の塩基である場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が著しく高い。
【0184】
また、式(17)中のR10が式(22)(アデニン誘導体)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体は標的核酸とハイブリダイズさせると、このポリヌクレオチド誘導体に対合するヌクレオチドの塩基がチミンである場合には、その他の塩基である場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が著しく高い。
【0185】
また、式(17)中のR10が式(23)(グアニン誘導体)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチド誘導体は標的核酸とハイブリダイズさせると、このポリヌクレオチド誘導体に対合するヌクレオチドの塩基がシトシンである場合には、その他の塩基である場合に比べて、490~550nmにおける蛍光強度が著しく高い。
【0186】
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、この現象を利用して以下の用途に使用できる。
(i) 標的核酸と相補的なポリヌクレオチド誘導体は、プローブとして用いることにより、標的核酸の特定位置のヌクレオチドの種類を決定できる。標的核酸としては、ヒトを始めとする動物、植物、ウィルス、細菌、真菌などのDNA及びRNAが対象となる。同様の原理で、1塩基多型の検出に利用できる。
(ii) DNAチップにおいて、ポリヌクレオチドに代えて基板上に固定ないしは吸着させることにより、特定核酸配列を有するか否かを確認できる。特に、標的核酸の特定位置のヌクレオチドの種類を決定できる。
(iii) 本発明のヌクレオチド誘導体と対合して強い蛍光発光を引き起こすような特定種類のヌクレオチドを含む標的核酸に対して、その特定ヌクレオチドと対合する位置に本発明のヌクレオチド誘導体が位置するような相補的ポリヌクレオチド誘導体をハイブリダイズさせると、標的核酸量に比例して蛍光強度が強くなる。この現象を利用して、標的核酸の定量を行える。
【0187】
例えば、リアルタイムPCRやリアルタイム1本鎖DNA増幅(Single Strand DNA Amplification(SSDA))において、増幅する標的核酸と相補的なポリヌクレオチド誘導体をプローブとして使用することにより、リアルタイムにDNAの増幅をモニターできる。DNA増幅速度は増幅前のDNA量に比例するため、これによりDNAを定量することができる。
【0188】
また、PCRにおいて、本発明のポリヌクレオチド誘導体をプライマーとして使用することによっても、リアルタイムにDNAの増幅をモニターできる。鋳型配列が存在する状態でPCR増幅が行われることにより、本発明のポリヌクレオチド誘導体からなるプライマーを含む2本鎖核酸増幅産物が合成される。DNAポリメラーゼによる相補鎖合成の際に、本発明のヌクレオチド誘導体を対合する位置には相補的な塩基が挿入されることにより完全相補な2本鎖核酸配列が形成され、蛍光強度が増大する。
(iv) それ自体蛍光を発するため、核酸の蛍光ラベルに使用できる。
(v) 本発明のポリヌクレオチドは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)に供される蛍光性プローブとして利用できる。
プローブ
前述したように、本発明のポリヌクレオチド誘導体は、プローブとして使用して試料中に含まれる標的核酸の特定位置の塩基の種類を決定できる。即ち、このプローブはヌクレオチド同定試薬として使用できる。
【0189】
プローブとして使用する場合は、試料の種類によって異なるが、ヌクレオチド数は例えば4〜100個程度、好ましくは10〜30個程度とすることができる。
【0190】
試料が細胞抽出液等のヌクレアーゼを含むものである場合には、ヌクレアーゼにより切断され難いように、ホスホロチオエートDNA、H-ホスホネートDNA、2'-O-メチルRNA、又はホスホロチオエートRNA等の修飾核酸であってもよい。
【0191】
ハイブリダイズに際しては、標的核酸を含む試料に対して本発明のポリヌクレオチド誘導体を1nM〜1mM程度、特に100nM〜50μM程度添加することが好ましい。また、ハイブリダイズ条件はポリヌクレオチドの長さによっても異なるが、例えば0〜60℃程度、特に15〜40℃程度の温度で、例えば5〜60分間程度、特に5〜10分間程度行うことができる。また、ハイブリダイズさせる試料は、例えばpH5.5〜8.0程度、特にpH 6.5〜8.0程度に調整すればよい。
【0192】
また、試料から抽出及び精製された標的核酸と本発明のポリヌクレオチド誘導体とをハイブリダイズさせる場合には、ポリヌクレオチドの長さによって異なるが、例えば室温(25℃程度)〜50℃程度、10〜48時間程度、2〜6×SSC程度の条件とすることができる。
【0193】
また、本発明のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを後述する核酸増幅方法と組み合わせることにより、試料中の核酸を定量することができる。即ち、このプローブは核酸定量試薬としても使用できる。
DNAチップ
本発明のDNAチップ(又はDNAアレイ)は、基体上に本発明のポリヌクレオチド誘導体が固定又は吸着されたものである。固定には共有結合などによる結合も含まれる。
【0194】
基体上へのDNAのスポット径は特に限定されないが、例えば50〜200μm程度とすることができる。またスポットピッチは特に限定されないが、例えば100〜500μm程度とすることができる。
【0195】
基体の材料は特に限定されず、例えばガラス、シリカ、金等を用いることができる。また、基体の形状は、板状(基板状)、ビーズ状等のどのような形状のものであってもよい。
【0196】
基体上に本発明のポリヌクレオチド誘導体を結合する場合には、本発明のポリヌクレオチド誘導体の一端を、例えば金属−硫黄結合などの方法を使用して、基体に結合させることができる。
【0197】
DNAチップに固定等される本発明のポリヌクレオチド誘導体のヌクレオチド数は、試料の種類によって異なるが、例えば10〜200個程度、好ましくは50〜100個程度とすることができる。
【0198】
試料が細胞抽出液等のヌクレアーゼを含むものである場合には、本発明のポリヌクレオチド誘導体は、ヌクレアーゼにより切断され難いように、ホスホロチオエートDNA、H-ホスホネートDNA、2'-O-メチルRNA、又はホスホロチオエートRNA等の修飾核酸であってもよい。
【0199】
ハイブリダイズに際しては、基体に固定された本発明のポリヌクレオチド誘導体に対して、試料を例えば0.1μM〜100μM程度、特に1μM〜10μM程度添加することができる。また、ハイブリダイズ条件はポリヌクレオチド誘導体の種類によって異なるが、例えば0〜60℃程度、特に20〜40℃程度の温度で、例えば1〜30分間程度、特に1〜5分間程度とすることができる。また、ハイブリダイズさせる試料は例えばpH5.5〜8程度、特にpH 6.5〜8程度に調整しておくことが好ましい。
【0200】
また、試料から抽出及び精製された標的核酸を用いる場合には、標的核酸を例えば2〜6×SSC程度のハイブリダイズ溶液に溶解させたものを本発明のDNAチップに作用させるのが好ましい。温度、時間条件については、未精製の標的核酸を用いる場合と同様である。
ヌクレオチドの同定方法
本発明のヌクレオチドの同定方法は、上記説明した本発明のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;
ハイブリダイズ産物の蛍光スペクトルを測定する工程と;
この蛍光スペクトルを、ハイブリダイズ前の上記ポリヌクレオチド誘導体の蛍光スペクトルと比較することにより、標的核酸の特定位置のヌクレオチドの種類を同定する工程とを含む方法である。
【0201】
試料は、核酸を含むものであればよく、細胞抽出液、血液のような体液、PCR産物、オリゴヌクレオチド等が挙げられる。
【0202】
ハイブリダイズ条件は、プローブ又はDNAチップについて説明した通りである。
【0203】
蛍光スペクトルは、常法に従い、300〜650nm程度、特に450〜650nm程度の波長域で測定すればよい。通常514nm近傍に発光ピークが観察される。ハイブリダイズ前のポリヌクレオチド誘導体の蛍光スペクトル測定と、ハイブリダイズ産物の蛍光スペクトル測定とは、同じ媒体に溶解又は懸濁させた状態で行うことが好ましい。通常はハイブリダイゼーション溶液に溶解又は懸濁させた状態で測定すればよい。
【0204】
式(17)中のR10が式(20)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(ウラシル誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がDNAである場合は、標的核酸とハイブリダイズさせることにより、1本鎖の場合に比べて、ピーク波長近傍での蛍光強度が例えば2倍以上、好ましくは3倍以上になれば、対合するヌクレオチドの有する塩基がアデニンであると判定することができる。
【0205】
また、標的核酸がRNAである場合は、標的核酸とハイブリダイズさせることにより、1本鎖の場合に比べて、ピーク波長近傍での蛍光強度が例えば2倍以上、好ましくは3倍以上になれば、対合するヌクレオチドの有する塩基がアデニンであると判定することができる。
【0206】
式(17)中のR10が式(21)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(シトシン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がDNAである場合は、標的核酸とハイブリダイズさせることにより、1本鎖の場合に比べて、ピーク波長近傍での蛍光強度が例えば1.2倍以上、好ましくは2倍以上になれば、対合するヌクレオチドの有する塩基がグアニンであると判定することができる。
【0207】
式(17)中のR10が式(21)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(シトシン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がRNAである場合も、標的核酸がDNAであるときと同様の結果が得られる。
【0208】
式(17)中のR10が式(22)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(アデニン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がDNAである場合は、標的核酸とハイブリダイズさせることにより、1本鎖の場合に比べて、ピーク波長近傍での蛍光強度が例えば2倍以上、好ましくは3倍以上になれば、対合するヌクレオチドの有する塩基がチミンであると判定することができる。
【0209】
式(17)中のR10が式(22)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(アデニン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がRNAである場合も、標的核酸がDNAであるときと同様の結果が得られる。
【0210】
式(17)中のR10が式(23)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(グアニン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がDNAである場合は、標的核酸とハイブリダイズさせることにより、1本鎖の場合に比べて、ピーク波長近傍での蛍光強度が例えば1.2倍以上、好ましくは2倍以上になれば、対合するヌクレオチドの有する塩基がシトシンであると判定することができる。
【0211】
式(17)中のR10が式(23)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体(グアニン誘導体)を含むポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを用いるとき、標的核酸がRNAである場合も、標的核酸がDNAであるときと同様の結果が得られる。
標的核酸の定量方法
本発明の試料中の標的核酸の定量方法は、上記説明した本発明のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;ハイブリダイズ産物の蛍光強度を測定する工程と;この蛍光強度を、濃度既知の標的核酸と上記ポリヌクレオチド誘導体とのハイブリダイズ産物の蛍光強度と比較することにより、標的核酸の濃度を求める工程とを含む方法である。
【0212】
蛍光の測定波長は、特に限定されないが、ピーク波長近傍とすればよい。
【0213】
例えば、リアルタイムPCRにおいて、本発明のポリヌクレオチド誘導体を蛍光プローブとして使用することにより、DNA増幅量をリアルタイムにモニターすることができる。詳述すれば、上記定量方法において、標的核酸を増幅したDNAのうちの一方とし、これに対して本発明のポリヌクレオチドをプローブとして用いてハイブリダイズさせればよい。増幅前のDNA量が多いほど少ないサイクル数で高い蛍光強度が得られるため、これによりDNAを定量することができる。即ち、蛍光強度の増加速度は、増幅前のDNA量に比例するため、これによりDNAを定量することができる。
【0214】
また、例えばリアルタイムSSDAにおいて、標的核酸を増幅する一方のDNA鎖とし、これに対して本発明のポリヌクレオオチド誘導体をプローブとして用いてハイブリダイズさせればよい。この場合も、増幅前のDNA量が多いほど少ないサイクル数で高い蛍光強度が得られるため、これによりDNAを定量することができる。
【0215】
PCR又はSSDAによるDNAの定量において、本発明のポリヌクレオチド誘導体は、ヌクレオチド誘導体がウラシル誘導体含有ヌクレオチドである場合はそれに対合する塩基がアデニンになるように、プローブを設計すればよい。また、ヌクレオチド誘導体がアデニン誘導体含有ヌクレオチドである場合はそれに対合する塩基がチミンになるように、プローブを設計すればよい。
【0216】
また、本発明のポリヌクレオチド誘導体をプライマーとして使用する場合もDNA増幅量をリアルタイムにモニターすることができ、プローブを用いた場合と同様にDNAを定量することができる。

実施例
以下、本発明を実施例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0217】
以下の実施例において、1H及び13C NMRスペクトルはVarian Mercury400(400MHz)スペクトロメーター及びJEOL JMN α-500(500MHz)スペクトロメーターを用いて測定した。カップリング定数(J値)はヘルツ(hertz)で表す。 ケミカルシフトは、残存するクロロフォルム(1H NMRにおいてδ=7.26,13C NMRにおいてδ=77.0)、残存するメタノール(1H NMRにおいてδ=3.30,13C NMRにおいてδ=49.0)、及び残存するジメチルスルフォキシド(1H NMRにおいてδ=2.48,13C NMRにおいてδ=39.5)を内部標準として用いて、テトラメチルシランからppm下流に表す。
【0218】
EIマススペクトルは、JEOL JMS DX-300スペクトロメーター、又は JEOL JMS SX-102Aスペクトロメーターを用いて記録した。FABマススペクトルは、JEOL JMS DX-300スペクトロメーター、 JEOL JMS HX-110Aスペクトロメーターを用いて記録した。
【0219】
シリカゲルクロマトグラフィーにはWakogel C-200を用いた。モニタリング反応には、Pre-coated TLC plates Merck silica gel 60 F254を用いた。TLCスポットはUV光又はアニサルデヒド(9.0 mL p-アニサルデヒド、3.5 mL酢酸、及び10 mL硫酸の330 mLエタノール溶液)を用いて可視化した。全ての試薬及び溶液は受け取ったままで使用した。蛍光スペクトルは、SHIMADZU RF-5300PC分光蛍光光度計を用いて測定した。
【0220】
仔牛腸アルカリフォスファターゼ(AP)(100 units/mL)、ヘビ毒フォスフォジエステラーゼ(sv PDE) (3 units/mL) 、及びヌクレアーゼP1 (P1)はBoehringer Mannheimから購入した。オリゴデオキシヌクレオチドはSawady Technologyから購入した。DNAシンセサイザーのための試薬であるA, G, C, T-b-シアノエチルフォスフォルアミド、及びCPGサポートはApplied Biosystem又はGLEN RESEARCHから購入した。Ultrospec 3000pro UV/可視分光光度計(Amarsham Pharmacia Biotec)を吸収スペクトル測定に用いた。
【0221】
オリゴヌクレオチドの質量はMALDI-TOF MS (acceleration voltage 21 kV, negative mode) を用いて、2', 3', 4'-トリヒドロキシアセトフェノンをマトリクスとして用い、内部標準としてT8 mer ([M - H]- 2370.61) 及び T17 mer ([M -H]-5108.37) を用いて行った。

実施例1(PRODAN dU含有ヌクレオシド誘導体の合成)
図1を参照して本発明の1実施態様であるPRODAN dU含有デオキシリボヌクレオシド誘導体の合成方法を説明する。
<糖部分の調製>
2-デオキシ-D-リボース(3.0g、22.4mmol)を0.1%メタノール/HCl(60ml)中に溶解させ、20分間撹拌することによりメチルグリコシドを得た。炭酸銀(0.88g、3.19ml)を添加して溶液を中性に調整し、濾過し濃縮して、シロップを得た。残存するメタノールをピリジンとともに2回留去させることにより除去した。残存物を無水ピリジン中に溶解し、0℃で冷却し、p-トルオイルクロリド(7.50g、48.5mmol)を滴下した。滴下完了後、混合物を50℃で2時間加熱し、室温で終夜撹拌した。水(100ml)を添加し、混合物をエーテル(200ml)を用いて抽出した。エーテル相を水、希塩酸(5%)及び飽和NaHCO3溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、留去により粘稠なシロップを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーWakogel C-200(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)により白色粉末として純粋な1α/β-O-メチル-2-デオキシ-D-リボフラノシルビス(p-トルエート)を得た(図1化合物(a))。
【0222】
化合物(a)(11.8g、30.7mmol)の溶液に酢酸中の1M塩酸溶液(110ml)を添加した。室温下で、この溶液にガス状HClを通し、約10分後に溶液中に塩化物が結晶化した。白色結晶を濾過により集め、ヘキサンで洗浄し、真空デシケーター中で水酸化カリウム上で乾燥させ、9.0gの純粋な1α-クロロ-2-デオキシ-D-リボフラノシルビス(p-トルエート)を得た(図1化合物(b))。
<核酸塩基誘導体部分の導入>
次に、図2を参照して、糖への核酸塩基誘導体の導入を説明する。
化合物(2)(6-ジメチルアミノ-2-ナフトール酸の合成)
6-アミノ-2-ナフトエ酸(1)(シグマアルドリッチジャパン社)(90%、3.00g、14.4mmol)メタノール溶液(120ml)に、シアノトリヒドロボレートナトリウム(3.63g、57.7mmol)及びフォルムアルデヒド水溶液(37%、24ml)を添加し、反応混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣を水及びクロロフォルムで抽出した。水層を塩酸を用いてpH=1に調整したところ、黄土色固体を得た。これをクロロフォルムを用いて抽出した。有機層を塩水で洗浄しNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させ、黄土色固体の化合物(2)(3.23g)を得た。
【0223】
得られた化合物について行った1H-NMR(DMSO-d6)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ12.63(brs,1H) ,8.36(d,1H,J=1.5Hz) ,7.88(d,1H,J=9.2Hz) ,7.78(dd,1H,J=1.8,8.6Hz) ,7.66(d,1H,J=9.0Hz),7.26(dd,1H,J=2.6,9.2Hz) ,6.94(d,1H,J=2.6Hz),3.04(s,6H)。
【0224】
低解像度MS(EI)の結果は、m/z215[M+]であった。高解像度MS(EI)の結果は、実測値215.0946であり、 C13H13O2Nの計算値215.0946 [M+]に相当した。
化合物(3)(6-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシメチルナフタレン)の合成
次いで、化合物(2)(1.37g,6.35mmol)のTHF溶液(50ml)に、ボラン-THF複合体(1M,25ml)を0℃において添加した。この混合物を室温下で1.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、反応混合物を0.1NのNaOHで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させ、黄色固体の化合物(3)(1.22g、6.08mmol、96%)を得た。
【0225】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ7.70-7.65(M,3H),7.38(dd,1H,J=1.9,8.3Hz),7.17(dd,1H,J=2.6,9.0Hz),6.94(s,1H)、4.77(s,2H),3.05(s,6H),1.79(brs,1H)。13C-NMR(CD3OD)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ149.8,136.4,135.8,129.7,128.5,127.6,126.9,126.4,117.9,108.3,65.6,41.4。
【0226】
低解像度MS(EI)の結果は、m/z201[M+]であった。高解像度MS(EI)の結果は、実測値201.1153であり、C13H15ONの計算値 [M+]201.1154に相当した。
化合物(4)(6-ジメチルアミノ-2-ナフトアルデヒド(DAN))の合成
化合物(3)(654mg、3.25mmol)のジクロロメタン溶液(10ml)に、フレーム乾燥した4Åの分子篩(650mg)を添加し、次いで4-メチルモルフォリンN-オキサイド(571mg,4.88mmol)及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(228mg、0.65mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で4時間攪拌した。反応完了後、混合物をジエチルエーテル(20ml)で希釈し、ケイ酸マグネシウム(商品名フロリジル(フロリジン社))(150-250μm、60-100メッシュ、1.5g)を溶液に添加し、室温で15分間攪拌した。この混合物をセライトでろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。ろ液と洗浄液とを合わせて減圧下で蒸発させた。残渣をNa2SO3水溶液及び酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーWakogel C-200(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により精製し、薄黄色固体の化合物(4)(471mg、2.36mmol、73%)を得た。
【0227】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ10.00(s,1H),8.15(s,1H),7.84-7.82(m ,2H),7.66(d,1H,J=8.6Hz),7.18(dd,1H,J=2.6,9.2Hz),6.89(d,J=2.6Hz,1H),3.13(s,6H)。13C-NMR(CD Cl3)の結果以下の位置にピークが検出された。δ191.8,150.6,138.6,134.8,130.7,130.6,126.8,125.0,123.5,116.2,105.5,40.4。
【0228】
低解像度MS(EI)の結果は、m/z199[M+]であった。高解像度MS(EI)の結果は、実測値199.0998であり、C13H13ONの計算値 [M+]199.0997に相当した。
化合物(5)(6-ジメチルアミノ-2-(3-トリメチルシラニル-1-ヒドロキシプロピル)ナフタレン)の合成
トリメチルシリルアセチレン(0.242ml,1.71mmol)のTHF溶液(2ml)に、1.6Mのn-ブチルリチウム(1.03ml,1.65mmol)を-78℃下で添加し、室温下で30分間攪拌した。この混合物を化合物(4)(273mg,1.37mmol)のTHF溶液(3ml)に-78℃下で添加して0℃で30分間攪拌した。0℃で塩化アンモニウムを添加することにより反応を抑え、白色固体を得た。混合物を減圧下で蒸発させた。反応混合物を塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させた。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーWakogel C-200(ヘキサン:酢酸エチル=20-8:1)により精製し、黄色固体の化合物(5)(341mg、1.15mmol、88%)を得た。
【0229】
1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ7.80(s,1H),7.69-7.64(m,2H),7.52(dd,1H,J=1.7,8.5Hz),7.15(dd,1H,J=2.5,9.1Hz),6.91(s,1H),3.03(s,6H),2.33(brs,1H),0.21(s,9H)。13C-NMR(CDCl3)の結果以下の位置にピークが検出された。δ148.9,134.8,133.9,129.0,126.8,126.3,125.4,125.1,116.6,106.4,105.3,91.4,65.3,40.9,-0.1。
【0230】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e297[M+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値297.1550であり、C18H23ONSiの計算値[M+]297.1549に相当した。
化合物(6)(6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロピル)ナフタレン)の合成
化合物(5)(341g,1.15mmol)と0.1Mナトリウムメトキシド(11.5ml)との混合物を室温下で1時間攪拌した。反応を1M塩酸で抑えた後、減圧下で混合物を蒸発させた。反応混合物を水及び酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させて黄色の粘稠な液体である化合物(6)(278mg)を得た。
【0231】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ7.84(s,1H)、7.73-7.67(m,2H)、7.54(dd,1H,J=1.7,8.5Hz),7.18(dd,1H,J=2.5,9.1Hz),6.92(s,1H),5.57(s,1H),3.06(s,6H),2.71(d,1H,J=2.2Hz),2.25(brs,1H)。13C-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ149.0,134.9,133.5,129.0,126.9,126.3,125.3,124.9,116.7,106.3,83.9,74.6,64.7,408。
【0232】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e225[M+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値225.1150であり、C15H15ONの計算値 [M+]225.1154に相当した。
化合物(7)(5-[ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロピルニル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’,5’-O-(tert-ブチルジメチル)ウリジン)の合成
IDU-TBDMS(367mg,0.630mmol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(730mg,0.63mmol,0.3当量)及びヨウ化銅(1)(280mg,1.4mmol,0.67当量)のDMSO溶液(0.5ml)に、化合物(6)のDMF溶液(3.5mlに278mg,1.15mmol)及びトリエチルアミン(0.165ml,1.15mmol)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を真空下で蒸発させ、酢酸エチルで希釈した。この溶液を飽和EDTA溶液及び5%硫酸水素ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーWakogel C-200 (トルエン:酢酸エチル=4:1)により精製し、黄色の粘稠な液体である化合物(7)のラセミ混合物(393mg,92%)を得た。
【0233】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ8.395(brs,1H),8.394(brs,1H),7.98(d,2H,J=3.3Hz),7.88(s,2H),7.71(d,2H,J=9.0Hz),7.64(d,2H,J=9.6Hz),7.56(dd,2H,J=1.6,8.5Hz),7.15(dd,2H,J=2.5,9.1Hz),6.90(d,2H,J=2.0Hz),6.27((dd,2H,J=5.8,7.6Hz),5.73(s,2H),4.39-4.37(m,2H),3.97-3.96(m,2H),3.85(ddd,2H,J=2.6,5.4,11.4Hz),3.74-3.71(m,2H),3.04(s,12H),2.69(brs,2H),2.30(ddd,2H,J=2.5,5.8,13.1Hz),2.04-1.96(m,2H),0.89-0.83(m,36H),0.08-0.02(m,24H)。
【0234】
13C-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ161.2,149.0,142.5,134.9,133.7,129.1,126.8,126.42,126.43,125.52,125.46,125.12,125.07,116.6,106.3,99.6,94.2,88.4,85.91,85.88,77.6,77.5,72.4,65.3,63.0,42.0,40.8,25.9,25.7,18.3,18.0,-4.8,-4.7,-5.4,-5.6。
【0235】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e679[M+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値679.3475であり、C36H53ONSiの計算値 [M+]679.3473に相当した。
化合物(8)(5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’,5’-O-(tert-ブチルジメチル)ウリジン)の合成
化合物(7)(673mg、0.990mmol)及び10%Pd/C(186mg)のメタノール溶液を室温、水素雰囲気中で9時間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液と洗浄液とを合わせて減圧下で蒸発させた。残渣について同じ操作を3回繰り返した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーWakogel C-200(ヘキサン:酢酸エチル=3-1:1)で精製し、化合物(8)のラセミ混合物(488mg,0.713mmol,72%)の黄色固体を得た。
【0236】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ8.41(s,1H),8.40(s,1H),7.68-7.61(m,6H),7.431(s,1H),7.428(s,1H),7.36(dd,1H,J=1.8,8.4Hz),7.35(dd,1H,J=1.9,8.5Hz),7.15(dd,2H,J=2.5,9.1Hz),6.90(d,2H,J=2.4Hz),6.30(dd,2H,J=5.7,8.1Hz),4.75(m,2H),4.38-4.36 (m,2H),3.92(q,2H,J=2.5Hz),3.79(ddd,2H,J=2.9,4.4,11.4Hz),3.72(dt,2H,J=3.0,11.4Hz),3.03(s,12H),2.84(brs,1H),2.75(brs,1H),2.56-2.41(m,4H),2.222(ddd,1H,J=2.6,5.5,13.0Hz),2.216(ddd,1H,J=2.7,5.5,13.0Hz),2.09-1.90(m,6H),0.89-0.85(m,36H),0.08-0.02(m,24H)。
【0237】
13C-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ163.6,163.5,149.93,149.89,148.7,137.84,137.75,136.21,136.16,134.5,128.7,126.6,124.4,124.3,124.2,116.7,114.6,106.5,87.9,84.99,84.96,73.4,73.3,72.41,72.36,63.1,63.0,41.2,40.9,38.39,38.36,25.90,25.88,25.7,23.9,23.8,18.4,18.0,-4.5,-4.8,-5.40,-5.43,-5.5。
【0238】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e681[M+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値681.3632であり、C36H55ONSiの計算値 [M+]681.3629に相当した。
化合物(9)(5-PRODAN-2’-デオキシ-3’,5’-O-(tert-ブチルジメチル)ウリジン)の合成
化合物(8)(104mg,0.152mmol)のジクロロメタン溶液(4ml)に、フレーム乾燥した分子篩(4Å,1/16,100mg)を添加し、次いで、4-メチルモルフォリンN-オキサイド(26.4mg,0.225mmol)及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(11.0mg,0.0313mmol)を0℃で添加し、この混合物を0℃で1時間攪拌した。反応が完了した後、混合物をジエチルエーテル(8ml)で希釈し、ケイ酸マグネシウム(フロリジル;フロリジル社)(150-250μm,60-100メッシュ、100mg)を溶液に添加し、室温で15分間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、ろ液と洗浄液とを合わせ、減圧下で蒸発させた。残渣をNa2SO3水溶液及び酢酸エチルで洗浄した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーWakogel C-200(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、薄黄色固体の化合物(9)(88.1mg,0.129mmol,85%)を得た。
【0239】
得られた化合物について行った1H-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ8.33(s,1H),8.16(brs,1H),7.90(dd,1H,J=1.7,8.7Hz),7.78(d,1H,J=9.2Hz),7.63-7.59(m,2H),7.16(dd,1H,J=2.5,9.1Hz),6.86(d,1H,J=2.2Hz),6.31(dd,1H,J=5.9,7.7Hz),4.42(dt,1H,J=2.7,5.7Hz),3.94(q,1H,J=3.0Hz),3.84(dd,1H,J=3.6,11.3Hz),3.78(dd,1H,J=3.3,11.2Hz),3.41-3.24(m,2H),3.10(s,6H),2.79(t,2H,J=7.3Hz),2.23(ddd,1H,J=2.7,5.8,13.1Hz),2.02(ddd,1H,J=5.9,7.7,13.4Hz),0.90(m,18H),0.11-0.07(m,12H)であった。
【0240】
13C-NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ198.3,163.2,150.2,150.0,137.6,137.2,130.7,130.3,130.0,126.1,125.1,124.4,116.3,113.8,105.3,87.8,84.9,72.3,63.1,40.9,40.4,36.9,25.9,25.7,22.7,18.4,18.0,-4.7,-4.8, -5.3,-5.4。
【0241】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e682[(M+H)+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値682.3704であり、C36H56ONSiの計算値 [(M+H)+]682.3708に相当した。
化合物(10)(5-PRODAN-2’-デオキシウリジン)の合成
化合物(9)(343mg,0.503mmol)のTHF溶液(5ml)に、TBAFの1M溶液(1.2ml,1.2mmol)を添加した。この混合物を室温で12時間攪拌した。混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーWakogel C-200(クロロフォルム:メタノール=20:1)で精製し、薄黄色固体の化合物(10)(15.7mg,68%)を得た。
【0242】
得られた化合物について行った1H-NMR(DMSO-d6)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ11.4(brs,1H),8.46(s,1H),7.89(d,1H,J=9.2Hz),7.82(dd,1H,J=1.7,8.7Hz),7.79(s,1H),7.67(d,1H,J=8.8Hz),7.27(dd,1H,J=2.6,9.2Hz),6.94(d,1H,J=2.4Hz),6.17(t,1H,J=6.9Hz),5.27(brs,1H),5.09(brs,1H),4.24(m,1H),3.76(q,1H,J=3.5Hz),3.61-3.53(m,1H)3.27-3.22(m,1H),3.05(s,6H),2.57(t,2H,J=7.6Hz),2.14-2.03(m,2H)。
【0243】
13C-NMR(DMSO-d6)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ198.2,163.4,150.3,150.1,137.2,136.7,130.6,129.9,129.6,125.9,124.5,123.8,116.4,112.7,104.7,87.3,83.9,70.3,61.2,39.9,39.4,36.6,21.8。
【0244】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/z454[(M+H)+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値454.1978であり、C24H28ONの計算値 [(M+H)+]454.1978に相当した。
化合物(11)(5-PRODAN-2’-デオキシ-5’-O-[4,4’-ジメトキシトリチル)ウリジン)の合成
化合物(10)(140mg,0.308mmol)のピリジン溶液(5ml)に4,4’-ジメトキシトリチルクロライド(318mg,0.937mmol)を添加した。この混合物を室温で4時間攪拌した。混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーWakogel C-200(ヘキサン:酢酸エチル=1:1.5-2次いで酢酸エチル)で精製し、薄黄色固体の化合物(11)(216mg,0.286mmol,98%)を得た。
【0245】
得られた化合物について行った1H-NMR(DMSO-d6)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ11.39(brs,1H),8.31(s,1H),7.83(d,1H,J=9.2Hz),7.71(dd,1H,J=1.6,8.6Hz),7.63(d,1H,J=8.8Hz),7.53(s,1H),7.36(d,2H,J=7.5Hz),7.27-7.21(m,7H),7.21(t,1H,J=7.3Hz),6.93(d,1H,J=2.4Hz),6.82(d,4H,J=8.6Hz),6.22(t,1H,J=6.8Hz),5.30(brs,1H,J=4.2Hz),4.30(m,1H),3.89-3.88(m,1H),3.64(s,6H),3.20(d,2H,J=4.0Hz),3.05-3.02(m,8H),2.34-2.16(m,4H)。
【0246】
13C-NMR(DMSO-d6)の結果、以下の位置にピークが検出された。δ197.7,170.2,163.2,158.1,158.0,150.2,150.1,144.6,137.1,136.4,135.4,135.3,130.5,129.7,129.5,127.8,127.6,126.6,125.8,124.5,123.7,116.3,113.1,113.0,104.7,85.7,85.5,83.9,70.5,63.8,54.9,39.9,39.3,36.8,21.6。
【0247】
低解像度MS(FAB)の結果は、m/e755[M+]であった。高解像度MS(FAB)の結果は、実測値755.3212であり、C45H45ONの計算値 [M+]755.3207に相当した。
化合物(12)(5-PRODAN-2’-デオキシ-3’-O-(シアノエチル-N,N’-ジイソプロピルフォスフォルアミダイト)-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチルウリジン)の合成
窒素雰囲気下で、化合物(11)(30.5mg,0.0404mmol)及びテトラゾール(3.1mg,0.0442mmol)の無水アセトニトリル溶液(0.4ml,核酸合成のためのもの)に、2-シアノエチルテトライソプロピルフォスフォルアミダイト(13μl,0.0398mmol)を添加した。この混合物を室温で30分間攪拌した。混合物をろ過し、精製せずに次の工程に使用した。
実施例2(オリゴヌクレオチド誘導体の合成)
実施例1で得られた化合物(12)(PRODAN dUアミダイト体)を原料としてApplied Biosystems社のアプライドバイオシステム392DNA/RNAシンセサイザーを用いてフォスフォロアミダイト法によりオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5’-CGCAATTAACGC-3’(配列番号1)(nは、PRODAN dU含有デオキシリボヌクレオチド;化合物(12)相当)を合成した。得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体のアンモニア溶液を55℃で5時間処理し、EYELA社のCentrifugal Evapolatorにより20分間真空乾燥してアンモニアを除去した。
【0248】
さらに、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体の溶液をCHEMCOBOND 5-ODS-Hカラム(10×150mm)(ChemcoPack社)を用いた逆相HPLCにより精製した。溶出は、0.1Mトリエチルアミンアセテート(TEAA),pH7.0においてアセトニトリルを30分間で5%から20%の勾配をつけて、流速3ml/分間で行った。精製に当たり、目的化合物の検出は254nmの吸光度を測定することにより行った。精製した溶液を凍結乾燥機(FREEZE DRYER FD-5;東京理化社製)にかけて溶媒を除去した後、精製水(milliQ水)0.5mlで希釈し、再度凍結乾燥した。これにより、トリエチルアミンアセテートを完全に除去し、milliQ水50μlで希釈した。
実施例3(オリゴヌクレオチド誘導体の同定)
<質量分析>
2’,3’,4’-トリヒドロキシアセトフェノンをマトリクスとして用い、内部標準としてT8mer([M-H]-2370.61)及びT17mer([M-H]-5108.37)を用い、蛍光分光光度計(島津製作所製RF5300PC)を用いて、MALDI-TOF質量分析を行った。マススペクトルを図3に示す。計算上の[M-H]4128.8321が4129.04の位置に検出された。
【0249】
このことから、実施例2のオリゴヌクレオチドは、合成過程で分解反応のような副反応や反応停止等を起こさずに所望の組成で得られたものであることが分かる。
<HPLC>
1μlのサンプルを、2μlの酵素混合溶液(Calf Intestinal Alkaline Phosphatase, (100units/ml;Boehringer Mannheim社)、snake venom phosphodiesteraseI(3units/ml; Boehringer Mannheim社)、NucleaseP1(Boehringer Mannheim社))、7μlのmilliQ水を混合し、37℃で2時間放置した。分解産物をCHEMCOBOND 5-ODS-Hカラム(4.6×150mm)(0.1Mトリメチルアミンアセテート(TEAA)、pH7.0、40分間かけて0%から40%のアセトニトリルの勾配、流速1.0ml/分)を用いたHPLCにより分析した。0.1mMのデオキシアデニル酸(dA)、デオキシシチジル酸(dC)、デオキシグアニル酸(dG)及びデオキシチミジル酸(dT)を標準溶液として用いて、ピーク位置及び面積を比較することによりPRODAN dU含有オリゴデオキシリボヌクレオチドに含まれるヌクレオチドを確認した。
【0250】
HPLCの溶出パターンを図4に示す。XはPRODAN dU含有オリゴデオキシリボヌクレオチドを酵素分解したサンプルの溶出ピークであり、Aはデオキシアデニル酸(dA)、Cはデオキシシチジル酸(dC)、Gはデオキシグアニル酸(dG)及びTはデオキシチミジル酸(dT)の混合物の溶出ピークである。
実施例4(蛍光分析)
<DNA誘導体>
実施例2により得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長514nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は1.0であった。
【0251】
上記溶液に、配列番号1のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTAAATTGCG-3’(配列番号2)、(T’);5’- GCGTTATATTGCG -3’(配列番号3)、(G’);5’-GCGTTAGATTGCG-3’(配列番号4)、(C’);5’- GCGTTACATTGCG -3’(配列番号5)をそれぞれ2.5μMとなるように添加し、ボルテックスミキサーにて混合した。
【0252】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は5.0であった。オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は2.1であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は2.0であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は2.0であった。
【0253】
このように、配列番号1のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシアデニル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が5倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図5に示す。図5において、縦軸のスケールは、左側は吸収スペクトルのための吸光度を示しており、右側は蛍光スペクトルの蛍光強度を示している。
<RNA誘導体>
実施例2により得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長514nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は1.2であった。
【0254】
上記溶液に、配列番号1のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴリボヌクレオチド(A’);5’-GCGUUAAAUUGCG-3’(配列番号6)、(U’);5’- GCGUUAUAUUGCG -3’(配列番号7)、(G’);5’-GCGUUAGAUUGCG-3’(配列番号8)、(C’);5’- GCGUUACAUUGCG -3’(配列番号9)をそれぞれ2.5μMとなるように添加し、ボルテックスミキサーにて混合した。
【0255】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、オリゴリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は3.0であった。オリゴリボヌクレオチド(U’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は1.6であり、オリゴリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は1.5であり、オリゴリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は1.6であった。
【0256】
このように、配列番号1のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがアデニル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が約3倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図6に示す。図6において、縦軸のスケールは、左側は吸収スペクトルのための吸光度を示しており、右側は蛍光スペクトルの蛍光強度を示している。
実施例5(本発明のプローブを用いたリアルタイムSSDAによる遺伝子多型の検出・DNAの定量)
本発明のポリヌクレオチド誘導体を用いて、薬物代謝酵素P-450の一つであるCYP2C19の*3の位置の遺伝子多型を、1本鎖DNA増幅法(SSDA)により検出した。
【0257】
フォワードプライマーとして5’-AGATTAATGTAAAAGTGATGTGTTGATTTTATGCATGCCA-3’(配列番号10)、リバースプライマーとして5’-GGGCTTGGTCAATATAGAATTTTGGATTTCCC-3’(配列番号11)、融解温度の低いインナープライマーとして5’-GTGATCTGCTCCATTATTTT-3’(配列番号12)を用いた。これらは、CYP2C19*3の636番目のGがAに変異した多型遺伝子を特異的に増幅するためのプライマーセットである。
【0258】
また、実施例1で得られた化合物(12)(PRODAN dUアミダイト体)を原料として用いて、実施例2と同様にして、5’-CTGGATnCAGGGGGTGCTTAC-3’P;nはPRODAN dUデオキシリボヌクレオチド誘導体を示す。Pはリン酸化保護基を示す(配列番号13)のプローブ(PRODAN dUプローブ)を得た。このプローブは、インナープローブにより伸長されるDNA鎖の部分配列と相補的であり、CYP2C19*3の636番目の塩基に対応する位置にPRODAN dUヌクレオチド誘導体を有する。
【0259】
また、鋳型DNAとしては、CYP2C19*3の636番目の塩基がGであるホモ接合体、636番目の塩基がAに変異したホモ接合体、ヘテロ接合体(G/A)の3種類を用いた。細胞株K562よりQIAamp DNA Mini Kitを用いてDNAを抽出し、下記条件で標的配列を増幅した。増幅断片をpCR2.1ベクターに挿入し、Gホモ接合体コントロールプラスミドとした。またAホモ接合体コントロールプラスミドはGホモ接合体コントロールプラスミドにsite-direct mutagenesis法を用いて変異導入して得た。ヘテロ接合体コントロールプラスミドは、Gホモ接合体コントロールプラスミドとAホモ接合体コントロールプラスミドを等量混合することで作製した。
【0260】
フォワードプライマー800nM、リバースプライマー400nM、インナープライマー800nM、PRODAN dUプローブ250nM、トリシン-KOH(pH8.0)40mM、KCl 16mM、MgCl2 4.5mM、BSA 3.75μg/mL、dNTPs 各600nM 、1×TITANIUM Taq PCRバッファー、鋳型DNA1 μLを含む20μLの反応溶液を調製した。これを、リアルタイムPCR機器Light Cycler(Ex/Em=470/530)(ロシュ)を用いて、95℃で1分間;95℃で10秒、68℃で30秒のサイクルを20サイクル;95℃で10秒、55℃で10秒、68℃で30秒のサイクルを50〜60サイクル;68℃で3分間の条件でリアルタイムSSDAを行った。
【0261】
鋳型DNAは、段階的に希釈して10、10、10、10、10、10コピー/μLに調製した6種類のサンプルを用いた。
【0262】
55℃でのアニーリング時にsingleモード、励起波長は470nm(LED)、検出フィルターはchannel 1(530nm)、Fluorimeter Gains 75で蛍光強度を検出した。
【0263】
結果を図7に示す。図7中、NTCは鋳型DNAを使用しない対照(No Template Control)を示す。636番目の塩基がAであるホモ接合体では、Gであるホモ接合体に比べて約7倍の蛍光強度が得られた。また、鋳型DNA濃度が高くなるほど、少ないサイクル数で蛍光強度が強くなっており、この方法でDNAを定量できることが分かる。
実施例6(本発明のプローブを用いたリアルタイムPCRによる遺伝子多型の検出・DNAの定量)
実施例5におけるフォワードプライマー(配列番号10)を用いず、インナープライマー(配列番号12)をフォワードプライマーとして用いた。
【0264】
また反応溶液中のフォワードプライマー(配列番号12)の濃度を1000nM、リバースプライマー(配列番号11)の濃度を200nM、プローブ(配列番号13)の濃度を500nM、MgCl2濃度を3.5 mM、dNTPs濃度を各200nMとし、反応温度条件を95℃で1分間;95℃で10秒、55℃で10秒、68℃で30秒のサイクルを40サイクルとした他は、実施例5と同様の操作を行った。
【0265】
結果を図8に示す。636番目の塩基がAであるホモ接合体では、Gであるホモ接合体に比べて約5倍の蛍光強度が得られた。また、鋳型DNA濃度が高くなるほど、少ないサイクル数で蛍光強度が強くなっており、この方法でDNAを定量できることが分かる。
実施例7(本発明のプライマーを用いたリアルタイムPCRによる細菌DNAの定量)
マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumoniae)ATCC29342株、及びストレプトコッカス・ニューモニアStreptococcus pneumoniae ATCC6303株から、それぞれQIAamp UltraSense Virus Kitを用いてDNAを抽出し、抽出したDNAを用いて下記方法にて標的配列を増幅し、pCR2.1に挿入してコントロールプラスミドとした。
【0266】
マイコプラズマ・ニューモニアDNAに対してはフォワードプライマーとして5’-CTCCATCAAGCTnTCGCT -3’(配列番号14;nはPRODAN dU含有デオキキシリボヌクレオチドを表す)、リバースプライマーとして5’-CGAAAGTAGTAATACTTTAGAGGCG -3’(配列番号15)を用いた。ストレプトコッカス・ニューモニアに対してはフォワードプライマーとして5’-GAAGAAGACTATGCTCGnAGATCAGA -3’(配列番号16;nはPRODAN dU含有デオキキシリボヌクレオチドを表す)、リバースプライマーとして5’-CATCAGTATTGTAGAAGTACCACATACC -3’(配列番号17)を用いた。フォワードプライマーは、鋳型DNA中の特定のAに対応する位置にPRODAN dUヌクレオチド誘導体を有するプライマーである。フォワードプライマーは、実施例1で得られた化合物(12)(PRODAN dUアミダイト体)を原料として用いて、実施例2と同様にして合成した。
【0267】
マイコプラズマ・ニューモニア検出に関してはフォワードプライマー600nM、リバースプライマー600nM、トリシン-KOH(pH8.0)40mM、KCl 16mM、MgCl2 3.5mM、BSA 3.75μg/mL、dNTPs 各200nM 、TITANIUM Taq 1×、鋳型DNA1 μLを含む20μLの反応溶液を調製した。これを、Light Cycler(Ex/Em=470/530)を用いて、95℃で1分間;95℃で10秒、55℃で10秒、68℃で30秒のサイクルを40サイクルの条件でリアルタイムPCRを行った。
【0268】
ストレプトコッカス・ニューモニア検出の場合は、フォワードプライマーとリバースプライマー濃度をそれぞれ400nMとし、鋳型DNAをストレプトコッカス・ニューモニアのコントロールプラスミドを用いた以外はマイコプラズマ・ニューモニア検出の方法と同じである。
【0269】
鋳型DNAは、段階的に希釈して10、10、10、10、10コピー/μLに調製した5種類のサンプルを用いた。
【0270】
結果を図9に示す。図9(A)はマイコプラズマ・ニューモニアの結果を示し、図9(B)はストレプトコッカス・ニューモニアの結果を示す。DNA濃度が高くなるほど、少ないサイクル数で蛍光強度が強くなっており、この方法でDNAを定量できることが分かる。
実施例8(PRODAN dA含有ヌクレオシド誘導体の合成)
図10を参照して本発明の1実施態様であるPRODAN dA含有ポリデオキシリボヌクレオチド誘導体の合成方法を説明する。
<化合物(16)(8-ブロモ-2'-デオキシアデノシン)の合成>
デオキシアデノシン(15) (3 g, 11 mmol)のメタノール溶液(50 mL) に NBS (2.6 g, 14.6 mmol, 1.3 eq.)を添加した。この混合物を40 °Cで18時間攪拌した。得られたピンク色の懸濁液をろ過し、ろ液を減圧下で乾燥して化合物(16) (900 mg, 25%)をピンク色固体として得た。
<化合物(17)(8-ブロモ-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチルシリル)アデニン)の合成>
8-ブロモ-2'-デオキシアデノシン(16) (900 mg, 2.73 mmol) のDMF溶液(15 mL) に、tert-ブチルジメチルクロロシラン(1.23 g, 8.16 mmol, 3 eq.)、及びイミダゾール(0.56 g, 8.23 mmol, 3 eq.)を添加し、この混合物を室温下で3時間攪拌した。この溶液を蒸発させた後、残渣を水及びクロロフォルムで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4を用いて乾燥した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム)で精製し、化合物(17) (2.9 g, quant.)をピンク色固体として得た。
<化合物(18)(8-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロピル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)の合成>
化合物(17) (1.9 g, 3.4 mmol, 1.1 eq)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0) (718 mg, 0.62 mmol, 0.2 eq.)、 ヨウ化銅(1) (240 mg, 1.26 mmol, 0.4 eq.)、及び図2に示す化合物6 (0.7 g, 3.1 mmol.) のDMF溶液(30 mL) に、トリエチルアミン (1.43 mL, 10 mmol, 3.3 eq.) を添加し、この混合物を室温下で17時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させ、酢酸エチルで希釈した。この溶液を飽和EDTA溶液、及び5%亜硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4で洗浄し、ろ過した。ろ液を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 50 : 1)で精製し、化合物(18)のラセミ混合物(1.33 g, 61%) を茶色固体として得た。
【0271】
得られた化合物について行った1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.27 (s, 1H), 7.90 (brs, 1H), 7.70 (d, 1H, J= 8.8 Hz), 7.66 (dd, 1H, J = 2.0, 8.8 Hz), 7.56-7.60 (m, 1H), 7.16 (dd, 1H, J= 2.4, 9.2 Hz), 6.89 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.49 (t, 1H, J = 6.4 Hz), 5.85 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 5.82 (s (br), 2H), 4.78 (ddd, 1H, J = 3.6, 5.6, 17.6 Hz), 3.86-3.97 (m, 2H), 3.67 (ddd, 1H, J= 2.4, 4.8, 10.4 Hz), 3.46 (quin., 1H, J = 6.0 Hz), 3.05 (s, 6H), 2.20 (ddd, 1H, J= 4.0, 6.8, 17.2 Hz), 0.89 (s, 9H), 0.83 (s, 9H), 0.10 (s, 3H), 0.087 (s, 3H), 0.006 (s, 3H), 0.037 (s, 3H);
また、13C NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 155.0, 153.3, 149.4, 149.1, 135.1, 134.8, 132.5, 129.1, 127.12, 127.07, 126.3, 125.8, 125.6, 124.89, 124.85, 116.7, 106.2, 87.87, 87.84, 85.2, 72.6, 65.1, 65.0, 63.0, 40.8, 37.3, 18.4, 18.0, -4.7, -4.8, -5.4, -5.5
低解像度MS (FAB, NBA/CHCl3)の結果は、 m/z702 [(M+H)+]であった。高解像度MS (FAB) の結果は、実測値702.3763であり、C37H54N6O4Si2の計算値[(M+H)+]702.3745に相当した。
<化合物(19)(8-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)アデニン)の合成>
化合物(18)(1.3 g, 1.9 mmol) 及び5% Pd/C (1.5 g)のメタノール溶液を水素雰囲気下、室温で2日間攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液及び洗浄液を合わせて減圧下で蒸発させた。粗生成物についてシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 50 : 1)を行い、化合物(19)のラセミ混合物(604 mg, 45 %) を薄黄色固体として得た。
【0272】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.24 (s, 1H), 7.67 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.64 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.37 (dd, 1H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 2.4, 9.2 Hz), 6.91 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.20 (dt, 1H, J = 6.8 Hz), 5.57 (s (br), 2H), 4.95 (dt, 1H, J= 6.0, 22.0 Hz), 4.77 (dt, 1H, J = 3.6, 6.0 Hz), 3.83-3.93 (m, 2H), 3.54-3.67 (m, 2H), 3.07-3.13 (m, 2H),3.04 (s, 6H), 2.36-2.44 (m, 2H), 2.11-2.19 (m, 1H), 0.621 (d, 9H, J = 2.8 Hz), 0.812 (d, 9H, J= 4.8 Hz), 0.121 (s, 6H), -0.062- -0.016 (m, 6H);
低解像度MS (FAB, NBA/CHCl3)の結果は、m/z707 [(M+H)+]であった。また、高解像度MS (FAB)の結果は、実測値707.4135であり、C37H58O4N6Si2の計算値[(M+H)+]706.4058に相当した。
<化合物(20)(ジメチルアミノメチリジン)アミノ-8-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)アデニンの合成>
化合物(19) (604 mg, 0.85 mmol) のDMF (5 mL)溶液に、DMFジメチルアセタール(6.8 mL, 50 mmol, 59 eq.)を加え、この混合物を室温下で6時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣についてシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム)を行い、化合物(20)のラセミ混合物(483 mg, 75 %)を茶色油として得た。
【0273】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.89 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.64 (d, 1H, J = 4.4 Hz), 7.62 (s, 1H), 7.38 (dt, 1H, J = 1.2, 8.8 Hz), 7.15 (dd, 1H, J = 2.4, 9.2 Hz), 6.91 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.25 (dt, 1H, J = 6.8, 22.4 Hz), 4.93-5.00 (m, 1H), 4.78 (s (br), 1H), 3.86-3.92 (m, 2H), 3.53-3.68 (m, 2H), 3.24 (s, 3H), 3.18 (d, 3H, J = 1.2 Hz), 3.05-3.16 (m, 2H), 3.03 (s, 6H), 2.37-2.48 (m, 2H), 2.12-2.19 (m, 1H), 1.25-1.44 (m, 1H), 0.92 (d, 9H, J= 2.0 Hz), 0.822 (d, 9H, J = 2.8 Hz), 0.12 (d, 6H, J = 2.0 Hz), 0.057-0.016 (dd, 6H, J = 3.6, 14.4 Hz)
低解像度MS (FAB, NBA/CHCl3)の結果は m/z 762 [(M+H)+]であった。また、高解像度MS (FAB)の結果は、実測値762.4568であり、C40H63O4N7Si2の計算値[(M+H)+]761.4480に相当した。
<化合物(21)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)アデニンの合成>
化合物(20) (116 mg, 0.15 mmol)の乾燥ジクロロメタン(5 mL) 溶液に、フレーム乾燥した分子篩(4 Å, 175 mg)を加え、次いで 、0 °Cの温度下で、4-メチルモルフォリンN-オキシド(26 mg, 0.225 mmol, 1.5 eq.)、及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(tetrapropylammonium perruthenate) (5 mg, 0.014 mmol, 0.1 eq.) を加え、この混合物を0 °Cで15時間攪拌した。反応終了後、この混合物をジエチルエーテル(50 mL)で希釈し、この溶液にフロリシル(150-250 mm, 60-100 mesh, 175 mg)を加え、室温で15分間攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。ろ液と洗浄液とを合わせて、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム)で精製し、化合物(21) (37 mg, 32 %)を黄色固体として得た。
【0274】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.85 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.44 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.98 (dd, 1H, J = 2.0, 8.8 Hz), 7.80 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.64 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.4, 9.2 Hz), 6.87 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.44 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 4.83 (quin., 1H, J = 2.4 Hz), 3.62-3.97 (m, 5H), 3.41-3.47 (m, 2H), 3.20 (s, 3H), 3.11 (s, 6H), 2.99 (s, 3H), 2.27 (ddd, 1H, J= 4.0, 6.8, 13.2 Hz), 0.94 (s, 9H), 0.82 (s, 9H), 0.15 (d, 6H, J = 1.2 Hz), 0.029 (d, 6H, J = 15.2 Hz)
また、13C NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 197.8, 158.1, 154.5, 152.96, 151.4, 150.3, 137.7, 130.7, 130.3, 130.1, 126.2, 125.3, 125.1, 124.5, 116.3, 105.3, 87.5, 84.1, 72.5, 62.9, 41.0, 40.4, 37.4, 35.5, 35.1, 25.9, 22.7, 18.3, 18.1, -4.6, -4.7, -5.4, -5.5
低解像度MS (FAB, NBA/CHCl3)の結果はm/z760 [(M+H)+]であった。また、高解像度MS (FAB)の結果は、実測760.4403であり、C40H61O4N7Si2の計算値[(M+H)+] 759.4324に相当した。
<化合物(22)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシアデニンの合成>
化合物(21) (37 mg, 0.049 mmol)のTHF (500 mL)溶液に、TBAF (200 mL, 0.2 mmol, 2.5 eq.)の1M溶液を添加した。この混合物を室温下で3時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム: メタノール= 50 : 1)で精製し、化合物(22) (24 mg, 92%) をレモン様黄色固体として得た。
【0275】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.87 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.42 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.95 (dd, 1H, J = 1.6, 8.8 Hz), 7.79 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.63 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 2.4, 7.6 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.57 (dd, 1H, J = 5.6, 9.6 Hz), 4.84 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 4.25 (s, 1H), 3.70-4.03 (m, 6H), 3.25-3.41 (m, 3H), 3.23 (s, 3H), 3.11 (s, 6H), 3.04 (s, 3H), 2.37 (dd, 1H, J = 6.0, 12.0 Hz)
また、13C NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 197.5, 159.0, 158.3, 153.2, 151.8, 151.0, 150.3, 137.8, 130.8, 130.2, 130.0, 126.2, 125.0, 124.4, 116.3, 105.2, 89.5, 86.3, 73.8, 63.6, 41.2, 40.4, 35.5, 35.2, 24.1, 22.4, 20.2, 19.7
低解像度MS (FAB, DTT/TG/CHCl3)の結果はm/z 532 [(M+H)+]であり、高解像度MS (FAB)の結果は、実測値532.2683であり、C28H33O4N7の計算値[(M+H)+] 531.2594に相当した。
<化合物(23)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)アデニンの合成>
化合物(22) (49 mg, 0.092 mmol)ノピリジン溶液(3 mL)に、4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(37 mg, 0.11 mmol, 1.2 eq.)を加えた。この混合物を室温下で3時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 50 : 1)で精製し、化合物(23) (37 mg, 48%) をレモン様黄色固体として得た。
【0276】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。d = 8.82 (s, 1H), 8.39 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 8.30 (s, 1H), 7.93 (dd, 1H, J= 2.0, 8.8 Hz), 7.74 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.60 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.38 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.27 (s, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.10-7.20 (m, 5H), 6.83 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.71-6.74 (m, 4H), 6.49 (t, 1H, J= 5.6 Hz), 4.89-4.93 (m, 1H), 4.11 (d, 1H, J = 4.4 Hz), 3.73-3.77 (m, 2H), 3.702 (s, 3H), 3.698 (s, 3H), 3.56-3.66 (m, 1H), 3.37-3.45 (m, 4H), 3.17 (s, 3H), 3.08 (s, 6H), 2.95 (s, 3H), 2.38 (ddd, 1H, J = 4.4, 7.2, 13.6 Hz)
MS (FAB, NBA/CHCl3)の結果は、m/z834 [(M+H)+]であった。高解像度MS (FAB)の結果は、実測値834.3984であり、C49H51O6N7の計算値[(M+H)+] 833.3901に相当した。
<化合物(24)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-3'-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピルフォスフォルアミダイト)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)アデニンの合成>
化合物(23) (37 mg, 0.04 mmol)及びテトラゾール(3.1 mg, 0.044 mmol, 1.1 eq.)の無水アセトニトリル(0.4 mL, 核酸合成に使用するためのもの)溶液に、2-シアノエチルテトライソプロピルフォスフォロジアミダイト(15 mL, 0.048 mmol, 1.2 eq.) を窒素雰囲気下で添加した。この混合物を室温下で30分間攪拌した。この混合物をろ過し、精製せずに使用した。この混合物中に化合物(24)が含まれる。
実施例9(オリゴヌクレオチド誘導体の合成)
実施例8で得られた化合物(24)(PRODAN dAアミダイト体)を原料として、Applied Biosystems社のアプライドバイオシステム392 DNA/RNAシンセサイザーを用いて慣用のフォスフォロアミダイト法によりオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5'-CGCAACnCAACGC-3'(配列番号18)(nはPRODAN dA含有デオキシリボヌクレオチドを表す;化合物(24)相当)を合成した。
【0277】
得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を5-ODS-Hカラム(10 ×150 mm)を用いた逆相HPLCで精製した。溶出は、0.1 Mトリエチルアミンアセテート(TEAA)バッファー(pH 7.0)において、アセトニトリルを最初の1-30分間で5-30%の直線的勾配をつけて、30-40分間目を30-40%の勾配をつけて、流速3.0 mL / 分で行った。
実施例10(オリゴヌクレオチド誘導体の同定)
PRODAN dAを含むオリゴヌクレオチド誘導体を仔牛腸アルカリフォスファターゼ(50 U / mL), ヘビ毒フォスフォジエステラーゼ (0.15 U / mL)、及びP1ヌクレアーゼ(50 U / mL) で、37 ℃で10時間完全消化した。消化溶液を5-ODS-Hカラム(4.6 × 150 mm)を用いたHPLCで分析した。溶出は、0.1 Mトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)バッファー(pH 7.0)を用い、最初の0-20分間は0-20%アセトニトリルの直線的勾配をつけ、20-30分目はアセトニトリルの20-100% の直線的勾配を付けて、流速1.0 mL /分間で行った。各オリゴヌクレオチドの濃度を、0.1 mMのdA, dC, dG, 及びdTを含む標準溶液との間でピーク面積を比較することにより決定した。
【0278】
HPLCの溶出パターンを図11に示す。Xは、PRODAN dA含有オリゴヌクレオチド誘導体を酵素分解したサンプルの溶出ピークであり、Aはデオキシアデニル酸(dA)、Cはデオキシシチジル酸(dC)、Gはデオキシグアニル酸(dG)、及びOは上記各消化酵素で処理していない未切断のPRODAN dAを含むオリゴヌクレオチド誘導体を示す。図11から、目的のオリゴヌクレオチド誘導体が合成できていることが分かる。
実施例11(蛍光分析)
実施例9において得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長440nm及び450nm、放射波長514nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。
【0279】
1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は、励起波長440nmの場合3.1であり、励起波長450nmの場合1.8であった。
【0280】
上記溶液に、配列番号18のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTGAGTTGCG-3’(配列番号19)、(T’);5’- GCGTTGTGTTGCG -3’(配列番号20)、(G’);5’-GCGTTGGGTTGCG-3’(配列番号21)、(C’);5’- GCGTTGCGTTGCG -3’(配列番号22)をそれぞれ2.5μMとなるように添加し、ボルテックスミキサーにて混合した。
【0281】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて、励起波長440nmで測定したところ、514nmにおける蛍光強度は、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には2.0であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には10.1であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には7.0であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には3.1であった。
【0282】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて、励起波長450nmで測定したところ、514nmにおける蛍光強度は、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には0.8であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には6.2であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には3.3であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には3.7であった。
【0283】
このように、配列番号18のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシチミジル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が約3.4倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。
【0284】
蛍光スペクトルを図12に示す。図12(A)は励起波長440nmの場合の結果であり、図12(B)は励起波長450nmの場合の結果である。図12において、縦軸のスケールは、左側は吸収スペクトルのための吸光度を示しており、右側は蛍光スペクトルの蛍光強度を示している。

実施例12(PRODAN dG含有ヌクレオシド誘導体の合成)
図13を参照して本発明の1実施態様であるPRODAN dG含有ポリヌクレオチド誘導体の合成方法を説明する。
<化合物(26)(8-ブロモ-2'-デオキシグアノシン)の合成>
デオキシアデノシン(25) (3 g, 10 mmol) のメタノール溶液 (50 mL)にNBS (2.6 g, 14.6 mmol, 1.3 eq.)を添加した。この混合物を40 °Cで18時間攪拌した。得られたピンク色の懸濁液をろ過し、ろ液を減圧下で乾燥して化合物(26)をピンク色固体(2.7 g, 75%)として得た。
<化合物(27)(8-ブロモ-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチルシリル)グアノシン)の合成>
8-ブロモ-2'-デオキシグアノシン(26) (900 mg, 2.73 mmol)のDMF溶液 (20 mL) に、tert-ブチルジメチルクロロシラン (1.23 g, 8.16 mmol)及びイミダゾール(0.56 g, 8.23 mmol)を添加し、この混合物を室温下で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣を水及びクロロフォルムで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4を用いて含有水分を除去した後、ろ過によりMgSO4を除き、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム)で精製し、化合物(27) (0.95 g, 70%)をピンク色固体として得た。
<化合物(28)(8-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロピニル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシンの合成>
トリエチルアミン(1.43 mL, 10 mmol)を、8-ブロモ-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチルシリル)グアノシン(27) (1.9g,3.4mmol)の溶液、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム (718 mg, 0.62 mmol)、ヨウ化銅 (I) (240 mg, 1.26 mmol)、及び6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロピニル)ナフタレン(0.7 g, 3.1 mmol.)のDMF (30 mL) 溶液に添加し、この混合物を室温下で17時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発し、酢酸エチルで希釈した。この溶液を飽和EDTA溶液、及び亜硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4を用いて含有水分を除去し、ろ過によりNa2SO4を除き、減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム : メタノール = 50 : 1)で精製して、化合物(28)のラセミ混合物(1.33 g, 61%)を茶色固体として得た。
<化合物(29)(8-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン)の合成>
8-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロピニル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン(28)及び5% Pd/C (1.5 g) の、メタノール溶液を室温下で2日間水素雰囲気下で攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液と洗浄液とを併せて減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム : メタノール = 50 : 1)で精製し、化合物(29)のラセミ混合物(604 mg, 45 %)を淡黄色固体として得た。
<化合物(30)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン)の合成>
8-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン(29) (604 mg, 0.85 mmol)のDMF溶液(5 mL)に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)・ジメチルアセタール (0.7 mL, 5 mmol) を添加し、この混合物を室温下で6時間攪拌した。溶媒を蒸発した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム)で精製して、化合物(6)のラセミ混合物(483 mg, 75 %)を茶色油として得た。
<化合物(31)((ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン)の合成>
(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン(30) (116 mg, 0.15 mmol) の乾燥ジクロロメタン溶液 (5 mL)に、フレーム乾燥した分子篩(4Å、175 mg)を加え、次いで4-メチルモルフォリン N-オキシド (26 mg, 0.225 mmol)、及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(5 mg, 0.014 mmol)を0 °C下で加え、この混合物を0 °Cで15時間攪拌した。反応終了後、この混合物をジエチルエーテル(50mL)で希釈し、この溶液にケイ酸マグネシウム(商品名フロリジル;フロリジン社)(150-250 mm, 60-100 mesh, 175 mg)を加え、室温下で15分間攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。ろ液と洗浄液とを併せて、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム)で精製して、化合物(31) (37 mg, 32 %)を黄色固体として得た。
<化合物(32)((ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシギアノシン)の合成>
(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-3',5'-O-(tert-ブチルジメチル)グアノシン(31) (37 mg, 0.049 mmol) のTHF溶液 (500 mL)に、1 M TBAF溶液(200 mL, 0.2 mmol)を添加した。この混合物を室温下で3時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム: メタノール= 50 : 1)で精製して、化合物(32) (24 mg, 92%)を黄色固体として得た。
<化合物(33)(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン)の合成>
ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシギアノシン(32) (49 mg, 0.092 mmol)のピリジン溶液 (3 mL)に4,4'-ジメトキシトリチルクロリド (37 mg, 0.11 mmol)を添加して、この混合物を室温下で3時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 50 : 1)で精製して、化合物(33) (37 mg, 48%) を黄色固体として得た。
<化合物(34)((ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-3'-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピルフォスフォルアミダイト)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン)の合成>
(ジメチルアミノメチリデン)アミノ-8-DAN-2'-デオキシ-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン(33) (37 mg, 0.04 mmol)、及びテトラゾール (3.1 mg, 0.044 mmol) の無水アセトニトリル溶液 (0.4 mL) に、2-ジアノエチルテトチソプロピルフォスフォロジアミダイト(15 mL, 0.048 mmol) を窒素雰囲気下で添加した。この混合物を室温下で30分間攪拌した。この混合物をろ過し、さらに精製せずに使用した。
実施例13(オリゴヌクレオチド誘導体の合成)
実施例12で得られた化合物(34)(PRODAN dGアミダイト体)を原料としてApplied Biosystems社のアプライドバイオシステム392DNA/RNAシンセサイザーを用いてフォスフォロアミダイト法により、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5’-CGCAATTAACGC-3’(nはPRODAN dG含有デオキシリボヌクレオチドを表す;化合物(15)相当)(配列番号23)を合成した。得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体のアンモニア溶液を55℃で5時間処理し、EYELA社のCentrifugal Evapolatorにより20分間真空乾燥してアンモニアを除去した。
【0285】
さらに、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体の溶液をCHEMCOBOND 5-ODS-Hカラム(10×150mm)(ChemcoPack社)を用いた逆相HPLCにより精製した。溶出は、0.1Mトリエチルアミンアセテート(TEAA)(pH7.0)においてアセトニトリルを30分間で5%から20%の勾配をつけて、流速3ml/分間で行った。精製に当たり、目的化合物の検出は254nmの吸光度を測定することにより行った。精製した溶液を凍結乾燥機(FREEZE DRYER FD-5;東京理化社製)にかけて溶媒を除去した後、精製水(milliQ水)0.5mlで希釈し、再度凍結乾燥した。これにより、トリエチルアミンアセテートを完全に除去し、milliQ水50μlで希釈した。
【0286】
また、同様にしてオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5’-CGCAACCAACGC-3’(nはPRODAN dG含有デオキシリボヌクレオチドを表す;化合物(15)相当)(配列番号24)を合成した。
実施例14(蛍光分析)
<DNA誘導体>
(A) 実施例13により得られた配列番号23のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長514nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は0.54であった。
【0287】
上記溶液に、配列番号23のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5'-CGCAATnTAACGCとヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTAAATTGCG-3’(配列番号25)、(T’);5’- GCGTTATATTGCG -3’(配列番号26)、(G’);5’-GCGTTAGATTGCG-3’(配列番号27)、(C’);5’- GCGTTACATTGCG -3’(配列番号28)をそれぞれ2.5μMとなるように添加し、ボルテックスミキサーにて混合した。
【0288】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は0.50であった。オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は1.92であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は0.71であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、514nmにおける蛍光強度は1.85であった。
【0289】
このように、配列番号23のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシシチジル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が3.4倍に増大した。また、対合するヌクレオチドがデオキシチミジル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が3.6倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図14(A)に示す。

(B) さらに、実施例13により得られた配列番号24のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長522nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は0.48であった。
【0290】
上記溶液に配列番号24のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5'-CGCAACnCAACGCとヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTGAGTTGCG-3’(配列番号29)、(T’);5’- GCGTTGTGTTGCG -3’(配列番号30)、(G’);5’-GCGTTGGGTTGCG-3’(配列番号31)、(C’);5’- GCGTTGCAGTTGCG -3’(配列番号32)を用い、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とオリゴデオキシリボヌクレオチド以外を上記の同様の方法にて測定したところ、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、522nmにおける蛍光強度は0.47であった。オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には、522nmにおける蛍光強度は0.47であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、522nmにおける蛍光強度は0.37であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、522nmにおける蛍光強度は0.64であった。
【0291】
このように、配列番号24のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシシチジル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が1.3倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図14(B)に示す。

実施例15(PRODAN dC含有ヌクレオシド誘導体の合成)
図15を参照して、PRODAN dC含有ポリデオキシヌクレオチド誘導体の合成方法を説明する。
<化合物(36)(5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロピニル)ナフタレン]-2’-デオキシ -3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン)の合成>
IDC-TBDMS (1 g, 1.72 mmol)(化合物(35))、テトラキス(トリフェニルフォスフィン) パラジウム (398 g, 0.344 mmol, 0.2 eq.)、及びヨウ化銅 (I) (131 mg, 0.688 mmol, 0.4 eq.)のDMF溶液 (7 mL)に、図2の化合物(6) (320 mg, 1.42 mmol )のDMF溶液 (3 mL)、及びトリエチルアミン (0.78 mL)を添加し、この混合物を室温で1時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させ、酢酸エチルで希釈した。この溶液を飽和EDTA溶液、及び5%硫酸水素ナトリウムで洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム :メタノール= 50-20 : 1) で精製して、化合物(36)のラセミ混合物 (890 mg, 92%)を黄色シロップとして得た。
【0292】
1H NMR (CDCl3) の結果、以下の位置にピークが検出された。d 8.06 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 7.77 (s, 1H), 7.68 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.65 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.51 (dd, 1H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 2.6, 9.2 Hz), 6.90 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.24 (t, 1H, J = 6.2 Hz), 5.93 (brs, 1H), 5.72 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 4.35-4.31 (m, 1H), 3.94-3.91 (m, 1H), 3.87 (ddd, 1H, J = 2.7, 6.4, 11.5 Hz), 3.72 (dt, 1H, J = 2.0, 11.4 Hz), 3.05 (s, 6H), 2.44 (ddd, 1H, J= 4.0, 6.0, 13.4 Hz), 2.04-1.96 (m, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.81 (s, 9H), 0.05-0.00 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3) の結果、以下の位置にピークが検出された。d 164.4, 154.3, 149.0, 143.91, 143.86, 134.9, 133.76, 133.73 128.9, 127.0, 126.31, 126.30, 125.21, 125.15, 124.70, 124.67, 116.77, 116.74, 106.32, 106.26, 96.14, 96.11, 90.1, 88.03, 87.99, 86.76, 86.71, 77.5, 71.4, 65.2, 62.5, 42.5, 40.8, 25.9, 25.7, 18.3, 18.0, -4.6, -4.9, -5.40, -5.43, -5.6.
<化合物(37)(5-[6-ジメチルアミノ -2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン)の合成>
5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロピニル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン(36) (1.68 g, 2.47 mmol) 、及び10% Pd/C (1.0 g)のエタノール溶液400mLを水素雰囲気下で、室温下で9時間攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液と洗浄液とを併せて、減圧下で蒸発させた.残渣についてこれらの操作を2回繰り返した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:メタノール= 50-10 : 1)で精製し、化合物(37)のラセミ混合物(1.35 g, 1.98 mmol, 80%)を白色固体として得た。
【0293】
1H NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。 d 7.64 (dd, 1H, J = 2.2, 9.2 Hz), 7.62-7.60 (m, 2H), 7.46 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.432 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.13 (dd, 1H, J = 2.4, 9.2 Hz), 6.88 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.61 (brs, 1H), 6.28 (t, 1H, J= 6.8 Hz), 4.79-4.77 (m, 1H), 4.33-4.28 (m, 1H), 3.87 (q, 1H, J = 2.7 Hz), 3.78 (dd, 1H, J = 3.1, 11.4 Hz), 3.70 (dt, 1H, J = 2.9, 11.2 Hz), 3.02 (s, 6H), 2.50-2.43 (m, 2H), 2.38-2.31 (m, 1H), 2.04-1.98 (m, 1H), 1.94-1.83 (m, 2H), 0.87-0.83 (m, 18H), 0.05-0.00 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。 d 165.2, 165.0, 155.7, 148.7, 138.29, 138.25, 137.7, 134.6, 128.7, 126.69, 126.67, 126.50, 126.49, 124.19, 124.15, 116.7, 106.4, 106.0, 87.5, 85.82, 85.79, 73.0, 72.8, 71.9, 71.8, 62.8, 62.7, 41.9, 40.8, 38.4, 38.2, 25.9, 25.7, 23.8, 23.7, 18.33, 18.31, 18.0, -4.6, -4.9, -5.43, -5.46, -5.49.
<化合物(38)(4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン)の合成>
5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)ジチジン(37) (1.21 g, 1.77 mmol)のジメチルフォルムアミド溶液 (5 ml)であって、N,N-ジメチルフォルムアミドジメチルアセタール(237 mL, 1.77 mmol)を含むものを室温下で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて茶色油を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 20 : 1) で精製して化合物(38) (1.30 g, quant.)を黄色固体として得た。
【0294】
1H NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。 d 8.89 (s, 1H), 7.77-7.60 (m, 4H), 7.36-7.31 (m, 1H), 7.14 (td, 1H, J= 1.1, 9.0 Hz), 6.90 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 6.44-6.37 (m, 1H), 4.65-4.61 (m, 1H), 4.41-4.35 (m, 1H), 3.96-3.84 (m, 2H), 3.76 (dt, 1H, J = 2.7, 11.4 Hz), 3.18-3.15 (m, 6H), 3.028 (s, 3H), 3.025 (s, 3H), 2.53-2.43 (m, 2H), 2.08-1.97 (m, 2H), 1.87-1.80 (m, 1H), 0.89-0.87 (m, 18H), 0.08-0.06 (m, 12H)
13C NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。 d 170.4, 158.84, 158.81, 156.0, 148.5, 140.2, 140.0, 138.0, 134.3, 128.69, 128.66, 126.8, 126.4, 124.65, 124.62, 124.06, 124.00. 116.57, 116.55, 113.4, 113.0, 106.5, 87.8, 87.6, 86.4, 86.1, 71.8, 71.7, 71.4, 71.1, 62.8, 62.7, 42.3, 42.2, 41.9, 41.8, 41.2, 40.95, 40.86, 35.72, 35.67, 25.94, 25.93, 25.8, 24.0, 23.7, 18.41, 18.37, 18.0, -4.6, -4.9, -5.4.
<化合物(39)(4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン)の合成>
4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-[6-ジメチルアミノ-2-(1-ヒドロキシプロパノイル)ナフタレン]-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン(38)のジクロロメタン溶液 (15 mL)に、フレーム乾燥した分子篩(4Å, 700 mg)を添加し、次いで4-メチルモルフォリン N-オキシド (190 mg, 1.62 mmol, 1.5 eq)、及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(19 mg, 0.054 mmol, 5 mol%)を0 ℃で添加し、この混合物を0 ℃で3時間攪拌した。反応終了後、混合物をジエチルエーテル (8 mL)で希釈し、この溶液にケイ酸マグネシウム(商品名フロリジル;フロリジン社)(150-250 μm, 60-100 mesh, 3 g) を添加し、室温で30分間攪拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、ろ液と洗浄液を併せて減圧下で蒸発させた。残渣をNa2SO3水溶液及び酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロフォルム:メタノール= 80 : 1)で精製して化合物(39) (546 mg, 0.742 mmol, 69 %) をレモン色固体として得た。
【0295】
1H NMR(CDCl3) の結果、以下の位置にピークが検出された。d 8.78 (s, 1H), 8.29 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.92 (dd, 1H, J = 1.8, 8.6 Hz), 7.76 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.73 (s, 1H), 7.62 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 2.6, 9.2 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.40 (t, 1H, J = 6.6 Hz), 4.37 (dt, 1H, J = 3.5, 6.2 Hz), 3.93 (q, 1H, J = 3.3 Hz), 3.85 (dd, 1H, J = 3.3, 11.2 Hz), 3.78 (dd, 1H, J = 3.3, 11.4 Hz), 3.42-3.25 (m, 2H), 2.95-2.86 (m, 2H), 3.12 (s, 3H), 3.10 (s, 3H), 3.05 (s, 3H), 2.43 (ddd, 1H, J = 3.5, 6.0, 13.4 Hz), 2.01-1.94 (m, 1H), 0.89 (s, 18H), 0.09-0.06 (m, 12H)
13C NMR(CDCl3)の結果、以下の位置にピークが検出された。 d 199.2, 170.4, 157.9, 156.2, 150.2, 139.1, 137.6, 130.6, 129.7, 126.1, 125.1, 124.6, 116.3, 113.4, 105.3, 87.7, 86.1, 71.9, 62.9, 41.9, 41.1, 40.4, 38.6, 35.1, 25.9, 25.8, 24.1, 18.4, 18.0, -4.6, -4.9, -5.3, -5.4.
<化合物(40)(4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシシチジン)の合成>
4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシ-3’, 5’-O-(tert-ブチルジメチル)シチジン(39) (522 mg, 0.710 mmol)のTHF溶液 (10 mL) 、及び酢酸700 mLに、1 M TBAF溶液 (1.56 mL, 1.56 mmol, 2.2 eq)を添加した。この混合物を室温下で12時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロフォルム:メタノール= 10 : 1)にアプライして、化合物(40) (283 mg, 79%) をレモン色固体として得た。
<化合物(41)(4-(N,N'ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ジチジン)の合成>
4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシシチジン(40) (267 mg, 0.526 mmol)のピリジン溶液 (5 mL)に、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド (232 mg, 0.684 mmol)を添加した。この混合物を室温で4時間攪拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロフォルム:メタノール= 20 : 1)にアプライして化合物(41) (135 mg, 0.167 mmol, 32%)をレモン色固体として得た。
<4-(N,N'-ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシ-3’-O-(シアノエチル-N, N’-ジイソプロピルフォスフォルアミダイト)-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)シチジンの合成>
4-(N,N'ジメチルアミノメチリデン)アミノ-5-PRODAN-2’-デオキシ-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)ジチジン(41) (30.5 mg, 0.0404 mmol)、及びテトラゾール (3.1 mg, 0.0442 mmol)の無水 アセトニトリル溶液(核酸合成用) (0.4 mL)に、2-ジアノエチルテトライソプロピルフォスフォロジアミダイト (13 μL, 0.0398 mmol) を窒素雰囲気下で添加した。この混合物を室温下で30分間攪拌した。この混合物をろ過し、さらに精製せずに用いた。
実施例16(オリゴヌクレオチド誘導体の合成)
実施例15で得られた化合物(41)(PRODAN dCアミダイト体)を原料としてApplied Biosystems社のアプライドバイオシステム392DNA/RNAシンセサイザーを用いてフォスフォロアミダイト法によりオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5’-CGCAATTAACGC-3’(配列番号33)(nは、PRODAN dC含有デオキシリボヌクレオチド;化合物(13)相当)を合成した。得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体のアンモニア溶液を55℃で5時間処理し、EYELA社のCentrifugal Evapolatorにより20分間真空乾燥してアンモニアを除去した。
【0296】
さらに、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体の溶液をCHEMCOBOND 5-ODS-Hカラム(10×150mm)(ChemcoPack社)を用いた逆相HPLCにより精製した。溶出は、0.1Mトリエチルアミンアセテート(TEAA),pH7.0においてアセトニトリルを30分間で5%から20%の勾配をつけて、流速3ml/分間で行った。精製に当たり、目的化合物の検出は254nmの吸光度を測定することにより行った。精製した溶液を凍結乾燥機(FREEZE DRYER FD-5;東京理化社製)にかけて溶媒を除去した後、精製水(milliQ水)0.5mlで希釈し、再度凍結乾燥した。これにより、トリエチルアミンアセテートを完全に除去し、milliQ水50μlで希釈した。
【0297】
また、同様にしてオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体5’-CGCAACCAACGC-3’(配列番号34)(nは、PRODAN dC含有デオキシリボヌクレオチド;化合物(13)相当)を合成した。
実施例17(蛍光分析)
<DNA誘導体>
(A) 実施例16により得られた配列番号33のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長526nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は0.7であった。
【0298】
上記溶液に、配列番号33;5'-CGCAATnTAACGCのオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTAAATTGCG-3’(配列番号35)、(T’);5’- GCGTTATATTGCG -3’(配列番号36)、(G’);5’-GCGTTAGATTGCG-3’(配列番号37)、(C’);5’- GCGTTACATTGCG -3’(配列番号38)をそれぞれ2.5μMとなるように添加し、ボルテックスミキサーにて混合した。
【0299】
これらの溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定したところ、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、526nmにおける蛍光強度は0.8であった。オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には、526nmにおける蛍光強度は0.9であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、526nmにおける蛍光強度は2.1であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、526nmにおける蛍光強度は1.0であった。
【0300】
このように、配列番号33のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシグアニル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が3倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図16(A)に示す。

(B) さらに、実施例16により得られた配列番号34のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体を、2.5μMとなるように、0.1M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた溶液を調製した。この溶液の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計(RF-5300PC,SHIMADZU)を用いて約25℃で測定した。励起波長450nm、放射波長531nm、バンド幅は励起及び放射ともに1.5nmで測定した。1本鎖のオリゴヌクレオチド誘導体の蛍光強度は0.2であった。
【0301】
上記溶液に配列番号34;5'-CGCAACnCAACGCのオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とヌクレオチド誘導体(n)以外の部分が相補的な、別途合成したオリゴデオキシリボヌクレオチド(A’);5’-GCGTTGAGTTGCG-3’(配列番号39)、(T’);5’- GCGTTGTGTTGCG -3’(配列番号40)、(G’);5’-GCGTTGGGTTGCG-3’(配列番号41)、(C’);5’- GCGTTGCAGTTGCG -3’(配列番号42)を用い、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体とオリゴデオキシリボヌクレオチド以外を上記の同様の方法にて測定したところ、オリゴデオキシリボヌクレオチド(A’)を加えた場合には、531nmにおける蛍光強度は0.18であった。オリゴデオキシリボヌクレオチド(T’)を加えた場合には、531nmにおける蛍光強度は0.29であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(G’)を加えた場合には、531nmにおける蛍光強度は0.54であり、オリゴデオキシリボヌクレオチド(C’)を加えた場合には、531nmにおける蛍光強度は0.21であった。
【0302】
このように、配列番号34のオリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体は、相補鎖上のヌクレオチド誘導体(n)と対合するヌクレオチドがデオキシグアニル酸である場合には、ハイブリダイズすることにより、蛍光強度が3倍に増大した。その増大の程度は、その他のヌクレオチドである場合に比べて格段に大きい。蛍光スペクトルを図16(B)に示す。

実施例18
上記式(24)で表される各ヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチド誘導体を用いる場合も、実施例4、11、14、17と同様のパターンを示す結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0303】
【図1】図1は、本発明のヌクレオチド又はヌクレオシド誘導体の合成に供される糖誘導体の合成手順を示す図である。
【図2】図2は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の合成中間体であるアミダイト体(PRODAN-dU)の合成手順を示す図である。
【図3】図3は、実施例3で行ったオリゴヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)のマススペクトルを示す図である。
【図4】図4は、実施例3で行ったオリゴヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)の酵素分解物のHPLCパターンを示す図である。
【図5】図5は、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)に各種DNAをハイブリダイズさせた場合の蛍光スペクトルの変化を示す図である。
【図6】図6は、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)に各種RNAをハイブリダイズさせた場合の蛍光スペクトルの変化を示す図である。
【図7】図7は、オリゴデオキシヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)をプローブとして用いたリアルタイムSSDAによる遺伝子多型の検出、及び核酸の定量を示す図である。
【図8】図8は、オリゴデオキシヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)をプローブとして用いたリアルタイムPCRによる遺伝子多型の検出、及び核酸の定量を示す図である。
【図9】図9は、オリゴデオキシヌクレオチド誘導体(PRODAN-dU)をプライマーとして用いたリアルタイムPCRによる核酸の定量を示す図である。
【図10】図10は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の合成中間体であるアミダイト体(PRODAN-dA)の合成手順を示す図である。
【図11】図11は、実施例10で行ったオリゴヌクレオチド誘導体(PRODAN-dA)の酵素分解物のHPLCパターンを示す図である。
【図12】図12は、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体(PRODAN-dA)に各種DNAをハイブリダイズさせた場合の蛍光スペクトルの変化を示す図である。
【図13】図13は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の合成中間体であるアミダイト体(PRODAN-dG)の合成手順を示す図である。
【図14】図14は、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体(PRODAN-dG)に各種DNAをハイブリダイズさせた場合の蛍光スペクトルの変化を示す図である。
【図15】図15は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の合成中間体であるアミダイト体(PRODAN-dC)の合成手順を示す図である。
【図16】図16は、オリゴデオキシリボヌクレオチド誘導体(PRODAN-dC)に各種DNAをハイブリダイズさせた場合の蛍光スペクトルの変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)で表される化合物。
【化1】

(式中、Rは、以下の式(2)で表される置換基、又は式(3)で表される置換基を示す。)
【化2】

(式中、Rは、=O、又は−NHを示す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【化3】

(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。Rが=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【請求項2】
以下の式(4)で表される請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項3】
以下の式(5)で表される請求項1に記載の化合物。
【化5】

【請求項4】
以下の式(6)で表される請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項5】
以下の式(7)で表される請求項1に記載の化合物。
【化7】

【請求項6】
以下の式(8)で表される請求項1に記載の化合物。
【化8】

【請求項7】
以下の式(9)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化9】

(式中、Rは、以下の式(10)で表される置換基、又は式(11)で表される置換基を示す。)
【化10】

(式中、Rは、=O、又は−NHを表す。Rが=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【化11】

(式中、Rは、−OH、=O、又は−NHを示し、Rが−OH、又は−NHのときRはHを示し、Rが=OのときRは−NHを示す。R=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項8】
式(9)中のRが、以下の式(12)で表される置換基である請求項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化12】

(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項9】
式(9)中のRが、以下の式(13)で表される置換基である請求項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化13】

(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項10】
式(9)中のRが、以下の式(14)で表される置換基である請求項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化14】

(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項11】
式(9)中のRが、以下の式(15)で表される置換基である請求項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化15】

(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項12】
式(9)中のRが、以下の式(16)で表される置換基である請求項7に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド誘導体。
【化16】

(式中、Rは−H、又は−OHを示し、nは0、1、2又は3を示す。)
【請求項13】
ポリヌクレオチドにおいて、1又は2以上のヌクレオチドが以下の式(17)で表されるヌクレオチド誘導体で置換されているポリヌクレオチド誘導体。
【化17】

(式中、R10は、以下の式(18)で表される置換基、又は式(19)で表される置換基を示す。)
【化18】

(式中、R11は、=O、又は−NHを表す。R12は−H、又は−OHを示す。R11が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。)
【化19】

(式中、R13は、−OH、=O、又は−NHを示し、R13が−OH、又は−NHのときR14はHを示し、R13が=OのときR14は−NHを示す。R13=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項14】
式(17)中のR10が、式(20)で表される置換基であるヌクレオチド誘導体で置換されている請求項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【化20】

(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項15】
式(17)中のR10が、以下の式(21)で表される置換基である請求項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【化21】

(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項16】
式(17)中のR10が、以下の式(22)で表される置換基である請求項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【化22】

(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項17】
式(17)中のR10が、以下の式(23)で表される置換基である請求項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【化23】

(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項18】
式(17)中のR10が、以下の式(24)で表される置換基である請求項13に記載のポリヌクレオチド誘導体。
【化24】

(式中、R12は−H、又は−OHを示す。)
【請求項19】
以下の式(25)で表される化合物。
【化25】

(式中、R15は、以下の式(26)で表される置換基、又は式(27)で表される置換基を示す。)
【化26】

(式中、R16は、=O、又は−NHを示す。R16が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【化27】

(式中、R18は、−OH、=O、又は−NHを示し、R18が−OH、又は−NHのときR19はHを示し、R18が=OのときR19は−NHを示す。R18=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項20】
式(25)中のR15が、以下の式(28)で表される置換基である請求項19に記載の化合物。
【化28】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項21】
式(25)中のR15が、以下の式(29)で表される置換基である請求項19に記載の化合物。
【化29】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項22】
式(25)中のR15が、以下の式(30)で表される置換基である請求項19に記載の化合物。
【化30】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項23】
式(25)中のR15が、以下の式(31)で表される置換基である請求項19に記載の化合物。
【化31】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項24】
式(25)中のR15が、以下の式(32)で表される置換基である請求項19に記載の化合物。
【化32】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項25】
以下の式(33)で表される化合物。
【化33】

(式中、R20は、以下の式(34)で表される置換基、又は式(35)で表される置換基を示す。)
【化34】

(式中、R21は、=O、又は−NHを示す。R21が=Oであるときピリミジン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【化35】

(式中、R23は、−OH、=O、又は−NHを示し、R23が−OH、又は−NHのときR24はHを示し、R23が=OのときR24は−NHを示す。R23=Oであるときプリン環の1位NにはHが結合しており、1位Nと6位Cとの間の結合は一重結合である。R22は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項26】
式(33)中のR20が、以下の式(36)で表される置換基である請求項25に記載の化合物。
【化36】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項27】
式(33)中のR20が、以下の式(37)で表される置換基である請求項25に記載の化合物。
【化37】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項28】
式(33)中のR20が、以下の式(38)で表される置換基である請求項25に記載の化合物。
【化38】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項29】
式(33)中のR20が、以下の式(39)で表される置換基である請求項25に記載の化合物。
【化39】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項30】
式(33)中のR20が、以下の式(40)で表される置換基である請求項25に記載の化合物。
【化40】

(式中、R17は−H、又は−OHを示し、DMTrO−はジメトキシトリチル基を示す。)
【請求項31】
請求項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブ。
【請求項32】
請求項31のプローブを含むヌクレオチド同定試薬。
【請求項33】
請求項31のプローブを含む核酸定量試薬。
【請求項34】
基体上に1又は複数の請求項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体が固定又は吸着されたDNAチップ。
【請求項35】
請求項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;
ハイブリダイズ産物の蛍光スペクトルを測定する工程と;
この蛍光スペクトルを、ハイブリダイズ前の上記ポリヌクレオチド誘導体の蛍光スペクトルと比較することにより、標的核酸の特定位置のヌクレオチドの種類を同定する工程と
を含む標的核酸中のヌクレオチドの同定方法。
【請求項36】
請求項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプライマー。
【請求項37】
請求項36のプライマーを含む核酸定量試薬。
【請求項38】
請求項13〜18のいずれかに記載のポリヌクレオチド誘導体を試料中の標的核酸とハイブリダイズさせる工程と;
ハイブリダイズ産物の蛍光強度を測定する工程と;
この蛍光強度を、濃度既知の標的核酸と上記ポリヌクレオチド誘導体とのハイブリダイズ産物の蛍光強度と比較することにより、標的核酸の濃度を求める工程と
を含む試料中の標的核酸の定量方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−169240(P2006−169240A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335005(P2005−335005)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年5月25日から5月26日 独立行政法人科学技術振興機構主催の「SORSTジョイントシンポジウム(1) DNAコンジュゲートケミストリー」において文書をもって発表
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】