説明

ポリメラーゼ阻害剤、及び腫瘍の治療のためのそれらの使用

本発明は、ポリメラーゼ阻害剤、特にポリメラーゼα阻害剤と、細胞成長障害、特に腫瘍障害、好ましくは日光性角化症、基底細胞癌及び/又は有棘細胞癌の治療におけるそれらの使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリメラーゼ阻害剤、特にポリメラーゼα阻害剤と、細胞成長障害、特に腫瘍疾患、好ましくは日光性角化症、基底細胞癌及び/又は有棘細胞癌の治療におけるそれらの使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍疾患という用語は、がんと同義語として使用されている。より具体的には、かかる疾患は悪性腫瘍であると理解されている。より厳密な意味では、悪性血芽球症も、専門家の間ではがんと定義されている(例えば、血液がんとしての白血病)。がんは、体細胞が無制御に成長及び分裂し、健常組織に置き換わり若しくは健常組織の側面に位置し、又は健常組織に浸潤し若しくはこれを破壊することがある、様々な関連疾患に対する総称として使用されている。
【0003】
腫瘍疾患の治療のための広範な作用物質及び方法が、先行技術において既知である。腫瘍疾患は最も高頻度の死因の1つであるので、限定的な成功例しか有しない多数のこれらの作用物質及び方法が利用されていると推測することができる。さらに上述の作用物質及び方法は、極めて多数の副作用を有することが知られている。先行技術は、不幸にもその副作用が患者に対して深刻な重要性を示すことによりクオリティ・オブ・ライフを実質的に低減する抗がん剤を開示している。
【0004】
悪性腫瘍又は皮膚がん又は悪性メラノーマとも称される悪性皮膚腫瘍は、ヒトにおける最も高頻度の腫瘍疾患の1つである。これらは、日射に曝された皮膚領域上で、例えば自転車に乗る人の頭、上半身上で、ふくらはぎ上で、発症することが多い。一般的には、農業従事者、船員又は漁師等の野外で多くの時間を過ごす人々が影響を受けることが多い。特定区分の人々は日焼けした肌は健康のためのリラクゼーションと活動的なライフスタイルとみなすため、長年にわたり、がん性疾患が顕著に増大している。特にオーストラリア等の日射量の多い国では、皮膚がん疾患の頻度が憂慮すべき程度に増大している。しかしドイツでも、約8000人の人々が、特に皮膚がんの悪性形態である悪性メラノーマ(黒色皮膚がん)を発症する。非メラノーマ性皮膚がん(日光性角化腫、有棘細胞癌及び基底細胞癌)の発症においてさらにより重要なのは、UV光である。基底細胞癌及び有棘細胞癌において好まれる方法は、腫瘍の外科的除去である。悪性メラノーマは、最も迅速な転移(metastasation)を伴うこれらの腫瘍の1つである。この理由のために、かかる腫瘍の治療方法は、転移の外科的除去も必要とする。外科処置後に、いわゆる免疫療法を行うことが多い。その目的は、特にインターフェロンにより、内在性防御を強化することである。現在では、細胞増殖抑制作用物質を使用する化学療法が、極めて限定的な範囲に対する、単一療法として利用される。これは、特に、かかる作用物質が、上記の腫瘍の局所的に限定した治療を可能にしないためである。
【0005】
さらに、ポリメラーゼ阻害剤が従来技術において既知であり、該阻害剤は、DNA又はRNAの再複製(reduplication)を阻害し、また例えば、ウイルスの成長を妨げ、又は細胞を変性させ得る。これらのいわゆるヌクレオシド類似体の効果は文献で広く論じられてきたが、実際上の成功はわずかであり、常に期待を下回る。ウイルス療法又はがん療法におけるかかる化学構造の使用が明らかに見えるけれども、当業者は、矛盾する現行の技術水準と、これらの化学構造の実際上の使用時の多数のネガティブな結果とのために、がん療法においてヌクレオシド/ヌクレオシド類似体を利用する動機付けを有しなかった。実際に、ヌクレオシドの構造におけるわずかな修飾さえもが、実質的な活性損失、又は劇的な副作用の増大をもたらすことが見出された。使用される考え得る化学構造の数は事実上無限であるので、かかる問題は、新しい化学構造を見出す目的での日常的な試験によっては克服することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、選択された腫瘍に対して驚くほど良好な効果を有するヌクレオシド、特に特定の選択されたヌクレオシドを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本当に驚くべきことに、本発明の目的は、抗腫瘍作用物質であって、一般式(1)〜一般式(16):
【0008】
【化1】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
【0009】
【化2】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
【0010】
【化3】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【0011】
【化4】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【0012】
【化5】

2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−2’−デオキシアデノシン
【0013】
【化6】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[4−ヒドロキシ−5−(2−ホスホノエチル)テトラ−ヒドロ−2−フリル]アデニン
【0014】
【化7】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
=OH又はSH
【0017】
【化10】

=O又はNOH
3’−デオキシ−3’−オキソチミジン又は
3’−デオキシ−3’−ヒドロキシルイミノチミジン
【0018】
【化11】

【0019】
【化12】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【0020】
【化13】

【0021】
【化14】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【0022】
【化15】

【0023】
【化16】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はSH
【0024】
による化合物を含む群から選択される、特に皮膚腫瘍の治療のための、抗腫瘍作用物質を提供することにより達成することができる。
【0025】
本発明による教示は、単一の発明概念により相互接続された、統合された発明群を組み合わせる。特許請求の範囲に記載の化合物は、共通の特性又は効果を有する代替形態として理解することができる。全ての代替形態は、本発明の技術分野における化合物の既知のクラスに属する。
【0026】
さらに本発明による教示は、腫瘍、特に皮膚腫瘍、又は皮膚細胞成長障害に対する効果に関して驚くべき特性を有する特定のヌクレオシドが選択される、選択発明(selection invention)を表す。
【0027】
本発明の別の好ましい態様では、上記の目的は、具体的には、好ましくは皮膚領域における、特に日光性角化症、悪性メラノーマ、有棘細胞癌及び/又は基底細胞癌を含む群から選択される、細胞変化の治療のための、作用物質を提供することにより達成される。ここで該作用物質は、ジクロフェナク及び/又は5−FUと比較して向上した抗増殖活性を有しており、以下の一般式1〜一般式4:
【0028】
【化17】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
【0029】
【化18】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
【0030】
【化19】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【0031】
【化20】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【0032】
による化合物を含む群から選択される。
【0033】
図は以下の結果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】腫瘍細胞株SCC−25にする物質10(HM−1)の効果を示す図である。SCC−25細胞に対するHM−1の効果は、2つの比較用物質である5−フルオロウラシル及びアフィディコリンの効果よりも強い。
【図1b】包皮から単離した一次ケラチノサイトとに対する物質10(HM−1)の効果を示す図である。
【図1c】腫瘍細胞株SCC−25に対するBuPOHの効果を示す図である。SCC−25細胞に対するHM−1の効果は、2つの比較用物質である5−フルオロウラシル及びアフィディコリンの効果よりも強い。
【図1d】包皮から単離した一次ケラチノサイトとに対するBuPOHの効果を示す図である。
【図2】BuP−OH(□)、HM−1(○)及びHM−1オキシム(△)に対するSCC−25細胞の48時間曝露後の、生存度(MTT試験)を示す図である。
【図3】BuP−OHに対する48時間曝露後の、HaCaT細胞(■)、ケラチノサイト(●)及びSCC−25細胞(▲)の生存度(MTT試験)を示す図である。
【図4】固体脂質ナノ粒子(SLN)及び樹枝状コアシェルナノ輸送体をそれぞれ負荷したときの、モデル物質であるナイルレッドの、クリームと比較した、浸透増強を示す図である。適用時間は6時間である。
【図7a】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。例えば、合成した生成物6、9、12、15、23、28、33、37、42、46及び/又は51は、抗腫瘍作用物質としての局所的皮膚適用に特に適切である。
【図7b】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7c】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7d】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7e】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7f】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7g】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7h】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【図7i】局所的使用のための本発明の抗腫瘍作用物質の調製又は合成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本当に驚くべきことに、一般式1〜一般式4による上述の化合物は、好ましくは皮膚領域における、細胞変化の治療における使用に非常に適している。本発明の作用物質は、ポリメラーゼ、特にポリメラーゼαを、調節し、特には阻害する。上記の技術的な教示に基づき、当業者は、先行技術による過去の作用物質では治療することができなかった新しい患者集団及び新しい疾患を治療することができるだろう。
【0036】
本発明の意味における皮膚領域は、表皮、真皮、皮下組織若しくは皮膚付属器、畝状の皮膚(ridged skin)若しくは網の目状の皮膚(meshed skin)と関連する、それらを完全に若しくは部分的に形成する、又はそれ自体として存在する若しくはそれらと関連する、いずれかの領域である。本発明の意味において、これは、乳房、大腸及び直腸における、又は膀胱における、組織であり得る。しかし、本発明の意味において、好ましい実施形態における皮膚は、内外の境界の役割を果たすヒト個体又は動物個体の外部器官として、具体的に又は限定的に理解されるわけではない。本発明の意味において、好ましい実施形態における皮膚領域は、表皮、真皮又は皮下組織の成分を含む。本発明によれば表皮は、以下の層から構成される:角質層、透明層、顆粒層、有棘層及び/又は基底層。この領域における細胞のいずれかの変化が、本発明の意味における皮膚領域における細胞変化である。
【0037】
本発明による皮膚領域の構成要素でもある真皮は、結合組織繊維から主に構成され、表皮に栄養を供給し且つ固定する際に役割を果たす。表皮への境界域における毛細血管系と、皮脂腺及び汗腺とは、本発明の意味における皮膚領域に含まれる。本発明の意味における真皮は、乳頭層及び網状層に分けることができる。
【0038】
さらに、本発明の意味における皮膚領域は、いずれかの領域、すなわち、皮下組織中の若しくは皮下組織上の、又は身体内組織の、又は器官若しくは器官の構成要素の、いずれかの位置であり得る。器官と周囲の構造との間の境界を形成する組織壁は、本発明の意味における皮膚であり得る。
【0039】
さらに、本発明による皮膚領域という用語は、毛髪、皮脂腺、毛包筋、爪、角質材料(horny material)及び汗腺、特に外分泌及びアポクリン汗腺等の皮膚付属器と、乳汁分泌腺とを含む。いずれかの細胞変化、特に正常でない細胞成長は、本発明による作用物質で治療することができ、好ましい一様式では、このことは、外部の皮膚領域に限定されない。
【0040】
しかし、本発明の意味における皮膚領域は、指若しくは足底上に発生するような畝状の皮膚、又はそれらと関連する網の目状の皮膚及び皮膚付属器にも関し得る。
【0041】
完全な又は部分的な腫脹又は腫瘍は、上述の全てのタイプの皮膚上で形成し得る。すなわち、組織体積の増大は、いずれかの原因により起こり得る。組織体積の低減も、勿論考え得る。本発明の一実施形態では、組織体積のかかる変化が、本発明の意味における細胞変化であると理解される。また、組織体積の増大も低減も起こらない場合の細胞の活性の変化は、例えば特定の変化した細胞が、皮膚領域の一部であっても又はそうでなくてもよい幾つかの他の細胞組織に浸潤又は浸透する場合等において、本発明の意味における細胞変化であり得る。同様に、これらのプロセスは、本発明の意味における細胞変化であると理解される。さらに、皮膚領域に影響を及ぼす、又はそれに隣接する炎症は、本発明の意味における細胞変化である。
【0042】
皮膚領域における好ましい細胞変化は、日光性角化症、悪性メラノーマ、有棘細胞癌又は基底細胞癌である。
【0043】
本発明の意味における日光性角化症は、特に光に誘発される病変により引き起こされる、皮膚、特に表皮角質(horny epidermis)の変化である。日光性角化症は、悪性病変を発症させ、皮膚がんを引き起こし得る(偶発性前がん状態)。日光性角化症は、人生のいずれかの年齢にあるヒトに対して、しかし本発明の好ましい一実施形態では特に人生の後半にあるヒトに対して、影響を及ぼす。本発明の好ましい一実施形態では日光性角化症は、特に、顔に、手の甲上に、額、上頭/はげ頭、鼻及び耳上に、発症する。明らかに、日光性角化症はヒトに限定されず、むしろ、全ての生物、特に哺乳動物、及びより好ましくは飼い犬及び飼い猫に対して影響を及ぼす。日光性角化症が、或る個体において、前がん段階(例えばボーエン病)等の他の皮膚変化と関連して又は関連せずに、皮膚領域における細胞変化として、同時に又は異なる時間に、発症することも勿論考え得る。
【0044】
本発明の意味における基底細胞癌は、基底細胞上皮腫と称されることもある、基底細胞癌、又はかかるがんの前駆状態である。より具体的には、この細胞変化は、基底表皮細胞層に由来し得る。周囲の非皮膚性(non-dermal)組織を損傷し、骨細胞に浸潤することもある。特に細胞変化は皮膚領域、すなわち表皮細胞層に由来するので、かかる細胞変化のいずれかの治療は、本発明の意味における皮膚領域の細胞変化の治療であると理解される。
【0045】
本発明の意味における有棘細胞癌は、特にUV光により誘発されるため(基底細胞癌の場合と同様に)光に曝される身体(顔等)の領域に特に現れる、皮膚領域における細胞変化である。本発明の好ましい実施形態では、日光性角化症及びボーエン病等の前がん状態を、有棘細胞癌とみなすことができる。本発明の意味において、有棘細胞癌により、又は例えば基底細胞癌により形成される転移も、皮膚領域における細胞変化とみなされる。
【0046】
本発明の意味における悪性メラノーマは、色素細胞(メラノサイト)のいずれかの変性、特に悪性の変性である。悪性メラノーマは、初期段階に、リンパ系及び血液循環系を介する拡散性の転移の傾向を強く示す。したがって、皮膚領域における細胞変化に関して、本発明は、悪性メラノーマに起因する転移の治療も含む。
【0047】
本発明による作用物質は、特に成長の増強、又はその生化学的活性の変化の結果として変化された細胞のポリメラーゼに影響を及ぼすために、特に該ポリメラーゼを阻害するために適切に使用され得る。したがって、本発明による作用物質は、特に腫瘍において、DNA若しくはRNAに影響を及ぼすこと、それらを再複製すること、又は修復することに関して、使用することができる。好ましい一様式では、腫瘍に対する効果は、皮膚腫瘍に限定されない。驚くべきことに、本発明による作用物質を、特に皮膚領域で発生する腫瘍の局所療法において使用することができること、及びこれらの腫瘍は該皮膚領域における原発性腫瘍又は二次性腫瘍であり得ることが見出された。したがって本発明による作用物質の好ましい標的は、腫瘍組織中に、すなわち特に細胞中に存在するポリメラーゼである。腫瘍組織内又は隣接する組織内に、非変化形態又は未変化形態(例えば変性形態)で存在する細胞に関することがある。ジクロフェナク及び/又は5−FU等(腫瘍細胞に対するこれらの有効性は、先行技術におけるそれらの分類において使用される)の、同様の腫瘍に対して使用することができる既に利用可能な作用物質が存在するが、本発明による構造を特に効果的な様式で特に皮膚腫瘍の治療に使用することができることを見出したことは非常に驚くべきことであった。本発明による作用物質は、好ましくは、それによりプライマーゼにもはや結合しないポリメラーゼαに高い親和性を有し、その結果主鎖及び連続鎖の複製が起こり得ない。本発明による作用物質は、全てのポリメラーゼ、特に真核生物のポリメラーゼ、好ましくはクラスA、クラスB、クラスX及びクラスYのポリメラーゼに対して利用することができることが理解されるだろう。しかし、特に驚くべきことは、上述の細胞変化の治療に関する、ポリメラーゼαに対する作用物質の効果である。したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による作用物質は、DNAポリメラーゼ阻害剤と称することもできる。
【0048】
上述の使用とは別に、本発明による構造は、他のポリメラーゼ阻害剤、特にポリメラーゼα阻害剤の開発のためのリード構造として使用することもできる。本発明は、本発明による作用物質にのみ限定されるのではなく、好ましくは化学式1〜化学式4による、又は好ましくは化学式1〜化学式7による分子と比較して、本発明による問題を解決する際に同様の挙動を示す、機能的に類似する分子にも関することが理解されるだろう。より具体的には、本発明の意味における機能的類似体は、異なる方法で生成され得るが本質的に同じ方法で同じ機能を本質的に実現し、好ましくは一般式1〜一般式4及び一般式5、一般式6又は一般式7による化合物と本質的に同じ結果をもたらす均等物とみなすことができる。したがって、本発明の教示に関する「機能的類似体」という用語は、実現される結果により規定される作用物質の保護は除外されるので、十分に明らかである。特に、機能的類似体、すなわち均等物が本発明の教示に包含されるかどうかという疑問は、その機能的類似体が、修飾したが合目的性の点からは等しく効果的な作用物質を使用することにより本発明の基礎を形成する問題を解決するかどうかと、当業者が専門知識に基づき、同じ効果を有する修飾した作用物質(機能的類似体又は変形形態(variants))を見出す可能性を有するかどうかとにより答えられる。当業者によりこの目的に対してなされるべき検討は、特許請求の範囲において保護される教示の意味に基づかなければならないので、当業者は、好ましくは一般式1〜一般式4による作用物質を用いる本発明の目的の解決方法と均等であるところの、本発明の目的の解決方法としての機能的類似体又は変形形態の使用を考えるだろう。したがって機能的に類似する分子は、特に特許請求の範囲において保護される教示の意味に基づき当業者が検討しなければならないために、当業者が、本発明による特許請求の範囲に記載された、好ましくは一般式1〜一般式4による分子による解決方法と均等であるところの解決方法として、機能的類似体又は変形形態を考えるであろう目的に対して、当業者により同じ効果を有するものとして見出されるであろう分子である。
【0049】
「機能的類似体」又は「変形形態」及び「本質的に同じ機能」、「本質的に同じ方法で」並びに「本質的に同じ結果」という用語は、これらの表現は生物学の技術分野において一般的に認識される意味を有するため、相対的な用語ではない。「機能的類似体」及び「変形形態」という用語は、本発明による均等物として理解され、権利の範囲(jurisdiction)において(特に、実体特許法条約(International Patent Law Harmonization Treaty)の法において)繰り返し定義されているので、これらの用語は十分に明らかである。したがってこれらの用語は一般的に認識される意味を有しているので、より正確な情報での置き換えは必要とされない。「本質的に」という用語は、非常に厳密な又は狭い定義を有する特許請求の範囲の、いわゆる「意味をやわらかくする(softening means)」役割を果たすので、実体特許法条約における定義により承認されている。「本質的に」という用語を使用する意図は、本発明による特許請求の範囲に記載された分子の変形形態である分子であって、本質的に同じ方法で本質的に同じ機能をもたらし本質的に同じ結果をもたらす分子が、例えば厳密に同一の結果をもたらすことができない場合、又はかかる機能的類似体又は変形形態の使用のための条件のわずかな修正が最適な使用のために必要とされる場合、もはや特許請求の範囲に包含されないことを回避することである。したがって、本発明の意味において、「本質的に同じ方法で」という用語は、機能的類似体又は変形形態を、特に、皮膚領域上における日光性角化症、悪性メラノーマ、有棘細胞癌及び/又は基底細胞癌の治療のために使用することができることを示唆する。
【0050】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明による作用物質は、以下の構造を有する:
【0051】
【化21】

2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−2’−デオキシアデノシン
【0052】
別の好ましい実施形態では、本発明による作用物質は、以下の構造を有する:
【0053】
【化22】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[4−ヒドロキシ−5−(2−ホスホノエチル)テトラ−ヒドロ−2−フリル]アデニン
【0054】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による作用物質は、以下の構造を有する:
【0055】
【化23】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【0056】
本発明は、一般式1〜一般式7による化合物に対して機能的に類似し、以下:
【0057】
【化24】

【0058】
【化25】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
=OH又はSH
【0059】
【化26】

【0060】
【化27】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【0061】
【化28】

【0062】
【化29】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【0063】
【化30】

【0064】
【化31】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はSH
【0065】
を含む群から選択される作用物質にも関する。
【0066】
本発明は、一般式10:
【0067】
【化32】

=O又はNOH
3’−デオキシ−3’−オキソチミジン又は3’−デオキシ−3’−ヒドロキシルイミノチミジン
【0068】
の化合物にも関し、HM−1は第1の医学的用途において特許請求の範囲に記載されており、HM−1オキシム誘導体は腫瘍の治療のための使用(第2の医学的用途)において記載されている。したがって、HM−1及びHM−1オキシム誘導体の両方が、特に内部皮膚及び外部皮膚の細胞成長障害に対する、抗腫瘍作用物質として特許請求の範囲に記載される。一般式10による化合物を、腫瘍疾患、特に皮膚腫瘍の予防方法又は治療方法又は治療後の健康管理において使用することができることを見出したことは全く驚くべきことであった。一般式1〜一般式16による化合物は、本発明の基礎となる問題を解決するので、1つの単位を表す。化合物は、単一の発明概念が達成されるように相互接続される。一般式1〜一般式16による化合物の間には、これらの化合物の全てを、特に皮膚腫瘍の治療のための、抗腫瘍作用物質として使用することができるような、技術的関係が存在する。本発明による作用物質は、腫瘍の成長、転移、侵入、浸潤及び/又は血管新生を防止又は阻害するように、適用することができる。それらの予防可能性又は治療可能性に関して腫瘍に対する本発明の化合物の効果は、例えば腫瘍成長の阻害において、又は血管新生若しくは転移の低減において、又はその他において、見ることができる。投与用量は、レシピエントの年齢、健康状態及び体重と、疾患の程度と、必要とされる同時治療のタイプと、治療の頻度及び所望の効果のタイプと、副作用とに依存するだろう。本発明による薬学的作用物質を投与するためのそれぞれの用量又は投与範囲は、所望の予防的又は治療的抗腫瘍効果を実現するために、十分に高い。これに関して、用量は、望ましくない副作用が優位となるように選択するべきではない。概して、用量は患者の年齢、体質、性別に応じて変化するだろうし、勿論、疾患の重症度に依存するだろう。個々の用量は、原発性疾患と、付加的な合併症の発生との両方に関して、調整することができる。既知の手段及び方法を使用して、厳密な用量は、当業者により、例えば投与量の関数として、又は治療計画若しくは薬学的キャリア等の関数として、腫瘍サイズ、白血球数等を決定することにより、決定することができる。患者に応じて、用量を個々に選択することができる。例えば、患者が単に許容性を有するような薬学的作用物質の用量は、血漿中における、又は局在的に特定の器官中におけるその範囲が、0.1μM〜10000μM、好ましくは1μM〜1000μMであるようなものであり得る。代替的に、用量は、患者の体重と比較して算出することができる。この事象においては、薬学的作用物質の典型的な用量は、例えば、体重1kg当たり0.1mgより大きい、好ましくは0.1mg/kg〜5000mg/kgの範囲で、調整されなければならないであろう。しかし、さらには、患者全体よりもむしろ特定の器官に基づいて用量を決定することも可能である。例えば、これは本発明による薬学的作用物質を、外科処置により特定の器官の近くに置く場合、例えばそれぞれの患者中に取り込まれる生体高分子中におく場合であろう。所望の一様式で分子を遊離させることができる多数の生体高分子が、当業者に既知である。例えば、かかるゲルは、ゲル組成物1mL当たり1mg〜1000mgの本発明の化合物又は薬学的作用物質を、好ましくは5mg/mL〜500mg/mL、より好ましくは10mg/mL〜100mg/mLを含み得る。
【0069】
この事象においては、治療的作用物質は、固体組成物、ゲル様組成物又は液体組成物として投与される。本発明の化合物の使用時における上述の濃度に加えて、別の好ましい実施形態における化合物を、24時間当たり体重1kg当たり0.05mg〜500mg、好ましくは体重1kg当たり5mg〜10mgの総量で、利用することができる。有利には、これは、障害の、又は反応性の病理学的な生理学的状態の、症状を防止又は改善するために使用される治療量である。投与量は、腫瘍の成長、転移、侵入、浸潤及び/又は血管新生を防止又は阻害するのに十分である。それらの予防可能性又は治療可能性に関して腫瘍に対する本発明の化合物の効果は、例えば成長又はその他の阻害において、見ることができる。例えば、治療効果は、本発明の化合物を適用した結果として、所望の副作用として、特定の抗腫瘍薬物がその効果において改善され、又は用量を低減することにより、これらの薬物の副作用の数が低減されるようなものであり得る。勿論、その治療効果は、腫瘍に対する直接的な作用も包含する。しかし、すなわち、本発明の化合物の効果は腫瘍を排除することに限定されず、むしろ予防方法及び治療方法における有利な効果の全体のスペクトルを含む。明らかに、上述のように、用量は、レシピエントの年齢、健康状態及び体重と、疾患の程度と、必要とされる同時治療のタイプと、治療の頻度及び所望の効果のタイプと、副作用とに依存するだろう。体重1kg当たり0.05mg〜500mgの1日量を、所望の結果をもたらすために、単回投与又は複数回投与の形態で適用することができる。1日当たりの用量レベルを、腫瘍疾患の防止及び治療において使用することができる。単回投与形態をもたらすためにキャリア材料と組み合わせる活性物質の量は、治療される患者と、投与の特定のタイプとに依存して変化し得ることが理解されるだろう。好ましい一様式では、1日量は、各適用において投与される体重1kg当たり0.05mg〜5mgの活性物質含有量を含む、1個〜2個の調製物(パッド、タブレット等)による2回〜5回の適用に、分配される。勿論、例えば500mg/kgを超える濃度までの、より高い活性物質含有量を選択することも可能である。上述の投与量から逸脱することが必要となり得るが、これは、治療される宿主の性質及び体重と、疾患のタイプ及び重症度と、薬剤の剤形及び用途のタイプと、投与を行う時期又は時間間隔とに依存する。したがって、上述の量より少ない量を個体と接触させることが好ましい場合があり、上述の活性物質の量より多い量でなければならない場合もある。当該技術分野における専門知識を有する者は、各々の場合に必要とされる最適な投与量と、活性物質の適用のタイプとを容易に決定することができる。
【0070】
したがって本発明は、一般式1〜一般式9及び一般式11〜一般式16による、好ましくは薬剤としての使用のための、特許請求の範囲に記載された作用物質に関する。好ましい一様式では、作用物質は、本発明の作用物質と、任意に薬学的に許容し得るキャリアとを含む薬学的調製物として使用される。
【0071】
それらの機能的関係の結果として、一般式1〜一般式16による化合物は、それらが共通に有する効果を示す統合された発明概念中に相互接続される。それらが共通に有する効果は、腫瘍療法におけるそれらの驚くほど良好な有用性により表される。したがって、特定の態様において本発明は、一般式(1)〜一般式(16)による化合物が、非常に特異的且つ特に効率的な様式で、皮膚腫瘍の治療に使用することができるという驚くべき教示に関する。一般式(1)〜一般式(16)による本発明の化合物が腫瘍療法において特に有用であることを見出したことは全く驚くべきことであった。先行技術において類似の化合物が記載されているが、これらの化合物はかかる驚くべき特性を示さない。したがって、これは、当業者は、部分的に新しい化合物(新しい使用における)が、基礎となる技術的問題の本発明の解決方法のための手段として、既知の化合物と同様に、等しく又は同様に十分に適していることを期待することを示唆するであろうから、一般式(1)〜一般式(16)による化合物の新しい使用に関する本発明の活性を、既知の化学物質に対するそれらの類似性に基いて否定することはできない。既知の化合物に対して現存する差異は、本発明による特許請求の範囲に記載された化合物の特性に対して実質的な影響を有するので、技術的問題の解決方法にとって非常に重要である。既知の化合物とは対照的に、一般式(1)〜一般式(16)による化合物は、正常細胞に対してはほとんど影響を有しないか、又は全く影響を有しないが、がん細胞に接触させたときには高い毒性を有する。また、本発明による構造は、既知の化合物と比較してより高い親油性を有する。先行技術の化合物は、同様の親油性を有する可能性があるが、不都合なほどに大きいので、特にポリメラーゼαと相互作用させるために、及びその結果腫瘍を治療するために、合理的に使用することができない。特に、本発明による構造におけるヒドロキシル基の存在は、既知の化合物に関して開示されていない。ヒドロキシル基の好ましい存在のために、ポリメラーゼα等のタンパク質は、特に安定な結合を開始する少なくとも1つの水素結合(hydrogen bridge)を形成することができる。先行技術における類似の化合物に対しては、例えばウイルスに対する、in vitroでの活性が記載されているにすぎないのに対して、一般式1〜一般式16による本発明の分子がヒトにおける使用にとって非常に適切であることを見出したことは全く驚くべきことであった。同様に、ブチル残基を超える本発明の構造の拡張的な利点は、先行技術において開示されていない。既知の化合物と本発明による化合物との間の上述の差異の合計は、腫瘍、特に皮膚の腫瘍の治療に関して、一般式(1)〜一般式(16)による分子の顕著な特異性をもたらす。例えば、先行技術の類似の化合物は様々なポリメラーゼに対して効果を有するが、本発明による構造は、ポリメラーゼαに対して特に効率的である。例えば多数のポリメラーゼに対する効果を有する既知の先行技術における化合物は、腫瘍、特に皮膚の腫瘍に対して特異的な効果を有しない。
【0072】
本発明の好ましい一実施形態では、薬学的キャリアは、充填剤、希釈剤、結合剤、保湿剤、溶解抑制剤(dissolution retarders)、崩壊剤、吸収増強剤、湿潤剤、吸着剤、滑剤及び/又はキャリア脂質、特に固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質キャリア、リポソーム及びポリマー粒子、特にデンドリマーを含む群から選択される。本発明の意味における薬学的作用物質は、個体の全体の状態、又は特定の部分の状態の病原性変化が少なくとも一時的に確立され得るように、特に腫瘍細胞又は発がん性物質(cancerogens)と接触した患者の、予防方法、診断、治療方法、フォローアップ又はアフターケアにおいて使用することができる、医学の分野におけるいずれかの作用物質である。したがって、例えば、本発明の意味における薬学的作用物質は、ワクチン、免疫治療作用物質又は免疫予防作用物質であり得る。本発明の意味における薬学的作用物質は、本発明の化合物、又は本発明の化合物及び/又はその許容可能な塩若しくは成分を含み得る。
【0073】
本発明は、適用システムと、キットの内容物を組み合わせるための情報と、それと共に、本発明の薬学的作用物質とを含むキットにも関する。キットの内容物を組み合わせるための情報は、疾患、特に腫瘍疾患の予防方法及び/又は治療方法における該キットの使用に関する。例えば、その情報は、治療計画、すなわち具体的な注射若しくは適用のスケジュール、投与すべき用量、又は他の事項にも関し得る。
【0074】
さらなる一態様では、本発明は、in vitro又はin vivoでのポリメラーゼの変化のための、本発明の作用物質と、本発明の薬学的作用物質と、本発明のキットとの使用に関する。
【0075】
本発明の好ましい一実施形態では、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼαである。
【0076】
本発明の別の好ましい実施形態では、ポリメラーゼの変化は、細胞成長の、及び/又は細胞成長障害の変化である。
【0077】
本発明の別の好ましい実施形態では、細胞成長障害は、細胞増殖である。
【0078】
本発明において「腫瘍」という用語は、「がん」という用語により説明される全ての疾患を包含することを意図する。一方では、ヒト又は動物の身体におけるいずれかの組織増殖又は空間的拡大を、特にかかる空間的拡大又は組織増殖が皮膚領域で起こる場合には、本発明の意味における腫瘍とみなすことができる。空間的拡大及び組織増殖は、細胞成長調節不全の結果としての、腫脹と、炎症と、身体組織の新生物とを含む。したがって、母斑又は脂肪性腫脹等の良性の腫瘍も、本発明の意味における腫瘍と定義される。
【0079】
例えば、悪性皮膚腫瘍は、基底細胞癌、有棘細胞癌又は悪性メラノーマ(黒色皮膚がん)であり得る。
【0080】
本発明の別の好ましい実施形態では、細胞増殖は、上皮由来の皮膚がん、好ましくは基底細胞癌若しくは有棘細胞癌、色素細胞の皮膚がん、免疫細胞の皮膚がん、線維肉腫、汗腺癌、皮脂腺癌、血管肉腫、筋肉腫及び/又はメルケル細胞癌を含む群から選択される。
【0081】
本発明の別の好ましい実施形態では、基底細胞癌は、結節性充実性(solid)基底細胞癌、表在性基底細胞癌、色素性基底細胞癌、硬化性(sclerotizing)基底細胞癌、潰瘍性(exulcerating)基底細胞癌及び/又は破壊性基底細胞癌である。
【0082】
本発明の別の好ましい実施形態では、細胞成長障害は、角化症である。
【0083】
本発明の別の好ましい実施形態では、角化症は、脂漏性角化症、日光性角化症、老人性斑(senile speckles)、色素沈着(pigmentation marks)及び/又は日光性黒子(lentigo solaris)を含む群から選択される。
【0084】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、腫瘍疾患は、癌、肉腫、神経内分泌腫瘍、血液腫瘍学的腫瘍(hemooncologic tumor)、個体発生異常性腫瘍及び/又は混合腫瘍である。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態では、疾患は、治療され、予防的に防止され、又はその再発が防止されるがん性疾患であって、耳−鼻−咽頭領域の、肺、縦隔、胃腸管、泌尿生殖器系、婦人科系、乳房、内分泌系、皮膚、骨の、がん性疾患若しくは腫瘍疾患、及び軟部組織肉腫、中皮腫、メラノーマ、中枢神経系の新生物、乳児期のがん性疾患若しくは腫瘍疾患、リンパ腫、白血病、腫瘍随伴症候群、未知の原発性腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症、免疫抑制関連悪性病変及び/又は腫瘍転移の群から選択される、がん性疾患である。
【0086】
より具体的には、腫瘍は以下のタイプのがんであり得る:乳腺癌、前立腺癌及び結腸腺癌;気管支を発端にする全ての形態の肺がん;骨髄がん、メラノーマ、肝臓癌、神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ、分離腫、鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患、癌(例えばウォーカー癌、基底細胞癌、扁平基底癌(squamobasal carcinoma)、ブラウン・ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、上皮内癌(in situ carcinoma)、2型癌(cancer-2carcinoma)、メルケル細胞癌、粘膜がん、非小細胞性気管支癌、燕麦細胞癌、乳頭状癌、硬癌、細気管支肺胞上皮癌、気管支癌、扁平上皮癌及び移行上皮癌);組織球性機能障害;白血病(例えばB細胞白血病、混合細胞白血病、ヌル細胞白血病、T細胞白血病、慢性T細胞白血病、HTLV−II関連白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、肥満細胞白血病、及び骨髄性白血病に関連);悪性組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、孤立性形質細胞腫;細網内皮症、軟骨芽細胞腫;軟骨腫、軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;白血肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;ユーイング肉腫;滑膜腫;腺線維腫;腺リンパ腫;癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫;間葉細胞腫;中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫、絨毛芽腫(chorioblastoma);腺癌、腺腫;胆管腫;胆脂腫;円柱腫;嚢胞腺癌、嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;男性胚細胞腫(gynadroblastoma);汗腺腫;島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫、卵胞膜細胞腫、平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣細胞腫;神経節細胞腫、神経膠腫;髄芽腫、髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫、神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、角化血管腫、好酸球性血管リンパ球増殖症;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮細胞腫、血管肉腫;リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫;松果体腫;葉状嚢肉腫;血管肉腫;リンパ管肉腫;粘液肉腫、卵巣癌;肉腫(例えば、ユーイング肉腫、試験的に、カポジ肉腫及び肥満細胞肉腫);新生物(例えば、骨新生物、乳房新生物、消化器系の新生物、結腸直腸新生物、肝臓新生物、膵臓新生物、下垂体新生物、精巣新生物、眼窩新生物、頭部及び頸部の新生物、中枢神経系の新生物、聴覚器官、骨盤、気道及び尿生殖路の新生物);神経線維腫症及び頸部扁平上皮形成異常(cervicalsquamous cell dysplasia)。
【0087】
別の好ましい実施形態では、治療若しくは予防的に防止される、又はその再発が予防されるがん性疾患又は腫瘍は、以下のがん性疾患又は腫瘍疾患の群から選択される:耳−鼻−咽頭領域の腫瘍、例えば内鼻(inner nose)、鼻洞、鼻咽頭、唇、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍、及び傍神経節腫;肺の腫瘍、例えば非小細胞性気管支癌、小細胞性気管支癌、縦隔の腫瘍;消化管の腫瘍、例えば食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢及び胆道、小腸の腫瘍、結腸癌及び直腸癌及び肛門癌;泌尿生殖器の腫瘍、例えば腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎及び精巣の腫瘍;婦人科腫瘍、例えば子宮頸部、膣、外陰の腫瘍、子宮がん、悪性栄養膜疾患、卵巣癌、卵管(ファロピウス管(TubaFaloppii))の腫瘍、腹腔の腫瘍、乳癌;内分泌器官の腫瘍、例えば甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍、内分泌膵臓腫瘍、カルチノイド腫瘍及びカルチノイド症候群、多発性内分泌新生物、骨及び軟組織肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍;メラノーマ、例えば皮膚及び眼内メラノーマ、中枢神経系の腫瘍;乳児期の腫瘍、例えば網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経線維腫症、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫;リンパ腫、例えば非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫、ホジキン病;白血病、例えば急性白血病、慢性骨髄性及びリンパ性白血病、形質細胞新生物、骨髄形成異常症候群、腫瘍随伴症候群、未知の原発腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症;免疫抑制関連悪性病変、例えばカポジ肉腫、エイズ関連リンパ腫、中枢神経系のエイズ関連リンパ腫、エイズ関連ホジキン病及びエイズ関連肛門性器腫瘍等のエイズ関連悪性病変、移植関連悪性病変;転移型腫瘍、例えば脳転移、肺転移、肝転移、骨転移、胸膜転移及び心膜転移;並びに悪性腹水。
【0088】
別の好ましい実施形態では、治療若しくは予防的に防止される、又はその再発が予防されるがん性疾患又は腫瘍は、乳癌、消化管の腫瘍(結腸癌、胃癌、大腸がん及び小腸がん、膵臓癌、卵巣癌、肝がん、肺癌、腎細胞癌、多発性骨髄腫を含む)等のがん性疾患又は腫瘍疾患を含む群から選択される。
【0089】
特に好ましい一様式では、本発明による作用物質は、乳房、結腸、直腸及び膀胱の局所治療及び全体治療を目的とする。
【0090】
さらに、本発明による作用物質は、ケロイド及び尋常性乾癬の治療のために使用することができる。
【0091】
本発明の別の好ましい実施形態では、作用物質は、溶液、乳化液、懸濁液、軟膏、バーム、オイル、ゲル、フォーム、眼用バーム、眼用ゲル、坐薬、スプレー、パッド、スティック若しくはクレヨンの形態で、液体形態で、人工涙液、熱可逆性ゲル(液体形態で使用される)の形態で、活性物質を含有するタンポンの形態で、及び/又はクリームの形態である。上述のガレヌス形態(galenic forms)中に作用物質を組み込むことにより、本発明による作用物質の利点を、さらにより向上させることができることを見出したことは全く驚くべきことであった。当業者は、本発明の作用物質を、好ましくは水を含有しないことがある、又は水を含有し得る液体形態等の、皮膚適用のための乳化液又は他の製品等の薬物送達手段(vehicles)中に組み込む他の剤形概念に精通しているだろう。そして水を含有する液体形態は本発明により単相系と多相系とに分けることができる。さらに、半固体形態を使用することができ、該形態は水を含有しないことがあり、又は水を含有してもよく、同様に単相系と多相系とに分けることができる。さらに、親油性又は親水性の固体形態を、好ましい様式で使用することができる。上述の形態に加えて、かかる形態の例は、例えば、脂肪性軟膏、フォーム、パウダー、クレヨン、ゲルクリーム、水分散性ゲル、流体乳化液、ローション、軟膏、スプレー及びクリームである。当業者には既知であるように、かかる薬物送達手段は、一方ではその皮膚の感触に関して「リッチ/上質(valuable)」と「フレッシュ/明るい」とに、他方ではその粘度に関して粘度の低いものと粘度の高いものとに、分けることができる。ナノ乳化液又はオイル又はオレオゲル(oleo-gels)は粘度が低い傾向があり、一方でハイドロゲル又はハイドロクリーム又はO/W乳化液又はW/O乳化液は高い粘度を有する。液体投与形態が使用される場合、該形態は、水を含有しない系と水を含有する系とに分けることができる。特に、非極性系と、乳化剤を有しない極性系と、乳化剤を含む極性系とは、水を含有しない系の中でも好ましい。溶液及びマイクロエマルション等の単相系は水を含有する系の中でも好ましく、多重乳化液であるW/O乳化液又はO/W乳化液は多相系の中でも好ましい。固体/液体系の中では、好ましい形態は、懸濁液、又は懸濁液/乳化液系等の液体/固体/液体系である。当業者は、かかる薬学的キャリアを提供する様々な方法に精通しているだろう。O/W乳化液の中では、好ましいガレヌスリード物質は、O/W乳化剤、W/O乳化剤、液体親水性成分及び液体親油性成分である。W/O乳化液の中では、好ましいガレヌスリード物質は、W/O乳化剤、O/W乳化剤、液体及び半固体親油性成分、ゲル化剤、液体親水性成分及び/又は塩である。
【0092】
半固体の好ましい薬物送達手段の中では、水を含有しない系と水を含有する系とが、様々な使用のために好まれる。水を含有しない系は、非極性系から、又はリポゲル、オレオゲル若しくはポリエチレングリコールゲル等の乳化剤を有しない極性系から、又はO/W吸収基剤若しくはW/O吸収基剤における乳化剤を含む非極性系から、構成することができる。好ましい一様式では、水を含有する系は、ハイドロゲル若しくはマイクロエマルションゲル等の単相系から、又はO/Wクリーム、W/Oクリーム等の多相系から、又は両親媒系から、構成することができる。室温と皮膚温度との間の温度範囲において、好ましい半固体調製物は、局所的効果を有するか、活性物質を輸送するか、又は皮膚に対する軟化効果若しくは保護効果を有する、皮膚又は粘膜に対する使用のための塗りやすい調製物である。好ましい調製物は、より厳密な意味における軟膏、クリーム、ゲル及び/又はペーストである。軟膏、クリーム、ゲル及びペーストに加えて、半固体で透明な単相系の形態のオレオゲルを使用することも可能である。米国特許第6,187,323号明細書から、又はAiache et al., 2001から、例えば、半固体系の剤形のための、様々な水を含有しない化合物が、当業者に既知である(例えば、本発明によると両性ゲル(bi-gel)と称され得る、オレオゲルとハイドロゲルとの組合せ)。さらに、水分散性ゲル又は様々な脂質を使用して、本発明による薬物送達手段を提供することができる。脂質を使用すると、有機ケイ素化合物及び炭素有機化合物を利用して分散系における脂質相を提供することが可能であり、この場合において炭素有機化合物は、例えば、非加水分解性脂質若しくは加水分解性脂質(グリセロール)、ワックスエステルを使用して提供することができる。かかる系の利点は、皮膚の滑らかさの向上と、弾力性の増強と、脂質組成に応じた、遊離及び浸透に影響をもたらす能力とである。例えば時間のパラメータの範囲内の浸透を増大させる又は低減するために、どの脂質を使用するべきかは、当業者に既知である。
【0093】
他の好ましい薬物送達手段は、例えば、水分散性ゲル若しくはマイクロカプセル、マイクロ小球体(microspherules)又はペレット(マクロビーズ)である。上述のキャリアは、安定性を増大させ、皮膚上への最小適用時間を確実にするために、使用される。好ましい半固体単相系は、以下のガレヌスリード物質を使用して調製することができる:液体親水性成分、特に水及び(ポリ)アルコール、親水性ゲル形成剤、塩形成物質、並びにW/O乳化剤、O/W乳化剤、液体、半固体及び固体親油性成分、並びに親油性ゲル形成剤又は構築剤(builders)。特定の効果を実現するために、どの方法でこれらの物質を組み合わせなければならないかは、当業者に既知である。
【0094】
皮膚製品のための他のガレヌス調製物は、当業者に既知である。本出願によると、例えば、JDDG; 2007, 5: 367-383においてDaniel and Knieにより開示されたガレヌス製剤学的な組合せの全てを使用することができる。様々なガレヌス調製物が皮膚に対して様々な効果を有し、様々な度合いで皮膚中に本発明の作用物質を組み込むことは、当業者に既知である。JDDG;2007, 5: 367-383の内容は、本発明による教示の開示において本明細書中に援用される。本発明による好ましい製品は、例えば、親油性若しくは親水性溶液、親油性若しくは親水性乳化液、親油性若しくは親水性懸濁液、特別な液体調製物、疎水性若しくは親水性軟膏、水乳化性軟膏、親油性、親水性若しくは両親媒性クリーム、ハイドロゲル、疎水性若しくは親水性ペースト、及び/又はパウダーである。
【0095】
特に有利な一様式では、独国特許出願公開第102004039875号明細書(本出願による教示の開示において本明細書に援用される)に開示されるような、樹枝状構造を有するナノスケールの輸送系を使用することも可能である。リポソーム、高分子ミセル、高分子複合体又は単一樹枝状コアシェル構造等の、様々な輸送系が先行技術から既知である。高分子ミセルは、自己組織化を介して水中で自発的に形成し得る、両親媒性(ambiphilic)巨大分子の物理的集合体である。概して、内側のブロックは非極性又はイオン性であり、立体的安定化を介してコアを保護する外側のブロックは極性である。それらは、非極性の活性物質、若しくは水中で限定的な溶解性しか有しない活性物質の組合せを可溶化するために、又はオリゴヌクレオチドを輸送するために、使用されることが多い。かかる皮膚輸送系は、本発明による作用物質の腫瘍中への迅速な通過を容易にするために、有利に使用することができる。
【0096】
単一樹枝状コアシェル構造を有するナノスケールの輸送系は、同様に、活性物質の輸送を容易にする。両親媒性分子の物理的集合体とは対照的に、樹枝状巨大分子と対応するシェルとの共有結合修飾は、医療用物質の被包に適した安定的なミセル構造をもたらし得る。さらにより有利には、少なくとも1つの樹枝状コアと少なくとも2つのシェルとから構成されるナノスケールの輸送系を、使用することができる。シェルは、好ましくは異なる極性を有し、それにより、非極性及び極性活性物質の両方、又は活性物質の組合せを取り囲むことができる、極性勾配が実現される。したがって、有利なナノスケールの輸送系は、多シェル単分子構造を有する。様々なシェルを組み合わせることにより、活性物質及びその使用に適合した新しいナノスケールの輸送系を常に作り出すことが非常に良く可能である。デンドリマー及び高分岐ポリマーを、かかるナノスケールの輸送系のために使用することができる。したがって、合成の労力及び費用の両方を低減することがこのように可能であるため、高分岐ポリマーの使用も有利である。好ましい一実施形態では、上述の樹枝状コアは、ポリグリセロール、ポリアミド、ポリアミン、ポリエーテル又はポリエステルから成る。これらの化合物は、樹枝状構造の範囲内で、さらに修飾することができる。結果として、樹枝状コアは、その修飾により分極し得る。かかる作用物質が、皮膚を通じた適用に特に適していることを見出したことは全く驚くべきことであった。他の脂質ナノ粒子と比較して、これらは、皮膚中への粒子の適用に関するときには、約4倍適している。
【0097】
活性物質の流量を増大させた別の経皮治療系が独国特許出願公開第102006026578号明細書(本出願の開示において同様に援用される)に開示されている。この同様に好ましい経皮治療系は、本発明による作用物質の活性物質含有マトリクスを有する経皮パッドの形態で利用することができる。例えば、マトリクスは、本発明による作用物質を含む微粉末化した若しくはナノスケールの活性物質粒子を含有する、その中に包埋した水溶性若しくは水膨潤性の封入体を有するゴム、又は他の合成高分子から成り得る。他の先行技術による作用物質と比較して、この経皮治療系は、活性物質の流量を増大させると共にアジュバント剤の添加量を低減させ、安定性の向上と、恒常性(constancy)の向上とを実現することができる。独国特許出願公開第03251884号明細書(欧州特許第1348441号明細書)(本出願による教示の開示において同様に援用される)による組成物のように、それ自体が抗腫瘍効果を有し局所使用に適用され得る、ガレヌス薬物送達手段を利用することも勿論可能である。
【0098】
さらに、本発明による皮膚適用のための、ナノ構造化脂質キャリアを提供することは有利であり得る。ナノ構造化脂質キャリア(NLC)の特別なマトリクス構造の結果として、負荷容量を増大させることができ、クリーム又はペーストの一貫性(consistency)を有する粒子分散液を提供することができる。特に、NLCの固体脂質マトリクスは、早期分解から本発明の薬学的作用物質を保護することができる。皮膚への適用の後、NLCは、皮膚の水分損失を低減するフィルムを形成し、皮膚の水分の増大をもたらすことができ、それにより本発明による活性物質の浸透の増大を可能にする。また、Smarticles及びCagicles等の、リポソームに基づくマイクロカプセルを、有利に使用することができる。さらに、ナノパーツ(nanoparts)、ナノカプセル及びミセル等のコロイド性の医療用形態の使用が有利なことがあり、その場合には、特定の腫瘍に対して有利に使用することができる安定な生理学的混合ミセルに関する。しかし、支持的な活性物質、又は角質療法(corneotherapy)由来の薬理学的キャリアも、使用することができる。これは、その初期効果のために角質層を通じた浸透が有利である、いわゆるアウトサイド・イン療法である。この目的に対して、実際の本発明の活性物質が、例えば、セラミド、タンパク質及びその合成類似体、又はペプチドと組み合わせて、使用される。有利には、リポソーム及びナノ粒子と組み合わせたかかる化合物は、個々の前提条件と特定の腫瘍とに適合させることができる。当業者は、角質療法のガレヌス製剤学的な前提条件に精通しているので、本発明の教示に対する適用が可能であるだろう。
【0099】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による薬学的作用物質は、ゲル、散布剤(poudrage)、パウダー、タブレット、持続放出タブレット、プレミックス剤(premix)、乳化液、ブリューアップ型(brew-up)剤形、ドロップ、濃縮物、顆粒(granulate)、シロップ、ペレット、急速静注剤(bolus)、カプセル、エアロゾル、スプレー及び/又は吸入剤の形態で、調製及び使用される。
【0100】
本発明の別の好ましい実施形態では、軟膏は、冷却性軟膏(unguentum leniens)(冷却性軟膏)、乳化軟膏(unguentum emulsificans)(親水性軟膏)、水性乳化軟膏(unguentumemulsificans aquosum)(含水性親水性軟膏)、セトマクロゴール軟膏(unguentum cetomacrogolis)、含水セチル軟膏(unguentumcetylicum cum aqua)(セチル軟膏)、羊毛アルコール軟膏(unguentum alcoholum lanae)若しくは羊毛脂軟膏(unguentumadeps lanae)(羊毛脂アルコール軟膏、eucerine)、軟性軟膏(unguentum molle)(軟性軟膏)及び/又は亜鉛軟膏(unguentumzinci)(亜鉛軟膏)を含む群から選択される。
【0101】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による薬学的作用物質は、0.1重量%〜99.5重量%、好ましくは0.5重量%〜95.0重量%、及びより好ましくは20.0重量%〜80.0重量%の濃度で、調製物中に存在する。
【0102】
すなわち、本発明の化合物は、混合物全体の好ましくは0.1重量%〜99.5重量%の濃度で、上述の薬学的剤形、例えばタブレット、ピル、顆粒及びその他の中に存在する。活性物質の量、すなわち単回投与形態をもたらすためにキャリア材料と組み合わせた本発明の化合物の量は、治療される患者と、特定の投与タイプとに応じて変化し得る。患者の状態が改善すると、維持用量を得るために、調製物中における活性化合物の割合を修正することができる。症状に応じて、投与の用量若しくは頻度又はその両方を、改善した状態が維持されるレベルまで、その後、低減することができる。症状が所望のレベルまで軽減すると、治療は終了すべきである。しかし、疾患のいずれかの症状が再発すると思われる場合には、患者が長期的に断続的な治療を必要とすることがある。したがって、薬学的調製物の混合物の全体と、組成物又はその組合せとにおける、化合物の割合、すなわちその濃度は、変化し得るし、当該技術分野における専門知識を有する者により、修正すること及び適合させることができる。
【0103】
当業者は、本発明の化合物を、様々な経路で、生物、好ましくはヒト又は動物と、接触させることができるという事実を認識しているだろう。さらに、当業者は、薬学的作用物質を、特に、様々な用量で適用することができるという事実にも精通しているだろう。適用は、腫瘍疾患に可能な限り効果的であり、又は予防的投与によりかかる疾患の開始が防止されるように、行われるべきである。適用の濃度及びタイプは、当業者により、日常的な試験を使用して、決定され得る。皮膚適用とは別に、本発明の化合物の好ましい適用は、パウダー、タブレット、流体混合物、ドロップ、カプセル等の形態での経口適用又は他の適用と、坐薬、溶液等の形態での直腸適用と、注射、点滴及び溶液、蒸気の吸入、エアロゾル及びパウダー並びにパッドの形態での非経口適用と、軟膏、パッド、包帯(dressings)、洗浄(lavages)等の形態での局所投与とである。本発明による化合物と接触させることは、予防的又は治療的な様式で行うことが好ましい。予防的投与においては、腫瘍の発生が防止されるはずである。治療的接触においては、腫瘍疾患が既に存在し、身体中に既に存在するがん細胞が、破壊されるか、又はその成長を阻害されるかのいずれかであるはずである。この目的にとって好ましい適用の他の形態は、例えば、皮下形態、舌下形態、静脈内形態、筋肉内形態、腹腔内形態及び/又は局所形態である。
【0104】
例えば、選択した適用形態、用量、適用計画、アジュバント剤の選択等の適切性は、患者から一定分量の血清を採取することにより、又は治療手順の過程において画像処理方法を使用することにより、決定することができる。代替的に又は同時に、肝臓の状態、しかしまた、T細胞、又は免疫系の他の細胞の量は、患者の免疫学的体質、特に代謝に対して重要な器官の(特に肝臓の)体質についての一般的な検査結果を得るために、従来の方法で決定することができる。付加的に、患者の臨床状態を、所望の効果、特に抗腫瘍効果について、観察することができる。腫瘍疾患は、さらなる感染(例えば細菌性又は真菌性)と関連することがあり、この理由のために、かかる同時感染の過程の付加的な臨床的同時モニタリング(co-monitoring)も可能である。十分な抗腫瘍効果が実現されない場合、患者は、体質全体の改善をもたらすことが期待される他の既知の薬物を用いて任意に修正した、本発明の作用物質を使用するさらなる治療を受けることができる。明らかに、薬学的作用物質のキャリア若しくは薬物送達手段を修正することも、又は投与経路を変更することも、可能である。皮膚からの取り込みに加えて、例えば筋肉内注射若しくは皮下注射、又は血管中への注射を、本発明による化合物の他の好ましい治療的投与の経路として、考えることができる。同時に、カテーテル又は外科処置用チューブ(surgicaltubes)を介する供給を、使用することもできる。
【0105】
典型的には、活性物質が最適な比率で存在する場合において、互いに関して、及び/又は他の治療的作用物質若しくは効果増強作用物質(例えば輸送阻害剤、代謝阻害剤、腎排泄若しくはグルクロン酸抱合の阻害剤、例えばプロベネシド、アセトアミノフェン、アスピリン、ロラゼパム(lorazepan)、シメチジン、ラニチジン、クロフィブレート(colifibrate)、インドメタシン、ケトプロフェン、ナプロキセン等)に関して、本発明の化合物(複数可)の最適な比率が存在する。最適な比率は、全体的な治療効果が個々の治療的作用物質の効果の合計よりも大きい場合の、本発明の化合物(複数可)と、他の治療的作用物質(複数可)との比率と定義される。概して、作用物質が10:1〜1:10、20:1〜1:20、100:1〜1:100及び500:1〜1:500の比率で存在するときに、最適な比率が見出される。
【0106】
幾つかの場合においては、非常に小量の治療的作用物質が、1つ又は複数の他の作用物質の効果を増大させるのに十分であろう。加えて、本発明の化合物の組合せでの使用が、腫瘍抵抗性が発生するリスクを低減するのに特に有益である。勿論、本発明の化合物は、他の既知の抗腫瘍作用物質と組み合わせて使用することができる。かかる作用物質は、当業者に既知である。したがって、本発明の化合物を、単一の薬剤として、又は薬剤と組み合わせて、特に腫瘍薬剤と関連した使用のために利用可能な、全ての従来の作用物質、特に他の薬剤と共に投与することができる。これらは、単独で、又は作用物質と組み合わせて、投与することができる。
【0107】
好ましい一様式では、本発明の化合物は、約0.005〜1の比率で、上記他の既知の薬学的作用物質と共に投与される。好ましくは、本発明の化合物は、上記既知の作用物質の0.05倍〜約0.5倍の、及び約1倍までの比率で、特に腫瘍阻害作用物質と共に、投与される。この事象においては、抗細菌剤にも関し得る。薬学的組成物は、保存料、緩衝剤物質、溶液の浸透圧(osmolarity)を調整するための作用物質等のような他の材料と共に、物質中に、又は水性溶液として、存在し得る。
【0108】
抗腫瘍化合物の細胞取り込みのためのエンドサイトーシスの利用は、幾つかの特に寿命の長い物質に対しては、非常に効果的であるが、より一般的な使用に移すことは非常に困難である。1つの代替案は、当業者に一般的に既知の、プロドラッグの概念である。定義によると、プロドラッグは、その活性物質を、非活性前駆体代謝物の形態で含む。キャリアプロドラッグ系と、生体内変換系とを区別することが可能である。後者は、化学的又は生物学的代謝を必要とする形態で、活性物質を含む。かかるプロドラッグ系は、当業者に既知である。キャリアプロドラッグ系は、好ましくは単一の制御可能な機構により切断することができるマスキング基(masking group)と結合した活性物質それ自体を含む。本発明の化合物におけるマスキング基の本発明の機能は、細胞による受容量(reception)の向上のための、電荷の中和である。本発明の化合物をマスキング基と共に使用すると、後者は、経口生体利用性と、組織中における分配と、薬物動態と、非特異的ホスファターゼに対する安定性とのような、他の薬理学的パラメータにも影響を及ぼし得る。加えて、活性物質の遅延放出は、貯蔵効果をもたらし得る。さらに代謝の修正が起こることがあり、それにより活性物質のより高い効率、又は器官特異性が実現され得る。プロドラッグ剤形の事象において、活性物質に対する、マスキング基、又はマスキング基に結合するリンカー基は、プロドラッグが、血清中に溶解するために十分な親水性と、作用部位に到達するために十分な化学的及び酵素的安定性と、拡散制御膜輸送に適した親水性とを有するように選択される。さらにそれは、合理的な期間の範囲内で活性物質の化学的及び酵素的遊離を可能にするはずであり、勿論遊離した補助成分は毒性を有しないはずである。しかし、本発明の意味において、マスクを有しない、又はリンカーもマスクも有しない化合物は、細胞内に組み込まれた化合物から酵素的及び生化学的プロセスを介して最初に産生されなければならないプロドラッグと理解することもできる。
【0109】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による薬学的作用物質は、24時間当たり、体重1kg当たり0.05mg〜500mg、好ましくは5mg〜100mgの総量で、利用される。
【0110】
本発明の別の好ましい実施形態では、調製物は、経口で、皮下で、静脈内で、筋肉内で、腹腔内で、及び/又は局所で、利用される。
【0111】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による作用物質と、本発明の薬学的作用物質と、本発明のキットとは、腫瘍の二次的予防方法において使用される。
【0112】
本発明は、一般式1〜一般式16による本発明の化合物、又は本発明の分子の、ポリメラーゼ阻害剤の開発のためのリード構造としての使用にも関する。
【0113】
本出願による教示は、以下の特徴のために優れている。
−従来技術からの逸脱
−新しい分野の問題
−本発明により解決される問題の解決方法に対する、長い間未解決のままの緊急のニーズの存在
−当該技術分野においてこれまでに無駄になった労力
−特定の解決方法の単純さが、特により複雑な教示と置き換わるので、本発明の活性を示す。
−様々な方向に、科学技術が発達する。
−発達の合理的な説明の実現
−懸案の問題の解決方法に対する、当該技術分野における誤った考え(先入観)
−技術の進歩、例えば、改善、性能の向上、費用の低減、時間、材料、作業工程、費用若しくは原材料の実現が困難な節約、信頼性の向上、欠陥の排除、優れた品質、メンテナンスフリー、効率の増大、収率の向上、技術範囲の拡大、さらなる手段の提供、二次的アプローチの創出、新しい分野の創出、初めての問題解決方法、予備的手段、代替手段、合理化の範囲、自動化及び小型化、又は利用可能な薬剤の範囲の拡充
−結果が予測不可能なものが選択されてきたが故の、様々な可能性からの幸運な選択、したがってこれは特許可能な幸運な選択である。
−本発明の主題の、技術文献における誤り、又は非常に矛盾する表現
−未成熟な技術分野
−組合せの発明、すなわち、複数の既知の要素が組み合わされて驚くべき効果を実現した。
−ライセンスの発行
−当該技術分野における称賛
−経済的な成功。
【0114】
より具体的には、本発明の有利な実施形態は、上述の利点の少なくとも1つ又は複数を有する。
【0115】
限定することを意図せず、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0116】
物質10(HM−1)は、非接触阻害(図1)及び接触阻害(表1)の腫瘍細胞(SCC−25細胞)に対するその強力な細胞障害効果のために優れており、該効果は一次ケラチノサイト(Kc)における効果よりも強い。これは、皮膚腫瘍の選択的損傷をもたらす。
【0117】
言及されるべきBuP−OHの1つの特別な利点は腫瘍細胞(SCC−25)に対する特に強い抗増殖効果であり、該効果はHM−1及びHM−1オキシム(図2)のそれを凌ぐ。腫瘍細胞に対する或る程度の選択性があり、その効果は一次ケラチノサイト及びHaCaT細胞に対するそれよりも強い(図3、表1)。
【0118】
【表1】

【0119】
特定の濃度で試験した活性物質は、皮膚由来でない腫瘍細胞を低い濃度で、SCC−25細胞及びSCC−4細胞よりも強く阻害する。これは、例えば乳がん細胞株MCF−7及び結腸癌細胞株HT−29にも当てはまる。さらに、試験する活性物質の濃度を増大させたときには、皮膚がん、特に非メラノーマ性皮膚がんに対する良好な効果が見出された。濃度を変化させることにより、当業者は、特許請求の範囲に記載の腫瘍の全てに対して、in vitro試験及びin vivo試験での効果を実現することができる。本明細書に表された結果は、規定の濃度での試験についての詳細な説明を表すにすぎない。当業者には既知であるように、薬学的活性物質の濃度は、患者の疾患、年齢及び状態に応じて、特定の範囲内において任意に変化させることができる。作用物質が特定の濃度で効果を示さない場合は、当業者は日常的に、新たな薬物送達手段を試験し、又は複数回若しくはより短い時間間隔の範囲内で作用物質を適用することができる。
【0120】
部分糖構造のみを有するグアノシンホスホネート類似体の高い選択性は、極めて高い関心がもたれる。物質群8のメンバーは、腫瘍細胞に対するその強い阻害効果のためのみでなく、正常ケラチノサイト(NHK)及びHaCaTケラチノサイト細胞株に対するいずれかの阻害効果がないことのためにも、優れている。また、これらの物質について同時に行った分子モデリング計算処理は、結合部位への特に高い親和性を示した。有利には、皮膚線維芽細胞に対する細胞障害効果も有し得る物質を、使用するキャリア系が表皮における医療用物質の蓄積を標的とするときには毒性効果が低減されるように、好ましいキャリア系により修飾することができることが見出された。
【0121】
【表2】

【0122】
キャリア系
従来のクリームと比較して、固体脂質ナノ粒子(150nm〜170nm)及び樹枝状コアシェルナノ輸送体(20nm〜30nm)は、表皮浸透をそれぞれ3倍〜6倍及び8倍〜13倍増大させる。浸透促進効果は、皮膚浸透を促進するための、表面(接触面積)と体積との好ましい比率と、加えて表皮脂質を有する脂質粒子構成(lipid particles mix)とから得られる。
【0123】
グアノシン類似体(第6群)及びグアノシンホスホネート類似体(第8群)のlogP値は、グルココルチコイド(プレドニゾロン、プレドニカルベート)のlogP値、特にプレドニカルベート(長時間安定に組み込むことができる)のlogP値と同じオーダであり(表3を参照されたい。[C. Santos Maia, W. Mehnert, M. Schaller, H.C. Korting, A. Gysler,A. Haberland, M. Schaefer-Korting, Drug targeting by solid lipid nanoparticles for dermal use. J Drug Targeting 10 (2002) 489-4951])、したがって安定性の高い脂質ナノ粒子の調製のための驚くほど良好な前提条件をもたらす。したがって、これらは薬剤の製造に特に適している。
【0124】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗腫瘍作用物質であって、特に皮膚腫瘍の治療のためのものであり、一般式(1)〜一般式(16):
【化1】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
【化2】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
【化3】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【化4】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【化5】

2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−2’−デオキシアデノシン
【化6】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[4−ヒドロキシ−5−(2−ホスホノエチル)テトラ−ヒドロ−2−フリル]アデニン
【化7】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【化8】

【化9】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
=OH又はSH
【化10】

=O又はNOH
3’−デオキシ−3’−オキソチミジン又は
3’−デオキシ−3’−ヒドロキシルイミノチミジン
【化11】

【化12】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化13】

【化14】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化15】

【化16】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はSH
による化合物を含む群から選択される、抗腫瘍作用物質。
【請求項2】
一般式1〜一般式4:
【化17】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
【化18】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
【化19】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【化20】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
による化合物を含む群から選択されることを特徴とする、好ましくは細胞変化の治療のための、特に皮膚領域における治療のための、特に請求項1に記載の作用物質。
【請求項3】
一般式5:
【化21】

2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−2’−デオキシアデノシン
を有することを特徴とする、請求項1に記載の作用物質。
【請求項4】
一般式6:
【化22】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[4−ヒドロキシ−5−(2−ホスホノエチル)テトラ−ヒドロ−2−フリル]アデニン
を有することを特徴とする、請求項1に記載の作用物質。
【請求項5】
一般式7:
【化23】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]アデニン
を有することを特徴とする、請求項1に記載の作用物質。
【請求項6】
一般式1〜一般式7による化合物に対して機能的に類似し、以下:
【化24】

【化25】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
=OH又はSH
【化26】

【化27】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化28】

【化29】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化30】

【化31】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はSH
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の作用物質。
【請求項7】
薬剤として使用するための、一般式1〜一般式9及び一般式11〜一般式16の作用物質。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の作用物質と、薬学的に許容し得るキャリアとを含む、腫瘍の治療のための、薬学的作用物質。
【請求項9】
該薬学的に許容し得るキャリアが、充填剤、希釈剤、結合剤、保湿剤、溶解抑制剤、崩壊剤、吸収増強剤、湿潤剤、吸収剤、滑剤及び/又はキャリア脂質、特に固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質キャリア、リポソーム又はポリマー粒子、好ましくはデンドリマーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の薬学的作用物質。
【請求項10】
適用システムと、該キットの内容物を組み合わせるための情報と共に、請求項8又は9に記載の薬学的作用物質とを含む、キット。
【請求項11】
一般式(1)〜一般式(16):
【化32】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
【化33】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
【化34】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【化35】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル及び/又はイソヘキシル誘導体
【化36】

2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−2’−デオキシアデノシン
【化37】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[4−ヒドロキシ−5−(2−ホスホノエチル)テトラ−ヒドロ−2−フリル]アデニン
【化38】

P=ホスホネート
2−(4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニルアミノ)−9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【化39】

【化40】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=O又はNOH
=OH又はSH
【化41】

=O又はNOH
3’−デオキシ−3’−オキソチミジン又は
3’−デオキシ−3’−ヒドロキシルイミノチミジン
【化42】

【化43】

=H又はモノホスフェート又はジホスフェート又はトリホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化44】

【化45】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はH
=OH又はSH
【化46】

【化47】

P=ホスホネート
=H又はモノホスフェート又はジホスフェート
=ブチル又はペンチル又はヘキシル又はイソヘキシル誘導体
=OH又はSH
による作用物質の使用であって、病理学的細胞成長及び/又は細胞成長障害の治療のための薬剤の提供のための、及び/又はポリメラーゼの変化のための、作用物質の使用。
【請求項12】
該ポリメラーゼがDNAポリメラーゼαであることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
該細胞成長障害が細胞増殖を表すことを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
該細胞増殖が、上皮由来の皮膚がん、好ましくは日光性角化症、基底細胞癌若しくは有棘細胞癌、色素細胞の皮膚がん、免疫細胞の皮膚がん、線維肉腫、汗腺癌、皮脂腺癌、血管肉腫、筋肉腫及び/又はメルケル細胞癌を含む群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
該基底細胞癌が、結節性充実性基底細胞癌、表在性基底細胞癌、色素性基底細胞癌、硬化性基底細胞癌、潰瘍性基底細胞癌及び/又は破壊性基底細胞癌であることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
該細胞成長障害が角化症であることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
該角化症が、脂漏性角化症、日光性角化症、老人性斑、色素沈着及び/又は日光性黒子を含む群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
該腫瘍疾患が、癌、肉腫、神経内分泌腫瘍、血液腫瘍学的腫瘍、個体発生異常性腫瘍及び/又は混合腫瘍であることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
該作用物質が、溶液、乳化液、懸濁液、軟膏、バーム、オイル、ゲル、フォーム、眼用バーム、眼用ゲル、坐薬、スプレー、パッド、スティック若しくはクレヨンの形態で、液体形態で、人工涙液、熱可逆性ゲル(液体形態で使用される)の形態で、及び/又はクリームの形態であることを特徴とする、請求項11〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
請求項10又は11に記載の薬学的作用物質が、ゲル、散布剤、パウダー、タブレット、持続放出タブレット、プレミックス剤、乳化液、ブリューアップ型剤形、ドロップ、濃縮物、顆粒、シロップ、ペレット、急速静注剤、カプセル、エアロゾル、スプレー及び/又は吸入剤の形態で、調製及び使用されることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
該軟膏が、冷却性軟膏(冷却性軟膏)、乳化軟膏(親水性軟膏)、水性乳化軟膏(含水性親水性軟膏)、セトマクロゴール軟膏、含水セチル軟膏(セチル軟膏)、羊毛アルコール軟膏若しくは羊毛脂軟膏(羊毛脂アルコール軟膏、eucerine)、軟性軟膏(軟性軟膏)及び/又は亜鉛軟膏(亜鉛軟膏)を含む群から選択されることを特徴とする、先行する請求項5に記載の使用。
【請求項22】
請求項10又は11に記載の薬学的作用物質が、0.1重量%〜99.5重量%、好ましくは0.5重量%〜95.0重量%、及びより好ましくは20.0重量%〜80.0重量%の濃度で、調製物中に存在することを特徴とする、請求項11〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
請求項10又は11に記載の薬学的作用物質が、24時間当たり、体重1kg当たり0.05mg〜500mg、好ましくは5mg〜100mgの総量で、利用されることを特徴とする、請求項11〜22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
該調製物が、経口で、皮下で、静脈内で、筋肉内で、腹腔内で、及び/又は局所で、利用されることを特徴とする、請求項11〜23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
腫瘍の二次的予防方法のための、請求項11〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
ポリメラーゼ阻害剤の開発のためのリード構造としての、化学式(1)〜化学式(8)による化合物の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【図7h】
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【図7i】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−526839(P2010−526839A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507790(P2010−507790)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000818
【国際公開番号】WO2008/138327
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507010636)フライエ ウニヴェルジテイト ベルリン (3)
【出願人】(509312503)ハインリッヒ−ハイン−ウニヴェルジテイト デュッセルドルフ (1)
【Fターム(参考)】