説明

ポジ型光像形成性底面反射防止コーティング

本発明は、水性アルカリ性現像剤中で現像可能なポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物であって、発祥団基を有する少なくとも一つの繰り返し単位とヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有する少なくとも一つの繰り返し単位とを含むポリマー、末端にビニルエーテルを有する構造(7)の架橋剤、任意に及び光酸発生剤及び/または酸及び/または熱酸発生剤を含み、ここで構造(7)は、
【化1】


[式中、Wは、(C−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル部分、置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)脂肪環式炭化水素部分及び置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)シクロアルキルアルキレン部分から選択され; Rは、C−C10線状もしくは分枝状アルキレンから選択され; そしてnは≧2である」
である、前記ポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物に関する。本発明は、更にこのような組成物を使用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のポジ型光像形成性かつ水性現像性反射防止コーティング組成物、及び反射性基材とフォトレジストコーティングとの間に該新規反射防止コーティング組成物の薄い層を形成することによるイメージプロセッシングにおけるそれらの使用に関する。このような組成物は、フォトリスグラフィ技術による半導体デバイスの製造に、特に深紫外線での露光を必要とする半導体デバイスの製造に特に有用である。これらのコーティングは、エッジビードリムーバとの使用に特に相性がよい。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップ及び集積回路の製造などの微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。一般的に、これらのプロセスでは、先ず、フォトレジスト組成物のフィルムの薄い被膜を、集積回路の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材上に塗布する。この被覆された基材を次いでベークしてフォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発させて、基材上に被膜を定着させる。基材のこの被覆及びベークされた表面を次に放射線による像様露光に付す。
【0003】
この放射線露光は、被覆された表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーが、現在、マイクロリソグラフィプロセスに常用されている放射線種である。この像様露光の後、被覆された基材を現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかを溶解、除去する。
【0004】
フォトレジスト組成物にはネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ポジ型フォトレジスト組成物を放射線に像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に可溶性になり、他方、未露光の領域のフォトレジスト被膜は、このような溶液に比較的不溶性のまま残る。それ故、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、フォトレジスト被膜の露光された領域が除去されて被膜にポジ型の画像が形成され、それによってフォトレジスト組成物が堆積していたところの下にある基材表面の所望の部分が裸出される。ネガ型フォトレジストでは、現像剤は露光されていない部分を除去する。
【0005】
半導体デバイスは微細化される傾向にあり、そのためこのような微細化に伴う問題を解消するために、より一層短い波長の放射線に感度のある新しいフォトレジストや、及び精巧なマルチレベルシステムの両方が使用されている。
【0006】
四分の一ミクロン未満の幾何形状を持つ画像をパターン化するためには、高解像度化学増幅型深紫外線(100〜300nm)ポジ型及びネガ型フォトレジストを利用できる。微細化に大きな進展をもたらした二つの主要な深紫外線(uv)露光技術があり、これらは、248nm及び193nmの放射線を放つレーザーである。このようなフォトレジストの例は、次の特許、すなわちUS4,491,628(特許文献1)、US5,350,660(特許文献2)、EP794458(特許文献3)及びGB2320718(特許文献4)に記載されている。なお、これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。248nm用のフォトレジストは、典型的には、置換されたポリヒドロキシスチレン及びそれのコポリマーに基づく。他方、193nm露光用のフォトレジストは、芳香族類がこの波長で不透明なために非芳香族系ポリマーを必要とする。一般的に、脂肪環式炭化水素は、芳香族官能基を排除することによって失われる耐エッチング性を補うためポリマーに組み入れられる。更に、より低い波長では、基材からの反射が、フォトレジストのリソグラフィ性能にとって益々有害なものとなる。それゆえ、これらの波長では、反射防止コーティングが重要となる。
【0007】
フォトリソグラフィにおける高吸収性の反射防止コーティングの使用は、高反射性基材からの光の後方反射(back reflection)の結果生ずる問題を軽減するためのより簡単な方策である。底面反射防止コーティングは基材上に塗布され、次いでこの反射防止コーティングの上にフォトレジストの層が付与される。このフォトレジストは像様露光及び現像される。次いで、露光された領域の反射防止コーティングは、典型的にはエッチングされ、そうしてフォトレジストパターンが基材に転写される。従来技術において既知の反射防止コーティングの殆どは、ドライエッチングされるように設計されている。反射防止フィルムのエッチング速度は、反射防止フィルムが、エッチングプロセスの間にレジストフィルムの過剰の損失を伴うことなくエッチングされるように、フォトレジストと比べて比較的高いものである必要がある。反射防止コーティングには無機コーティングと有機コーティングの二つの既知の種のものがある。しかし、これらのタイプのコーティングはどちらも、これまでドライエッチングによる除去用に設計されてきた。
【0008】
加えて、反射防止コーティングのドライエッチング速度が、反射防止コーティングの上面にコーティングされたフォトレジストのエッチング速度と類似するかまたはこれより遅い場合には、フォトレジストパターンがダメージを受けるかまたは基材に正確に転写されない恐れがある。有機系コーティングを除去するためのエッチング条件は、基材にもダメージを与え得る。ドライエッチングによって除去しなければならない反射防止コーティング組成物は既知である。それ故、ドライエッチングする必要がなく、また特にエッチングダメージに敏感な化合物半導体タイプの基材において、良好なリソグラフィ性能も供し得る、有機系底面反射防止コーティングに対する要望がある。
【0009】
本発明の新規方策は、ドライエッチングにより除去されるのではなく、水性アルカリ性溶液によって現像し得る吸収性ポジ型像形成性底面反射防止コーティングを使用することである。底面反射防止コーティングの水性除去は、被膜のドライエッチング速度に関する要件を排除し、コスト集約的なドライエッチング加工工程を低減し、またドライエッチングによって生ずる基材へのダメージを防ぐ。本発明の吸収性底面反射防止コーティング組成物は、架橋性化合物とポリマーとを含む。被膜は硬化され、次いで上面ポジ型フォトレジストを露光するのに使用されるのと同じ波長の光で露光されると、該反射防止膜は、フォトレジストを現像するのに使用するのと同じ現像剤中で像形成可能になる。このプロセスは、多くの加工工程を排除することによりリソグラフィプロセスを大きく簡素化する。該反射防止コーティングは感光性であるため、反射防止コーティングの除去の程度は、反射防止コーティング中での残存フォトレジスト像の良好な描画を可能にする光学潜像によって画定される。
【0010】
本発明の新規反射防止組成物は、光像形成性で水性アルカリ現像性のポジ型反射防止コーティングに関する。本発明の反射防止コーティング組成物は、基材からのフォトレジスト中での反射を防止するために、フォトレジスト層の施用前に基材にコーティングされる。反射防止コーティングの固形成分は、共通のフォトレジスト溶剤中に可溶性であり、かつコーティングを形成することができ、更にエッジビードリムーバ溶剤との相性がよい。エッジビードリムーバ溶剤は、スピンコートプロセスの間に形成される反射防止コーティングの縁(エッジ)の堆積物を除去するために使用される。該反射防止コーティングは、その上に施用される上面フォトレジスト層と同じ波長の化学線で光像形成可能であり、かつフォトレジストを典型的に現像するのに使用されるのと同じ水性アルカリ性現像溶液で現像可能である。単一の露光ステップと単一の現像ステップとの組み合わせはリソグラフィプロセスを大きく簡素化する。更に、水性現像可能な反射防止コーティングは、芳香族官能基を含まないフォトレジスト、例えば193nm及び157nm露光に使用されるフォトレジストを使用する画像形成に特に望ましい。該新規組成物は、フォトレジストから基材への良好な画像の転写を可能とし、またフォトレジストにおける反射ノッチング及び線幅変動または定在波を防ぐ良好な吸収特性を有する。加えて、反射防止コーティングとフォトレジストフィルムとの間に相互混合は実質的に無い。また、該反射防止コーティングは、良好な溶液安定性をも有し、そして優れたコーティング品質を持った薄いフィルムを形成する。後者は、リソグラフィにとって特に有利な事である。該反射防止コーティングを画像形成プロセスにおいてフォトレジストと共に使用すると、基材にダメージを与えることなく、鮮明が画像が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US4,491,628
【特許文献2】US5,350,660
【特許文献3】EP794458
【特許文献4】GB2320718
【特許文献5】US6,114,085
【特許文献6】US5,652,297
【特許文献7】US5,981,145
【特許文献8】US6,187,506
【特許文献9】US5,939,236
【特許文献10】US5,935,760
【特許文献11】米国特許出願第12/570,923号明細書
【特許文献12】米国特許第12/269,072号明細書
【特許文献13】US5,731,386
【特許文献14】US5,880,169
【特許文献15】US5,939,236
【特許文献16】US5,354,643
【特許文献17】US5,716,756
【特許文献18】US5,069,997
【特許文献19】US6,447,980
【特許文献20】US6,723,488
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】CRC Handbook of Chemistry and Physics,CRC Press Inc.
【発明の概要】
【0013】
本発明は、水性アルカリ性現像剤中で現像可能なポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物に関するものであり、該反射防止コーティング組成物は、
発色団基を有する少なくとも一つの繰り返し単位、及びヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有する少なくとも一つの繰り返し単位を含むポリマー、構造(7)の末端がビニルエーテルで停止された架橋剤、任意に及び光酸発生剤を含み、ここで構造(7)は次の通りである。
【0014】
【化1】

【0015】
式中、Wは、(C−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル部分、置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)脂肪環式炭化水素部分及び置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)シクロアルキルアルキレン部分から選択され; Rは、C−C10線状もしくは分枝状アルキレンから選択され、そしてn≧2である。本発明は更に、本発明の反射防止組成物を用いて画像を形成する方法に関する。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明は、新規の吸収性で光像形成性かつ水性現像性のポジ型画像形成反射防止コーティング組成物であって、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基などの架橋性基を有する少なくとも一つの単位と吸収性発色団を有する少なくとも一つの単位とを含むポリマー、末端がビニルエーテルで停止された架橋剤、任意に及び光酸発生剤を含む、反射防止コーティング組成物に関する。該組成物中には熱酸発生剤も存在してよい。該ポリマーは、アルカリ可溶性かつ水不溶性であってもよいし、そうでなくともよい。本発明は更に、このような組成物を使用する方法、特に上記光酸発生剤が好ましくは感度を示す約50nm〜約450nmの照射のためにこの組成物を使用する方法にも関する。
【0017】
本発明の反射防止コーティング組成物は、基材からフォトレジスト中への反射を防止するために、基材の上でかつポジ型フォトレジストの下にコーティングされる。この反射防止コーティングは、上面フォトレジストと同じ波長の光で光像形成可能であり、かつフォトレジストを典型的に現像するのに使用されるのと同じ水性アルカリ性現像溶液で現像可能であり、そうして反射防止コーティング中にパターンが形成される。該反射防止コーティング組成物は、ポリマー、架橋剤、任意に及び光酸発生剤を含む。該反射防止コーティング組成物は反射性基材上にコーティングされる。スピンコートプロセスの間に生じ得るエッジビードは、次いで、エッジビード除去溶剤を用いて除去できる。というのも、該ポリマーは、エッジビードリムーバとして使用される溶剤中になおも可溶性であるからである。次いで、コーティングは、各層間の相互混合を防ぐかもしくはその程度を最小限にしかつコーティングを水性アルカリ性現像剤中に不溶性にするために、ベークしてコーティング溶液の溶剤の除去及びコーティングの架橋を行う。次の説明によって拘束されるものではないが、ベークステップの間に、反射防止コーティング中の架橋剤、特にビニルエーテル末端基を含む化合物とヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有するポリマーとの間で反応が起こって、コーティング内に酸に不安定な基を形成するものと考えられる。ベーク及び硬化の後は、反射防止コーティングは、アルカリ性現像溶液及びフォトレジストの溶剤のどちらにも本質的に不溶性である。
【0018】
次いで、ポジ型フォトレジストが、硬化した反射防止コーティングの上にコーティングされ、そしてこれをベークしてフォトレジスト溶剤を除去する。フォトレジストの膜厚は、一般的に、下にある反射防止コーティングよりも厚い。化学放射線で露光する前は、フォトレジストと反射防止コーティングの両方とも、フォトレジストの水性アルカリ性現像溶液中には不溶性である。この二層系は次いで単一のステップで放射線に像様露光され、ここで酸が上面フォトレジスト及び底面反射防止コーティングの両方において生成される。光酸発生剤が反射防止コーティング中に存在する場合には、これは光分解される。光酸発生剤が反射防止コーティング中に存在しない場合には、酸はフォトレジストから反射防止コーティング中に拡散し得る。次のベークステップでは、露光された領域において、架橋された部位(酸に不安定な基)を有する反射防止コーティングのポリマーが、光の作用によって発生した酸の存在下に脱架橋して、そうしてポリマーが、ひいては反射防止コーティングが水性アルカリ性現像剤中に可溶性になる。次の現像ステップは、ポジ型フォトレジスト及び反射防止コーティングの両方の露光された領域を溶解して、そうしてポジ型の画像を生成し、基材を次の加工にクリア(clear)な状態にする。
【0019】
本発明の新規方法に有用な新規反射防止コーティングは、架橋剤、ポリマー、任意に及び光酸発生剤を含む。該ポリマーは、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基などの架橋性基を有する少なくとも一つの単位、及び吸収性発色団を有する少なくとも一つの単位を含む。吸収性発色団は、被膜のベークプロセス中に遊離の染料が分解または昇華することを避けるために、組成物中に遊離の染料であることとは対照的に、ポリマー内に結合される。
【0020】
本発明の反射防止コーティングのポリマーは、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有する少なくとも一つの単位、及び吸収性発色団を有する少なくとも一つの単位を含む。吸収性発色団の例は、一つ〜四つの個別のまたは縮合した環を有する炭化水素芳香族部分及びヘテロ環式芳香族部分であり、ここで各々の環中には3〜10個の原子がある。ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含むモノマーと重合し得る吸収性発色団を有するモノマーの例は、置換されているかもしくは置換されていないフェニル、置換されているかもしくは置換されていないアントラシル、置換されているかもしくは置換されていないフェナントリル、置換されているかもしくは置換されていないナフチル、酸素、窒素、硫黄またはこれらの組み合わせなどのヘテロ原子を含む置換されているかもしくは置換されていないヘテロ環、例えばピロリジニル、ピラニル、ピペリジニル、アクリジニル、キノリニルを含むビニル化合物である。置換基は任意のヒドロカルビル基であることができ、更にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。このような基の例は、(C〜C12)アルキレン、エステル、エーテルなどである。他の発色団は、US6,114,085(特許文献5)に及びUS5,652,297(特許文献6)、US5,981,145(特許文献7)、US6,187,506(特許文献8)、US5,939,236(特許文献9)及びUS5,935,760(特許文献10)に記載されており、これらもまた使用することができる。なおこれらの特許文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。好ましい発色性(chromophoric)モノマーは、置換されているかもしくは置換されていないフェニル、置換されているかもしくは置換されていないアントラシル、及び置換されているかもしくは置換されていないナフチルのビニル化合物、より好ましいモノマーは、スチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、N−メチルマレイミド、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、9−アントラセニルメタクリレート、9−ビニルアントラセン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルフタルイミド、N−(3−ヒドロキシ)フェニルメタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシカルボニルフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシル−4−エトキシカルボニルフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N−(2,4−ジニトロフェニルアミノフェニル)マレイミド、3−(4−アセトアミノフェニル)アゾ−4−ヒドロキシスチレン、3−(4−エトキシカルボニルフェニル)アゾ−アセトアセトキシエチルメタクリレート、3−(4−ヒドロキシフェニル)アゾ−アセトアセトキシエチルメタクリレート、3−(4−スルホフェニル)アゾアセトアセトキシエチルメタクリレートのテトラヒドロアンモニウムスルフェート塩、及び等価の構造物である。適当な露光波長において吸収を示す任意の発色団を、単独でまたは他の発色団と組み合わせて使用し得ることも本発明の範囲内である。
【0021】
該新規発明のポリマーは、アルカリ可溶性を供するヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有する少なくとも一つの単位、及び架橋部位を含む。ポリマーの一つの機能は、良好なコーティング品質を与えることであり、他の機能は、反射防止コーティングが、画像形成プロセス中に可溶性を変化することを可能にさせることである。ポリマー中のヒドロキシルまたはカルボキシル基は、可溶性の変化のために必要な成分のうちの一つを供する。重合時にこのような単位を与えるモノマーの例は、限定はされないが、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含む置換されたもしくは置換されていないビニルモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシスチレン類、1,1’,2,2’,3,3’−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを含むビニルモノマーであるが、ポリマーをアルカリ可溶性に及び好ましくは水不溶性にするものであれば任意のモノマーを使用し得る。該ポリマーは、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含む複数種のモノマー単位の混合物を含むこともできる。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を含むビニルモノマーは、以下の構造(1)〜(6)によって表される化合物並びにそれらの置換された等価物によって例示される。
【0022】
【化2】

【0023】
それで、ポリマーは、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含むモノマーを、吸収性発色団を含むモノマーと重合することによって合成し得る。またその代わりに、アルカリ可溶性ポリマーを、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を供する化合物及び吸収性発色団を供する化合物と反応させてもよい。最終のポリマーにおいて、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含む一つまたはそれ以上の単位のモル%は5〜95、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80であることができ、最終のポリマーにおける吸収性発色団単位のモル%は5〜95、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80であることができる。ヒドロキシルまたはカルボキシル基が吸収性発色団に結合しているかまたは発色団がヒドロキシル基またはカルボキシル基に結合していること、すなわち両方の基が同一の単位に存在することも本発明の範囲内である。一例として、上述の発色性基は、ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を側基として有してもよいし、また発色性基とヒドロキシル基及び/またはカルボニル基が同一の基に結合している。2009年9月30日に出願された米国特許出願第12/570,923号明細書(特許文献11)に記載のものなどのポリマーも使用し得る。なおこの特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。不混和性ポリマーの混合物も使用でき、例えばポリマーのうちの一つはフッ素化基を含む。
【0024】
該ポリマーは、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含む単位及び吸収性発色団を含む単位の他に、他のモノマー性単位を含んでもよく、このような単位は他の望ましい性質を与え得る。この第三のモノマーの例は、−CR−CR−であり、ここでR〜Rは、独立して、H、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシ、ニトロ、ハライド、シアノ、アルキルアリール、アルケニル、ジシアノビニル、SOCF、COOZ、SOZ、COZ、OZ、NZ、SZ、SOZ、NHCOZ、SONX(ここで、ZはH、または(C−C10)アルキル、ヒドロキシ(C−C10)アルキル、(C−C10)アルキルOCOCHCOCHである)であるか、あるいはRとRとは、一緒になって、無水物、ピリジンまたはピロリドンなどの環状基を形成するか、あるいはR〜Rは、独立して、H、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシであり及びRは親水性基である。親水性基の例は、限定はされないが、O(CHOH、O(CHO(CH)OH、(CHOH(n=0〜4)、COO(C−C)アルキル、COOX及びSOX(Xは、H、アンモニウム、アルキルアンモニウムである)である。他のモノマーは、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートであることができる。酸に不安定な基を含むモノマー性単位、例えば酸に不安定な基でキャップされたヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸なども使用し得る。酸に不安定な基の例は、限定はされないが、少なくとも一つのβ水素を有する第二及び第三アルキル(炭素原子数最大20)、アセタール類及びケタール類、トリメチルシリル、及びβ−トリメチルシリル置換アルキル類である。酸に不安定な基の代表的な例は、tert−ブチル、tert−ペンチル、イソボルニル、1−アルキルシクロヘキシル、1−アルキルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−アルキル−2−アダマンチル、2−アルキル−2−ノルボルニルである。酸に不安定な基の他の例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されたもしくは置換されていないメトキシカルボニル、β−トリアルキルシリルアルキル基(例えば、CH−CHSi(CH、CH(−CHSi(CH、CH−CH(Si(CH及び類似物である。
【0025】
ノボラック樹脂も、反射防止コーティングの適当なポリマーとして使用できる。これらの樹脂は、典型的には、シュウ酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸触媒の存在下に、ホルムアルデヒドと一種またはそれ以上のポリ置換フェノール類との間の縮合反応を行うことによって製造される。典型的なモノマーは、ホルムアルデヒド、クレゾール類、レゾルシノール類、キシレノール類などであり得る。
【0026】
ポリマーの例は、ノボラック類、ポリヒドロキシスチレン類、及びヒドロキシスチレンのコポリマーであり、ここで他のコモノマーは、スチレン、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのうちの少なくとも一つである。
【0027】
本発明のポリマーは、任意の既知の重合方法、例えば開環メタセシス、遊離基重合、縮合重合により、有機金属触媒を用いて、またはアニオンもしくはカチオン共重合技術によって合成することができる。該ポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、または類似の技術を用いて合成し得る。本発明のポリマーは重合して、約1,000〜約1,000,000、好ましくは約2,000〜約80,000、より好ましくは約6,000〜約50,000の重量平均分子量を有するポリマーを与える。遊離基ポリマーの多分散性(Mw/Mn)(Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)は1.0〜10.0の範囲であることができ、ここでポリマーの分子量はゲル透過クロマトグラフィによって測定できる。
【0028】
該新規反射防止コーティング組成物はコーティングされ、次いで熱の適用によって基材上で硬化する。加熱は、ポリマー上のカルボキシル基またはヒドロキシル基と架橋剤との間の架橋反応を誘発し、そして酸不安定性架橋結合が生ずる。架橋剤がビニルエーテルを末端に持つ化合物でありそしてポリマーがカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む場合に、特定の酸不安定性アセタール架橋結合を簡単に促すことができる。生じる構造は、高耐溶剤性であり、かつフォトレジスト成分の相互拡散に対して不感性である。このような硬化プロセスは、通常の熱硬化性反射防止コーティングのそれと同じである。
【0029】
本発明で有用なビニルエーテルを末端に有する架橋剤は一般構造式(7)によって表すことができる。
【0030】
【化3】

【0031】
式中、Wは、(C−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル部分、置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)脂肪環式炭化水素部分及び置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)シクロアルキルアルキレン部分から選択され; Rは、C−C10線状もしくは分枝状アルキレンから選択され、そしてn≧2である。Wは芳香族ではなく、安全性の問題から非芳香族系の架橋剤が好ましい。一つの態様では、Wは、置換されているかもしくは置換されていない(C−C10)脂肪環式炭化水素部分である。一つの態様では、Rは、C−C線状もしくは分枝状アルキレン部分から選択される。前記の(C−C40)シクロアルキルアルキレン部分とは、構造(7)のビニルエーテルカルボキシレート部分に結合した少なくとも一つのアルキレン基を有する脂肪環式基、例えばシクロヘキシルメチレン、シクロヘキシル1,2ビスメチレンなどのことである。一つの態様では、Wは、置換されているかもしくは置換されていない(C−C)脂肪環式炭化水素部分である。一つの態様では、Rは、C−C線状もしくは分枝状アルキル部分から選択される。一つの態様では、Wは、置換されているかもしくは置換されていない(C)脂肪環式炭化水素部分であり、Rは、C−C線状もしくは分枝状アルキル部分から選択される。Wは、置換されているかもしくは置換されていないシクロヘキシル基によって表すことができる。Rは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどの部分であることができる。末端ビニルエーテル基が、ポリマーのヒドロキシルまたはカルボキシル基と反応して酸に不安定なアセタール結合を生成するものと考えられる。このようなビニルエーテルを末端に持つ架橋剤の例には、ビス(4−ビニルオキシブチル)アジペート; ビス(4−ビニルオキシブチル)スクシネート; ビス[(4−ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル)]グルタレート; (トリス(2−ビニルオキシエチル)−1,3,5−シクロヘキサントリカルボキシレート; (トリス(2−ビニルオキシブチル)−1,3,5−シクロヘキサントリカルボキシレート; トリス(4−ビニルオキシブチル)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボキシレート; トリス(4−ビニルオキシエチル)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボキシレート、及びビニルオキシ側基を有するポリマーなどが挙げられる。ビニルエーテル型架橋剤は構造(8)〜(10)によって表される。脂肪環式ビニルエーテル化合物の一部は、トリメリト酸誘導体のような対応する芳香族化合物を水素化することによって得ることができる。
【0032】
【化4】

【0033】
上記ビニルエーテル末端型架橋剤は、好ましくは、ポリマー上の反応性基当たりでビニルエーテル架橋性官能基0.20〜2.00モル当量を供する割合で反射防止コーティングに加えられ、好ましくは、反応性基当たり0.50〜1.50の反応性当量である。
【0034】
該反射防止コーティング組成物が光酸発生剤を含む場合の一つの態様では、反射防止コーティング中の光酸発生剤及びフォトレジスト中の光酸発生剤は同じ波長の光に感度があり、それ故、同じ放射波長の光がこれらの両層中に酸を発生させることができる。フォトレジストからの拡散または反射防止フィルム中の光酸発生剤からの光生成のいずれかを介して存在する反射防止コーティングの露光領域中の酸は、酸に不安定な架橋結合と反応してポリマーを解架橋して、反射防止コーティングの露光領域を水性アルカリ性現像剤中に可溶性にする。選択される反射防止コーティングの光酸発生剤は、使用するフォトレジストに依存する。該新規組成物の光酸発生剤(PAG)は、所望の露光波長、好ましくは、深紫外線フォトレジスト用に248nm、193nm及び157nmで吸収を示すもの、及び365nm、436nm及びブロードバンドフォトレジスト用にナフトキノンジアジド類またはスルホニウム塩から選択される。酸発生感光性化合物の適当な例には、限定はされないが、イオン性光酸発生剤(PAG)、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、または非イオン性PAG、例えばジアゾスルホニル化合物、スルホニルオキシイミド、及びニトロベンジルスルホネートエーテル類などが挙げられるが、照射時に酸を生成するものであれば任意の感光性化合物を使用し得る。オニウム塩は、通常、有機溶剤中に可溶性の形態で、大概はヨードニウムまたはスルホニウム塩として使用され、これの例は、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート及び類似物である。使用し得る照射時に酸を生成する他の化合物は、トリアジン類、オキサゾール類、オキサジアゾール類、チアゾール類、置換された2−ピロン類である。フェノールスルホン酸エステル類、ビス−スルホニルメタン類、ビス−スルホニルメタン類またはビス−スルホニルジアゾメタン類、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジフェニルヨードニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びこれらの同族体も可能な候補である。複数種の光活性化合物の混合物も使用し得る。他のタイプの光酸発生剤も該新規組成物中に含ませることができ、例えば2008年11月12日に出願された米国特許第12/269,072号明細書(特許文献12)に記載のものなどがあり、この文献の内容は本明細書に記載されたものとし、そしてこれは、式W’−(L−(G))を有する一種またはそれ以上の光活性化合物によって例示することができ、式中W’は、PAGまたはQであり、ここでPAGは光酸発生剤であり、そしてQはクエンチャであり、各Lは直接結合または連結基であり、各Gは独立してG1またはG2であり、G1はOHであり、G2はOCH=CHであり、pは1〜12である。一部の態様は、pが2〜6であるもの、並びに同一の化合物においてG1とG2の混合物が存在する場合、例えば(G1−L)p1−W−(L−G2)p2の時には、p1及びp2がぞれぞれ1よりも大きいかまたは1に等しく、そしてp1+p2が2〜12であるものが含まれる。
【0035】
365nmでの露光には、光酸発生剤はスルホニウム塩類またはジアゾナフトキノン類、特に、ポリマーの酸に不安定な基と反応できる酸を生成することができる2,1,4−ジアゾナフトキノン類であることができる。オキシムスルホネート類、置換されているかもしくは置換されていないナフタルイミジルトリフレート類またはスルホネート類も光酸発生剤として既知である。上面フォトレジストと同じ波長の光を吸収するものであれば任意の光酸発生剤を使用し得る。当技術分野で既知の光酸発生剤、例えばUS5,731,386(特許文献13)、US5,880,169(特許文献14)、US5,939,236(特許文献15)、US5,354,643(特許文献16)、US5,716,756(特許文献17)に記載のものなども使用し得る。これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0036】
反射防止コーティングのための溶剤は、これが反射防止コーティングの全ての固形成分を溶解できるように選択される。該反射防止コーティング組成物の適当な溶剤の例は、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、2−ヘプタノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、ガンマブチロアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、メチル3−メトキシプロピオネート、ピルビン酸エチル、2−メトキシブチルアセテート、ジアセトンアルコール、ジエチルカーボネート、2−メトキシエチルエーテルであるが、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはこれらの混合物が好ましい。より毒性が低く、及び良好なコーティング性及び溶解性を有する溶剤が一般的に好ましい。
【0037】
本発明の組成物は、更に、酸または熱酸発生剤を含むことができる。架橋は、熱の存在下に、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含むポリマーと架橋剤との間で起き得るが、典型的には、反応時間は長くなり得る。熱酸発生剤または酸は、この架橋反応を加速するために使用され、そして短い硬化時間が好ましい場合に望ましい。熱酸発生剤は、加熱時に酸を放出する。任意の既知の酸または熱酸発生剤を使用でき、限定はされないが、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、スクアリン酸、2−ニトロベンジルトシレート、クロロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ノナフレート酸、トリフルオロメタンスルホン酸、有機スルホン酸の他のアルキルエステル、上記の酸の塩によって例示される。しかし、或る種の成分では、高い酸性度を有する幾つかの酸または熱酸発生剤により生成される酸がアンダーカットを招く恐れがあること及び所望の光画像形成プロセスが起こるのを妨げる恐れがあることが見出された。それ故、中程度の酸性度を有する酸、すなわちpKa(酸解離定数の−log10)が1.0よりも大きい酸が、特に末端にビニルを有する架橋剤との組み合わせで、好ましいことが図らずしも見出された。pKaが5.0未満の酸及び1.0超の酸も好ましい。生ずるアセタール結合は、光の作用により発生した酸の存在下に容易に解裂可能である。中程度の酸性度を有する酸または熱酸発生剤から誘導される酸の例は、限定はされないが、マレイン酸(pKa=1.83)、クロロ酢酸(pKa=1.4)、ジクロロ酢酸(pKa=1.48)、シュウ酸(pKa=1.3)、ケイ皮酸(pKa=4.45)、酒石酸(pKa=4.3)、グリコール酸(pKa=3.8)、フマル酸(pKa=4.45)、マロン酸(pKa=2.8)、シアノ酢酸(pKa=2.7)などである。塩基によってブロックされて熱酸発生剤を形成する酸が好ましい。上述のような酸は、アミン類等の塩基によってブロックし得る。典型的な塩基は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリドデシルアミンなどである。加えて、カルボン酸またはアリールカルボン酸などの弱酸のアニオンを有するジアリールまたはトリアルキルスルホニウム塩を使用し得る。塩基によってブロックされた酸は、酸と塩基とを組み合わせることによって形成でき、この際、酸:塩基比率は約1:1〜約1:3の範囲である。所望のpKaを有する酸及びそれらの塩の更なる例は、当技術分野において通常の知識を有する者ならば、入手可能な文献、例えばCRC Handbook of Chemistry and Physics,CRC Press Inc.(非特許文献1)を参照することによって知ることができる。なお、この文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。幾つかの態様では、熱酸が、酸が発生された後に、これがコーティング中に永久には残らず、それゆえ、逆反応を促進せず、しかし被膜から除かれるようなものであることも望ましい場合ある。酸は、架橋が起こった後に、熱によって分解するかまたは気化し、そして分解生成物がフィルムから焼き出されるか、または酸がコーティングから昇華し得るということが考えられる。そのため、硬化後には、フィルム中に遊離の酸が残らないかまたは非常に少量のみ残り、そしてアセタール結合の分解を引き起こす逆反応は起こらない。酸を発生することができ、その後、フォトレジストのコーティングの前に除去できる熱酸発生剤が、幾つかの場合に好ましい。フィルム中に残る弱酸もまた機能的であり得る。なぜならば、これらはアセタール結合の分解を大きく妨げないであろうからである。酸または熱酸発生剤から誘導される酸は、好ましくは、約130℃〜約220℃、より好ましくは150℃〜約200℃の温度で反射防止コーティングから除去される。酸または熱酸発生剤は、固形物の0.1〜25重量%、特に0.1〜約5重量%の範囲のレベルで反射防止組成物中に存在し得る。
【0038】
本発明の典型的な反射防止コーティング組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして固形物を約15重量%までの割合で、好ましくは8%未満の割合で含むことができる。固形物は、反射防止コーティング組成物の全固形分を基準にして、光酸発生剤0〜25重量%、ポリマー50〜99重量%、架橋剤1〜50重量%、任意に及び酸または熱酸発生剤0〜25重量%を含むことができる。好ましくは、光酸発生剤の量は約0.01〜約20重量%の範囲である。好ましくは、架橋剤は、約5〜約40重量%、より好ましくは10〜35重量%の範囲である。固形成分は、溶剤中にまたは溶剤の混合物中に溶解され、そして濾過して不純物を取り除く。該反射防止コーティングの成分は、イオン交換カラムに通したり、濾過、及び抽出プロセスなどの技術によって処理して、製品の品質を高めることもできる。
【0039】
コーティングの性能を増強するために、本発明の反射防止組成物には他の成分も加えることができ、例えば低級アルコール、染料、表面レベリング剤、接着促進剤、消泡剤などを加えることができる。これらの添加剤は、30重量%までの量で存在し得る。他のポリマー、例えばノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリメチルメタクリレート及びポリアリーレートを該組成物に加えてもよいが、性能が悪影響を受けないことが条件である。好ましくは、このポリマーの量は、該組成物の全固形物の50重量%未満、より好ましくは35重量%未満、更により好ましくは20重量%未満に抑える。安定性を高めるために塩基も該組成物に加えてもよい。光塩基及び非光塩基の両方が既知の添加剤である。塩基の例は、アミン類、水酸化アンモニウム、及び感光性塩基である。特に好ましい塩基は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリオクチルアミン、n−オクチルアミン、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムシクラメート及びトリス(tert−ブチルフェニル)スルホニウムシクラメートである。
【0040】
該新規組成物の吸収パラメータ(k)は、エリプソメトリーを用いて測定して、約0.1〜約1.0、好ましくは約0.15〜約0.7の範囲である。反射防止コーティングの屈折率(n)も最適化される。n及びk値は、エリプソメータ、例えばJ.A.Woollam WVASE VU−302TMエリプソメータを用いて計算できる。k及びnの最適な範囲の正確な値は、使用する露光波長及び適用のタイプに依存する。193nmに典型的には、好ましいkの範囲は0.1〜0.75であり、248nmでは好ましいkの範囲は0.15〜0.8であり、そして365nmでは好ましい範囲は0.1〜0.8である。反射防止コーティングの厚さは、上面フォトレジストの厚さよりも薄い。好ましくは、反射防止コーティングの厚さは、(露光波長/屈折率)の値よりも薄く、より好ましくは、厚さは、(露光波長/2×屈折率)の値よりも薄く、ここで屈折率は、反射防止コーティングの屈折率であり、エリプソメータを用いて測定できる。反射防止コーティングの最適な膜厚は、露光波長、反射防止コーティング及びフォトレジストの屈折率、上面及び底面コーティングの吸収特性、及び基材の光学特性によって決まる。底面反射防止コーティングは、露光及び現像ステップにより除去しなければならないので、最適な膜厚は、反射防止コーティング中に光の吸収が存在しない光学ノードを避けることによって決定される。
【0041】
該反射防止コーティング組成物は、当業者には周知の技術、例えばディップコート法、スピンコート法またはスプレーコート法などを用いて基材に塗布される。当技術分野で既知の様々な基材、例えば平坦であるか、トポグラフィーを有するかまたはホールを有する基材を使用し得る。半導体基材の例は結晶性及び多結晶性ケイ素、二酸化ケイ素、(オキシ)窒化ケイ素、アルミニウム、アルミニウム/ケイ素合金、及びタングステンである。或る場合には、基材の縁のところに、エッジビードと称されるフォトレジストフィルムの堆積物が生ずることがある。このエッジビードは、当技術分野において通常の知識を有する者にとって周知の技術を用いて、溶剤または複数種の溶剤の混合物を用いて除去できる。本発明の組成物は、エッジビードリムーバと特に相性がよい。エッジビードリムーバに使用される典型的な溶剤は、乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらの混合物である。コーティングは次いで硬化される。好ましい温度範囲は、ホットプレートまたは等価の加熱装置では、約30〜120秒間で約120℃〜約240℃、より好ましくは45〜90秒間で約150℃〜約200℃である。反射防止コーティングの膜厚は約20nm〜約300nmの範囲である。最適な膜厚は、当技術分野において周知な通り、良好なリソグラフィー性が得られる膜厚に、特にフォトレジスト中に定在波が観察されない膜厚となるよう決定される。該新規組成物では、フィルムの優れた吸光性及び屈折率特性の故に、非常に薄いコーティングを使用し得ることが図らずしも見出された。硬化した該反射防止コーティングはこの段階でもアルカリ性現像溶液中に不溶性である。次いで、フォトレジストを反射防止コーティングの上にコーティングすることができる。
【0042】
水性アルカリ性溶液で現像されるポジ型フォトレジストが本発明に有用であるが、フォトレジスト及び反射防止コーティング中の光活性化合物が、フォトレジストの画像形成プロセスに使用される同じ露光波長で吸収を示すことが条件である。ポジ型フォトレジスト組成物は、放射線に像様露光され、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液により溶けやすくなり(例えば、再転位反応が起こる)、他方、未露光の領域は、現像剤溶液に比較的不溶性のままである。それゆえ、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、コーティングの露光された領域が除去されて、フォトレジストコーティングにポジ型の画像が形成される。フォトレジスト解像度とは、レジスト組成物が、露光及び現像の後に、高いレベルの鋭い像縁をもってフォトマスクから基材へと転写できる最小の図形(feature)と定義される。現在の多くの製造用途では、1ミクロン未満のオーダーのレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジストの壁の側面が基材に対してほぼ垂直であることが大概の場合に望まれる。レジストコーティングの現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界画定が、基材へのマスク像の正確なパターン転写に繋がるのである。微細化に向かう動向がデバイス上での微小寸法(CD)を小さくしているのでこの事はより一層重要な事柄となっている。
【0043】
ノボラック樹脂及び光活性化合物としてのキノン−ジアジド化合物を含むポジ型フォトレジストは当技術分野において周知である。ノボラック樹脂は、典型的には、ホルムアルデヒドと一種またはそれ以上のポリ置換フェノールとを、酸触媒、例えばシュウ酸の存在下に縮合させることによって製造される。光活性化合物は、一般的に、ポリヒドロキシフェノール化合物を、ナフトキノンジアジド酸またはそれらの誘導体と反応させることによって得られる。これらのタイプのレジストの感度は、典型的には、約300nm〜440nmの範囲である。
【0044】
約180nm〜約300nmの短波長に感度を示すフォトレジストも使用できる。これらのフォトレジストは、通常、ポリヒドロキシスチレンまたは置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体、光活性化合物、任意に及び溶解防止剤を含む。以下の文献、すなわちUS4,491,628(特許文献1)、US5,069,997(特許文献18)及びUS5,350,660(特許文献2)は使用されるフォトレジストの種類を例示するものであり、これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。193nm及び157nm露光に特に好ましいものは、非芳香族系ポリマー、光酸発生剤、任意に溶解防止剤、及び溶剤を含むフォトレジストである。従来技術で既知の193nmに感度のあるフォトレジストは、次の文献、すなわちUS6,447,980(特許文献19)及びUS6,723,488(特許文献20)に記載されており、これらの文献の内容は本明細書中に掲載されたものとするが、193nmに感度を示すものであれば任意のフォトレジストを、本発明の反射防止組成物の上に使用することができる。
【0045】
次いで、フォトレジストのフィルムを、硬化された反射防止コーティングの上にコーティングし、そしてベークしてフォトレジスト溶剤を実質的に除去する。次いで、フォトレジスト及び反射防止コーティングの二層系を化学線に像様露光する。次の加熱ステップでは、露光ステップ中に発生した酸が反応して、反射防止コーティング組成物のポリマーを解架橋して、反射防止コーティングの露光された領域を現像溶液中にアルカリ可溶性に変える。露光後ベークステップ用の温度は、ホットプレートまたは等価の加熱システムで30〜200秒間で40℃〜200℃の範囲、好ましくは40〜90秒間で80℃〜160℃の範囲であることができる。幾つかの場合には、露光後ベークを省略することができる。なぜならば、一部のアセタール酸不安定性結合などの或るケミストリーによっては、室温で解保護化が進行するからである。該反射防止コーティングの露光された領域中のポリマーは、今や水性アルカリ性溶液中に可溶性である。この二層系を次いで水性アルカリ性現像剤中で現像して、フォトレジスト及び反射防止コーティングを除去する。現像剤は、好ましくは、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む、水性アルカリ性溶液である。現像剤は、更に、添加剤、例えば界面活性剤、ポリマー、イソプロパノール、エタノールなどを含んでもよい。フォトレジストコーティング及び反射防止コーティングを塗布及び画像形成する方法は当業者には周知であり、使用したフォトレジストと反射防止コーティングとの組み合わせの特定のタイプに合わせて最適化される。画像が形成された二層系は、次いで、集積回路の製造プロセスによって要求されるように二次加工、例えば金属堆積及びエッチングをすることができる。
【0046】
上記に言及した文献はいずれも、全ての目的に関して、その内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。
【実施例】
【0047】
吸収パラメータ(k)及び屈折率(n)は、角度可変分光エリプソメトリを用いて測定した。底部反射防止コーティング(B.A.R.C.)溶液は、下塗りしたケイ素ウェハ上にスピンコートし、そしてベークして所定のフィルム厚を得た。次いで、これらのコーティングされたウェハを、J.A.WoollamまたはSopra Corporation社製のエリプソメータを用いて測定した。得られたデータを近似(fit)してB.A.R.C.フィルムのk及びn値を得た。
【0048】
合成例1
【0049】
【化5】

【0050】
還流冷却器、温度計を備えた250mlのフラスコ中で、窒素下に、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(8.71g)、1−エチル−1−アダマンチルメタクリレート(12.14g)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(1.04g)、及びテトラヒドロフラン(128g)を窒素でパージし、そして還流下に5時間加熱した。重合をメタノール(3g)でキャップし、次いでヘキサン類(1.05L)中に析出させた。析出したポリマーをテトラヒドロフラン(THF)(70g)中に再溶解し、そしてヘキサン類(1.05L)中にもう一度析出させた。析出した固形物をメタノール(70g)中に溶解し、そして水(1.05L)中に析出させた。析出した固形物を、オーブン中で45℃で48時間乾燥して白色の固形物(10.8g、49.5%)を得た。この材料は、ゲル透過(GPC)クロマトグラフィによって、8,454の重量平均分子量(Mw)及び4,822の数平均分子量(Mn)を有することが分かった。このポリマーは、193nmで1.80&0.57のn&k値を有していた。
【0051】
合成例2
【0052】
【化6】

【0053】
還流冷却器、温度計を備えた250mLのフラスコ中で、窒素下に、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(23.18g)、1−エチル−1−シクロペンチルアクリレート(7.29g)、ビス−3,5−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−シクロヘキシルメタクリレート(3,5−MA−3,5−HFA−CHOH)(21.71g)、AIBN(7.83g)、及びテトラヒドロフラン(140g)を窒素でパージし、そして還流下に5時間加熱した。重合をメタノール(6mL)でキャップし、次いでヘキサン類(1.4L)中に析出した。析出したポリマーをテトラヒドロフラン(140g)中に再溶解し、そしてもう一度ヘキサン類(1.4L)中に析出した。析出した固形物をメタノール(160g)中に溶解し、そして水(1.4L)中に析出した。析出した固形物を、オーブン中45℃で48時間乾燥して白色の固形物(44.5g,85.2%)を得た。この材料は、ゲル透過(GPC)クロマトグラフィによって18,080のMw及び9,575のMnを有することが分かった。このポリマーは、193nmで1.73&0.54のn&k値を有していた。
【0054】
合成例3
【0055】
【化7】

【0056】
機械的攪拌機、滴下漏斗及び窒素源を備えた適当な容器中で、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート16.86g(94.6mmol)及びtert−ブチルアクリレート8.09g(63.1mmol)を66gのTHF中に溶解した。この混合物を窒素下に室温で20分間攪拌し、次いで70℃に加熱した。4gのTHF中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5.05g(30.8mmol)をこの反応混合物に加えた。この反応混合物を更に5時間70℃で攪拌した。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、追加の70mlのTHFで希釈し、次いで300mlのブチルアセテートと700mlのヘプタン混合物との混合物に加えて、析出物を形成した。この析出物を濾過し、1000mlのヘプタンに加え、再び濾過し、次いで減圧炉中40℃で乾燥した(95%収率)。この材料は、ゲル透過(GPC)クロマトグラフィによって19,236のMw及び8,920のMnを有することが分かった。このポリマーは193nmで1.67&0.51のn&k値を有していた。
【0057】
合成例4
【0058】
【化8】

【0059】
還流冷却器、温度計を備えた250mLのフラスコ中で、窒素下に、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(12.2g)、1−メチル−1−アダマンチルメタクリレート(13.9g)、AIBN(3.9g)、及びテトラヒドロフラン(70g)を窒素でパージし、そして還流下に5時間加熱した。重合をメタノール(3mL)でキャップし、次いでヘキサン類(750mL)中に析出した。析出したポリマーをテトラヒドロフラン(90g)中に再溶解し、そしてもう一度ヘキサン類(750mL)中に析出した。析出した固形物をメタノール(80g)中に溶解し、そして水(750mL)中に析出した。析出した固形物をオーブン中45℃で48時間乾燥して白色の固形物(24.6g,94.2%)を得た。この材料は、ゲル透過(GPC)クロマトグラフィによって、13,914のMw及び4,974のMnを有することが分かった。このポリマーは、193nmで1.77&0.45のn&k値を有していた。
【0060】
例5
合成例1からのコポリマー(0.21g)、トリス(ビニルオキシエチル)シクロヘキサン1,3,5−トリカルボキシレート(0.06g)、トリエチルアンモニウムマロネート−トリエチルアミン(0.03g)及びビス(トリフェニルスルホニウム)パーフルオロブタンジスルホネート(0.05g)を24.1gのプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解して、感光性反射防止組成物を調製した。このB.A.R.C.溶液を0.2μmマイクロフィルターに通して濾過した。
【0061】
このB.A.R.C.溶液を、下塗りしたケイ素ウェハ上にコーティングし、そしてホットプレートで190℃で60秒間加熱して400Åの膜厚を得た。このB.A.R.C.ウェハを、AZ(登録商標)AX2110Pフォトレジスト(AZ(登録商標)Electronic Materials USA Corp.,Somerville,NJから入手可能)でコーティングし、ホットプレートで100℃で60秒間加熱して210nmの膜厚を得た。このコーティングされたウェハを、像様露光のためにNikon306D193nmスキャナを用いて露光した。次いで、露光されたウェハを110℃で60秒間、露光後ベークし、次いでAZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて23℃で30秒間パドル現像した。二次電子顕微鏡を用いて、100nmフォトレジスト/B.A.R.C.トレンチ(1:1)が、25mJ/cmの線量で、フォトレジストの鮮明なパターン、及びB.A.R.C.層が完全に開口した鮮明なトレンチスペースを持って、得られた。
【0062】
例6
合成例2からのコポリマー(0.21g)、トリス(ビニルオキシブチル)シクロヘキサン1,2,4−トリカルボキシレート(0.06g)、トリエチルアンモニウムマロネート−トリエチルアミン(0.03g)及びビス(トリフェニルスルホニウム)パーフルオロブタンジスルホネート(0.002g)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(24.7g)中に溶解して感光性反射防止組成物を調製した。このB.A.R.C.溶液を0.2μmマイクロフィルターに通して濾過した。
【0063】
このB.A.R.C.溶液を、下塗りしたケイ素ウェハ上にコーティングし、そしてホットプレートで190℃で60秒間加熱して400Åの膜厚を得た。このB.A.R.C.ウェハを、AZ(登録商標)AX2110Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials USA Corp.,Somerville,NJから入手可能)でコーティングし、ホットプレートで100℃で60秒間加熱して、210nmの膜厚を得た。このコーティングされたウェハを、像様露光のためにNikon306D193nmスキャナを用いて露光した。次いで、この露光されたウェハを、60秒間110℃で露光後ベークし、次いでAZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて23℃で30秒間パドル現像した。二次電子顕微鏡を用いて、100nmフォトレジスト/B.A.R.C.トレンチ(1:1)が、29mJ/cmの線量で、フォトレジストの鮮明なパターン、及びB.A.R.C.層が完全に開口した鮮明なトレンチスペースを持って、得られた。
【0064】
例7
合成例4からのポリマー(0.25g)、トリス(ビニルオキシブチル)シクロヘキサン1,2,4−トリカルボキシレート(0.06g)、トリエチルアンモニウムマロネート−トリエチルアミン(0.04g)及びビス(トリフェニルスルホニウム)パーフルオロブタンジスルホネート(0.003g)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(26.4g)中に溶解して感光性反射防止組成物を調製した。このB.A.R.C.溶液を0.2μmマイクロフィルターに通して濾過した。
【0065】
このB.A.R.C.溶液を、下塗りしたケイ素ウェハ上にコーティングし、そしてホットプレートで190℃で60秒間加熱して400Åの膜厚を得た。このB.A.R.C.ウェハを、AZ(登録商標)AX2110Pフォトレジスト (AZ Electronic Materials USA Corp.,Somerville,NJから入手可能)でコーティングし、ホットプレートで100℃で60秒間加熱して210nmの膜厚を得た。このコーティングされたウェハを、像様露光のためにNikon306D193nmスキャナを用いて露光した。次いで、この露光されたウェハを60秒間110℃で露光後ベークし、次いでAZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて23℃で30秒間パドル現像した。二次電子顕微鏡を用いて、90nmフォトレジスト/B.A.R.C.トレンチ(1:1)が、29mJ/cmの線量で、フォトレジストの鮮明なパターン及びB.A.R.C.層が完全に開口した鮮明なトレンチスペースを持って、得られた。
【0066】
例8
0.234gの例3からのポリマー、0.0186gのトリエチルアミン、0.0234gのビスビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム1,4−パーフルオロブタンジスルホネート、0.0276gのトリエチルアンモニウムマロネート、及び0.0562gのトリス(4−ビニルオキシブチル)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボキシレートを26.166gのプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解した。このB.A.R.C.溶液を、0.2μmマイクロフィルターに通して濾過した。
【0067】
このB.A.R.C.溶液を、下塗りしたケイ素ウェハ上にコーティングし、そしてホットプレートで120℃で60秒間加熱して396Åの膜厚を得た。このB.A.R.C.ウェハをAZ(登録商標)AX2110Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials USA Corp.,Somerville,NJから入手可能)でコーティングし、ホットプレートで100℃で60秒間加熱して210nmの膜厚を得た。このコーティングされたウェハを像様露光のためにNikon306D193nmスキャナを用いて露光した。次いで、この露光されたウェハを60秒間110℃で露光後ベークし、その後、AZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて23℃で30秒間パドル現像した。二次電子顕微鏡を用いて、125nmフォトレジスト/B.A.R.C.トレンチ(1:1)が、42mJ/cmの線量で、フォトレジストの鮮明なパターン及びB.A.R.C.層が完全に開口された鮮明なトレンチスペースを持って、得られた。
【0068】
比較例9
0.234gの例3からのポリマー、0.0185gのトリエチルアミン、0.0234gのビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム1,4−パーフルオロブタンジスルホネート、0.0279gのトリエチルアンモニウムマロネート、及び0.0562gのトリス(4−ビニルオキシブチル)トリメリテート(0.2g,Vectomer(登録商標)5015,Aldrich Co.から入手可能)を、26.166gのプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解した。このB.A.R.C.溶液を0.2μmマイクロフィルターに通して濾過した。
【0069】
このB.A.R.C.溶液を、下塗りしたケイ素ウェハ上にコーティングし、そしてホットプレートで120℃で60秒間加熱して395Åの膜厚を得た。このB.A.R.C.ウェハをAZ(登録商標)AX2110Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials USA Corp.,Somerville,NJから入手可能)でコーティングし、ホットプレートで100℃で60秒間加熱して210nmの膜厚を得た。このコーティングされたウェハを、像様露光のためにNikon306D193nmスキャナを用いて露光した。次いで、この露光されたウェハを60秒間110℃で露光後ベークし、次いでAZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて23℃で30秒間パドル現像した。二次電子顕微鏡を用いて、125nmフォトレジスト/B.A.R.C.トレンチ(1:1)が、42mJ/cmの線量で、パターンの足部にスカム及びB.A.R.C.のトレンチスペースの不完全な開口を持って、得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性アルカリ性現像剤中で現像可能なポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物であって、発色団基を有する少なくとも一つの繰り返し単位及びヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を有する少なくとも一つの繰り返し単位を含むポリマー、末端にビニルエーテルを有する構造(7)の架橋剤、任意に及び光酸発生剤を含み、ここで構造(7)は、
【化1】

[式中、Wは、(C−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル部分、置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)脂肪環式炭化水素部分及び置換されているかもしくは置換されていない(C−C40)シクロアルキルアルキレン部分から選択され; Rは、C−C10線状もしくは分枝状アルキレンから選択され、そしてnは≧2である]
である、前記ポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物。
【請求項2】
発色団基がポリマーに化学的に結合しており、芳香族炭化水素環を含む化合物、置換されているかもしくは置換されていないフェニル基、置換されているかもしくは置換されていないアントラシル基、置換されているかもしくは置換されていないフェナントリル基、置換されているかもしくは置換されていないナフチル基、酸素、窒素、硫黄及びこれらの混合物から選択されるヘテロ原子を含む置換されているかもしくは置換されていないヘテロ環式芳香族環から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含む繰り返し単位が、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレンのコポリマー、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを含むビニルモノマーから選択されるモノマーから誘導される、請求項1または2の組成物。
【請求項4】
発色団基、及びヒドロキシル及び/またはカルボキシル基が、同じ繰り返し単位中に存在する、請求項1〜3のいずれか一つの組成物。
【請求項5】
末端にビニルエーテルを有する架橋剤が、(トリス(2−ビニルオキシエチル)−1,3,5−シクロヘキサントリカルボキシレート、(トリス(2−ビニルオキシエチル)−1,3,5−シクロヘキサントリカルボキシレート、トリス(4−ビニルオキシブチル)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボキシレート及びトリス(4−ビニルオキシエチル)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボキシレートから選択される、請求項1〜4のいずれか一つの組成物。
【請求項6】
酸または熱酸発生剤を更に含み、ここで好ましくは、酸または熱酸発生剤から誘導される酸が1.0より高いpKaを有し、及び好ましくは、酸または熱酸発生剤から誘導される酸が、220℃未満の温度で反射防止コーティングから除去される、請求項1〜5のいずれか一つの組成物。
【請求項7】
染料を更に含み、この染料が、好ましくは、モノマー性染料、ポリマー性染料、及びモノマー性染料とポリマー性染料との混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一つの組成物。
【請求項8】
反射防止組成物が0.1〜1.0の範囲のk値を有する、請求項1〜7のいずれか一つの組成物。
【請求項9】
ポリマーが酸に不安定な基を更に含み、この酸に不安定な基は、好ましくは、tert−ブチル、tert−ペンチル、イソボルニル、1−アルキルシクロヘキシル、1−アルキルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−アルキル−2−アダマンチル、2−アルキル−2−ノルボルニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されているかもしくは置換されていないメトキシカルボニル及びb−トリアルキルシリルアルキルから選択される、請求項1〜8のいずれか一つの組成物。
【請求項10】
水性アルカリ性現像剤中で現像可能なポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物であって、少なくとも一つの発色団基、少なくとも一つの酸に不安定な基、及び少なくとも一つのヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含むポリマー、末端にビニルエーテルを有する構造(7)の架橋剤、任意に及び光酸発生剤を含み、ここで構造(7)は、
【化2】

[式中、Wは、(C1−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル部分、置換されているかもしくは置換されていない(C3−C40)脂肪環式炭化水素部分及び置換されているかもしくは置換されていない(C3−C40)シクロアルキルアルキレン部分から選択され; Rは、C1−C10線状もしくは分枝状アルキレンから選択され、そしてnは≧2である]
である、前記ポジ型底面光像形成性反射防止コーティング組成物。
【請求項11】
a)請求項1〜10のいずれか一つの底面光像形成性反射防止コーティング組成物のコーティングを基材上に形成し;
b)反射防止コーティングをベークし;
c)底面コーティング上に、上面フォトレジスト層のコーティングを供し;
d)フォトレジスト及び底面コーティング層を同じ波長の化学線で像様露光し;
e)基材上でフォトレジスト及び底面コーティング層を露光後ベークし; 及び
f)フォトレジスト及び底面コーティング層を水性アルカリ性溶液で現像する、
ことを含む、ポジ型画像の形成方法。
【請求項12】
反射防止コーティング組成物のコーティングの後及びベークの前に、エッジビードを除去するステップを更に含む、請求項11の方法。
【請求項13】
反射防止コーティングが、フォトレジスト層をコーティングする前のベークステップの後に有機溶剤及び水性アルカリ性溶液中に不溶性になり、及びフォトレジスト及び底面反射防止コーティング層を現像する前の化学線での露光の後に水性アルカリ性溶液中に可溶性になる、請求項11または12の方法。

【公表番号】特表2013−507653(P2013−507653A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532672(P2012−532672)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007456
【国際公開番号】WO2011/042770
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】