説明

ポリエステル廃棄物の再生方法及びその再生装置

【課題】ボトル(bottle)、廃磁気フィルム、オリゴマースラッジなどのポリエステル廃棄物を解重合して、既存の方法に比べて装置を単純化し、エネルギー節減効果を達成することができ、高純度のモノマージメチルテレフタレート(DMT)を得ることができる装置およびポリエステル原料化再生方法の提供。
【解決手段】装置はポリエステル廃棄物を解重合し、反応生成物を精留塔300にて精留する際、分離された気体メタノールを第2反応器200に移送させるなどを含めたメタノールの再循環と、DMTの結晶化工程を通じて、工程の効率化及びエネルギー節減効果を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル廃棄物の再生方法及びその再生装置に関し、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)を主成分とするポリエステル廃棄物(ボトル、磁気フィルム、ビール瓶、オリゴマースラッジなど)からポリエステル原料物質のジメチルテレフタレート(以下、DMT)とエチレングリコール(以下、EG)に原料化する再生方法及びその再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、プラスチック産業の発達によりプラスチック製品が氾濫するにつれて、廃棄物の処理が大きい環境問題として台頭されている。
【0003】
プラスチック廃棄物の処理は、埋立、焼却、再活用などの三つの方法が通用されているが、埋立や焼却は、埋立地不足と環境汚染などの問題を引き起こすため、再活用することが好ましい方法といえる。一般に、再活用方法は、物理的再活用と化学的再活用とに大別されるが、まず、物理的再活用方法は、発生されたプラスチック類の廃棄物を物理的方法により回収及び選別した後、再活用する方法である。しかし、前記物理的再活用方法は、処理費用が経済的であるものの、再活用する場合、品質が落ちてしまう問題点を有している。
【0004】
化学的再活用は、廃プラスチックを解重合(depolymerization)させて、高分子物質を重合原料の単量体状態として回収する方法である。そのような例として、プラスチックの中、廃ポリエチレンテレフタレートの再活用方法があるが、既存の工程は、下記の工程からなる。
【0005】
廃ポリエステルを、解重合触媒を含むエチレングリコール中に投入して、ビス−ヒドロキシテレフタレート(bis-hydroxyethyl terephthalate, BHET)及びオリゴマーに解重合する解重合工程と、このように部分グリコリシスされた製品をエステル交換反応槽に投入して、エステル交換反応触媒とメタノール(MeOH)中でエステル交換反応して、粗DMTとEGを生成させた後、最終製品のDMTとEGに精製して、メタノールは、反応器に再循環させる結晶化及び蒸留工程からなる。
【0006】
以上の工程の中、エステル交換反応槽に対して、米国登録特許第5,051,528号では、低圧で過熱されたメタノール気体を使用して、気体としてDMT、EG、メタノールが反応器上部に排出されるようにして、このようにすることにより、より一層汚染されたPETを処理できるようにした。即ち、部分グリコリシスによりBHETとオリゴマーが得られて、これを再びメタノリシスしてDMTとEGが得られる。しかし、部分グリコリシスによりBHETまで解重合されるには、この反応が可逆反応であるため、長い反応時間が必要である。
【0007】
また、このように得られたBHETとオリゴマーは、気体メタノールにより再び解重合されてDMTとEGが形成されるが、気(ガス)状で排出されなければならないため、高圧のメタノールが使用できず、反応速度が遅いという短所があった。
【0008】
PETメタノリシスのための数多い方法が特許上に示されている。回分式または連続式条件で運転されているが、連続工程の主要な問題点は、固体ポリエステル廃棄物を高圧で運転されるメタノリシス反応器に供給することが難しいという点である。かかる理由で、メタノリシスは、回分式工程が有する様々な短所にもかかわらず、回分式からなる場合が多い。高圧回分式工程は、メタノール濃度が高く維持されるため、ポリエステル解重合が速く起こるが、時間が経つにつれて、製品として生成されるDMTとEGの濃度増加により、反応平衡制限により反応速度が遅くなり、これにより、完全にDMTとEGに解重合できず、約15%程度は、オリゴマー形態として残ってしまうと知られている。
【0009】
その反面、低圧連続式解重合工程は、反応器上部にDMTとEGが除去されるため、反応平衡による制限を受けないが、低圧であるため、反応液中にメタノール濃度が低く維持されて、反応速度が遅いという短所がある。
【0010】
それで、本出願人が先出願した大韓民国特許第0837781号では、グリコリシス反応とメタノリシス反応を一つの反応器で同時に起こるようにして、ポリエステル溶解槽、グリコリシス反応器、メタノリシス反応器の役割を一つの高圧反応器が行うようにする方法を開示した。前記方法は、反応速度を画期的に増進させて、反応効率の増大による原料メタノール使用量の減少効果を得ることができた。
【0011】
しかしながら、後続工程のメタノリシス反応器では、原料のメタノールをメタノール貯蔵槽から高圧ポンプにより注入して、また気化器により気化するなど、工程上で複雑な装置及びエネルギー消耗の大きい工程を行うしかなかった。
【0012】
したがって、前記工程は、回収塔内で分離されたメタノールを液化して、メタノール貯蔵槽に貯蔵し、これを再び気化器を通じて気化させてメタノリシス反応器に投入することにより、液化及び気化を繰り返すため、装置が複雑で、相対的に多いエネルギーが消耗される短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような問題点を解決するために、本発明の目的は、ボトル(bottle)、廃磁気フィルム、オリゴマースラッジなどのポリエステル廃棄物を解重合して、既存の方法に比べて装置を単純化し、エネルギー節減効果を達成することができて、高純度のモノマーDMTを得ることができる工程を提供することにある。
【0014】
より具体的に、本発明は、第一、第2反応器200のメタノリシス反応器で反応した生成物からメタノールを精留塔300で分離して、凝縮や再気化無しに第2反応器100に再循環するようにすることにより、循環されるメタノールが気化と液化を繰り返すことによる莫大なエネルギー消耗を大幅節減して、装置の単純化を得ることに目的がある。
【0015】
第二、第2反応器200の上端に排出されるガス状の反応生成物を精留塔300の下端部にある液だまり(liquid pool)とティッピング(dipping)などの方法により直接接触するようにすることにより、DMTとEGを直接的に液化させて、溶液内のメタノールのみを気化させるようにする工程を採択することにより、純度の高いメタノールを第2反応器200に再循環してメタノリシス反応に使用することに目的がある。
【0016】
第三、第2反応器200の上端に排出されるガス状の反応生成物から分離されたメタノールと、メタノール貯蔵槽30から投入される原料メタノールを混合して、第2反応器200に再循環させることにおいて、メタノールの投入量を調節できるようにすることに目的がある。
【0017】
第四、第2反応器200に供給されるメタノールは、精留塔300の上端で分離されるメタノールにより供給されるため、既存の原料メタノール気化器、加熱器及び高圧ポンプが特に必要なく、精留塔がその役割を果たすようにすることにその目的がある。
【0018】
第五、本発明は、精留塔300の下端部の温度を制御してメタノールのみを気化させ、後続結晶化が容易に進行されるようにして、第六、精留塔300の上部に排出されるメタノール量が過量である場合、一部は、逆圧調節器31を利用してメタノール貯蔵槽に貯蔵できるように、反応及び精留条件を自由に調節して、生産性を向上させることに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ポリエステル廃棄物の再生方法及びその再生装置に関し、以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
本発明で使用される技術用語は、特に定義がなければ、この発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明において、本発明の要旨を曖昧にするような公知機能及び構成に対する説明は省く。
【0021】
図1は、ポリエステル廃棄物から原料物質のDMTとEGを製造するポリエステル原料化再生装置の全体工程概略図であって、本考案の構成は、原料投入器10と、前記原料投入器10から供給される原料を利用して、グリコリシス反応とメタノリシス反応が一つの反応器で起こる第1反応器100と、前記第1反応器100の生成物をメタノリシス反応させる第2反応器200と、前記第2反応器200の上端に排出される気体からメタノールを分離し、ガス状で第2反応器200に再循環させる精留塔300と、前記精留塔300にメタノールを供給するためのメタノール貯蔵槽30とを含む。
【0022】
より具体的に、各構成について説明する。
【0023】
本発明の原料投入器10は、原料供給装置として押出器(extruder)、スクリューフィーダー(screw feeder)またはエアーロックバルブ(air lock valve)などが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の第1反応器100は、グリコリシスとメタノリシス反応が同時に起こるグリコリシス/メタノリシス反応器であって、DMT及びオリゴマーなどが生成されるようにして、溶解槽が別に要らなく、解重合速度を画期的に増大させることができる。
【0025】
前記第2反応器200は、第1反応器100から移送された反応物を、第2反応器の下端部の気泡分散器90から供給されるメタノールでメタノリシスさせて解重合反応を完了すると同時に、ガス状の反応生成物を排出することにより、不純物を非常に多く含んだポリエステル廃棄物も処理できる特徴がある。
【0026】
また、本発明の精留塔300は、第2反応器200の生成物を精留塔の下端部の液体と直接接触させて、メタノールのみを気化させて分離する役割をして、分離されたメタノールと、メタノール貯蔵槽30から精留塔の上端部に供給されて気化された原料メタノールの混合物を第2反応器に再循環させる役割もする。
【0027】
また、前記精留塔30にメタノール供給のためのメタノール貯蔵槽30は、運転開始時、第1反応器100にメタノールを供給する役割もする。
【0028】
本発明のポリエステル原料化再生装置は、前記分離されたメタノールの一部をメタノール貯蔵槽30に貯蔵するための逆圧調節器31と、前記精留塔300の液体からジメチルテレフタレートを結晶化する結晶化槽400と、前記結晶化されたジメチルテレフタレートを分離する固液分離器500と、前記固液分離器500と連結されて、分離されたエチレングリコールリッチなメタノール液から、上端部ではメタノールを分離してメタノール貯蔵槽30に貯蔵して、下端部ではオリゴマーを分離して第1反応器100に再循環させる蒸留塔600とをさらに含むことができる。
【0029】
また、本発明において、前記原料投入器10と第1反応器100との間に、前記原料投入器から供給される原料の重量を測って、反応器に供給されるようにするスクラップ中間貯蔵槽がさらに設けられる。
【0030】
また、前記第2反応器200に移送をする移送管70aには、内部の液位を感知するセンサー(図示せず)がさらに備えられて、前記第2反応器200内部のセンサーで反応器内の液位高さを感知して、液位が低くなる場合、自動にバルブ80aが開閉されるようにすることができる。
【0031】
前記第2反応器200と精留塔の圧力は、精留塔300上部で回収されるメタノールの一部流出量調節のための逆圧調節器(back pressure regulator, BPR)31またはその他の圧力調節バルブを利用して調節することができる。
【0032】
また、精留塔300上部に排出されるメタノール量が過量である場合、一部のメタノールがメタノール貯蔵槽30に回収されるためには、メタノール貯蔵槽30の上部に、メタノールを凝縮させるための凝縮器40をさらに備えることが好ましい。
【0033】
さらに、本発明は、PETを部分グリコリシスとメタノリシス反応及び精製過程を経て、ポリエステル原料物質のDMT(Dimethyl Terephthalate)とEG(Ethylene Glycol)に原料化する反応工程を提供する。
【0034】
具体的に、本発明は、ポリエステル廃棄物からポリエステル原料物質のジメチルテレフタレートとエチレングリコールを生産するためのポリエステル原料化再生方法において、第1反応器100に原料を投入し、一定量のエチレングリコールと解重合触媒を混合して注入した後、メタノールを供給し続けながら反応器圧を増加させて解重合する段階と、前記解重合反応が完了すると、第2反応器200と連結された移送管70aの移送バルブ80aを開けて、第1反応器100から反応物が移送されるようにする段階と、前記第2反応器200で生成されたガス状の反応生成物を精留塔300に移送させて、塔の上端部では純粋なメタノールを分離し、塔の下端部では、その他のメタノール、ジメチルテレフタレート及びエチレングリコールを液化させる段階と、前記精留塔300の上端部で分離されるメタノールは、第2反応器200に再循環させて、一部のメタノールは、メタノール貯蔵槽30に貯蔵する段階と、前記精留塔300の下部から出る液体を結晶化槽400に移送して、ジメチルテレフタレートを結晶化させる段階と、前記結晶化槽400の下部から出る生成物を固液分離器500に移送して、ジメチルテレフタレート結晶とエチレングリコールリッチなメタノール液を分離する段階と、前記エチレングリコールリッチなメタノール液を蒸留塔600に移送して、エチレングリコール、オリゴマー、メタノールに分離し、メタノールは、メタノール貯蔵槽30に貯蔵して、オリゴマーは、再び第1反応器100に再循環させる段階とを含む。
【0035】
前記第1反応器100と第2反応器200は、移送管70aが連結されて、圧力差により反応物が移送されるようにして、より具体的は、前記第2反応器200の液位が低くなると、自動的に移送管70aの移送バルブ80aが開いて、第1反応器100で圧力差により反応物が移送されることを特徴とする。
【0036】
また、前記第1反応器100の温度は、200〜300℃、反応圧力は、常圧〜50barの圧力で運転して、前記第2反応器200の温度は、200〜300℃、反応圧力は、常圧〜10barの圧力で運転して、圧力差により反応物が自動的に移送できるようにする。
【0037】
また、前記蒸留塔600で分離されたエチレングリコールは、第1反応器100に投入可能な原料として利用できる。
【0038】
より具体的に説明すると、本発明の工程に使用される原料は、ポリエステル廃棄物であって、押出器(extruder)、スクリューフィーダー(screw feeder)またはエアーロックバルブ(air lock valve)などの原料投入器10により第1反応器100に供給される。供給されるポリエステル廃棄物は、適正な大きさのパウダーからフレーク(flake)まで、固体またはメルト(melt)形態として供給できる。この第1反応器100は、連続的に、半連続的に、または回分式で運転でき、これを利用して、分子量の大きいポリエステルを、グリコリシス反応によりBHET、MHETまたはオリゴマーに分子量を大きく減らすことができる。
【0039】
また、メタノリシス反応が並行されるため、相当な量のDMTが第1反応器100で生成される。この過程でメタノリシスにより生成されたEGは、グリコリシスに再び使用できるため、二つの反応は、互いに相乗効果を示す。また、このように生成されたEGは、新しく供給されるPET原料物質を溶解するに使用されて、グリコリシスに必要なEG供給量を大きく減らすか、供給しなくてもよいようにする。
【0040】
前記第1反応器100に触媒とオリゴマーなどを含むエチレングリコールが供給されると、グリコリシスとメタノリシス反応が同時に起こり、ポリエステル廃棄物を大幅減少させて、後続工程の第2反応器200でジメチルテレフタレート及びエチレングリコールへの転換が容易で且つ速く起こるようにする。第1反応器100の圧力調節は、メタノール貯蔵槽30から移送管120bを通じて第1反応器100に供給されるメタノール供給量を調節してなされる。
【0041】
前記第1反応器100と第2反応器200は、移送管70aが連結されて、圧力差により反応物が移送されるようにすることを特徴とし、さらに詳細には、第2反応器200の液位が低くなると、自動的に移送管70aの移送バルブ80aが開いて、第1反応器100から圧力差により反応物が移送されて供給されるようにすることができる。
【0042】
本発明の第2反応器200は、反応器の下端部で気泡分散器90を通じてメタノールが供給される。下端部から供給されたメタノールと第1反応器100から移送された反応物は、直接接触しつつメタノリシス反応が起こり、第2反応器200の上端部にガス状の反応生成物が排出される。この過程でメタノールは、反応物質であると同時に、反応生成物を一緒に排出させる役割をする。
【0043】
前記第2反応器200で生成された反応生成物は、移送管70bの移送バルブ80bが開いて精留塔300に移送されて、精留塔30の下端部にある液体、即ち、DMT、EG、メタノール溶液と調節接触して、塔の上部にはメタノールのみを分離することができて、塔の下部ではメタノール、DMT及びEGを液化して後続結晶化工程を有利にする。前記メタノール分離は、塔の上部に原料メタノールを供給して還流させながら、下降する液体流れと上昇するメタノール気体流れが段塔(tray)または充填物(packing)で接触するようになって、分離が起こる。前記工程によりメタノール及び他の生成物の分離効率を高めることができる。
【0044】
前記精留塔300の上部にメタノールが回収されると、その大部分が循環圧縮機61またはブロワー(blower)を通じて第2反応器200の低圧連続式メタノリシス反応器に再循環される。
【0045】
前記第2反応器200と精留塔の圧力は、精留塔300上部で回収されるメタノールの一部流出量調節のための逆圧調節器(back pressure regulator, BPR)31またはその他の圧力調節バルブを利用して調節することができる。また、前記精留塔300の上部に排出されるメタノール量が過量である場合は、逆圧調節器31により一部のメタノールをメタノール貯蔵槽30に貯蔵することができる。
【0046】
したがって、本発明は、メタノール貯蔵槽30から供給される原料メタノールを気化して解重合反応器に供給する既存の工程に比べ、多いエネルギーを低減することができる。また、精留塔300の上部にメタノールが回収されるにつれて、精留塔の下部には、DMT及びEGが濃縮されて、後続結晶化作業を容易にする。
【0047】
前記精留塔300から出るDMT及びEGは、結晶化槽400に移送されて結晶化作業を経るが、前記結晶化作業は、常圧でなされて、濃縮あるいは冷却によりDMTを結晶化して、結晶化槽400の下部に設けられた固液分離器に移送されて、遠心分離器またはフィルターなどを使用してDMT結晶とEGリッチなメタノール液に分離することができる。前記工程を通じて得られたDMTは、従来方法に比べて回収率が非常に高く、高純度として得ることができる利点がある。
【0048】
前記エチレングリコール(EG)リッチなメタノール液は、エチレングリコール及びメタノールを過量含有した液体であって、少量のオリゴマーも含まれている。
【0049】
次いで、EGリッチなメタノール液は、蒸留塔600に移送されて、後続分離工程を経てEG、オリゴマー及びメタノールに分離されて、この際、前記蒸留塔600は、連続式または回分式で運転できる。前記蒸留塔600で分離されたメタノールは、メタノール貯蔵槽30に貯蔵されて、オリゴマーは、移送管130を通じて第1反応器100に再循環されるようにして、EGは、EG貯蔵槽に貯蔵されて、ポリエステル原料化再生方法に再使用できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明では、メタノリシス生成物を精留塔300の下端部にある液体と直接接触させてDMTとEGを液化させて、原料メタノールを精留塔300の上部に注入して還流(reflux)させることにより、メタノールを気体状態として塔の上部で分離することができる。また、回収されたメタノール気体は、循環圧縮機61またはブロワーを通じて第2反応器200に再循環されつつ、第2反応器200の下端部の気泡分散器90を通じて反応器内のポリエステル溶液と直接接触し、メタノリシス反応が起こるようにして、前記工程により、既存のメタノール循環において気化及び液化の繰り返しによるエネルギー費用を画期的に節減することができる。それだけではなく、このためのメタノール気化器、加熱器、高圧ポンプなどを使用せずに済むため、装置の単純化及び装置費の大幅的な節減を達成することができる。また、第2反応器200と精留塔300の圧力は、精留塔300上部の気体流出量を調節することにより、反応及び精留条件を自由に調節可能であって、精留塔300下部の結晶化槽400及び高液分離器500の導入により、単量体回収率が高くて、高純度のモノマーDMTを得るに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のポリエステル廃棄物原料化装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図1を通じて本発明をより詳細に説明するが、これは、発明の構成及び効果を理解させるためのもので、本発明の範囲を制限するものではない。
【0053】
本発明のポリエステル原料化再生装置及びその再生方法を説明すると、以下のようである。
【0054】
まず、廃ポリエステル原料を原料投入器10に入れて、第1反応器100に投入する。この際、供給装置である原料投入器10として、押出器(extruder)、スクリューフィーダー(screw feeder)またはエアーロックバルブ(air lock valve)などが使用できるが、これらに限定されるものではない。供給されるポリエステル廃棄物は、適正な大きさのパウダーからフレーク(flake)まで、固体またはメルト(melt)形態として供給できる。この第1反応器100は、連続的に、半連続的に、または回分式で運転できる。一定量のエチレングリコールとメタノールを第1反応器100に注入して解重合反応が起こるようにして、必要に応じて、蒸留塔600で分離されたオリゴマーを第1反応器100に投入して反応に参与させることができる。反応器の温度を所望の温度まで上昇させた後、メタノール貯蔵槽30から移送管120bを通じて第1反応器100に原料メタノールを供給し、所望の反応器圧に到達するようにする。この際、反応器圧が一定に維持されるように持続的にメタノールを供給する。この高圧の第1反応器100でグリコリシス反応とメタノリシス反応が同時に起こることにより、分子量が大きく減少して、ポリエステル廃棄物は、DMT及びオリゴマー溶液状態となる。
【0055】
低圧の連続式第2反応器200では、移送管70aと移送バルブ80aにより第1反応器100から移送された反応物を、第2反応器200下部の気泡分散器90から投入されるメタノールと反応させ、メタノリシス反応が起こるようにする。反応生成物は、反応器上部に連結された移送管70bと移送バルブ80bによりガス状の反応生成物が排出される。これにより、第2反応器200の液位が低くなると、第1反応器100から一定量の反応物が移送されるようにする。この際、前記移送は、圧力差により自動的になされて、第2反応器200内部の移送管70aの下部にはセンサー(図示せず)が備えられて、反応液の高さを感知するようにすることが好ましく、前記センサーは、移送管のバルブ80aと連結されて、センサーによりバルブが自動に作動するようにすることも可能である。
【0056】
前記第2反応器200に反応物を渡した第1反応器100は、回分式で運転する場合、再び固体ポリエステル廃棄物が投入されて、オリゴマー及びエチレングリコール溶液とメタノールが第1反応器100に供給されて、上述の過程を繰り返して新しい回分式反応を始める。
【0057】
即ち、第1反応器100で高圧反応を通じてポリエステル廃棄物をDMT及びオリゴマーに変換させて、第2反応器200では、メタノリシスにより連続的にDMT、EG、オリゴマー、メタノールなどをガスとして排出する。この際、第2反応器200の液位が低くなると、第1反応器100の反応物を再び第2反応器200に移送して、所望の液位になるようにして、第1反応器100は、新しい回分を始める。
【0058】
一方、第2反応器200で排出されたガス状の反応生成物は、移送管70bにより精留塔300に移送されて、精留塔300の下端部にある液体と直接接触させてDMTとEGを液化させて、メタノールは気化されるようにする。このような直接接触によりメタノール及び他の生成物を分離することにより、たくさんのエネルギーを節減することができる。
【0059】
また、原料メタノールを精留塔300上部に注入して還流(reflux)させて、この液体流れと反応生成物の気体流れを段塔または充填物などで接触させて、塔の上部にメタノールのみを分離する。分離されたメタノール気体は、精留塔300上部の循環圧縮機61またはブロワーを利用して第2反応器200に注入される。その後、気泡分散器90を通じてメタノールが第2反応器200内のポリエステル溶液と接触し、メタノリシス反応が起こるようにする。
【0060】
また、精留塔300上部で排出されるメタノールが過量排出される場合、メタノール気体の一部を逆圧調節器31またはその他の圧力調節バルブを利用してメタノール貯蔵槽30に貯蔵するようにして、第2反応器200に投入されるメタノールの量を調節する。
【0061】
一方、第2反応器200に投入されるメタノールの量を増加させる場合は、メタノール貯蔵槽30のメタノールを精留塔300の上端部にさらに多く投入して気化させて、第2反応器200に投入することができる。前記精留塔300下部のDMT濃度は、メタノール貯蔵槽30から移送管120aを通じて精留塔300上部に供給される原料メタノール注入量(還流量)を調節して、塔の下部の温度を合わせて調節し、精留塔300下部の加熱量は、メタノール気体の循環流速に鑑みて決定する。
【0062】
前記精留塔300の下端部で液化されたDMTとEGは、結晶化槽400に移送されて、常圧で冷却によりDMTを結晶化して、結晶化槽400の次に設置された固液分離器500でDMTとEGリッチなメタノール液を分離する。次いで、EGリッチなメタノール液は、蒸留塔600に移送されてEG、メタノール、一部オリゴマーに分離されて、メタノールは、メタノール貯蔵槽30に貯蔵し、EGは、回収して、第1反応器100に投入可能な原料として使用する。また、蒸留塔600の下端部から一部得られるオリゴマーも、第1反応器100に投入して、再び解重合されるようにする。
【符号の説明】
【0063】
10 原料投入器
30 メタノール貯蔵槽
31 逆圧調節器
61 循環圧縮器
90 気泡分散器
100 第1反応器
200 第2反応器
300 精留塔
400 結晶化槽
500 固液分離器
600 蒸留塔
70a、70b、110a、120a、120b、130 移送管
80a、80b 移送バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル廃棄物からポリエステル原料物質のジメチルテレフタレートとエチレングリコールを生産するためのポリエステル原料化再生装置であって、
原料投入器10と、
前記原料投入器10から供給される原料を利用して、グリコリシス反応とメタノリシス反応が一つの反応器で起こる第1反応器100と、
前記第1反応器100の生成物をメタノリシス反応させる第2反応器200と、
前記第2反応器200の上端に排出される気体からメタノールを分離し、気体として第2反応器200に再循環させる精留塔300と、
前記精留塔300にメタノールを供給するためのメタノール貯蔵槽30と、
を含むことを特徴とする、ポリエステル原料化再生装置。
【請求項2】
前記精留塔300は、第2反応器200の生成物を精留塔の下端部の液だまりと直接接触させて、メタノールのみを気化させて分離する精留塔であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項3】
前記精留塔300は、第2反応器200の生成物から分離されたメタノールと、メタノール貯蔵槽30から精留塔の上端部に供給されることによって還流され気化されたメタノールとの混合物を第2反応器に再循環させる精留塔であることを特徴とする、請求項2に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項4】
前記分離されたメタノールの一部をメタノール貯蔵槽30に貯蔵するための逆圧調節器31をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項5】
前記精留塔300内の液体からジメチルテレフタレートを結晶化する結晶化槽400をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項6】
前記結晶化されたジメチルテレフタレートを分離する固液分離器500をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項7】
前記固液分離器500と連結されて、分離されたエチレングリコールリッチなメタノール液から、上端部ではメタノールを分離してメタノール貯蔵槽30に貯蔵して、下端部ではオリゴマーを分離して第1反応器100に再循環させる蒸留塔600をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項8】
前記原料投入器10と第1反応器100との間に、前記原料投入器から供給される原料の重量を測って、反応器に供給されるようにするスクラップ中間貯蔵槽をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項9】
前記第2反応器200に移送をする移送管70aに、内部の液位を感知するセンサーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項10】
前記第2反応器200内部のセンサーと連結され、反応器内の液位高さを感知して、液位が低くなる場合、自動にバルブ80aが開閉されることを特徴とする、請求項9に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項11】
前記第2反応器200は、下部から気化されたメタノールを供給するための気泡分散器90をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル原料化再生装置。
【請求項12】
ポリエステル廃棄物からポリエステル原料物質のジメチルテレフタレートとエチレングリコールを生産するためのポリエステル原料化再生方法であって、
第1反応器に原料を投入し、一定量のエチレングリコールと解重合触媒を混合して注入した後、メタノールを供給し続けながら反応器圧を増加させて解重合する段階と、
前記解重合反応が完了すると、第2反応器と連結された移送管の移送バルブを開けて、第1反応器から反応物が移送されるようにする段階と、
前記第2反応器で生成されたガス状の反応生成物を精留塔に移送させて、塔の上端部では純粋なメタノールを分離し、塔の下端部では、その他のメタノール、ジメチルテレフタレート及びエチレングリコールを液化させる段階と、
前記精留塔の上端部で分離されるメタノールは、第2反応器に再循環させて、一部のメタノールは、メタノール貯蔵槽に貯蔵する段階と、
前記精留塔の下部から出る液体を結晶化槽に移送して、ジメチルテレフタレートを結晶化させる段階と、
前記結晶化槽の下部から出る生成物を固液分離器に移送して、ジメチルテレフタレート結晶とエチレングリコールリッチなメタノール液を分離する段階と、
前記エチレングリコールリッチなメタノール液を蒸留塔に移送して、エチレングリコール、オリゴマー、メタノールに分離し、メタノールは、メタノール貯蔵槽に貯蔵して、オリゴマーは、再び第1反応器に再循環させる段階と、
を含み、ポリエステル廃棄物からジメチルテレフタレートとエチレングリコールを生産することを特徴とする、ポリエステル原料化再生方法。
【請求項13】
前記第1反応器と第2反応器は、移送管が連結されて、圧力差により反応物が移送されるようにすることを特徴とする、請求項12に記載のポリエステル原料化再生方法。
【請求項14】
前記第1反応器の温度は、200〜300℃、反応圧力は、常圧〜50barの圧力で運転して、前記第2反応器の温度は、200〜300℃、反応圧力は、常圧〜10barの圧力で運転することを特徴とする、請求項12に記載のポリエステル原料化再生方法。
【請求項15】
前記第2反応器の液位が低くなると、自動的に移送管の移送バルブが開いて、第1反応器から圧力差により原料が移送されて供給されることを特徴とする、請求項12に記載のポリエステル原料化再生方法。
【請求項16】
前記蒸留塔で分離されたエチレングリコールは、第1反応器に投入可能な原料として使用されることを特徴とする、請求項12に記載のポリエステル原料化再生方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−79807(P2011−79807A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4115(P2010−4115)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(307043027)ザ インダストリー アンド アカデミック クーパレイション イン チュンナン ナショナル ユニバーシティー(アイエーシー) (5)
【Fターム(参考)】