説明

ホースポンプ

【課題】伸長時の歪みに耐え、良好な疲労寿命を有するホースポンプおよびホースポンプ用のホースを提供すること。
【解決手段】このホースポンプ用のホースは、充填材層によって分離された内側および外側のプライを備える。これら内側および外側のプライは、互いに反対方向へ螺旋状に巻かれている。ここで、内側プライは外側プライよりも浅い角度で巻かれている。両プライは、ワイヤ、特に金属線、例えば鋼線により作成される。プライの角度と、充填材層の厚さとは、ホースを伸長させることにより発生する内側及び外側プライの捻り効果が実質的にバランスを保つように選択し得る。これにより、使用中に伸長させた際に、ホースの捻れ防止を促進できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースポンプに関し、特に、ホースポンプに適したホースの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ホースポンプは、例えば、発電システムを含む様々なシステムにおいて用途を有する。
【0003】
伸長及び弛緩させると共に、伸長時に収縮し、弛緩時に再び拡張するように構成されたホースを備えるホースポンプを提供することが知られている。この収縮及び拡張は、ホース内の液体を送り出すために使用される。
【0004】
ホースポンプ用ホースの要件は、他の殆どの種類のホースのものとは異なっている。特に、ホースポンプ用ホースは、軸線方向の伸長時に著しく収縮すること、及び比較的容易且つ比較的大量に伸長して径方向の収縮及びポンピング効果を発生可能であることが望ましい。通常、ホースポンプのホースは、約20%伸長するように構成し得る。これは、例えば、約2%のみの伸長が見込まれる油輸送用のホース等、より一般的なホースとは対照的である。この種のホースに求められる高度な伸長のため、ホースは、付随する歪みのレベルに耐え、良好な疲労寿命を有することが可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軸線方向剛性及びヒステリシス減衰といったホースの他の特性は、特定の用途に合わせて調整する必要がある。例えば、ホースポンプが波力エネルギ発生システムの一部である場合、こうしたパラメータは、システムからのエネルギ捕捉効率を最大化するために調整する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、充填材層により分離された内側プライ及び外側プライを備え、内側及び外側プライは反対方向へ螺旋状に巻かれており、内側プライは外側プライより浅い角度を有する、ホースポンプ用ホースを提供する。
【0007】
プライは、ワイヤ、特に金属線、例えば鋼線により作成される。
【0008】
内側プライのホースの中心からの半径は、外側プライの半径の20%乃至90%の範囲にし得る。
【0009】
プライの角度と、充填材層の厚さとは、ホースを伸長させることにより発生する内側及び外側プライの捻り効果が実質的にバランスを保つように選択し得る。これにより、使用中に伸長させた際に、ホースの捻れ防止を促進できる。
【0010】
本発明は、更に、本発明によるホースと、端部取付具とを備えるホース組立体を提供し、端部取付具は、ホースの端部が乗り越えて延びる第一の端部と、取付フランジが配置された第二の端部とを有する管状部を含み、取付具は、内側及び外側プライをそれぞれ保持するために、管状部の外面に形成された第一及び第二の保持ビーズを有する。
【0011】
充填材層は、ホースの端部に向かって厚さが減少することが好ましい。
【0012】
本発明は、更に、内側及び外側プライをプライ間の充填材層と共に有するホースと、端部取付具とを備えたホース組立体を提供し、端部取付具は、ホースの端部が乗り越えて延びる第一の端部と、取付フランジが配置された第二の端部とを有する管状部を含み、取付具は、内側及び外側プライをそれぞれ保持するために、管状部の外面に形成された第一及び第二の保持ビーズを有し、充填材層は、ホースの端部に向かって厚さが減少する。
【0013】
充填材層は、端部取付具の第一の端部を越えたホースの少なくとも一部に渡って、厚さが減少し得る。ホースのその部分は、端部取付具により支持されない状態にし得る。充填材層は、取付具の第一の端部から第一の保持ビーズまで、実質的に一定の厚さにし得る。充填材層は、第一及び第二の保持ビーズ間において、その距離の全体又は一部に渡って、連続的又は段階的に厚さが減少し得る。
【0014】
本発明は、更に、ホース内に位置するように構成された第一の端部と、接続フランジが設けられた第二の端部とを有する管状部材を備えたホース端部取付具を提供し、取付具の第一の端部には、可撓性延長部が設けられる。
【0015】
可撓性延長部は、管状部材とは異なる材料により形成し得る。例えば、管状部材より可撓性の高い材料により形成し得る。延長部は、管状にし得る。延長部は、少なくともその長さの一部に渡り、自由端部に向かって厚さが減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態によるホースポンプを示す概略図である。
【図2】図1のホースポンプの動作サイクルを示す図である。
【図3】図1のポンプの一枚の壁の概略断面図である。
【図4】図3のホースの径方向の収縮に必要なエネルギに対する充填材層の厚さの影響を示す図である。
【図5a】図2のホースの補強巻線の概略図である。
【図5b】図2のホースの補強巻線の概略図である。
【図6】図2のホースのホース端部取付具の断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるホース端部取付具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、次の添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を一例としてのみ説明する。
【実施例】
【0018】
図1を参照すると、ホースポンプは、水面に浮くように構成された浮遊ブイ10と、上端部12がブイ10に接続され、下端部13がアンカポイント14に接続されて実質的に固定された、一本のホース11とを備える。作動中、水面の波により、ブイ10は上昇及び下降し、これによりホース11を伸長及び弛緩させて、径方向に収縮及び拡張させる。ホース11は、上端及び下端において密閉されており、ホースの内部は、吸入弁17及び吐出弁18を介して発電機15に接続されている。収縮及び拡張は、ホース11内部の容積を変化させ、これによりホースから吐出弁18を介して水を送り出し、吸入弁17を介して内部へ戻すことで、発電機15に水を通過させる。
【0019】
図2を参照すると、ホース11が水で満たされた状態を起点として、ホースポンプは、そのポンピングサイクルにおいて、主に三種類の段階を通過する。図2において1により示した第一の段階では、両方の弁17、18は閉じており、ホースは伸長している。この結果、ホース内の水の圧力は増加する。次に、吐出弁18が開き、ホースを更に伸長させ、ホース内の水は、その一部が送出されつつ、一定の圧力を維持した状態となる。これを図2において段階2として示している。軸線方向の伸長サイクルの最高点、即ち、ホース11の最大延長状態において、水の圧力は下降する。その後、吐出弁が閉じ、吸入弁17が開いて、ホースは段階3を開始し、その間に再び当初の長さへ収縮して、吸入弁17を介してホース内へ水を引き込む。ホースにはヒステリシスが存在するため、ホースの軸線方向の伸長及び弛緩の仕事が終了すると、ヒステリシス減衰効果が生じる。
【0020】
図3を参照すると、図1のホースポンプに使用されたホースは、充填材24の層により分離された内側プライ20と外側プライ22とを備える。内側及び外側パイル20、22のそれぞれは、ここでは厚さ2.5mmであるポリマ材料、例えば、SBRゴムの層に埋め込まれた、螺旋状に巻かれた直径1.5乃至2.0mmの一連のワイヤコードを備える。ワイヤの密度は、ここでは100mm当たり39端部である。当然ながら、これらの値は、様々な特性のホースにおいて変化する。ブレーカ25及びライナ26が、内側プライ20の内部に設けられ、ライナ26は、ホースの内面を形成する。サブカバー28aと、ブレーカ28bと、主外側カバー28cとを備えたカバー28が、外側プライ22の外側に設けられ、主外側カバー28cは、ホースの外面を形成する。
【0021】
本実施形態において、ホースの様々な層の寸法及び特性は、以下の表にまとめられる。

【0022】
ホースの構造は、様々な層の寸法及び材料を含め、様々な形で特性に影響を与えるため、選択した構造を利用して、必要に応じてホースの特性を調整することができる。次に、様々な構造パラメータがホースの特性にどのように影響するかを説明する。
【0023】
ホースの軸線方向の伸長により、二枚のプライ20、22の径方向内側への変位が発生することは理解されよう。これは、ワイヤ製であるプライの非弾力性によるものであり、ホースの伸長により両端部を引き離した時、プライは、伸長不可能であるため、径方向内側へ強制される。
【0024】
充填材層の厚さは、軸線方向伸長時のホース内面の径方向収縮に影響を与える。充填材層24の軸線方向の伸長を無視し、その断面積が一定のままであると仮定すると、径方向収縮に応答して、充填材層24の径方向厚さは増加する必要があることが計算できる。この効果を使用して、ホースを伸長させることにより発生するポンピング効果を増幅する機械的利点の形態を提供する。更に、後述するように、内側及び外側プライ20、22の差動的な径方向収縮と協働するように構成することも可能である。
【0025】
充填材層24の厚さは、ホース11の軸線方向の剛性に影響する。二枚のプライ20、22間の充填材の層が厚いほど、伸長時の内側及び外側プライ間の半径の変化における差が大きくなるため、径方向収縮を発生させるために行われる仕事が大きくなり、したがって、伸長する際のホースの剛性が大きくなることは理解されよう。これは、数学的に次のように記述可能である。
【0026】
軸対称に負荷を加えた中空円筒における、半径rの関数とした変位uの一般解は、

となり、ここで、a及びbは、定数である。
【0027】
内径がinnerradiusであり、外径がouterradiusである中空円筒における歪みの成分は、次のように与えられる。

【0028】
平面歪み状態において、ヤング率E及びポアソン比νの関数としての剛性は、次の通りである。

【0029】
歪みσは、次のように与えられる。

(ε、σは、応力及び歪みテンソルを表す)
【0030】
積分定数a及びbは、円筒の内面及び外面の固定変位(変形)を強制することにより決定される。

【0031】
幾何学的特性、材料特性、及び強制された変位の関数としての変形のエネルギFは、次のように計算することができる。

【0032】
図4を参照すると、このように計算された、ホースを径方向に収縮させるために必要なエネルギ(即ち、行われた仕事)は、ホース内面の径方向の撓みと、充填材の厚さとの関数としてプロット可能である。任意の特定のホースは、一定の充填材厚さの線に従い、図示したように、計算によるホース収縮のためのエネルギは、上述したように、充填材厚さと共に増加する。
【0033】
ホースの伸長剛性における別の要素は、充填材層及び他の構成要素の軸線方向の伸長により生じるものである。しかしながら、軸線方向の収縮による剛性は、多くの設計において、少なくとも軸線方向の伸長による剛性と同程度になることが分かっている。
【0034】
再び図2を参照すると、ホースポンプにおけるヒステリシス損失の量は、ある程度は緩和弾性率により決まる。一般には、緩和弾性率が低いほど、ヒステリシス損失は大きくなる。更に、体積弾性率が高いほど、システム全体の効率は良好になる。したがって、充填材層24の材料を選択して、こうしたホースの特性を調整することができる。ゴムは応力歪みにおいて高度に非線形であるため、様々な歪みの範囲において異なる特性を発生させる複合物又は二種類の複合物を選択することが可能である。例えば、充填材層は、軸線方向の歪みに対して一般的な0乃至20%の歪みの範囲において一組の特性を有するが、径方向の歪みに対して一般的な20%乃至50%の範囲内では、異なる特性、例えば、より低い弾性率を有するように選択し得る。
【0035】
本実施形態において利用される別の重要な作用は、螺旋巻きプライ20、22の軸線方向の伸長により生じる捻れ効果である。螺旋巻きプライを軸線方向に伸長させた場合には、巻きが解けて、ホースに対する捻り効果を発生させる傾向にあることは理解されよう。この捻り効果は、長手方向に対するプライの角度の変化と共に変化する。非常に浅い角度、即ち、長手(軸線)方向に近い角度では、捻り効果は、より開いた角度、即ち周方向に近い角度に比べて大きくなる。しかしながら、捻りトルクに影響する別の要素には、ホースの中央長手軸線から測定した、プライの管状形態の直径がある。これには、二つの理由がある。第一に、プライが位置する場所の半径が大きくなるほど、プライの層の外周は大きくなるため、より多くのプライが層に存在することになり、そのため、プライが発生させる捻れ効果は大きくなる。第二に、捻り効果はトルクであるため、伸長時に特定の力を与える任意の特定の数のプライでは、トルクは、ホースの中心軸線からの距離と共に増加する。したがって、プライの内側層及び外側層が同じ角度のプライを同じ密度で有する場合、外側プライの捻れ効果は、内側プライの捻れ効果より大きくなる。
【0036】
図5a及び5bを参照すると、本実施形態において、内側及び外側プライ20、22は、反対方向に巻かれている。これは、ホースの伸長時、内側及び外側プライがホースを反対方向に捻る傾向を有し、そのため、二層のプライの捻り効果が少なくとも部分的には互いに相殺されることを意味する。更に、内側層20のプライは、より開いた角度で巻かれた外側層22のプライの角度γに比べ、浅い角度βで巻かれている。二組のプライの角度を選択し、二層のプライ間の直径の差に角度を一致させることにより、二層の捻り効果は、実質的にバランスがとれるように構成される。
【0037】
一般に、利用される角度は、30°乃至70°の範囲であり、通常は36°乃至50°の範囲内である。プライの内側層及び外側層の直径の差は、当然ながら、必要な特性に応じて変化するが、一般に、内側プライの層の直径は、外側パイルの層の直径の50%乃至90%の間であるが、通常は60%より大きく、実際には、殆どの場合、70%より大きくなる。プライ間の充填材層24の厚さは、一般に、ホース壁の総厚さの少なくとも20%であり、実際には、通常、30%より大きく、多くの場合には、40%より大きい。一部の好適な実施形態では、充填材層は、弛緩状態において、ホース壁の厚さの50%より大きい。
【0038】
関連する別の作用は、螺旋プライの軸線方向伸長により生じる径方向収縮である。プライが非弾性であるとすると、伸長時の径方向収縮は、プライの巻き角により決まる。非常に開いた角度を有するプライでは、伸長時の径方向収縮は、より浅い角度を有するプライに比べ少なくなる。そのため、本実施形態において、浅い角度の内側プライは、より開いた角度の外側プライに比べ、伸長時に径方向に多く収縮する傾向を有する。これは、この径方向収縮の差が、ホースの長軸方向への伸長時に、内側プライの半径を外側プライの半径よりも多く減少させる上で役立つことを意味している。したがって、これは、径方向内側に収縮する際に厚さを増加させる傾向を充填材層に与える上述した作用と一致しており、これにより、二層のプライ20、22間において、径方向収縮に対する充填材層の抵抗により生じた、プライに対する径方向の負荷のバランスをとることが可能となる。
【0039】
充填材層の弾性率と、充填材層の厚さと、更にワイヤ結束角度等、ホースの他のパラメータとを調整することにより、ホースの特性を調整して必要な使用を満たすことが可能であることは理解されよう。本実施形態において、ホースの特性は、効率的な波力ホースポンプを提供するように選択される。これには、特定の海面状態におけるシステムによるエネルギ抽出効率を最適化するために選択された、最適なヒステリシス損失の度合いと軸線方向剛性とが必要であり、更に、剛性及び減衰特性に一致した最大ポンピング量が必要となる。本実施形態の別の重要な特徴は、ホースが耐えるように設計された歪みの範囲の少なくとも一部に渡って、歪みの増加と共に弾性率が減少するように構成されることである。再び図4を参照すると、この目的は、歪み/負荷特性の非線形性を減少させることであり、更には、これにより、ホースの体積変位と軸線方向伸長との間において恒常性の高い関係の維持を支援することができる。
【0040】
図6を参照すると、図2及び3のホース用の鋼製端部取付具38は、ホース端部へ挿入するように構成された第一の端部42と、取付具が幅を増して接続フランジ46が形成される位置にある第二の端部44とを有する管状部40を備える。二つの周方向保持ビーズ48、50は、管状部40の外面に設けられ、第一のビーズ48は、管状部材の第一の端部42の側にあるが、第一の端部42から間隔を空けており、第二のビーズ50は、フランジ46の側にある。ホースのライニング26は、取付具の第一の端部42と最初に接触する場所では端部取付具38と同じ内径を有し、その後、端部取付具38の外面上に延びる場所では直径が増加している。内側プライ20は、ホースの主要部分から、第一のビーズ48の上面52まで、実質的に一定の半径、或いは非常に緩やかに変化する半径を有して延びる。内側充填材層54は、ライニング26と内側プライ20との間に設けられ、ライニング26と内側プライ20との間の距離の変化に従って、端部取付具の第一の端部42を越えた位置にあるホースの主要部分における厚さに比べ、端部取付具の第一のビーズ48と第一の端部42との間において薄くなっている。内側充填材層54は、第一のビーズ48の位置で停止し、二つのビーズ48、50間の端部取付具の領域56において、内側プライ20は、結束線58により端部取付具に結束される。
【0041】
主充填材層24は、取付具38の第一の端部42を過ぎた位置にあり且つ端部取付具38から軸線方向に間隔を空けた境界点60と、取付具38の第一の端部42との間において、厚さが減少する。これは、充填材層24を形成するポリマ材料の層の端部をずらして、端部取付具上で直接支持されないホース領域に渡って、充填材層の総厚さを段階的に減少させることにより達成される。したがって、外側プライ22の直径も、境界点60と取付具の端部42との間で段階的に減少する。端部取付具の内側端部42と第一のビーズ48との間の部分に渡って、主要充填材層24は、実質的に一定の厚さを有し、したがって、外側プライは、実質的に一定の直径を有する。主充填材層24は、主充填材層24が結束線58の上に延びる、二つのビーズ48、50間において、再び厚さが減少し、第二のビーズ50の内側で終了する。
【0042】
外側プライ22の直径の緩やかな減少と、充填材層24の厚さの緩やかな減少との利点は、端部取付具の領域にあるホース内の応力が徐々に変化し、充填材層が長さに沿って急に厚さを変化させた際に生じがちな急激な変化を発生させないことである。この緩やかな変化又は半径は、ホースの伸長及び弛緩時に、補強線の著しい屈曲を回避する上でも役立つ。充填材層24の厚さの緩やかな変化の他の利点は、その厚さにおける剪断歪みの緩やかな変化を可能にすることである。これは、剪断歪みの急速な変化が疲労寿命にとって有害であることから重要である。
【0043】
第二のビーズ50を通り過ぎて、第二のビーズ50とフランジ46との間にある場所において、内側及び外側プライ20、22は、互いに接触している。第二のビーズ50を越えた領域において、二層のプライ20、22は、外側の一組の結束線62により端部取付具に結束される。内側の結束線58は、第一のビーズ48と共に、内側プライ20の固定の大部分をもたらし、外側の一組の結束線62は、第二のビーズ50と共に、外側プライ22の固定の大部分をもたらす。
【0044】
ここではKevlarTM等のアラミド製であるストラッピング64は、取付具38の端部42と第一のビーズ48との間の領域において、内側プライ20に巻き付けられている。同様のストラッピングは、取付具の端部42から第二のビーズ50の内側までの全体で、外側プライ22上に設けられる。このストラッピング64は、端部取付具38と相対的なホース構成要素の運動を制御された形で緩やかに変化させ、これにより、歪みの急速な変化を防止するように構成される。更に、ビーズ上など、フレッティングが生じる恐れのある領域でのホースの著しい運動を防止する。ストラッピングは、端部取付具38の全長に渡って必要な制御が提供されるように、取付具38の端部まで延びる。
【0045】
ホース取付具42の端部の最後の地点には、ホース取付具38により支持されて径方向に収縮できないホースの部分と、支持されていないため径方向に収縮可能なホースの部分との間での急激な移行が存在することは理解されよう。これにより、ホースのその部分には多くの歪みが加わる可能性がある。したがって、本発明の他の実施形態では、図7に示したように、鋼製端部取付具72の内端部に、可撓性延長部70が設けられる。延長部70は、鋼製端部取付具よりも可撓性の高い材料により作成され、ここでは、ポリマ材料により作成される。延長部70は、更に、鋼製端部取付具から離れる内向きの方向で可撓性が増加するように構成される。これを達成するために、延長部は、鋼製端部取付具72と同じ一定の内径を有し且つ同軸となる管状であり、鋼製端部取付具から離れる方向で厚さが減少するように構成される。これは、端部取付具72に支持されたホースが伸長力を受けた時、鋼製端部取付具に支持されたホースの部分と、延長部70の端部を過ぎたホースの部分との間で、収縮可能となる容易さが徐々に変化し、したがって、ホースが受ける径方向収縮の度合いとが、徐々に変化することを意味する。これは、端部取付具の端部において、ホースの歪みの減少を支援するため、ホース組立体の耐久性を高める。ここでは、延長部は、端部取付具の長さの約10%であるが、5%乃至20%にすることも可能であり、或いは2%の短いもの、又は30%の長いものにすることもできる。
【0046】
一実施形態において、延長部は、一定の厚さにしてよく、或いは、その長さの一部に沿って厚さのみが変化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この端部取付具の仕組みは、伸長の度合いが通常のホースよりも著しく高いホースポンプシステムに特に望ましいが、油輸送ホース等、他のタイプのホースシステムにおいても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材層により分離された内側プライ及び外側プライを備えるホースポンプ用ホースであって、前記内側及び外側プライは反対方向へ螺旋状に巻かれており、前記内側プライは前記外側プライより浅い角度を有するホース。
【請求項2】
前記プライは、前記充填材層より弾性が少ない、請求項1記載のホース。
【請求項3】
前記プライは、ワイヤにより作成される、請求項1又は2記載のホース。
【請求項4】
前記内側プライの前記ホースの中心からの半径は、前記外側プライの半径の20%乃至90%の範囲である、先行する請求項の何れかに記載のホース。
【請求項5】
前記充填材層は、ポリマ材料製である、先行する請求項の何れかに記載のホース。
【請求項6】
前記プライの角度と、前記充填材層の厚さとは、前記ホースを伸長させることにより発生する前記内側及び外側プライの捻り効果が実質的にバランスを保つように選択される、先行する請求項の何れかに記載のホース。
【請求項7】
先行する請求項の何れかに記載のホースと、端部取付具とを備えるホース組立体であって、前記端部取付具は、前記ホースの端部が乗り越えて延びる第一の端部と、取付フランジが配置された第二の端部とを有する管状部を含み、前記取付具は、前記内側及び外側プライをそれぞれ保持するために、前記管状部の外面に形成された第一及び第二の保持ビーズを有する、ホース組立体。
【請求項8】
前記充填材層は、前記ホースの前記端部に向かって厚さが減少する、請求項7記載の組立体。
【請求項9】
内側及び外側プライを前記プライ間の充填材層と共に有するホースと、端部取付具とを備えたホース組立体であって、前記端部取付具は、前記ホースの端部が乗り越えて延びる第一の端部と、取付フランジが配置された第二の端部とを有する管状部を含み、前記取付具は、前記内側及び外側プライをそれぞれ保持するために、前記管状部の外面に形成された第一及び第二の保持ビーズを有し、前記充填材層は、前記ホースの前記端部に向かって厚さが減少する、ホース組立体。
【請求項10】
前記充填材層は、前記端部取付具の前記第一の端部を越えた前記ホースの一部に渡って、厚さが減少する、請求項8又は9記載の組立体。
【請求項11】
前記充填材層は、前記取付具の前記第一の端部から前記第一の保持ビーズまで、実質的に一定の厚さである、請求項8乃至10の何れかに記載の組立体。
【請求項12】
前記充填材層は、前記第一及び第二の保持ビーズ間において厚さが減少する、請求項10又は11記載の組立体。
【請求項13】
ホース内に位置するように構成された第一の端部と、接続フランジが設けられた第二の端部とを有する管状部材を備えたホース端部取付具であって、前記取付具の前記第一の端部には、可撓性延長部が設けられる、ホース端部取付具。
【請求項14】
前記可撓性延長部は、前記管状部材とは異なる材料により形成される、請求項13記載のホース取付具。
【請求項15】
前記延長部は、前記管状部材より可撓性の高い材料により形成される、請求項14記載のホース取付具。
【請求項16】
前記延長部は、ポリマ材料により形成される、請求項14又は15記載のホース取付具。
【請求項17】
前記延長部は、管状である、請求項13乃至16の何れかに記載のホース取付具。
【請求項18】
前記延長部は、自由端部に向かって厚さが減少する、請求項13乃至17の何れかに記載のホース取付具。
【請求項19】
前記端部取付具は、請求項13乃至18の何れかに記載の端部取付具である、請求項7乃至12の何れかに記載のホース組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518293(P2011−518293A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504519(P2011−504519)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000166
【国際公開番号】WO2009/127798
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506368718)ダンロップ・オイル・アンド・マリーン・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】DUNLOP OIL & MARINE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Moody Lane Pyewipe Grimsby DN31 2SP Great Britain
【Fターム(参考)】